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第二次聖杯戦争④〜幻惑のお花屋さん

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #魔槌・しなもん


●しなもんの決意
 金沢の片町商店街には魔槌しなもんが取り出してばら撒いた『配下のナイトメアビースト』が潜伏している。
「アタシはキミと一緒にはいられない、ここあ」
 しなもんは辛そうに顔をゆがめた。
「この戦いさえ終わったら、アタシはキミから一番遠い場所にいく。この戦いが終わったら、ね」
 しなもんのポニーテイルは、揺れた。

●不思議なお花屋さん
 片町商店街の端っこに不思議なお花屋さんがある。日頃から妙な、売れ筋ではない商品ばかりを陳列していたが、今はそれこそ綺麗な花は1輪もない。店の中には花どころか人もいない。誰もいない店内の、レジの奥にあるうち開きの扉が細く開いている。

「その扉の向こう側は花畑なのです」
 フィンブル・テュール(オラトリオの聖者・f01804)は言った。ビックリするほど本格的なビニールハウスが5つほど並んでいる。店主はここで花を育て、生育状態を見て店に出していたようだ。畑と八百屋が直結したみたいな状態で、産地と店舗が直結している。
「その花畑、というかビニールハウスにしなもんが放ったナイトメアビーストが潜伏しています。とても弱い力しかない花に擬態をしたモノ達ですが、猟兵ではない普通の人にとっては十分に脅威となるものです」
 正月休みが終われば、花屋を訪れる客もいるだろう。そうすればナイトメアビーストに襲われる危険も増えるはずだ。
「ハウスにはそれぞれ1種類の花が栽培されていて、その花に合った環境になっています。どうか、そこを探索して花に化けているナイトメアビーストを殲滅してください。綺麗な花にはトゲはあってもいいのでしょうが、害虫ならぬナイトメアビーストは必要ありません」
 よろしくおねがいします、と、フィンブルは言った。


霧原澪
 戦争シナリオが好きな霧原です。お正月からバリバリ戦争しちゃいましょう!
 今回はしなもんさんが放ったナイトメアビーストの殲滅作戦です。ナイトメアビーストは花屋の裏にある花専用のにビニールハウス内に潜伏しています。ハウスは5つあります。
『1・薔薇』
『2・水仙』
『3・シクラメン』
『4・胡蝶蘭』
『5・チューリップ』
 です。どれか1つ決めて探索してください。プレイングボーナスは隠れ潜む弱いナイトメアビーストを見つけ出す。ナイトメアビーストはそれぞれのハウスで育てている花に擬態しています。攻撃には幻惑の力を使います。ただ探す、よりも工夫を考えてくださると大変うれしいです。出来ればお花屋さんの被害は最小限であるといいなぁ、です。
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第1章 冒険 『幻惑の花園』

POW   :    花ごと蹴散らし突き進む

SPD   :    花粉を吸わないよう防御して進む

WIZ   :    花粉の作用を解毒して進む

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ミリアリア・アーデルハイム
私はチューリップのハウスを担当しましょう、春のお花素敵ですし。
ナイトメアビーストは魔物ですよね?ということは、これは害獣駆除のお仕事、つまりお掃除です!まずは「屏氷万里鏡」を展開、ハウスの中を映し出し見渡せるようにします。次にオーロラアイズで鏡に映ったチューリップを見てその真実を暴きましょう。
どこに隠れているのかな〜?

見つければ、掃部さんをお呼び出ししてお掃除をお願いします。もちろん私も戦いますよ。落ちた葉や塵をお掃除するふりで「ローラちゃん」を構えナイトメアビーストをしゅごっと吸い込んでいきましょう。
幻惑は魔女も使う手口ですし、魔力で妨害【ジャミング】させていただきますよ。お掃除お掃除♪



●鬱金香の間
「私はここを調べますね」
 真っ先に花屋の裏手へとやってきたミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)は一番近い位置にあるビニールハウスへと向かって歩く。普段から散歩で鍛えているミリアリアの足取りは安定していて、足元も動き易いスニーカーだ。普段着よりも少しお出かけ風の衣装なので、ミスマッチになりがちだがそこは春めいたピンクを基調にしたコーディネートで違和感はない。
「チューリップは春のお花、これからが楽しみで素敵な花ですし」
 ミリアリアにしてみれば、魔物であるナイトメアビーストはいわば害獣であり、花に付く虫を駆除する大事なお仕事、つまりお掃除だ。
 ハウスの中は、やはり違和感だらけの場所だった。ミリアリアには効果がなさそうだが、普通の人間ならば幻惑に酔ってナイトメアビーストに従う下僕になってしまうかもしれない。
「では、始めましょうか」
 言葉とともにビニールハウス内に無数の氷の欠片が出現した。それはピカピカの表面にあらゆる場所を映し出す。地面、支柱、つぼみ、地面を這う送水管、ハウスの隅にあった大きなスコップ、その裏に出来た影、そこにも咲き開いたチューリップ?
「どこに隠れているのかな〜? って探そうとしたのですけど、こんなに簡単にわかってしまってはかくれんぼうにもなりませんよ」
 まるで幼い子供を諭すような優しい、ささやくような声がミリアリアの唇からそっと漏れる。手にはもうクロウラー式掃除機、愛称ローラーちゃんの持ち手をしっかり握っている。
「では、ハウスの中をお掃除しましょ。綺麗、綺麗、いい気持ち♪」
 あらゆる『掃除』のプロフェッショナル、掃守さんが具現化する。掃守さんは音速を超えるかの速度でスコップに近寄り、それをどかした。そこに闇色のチューリップが咲いている。軍手のようなものをはめた両手で掃守さんがチューリップに迫る。するとチューリップは植物にあるまじき根や葉を総動員して逃げ出した。しかし、それは掃守さんの名アシストであった。逃げるチューリップの行く先にはローラーちゃんを構えたミリアリアがいる。
『しゅごっ』
 異音を放ちながらもローラーちゃんはチューリップを吸い込んだ。そのとたん、ビニールハウス内の異質な感覚が霧散する。
「これでこのハウスのお掃除は終わったみたいですね。掃守さんもローラーちゃんもお疲れ様でした」
 それでも、この街を覆う敵の存在感はまだ消えていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バズ・ロンドビート


花に化けた敵ですか、厄介ですね
ですが、その擬態はきっと完璧ではないはずです
身を隠すのに不要な、花の生態まで模倣しているとは思えません
そこを突きましょう

本物の胡蝶蘭は、葉の裏から蜜のような液を出し、アリを寄せ付けます

私が錬金術で創造した人造生命、フラスコ生命体の出番です
無数のアリ型のフラスコ生命体を解き放ち、蟲使いの力で指示します

「本物の胡蝶蘭の株を囲むように、ぐるぐる回れ」

これでアリ達が目印になってくれます
あとは、アリがいない株を探して、攻撃すればOKです

敵が幻惑攻撃をしてくる前に、こちらから仕掛けましょう

【舞い踊る黄金の蝶】
苦痛はあまり与えない、超猛毒の鱗粉で攻撃します
おやすみなさい



●虫を知り全てを知る
「花に化けた敵ですか、厄介ですね」
 無人の花屋を抜け、裏手にあるビニールハウスにやってきたバズ・ロンドビート(虫好きの錬金術士・f38977)は顎に手をあて考える。灰色の毛先が少し癖のある髪がゆれ、新緑色の瞳が思索にふける。しかし、それはさほどの時間ではない。
「ですが、その擬態は昆虫たちには劣るはずです。身を隠すのに不要な、花の生態まで模倣しているとは思えません。そこを突きましょう」
 バズの知る多くの昆虫たちは儚く、しかし頑強で必死に生き、次代に命を繋ぎ、太古の昔から生き抜いてきた。彼らの擬態こそは称賛されるべきであり、ナイトメアビーストの付け焼き刃な擬態などバズからすれば、児戯にも等しい。
 胡蝶蘭が栽培されているビニールハウスに入ると、すぐに異質な感覚を覚えた。
「たしかに、ここにはいますね」
 バズはフラスコ生命体をそっと解き放った。自然界のものよりは大きいけれど、戦うための武器としては小柄な5センチほどの蟻たちがフラスコからぞろぞろと湧き出てくる
「本物の胡蝶蘭の株を囲むように、ぐるぐる回れ」
 バズの命令を即座に実行し、蟻たちはつぼみをつけた株の周りを1つずつ周回してゆく。それをバズはゆっくりと歩きながら確かめて言った。
「これも、そう、本物だね。さすが、君達は良く分かっているね」
 普段よりも優しい親し気な言葉で蟻たちをねぎらってゆく。蟻たちは胡蝶蘭が出す甘い蜜のありかを知っているのだ。5つめ、9つめ。木製の台に乗っていた胡蝶蘭の鉢、全てで蟻たちが回っている。
「おかしいですね。もうこれ以上鉢は……」
 ビニールハウスの中を見る。そして、台の下を覗いた。
「ここでしたか。探しましたよ」
 台の下には、そこにあると不自然なくらいに満開の胡蝶蘭が白い清楚な花を咲かせていた。
「幻惑の攻撃をしてくる前に、こちらから仕掛けましょう」
 バズは近くの胡蝶蘭の鉢を移動させ蟻たちを回収してから『敵』に向き直る。
「舞い踊れ、黄金蝶々。さぁ、おやすみなさい」
 帽子やブローチの黄金から光輝く蝶が群れ飛んだ。蝶は一斉に台の下へと殺到し、満開の胡蝶蘭が見えなくなるほど覆い尽くし、優しい毒を与えてゆく。すぐに胡蝶蘭は泥の様な姿に変わり、汚い水たまりになり消えてゆく。
「あなた方は植物だけではなく、花屋の事も知らないのですね。胡蝶蘭はすべて満開になる前に売るのが定石です」
 もう消えてしまった『花』にバズは優しく教えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
1・薔薇に

この世界はまだ知らないコトが多くて
バラさん達ともお話ししてみたいわ
いばらは茨、お喋りなバラなの
植物と話す、力で
ハウスに咲くバラさん達に声を掛けて往きましょう
トロイメライで、破魔を籠めたそよ風の魔法を紡ぎながらね
呪詛耐性のあるそよ風は、
きっと幻惑も優しく吹き飛ばしちゃうから
そうして可笑しなコが隠れてないか見回り

【小さなうたごえ】のバタつきパン蝶さん達もお手伝いお願いね
いつもの様に花弁を飛び巡って
UCで高めた破魔のお口で優しく、擽って
隠れん坊してる、悪い事を企むコ達を見つけましょう

バラさん達が
また静かに、のびのびと根を伸ばせるよう
この世界のアリスに、笑顔の花を届けられるように
私も頑張るわ



●いばらは茨
「選択肢はないわ」
 少しも揺らぐことなく、最初から約束されていたかのように、城野・いばら(白夜の魔女・f20406)は薔薇が栽培されているビニールハウスへと入った。薔薇は屋外で育てられる場合が多いが、鉢植えにして温度や湿度の管理をする場合もある。特に冬は雪の降る金沢ではハウスの方がいい場合もある。
「こんにちは」
 まるで遠い親戚の家に来た時のような挨拶をしてビニールハウスへと入った。その途端、鮮やかな薔薇の香りとともに、不快な雰囲気を感じる。
「いてはならないモノがいるわ。えぇ、人間にはわからなくても私にはわかる」
 いばらは茨。ここに住まう鉢植えの薔薇たちとの関係は同族と言っても過言ではない。目に見えない、感知することも難しい微小な物質は互いから発せられている。
「わかるわ。不安なのね。薔薇でもお世話係……あ、それは人間というのよ。それでもない危険な何かが入り込んでいるのね」
 鉢植えの薔薇たちはいばらに負けず劣らず饒舌だった。
「そうなのね。まぁ、何かが入り込んでからもう太陽が3回も昇っているのね」
 いばらは右手に『トロイメライ』を握り、破魔の風を室内に送り幻惑を払いのけながら話を続ける。薔薇たちから発せられる微細な物質という『言葉』は、より多くの薔薇たちの総意となっていばらに伝わる。
「あら、あなたは無口なのね。植物なのに」
 もうわかっていたけれど、いばらはその鉢植えの前にたどり着くまで言わなかった。漆黒のように黒い薔薇が咲いていた。そして、全身から溢れだす『言葉』がない。
「安心して。あなたに、愉快で楽しい夜を贈りましょう」
 いばらは清廉な白薔薇のような微笑みを浮かべ、『小さなうたごえ』を開いた。パンの翅を持つ不思議な蝶々たちが飛び出してくる。それでも擬態に自信があるのか、ナイトメアビーストだろう黒薔薇は動かない。
「さぁ。いつものように飛び巡って、酷いことを企むくせによりにもよって薔薇に姿を変えている悪いコにお仕置きをしてあげて」
 いばらの願いに応えるかのようにパンの蝶が乱舞する。上から、横から、下から上へと飛び回り、包囲し、黒薔薇に一斉に飛びかかった。真っ黒な花も黒っぽい葉や茎も一瞬でパンの白っぽい色に変わる。そして、力を吸い取られ破魔の力を注ぎ込まれて、すぐに萎れ、くたっと地面に倒れこんだ。
「いつか、この世界のアリスに、笑顔の花を届けられるようになるかしら」
 いばらはつぶやいた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年01月04日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト