不遜高慢! UMU密猟団とメスガ星人を理解らせろ!!
●宇宙の辺境に輝く緑の惑星
スペースオペラワールド……。
それはスペースシップワールドの外縁に広がる星の海原である。無数の銀河に無数の星々、幾多の宇宙人が住むこの世界は果てしなく広く、その全容を知る者は居ない。当然ながら恒星間は無限に等しい距離があり、人々はかつて『善竜スターゲイザー』が設置したとされる宇宙船ごと転移できる巨大建造物『ワープゲート』を修理・拡張しながら星から星へと征く。
ワープゲートから離れた場所を訪れる者は殆どおらず、未だ手つかずの財宝や未開星が無数に存在しており、この辺境惑星『タターラ』もそのひとつである。ここはかつて宇宙海賊にして冒険野郎として名を馳せた『キャプテン・カワ・グッチ』によって発見されたとしてその名が付けられたという。
彼が後に編纂した回顧録によれば、原住民は文明とは程遠い原始的な生活を送りながらも飢えを知らない豊かな生活を送っていたとされ、また『珍しくも奇妙な生命体』を崇めて崇拝していたとされている。カワ・グッチが没して幾年月が経ち、近年その珍妙な生命体の正体とは、
UnidentifiedMysterious Uchu-Kaiju……通称『
UMU』ではないかと囁かれ始める。それに合わせて数多くの宇宙冒険野郎が惑星タターラ探索に挑んだが、多くの者は過酷なジャングルの洗礼を受けての遭難案件が頻発するなどの紆余屈折を経て、星間連盟組織によって運営される宇宙動植物管理局から惑星保護区と指定されることで落ち着くこととなる。周辺宙域には野生動物の保護や監視に当たるスペース・レンジャーが駐在する宇宙船が停泊し、日頃は法的に許されている範囲の自然ツアーガイドを務めている一方で密猟者の動向に目を光らせている。
『ケヒャヒャヒャ! 噂に聞いてたが、コイツぁ宇宙船の外からでもお宝の匂いがプンプンしてくる
星だぜェ~!!』
『ヒャハハハハ! UMUは高値で捌けるからラクに稼げるぜェ~!!』
だが、それでも不埒な輩は宇宙の彼方からやってくる。
「こちら、スペース・レンジャーのオカフジ自然保護官。そこの不審な宇宙船、これ以上無断でこの宙域に接近すれば星間連盟憲章に基づき迎撃を行う! 直ちに引き返せ!!」
だが、そんな輩の対処も宇宙動植物管理局の役割である。ベテランの自然保護官、ミュート星人のオカフジ・ヒグチ氏が
宇宙戦闘機を駆り、宇宙のならず者を相手に毅然とした態度で警告を行う。
『……自然保護官? そんなの……ざぁこ❤ よわよわに決まってるじゃな~い❤』
しかし、今回の相手は違った。やけにデコって綺羅びやかな密猟宇宙船の主は、その強さから他星の生命体を例外なく見下し、生来の戦闘力と巨大化戦闘形態への変身能力を持ってして多くの星を侵略して暴虐の限りを尽くした『メスガ星人』なのである。
「なに!?」
売り言葉に買い言葉。その返答で法務執行を果たすべくオカフジはトリガーに指をかけるが、先に攻撃を仕掛けたのはメスガ・シップからである。メスガ・キラー光線が容赦なくオカフジの宇宙戦闘機に浴びれられるが、かろうじて躱したもののエンジンをやられてしまえば制御を失ってタターラ星の重力へと捕らわれるだけだ。
『ほぉら、ざぁこ❤ ざぁこ❤ ざこでも蝋燭の炎みたいに綺麗なのが取り柄~❤』
『ケヒャーヒャヒャー! 頭、流石でやんす。ささ、ひと働きしたあとのオヤツ……宇宙プリンアラモードでごぜいやす!』
『あは❤ 気が利いてるじゃな~い❤ さぁ、ざこたち……楽しい楽しい侵略のお時間よ~❤』
●グリモアベースにて
「スペースシップワールドの外の世界、スペースオペラワールドが発見されてから暫く経ちましたが、オブリビオンによる新たな事件を予知しました」
集まった猟兵たちを前に、秋月・信子(
魔弾の射手・f00732)は手にした端末から資料を表示させて読み上げて行く。
「場所は銀河の辺境の、そのまた辺境の最果てにある銀河にあります惑星『タターラ』。ここは手つかずの自然が広がっており、星間連合条約を締結しています星間国家連盟組織の管轄下に置かれた、いわゆる自然保護区な星となっています」
このタターラ星には原始的な生活を送る原住民の他、他の星々では見られない非常に珍しい生態系が構成されている。宇宙植民地を獲得するのを是とする宇宙帝国主義時代でははどの列強星が所有権を持つかと争いがあったとも伝えられているが、今はどの星にも属さない独立した惑星として宇宙動植物管理局の庇護を受けているという。
他の星からはUMUと呼ばれる希少な宇宙怪獣を一目見ようとのツアーが組まれるまでに人気の大自然を満喫する観光惑星でもあるのであるが、それを密猟して星外へと持ち出そうとする不埒な輩は後を絶えない。
「普段であれば何時ものように駐在するスペース・レンジャーが追い返すか実力行使に及ぶところでしたが、強大な侵略者の襲来で敢え無く撃墜されてしまいました」
侵略者の名は、メスガ星人。成人となっても未成年のままだが、それは相手を油断させるための姿である。人を小馬鹿にしたり侮るような生意気な言動や高圧的な態度、かつ挑発をする性質を持つが、その自信の現れに見合った実力を持っており、生けるすべての生命体を見下している。
その悪辣さと悪名は銀河という銀河に知れ渡っており、彼女の手によって侵略された末に食い物にされた惑星は数知れずという極悪宇宙人なのだ。
「今回、彼女がタターラに狙いを定めた理由は、原住民たちに信奉されている宇宙怪獣『カイザーコング』と予想されますが……。際限ない征服欲を持つメスガ星人がそれだけで満足するとは限りません。その他の宇宙怪獣、動植物、原住民を奴隷として自らの本星へコレクションとして。またはスペース・ブラックマーケットの商品として売り出すに違いありません」
だが、惑星タターラは限りなく緑に覆われている星だ。何処にメスガ星人とその手下たちを乗せた宇宙船が降着しているかは、グリモアの予知ですら掴めないのが実情である。
「ご安心ください。宇宙戦闘機が撃墜されて大気圏突入で燃え尽きたかと思われたオカフジさんは生きています。彼はミュート星人と呼ばれている『変身能力』がある宇宙人でした。大気圏突入の最中に変身して、無事に脱出しています。そして、彼はこの星の保護を任されているスペース・レンジャーです。オカフジさんにしてみれば、惑星タターラの過酷なジャングルは庭のようなものです。まずはパラシュートが不時着した付近に皆さんを転送させますので、彼と合流した後にジャングルを掻き分け、メスガ星人たちの所在を突き止めてください」
信子は改めて一礼をして説明を締めくくると、自らの影を解放させてゲートを作り出していく。かくして猟兵たちは、未開の秘境惑星タターラへと足を踏み入れるのであった。
ノーマッド
ドーモ、ノーマッドです。
昔の民放は面白い番組が目白押しでしたが、今はいろんな制約なりスポンサーが集まらなかったりして面白い番組が減りつつあります。
そのため、特に見る番組が無い夜は近場の映画館でレイトショーをよく観るようになっていますが、皆さんはどのように夜をお過ごしでしょうか?
●シナリオ概要
銀河の果ての果てにある、辺境の未開惑星『タターラ』。
そこに未知の宇宙人集団が訪れましたが、その正体はオブリビオンでこの星を掌握すべく襲来したのです!
現地の人々の力だけでは、成す術なくオブリビオン軍団に敗れ、この星を支配されてしまうことが予知によって判明しています。
オブリビオン襲来の現場に急行し、惑星を救いましょう!
第一章は【冒険】フラグメントとなります。
オブリビオンの襲来が予知された地点は、厳しい自然環境によって行く手を阻まれています。これを突破しなければ、オブリビオン元に辿り着くことはできません。
幸いにも現地に詳しいスペース・レンジャー、オカフジ・ヒグチ氏と合流しています。彼によるガイドを受けながら、怪奇植物や宇宙猛獣と言った宇宙危険生物の襲撃。聖域に足を踏み入れる侵入者を迎撃するべく原住民が仕掛けた宇宙トラップ。惑星タターラが生み出す宇宙怪奇現象の洗礼を乗り越えてください。
第二章は【集団戦】フラグメントとなります。
ついにメスガ星人の元へ辿り着き、その手下であるオブリビオン軍団との戦闘となります。ここからミュート星人であるオカフジが、自らの特殊能力である『変身』によって戦闘に参加します。
戦闘力は猟兵並とまでには及びませんが、多勢に無勢での一助となりますのでご活用ください。
第三章は【ボス戦】フラグメントとなります。
惑星タターラを侵略するべく襲来したオブリビオン、メスガ星人との戦闘です。
その姿に反して確かな強大さを誇りますが、うまく戦いを運んで思う存分に
理解らせて頂ければ、と思う限りです。
第二章と第三章については、章が進展する毎の詳しい情報開示となります。
ご了承下さい。
それでは、メスガ星人の挑発にも屈しない熱いプレイングをお待ちします。
第1章 冒険
『UMU探検隊!伝説の宇宙怪獣は実在した!』
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POW : 危ない!探検隊を阻む宇宙危険生物だ!
SPD : 危ない!探検隊を阻む宇宙トラップだ!
WIZ : 危ない!探検隊を阻む宇宙怪奇現象だ!
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「ハッハッハッ! もうちょっとで黒焦げになるところだったよ」
猟兵たちが未開惑星タターラへと転送されると、そこはうっそうと茂るジャングルであった。そして、巨木の枝にはメスガ星人の手によって撃墜された
宇宙戦闘機の脱出装置であろうパラシュートぶら下がっており、その下で呑気そうに当惑星の保護管理を担うスペース・レンジャーであるオカフジ・ヒグチが居た。
彼はパラシュートに備え付けられたサバイバルキットから、インスタントではあるが非常食付属品である宇宙コーヒーの香ばしい香りを堪能しながら、絶望的な状況の中からの生還を噛み締めていたのである。
「まさか相手がメスガ星人だったとは……。彼女の手によって、暴虐の限りを尽くされた惑星は数多くあると聞く。タターラの重力に捕らわれ大気圏に突入する直前に、宇宙動植物管理局へと非常信号を発信したが……少なくとも助けが来るには数日を要するだろう。それまでに、私たちの手でメスガ星人の悪行を阻止せねばだ」
オカフジは宇宙コーヒーをグッと飲み干し、まだ燻る焚き火の燃えカスに土を被せ終えると立ち上がる。だが、何も手がかりのないジャングルの中からどうやってメスガ星人たちを探せば良いのだと猟兵たちが尋ねれば、彼はソース顔とも呼ばれる彫りが深く濃い顔を頷かせながら答え始める。
「大丈夫だ。パラシュートでジャングルのど真ん中へと降りる中、メスガ星人を乗せた宇宙船が西の方角へと向かったのを見ている。そして、猿人皇帝とも呼ばれるUMU『カイザーコング』の密猟が目的ならば、カイザーコングを神として崇め奉る原住民の一部族『コンバ族』の集落を目指せば何かしらの手がかりがあるかもしれん。だが……」
オカフジの顔が曇るが、それもコンバ族とは一定の土地に定住せず、カイザーコングが住まいを変える度に彼らも追従するように土地を移る民なのである。その位置もタターラのジャングルに精通したオカフジでさえも掴んでおらず、コンバ族の集落を見つけ出すには狩猟民族である彼らの痕跡やカイザーコングが自らの縄張りを主張するために残された痕跡をひとつずつ見つけ出すしか無い。
と、そう簡単に言うが、タターラのジャングルは宇宙怪奇植物や宇宙猛獣、宇宙猛毒サソリや宇宙毒ヘビなどが生息しているのは序の口。敵対する部族の侵入を拒むための罠や仕掛け、火山活動が活発で大気の乱れなどは日常的なタターラならではの不可解な宇宙怪奇現象など日常的に発生する。
「これらのジャングルの洗礼を乗り越えなければ、コンバ族の元には無事辿り着けないだろう。だがしかし、君たちは噂に聞く猟兵だ。私がこの危機センサーで僅かな兆候を見逃さないように、君たちも可能なはずだ!」
そう自信ありげにオカフジが頷けば、彼の額から昆虫の触角のような器官がピンと飛び出す。一見すると人間のように見えるが、彼は他の動植物の遺伝子情報を肉体に宿し、それに因んだ姿へと変身するミュート星人である。どんな変身能力を持つ彼らは個々によってどのような姿に変身するか多種多様であるが、この触覚はフジオカが完全に変身せずに個々で展開できるものなのである。
そして、一行は未開であるジャングルの奥地を目指して進み出す。オカフジの案内で、
探検隊は多くの探検家が夢破れた密林に深く分け入った!
アーネスト・シートン
ここでも密猟者ですか…
はっきり言って、嫌いですよ。
こういう自己中心的な事しか考えられない連中は。どうせ目的は金儲けでしょう…オブリビオンの場合は違うかも知れませんが。
というわけで、潰しに行きましょうか。
密林地帯って事でしたら、虎に変身して進んでいきましょうか。
鼻と耳の感じも良くなるので、色々と気付けるでしょうし…
もしかして、そこにいますか?
オカフジさんって方が??
さすがにわたくしも、宇宙の生態系はわからないので、ガイドお願いいたしますよ。(だから、動物を呼ぶ方のユーベルコードで行かなかったんですよ…)
「ここでも密猟者ですか……」
普段は温和なアーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)の表情が険しくなるのも無理はない。森育ちで数多くの動物と触れ合いながら育ってきた彼にしてみれば、密猟者とは水と油と同じく相容れない存在である。
「はっきり言って、嫌いですよ。こういう自己中心的な事しか考えられない連中は。どうせ目的は金儲けでしょう……オブリビオンの場合は違うかも知れませんが」
密猟の目的は、まず珍獣であったり愛玩動物の対象となるものであればペット目的だろうが、ゾウの牙やサイの角などの一部の部位のみを求めたり、グルメや薬の材料目的として求められているケースなど枚挙にいとまがない。ただすべてに共通するのは闇ルートで高値で取引されることで、標的となった動物がその土地からいなくなることに変わりはない。悪しき人間の欲望は果てしないが、それは宇宙人も同じということであろう。
だが、裏を返せば保護活動も行われているのは幸いか。そう思うと、アーネストは慣れた足取りで密林を掻き分けていくオカフジの姿が頼もしく思えてくる。
『密猟団を纏めているメスガ星人は、生まれ持っての戦闘力で生ける者すべてを見下している。彼女からすれば、動物愛護の精神など理解しがたいものだろう』
「なるほど。では、遠慮なく潰しに行きましょうか……おや? オカフジさん……?」
アーネストにとって、ここは魅力的な星であった。見たこともない動植物が目の前に広がっていれば、それらひとつひとつに目が向いてしまう。そして、ちょっと目を話してしまうとオカフジの姿が忽然と消えてしまっている。
時間としては僅かであったが、視界を遮る鬱蒼とした密林が彼の姿を隠すのは容易なことであった。
「困りましたね……。下手に動いてしまえば、遭難してしまう危険がありますし……」
周囲には仲間の猟兵も居ない状況で、アーネストひとりが未知のジャングルの中に取り残される。オカフジが気づいて自分を探しに戻ってくれば問題ないのだが、メスガ星人密猟団が罪なき動物たちを蹂躙していると思うと僅かでも時間を無駄にしたくはない。
「……仕方ありません。切り抜けさせるには、コレですかな」
と、その時である。以前に発動させたユーベルコードの代償でリスの半身となったアーネストの身体が虎柄の黄色い毛並みに変わったのだ。そして程なくすると、ユーベルコード『
動物変身:虎/燕/大蛇』によってアーネストは自身のトレードマークとも言える緑の帽子と円縁メガネを身に着けた虎へと姿を変える。
「オカフジさんの足音と臭いは……あちらからですね」
虎の聴覚と嗅覚をもってアーネストは藪を掻き分けながら前へと進み出す。虎の生息地は熱帯雨林の密林を思い浮かべがちだが、極寒の地から亜熱帯にかけて幅広い地域に分布し、裏を返せばさまざまな環境に適応できる動物だ。例え地球の動物がまったく居ない未知なる惑星のジャングルだとしても、虎であれば問題なく適応できるとの獣医師を志して動物学を学んでいる彼ならではの見識である。
そうして程なくすると、オカフジの気配が強まってくる。
「オカフジさん……そこに居ますか?」
『……おお! 虎が喋ったぞ!? ……その声は、アーネスト君か!』
どうやら先回りしてしまったようで、虎となったアーネストとオカフジがばったりと出くわす形で合流する。彼の反応を見る限り、どうやらこのタターラはおろか他の惑星にも『人語を解して喋る虎』とは居ないようでもある。
『ああ、そうか……。先程から何も喋らなくなっていたと思ったら、はぐれてしまっていたのか。スマン、本当にスマン!』
(あれ? もしかして、オカフジさん……しっかりしていそうですけど、天然です?)
濃いソース顔を下げながら両手を合わせているところを見ると、本当に気づかなかったようでもある。ともあれ、合流できたのは確かなので、ミイラ取りがミイラとなるような自体にならずに済んだのでヨシ!
「さすがにわたくしも、宇宙の生態系はわからないので、ガイドお願いいたしますよ」
『ああ、任せてくれ。私も目の前ばかりを向いてしまっていたので、次からは一定間隔で振り返って姿を確認しよう』
まぁ、彼も普段はひとりでスペース・レンジャーとして活動しているので、団体行動には慣れていなかったのかもしれない。そうしてアーネストはオカフジが通る道を辿り、西へ西へと進んでいくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
メディア・フィール
POW、SPD、WIZ選択
他PCとの絡みOK
プレイング改変・アドリブOK
身軽でジャングルを進むぶんには問題ありませんが、まっすぐすぎる性格のせいで探検隊を阻む障害には真正面からぶち当たってヒドイ目に遭ったりしてしまうかもしれません。
「うわっ! 宇宙危険生物『マッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇』がいっぱい落ちてきたぞ!」
「わぁ! 聖域の原住民も探検隊も誰も入ったことがない地帯に、恥ずかしい格好で吊り下げられてしまう、『オードーグサンガ・ガンバッタ』宇宙トラップが!」
「くっ! これが伝説の『トッテツケタヨウナ・トートツナ火山活動』か! まるで自分で自分を揺らしてるみたいな宇宙怪奇現象だ!」
宇宙各地に伝わる未確認宇宙怪獣の情報!
中でも二足歩行の毛深い巨大猿怪獣の目撃は跡を絶えない!
今回、我々
探検隊が追うのは、辺境惑星タターラの密林地帯に古来より伝わる凶暴な怪物! その名はカイザーコング!!
宇宙ドイチェ語で「気は優しくて力持ちな、怒らせると怖い大男の皇帝」を意味する!
幻のベールに包まれたカイザーコングを高慢宇宙人『メスガ星人』が狙っているとのグリモアの導きにより知った探検隊は、スペース・レンジャー『オカフジ・ヒグチ氏』の案内の元で未開のジャングルを分け入っていく!
果たしてメスガ星人の真なる目的とは一体何なのか!?
そして、カイザーコングを祀り上げている謎の部族『コンバ族』は何処に居るのか!?
探検隊は、すべての可能性をひとつずつ潰していかなくてはならない!!
(ズギャーーーーーーン!!)
「うん……ボク、密林に慣れてきて大体分かってきた! こっちだね!」
オカフジを先頭に約一時間ほど歩き通しているが、今のところ探検隊に異変が襲いかかってきていない。だがしかし、視界が開けたかと思えば探検隊の行く手に巨大な断崖絶壁が立ちはだかる!
それを前にオカフジがどうしたものかと考え込んでいる最中、メディア・フィール(人間の絵
姫武闘勇者・f37585)隊員が何かを発見して駆け出す。
まっすぐすぎる性格のメディア隊員の姿を目で追っていたオカフジはあるもの気付く。うっそうと茂る茂みに隠された獣道である。
「あ、危ない、メディア君! そこは……」
……と、その時である!
オカフジの静止が間に合う前にメディア隊員が茂みに覆われた獣道へ足へ踏み入ると、太陽はおろか青い空でさえ隠してしまう巨木の枝々から何かが落ちてくる。
「わわわ……ヘビぃいいいッ!?」
「宇宙危険生物『マッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇』の巣だ!」
説明しよう。宇宙危険生物『マッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇』とは、普段は身体の保護色で木の枝と同化するように身を潜め、まったく動かないまでに代謝の機能を最小限に落とすことで数ヶ月間も飲まず食わずに木の下を通る獲物を待ち構える宇宙ヘビの小型UMUである。
この未確認宇宙怪獣の特徴は、普通のヘビであれば頭から落ちて獲物を襲うが、マッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇は尻尾から落ちてくる。当然ながら、コレには理由がある。
「うわ!? 身体をバネのようにして跳んだ!!」
代謝を必要最小限にまで落とすことで模型のヘビように動かないだが、弱肉強食が理の未開惑星タターラに適応した強靭な身体を活かして狩りの成功率を上げるべく、とぐろを巻くように胴体をバネ状にすることで、着地の反動を利用して高く跳び上がるのだ!
そのためUMU専門誌では『ジャンピングスネーク』の別名が与えられており、ビョンビョンと跳び跳ねながら獲物と見定めたメディア隊員を追い詰めようとする!!
このタターラを宇宙で初めて踏み入った伝説の宇宙海賊にして銀河を股にかけた冒険野郎『キャプテン・カワ・グッチ』もマッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇の襲撃にあったと回顧録に記載されている。だが、彼の場合はたまたま宇宙船に持ち込んでいた宇宙ヘビの天敵『宇宙マングース』と万能宇宙血清のお陰で危機を脱しており、残念ながらスペース・レンジャーのオカフジはおろか探検隊はそのような準備などしていない!
「メディア君! 走れ、走るんだッ!!」
「は、はい!!」
メディア隊員は周囲を跳び跳ねまわるマッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇に恐怖して立ち竦んでいたいたが、オカフジの叫びによって我に返り走り出す。一見すると、隙がないマッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇のジャンピングも一回に移動できる距離に限りがあり、その場からすぐ逃げ去りすれば彼らは狩りが失敗したと判断して、高く飛び上がり巣へと戻る習性がある。
オカフジの忠言に従い、メディア隊員はマッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇の縄張りから何とか脱出した……と、その時である!
「ぴぃやあああぁぁぁっ!?」
今度はメディア隊員が、ジャンピングスネークよりも高く跳び上がったのだ!
何が置きたのかと呆然とする探検隊だったが、オカフジはあることに気付く。
「これは……コンバ族に伝わる伝統狩猟罠。『オードーグサンガ・ガンバッタ』宇宙トラップ!!」
説明しよう。『オードーグサンガ・ガンバッタ』宇宙トラップとは、狩猟民族であるコンバ族に伝わる罠である。
いわゆる、獲物が宇宙トラップに足を踏み入れると、強靭な宇宙ツタで編まれた輪っかが足に絡んで逆さ吊りにするという古式奥ゆかしい罠だ。だが、タターラの密林には多種多様な宇宙猛獣が生息しており、普通の宇宙トラップではせっかく捕らえた獲物が彼らに横取りされかねない。
そのため、オードーグサンガ・ガンバッタは木のしなりを活かして逆バンジーさながらに捕らえた獲物をより高く宙吊りにできるよう設計されているのだ!!
罠に引っかかったメディア隊員の身体は逆さ吊り状態でジャングル・キャノピーを突き抜け、大空の元に晒される。上空には宇宙怪鳥のUMUが我が物顔で飛行しており、地平線にまで続く荘厳な大地が彼女の目へと映る。
「凄い……これが、未開惑星タターラなのか……ッ!? 今度は何!」
……と、その時である!
感動の味合う暇もなく、雷のような爆発音とともに大気が振動し、眼下に広がるジャングルの海が一斉に波打ち、ざわめき立つ。
「この地響きは……もしや、伝説の『トッテツケタヨウナ・トートツナ火山活動』!!」
説明しよう。トッテツケタヨウナ・トートツナ火山活動とは、コンバ族に伝わる神の怒り……即ち未開惑星タターラの巨大火山「フンチヌプリ」の噴火活動のことである。
キャプテン・カワ・グッチの回顧録によれば、フンチヌプリとはコンバ族語で『火が噴き出す山』を意味すると記述されているが、トッテツケタヨウナ・トートツは何を意味するかは未だに謎である。
フンチヌプリ山は休火山であるが、コンバ族に伝わる伝承によれば『トッテツケタヨウナ・トートツナが起きると、タターラが怒り狂っている』と伝えられていると、キャプテン・カワ・グッチは書き残している。
つまり、これはメスガ星人の悪逆非道の行いに対してタターラが怒っている証なのか?
それは今のところは探検隊の憶測の域に過ぎないが、何はともあれメディア隊員の働きによって、この近くにコンバ族が居留していることが判明したのは怪我の功名であるのは確かな事実である。
「……おーい、メディア君。今助けるぞー!」
単身でオカフジが巨木をよじ登る中、メディア隊員は宙吊り状態のまま……ただ助けを待つことしか出来ない。
「そうか……大自然の中ではボクのような猟兵でさえ、ちっぽけな存在なんだ……」
大自然や大宇宙の悠久さや広大さを前にし、森羅万象の一端に触れたメディア隊員は惑星タターラの洗礼を直に受けて
理解された。
だが、それは彼女をより強くさせるための経験となり、糧となるであろう!!
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
辺境の未開惑星の自然保護区となれば、珍獣奇獣の宝庫ではあるのですが、オブリビオンもそういうの興味あるんですね。
ともかく、貴重な動物を守るためにもオブリビオンより先回りしないといけませんね。
ここはオカフジさんの案内に従って、密林を進みます。
オカフジさんに危機センサーがあるように、【第六感】を駆使して、いろいろな危機を察知していきます。
もちろん危機だけでなく、珍獣奇獣探索にも使って、見つけ出したいですね。
どんなのがいるか楽しみです。
危ないのはいりませんよ。
突如として
探検隊の行く手を阻むように聳える断崖絶壁の壁!
だが、その周辺にコンバ族が仕掛けたと思われる狩猟罠が発見された!
スペース・レンジャーのオカフジが調べたところ、どうやらまだ仕掛けられて日が浅いことが判明する!
しかし、探検隊が周囲を探索したがそれ以上の手がかりを得ることは出来なかった!
すると、コンバ族と伝説のUMU『カイザーコング』、そしてメスガ星人の一行はこの断崖絶壁の壁の先に居るということなのか!?
探検隊一行に新たな試練が待ち受けていた!!
(ドギャーーーーーーン!)
「辺境の未開惑星の自然保護区となれば、珍獣奇獣の宝庫ではあるのですが、オブリビオンもそういうの興味あるんですね」
未開惑星タターラ。幾度なく星の開発開拓を試みた者たちは居たと聞くが、この未知の存在が蠢く大自然の前に多くの者は敗れ去った。黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)隊員が苔むした岩のような物を擦ると、明らかに人工物である宇宙船の外装と思わしき金属板が剥き出しとなる。果たして文明で武装した開拓団、そしてUMUを見つけ出そうと挑んだ多くの探検家を大自然の力を前にすれば無力であることを
理解せた存在とは、一体何か!?
「珍しいからと言っても、その扱いも多種多様だ。愛玩動物、希少素材目的……。最近になって銀河同盟で問題視されているのは、他星からの持ち込まれて元からある生態系を破壊してしまう星外来生物だ」
「あー……なるほどです。元の星なら何らかの天敵が居ることで生態系のバランスが保たれていますが、他の星に持ち込んだら天敵となる生き物が居ませんもんね」
「そうだ。
侵略宇宙人が狙って侵略の生物兵器へと転用させないように、私たちスペース・レンジャーが監視の目を光らせているというわけだ」
何故オカフジがこの惑星に赴任している理由を聞かされ、摩那隊員は自分の世界でも問題視されている外来生物問題に照らし合わせて理解できたと納得する。
「……よし、これでいいだろう」
オカフジが先程に隊員が引っかかった罠を分解し、その素材を使って天然のクライミングロープと加工し終える。問題は、誰がこの断崖絶壁の岩壁を昇って頂上からクライミングロープを降ろすかだ。
「では、私に任せてください。いろんな珍獣奇獣も発見して見てみたいところですしね」
摩那隊員は脇に抱えていたマジカルボード『アキレウス』を宙へと放り投げて慣れた様子でそれに飛び乗ると、両手でバランスを取りながら浮遊していく。片手に握られたロープが岸壁からせり出す岩に擦れて切れないよう、細心の注意を払いながら上へ上へと飛行していく。
「……どうやら、ロープの長さは足りていたようですね。あとは、周囲の安全を確認してから、下で待っているオカフジさんたちへ合図するだけですが……」
アキレウスで浮かび上がっている際、剥き出しとなった岩肌に未知の有毒生物が居ないかと第六感を働かせんながら横目にしていたが、残念ながらそれとらしいモノは居なかった。せめて未知の領域へ一番乗りした自分へのご褒美にと、周囲の安全を確かめるがてらに彼女は辺りを見回した……と、その時である!
『ギィェエエエエエエッ!!』
突如、摩那隊員の頭上から大気を振動させるほどの咆哮が響いた。恐る恐る彼女が頭を上げると、ソレは彼女を見下ろしていたのだ!
「あ、あれはもしかして……怪獣!?」
それはキャバリアよりも巨人よりも大きい、身長はゆうに30メートルを超える巨大生物であった。後から摩那隊員が未開惑星タターラに明るいオカフジに訪ねたところ、その正体とは有翼UMU『チャンギラー』!
二足歩行生物で両腕はコウモリのような翼であるのが、実のところその巨体によって飛ぶことはできない。しかし、胸や背中に生えた神経毒が含まれた抜けやすい体毛状の棘を翼から繰り出す突風に乗せて獲物へと浴びせることで、動きを鈍らせて捕食する。その性格は好戦的であり、摩那の姿を見つけるなり両翼を羽ばたかせようとした……と、その時である!!
『ゴォオオオオオオッ!!』
これも後にオカフジから聞かされたが、チャンギラーの背後から襲いかかった同じ巨躯を誇る恐竜の名は、古代UMU『ゴメラザウルス』!
肉食性のチャンギラーとは異なり雑食性で性格は至って大人しく温厚だが、縄張りを荒らそうとする巨大UMUを敵と見なせば果敢に襲いかかる。摩那隊員に気を取られていたチャンギラーはゴメスザウルスに背後を取られ、激しい攻防線が摩那の眼の前で繰り広げられる。チャンギラーの武器である神経毒を帯びた体毛状の棘も、強固な鱗に覆われたゴメラザウルスに刺さることなく勝負は一方的であるのは明白!
呆然と巨獣の戦いを眺めている摩那隊員を他所に、ついにチャンギラーは降参してその場から逃げ出すが、ゴメスザウルスは自分の縄張りから完全に追い出そうと追撃を仕掛ける。そうして、嵐のように突然起きて収まった巨大UMU同士の戦いに幕が降ろされた。
「……あんなのがうじゃうじゃ居たら、そりゃあオブリビオンも攫って侵略の道具にしちゃいますよねー……」
おそらく、崖下で見つけた残骸となった宇宙船も遠く昔に彼らの先祖に壊されたのだろう。一旦立ち入れば生きて帰ることができない魔境の惑星だが、裏を返せば先程の巨大UMUらが生態系の頂点に君臨しているからこそ、太古の姿を保っている未開惑星タターラの今があると言っても過言ではない。
多くに木々は巨大UMU同士の争いで多くが薙ぎ倒されてしまったが、破壊と再生のサイクルで新たな命が芽吹くだろう。被害を免れて丁度いい幹の太さを誇る巨木を見つけた摩那隊員は、ロープをしっかりと巻き付けて固定すると崖下で待つ探検隊へと合図を送ったのだった!
大成功
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第2章 集団戦
『ギャラクシー・ならずもの』
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POW : ユニバース・強奪作戦
指定した対象を【略奪と蹂躙の獲物】にする。対象が[略奪と蹂躙の獲物]でないならば、死角から【テレポートで無数の仲間】を召喚して対象に粘着させる。
SPD : スペース・お持ち帰り
【生物にも効くアスポート・ビーム】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【宇宙船などのアジト】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ : コズミック・ハメ殺し
戦場内を【ならずもの様の命令に絶対服従の】世界に交換する。この世界は「【反抗心を持つほどに身体は従ってしまう】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
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探検隊一行が未知なるエリアを探索し続けていると、何かを見つけたオカフジがおもむろに指で指し示した!
「見ろ、コンバ族が自分たちの領域を示すために作る柱だ。近くに集落があるぞ!」
一本の木を丸々と使った巨大な柱には、カイザーコングと思わしきゴリラによく似た猿人UMUの彫刻が施されている!
探検隊も道中に数々のUMUと遭遇してきたが、コンバ族はカイザーコングの庇護を受けることで巨大肉食UMUに対抗する術を編み出したに違いない!
そして、それはメスガ星人が率いるUMU密猟団もここを目指していることにも繋がっていると慣れないジャングルを歩き通し続けて疲労困憊の探検隊が急ごうとした、その時である!
「グァヴデェグェヂュドェッッ!!」
密林の奥から、未知なる言語による叫び声が響く!
探検隊には何を言っているのか分からないが、まるで助けを呼んでいるかのような悲痛な叫びであると確信するや否や駆け出す!
明らかに踏み鳴らされて人の手が入った道を見つけ出して藪を掻き分けつ続けると、急に開けた空間へと出る。
『ヒャーッハッハッハ!! コイツら、UMUみてぇなりしてやがるなぁ?』
『オレたちゃがUMUと言い張れば何もかもUMUだろ? 残らずゲットだぜぇ!!』
「デイーギズアッ!?」
宇宙バンプーに宇宙ヤシの葉を乗せた簡素な家々が無惨にも破壊され、体長30センチほどあろう奇妙な仮面を被った小人らが逃げ惑っている。コンバ族であろう彼らを追い立てながらハンティング行為そのものを楽しむUMU密猟団『ギャラクシー・ならずもの』らが手にした奇妙な銃を向けると、怪光線をコンバ族へと浴びせかけた!
だが、怪光線を浴びせられたコンバ族は、倒れること無く叫び声だけを残してこつ然と消えてしまう。それもそのはず、これはアスポート・ビームと呼ばれる捕獲装置であり、浴びたものは村の中心部に着陸している宇宙船のメスガ・シップ内部へと送られるのだ。これにより、彼らは宇宙船を往復することもなく手当たり次第UMUを捕獲できるのだ!
「くっ……! 一足遅かったか!!」
オカフジと探検隊一行が彼らの蛮行を止めようと走り出すと、その存在に気づいたコズミック・ならずもののひとりがオカフジを指差しせせら笑い出す。
『おいおい。どこかで聞いた声がしたと思ったら、あのスペース・レンジャーだぜぇ?』『ケヒャヒャ! 死にぞこないがノコノコと丸腰で来やがるだなんて、アイツ死にてぇバカだろ!』
『アイツぁ捕まえるまでも、メスガ星人様に相手させるまでもねぇ。俺たちで可愛がってやろうぜぇ!!』
オカフジはおろか
探検隊ですら神経を逆なでさせる下卑た笑い声が渦巻く。
「おのれ……貴様ら、許さん!!」
と、その時である。怒りを露わにさせたオカフジの顔に傷のような亀裂が走り始めた。そして彼は両拳を握りながら力を溜め、それらをすべて開放させるように両腕を伸ばしながらポーズを取り出す。
「変……身ッ! トァー!!」
オカフジ・ヒグチはミュート星人である。普段は人間と変わらない姿をしている彼らであるが、怒りが頂点に達するとミュート星人の身体を構成する『メタモール細胞』が活性化する。メタモール細胞に宿るもうひとつの遺伝子が呼び起こされると、彼らは個々様々な真の姿となるのだ!
『なっ……アイツ、ミュート星人だったのかぁ!?』
ギャラクシー・ならずものらが恐れだすのも無理はない。ミュート星人は本来の姿であると、その力は常人の数十倍、数百倍にもなる。ちょっと瓶を握るだけでも割ってしまう彼らは、生活の不便さによって普段は人間態となることで力を抑えている。だがしかし、それでも彼らは戦闘民族に変わりない。生まれついての戦闘力を活かし、ミュート星人の多くは銀河連合の治安を担う者が多い彼らは、変身宇宙人や宇宙怪人の異名で銀河のならず者たちに恐れられている!
「そうだ。そのお陰で貴様らに宇宙で撃墜された上に大気圏で燃え尽きかけても、生き延びれたがな!!」
変身が終わったオカフジの姿は、人間とは程遠い姿となっていた。昆虫めいた巨大な赤い複眼がギャラクシー・ならずものらを睨みつけ、強固な外骨格に覆われた身体は大気圏突入の熱によるもので変化して黒々とした光沢を放っている。
彼の持つ遺伝子は『バッタ』であり、今は昆虫人間さながらの姿となっている。だがしかし、首には彼が巻いていたマフラーが、腰にはスペース・レンジャーの身分を証明するマシンベルトが巻かれたままで、彼がオカフジであったと猟兵たちは知っている。
『お、恐れることはねぇ! 数ではこっちが有利だ、叩きのめしてしまえ!!』
ここに姿のないメスガ星人が気になるが、目の前で繰り広げられている狼藉を見過ごすことはできない。かくして、バッタ人間と化したオカフジと猟兵たちは銀河のならず者、UMU密猟団を
理解らせるべく立ち向かうのだ!
政木・朱鞠(サポート)
確かに集団相手の対応は厄介だけど悩む時間が勿体ないし、困っている人をほったらかしにしてたら、あっと言う間に未来が過去に喰い潰され無いように、今は目の前のターゲットを倒すことに集中しないとね…。
死ぬこと以外はかすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけには行かないよね。
戦闘
相手は多勢…手数で押し負けないようにしないとね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして、『咎力封じ』を使用して動きを封じて、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い【傷口をえぐる】でダメージを与える戦法を取ろうかな。
アドリブ連帯歓迎
「相手は多勢……手数で押し負けないようにしないとね」
邪な異世界の住人と結託する組織や闇の勢力を討つために組織された化身忍者軍団、代々と受け継がれる初代頭首に連なる直系の血筋から筆頭頭首候補である政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)が拷問具『荊野鎖』をジャラリと鳴らしながら目を細める。
まだ自由と青春を謳歌したい彼女は、代替わりから降りることの条件として各世界へと散っていった『咎忍』を
処理する
任務を日々こなすことが課せられている。今回も果てしない
外宇宙に潜伏する咎忍の足取りを掴むべく、身を隠すにはもってこいの未開惑星『タターラ』の探検隊一員として参加したが、どうやら不発として終わったようだ。
だがしかし、だからと言って眼の前で繰り広げられている
宇宙のならずものによる狼藉を見過ごすことなど、彼女の咎人殺しとしての信念に反すること。見ないふりをすれば、世界を破滅へと導く外道の咎人と何ら変わらない。
『ヒヒヒ、いい女じゃねえか。おい、たっぷり可愛がってやろうぜ!』
そして何より、このならず者たちの下卑た笑い声と薄ら笑いには思わず虫唾が走ってしまう。まるでUDCアースの特撮番組にありがちな改造人間さながら、常人の身体能力を遥かに超えるミュート星人相手には分が悪いと判断した一部のギャラクシー・ならずものらが朱鞠を取り囲もうとする。
彼女がバッタ人間へと変身したミュート星人ことオカフジの姿を見やると、怒りが込めたパンチ一発でギャラクシー・ならずものを数十メートルもの距離へとブッ飛ばしているので気持ちは分からなくもない。だが、大気圏突入の摩擦熱にも耐えれる外骨格があろうともミュート星人はスペースオペラワールドの住人たる宇宙人に過ぎず、ユーベルコードを扱う
生命の埒外たる存在ではない。一見すれば身体のラインが浮き彫りとなった挑発的とも言える
忍者装束を纏った女性であるのだが、その色気にすっかりと騙されていると言ったところか。
「そう……じゃあ、こっちこそたっぷり可愛がってあげる!」
ミュート星人の身体能力にも劣らないニンジャの俊敏さを持ってして、拷問具『荊野鎖』が風を切り裂く。そして鎖の遠心力に任せて降れば、朱鞠を取り囲んでいたギャラクシー・ならずものらに鮮やかな色合いの花が咲き乱れるかのように血煙をあげさせる。
思わぬ手痛い反撃を喰らったギャワクシー・ならずものらに様々な叫び声が上がる中、ひとりのならずものが腕に何かを抱きかかえながら朱鞠の前へと出た。
『おぉっと。それ以上暴れると、コイツの頭が弾けちまうぜぇ? クヒャヒャヒャ!』
「ジィーギッ!」
それは逃げ遅れたコンバ族のひとりだった。素顔を隠している仮面越しに宇宙銃が押し付けられ、助けを求めるかのような悲痛な叫びを前に朱鞠がギャラクシー・ならずものを睨みつけた。
「貴様……ッ!」
『コイツを助けたけりゃ、俺たちの命令に絶対服従するんだな! ギャハハハ!』
『まずはその物騒な鎖を捨てろや。その後は……ヒヒヒ!』
これぞギャラクシー・ならずものの
非道、『コズミック・ハメ殺し』!
その場をならずもの様の命令に絶対服従させる世界とし、反抗心を持つほどに身体は従ってしまうの法則を生み出すという、ゴロツキに相応しいユーベルコードだ!
人質を取られたことで立場が逆転してしまい、世界とも言うべきイニシアチブはならずものが握っている。さらにはユーベルコードの効力が朱鞠の反抗心に絡みついて無意識に得物を投げ捨てさせてしまう。
『ヒャハハハ! コイツ、従いやがったぞ!』
『おら、さっさとその身体で俺たちを楽しみさせ……なぁ!?』
と、その時である!
朱鞠の僅かに残った反抗心が
忍術『フォックスファイア』を引き起こさせたのだ!
コンバ族を抱きかけながら宇宙銃を突きつけさせていたギャラクシー・ならずものが狐火の炎に包まれる。突如として何が起きたか分からないならずものは炎を払おうとして、人質となっていたコンバ族を投げ捨ててしまう。
「もう大丈夫よ。彼奴ら、コテンパンにして
理解らせてやるんだから!」
解放されたコンバ族は咄嗟に彼女の元へと駆け出し、奪われないよう今度は朱鞠がコンバ族をぬいぐるみのように抱きかかえながら保護する。
そして、立場が裏返ったことによってギャラクシー・ならずものが展開していたユーベルコードの効力が喪われる。身体が自由となった朱鞠は再び荊野鎖を手にすると、唾棄すべき所業を行うならずものらを血祭りにあげるべく反撃へと転じるのでった。
成功
🔵🔵🔴
御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推っ参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!
バトルや行動は常に生中継+後で編集しての動画配信(視聴者が直視しては危ない系は除く!)
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先よ
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNGだぞ?
戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!
「はーっはっはっは! どうやら『妾は見た! 人跡未踏の未開惑星に伝説のUMUカイザーコングは存在した!!』の冒険パートもここまでなようじゃな!」
密林奥地で開けたコンバ族の集落に、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の笑い声が響き渡る。
今回の『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』は真の蛇神にして邪神たる菘が直々にオブリビオンをぶちのめす様子を直接送る生放送形式ではない。配信自体が長丁場となることが予想されることから、いわゆる撮った映像を編集した後に配信する形式となっている。
故にここに来るまで、菘は触覚で危機センサーを張り巡らせながら
探検隊を先導していたオカフジの忠告を振り切り、未開惑星タターラの洗礼を避けることなく体当りしてきた。巨大宇宙アナコンダとの死闘や巨大UMUとの決闘などにより無数の生傷が菘の蛇身に出来ているが、普段からオブリビオン相手の避けずに受けきっている彼女からすればまだかすり傷に過ぎない。
「ここまではウォーミングに過ぎん。寧ろ、妾としてはボコリ甲斐ある者どもの登場に大満足……なのだがのぅ」
とぐろを巻いている蛇尾から伸びる身体で集落を見渡せば、UMU密猟団であるオブリビオンの魔の手によりコンバ族の村は荒らされている。そしてだが、この星では見慣れぬ
異形なる存在を目の当たりにしてか、体長30センチとテレビウムほどの大きさであるコンバ族らが彼女の姿を見てブルブルと恐れ慄いている。
彼らからすれば、丸呑みしてしまう恐ろしい大蛇と見られても仕方ない。巨大UMUが生態系の頂点に立っている未開惑星タターラにおける弱肉強食の世界では、このようなか弱い存在が生きられるのもUMU『カイザーコング』の庇護を受けていてのことだ。それに動画配信の設定とはいえ、あらゆる世界は妾の物である。このようなスペースパトロールの目も届かない銀河辺境の惑星で平和に過ごしていた無辜の民の嘆きを聞き入れず、何が世界に悪が蔓延る現状を憂う真の蛇神にして邪神か。
「はーっはっはっは! 案ずるな、お主らを取って喰らおうとは妾は微塵にも思っておらん。妾が直々に叩きのめし、喰らってやるのは……小奴らよ!!」
菘の爬虫類特有な縦長に細い瞳孔である金眼が、ギャラクシー・ならずものたちに向けられた。彼らはUMUとは別の正体不明な存在である菘の姿に蛇に睨まれた蛙のように立ち竦んでいたが、その視線はコンバ族へと向けられていたので下手に動かずやり過ごそうとしていたのだろう。
『ひぃいいい、こっちに向きやがった!?』
『う……撃て! とにかく撃ちまくれ!!』
先割れた真っ赤な長い舌をチロっと覗かせると、目の前の恐怖によってギャラクシー・ならずものらの自制心という名のタガが外され、一斉に引き金を引き絞る。銃口からは火薬の炸裂音と硝煙の代わりに熱線が放たれる。だがしかし、菘はそれらを躱すこと無く全身をもってして受け止めた上で豪語する。
「無駄無駄ぁッ! 妾にかのようなものなど、痛くも熱くもなんともないわ!!」
実は火傷ができそうなほど熱かったりするのだが、そこは邪神の風格たる配信者魂として耐えるところ。その痛みでほんのちょっと脂汗が滲み出ているのだが、そこは逆に迫真の演技の糧として凄みを出すのが菘である。
『駄目だ、歯が立たねぇ! おい、
捕獲銃を持って来い!!』
(む、これは些かマズいな……)
流石に携行している武器が効かないとなれば、ギャラクシー・ならずものたちは別の手を打とうとするのを見るや否や、菘の眉が僅かに歪んだ。
先程に見たコンバ族が消えたものだとすると、受け止めてしまっては彼らの母船へと転移されてしまう。勿論、それはそれで美味しいのだが、配信ドローンを置き去りにしてしまえば後に編集するとは言え、その場で活躍する自身の姿を収められない。であれば、と急遽アドリブを打って、異形の左腕を高らかと掲げて見せる。
「はーっはっはっは! お主らの非道は妾に勝ると言わんものよ。だがのぅ、この邪神たる妾こそが巨悪に相応しい! 先の道中で死闘を繰り広げた蛇の大口は巨悪の
象徴でもあった。ならば妾も魔界同然なこの惑星の流儀に従うとしよう!」
菘の高笑いとともに、鱗に覆われた左腕がメキメキと音を鳴らして
異能『
グリードサーペント』を顕現してみせる。
見る見る左腕は蛇の頭部となり、その細部は彼女と戦った巨大宇宙アナコンダに似た姿である。そうして意思を持った大蛇の左腕が牙を向き、捕獲銃を手にしてやってきたギャラクシー・ならずものを頭からまるかじりするように丸呑みにしてしまう。
『バ、バケモノだぁ~ッ!?』
もはや打つ手がなくなり、逃げ惑うギャラクシー・ならずもの。その尻尾を巻いて逃げる様を高笑いしながら勝ち誇る邪神の姿を撮影ドローンが捉えてこの場面の収録が終われば、おもむろに菘は先程丸呑みしたならずものを吐き出させた。
「ひとまずはこんなもんじゃろ。流石に妾とて、こんなゲスを喰らうては腹を壊しかねんものよ。少し消化されておるが、自ずとして骸の海へと帰ろう……って、おいお主ら! 味方だと分かった瞬間に集ってくるではない!!」
何やら騒がしくなった足元を見れば、外敵が這々の体で逃げたことで息を潜めて隠れていたコンバ族らが菘の元へと集まってきている。相変わらず解読不能な現地語を喋っているようだが、身振り手振りを見る限り彼女へと感謝の念を送っているようでもある。
満足に動くこともままならない菘はさてどうしたものかと頭を悩ませるが、その時ふといいアイディアを思い浮かべる。
「おお、そうじゃ。お主ら、妾の前で平伏してみせよ。妾の威光が未開なる惑星の原住民をも平伏せさせたという演出じゃ。イケるな?」
「ヂャデヤヴェグェッ」
菘が自らの身体で身振り手振りに両手をついてお辞儀する仕草をしてみせると、コンバ族らは何して貰いたいのかを理解したのか、平伏し始める。
まずは予行が終わったということで撮影ドローンはカメラを再び回され、菘の高笑いとともに本番撮影が行われるのであった。
成功
🔵🔵🔴
メディア・フィール
POW選択
他PCとの絡みOK
プレイング改変・アドリブOK
「え? 変身? ボクの真の姿は全然変わらないんだけど…。あれ? 変身している間は恐れて攻撃してこないぞ? これで間合いが取れる!」
「な、周辺の光景が変わった!? これが噂の戦闘場『イッシキ・リバー』なのか!?」
「いきなりならず者が増えた!? 初手で必殺技を出していたら危なかった!」
「メディア・ダブルぱーんち! フィール・キック! あっ、ただの攻撃なのに敵が怯んでる! 言われたとおりだ!」
「わざと攻撃を受けるのっ!? そんな不利に…ええっ! とどめを刺そうと寄ってきた敵を、駆け付けた味方が一掃することができたよ! こんな戦い方もあるのか!」
──と、その時不思議なことが起きた。
「な、周辺の光景が変わった!?」
ファイティングポーズを取っているメディアの目が丸くなってしまうのも無理はない。何せ今まで密林に覆われていた村が、緑など一切ない殺風景な採石場さながらの岩山へと変わったのだ。
『ヒャハハ、これが俺たちの絶対服従の世界『イッシキ・リバー』! テメェらをここで コズミック・ハメ殺しって可愛がってやるぜェ!!』
説明しよう。イッシキ・リバーとは、『ギャラクシー・ならずもの』のユーベルコードが作り出したならず者空間である。この空間に囚われた者は脱出することは出来ないが、彼らギャラクシー・ならずものだけは自由に出入りができる戦闘場である。
「おのれ、小癪な真似を……ッ!」
この空間に呑み込まれたのは、オカフジとメディアのみ。つまり、ふたりのみで多数のギャラクシー・ならずものらを相手にせねば、このならず者空間より脱出することは叶わないッ!!
つまり、イー! キィー! キキー! などと、奇声を張り上げんばかりに沸いてくるギャラクシー・ならずものを倒すしかないのだ!!
だが、ミュート星人であるオカフジと猟兵であるメディアにとっては些細な問題に過ぎない。とは言え、ここで無駄な体力を消耗しては、後に控えているUMU密猟団の首魁であるメスガ星人との戦いに響いてしまうだろう。如何に体力の消耗を押さえながら彼らを
理解らせるかが鍵となる。
『あのミュート星人はともかく、このちんちくりんな嬢ちゃんは痛めつけ甲斐がありそうだぜェ~!』
まずは弱いものから倒そうという魂胆か。確かにバッタ人間となってミュート星人本来の力を介抱したオカフジの力は猟兵に匹敵するものがあるが、残念ながら彼はユーベルコードを扱うことなど出来ない。最初はミュート星人だと
理解ったオカフジを恐れていたが、強烈なパンチとキックしか出来ないと徐々に分かってくれば対策のしようがある。それに、ミュート星人は強大な身体能力を持つ反面、エネルギーの消耗は激しい種族でもある。彼らが普段人間態となっているのもエネルギーの消耗を抑える面もあり、もし切れてしまえばオカフジはさっきの姿へと戻ってしまう。そうすれば、ギャラクシー・ならずものにも勝ち筋が見え、オカフジひとりでも何とかなりそうな様子でもグリモアが危機を察知して猟兵たちが派遣されたのもこういう理由があってのことだ。
「こうなったら……奥の手だ!」
ギャラクシー・ならずものたちに囲まれたメディアは、突然拳を強く握り出して力を溜める。そして、それを解放するように両腕を伸ばすと、オカフジが変身の際に行っていたような見得を切り始める。
『な……ッ!? もしかして、コイツも変身するのか!!』
ギャラクシー・ならずものはオブリビオンである。彼らは猟兵と遭遇すればそれらを猟兵だと認知できる骸の海より世界へと滲み出したシミであるため、彼らが真の姿へと変身することを本能的に理解している。故に後退りしながら警戒してたじろいでしまう。
「……残念。ボクはまだ真の姿に変わるまでの力を溜めていないもーん。思った通り、変身に恐れて攻撃してこなかったね。これで間合いが……取れる! メディア・ダブルぱーんち!」
メディアは真の姿を取ろうとしたが、それはハッタリであった。だがしかし、例え猟兵が正義の味方であろうとも卑怯な真似をしてははならないという決まりなんて無い。卑怯もらっきょうもなく、すべて勝てばよかろうなのだ!
これは彼女が猟兵になった後でもオブリビオン相手に
理解らされてきた経験もあってのことだが、こっちが正々堂々と戦おうとも予測が容易い論理感を逆手に取られて手玉に取られてしまっては元も子もない。ならば、ならず者空間の主であるギャラクシー・ならずものが定義する『ならずもの様の命令に絶対服従の世界』というルールを
破壊してしまえば良いだけのこと。
今も思い出すだけで恥ずかしい辱めをバネにして小さい拳に力を滾らせ、メディアは
闘技『闘龍衝破撃』を繰り出す。突き出した両拳から衝撃波が両方向へと放たれて、ギャラクシー・ならずものらを吹き飛ばす。
「いつまでもオブリビオン相手に屈辱を味合わせるボクじゃないよ。わざと攻撃を受けようとも、弱い相手をいたぶろうと囲まれようとも。そんな不利な状況を覆せる戦い方もあるのさ!」
尤も、この作戦は一か八かの諸刃の刃でもある。一発逆転とは聞こえが良いが、それを行うにしても入念な準備と運が絡んでくる。それに気づくかどうかでまたオブリビオン相手に
理解らされてしまいそうでもあるが、それはまた別の話となろう。
『チクショウ! こうなりゃ、お前らだけでもイッシキ・リバーの空間に閉じ込めてやる!!』
オカフジとメディアの苛烈な反撃が繰り出され続け、ついにはならず者空間に残ったギャラクシー・ならずものもひとりだけとなる。そして、勝ち筋がなくなった彼は逃げ出そうとする。自分が生きているい限り、このイッシキ・リバーは存在し続ける。ここを自由に出入りできるのは彼らユーベルコードを扱えるオブリビオンだけである以上、むざむざと取り逃がせばふたりが脱出することは叶わなくなる。
「メディアくん、いくぞ! タイミングを合わせるんだ!!」
「は、はい!」
逃げるギャラクシー・ならずものを追って、ふたりは駆け出し……そして跳んだ。
「「ダブル・キーック!!」」
高らかにジャンプした両者は、メディアの闘龍衝破撃から繰り出される衝撃波を推進力とする形で加速を強める。彼女はともかくオカフジは衝撃波を浴びせられる形となるが、ミュート星人ならではの強靭さで強烈なショックに耐えきっている。
そして、ふたり蹴りが同時にギャラクシー・ならずものの背後から強襲したのである!
『ぐぅわぁーーーッ!?』
ちゅどーん!
何やらギャラクシー・ならずものが吹き飛ばされた先で爆発が起きたが、ここはならず者空間『イッシキ・リバー』である。地形を変えるほどの火薬が仕掛けられていても何らおかしなことではない。
そして、程なくすると景色が再び歪み、元の密林に囲まれたコンバ族の集落へと戻るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
オカフジさんが変身した!
これは強そうです。
UMU密猟団もこれで壊滅。コンバ族も救い出されて万事解決。
めでたしめでたし、ですね。
と、言って全部をオカフジさん任せにするわけにもいきません。
相手は数だけはたくさんいますし。
さすがに数で押されては厳しいでしょう。
密猟団潰しのお手伝いします。
まずはUC【矢印過流】を発動。
ならずもの達の宇宙船も含む範囲となるように調整して、逃げ足を押さえます。
あとは自分たちの攻撃は倍速に、敵の動きはスローに矢印を動かすことで、攻撃を有利になるようにします。
魔法剣『緋月絢爛』でならずものは一閃ですよ。
オブリビオンは珍獣じゃないから駆除です。
アーネスト・シートン
こちらでも、ヒャッハーがいますね。
そしてヒャッハー=密猟者=オブリビオン
これは、もう生かして返すべきじゃないコースですね。
じゃあ、こういうことで。
このぐらいの相手で密林なら、むしろ、大きいのよりは中型の動けるほうが有利ですし。
オカフジさん、戦闘力は高そうですけど、「数の暴力」は強いですから、サポートさせていただきますよ。
…結論。呼ぶべきは、ニシキヘビを10体。
蛇ほど隠密性の高い生き物は他にいませんからね。
UDCアースでも、人食いの事例が出る大きい蛇ですよ。
あなた達のようなヒャッハーオブリビオンは食われてもらいますからね。
その前に巻き付かれて締め付けされますからね。
アドリブ歓迎
『ひぃいいい! コイツら、強すぎるじゃねぇか……ブヘロォ!?』
一時は数において有利であったギャラクシー・ならずものも、猟兵が繰り出す数々のユーベルコード。そして、今再び炸裂したオカフジの鉄拳によってまたひとり銀河のならず者が空中に打ち上げられると、虚となって骸の海へと還っていく。
「ズォデュヂォ、ズァァグェデュドェグァギャ!」
更にはギャラクシー・ならずものから助け出したコンバ族も小さい身体ではあるが狩猟民族だけあって、弓や槍を持ち出して来て果敢に逆襲していく。そんな混迷を極める戦場で、摩那は細身の刀身に浮かんだ数々のルーン文字が万華鏡のように映り変わる魔法剣『緋月絢爛』を持ってして、一刀のもとに斬り伏せていく。
「オカフジさんが変身した時には驚きましたが、UMU密猟団もこれで壊滅。コンバ族も救い出されて万事解決。めでたしめでたし、ですね」
だが、これですべてが終わった訳では無い。彼らの首魁、メスガ星人の姿はコンバ族の集落には居ないようである。
「ガガグィ! ガガグィ!」
「……うーん。相変わらず彼らの言葉が理解できませんが、ニュアンス的に『あっちに行った』……で、よろしいのでしょうか?」
ひとりのコンバ族が原始的な槍の穂先で指し示した場所には、明らかに人の手が加えられた一本の道が密林の奥へと続いている。果たして自分たちが使っている言葉が通じるのかどうか分からないので、摩那はこちらも指を差して『あっち?』と尋ねるようなジェスチャーをしてみると、コンバ族の彼はウンウンと頷き返している。他のコンバ族を見ると、ウホウホと胸をドラミングして見せている。
どうやら、あの道の先がカイザーコングの生息地なようだ。ともなれば、自ずとしてメスガ星人もあの先に居るということになる。
「君たちはカイザーコングの元へ急いでくれ。ここまで数が減れば、あとは私とコンバ族だけで宇宙船に囚われた彼らの仲間を助ける」
「ヂャデャヴェドォ!」
確かにコンバ族の協力も仰げればここを彼らに任せても良いかもしれない。とは言え、相手はオブリビオンのならず者である。まだ奥の手を隠している可能性もあるので、可能な限り数を減らしておきたい。
摩那は決断に悩んでいると、集落と密林の境界でアーネストがカイザーコングの生息地へと続く道とは異なる獣道の手前で、こっちへと手招きをして合図をしているのに気づく。彼の意図を汲み取った彼女は、ついに決断を下した。
「……分かりました。ですが、もうひと働きだけさせて頂きますね!」
その直後、手にしていた緋月絢爛の刀身に掌を這わせると、眩しく光り輝くルーン文字に照らされながら摩那が
超能力を解き放った。
「励起。昇圧。空間イメージ展開……操作開始!」
戦場を有利に運ぶため、今まで自分たちと相手の動きを操作していたユーベルコード『
矢印過流』。ちょうど集落の中心に着陸している宇宙船を起点し、彼らが宇宙船を使って逃亡するの阻止すべく空間に浮かばせた多数の矢印をもってして、彼らの逃げ足を封じた上で矢印の順方向へと向かわせていた。また、自分たちだけを逆方向に向かわせることで擬似的な倍速状態とさせ、更には相手の動きを示す矢印を遅くもできる。そうすれば、先程にオカフジが繰り出したパンチも切れを増して巨漢のならずものでさえ軽く打ち上げられるという仕掛けである。
今までオブリビオンの動きを制御させていた矢印すべてをシートンが居た場所へと向けさせれば、コンバ族の集落に残存している彼らはそちらへと追いやられてしまう。
『ヒィヤァアアアアア!?』
「……ふぅ。私たちに出来るのはここまでですね。それではオカフジさん、コンバ族の皆さん、ご武運を!」
何が起きたのか未だ理解できない彼らは為す術もなく、摩那の手によって集落から退場させられる。あとはアーネストに任せるとして、彼女はオカフジとコンバ族に別れを告げてカイザーコングの元へと急ぐ。
「こちらでも、あちらにもヒャッハーがいますね」
一方、摩那のユーベルコードによって密林の中へと追いやられたギャラクシー・ならずものらを、アーネストが一瞥する。
『テンメェ……学者風情が良い気になりやがって!!』
何やら不思議な力でコンバ族の集落から追い出されてしまったが、目の前にいるのは半身が獣の身体となっている優男だけと分かったならず者たちは凄みを効かせてメンチを切る。しかし、それに臆すること無く、アーネストは至って冷静である。
「そして、密猟者にしてオブリビオンとなれば……これは、もう生かして返すべきじゃないコースですね」
アーネストは動物たちの多い大自然で生まれ育った動物好きの青年であるが、それらに仇なす者であれば同じ人間であろうとも許したりはしない。ましてや、相手がオブリビオンであればなおさらのことで、UMU密猟団として活動してきたのであれば余罪はまだまだあるに違いない。
とても許しがたい所業の数々を裁くべく、今彼はここに居るのだ。
『ヒャハハハハ、威勢がいいなぁ兄ちゃんよぉ? けど、オレたちにはコレがあるんだぜぇ?』
ギャラクシー・ならずものらは、鉤爪、銃などの各々の得物を手に、薄汚いせせら嗤いを浮かべている。そんな彼らの姿を、アーネストはゴミでも見るような冷ややかな目を細めると、深くため息を吐いた。
「……まだ
理解らないのですか? あなた方らは、既に袋の鼠であることを」
彼が見ているのは、ならず者たちではない。アーネストが自らのユーベルコード『
動物召喚2』によって、出身『
地球』の記憶から呼び起こされた存在が木々の中に隠れながら、虎視眈々と獲物を今狙っている様子を眺めているのである。
『俺たちがぁ? クヒャヒャヒャ、笑わせてくれるぜぇ……ッ!?』
今まで息を潜めていたモノが遂に牙を剥いた。そして、ならず者たちの嗤いは悲鳴へと変わる。何せ体長10メートルものの巨体を誇る巨大ニシキヘビがならず者のひとりを頭から丸呑みにし、その口からは藻掻き苦しむ彼が足をバタつかせていたのだから。
『ヒ……ヒィイイイッ!?』
それを目の当たりにしたならず者たちは餌食となった仲間を見捨てて逃げようとする。だが、時既に遅しで、何日も獲物にありつけずにの腹を空かせた巨大ニシキヘビらも牙を向いて一斉に襲いかかる。ある者はより呑み込みやすくするために骨を砕こうと締め付けられ、またある者は丸呑みされながら木の幹へと叩きつけられる。
しかし、彼らの地獄はまだ終わらない。何せ『生きたまま』呑み込まれ、ゆっくりと時間を掛けて巨大ニシキヘビの胃袋の中で消化されていくのだ。ともなると、骨を砕かれて意識を喪った者は幸運とも言えよう。
「後は彼らに任せても良いようですね。自分たちが何をしてきたのか、それをじっくりと考え、後悔なさってください」
足から呑み込まれたギャラクシー・ならずものがアーネストに許しを乞ようと、彼の足を掴む。しかし、彼はそれを振り払って巨大ニシキヘビの巣窟を後にする。暫く密林にならず者たちの悲鳴が響いていたが、程なくすると再び静寂な世界へと戻るのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『高慢宇宙人メスガ星人』
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POW : ざぁこ❤️よわよわ星人❤️巨大化できない❤️
【最大身長200mの巨大化戦闘形態 】に変身し、武器「【メスガ・キラー光線】」の威力増強と、【重力制御サイキック能力】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD : 必死すぎ❤️そんなに触りたいの❤️だぁめ❤️
【空間転移能力 】【破壊光弾メスガ・キラー光線】【重力制御サイキックエネルギー】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : さわっただけで死んじゃうんだ〜❤️かわいそ〜❤️
【指先 】で触れた敵に、【極めて強力な破壊エネルギー】による内部破壊ダメージを与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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UMU密猟団の襲撃を受けていたコンバ族の集落はオカフジと解放されたコンバ族たちに任せ、猟兵たちはカイザーコングが生息する領域へと急ぐ。道中はコンバ族によって日々整備されているのか、ここに至るまで悪戦苦闘していたジャングルの道なき道よりは快適そのものである。次第にゴリラのような生物の姿が彫り込められた原始宗教めいた
彫刻柱の数が増えていくのに合わせ、奥から『ざぁこ❤ ざぁこ❤』というどこか扇情的で神経を逆なでさせる幼い少女の煽り声が聞こえてくる。
その声に導かれるように猟兵たちは急ぐと、次第に森が拓けてくる。幅が人の身長ほどもある幹の巨木が毟り取られるように折られている木々は、恐らくカイザーコングの仕業に違いない。猟兵たちの緊張が最高潮に達しようとした、その時である!
(ドバギャーーーーーーンッ!!)
『え~? これが森の守護神とも言われてるカイザーコングの実力ぅ~? だっさ❤ クソザコ過ぎてつまらな~い❤❤』
猟兵たちの目の前に倒れている体長を優に30メートルを超える巨大生物が、全身の至る場所に渡り傷を負ってうつ伏せとなっている。あれこそが、猿人皇帝の異名を持つUMU『カイザーコング』に違いない!
そして、伝説の宇宙海賊にして銀河を股に翔けていた冒険野郎『キャプテン・カワ・グッチ』がカイザーコングと命名した特徴とも言える、皇帝が自らの権威を現すべく戴冠する王冠を思わせる模様となっている頭頂部の頂きには、尊大不遜な態度で腰を掛けながら勝ち誇るメスガ星人の姿があった!
「ググググ……」
だが、猟兵たちが遭遇したUMU『ゴメラザウルス』を顎から真っ二つに引き裂く怪力を誇るカイザーコングの瞳にはまだ闘志が宿っており、『このメスガキが……ッ!』と訴えかけている。その様子を、メスガ星人はせせら嗤いながら更に罵っていく。
『何度やっても同じなのに、お馬鹿なお猿さ~ん❤ 頑張れ❤ 頑張れ❤ 子どもたちもパパを応援してるよ?❤』
その言葉を聞き、猟兵たちはあるものに気づく。上空に浮かんでいる半透明な球体状の物質に、なんとカイザーコングの子どもであろうゴリラが囚われていたのだ。
オカフジから聞かされた話によれば、密猟されたUMUは愛玩用や人工的には作れない天然資源の採取の他、もうひとつの利用法があると猟兵たちは聞いている。それは、惑星侵略用の生体兵器化だ。つまるところ、親のカイザーコングは何らかの方法で制御すれば即戦力の生体兵器に。子どもは宇宙怪獣ブリーダーの手で育てるなり、改造を施すなど利用方法は無限大となる。
そうとなれば、今メスガ星人がやっている所業はカイザーコングの自尊心をへし折り、彼女なりの方法で従わせようとしている最中なのだろう。
『ざぁこ❤ ざぁこ❤ この星のUMUはぜ~んぶ、私の
所有物にさせて、あ・げ・る❤』
ともあれ、メスガ星人が有頂天になっている今であるこそ、生じる油断というものがあるかもしれない。それに、カイザーコングはまだ抵抗の意思を見せている以上、何らかの方法で受けたダメージを回復させてやれば、自ずとして猟兵側の味方として戦ってくれるかもしれない。
未開惑星タターラの命運を決めると言っても過言ではない生意気な侵略者への『わからせ』が、今まさに始まろうとする!
花羽・紫音
【アドリブ歓迎】【ソロ希望】
「身勝手な悪の星人には正義の鉄槌よ!!」
そう言って正面堂々と名乗り、【スーパージャスティス】で仕掛けますが……
巨大化したメスガ星人によって痛めつけられわからせられてしまって……涙を流し羞恥心いっぱいで屈辱の敗北宣言した上で自由を奪われて拘束されてコレクションの1つとして捕らえられてしまいそうだわ
「華麗に羽ばたく白き翼と咲き乱れる紫の薔薇、セラフィローズ! あなたの悪事もここまでよ!!」
突如戦場に響く自信に満ちた麗しき名乗り声。カイザーコングの頭頂部を玉座代わりにしてふんぞり返っていたメスガ星人が視線を地面へと落とす。そこには純白のヒーローズマントから覗かせる広げた翼に合わせるようポーズを決めるオラトリオのスーパーヒーロー、セラフィローズこと花羽・紫音(セラフィローズ・f23465)の姿があった。
『だっさ❤ いい年して何そのポーズ❤ ウケる~❤❤』
だが、高慢宇宙人の異名を持つメスガ星人は動じる気配を見せず、寧ろプークスクスと口元に手を当てる仕草だけはしておいて笑い声を隠さずに紫音を挑発する。
高慢宇宙人メスガ星人は、極めて強力な戦闘力を持つ
驕慢放縦の侵略宇宙人である!
生来の戦闘力と
宇宙特異能力由来の強さで他星の生命体を例外なく見下しており、それは他世界を渡る生命の埒外たる存在の猟兵も例外ではない!
「子どもに手を上げるのはスーパーヒーローとしてどうかと思うところですが、オブリビオンであれば容赦しないわ! 身勝手な悪の星人には正義の鉄槌よ!!」
売り言葉に買い言葉。10代前半な幼い少女の姿であるメスガ星人にここまで言われてしまえば、紫音も
スーパーヒーローとしてのプライドに火が灯る。正義の怒りは自ずとして自身のユーベルコード『スーパー・ジャスティス』を顕現させるに至り、全身を黄金のオーラに包まれた紫音が空を翔んだ。
メスガ星人が座する地点まで僅か数秒にも満たない距離の中、悪を討つ正義のヒーローとしての決意に呼応して彼女の全身に力が漲ってくる。だが、そんな刹那の瞬間に彼女は気づかなかった。メスガ星人が僅かに口の端を吊り上げたことを――。
──おっそぉい❤
それは一瞬の出来事であった。高慢宇宙人に猟兵の強さを
理解らせるべく拳を振り上げた瞬間に、メスガ星人の姿は突如として消えたのだ。セラフィローズの鉄拳は虚しく宙を切りながら大きく空振りしてしまい、一体何が起きたのか理解しきれない紫音が目を丸くさせてしまう。
「ど、何処に隠れたの!?」
倒れ込んだカイザーコングの頭上で左右を見渡すが、周囲は鬱蒼とした密林が広がるばかり。そんな焦りの色を見せるセラフィローズを姿を楽しんでいるような声が頭上から聞こえた。
『こっち❤ こっち❤ くっそざっこ、こっちら❤ 手の鳴る方へ~❤』
「くっ……いつの間にあんな高さまで……ッ!」
遮るものが何もない遥か上空にメスガ星人の姿があった。僅か一瞬であるのにいつの間にあんな高さまでに翔んだ事実を前にして紫音が舌を巻いてしまう。だが、あの高さならすぐに追いつける距離であると見て、より輝きを増した黄金のオーラに身を包んでセラフィローズは急上昇する。……既にメスガ星人の術中に陥っていることを知らずに。
「鬼ごっこがお望みなら、いくらでもお相手するわ!」
『ざぁこ? そんなのする訳ないじゃなーい??』
メスガ星人も急降下し、正義と悪が衝突するとともに激しい攻防線が繰り広げる。そんな紫音が思い描いていたスーパーヒーローとしての戦いも、意外なことで裏切られることとなる。既にメスガ星人はルーベルコードを発動させていた。距離が詰まるに連れ、メスガ星人の身体がどんどんと大きくなっていくことに紫音は大きく目を見開いてしまう。
(巨大化……ッ!?)
先程まで子ども程度の大きさだったメスガ星人が、未開惑星タターラで遭遇したUMUとほぼ同じ30メートルの高さとなっていたのだ。これもメスガ星人が持つ
メスガキックパワーによるもので、怪力無双のカイザーコングを一方的にいたぶったのもこの巨大化によるものであるのだ。
『ざぁこ❤ よわよわヒーロー❤ 巨大化できない❤』
そして、太陽とは別の眩い閃光がセラフィローズに襲いかかる。メスガ星人の必殺技、メスガ・キラー光線だ!
巨大化したことによって威力が倍増したメスガ・キラー光線の奔流がセラフィローズを蒸発させんばかりな膨大な熱量とともに襲いかかり、スーパー・ジャスティスによって纏った黄金のオーラが紫音の身体を守る。だがしかし、思いがけない巨大化という事実を前にして虚を突かれたことでスーパーヒーロー・セラフィローズとしての意思は揺らぎ、徐々に広がる恐怖によって徐々に飛翔力は失われていく。そうなれば、あとはメスガ星人が放ったメスガ・キラー光線に押し切られて、ただただ地面へと突き落とされるだけであった。
「カハ……ッ!」
強固な岩盤大地に穿たれた巨大クレーターの中心部に、ボロボロ状態のセラフィローズが仰向けとなって横たわっている。そこへ巨大化したままのメスガ星人が着陸すると、おもむろにしゃがんで人差し指を突き出し、紫音の胸部へと当てると押しつぶさんとばかりに力を籠める。
『なっさけなぁい❤ そんなんじゃスーパーヒーロー失格❤ がんばれ❤ がんばれ❤』
ぐりぐりと指の腹を回される度に骨がミシミシと軋み、内蔵が圧迫される。更には肋骨越しに肺を圧迫されれば満足に息を吸えず、心臓を圧迫されれば脳に血液が満足に送られず視界が白んでいく。まるでムシケラ同然の扱いを受け、紫音の身体が更に岩盤大地へとめり込んでいく。そうした責め苦を受けるセラフィローズがかろうじて声を絞り出すと、メスガ星人は指を止めた。
『え~❤ よく聞こえな~い❤』 もっと大きい声で❤
「……しが……わたし、が……まちが……ってまし……た。だから……命だけは、どう……か……」
メスガ星人の人差し指に込められた力が幾分か抜ける。ようやく新鮮な空気を吸えて脳に酸素が供給されるも、依然として意識が混濁する紫音はうわ言のような小さな声で
敗北宣言をする。スーパーヒーロー・セラフィローズがヴィランであるオブリビオンを前に再度屈服してしまったという屈辱感であろうか、それとも生命の危機に直面して紫音を支配するメスガ星人に対する恐怖心のものか。カチカチと歯を鳴らしながら一筋の涙が頬を伝う様を目の当たりにしたメスガ星人がニタリと満足げな顔を受けべると、ようやく巨大な人差し指は満身創痍状態な紫音の身体より離れていく。
『うわぁ❤ やばぁ~❤ 命乞い早すぎ❤ ちょっと遊んだだけで泣いちゃうだなんて❤ 意思よわよわ~❤』
「うぅ……」
紫音は返す言葉もなく一方的に罵られる。
『そんなクソザコ猟兵は仲間の皆に知らせないとね❤』
「え……っ?」
メスガ星人の掌が紫音に向けられてると、淡い光が身体を覆い包む。それはメスガキック能力のひとつ、メスガ・キャプチャーバルーン。つまり、上空で浮かんでいるカイザーコングの子どもを捕らえている球体状の物体と同じものだ。
メスガ星人自らのコレクションした生命体を衆人環視の元に晒し、惑星住民の戦意を削ぐためにも使われる心理作戦。それを猟兵に使おうとする魂胆か。
「……!
……!!」
紫音が何かを叫びながら内側より球面を叩くが、メスガ・キャプチャーバルーンはびくともしない上に音が外に漏れていない。
そうして捕らえられたスーパーヒーロー・セラフィローズを閉じ込めたメスガ・キャプチャーバルーンが徐々に高度を上げていき、晒し者という
屈辱を受ける紫音は歯を噛み締めながら己の無力さを呪うのであった。
成功
🔵🔵🔴
外地・瑞希
何ででしょうか。無性に『わからせ』たくなって来ましたね。
オブリビオンでなければ彼女に、といいたいところですがメスガ星人がオブリビオンでないと仮定した場合『わからせ』で恋人にするやり方はいけませんね。
あくまで清く正しいお付き合いからスタートしないと、真に恋人関係を築くことなどできないでしょう。
ともかく手数は多いみたいですが、僕のスルガも速度では負けていません。
全身全霊をかけてぶつかって行きます!
「何ででしょうか。無性に『わからせ』たくなって来ましたね」
先程の一部始終をただ見守るしかなかった外地・瑞希(人機一体の鬼神・f36226)の言葉は最もである。如何に強大なオブリビオンとは言え、仲間の猟兵が辱めを受けることになったとすれば『このガキが……』となるのは自然の流れである。
「オブリビオンでなければ彼女に、といいたいところですがメスガ星人がオブリビオンでないと仮定した場合『わからせ』で恋人にするやり方はいけませんね」
だが、彼の場合は大きく違う。女性と見間違える美男子な反面重度のオタク趣味が祟ってなのか、年齢=彼女いない歴17年。瑞希は恋に落ちていた。
それも、よりによって相手はオブリビオンである。いわばロミオとジュリエットな禁断の恋であるのだが、それはお互いに相思相愛であってこその悲恋話である。彼の場合は、一方的な片思いであり、流石に力ずくでモノにするというやり方は世界を破滅に導くオブリビオンと同じ所業であると思い留まる。
「なので、あくまで清く正しいお付き合いからスタートしないと、真に恋人関係を築くことなどできないでしょう」
だが、それでも諦めないのが瑞希という
男である。悶々と如何に恋人関係を築くか、
蜜月は何処にしようかと
クロムキャバリアのコックピットで
妄想している。
しかし、そんな邪念をメスガ星人は、メスガキック能力のひとつであるメスガ・キレパシーで覗き見た!
『うわ❤ おにいさん、オタク? 普通にきも~い❤ そんなに小さい女の子のことが大好きなの? きもちわるいね❤ チラチラ見てたのバレバレ❤』
「え、ええ!?」
メスガ・キレパシーにより通信回線越しにメスガ星人の音声が伝わったことに、瑞希は驚愕すると同時にあることを思いつく。通信回線越しに彼女へお付き合いを申し込めるのでは、と。
「……僕は外地・瑞希。メスガ星人、君はオブリビオンであることを知っている。確かに僕ははロボット愛好家のオタクだ。今までロボットだけに向けられていた愛が揺らいで、君へと向けられようとしているんだ。どうか、無駄な抵抗は止めて、僕と清く正しいお付き合いを願う」
告白である。キャバリアを通しての通信越しな会話である以上、誰かが傍受しない限りこの内容は知られることはない、彼なりな愛の告白である。
『うわ、優しくされたらすぐ勘違いしそう❤ それにオタクがキモいんじゃないよ❤ お兄さんがキ・モ・い・だ・け❤』
しかし、一世一代な告白も即拒絶される。つまり、純情な青年の恋心をメスガ星人は弄んでいたということになる。
「……前言撤回です。やはり
オブリビオンは、実力行使で『わからせ』ないとなりませんね!」
蒼き装甲の各所に走っているラインに光が灯る。それを起点にし、フラれたショックをバネとしてユーベルコードが顕現された。
「全身全霊をかけて、僕の愛をぶつけて行きます!」
クロムキャバリアではリミッターが掛けられているスルガ本来の機動性が展開され、メスガ星人に対し『
高機動攻撃』を仕掛ける。だが、先程まで巨大化していたメスガ星人は元の大きさに戻るや否や、
メスガキック能力由来の空間転移能力でスルガの強襲から逃れる。
『必死すぎ❤ そんなに触りたいの❤ だぁめ❤』
そしてメスガ星人が再び姿を現したのは、スルガの背後である。無防備な背後から無数の破壊光弾化されたメスガ・キラー光線が襲いかかり、スルガのコックピットが大きく揺れた。
「くっ……! 手数が多くても一撃で落とされないなら
……!!」
対G効果を強化したパイロットスーツに身を包んでいる瑞希は機体の急旋回で生じる強烈なGに耐えながら、メスガ星人を照準に捉える。そして、既に発射可能となっていた肩部に搭載された広範囲をなぎ払うビームキャノン『ハイペリオンランチャー』から、眩い光とともに光の奔流がメスガ星人を呑み込んでいく。
『そんな熱量の光線しか出せないの? ざぁこ❤ ざぁこ❤』
メスガ星人には目立った手傷を与えられていなく、通信越しでも相変わらず神経を逆なでさせようと煽り続けてくる。しかし、強大な侵略者とは言え倒せない相手ではないはずだ。今は生身でもキャバリアを相手にするまでの力を振るっているが、何時かボロを見せて『わからせ』るタイミングが訪れるであろう。
その機会を逃さまいと、可愛さ余って憎さ百倍の思いの中で瑞希は自らの愛機を駆るのであった。
成功
🔵🔵🔴
メディア・フィール
WIZ選択
他PCとの絡みOK
プレイング改変・アドリブOk
さんざんわからせられてきた経験から、冷静さの中にも怒りをもってメスガ星人に立ち向かいます。挑発をとことん無視してメスガ星人を倒すことに集中しますが、相手の挑発もメスガキ級なので、根比べになってしまうかもしれません。
メディアの攻撃には直接攻撃が多いので、その意味でも手こずることになるかもしれません。
「挑発しても無駄だよ! ボクは攻撃を当てることに集中するだけだ!」
「聞こえない…何も聞こえない…。一心専念、明鏡止水の心を保つんだ…」
「悪いけど、人を嘲笑して喜ぶ連中の言葉に耳を傾けている暇はないんだ! 黙って押し通らせてもらう!」
『ざぁこ❤ ざぁこ❤』
メスガ星人は、なおも余裕綽々な様子で猟兵と相まみえ続けている。彼女からの小悪魔的な罵りは途絶えること無く、猟兵たちの神経を逆撫でし続けていた。
「これが……メスガ星人!」
繰り出される数々のメスガ・キラー殺法に、鍛え抜かれた五体から繰り出される徒手空拳を武器とすることから武闘勇者の異名を冠するメディアも、おもわずとして舌を巻いてしまう。
『あは❤ いくじなし❤ 逃げちゃだぁめ❤』
メスガキック能力によるものか、メスガ星人が瞬時にメディアへの間合いを詰める。
(この距離を……一瞬で!?)
だが、メスガ星人は拳や脚を振りかざす動作を見せずに人差し指の腹を曲げてみせ、指先でコツンと当てるような仕草を鷹揚としてしめる。一見すればただの子どもの戯れに見えるが、相手が相手だ。それに本能がメディアに対して『避けろ』と警鐘を激しく鳴らしている。ソレに従ってメディアは足元に転がっていた拳大ほどの大きさな石を掴むと、盾代わりに額へと小突かれようとしていたメスガ星人の指先を防いでみせる。
『あーん❤ ざんね~ん❤』
その瞬間、凶器にもなるほど硬い石に亀裂がビシビシと走る。そして、表面が割れれば中からメスガ星人が指先を通して送った極めて強力な破壊エネルギーによって砂状となったものがこぼれ落ちた。
(迂闊に接近戦に持ち込めば、こっちが殺られる! もしも、これがボクの額に当たっていたら
……!!)
メディアの背筋に冷たいものがゾクリと走る。メスガ星人に詰め寄られた距離を仕切り直そうと跳ぶが、メスガ星人は邪魔する素振りを見せずにクスクスと笑っているだけだ。猫がネズミをすぐ殺さずにいたぶるかのように、メスガ星人も目の前の
猟兵をなぶり殺しにするという魂胆か。
『あなたって見れば見るほどクソザコっぽい❤ もしかして……期待してる変態さぁん?❤』
「くっ……!」
メスガ星人の嘲り嗤いが、メディアの脳裏にオブリビオンから受けた数々の
非道が鮮明にフラッシュバックさせてくる。自分と同じ年齢ほどの少女な外見であるメスガ星人から言われれば、それは頭に血が昇ってしまうほどまでに屈辱的な言葉だ。
しかし、そうなればなる程にメスガ星人の思惑通りとなってしまう。ざわついた心を鎮めるべく、メディアは深く深呼吸をする。
──聞こえない……何も聞こえない……。一心専念、明鏡止水の心を保つんだ……。
さも、聖人が悟りを開く禅定に入った時に、瞑想を妨げるべく現れた悪魔の囁きをしてくるメスガ星人。
それに耳を貸してしまえば、先鋒として戦った末にメスガ星人に破れて捕縛されてしまった猟兵、また手玉に取られて|《もてあそ》玩ばれた猟兵の二の舞いとなろう。
ざぁこ❤
ざぁこ❤
ざぁこ❤
なおも吐き続けられるメスガ星人のざこ連呼に対してメディアはそれらに耳を貸すこと無く、遂に一点の曇りもない鏡や静止している水のように、邪な心がなく明るく澄みきった動揺のない心境へと達した!
「……悪いけど、人を嘲笑して喜ぶ連中の言葉に耳を傾けている暇はないんだ! 黙って押し通らせてもらう!」
一点の曇りなき眼に蒼き氷の炎が灯る。メディアの
武技が顕現する現れとともに、
姫武闘勇者は跳んだ。
「わたしにまだ楯突くのぉ?❤ さっきのは
理解らせようと手加減したのに❤いい加減、諦めちゃえ❤ ざぁこ❤」
先程の攻撃は戦意を削がせるためのデモンストレーションと暴露し、メスガ星人も飛翔する。今度こそメディアの身体を内部から破壊すべく、指先を向けながらメスガキック能力によって瞬間移動するメスガ星人。
だが、メディアには確かな勝算があった。さっきの攻防の最中、咄嗟にメスガ星人の指先を防いだ石である。しかし、遂に本気となったメスガ星人が再びそれを許すはずはないだろう。だからこそ、それを突くのだ。
『さわっただけで死んじゃうんだ〜❤ かわいそ〜❤』
そして、メスガ星人の指先がメディアの身体に触れられる。だがしかし、メディアはその直前にユーベルコード『氷炎魔拳』によって身に纏った氷の炎の冷気から氷鎧を作り出していた。メスガ星人の指先が氷鎧に触れると、先程の石のように表面に亀裂が走ってくる。そうなれば、伝播したメスガ星人から送られる破壊エネルギーがメディアの内部をも破壊し尽くすと思われた……その時である!
「挑発しても無駄だよ! ボクは攻撃を当てることに集中するだけだ!」
メディアは無事であった。見る見ると氷鎧が崩れていくが、彼女の身体は傷一つ付いていない。
カラクリはこうである。自身の身体と氷鎧の間に僅かな空間を設けていたのだ。そうすれば、破壊エネルギーの伝播は氷鎧のみに留まってメディアの身体にまで達することはないという理屈だ。これもメディアが掴んでいた石だけが破壊されたのをヒントにした突破策で、見事にメスガ星人の強烈な一手を無力化することに成功したのだ!
「随分と好き勝手してきたそうだけど……今度はこっちがわからせてあげるよ!」
『ひぎぃッ!? ま……ママにも
打たれたことなんてないのに!?』
メディアから繰り出された氷の炎を纏った拳がメディア星人の頬に打ち付けられた。強力な戦闘能力を有していようとも、初めて殴られたショックが強かったのか。涙を目に浮かべながらメスガ星人は思わずマジ声でメディアを非難してくる。
「知るもんか! 殴られもせずに一人前になった人なんて、どこにも居るもんか!」
遂に高慢星人メスガ星人に土が付いた。コレを
機転として猟兵たちによる
反撃が始まるのだ!
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
カイザーコングといえどもオブリビオンの前ではボコボコですか。
さすがに強いですね。
メスガ星人に空間転移能力がある限りは簡単に逃げられてしまいます。
これは対策しないといけません。
まずはヨーヨー『エクリプス』で戦います。
UC【吊人告解】を発動。
ヨーヨーを機動してメスガ星人をハム状でミノムシに縛り上げます。
空間転移が超能力で空間を捻って穴を作るものならば、【念動力】でその捻れを押さえ込みます。
最後に質問。これは今一番答えたくないものとして、カイザーコングの子供の解放方法とパスワードですかね。
これで解放されれば、今度はメスガ星人がブチギレ。
さらに挑発することでコングに反撃機会を与えます。
御形・菘
はっはっは、ヘイト稼ぎまくるキャラ立ちは、妾と似てるようで全然異なるのう
そして清々しいまでの高慢さ! 実に素晴らしい!
とゆーことで真っすぐに突っ込むぞ
触れたら危険な相手に素直な突撃なんて大業が、妾にはできるのだなあ
策を弄し、中距離以上から叩く方が確実で安全よ
だがそれでは妾の望む映像は撮れん! 妾には成功のビジョンが見える!
反撃は当然覚悟の上、しかしいくらでも耐えられるとも
はーっはっはっは! お主がどれだけ抵抗しようが! 妾はお尻ペンペンを止めん! 全宇宙に晒し上げる!
左手で身体を掴んでしっかり捕まえ、全力の右手で、思いきりブッ叩き続ける!
それと妾は優しいから、カメラの場所はちゃんと教えておくぞ
アーネスト・シートン
出ましたね、密漁団のボスが。
そして、傲慢にも程がありますね。
全て自分のものにするなんて出来るわけがありませんからね。
まぁ、こういうのは、とっちめてやらないとですよ。
こういうのは、正攻法でいかないで、眠らせてあげましょう。
貘さん、お願いします。
眠くなってきたでしょう。
これで、容赦なく短い射程で滅竜銃撃てますね。
通常弾セット、心臓狙って撃ちますよ。
これで、カイザーコングを援護できますよ。
『ふーんだ! 貴方たちなんてザーコ、ざぁこなんだから❤』
高慢宇宙人の肩書があるメスガ星人と言えども、ここまで高慢ちきだと敵ながらあっぱれとしか言いようがない。目に浮かべた涙を拭い、また人を喰ったような
口調に戻る様に、菘がうんうんと頷きながら感心している。
「はっはっは、ヘイト稼ぎまくるキャラ立ちは、妾と似てるようで全然異なるのう。そして清々しいまでの高慢さ! 実に素晴らしい!」
真の蛇神にして邪神(という配信者設定)としては、宇宙の
絶対強者として君臨しているメスガ星人に親近感を覚えたのかもしれない。だがしかし、菘は相手の強さを認めた上で自分のほうがより上で強いとボコるのに対し、メスガ星人の場合は基本的に他生命体を見下しに見下しきっている。謂わば両者は水と油、例え菘が褒め称えようともメスガ星人にはありがとうございますの感謝の言葉なんてものはない!
『え~❤ 似てるぅ? そんな訳にないじゃない❤ わたし、そーんな
怪物じゃないし❤ 鏡見たことあるの❤ へぇび❤ だぁび❤』
「はっはっは! ……前言撤回である。やはりぶん殴らねば分からぬ者であったか!」
やはりと言うか、メスガ星人に侮辱されればそれを許さぬのが蛇神さま。仲間の猟兵との戦いでメスガ星人がどのように戦うのかを観察済みであるが、敢えてイバラの道を突き進むのが御形スタイル。指先が触れただけでも良くて骨が砕ける程の破壊エネルギーを送られる危険性を承知の上で、菘は異形の左腕を握り締めさせながらメスガ星人へと真っすぐに突っ込んでいく。
「こんなに大きなカイザーコングといえどもオブリビオンの前ではボコボコですか……。アーネストさん、容態はどうですか?」
「今のところ、命に別状がある様子はないと言ったところです」
一方、メスガ星人が破壊エネルギーを送り込もうとも、それを覚悟の上でしぶとく食い下がる菘を相手にしている隙を見て、摩那とアーネストはうつ伏せ状態のカイザーコングへと駆け寄る。人間ほどの巨大な目がふたりの姿を追うが、どこか優しさを秘めた温かい眼差しである。しかし、その奥で燃えるのは『復讐心』という炎だ。
獣医の卵として診察を行っているアーネストが満足に動けない身体を起き上がらせようとするカイザーコングを宥めさせている中、メスガ星人に邪魔されまいと護衛する摩那が空を見上げた。
「そうですか……子どもさんが心配なのですね?」
カイザーコングが低い唸り声と上げて、肯定するような返事を摩那へと返す。親として子を心配しないモノなどは居ない。それはこの惑星に住む宇宙怪獣も同じことで、彼女がコンバ族の集落に辿り着く前に遭遇した宇宙怪獣たちも弱肉強食の世界に身を置いているだけで同じだろう。
彼らはただ平穏に過ごしてたが、そんな日常をオブリビオンが壊そうとしている。そんな理不尽さに摩那は、アーネストは怒りを覚える。だが、メスガ星人の実力は確かなものであり、その戦闘力は他世界で熾烈な戦いを繰り広げたオブリビオン・フォーミュラに匹敵すると言っても過言ではない。
生半可な攻撃を与えようとすれば、カイザーコングの子どもと一緒にボール状の監獄に囚われている仲間の猟兵と同じ道を辿るかもしれない。故にふたりは僅かな望みを託してカイザーコングの復活に賭けようとした。
「大体の診察は終わりました。良くて全治数ヶ月の大怪我、と言ったところです。ですが……」
「ユーベルコードを使えばすぐに、ですよね?」
「ええ、正解です。全快とはまでは行かないでしょうが、カイザーコングが暴れる回る程度にまでは回復できると思います。その為には、一旦彼に眠らせて貰いますが……」
いつの間にかアーネストの傍にバクが寄り添っており、短い鼻をもたげて任せてと言ってるように答えて見せる。勿論、これはアーネストのユーベルコード『
夢への案内人』で召喚したバクである。彼から放たれる睡眠の波動でカイザーコングを眠らせ、眠っている最中にメスガ星人によって与えられたダメージが回復させるという作戦である。
だが、この計画にはひとつの重大な懸念がある。それは……。
『あは❤ クソザコがネズミのようにコソコソ何かやってる❤』
メスガ星人に妨害される危険性だ。当然ながら、眠らせているカイザーコングは無防備同然となる。そうはさせまいとメスガ星人が叩き起こしてしまえば、カイザーコングの復活とはならない。その為にフィジカルモンスターたる菘が囮となって、メスガ星人の攻撃を受けて耐え続けている様子をカメラに収めつつ相手をしていたと言う訳である。
しかし、そんな意図が分かってしまった以上、メスガ星人はカイザーコング復活を阻止すべく摩那とアーネストの元へと向かおうとする。
「おい、お主! 妾との勝負を放棄するつもりか!」
『勝負ぅ? そんなの、あなたの都合じゃなぁい❤ 追いつきたければ追いついてね❤ ざぁこ❤』
メスガ星人を行かせまいと鷲掴みにしようとする菘の巨大な左腕を、メスガ星人は指先に集中させた破壊エネルギーたるメスガキックパワーで弾き返した。そして、一気に
空間転移しようとメスガキック能力を解放させようとする。
「……アーネストさん、チャンスは一度っきりですよ?」
「はい、分かっていますとも。これが失敗したら、あとはどうにもこうにも行きませんので、そちらもよろしくお願いしますね?」
しかしながら、メスガ星人がどのような行動に移るか。彼女の攻撃を、行動を如何に封じるかの作戦は既に決まっている。一か八かの賭けではあるが、メスガ星人の空間転移能力さえ封じ込めば良いのだ。摩耶のスマートグラス『ガリレオ』がユーベルコードの高まりを感知し、数値が規定値に達しようとする瞬間……彼女は叫んだ。
「今です!」
メスガ星人がユーベルコードを展開させたのと同じタイミングで、アーネストは召喚したバクから睡眠の波動を。摩耶はヨーヨー『エクリプス』をガリレオが感知した『空間の歪み』に向けて投げ放ち、UC『吊人告解』を顕現させる。
『……痛ッ!? ……え? ええ!! ナニコレ!?』
対メスガ星人作戦の概要はこうだ。まず菘がメスガ星人の注意を反らしている隙を見て摩那とアーネストがカイザーコングの元へと行く。それに気づいたメスガ星人が不審な行動をしているふたりを邪魔すべく空間転移能力で距離を詰めようとする。カイザーコングの元へとやってきたメスガ星人に対し、空間転移した直後にアーネストは召喚したバクによる睡眠の波動でメスガ星人の意識を瞬間的にだが眠らせる。そして動きが止まったメスガ星人を矢継ぎ早に摩耶の
エクリプスを持ってして、ハム状のミノムシに縛り上げるというものだ。
当然ながら、どこに空間転移するか分からないメスガ星人であるのだが、先鋒として戦った猟兵たちとの戦闘によってガリレオによる解析が成功している。空間転移の際にはメスガ星人がUCを発動すべくメスガキックパワーを増幅させ、また空間転移先には僅かな時空の歪が生じる。それを予測してと言えば言葉に容易いが、1秒たりとも無駄にはできないものである。不可能と思われるメスガ星人捕縛を実現できたのも生命の埒外たる存在である猟兵ならではであるが、彼らも世界をカタストロフへと導く強敵との死線を幾度に渡り潜り抜けてきたからこそでもあるのだ!
「はっはっは! 流石は妾が認めし
同盟者だけある。見事な働きぶりに感謝しよう!」
「はぁー……無事成功しましたね。正直、生きた心地がしませんでしたよ」
「同感です……あ、見てください。カイザーコングの寝息って、こんなに大人しいのですね!」
『ちょっと! 何シカトしてるの!? さっさとコレ解きなさいよ!! クズ! 変態! ペドフィリア!!』
ヨーヨーの紐でがんじがらめ状態となったメスガ星人が再びマジ声となって非難を浴びせかけるが、三人は一番難しいメスガ星人の捕獲が成功したことで聞く耳を持とうとはしない。そしてだが、メスガ星人がこの状況から脱しようとメスガキック能力で空間転移を試みようとしてはいるのだが、当然ながら対策は織り込み済みで摩耶の超能力が空間の捻じれを抑え込んでいる。つまり、彼女はチェックメイトされたと同然のメスガキにすぎない。
「おお、そうじゃ。ここまで妾をコケにしてくれた礼せんとのぉ……よっこいしょっと」
まだ悪あがきを続けるメスガ星人の身体を菘が巨大な左腕で鷲掴みにすると、ひょいっと持ち上げる。未だ罵詈雑言の数々を言い放ち続けて気丈に振る舞っていたメスガ星人だったが、これから一体何が始まるのかと恐怖に駆られた顔が徐々に曇り始める。
『ね、ねぇ……。解いてくれたら、あなただけでも許して上げていいのよ?』
「ふぅむ。まだお主は自分がどんな立場に立たされているのか
理解っていないようじゃな。それにその恐怖に駆られた顔。はっはっは、そうでなければよ」
『な……何を、するの? ねぇ、何をするのよ!?』
「はっはっは! そんなものは古今東西、全宇宙の理にもあることをお主は知らんのじゃな? いいぞ、特別に妾が教えてしんぜよう。それはな……オ・シ・オ・キじゃあッ!」
──スパァァァンッ!
『──ったぁあぁぁぁいッ!?』
メスガ星人のキュートなお尻が、スーツ越しに全力を込めた菘の右手によって引っ叩かれる!!
「はーっはっはっは! いい声で鳴いてくれおる! お主がどれだけ抵抗しようが! 妾はお尻ペンペンを止めん! 全宇宙に晒し上げる勢いでな!」
──スパァン! スパァン! スパァン!!
『イタいッ、イタィーいッッ!💢 離しなさいよ、このヘンタイッ! ママにもお尻叩きされたことなんて……ッ! ないのに……ぜったいあやまらないから!!』
「ほぅ……中々気丈な娘よ。だが、これはどうかな……?」
お尻叩きの痛みと屈辱に涙を浮かべつつあるメスガ星人に対し、ニヤリと悪い笑みを浮かべた菘がある場所を指し示す。
『え……まさか、アレって……』
「そうじゃ。アレはカメラである。勿論、生放送形式で妾の信者どものみならず、お主の支配している星にも届けておるぞ?」
それを聞いたメスガ星人の顔が見る見ると青ざめて来る。だが、それはブラフである。これもとあることをメスガ星人に促すための作戦であるのだから。
「……ですが、取引に応じてくれたら拘束もですが配信は止めますよ? 貴方に捕らえられたカイザーコングの子どもたちと猟兵の解放が条件ですが」
これを見よがしにアーネストが泣き顔になりつつあるメスガ星人に対して取引を持ちかける。人質解放を条件とした見せしめの停止だ。
『わ……わかった。ほら、これで良いんでしょ!?』
メスガ星人がそう言い放つと、メスガ・キャプチャーボールは徐々に降下して、地面へと着くとシャボン玉が割れるように弾ける。解放されたカイザーコングの子どもたち、そして仲間の猟兵を救出に成功する。あとは、メスガ星人の処遇のみだ。
『ほら! 約束を守ったんだから、早く解きなさいよ!!』
「ええ、私たちは許しましょう……。ですが、『彼』は許してくれるでしょうか?」
そのように満面な笑みを浮かべながら摩那が答える。何のことだが理解しきれずにキョトンとしるメスガ星人を菘が放り投げた先は巨大な影となっていた。
『……ヒッ!?』
メスガ星人が顔を上げると、彼女はようやく理解する。そう、眠りから覚めて回復したカイザーコングの親がついに立ち上がって彼女を見下ろしていたのだ。
「ゴォアアアアアアッ!!」
カイザーコングが牙を剥いて吠える!
メスガ星人に与えられた屈辱を、奪われようとしていた密林の王者としての誇りを怒りへと変え、未だ拘束が解けず空間転移もままならないメスガ星人を睨みつける。そして、ゆっくりと脚を掲げると、勢いをつけてメスガ星人を踏み潰さんとばかりに叩き降ろすのであった!
大成功
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九条・救助
危ない!追い詰められたメスガ星人が破れかぶれとなり、せめて一矢報いようと巨大化形態に変身し、カイザーコングを抹殺しようとしている!
カイザーコングに迫るメスガ・キラー光線!
しかし、カイザーコングの命の火が消されようとしたそのときである――!
人々の祈りに応え、銀河連峰はるかに超えて光とともに正義の力が舞い降りたのである!
来たぞ、われらのウェンカムイ!
【完全同調】によって巨大神性体となり、巨大メスガ星人に立ち向かう。
敵の高速戦闘に翻弄され、胸のエネルギーコアが赤く点滅し消耗を示すが――『勝った』と驕ったその瞬間こそが勝機だ!
最後の力を振り絞り、必殺のディヴィニウム光線で侵略者を撃つ!
……これですべては終わった。
自らが
打ちのめしたはずのカイザーコングが猟兵の手により復活し、その巨体を持ってして踏み潰されるという因果応報とも言えるメスガ星人の最期を見た誰もがそう思えた。……と、その時である!
──ざぁこ❤
地の底から聞こえる悪魔のような甘い煽り声。それはメスガ星人のものに他ならない!この場に居る者すべてが戦慄する中、身動きが取れなかったメスガ星人を踏み潰したカイザーコングの脚がゆっくりと持ち上げられたのだ!!
『勝ったと思った~? ざ~んね~ん❤ 負けたふりに決まってるじゃなぁい❤』
なんて言うことだ。メスガ星人がまだ生きていた!
しかも、まだまだ余裕がある素振りでそのまま人間サイズから巨大化し、カイザーコングのバランスを崩してひっくり返してしまう。
『私があんな程度でやられる訳がないじゃなぁい❤ 身の程を知らないクソザコは、どっちが上か身体で
理解せないとね❤』
そう言い放つと、メスガ星人は猟兵たちを見下ろしながら、鷹揚と腕を広げで両手にメスガキックパワーを集中させる。ユーベルコードの高まりでタターラの大地が揺れ、危険を察知したのか鳥たちが一斉に羽ばたいていく。程なくしてメスガ星人がユーベルコードを展開すると衝撃音とともに大気が振動し、メスガキック能力によって重力操作された惑星タターラが超重力惑星と化した!
「ギィェエエエエエエッ!?」
遠くで巨獣の叫び声が聞こえるが、アレは有翼UMU『チャンギラー』のものだ。体長30メートルにも達する巨体ですらメスガ星人によって重力操作された超重力の耐えられず、倒れれば地面にへばりついてしまう。
「シャーッ!?」
メスガ星人による惑星規模の
蹂躙は大きさに関わらず、大樹の幹に獲物を待ち受けている宇宙危険生物『マッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇』も例外ではない。強靭な身体でバネのように跳びはねるジャンピング・スネークの異名を持つマッタクウゴカナイ・モケイミタイナ蛇もメスガ星人がもたらす超重力の洗礼には無力で、木から落ちればべたりと地面にくっついてしまう。
「これは一体……ぐぅ!?」
「グデオデェギャギッ!?」
バッタ人間化したことで常人の数十倍以上な身体能力を持つミュート星人であるオカフジ、身長30センチあまりだが弱肉強食の生存競争に生き抜くべく身体能力に秀でたコンバ族も例外なく膝をついてしまう。勿論、猟兵も例外ではない!
『この程度の重力にも耐えられない❤ 身の程知らず❤ ひれ伏しちゃえ❤』
ただひとり、この超重力の中で立つ者が居る。メスガ星人だ。
惑星タターラに生ける者すべてが重く伸し掛かる重力で呼吸もままならず押しつぶされそうになる中、そんな惨めな姿を嘲笑うかのように侵略者は蠱惑的に煽り続ける。
高慢宇宙人メスガ星人とは、高い戦闘能力と巨大化能力を併せ持つ強力な侵略宇宙人である。少女然の外見に反して性格は悪辣そのもので、他種のあらゆる生命体を見下して嘲笑することを何よりもの歓びとしている。だが、強力無比な戦闘能力で惑星を制圧してはつまらなすぎる。そこで、メスガ星人は自身を全身全霊もってしての総力戦で
倒そうとする相手に『わざと負けるフリ』をすることが多々ある。
そして、相手が青色吐息で勝利を噛み締めている中で復活し、絶望の淵に叩き落とし
陥落させることで真に惑星制圧を果たすのだ!
……だが、イキリ倒す
メスガ星人メに立ち向かおうとする勇者はひとりだけ居た。
「グッ……グググ……ッ!」
未開惑星タターラの守護神、カイザーコングだ!
顔面にミミズのような血管を浮かばせ、UMUを顎ごと引き裂く強靭な膂力を持ってして立ち上がろうとしていたのだ!
『鼻息荒すぎ❤ そのまま血管切れちゃえ❤』
「グググッ……グォオオオオオッ!!」
メスガ星人の煽りを受け、カイザーコングは怒髪天を衝く程の怒りを覚えた。怒りを力に変えて、コングが跳ぶ。だがしかし、超重力の足枷があってかカイザーコングは思うように身体を動かすことができずに何処か緩慢さを感じ得る。それでも今はこの状況下で動けるコングに望みを委ねるしか無い。猟兵、タターラに生ける生命体の祈りを受けてカイザーコングは激しく吠え立つ!
『必死すぎ❤ 学習能力なさすぎ❤ またやられちゃえ❤』
しかし、抵抗を嘲笑うかのように超重力を物ともせず、メスガ星人は軽々とカイザーコングの一撃を躱してしまう。そして、彼女の五指がカイザーコングへと向けられた。危ない、拡散メスガ・キラー光線だ!!
「グァアアアアアアッ!?」
摂氏数十万度にも達する破壊光線がカイザーコングの表皮に浴びせられると、激しい爆発とともに宇宙戦艦の装甲にも匹敵する強固なコングの毛皮が爆ぜる。まだダメージが回復しきっていないのか、カイザーコングはもんどりを打って再び倒れてしまう。
ああ、遂にカイザーコングがやられてしまった!
『ここまで私をコケにしてたらどうなるか……おバカなお猿さんにまたわからせて、ア・ゲ・ル❤』
メスガキックパワーの高まりに呼応して、再び大地が激しく揺れ始める。まさか、このままカイザーコングを抹殺することで、この場に居る者すべてを
屈服させるつもりか!?
カイザーコングに迫ろうとするメスガ・キラー光線!
惑星タターラの命運を賭した命の火がまさに消されようとした、そのときである――!
『!? な、何……この光!』
そのときふしぎな事が起こった。カイザーコングとメスガ星人の間に眩い光が生じたのだ。直視できないほどの眩しさに、思わずメスガ星人は警戒しながらメスガ・キラー光線の発射耐性を解いて顔を覆ってしまう程であった。
だが、その光はどこか暖かく、優しさを帯びている。そして、猟兵たちはこの光が何なのか知っている。そう、グリモアの光だ!
程なく眩しさが衰えるにつれ、光はヒトガタの形となっていく。
あれは何だっ! 未開惑星タターラに宿る高次生命体か? それとも、光の巨人か? いや、ウェンカムイだ!
人々の祈りに応え、銀河連峰はるかに超えて光とともに正義の力が舞い降りたのである!
「カムイイグナイター、アクティベイト! 叫べ、|悪神《ウェンカムイッ!
完全同調! ギガ・カムイライズ!」
雪と氷を司る悪神の呪われた血を引いたが故に、力を制御できず『災厄の子』と忌まれた九条・救助(ビートブレイザー・f17275)。あるとき出会ったヒーローを師とすることで力のコントロールに成功した救助は、内的宇宙に宿した神格と交信する呪具『カムイイグナイターで』で巨大神性体と完全同調する。マッハ5で空を飛び、強力なエネルギーであらゆる敵を粉砕する不死身の男となったのだ。
それ行け! われらのヒーロー!
来たぞ、われらのウェンカムイ!
『そんなコケオドシ❤ わたしが騙される訳ないじゃない❤』
突如として現れた巨大ウェンカムイを前に、巨大メスガ星人がけらけらとイキリ倒す。
「それはどうかな? アイス・スラッガー!!」
超重力の枷を物ともせずウェンカムイが両手を広げると、熱帯のジャングル同然な多湿的環境から得られる大気中の水分から生成された氷の刃『アイス・スラッガー』が次々と生成される。それらをウェンカムイ念力を持ってして操作し、あらゆる方向からメスガ星人を強襲する!
『遅すぎ❤ そんなのじゃ触ることもできない❤』
だが、メスガ星人はメスガキック能力による飛行能力とツブテ程度の破壊光弾化させたメスガ・キラー光線を持ってして、ウェンカムイが放ったアイス・スラッガーを次々と迎撃してしまう。ウェンカムイも負けじとアイス・スラッガーを生成しては放つが、超重力の惑星と化したタターラの空を我が物顔で飛ぶメスガ星人の速さについていけていない。更にはメスガ星人は空間転移能力を発動させ翻弄し、遂にウェンカムイは背後を取られることを許してしまった。
『後ろスカスカ~❤ 隙ありすぎ❤』
「グワーッ!?」
守りが手薄となったウェンカムイの背後に、容赦なくメスガ・キラー光弾が撃ち放たれる。一発一発はそれほどの破壊力を有していないが、それでも数の暴力となればダメージがどんどんと蓄積されていく。
何とか間合いを仕切り直そうとするウェンカムイだったが、思った以上に超重力の負荷が重かったのか。彼の活動エネルギー残量が低下していることを示している胸のコアが点滅し始めたのだ!
そして……もしコアの光が消えてしまったら、ウェンカムイは二度と立ち上がれなくなるのだ。
がんばれ! ウェンカムイ!
残されたエネルギーはあと僅かなのだ!
「エネルギーが尽きてしまう前に、なんとかしないと……っ!」
『ええ~❤ もしかして、活動時間制限があるの~?❤ ざっこーい❤ よわよわ星人❤ 三分間しか活動できない❤』
相手の弱みを見つけたメスガ星人のメスガ・キラー光弾がより激しさを増していく。このまま時間と体力を浪費させ、ウェンカムイのエネルギー切れを狙い始めたのだ!
何時しかウェンカムイは防戦一方となり、反撃の糸口を何とか掴もうと機会を伺うしか無い。高慢宇宙人メスガ星人、その高慢さが生み出す僅かな綻びをだ。
『ざぁこ❤ ざぁこ❤ ざぁこ❤』
勝利を確信したことを表すザコ連呼をしながらメスガ星人がウェンカムイの周囲を回りながら嬲り殺しにしようと進みだした……その時である!
息を潜んで反撃の機会を伺っていた手負いのカイザーコングがゆっくりと立ち上がり、意識が完全にウェンカムイへと向けられている巨大メスガ星人の背後を取って羽交い締めとしたのだ!
「カ、カイザーコング!!」
『ちょ、痛いじゃない!? 髪を引っ張るな、ケダモノ!!💢💢』
メスガ星人のメスガキック能力を発動させる集中力を削ぐためか、カイザーコングは自らの怪力を振り絞ってメスガ星人の身体をギリギリと締め上げつつ、両腕を相手の首の後ろで交差させてクラッチする。更にはメスガ星人の特徴でもある銀髪の長いツインテールを掴んで引っ張る。コレには流石のメスガ星人も❤掛かった語尾が消え失せて、怒りを露わにマジギレしながらカイザーコングの足指を思い切り踏みつけて抵抗する。
だが、カイザーコングは怯むことも動じることもせず、鋭い死線をウェンカムイへと向ける。
──オレがコイツの動きを封じる。その間に倒せ!
ふたりは言葉を交わさないが、男同士の会話に言葉などは要らない。カイザーコングの想いを確かに受け取り、コアの点滅が徐々に早まりつつあるウェンカムイは力を振り絞り立ち上がる。
そして、ジタバタと暴れるメスガ星人を見据えると、満身創痍の身体に鞭を打ちながら両腕を
交差ように動かしてL字型に組む。まっすぐに伸びた右前腕が仄かに青い光を帯び始めて今放たれようとするは、ウェンカムイの最大必殺技。その名もディヴィニウム光線!
『ちょ、ちょっと待って❤ このままだとカイザーコングも巻き添え❤ それでもいいの?❤』
再びメスガ星人が語尾に❤掛けて悪魔の誘惑をし始めるが、ウェンカムイは耳を仮想とはしない。一匹の漢が覚悟を決めているのだ。それを無下にするなど、ヒーローとしてあるまじき行為であるのだからだ!
「黙れ悪魔め! 行くぞ、ディヴィニウム光線ッ!!」
つまるところ、メスガ星人の最大となる敗因は『驕り』である。もし彼女がカイザーコングにも注意を向けていれば、このような事態に陥ることはなく、猟兵もメスガ星人に破れていたのかもしれない。
だが、高慢宇宙人として宇宙の強者は勝利に酔い痴れた。勝ったと思った瞬間が一番危ないという『ママ』の
忠言を忘れてだ。
ウェンカムイより放たれた蒼き光の奔流を浴びる直前の刹那、メスガ星人はふとそんなことを思い出して遂に
理解せられたのだ。自らの命と引き換えに……。
『ざ、ザーコ!』
果たしてそれは負け惜しみか。それとも本当のザコは自分だったと
理解されたからか。高密度に収束された
悪神の神気を浴びせられたメスガ星人の視界が白むと、メスガ星人らしい断末魔を残して爆破四散して、舞い上がった塵が躯の海へと還っていく。
爆発の余波で朦々と土煙が周囲を立ち込めた。ディヴィニウム光線を放ったウェンカムイに残された
神気はほんの僅かで、現界の時間は保って数秒程度であろう。だは、ウェンカムイは、救助はカイザーコングの安否を確かめるべくギリギリまで現界し続けている。
徐々に土埃が収まると、メスガ星人が居た場所に巨大なシルエットが浮かび上がる。それを確かに見たウェンカムイは再び光となって消える中、勝利を祝うかのように重厚なドラミング音が未開惑星タターラのジャングルに鳴り響くのであった……。
かくして、強大な侵略者。メスガ星人に率いられたUMU密猟団の侵略は猟兵たちの手により失敗に終わった。
しかし、だからと言ってUMU密猟は欲望という名の市場需要がある限り、宇宙動植物管理局保護官であるオカフジらスペース・レンジャーの戦いに終わりはない。
また、様々な惑星に
侵略をかけるメスガ星人が遂に倒され、銀河に一時の安寧が訪れたが、我々は油断してはならない。躯の海がある限り、必ず第二、第三のメスガ星人が現われるに違いないからだ……。
それに彼女が『ママ』と言っていた存在がある以上、既にメスガ星人はこのスペースシップワールドで繁殖しているであろう。
『あの子がやられたみたいね❤』
『くすくす……あの子はメスガ星人の中でも最弱のざぁこ❤』
『よわよわ星人に
負けるだなんて、メスガ星人の面汚し❤』
などと、銀河の何処かで不甲斐ないメスガ星人を嘲笑しているに違いない!
だが、如何に強大なメスガ星人がスペースシップワールドの何処かで暗躍しようとも、猟兵が再び彼女の前に立ちはだかり、倒されるべきオブリビオンであることを
理解せるのである!
大成功
🔵🔵🔵