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第二次聖杯戦争④〜比翼の鳥は互いを想う故に離れる。

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #魔槌・しなもん


●商店街にて。
「あはは……確かにアタシ達にとっては悪夢だったけど其れがアタシを護る盾になるなんて、ね」
 疲れた様な笑みを浮かべ魔槌しなもんは周囲を徘徊する無数の学生服姿のナイトメアビーストを見回す。
 思い返すのは最初の聖杯戦争で敗れ敗走する中で自分の大切な半身と共になぶり殺しにされた過去、そしてファイナルナイトメアに於いて黄泉がえり……。
「今度こそ護ると誓ったのにアタシは護り切れなかった」
 電撃に貫かれ消えるここあを見ていくしか出来ず、その後に逃げだせば未だ良かったものの其れすら出来ずに集中攻撃を喰らって果てた。
「だからアタシは自分を信じるつもりは毛頭ないしここあと共にいるつもりはない」
 だって其の方が大好きなあの子が生き延びれる可能性は高まるのだから。
 大好きなあの子を二度も守れなかった自分がもう一度、今度こそ護るなんて言える訳ないのだから。
「その為ならアタシは何だってやってやる。
 あいつらを思わせる連中でも何でも使って生き延びるんだ。
 アタシはどうでも良いけどここあを生き延びさせる為に……!」
 そんな子供が浮かべるには悲壮すぎる決意を胸にしなもんは猟兵を待ち受けるのであった。

●グリモアベースにて。
「……まあ、そんな感じで敵は君達を待ち受けているんだな」
 僅かに悲し気に顔を曇らせながらグリモア猟兵は集まった猟兵達を見渡し説明を再開する。
「今回の敵は魔槌しなもん。
 嘗て銀誓館と戦った相手で雪降ここあと一緒に倒さなければ片方が相方を復活させるって能力の持ち主なんだな」
 戦場に於いても中々に厄介な能力だったのだろう。
 第一次聖杯戦争を生き延び、共に落ち延びていた所を倒されたという過去を持つ。
「其の後、或る戦争で復活した時は一緒の戦場にいたそうだけど……まあ、そうなると彼女達の能力は活かせない訳で」
 だからこそ其処がトラウマにでもなっているのか彼女達は一緒に居ない方が良いと思っているらしい。
「その癖、お互い予兆で離れる為にもブラジルにでも行こうって言ってる辺り、本当に相性が抜群で仲が良い友達だったんだろうね」
 そんな子達を再び倒すという事にやりきれない思いもなくはないが此れは戦争。
 彼女達を倒さなければ数多くの彼女達の様な友達、恋人同士、夫婦、家族……沢山の人達が犠牲になってしまうのだ。
「だから皆には彼女を倒して欲しいんだな」
 其の上で先ず最初に倒す必要がある者達もいるのだという。
「其れは彼女に付き従うナイトメアビーストの群れ。
 学生の姿をしたこいつらは其処まで強い訳ではないけど決して油断して良い訳じゃない」
 其れこそ放置してしなもんを倒そうとすれば彼女の盾になるなり動きを邪魔して彼女の攻撃が君達に当たる様に妨害してくるだろう。
「だから先ずは此の悪夢の群れを蹴散らしてから彼女と戦ってほしいんだ」
 其の上で彼女本体にも厄介な能力があるので注意して欲しいのだとか。
「先ず一つ目は彼女の相方、ここあの複製体を呼び出す能力」
 戦闘能力はないがしなもんの能力を増幅させる支援魔法を使ってくるので元々の身体能力も高いので厄介な能力と言えるだろう。
「対処するなら複製体を倒し支援魔法の元を封じるか。
 しなもんは護れなかったのがトラウマになってるようだから複製体であっても守ろうと動く様だし其れを突くのもありかもね」
 やりにくいと思う人も居るかもしれないけど先ずは勝利を掴むのが優先だし、とグリモア猟兵は告げる。
「二番目は暴走ナイトメアってのを召喚するみたい。
 こいつは触れた人のトラウマを過剰に増大させる能力を持つんだ」
 だからこそ直接触れずに武器で倒すなりの対策は必要になるだろう。
 平穏無事な障害を送った猟兵もいるだろうが猟兵になった時点で色々と知っているので其処で嫌だなあって思った気持ちを増大されれば其れなりに動きは止まる可能性は高いのだから。
「そして最後に周囲に悪夢の力を放ち覚めない悪夢に堕とす技なんだな」
 此れに関しては何らかの護りの力を用いるなり悪夢の力が届かない距離から敵を倒すなりの対処が有用だろう。
「とまあ、彼女に関してはこんな感じかな?
 それじゃあ頑張って彼女を止めてきてね」
 そう言うとグリモア猟兵は戦場へ猟兵を送り出すのであった。


久渓洞
 初めまして、或いはお久しぶりです久渓洞です。
 今回の依頼は戦争依頼、シルバーレインの過去の敵と戦う依頼になります。

 プレイングボーナスは「悪夢の群れ」を蹴散らし、しなもん本体と戦う事。

 皆さんのプレイング楽しみにお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『魔槌・しなもん』

POW   :    「見ててね、ここあ!」
戦闘力のない【雪降・ここあの複製体】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【雪降・ここあ(複製体)の援護魔法】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD   :    ナイトメアビースト・ランページ
【自分の体内】から【暴走ナイトメア】を召喚する。[暴走ナイトメア]に触れた対象は、過去の【トラウマ】をレベル倍に増幅される。
WIZ   :    悪夢領域
自身が装備する【ナイトメア】から【悪夢の力】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【覚めない悪夢】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
片桐・公明
【SPD】
「新年早々せわしないわねぇ。」
缶のお汁粉をすすりながら、あきれるようにつぶやいて事件に向かう

本体が後衛、分身が前衛と分担して先頭に臨む。
分身は妖刀片手に敵陣中央で戦うことで敵の注意を一手に引き受ける
分「死体切りは趣味じゃねぇが、抵抗する分には悪くうねぇな。」

本体は雲長・翼徳を扱い、敵を自身より後ろに重視して戦う
本「あいつじゃないけれど、目の前で動き回ったら注意をひけるかしら。」

本「倒れにくい相手からの防衛は、相手の動きを封じることが重要。」
本「ゆえに狙うべきは」
分「首よりも四肢、だろ!!」

(絡み、アドリブ歓迎です)



●二人になった者と一人になった者。
「新年早々忙しないわねぇ……」
 そうビルの屋上で缶の汁粉をすすりながら呆れる様に呟き、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は眼下にて暴れる少女を見降ろしていた。
「確か暴走ナイトメアだったかしら。
 接触するとトラウマを増大させられるのはちょっと厄介ね」
 勿論、公明とて熟練の猟兵として幾つもの戦場を経験し多彩な敵を相手にしてきた身。
 多少のトラウマ等少し心を落ち着かせれば押さえ付け戦う事は可能だ。
 だが、其の押さえ付けている間に生じる僅かな隙が戦場に於いては致命的な物にもなりうるという事も彼女は重々承知していたのだ。
「ならまあ、とるべき方法は此れかしら。
 『これは決して私ではない。だけどもどうしようもなく自分自身なのだ』」
 その詠唱と共に現れたのは彼女の中に潜む闇に染まったIFの彼女。
 世界によってはダークネスと呼ばれる存在が妖刀を手に彼女の後ろに佇んでいたのだ。
 暴走ナイトメアはトラウマを増幅させる。
 ならばトラウマを持ちえない分身であれば其れに引きずられる事もない。
「死体切りは趣味じゃねぇが抵抗する分には悪くねぇな。
 まあ、今回のは復活出来るからか手前の身を省みてねえのがつまらんが」
 片割れを呼び出す方なら必死に抵抗してきたんだろうがよ、等と嘯きながら分身は本体の公明ならば決してする事のない様な邪悪な笑みを浮かべながら眼下の敵、しなもんを見てそう評する。
「其れじゃあ私が後ろから。
 そっちは「積極的に前に出て敵の注意を一手に引き受ける、だろ?」判ってるなら良いわ」
 自分の言葉を遮り言葉を返した分身に苦笑いを浮かべながら公明は其のままビルから分身と共に飛び降りる。
『っ!おまえらが猟兵か!!』
「おう、手前を灼滅させて貰いに来たぜ?」
 そして、突然現れた公明達に動揺するしなもんに対し先ず動いたのは分身であった。
 邪悪な笑みを浮かべながら彼女は妖刀を手にしなもんへと斬りかかっていく。
 此れにしなもんは暴走ナイトメアを呼び出し足を止めようとするが……。
「は、此の程度なら足止めにもならねえわな」
『……っ!猟兵とは言え人ならナイトメアに触れればトラウマに囚われる筈なのに……!
 なら数ならどう!私がやられた様に個人は数に叶う訳がない!』
 此れを分身は足を止める事なく軽々と切り伏せしなもんへと向かっていく。
 其れに対ししなもんは分身が足を止めずに進んでくる事に僅かに動揺するもどうにか立て直し学生服姿の何か、彼女にとっての悪夢の姿を取ったナイトメアビーストの群れを呼び出して対応しようとする。
 だが、其れに対しても……。
「悪いけど邪魔はさせないわよ?
 目の前で動き回ったら放置は出来ないでしょ」
 公明が展開した一対の巨大な腕型の兵器がナイトメアビースト達に襲い掛かり、右手の雲長が殴り飛ばし、左手の翼徳が指に仕込んだ銃器によって蹂躙し屠っていく。
「今回は私達が一番槍。
 となると初手で倒すのは難しい。
 ならば、そう言う時は次に続く人達の為、相手の動きを封じる事が重要」
 そして、ナイトメアビーストを蹴散らし、更に改めて呼び出された暴走ナイトメアを押さえ付けながらも公明は冷静に状況を分析。
「故に狙うべきは「首よりも四肢、だろ!!」ですね」
『……っ!避けれな……っ!』
 公明の言葉を遮ると同時に分身は公明が切り開いた道を駆け抜けてしなもんに肉薄。
 其のまま妖刀を振るい、しなもんの腕を断ち斬ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大倉・新月
どんなに離れても、偶然同じぐらいの時間に死んでしまえば意味はないのに
過去のトラウマから、遠く離れれば――と思ってしまっているのね
私は、満月ちゃんと死ぬときも一緒なら幸せだから、共感はできない

悪夢の群れそのものは、私が制圧射撃で対応するわ
撃ち漏らしは誘導弾で確実に仕留める
満月ちゃんが動ける道筋を作るの

満月ちゃんは、召喚される暴走ナイトメアに当たってくれる?
ごめんね、辛い思いをさせてしまうけれど――
受け止めたからには、ナイトメアビースト・ランページをしなもんにお返しよ
トラウマで動きが止まったところに、満月ちゃんと一緒に一撃入れましょ



〇共にあり続ける者と離れた者。
「……どんなに離れていても偶然同じくらいの時間に死んでしまえば意味はないのに。
 過去のトラウマから遠く離れれば―――と思ってしまってるのね」
 そうしなもんの心理的な状態を分析しながらスカルロードを伴った女性、大倉・新月(トータルエクリプス・f35688)は静かに負傷したしなもんを見据えていた。
「尤も私は満月ちゃんと死ぬ時も一緒なら幸せだから、共感はできないけど」
 だから、遠慮なく排除させて貰うね?
 そう言って新月は最愛の姉が変じたスカルロード、彼女曰くの満月ちゃんを伴って戦いの場へと向かっていく。
『……っ!猟兵か……やっぱり、お前達も以前の様にアタシ達をなぶり殺しにするのね!』
「まあ、こっちの邪魔をするなら当然じゃないかしら」
 そして、自身を視認し警戒の声を上げるしなもんに対しても新月は冷然と言葉を返し戦闘の構えをとる。
『……っ!なら、お前達を逆に嬲り殺しにしてやる!嘗てのアタシ達の様に!』
 そんな彼女に対ししなもんは嘗ての彼女の悪夢を思わせる学生服姿のナイトメアビーストたちを差し向ける。
 だが……。
「其れじゃあ満月ちゃん。
 此れは私が対応するわ」
『……っ!抜く動きが全然見えなかった……?!其れに何でこうも的確に撃ち抜けるの……っ?!』
「そりゃあ、トラウマの所為か動きも再現してるようだけど全然当時の学園の皆に比べて鈍いんだもの。
 予想も簡単じゃないかしら」
 しなもんが展開しようとする銀誓館の学生の姿を模したナイトメアビースト達の動きを新月は的確に予測。
 抜き放った自動拳銃で散らしていく。
『……っ!そうか、貴様は……ッ!』
「まあ第一次の頃には卒業してたけど、一応元はあそこの生徒よ」
『……銀誓館っ!お前は、お前達は……っ!』
 そして、新月の所属に気付いたしなもんは激昂。
 ナイトメアビースト達を新月へと差し向けてくる。
 其の数は膨大な物なれど新月は其れ等に冷静に対処。
 自動小銃による制圧射撃で多くのナイトメアビーストを打ち倒し、其の弾丸から逃げ延びた者も……。
『……っ!』
「逃す訳ないでしょう?」
 彼女の指に輝く指輪から放たれた光線によって的確に打ち倒されていくのであった。
 そして、しなもんが新月の方に意識を向け、新月が気付かれぬ様に道を切り開き……。
「―――――!」
『なっ!ナイトメア、来なさい!』
 其の道を駆け抜けて満月が其の大鎌を以ってしなもんへと斬りかかる。
 此れにしなもんは暴走ナイトメアを呼び出して対処しようとするが、其れは新月の狙い通り。
「――――!」
「辛い思いをさせてごめんね満月ちゃん。
 ……ええ、お返ししましょう?
 此方は彼方、彼方は此方。鏡に映して遊びましょ」
『な、何を……っ!ぁぁぁぁぁぁ!?!』
 そして発動したのは彼女が伴うスカルロード、満月で受け止めたユーベルコードをコピーし発動する能力であった。
 そう、触れた者のトラウマを倍増させる、しかも使い手の力量に応じる程に威力が増す其れをトラウマによって最愛の人と離れる事を選んだしなもんが喰らえばどうなるかと言えば……。
『……っ!体が石に……っ!……此れじゃここあちゃんを護れない……!以前の様に死んで、ここあちゃん迄っ!?』
 当然の如く彼女は混乱。
 己のトラウマに囚われ狂乱し動くはずの体も動かす事が出来ず、藻掻くのみ。
 そんな状態の敵を新月が見逃す筈もない。
「さあ満月ちゃん、一緒に」
「――――!」
 故にしなもんは姉妹の攻撃を無防備に喰らう事となったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ムゲン・ワールド
可愛らしいツインズだ。
私が君達を知ったとき、君達は既に故人だった。
不可能だと分かっていても、あなた達のように可愛らしい人達を救ってあげられなかった事に後悔がないと言えば嘘になる。
「念のため、聞いておきますが、2人でこの場を去る、と言うわけにはいかないのですね?」
「残念です。せめて、ナイトメア適合者同士、悪夢のぶつけ合いといきましょうか」
ユーベルコードを発動。
しなもんや取り巻きの攻撃を回避し、防戦一方を演じます。
発動時間が来たら、ナイトメアビースト軍団で敵のナイトメアビーストとしなもんちゃんと複製ここあちゃんをまとめて蹂躙します。
「苦しい思いをしたあなたのトラウマを抉るのは本意ではないですが」



〇悪夢と悪夢のぶつかり合い
『……っ!又来たのね猟兵……!』
「何と可愛らしいツインズだ」
 新たにやってきたムゲン・ワールド(愛に生きたナイトメア適合者・f36307)に対し警戒心も露わに構えるしなもん。
 そんな彼女にムゲンがかけた言葉は余りにも場違いな物だった。
『……は?
 何を言ってるの?』
「私が君達を知ったとき君達は既に個人だった。
 不可能だと分っていても、あなた達の様に可愛らしい人達を救ってあげられなかった事に後悔がないと言えば嘘になる」
 そして困惑するしなもんに対し更にムゲンは言い募る。
 当然の如くしなもんの困惑は更に増していくばかりであった。
「念のため聞いておきますが、2人で此の場を去る、と言う訳にはいかないのですね?」
『は?何を……そんな事出来る訳ないでしょ!
 お前以外の奴等が見逃す訳ないし、ここあと共にいないのがあの子の為だし、何より……お前、銀誓館の元生徒だろ!
 絶対に信用できるか!』
 そして、困惑するしなもんに更にムゲンは言葉を重ねるが、どうにか意識を立て直したしなもんは当然の如く此れを拒否。
 其のまま己の悪夢、銀誓館の生徒の姿をしたナイトメアビースト達を呼び出してムゲンに襲い掛からせようとする。
 此れに対しムゲンは少し悲し気な表情を浮かべつつ冷静に対処。
「残念です。
 せめてナイトメア適合者同士、悪夢のぶつけ合いといきましょうか」
 そう言ってムゲンは嘗て『教会』の暗殺者として育てられていた頃に使っていた仕込み杖を構え、ナイトメアビースト達の攻撃を的確に受け流し、一体ずつ確実に仕留めていく。
『どうやら攻撃を防ぐのは凄い様だけど……ここあが一緒のアタシには叶わないから!
 見ていてここあ!』
 敵は防戦一方ではあるものの攻撃は殆ど当たらず、其れ処か悪夢の群れは一体ずつ確実に処されていく。
 補充は容易では或る物の敵にダメージを与えられない現状に業を煮やしたしなもんがここあを呼び出し、其の支援によって高めた能力を以ってムゲンへと襲い掛かる。
「成程、確かに中々の威力。
 でも、其れは私の狙い通りですよ。
 行け、我がナイトメアビースト達よ!」
『……っ!此れはアタシ達を纏めて倒す為に誘き出したの?!』
 無限の詠唱と共に現れた百を優に超える数の白馬の姿のナイトメアビースト達。
 其れに悪夢の群れ達と共に囲まれたしなもんは己を策に嵌めたムゲンを睨みつける。
「ええ、あなたと悪夢の群れ、双方を同時に倒すには此のユーベルコードだと問題がありましたので。
 さあ、増えに増えて、敵を蹂躙せよ!」
「――――――――――!!」
 ムゲンの合図と共に常人には聞こえぬ嘶きを上げて白馬達はしなもん達へと襲い掛かる。
 其の後ろ足で蹴られた悪夢の群れはない筈のトラウマを感じ其の動きを止め、其処に前足で急所を踏み砕かれ……其の光景は正に蹂躙としか言いようがないものであった。
 そして、其の脅威は当然の如くしなもん、そして其の背後にいるここあに迫り……。
「苦しい想いをしたあなたのトラウマを抉るのは本意ではないですが……」
『……っ!偽善者が……っ!』
 心の底から心苦しく思っていると見て取れるムゲンに憎々し気に睨みつけながらしなもんは白馬の群れからここあを庇いながら蹂躙されていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
おや、これは相性の良い
申し訳ないですが、私はこういう弱点を自ら晒してくれる敵っていうのが大好きなんですよ

傲慢の左腕を解放
蛇腹刃で悪夢獣を蹴散らしましょう。多少攻撃されようが、その度に蛇腹刃の数と長さと増え、私の傷は癒えます
数多の蛇腹刃で蹂躙してあげましょう

その後はしなもん。お前です
呼び出されたここあの複製体に蛇腹刃を8割差し向けながら戦う
常にここあを狙うが倒さない。それを守ろうと動くしなもんに攻撃を当てていく
ほら、大事な相方が危ないですよ?また、目の前で、死んでしまいますよ?
精神攻撃をしつつ、そちらの攻撃の度にこちらの傷は癒え攻撃手段は増える
安心してください。悪夢はまだまだこれからです



〇蹂躙する者
「おや、これは相性の良い。
 申し訳ないですが私はこういう弱点を自ら晒してくれる敵っていうのが大好きなんですよ」
 そう言ってシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海グリードオーシャン・f03214)は傷つき倒れそうになりながらも背後のここあを庇う様に立つしなもんを見て楽し気に嗤う。
『……っ!ここあちゃんには、ここあちゃんには手を出させないんだから!』
「そうですか。
 其れが出来たら良いですね?以前は護れなかったのに出来たなら」
【傲慢の左腕が起動します。以下、略奪が完了するまで海賊の体には触れないでください】
 そして、シノギの笑みを見て警戒心を露わにしなもんは構え、悪夢の群れを凌ぎに差し向ける。
 だが、シノギは其れを一切意に介さず、己の左腕を異形の其れへと変貌させ……。
『――――――?!』
『―――――――――――――――!!』
『そ、そんな……!
 こんなの猟兵と言うよりもアタシ達の……!』
 様々な宝の呪詛を浴びた故か、まるで邪神の其れの様に左腕から生え蛇の様に蠢く蛇腹刃。
 其れは悪夢の群れを蹂躙し切り刻み存在を喰らっていく。
 最早、シノギの方が余程オブリビオンに見える光景に、感情のない筈の悪夢の群れすら恐怖に慄き、しなもんも畏れに足をすくませていたのだった。
『……っ!畏れるな!
 傷を負った者は味方の盾となり味方を奴の元へ送り出すんだ!』
『―――――!』
「おや、動きが良くなりましたね」
 其れでも恐怖を噛み殺し、しなもんが悪夢の群れに指示を飛ばす。
 そして、其の指示に従い悪夢の群れはシノギの元へと向かい斬りかかるも……。
『―――――!』
『っ!致命傷にはならなかったか。けど、斬れるなら奴を排除できる。だか「おや、少し切られてしまいましたね。では傷を癒すとしましょう」……っ!?』
 シノギは負った傷を気にもせず、再度ユーベルコードを発動。
 そして、其の傷は癒え、左腕は異形さを増し……。
『なっ!さっきでもどうにか一撃を喰らわせたのに……っ!』
「ええ。お見事でしたよ、先程の攻撃は。
 でも私は幾らでも傷を癒せますし、その度に此の蛇腹刃は長さと数を増していきますので」
『……っ!?……未だだ、未だ諦めて溜まるか!
 しなもんちゃんを、しなもんちゃんを生き延びさせるんだ!!』
 其れはしなもんにとって余りにも絶望的な光景であった。
 其れでもなお心が折れなかったのは大切な人を生き延びさせるという決意がある故か。
 幾度となく決死の覚悟でシノギに襲い掛かり、その度にシノギの蛇腹刃は増えていく。
 そして、遂には……。
『―――――?!』
「ふむ、此れで最後ですかね?
 まあ又出てくるなら再び蹂躙し尽くせば良いんですけど」
『……っ!化け物……っ!!』
 蛇腹刃は現れる悪夢の群れを全て駆逐し蹂躙し尽くしたのであった。
 其の光景をしなもんは化け物を観る様な表情で見ており……。
「其れじゃあ後はしなもん、お前です」
『……っ!アタシを狙うと言っておきながら何でここあちゃんの方が多いのさ!!』
「そりゃあまあ、其方の方が狙い易いですし」
 そんなしなもんにシノギは蛇腹刃を差し向ける。
 どちらかと言うとここあの方が多め。
 八割程度を差し向けたが蛇腹刃の数が数。
 二割でもしなもんを蹂躙するのには十分な数。
「其れでも護る為に動けるんだから立派です。
 ほら、大事な相方が危ないですよ?
 此れ位は防がないと」
『お前ぇぇぇぇ!!』
 あくまで護ろうとするしなもんに攻撃を当てる為。
 なのでシノギはここあの複製体を狙いはするもトドメは刺さないで甚振るに留めており、そんなシノギの狙いを理解しながらしなもんは其れでもここあを護る為に己の肉体を盾に必死に戦っていた。
 其れでも完全に攻撃を防ぎきれる訳ではなく……。
「ほら、また目の前で死んでしまいますよ?
 ああいえ、貴方は結局二回とも護ると言ったのに護り切れずに先に倒れたんでしたっけ?」
『……っ!!だからこそ!今度こそアタシは護り切ってみせるんだ!!』
 どうにか何度かシノギの元へ辿り着き拳を振るうも……。
「残念。蛇腹刃が増えるだけでしたね」
 シノギが其の傷を癒す度に蛇腹刃は長さと数を増し、ますますしなもんの傷は増えていく。
「安心してください。悪夢はまだこれからです」
『っ!!』
 そして、どうなったかは……まあ、語る迄もない事だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
お互いを想うからこそ離れなきゃいけない…健気だねぇ、かわいそうだねぇ
でもそういうの、すごく“好き”よ

・悪夢の群れはむしろ捕縛して敵に叩き付けたり、盾として利用する事で妨害を躱す
・ネガティブな感情も“好き”と認識してしまう壊れた精神が、悪夢やトラウマ呪詛への耐性として作用

あはっ、そっくりさんを呼び出しちゃうなんて、本当はよっぽどその子と離れたくないんだね?
…だったら、そっちからあいしてあげる!
あえてここあちゃんの複製体を先に狙う事で、
しなもんちゃんが自分を犠牲にして庇うのを誘う
この贋作の生と死を繋ぐものヤマラーヤ・ヘデラを突き立てても生き返っちゃうのか、試してみようねぇ❤



〇恐怖に侵されようと護る姿は好ましく。
「お互いを想うからこそ離れなきゃいけない……。
 健気だねぇ、かわいそうだねぇ」
 フィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)は傷つきながらも戦うしなもんの姿を見てそう評する。
 其れだけならば只普通の意見を言っただけの事。
「でもそういうの、すごく”好き”よ?」
 だが彼女の発する気配は余りにも不穏な物であったのだ。
『……っ!お前達、あの女を止めて!ここあちゃんは私の後ろから離れないで!?』
 其れこそしなもんが彼女の存在を確認した時点で警戒。
 悪夢の群れをフィランサに差し向け、ここあの複製体を護ろうとする程度には。
 まあ尤も彼女の其れも又無駄な足掻きであったが。
『――――っ!』
「ふふ、こんなに積極的に想ってくれるなんて、とっても嬉しいわ♪
 もっともっと貴方達の想いを頂戴?」
 己へ刃をぶつけてくる悪夢の群れに対してもフィランサは嬉々として対応。
 本来ならば此れだけの敵意持つ相手に囲まれれば恐怖から多少の動きの鈍りが生じるだろうが、フィランサは自身の感情、怒りや恐れ、敵意すら彼女は”好き”と認識してしまう身。
 故に攻撃に晒されても其の動きが鈍る事等全くなく……。
『?!!』
「ふふ、こんな簡単に捕まるなんて動きがちょっと鈍いわね?
 はい、此の子は貴方にあげるわよ?」
『???!!』
 僅かな動きで攻撃を回避したかと思うと己の纏う意思持つ外套に自分を攻撃してきた敵を捕獲したかと思えば其れを他の敵にぶつけて動きを阻害したかと思えば……。
『っ!!』
「あらあら、ちょっと動きが解り易すぎじゃないかしら?
 其れじゃあ簡単に避けられて……こんな風に盾にされちゃうわよ?」
『―――――?!』
 敵の攻撃を軽々と回避、足払いをかけ転倒させたかと思うと其のまま背後から迫ってきた別の敵の攻撃への盾に活用。
『……っ!
 何で、何で動きが全く鈍らないの?!』
 悪夢の群れは確かに一体一体は弱いが其れでもナイトメアビースト。
 本来ならば多少なりとてトラウマを刺激されるなり悪夢を見るなりして動きが鈍る事も普通にあるのだが……。
「ふふふ、凄いわ。
 貴方達と戦ってると大好きな気持ちが溢れて零れちゃいそう♪」
 彼女はネガティブな感情も”好き”と認識してしまう身。
 故に其れ等の悪夢は彼女の動きを鈍らせる事無く、寧ろ其の動きをより高め、より早めるに過ぎない。
 そして、其の結果、悪夢の群れは全てが駆逐され……。
『……っ!来るな!ここあちゃんには手出しはさせないぞ!!』
「あはっ、そっくりさんを呼び出しちゃうなんて本当はよっぽどその子と離れたくないんだね?
 良いなあ……だったら、そっちから壊(あい)してあげる!」
『……っ!やめ……やめろぉぉぉぉ!!』
 フィランサの異様さに恐れ戦きながらもしなもんは背後のここあを護る為に恐怖を抑え前に出る。
 だが、其れはフィランサをより喜ばせる結果しか齎さず、フィランサはここあへと其の刃を突き立てんと動き……。
『ぐっ……がぁ……っ!』
「そうやって怖いのに護る為に動くの……とっても好ましいわ。
 だから……こんなにも“好き”だから――あなたを永遠にしたいの」
 そして、しなもんに突き立てられた刃が纏ったあらゆる物を殺す情念はしなもんを侵食し其の左胸を貫き抉るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
あなた達の過去に何があったか、わたしは知らない。
ただ、あなたに護りたい人がいるように、わたしにも護りたい人がいるから。
わたしはあなたを殺します。

果実変性・ウィッシーズアリスに変身。
ねこさん達にお願いしてしなもんさんやナイトメアビーストにはお互いやしなもんさんが猟兵やねこさんに見え、更に本物のわたし達の事は視認出来ないように幻覚を掛けましょう。これでこちらに攻撃は来ないはず。

敵が幻覚に惑わされ、同士討ちをしている間にアマービレでねこさんを更に大量召喚。
敵が幻覚を見破る前にねこさん達全員との多重詠唱全力魔法の乱れ撃ちでナイトメアビーストや暴走ナイトメア諸共しなもんさんを素早く殲滅します。



〇そして少女は……。
『未だだ……アタシは……死ぬ……わけには……』
「あなた達の過去に何があったか、わたしは知らない。
 ただ、あなたに護りたい人がいるように、わたしにも護りたい人が居るから」
『猟兵……ッ!』
 最早、受けた傷を癒す余裕すらなく、其れでもなお藻掻いているしなもんの前に最後に現れたのは七那原・望(封印されし果実・f04836)であった。
「だから、わたしはあなたを殺します。
 わたしは望む……ウィッシーズアリス!」
 そして、宣言と共に望の姿は不思議の国のアリスの様な服装に変化。
 更に現れた紫のチェシャ猫と白、黒、茶の三匹の猫達。
『アタシは死なない、死んだらここあちゃんが死ぬ可能性が高まるんだから!』
『―――――!!』
 そして、しなもんは悪夢の群れを率い望と彼女が従える猫達を襲わせ、自身も暴走ナイトメア達と共に戦いに身を投じるが……。
『何だ?!此の猫、突然アタシの悪夢がいなくなったと思ったら其の儘数が増えていく……!』
『――――――?!!』
『其れに暴走ナイトメアを呼び出したはずなのに猫に……しかもアタシに襲い掛かってくる……?!』
「しっかりと幻覚は効いてる様ですね。皆、お疲れ様です」
 しなもんも悪夢の群れも暴走ナイトメアも、皆が皆猫達の幻覚によって互いが互いに望や猫達の姿に見える様になり、逆に望も猫達も視認できない様にされたのであった。
 故にナイトメアビーストと暴走ナイトメアは同士討ちを行い始め、知性は其れなりにあるしなもんは困惑しつつも猫が幻に惑わされた味方の可能性も鑑みて反撃できずにいる。
 此れだけでもかなりの消耗を強いる事が出来る状況。
 だが、望はしなもんを倒しにきたのである。
「皆、来てください」
 望が白い先に鈴のついたタクトを振るったと思えば現れたのは現れたのは大量の魔法猫達。
 そんな召喚をナイトメアビーストや暴走ナイトメア達が幻に惑わされ同士討ちを行い、反撃できずにしなもんが消耗している間にも何度も何度も繰り返していく。
 そして、猫の数が悪夢の群れの何倍にもなろうとしていた其の頃……。
『……っ!こうなったら目に頼らずに耳で……っ!』
「遅いですよ。
 そもそも、そんな直ぐに耳だけでの行動に対応できるとも思えませんが。
 皆、やっちゃいましょう」
 漸く幻覚への対処法を思いついたしなもんに対し望は無慈悲にそう宣告する。
 そして放たれるのは望と猫達、皆の力を結集し、何度も何度も放たれる強大な魔力の奔流。
 其の頃には攻撃に集中する為しなもん達にかけられた幻覚も解除されるが……。
『……何よ、これ……』
 其の余りの光景にしなもんは絶望する。
 最早避ける事すら不可能な程の魔力の奔流が自分に向かってくる其の光景に。
『……アタシは……アタシはここあちゃんを……!』
「最初に言いましたがわたしも護りたい人がいます。
 そう、護るものがあるのはあなただけじゃない」
 だから、こっちも負ける訳にはいかないんです。
 そう、しなもんの最後の叫びに返し望は彼女が消えた所を一瞥するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月07日


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#シルバーレイン
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#魔槌・しなもん


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト