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小さな村の最後のお祭り

#エンドブレイカー!


●とある小さな都市国家
 それはそれは辺境にある小さな都市国家。
 15年の年月を経て大きくなった領地、その片隅にある平和な村。
 最初はモンスターが襲来していたがやがてそれも無くなり、今は豊穣を願う祭りが行われんとしていた。

「此処も大分にぎやかになって来たな」
 小さな小役人を思わせる白髪交じりの男が流れのサーカス団の到着に賑わう村を見て呟くと……。
「伯爵……伯爵殿ではないですか!? こんな村に来られるとは……驚きですな?」
 男よりはるかに威厳と強さに満ち溢れた男が『伯爵』に頭を下げる。
「今日は忍びだ。それに自分の元部下が剣を捨て鍬を持ってようやくつかみ取った平和な日常を祝い忘れるほど無粋じゃないぞ、村長……いや百人長」
「これは失礼いたしました……旅団長殿」
『伯爵』の言葉に『村長』が答え、互いに笑う。
「まあ、それも昔話だ……久しぶりに君の顔を見れて嬉しいよ」
「こちらもです、伯爵殿」
 小さな男と頭一つ大きい男、道を分かれた彼らが目指したものは形は違えども同じもの。
「ところで百人長」
「はい」
 そんな二人の声色が変わった。
「どうやら無粋な輩がやってきそうだな」
「視ましたか……お供しますよ旅団長」
 村の賑わいを横目で眺め、二人の男は森へと歩いて行った。

●グリモアベース
「そして二人は死に、虐殺が始まる」
 グリモア猟兵、流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)はまず結論から述べた。
「この二人がどうして気づいたのかは分かりませんが、小さな都市国家の小さな村。そこで行われている祭りのクライマックスで虐殺が行われます」
 どんな表情を浮かべればいいか思案しつつ影郎は話を続ける。
「今回の敵はオブリビオンではなく、エリクシル。目的は『この虐殺で死んだ人々を生き返らせたいという願い』を得るため……何というか目的のためには手段を選んでませんね、これ」
 グリモア猟兵が息を吐く。
 我欲の為に非道に走る存在を知らぬ年ではなかったが、実際に目の当たりにすると気分も悪いのだろう。

「幸いにも今から駆け付ければ、先走った二人より先にエリクシルに遭遇します。まずはこいつを撃退です」
 影郎は三本の指を立て、そのうちの一つを折る。
「次にこのエリクシルが死に際にモンスターを大量召喚してきます。召喚は食い止められませんから、此処で踏ん張ってモンスターを全滅させてください」
 二つ目の指が折られた。
「そうすれば、つつがなく祭りは行われます。去っていくも、見守るのも、参加するのも皆さんの自由です。お好きに過ごされてはいかがでしょうか?」
 三つ目の指が折れ、そして風車が投げられた。

 回転動力炉の唸りと共に門が開かれる。
「最初から強敵、その後は消耗した身で殲滅戦です……余力を残して戦うとかは難しいと思いますがよろしくお願いします」
 眼鏡の位置を直し、硬い表情でグリモア猟兵が告げた。


みなさわ
 新たなる世界より来るは願い歪めし存在にして虐殺者。
 こんにちは、みなさわです。
 今回はエンドブレイカー、とある小さな都市国家にある小さな村のはずれで行われる誰も知らない貴方だけの戦いを。

●第一章
 いきなりボス戦です。
 敵は強め、判定は普通に行いますが損耗があると考えてください。

●第二章
 集団戦です。
 おそらく疲労、損耗などを抱えた状態での多数との戦闘です。
 知恵を凝らすか、意地を張るか、ここが勝負の見せどころでしょう。

●第三章
 ここまで到達すれば、皆さんが目の当たりにするのは平和な村の豊穣祭。
 流れのサーカス団がやってくる中、人々がその年の収穫を願い、模擬的な結婚式やダンス、ささやかな宴会などを催します。
 参加するのもよいですし、見守って背を向けるのもよし。
 皆様にお任せします。

●戦場
 村へと通る一本道の林道、固く踏みしめられた土の道は戦うのに支障はありません。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 では、皆様。
 終焉を撃ち砕く時が来ました。
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第1章 ボス戦 『鮮血の女王』

POW   :    鮮血光線
【王冠のエリクシル】からレベルmまでの直線上に「神殺しの【真紅の光】」を放つ。自身よりレベルが高い敵には2倍ダメージ。
SPD   :    エリクシルの女王
【エリクシルの輝き】を纏った真の姿に変身する。変身中は負傷・疲労・致命傷の影響を一切受けず、効果終了後に受ける。
WIZ   :    願われし力
【完全なる肉体を持つエリクシルの女王】に変身する。変身後の強さは自身の持つ【願望宝石エリクシルの数×大きさ】に比例し、[願望宝石エリクシルの数×大きさ]が損なわれると急速に弱体化する。
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●其は終焉もたらす願望の女王

 それはひとの大きさではなかった。
 それはひとの身体を成していなかった。
 何故なら、それは巨大な頭部だけだったのだから。

 途切れた皮膚から露出する骨と管。
 真赤の宝石を冠とした鮮血の女王。
 名をエリクシル。
 その顕現体の一つ。

 あと数十分もすれば二人の男と遭遇し、最初の生贄となるであろう。
 村の長と都市国家の伯爵。
 誰もが尊敬する村一番の男と、小さな国を広げることに尽力した男。
 その二人を失えば、村は間違いなく滅び、それはやがて都市国家の滅びに達するであろう。

 だが、それは食い止められる。
 門が開き現れる者達が居たのだから。
 名は猟兵――新たなる終焉を砕くもの。
ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

エンドブレイカー…!
いいだろう!この騎士ベルト・ラムバルドが
ふざけた終焉を台無しにしてやるぞ!行くぞ!こんの頭でっかちめ!

キャバリア操縦しながら敵と戦闘!
頭でっかちが放つ真紅の光には二刀の大剣を盾代わりにして
ハイパーカリスマオーラを纏ってのオーラ防御で時間を稼ぐ!

…貴様と戦うのは私だけではない!
もうそろそろか…他の世界にも勇士達はいるのだ!
もうすぐ彼等はここに来る!

UCで勇士達を召喚し一斉攻撃!
敵が気を取られてる隙に切り込んで二刀の剣を振り回し
王冠の宝石目掛け鎧砕きと鎧無視攻撃の二回攻撃を喰らわせてやるぞ!

頭でっかちめ…その首貰った!
…いや頭か?てか首だけだし……ともかく貰ったァ!


シリン・カービン
この世界は初めてですが、
「精霊はちゃんと働いているようですね」
既知の世界と変わらないことに安堵する。
これなら、戦える。

「闇よ来たれ、影よ行け」
召喚された分身を木の陰に残し、道の反対側の森へ跳ぶ。
完全なる肉体を得たエリクシルの目を惹き、
木々の合間から姿を見え隠れさせて誘う。

注意が完全にこちらに向いた瞬間、
分身が死角からエリクシルの宝石を狙撃。
分身に注意が向けば、自分が死角から狙い撃つ。
五感を共有しているのでタイミングは逃さない。
さらには植物の精霊の助けを借り、
枝を揺らすなどして注意をそらす。

翻弄している間がチャンス。
その間に出来るだけ宝石を減らして力を削ぐ。
エリクシル、あなたは私の獲物。



●蒼穹より来たりし巨人は狩人と共に女王を狩らん

 最初に挑むは鋼鉄の巨躯であった。

終焉を砕く者エンドブレイカー……!」
 ベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)が暗黒騎士を思わせる鋼鉄の巨人、クロムキャバリア――パロメデスを駆り呟く。
 コンソールに移るは巨大な女の頭部。
「いいだろう! この騎士ベルト・ラムバルドが、ふざけた終焉を台無しにしてやるぞ! 行くぞ! こんの頭でっかちめ!」
 最後の台詞が残念な分、本当の騎士の道はまだまだ遠そうであるが前に進む勇気に不足はない。
 だからこそ神も攻撃に容赦がなかった。
「……ネガエ」
 ただ一言唇を動かせば王冠より迸るは神殺しの光。
 それは阻むはビームと実体二つの大剣。
 パロメデス右手に握られた光の刃が威力を相殺し、左手にある鋼の刀身が残滓を食い止める。
 そして輝くはクロムキャバリア。
 ベルトの輝けるカリスマ、その力がオーラとなって顕現し黒騎士は輝きの騎士となり、女王を阻む。

 ――その一方で森の中を疾走する影があった。

「精霊はちゃんと働いているようですね」
 精霊と星霊の満ちた都市国家、その中に出来た森を走りつつシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は安堵した。
 この世界は初めてだが、精霊を力とするシリンにとっての不安要素は消えた。

 ならば――戦える。

 あとは自分の仕事をするのみ。
「闇よ来たれ、影よ行け」
 木の陰に飛びこんだ狩人、新たに駆け出せば影が残り分身となって精霊銃を構える。
 影の配置を確認したシリンは別の狩場を目指して走る。
 まだ機は速い。
 ――自分の仕事はもう少し後だ。
 彼女の読みが正しかったかのように空を割るように船が――疾走した。

「……貴様と戦うのは私だけではない!」
 エリクシルの鮮血光線を真っ向から受け止め、ベルトは叫ぶ。
 同時に伝わる空を割るような音と怒号、蛮声。
「他の世界にも勇士達はいるのだ!」
 それは蒼穹の空にて共に戦った者達。
 ガレオンを駆り、巨大な頭部たる女王に対し円を描くように回り込み砲火を――放つ。

 蒼穹より来る歴戦の勇士 ブルーアルカディア・ウォーリアー

 魔導砲が、マスケットが、雨あられと襲い掛かりエリクシルの側方から痛打を浴びせる。
 これは溜まらないと女王が距離を取り、光線の狙いを勇士達へと定めた時だった。
「頭でっかちめ……その首貰った!」
 宝石を砕くかのように振り下ろされる実体剣の一撃。
 続け様に撃ち込まれるビームセイバーによる刺突は巨大な頭部を抉った。
「……いや頭か? てか首だけだし……ともかく貰ったァ!」
 だがやられっぱなしのエリクシルではない。
 ユーベルコードの力で完全なる肉体を一時的に顕現させると、その腕を持ってパロメデスを振り払う。
 そこへ――一条の弾丸を空を貫き、宝石を砕いた。

「……エリクシル」
 熱が残る精霊猟銃、その照準越しにシリン・カービンが唇を動かす。
 狩人――文字通りのイエーガーの狙撃に対し、女王はその腕を振り回す。
 木々が薙ぎ倒され、全てを叩きつぶさん勢いで襲い掛かるそれは、突然動きを止める。
 肩を――撃ち抜かれていた。
 エリクシルが視線を向けた先にはもう一人のシリンが居た。

 シャドウ・ダブル狩人は二人いる

 闇の精霊が作り上げた影にして分身。
 五感を共有した二人の狩人は正確に宝石を撃ち抜き始めた。
 一つ。
 二つ。
 三つ。
 宝石が打ち砕かれるたびに完全たる肉体を持った女王は力を失う。
「エリクシル」
 狩人は名を告げ、そこへ黒騎士は剣を振り上げた。
「あなたは私の獲物」
 シリンの宣告とともに精霊猟銃がエリクシルの王冠を彩る宝石を撃ち抜き、続いてベルトが駆るパロメデスが袈裟に顕現した女王の肉体を袈裟に斬り捨てた。
 咄嗟、歪んだ願いをかなえる女王は光線を辺りに放つ。
 紅い閃光が猟兵達の視界を数秒、支配した。
 そして光が消えた時、エリクシルの姿はそこには無かった。

「逃げられたか、あと一歩でボッコボコだったのに!」
 キャノピーが開き、姿を現したベルトが悔しそうに呟く。
「大丈夫です」
 残った弾丸の数を確認しつつシリンは答えた。
 残弾は心もとない、どこまで戦えるか……けれど。
「猟兵はまだ控えています、そして――」
 狩人がキャバリアを見上げた。
 大剣は熱で劣化の兆しを見せ、いつまで十全に稼働できるかは分からない。
 だが問題はないと二人とも判断している。
終焉を砕く者エンドブレイカーという者もここに来るのだから」
 シリンの言葉に頷き、騎士は再びキャバリアに乗り込んだ。

 彼女の言葉は予知ではなく、確信であったのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
アドリブ歓迎

【WIZ】

闇色の狼の姿のUDC「ツキ」と梟の姿の精霊「ノクス」を伴って。

エリクシルの思考回路は理解し難いですね。虐殺は何としても阻止しなければ。
魔力が餌であるツキは「そんなに強い敵ならば、さぞかし美味(うま)いんだろう」とやる気充分な様子。

ノクスには二人がこちらに来ないよう見張りを。

【指定UC】の黒槍で宝石の数を減らす、もしくは削り取って力を削ぎます。
黒槍で撃ち漏らしたものは、詠唱銃で撃ち抜きます。(【早業】【クイックドロウ】)銃弾は【破魔】の力を付与している特別製。
【属性攻撃】魔法も併用して戦います。
弱点も探せると良いのですが。

魔導書の加護(【オーラ防御】)は働いていますが、負傷は避けられないでしょう。痛みで怯んだり攻撃の手を緩めることなど有り得ませんが(【激痛耐性】)。
右手を負傷しても戦えるよう、武装を左で扱う訓練も抜かりありません。

目立つような戦い方の理由は、強敵だからということもありますが、奇襲を命じ潜ませているツキの存在を悟らせない為です。
合図は念話で送ります。


毒島・雅樂
まァ大した理由は無ェンだが…粋なヤツと無粋なヤツのどちらに肩入れするかってェ言われたら考えるまでも無ェだろ?
ってワケで…ドーモ。珍しく戦ル気のある竜神サマの顕現だぜィ。

体力を惜しンで長期戦になってもザマねェンでな、初手から飛ばして征こうかィ。
頭の宝石をブッ潰シて征くのが常道ってトコか…つまりは、妾の得意な「切り込み」からの閣思君を纏っての接近戦ってトコさね。周りの小さ目のからブッ潰シて征って、最後は【赩龍ノ断罪】でデカいのを潰シて諸行無常と洒落込むぜェ。

あ゛~…他の面子が居るなら共闘は問題ないぜ。
楽シて勝てるンなら万々歳。まだ、昔くらい血が滾る感じもシねェからな。



●願望砕くは真理求める人と神

「エリクシルの思考回路は理解し難いですね」
 シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)が眼鏡に指を当て、呟く。
「まずは虐殺を何としても阻止しなければ」
 それに応えるかのように闇色の狼が唸り声をあげる。
「……ツキ」
 窘めるようにシンは一言、狼――UDCの名を呼ぶ。
「良イじゃねェか」
 その様子を見ていた毒島・雅樂(屠龍・f28113)が歯をむき出しにして笑う。
「粋なヤツと無粋なヤツのどちらに肩入れするかってェ言われたら考えるまでも無ェだろ? そいつだって同じようなもンだろ?」
 謎を追うを生業とする竜神、今は・・やる気を見せているのは何かに当てられたのか、それとも。
「そんなわけで、珍しく戦ル気のある竜神サマの顕現だぜィ」
「そうではないのですが……」
 魔術師が雅樂へと応えようとして、自らそれを止める。
 せっかくやる気になってくれているのなら、そのままの方がいい。
 おそらくは相当の気分屋であろう。
 シンは竜神の相を見抜き、彼女の思うがままに任せることにした。
「さて、来ましたよ――一緒に行きましょうか?」
「ああ」
 魔術師が促せば、雅樂が一言。
「楽シて勝てるンなら万々歳。まだ、昔くらい血が滾る感じもシねェからな」
 かつての竜神は未だ、戻らず。
 そこに居るのは虹彩異色の瞳を持った女が一人。

 その視界に鮮血が如き紅い髪の女王が飛んできた。

「ノクス、見張りを」
 シンが傍らにいた梟の姿を借りた精霊に命じ、背後へと飛ばす。
 グリモア猟兵の言葉にあった一般人を戦闘に巻き込む訳にはいかない、念を入れる必要があった。
「体力を惜しンで長期戦になってもザマねェンでな、初手から飛ばして征こうかィ」
 その間に雅樂が先んじて飛び込み、緋色の稲妻を身に纏い切り込んだ!
 王冠めがけて叩き込まれようとした一撃。
 だが、それを巨大な掌が阻んだ。

 願われし力 完全たる肉体の顕現

 完全たるエリクシルの女王。
 自らの頭部に相応しい肉体を得た神は巨大な掌で真っ向から竜神の拳を受け止め、せめぎ合いの末、離れるのは雅樂。
「やるねェ」
 着地ざまに距離を取り、様子を伺うは竜の神。
「ならば――」
 続くようにシンが詠唱銃片手に生み出すのは黒槍。
「ここは手数で行きます!」

 殲滅の槍の召喚 サモン・アナイアレイター

 それは混沌より出でし未知の鋼。
 ただ石を砕くことに特化した千と三百の黒槍が質量と数を持って、エリクシルの王冠を彩る宝石を貫き、割っていく。
「まだだ!」
 続くように詠唱銃の引鉄を引く魔術師。
 小さな宝石が一つ割れるがその痕跡に目を見開く。
「破魔が効果ない……どういうことでしょうか?」
「絡繰りみたいなもンさ」
 シンの疑問に雅樂が答えた。
「願イを歪めて叶えて力を得ル永久機関……ただそれだけの奴。だから魔じゃねェのさ」
 願望を叶える魔神が故、ただ力を求めるが故、それは破魔に値しない。
 竜神だからこそ雅樂はその本質の一端を見抜く。
 そこへ――エリクシルの足が二人を踏み潰さんと光を阻み、その踵を落とす。
「危ない!」
 魔術師は咄嗟に竜神を突き飛ばし、巻き起こる粉塵に消えた。

「何すンだ! このメガネ!」
 庇われたことに不満と怒りを漏らす雅樂。
 それは自身のプライドを自らの慢心を許せないが故。
「……大丈夫です」
 転がるように煙の中からシンが出て来た。
 幸いにも踏み潰されることはなかったが、その時に生じた瓦礫に腕をやられている。
「左手でも銃は撃てます」
 詠唱銃を左手に持ち魔術師はエリクシルを狙う。
「あなたはその間に――」
 その目に込められた意図、そしてシンが今、一人でいる事・・・・・・
「分かッたぜ……決めてやるさァ」
 それを理解した竜神は魔術師の援護の中、エリクシルへと走る。
「ご丁寧に踏み込ンでくれて……アタマが近いンだよ!」
 女王の巨体を駆け上がるように雅樂が跳び、宝石を砕く。
 最初は小さな宝石を、そして本命の一撃を一番大きい石へを叩き込まんと距離を詰めた時、王冠は赤く煌めく。

 ――鮮血光線

 神殺しの光。
 だがそれは雅樂の急所を貫くことはなく、その左腕を焼く。

 ――ツキだ。

 黒狼のUDCがその牙を女王の首へと突き立て、軌道を逸らしたのだ。
「へッ……上等だ」
 放たれた竜神の貫手、落ちた紅葉が脆く崩れ去るように光線を放った宝石が破壊されん!

 赩 龍 ノ 断 罪 ヒイロノケンキュウ

 直後、閃光が煌めき戦場は緋色に染まった。

「……やりましたか」
「いや、逃げらレた」
 シンの言葉にいささかつまんなそうに雅樂が答える。
「デカイのを完全に潰す前に目を灼かれた」
 何度か瞬きを繰り返す竜神。
 虹彩異色の銀の瞳、すぐに視力は回復するだろう。
「次に備えようぜェ。まだお仲間は居るンだろォ?」
 雅樂の言葉に黒狼と梟を自らの元へ呼び寄せた魔術師は頷く。
「そうですね、合流して次に備えましょう」

 追撃は無用だ。
 グリモア猟兵の予知通りなら戦いはまだ続く。
 他の猟兵と合流し、次に備えるべきなのだ。

 ……例え、その腕が動かないとしても。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キャスパー・クロス
共闘・アドリブ歓迎

「見つけた!!」

エリクシルを見つけ次第大声で叫びながら【切り込み】の飛び蹴り!
敵の注意を此方に向けるよ

私の愛する世界の片隅で、誰かが悲劇に見舞われようとしている
お節介焼きエンドブレイカーが動くには十分すぎる理由だよね!
それに……エリクシルが悪さしてるってのに、別の世界の猟兵にオネガイシマースって訳にはいかないさ

【空中浮遊】+【空中機動】で宙を舞い、目まぐるしく【空中戦】を仕掛けよう
とことん目障りに、小回りを効かせて【挑発】するように動く
敵のデコビームは直線範囲なんでしょう?だったら
こうして囮になって味方を巻き込まない方向に誘導してやるのが一番

大体こういうビームってのは撃った直後が隙があるって相場が決まってんのさ
ビームを誘発できたら撃ち際を【見切り】、【推力移動】の【ダッシュ】で避けて、反撃開始!

「葡萄色‪──‬」
【カウンター】のUC《葡萄色は秘やか》で敵の平衡を崩し

「‪──‬乙女色‪‬!」
《乙女色は僅か》で、王冠のエリクシルを蹴撃!
その悪しき終焉の元凶をぶっ壊す!


ミカエラ・ロメ
厄災を齎すエリクシル―――放っておくわけにはいきませんね
人々の平穏な未来を守る為に私も尽力いたします

攻撃が村や此方へ向かってくるであろうお二人に向かせるわけにはいきません
私は星霊グランスティードアラケウスを召喚し、騎乗して戦います
騎馬の機動力を生かして、時には空中すらも駆け抜け、敵の気を引きつつ攻撃方向をそれらから逸らしますね
絶えず動き続ける事で私自身への攻撃も極力避けますが、避けきれない攻撃は盾や防具で受けたりなどで致命傷を負わない様に動きます

攻撃方法は雷光を纏った突撃やすれ違いざまの武器による一撃離脱を繰り返します
時には攻撃するとみせかけてしないなどのフェイントも織り交ぜますよ



●其れは終焉、砕く者

 エリクシルが村への道を疾走するように飛ぶ。
 もう完全たる身を顕現することは叶わないが、それでも願いを起こすために生命奪う事は可能だ。
 一人殺せば、誰かが願う。
 二人殺せば、さらに願う。
 そう、殺せばいいのだ。
 願いの為に。

 だが、それを撃ち砕く者がいた。
 人は、魔女は、女王は彼らをこう呼び、呪った。

 ――エンドブレイカーと!

「見つけた!!」
 切り込むのはキャスパー・クロス(空色は雅やか・f38927)。
 空の走り方を知っている少女は大人になり、そして今も終焉を砕く。
 飛び蹴りでエリクシルの進軍を食い止めると反動で宙返りしつつ着地。
 自らの射程距離の中に女王を捉えつつ空の走り手は出方を伺う。
「私の愛する世界の片隅で、誰かが悲劇に見舞われようとしている」
 ステップを踏みながらキャスパーの唇が動く。
お節介焼きエンドブレイカーが動くには十分すぎる理由だよね!」
 エンジンがかかって来たのか、それとも元々の性格か、快活な声色が森に響く。
「それに……エリクシルが悪さしてるってのに、別の世界の猟兵にオネガイシマースって訳にはいかないさ」
 そして呟くはエンドブレイカーとしての矜持。
 それが今、キャスパーをこの場に立たせる。
「そうです!」
 同調する声が響き、騎士鎧に身を纏った少女が空の走り手の隣に並ぶ。
「厄災を齎すエリクシル―――放っておくわけにはいきません」
 若きエンドブレイカーであるミカエラ・ロメ(天誓騎士撃滅卿・f39103)が凛とした声で剣を抜く。
「人々の平穏な未来を守る為に私も尽力いたします」
 彼女の意志に応えるかのように剣は炎を纏う。
「エリクシルのデコビームは直線範囲、分かってるね?」
「はい! お任せください!」
 若き天誓騎士の姿に未来を見たキャスパーが問いかければミカエラが応える。
 考えることは同じであった。
 撃滅卿たる少女が駆け出せば、共に走る星霊が現れる。
 名はアラケウス。
 その力の名は――

 星霊グランスティード 我、人馬一体とならん

 馬を思わせる星霊に跨ったミカエラとキャスパーが空を駆ける。
 腕も足も作り出せない巨大なるエリクシルの女王はその姿を見上げる事しかできなかった。

「最初は私が動く、道はあなたが切り開いて!」
「わかりました!」
 キャスパーが正面からエリクシルへと走り込み、ミカエラがそれに続く。
 直後、放たれる鮮血を思わせる光線。
 咄嗟、右に跳んだ走り手の左肩をかすり、その白い肌を焼く。
 痛みに顔を歪めたキャスパーに対し女王は笑みを浮かべる。
 次は外さないと狙いを定めた時、雷光を纏った騎乗突撃から振り下ろされる騎士の剣によって宝石が砕かれる。
 ユーベルコードの特性の違い。
 破壊力ある一撃と違い、グランスティードは能力を速さと電光を常に与える。
 切り開くのは継戦能力に優れたミカエラ。
 キャスパーはそのために囮に専念すればいい。
 勿論、エリクシルもただではやられない。
 騎乗突撃ならいくら速くても次の攻撃までのタイミングがある。そこを突いて狙えばいいのだ――そう神殺しの光線を!
 騎士が向き直った時、光が少女を貫かんと一直線に走った。

 その時だった。

「させるものか!」
 女王の側頭部に蹴りが叩き込まれる。
 キャスパーだ。
 石が砕ける音が響き、射線がずれ、ミカエラが盾を構える時間が生まれる。
「……ぐっ」
 呪いや不幸、困難を跳ね除ける固く閉じられた門。
 天と地を隔てる門 アイテール・ゲートと名付けられた盾が光線を受け止める。
 盾が貫かれることはなかったが込められた祈りが消えていくのが少女の手に伝わる。
 一時的なものではあるが、今はただの盾と変わらない。
 だが、それを覚悟しての盾と鎧だ。
「――行きます! アラケウス!!」
 グランスティードの名を呼び、騎士は天と地を隔てる門アイテール・ゲートを手放すと光線の軌道をなぞる様に疾走し空いた左手に持ったアイスレイピアを突き立てる。
 ――電光!
 細剣を通して内部に流れた電撃にエリクシルの動きが止まった時、空に彩が差す。
 そう……キャスパーだ。
「葡萄色‪──‬」
 女王の真下へ走った女が天に向かって蹴りあげるのは。

 連携の始まりとなる一撃 葡萄色は秘やか

 顎を蹴られエリクシルが空を見る。
 階層を照らす光が視界に入った直後、影が眩き空に針の如く穿たれた!
「──‬乙女色‪‬!」

 乙女色は僅か オトメイロハハツカ!!

 蹴り上げからの空への疾走。
 見えない壁を駆け上がるように宙返りを決めたキャスパーが全体重を踵に乗せて女王を踏みぬかん!
 咄嗟、光線にて迎え撃つエリクシル。
 だがもう遅い。
 紅い閃光に照らされた空の走り手は既に砕け、欠けていた王冠の宝石を完全に破壊し、女王の頭部を貫いた!

 紅い薔薇が咲き、そして枯れゆくが如くエリクシルは塵芥とならん。
 だが、その唇がわずかに動いたのを二人は見逃さなかった。

 着地したキャスパー。
 すぐにミカエラがグランスティードを駆って隣に並ぶ。

 エリクシルは此処に果てた。
 だが願いを歪める女王は最後に力ある言葉を放ったのだ。

 ――人々の死を叶えんと。

 死の気配が訪れる中、二人は次の戦いに備えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ボアヘッド』

POW   :    ボアクラッシュ
自身の【牙】を【長大】化して攻撃し、ダメージと【大量出血】の状態異常を与える。
SPD   :    剛鬼投げ
【接近して敵を掴んで】から【投げ技】を放ち、【抑え込み】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    集落形成
レベルm半径内を【バルバの集落】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【凶暴性】が強化され、【知性】が弱体化される。
👑11
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●それぞれの役割、それぞれの値段

 村へ通る道の脇、茂みの中で男達二人は何かを待っていた。
「……来ませんね」
 土で顔を汚し、少しでも目立たないようにしていた大きな男が呟いた。
「百人長、ちょっと顔見せろ」
 その横に居る枝を絡めたような外套を羽織っていた小さな男が自分の部下に指示を出した。
「旅団長、『視る』んですか……その目で見られるとあまり気持ちいいものではないのですが」
「僕だってそうだ、なんでこんな茂みの中で中年男の顔を覗かねばならんのだ」
『旅団長』が皮肉と共にその三白眼で『百人長』の顔を覗き込んだ。
「…………」
「……視えましたか?」
 部下の問いに小さな男は頷き、そして立ち上がる。
「帰るぞ、どうやら僕達は別の役割があるようだ『村長』」
「つまり兵隊ごっこは無しという事で?」
『村長』の問いに『伯爵』は頷き、外套を脱ぎ捨てた。
「こんな辺鄙な国の辺鄙な村の為に生命をかけてくれる物好きが居るらしい。ならば彼らが戻って来た時に村が平和であることを示すのが僕達の役割だ」
 大男は袖で顔を拭い、土汚れを落としながらかつての上官に並んだ。
「良いんですか『伯爵』殿、助太刀に行かなくても」
「僕ももう現役じゃないんだ、次の世代に任せるさ。ほら急げ、彼らはおそらく疲れ果てても、こちらを覗きに来るだろう。鼻をくすぐるシチューか何かを用意しておいても損はない」
 先を行く小さな男。
 村を守り続けていた男は彼の言う通りにするために後に続いた。

 ――
 ――――
 ――――――

 ――咆哮。

 魂が震えるほどにそれは冷たく響いた。
 エリクシルが最後の力を振る絞って呼びよせたもの。
 かつてこの都市国家にも生息していたが追い立てられ、人と交わり、そして消えていった獣。
 それがまるで、今まで潜んでいたかのように存在・・を主張し始めてきたのだ。
 唸り声は獲物を求める肉食獣が如く。
 乱れぬ足音は訓練された人の様。
 斧を片手に現れるのはバルバ、獣頭人肢の魔獣達。
 その頭は猪。
 全てを貫かん牙を持つ者の名はボアヘッドと呼ばれていた。

 今、そのボアヘッドが村へと歩みを始めた。
 木々が邪魔をし正確な数は分からないが千は確実に超えるだろう。
 疲弊した猟兵達をそれを迎え撃つために大地に足を踏みしめる。
 休む暇など無かった。
 だが、引き返すことは許されなかった。

 彼らを見逃せば虐殺がなされ、違うエリクシルに誰かが願う。
 そう――エンディングが始まるのだ。

 故に砕かなければならない。
 ――その終焉を。
ミカエラ・ロメ
なるほど、大軍で人々の命を踏み荒らす気ですか
多少辺りを荒らしてしまいますが、ある程度攻撃の誘導はされますし、あの大軍を放置すればそれ以上の被害は免れませんからね
敵が数頼みで押し寄せて来るならば、私もそれを超える数でお相手しましょう

先手必勝、乱戦になる前の露払いです
ソード・ミラージュを発動後、分身全員で【来たれ、邪悪なるモノを滅する剣よヘブンリィ・サンクション】を発動し、降り注ぐ六千を超える光剣による飽和攻撃を行います
その後は集団に囲まれぬようアラケウスに乗り戦場を止まることなく駆け、先制攻撃で統率が乱れている所や手負いの敵を優先的に処理して数を減らしていきますね


ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

…あんの頭でっかち!余計なものをよびやがって~!
今度はあの猪頭を全部駆除せにゃならんとは!
先の戦いのせいでうまく動くかどうか…だが私はベルト・ラムバルド!
やるしかないんだよ!行くぞ!

限界突破してキャバリア操縦して戦闘
群がる猪頭はサークランサーぶん回して範囲攻撃と重量攻撃で蹴散らす!
キャバリアだから抑え込みは効かない…が数が多い!
悪人面の猪め…悪人?そうか!ならばこちらは…悪くていい子達だ!
UCでデビルキングワールドの悪魔達を召喚!

悪魔の皆さん!あの猪頭は悪!あいつら倒せば凄いワル!OK?ならばGO!

めちゃ強い悪魔達を指揮して猪頭を蹂躙してやるわ~!
貴様等全員…牡丹鍋だーッ!



●騎士は数を以って、大軍を打たん。

 大多数の敵に猟兵は如何に立ち向かうか。

「……あんの頭でっかち!余計なものをよびやがって~!」
 ベルト・ラムバルドの言葉遣いが騎士にしては乱雑なのは性分なのか、それとも戦場を点々とした結果、戦友達から教わった結果なのか、それは分からない。
「なるほど、大軍で人々の命を踏み荒らす気ですか」
 そんな中、ミカエラ・ロメは冷静に戦況を見極める。
「多少辺りを荒らしてしまいますが、ある程度攻撃の誘導はされますし、あの大軍を放置すればそれ以上の被害は免れませんからね」
「ああ、そうだな。このままだとメチャクチャのケチョンケチョンだ」
 盾の重さを気にしつつ状況を分析したミカエラ。
 それに応えるベルトは焼け付く臭いが鼻につくキャバリアへと乗り込んだ。
「敵が数頼みで押し寄せて来るならば、私もそれを超える数でお相手しましょう。そのあとは……お願いします!」
「分かった、後は任せてくれ!」
 天誓騎士の言葉に暗黒騎士は快活に答えた。
 粗野な面は有れど、その身は騎士の心。
 だからこそ、ベルトは何かをしてくれるとミカエラは信じ。
 暗黒の騎士もそれに応えんとした。

 ――大多数の敵にどうやって立ち向かうか。
 二人の騎士の考えにおそらく不足はないだろう。

「とは言ったものの、先の戦いのせいでうまく動くかどうか……」
 コクピットまで入り込んでくる焼けた臭いにベルトは顔をしかめる。
「だが私はベルト・ラムバルド!」
 けれど、ここで引くわけには行かない。
「やるしかないんだよ! 行くぞ!」
 自分は宇宙の闇に光刺す暗黒の騎士なのだから。
 コンソールが閃光に覆われたのはその時だった。

「先手必勝、乱戦になる前の露払いです!」
 ミカエラの言葉と共に彼女の姿が霞んだかと思えば、自らの残像を作り出しそれは質量を持ち分身へと変わる。

 ソード・ミラージュ 剣士は幻影が如く自らを軍と為す

 天誓騎士であり魔法剣士であるミカエラが使うアビリティにしてユーベルコード。
 それは自らの残像を現実のものとし、そして次の技を模倣する。
 ミカエラと11人の分身が片腕を掲げた。
 天に光が差し、閃光は剣となって降り注がん!

 来たれ、邪悪なるモノを滅する剣よ ヘブンリィ・サンクション

 光剣が降り注ぐ。
 世界に、ミカエラに、害意を持つ者に。
 そう――森に潜み、今にも襲い掛からんとしたボアヘッドの大軍へと。
 人ならざる叫び声が響いた。
 人語を話すバルバと言えど、断末魔は獣に近い。
 無理もない。
 避けるには数が多すぎるのだ。
 一人当たりが降らせる光の剣は555本。
 それが十二名で行えば森は光に包まれるも同然。
 代償として威力と命中率は半減するが数がそれを補う。
 そして突き刺さればボアヘッドの身を焼くのは太陽の熱。
 半減したとはいえ、死を伴うには充分であろう。
「今です!」
 自らも星霊グランスティード――アラケウスに騎乗し、森へと走る。
 露払いは済んだ。
 次はキャバリアの足元を守る番だ。

 光剣の雨から生き残ったバルバの大軍が突撃を敢行したのはほぼ同時であった。
 乱戦にて騎士達を呑み込む、モンスターの目的は明確であった。

 パロメデスが飛びこむ。
 既に限界を超えているがそれでも襲い掛からんとしたボアヘッドをRBXSサークランサーにて薙ぎ払う。
 5mに近い巨人が振るう槍はその質量を以ってバルバを薙ぎ払い、振り下ろした槍はモンスターを容易く叩きつぶす。
 だが数が多い。
 多すぎるのだ。
 ミカエラが足元を守る様に奮戦するか衆寡むなしくバルバがキャバリアへとしがみつき、斧で装甲を叩く。
「……なっ!?」
 キャバリアの巨体なら容易に投げられないとベルトを踏んでいた。
 だが数がそれを凌駕する。
 足元に、機体に、しがみついた大量のボアヘッドが集団の力で足元を崩し、パロメデスを押しつぶさんとその上に次々とのしかかった。
「悪人面の猪め……」
 苦々しくコクピットの中で呟く暗黒騎士。
 その時、何かにひらめいたように唇が動いた。
「悪人? そうか!」
 ベルト・ラムバルドは幾多の戦場を渡り歩いた男である。
 それ故に戦友に事欠かない。
 そう、デビルキングワールドに住む悪魔だって仲間だ。

 猛烈! 悪魔王魂! ゴーゴー・デビルキングスピリット

 百と三十の悪魔(善人)が戦場に現れる。
「悪魔の皆さん!」
 ベルトの言葉に応える様々な外見を持つ集団。
「あの猪頭は悪! あいつら倒せば凄いワル!」
 彼らはデビルキング法を守ることに関しては定評のある者達。
「OK? ならばGO!」
 つまりワルを倒して頂点テッペン獲ることに全力を注ぐのだ。

 たちまち悪魔によってパロメデスに群がるボアヘッドが蹴散らされる。
「大丈夫ですか!?」
 統率が乱れたところに騎乗突撃にてバルバを葬ったミカエラが問う。
「ああ、問題ない!」
 ベルトは快活に天誓騎士に応え。
「貴様等全員……牡丹鍋だーッ!」
 暗黒の騎士らしく悪魔を率いてこの一帯の集団を壊滅に追いやった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

毒島・雅樂
さてさて、生首は無事にお陀仏シたようさね。
当面の敵はブッ倒シて、視力も戻って来たが、残念ながら左腕は碌に使いものにならねぇ…つまり、妾の戦ル気が雲散霧消の無影無踪。なンか近場で面白ェ探偵小説を手に入れて塒に帰る…と、普段なら言いたいトコだが、さっきも言ったろ? 珍シく戦ル気がある、ってな。

まぁ、連戦は疲れるンで一服くらいさせてくれよ。敵の姿を間近で見ながら一服するってェのも乙なもンだろ?
あ゛~…心配ねェよ、直ぐに吸い終わる。煙が戦場に満ちるくらい吸ったら、直ぐに、な。

【紫龍ノ嘆息】

妾は偶に思うンだが、外で煙が兇器だと探偵も一苦労だよな…ってのは戯言で。
…な。直ぐに終わったろ?



●竜神は戦場にて、戯言を語る

 二人の騎士が戦場を支配してもなお、バルバの勢力は衰えを知らない。
 人――猟兵が認識できる戦場の範囲には限りがあるからだ。
 故に残存する勢力を取りまとめボアヘッドは新たに進軍を開始することが出来た。
 戦場に取り残された同胞を見捨てれば、群れは普通に動くことが出来るのだから。

 ――そして獣は竜の罠に飛びこむ。

「さてさて、生首は無事にお陀仏シたようさね」
 近くの岩に腰かけ、毒島・雅樂が煙管に火を入れる。
「当面の敵はブッ倒シて、視力も戻って来たが、残念ながら左腕は碌に使いものにならねぇ……」
 遠くよりバルバの足音が響き渡り足元がわずかに揺れる中、虹彩異色の瞳を瞬かせる。
「つまり、妾の戦ル気が雲散霧消の無影無踪。なンか近場で面白ェ探偵小説を手に入れて塒に帰る」
 そして気だるげに一服すると吐き出されるは紫煙。
「……と、普段なら言いたいトコだが」
 煙の中、雅樂が笑みを浮かべる。
 それは龍のみが見せる人外の相。
「さっきも言ったろ? 珍シく戦ル気がある、ってな」
 煙が漂う中、竜神はただ待った。
 ――敵の襲来を。

「やァやァ、おいデなすッたな」
 左腕をだらりと下げ、歓迎するかのように紫煙漂う中、雅樂が右手を上げる。
「まぁ、連戦は疲れるンで一服くらいさせてくれよ」
 一人で座って煙管を楽しむ人間、普段なら殺意を以って駆逐するであろうバルバが足を止める。
「敵の姿を間近で見ながら一服するってェのも乙なもンだろ?」
 女の異様な姿に警戒を抱いたのではなく、その目の奥に潜む何かを警戒しての事。
 だからこそボアヘッドは斧を構え、ゆっくりと近づく。
 堅実に、丹念に、すり潰す。
 人を確実に殺すための動き。
「あ゛~……心配ねェよ、直ぐに吸い終わる」
 殺意に囲まれる中、意に介さずとばかりに雅樂が煙を吐く。
「煙が戦場に満ちるくらい吸ったら、直ぐに、な。」
 その意味をバルバ達は理解できない。
 だが、戦場が支配されていたことには気づいた。
 何故なら吐き出した紫煙は龍を形どり、この場を、森を、駆け巡っていたのだから。

 紫 龍 ノ 嘆 息 ソシテダレモイナクナッタ

 煙の龍はボアヘッド達を駆け巡る。
 煙は視界を阻害し、肺へと潜り込み呼吸を奪う。

 一匹目は呼吸が出来ず、嘔吐し、喉を詰まらせた。
 二匹目は眠るように死に。
 三匹目は煙の中取り残される。
 四匹目は誰かが振るった斧で頭を割られた。

「妾は偶に思うンだが、外で煙が兇器だと探偵も一苦労だよな……ってのは戯言で」
 次々と死んでいくボアヘッドを眺め雅樂は語る。

 最後の一匹が息苦しさに喉を締め付けるように抑えて倒れる。

「……な。直ぐに終わったろ?」

 戯言は此処に終り、そして誰も居なくなった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シリン・カービン
村へと通る一本道の林道。
その中でも特に見通しの良い区間を確認する。
ここが、狩場。

村に向かって林道を走る。
自身の存在を誇示するように駆け、森の中に見え隠れするボアヘッドを撃つ。
誘われた敵が森から道へと溢れ出してきても、
速度と体術で腕を躱し、自身には触れさせない。
こうして出来るだけ多くの敵を林道に誘い込む。

「羽根妖精よ、私に集え」
ボアヘッドの先頭集団を複製精霊猟銃数挺で牽制し足止め。
距離を開けたら、残りの精霊猟銃を合体させ巨大な精霊砲とする。
「あなた達は私の獲物」
林道にひしめき合うボアヘッドに向けて、閃光を発射。

討ち漏らしがいても残しておいた精霊猟銃で掃討。
獲物を狩り終えるまで、狩りは終わらない。



●狩人は狩場にて先駆けに挑まん

 バルバ達がまた固まり、集団となる。
 一つ、二つ、と何かに遭遇し半分以上はどこかへ消えて行ってしまったが、内なる衝動が求めるものは充分に果たせる。
 殺意の高いボアヘッドの一匹が声を上げれば、それにつられて猪頭の集団は武器を掲げる。
 エリクシルによって与えられた力は数だけでない、それを取りまとめて運用する原始的な知性、戦闘勘すらも強化されていたのだ。
 その中で最も獰猛な集団。
 先駆けとならん命知らずの猛者達が我先に前に進む。
 その視界に白い肌のエルフらしき者が飛びこんだ。

 村へと通る一本道の林道。
 少しだけ勾配があり、登り切れば見晴らしの良い。
 そんな道をシリン・カービンが走る。
 明らかに囮であった。
 だからこそボアヘッドも一部を散開させ森から攻め入る様に進ませた。
 逃げ道を塞ぎ、林道にて集団で殺さんがため。

 一条の弾丸が森へと飛んだ。
 シリンが構えた精霊猟銃からだ。
 唸る様に何かを呪うような悲鳴が上がる。
 踏み固められた土の上に薬莢が落ちる。
 その頃にはもう一射、狩人の弾丸がバルバの頭部を貫いた。

 ボアヘッドは混乱した。
 囮だと思った相手が明らかに優れた狙撃手だったことに。
 ボアヘッドはすぐに考えを変えた。
 相手が一人なら、数で凌駕すれば良い事を。
 森へと走った仲間を呼びよせるとバルバ達は道幅一杯に横並びとなり、そして突撃を敢行した。

 ……機は訪れた。
 手持ちの銃弾は最早数発もないが、シリン・カービンにはまだ弾丸が残っていた。
 ユーベルコードという名の――
「羽根妖精よ」

 ――弾丸が!

「私に集え」

 ピクシー・シューター・ギガント 精霊は銃となりてここに集わん

 狩人の周りに現れる百二十丁の精霊猟銃。
 そのうちの二十が火を吐き、先頭を走るボアヘッドを駆逐し、進軍を止める。
 だがそれは牽制。
 一直線の林道、高地を取り見晴らしがよくても、射ち倒せる対象には限度がある。
 射撃を繰り返して削る殺す手もあるが、バルバの獰猛さを考えると押し切られることが多い。
 ならばどうするか――砲にて殲滅を計るのだ。
 最初の斉射はそのための時間稼ぎ。
 そしてシリンの手には百の精霊が集って作られた砲ともいえるほどの長大な銃があった。
「あなた達は私の獲物」

 ――閃光。

 反動に耐える狩人の靴が土を削る。
 林道を一直線に進んだ光は先駆けのボアヘッドを全て吞み込み戦場に静寂が訪れた。

 この場での戦いは終わった。
 だがシリンは此処から動かない。
 残った精霊猟銃を構えて、林道を確保しなくてはいけないからだ。
 エルフの長い耳が遠くを走る足音を捉える。

 数は大分少ないが、まだ敵は残っていたようだ。
 けれど問題はない。
 猟兵は――まだ居るのだから。
 狩人は、敵を、仲間を、迎えるため林道にて再び銃を構えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シン・クレスケンス
アドリブ、連携OK

【SPD】

(動かない、か。この腕ではリロードもままならないが、それならそれでやりようはある)
と胸中で呟いて。

時間も無いようですし、手当は後回しですね。
傷の痛みはおくびにも出さず行動します(【激痛耐性】)が、常に共にいるツキやノクスには気付かれているでしょうね。

村を護ることが最優先なので、村に近い場所にいる敵から優先して確実に掃討していきます。
ノクスには【索敵】をお願いして、ツキと協力して戦います。
ツキは連戦でも絶好調な様子。
僕は好調とは言い難いですが、戦うには問題ありません。

隠れているかも知れない敵相手には、殲滅力の高い広範囲攻撃の術式よりこちら(【指定UC】)の方が都合が良いですね。
詠唱銃の詠唱機構をフル稼働させて、魔力自体を銃弾代わりにして戦います。
異界の炎ほどでは無いですが、火力は高いですよ。
こう見えて魔力量やスタミナは高い方なので、暫く戦い続けられるでしょう。

敵との接近は避けて立ち回りますが、掴まれた時は目などを撃ち抜いて抜けます。
ツキの援護にも感謝しなければ。



●そして魔術師は此処に立つ

 村から約1km。
 遠くからは声が聞こえる。

 笑い声。
 歓声。
 悲鳴。
 怒鳴り声。
 そして笑い声。

 それは小さな村のささやかな日常。
 これが最後の祭りにさせないが為に猟兵は戦い、終焉を砕いてきた。
 そのために狼と梟を伴いし魔術師も――此処に立つ!

「――動かない、か」
 シン・クレスケンスが右腕に視線を落とす。
 その腕では戦闘中の再装填リロードもままならないだろう。
 最後の弾丸を装填しつつ、左手に詠唱銃を握る。

 ――それならそれでやりようはある。

 胸中で呟き、シンは歩を進める。
 その右腕、スーツの袖を咥える者がいた、ツキだ。
 闇色狼のUDCは何も口にせず、ただ青い瞳の魔術師を見つめる。
 割って入る様に梟の姿をした精霊――ノクスが左肩に停まる。
 誰しもが怪我に気づいていた。
 誰しもが痛みに耐えていると知っていた。
 だから……。
「大丈夫ですよ」
 主たる男はただ笑い、林道へと視線を向けた。
 姿は見えない、だが殺意と足音は感じる。
 敵はもうそこまでやって来た。

「ノクス、索敵を。ツキは敵を追い立ててください」
 腕は動かなくても頭は動く。
 人は考えることを止めたら終わりだ。
 理解したからこそ、今の自分がおり。
 真理を探究するからこそ、シン・クレスケンスは今の自分でありうるのだ成長し、前に進むのだ
 空より梟が合図するかのように旋回を始める。
 疲れ知らずの魔狼が機先を制し、森へと飛びこみボアヘッドに襲い掛かった。
 数は敵の方が多い。
 だが空からの目があれば居場所は探れるし、身軽で獰猛な供が居れば戦場は支配できるのだ。
 シンが白銀の銃身を持つ拳銃の機構を開放する。
 隠れているかも知れない敵相手なら殲滅力の高い広範囲攻撃の術式より――こちらが向いている。

 詠唱機構解放 バーストモード

 詠唱銃の自動詠唱機構から供給される属性付与の魔力弾。
 射撃可能時間は131分……二時間を超える!
 そして足を止めて撃つことで攻撃速度は三倍となる。
 つまり、そこに立つのは――魔力を帯びたマシンガン。
 リロード出来ないのなら……その必要がない方法を取ればいい!

 いくら木が盾になろうと。
 いくらボアヘッドが頑強であろうと。
 空より場所を示され、側背から追い込まれれば、そこに生まれるのは骸の大軍。
 悲鳴と共にバルバ達が倒れていく。
 別の場所から蛮声が上がった。
 ツキが追い立てていない範囲からボアヘッドが突撃をかけてきたのだ。
 どんなに弾が多くとも、いつか尽きる。
 それを数で圧し潰せばいい。
 獣どもはそう判断し、大地を駆ける。
 だがシンとてそれは承知。
 片腕は動かねど、魔力も体力も残っている。
 だが無駄弾を放つ気もさらさら無かった。
「――ノクス、ツキ」
 魔術師が指示を出す。
 梟は主人の意を組んで目標を見つけると狼に報せ、魔狼が大軍の中に飛びこみ獰猛なバルバに食らいつく。
 たちまち乱れるボアヘッドの足取り。
 そこにシンが斉射を浴びせるとまた一団、獣が倒れていく。

 シン・クレスケンスは村の護りを優先し、前に出る者、村に近い者を優先して狙う考えでいた。
 自然とそれを担うのは群れの中で取りまとめが出来る力や勇猛さに溢れるリーダー格となる。
 ノクスがそれを探り、ツキが食らいつく。
 結果、烏合の衆が生まれバルバは的に変わる。
 それはコントロールされた狩りと変わらない光景であった。

 最初は十が死に。
 次は五十が死ぬ。
 やがて骸が積み重なり。
 最後に残ったのは十匹たらず。

 獣のような唸り声と共に走り込むボアヘッド。
 魔力弾の斉射を喰らい、同胞が倒れゆく中、なおも一匹が掴みかからんと走る。
 ツキが首元に食らいつき、獰猛なバルバがそれを力づくで引きちぎると土の上に赤いものをまき散らし、汚れた右腕を伸ばす。
 シンのシャツのボタンが飛び、襟元に太い指が絡む。
 ボアヘッドが渾身の力を込めて持ち上げようとした瞬間、猪頭の耳に突きつけられる銃口。

 最後の銃声が響き、一人と一匹が倒れた。

 梟が心配そうに羽ばたき、狼は何を寝ているんだと言わんばかりに見つめている。
 視界にそれを認めた魔術師は戦いが終わったことを理解し、ただ空を見上げるばかりだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『お祭りに行こう』

POW   :    物怖じせずに現地の人々と交流する

SPD   :    出店や屋台を見て回る

WIZ   :    祭りの由来や歴史を教えてもらう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●小さな村の今年のお祭り

 村は賑わいを見せていた。
 豊穣を祝うために人々が踊り、子供たちが仮初の結婚式を行い、そして流れのサーカスが舞台を披露する。
 日頃の手伝いで貯めた小遣いを握りしめ少年少女が天幕に走り、小さな弟をつれた兄がシチュー、そして様々な具材とスパイスをちりばめられたライスを受け取る。
「ビリー・ザ・ニー!!」
 弟が声を上げ具材とスパイス盛り沢山のライスを持って走れば、兄が慌てて追いかけた。

 君達は目にするのはそんな村の光景。

 そこに幸せと届かないものがあるのなら、次の戦いのために踵を返すのも一つのやり方だ。
 でも、もう一つの方法もある。

「やあやぁ、よく来てくれた」
 上質に仕立てられたシャツの袖をまくって食事を配っていた小役人っぽい男が声をかける。
「今日はこの村の豊穣祭なんだ。よかったら一緒に参加してくれると嬉しい。君達は遠くから来たんだろう? ならば村にお金を落としてくれると助かるんだ」
「伯爵殿!?」
 隣にいた、明らかに威厳のある大男が声を上げた。
「村長、今の僕は君の知り合いだ……あんまり伯爵とか言われると困る」
 不機嫌そうに小さな男が応え、改めて向き直る。
「まあ、そういうわけで事情を察してくれると嬉しい。流れのサーカスを見に行くのでもいいし、子供たちの結婚式に参加……はもう無理だな。じゃあ、折角だからこの村の名物のシチューと、かつて村を守った英雄がもたらしたというビリー・ザニーを食べてくれると嬉しい」
 小役人風の男の隣で大男はむず痒そうな表情を浮かべる。
「ああ、僕は単なる役人だ。名前とか細かいことは良いだろう? で、この大きいのがこの村の村長で、かつて村を守った英雄だ」
「はい……私の名はビリー。今はこの村の長をしております。貴方がたが何をしてくださったかは靴や振る舞いを見ればわかります。だから、これは私と伯爵……役人さんからのお礼という事でいかがでしょう?」
 紹介された村長が大きな身体を丸めて礼を述べると、自称役人の小さな男は鍋をかき回し始めた。

 小さな村の祭りが始まる。
 影で英雄が戦っていたことは知っている者は少ない。
 けれど、それを感謝する者はいる。
 それ以上に村人たちは遠くより来た猟兵達を歓迎していた。

 歓迎のメニューは。
 流れのサーカスと子供たちの模擬結婚式と振舞われる料理。

 かつての終焉砕きらしく、人知れず去るか。
 それとも村の祭りに参加し、人々と幸せを分かち合うか。
 選ぶのは猟兵――君達だ。
ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

いやぁ~何とかなったもんだ…
戦友達のおかげだな…いやもちろん私の実力もあるけどな?!
せっかくの祭りだから楽しもうじゃあないの!名物のビリーザニーとやらを食べたいしな…♪

礼儀作法とコミュ力で村人達と交流だ!
私は流浪の騎士ベルト・ラムバルドでして…めいがす?
これはメイガスでなく我が生まれ故郷のキャバリアというものです!
そもそもキャバリアとは…て聞いてないし…がっくし…

…せっかくだからスパイスを少し加えて祭りをもう少し盛り上げてやろうか…よし!
UCで東方妖怪の皆さんをこっそり召喚して妖怪花火に化けて貰おう
空一面の花火で人は驚くし妖怪達も大喜びでwinwinだ!
…ビリザニ美味しいな♪



●祭りは祝砲から始まり

 気が付けばもう夜。
 当然であった、一日に強敵との戦いから大軍との連戦を繰り広げたのだ。
 時だって進む。

「いやぁ~何とかなったもんだ……」
 そんな中、ベルト・ラムバルドは小役人が注いだジョッキを傾けていた。
「戦友達のおかげだな……いやもちろん私の実力もあるけどな?!」
「酔ってるねえ、キミ」
 自信満々なベルトの様子に自称役人の男も楽しそうだ。
 流れるようなムーブでジョッキを満たしていく。
「せっかくの祭りだから楽しもうじゃあないの! 名物のビリーザニーとやらを食べたいしな……♪」
 スッと差し出されるビリー・ザニー。
「旦那ぁ、飲ませすぎじゃないですか!?」
 若干、困惑気味に村長が自称役人の男に話しつつ、暗黒騎士にはスパイスがふんだんに振るわれた料理を渡す。
「英雄とは酒の席でも英雄なのだよ。僕も君もやらかしたろう」
「奥方にお話しておきますね」
 村長であるビリーの言葉に自称役人の小男は困った笑いで返した。
 役者が後退するかのように役人と村長は下がり、次は村人がベルトの元に集まってくる。

「騎士の旦那! 名前は何というんだい!?」
 気風の良い村男がジョッキ片手に問いかける。
「私は流浪の騎士ベルト・ラムバルドでして……」
 ベルトが立ち上がってその場で名乗りを上げんとすれば。
「メイガス!」
 少年が一人、パロメデスを指差して叫んだ。
「……めいがす?」
 キャバリアと少年に視線を巡らしながら流浪の騎士はキョトンと答えを返し。
「これはメイガスでなく我が生まれ故郷のキャバリアというものです!」
 改めて胸を張って答える。
「メイガス! メイガス!」
「そもそもキャバリアとは……て聞いてないし……がっくし……」
 何も知らない少年がメイガスと連呼する中、ベルトは肩を落とし村人はそっと新しいジョッキを渡した時……。

 ――空に花が咲いた。
「……伯爵殿、貴方の差し金で」
「知らん、大方あの騎士の好意だろう」
 遠く離れた場所で村長と伯爵が話す。
「来年が大変ですね」
「……予算は補助してやる」
 互いに渋面になりながら、かつての戦友はジョッキを打ち合わせた。

 少女が呆けたように空を見つめ、少年は母親のエプロンを引っ張る。
 男達が口笛を鳴らす中、騎士はもらっていた食事を堪能する。
「……ビリザニ美味しいな♪」

 自らの戦友が作り出してくれた花火を肴に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
アドリブ歓迎

【POW】

小瓶の中の液体を飲み干し。
「ようやく人心地つきましたね」
小瓶の中身は【指定UC】で生成した魔法薬。
右腕の完治まではあと少し掛かりますが、普通に動かすだけなら問題は無いでしょう。

せっかくですので、村に行ってみませんか?
回復した途端これだ、と言わんばかりに呆れ顔のツキを宥めて。
こればかりは僕の性分なので。
戦闘で乱れた服装を整えて、ツキとノクスを伴って移動。

村の方々と交流したり催しに参加させて頂くことは、僕自身の見聞を広めることにも繋がりますので。

皆さん楽しそうで、とても良いお祭りですね。
お料理も良い味です。

平和な豊穣祭の様子を眺めて微笑み。



●魔術師が守りし、平和な日常

 時は夜から遡り……
 遠くから聞こえるのは豊穣を祝う声。
 それに耳を傾けながらシン・クレスケンスは上体を起こして持っていた小瓶を傾ける。
 痛みが和らぎ、右腕に感覚が戻ってくる。

 魔法薬の効果が効いてきたらしい。

 ゆっくりと立ち上がるとその足元に黒狼がやってきて獣ならざる金色の目で見上げた。
「せっかくですので、村に行ってみませんか?」
 その言葉に異形の狼――ツキは飽きれたようにその場を回る。
 まるで「お前はいつもそうだ」と言わんばかりな表情であった。
 黒狼の姿にシンは苦笑しつつスラックスの埃を払い。
「こればかりは僕の性分なので」
 乱れたネクタイを締めなおした。
 この振る舞いにツキは仕方がないなと頭を垂れつつ魔術師に従い。
 梟の姿をした精霊、ノクスもそれに倣うように彼の頭上で羽ばたいていた。

「おや、英雄の御帰還かな?」
 時々偉そうに振舞う自称役人の男が鍋をかき混ぜながらシンの姿を見て問いかける。
「いえ」
 魔術師は頭を振り。
「たまたま、立ち寄っただけですよ。こちらには見聞を広げるために旅をしております」
 少しの嘘をちりばめて答えを返す。
 過剰な歓待を受けて酒を飲まされることになるのは避けたい。
 自分の魔法薬の効果に自信はあるが、リスクを避けるに越したことはない。
「そうか、じゃあ折角だから祭りを見て行ってくれ。あとこれも持っていくと言い」
 男から料理とカップを手渡される。
「これは――」
 カップの中身は酒ではなく、珈琲。
 役人なりの配慮なのだろう。
「ありがとうございます」
 シンが礼を述べると、男は知らんとばかりに再び鍋をかき回し始めた。

 村人達が祭りを楽しむ。
 異邦から来た魔術師を拒むことなく、無理に酒を注ぐことはないが料理がどんどん増えていくのが玉に瑕だった。
 多すぎる料理をツキとノクスに分け与えると、自分の分を口に入れる。
 少し鉄の味がしたのは口の中が傷ついていた時の名残りだろう。
 コーヒーで一度、舌を綺麗にした後改めて食べるとピリッと来るスパイスの辛さと風味が味を引き立てていることに気づく。
「祭りはどうでしたか?」
 彼の姿に気づいた村長が問いかけて来る。
「皆さん楽しそうで、とても良いお祭りですね」
 シンは笑みを浮かべて答え、食事を口に運ぶ。
「お料理も良い味です」
「それは良かった」
 村長を務める大男はホッと胸をなでおろす。
「貴方がたが満足してくれれば、それが一番の光栄です」
「そういえば……」
 何かを思い出し魔術師は問いかける。
「こちらではコーヒーは」
「ええ、嗜好品です」
 村長が先んじて答えた。
「ここの領主の酔狂でしょう」
 それ以上は男は何も言わず。
 シン・クレスケンスもそれ以上の詮索は止めた。

 村は賑わいを見せる。
 勝利の代価は平和な豊穣祭。
 だからだろうか。
 それを見守っていた時、自然と笑みがこぼれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

毒島・雅樂
今度こそマジでヤる気が雲散鳥没シたさね…。
とは言え、折角の誘いを断るのは粋じゃねェシ…何より、堪らなく美味そうでイイ匂いがするからな。ご期待に沿って金でも落として…ま、楽シもうか。

取り敢えず、最重点目標は飯さね、飯。
シチューとその…ビリー・ザニーってェのを貰おうかい。肴に村にソイツを齎した英雄譚ってェのがあれば聞くぜィ? 楽しい話は大歓迎さね。
チビ達の結婚式ってェのも目の隅に入るがイイもンさね。こう言うひと時は尊いもンさ。

…っと、飯も喰えて一段落したらお暇シようかい。
あ゛~…暇の前に、イイ本屋とか教えてくれたら、助かるさねェ。それと、まぁ…これからも気張りな、英雄サン達よ。

…どっとはらい。



●竜神は英雄譚に耳を傾け

 祭りの中、所在なさげに毒島・雅樂は歩く。
「今度こそマジでヤる気が雲散鳥没シたさね……」
 己が興味を持った事――エリクシルとの戦いを終え、今はただ気怠い。
「とは言え、折角の誘いを断るのは粋じゃねェシ……何より」
 けれど、身体はそれを上回るのか鼻腔をくすぐる匂いに胃袋が。
「堪らなく美味そうでイイ匂いがするからな」
 ――報酬を求めていた。
「ご期待に沿って金でも落として……ま、楽シもうか」
 自称、小役人の男の話を思い出しながら雅樂は村の奥へと歩を進めた。

「シチューとその……ビリー・ザニーってェのを貰おうかい」
 雅樂が鍋をかき混ぜている村人に話しかければ野菜がゴロリと入ったシチューとスパイスがふんだんに使われた料理が手渡される。
 胸元に視線が来ていたのはいつもの事だと思っていたら、村人の膝を村娘が的確に蹴り込み、つい笑みが漏れる。
「ソういェば……」
 人ならざる言葉が混ざりつつも竜神は唇を動かす。
「肴に村にソイツを齎した英雄譚ってェのがあれば聞くぜィ?」
「聞きたいのか?」
 空気を読むかのように小役人のような男が顔を出した。
「聞きたいねェ」
 雅樂の笑みに三白眼の男も同じように笑みを浮かべた。

「かつてビリーと言う男が百人長として兵士を率いていた時の話だ」
 子供たちが演じる仮初の結婚式を眺めながら自称役人が語り始める。
「この村の周辺に続発するバルバ退治に赴いていた彼は上官の命令を拒み、村を守るべきだと意見した。隊を率いていた旅団長はその場で彼を解任し、村に置いて行った……部隊は見事にバルバを討伐したが残党が数十体、村を襲ってきた。ビリーは奮戦し、無事に村を守り切ったという」
「へェ、中々に英雄譚な話じゃないかね」
 ビリー・ザニーを平らげた雅樂が小さな英雄譚に少しだけ興味を惹かれる。
「……実は裏話がある」
「いいねェ、聞かせてくンな」
 男の言葉に竜神がさらに興味が持つ。
「上官は実は村への襲来を予見していた。ただ兵と時間が足りなかった。だから空気の読めるビリーはわざと意見を述べて、上官も自由に行動できるようにその場で解任したって話さ」
「なんだい、上官さンは悪者じゃないンだ?」
 役人が肩を竦める。
「まあ苦渋の選択だったんだろう。結局ビリーは戦傷を追ってこの村に厄介になり、やがて村長となった……ちなみに上官は今でも英雄に会いに行っているようだ」
「ふぅーン……」
 楽しそうな目で雅樂は男を見る。
 それ以上は何も言わなかった。
「……っと、飯も喰えて一段落したらお暇シようかい」
 服の埃を払うようにして、竜神は立ちあがる。
「世話になったな」
 自称役人の男が空になった器を受け取る。
「あ゛~……暇の前に、イイ本屋とか教えてくれたら、助かるさねェ」
「農村にそれを求めるな……一筆書いてやるから、今度来た時に上の階層に来てくれ」
 女の言葉に無理難題だと言いつつ、男は証文に署名して手渡した。
「それと、まぁ……これからも気張りな、英雄サン達よ」
「君もな」

 かくして竜神と役人はその場を分かれる。
 その後の話しはまたいつか。

 どっとはらい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミカエラ・ロメ
小さくも活気がある良い村ですね
多くの未来がここから育まれていくのでしょう

戦いの跡を見せぬ様に武具は脱いで仕舞って参加しますね
折角ですから私もシチューとビリー・ザニーをいただいていきます
疲れた体に暖かい食事はよく効くものです
シチューは具材によく味が染みていて美味しいですね
味は違えど、この暖かみのある風味が故郷を思い出します
そしてこのライスはスパイスが利いていて、単品でも美味しいですし、シチューと一緒に食べても、香りがよく交じり合いまた違った味を楽しめますね
それを前提に作られたのでしょうか? それとも他に何か歴史があるのでしょうか?
少し興味があるのでお邪魔にならなければ、お二人に聞いてみたいですね



●騎士はちょっとした秘密を知る

 祭りで賑わう村の中を娘が一人歩いていく。
 戦いの後を見せぬようにと鎧を脱いだミカエラ・ロメの姿は他の村娘より少し器量が良いのをのぞけばこの村の住人と変わりないように見えた。

 ――小さくも活気がある良い村ですね。

 ミカエラが村の賑わいに目を細める。

 ――多くの未来がここから育まれていくのでしょう。

 終焉砕きから猟兵となった彼女の決断がこのような形で結果を結んだことに少しだけ喜びと希望を持つ。
 村を歩き、祭りを見ていったミカエラが着いたのは天幕に覆われた調理場。
 そこでは村長と小役人を自称する男が鍋をかき回していた。
「……持っていくかい?」
 少女に気づいた役人の男が問いかける。
「はい、お願いします!」
 快活なミカエラの答えに男は目を細め、具沢山のシチューとスパイスがふんだんに盛り込まれた食事を手渡す。
 少女がスプーンをシチューに沈め、具とスープを胃袋へと運ぶ。

 ……温かい。

 疲れたからか、温かい食事が身体に沁み込んでいく。
「シチューは具材によく味が染みていて美味しいですね」
 気のせいだろうか塩が強い気がする。
 味付けそのものは違うけれど、風味と濃いめの仕立ては故郷を思い出す。

 おそらくは畑を耕す者達に合わせているのだろう・……。

「そしてこのライスはスパイスが利いていて、単品でも美味しいですし」
 ミカエラがシチューをスプーンですくいビニー・ザニーにかけていく。
「シチューと一緒に食べても、香りがよく交じり合いまた違った味を楽しめますね」
「混ぜるんだ……」
 珍しいものを見るように役人の男が呟いた。
「それを前提に作られたのでしょうか? それとも他に何か歴史があるのでしょうか?」
 ミカエラの言葉を聞いて、小役人が村長へ肩肘を当てた。
「あー、ウホン……これは私の生まれ故郷の郷土料理で、選ばれた者しか作れない秘伝の料理だったらしく、祭りの前日に彼らに酒を渡して作ってもらう物でした」
「……どうして、村長さんは作り方を知ったのですが?」
 村長の言葉に疑問を感じた少女が質問する。
「それは……あまりに美味かったので、三日三晩通ったのです、彼らの元へ」
 要は押しかけ弟子だったと村長は説明した。
「そしてこの村で戦いがあり、怪我をした英雄は負傷した身を押して疲れていた村人たちにその料理を振舞ったのさ。だからビリー・ザニービリーの料理と呼ばれて、村の名物となった訳だ」
 助け舟を出すかのように役人が話す。
「ビリー・ザニー……良い名前じゃないですか!」
「それが本人は恐れ多いってな……結局は押し切られたようだけど」
 ミカエラの言葉に小役人は笑って話す。
「――伯爵殿!?」
 村長が困った顔を見せ、小さな男はさらに笑った。

 笑い声、歓声、誰かの喜ぶ声がミカエラの耳を打つ。
 今だけは天誓騎士でなく一人の少女として、この幸せを大事にしたい。
 その想いは胸の奥へとしまわれた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
祭に賑わう通りを歩くと、
料理を掲げた小さな男の子が走って来るのが目に入った。
「ビリー・ザ・ニー!」
勢いよく蹴躓いて料理ごと宙に舞う男の子を両手でそれぞれキャッチ。

礼を言う兄に頼み、料理が振舞われる場所に案内してもらう。
そこには鍋をかき回す男と大柄な男。
勧められるままにテーブルにつき、子供たちと食べ始める。

素朴でいて力強い味。
安い材料でも美味しくなる工夫が溢れていて、
まともな材料を使っている今ではその滋味が溢れんばかり。

一朝一夕にできるものでは無い。
この男たちが自分の戦いの中で、人生を通して、
練り上げた味なのだろう。

子ども達にこの料理が好きか尋ねる。
この料理を食べて、そしてこの大人たちに育てられた子供たちは、
きっと強くなる。

男たちの目に映るのは村の光景。幸せな景色。
それが見れれば十分。
礼を告げて席を立ち、ああと忘れ物をしたかのように
筒状に丸めた紙を渡す。
「森で子供たちが転ぶといけないので、危ない箇所を纏めておきました」
後は、彼らの仕事。



●そして祭りはこれからも

 祭りの賑わいが終わることはない。
 料理を掲げた少年が走り、兄と思われる若者が弟を追いかける。
「おい、待てよ!」
「ビリー・ザ・ニー! ――あっ!?」
 弟が勢いよく躓いてしまい、皿が空に舞う。
 けれど少年は白い腕に受け止められ、料理も綺麗にキャッチ。
「……大丈夫ですか?」
 シリン・カービンの言葉にポカンとしていた少年の顔に笑みが。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
「すみません、弟が失礼を」
 礼を述べる弟、慌てて駆け寄って来た兄も続く。
「いいえ大丈夫ですよ、これくらい」
 シリンが言葉を返し、目線を子供達と同じ高さに合わせる。
「良かったら、どこで食べられるか教えてもらえます?」
 狩人の言葉に兄弟は大きく頷いた。

「おっ、お代わりか? ベン、ケーシー?」
 配膳係が堂に入っている自称役人が子供たちに呼びかける。
「ううん、伯爵さま。お客さん」
 弟が首を振り、兄がシリンの手を引いてやって来た。
「伯爵はよせと……おや、いらっしゃい。君も食べていくかい?」
「はい、『伯爵殿』」
 役人に対するちょっとした悪戯心。
 狩人の言葉に役人――この小さな都市国家を統べる伯爵は白旗を上げるしかなかった。

 シリンがテーブルに座る。
 向かいに居るのは先ほどの兄弟。
 走り回る弟に手を焼く兄を見かねて、村長が用意してくれたらしい。
「「いただきます!」」
 兄、弟のそろった声。
 狩人も後に続き、スプーンで料理をすくい口へと運ぶ。

 ――素朴でいて力強い味であった。

 この村で穫れた野菜もあるだろう。
 だが、それを含めてもお世辞にも上質な材料ではない。
 肉だって屑肉も同然だ。
 けれど手間暇をかけ工夫を凝らしたそれは、何よりも勝るであろう美味さであり、滋味が溢れている。

 視線を移せば伯爵と英雄が鍋を挟んで、何事かを話していた。
 恐らくはこの男たちが自分の戦いの中で、人生を通して、練り上げた味なのだろう
 一朝一夕では出来ない何かがシチューにもビリー・ザニーにも込められていた。
「ねえ」
 シリンが口を開く。
「この料理、好きですか?」
 問われた兄弟が目を丸くして、次に見せるのは、はにかんだ笑顔。
「うん……好きだよ」
「伯爵さまと村長が一緒に作った時が特に好き!」
 兄が答え、弟が続く。

 ――この料理を食べて、そしてこの大人たちに育てられた子供たちは、きっと強くなる。
 シリン・カービンの勘は当たるのだ。
 特に村を守ろうと二人だけで走った男達が居るのなら。
 彼らとシリンが見ている風景はおそらくは同じ。

 小さな村の平和な日常、これからも続くであろう繰り返しの日々。

 何も知らない若者にとっては怠惰に見えるかもしれないそれは戦いの中を生きてきたものにとっては何よりも代えがたい戦利品の一つなのだから。
 銃を持って狩りに生きている狩人にもそれが分かる。
「ごちそうさま」
 シリンが空になった器に手を合わせると子供達もそれに続く。
 兄弟が手を振って去っていくのを見送った後、狩人は容器を持って男達の元へ出向く。
「美味しいご飯でした」
「そう言ってくださると作った甲斐があります」
 シリンの言葉に村長が答える。
 色々と口を挟んでいるが伯爵が彼を立てているのが彼女には分かる。
 互いの領分を守り、時に肩を並べるかつての戦士達――いや、今でもこの土地では戦士なのだろう。

 だから――。

「ああ、忘れてました」
 筒状に丸めた紙を渡す。
「森で子供たちが転ぶといけない・・・・・・・・・・・・ので、危ない箇所を纏めておきました」
 村長が紙を広げ、そして伯爵に見せる。
 男達は地図の意味を理解し、行動を起こすだろう。
 それをするだけの視点と力は持っていた。

 後は、彼らの仕事。

 事後を託し、狩人は消える。
 次の獲物を追い求め。

 小さな村の祭りは続く。
 来年も、その次の年も、これからずっと……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月13日


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🔒
#エンドブレイカー!


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト