●人の口に戸は立てられぬ
「こーんにーちはー!」
その少女は、ディスプレイの中で明るく笑っていた。その名を、ユーリ・イルハートという。
その笑顔は一寸の曇りもなく、ディスプレイの向こうにいるリスナーとの会話に花を咲かせる。
「ねぇねぇ、そういえば、知ってる? あのね……」
●そして賽は投げられた
「で、この娘が狙われた、と」
長峰・モカ(リアルにvirtualなアイドル芸人?・f16136)はディスプレイを消し、そう告げる。
そのきっかけは、ほんのたわいのない噂を話したこと。
その噂自体は確かに巨大企業群には都合の悪いことではあるだろう。
しかし、その内容は取るに足らないもので、そんなものにめくじらを立てるようなものではない。
言ってしまえばゴシップ紙に書かれるような胡散臭い代物だ。普通なら、無視をしても問題ないようなものであるはずだ。
「まぁ、こんな他愛のない噂でも、発言力が強かったら……ってことなのかねぇ」
問題は、この噂を話したのが有名なライブストリーマーだったことのようだ。
発信力のあるライブストリーマーの発言は、当然ながら強力な影響力を持つ。
その噂自体は根も葉もない話であったとしても、影響力の持つものがその噂を発信したら……。
「本人も悪気はない……というか噂だってわかってるからねぇ」
本人に悪気がなくても、信用に値しない噂だと思っていても。巨大企業群はその噂を危険視した。
その結果、狙われてしまった、ということなのだろう。
「ちょうど、異形化した生物が発生するエリアに潜入するっていう撮影があるらしいのよね。そこででコラボということにして護衛してもらいたいんだけど……」
問題は、コラボに際し「コラボに値する相手なのかどうか?」を試すと言い出してるのだ。
舞台はそのユーリ・イルハートの撮影する舞台と同じ場所。ここでイケてる配信ができたら、その場でコラボ配信を撮ろう、というのだ。巨大な犬が出現するというこのエリアで、カッコよく、クールに配信を決めることができれば、きっとユーリ・イルハートは君たちのことを認めてくれるだろう。
「まぁ、君たちのかっこいいところを見せてあげれば万事オッケー問題なし! ということでよっろしくぅ!」
そんなに心配することもないと考えているのだろう、モカは明るくそう告げたのだった。
「いやまぁ、パフォーマンス的にはね、私でもね、問題ないんだけどね、でも、知名度はね……」
そんな呟きが背後から聞こえたような気がした。多分、気がしただけだった。
おじやしげき
どうも、お久しぶりです。おじやしげきです。
皆さんのかっこいいところが見たくてこんなシナリオをご用意いたしました。
ただただカッコよくアピールして、ユーリ・イルハートさんに皆さんを認めさせてください。カッコよければなんでもありだと思います。倫理的に問題がなければ。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『繁茂する異形の楽園』
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POW : 立ちはだかる者を叩き潰して切り抜ける
SPD : 交戦は最低限に素早く潜り抜ける
WIZ : 残骸を回収して汚染源を調査する
👑7
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新田・にこたま
わざわざメガコーポが有名人を抹殺するという結論を出すということは嘘から出た誠の可能性もありそうですが…噂の精査は後でもできますか。まずは護衛のためにストリーマーとしてのキャラ作りです。
ドーモ。ユーリ・イルハート=サン。ジェノサイドボーラー系ストリーマー、新田・にこたまです。(自分的にイケてることができそうなのがこれだけだった)
私も今日はこのエリアでの配信を考えていたんですが、いっそコラボ配信でもしませんか?
実力を見せろと言われたらUCで強化されたジェノサイドボールの腕前で、まるで踊るように華麗なボール捌きで巨大な犬たちを翻弄する姿を配信で流します。※【ダンス】
Let's genocide!
「ドーモ。ユーリ・イルハート=サン。ジェノサイドボーラー系ストリーマー、新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)です」
にこたまは、ユーリ・イルハートに少々特殊なオジギで丁寧に挨拶をする。
「えーなにその挨拶ちょーウケるんですけど!」
さすがにこたま渾身のネタである。カメラは回っていないものの、ユーリは爆笑である。のち、カメラを回していなかったスタッフは相当怒られたらしい。
「ヒーっ、ヒーっ……。で、でもさすがにこれだけじゃ、ねぇ……」
もう息が切れるほど笑っちゃってるのでそれでもういいような気もするが、流石にユーリはそれを許すほど甘くはなかった。
「ほ、ほらちょうど今いいところに巨大なプードルがっ、ブフッ、いるから……ブフォっ……」
もう思い出し笑いが溢れ出ているものの、目の前に巨大なプードルが鎮座しているのは事実だ。
「それじゃあ、見ててください……ね!」
その言葉が発し終わるほんの数秒前、大プードルがその大地を蹴る。さすが鳥獣猟犬、その脚力は大地を通じて膨大な運動エネルギーに変わり、一瞬のうちににこたまのところに飛び込んでくる。
設置されたカメラの前、ニヤリと一瞥した次の瞬間に大プードルがそのカメラに突っ込んでくる。
「そんなに遅くて大丈夫ですか?」
次の瞬間、にこたまの声は上空から降ってくる。カメラをその声の先に向けると、ニヤリと不敵な笑みを浮かべたかと思うと、またカメラの視線から消える。次の瞬間には、大プードルのボディに衝撃が走る。肉眼ではわずかに炎のようなものが見えるか見えないかのところ。カメラでスローにすると初めてにこたまの姿を抑えることができた。ジェノサイドボールをもとにしその動きは、残像と共に目の前の大プードルに襲いかかる。
「ヒュー、やるねぇ!」
ほんの数秒、目の前に倒れている大プードルを目にしたユーリはそう呟いた。
成功
🔵🔵🔴
ステラ・カガミ
巨大犬達の方に歩きながらマザーズウィスパーを使って眠らせるわ。
派手に暴れるだけがパフォーマンスじゃないって所を見せてあげるわ。
もっとも、単に犬の群れに進んでいくだけではなく、大勢引きつけてまとめて眠らせたり、向かってきた相手を躱しながら眠らせるなど、絵面が派手になるように工夫はするけどね。
あたしは踊り子兼歌姫、歌に関してはプロ。
プロの歌の力、見せてあげるわね。
コーデリア・リンネル(サポート)
アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「さぁ、派手に暴れるだけがパフォーマンスじゃないってこと、見せてあげるわ」
ステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)は、一人そう呟く。まぁ独り言に聞こえなくもないが、カメラやマイクの位置を完全に計算に入れた一言。さすが音のプロ、そして踊り子である。その一挙一動全てに惹きつけられていくようである。
「私も、そろそろ本気で行きますよ!」
カメラをはじめとした全てがカガミに意識が向いていたその時、コーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)は大地を蹴った。その身に纏うは青色を基調としたフリフリが可愛らしいメイド服。そのエプロンを脱ぎ捨てると、そのメイドだった少女は、その柔和な表情を凛々しく変化させる。その気品はまさに姫君、と言っても差し支えないだろう。その手に握るロッドもその気品、威厳をアピールするのに一役買っている。
破魔の力を持つそのロッドは、巨大プードルの群れを散らばせるには十分な威力になって大地を縦横無尽に暴れ回る。時間経過とともにその目に狂気が映えるのは気のせいなのだろうか。多分気のせいだろう。多分。
「♪〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜〜」
激しく衝突音が響き渡るこのフィールドに、不釣り合いな物静かなBGMが流れ出す。カガミがその音楽に合わせて進める一歩は、静かで、それでいて力強く。巨大プードルたちと光り輝くロッドが飛び交うこの場に、一歩一歩ゆっくりと、静かに進み続けるカガミ。
「ずいぶん、お疲れみたいね。そんなあなたにおすすめの曲よ」
その歌声は、囁くように。聞こえるか、聞こえないかの境目のような子守唄。その子守唄に触れた子は、安らかに眠っている。
「……さすがカガミさん、美しいやり方ですね」
話は、数分前に遡る。静と動。この対照的なアピールを同時に行うことでお互いを印象付けようという作戦である。もちろん子守唄を聞かないようにリンネルは耳栓をつけている。ちなみに、ある程度はものが聞こえるようにライブ用のいい耳栓を使っています。
「そーれ♪」
リンネルは、巨大プードルたちに向けて一撃を狙う。その衝撃は一撃必殺……ではなかった。巨大プードルたちはその攻撃元に一斉に注目、ターゲッティング、ロックオン。一斉にその大地を蹴って巨大プードルロケットが攻撃元だった場所に飛び込んでくる。
「プロの歌の力、見せてあげるわね」
その場所に立っていたのはカガミ。飛び込んでくる巨大プードルたちのスピードは徐々に落ちていき、安らかな眠りが待っていた。今回のパフォーマンス最大の見せ場、完成である。
「サイッコーじゃない?」
ユーリもニッコリご満悦である。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
神楽坂・神楽
ユーリさん、はじめまして!
配信、いつも見させてもらってます!
いつかアクロバット・パフォーマーとしてデビューしたいので、今日は勉強させてもらいます!
――なんて感じでいいのかな?
さて、あの犬達だけど、自分達が牙を剥いた相手の力量も把握できないレベルみたいだね。
オブリビオンじゃないようだし、ユーベルコードを使うほどでもないか。
軽身功で犬達の頭の上を跳び回ったり、鼻筋の上に指一本で逆立ちしたりしてからかおう。
それなりに遊んであげたら、ワイヤーで口も身体も縛り上げて、帰る時まで静かにしていてもらおうか。
それにしてもこんなところで配信するだなんて、自分の身を守れるぐらいの実力はあると見ていいのかな?
「よっし、それじゃあ、行こうか!」
神楽坂・神楽(ストリートファイター・f21330)は、その一言とともに大地を離れた。その軽い身のこなしは、大プードルたちを翻弄していく。顔の周りを飛び回る蚊のように、綺麗に空を舞う蝶のように。
「ユーリ、さんっ! 見て、ますっ、かっ!」
こういう時にも、しっかりカメラパフォーマンスは欠かさないのは、余裕の表れであろう。リボンと髪をたなびかせ、その動きには一切の無駄もない。声も途切れ途切れにはなっているが息が切れていることもなく、聞き取りやすくなっているのは日頃の訓練の賜物だ。
「っと、そろそろ締めよっか!」
神楽の体を大プードルの牙が貫こうとしたその瞬間。とん、とその鼻筋に人差し指が触れたかと思うと、次の瞬間にはふわっとその体はその人差し指に全体重がかかる。綺麗な一本指逆立ちを決めたかと思うと、その体は大プードルの体から離れる。その手には、一本の細いワイヤーが伸びる。次の瞬間にはプードルはその口から右足、左足、とワイヤーがその体に巻かれていく。時間にして10秒ほどであろうか、完全に動きを封じられた巨大プードルの躯体が、その大地に転がるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『名前すら忘れられた魔法少女』
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POW : DXスーパーレンジャーガン
対象のユーベルコードに対し【戦隊ヒーローの光線銃から怪光線】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : マジカルマスコット
召喚したレベル×1体の【他の魔法少女のお供の各種小動物】に【翼】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ : 借り物ではない、最後の力
【自身の魔法少女最終フォーム】に変身し、武器「【自身の魔法少女のステッキと魔法】」の威力増強と、【変身によって背中から生えた翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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ソリン・クザ(サポート)
ダンピールの探索者×戦場傭兵、表の顔はルーマニアの警察官な25歳の男です。
普段の口調は「礼儀正しい(私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、覚醒時は「尊大(我、貴様、~である、だ、~であろう、~であるか?)」です。
UCはあまり使わず、基本的に自力での解決を優先します。
基本的には、警察官としての職業倫理のもと動きます
直接戦闘よりも謎を解いたり、だれかを守ったり、対象を確保したりという方向で動きます
樂文・スイ(サポート)
一人称:俺
二人称:君、お前
女性、子供にはくん、ちゃん付け、男性には呼び捨て
口調は~だね、~だよ系で飄々としている
人助けは完全にヒトへの好意から。
ヒトの死を見るのも好きだが、あくまで自分の手で殺してこそと思っているので敵の殺戮を許すようなことはない。立場上殺人衝動は敵を倒すことで紛らわせている(我慢してる)
表向きは人好きのする明るいお兄さんで楽しいこと大好き!なノリ
残酷な面は敵対した相手にしか見せないようにしている
攻撃としては傷口をえぐる、誘惑、威圧など
防御としては毒耐性、医術など使用
物騒なキャラだがシナリオ内で一般人や仲間に危害を加えるなど迷惑行為はしない
UCは活性化されたものどれでも使用可
アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」
楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷
神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する
バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ
戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる
土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎
「あらあら……。大変な事態です。微力ながらお手伝い致します」
一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。
先ずは私や仲間へ【オーラ防御/結界術】展開、守りを。
【早業/軽業/地形の利用】で移動。
敵の攻撃は防御結界で弾き、物理攻撃は薙刀で【武器受け】し薙刀or式神の黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。
UCは戦況と効果次第で適切なものを使用。
可能な限り【早業】で敵のUC発動前に発動。
後はお任せ。
「はーっはっはっは! はーっはっはっはっはっはっ! ……ゴホッ、ゴホッ」
どこからともなく聞こえてくる高笑いに、猟兵たちは周囲を見渡す。その声は、一際高い1本の木の上から。さっき咳き込んだからか少し涙目になってる。
「あらあら……あれは……?」
土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)が、その木の上に視線を向ける。その視線に危機感があまりないのはやはり最後の咳き込んだのが原因だろうか。
「そこの君! 危ないから、早く降りなさい! 降りれなくなったのかな?」
ソリン・クザ(デイウォーカー・f15556)は、降りれなくなったと思ったのか、その声の主に優しく声をかける。まぁ、一見するとそういう感じだもの、仕方ないね。
「そんなんじゃなーい! バカにするなぁー!」
木の上から、声が響いてくる。そうはいうものの、降りようとはしているがなかなか降りようとはしないのは、もしかしたらそういうことかもしれない。
「ほら、危ないから! 受け止めてあげるから、ね? 降りよ? ね?」
アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)も、何よりも心配の声をあげる。
「本当に危ないからね。ゆっくり降りてくるといいよ?」
樂文・スイ(欺瞞と忘却・f39286)がそう声をかける。周りが一丸になっていた。そう、一人の少女が木から降りられなくなったのを、心配そうに眺めるということに。側から見ると木に登って降りられなくなった女の子がいる状況だもの。
「だ! か! ら! そういうのじゃ! ないって! 言ってる! で! しょ!」
しかし、その件の少女(?)は納得しないのか、なんか怒っている。周りも、なんで怒っているのかわからず少し困惑気味である。
「私がけしかけたあいつらを倒すなんてなかなかやるじゃない! でも! 次は私が直々にぶっ倒してあげるわ! はぁっ!」
木の上でお怒りモードになっている少女はその力を自身の中に集中させる。その背中には純白の翼が生え、ふわりとその場に浮かび上がる。間違って木に登っちゃって降りられなくなった少女じゃなかったんだ。翼で上まで飛んだのなら納得だね。
周りの猟兵たちも、その言葉にその気持ちを集中させていた。少なくとも、ただの可哀想な少女ではないようだということもその翼を見てわかったようだ。目の前の敵をどうにかしないといけないらしい。
「皆さん大丈夫だと思いますが、念の為装備用意します! 使い慣れた装備が一番ですからね」
上空からの攻撃を想定し、ソリンは装備を一式用意する。よくあるジュラルミンのあの盾をはじめに、装備をなんでもござれで用意してある。飛び道具が来ても安心である。あと、気分も上がるしね。
「ほらほらほらほら、行くよ行くよ行くよー!」
その装備を用意したと同時に、上空の少女はその杖から、幾重にも魔法弾を放出していく。避ける道筋を見つけるのが困難になるほどの高密度の弾幕が、地上の猟兵たちに降り注ぐ……。
「……ふーん? でも、幸運の女神サマは、俺にぞっこんらしいんで」
はずだった。樂文がその指をパチンと鳴らす。その音と同時に、強く風がふく。その急な強風に翼を生やした少女はバランスを崩す。その一瞬の隙を一行は見逃さない。トールフォレストはその足で大地を蹴り、一筋の弾幕の切れ目にその身を投じる。
「これでもう、逃げられないよ?」
バランスを立て直した少女が姿勢を立て直したその目に、トールフォレストの爪が映る。
「ちょ、ちょっとそれ反則っ!」
少女は咄嗟のところでその身を逸らすが、その腕に鋭い爪の切り傷が刻まれる。その傷跡には、獲物の刻印が刻まれていた。
「……くっ!」
しかし、少女の持つその杖から放出される魔法弾は、トールフォレストにわずかながら傷をつける。その顔が、少々ではあるが苦痛に歪む。
「……これは、易々と許すわけには参りませんね。私が怒ったらどうなるか、じっくり体感なさい」
泰花は、激怒……というほどではないが、怒りを感じている。その義憤の念は、黒揚羽の式神を呼び出す。その数、135。その式神が少女の目の前を覆うように飛び回る。少女の放つ弾幕はもはや意味をなさないと言ってもいいだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ステラ・カガミ
今度は魔法少女が相手ね。
あたしは変身はできないけど、パフォーマンスなら負けないわよ。
イッツショータイムで観客を呼んであたりをステージにしてこちらのペースに引っ張り込むわ。
今度は前回と打って変わって情熱的で派手な振り付けの踊りと歌で勝負するわ。
衣装も露出度が特に高く派手なデザインの物に着替えて、きらきら光るアクセサリーを付けて見た目からガラッと変えてインパクトをさらに上げるようにするわ。
(前回の落ち着いた演目とのコントラストでさらに強く印象づけられるからね)
「次はこの子が相手なわけね? 腕がなるわ!」
カガミは、そう言いながら肩を回す。さっきのパフォーマンスを静とするならば、今回のパフォーマンスは動。その衣装も先程のものとは違い、その肌の色がより露出するようなものになっており、カメラの向こうの観客たちは歓声を上げているようだ。
「カ・ガ・ミ! カ・ガ・ミ!」
そう、この現場にも歓声が聞こえてくるような……というよりは、現場にも歓声が聞こえてきていた。
「みんなありがとー! とびきりのショータイム、楽しんでいってね!」
選ばれし7人の召喚された観客たちの歓声に笑顔で答える。露出の高い衣装にキラキラと輝くアクセサリー、その情熱的なダンスが周囲のボルテージをぐんぐん上昇させていく。光り輝くアクセサリーと、空を舞う銀髪のツインテールのコントラストには、感嘆の声が上がる。その歌声は衝撃波のように観客、そして空を飛ぶ魔法少女を圧倒する。
「ぐぬぬ……!」
魔法少女、ぐぬぬ顔である。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『バーチャルライブ』
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POW : バーチャルでも歌声は本物。
SPD : バーチャルだからこそできるパフォーマンス。
WIZ : バーチャルならではのビジュアル。
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「ぐぬぬ……! お、覚えてなさいよ! 逃げるんじゃないんだからね! せ、せんりゃくてきてったいなんだからね!」
……いったい、なんだったんだろうか、と思ってはいけない。ユーリ・イルハートのライバル的なそういうものだったのだろうか。この魔法少女については、また別のお話……になるかもしれない。
何はともあれ、危機は去ったのだ。
「ふーん、君たちクールじゃん? やろうよ、コラボ。面白いことできそうだもんね」
イルハートは、君たちにそう問いかけた。コラボの宴が今はじまる。
ティエル・ティエリエル(サポート)
◆キャラ特徴
ボクっ娘で天真爛漫、お転婆なフェアリーのお姫様です。
王家に伝わる細身のレイピアを使った空中からのヒット&アウェイで戦うのが得意な女の子です。
・冒険大好きお姫様
・珍しいものにも興味津々
・ノブレス・オブリージュの精神で弱者を放っておけないよ
・ドヤ顔がよく似合う
・困ったら動物さんに協力を!
◆戦闘方法
・背中の翅で羽ばたいて「空中戦」や「空中浮遊」で空から攻撃するよ
・レイピアに風を纏わせて「属性攻撃」でチクチクするよ
・対空攻撃が激しそうなら【ライオンライド】
・レイピアでの攻撃が効かない敵には【お姫様ビーム】でどかーんと攻撃
パルピ・ペルポル(サポート)
名乗るときにはフルネーム。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用する。
好奇心の赴くままマイペースに楽しむことが多い。
美味しいものともふもふしたものは必ず堪能する。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしないし交流は適度に楽しむ。
お宝大好き。宝石などは持ち帰れそうなら確保する。
素材になりそうな羽や毛、薬になりそうな植物など使えそうなものも可能な限り採集する。
アドリブはご自由に。
ステラ・カガミ
せっかくのコラボだし、お互いの良いところを引き出すようにしたいから、できるだけユーリさんと対になるようにダンスの振り付けや衣装のデザインが対になるようにするわね。
彼女の配信とあたしの踊り、相乗効果でより楽しくなるようにあたしも精一杯頑張って踊るわ。
あたしもプロだし、あのバックダンサー、配信の邪魔、下手くそなんて言われたくないしね。
引き続き、イッツショータイムで観客を出して盛り上げてもらうわね。
目に見える観客がいた方が熱も入るしね。
「Are You Ready?」
ユーリが、カメラの向こうにそう問いかける。そのカメラの向こうには、何千、何万というギャラリーがその様子をまだかまだかと待ち構えているだろう。コメント欄も高速でスクロールして、0が4つほど書かれている課金もチャリンチャリンしている。
「へー、こんなのも用意してあるのね。みんな見てるー?」
ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は、周囲を飛ぶドローンカメラに興味津々だ。自動制御で飛び回るドローンの周りを飛び回りながら、レイピアでドローンをツンツンしてみる。自動制御はそれぐらいでは崩れることもなく、すぐに元の軌道に戻っていく。さすがだドローン。
「あら、ティエル、もう始まるみたいだし、いくわよ?」
会場の準備が終わったため、パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)がティエルを呼びにドローンの近くに向かう。
「ん……ん?」
パルピは、ふとそのドローンのカメラに視線を向ける。バルピの普段通りの態度である。これが普段のこと。しかし、その視線は確実にそのカメラ越しにその現場を見ているギャラリーたちの心をガッチリと掴み取る。
「そろそろいくわよ?」
「はーい」
そのことに気づいているのかいないのか、二人はドローンから離れていく。
それと同時に、ドローンのカメラは背中合わせに立つ二人を映し出す。
「最高のステージにしましょう?」
「もちろん、さぁ、行きましょう!」
ユーリの言葉と、カガミの言葉。背中を預けた二人は、その顔を見ることなくその言葉が混ざり合う。BGMが流れると同時に、二人はその大地を蹴る。
言葉では言い表すことができない、とはまさにこのことを言うのだろうか。ユーリの動きにリンクさせ、時にはユーリの動きを引き立たせ、あるときは自分が前に出てアピールをするカガミ。。
「わー!」
二人の周りには、ティエルやパルピ、そしてカガミが呼んだ観客たちが歓声を上げる。その歓声が二人のテンションをより高め、その動きをよりダイナミックに、繊細にしていく。そして、その様子を見て歓声が上がり、と永久機関の完成である。
二人の動きが完全にシンクロし、観客、ギャラリー、全てを巻き込んで一体のステージを作り上げる。
「サイッコーにクールじゃない、カガミ!」
「ユーリさんも最高です! みんなー! もっと行きますよー!」
曲もクライマックス、二人の言葉でボルテージが上がるステージ。二人はその全てをお互いにぶつけある。それは、見る人が見たら決闘のように見えるかもしれない。しかし、そこに敵対関係はない。相手に敬意を示し、そのお返しとして自分の全てをぶつけあう。それが、ステージ上で混ざり合い、最高のパフォーマンスを作り上げていた。
「「みんなー! ありがとー!」」
その言葉と共に、どん、と花火が上がる。そして、肩で息をする二人。その中、ユーリはカガミにその手を差し出した。そこに、言葉はいらない。その全てを出し合い、最高のコラボパフォーマンスができた相手への誠意。カガミが、力強くその手を握り返すのであった。
成功
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