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決戦、滅詩のユリと幽銃のシズク~哀しき宿命に救済を

#カクリヨファンタズム #UDCアース #戦後 #滅詩のユリと幽銃のシズク


●刻限
「1年4か月……これだけ時間をかけても、獲得できなかったか……!」
「シズクお姉様、わたくしの中の『偽物カクリヨファンタズム』はそろそろ爆発し、本物の世界を飲み込もうとしています。さようなら、次の蘇生時にも、また仲良くしてくださいね……」
「くそっ、せっかくユリが沢山本を読んで賢くなったのに、また最初からやり直しなのか……ぐあっ、オレの中の『偽物UDCアース』も、爆発しようとしている……『生と死を繋ぐものヤマラージャ・アイビー』は閻魔王から大祓骸魂の手に渡り、猟兵に倒された。オレ達がそれを回収できれば、偽物の世界を殺し、爆死と蘇生を繰り返す、この病を断ち切れたのに……!」
「わたくし達は悪魔によって『世界を壊す爆弾』に改造されましたが、悪魔達は果たして、わたくし達がオブリビオンとなり、死と蘇生の輪廻で永遠に世界を壊し続ける事を承知していたのでしょうか。仮に悪魔達がサイキックハーツに到達したとしても、彼らの世界さえ破壊する可能性が有り得るというのに……」

●決戦
「そういう……こと、だったんだ」
 水島可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)は一つ嘆息した。
「そもそも滅詩のユリと幽銃のシズクの侵略目的は『閻魔王の獲得』と言っていた……でも、本当に欲しかったのは、閻魔王じゃない。それが持っている、いや、持っていた『生と死を繋ぐものヤマラージャ・アイビー』……大祓骸魂の持っていたあれだったんだ」
 呟く彼女に、説明会に来ていた猟兵たちがざわめきだす。あの時大祓骸魂の持っていた武器がこのような形で出てくるとは。
「ユリとシズクは……フォーミュラになる前から、『自身の体内に「偽物の世界」が発生する』という奇病に冒されてた。これで病弱になるだけならまだしも、この病は発作を持ち――それが起きると、体内で膨れ上がった『世界』に圧し潰されて彼女たちの肉体、概念は爆破、破壊され、『偽物の世界』は解放され、元の世界を潰す。そしてオブリビオンの理か、彼女たちは再び骸の海から、同じ病を抱えた状態で蘇る……いわば、何度も使える世界破壊時限爆弾になってたんだ」
 ではそれが、もしカクリヨファンタズムで起きれば。
「もちろん、カクリヨファンタズムは消滅する」
 毎日のようにカタストロフが起きるカクリヨファンタズム。しかし、時にシャレにならないものが起きる。これも間違いなくその1つだ。
「そして、今まさに、爆発しかけの彼女たちをギリギリのタイミングで予知できた。みんなに緊急招集かけたのはこのためだ」
 ならもはや、やることは一つだろう。
「『生と死を繋ぐものヤマラージャ・アイビー』は最早ない。なら、彼女たちを倒し、彼女たちを救う」

 転送後はいきなり彼女たちの目の前に現れるが、状況が少し変だ。
「恐らく姉の方――シズクが偽物の小さなUDCアースを解放したのか、大量のUDC怪物が溢れ出している。まずみんなにこれを倒してもらいたいんだ。幸い、妹の方はまだ爆発まで少し余裕があるみたいだから、一度無視して大丈夫」
 これらを片付けたら、根源を断たないといけない。そのためには偽物の小さなUDCアースに飛び込む必要がある。
「ただ相手は『偽物の世界』。何が起きるか、全く予想がつかない……注意してほしい」
 根源を断って脱出後はフォーミュラたる2人と決戦をして状況終了となる。
「時間をあまりかけすぎると妹の方も爆発して状況がさらに変わっちゃうだろうからね。
 素早く倒して救済してほしい」

 ゲートを開きながら可奈はふと呟く。
「……いくらオブリビオンとはいえ、こんな運命、あまりにも同情してしまう」
 彼女たちを治すことはできなかったのか。なら大祓骸魂は倒すべきではなかったのか?
「……いや、私達はこの未来を選んだ。なら、苦しいけど行くしかない」
 頼んだよ、と言う可奈の眼には涙が浮かんでいた。


「あ……あぁぁあああっっ、あああああ!!」
「シズクお姉様! ううっ……」
 2人の病の発作は今にもカクリヨファンタズムを飲み込まんとしており、シズクの胸に浮かんだ一つの本らしきものからは大量の女神らしき怪物が出てくる。
『我ラヲ喰ライテ――』
 次々に発生してはユリとシズクに魔力を与えながら散っていく。そしてまた一部は他へと飛び立ちカクリヨファンタズムを塗り替えていく。
「やめろ――やめろやめろやめろ! オレに魔力を与えることが何を意味するか――」
 そこまで言いながらわかった。わかってしまった。
 彼女らはUDC怪物。『偽物の世界』の中の存在。
 ならむしろ、魔力を与え、爆破を、流出を加速させていくことが最善手なのだろう、と!
(ユリ……! くそっ、この際猟兵でも閻魔王でも大祓骸魂でもなんでもいい! オレ達を、どうか――)

 ――救ってくれ。


結衣謙太郎
 その苦しみに、救済を。
 結衣(最終決戦モード)です。
 カクリヨファンタズムを、ひいては数多の世界を真に救う時!
 以下詳細。

●メイン目標
 『滅詩のユリと幽銃のシズク』を討滅せよ!

●章構成
 1章のロケーションはカクリヨファンタズム、ユリとシズクの目の前です。
 ただ今はユリとシズクにかまけている暇はありません。
 シズクの中から放出されているUDC怪物を対処していくことがこの章の目的です。
 ユリがフリーですがシズクの容態のせいで戦闘どころじゃないので襲っては来ません。
 まずはこれを蹴散らさないとカクリヨファンタズムは怪物の狂気に満たされて崩壊してしまうでしょう。

 2章はシズクの中の『偽物の世界』に飛び込み1章の元凶を断ちます。
 その他は詳細不明です。断章にて説明します。

 3章は滅詩のユリと幽銃のシズクとの決戦です。
 ロケーションは恐らく1章と同じです。
 所謂先制攻撃は使いませんが、『触れた者を消滅させる魔法弾幕』と『幽銃による膨大な魔力を込めた射撃』の連携は脅威です。お気を付けを。

●重要!
 滅詩のユリと幽銃のシズクを『20回』倒せば、完全に滅ぼすことができます。

●備考
 第1章プレイングはオープニング公開と同時に受付開始します。
 ただし全採用できない可能性はあります。
 オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。

 また、このシナリオは猟書家最終決戦依頼です。
 判定がいつもより辛くなります。ご注意ください。

 それでは最終決戦、皆さんのプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『聖隷母アマリリス』

POW   :    命ニ代エテモ守リヌク
【我が子を死守すべく共に戦う仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[我が子を死守すべく共に戦う仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    我ラ慈愛ノ化身ナリ
【自身の命を犠牲にした自爆攻撃】によって【紅い魔力の波動】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
WIZ   :    母ヲ喰ライテ巣立ツノデス
自身と仲間達の【邪神の落とし子】が合体する。[邪神の落とし子]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
👑11
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フレスベルク・メリアグレース
待っていなさい、ユリにシズク……
わたくしが、助けてあげましょう

藍色の懐刀『生と死から解き放つものヤマラージャ・ローズマリー』を振るいながら機械化のUCを発動
邪神の落とし子を機械化して無力化及び鹵獲しながら敵のUCによる強化を無効化し、アマリリスに懐刀で切りかかっていきます
直接的な攻撃は未来属性ホワイトディアブロの力を帰天で再現し、未来予測で迎撃し無効化
そして反撃として急所に懐刀を突き刺し、一体ずつ確実に葬り去っていきます

蘇生と爆殺の螺旋輪廻に囚われし姉妹達よ
その願い、空へと届けましょう


アリス・セカンドカラー
お任せプレ汝が為したいように為すがよい。

「生と死を繋ぐもの」ヤマラージャ・アイビーならここにあるわよ❤
OKOK、ユリちゃんとシズクちゃんをきっちり救いましょ。
私達の知覚を離れた客観的真理はなにもなく、故に、あらゆることは真実であり可能である。そして、人間が想像しうることは必ず実現可能である。
そして、サクラミの影朧輪廻転生システムをなんやかんやした召喚術生命再演禁呪ユーベルコードも開発済み。
さて、では奇病偽世界の切除及びオブリビオン因子の摘出医術手術を始めましょう。
たっぷりとしてあげるわ、アマリリス。模倣ミミックであろうとこのは変わらない



『ああっ、うぁぁっ……!』
『シズクお姉様……ううっ……』
 猟兵達の目の前で苦しむユリとシズク。シズクの方からは今もなおUDC怪物が次々と吐き出されては加速しようとシズクに魔力が送られる。ユリの方はまだ余裕がありそうながらも、そんなシズクを見て心配せずにはいられず戦っている場合ではない。
 そんな2名の前に、こちらも2名の猟兵達が現れる。しかも奇しくも。
生と死から解き放つものヤマラージャ・ローズマリー、ここに!」
『生と死を繋ぐもの』ヤマラージャ・アイビーもあるわよ❤」
 フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)とアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師ケイオト艶魔王少女・f05202)が持ち込んだ武器は、いずれも模倣ながらもユリとシズクが求めたものと似た名を持つ懐刀だった。
『邪魔ヲスルノヲヤメナサイ』
 猟兵達に気づいたアマリリスが落とし子たちを2人に向かわせる、だがその瞬間不思議なことがおこった。
「刮目せよ。時の滅びを越え、今世界は蒼穹へと至る。其は機械にして時刻を掌握する者。我はかの者を従え、閉ざされし空を切り拓く」
 フレスベルクの詠唱が響けば、落とし子たちが次々と機械化していき無力化していく。その隙を狙い2人はアマリリスたちに駆け出して行った。
『母ヲ舐メナイデ貰イタイモノネ』
 アマリリスたちも攻撃を仕掛けてくるが、フレスベルクはホワイトディアブロの未来属性の力を再現した未来予測で迎撃、アリスは『生と死を繋ぐもの』ヤマラージャ・アイビー――実は結界術を武器改造で形成して模倣した模造品ミミック――を軽く1000本以上飛ばせば撃ち落していく。撃ち落して尚息のあるアマリリスたちにフレスベルクが生と死から解き放つものヤマラージャ・ローズマリーを急所に刺して一体ずつ確実に葬っていった。範囲攻撃とそこから逃れた存在の各個撃破という実にいいコンビネーションである。
「蘇生と爆殺の螺旋輪廻に囚われし姉妹達よ。その願い、空へと届けましょう」
「あら、空へ届けるだけでいいのかしら」
「といいますと?」
 フレスベルクが思わずアリスの方を見ればアリスは悪戯そうに口に指を当てる。
「私達の知覚を離れた客観的真理はなにもなく、故に、あらゆることは真実であり可能である。そして、人間が想像しうることは必ず実現可能である。
 ――そして、サクラミの影朧輪廻転生システムをなんやかんやした召喚術生命再演禁呪ユーベルコードも開発済み」
「……まさか!」
 つまり。猟兵達の想像に限界などなく。そこに奇跡の力、ユーベルコードが加わり、それにサクラミラージュの影朧の輪廻転生システムをミックスアップ(やり方は極秘)すれば。或いは、『ユリとシズクを転生させられるかもしれない』ということ……! 末恐ろしい、神への、理への冒涜ともいえるそれだが、不思議とユーベルコードやアリスならできそうと思えてしまうのが怖い。
「さて、では奇病偽世界の切除及びオブリビオン因子の摘出医術手術を始めましょう」
 アマリリスたちの第2波にアリスは悪戯に微笑み、フレスベルクは睨みつけた。
「たっぷりとしてあげるわ、アマリリス。模倣ミミックであろうとこのは変わらない」
「ええ、可能性を生み出せそうかもしれないのなら……その苦しみの輪廻も打ち砕いてみせましょう!」
 終焉を終焉させる者がいるように。絶望の輪廻を終わらせる者もいていいはずだ。
 それをする者は猟兵となりうるのか、あるいは。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
ええ、ええ、ええ、ええ!
呼ばれれば応える!
それが藍ドルなのでっしてー!

やや、お嬢さんたちに歌を届けようにもお触りなファンの方々がいらっしゃるようでっしてー!
ではでは先にお歌をプレゼントなのでっすよー!
共に戦う仲間がいらっしゃるほど、意思を統一するほど強くなるということはでっすねー。
戦う意思を失わせてしまえば強化もできず、戦意の有無で意思もバラバラになってしまうのではー?
歌うのでっす!
戦いを忘れる歌を!
母も子も邪神さえも聞き入る歌を!
ええ、ええ、ええ、ええ、願わくば。
今だけはユリのお嬢さんもシズクのお嬢さんも。
痛みも恐怖も忘れて聞き入ってくださいますように!



 第2波の襲来に構える猟兵達。苦しむシズクの耳に、ふと大きな声が入る。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 と、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の声が。
「ええ、ええ、ええ、ええ! 呼ばれれば応える! それが藍ドルなのでっしてー!」
『呼んだ覚えはな……っっ……』
 否定しようにも苦しすぎて最後まで言い切れないシズク。その周囲を飛び回るアマリリスたちを見れば藍ちゃんくんはギザリと微笑む。
「やや、お嬢さんたちに歌を届けようにもお触りなファンの方々がいらっしゃるようでっしてー!
 ではでは先にお歌をプレゼントなのでっすよー!」

 もちろんその歌はユーベルコード。
 共に青い鳥が羽ばたく、爽快な歌だ。そう、まるで『戦意喪失を促すような』。青い鳥の翼に包まれたアマリリスたちは動きを止めて聞き入ってしまう。巻き込まれたユリもつい藍ちゃんくんに注目してしまっていた。
 ……アマリリスたちのコードの1つは『我が子を死守すべく共に戦う仲間が自身の元へ多く集まるほど』というもの。そう、みんなまとまって意思を統一することで強くなるならば。その戦意ごとまとめてロストさせてしまえばいい。
「歌うのでっす!
 戦いを忘れる歌を!
 母も子も邪神さえも聞き入る歌を!
 ええ、ええ、ええ、ええ、願わくば。今だけはユリのお嬢さんもシズクのお嬢さんも。痛みも恐怖も忘れて聞き入ってくださいますように!」
 間奏で言い放った藍ちゃんくんの力強い言葉がまさにその意志を示していた。
 この場にいる誰も彼もが聞き入ってしまう歌に、猟兵達もアマリリスたちも、果てはユリとシズクも。つい聞き入ってしまっていた。
「……いい……こういうのをもっと聞けたらよかったですね……」
 ユリが漏らしたその言葉は己も長く持たないことを示すものだろうか。それとも……
『ドウシタノデス、我ラノ存在意義ヲ忘レタワケデハアルマイ』
 シズクから追加で出てきたアマリリスたちの第3波によってたたき起こされ、平和が長続きしなかったことを示すものだろうか。
 ……きっと心では何もかも忘れて聞き入ってしまいたいはず。そう藍ちゃんくんは信じた。信じたかった・・・・・・。運命とはかくも残酷なものだというのか。或いは、アリス達の言うように――

成功 🔵​🔵​🔴​

空亡・劔
…あたしはどんな時でもこう言わせてもらうわ

この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変カタストロフ!生意気にも程があるわ!

とはいえまだ話はできそうにもなさそうね!

弾幕勝負には当然道中ステージもある!ならまずは蹴散らすのみよ!

【戦闘知識】で敵集団の動きと陣形と突破口を把握よ!

【天候操作】で猛吹雪!

【属性攻撃】で武器に氷属性付与して強化!

時刻み発動!

近くの敵は二刀で切り伏せて
遠くの敵は氷の【弾幕】を叩き込みながら蹴散らすわ!

自爆なんぞさせないわよ!凍結させて自爆妨害させてやるわ!

敵の攻撃は【念動力・結界術】で念動結界展開!

時空を切り裂く斬撃で須らく切り捨てる!



 なおもシズクから続々と湧き出てくるアマリリスたちの集団。それに立ち向かう猟兵がまた一人。
「ユリとシズク……まだ話はできそうにもなさそうね!」
 神をも殺す魔剣を取り出しながら立ち向かうは空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)だ。
「いいわ、弾幕勝負には当然道中ステージもある!ならまずは蹴散らすのみよ!」
 どこか勘違いしている気もするが確かにこのアマリリスたちの話は道中に過ぎない。何せ最終目標はユリとシズクを討滅する事なのだから。
「さぁいくわよ、吹雪の魔術!」
 劔は動き出し早々戦意たっぷりに魔術で猛吹雪を起こしつつそれを利用して自分の魔剣に氷の力を付与。さらにそのまま足を踏み出し吹雪の中をアマリリスたちに向けて飛翔する。
「我が身、我が真体は時を統べし魔剣なり! 今こそその力を解放せん!! 時刻みクロノスブレイド!」
 肉薄、瞬間アマリリスたちが劔の二刀の前に肉塊と化す。
『我ラ、慈愛ノ――』
「自爆なんぞさせないわよ!」
 劔が斬っている間にその遠くで自爆しようとしているアマリリス。さすがに魔剣は届かないと考えたか氷の吹雪を弾幕のように襲い掛からせればアマリリスたちは凍結して自爆寸前で止まってしまう。そこに自爆成功したアマリリスの攻撃がフレンドリーファイア! 凍結アマリリスは無惨に砕け散ってしまった。負傷を回復するコードも、即死してしまえば意味はない。
「なかなかやるじゃない!」
 劔自身はというとこの自爆を念動結界で防いでいた。しかし防戦一方になると回復されて向こうの思う壺、油断せず各個撃破でしっかりとアマリリスたちを殺していく。負傷に留めず一気にしっかりと。大妖怪は小さなオブリビオンを殺すときも手を抜かない。

 ふと、ユリとシズクの脇を通りすがった。2人がちらと劔の方を見る。劔もその視線に気づいたか少しだけ止まり言葉を渡す。
「……あたしはどんな時でもこう言わせてもらうわ。
 この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変カタストロフ! 生意気にも程があるわ!
 とはいえまだ話はできそうにもなさそうね! 首を洗って待っていなさい!」
 あくまで、カタストロフを、否、異変を起こすのは自分だと。自分こそ最強の大妖怪だと。堂々と宣言してのけた。
 そして再び飛び出せばその通り、アマリリスたちを次々に斬り、凍らせていく。
 ――最強だからこそ、魅せるものであり、最強だからこそ、苦戦してはいけない。最強だからこそ、常に余裕を見せ続ける必要がある。
 故に彼女は、こんな雑魚アマリリス如きにやられるわけにはいかないのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルジェン・カーム
機神搭乗
UC常時
つまり鴉型戦闘機形態

(という訳で飛来する黒き戦闘機
この世界が妖怪の世界ですか
「とってもファンタジーな世界だね?」(鴉の立体映像

とはいえ…人の体で世界を内包するってのはきっと辛い事ですから救うとしましょうか
「メルクリウスなら平気だろうけどね?」
ぷっさんは?
「…冥界を治めるってのはしてきたけど世界かー…」

ともあれ今はこの敵を粉砕しましょう!

英霊剣群展開発動
神剣を周囲に展開
【弾幕・切断・念動力】
念動光弾と共に宝剣を乱射して切り刻み破壊し蹂躙しながら

これが戦闘機としての戦い方です!
「…本当は違うけどね!」
超加速しての体当たりで敵陣を全力で粉砕!

この世界の終焉…破壊させて頂きます



 心なしか、アマリリスの量も減ってきた気がする。
 Waveをこなしてきたからなのか、だんだん勢いが弱まっている気がした。
 それを好機と見るや突撃を仕掛ける1機の黒い鴉の戦闘機。
「この世界が妖怪の世界ですか」
「とってもファンタジーな世界だね?」
 中で喋るのはアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)と鴉の立体映像だ。
「とはいえ…人の体で世界を内包するってのはきっと辛い事ですから救うとしましょうか」
「メルクリウスなら平気だろうけどね?」
「ぷっさんは?」
「……冥界を治めるってのはしてきたけど世界かー……」
 この鴉ことぷっさんはこう見えて冥界を治めてきたらしい。鴉1羽に治められる冥界とはいったい。いやかのオーディンの使い魔も鴉だから素質はあるのかもしれない。……実は諸々設定とか事情があり、それをちゃんと把握すれば先のメルクリウス諸共大体わかるのだが、それをここで語るにはどうしても長くなってしまう。
「ま、ともあれ今はこの敵を粉砕しましょう!」
「らじゃ!」
 声掛けと共に戦闘機の周りに神剣が展開されれば、光弾と共に乱射されアマリリスたちを倒していく。はぐれたアマリリスたちはこれで各個撃破されていった。
 ではそうじゃないアマリリスたちは?
「今コソ命ニ代エテモ守リヌクノデス」
 なんと団結してコードの力で強化しあってた! これではいくらこちらのコードが強くても多勢無勢と激烈な強化に苦戦は必至だろう。
「どうする?」
「決まってます」
 まるでこれも最初から打ち合わせしていたかのようにターゲットをその集団に定めると、なんと戦闘機はその集団に突撃! 突撃によりスピードは実に12800km/hを超え、もはや外に出れば髪の毛が空気抵抗で燃えていただろうスピードに。
「この世界の終焉……破壊させて頂きます」
 激突! おーっとアマリリス軍団まとめてふっとばされたー!
 穴ができた軍団を仕留めるのはたやすい、神剣と光弾が吹っ飛ばされたアマリリスをとらえ倒していく。
「これが戦闘機としての戦い方です!」
「……本当は違うけどね!」
 流星のような突撃は敵のスクラムをぶち抜くには効果的だったが、ぷっさんは冷や汗をかいていた。


 アマリリスはほぼ全滅した。これでもう安心だろうと思っていた矢先、2人に異変が。
『うっ……うぅ……!』
『シズクお姉様……!』
 ユリが心配そうな声を出す。シズクの中の『偽物の小さなUDCアース』はアマリリスによる魔力供給もあり、今まさに破裂しようとしていた。
 最早一刻の猶予もないだろう、その時、自分の今言った言葉が思い浮かんだ。
 そうだ、今こそ――
「安心してください。その世界の終焉も……破壊させて頂きます」
「行くの?」
「それしかないでしょう」
 戦闘機がシズクの胸の本へ激突を試みる。果たしてそれは、まるで水面をくぐるようにすり抜け、気づいた時にはもう、UDCアースのような世界――『偽物の小さなUDCアース』の中にいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『救済者アルファ・ニール』

POW   :    兄弟仲良く…
戦闘力のない【操り人形に改悪したクローン聖者の失敗作達】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【自身の勝利を祈る様洗脳した聖者達の加護】によって武器や防具がパワーアップする。
SPD   :    どう救う?
対象への質問と共に、【自分がこれまで力を植え付けた人々の中】から【暴れるしか能のない怪物になり果てた子供達】を召喚する。満足な答えを得るまで、暴れるしか能のない怪物になり果てた子供達は対象を【怪光線や鋭利な牙、巨大化した爪による暴力】で攻撃する。
WIZ   :    憎たらしい…!
【敵対する猟兵のユーベルコードのエネルギー】【を取り込みその強さへの嫉妬と憎悪により】【奪ったユーベルコードの力をコピーする事で】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
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「ようこそ、この世界へ」
 猟兵達を出迎えたのは1人の少女だった。
「はは、もしかして、外の少女を救済したくてここへ来たのかな?
 奇遇だね、私も同じだ。もうすぐだ、もうすぐであの子は『救済』される」
 ならば、あのアマリリスたちを放ったのはこいつの仕業だというのか。そうであれば、恐らく彼女はオブリビオン――UDC怪物なのだろう。
「どうしてそういう事をするのかって? 何、『親』が苦しんでいたら救済をしてあげるのは至極当然のことだろう? ああ、それとも、『神様』の方がいいのかな」
 少女はくすくすと笑いだす。悪意があるのか、善意でやってるのかわからないように。嗚呼、だがどっちにしても猟兵達には都合悪いことだ。そしてシズクは間違いなくこんな形の救済なんて望んでいないだろう。ならば、毅然と立ち向かうしかない。
「それでも止めるというのか……つくづく自分勝手なことだ」
 少女が指をパチンと鳴らすと、アマリリスたちの他様々な種類のUDC怪物たちが押し寄せてくる。
「君たちさえ超えれば『救済』は成される。押し通らせてもらおうかな」
 そう、まるで押し切ろうかとでも言うようにUDC怪物たちの量が非常に多い。到底全滅できる量じゃない。
 全滅が見えないなら将を討つしかない。つまり、この大群に対処しながら少女を狙って戦う必要があるのだ。

※MSより
 この章には特別プレイングボーナスがあります。
『押し寄せる大量の怪物に対処しながら戦う』と特別プレイングボーナスが入ります。
アルジェン・カーム
(人型神機に戻る

成程…救済か…
僕ら終焉破壊者もまた…仮面を…殺す事でしか止める事は出来なかった

…それを救済とは認めたくはありません

唯苦痛から逃れるためにその手段しかなかった結果だったから

出来るか分かりません…それでも…

シズクさん…ユリさん…貴方達の悲劇の終焉エンディング…破壊させて頂きます

「彼女らは自らに湧き出る世界を殺す為の道具を求めてたんだよね?」
ええ…それならぷっさん…貴方の力なら…!
「任せて!」

UC発動(英霊剣群も

【戦闘知識】
まずはこの世界を…
「破壊する!」
周囲の敵群と少女の位置把握
突破口を見出し

【弾幕・念動力・弾幕】
破壊の波動を放ちながら突撃
【二回攻撃・切断】
連続斬撃で切り刻み


フレスベルク・メリアグレース
下衆ですね…
ならば良いでしょう
わたくしなりの答えを出しましょう

SPDで未来貫く白き光に『終焉を破壊する力』を宿し、子供達を『救われない』という『エンディング』を貫き、破壊していく
広域殲滅ならば、サイキ・アンリミテッドレールガンとガイオウガのSSAで薙ぎ払えるのですよ

そう言って終焉破壊の力を宿すレーザーがノインツェーンの武装に付与され、広域殲滅を行使しながら『エンディング』を破壊していく

救済がなんであるなどと禅問答をするなら、子豚様と藁葺の家を作りながら煉瓦造りも慥かめる事の方がよっぽど建設的です



「成程……救済か……僕ら終焉破壊者エンドブレイカーもまた……仮面マスカレイドを……殺す事でしか止める事は出来なかった……それを僕は救済とは認めたくはありません。唯苦痛から逃れるためにその手段しかなかった結果だったから」
「ええ、しかし……本当、下衆ですね……救済がなんであるなどと禅問答をするなら、子豚様と藁葺の家を作りながら煉瓦造りも慥かめる事の方がよっぽど建設的です。ならば良いでしょう、わたくしなりの答えを出しましょう」
 大量のUDC怪物たちを前にカームとフレスベルグが嘆息しながら立ちはだかる。アルファの言う『救済』など間違っている、或いは興味ないとでもいうかのように。
「出来るかわかりません……それでも……シズクさん……ユリさん……彼女達の悲劇の終焉エンディングは……破壊させて頂きます」
「彼女らは自らに湧き出る世界を殺す為の道具を求めてたんだよね?」
「ええ……それならぷっさん……貴方の力なら……!」
「任せて!」
 ついでにぷっさんこと戦闘機――人型キャバリアに戻ったそれもカームに乗られながら立ちはだかる。
「まずはこの世界を……」
「「「破壊する!」」」
『面白い、やってみるといい』
 ハモりとそれに返したアルファの言葉が開戦の号砲となった。怪物と化した子供たちがわらわらと飛び出してくる。
「事象の地平をも貫く白き光よ、悪魔の如く未来を掌握するその力は罪深き刃を内包する事で万象を貫く光へと昇華する事だろう」
 フレスベルグの詠唱と共にサイキの名を持つレールガンとガイオウガの名を持つ魔導銃に光と『力』が宿る。何を隠そうその力は『終焉を破壊する力』、そしてこの光は未来へと放たれる光。殲滅を狙うようにUDC怪物たちに撃たれていけば一瞬何もないように行動するもすぐに倒れて救われていく。それは未来を破壊したが故に、未来たる現在には撃たれたという因果が確定しているから。
 フレスベルグの殲滅力は目を見張るものがある。だがそれにしても。
「敵の数が多すぎです!」
 多勢無勢すぎた。これまでの大群とはわけが違った。
「突破口さえ作れれば、私が行きますが」
「……では、キャバリアを出しましょう。ノインツェーン!」
 声と共にフレスベルグのキャバリアであるノインツェーンが出現。勿論白い光持ちだ。
「撃ちなさい!」
 フレスベルグの合図とともにノインツェーンが太い白い光を撃ちだす。射線上にいたUDC怪物たちが倒れていった。そこをぷっさんとそれに乗ったカームが駆けていく。
「ぷっさん! その力……今こそ示しましょう!」
「がってん!」
 ぷっさんから迸る破壊の波動。万物を分解させる波動はUDC怪物たちをRでGな感じに分解していき、さらに斬撃もして文字通りアルファへの道を切り拓いていく。
『はは、救済と言いながら随分お粗末なものじゃないか』
「お粗末でもなんでもこれが答えなので」
「そんなのを作れるだけの力を持ちながら『救済』しなかったあなたの方がお粗末です」
『ははは、ごもっとも。いやぁ、まいったな』
 アルファに肉薄したぷっさんの斬撃をいとも簡単そうにいなしながらアルファは言ってのけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ汝が為したいように為すがよい。

Q:暴れるしか能のない怪物になり果てた子供達をどう救う?
A:怪物になる前の存在に産み直す

ほら帝竜が再孵化とかやってたじゃない?それを私なりに再現してみたのよ。サクラミの影朧転生システムも私なりの術式で組み込んだからオブリビオンであろうと問題はないわ。
私の多重詠唱禁呪であれば現代過去未来の操作も造作ないしね。高速詠唱早業先制攻撃タイムフォールダウンでの多重詠唱結界術時間質量操作もあるし。生命再演リインカーネーション、幸せな未来人生に幸いあれ♪
アルファは大食いエナジードレインいつものえっちなのうみそおいしいです



「さて、突然だが問題だ」
 おや、アリス、どんな問題だい?
「Q:暴れるしか能のない怪物になり果てた子供達をどう救う?」
 えーっと、そりゃあ、足を撃ったりして止めたうえでなんとかするか、最悪殺すことで救済とするとか……
「残念、固定観念にとらわれすぎよ。もっと猟兵の力を信じたらどうかしら?」
 アッハイ……つまり、正解は?
「ええ、正解は」
 アリスが言い出すや否やアリスに襲い掛かるUDC怪物たち。しかしアリスは滔々と述べる。
「怪物になる前の存在に産み直す」
 その時不思議なことがおこった! なんとアリスが言ってのけた次の瞬間にはUDC怪物たちはみんな元の姿だったろう子供たちに変わっているじゃないか! 一体何が起こったのだろうか。若干時間を戻し、スローで見てみよう。アリスが禁呪を多重に高速詠唱すると目の前に魔方陣が出現、お得意の結界術が起動。現在も過去も未来も造作なく操作してしまうユーベルコードの奇跡の力が発動すれば入り込んだUDC怪物たちは皆『転生』していく! そしてあたかも何もなかったように魔方陣は消えアリスの詠唱はやむ、この間僅かカンマ数秒!
『な……何をしてのけた……』
 これにはアルファも仰天。何せ自分よりはるかに平和な『転生』をやってのけたのだから。救済者の名においてプライド破壊の危機だ。
「あら、死からの再生を疑似体験する儀式を通じて生まれ変わる秘術を使っただけよ?」
 だけ、という言い方がまたたちが悪い。困惑する元UDC怪物たちの間を縫って悠々とアルファに近づく。アルファは先に来ていたであろう猟兵――キャバリアの斬撃をいなしながらも、その顔は何が起きたか理解できない顔だ。
「ほら帝竜が再孵化とかやってたじゃない? それを私なりに再現してみたのよ。サクラミの影朧転生システムも私なりの術式で組み込んだからオブリビオンであろうと問題はないわ。生命再演リインカーネーション、幸せな未来人生に幸いあれ♪」
『馬鹿な……オブリビオンすらも転生させるだと……!?』
「隙あり!」
『っ!』
 心が揺れた隙に斬撃戦の決着がついたようだ。斬撃が決まりアルファは尻餅をつく。立て直そうとしたアルファに襲い掛かる追撃――ではなく、アリスの触手!
「さて、いつものといきましょう。可愛い見た目をしていて堕としちゃいたくなりそうね」
『やめろ! 何をする気だ!』
 触手がアルファを空に持ち上げると斬撃をしていたキャバリアが察したか距離を取る。それをちらと見たアリスは投げキッス。
「何をって……決まってるじゃない。go down the rabbit hole♥」
『あ……あぁぁーーー!!』
 アリス得意のエナジードレインがはじまり、色々アレなことになっているアルファが女の子の声を出す。どういう声かはお察しください。
「えっちなのうみそおいしいです♥ ……ところで」
 何さ。
「この子、こんなに弱い?🔵足りてる?
 ……いや?
「それってつまり」
『な、舐めないでよね! こんなことされても、まだ軍勢はこれだけいるんだから!』
 UDC怪物たちの追加投入だ! アリスと外への出口の間に大量に押しかけ、元UDC怪物たちは逃げ出した!
「まぁ、そうなっちゃうわよねえ。じゃ、向こうは他の皆に任せて、わたしはここで」
 アリスがかなりのゲス顔をする。
「じっくり楽しんじゃいましょうか」
『ひぃ!』
 ……状況こそカオスだがアルファにスリップダメージ(意味深)が入るだけかなり楽になったと言えよう! うん!

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
あややや!
怪物の皆様方が押し寄せてくるのでっす!
藍ちゃんくんのワールドツアーが待ち遠しかったということでっすねー!
それでは皆様、お待ちかね!
真の姿に衣装直しした……藍ちゃんくんでっすよー!

特性スピーカーで遠くまで響く藍ちゃんくんの大きな歌声は押し寄せる端から怪物さん達をファンにしちゃうのでっす!
ダンスに演奏だって忘れないのでっしてー。
詠い続けることでどんどん味方が増えてくのでっす!

やや、どうしましたか、お嬢さん!
嫉妬ですかー?
憎悪ですかー?
つまり、藍ちゃんくんのファンになったということでっすね!
ありがとなのでっす!
ええ、ええ、ええ、ええ!
可愛さ余って憎さ百倍というやつなのでっす!
ですが、ええ。
憧れるのは強さで良いのでっすかー?
力で、良いのでっすかー?
このUCは今なお磨き続けている“藍ちゃんくんの”歌やダンスやファンサービスこそ中核なのでっしてー。
藍ちゃんくんならぬお嬢さんに真価を発揮できまっすかー?
力をコピーしたとしても!
技術も、想いも、可愛らしさも、何より!
あいが足りないのでっす!



「あややや! 怪物の皆様方が押し寄せてくるのでっす! 藍ちゃんくんのワールドツアーが待ち遠しかったということでっすねー!」
 押し寄せてきた怪物たちの大群を見ながら藍ちゃんくんは一人ギザ歯を覗かせる。ワールドツアーは偽りの世界にまで行くというのか。
「それでは皆様、お待ちかね!」
 タンッ、と脚を鳴らしてそれを軸に1回転。すると藍ちゃんくんが星座や天の川をイメージしたような衣装へと早着替え!
「真の姿に衣装直しした……藍ちゃんくんでっすよー!」
 そう、これが藍ちゃんくんの真の姿だった。え? 早着替えみたいな技能もコードもない? そこにパフォーマンス技能があるじゃろ? 早着替えはパフォーマンスだ。めいびー。
 そして衣装直ししたからにはやることはただ一つ。
 歌うことだ。踊ることだ。パフォーマンスすることだ。
 特製スピーカーで遠くまで響くその歌声はUDC怪物たちも、さっき転生した元UDC怪物たちもみんな虜にしてしまう。踊って奏でて歌い続けて。そうしてどんどん味方を増やしていく。猟兵界のアイドル――否、藍ドルの姿がそこにあった。
『くっ、どんな真似をしたか知らないが……!』
 アルファがようやく藍ちゃんくんを捉えれば藍ちゃんくんはそっちに視線を向ける。
「やや、どうしましたか、お嬢さん!
 嫉妬ですかー?
 憎悪ですかー?
 つまり、藍ちゃんくんのファンになったということでっすね! ありがとなのでっす!」
『そんなわけがあるか! 君たちのファンになどなるものか! 私が折角用意した怪物たちをも悉く洗脳してのけるその強さを憎んでいるだけだ!』
「ええ、ええ、ええ、ええ! 可愛さ余って憎さ百倍というやつなのでっす!
 ですが、ええ。憧れるのは強さで良いのでっすかー?
 力で、良いのでっすかー?」
 そう、まるで話が通じないように見えて実はしっかり通じているのが藍ちゃんくん。
「このUCは今なお磨き続けている“藍ちゃんくんの”歌やダンスやファンサービスこそ中核なのでっしてー。藍ちゃんくんならぬお嬢さんに真価を発揮できまっすかー?」
『はっ、何を言ってくれる。そのようなこと、口先だけに過ぎない! 怪物たちよ、私の歌を聞くがいい!』
 アルファがコピーした力を乗せて歌を軽く歌う――

 ……何も起きない。コードで強化された様な感触もない。
「あら、歌ならこっちの声じゃないとね?」
『ひゃっ!?』
 おっとそういえば近くにアリスがいた。またアルファが女の子な声を出してしまう。
「力をコピーしたとしても! 技術も、想いも、可愛らしさも、何より! 『あい』が足りないのでっす!」
『「あい」って、それはどういう……ひゃっ!?』
「今たっぷりじっくり教えてもいいけど?」
『け、結構だ!』
 藍ちゃんくんの力説に困惑すると同時に近くの猟兵アリスに弄られるアルファ。
 その様子を見て、藍ちゃんくんはどこかあやーって思いと共に、ファンの奪い取りに成功したという感触からこの偽りの世界でのライブの成功っぽい雰囲気を感じていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

空亡・劔
ふん!あんたがいわゆる中ボスって奴ね!

そしてあんたが何を言っていようがどうでもいい!
既にやる事は決まっているんだからね!

あんたを倒して取り合えず世界を壊して!

その後彼奴らと弾幕勝負で救う!!それだけよ!!

【戦闘知識】で敵軍と救済者の位置を把握!

【天候操作】の猛吹雪継続!

【属性攻撃】で氷の【弾幕】で周囲の敵を迎撃かつ凍らせて動きを止める!

救う方法?病気の根源たる世界…それが人類の脅威であるならこのあたしがその病気を破壊してやるわ!
何故なら!
あたしこそ最強の大妖怪だからよ!(どやぁ

時刻み発動!

【念動力・結界術】の念動結界で閉じ込めれば!

【二回攻撃】で二刀で結界という空間ごと【切断】してやるわ!!



 藍ちゃんくんによる興奮も冷めやらぬ中、突然戦場に猛吹雪が発生した。
 この吹雪、見覚えがある。とはいえここのUDC怪物たちにとってはもちろん初見なのだが。そう、劔の起こす猛吹雪だ。劔がこの偽物の世界の入口付近に堂々と立って軍団を、アルファを見据えていた。
「来てやったわよ、最強の大妖怪が!」
 その言葉にステージへの乱入を防ぐためかそれとも普通に迎撃するためか――大量のUDC怪物たちが劔の方を向く。しかし大妖怪たる劔はその程度の圧では屈しない。それどころか先手必勝とばかりに放つ猛吹雪に合わせた氷の弾幕。それらが大群に襲い掛かればみるみるうちにそれらは凍っていき動きを止められてしまう。その氷の上に乗りながらアルファの位置を把握すれば踏み込んでアルファに突撃、一閃。
『おおっと』
 だがアルファはその剣をいとも簡単に弾いて見せる。さすがにこのアンブッシュで倒せるほどではない。
「ふん! あんたがいわゆる中ボスって奴ね!」
 劔に言わせればアルファはただの中ボス程度らしい。その評にアルファがやれやれと嘆息する。
『中ボス? これだから何もわかっていない存在は』
「そしてあんたが何を言っていようがどうでもいい! 既にやる事は決まっているんだからね!
 あんたを倒して取り合えず世界を壊して! その後彼奴らと弾幕勝負で救う!!
 それだけよ!!」
 もうアルファなんかアウトオブ眼中とでもいうかのように言ってのける劔。これにはアルファもたじろぐ。
『……へぇ? 随分と舐められたものだね』
 言いながらも実は額に汗が垂れているのはもうかなり弱っているのを隠したい一心からかもしれない。
『そんな適当なやり方でどうやって彼女を救済しようというんだい? そこまでノープランなわけがないだろう?』
 質問と共に怪物になり果てた子供たちが劔を襲う。劔は怪物たちの攻撃を剣でいなしつつもふと目を瞑る。
「救う方法? 病気の根源たる世界……それが人類の脅威であるならこのあたしがその病気を破壊してやるわ!
 ――何故なら!」
 カッと目を見開けばドヤ顔をしてのける劔。自信満々とでもいうかのように。
「あたしこそ最強の大妖怪だからよ! かかったわね――最強の力をとくと見なさい!」
 劔の放った念動結界がアルファと怪物たちを閉じ込める。蜘蛛の巣にかかった獲物を見るかのようなドヤ顔をしながら劔は決め技にかかる。
時刻みクロノスブレイド発動! 我が身、我が真体は時を統べし魔剣なり!」
 劔が剣を構え、飛翔すれば念動結界の外へ、そして――
「今こそその力を解放せん!!」
 空から結界ごと、否――『この偽りの世界ごと』ぶった切った!
 アルファの服が赤い染みに染まり、怪物たちは悉く倒れ、世界は安定感をなくすように蕩けていく。
『……やってくれたね……』
 アルファが劔を睨む。
『どうしてくれるんだ……これでは「救済」ができないじゃないか。それともなんだい? 君たちが「救済」するというのかい?』
「ええ。そうよ」
 力強い肯定。
「あたしこそ最強の大妖怪。できないことなんてないんだから」
 自尊心故か、本当に自信があっての言葉か。アルファに劔は言葉を叩きつける。それを嘲笑するかのように笑う満身創痍のアルファ。
『はっ……そうか。では、見せてもらおうじゃないか、君たちのやり方を。骸の海から、じっくりとね……』
 その言葉と共に、偽物の世界は消滅していく。アルファも、大量のUDC怪物たちもすべて巻き込んで。

「あーあ、もう少し楽しみたかったのに、残念だわ」
 あ、そういえばアリス、アルファに色々やってたね。
「ま、帰りましょ。ここには用はないわ。むしろ、ここからが本番よ・・・・・・・・
 そう、外で待つは猟書家。そして救済すべき対象。もたもたしている暇はない。こんなところで留まりアルファの言葉を反芻している場合じゃない。猟兵たちは一路入った場所から偽物の世界を脱出する――

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『滅詩のユリと幽銃のシズク』

POW   :    滅びの詩
【周囲を消滅させる効果を持つ、魔法の弾幕】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    幽銃(ユウガン)
レベル分の1秒で【指先から膨大な魔力で「幽銃(ユウガン)」】を発射できる。
WIZ   :    記憶の詩
【あなたの過去を写し出す「トラウマ」、】【あなたの記憶を回想させる「歌」、】【膨大な魔力で「過去と同じ背景」】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

『あっ……が、あっ……』
『シズクお姉様!?』
 ガクンと力なく首を垂れるシズク。その胸から、猟兵たちが脱出してきた。その様子にユリが虚ろな目を猟兵に向ける。
『……シズクお姉様を、よくも』
『違う、ユリ。違う』
 ユリを慌てて止めるシズク。
 シズクは感じていた。先ほどまで自分の中にあった限界感がスッキリなくなっていたことを。
『まさか……お前ら』
 シズクが猟兵たちの方を見る。まさか、自分の中の偽物の世界を、壊したのかと、信じられないかのように。
 もしそうなら、ワンチャン――いや。自分の病気が治ってるとは思わない。ならいつ何があっても、ましてや今回のようなことがあってもおかしくない。
 それに――
(ユリ……)
 ユリの方もいつ自分みたいな状況になるかわからない状況だ。その時に、またこういう感じに猟兵が助けてくれるか? ……少なくとも、今のシズクにそうは思えない。

 それはきっと、何も知らないからかもしれない。
 それはきっと、諦めてしまったからかもしれない。
 それはきっと、猟書家と猟兵という相容れないものだからだったかもしれない。

 それでもなお、頼めることがあるとしたら。
『お前ら……邪魔をするな。オレをどうにかしてくれたことは感謝する。だが、それとこれとは話が別だ』
 ユリ、と合図をすればユリがすすっとシズクのもとに寄る。
『お前らを倒して、オレ達はどうにか手にするんだ――生と死を繋ぐものヤマラージャ・アイビーをな』

 すれ違う思い。避けられない決戦。
 果たして『救済』は如何様に為されるのか――
フレスベルク・メリアグレース
良いでしょう、元より貴方達とわたくし達はオブリビオンと猟兵
こうして刃を向け合うが定め
ですが……感傷に浸るのも良いでしょう
例え、憐憫であっても……わたくしは、成すべき事を成しましょう

記憶の詩の先制攻撃を教皇用帰天召喚器で過去属性と未来属性を操作し、破却
そのままUCで『確定された運命』を破却する純粋酸素を周囲に満たし、ユリとシズクの『運命』を操作
わたくしの生と死から解き放つものヤマラージャ・ローズマリーも用いて『爆死という運命から解放された無限の可能性がある状態』に二人を処置していきます

次は、二人とも憂いなく生きる事が出来る様に……
そう言って処置を続けながら祈りを捧げます



「良いでしょう」
 その言葉を武器を向けながら放ったフレスベルグに一部の猟兵達がはっとなる。
「元より貴方達とわたくし達はオブリビオンと猟兵、こうして刃を向け合うが定め」
 それは、何よりも大きすぎる溝。
「ですが……感傷に浸るのも良いでしょう。そしてそれが例え憐憫であっても……わたくしは、成すべき事を成しましょう」
 成すべき事。つまり、生と死から解き放つものヤマラージャ・ローズマリーを用いて――『爆死という運命から解放された無限の可能性がある状態』に二人を処置していくこと。
 そしてそのためには今の状態からは解脱する必要があるとばかりに、刀を抜き、近づく。
『憐憫か……そう思われるとお前らの方が上みたいで嫌だな!』
 このシズク、かなり男みたいな性格をしている。服装とは裏腹に。
『感傷に浸るのはお前の方だ! 囚われて、そこで動けなくなってしまえ!』
 強烈な魔力が、フレスベルグの過去を、記憶を、映し出す――

 が、すぐにそれは消えた。
『はっ……?』
『シズクお姉様、何呆然としているんですか』
『い、いや、だって、あっさりオレ達のあの力を壊したんだぞ?』
「あぁ、それでしたら」
 教皇用帰天召喚器と共に召喚された2体の召喚獣と共にフレスベルグがドヤ顔。
「過去属性と未来属性を操作し、破却させてもらいました」
『うっそだろ過去とか未来とかそんな簡単に使えんのかよ、というかそれカッコイイな……!』
 シズクが目を光らせたのにユリは遠い目だ。このシズク、意外と少年漫画好きである。
「行きますよ」
 フレスベルグが肉薄、シズクがユリを庇おうと前に出る。その分シズクはかなり傷つくが、想定内だ。
『くっ』
 歯を食いしばるシズクにユリが心配そうに声をかける。
『シズクお姉様、前に出すぎです……わたくしはわたくしの身はわたくしで守れますので』
『けどなぁ……ここでやらねぇと、オレ達の運命が!』
「あぁ、それでしたらすでに破却しました。今わたくしの周りに展開した純粋酸素を吸いましたね?」
『それがどうした!』
「それには『物質組成を改竄して確定された運命を破却し、運命から解放された無限の可能性がある状態にする』力があります」
 それはつまり、彼女たちを救えるために体組織を弄るものを入れたという事。なるほど病気に対しては効果的なやり方だ。
「次は、二人とも憂いなく生きる事が出来る様に……」
『……ありがたいがな!』
 祈りがら攻撃処置するフレスベルグに対しシズクはむしろ激昂してしまった! なぜかというと。
『オレ達、いつの間にか肉体改造されたかと思うと怖いんだよ! なんだ、腕が伸びるようになってしまうのか!? それとも、体が石になったりしてしまうのか!?』
 物質組成を改竄。この言葉が結構2人を怖がらせてしまったようだ。異形化してしまうか、スライムみたいになってしまうか――嗚呼、運命から逃れた代償にそうなってしまったら、自分たちはそれを受け入れられるか?
 ……救済を願ったのは、行動したのは、間違いなく自分たちだ。代償があるのも、それは事の大きさを考えれば自然とわかる。だが、いつの間にか肉体を改造したとなれば、そこにどうしても恐怖は生まれてしまうものだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ

魂八保ごにゃーぽ月猫野むにゃーのごきげんよう♪私はアリス、よろしくねユリにシズク。私のことは親しみを込めてアリス院さんと呼ぶように。
ああ、魔術・魔法の類ならそれが魔力エナジーを使ってる以上は大食い、魔力吸収エナジードレイン魔力充填、エネルギー充填うまー、ごちそうさまよ♪ま、抜けてきても継戦能力ギャグ補正でリポップするし、そのまま続けても疲れるだけよ?
さて、ユリとシズクをこのまま骸の海に還す、なんて結末エンディング認めないブレイクしましょう
要はオブリビオンでなくなればいいのだ、そう『強くてニューゲーム』、『今のユリとシズクを保ったまま、奇病を植え付けられオブリビオンとなる前の灼滅者』に召喚術再孵化すればいい。サクラミの影朧転生システムもMIXすれば、二人はオブリビオンではなくなり爆死と蘇生のループからも解放される。そう、私の創世神術であればそれが可能よ。
では、あなた達の世界に繋がる日と再会出来る時までごきげんよう。


紫・藍
あや~。何やらお嬢さんたちの未来を救う手立てがある猟兵さんがいらっしゃるようでしてー!
でしたら、ええ、オープニングアクトは藍ちゃんくんが努めさせてもらうのでっす!
お嬢さんたちの弾幕は踊るように、いえむしろ踊りながら回避していくのでっす!
パフォーマンスなのでっす!
それが“詩”だというのなら藍ちゃんくんに合わせられないはずがないのでっす!
弾幕のデュエットに合わせて、踊り、歌い、トリオに変えるのでっす!
滅びの結末も変えるのでっす!

歌うのでっす、悲しみを癒やす歌を!
諦めを打ち破る歌を!
攻撃するのはお嬢さんたちの病!
手術をするにしても弱った心では保たないでしょうから!
病を抑えてる今のうちになのです!


空亡・劔
真の姿解放!
赤き太陽を背に立つ

あんたらにとって不本意だっただろうけどあたしはこういうわ!

この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変カタストロフ!生意気すぎで暴れそうよ!

【戦闘知識】でシズクとユリの戦い方を把握よ!以前にも戦ってるしね!

【天候操作】で互いの姿がわかる程度の霧を展開させるわ

そうすることで消滅させる魔法の弾幕の軌道を把握!

【結界術】で結界を展開して更に捕捉するわ!

あんたらが弾幕勝負で応じてやるわ!

神殺しの大妖怪発動

【属性攻撃】で氷の【弾幕】で対抗よ!

あたしはあんたらを殺さない!
そもそも弾幕勝負で殺しはご法度!

あたしが殺すのは人類の脅威であるその病よ!
病を狙い【切断】!!



 救済とは何だろうか。
 ある者はそれを悲しみを癒すことと考えた。然り、負の感情たる悲しみから解放できるならそれは救済だろう。
 ある者はそれを殺すことと考えた。然り、最早元に戻す方法などないならそれもまた救済だろう。
 だがある者は、それを彼女たちを『治す』ことと考えた。もしそれができるなら、それ以上に良いことがあるだろうか。
 猟兵と猟書家。猟兵とオブリビオン。
 相容れない溝は確かにある。
 だが、もし相手が望まぬ結末を迎えようとしているなら、そこから救済してあげたくなるのが人情というものだ。

 ユリとシズクの前に立ったのは共に真の姿を解放した2人の猟兵だった。
「――あんたらにとって不本意だっただろうけどあたしはこういうわ!」
 赤き太陽を背に立つ劔は堂々と言い放つ。
「この最強の大妖怪である空亡劔を差し置いての大異変カタストロフ! 生意気すぎで暴れそうよ!」
 己を最強と自負する劔だからこその堂々の名乗り。
魂八保ごにゃーぽ月猫野むにゃーのごきげんよう♪ 私はアリス、よろしくねユリにシズク」
 他方、飄々とした感じでユリとシズクに改めて名乗るアリス。
「私のことは親しみを込めてアリス院さんと呼ぶように」
 みんなポカンとした顔をするがシズクだけはへぇって顔をしてた。お察しください。
「あや~。何やらお嬢さんたちの未来を救う手立てがある猟兵さんがいらっしゃるようでしてー!」
 そして2人の間に割って入ってくる藍ちゃんくん。するとアピールするかのようにピョンと飛び跳ね。
「でしたら、ええ、オープニングアクトは藍ちゃんくんが努めさせてもらうのでっす!」
「いいえ、最初の名乗り上げはあたしがするわ」
「あぁ、私そういうのはパスで」
「「なら!」」
 藍ちゃんくんと劔が並び立ち、指先をユリとシズクに向ける。
「あんたらに弾幕勝負で応じてやるわ!」
「滅びの結末も変えるのでっす!」
『……へぇ、面白いじゃねえか』
 応えるシズクの中にはある種の諦観があった。やはりこうなるのは避けられないのか。生命の奪い合いになるのは避けられないのか、と。わかってはいる。わかってはいる――
『ユリ』
『はい、シズクお姉様』
 ユリがこくりと一つ頷くと、魔法の弾幕が辺りに広がっていく。触れたものを消さんとする弾幕は、間違いなく脅威たるものだ。シズクも覚悟を決めたようにいつ幽銃を撃とうか様子を見ている。

 だが。彼女たちは猟兵というものを舐めすぎだ。
「それが“詩”だというのなら藍ちゃんくんに合わせられないはずがないのでっす!」
 藍ちゃんくんはまるでライブパフォーマンスのように踊りながら回避していき、まるで弾幕のデュエットに乱入するボーカルとして、或いは最初からトリオだったかのように舞い続ける。
「……我が根源……我が原初……人が恐れこそ我が力であり……我が在り方……」
 劔は霧を展開させ、弾幕の軌道を把握しつつさらに結界を展開して位置を掌握。
「我が名は『空亡劔』……神殺しの大妖怪なり! さぁ、弾幕勝負ごっこを始めましょう!」
 ダメ押しとばかりにまるでボムを展開するかのように氷の弾幕を展開、ユリの弾幕と対抗しあう。
「ふふ、魔術・魔法の類ならそれが魔力エナジーを使ってる以上は大食い、魔力吸収エナジードレイン魔力充填、エネルギー充填うまー、ごちそうさまよ♪ ま、抜けてきても継戦能力ギャグ補正でリポップするし、そのまま続けても疲れるだけよ?」
 アリスはというといかにも余裕であるかのように振舞う。だがむしろ、内心では『魔力が欲しい』とまで考えていた。もしリポップして溜めた魔力が減ってしまったらマズいわね、と内心思いつつ、いつもの余裕さを崩さない。
 そう、猟兵達は皆、弾幕に対して苦も無く対抗していた。ある者はかわし。ある者は対抗、相殺し。ある者は吸収した。全てを消すはずの弾幕は、目の前の猟兵すら消せなかった。
(……迷いが……あるのでしょうか……それとも……)
 ユリは内心思案して、思いつめた顔をしている。刻一刻と膨らみ続ける己が発作に耐えながら、それでもなお、戦っている。迷いはないはずだ。目的など、1年以上前にもう決めている。進み続けた道、もう戻ることはできない。ポイント・オブ・ノーリターンは既に越えている。それでも尚、迷うとするならば、そう。
『ユリ……おい、もしかして……』
 シズクも思わず心配して一瞬ユリを見た後視線が猟兵達へ向く。だが、すぐ首を振った。……ユリも自分も、わかっているはずなのだ。目の前にやってくれそうな存在がいるなら、それに縋りたいと。だが先ほどの猟兵みたいにいつの間にか何かされている可能性もある。勿論それがいいことならばいいのだが――悪いことの可能性も全然あってしまう。事後報告というのは恐ろしいものだ。
(オレ達は……そうだ……もう、戻れない……だから……)
 目を瞑るシズク。その耳に、一つ歌が流れてきた。
(この歌は……?)
『シズクお姉様……?』
 硬直してしまうシズクにユリが心配そうな顔を向ける。だが、すぐにユリも同じ顔をした。
『……綺麗な「詩」……』
 思わず聞き入ってしまう優しい歌。
 悲しみを癒す歌。
 諦めを打ち破る歌。
 そして――
「心を強く持つのでっす!」
 何もかもを消す弾幕の上から、藍ちゃんくんの歌声藍音Cryねは優しく響いていた。
 聞き入っては涙すら流す2人。そんな2人の前に肉薄し立つアリスと劔。
『……どうぞ』
 ユリがすっ、と背筋をただし目を瞑った。シズクも息をゆっくり吐く。
『……ああ、オレも、この中で消えるなら、悪くは』

「あたしはあんたらを殺さない!」

 劔の声が覚悟した2人に響く。
「そもそも弾幕勝負で殺しはご法度! あたしが殺すのは――人類の脅威であるその病よ!」
「同感ね、あなた達をこのまま骸の海に還す、なんて結末エンディング認めないブレイクしましょう
 そうだ。最初からそのつもりで猟兵達はここまでやってきた。雑魚を倒し、『偽りの世界』でアルファUDC怪物に豪語し、そしてその果てが――ただ殺すことだけだったら、お粗末というもの。
『ですが、わたくし達の病を、どのようにして殺すのでしょう』
 もしや、と考えるより前にアリスがそれを止めるようにウインクする。
「要はオブリビオンでなくなればいいのよ、そう、例えるなら『強くてニューゲーム』――『今のユリとシズクを保ったまま、奇病を植え付けられオブリビオンとなる前の灼滅者』に召喚術再孵化すればいい。サクラミの影朧転生システムもMIXすれば、二人はオブリビオンではなくなり爆死と蘇生のループからも解放される」
 ――『偽りの世界』に入る前、アリスは言っていた。『そして、サクラミの影朧輪廻転生システムをなんやかんやした召喚術生命再演禁呪ユーベルコードも開発済み』、と。それこそがこの理論、そして組まれた奇跡の力ユーベルコードだ。
『そんなことが、できるわけが!』
「できるのよ、このアリス院さんの創世神術・混沌ワールドクリエイション・ケイオスにかかれば」
 あの時は聞いてる余裕なかったでしょうしもう一度言っておくわね、と自分の口に指を当てるアリス。
「私達の知覚を離れた客観的真理はなにもなく、故に、あらゆることは真実であり可能である。そして、人間が想像しうることは必ず実現可能である」
『『……』』
「ならば成し遂げよう、望む未来を紡ぐハッピーエンドを齎す力の創造を――おっとこれはまだ言ってなかったわね」
 複雑な感情が、ユリとシズクに入り混じる。自分たちの今と目的を考えればまたとない提案だろう。だが――
「どうしてもあと一歩が踏み出せないなら、藍ちゃんくんがもっと歌ってあげるのでっす!」
 どこか緊迫した空間に藍ちゃんくんが合流しユリとシズクの前に立つ。先ほどまでより間近で聞こえる優しい歌にユリとシズクの心は揺れ動く。
『……本当に、できるんだな?』
「あら、私達を誰だと思っているのかしら」

「アリス院さんよ?」
「最強の大妖怪よ?」
「藍ちゃんくんなのでっす!」

 絶対の自信を示すかのような自信満々な名乗り。
『……シズクお姉様』
 ユリが優しく声をかける中、シズクが指を下ろした。
『……あぁ』
 俯き、目を瞑るそれは、やってくれ、と暗に言っているかのようで。それに猟兵達は頷き合う。
「術式発動――」
 アリスが結界にも似た術式を形成する。やる事が事だけにかなり複雑で、魔力を大量に使いそうな術式だ。まさか、魔力が欲しいと思っていたのは。
「藍ちゃんくんは歌い続けるのでっす! 悲しみを癒やす歌を! 諦めを打ち破る歌を! 手術をするにしても弱った心では保たないでしょうから! 病を抑えてる今のうちになのです!」
「……」
 歌が響く中、劔は己が剣に今までにない魔力と不思議な感触が芽生えるのを感じていた。展開された術式から流れるそれを感じ、己に与えられた『役割』を察する。そして流れ込む力の重さに負けず、両手でしっかり剣を構えれば。
「あたしは『神殺しの大妖怪』人々の畏れの顕現――人類の脅威たる病を斬る者なり!」
 創世神術が込められた劔の剣が、ユリを、次いでシズクを、その華奢な体に致命傷を与えていく。
「上出来よ、ここからは私の出番ね」
 瞬間、アリスが術式をフル稼働させた。オブリビオンの理として消えていくはずのユリとシズクの体が光に包まれる。それは見る人が見ればわかるだろう、まるで影朧が転生するような――
(あぁ……あったかい)
(シズクお姉様、わたくし達、今度こそ……)

「では、あなた達の世界に繋がる日と再会出来る時までごきげんよう」
 アリスのカーテシーと共に、2人の意識と体は光へと消えていった。


 ――どこか遠い世界。
 猟兵達もまだ見つけていないだろう、到達できるかもわからない世界。
 ここ最近、ある2人の姉妹はなぜか同じ夢を見るという。

 男っぽい口調の姉が、黒ゴスを着て少年漫画みたいな魔力の射撃をし。
 儚い感じの妹が、白ゴスを着て某ゲームみたいな弾幕をばら撒く。
 だけど、自分の中には苦しみがあり、それ故に焦りと嘆きが生まれていた、そんな夢。

 それは、ただの夢かもしれない。記憶にあったかも怪しい、いわば『前世の記憶』みたいなもの。
 だけど、その夢の終わりに出てくる、自分と、或いは、自分達と向き合っていた3人か4人の姿――

 ――それは、本当に夢だったのだろうか? 夢が生み出した妄想の産物だろうか?
 或いは――

「やった……のでっす、よね?」
「ええ、うまくいったわ。生命再演リインカーネーション、幸せな未来人生に幸いあれ♪」
「ふぅ……次こそは幸せに暮らしなさいよ」

 ――それは現実だったのだろうか。自分たちがそんな状況から『救済』された先が今なのだろうか。

 だが、それを知る者は、きっと、ここにはいない。
 今日も、きっとこれからも、何かを救うために、戦いを続けているのだろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月31日


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#滅詩のユリと幽銃のシズク


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠キリエ・ニールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はノラ・ヘルブラウです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト