さあさ、御立会い。今宵の決闘ごっこは特別開催。腕自慢の妖怪と、猟兵達の勝負ときたもんだ。御用と御急ぎでない方は、どうぞゆっくり見ておいで。
ただし後ろにゃ気をつけな。騒ぎに紛れて不穏の影が、妖怪ひとりを丸呑みさ!
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「カクリヨファンタズムの妖怪達の間で流行っている、
決闘ごっこをご存知ですか?」
神白・みつき(幽寂・f34870)は、集まった猟兵達へまずはそのように尋ねた。中にはカクリヨファンタズム出身の者もいるだろう。早くも納得したような声を零す者もいれば、何のことだと首を捻る者もいた。
「元々は妖怪達がUDCアースで暮らしていた頃、人間との間に揉め事が起こった時に催されていたそうです」
昔話などを見るに、妖怪と人間が揉めるのはそう珍しいことではない。片方が理不尽な主張をしていることもあれば、どちらも退くことができない真っ当な理由を持つこともある。
そういった時の解決方法として考案されたのが、みつきの言う
決闘ごっこだった。対等な条件で決着をつける為の儀式として行われていたが、成り立ちからも分かるように、〝より強い方が主張を通すことができる喧嘩〟……なのである。
妖怪達がUDCアースを去って久しい今は、それも形骸化しているわけだが。
「今では儀式という名目すら失われ、力を持て余した妖怪がそれを発散するための競技として一般化しております」
彼らにとってこれは既に儀式に非ず。ストレス発散の運動に過ぎなかった。健康的で結構な話だ。
「実は今、カクリヨファンタズムで暮らすとある妖狐が例によって力を持て余し、
決闘ごっこの相手を募っているのですが……此度の予兆は、その妖怪が骸魂に飲み込まれる様子が見えました」
猟兵達が防ぐべき事件はそちらだ。妖怪達が
決闘ごっこに興じること自体に問題は無いが、それに乗じてオブリビオンへ変じようとする骸魂は見過ごせない。
早々に話を理解した猟兵達へ、みつきはひとつ頷き、改めて自分達が為すべきことの説明を始めた。
「まずは、標的となる妖怪の少女のもとへ行っていただきます。彼女に
決闘ごっこを申し込み、持て余している力を発散させてください」
少しでも発散させることで、骸魂がその妖力を察知する可能性を下げるのが第一だ。万が一、妖怪の少女を飲み込まれたとしても事前に発散させることで、ある程度オブリビオンの力を弱らせることができる筈だ。
「骸魂が現れましたら決戦です。少女が完全に飲み込まれてしまう前に撃破をお願いいたします」
至極シンプルな最終確認を行うみつきの言葉に、猟兵達は揃って頷いた。
●
大昔のUDCアースの田舎町を模した地域がある。山沿いにある小さなその町では、月が高く昇る時間帯にも関わらず、妖怪達が今日も各々遊びに興じていた。
娯楽の少ない町だからか、妖怪達は刺激に飢えている。だから転移してきた猟兵達に興味を示す者も多い。顔面にひとつしかない大きな目を輝かせながら、妖怪の子が言った。
「すごく強そうな人間だ! つかさとどっちが強いかな?」
「絶対につかさだよ! この町でいちばん強いもん!」
一緒に猟兵を見上げていた小鬼の少年が答える。彼らが期待をこめた声色で呼ぶ「つかさ」という名に言及しようとした時だ。
何処からか高笑いが木霊する。声はまだ幼さの残る少女のもので、特筆するような邪悪さも感じられない。
「よそ者が、あたいに勝負を挑みに来たってわけか!」
その少女は、背の高い木の上にいた。黄葉色の大きな尻尾を揺らし、猟兵達を見下ろしている。丸く大きな瞳には、幼子特有の自信が満ち溢れていた。
「挑戦、大歓迎だ! なにせ、この町でもうあたいと決闘してくれる子いないんだもん」
そう語りながら、狐の少女はひらりと木から飛び下りる。特殊な技能など無く、ただその身体能力のみで軽く着地してみせるその様は、野生動物のそれとも言えた。
「あたいは妖狐のつかさ。あたいとの決闘は種目が決まってんだ。その名も……〝弾幕合戦〟!!」
つかさの宣言と共に、いつの間にか周囲に集まっていた妖怪達が歓声を上げる。ある者は酒を手に脇へ座り込み、ある者はどちらの勝利にいくら賭けるだの騒いでいた。本当に娯楽が少ない土地なのだということが窺える。
「人間相手なんてすっごく久し振りだし、今日は山ひとつ使っちゃお。ほら、ついて来なよ。ルール説明したげるからさ」
つかさは上機嫌で、猟兵達を先導するように山へと歩き出す。小さな山だ。人間の足でも登りきるのが可能な程度……ただし急勾配な道が多い上に木々で視界が狭まり、頂上以外は見晴らしが良いとは言えない。ここが、今宵の
決闘ごっこの舞台となるのだ。
つかさを先頭にした、猟兵と妖怪の行列が山を目指す。月と妖怪達が見守る中、特別な決闘遊びが幕を開けようとしていた。
マシロウ
閲覧ありがとうございます、マシロウと申します。
今回はカクリヨファンタズムでのグリモアエフェクトシナリオをお届けいたします。最終目的は「骸魂に飲み込まれてオブリビオンと化した妖怪の討伐および救助」です。参加をご検討いただく際、MSページもご一読ください。
●第一章
骸魂の標的となる妖狐の少女との決闘ごっこです。種目は「弾幕合戦」。少女は自身の妖力で作った弾幕を張ってきますので、耐えたり回避したりしながら彼女のもとへ辿り着く必要があります。
●第二章
ボス戦です。突如現れた骸魂に妖狐の少女が飲み込まれ、オブリビオンと化してしまいます。彼女を救出するには、まずは討伐をする必要があるでしょう。
また、飲み込まれた少女の影響か、どうやら第一章の決闘ごっこのルールがまだ適用されているようです。
プレイングボーナス:決闘ごっこのルールに則った戦い方をする。
全編通して楽しい弾幕遊びができます。あたいったら最強ね!をしに是非お越しください。
当方都合により、プレイング受付は【11/23 8:30】に開始とさせていただきます。ご了承ください。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
第1章 冒険
『侵入者を一歩も進ませない程度の弾幕』
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POW : 体力で弾幕を耐え凌ぎ、まっすぐ進む
SPD : 身軽な動きで弾幕の間隙を縫って進む
WIZ : 弾幕のパターンを覚え、弾道を外れるルートを取って進む。
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「ルールは簡単さ。あたいの弾幕を避け続けながら、あたいに触ればあんた達の勝ち」
山の中、少しだけ開けた場所に辿り着いたところでつかさは弾幕合戦の説明を始めた。開始位置も、つかさと猟兵達の間には長い距離が設けられる。その間を縦横無尽に弾幕が飛び交うのでそれを避けつつ、つかさを捕まえる……というのがルールだ。
「そして、こっからはおまけルールだ。弾幕もただ避けるんじゃつまらないだろ? だから避け方に点数を付けるのさ」
つかさがそこまで言うと、彼女と仲が良いのか妖怪の子供達が口々にその内容を解説してゆく。
「完全回避が5点!」
一発の弾を危なげなく回避できた場合は5点加算される。
「連続回避が10点!」
連続で飛んできた複数の弾を回避できた場合は10点加算。
「かすりが20点!」
当たりそうで当たらない、スリル満点のギリギリ回避で20点加算。
「でも当たったら減点5点!」
回避することがメインならば、それができなければ当然減点となる。
「安地でやり過ごすのは減点20点!」
つかさを捕まえるのが勝利条件なのだから、安地でゆっくり見物……なんて許されません。
そうして、最終的に高い点数を得た者が最高記録保持者として称えられる。それだけの、あくまでもおまけだ。つかさを捕まえさえすれば勝利できるので、新記録に挑まないのであれば敢えて回避しないのも手だろう。
弾幕も当たったところで怪我したりするもんじゃないけど、狐火だからすっごく熱いかもね。と、つかさが付け加える。それでも、骸魂が現れるより前に体力を消耗することは避けたい猟兵側からすれば、戦闘行為でないだけまだマシだと言えた。
ふと、暗い山道にぽつぽつと青白い光が浮かぶ。一瞬蛍かと見紛うそれは、無数の群れを成す狐火だった。意思こそ感じる動きではないが、まるでつかさに従うように彼女の周囲へ集まっていった。つかさは、集まった狐火を伴って音も無くその小さな体で宙に浮かぶ。神通力の類いだろうか。これでますます、彼女を捕まえるまでの難易度が上がってしまった。
「さて。それじゃあ、そろそろ始めようか」
つかさが待ちきれないといった様子で告げた瞬間、集まった狐火が一瞬にして全て弾けた。細かく散った火花は変わらず青く揺れ、つかさの背後で曼陀羅のような形を描く。
「山から弾き飛ばされないよう、せいぜい気張るんだね」
それが、決闘開始の合図だった。狐火の曼陀羅は大きく回転したかと思えば、四方八方に拳ほどの炎の弾を撃ち始める。人ひとりが通れるか否かの隙間だけを作って降り注ぐそれは、まさに火の雨だ。
その奥に見えるつかさは、どんな決闘になるか心の底から期待した目で猟兵達を見つめていた。
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ベルナデット・デメジエール
盛り上がっていらっしゃる所すみませんが、わたくし人間ではございませんわ!
そう…わたくしは高貴なる西洋妖怪、吸血鬼のベルナデット・デメジエール!
ですからどうぞご安心を、
人間様よりも血湧き肉躍る決闘ごっこになる事をお約束しますわー!
ま…まあ!里で一番と言われるだけあって中々激しい弾幕ですこと(震え声)
ですが落ち着いて対処すればかわせない弾幕ではありませんわ
決闘ごっこのセオリー通り、ギリギリまで引き付けた上で華麗な空中機動、手にした日傘を用いた盾受けで軌道を逸らす、
一見直撃しそうな弾をUCで全身を蝙蝠へと変じてかわして見せるなど、
優雅な立ち回りでギャラリーの皆様を魅了してさしあげますわ!
「盛り上がっていらっしゃる所すみませんが、わたくし人間ではございませんわ!」
弾幕合戦の開始を今か今かと待ちわびる観衆へ向け、夜の色を纏った女吸血鬼が一歩進み出る。育ちの良さが窺える所作のひとつひとつに、田舎妖怪達はハッと息を呑んだ。
「そう……わたくしは高貴なる西洋妖怪、吸血鬼のベルナデット・デメジエール! ですからどうぞご安心を。人間様よりも血湧き肉躍る決闘ごっこになることをお約束しますわー!」
高らかに宣言をしたベルナデット・デメジエール(孤高なる夜の女王(自称)・f28172)は、堂に入った仕草と声量で高笑いを響かせた。たまたま馴染みのある世界での仕事とあって、少しばかりはしゃいでいることは否定しない。例え
決闘ごっこの種目が多少荒事であろうとも構わない程度には、だ。
高貴な吸血鬼としてのイメージは大切だ。見物に来た妖怪達の記憶に強く残るよう、ベルナデットは黒檀の髪を最良の角度で靡かせる。
「はぁー、このあたりじゃ見れねえ別嬪さんだなぁ。ありゃあ噂に聞くサキュバスってやつかい?」
ベルナデットに関心を向けた妖怪達の中から、そんな無邪気かつ心無い言葉が飛んだ。ベルナデットの聴覚がそれをしっかり受け取ってしまったことで、彼女の動きは一瞬とはいえ石のように固まり停止する。吸血鬼という西洋妖怪は決してマイナーではない筈なのに、何故こんなにもサキュバスと間違われるのか、ベルナデットは理解に苦しんだ。
「サキュバスではございませんわ! 吸血鬼ですの、きゅ・う・け・つ・き!」
「姉ちゃん、後ろ後ろー!」
観衆へ向けて訂正を求める声を上げる彼女に、今度は他の妖怪が呼び掛ける。彼が指すのはベルナデットの背後。宙に浮かびスタートポジションに着いたつかさが展開する弾幕が、こちら目掛けて放たれていた。
ベルナデットは軽い身のこなしでそれを回避する。既に近くに安全地帯など無く、常に動き回ることを要求される状況だ。
「ま……まあ! 里で一番と言われるだけあって、なかなか激しい弾幕ですこと」
あと少し回避が遅れていたら狐火で火傷をしていたかもしれない。別に、全く、これっぽっちも恐怖などしていないが、ベルナデットは僅かに声を震わせた。
咳払いをひとつして気持ちを落ち着かせる。確かに激しく、隙間も狭い弾幕だが、落ち着いて見極めればかわしきれないものではない。ベルナデットは改めて愛用の日傘を構えて月光の下を飛翔した。その速度は、夜空を彩る弾幕のひとつひとつに劣らない。
弾幕もひとつの芸術だ。闇の中、花や曼陀羅、オリジナルの紋様など一定のモチーフを描くものも少なくはない。そこにはどうしても法則が生まれる。それさえ見つければ、弾の動きを予測した上でぎりぎりまで引き付けての回避が可能となる。かすりの点数、これでいただきだ。
ふと、目の前の弾幕が直前とは異なる動きを見せる。おそらく描くモチーフが切り替わったのだろう。大きく角度と起動を変えた狐火が、ベルナデットの行く手を阻んだ。
「弾幕合戦は回避こそ至高とお見受けします。けれど、弾幕の軌道を逸らしてはいけない、というルールはございませんわね!」
日傘を振り抜き、目前に迫った狐火を弾き飛ばす。弾かれた狐火は水風船のように細かく散り、一瞬の花火のように夜の空気へと溶けていった。いくつかの火花はそれを起爆剤とするかのように、小さな弾となってベルナデットへ襲い来る。
だが、それに直撃しそうだったベルナデットの体がまるで火花に倣ったかのように弾ける。代わりに月夜を羽ばたいたのは、小さな吸血コウモリの群れだった。ベルナデットの髪を想起させる黒コウモリ達はパフォーマンスを魅せるように四方八方を飛び交った末に一箇所へ集束する。そして、そこにはいつの間にか彼らの主……夜の女王が姿を現しているのだ。
鮮やか且つ流麗な仕草で夜に君臨する彼女は、今宵の月に決して見劣りしない黄水晶の瞳で辺りを眺め渡した。
「これで終わりだなんてお思いにならないでくださいまし! まだまだ、わたくしの優雅且つ華麗な回避術で皆様を魅了して差し上げますわ!」
大成功
🔵🔵🔵
鳶沢・成美
ふむ、なるほどわからん
いやわかるけど、今一つ細かい機微は呑み込めませんね
でもまあ、この町の子じゃないからしかたないか
とりあえず、当たらない様にして捕まえろと
【風神旋風縛】で飛んでくる火の弾を巻きとってしまいましょう
自分の周りにつむじ風の結界を張る様なものですね
そうやって相手の弾を受け止めながら進んでいきましょう
これはこれで、何だか強者っぽいですよね
さあ終わりですか、では反撃させてもらいましょうか
といっても拾った小石をつむじ風に乗せて
グルグル回して発射するだけなんですが
まあ、こんな事するための術じゃないので
細かいコントロールとか無理だから当たりませんけどね
ぶっつけ本番でも意外と前に飛ぶなあ……
ふむ、なるほどわからん。
弾幕合戦のルール説明を受けた鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)の正直な感想はその一言に尽きる。全く理解できないわけではないが、ところどころで感覚の違いというものを見せつけられたようにも思える。が、自分はこの町の者ではないから仕方ない。間を置かずそう結論を出せるぐらいには、成美も切り替えが早い性質だった。
つかさが狐火で曼陀羅を描き、そこから無数の弾が放射状に放たれる。見る者によっては花火にも思えるそれを、成美は敢えて回避するようなことはしない。
「風の神様、よろしくです」
瞬間、彼の足下に落ちていた枯葉が宙を舞う。その動きだけで、何処からともなく吹き上がったつむじ風が成美の全身を包んでゆく様子が見て取れた。
弾幕の狐火が、その場に静かに立つ成美を襲う。だが、それら全て成美に傷ひとつ負わせることはできない。青白い炎は見えない守りに遮られ、儚く夜の空気へ解けていった。
「へえ、あたいの狐火を消せるんだ!」
愉快そうに笑うつかさは、弾幕を消された端から補充してゆくように追加の狐火を放つが、成美にそれが当たることは無い。
成美はつむじ風で狐火を掻き消すことで出来る僅かな通り道を進んでゆく。作った道自体は狭いものだが、弾幕全体の軌道の法則を見極めれば死守も可能だ。つむじ風による守りを緩めることなく成美は歩を進めていった。見る者が見れば、狐火を正面から受けながらもノーダメージで接近してくる強者のようにも見えた。
成美がいくらか進んだところで、弾幕にほんの僅かな隙間が出来る。どうやら、次の弾幕に切り替わる瞬間だったようだ。これを逃す手は無い。
「では、反撃させてもらいましょうか」
そう言って笑む成美は、足下に転がる小石を数個拾い上げた。丸いもの、角ばったもの、形や大きさに統一性は無い。そんな何の変哲もない小石で構わなかった。
それまで成美を守っていたつむじ風の勢いがやや強まる。空気を巻き上げる音と共に吹く風は成美の手の中の小石を浚ったかと思うと、それら全てを夜空へと撃ち上げる。否、正確には弾幕の中心にいるつかさへ向けて発射したのだ。つむじ風に乗り、成美のまわりを一周してから放たれる小石はちょっとした弾丸程度の速度は出る。銃などで撃つよりも軌道は整然としておらず、横に逸れてゆくものもあるが、それが逆に弾幕のようにも見えるだろう。
思わぬ飛来物を狐火の一部で防ぎながら、つかさが驚嘆の声を上げる。
「なになに、あんたも弾幕撃てんの!? それなら最初に言ってよ!」
「いや、弾幕と呼べるほどのものじゃないよー」
謙遜でも何でもなく、陰陽術を少し応用しただけの技だ。精度も荒く、美しく曼陀羅を描くつかさの狐火と比べれば素人芸の域は出ない。
だが勿論、利点もある。小石が放たれる先は風の気紛れ。法則など無いその動きは読みづらく、回避や防御の難易度が高いということだ。現に、つかさは小石を防ぐことに意識の一部を割き、自分の弾幕を張るのが疎かになっていた。それだけで、成美は役目を果たしたとも言えるだろう。最初から当てようだなどと思ってはいない。
見物客達から歓声が上がる。彼らは人間の予想外の行動にひどく感心している様子だ。
「ぶっつけ本番でも意外と前に飛ぶなあ……」
だが、思いつきの戦法が予想以上に上手くいって一番驚いているのは、何を隠そう成美自身だった。
成功
🔵🔵🔴
勝守・利司郎(サポート)
神将の四天王×花蝶神術拳伝承者、勝守・利司郎だ。
花蝶神術が何かって?オレが言い張ってるだけだが、練った気を花や蝶のごとく扱うやつ。
しっかし、『トーシロー』が達人っていう設定なぁ。あ、オレ、神隠し先で神将になる前はバーチャルキャラクターな。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動する。そうだな、主に拳に練った気を集めてグローブ代わりにして、殴ることが多いか?
他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。オレの美学(味方ならば邪魔をしない)に反するからな。作戦なら別だが。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないからな。
あとはおまかせ。好きによろしく!
弾幕合戦。つまりはシューティングゲームみたいなものか、と勝守・利司郎(元側近NPC・f36279)は理解した。自身の〝原作〟とはジャンルが異なるがそれはそれ。ルールを聞いた限りでは、利司郎が得意とする花蝶神術も役立ちそうなのも救いだった。
狐火の弾幕はまるで山ごと覆い尽くしそうな規模で展開される。相手は力が有り余っている妖怪だと聞いてはいたが、その弾幕の大きさと隙間の小ささには目を見張る。だが、敵の猛攻の隙を見つけて主を導くのも側近の務めだ。例え今回、その主が不在だったとしても。
利司郎は右の掌を上向きに広げ、何も無いそこに軽く息を吹きかける。すると、まるで今まで姿を隠していたかのように次々と花弁が溢れ出し、風に乗って夜の景色へ舞い上がった。山桜が散るようなその光景に、観衆は歓びの声を上げる。
辺りを舞う花弁を、つかさが放った狐火が次々と襲う。花弁は抵抗も無く燃え上がり、そのまま煤になって地に落ちる……かと思いきや、青白い狐火が色を変えて赤々と燃え続けていた。
「ああ、一か八かだったが、上手くいって良かったよ」
狐火が利司郎の花弁を燃やしているのではない。花弁が、狐火を吞み込んでいる。つかさや、見物している妖怪達がそれを理解した頃には、辺りは赤い炎がいくつも灯り、まるでつかさの弾幕を模したように曼陀羅を描いていた。
「じゃあ、ここからは反撃だ」
利司郎の指、そのよく整えられた爪の先が月を背景に浮かぶつかさを指す。それを指示と取ったかのように、赤い炎は次々とつかさ目掛けて飛び立った。思わぬ反撃につかさも狐火で防ごうとはするが、他の猟兵の攻撃にも対応しているせいで手が回っていないのは明らかだ。
一気に畳み掛ける。瞬時にそう判断した利司郎がパチンと指を鳴らせば、それに続くのは細かな爆発音だ。つかさの下へ飛んでいった炎が次々と強い光を放ち、そして爆ぜてゆく。ひとつが爆ぜれば隣り合った炎も爆ぜ、あっという間に真っ白な光に包まれたつかさの姿は見えなくなってしまう。
「ぎゃー!! まぶしい、まぶしいってばー!!」
光の中から、つかさが叫ぶ声が聞こえる。戦闘というわけではないのでユーベルコードの威力は大幅に落としているが、目くらましぐらいにはなるだろう。
「よしよし。じゃあ、あの子を捕まえるのは他の人に任せるか」
実際に、つかさの弾幕は先程よりもかなり層が薄くなっている。ここまで追い詰めれば、彼女を捕まえるのは容易だろう。
だが、勝負を決するのは自分の役目ではない。利司郎は側近らしく、その時が来るのを待っていた。
成功
🔵🔵🔴
雪・兼光
●SPD/アドリブとか御任せ
へぇ、弾幕ごっことか楽しそうじゃァないか
俺も混ぜてくれよ
情報収集で場所を確認して回避しやすい場所や弾幕の安全地帯を探して、回避や間を進むときに利用する
見切りと悪路走破と運転を利用して避けて近づいていく
山道を走るとか楽しめそうだ
狙うはかすり回避オンリー
さぁ、俺にスリルを味あわせてくれよ
まぁ、それは別として捕まえるんですけどねー
避けきれない弾丸はユーベルコードを解除して、範囲攻撃、乱れ打ち、2回攻撃、零距離射撃でかき消す
弾幕を撃っちゃぁイケナイとは言われてないからな
相手も弾幕を自由に操作できるかもしれないしなぁ
青白い狐火が花火のように広がり、弾のひとつひとつが幾何学模様を描きながら飛んでくる様子は素直に美しく、そしてその細かな隙間を縫って相手のもとへ辿り着くというルールは、実に雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)の好みだった。そこまで大きな期待をしてこの仕事に赴いたわけではなかったので、これは嬉しい誤算とも言えるかもしれない。
嬉々として弾幕合戦に参戦する兼光の手元で、愛用の
熱線銃が大きく形を変える。それは元の形も質量も無視し、大型二輪のような乗り物へと変形を遂げた。騎乗できる代わりに武器として使用することはできないが、この場はそれで構わない。さすがに水上バイクで山道を走るわけにもいかないので、ここでは二つの大きなタイヤに身を預けることにした。
バイクに跨り、弾幕を回避しながら夜の山を走り抜ける。小さな山とはいえ、登山用のような整えられた道は無い。急勾配の道もあれば、やたらと凹凸の激しい道もあり、普通であればバイクを乗り回すには不向きな環境だ。
「俺としては多少悪路の方が楽しめるけど……なッ!」
進路に佇む大岩を避けることはせず、そのまま速度を上げる。大岩をジャンプ台のようにして跳び上がれば、疑似的にとはいえ弾幕を背景に夜空を飛翔している気分にもなれた。直後、つい今し方ジャンプ台にした大岩に弾幕が直撃する。その轟音を背に着地し、再び山道を走り始めた。
卓越した運転技能で弾幕を回避しつつ、つかさの位置を横目で確認する。彼女自身は浮遊してはいるが、直線距離が縮まってきていることは目視でも把握できた。弾幕合戦の勝利条件は、弾幕を掻い潜ってつかさを捕まえること。ある程度まで接近したら、
熱線銃を滞空時間の長いものへ変形させる必要があるかもしれない。
一気に近づけるタイミングを狙いながらの回避は、それなりに骨が折れるものだ。だが、せっかくならば高得点も狙っておきたい。ギリギリまで引き付けた弾を急旋回で回避する技を見せつけて観衆を沸かせるのも、まあ、おまけのようなものだ。
ふいに、兼光は弾幕全体の軌道に乱れが生じたのに気づく。どうやら、他の猟兵の攻撃を受けたつかさが、弾幕の精度を保てなくなっているようだ。それはつまらないような気もするが、近づくタイミングを見計らっていた身としてはこれを利用しない手は無い。
木々の間を縫って大きく回り、一定の距離を作ったところで速度を上げて一気につかさへと接近する。彼女は目くらましを受けたのか、先程より浮遊する高度が下がっていた。あの高さであれば、今のバイクでも届く筈だ。
限界まで速度を上げると、周囲の風景などもう見えはしない。見えるのは捕まえるべき対象だけだ。つかさはまだ視界が明瞭に戻っていない様子だが、それでも兼光が近づいてくる気配は察したようで、新たな狐火を生み出しては四方八方へ放つ。
「お。そうこなくっちゃなァ!」
ギリギリまで抵抗するという意思の表れでもある弾幕を目の前にして、兼光は火の雨の中を駆け抜ける。点数をどれほど稼いだなどと、既に数えるのをやめていた。
つかさに手が届くまで、あと数メートル。そう認識した瞬間、眼前に青白い炎が飛んでくる。兼光は舌打ちをひとつして
熱線銃の変形を解除し、こちらを狙う狐火の全てを撃ち落とす。
「そらよ、お返しだ」
熱線銃の銃口に集束した光を、トリガーを引くことで解き放つ。熱を伴うそれは普通の銃弾のように放たれる筈もなく、何束もの光線が放射状に伸びていった。光線同士の隙間はそれなりにあれど、挟まれている間は左右の移動が完全に封じられる。つかさがそれに気づいた時には、再びバイクに変形した
熱線銃が間近まで迫って来ていた。
「う、うそーーーーー!?」
つかさがバイクの上の兼光に回収されるのと、敗北を喫した彼女の叫びが山中に響くのは、ほぼ同時のことだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『狐狸』つかさ』
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POW : どろどろどろん!
戦闘力が増加する【巨大なダイダラボッチ】、飛翔力が増加する【上に攻撃力も高い鎌鼬】、驚かせ力が増加する【百面相をする釣瓶落とし】のいずれかに変身する。
SPD : 化術大迷宮
戦場全体に、【トラップ満載の、化術で変化した自分自身】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : 三種の妖器
【宝珠の力による不動の呪い】【巻物から発動した幻術】【瓢箪から吹き出た毒霧】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●
「うあーーー、負けた負けた」
夜空と山を覆っていた弾幕はすっかり消え失せてしまった。つかさは適当な岩の上に腰を下ろし、足を投げ出してばたつかせている。
大きな盛り上がりを見せていた観衆も興奮冷めやらぬ様子だ。まるで祭でも催されていたかのようなその熱気は、決して不快なものではなかった。健闘してみせたつかさを労う声、一番強いと言われたつかさに勝った猟兵達を讃える声、賭けに負けたと咽び泣く声。悲喜こもごもといったその場の空気に、ほどよい疲労感が混ざる頃のことだ。
ふと、何処からか生温い風が吹き込んでくる。何者かの臓腑に包まれているかのような嫌な感覚だった。敵意と呼ぶのも烏滸がましい。これはもっと純粋な殺意と、それを孕む視線。猟兵達は、この空気を知っていた。
「骸魂だ!」
誰かの叫ぶ声に、猟兵達は弾かれたように臨戦態勢を取る。直前まで骸魂の気配など無かった筈だ。弾幕合戦の騒ぎに乗じて、そしてつかさの強い妖力で広範囲に展開された弾幕に紛れて、ここまで近づいてくることができたのか。何にしても、咄嗟の襲撃はその場を混乱させるには充分すぎた。
いつの間にか周囲を漂っていた白い靄が、巨大な動物の姿を象っていた。狸のようにも見えるそれは、猟兵達や逃げ惑う他の妖怪達には目もくれず、すっかり疲れ果てて座り込んでいたつかさに向けてその大口を開けた。
「あ」
つかさは叫び声すら上げる間も無く、骸魂にその全身を取り込まれる。図らずも予兆の通りとなってしまった。力を得た骸魂は、この小さな山など崩れてしまいそうな咆哮を上げる。地鳴りを伴うそれが収まる頃、猟兵達の目の前に立っていたのは白い靄の骸魂ではない。取り込まれた妖狐の少女、つかさとよく似た姿をしたオブリビオンだった。
彼女は先程までの無邪気な笑顔も、快活な言動も見せることは無い。猟兵達の姿をその視界に入れた途端、幾つもの狐火を辺りに灯してゆく。白く禍々しく揺れるそれは、不規則な動きでつかさを取り囲んでいった。
一陣の風が吹き、ひと際大きく炎が燃え上がる音がする。その瞬間、狐火の輪が車輪のように回り出し、そこから生まれる無数の炎の弾が猟兵達へと襲い掛かった。
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鳶沢・成美
そういえば弾幕を撃てるのかって聞かれてましたね
骸魂に取り込まれる前のつかささんに、まあ撃てるんですけど
【火雷神道真】で誘導弾の様に敵を追跡する礫を放ちます
一部はこちらに当たりそうな炎の弾を迎撃
その他は敵に、直接当たる直線軌道だけでは芸が無い
ジグザグ、螺旋などの軌道で幻惑させたり
あえて外す事で油断をさせたり
まあ、外れた礫は弧を描いて戻ってくるんですが
背中がお留守ですよ
この術は初めて一から組んだもの、使い方は習熟しています
この弾幕を見て、取り込まれたつかささんの意識が目覚めて
骸魂を追い出してくれたりするといいんですが
ちゃんとした弾幕撃てるの隠してたのズルい、また遊ぼうって
骸魂に取り込まれたつかさが弾幕を展開し、猟兵達へ襲い掛かる。それに対して最初に動いたのは鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)だった。成美が手指で印を組む。すると、彼を守るようにして現れた陣が夜闇の中で淡く光を発し、数多の礫を撃ち出し始めた。数はつかさの狐火と互角。攻撃一辺倒に収まらず、危うく成美に命中しそうだった狐火に自ら飛び込み打ち消しに掛かる、防御役に回る礫もあった。
この術は数あるユーベルコードの中でも、成美が一から組み上げたもの。最早自身の手足のように行使できるし、多少のイレギュラーにも即座に対応が可能だ。
「ただ……直線軌道だけでは芸が無いって怒られそうですからね」
成美が印を組み替えると、つかさ目掛けて直線で飛んでいた礫の一部が軌道を変える。鳥や虫のような生き物を思わせるその動きは不規則で、容易に先を予想できるものではない。つかさの目の前で螺旋状に動くもの、それに気を取られている間に左右からダメージを与えるもの。礫のひとつひとつに役割を与えることで、集団戦の要領で戦うことをも可能にした術だった。
「背中がお留守ですよ!」
つかさに当たることなく的外れな方角へ飛んでいった礫が、成美の声を合図に急旋回を見せる。方向を変えたとは思えない、流星のような速度で飛ぶそれらはつかさの背後を狙う。ほぼ全弾が命中するのを見て成美は改めてつかさの様子を窺った。
未だ骸魂を引き剥がせる気配は無い。だが、先程までの弾幕合戦で消耗させたのが効いているのだろう。つかさの狐火は明らかに数も勢いも衰えていた。
(それに……)
つかさの動きの端々に見えるぎこちなさ。それは、力の消耗だけでなくつかさ自身が骸魂に抵抗していることの証左でもあった。
成美は敢えて攻撃の手を緩めることはせず、次の礫を夜の宙へ放つ。それはまさに、
幽世の夜空を彩る弾幕の再現。つかさの心を衝き動かすものはこれ以外に無いだろうと、成美は確信していた。
また遊ぼう。骸魂に打ち勝ったつかさがきっとそう誘ってくると、彼は信じている。
大成功
🔵🔵🔵
ベルト・ラムバルド(サポート)
ハイカラさんのクロムキャバリア ×今は 宇宙騎士!
普段の口調は私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?
騎士道精神を胸にキャバリア《パロメデス》に乗って戦うぞ
弱きを助け強きを挫く自称誇り高き光明の暗黒騎士だ!
でも実はお調子者でおっちょこちょいな奴だ!いわゆる残念なイケメンだ!
生身でも戦えるけどあんまし強くないかも…?
基本はキャバリアの乗って戦うぞ!
キャバリアに乗れない時は…なんとか生身で頑張って戦うぞ!
時々コミュ力で知り合った異世界の人やモノ?を召喚したりするんだ!
実は片思い中の人がいるけどなかなか報われないんだ!頑張れ!
片田舎の山ひとつとはいえ、キャバリアに搭乗するには舞台が小さすぎる。周囲へ被害が及ぶことを考えると、ここは生身で戦う以外に方法は無さそうだ。それは、ベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)にとっては不利な条件とも言える。だが、それは彼が撤退する理由にはならない。目の前で骸魂に取り込まれた妖狐の少女を助けずして、何を騎士と呼べようか。
「私は、私の騎士道精神に反する行いはしない。キャバリアに乗らずとも必ず、かのオブリビオンを退けてみせる!」
腰に提げた細剣を鞘から抜き夜空を見上げれば、骸魂に意識をも呑まれているつかさの姿が目に入る。その背には、ともすれば月よりも濃い光を放つ狐火が幾重にも並び、敵と認識した者目掛けて弾幕として襲い掛かってくる。ベルトはそれらを細剣で裁きはするものの、そこから前進も後退もできない状況だった。
(受け流すことはできても、これ以上の攻勢には出られない。やはり、パロメデス無しでは……!)
分が悪いか、と弱音が脳裏を掠めたその瞬間。何処からか、赤々と燃える火の玉や礫、そして雪玉の数々が飛び出してくる。それらはベルトの横すら通り過ぎたかと思うと、こちらへ襲い来る狐火を次々と掻き消していった。
「これは……!」
思わぬ助太刀に、ベルトは思わず振り返る。岩陰から、茂みから、木の上から姿を現したのはカクリヨファンタズムに生きる東方妖怪達だった。
「あの時の東方妖怪の皆さん
……!!」
戦禍で家族とはぐれていた化け猫の少年。骸魂により里を壊滅寸前まで追い込まれていた烏天狗。恋人の裏切りに嘆き人を襲っていた雪女。それらを筆頭に現れる東方妖怪その全てが、かつてベルトに救われた者達だ。彼らの動きは軍隊のように統制のとれたものでこそないが、その数はたった一体の──そして未だつかさに抵抗されている──骸魂が対処できるものではない。
「攻撃の手を緩めるな! 今こそ、ベルト殿に受けた恩を返す時!」
最も前線に出ていた烏天狗が叫ぶと、妖怪達が一斉に鬨の声を上げる。ベルトとて一度は軍属だった身。その場の士気が急上昇したことなど、目や耳で理解するよりも先に肌で感じられた。
これまで自分が守ってきたものが、今度は自分と肩を並べて戦っている。その事実は、ベルトの胸に強い歓喜を呼び起こした。再度、細剣の柄を握り締める。
「援軍、感謝する! このまま右翼、左翼にも陣形を展開! 骸魂の退路を塞ぐ!」
ベルトの指示に、集まった妖怪達は呼応するように再び声を上げる。まるでそれに怯んだかのように、骸魂が動きを鈍らせるのを見逃さなかった。
弾幕への牽制や露払いは妖怪達に任せ、ベルトは細剣を手に骸魂目掛けて駆け出した。
成功
🔵🔵🔴
ベルナデット・デメジエール
来ましたわね…骸魂!
つかささんも中々お強かったですけれど、あなたはどうかしら?
それでは、第2ラウンドと参りますわよ!
先程と同様、華麗な空中機動で弾幕を掠めていきますわ
宝珠の呪いは日傘で受けて身代わりに、
巻物の幻術は本物の気配を感知することで見極め、
毒霧は結界術を展開して中和するとしましょう
さて…先ほどは避けるばかりでしたが、今度はわたくしの華麗な弾幕も披露いたしますわ!
手持ちのファイアカード、ワルツカード、ビームカード、
そして最後はミゼリコルディア・スパーダを放つ大盤振る舞いですわ!
わたくしにここまでさせて倒される事、光栄にお思いなさい!
そしてこの次は骸魂抜きでやり合える事を期待していますわ!
東方妖怪の加勢を得たことで、猟兵達に追い風が吹く。が、相手がそれで諦めるようなものならば、そもそもこのような益の無い戦いは必要無い。一度は押し返されそうになった骸魂が月に咆哮を上げると不気味な白い狐火が現れ、勢いが衰えていた弾幕を厚くしてゆく。
その様子を距離を取って静観していたベルナデット・デメジエール(孤高なる夜の女王(自称)・f28172)は、骸魂が再びこちらの勢力を押し返そうと動き出したところで一歩を踏み出した。
「来ましたわね……骸魂!」
倒すべき敵を
金色の瞳に捉え、ベルナデットは再び宵へ飛ぶ。つかさの体は小さくとも、そこに隠しきれていない骸魂の靄が見えた。的が大きいのは幸運とも言える。
「つかささんも中々お強かったですけれど、あなたはどうかしら?」
一気に距離を詰めように飛べば骸魂もそれに気づく。まるで弾丸のように迫るベルナデットに向けて放たれるのは見慣れた狐火と、何処からか現れた神器の数々だ。否、この禍々しい気配を纏う器を、神器と呼ぶべきではないだろう。
妖しく輝く宝珠が月光を反射してその姿を揺らめかせる。不穏な気配を察知したベルナデットは即座に日傘を広げ、自身と宝珠の間を遮る盾にした。物理的なダメージは何も無い。おそらく呪いの類いだろうが防げないものではない。
間髪入れずに飛んできたのは、極東の地によく見られる巻物だ。意思を持つようにひとりでに開いたそれが、ひとつ、ふたつと増えてゆく。それだけに留まらず、狐火の弾幕や空に浮かぶ月すらも揺らめく幻を伴ってベルナデットの五感を狂わせようとした。
「甘いですわ!」
明確に操作する術者がいないせいか、幻術の精度は甘い。幻の中に紛れようとする本物の巻物を魔法剣で撃ち落とせば、それら全てが煙のように姿を消していった。
だが、消えていった幻達の陰から転がるように飛び出してきた瓢箪が霧のようなものを噴き出すと同時に、ベルナデットは思わず鼻と口を手で覆った。生物に害のある毒を含んだ霧だということはすぐに分かる。ここまで明確な悪意を司る妖器を目の当たりにすると、先程の宝珠や巻物など可愛く思えた。ベルナデットは即座に結界を展開し、自身の周囲に毒霧の影響を受けない空間を作り出す。幸い、広範囲に被害が出るものではないが、長く放置するのも危険だ。
即時決着をつける。ベルナデットは決意を改め、魔力が込められたカードを手にする。
「さて……先程は避けるばかりでしたが、今度はわたくしの華麗な弾幕も披露いたしますわ!」
骸魂が次の手を打つよりも前にベルナデットはカードを一枚、空へ放る。
「ファイアカード『フー・ダルティフィス』! 」
ベルナデットの声と魔力に呼応してカードが弾ける。弾けたカードは粉々の紙ではなく、美しく瞬く火花となって夜空に咲いた。細かな火花とはいえ、ひとつひとつが爆弾のようなものだ。骸魂に触れた火花は次々と爆発し、その妖力を削ってゆく。
骸魂はこれ以上のダメージを受けまいと火花の及ばない場所へ退避しようとするが、それを見逃すベルナデットではなかった。
「逃がしませんわ! ワルツカード『クー・ド・ヴァン』、ビームカード『クレール・ド・リュンヌ』!」
二枚目のカードは放たれた途端に強い光を放ち、その光は蛇や龍のように流線を描いて骸魂へ伸びてゆく。独特の動きで骸魂の左右を囲うその弾幕は、自然と骸魂が進むべき進路を操作した。先程の弾幕合戦で、つかさが左右を塞がれたのと同様だ。
逃げ場を塞がれた骸魂に向けて三枚目のカードが解放される。ワルツカードと同様の弾幕かと思いきや、その光線は愚直なまでに直線を描いて骸魂を貫いた。
退避できる隙間という隙間を塞がれた骸魂は避ける術も無く、光線にその身を焼かれて獣の声を上げる。つかさの体にダメージを与えないよう配慮はしているが、そもそもが弾幕合戦などという遊びに興じている少女だ。多少の怪我は大目に見てくれる筈である。
他猟兵の弾幕や東方妖怪達の攻撃も受けて、骸魂は明らかに弱っている。つかさの体から引き剥がすならば今が好機だろう。
「わたくしにここまでさせて倒されること、光栄にお思いなさい!」
ベルナデットが指を鳴らすと、その音に呼び出された幾本もの魔法剣がぼんやりと辺りに浮かび上がる。まるで眠りから覚めるように、魔法剣の切っ先は一斉に骸魂へと向けられた。どれからともなく骸玉目掛けて飛んでゆくそれらは、それまでに放った三種の弾幕の間を縫うようにして飛翔する。ただでさえ弾幕の集中砲火を受けている骸魂に回避できるものではなかった。
「ごめんあそばせ」
全ての魔法剣が骸魂へ直撃する。巨大な狸を模した靄状の体を刺し貫いてもなお衰えない勢いは、そのまま骸魂をつかさから引き剥がすには充分なものだった。
つかさは意識を失っているのか、その場に倒れ伏す。魔法剣によって地に縫い留められた骸魂は、この世のものとは思えない咆哮を上げながら藻掻いていた。放っておいても他の猟兵が仕留めるだろう。
小さな戦場に、夜の女王の高笑いが響く。それは、他の猟兵達や東方妖怪達を勢いづかせるには充分な勝鬨とも言えた。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
●SPD/アドリブとか御任せ
ふーん
第2ラウンドって所か
いいね
今回も俺が勝たせてもらうとしよう
先ずは情報収集で周囲を確認
その後は、第六感で攻撃がくる方向を感で対応する
ある程度攻撃を見たら見切りも併用する
前回の対戦ごっこでどれだけ俺が点数を取ったか知らないが、狙うは前回より多くの点だ
狙うはかすりオンリー
足元悪ければ、悪路走破で突っ走る
弾ける攻撃ならユーベルコードの2回攻撃と範囲攻撃と乱れ打ちで壁ごと撃ち抜く
部位破壊で壁壊してショートカットを作るのも悪くないねぇ
いきなり眼の前に出てきたやつは焦らず零距離射撃で対応
出口まで抜けるまで何点稼いだか今度は数えておいてくれよな
俺、数えてる余裕が無いと思うしな
「ふーん、第2ラウンドってところか」
骸魂の出現や東方妖怪の加勢で騒然となる戦場を眺め渡して、雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は不敵に笑った。バイクに変形した
熱線銃に跨ったまま戦況を見守っていたが、骸魂が見覚えのある弾幕を張ったのを見て、兼光は改めてハンドルのグリップを握る。
「いいね、今回も俺が勝たせてもらうとしよう」
躊躇なく速度を出して走り始めると同時に、周囲の状況を確認する。混迷しているが、こちらがやや有利なようだ。弾幕の打ち消しや骸魂の陽動は他に任せ、兼光は確実に相手へ近づけるコースを見つけ出す。流れ弾は飛んでくるが、つかさ本人の弾よりも精度が落ちているおかげで回避するのは容易かった。
相手が骸魂であろうと勝負は勝負、弾幕合戦は弾幕合戦。先程のルールに則って点数を稼ぐ余裕を、兼光は持っていた。凹凸のある悪路にも随分と慣れたものだ。
ふと、走行する地面に違和感を覚える。その直後にぼこりと音を立てて隆起する土を、目視するよりも先に違和感を信じて回避した。そこに生まれたのは壁だ。2mは超えているであろう壁が次々と生まれ、入り組んだ通路を作り出している。宙に浮かぶ骸魂の姿はそこからでも確認はできるが、近づくためにはこの迷路を抜けるしかない……ということなのだろう。
「おいおい……これはさすがに弾幕とは言えないだろ」
勝つための手段を選ばなくなってきた骸魂に呆れながらも、兼光は敢えて迂回はせず迷路へ突っ込んでゆく。障害があるのは明らかだが、直線距離は間違いなくこちらの方が近いのだ。
迷路に入ってすぐに、兼光は至る所から向く視線に気付く。そこにはつかさの姿があった。幾人ものつかさが、兼光を見ている。彼女は妖狐で、骸魂も狸。それぐらいの幻術が使えたところで驚くことでもない。
「悪いが、丁寧に構ってはやれないぜ」
幅の限られた通路の中、バイクを加速させる。つかさの分身はそれを追うように飛び立ち、小規模とはいえ各々の弾幕を張って兼光を捕えようとした。動きに隙が多く、直撃しそうな弾だけ撃ち落とせば掻い潜ることは可能だ。本物ではないと分かっている以上、進路を塞ごうとする分身も、姿を見せ次第
熱線銃で撃ち抜く。早撃ちの腕は兼光の方が圧倒的に上だ。
いくらかの妨害を脱したところで、兼光は骸魂の位置を視界の端で確かめる。未だ迷路を抜けていないとはいえ、対象との距離は大幅に縮まったように見えた。
ふと、骸魂がひと際大きな咆哮を上げる。見れば、他の猟兵からの集中砲火を受けて怯んでいるらしい。無数の魔法剣に刺し穿たれた巨体がつかさから引き剥がされる様子がここからでも分かった。
これを好機と見た兼光は、一枚の壁目掛けて直進する。速度を落とすようなことはしない。出せる限りの速度と質量を以て壁へ激突すれば、轟音を立てて壁に大穴が空いた。迷路を作り出している骸魂が弱り出した今、力業で壁は破壊できる。それを確認できた兼光は、進路を塞ぐ壁を次々と破壊して突っ切る。骸魂の姿がすぐ目前まで迫ったところで最後の壁が立ちはだかったが、兼光は停止することなく壁を突き破り、それと同時に足下の地形を利用して大きく跳躍した。
バイクごと跳躍した兼光の眼下で這うのは、つかさから引き剥がされた骸魂だ。巨大な狸のような〝何か〟が、他猟兵が放った魔法剣によって地面に縫い留められている。このまま重力に任せているだけでも、着地点はあの骸魂の上。
兼光は宙にいながら
熱線銃の変形を解く。手に馴染んだ引き金が指先に触れる。目標は、己の真下で藻掻く骸魂のみ。
「この勝負も、俺の勝ちだ!」
銃口から放たれた光線は真っ直ぐに、真下の骸魂を狙って夜の空間を走る。骸魂は最後の最後まで抵抗する様子を見せていたが、それが報われることは無い。兼光が撃った渾身の一撃は確実に骸魂の巨体を貫き、月夜へと霧散させていった。
大成功
🔵🔵🔵
●
先程までの激戦が嘘のように、夜の山は静まり返る。骸魂を倒したのだと、この場の全員が理解するまでに少しの時間を要した。
終わったのか?と口々に確認し合う妖怪達の中から、子供と思しき者らが数人、猟兵達のもとへ駆け寄る。
「にーちゃんねーちゃん達すげー! あんなめちゃくちゃな弾幕も避けちゃうんだもん!」
妖怪の子供達が尊敬の眼差しを向け、歓声を上げる。弾幕合戦はともかく、骸魂との戦いでは怖ろしい思いもしただろうに、今はそんなもの何処吹く風だ。
「おれ、大変だったけどちゃんと点数かぞえてたよ! えっとねえ……」
「あっ、そうだ! つかさは!?」
「そうだ、つかさ! 起こしにいってあげないと!」
次々と興味の対象が移るところは人間の子供と変わりない。明るい声を上げながら子供達が駆けて行った先には、未だ気を失ったつかさの姿があった。
幸い、彼女の命に別状は無い。短時間で大幅に妖力を消耗したことで疲弊したのだろう、というのがその場に居合わせた妖怪達の見解だった。事実、つかさは少し体を休めただけで意識を取り戻した。
「呑み込まれた後のこと全然覚えてないけどさ、あんた達があたいを助けてくれたってことぐらいは分かるよ」
目覚めたつかさは開口一番、そう告げる。まだ声は弱々しく、覇気も取り戻してはいない。けれど、その目は確実に光を取り戻していた。
「でも、あんた達の自慢の弾幕見れなかったのは悔しいな。ねえ、また勝負しに来てよ。今度は絶対絶対負けないからさ!」
起き上がるには回復が足りないようだが、猟兵達へ悪戯っぽい笑みを向けてみせる余裕がある。そこでようやく、猟兵達はこの仕事を完遂できたのだと胸を撫で下ろしたのだった。
カクリヨファンタズムの片田舎、月が見守る夜の山中に賑やかな声が戻る。終わる祭を惜しむような、騒がしくも遠い、忘れられた妖怪達の声だった。