バルバ・スークの黄昏
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月が半分、顔を見せる日はオアシスの街に行くといい。
お前の求めるものはきっと、善きバルバ達の
市場にあるから。
辺境の砂漠、オアシスの街。
そこはラクダに似たバルバ『キャメリアン』の集落だ。
ひと月に二度、月齢が上弦と下弦の日。キャメリアン達は集落に数多の部族を受け入れ、大規模な市場を開く。
武器、道具、装飾品、料理の屋台。
日常と非日常、双方の賑わいが混ざり合う。
現在はバルバのほか、ピュアリィや人間の冒険商人の姿も少なからず見られる。
されど、誰しもがこの場を同じ名で呼ぶ。
平和に暮らすバルバ達の営みから生まれし市場――バルバ・スークと。
市場が開かれるある日の朝。
「俺、商売とか向いてない気がするんだよな」
「僕は集落の外のこと、もっと知りたいかなあ」
設営の手伝いを放り出したキャメリアンの若者達が、集落の隅で駄弁っていた。
彼らが見上げる空は薄曇り。まるで、想像もつかぬ自分達の未来のよう。
集落での暮らしに強い不満があるわけではない。
とはいえ、ここで一生を過ごすのもつまらない。
ありがちで、たいせつな悩み。
見つかったのが大人であれば、サボっていたことを叱られるだけで済んだのに。
「どうしたの?」
全ての絶望は、若者達が妖精めいた“
何か”の標的になったことから始まる。
「困った顔してる」
可憐な容姿に優しい声色を持つ存在に、若者達が警戒することはなかった。
「何だお前、星霊かスピリットか?」
「いや、ちょっと悩んでただけだよ。複雑なお年頃ってやつ」
ごく自然にそいつを受け入れ――ぽろり、零してしまった。
「あーあ、何も結論出ねえ。悩みなんて無くなっちまえば、すっきりするだろうになー」
一人の若者の何気ない言葉を、そいつは“願い”と解釈した。
何故か? そういう存在だからだ。
「その願い、叶えてあげようか?」
「……え?」
「悩み、無くなっちゃえばいいんだよね?」
獣神は願いに呼応し、現れ、其を歪めて叶える
存在。
若者達は、もう二度と悩むことはない。
否、できない。
願いの代償を認識することも、けして。
●
「理性を奪われてバケモノになった若造どもは、欲望のままに暴れて何もかも食らい尽くす。集落の同族も、市場を楽しみに集まってくるヤツらもなァ」
それが、エンドブレイカーのワルター・ハント(f38994)が視た未来。
「けどなァ、お節介焼くヤツがいれば
違う未来に変わるかもしれねェぞ」
すべきことは何か、ワルターは続ける。
一、歪められた願いの影響で化け物に成った集落の若者達を倒すこと。
二、若者達に干渉したエリクシルを討伐すること。
「若造どもは、まだ間に合う。速攻で倒せば元の姿に戻るし、後遺症も残らねェよ。だが……エリクシルは容赦なく殺れ。どんな姿でも惑わされんな。
最悪の未来を迎えたくなかったらなァ」
エリクシルの撃破が叶えば、予定通りに市場は開かれる。
集落は断末魔でなく、活気で賑わうはずだ。
「仕事を終えて、気が向いたら楽しんできてもいいんじゃねェか? お前らの気に入る物の一つや二つはあるだろうよ。あァ、そうだ。基本は物々交換だが、ここ最近は金貨払いでもいけるって話だ」
未来は、猟兵達に委ねられた。
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
第一章は【集団戦】、第二章は【ボス戦】、第三章は【日常パート】です。
●戦闘補足
戦場は石畳が広がる地、周囲には砂漠が広がっています。
【集団戦】【ボス戦】ともに敵は猟兵を最優先で狙ってきますので、救助活動等は不要です。
●日常パート補足
バルバ・スークでのひと時を楽しめます。
昼、日の高い時間帯を想定しています。
バルバの他、ピュアリィや人間の冒険商人の姿も少なからず見受けられるようです。
買い物や飲食を楽しむも良し、雰囲気を楽しんでいくも良し。
自由にお過ごしください。
●余談(集落のバルバについて)
バルバ『キャメリアン』
ラクダの獣人。
砂漠に点在するオアシスに集落を築いて暮らす部族。
●プレイングについて
各章、断章を挟んでから受付の予定です。
〆切予定等はMSページやタグをご確認いただけますと幸いです。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『シャドウウルフ』
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POW : 闇の棘嵐
着弾点からレベルm半径内を爆破する【圧縮した闇の弾丸】を放つ。着弾後、範囲内に【大量に飛ぶ闇の棘】が現れ継続ダメージを与える。
SPD : 闇牙乱舞
戦場全体に【暗黒地帯】を発生させる。レベル分後まで、敵は【闇の牙】の攻撃を、味方は【暗闇の加護】の回復を受け続ける。
WIZ : ブラックホール
自身の【影】を代償に【ブラックホール】を創造する。[ブラックホール]の効果や威力は、代償により自身が負うリスクに比例する。
👑11
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年配のキャメリアンの男は深いため息をついた。
「ったく、近頃のガキは……まあ、気持ちはわからなくもないが」
任せた仕事を投げ出した若者達が行きそうな場所といえば。
昔々の記憶を辿りつつ、男は迷いなく歩を進める。
そう、この男も若い時分は同じようなことをしたのだ。
心当たりに赴けば、ほら。
「おい、お前ら。グダグダすんのは仕事の後に……」
𠮟りつけたはずの影は、見覚えのない形をしていた。
「え、あ……は? な、何だよ。こんなモンスター、この辺りで見たこと」
続く言葉は影の――影色の狼が唸る声に搔き消された。
何匹入り込んでいる?
若者達は何処へ?
まさか、もう食われてしまった?
それとも、それとも――。
すっかり腰を抜かした男の思考は、もはや走馬灯と変わりない。
狼の牙が、迫る。
最悪の未来へと向かって。
アレンカレン・マイグラント
バルバ・スークかぁ
どんなものが売ってるんだろう?
本当だったら、楽しい未来…だよね…
それなのに…
も、もし、私が…戦ったら、最悪の未来も変えられる、かな
…ううん、変えなきゃ
師匠も先生もいなくて、一人で戦うのは初めてで…本当は…こ、怖い、けど
でも、でも…!
デモン、力を借りるよ!
デモンウイングで飛び上がって敵に接近
「み、みんな、から、離れてくださぁいっ!」
急接近して大鎌を振るい、敵の注意がこちらを向いたら
上昇して距離を取って【破壊光線】
戦わなくちゃ
怖くても、手が震えても、それでも
だって私は、エンドブレイカーとして戦い続けていたあの人達の…
「逃げたりなんかしません!だって私、師匠と先生の弟子ですから!」
●
在り得なかったはずの救いは、デモンの翼を生やして舞い降りた。
携えし大鎌を、命を刈り取らんとするかの如くシャドウウルフどもに振るって見せて――。
「は、は、離れてくださぁいっ!」
緑髪の少女、アレンカレン・マイグラント(f38981)は裏返る声をそのままに叫ぶ。
本当は怖くてたまらないのに。
誰かを庇うには、その背中はあまりにも小さいのに。
それでも彼女は此処に来た。
(「もし、もし私が戦ったら。最悪の未来も変えられる、かな」)
可能性に背を押され、小さな小さな希望を胸に。
だって、素敵な未来が在り得てもいいのだ。
数多の種族で賑わう市場。
いったい、どんなものが売られているのだろう?
きっと、きっと楽しいはずだ。
今日これから此処に集う、みんなが。
「……変えなきゃ」
アレンカレンは気付かない。
唇から言葉が零れたことも、己の決意の強さすらも。
立ちはだかった少女を――猟兵を。シャドウウルフどもは、最優先で狙うべき獲物と認識したようだ。
大鎌の一撃ののち空へ上がり、距離を取ったアレンカレンから奴らは視線を逸らさない。
(「うん、注意を引けた。それで、ここから……え?」)
続けて本命の攻撃を放たんとした少女の身体が、不意に強い力で引き寄せられる。
大地へ? 否、狼の群れの只中へ。
引力の根源は、敵の一体が発生させたブラックホールだ。
敵と認識したからには、屠る。
それが、相対した化け物どもの単純で純粋な思考回路。
幾体ものシャドウウルフが、嘲笑うように牙を剥いている。
墜ちる。
墜ちる。
墜ちる。
アレンカレンの視界が涙で歪む。
(「あ、あ……そんな、私……」)
此処で終わるのか? 飛べずに終わるのか?
空の高さも、世界の広さも。
たくさん、たくさんまだ知っていきたいのに。
(「……先生、師匠」)
大切な人達の顔が浮かぶ。
二人はアレンカレンにとって、あまりにも大きな――。
(「あ、ああ、そうだ。私は……私は、二人の弟子!」)
エンドブレイカーとして戦い続けていた者達。
今此の場に、二人はいない。
それでも、怖くとも、震えが止まらずとも。
今この場に、自分がいるからには。
涙が頬を伝い、歪んだピントが合った刹那。
「逃げたりなんかしません!」
戦う意志が光に変わり、収束し、デモンの翼から放たれる。
影をも掻き消すかのように地を薙いでゆく破壊光線。巻き込まれたシャドウウルフどもが吹き飛ばされていく――。
殻を破った雛鳥は、無事に空へと舞い戻る。
「わ、私、でき……た?」
何しろ、一人で戦場に赴いたのは今日が初めてのこと。
為したことの実感がいまいち掴めない。
頭で理解するよりも先に、アレンカレンの青い瞳が其を認識した。
「うーん……俺は何して……」
「あれぇ、みんなは? さっきまで一緒に喋って……」
戦場から遠くに、ぽつりぽつりと人の――正確には、獣人の影。
長い首に眠そうな眼を持つ、キャメリアンの若者達だ。
一方で、戦場に蔓延るシャドウウルフの数が減っている。
確定された未来が、変わり始めた。
成功
🔵🔵🔴
フォルク・リア
シャドウウルフを眺めて。
「……まだ間に合う。とは言え、そう余裕はなさそうだ。
ならば。」
敵に囲まれる位置に躍り込んで
シャイントリガーを発動して周囲を照らし、
ブラックホール創造の代償である影を消す。
「少々手荒になるが我慢してくれよ。」
光での目くらましや【残像】で敵の攻撃を回避し
光線、熱線で敵を攻撃。
周囲を光で満たす事でブラックホールを封じると共に
発生した場合でも光がなくなる位置を探ることで
素早く察知して回避、更に一瞬光を弱めて
影のない敵を【見切り】その敵に集中して熱線を放って
ダメージを与えブラックホールを解除させる。
「俺には終焉を終焉させる力などない。
それでも未来の為に足掻く事くらいはできる。」
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若者達の幾名かが、元の姿を取り戻した。
しかしながら、未だ予断を許さぬ状況といえる。
「……まだ間に合う。とは言え、そう余裕はなさそうだ」
ぽつり呟いて、フォルク・リア(f05375)はフードに隠された目を細める。
見据える先は、シャドウウルフの群れ。
数が多い。その全てがエリクシルの力に侵された者達だ。
これ以上、被害を広げぬ為には。
予知された終焉へ至らぬ為には。
「少々手荒になるが、我慢してくれよ」
ダンピールの青年は、果敢に敵群へ躍り込んでゆく。
獣は糧を得る為に、獲物と見定めた存在を追うものだ。
その性ゆえだろうか。蛮勇とも取れるフォルクの行動に対する反応が僅かに遅れた。
シャドウウルフらが虚を突かれた顔をしている間に、青年は想定通りの一点へ滑り込む。
ぐるりと敵に囲まれる位置だ。
勿論、無策なわけがない。
此処がフォルクの導き出した最善の位置なのだ。
さあ、実験を始めよう。
「この掌に在りしは天の日輪放つ撃鉄。降り注ぐは浄戎の炎――」
詠唱に呼応して、青年の嵌めた黒手袋から生じる炎の魔力を感知したか。
獣どもが迎撃の構えを取るが、何もかもが遅すぎた。
フォルクがより善き未来を描いた時に、もう勝負は付いていたのだ。
「――我に仇為す汝らに、等しく光あれ」
光が、満ちる。
白ローブの青年を中心に、光線、熱線、電磁波が広がってゆき。
彼を取り囲んでいたシャドウウルフを、其の影ごと掻き消し、吞み込んでいく。
影の力を封じられ、さらには爪牙すらも届かない。
フォルクを狙ったシャドウウルフどもに、成す術は無かった。
「俺には終焉を終焉させる力などない」
光が晴れた時。そこに在ったのは敵でなく、きょとりとした顔のキャメリアン達の姿。
「それでも未来の為に足掻く事くらいはできる」
フードの下で、青年は穏やかに笑んでいた。
これまでの魔術の研究の日々、刻み続けた足跡。
フォルクが積み重ねてきた全ては――費やした時間は、終焉の未来をも書き変えるまでに至っていた。
大成功
🔵🔵🔵
オルト・クロフォード
……悩みが無くなるのと何も考えられなくなるのは違うだろウ……!(感情を失うことを怖い事だと考えている人形、ぷんすこしながら参戦
何も分からないまま誰かを傷つけるなんて事、若者達も望んではいないだろウ。止めなくてハ!
腰を抜かしてる人とシャドウウルフの間に割り込むゾ!
ここは危ないから離れてくレ! 出来れば他の人達にも近寄らないように言ってくれるとありがたいゾ!
真っ暗にされても私に搭載されてる【暗視】機能を使って対処するゾ!
更に【ガジェットショータイム】で光を放つ弾丸的なものを呼び出して敵の目をくらませたり、位置を把握しながら攻撃していこウ!(【スナイパー】併用
暗黒の加護もこれで軽減したりしないカ?
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威嚇の声、剝き出しの牙。
化け物どもの瞳からは、理性の欠片も感じ取れぬ。
これが、エリクシルの所業の結果。
オルト・クロフォード(f01477)が固く握り締めた拳を震わせるのも当然のことであった。
(「ふざけるナ……悩みが無くなるのと何も考えられなくなるのは違うだろウ
……!」)
このミレナリィドールの青年にとって、感情を失うことはたまらなく怖いことだから。
ましてや自ら捨てたわけでもなく、若者達は一方的に奪われたのだ。
見過ごすことなど、できるわけがない。
(「止めなくてハ!」)
何も分からぬままに誰かを傷つけるなど、若者達も望んではいないだろう。
背に庇ったキャメリアンの男の方をちらりと見れば、彼は未だ腰を抜かしたまま震えている。
「ここは危ないから離れてくレ! 」
オルトの声を受け、男ははっと我に還る。
他者に戦場へ近寄らぬよう伝えてくれと続けて頼めば、彼は救出された若者達も連れ、よたよたと駆けてゆく。
これで、心置きなく戦える。
敵に向き直るオルト――その視界が唐突に真っ暗になった。
一面の闇。
確かに感じられるのは獣の唸り声と、乾いた大地の感触のみ。
されど、オルトは動じなかった。
機械仕掛けの身体には、暗視機能が搭載されているゆえだ。
視覚で捉えられるのは薄ぼんやりした姿だが、敵の位置を把握するにはそれで十分。
あとは、奪われたものを取り戻すのみ。
「思い出セ……思い出してくレ! 君達の形ヲ、記憶ヲ、心ヲ!」
想い託して召喚したガジェットから、繰り出されるは正確無比な射撃。
オルトが狙い定めた一点に着弾すれば、その度に弾は光を放ち、シャドウウルフどもが「ギャア!」と鋭い悲鳴を上げる。
だんだんと悲鳴は小さくなり、闇も薄れて、呑まれた者達が姿を取り戻してゆき――。
そして、光の下に出た時。
若者達が長い首を傾げつつオルトを囲んでいた。
「……はじめましテ」
今の彼らとならば言葉を以て、心通わせることもできるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・アンバーロン
●WIZ/アドリブとか御任せ
バルバ・スークがどんな頃か、楽しみなんだから壊滅させないぞぉ!
転化しているバルバ君達には悪いけど、紋章描いて、幻影さんとシルヴィア(星霊)と一緒にボコボコにしよう
幻影さんには悪いけど幻影さんが盾になるよう動くよ
幻影さんが攻撃しやすいように影縛りをして相手の動きを鈍らせて、その間に皆でボコボコにする感じ
ブラックホールを生成する動きをしはじめた個体から影縛りをするよ
幻影さんが消えたら、またユーベルコードを使って呼び出しておかえりなさい
出来るだけ早くボコボコにして、すぐ助けられるようにしないとね
●
瓦解していくシャドウウルフの群れ。
其に止めを刺すは、外観に見合わぬ豊富な経験を感じさせる女性。
「よし、幻影さん。お願い!」
ソフィア・アンバーロン(f38968)が号令をかければ、空に描いた黒鉄兵団の紋章から甲冑騎士の幻影が出で、敵群へ突撃を始める。
故郷・山斬烈槍ランスブルグに伝承されし術、十五年の歳月で新たに身につけし力。
(「転化しているバルバ君達には悪いけど……」)
皆が、自分が、今日此の日のバルバ・スークを楽しむ為に。
「壊滅させないぞぉ! いくよ、シルヴィア!」
意気込む女性の声に同意するかのように、傍らの星霊スピカが尻尾を揺らした。
甲冑騎士の幻影が征く。
ソフィアの盾と剣として、敵を討たんと果敢に攻め込む。
その存在に気付いた化け物は、一斉に騎士に飛び掛かり、牙を立てる。
がちり、と嫌な音がした。
幻影といえども、甲冑の硬度は本物。
敵が怯んだ一瞬のうちに、騎士は自身にぶら下がった獣どもを振り払う。
正攻法では食らえぬ相手と悟ったか、地に降りた一体のシャドウウルフが自身の影を揺らがせる。
ブラックホールを創造して応戦する算段であったようだが。
「させないよ!」
揺らいだ影はソフィアが投げた魔鍵に貫かれ、そのまま大地に縫い留められる。
続けてシルヴィアが飛び掛かって敵の気を逸らし、騎士が斬り付け――まずは、一体。
「……次!」
たたっと駆けて距離を詰め、ソフィアが魔鍵を引き抜く間に。
騎士の幻影とシルヴィアはもう、残るシャドウウルフどもへと畳みかけるように追撃していた。
術士と、相棒と、幻影と。
彼女らのコンビネーションに、敵はもう成す術がなく――。
化け物の殲滅まで、そう時間は掛からなかった。
「これで全員助けられた、かな?」
すっかり伸びているキャメリアンの口に、ソフィアは気付けにと手持ちの炭酸水を垂らしてみる。
しゅわりと爽やかな音がして、若者がびくっと跳ね起きる!
「え、え、ちょっと今の何? 何かしゅわしゅわするんだけどー!?」
状況は把握できていないようだが、どうやら怪我無く元気な様子。
まずは一安心、ソフィアがほっと息をついた。
その刹那、声がした。
「どうして? どうして? みんなの悩み、せっかく無くしてあげたのに」
此の場の誰でもない、誰とも相容れない存在の声がした。
大成功
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第2章 ボス戦
『タイニー・エリクシル』
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POW : 蜜の味
【額の宝石】を解放し、戦場の敵全員の【勝機】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
SPD : 真の願いは内に秘め
戦場内に「ルール:【静寂】」を宣言し、違反者を【赤い結晶の檻】に閉じ込める。敵味方に公平なルールなら威力強化。
WIZ : 星の砂子
【エリクシルの翅】からレベル個の【星の粒】を射出する。射出後も個々の威力を【光度】で調節でき、低威力ほど視認困難。
👑11
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可憐な妖精、生きた輝き。
姿を現した
万能の魔神の姿を形容するなら、美に連なる言葉がよく似合う。
されど、本質は隠せない。
「エンドブレイカー、猟兵……あなた達が、邪魔をしたの? 願いを叶える邪魔を。……ひどいよ」
魔神エリクシルは、生命体の願いを叶える力を持つ存在だ。
「願いが叶えば、私は力を得られるはずだったのに。みんなが幸せになれたのに。ひどいよ、ひどいよ」
願いを歪めて叶えることで、膨大な力を得ようとする存在だ。
そして。
「他の世界にも行って、もーっとたくさんの願いを叶えたかったのに。ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
得た力で、この世界や小世界のみならず、他世界への侵攻を企てる存在だ。
猟兵達を罵り続けるエリクシル。
本当にひどいのは、果たしてどちらの所業であろう?
「そ、そうだ。コイツの話を聴いてたら、すごく気分が軽くなって……」
「うん。それで、この子が頼んできたから他の友達も呼びに……けど、その後は? ねぇ、僕達どうしちゃったの? 何をしちゃってたの?」
救出されたキャメリアン達は怯えた様子で後退る。
化け物と成った顛末の記憶は曖昧なようだが、本能的にエリクシルは敵だと認識したらしい。
一方、エリクシルはもう若者達には一瞥もくれなかった。
「ひどいことする、ひどい人達。あなた達の願いはいらない。叶えてあげない」
ただ、猟兵達に対して純粋な殺意を向けていた。
「もうひどいことができないように、
終焉の未来をあげる」
アレンカレン・マイグラント
※連携・アドリブ歓迎
できた…私にもできた!師匠、先生、私やったよ!
キャメリアンさん達は、無事!
これなら…!
「サニー!力を貸して!」
星霊バルカンのサニーを召喚
一緒にエリクシルを倒すんだ!
「ひ、ひどいのはそっちです!貴方の叶える願いは、私達の本当の願いじゃありません!」
サニーが「そーだそーだ!」っていうように鳴いて加勢してくれる
師匠と先生に聞いて、エリクシルのことはちょっとだけ知ってる
役立つこともあるけれど、災いを起こすものでもあるって
それが自分で動いて、勝手に、しかも悪い方向に願いを叶えるだなんて…ゆ、許せない!
サニー!火炎弾をひとつにしてぶつけちゃえっ!
火炎弾が決まったら、びしっ!と指を突きつけて「私は貴方を許さない!」って言ってやるんだ
指先、ふ、震えてなんかないですからねっ
「わ、私は…貴方を、ゆ、ゆるっ、ゆるっしゃないですう!」
噛んだー!
サニー、そこで加勢されると恥ずかしいよぉ!
というか…サニー?私に続いて鳴くのが楽しくなっちゃってるだけなんじゃ…
わ、ご機嫌な「にゃん!」が返ってきたぁ
●
(「できた……私にもできた!」)
アレンカレンの心に、じわじわと喜びが湧き上がる。
自分も憧れの二人のように、確定された未来を変えることができたのだ。
(「師匠、先生、私やったよ!」)
キャメリアン達は、みんな無事だ。
後は全ての元凶を倒せば
最悪の未来の完全なる破壊は成就する。
そう、エンドブレイカーの宿敵・エリクシルを討ち果たせさえすれば。
「サニー! 力を貸して!」
少女の召喚に応じるは星霊バルカン――黒猫の姿をした、炎を司る存在だ。
「一緒にエリクシルを倒すんだ!」
にゃあと一声鳴いたサニーの尾に、決意の如き火が灯った。
星霊の灯火を映して、エリクシルの身体が煌めく。
見た目の美しさは確かなものだ。口を開けば全てが台無しだが。
「いらっしゃいませ、ひどい人。あなたを殺して、私はまたみんなの願いを叶えに行くわ」
今を生きている者達とは、けして相容れぬ幼稚な理屈。
常ならば気弱なアレンカレンも、流石に言い返さずにはいられない。
「ひ、ひどいのはそっちです! 貴方の叶える願いは、私達の本当の願いじゃありません!」
傍らのサニーは毛を逆立てエリクシルを威嚇する。
アレンカレンに同意し、共に戦う意志を示すように。
「叶うはずの願いを潰す方が、ひどいに決まってるでしょう」
平行線、けして交わることはない――刃以外は。
「もういいよ、バイバイ」
斬り込んだのは、エリクシルが先。
武器ではなく、その翅を以て。星を想わせる粒子を放って。
夜空に瞬く星のように、戦場にぶわりと広がりゆく攻撃。
回避は望めない、後退も悪手。
ならば、一点集中だ。
「……っ! サ、サニー!」
少女の意を汲み、星霊の尾から次々と火炎弾が生み出される。
炎は一つに連なって、大きく大きく、太陽の如く立派に育って。
「い、いけぇー!」
アレンカレンが大鎌の柄で示した先、エリクシル本体へと飛んでいく。
敵の表情は伺いしれない。
太陽が星屑ごと、
偽りの希望を呑み込み終えるまで。
「うそ……うそだ」
此のエリクシルの体躯では、巨大な火炎弾から逃れることはできず。
真正面から受け止めるしかなく。
それでいてなお、理解できぬ様子でいる。
エリクシル自身の劣勢も、今を生きている者の価値観も。
「私は、正しいの。ひどい人達に、やられるわけ……」
「いいえ、わっ、私は貴方を許さない! 正しくなんて、ない!」
びしりと指を突き付けて、啖呵を切るアレンカレン。
彼女は二人の師より、かつて万能宝石と呼ばれていた頃のエリクシルのことを伝え聴いていた。
時には役立つこともあったが、常に災いと隣り合わせの存在であったと。
万能の魔神と成ってからも、其の在り方は全く変わらない。
あまつさえ、自律行動して願いを放つ者を探しているのだ。
好きにさせてしまえば、どうなるか。
止める者がいなければ、どうなるか。
必ず何処かで誰かが
絶望の未来を迎えてしまうだろう。
そんなことは、けして。
「わ、私は……貴方を、ゆ、ゆるっ、ゆるっしゃないですう!」
アレンカレンは許せない。
妙に肩に力が入り、うっかり噛んでしまうくらいには!
「にゃあ!」
「サニー、そこで加勢しないでぇ! 恥ずかしいよぉ! というか、相槌打つの楽しんでるよね!?」
「にゃん!」
問題ない、キャメリアン達は退避済みだ。
ここで倒されるべき敵であるエリクシルくらいしか聴いてない、聴いてない。
大成功
🔵🔵🔵
キャスパー・クロス
「言いたいことはそれだけ?」
一頻りの『ひどい』という言葉を、凪いだ心で受け止め…
…られるほど人間できてないので、内心ムカムカしちゃいつつ対峙
我々エンドブレイカーの不倶戴天の仇敵エリクシルからぬけぬけとこんなセリフ言われたら、一発かまさずにはいられないよ!
平和な街のささやかな願いを悪用するなんて、許してなるものか
怒りのパワーを風のオーラに籠めて──《潤色は密か》を発動!
「潤色──」
『静寂』が平等なルールなら、そう、私の風が守ってくれる
風を纏い【推力移動】の【空中機動】で接近し、至近距離からの【斬撃波】を伴う拳打蹴撃突き薙ぎ削ぎ砕き!
全ての音を風の中へ消しながら、【傷口をえぐる】連撃で殊更に【恐怖を与える】よ
そう、お前が『ひどい』などとのたまうなら、とことん酷くなってやる
嗜虐はしない、しかし容赦もしない
子供じみたメンタルを持っているらしいタイニー・エリクシルに、わざと酷たらしい【暴力】を遂行する狙いはただひとつ
さあ、また言えよ。ルールを破れ。言え、叫んじまえ──『ひどい』って!
●
「やっぱり、ひどい人達だ。なーんにもわかってないんだ」
「言いたいことはそれだけ?」
エリクシルに問うたキャスパー・クロス(f38927)の表情は穏やかにも見えた。
されど、彼女の心の内は暴風の如く荒れ狂っていた。
無理もない。キャスパーはほかでもない、十数年前を知る
当事者なのだ。
飛んで跳んで走り抜けた、あの懐かしい日々。
忘れない。忘れてなどいない。
自由に空を駆ける心地も、ときめきの数々も――
万能宝石が元となった災いも。
「何よ、あなたも文句があるの? この街の人達が幸せになるのがそんなに嫌なの?」
「……っ、よくもぬけぬけと!」
心の嵐を覇気へと変えて、女は強く拳を握る。
不倶戴天の仇敵たる存在は、何一つ変わってはいないのだ。
そいつは今や意志を持ち、好き放題にやっている。
ささやかな願いを歪めて叶え、食い物とし、より多くの災いを撒き散らさんとしている。
此の小さく平和な街から、いずれは別の世界まで。
「もういいよ。エンドブレイカー? 猟兵? わからずやのあなた達は」
エリクシルを基点として生まれる不穏な気配に、キャスパーは反射的に呼び掛ける。
「潤色──」
「もう黙りなさい!」
戦場は、吹き抜ける風の音すら聴こえぬ静寂に包まれた。
(「これは……」)
嫌な汗が背を伝い、キャスパーは紡がんとした言葉を引っ込める。
エリクシルは「黙れ」と言った。
其はおそらく、一方的な契約だ。
禁を破れば、相応の罰が下されるのだろう。
ならば、もう言葉を交わす必要性などない。
幸いにも、別の道を選ぶことも叶うから。
きょろきょろと自身を探す素振りを見せる敵――呼び掛けた心が届き、風がキャスパーの味方に付いている証左だ。
彼女を覆い隠して、敵から護る盾となってくれている。
そしてキャスパーが望めば、風は剣へと変わり得る。
(「そう、お前が「ひどい」などとのたまうなら」)
女は音も無く宙を駆け、エリクシルとの距離を詰め――至近距離で衝撃波を叩き込む!
吹き飛ばした敵から伝わる手ごたえは、あまりにも軽かった。
潰れた紙風船か何かのようにくたりとなって、無様に宙を舞うエリクシル。
即座に追って、回り込む。
殴って、蹴って、突いて、薙いで。
翅を削ぎ、顎を砕き、けして大地へは逃がさない。
空こそが、キャスパー・クロスのフィールドだ。
圧倒的な暴力、一方的な蹂躙。
其を成す女の表情は凪いでいる。
音も無く、心を波立たせず、己がエリクシルに付けた傷をこれでもかと抉り続ける。
ただ、
望む未来を手繰り寄せる為に。
その時は、程なくしてやってきた。
「う、う……ひ、ひどい! こんなのひどいよぉ!!」
悲鳴を上げた途端、エリクシルは一瞬のうちに赤い結晶の檻に閉じ込められた。
大きな隙が生まれるであろう状況に敵を追い詰めることこそが、キャスパーの狙いであった。
彼女を探す素振りを見せた際、エリクシルもまた言葉を発してはいなかった。
つまり、静寂を破ることは術者たる敵自身にとっても禁忌であると推察できる。
後は力づくで声を上げさせ、自ら禁を破るよう仕向けるのみだった。
敵の術の特性と、併せ持っている幼稚な性格。
双方を見抜き、利用できたキャスパーだからこそ成せたことだ。
「もう、言いたいことはない? なら――」
物言わぬ赤い結晶を一瞥し、女は脚に風を纏う。
怒りの力、その全てを込めて。
「――墜ちろ!」
蹴り込んだ渾身の一撃は重く。
流星のように弧を描き、地を抉り、生まれたクレーターの中で赤い破片が消えていく。
ぐったりと倒れ込んだエリクシルを残して。
大成功
🔵🔵🔵
オルト・クロフォード
ムッ! ひどいのはどっちダ!
お前のせいでそれこそひどいことになる所だったと言うのニ!
お前にこれ以上願いを歪ませないからナ!
だいぶ弱ってきてるとはいエ、油断はできないナ……
飛び回られるのは厄介だかラ、その動きを封じるとしよウ。
【コールド・フィンガーディップ】を放ち、敵の動きを止めるゾ。
羽を動かせないようにしたリ、星の粒を色んなとこにばら撒かれるのを防ぐのが狙いダ。
敵が動きを止めたならその瞬間を狙っテ(【スナイパー】使用)、クロックフェイス・ガジェットから蒸気銃を取り出して氷属性の【属性魔法】を撃ち込むゾ!
その悪い力ごと凍らせル!
●
「やだ、やだ……やられたく、ない!」
ぼろぼろの翅を広げ、よろよろと飛翔するエリクシル。
もはや執念の域だ。
猟兵に討たれたくはないという、ただそれだけの。
自分達の優勢は明らかでありながら、オルトはけして気を抜かない。
(「だいぶ弱ってきてるとはいエ、油断はできないナ……」)
指先に纏う気と同様、しんと冴えた思考を巡らせる。
敵の翅から放たれるは、確か――。
「こんなひどい人達なんかに!!」
「ムッ! ひどいのはどっちダ!」
エリクシルが翅を震わせると同時、オルトは機械の指先から冷気を含む霧を解き放った。
きらきら輝く星の粒が、瞬く間に戦場に広がって――ゆくことはなかった。
「うそ、うそ……そんな」
凍てつく霧に阻まれて、星の砂子が落ちていく様はダイヤモンドダストのよう。
霧はさらにエリクシルの翅まで届き、包み込み、氷結させてしまう。
無理に動かせばきっと、その薄羽は擦り切れてしまうであろう。
万能の魔神は逃げ場も、逃げる術も失った。
「その悪い力ごと凍らせル! もう何処にも行かせなイ!」
こいつの所業は、当人の言葉通りあまりに“ひどい”ことだったから。
考える力を、感じる力を一方的に奪い取り。危うく多くの命までをも奪うところだったのだから。
この街の未来に、絶望など不要だ。
「お前にこれ以上願いを歪ませないからナ!」
時計盤の針がかちりと進み、銃器を収めたガジェットが開く。
オルトの手に収まるは蒸気銃。
撃て、討て、狙いを定めて。
「絶望の未来の出口へ行くんダ!」
発砲、銃声、破裂音。
翠の瞳が見据えた先。氷の弾丸に貫かれ、エリクシルの片羽がぱりんと割れた。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・アンバーロン
●アドリブとか御任せ
よしっ!エリクシルが前に出てきた!
コレでこの娘を叩けば終わりだよ
今度はあの子(憎しみの化身)にお願いしよう
やっぱりあんまりゆ(い)うこと聞いてくれないみたい
自由に動いて攻撃をしていてもらって、ボクは回り込んで挟み撃ちの形で、影縛りをして隙を作って、シルヴィア(星霊)と一緒に魔鍵でボコボコに殴るよ
願いを叶えようとするのは素晴らしいんだけどねぇ…
やり方が気に食わないかな
ごめんね
ボクはひどい人なんだ
好きに憎んでぐれても構わいよ
さようなら(口元しか笑ってない)
ボクのことより眼の前にいる
この子(憎しみの化身)に対処したら良いと思うよ?
この子僕の言う事聞いてくれない子だからね
●
エリクシルを死へ誘うは、憎しみの化身であった。
骨が剥き出しの拳で殴りつければ、小柄な身体は成すすべなく吹き飛ばされ。
落ちてゆく先には化身の主たるスカード――ソフィアの姿があった。
「あの子、やっぱりあんまりゆうこと聞いてくれないみたい」
ざくりと魔鍵を突き立てるは、地に薄っすら伸びた敵の影。
宙に縫い留めたところに、星霊スピカのシルヴィアがタックルを決め、また化身の方へ投げ返す。
終わりの時は近い。
豪炎に呑まれ、圧倒的な暴力を叩き込まれ、遂には翅をも折られて。
万能の魔神にはもう、反撃の余力は一欠も残されておらず。
ただ死を待つことしかできぬ身にあったのだ。
されど、すぐには終わらない。終わらせてくれない。
それがソフィアの意に沿ったことか、反したことかもわからない。
「この子、僕の言う事聞いてくれない子だからね」
彼女の傷跡から出でし、憎しみの化身は猛り続ける。
目の前の敵を嬲り、傷付け、痛め付ける。
万能宝石として知られていた頃からの災厄に対する、この世全ての憎悪を引き受けたかのように。
小さな魔神が「ひどい」と視線でしか訴えられぬ程に。
「うん、ごめんね。ボクはひどい人なんだ」
言葉を以て応えるソフィアは、口元のみ笑っていた。
「願いを叶えようとするのは素晴らしいんだけどねぇ……でも」
ソフィア・アンバーロンは元来、笑顔を浮かべるのが苦手な人間だ。
「やり方が気に食わないかな」
彼女の真意を理解する者が此処にいるとしたら、きっと相棒たるシルヴィアくらいのものだろう。
骨の拳が大地を抉り――憎しみの化身が消えてゆく。
遂に役目を終えたのだ。
傷だらけ、皹だらけ。
“それ”は少しづつ輝きを失い、だんだん色も褪せていって。
土くれの人形と化し、風に吹かれて削られはじめる。
「さようなら」
風の行く先を見つめるソフィア。
浮かべる笑顔は、やはり常のものだった。
*****
此の街に、
万能の魔神が生きた証など残らない。
奴らが置いていけるのは、災厄や絶望くらいのものだから。
戦闘の痕跡と、歓声を上げるキャメリアン達。
それが、此の街に残されたものだ。
元凶を討ち果たし、失われるはずだった全てを救った。
猟兵達が為したことの――
絶望の未来を覆したことの証だ。
薄曇りだった空から、少しづつ青が覗きはじめていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『街の市場へ行こう』
|
POW : お店を巡り、沢山の品物を買い揃える
SPD : 交渉を行い、品物を安く手に入れる
WIZ : 自分で露店を出し、手持ちの品を売り払う
|
●
キャメリアン達の集落は道も家屋も石造りだ。
集落の石畳の何処かには、何かしらの星霊の絵が描かれているらしい。
砂漠に囲まれた土地でも心地よく過ごせるのは、其の加護によるものだろう。
抜けるような青空、陽も高くまで昇った頃には。
広場には数多の露店が並び、大勢の人々が行き交っていた。
バルバ、ピュアリィ、そして人間。
姿は違えど、瞳の輝きは同じ。
――さあ、今日のバルバ・スークではどんな出会いがあるだろう?
冒険に赴く者ならば、武器や防具、道具の店のチェックは欠かせない。
既製品から見繕ってもいいが、こだわりがあるならば一点物の製作という選択肢もある。
市場には商人のみならず、職人達も訪れている。
声をかければ、快く相談に乗ってくれるだろう。
金属、皮革、織物、薬草、モンスターの部位などなど。
素材に成り得る物は、此処には何だって揃っているのだから。
記念になる物を探すなら、花の香りや鮮やかな色彩を導に進むといい。
香水に織物、宝石細工、硝子を使った工芸品。
砂漠を渡ってやってきた、ラグジュアリーな品々がたくさんだ。
ただの土産物だけでなく、中には魔法のアイテムも存在するのだとか。
こちらのエリアも店主に希望を伝えれば、オーダーメイドも叶うはずだ。
迷路のような
市場を巡るうちに、腹の虫が声を上げるやもしれない。
大丈夫。人の集う場所には、必ず食事処があるものだ。
露店のほか、集落の一部家屋も酒場として営業している。
瑞々しい果実の搾りたてジュース。
ぐるぐると回して焼いた、できたて熱々の肉の串。
香辛料が身体に染みる、野菜がごろごろ入った汁物。
ナッツがぎっしり詰まった甘い焼き菓子。
ここまでに挙げたメニューは、振る舞われている中のほんの一部に過ぎない。
とても一日では食べきれない程の食が其処にある。
何を選んだものか、それこそが問題だ。
今日のバルバ・スークではどんな出会いがあるだろう?
誰にも確定されていない時間を、どう過ごすも貴方次第だ。
アレンカレン・マイグラント
※連携・アドリブ歓迎
やったよサニー!未来を変えられたよ!
星霊スピカのウェザーおじいちゃんも【召喚術】で呼んで、三人でバルバ・スークを歩こう!
…物々交換、挑戦してみようかな
師匠が値切ってるのを見てた事あるし…う、うん。私にもできる…はず!
わぁ、これステキ
虹みたいな色彩の、ステンドグラスのキャンドルホルダー
思い切ってお店の人に声をかけるよ
「あ、ああのぅ! これ、ぶっつぶつ交換でもいいですかっ?」
師匠に「路銀尽きたら売れ。もしくは襲われそうになったらブン投げろ」って貰った、硝子のペーパーウェイトがあるんだ…けど…
ど、どこおぉぉぉ?(鞄の中身全部並べ)
星が煌めく夜空があったんだけど…こっちは夕焼けだし、こっちは霧の夜明け…(ペーパーウェイトごろごろ)
え?サニー、おじいちゃん、どうしたの?(服をひっぱられ)…上着のポケット?
…あ、あったぁぁ!
「す、すみません店主さん、これと…ぶ、ぶつぶつでお願いしまぁす!」
交換できたら大事にしまい込むよ
サニーもおじいちゃんもありがとう
お礼にジュースとお菓子を買うよ
●
陽は高く、空は青い。
広い集落の何処を見ても、人、人、人がいっぱいで。
煌びやかで、鮮やかな色々が並んでいる。
静寂の内にあった地は、今やこんなにも賑やかに。
「す、すごい……やった、やったよサニー! 私達、未来を変えられたよ!」
アレンカレンの輝く瞳に、精霊バルカンが「にゃあん」と嬉し気に鳴く。
そんな無邪気な様子の一人と一匹を見つめるは。
「ねえ、ウェザーおじいちゃん。見てみて! これがね、バルバ・スーク!」
ふわふわ眉毛で目元が隠れた、年齢不詳の星霊スピカだ。
おじいちゃんの愛称に相応しい仕草で、ふごふご眉毛を動かして少女に何やら訴えかけているようだが……?
「え、後ろ? ……わぁ、ステキ」
ウェザーに促され、アレンカレンが振り返った先。遠目に見える露店には、馴染みある少し懐かしい輝きが。
「サニー、おじいちゃん。行ってみよう! ……わわっ!?」
たまたま通りすがった、長身のバルバの一団につっかえたりもしつつ。
みんなで一緒に、輝きを求めて。
(「どれも綺麗だけど、うん。やっぱりこの子だ」)
少女が惹かれたその場所はステンドグラスの、それもキャンドルホルダーを専門に取り扱う店であった。
中でも、虹のような色彩のひとつがアレンカレンの琴線に触れた。
値札を確認し――お財布事情を考慮する。
それなりの持ち合わせはある。加えて、近くには両替商の姿も見える。
けして手の届かない物ではない、が。
(「こういう時、師匠は確か……それにここでは……う、うん。挑戦してみようかな」)
想起したのは師匠の顔と、バルバ・スークでの取引の基本。
郷に入っては何とやらと、少女は店主に声掛けて。
「あ、ああのぅ! これ、ぶっつぶつ交換でもいいですかっ?」
ちょっと噛んだ。
欠伸をするサニー、ふごふごしているウェザー。
和やかな客人の様に、店主――兎の耳持つ妙齢のピュアリィ女性が笑みを零した。
「ああ、構わないよ。で、それ相応の品は持ってるのかい、お嬢ちゃん」
「え、あ、は、はい! これを……え、あれ?」
ごそごそ、がさがさ、どんがらがしゃん!
鞄の中をひっくり返すも、“相応の品”が出てこない!
――路銀尽きたら売れ。もしくは襲われそうになったらブン投げろ。
事付けとセットで渡されていた、師匠謹製の硝子のペーパーウェイトが。
「ど、どこおぉぉぉ?」
“星が煌めく夜空”ならきっと、お目当てのキャンドルホルダーに釣り合うはず。
そう思ったのに。
「こっちは夕焼けだし、こっちは霧の夜明け……」
ころころ、ころころ。
少女の鞄の中から出て来るペーパーウェイトは、探し物とは別の物ばかり。
「いやいや、いくつ持ってるんだい」
涙目のアレンカレンに店主が思わずツッコんだ直後。
くいくいと少女の服を引っ張った者がいた。
もふもふ眉毛のウェザーおじいちゃんである。
「え、どうしたの?」
ウェザーと視線を合わせるように屈み込んだ少女の上着を、傍らからサニーがてしてし猫の手で叩く。
「上着のポケット? ……あ、あったぁぁ!」
大事に大事にしまっていたそれは、間違いなく探し物だった。
「す、すみません店主さん、これと……ぶ、ぶつぶつでお願いしまぁす!」
「物々交換だね。うん、構わないよ。商談成立だ……時に、お嬢ちゃん」
「は、はい!?」
「アンタのペーパーウェイトの価値はきっと、お目当てのランプよりも重い。アンタが大切に扱っていた分が上乗せされているからね。だから」
おんなじように大事にしておくれ、と。店主は微笑んで、虹のランプを包み始める。
「アンタが大事にしてくれた分、ランプの価値も上がるってもんさね」
「……はいっ!」
虹の包みを胸に抱えて、アレンカレンはのんびりと歩む。
「サニーもおじいちゃんもありがとう」
にゃあにゃあ、ふごふご。
星霊達へのお礼に、まずはジュースとお菓子を。
匂いを導に十字路を曲がる。
空色の瞳が映す
市場はきっと、目に見える以上に広くて深い。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・アンバーロン
アドリブとか御任せ
ふう、エリクシルも倒したことだし
ようやく本命のバルバ・スークを見ることができるよ
定位置(左肩)にシルヴィア(星霊スピカ)を呼び出してっと
先ずは必要なものを買おうかな
星霊建築に必要な塗料とか切らてたから、ストックを買おう
…売ってるかな?
食べ歩きとかしてみたいなぁ
後は珍しい道具や便利そうな道具があったら、買ってみようかな
シルヴィアの直感に任せるのも良いかも?
シルヴィア、おしゃれしたい?
スカーフとかリボン買う?
まさか、エンドブレイカー!外の外の物が流れついて売られる事は無いだろうし、気ままにのんびり、ブラブラと色んなお店を回るだよう
●
色鮮やかな糸を編み込みながら、静かに店番をする者がいる。
一方で、遠くまで響く呼び込みの声も――飲食店の連なる方角からか。
各々が思い思いに過ごし、独特の空気が生まれ、時が流れる。
営みが、其処にあった。
エリクシルを討ち果たし、未来が紡がれたからこそだ。
「ようやく見て回れるよ……ねえ、シルヴィア?」
ソフィアが瞳を和らげれば、左肩にちょこんと鎮座した星霊スピカが頬を摺り寄せて応える。
いよいよ
本命の時間だ、さてさて何処から巡ったものか。
「食べ歩きとかもしてみたいなぁ。けど、先ずは必要なものからかな」
たしか、星霊建築用の塗料を切らしていたはずだ。
「ストックを買っておこう。……シルヴィア、売ってると思う?」
顔を見合わせ、一緒になって首を傾げたところに。
「あれぇ、強ーいお姉さんじゃないか。何か探し物かな?」
懐こく話しかけてきた者がいた。
先の戦いで救われた、キャメリアンの若者の一人であった。
集落の主たるキャメリアン達は、
市場の運営を担う立場にある。
つまりは、露店の区画や商品の情報を把握しているわけだ。
若者の案内を受け、ソフィアとシルヴィアが辿り着いたのは魔法の道具が取り扱われている一画であった。
無事に塗料を入手した後、ぶらぶらと散策してみれば、様々な物が目に留まる。
「おー、そこのお嬢ちゃん。見てってくれよ! こいつはな、何と異世界から流れ着いたという曰く付きの――」
「ええー……本当かな?」
怪しげな商人のセールストークに付き合ってみたり。
「あ、これシルヴィアに似合いそうかも」
魔力を帯びたリボンを手に取って、相棒の毛並みと合わせてみたり。
「スカーフもいいかも。……お揃いで買う?」
気ままに、のんびりと。
ソフィアとシルヴィアは今日も一緒。
二人だけの時が流れてゆく。
*****
市場が最も盛況なのは、黄昏時の頃合いだ。
此の場所において黄昏は、衰退や幕切れを意味しない。
昼と夜とが混ざり合い、別の顔へと切り替わる。
帰還や出立は、まだ早い。
宿で眠るには、まだ早い。
月が半分、顔を見せる日はオアシスの街に行くといい。
お前の求めるものはきっと、善きバルバ達の
市場にあるから。
終幕の時など決まっていない。
守られた営みは続いてゆくから。
大成功
🔵🔵🔵