第二次聖杯戦争⑥〜脳回廊
●漿液階段
世界で最も忌まわしき『もの』を諸君はご存じだろうか。それは恐怖でも悲哀でも、マイナス感情を齎すものでもなく、目と鼻の先で戯れている生温さで在った。九大厄災だったもの曰く――器そのもの、宇宙にぼんわりと落とされた、生命と謂われる二文字。嗚呼、不確定な要素など要らないではないか。過去と死こそが絶対的な、確定したものであるが故に美しい――ぶわりと実体化したのは艱難辛苦のビジョン、果たして謳われるのは地獄なのか楽園なのか。人面の虎が踏んづけたのは尾っぽではなく膨らんだ脳髄……。
びちゃあ、びちゃあ、と広がった、脳味噌だった巨大が屋上、だらりと
階段を濡らしていく。ひどい悪臭と滑り易い状況がぬらりと素早く出来上がった。建物内部の人々は、嗚々、可哀想に。永遠とも思える漿液階段を上らなければ脱出不可能なのだ。何れ気が狂った者から足を掬われ真っ逆さまに拉げる運命だろう。
嗚呼、生命。汚らしい生命、真なる王、オブリビオンの膝元で。
潔く死を受け入れよ!
●グリモアベース
「貴様等――凄まじい早さでの予知回収に感謝する。銀色の雨の世界で戦争をしよう。まず最初に俺が『視た』のはなんの変哲もない『高層ビル』であった。しかし中を覗き込めば愉快哉、階段が永遠に続き脳漿塗れになっていた。如何やら艱難と称される輩の『苦難と苦痛のビジョン』が実体化した様子。一般人が閉じ込められ、最悪、発狂の後に落下死が待っていると謂うワケだ。電撃的に彼等を回収し最上階まで向かわねばならない」
グリモア猟兵、ロバート・ブレイズは脳味噌の形をしたケーキに齧りついた。あふれるクリームが漿液だと謂うのならばひどく悪趣味か。
「勿論だが一階からの脱出は不可能だ。何よりも一般人を『全員』回収しなければならない。何、貴様等の脳味噌ならば漿液程度に乱されないだろうよ。さて、往き給え」
グリモアが輝いて。
にゃあら
にゃあらです。
戦争始まりました。
宜しくお願い致します。
プレイングボーナス:苦難の迷宮をできる限り素早く探索する。
艱難の『苦難と苦痛のビジョン』が実体化しています。
外見はよくある高層ビルですが中には『漿液に塗れた無限に続くような階段』しかありません。
其処に多数の一般人が閉じ込められているようです。
即座に精神崩壊には至りませんが、徐々に正気を失い最後には落下してしまうでしょう。
一般人が息絶えると『聖杯剣揺籠の君』の生贄になってしまいます。
素早く探索、一般人の救出を行い屋上に辿り着きましょう。
足元が滑り易いのでご注意ください。
第1章 冒険
『……今何階まで上ったっけ?』
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POW : 正面突破! 敵にも階段にも正々堂々立ち向かう!
SPD : なるべく戦闘は避けて、階段もペース配分して上る。
WIZ : どこかにエレベーターとかあるんじゃないですかね。
👑7
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ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
あちらこちらで頭を抱えたりうずくまったりしていますねー!
新年早々ツイてないですね!でもこれより最悪はないでしょうから
これから一年良い事ばかりですよ!
(UC【露悪!虚慈憐愛揺籃】で一般人を回収しながら{ダーティウイング}で『空中浮遊』し『衝撃波』を推進力に昇っていく)
私にとって苦痛や苦難など日常茶飯事!
それら全てはデビルキングワールドで最強最悪の存在に至るための糧なのですから!
聖杯を満たすのは白濁に在らず、泥濘とした非物質に違いない。終焉を避けるべく割り込んだ悪態は、愈々、ひらがなの力を称えるのだろうか。
まったく忌まわしい限りではないか。
厭わしい限りではないか。
エレベーターを探して乗り込むなんてフラグ、折ってしまえ。
犬も歩けば棒に当たる、そんな諺を耳にしたのは生まれて数年後だった筈だ。人間様が、生命様が齎したのはひどく面倒臭い言の葉の枷で在り、成程、バベルが脳髄で模られて異たならば崩壊するのも仕方がないか。私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです! 生命様に相応しい反復横跳びじみたご挨拶だ。それで、ぐるりと眼球転がせばわめく人々。新年早々ツイてないですね! 一富士二鷹三茄子がたまらなくなって逃げだした。頭を抱える、蹲る……。
でも大丈夫です。これより最悪はないでしょうから。上を向いて歩けばこれから一年好い事ばかりだ。水溜まりに嵌まっても近くにクリーニング屋が在れば僥倖! ゆるり赤紫の矢印がおどり自慢の翼で宙を往く――滑る事はもうないでしょう。だって、ほら、オーラの中にはたっぷりなメンタルケア。具合は如何ですか? 拉げそうです。
私にとって苦痛や苦難など日常茶飯事! 朝飯の前に突っ込んできた銀行強盗のトラックが如く。全てはデビルキングワールドで最強最悪の存在に至るための糧なのですから!
――でろりと露出した味噌を溶かすなんて勿体ない。
――これは魔界産のお酒です、存分に注いでやりましょう。
成功
🔵🔵🔴
マリューズ・アビスマリア
何ともまあ、悪趣味の極みよね。
こんな処に閉じ込められたとなれば、それは正気ではいられないでしょう。
早いところ助けるとしましょ。
私は常に【空中浮遊】して移動しているから、足元の問題は無いわ。
出来るだけ素早く【空中機動】して、ビル内をできるだけ隅々まで探索していくとするわね。
一般人を見つけたら、念の為に帰りたいか確認の上で還魂の大渦を発動。
其々の家へ転移させるわ。
もし帰りたくないというなら理由を尋ねて対処。要領を得ない答えが返ってくるなら正気を失いかけてると判断、LifeWaterを与えて精神の【浄化】を試みた上でもう一度確認するわね。
地に足がついていない。ひどい時化に遭った船乗りめいた気分。鼻腔を擽り嘔気齎す、只管に腐れた液状の、ナンセンスなお味の問いかけ……。
誰かの悲鳴が聞こえる。猿が落っこちたとでも嗤うのか。
深海――深淵を覗いてしまった人間の末路とでも謂うべきだろうか。だとしても、天高く聳える漿液タワーの沙汰は何処か病的で、筆舌に尽くし難い矛盾を反芻していた。何ともまあ、悪趣味の極みよね。ぼろりとこぼれた呟きも無理のない事だろう。膨らんだ魚の死骸がはじけとび、ガスが蔓延するかのような不快感に触れる――嗚呼、こんな処に閉じ込められたとなれば、如何様な屈強精神でも何れ崩壊して終うだろう。早いところ助けるとしましょ。ふわりと宙を漂う事が出来るのは海月の特権。此処は水中ではない? いやいや、月が宙から睥睨して何がイケないのか……隅から隅まで目をやれたのは、きっと、魂の安寧の為……。
厭だ。誰が帰るものか。俺はここから出たくないんだ。ヤケに拒絶してくる一般人がひとり。他の人々は頷いてくれたけれど、果て、正気を疑うべきだろうか。どうして帰りたくないの? ああ、決まってるさ。こんなにも美味いジュースを俺は初めて飲んだんだ。なあ、頼むよ。あと十分だけで良いからさ……それなら此方のジュースも如何? あ、ああ、ありがたい――黄泉の国の肉片ではないのだ、浄めてしまえば大丈夫だろう。
もう一度訊くわよ。そろそろ帰りましょう、ね。真実は時に残酷なものだ。正体を取り戻した一般人が咽喉に指を突っ込んでいる……在るべき処へ、お還りなさい。嗚々、漿液を濯ぎ、魂を導く
大渦。青々とした髪が乱れ、金色が示す。
――艱難辛苦なんて謂うけれど、これじゃただの地獄じゃないの。
成功
🔵🔵🔴
真梨木・言杷
……三ヶ日くらいは休ませて欲しいな。勘弁してよ……苦難と苦痛のビジョンとやら、この正月疲れと二日酔いのことじゃないだろうね。
こんな日から狂気に酔って転がり落ちる、なんて笑い話にもならないよ。NiNEProxyを展開、マンパワーに勝る迅速性は無い。【クライミング】でビルを登り、【集団戦術】でさっさと終わらせよう。
身代わり義体達に設定する技能は【降霊術】。精神状態の危うい一般人達に『模擬霊障話交感器』でご先祖サマかご家族の言葉でも聞かせて気付けしておく。正月は子孫の為に現世に帰ってくるって言うしね、協力してくれるんじゃないかな。頼むよ、シプラス。
はいはい、お足元にお気をつけて。……転職しようかな。
詩人きどりに見せつけた肝試しスポット、ライトを中てた刹那に広がる人工的なお呪い。廃れるのも時間の問題だ。ただれたアストラルに行き場はなく。
コントロールされるのを待っていた。
茄子と胡瓜が手を取って、ぐるぐる、回転木馬めいた惨状を引き起こしている。跨っているのはきっと幻覚のようなもので、ひんやり、座席部分が鬱陶しいのは果実で在るが故か。二日酔いの儘に視たのは地獄のような沙汰、あまねく
悪夢で、頭蓋を昏々と叩いてくる人面虎の唾液。ああ、三ヶ日くらいは休ませて欲しいな。勘弁してよと言の葉を漏らせばドレッシング付属、随分と真っ赤な濃厚さではないか。苦難と苦痛のビジョンとやら、この正月疲れのことじゃないだろうね。お子様はリンゴ・ジュースでも飲んでいるんだな。なんて、漿液タワーが口腔を開いている……こんな日に狂気に酔って転がり落ちる、笑い話にもならないよ。嗚呼、落語をご存じでない。
蠟燭のぬくもりにムカムカしたんだ、ギトギト脂の揚げ物を九つ。
マンパワーに勝る迅速性は無いだろうよ。
のぼる、莫迦みたいに、のぼる……。
身代わり義体様に降霊術を設定したなら、さあ、崩壊寸前の鏡餅の修復と洒落込むが好い。おう、※※、大丈夫か。ワシの為に酒を用意してくれたんだろう。待ってるからな――正月は子孫の為に帰ってくるって謂うしね。ところでシプラス、何を以て自殺と判断するんだい。洗脳或いは誘導、悉くは他殺に該当します。はいはい、そこのキミ、足元にお気を付けて……転職しようかな。
ぽろぽろと去っていく葉っぱの先端。
――人生ヘビー・モードだ。クソッタレ。
成功
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モリサダ・スペンサー
いやーッ、脳漿タワーとか面白い物もあるんですねぇ。
ビルを切り取って頭の中に入れたら脳味噌の変わりになったりしないかしら。
まぁ、先客が居るのでそんなスペース無いんですけどねー。
UC【竜神飛翔/クロム・クルアハ(偽)】使用
それではクルアハ君、私の
頭を這い回るようにこの
頭も駆け回りなさい。
あっ、一般人を回収するので口は空けといてちょうだいな。飲み込もうなんてしたら内側からお仕置ですぞぉ!
※アレンジ・連携歓迎
忌まわしい三日月と名付けられたのは何時だったのか。
贄と見做された人の群れが段々を埋めている。
――君の力を見せつけてあげなさい。
バベルの塔が完成していた場合、おそらく、人々は太陽に焼かれていただろう。イカレタ知識欲に晒されて、苛まれて、故に悦楽の儘に往くとでも謂おうか。降り注ぐ硫黄の代わりに漿液とはこれまた奇怪なビジョンだが、最早、艱難辛苦は乗り越えるべき壁ですらなくなった。いやーッ、脳漿タワーとか面白い物もあるんですねぇ。喋る骸骨にそもそも正気など在るのか、そんな疑問を抱えつつ戸口をたたく。これ切り取って頭の中に入れたら代わりになったりしないかしら。まぁ、先客が居るのでそんなスペース無いんですけどねー。アッハッハ。本当にボンやりとした景色だ、ところでボン悩を雪ぐ事は出来たのかい?
蜿蜒と続くかのような螺旋に蛇を解き放った際、如何様なループが始まるのだろうか。それではクルアハ君、私の
頭を這い廻るようにこの
頭も駆け廻りなさい。ぐばりと開かれた顎、もしくは門。あ、呑み込もうなんてしたら内側からお仕置きですぞぉ! そんな事はわかっていると辟易、蜷局が涌き立つ……。
ようやく全ての人間を回収出来ただろうか。あとは飛翔し『出口のない』此処から脱するのみ。眼窩か耳朶はないのでしょうか? そんな事を口にすればころりと眼球、ぼっかりと光が漏れた――ロンドン橋を落とすにしては大掛かりだ。
それじゃあお先に失礼、頭でっかちと謂うんだねぇ。
バチバチと漿液がとけていく、小惑星にでも捧げてやれ。
成功
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