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誕生日をいつまでも

#エンドブレイカー! #UDCアース


●終わりがないという終焉
 目覚まし時計を止めて、寝ぼけ眼を擦りながらベッドから起き上がり、カレンダーを見る。
 今日の日付に花丸がついていた。
 わたしの誕生日だ。
 わたしはにっこり笑った。

 日曜日なので、学校はない。
 トーストと牛乳で朝食を済ませ、犬のポチの散歩に出かける。
 町内をぐるりと巡って、帰宅。
 お母さんが豪華な料理を準備してくれているので、お手伝いをする。
 わたしの誕生日パーティーの準備があらかた終わったところで、招待しておいた友人たちが家を訪れる。
 わたしたちは料理が並んだテーブルにつき、ケーキを囲む。
「ミオちゃん、誕生日おめでとう!」
「ハッピーバースデー!」
 皆に祝われながら、わたしはケーキのロウソクの炎を吹き消す。
 ――ああ、こんな時間がいつまでも続けばいいのに。

「それが君の願い? いいよ、叶えてあげる」
 わたしの耳元で、愛らしい声が響いた。

 目覚まし時計を止めて、寝ぼけ眼を擦りながらベッドから起き上がり、カレンダーを見る。
 今日の日付に花丸がついていた。
 わたしの誕生日だ。

 ……あれっ?

●グリモアベース
「UDCアースの町が一つ、ループに囚われました。エンドブレイカー世界のエリクシルの一体が、世界を移動してUDCアースに出現し、『幸せな誕生日が、いつまでも続けばいいのに』という願いを持つ一般人に接触した結果です」
 灰色の髪の男、バズ・ロンドビート(虫好きの錬金術士・f38977)は真剣な表情で語った。
「その町は、ミオさんという十歳の女の子が、朝に目を覚ましてから、自宅でのパーティーでロウソクを吹き消すまでの時間を、何度も何度も繰り返しています」
 エリクシルが、幸福な願い事を歪んだ形で叶えたのだとバズは言い、目を伏せる。
「このまま、ミオさんが永遠に誕生日を続けるだなんて、そんな終焉は放っておけません。破壊しましょう」
 目を開けて、はっきりとした口調で彼は述べた。
「それに、もしも放置したならば、ミオさんもエリクシルに魅入られ、次々に『制御できない無限の願い』を抱くようになってしまいます。エリクシルがもたらす悲劇も拡大していくことでしょう。そうなる前にエリクシルを撃破するため、皆さん、力を貸してください」
 バズは、続ける。
「まずは、件の町へ私が皆さんを転送します。ちょうど、ミオさんが起床する頃になるでしょう。……何度目のループなのかは分かりませんが」
 まずは、このループを止めることが必要だろう。もちろん、ミオを殺すという手段以外でなければならない。
「ループ現象を解決したならば、ミオさんの周囲に下級のUDC怪物が現れるでしょう。エリクシルに呼び寄せられたものです。一掃してください」
 それが済めばエリクシルとの決戦だが、一つ気をつけて欲しいことがあるとバズは言った。
「ミオさんは、エリクシルに願いを歪められたことで、正気を失った状態になっています。彼女はエリクシルを守ろうと行動することでしょう。正気でないため、通常の説得は通じません。ミオさんを傷つけないように無力化しつつ、エリクシルを倒してください」
 全ての説明を終えたバズは、出現させたグリモアによって、猟兵たちの転送を開始した。
「よろしくお願いします。どうか、お気をつけて」


地斬理々亜
 地斬です。
 よろしくお願いします。

●第1章
 冒険。
 UDCアースの町で、ループ現象が起きています。解決してください。
 方法は基本的になんでもOKです(ただし、『ミオを殺す』という内容のプレイングは採用できません)。

●第2章
 集団戦。
 詳細は伏せますが、コミカル系のUDC怪物です。

●第3章
 ボス戦。
 『タイニー・エリクシル』との決戦です。
 小さな妖精型のエリクシルです。
 傍にはミオがおり、エリクシルを守るために行動します。正気を失っており、通常の説得は通じません。

●ミオについて
 一般人の少女。小学4年生。
 十歳の誕生日を迎えたところでしたが、その誕生日を延々と繰り返しています。

●プレイング受付
 第1章はオープニング公開と同時に受け付けます。締め切り日時は、後ほどシナリオタグでお知らせします。
 第2章、ならびに第3章は、断章をお待ちください。

 それでは、ご健闘をお祈りします。
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第1章 冒険 『ループ』

POW   :    ループを引き起こしている元凶を排除する

SPD   :    ループが起きる条件を満たさぬよう切り抜ける

WIZ   :    ループが起きる法則を見極めて潜り抜ける

👑7
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散布済鶏唐・レモネード
UDCアースよ、私は帰ってきたわ。

高速道路はおびただしい車、排ガス香る我が都。変わらない。何一つ…。(忘れさせてはくれないのね)
私だけが、この世界がループしてることを知っている。そんな、物語もあったかもしれない。

ミオは、気付いているのかしら?あるいは、気付いていない方が幸せだったのかも。
でも、真実は時として融通してくれない物。終わらせてあげる。

レモン汁差しを持つ拳で、次々とパーティーの料理にレモンを掛けていくわ。
つまみ食いの鶏の唐揚げは僅かな違和感。でも、ケーキに至るまでレモン味に成ってたら、流石に気付くでしょう?
ここで行われるは、ミオにとって偽りの誕生日会。

今年はお開きよ、来年をお楽しみに。



●パーティー料理はクエン酸の味
「UDCアースよ、私は帰ってきたわ」
 一人の妖怪が、アスファルトで舗装された道路上に降り立った。
 名は、散布済鶏唐・レモネード(許されざる狂行の者・f38834)という。
 息を吸えば、懐かしい排ガスの匂い。
「変わらない。何一つ……」
 レモネードは、自分の胸に手を当てる。
(「忘れさせてはくれないのね」)
 それから、顔を上げた。
「私だけが、この世界がループしてることを知っている。そんな物語もあったかもしれない」
 まるで、ライトノベルの世界。
「ミオは、気付いているのかしら? あるいは、気付いていない方が幸せだったのかも」
 でも、とレモネードは口ずさむ。
「真実は時として融通してくれない物。終わらせてあげる」

 町の中でミオの姿を見つけたレモネードは、静かにミオを尾行し、ミオの自宅まで移動。
 ミオが玄関に鍵を掛けなかったのを良いことに、気付かれぬように中に侵入。
 部屋に潜み、料理がテーブルに並べられるのを待った。
 料理を並べ終えたミオが部屋を出て行ったところで、レモネードは姿を現す。
「私の本領発揮といきましょう」
 手に握っているのは、レモン汁差し。
 その拳をテーブル上の空中に勢い良く突き出せば、慣性の法則により、レモン汁が料理に振り撒かれた。
 レモネードは次々と料理にレモン汁を掛けていく。唐揚げ、パエリア、ローストビーフ。グラタンも手作りピザも、いちごのケーキもレモン味に。
 再び隠れたレモネードは、友人たちを連れて戻ってきたミオを、物陰から見つめる。
「一個もーらい」
 ミオの友人の一人が、唐揚げをつまみ食い。
「もうレモン掛けてあるんだ?」
「えっ……?」
 それを聞いたミオは、それぞれの料理を味見してみて、青ざめる。
「なんで……!?」
 そこで、レモネードが再び現れた。
「どう? あなたにとっては、偽りの誕生日会ってところよね」
「……誰!?」
「今年はお開きよ、来年をお楽しみに」
「やだ……! やり直し!」
 ミオは自ら、ケーキのロウソクに火を点け、吹き消した。

 レモネードは町中に立っている自分に気付く。
 排ガスの匂い。
 日の高さは、朝だ。
「……なるほどね」

成功 🔵​🔵​🔴​

ルシア・ナドソコル
【心情】
ここがUDCアース
たしかに技術力の高い世界で、相応に神秘もある
中々に興味深い世界ですね

おっと、ゆっくり回りたいけど、それは後回し
ミオちゃんを理不尽な結末から出してあげないと

同じことしか起きない世界なんて、僕に言わせれば退屈極まりないので

【行動】
どうせ時間はあるんだし、長期戦で行きましょう

ポチの散歩の所でお誕生日のプレゼントを渡します
「お誕生日おめでとう!」

毎回、渡すプレゼントは別のもので
数回繰り返せば、ここだけ違うことに違和感が残るでしょう
プレゼントは残らない訳だし、その違和感が突破口になるでしょう


誰が何と言おうと、悪いのは歪んだ願いを叶える方
ミオちゃんが傷つかないよう解決したい所です



●間違い探し
(「ここがUDCアース」)
 ルシア・ナドソコル(自由と冒険を求めて・f39038)は、転移が完了すると共に、周囲を物珍しげに見回した。
 星霊建築でもないのに頑丈そうな建築物が建ち並び、大トカゲよりも速い乗り物が道を行き交っている。
「たしかに技術力の高い世界で、相応に神秘もある。中々に興味深い世界ですね……おっと」
 ゆっくり回りたい気持ちもあるが、それは後回しだ。
(「ミオちゃんを理不尽な結末から出してあげないと。同じことしか起きない世界なんて、僕に言わせれば退屈極まりないので」)

 ルシアが選んだのは、長期戦の作戦であった。
(「どうせ、時間はあるんですしね」)
 ルシアは、犬の散歩をしているミオを待ち伏せる。
 柔らかな笑顔を浮かべて、ミオの前に姿を現した。
「お誕生日おめでとう!」
 差し出したのは花束。
「えっ……あ、ありがとうございます」
 ミオは戸惑いながらも、花束を受け取った。
 ルシアは、ポチを連れたミオが歩いて行くのを見送る。

 ルシアは、犬の散歩をしているミオを待ち伏せる。
 柔らかな笑顔を浮かべて、ミオの前に姿を現した。
「お誕生日おめでとう!」
 差し出したのは大きなクマのぬいぐるみ。
「えっ……!? ……あ、ありがとうございます……」
 ミオは狼狽しながらも、ぬいぐるみを受け取った。
 ルシアは、ポチを連れたミオが足早に歩き去るのを見送る。

 柔らかな笑顔を浮かべて、ミオの前に姿を現した。
「お誕生日おめでとう!」
 差し出したのは文房具セットが入った箱。
「…………」
 ミオは箱を受け取らず、踵を返し、ポチを連れて駆け出した。

「行ってしまいましたか」
 無理に追わず、ルシアは走り去るミオの背を見送る。
「あとは、ミオちゃんの中に残ったであろう違和感が、突破口になることを祈るのみですね。ですが……」
 ルシアがミオから感じ取ったのは、敵意。
(「ミオちゃん自身は、ループを止められたくないのでしょうね」)
 ルシアは思う。誰が何と言おうと、悪いのは歪んだ願いを叶える方だ、と。
 ミオも本来ならば、こんなことは望まなかったはずだ。
(「ミオちゃんが傷つかないよう解決したい所ですね」)

成功 🔵​🔵​🔴​

サツキ・ウカガミ
ここがUDCアース。
世界を超えて迷惑かけるなんて
エリクシルは厄介だね。

うーん、吹き消す行為がトリガーかな?
ちょっと試してみようかな。

玄関は開いてるみたいだし、【忍び足】でお邪魔して。
ロウソク全てに火がついたタイミングで
【忍具『火遁の巻物』】を使うよ。
今回は戦場がケーキの上、どうにかする敵はロウソクの火!
普通の火を消えない炎に置き換えるよ。
ケーキサイズの忍術は初めて。上手にやらないとね!

吹いても消えないことにミオが焦るようなら、
隠れたまま【変装】でお友達の声を真似て
「そういうロウソク?すごいね!
 消すの諦めて抜いちゃおう?」とでも言って
吹き消すこと自体を諦めさせようかな。
さ、次に進もう?



●断たれた円環
 UDCアースの地に降り立ったエンドブレイカーが、もう一人。
 サツキ・ウカガミ(忍夜皐曲者しのびよるめいはくせもの・f38892)である。
「世界を越えて迷惑かけるなんて、エリクシルは厄介だね」
 呟いたサツキは、少し考えてみる。
「うーん、吹き消す行為がトリガーかな? ちょっと試してみようかな」
 そうと決まれば、実行あるのみだ。サツキは、ミオの自宅に向かった。

 鍵が掛かっていない玄関から、忍者らしく忍び足で侵入。
 身を隠して、ミオたちの様子をうかがった。
「ミオちゃん、誕生日おめでとう!」
「ハッピーバースデー!」
 ミオの友人たちがミオを口々に祝い、ケーキのロウソクに火をつけようとしていた。
 やがて、全てのロウソクに火が灯される。そのタイミングでサツキは、巻物を広げた。
 それは、忍具『火遁の巻物』。
(「火遁!」)
 ごく小さな声でサツキが唱えれば、ケーキの上で、極小の炎の渦が踊った。
(「ケーキサイズの忍術は初めて。上手にやらないとね!」)
 サツキはケーキの上に意識を集中する。ケーキの上が戦場、敵とみなすのはロウソクの火だ。
 普通の火を、消えない炎に置き換えていく。
 ミオは気づくことなく、拍手に包まれながら、ロウソクの火を吹き消そうとした。
 消えない。
「あ、あれ……」
 もう一度、強く吹く。
 やはり、消えない。
「ど、どうして」
 ミオは、何度も何度も吹き消そうと試みる。明らかに、焦っていた。
『そういうロウソク? すごいね! 消すの諦めて抜いちゃおう?』
 ミオの友人の声が聞こえた。変装術の応用で、サツキが声色を真似たのだ。
「で、でも……」
『いいから、いいから!』
「…………うん」
 サツキによる、『友人の』言葉に押され、ミオはロウソクを吹き消すのを諦め、火がついたままのロウソクをケーキから引き抜いた。
 ループは、起こらない。
「やだ……わたしの誕生日が、終わっちゃうよ……」
 ミオの目元に、じわりと涙がにじむ。
『さ、次に進もう?』
 まだ隠れたまま、サツキは友人の声真似で、ミオに声をかける。
「やだよ……!」
 ミオが声を上げた、その時。
 ケーキが、動いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ケーキ戦隊』

POW   :    甘い香りでパワーアップ!
【空腹を誘う甘い香り】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    自慢のケーキをご馳走しよう!
【食欲】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【伸縮自在のフォーク】から、高命中力の【様々なダメージを与えるケーキ】を飛ばす。
WIZ   :    ほらほら美味しそうだろう?
【心惹かれる美味しそうな香り】【目を奪う美味しそうな見た目】【とろける甘さと美味しさ】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●参上! ケーキ戦隊
 ミオの自宅、誕生日パーティー会場のテーブルの上にあったバースデーケーキ。
 それに、にゅっと手足が生えて、立ち上がった。
 さらに、ケーキは分裂する。いちごのケーキだけでなく、抹茶ケーキとチョコレートケーキも出現し、それぞれが何個も増殖した。
「マッチャグリーン!」
「チョコレートブラウン!」
「ストロベリーレッド!」
「「「我ら、ケーキ戦隊!!」」」
 ……ケーキが喋った。
 呆気にとられている場合ではない。これは、エリクシルに呼び寄せられたUDC怪物の群れだ。
「むむむ! シリアスな空気の気配!」
「ケーキを食べている場合じゃないと思う人たちの気配だ!」
「だが、そんな人たちに、無理やりにでもケーキを食べさせるのが、我らケーキ戦隊の使命なのだ!」
 長い口上の間に、ミオの友人たちは部屋から逃げ出した。ミオも部屋を飛び出し、階段を上がっていく足音が聞こえた。
「そういうわけだ!」
「なあ君たち!」
「するべきことは一つだろう!」
 ケーキ戦隊は、猟兵に視線を向ける。
「「「我らを食べるがいい!!」」」
 ……もちろん、猟兵がするべきことはケーキを食べることではなく、このUDC怪物を一掃し、ミオを追うことだ。
 だが、美味しそうなケーキだと思うかもしれない。ちょっとぐらいなら……食べても……いいかも……?

===
●マスターより
 ケーキ戦隊との集団戦です。一掃してください。
 場所はミオの自宅ですが、ミオの友人たちは逃げたため、巻き込まれることはありません。
 ミオも2階の自室に向かったため、『第2章では』戦闘に巻き込む恐れはありません。
 ミオの家族など、その他の一般人についても対策は不要です。
 それでは、良き戦いを。
===
サツキ・ウカガミ
SPD

キミ達はボクが食べても大丈夫なヤツ?
もしそうなら、味見しても良いけどね。
でも、まずは……食べる前に、切り分けようか!

【瞳術『忍夜皐曲者』・蛇】で
【天地無双剣】を補助。
攻撃を避けようとする敵は硬直させて、
天地無双剣を確実に当てていくよ。
飛んでくるケーキも返し刀で受けて反撃。
どんどん斬ってあげる。
ほら、ケーキは綺麗に切りたいからさ。
攻撃してくるのは勝手だけれど、
ボクの刀を避けるのは、ダメだよ?

相手が動かなくなったことを確認して。
本当に食べられそうなら、
刀を収めるついでに、刀についたクリームを
一口なめてみようかな。
なるほど美味しい、ごちそうさま。
ボク急ぐからさ、一口だけで許してね!



●ケーキカットの時間
「キミ達はボクが食べても大丈夫なヤツ?」
 問いを発したサツキに、ケーキ戦隊が答える。
「「「もちろんだとも!」」」
「そっか。もしそれが本当なら、味見しても良いけどね。でも、まずは……」
 月光のように白く煌めく刃を、サツキはすらりと鞘から抜き放つ。
「食べる前に、切り分けようか!」
 言うと同時に、神速の突きを手近なチョコレートケーキに放つ。返し刀で、チョコケーキは綺麗に二等分された。
「うおー! よくも!」
 いちごケーキが手の中にフォークを召喚し、そこからケーキを飛ばす。
 サツキはその飛んできたケーキを、真正面から、返し刀で受け止めた。反撃の突きを避けようとするいちごケーキを、サツキの瞳が捉えた。
「ボクの眼をもって命ずる、竦め!」
「う――」
 いちごケーキが硬直する。
 サツキの紫色の瞳は、サツキの花模様に変化していた。その瞳での蛇睨みによって硬直を引き起こすユーベルコード、瞳術ドウジュツ忍夜皐曲者シノビヨルメイハクセモノ』・ジャである。
「ほら、ケーキは綺麗に切りたいからさ」
 にっこりと笑ったサツキの突きが、いちごケーキを貫く。
「攻撃するのは勝手だけれど、ボクの刀を避けるのは、ダメだよ?」
 返し刀で、いちごケーキも等分された。
「よくも仲間を!」
 抹茶ケーキも攻撃を仕掛けてきたが、抹茶ケーキもまた、サツキの刀による等分の運命をたどることとなる。
 サツキは、攻撃として飛んでくるケーキを返し刀で受け止めては、敵の回避を瞳術で封じ、刀による自身の攻撃を確実に当てていったのだった。

 ケーキの群れはまだいるが、数を大きく減らしたのは間違いない。
 ひとまず、目の前のケーキが完全に動かなくなったことを確認し、サツキは刀に付着したクリームを見る。
 匂いを嗅いでみた。毒ということはなさそうだ。
 刀を納めるついでに、サツキはクリームをそっと指ですくい、一口、舐めた。
 奥深い抹茶の味わいと、生クリームのコク、上品な甘味が広がる。
「なるほど美味しい、ごちそうさま。ボク急ぐからさ、一口だけで許してね!」
 サツキは、ミオが上がっていった階段の方を見やり、駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルシア・ナドソコル
【心情】
これがUDCアースに巣食う邪神
思いのほかにユニークな姿をしていますね

あなた達の使命が、無理やりにでもケーキを食べさせることなら
僕の使命はミオちゃんを助けること

後でゆっくりとケーキは頂くとしましょう

【戦闘】
食べ物を粗末にするのは主義ではないですし、長々時間をかけるわけにもいかないですね
なので、マッチャグリーン辺りに狙いを絞って、早々に突破させてもらいます

UCで「なぎ払い」「部位破壊」による攻撃を仕掛ける
UDCを倒して敵の一角が崩れたら「スライディング」で戦場を早々に離脱
「……吹き飛べ」

「後でゆっくり食べに来ますから、この場はご容赦ください。紅茶も買ってきますから」



●炭水化物の誘惑
「これがUDCアースに巣くう邪神……いえ、これは下級の眷属と言ったところですか。思いのほかにユニークな姿をしていますね」
 ケーキ戦隊を見やり、ルシアは呟く。それから、はっきりとこう言い切った。
「あなた達の使命が、無理やりにでもケーキを食べさせることなら、僕の使命はミオちゃんを助けること。ケーキは、後でゆっくりと頂くとしましょう」
 同時にルシアは、武器を抜いて構える。錆の浮いた斧剣『七本指』は、禍々しくも鈍く輝いた。
(「食べ物を粗末にするのは僕の主義ではないですし、長々時間をかけるわけにもいかないですね」)
 ルシアは、抹茶ケーキの怪物に狙いを定めた。
「早々に突破させてもらいます」
 床を、蹴る。
「連撃、行きます!」
 斧剣で薙ぎ払い、抹茶ケーキの柔らかな体に一文字の傷を刻む。
 素早く斬り上げ、その次は兜割りを叩き込む。
 それから、ケーキからにょっきり生えている腕目掛けて、利き腕砕きを打ち込んだ。
 全てが命中――次に発動するのは、必殺の一撃。
 ルシアはバックステップし、抹茶ケーキから距離を取った。
「……吹き飛べ」
 ぼそりと囁いたのと同時に、抹茶ケーキの体が派手に爆発した。
 オーラエクスプロージョン――ルシアのユーベルコード『爆殺斧十字』の、とどめの一撃だ。
「うわー!」
「やってくれたなー!」
 他のケーキたちがルシアに襲いかかろうとするが、それらに構っている時間は彼にはない。
 ルシアは抹茶ケーキのいた空間目掛けて勢い良くスライディングし、部屋の外に飛び出した。
「逃がすかー!」
「我らの甘い香りを受けるがいい!」
 ふわりと、ケーキの香りがルシアの鼻をくすぐる。
 小麦にミルク。甘酸っぱい、いちご。上品なカカオ。それらの香りが、ルシアの空腹を強引に誘う。
 ルシアはぐっと歯を食い縛り、耐えた。今は、やるべきことが別にある。
「後でゆっくり食べに来ますから、この場はご容赦ください。紅茶も買ってきますから」
 誘惑を振りきり、ルシアは階段に向かった。
(「無事にミオちゃんを救えたら、何かお腹に入れたいですね。ケーキでも良いですし、おにぎりも捨てがたいです」)

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル(サポート)
『ヒャッハー!頭ねじ切ってオモチャにしてやるでござる!!』

口調:拙者、名字+氏、~でござる、~ですぞ
属性:混沌・悪

弱きを困惑させ強きを嫌がらせの果に弄り倒す正義なんてどこ吹く風なゴーイング・マイ・ヒャッハー系

シリアスな空気だと破壊するか自分が爆発する
可愛い女の子を見れば興奮する変態
エンジョイ&エキサイティングをモットーに好きなように生きて好きなように死ぬギャグキャラ
オタクらしく戦闘中でも状況に有ったセリフやパロ技を適当にぶっ込みながら戦う様はイカレポンチすぎて敵味方問わず困惑と驚愕させることに定評がある
公言しないが空軍のパイロット



紳士変態かく語りき
「オープンザセサミ!」
 玄関のドアを開けて現れた、胡散臭い男が一人。
「からのクローズ! お邪魔するでござる!」
 丁寧な手つきでドアを閉め、靴を脱いで、ミオの自宅に上がる。
 彼は、エドゥアルト・ルーデル(ゴワゴワのウツボ・f10354)。幼女の影があるところ、彼の姿あり。
「10歳の誕生日を迎えたばかりの幼女がピンチだそうでござるな!」
 興奮気味のエドゥアルトの前に、複数の影が立ち塞がる。
「そこまでだ!」
「ここは、我々ケーキ戦隊が!」
「「「通さん!」」」
 手足の生えた、ケーキのUDC怪物だ。
 エドゥアルトはそれらを見るなり、早口で喋り始める。
「幼女が食べるはずだったバースデーケーキから生まれたとかいうUDCは貴様らでござるな羨ましい代われよ拙者も生クリームになって幼女にペロペロされたいですぞ幼女をペロペロしたいとか抜かすのは素人でござる拙者のような立派な紳士としては幼女にペロペロされたぁい!」
「え……」
「ええ……」
 ケーキ戦隊、ドン引き+困惑。
「というか貴様らケーキは幼女に食べられてこそ真価を発揮するんでござる小さなお手々にフォークを持ってあーんとお口を開けケーキをぱくりと一口食べ『あまーい♪』って言ってパアァッと笑顔になる幼女……イイ実にイイ」
 エドゥアルトの早口での長台詞が続く。その間に、ケーキ戦隊はケーキを飛ばして攻撃しようとしたが、なぜか遮断された。エドゥアルトのユーベルコード、『めっちゃ数寄やねん』の効果だ。
「さ、流体金属君。このケーキ共、食ってええよ」
 語りを終えたエドゥアルトが、命じた。にょろりと体を伸ばした流体金属生命体が、ケーキの怪物たちを次々に包み込んでいく。
「早くこのケーキ共をどうにかして、拙者は幼女の顔を拝むんでござる! いたいけな幼女をループに閉じ込めていたとかいう敵は許せんでござるな、それじゃあ幼女という名の蕾がやがて大人の女性として花開くこともなく、将来愛する誰かと結ばれるようなことも……なく……」
 UDC怪物を流体金属に食べさせながら、熱狂的にまくし立てていたエドゥアルトは、ふと、真顔になった。
「……理想郷では?」

成功 🔵​🔵​🔴​

飯綱・杏子(サポート)
あの食材オブリビオンを狩ればいいっすね? 任せるっす。

とりあえずヒト型ヒューマノイドでなければ食うことを考えるっす。
宇宙船やリビングアーマーの類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるっす。
何なら味付けでどうにかするっす。
一応【毒耐性】持ちなんで、毒は利かないっすよ。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす。

多少の怪我は厭わず積極的に飲み食いします。他の猟兵に迷惑をかける絡み酒はしないっす。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する絡み酒はたぶんしないっす。

あとはおまかせ。よろしくおねがいするっす!



●飯テロリストの面目躍如
「美味しそうなケーキっすね! あれを狩ればいいっすね? 任せるっす」
 敵を見て、飯綱・杏子(飯テロリスト・f32261)は目を輝かせた。
 彼女は、様々な食材オブリビオンを求め、あらゆる異世界を旅する食道楽の悪魔である。
 仮に眼前のUDC怪物がケーキの姿でなかったとしても、ヒト型でさえなければ食べようとしていただろう。たとえ、宇宙船やリビングアーマーであったとしても。
「いいぞ! 我らを食べるがいい!」
 チョコケーキが杏子の前に立ち、甘い香りを放つ。強い空腹感を与える攻撃である。
「遠慮なくいただくっす」
 ナイフで切り分け、フォークで口に運ぶ。空腹になろうと、問題はなかった。
 杏子は、チョコケーキをじっくりと味わって、飲み込む。
「上に掛かった、パリパリのチョコレートコーティングの歯触りがたまらないっすね。とろけるチョコクリームと、ココア味のふんわり柔らか生地も素晴らしいっす」
 飯テロリストである杏子は、食レポをせずにはいられない。
「次は我だ!」
 抹茶ケーキが、杏子に飛びかかる。
「承知っす」
 再びグルメツールで切り分け、食べる。その素早さは、先刻よりも増していた。ユーベルコード『フードファイト・ワイルドモード』の効果で、杏子は戦闘力を増しているのだ。
「心安らぐ抹茶の香りが贅沢さを演出してるっすね。ほろ苦く甘い、大人の味わいっす。しっとりしたスポンジの上にトッピングされた、生クリームと巻チョコも嬉しいっす」
 抹茶ケーキも美味しくいただかれ、食レポされた。
「ならば、我はどうだ!」
 いちごケーキが杏子に襲いかかる。杏子は瞬時に動き、華麗なナイフ捌きを披露した。綺麗に切られたいちごケーキが、動かなくなる。杏子はいちごケーキを頬張り、やがて飲み込んだ。
「とろっとした生クリームに、甘酸っぱいいちご。きめ細かいふわふわのスポンジ。ケーキと言えばこれ! と言える、王道のショートケーキっすね。いちごの量も大満足っす」
 食べ終えた杏子は戦場を見回す。ケーキ戦隊はまだ残っているが、その数はわずかだ。
「まだまだ食べられるっすよ」
 次のケーキを見据え、杏子は武器を構えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

杼糸・絡新婦(サポート)
関西弁口調。
とある忍者が使っていた武器・鋼糸【絡新婦】のヤドリガミ。
白い女物の着物を着用しているが、
名前沿った姿なだけで、オネエとかではなく中身はれっきとした男。

子供や親子中心に一般人には愛想よく接するが、
敵とみなしたら容赦なく叩く。
日常でも戦場でも自分のペースを崩さず、
フェイントや挑発、相手の動きを拘束するように阻害したり、
あえて誘い出してこちらに攻撃を仕向け、
自他へのすきを作り出したりする、戦闘スタイル。
また使えるものはなんでも使う。
元の持ち主の影響で、忍者らしい動きも見せる。

所持する黒い狩衣を着た狐獣人の姿をしたからくり人形は、
かつての主人が作ったものを模したもの、名前はサイギョウ。



●糸は舞う
「ほな、あんたさんらを片付けたら、この場は仕舞いやな」
 残りわずか――3体だけとなったケーキ戦隊を見据えて、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は笑顔で言う。
「そうだ!」
「さあ、我らを――」
「「「食べるがいい!」」」
 ケーキの怪物たちが口を揃える。
「……んー。自分、甘いもんは嫌いやないんやけど。今は、あんたさんらを食べることより、一体たりとも残さず倒すことを優先しよかな思て」
 笑みを口元に浮かべたまま、絡新婦は、鋼糸を取り出す。それは、ヤドリガミである彼の本体だ。
「ならば、無理やりにでも!」
 フォークを召喚したケーキの怪物は、そのフォークからカップケーキを飛ばし、絡新婦を攻撃しようと試みる。
「そないな攻撃、見え見えや。……鏡が如く射ち返す」
 挑発と共に、絡新婦はユーベルコードを発動する。『鏡返カガミガエシ』――これにより、絡新婦のカウンター能力が遥かに高められた。
 彼目掛けて飛んできたカップケーキは、反射し、UDC怪物自身に向かう。
「ぐあー! 我ら自慢のケーキは、やっぱり美味しい……」
 カップケーキの直撃を受け、いちごケーキの怪物が動きを止めた。
「次はあんたさんやで」
 抹茶ケーキへと、絡新婦は視線を向ける。
「うおおー!」
 一瞬の隙を突こうとして、フォークを持って突進してきたのはチョコケーキ。だが。
「堪忍な。ほんまは、あんたさん狙いや」
 フェイントに引っかかったチョコケーキの体は、絡新婦が場に張り巡らせた鋼糸によって、真っ二つに切断された。
「待たせたなぁ。あとはあんたさんだけやで」
 今度こそ、絡新婦は抹茶ケーキへと狙いを定める。
「くっ……仲間の仇!」
 抹茶ケーキは、手にしたフォークからチーズケーキを飛ばした。
「サイギョウ、行くで」
 絡新婦は低く呟き、からくり人形を操る。黒い狩衣を纏う狐獣人を模した人形は、チーズケーキを受け止め防ぎ、抹茶ケーキを殴り飛ばした。
 全てのUDC怪物が完全に動かなくなったのを確認し、絡新婦は呟く。
「あとは、元凶のエリクシルとか言うのをいてこませば、解決やな」
 2階へ向かう階段の方に、彼は目を向けた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『タイニー・エリクシル』

POW   :    蜜の味
【額の宝石】を解放し、戦場の敵全員の【勝機】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
SPD   :    真の願いは内に秘め
戦場内に「ルール:【静寂】」を宣言し、違反者を【赤い結晶の檻】に閉じ込める。敵味方に公平なルールなら威力強化。
WIZ   :    星の砂子
【エリクシルの翅】からレベル個の【星の粒】を射出する。射出後も個々の威力を【光度】で調節でき、低威力ほど視認困難。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●盾
 階段で2階へと上がり、猟兵たちはミオの自室の扉を開ける。
 真っ先にその視界に入ってきたのは、通せんぼをするように、大きく両腕を広げたミオだ。
 彼女の小さな体の向こうに、もっと小さな――30センチほどの妖精のようなものがいて、猟兵たちの様子をうかがっている。
 その妖精……否、エリクシルが言葉を発した。
「ミオ。お願いだよ、ボクをあいつらから守っておくれ」
「うん、妖精さん……! わたしの願いを叶えてくれる妖精さんをいじめるなんて、絶対にさせないんだから!」
 強い口調で言い切ったミオの目には、光が宿っていなかった。

===
●マスターより
 ミオはエリクシルを守ろうと行動します。
 彼女は正気を失っており、通常の説得が通じない状態です(普段のミオであれば心に響くであろう言葉も、今のミオには一切届きません)。
 ミオを傷付けないように無力化しつつ、エリクシルを倒さなければなりません。
 ご健闘をお祈りします。
===
サツキ・ウカガミ
SPD

小さくても迷惑なのは変わらないね。
これ以上は、させないよ。

「静寂」は確かに厄介だけど
ボクは気配を断つのが仕事だよ?

【瞳術『忍夜皐曲者』・蛇】で
【宵闇】を補助して攻撃。

【宵闇】を発動。
現在の配置を【見切り】、
エリクシルがミオちゃんの方に
逃げないよう位置取りを気をつけつつ
エリクシルに近づき【急所突き】。
攻撃すると気付かれちゃうけど
【瞳術『忍夜皐曲者』・蛇】で
竦ませて動きを止め
生命力吸収の時間を稼ぐよ。
不思議だね、逃げたいのに
動けないね?

瞳術の効果は一時的だから
効果切れ次第、急に体が動く訳だけど
キミ自身は音を立てずに
ボクから逃げられるのかな?
ほら急がないと。ボクは何度でも
音なくキミを刺すよ?



●沈黙の戦場
「小さくても迷惑なのは変わらないね。これ以上は、させないよ」
 サツキは、言葉を発する。その静かな口調の裏に、熱さを秘めて。
「ふん……『みんな静かにしなよ!』」
 エリクシルは、静寂のルールを戦場内に宣言する。違反者を檻に閉じ込めるユーベルコードだ。
(「確かにこれは厄介だけど、ボクは気配を断つのが仕事だよ?」)
 サツキは漆黒のクナイを手にすると、その柄頭の輪を捻った。クナイの刀身に星空のような精緻な細工が浮かび上がるのと同時に、クナイから漆黒の闇が溢れ出し、サツキの全身を覆った。
 ユーベルコード『宵闇』。これにより、サツキを視聴嗅覚で感知するのは不可能になった。
「……!?」
 ミオはサツキが見えなくなって困惑しているが、彼女もまた、エリクシルが強いたルールの影響下にある。騒ぐことはできない。
 そんなミオの横を通り抜けて、サツキはエリクシルの方に向かう。エリクシルがミオの方に逃げないよう、サツキはミオとエリクシルの間に割り込んだ。
 手にしたクナイで、エリクシルの急所目掛けて、鋭く突きを放つ。
「っ!」
 エリクシルは悲鳴を押し殺す。
(「竦め!」)
 さらにサツキは、瞳術でエリクシルの動きを封じた。エリクシルがサツキの瞳そのものを見ずとも、蛇睨みによる硬直は効果を発揮する。
「……!」
 エリクシルは目を見開いた。サツキを覆う不可視の闇、それに触れているエリクシルから、生命力が奪われ始めたからだ。
(「不思議だね、逃げたいのに体が動かないね?」)
 サツキは会心の笑みを浮かべる。
 エリクシルが苦しんでいるのはミオにも分かっただろうが、サツキがどこにいるか分からない以上、ミオにはどうすることもできなかった。
 瞳術の効果は、一時的なものだ。やがて動けるようになったエリクシルは、宝石の翅を動かし、音を立てずに飛び立とうと試みた。
 再びサツキのクナイが振るわれ、その翅が、昆虫標本のように床へ縫い止められる。
(「急がないとダメだよ。ボクは何度でも、音なくキミを刺すよ?」)
 じたばたと暴れるエリクシルをサツキは見下ろした。漆黒の闇に覆われたその表情は、誰にも見られることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

富良裳・アール(サポート)
「えっと、ぁぅぁぅ…こ、こんにちは…」

赤くなったり青くなったりよく顔色が変わり、基本もじもじしています。
かわいいものが好きで、甘いお菓子も好き。
お化けは怖いし、大きな声にもびっくりする。
一般的な感覚を持った、人見知り気味の、普通の女の子です(本人談)。

普通の女の子なので、戦闘になると
「きゃー!」「うわー!」「こないでくださいっ」
等、よく涙目で叫んでいます。
そして叫んでいる限りは的確に、それはもう的確に
武器、ユーベルコードを使用します。
戦える、普通の女の子だからです。

なので依頼は頑張ってこなそうとしますし、
非戦闘員は守ります。
でもやっぱり、平和な依頼がいちばん好き。



●守護の抱擁
「えっと……ぁぅぁぅ……」
 富良裳・アール(普通の女の子・f36268)は、現状に戸惑った。
 ミオ――自分よりも小さな、救うべき対象である少女が、両腕を広げて敵をかばっている。
 どうすれば良いのか。
 顔色を赤くしたり青くしたりしながら、アールは考えた。
 ……思いついた案が、一つ。けれどそれは、人見知り気味のアールが実行するには、少々ハードルが高かった。
「ぁ、ぁぅぅ……」
 もじもじしているアールの顔が、真っ赤になり始める。
 その案は最後の手段にすることにして、別の方法でどうにかできないかと、アールは暗器を手にした。
 運悪く、その手から暗器がこぼれ落ちる。刃が、彼女自身の足の甲に向かって落下を始めた。エリクシルのユーベルコードの効果で、アールは勝機を奪われ、不幸を与えられたのだ。
「きゃー!」
 叫んだアールは、ギリギリで足をどかし、落ちてきた暗器を避ける。
 このまま手をこまねいていれば、こうした不幸が続くばかりだろう。
(「もう、やるしかないですね」)
 『最後の手段』の作戦を実行すると決めて、アールは顔を上げた。
 真っ直ぐにミオを見て、床を蹴る。
「……!」
 両腕を広げたままのミオの表情がこわばった。そんなミオへと駆け寄ったアールもまた、両腕を広げ……。
 アールは、ミオの身体を抱き締めた。
「え……えっ?」
 何が起きたか分からなかったミオは、数秒の後にばたばたと暴れ始める。だが、アールはしっかりとミオを抱き竦め、放さない。
「おとなしくしててくださーいっ!」
 叫んだアールは、その体勢のまま、ミオの肩越しに、エリクシルへと片手を向けた。
 不死鳥のオーラが、弾丸のようにその手から放たれる。それは狙い違わずエリクシルに命中し、消えない魔炎でその身を包んだ。ユーベルコード、『フェニックスキャノン』である。
「うわああっ!」
 エリクシルが悲鳴を上げる。
 アールの腕の中で、ミオはもがきながら叫んだ。
「妖精さんに何をしたの! もうやめて!」
「そ、そのお願いは聞けませんっ」
 アールはミオに言葉を返した。エリクシルさえ倒せば、きっとミオも分かってくれると信じながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ

知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね

防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー

そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです



●時間稼ぎ
 オラトリオの少女猟兵が、戦場と化したミオの部屋に立つ。ミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)である。
「ミオさんは、必ず守るのですよ」
 ミスティは言い切る。
 それから、ミオの向こうにいるエリクシルを見た。エリクシルの体は、他の猟兵の攻撃によって、消えない魔炎で燃え続けている。
(「つまり、私が時間稼ぎさえできれば、ダメージを与えられるのですね」)
 ミスティは、エリクシルの攻撃に備えて身構えた。
 エリクシルは翅を羽ばたかせ、視認困難な星の粒をいくつも射出する。まだ盾として有用だと判断したのか、ミオには当たらないようにし、ミスティを狙った。
「撃たないでほしいのー!」
 ミスティの、攻撃に対する拒絶の意思が、力場を成す。星の粒は、オーラの壁に弾かれた。
「く、それなら!」
 エリクシルは射出する粒の光度を上げた。威力を高め、力場ごとミスティを貫こうという算段だ。
 すると、ミスティの周囲の空間に、鈴蘭の花びらが現れた。否、力場が花弁に変化したのだ。
 音もなく舞った花弁は嵐となって、星の粒を吹き飛ばす。毒を含んだ鈴蘭の嵐は、エリクシルを巻き込んで吹き荒れた。
「うわああ!」
「妖精さん!」
 悲鳴を上げるエリクシルとミオ。だが、ミオの体は鈴蘭に傷つけられてはいない。『鈴蘭の嵐』は、狙った対象のみを攻撃できるユーベルコードだからだ。
 鈴蘭がオーラに戻り、空中に溶けるように消え去ると、後には、未だ魔炎に包まれたままのエリクシルの姿があった。
「うぐ……ぐ……っ」
 ミスティのユーベルコードの毒は、エリクシルの宝石の体をも蝕んでいる。
「妖精さんが……!」
 ミオが涙声になり始めた。
「ミオさん、あなたはだまされているだけなのですよ。未来に進むことを考えましょう?」
 説得は不可能だと聞いていたが、それでもミスティはミオに声を掛ける。
「そんなはずないもん! やだよ! わたしはずっと誕生日を続けていれば、いつまでも幸せなままなの!」
 ミオから返るのは、否定の言葉。
「そうですか……」
 だが、この会話は無駄ではない。
 これもまたミスティの時間稼ぎであり、エリクシルは魔炎や毒に苛まれ続けているのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

六島・風音(サポート)
ガレオノイドのスターライダーです。
スピードなら誰にも負けません。

基本的に人の話を聞かず、スピード勝負に持ち込みます。
そんなことより駆けっこです。
普通に駆けるか、天使核ロケットエンジン搭載の宇宙バイクで駆けるか、ガレオン船形態で駆けるかは状況によります。

ユーベルコードは使えそうなものはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●突然ですがレースです
「わかりました! かけっこですね!」
 これが、六島・風音(スピードなら誰にも負けません・f34152)の第一声であった。
「……え?」
「いや、ボクそんなこと一言も」
「では早速! 町内を一周です! 真っ先にこの部屋に戻ってきた人が勝ちですよ! では、よーいドン!」
 ミオの様子も気にかけず、エリクシルの話も全く聞くことなく、風音は、自分が入ってきた扉から、再び飛び出していった。
 エリクシルが、静寂のルールを強いるユーベルコードを使う暇すらなかった。
「……追うよ、ミオ!」
「うん、妖精さん!」
 この時エリクシルが考えていたのは、風音が何の理由もなく『かけっこ』を持ちかけてくるはずがない、負けると大ダメージや死が与えられるユーベルコードかもしれない……ということであった。
 だが、その実、風音の『かけっこ』とは。風音が走ることに没頭している間は、彼女の敵味方は全て戦えなくなり、外部からの攻撃も遮断される、というものである。
 つまり、風音は本当にスピード勝負をしたかっただけなのだ。そうとも知らず、エリクシルはその勝負に乗ってしまったのである。

 公園に沿った歩道を、真っ先に駆け抜けたのは風音だ。
 ウェーブのかかった金色の髪が風になびく。
 クリスマスが近づくUDCアース。体温を奪う冷たい空気も、風音には関係ない。
 白い息をリズム良く吐きながら、彼女は懸命に走った。
 遅れて、ミオ。最後にエリクシルが続く。
 エリクシルは宝石の翅で飛んでいるが、元々この翅はスピードが出るわけでもない上、他の猟兵との戦闘によるダメージも蓄積している。
 加えて、ミオの体力で風音に追いつけるはずもない。
 歩道は続く。公園近くを抜け、小学校の隣を通り、コンビニ裏や並木道も風音は駆け抜けた。
 エリクシルもミオも、彼女に追いつくことは一度もなく。そのまま風音はミオの家の玄関を潜り、ミオの自室へと入る。
「ゴールッ! 私の勝ち!」
 風音は笑顔を弾けさせ、快哉を叫んだ。
 しばらくして、くたくたのミオが戻ってくる。エリクシルも、へろへろと飛んできた。
 ミオは傷つかず、エリクシルは疲労したのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルシア・ナドソコル
【心情】
ミオちゃんの願いが叶ったら、それは11歳の誕生日も12歳の誕生日も来ないということ
僕みたく人の世の理から外れることを選んで生きるならともかく
10歳で一方的に歪んだ力で与えられていいものじゃあない

理不尽な結末、壊すとしましょう

「お前の力はやはりいらない。僕の旅の行先は僕の手で決める」

【戦闘】
UCで分身して、「インフィニットゼロ」
次元扉に身を隠し、隙を突いて無言で「凍結攻撃」
ヒット&アウェイで体力を奪う
「(さっきの戦隊にアイスケーキはいませんでしたね)」

分身で注意を引き、囮に使いかく乱を図る

「(終わった後で)来年の誕生日も、いつまでも続けばいいと思える一日であることを祈っていますよ」



終焉の破壊エンドブレイク
(「ミオちゃんの願いが叶ったら、それは11歳の誕生日も12歳の誕生日も来ないということ」)
 ルシアは思考する。
(「僕みたいに人の世の理から外れることを選んで生きるならともかく、10歳で、一方的に、歪んだ力で与えられていいものじゃあない」)
 ルシアは少年の面差しだが、実年齢はもっと上である。しかしそれは、彼自身が選択したことだ。ミオは、そうではない。
(「理不尽な結末、壊すとしましょう」)
 改めて意志を固めたルシアは、エリクシルに視線を向けた。
「お前の力はやはりいらない。僕の旅の行先は僕の手で決める」
「そっか」
 エリクシルは、さして残念でもなさそうに言う。それから、宣言した。
「さあ、『皆、静かに!』」
 戦場に沈黙が落ちる。静寂のルールを破った者は、敵味方問わず、赤い結晶の檻に閉じ込められるだろう。
 ルシアは声を上げることなく、ユーベルコードを発動した。これにより、10体の精巧な残像分身が現れる。『ソード・ミラージュ』である。
 ルシアは、自分の分身たちと共に、次なるユーベルコードを繰り出す。これにより、戦場に現れた次元扉に、ルシアと分身たちは身を隠した。
「……!」
 エリクシルにはルシアと分身たちが消えたようにしか見えず、対応ができない。それは、ミオにとっても同じだった。
 ルシアはエリクシルの後方に開いた次元扉から現れ、冷気を纏った武器を振るった。
「っ……!」
(「さっきの戦隊にアイスケーキはいませんでしたね」)
 ルシアは心に浮かべながら、凍結していくエリクシルを尻目に、再び次元扉に隠れる。
 ヒット&アウェイ。エリクシルの体力をじわじわ削っていく作戦だ。
 次元扉から現れるのは、本物のルシアの場合もあれば、ルシアが囮として召喚した分身の場合もある。
 ミオの注意力も、散らされ……。
(「そこです」)
 本物のルシアによる、エリクシルへのとどめに、ミオが対処することはできなかった。
 エリクシルは完全に凍り付き、砕け散る。
「あ……」
 ミオは、ぺたんと座り込んだ。
 穏やかに笑ったルシアが、ミオに声を掛ける。
「来年の誕生日も、いつまでも続けばいいと思える一日であることを祈っていますよ」
 瞬いたミオの目に、光が戻った。
「……ありがとう……本当にごめんなさい……」
 ルシアは微笑を浮かべたまま、首を横に振る。
「ミオちゃんは、何も悪くありませんよ」

 閉じていたミオの時間は、未来に向かって動き出した。
 終焉は、猟兵たちの手で破壊されたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月03日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#エンドブレイカー!
🔒
#UDCアース


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠仲佐・衣吹です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト