アルカディア争奪戦㉗〜ブルーアルカディア・グルメ選手権
●予知:辿り着いた果てで見たものは……。
どこまでも続く冒険の空の世界、ブルーアルカディア。
猟兵たちは、六つの強大な屍人帝国を打ち破り、溢れ出した『
拒絶の雲海』を突破して、聖域の果て『アルカディアの玉座』に到達した。
大量の天使核に守られた『黄金の玉座』の前には、一振りの剣を携えた等身大の幽鬼が如き存在が待ち受けていた。
そのものこそ、虚神『アルカディア』。
あらゆる世界に『植物』をもたらしたと豪語するその存在は、肉もなく、血もなく、まるで骸骨のように虚ろでありながら……それでいてなお、進化の途上にあるという驚異の存在だった。
「よくぞ、ここまで辿り着いた。強者たち。
吾は、アルカディア。虚神アルカディア。
吾は、強者の生命を喰らわなければ進化できない。
進化しなければ、いつまでも揺蕩う虚無のままの存在だ」
アルカディアが、グリモアの予知を感じ取り、虚ろな眼窩を向ける。
瞳の存在しない視線が猟兵たちに突き刺さり、その異様な雰囲気によって圧迫感をもたらしていく。
「生命は、絶滅の危機に瀕するほど輝きを増す。
そして生命たちは、苦境を打破するために幾多の強者たちを産んできた。
全世界にばらまいた吾がしもべ、『植物』たち。
彼らが世界を毒で満たす度に生まれる強者と、吾は戦ってきた。
すべては……吾が進化のために」
あまりにも利己的な、その思想。
アルカディアは、自分が糧とするために多くの命を脅かし、それに抗うために成長した命を摘み取ってきたというのだ。
植物の恩恵も、その毒牙も、すべてはアルカディアの目的のために作られたというのだ。
己が進化の為に多くの人々を苦しめる、諸悪の根源といえるだろう。
「吾は肉体が欲しい。生命になりたいのだ。
強者達よ、玉座に集まれ。その生命を吾にくれ。
埒外の生命体、猟兵よ。お前たちを、吾の糧とさせてくれ」
アルカディアが、背中の石剣を抜き放ち、構える。
空中に巻き上げられた遺跡の瓦礫を組み替えて足場を作り、調理場を作る。
多数の魔獣が召喚され、素材として加工されて陳列する。
―――玉座の周囲はたちまち、大規模な料理対決会場に変貌した。
「お前たちの、
強者の生命を
奪わせてもらおう」
今、ブルーアルカディアのグルメバトルが開幕する。
●招集:レッツ、アルカディア・クッキング!
「ハロー、エブリワン! ついにアルカディアの玉座にて、決戦の時であります!」
「うむ。とてつもなく、楽しみである」
グリモア猟兵のバルタン・ノーヴェは、メイド服でグリモア映像を流している。
投影されるのは予知の内容……だけでなかった。
これから対峙する敵である、『虚神』アルカディアと実況が繋がっていた。
なんで?
「ここで繰り広げられるのは、主に技能戦!
アルカディアも猟兵も、ここでは全てのユーベルコードが封じられマース!
しかし、料理技能やグルメ知識といった食に関わる行動をすれば、その成功度や見事さに応じて、アルカディアに『リアクション芸』とダメージを与えることができマース!」
「舌が無いというツッコミに対してはこう返すとしよう。
魂で味わう」
猟兵たちの視線が、スクリーンに映されているアルカディアに突き刺さっている。
言外の訴えに取り合うことなく、バルタンとアルカディアは説明を続ける。
「このアルカディア、ブルーアルカディア外部にも手を伸ばしているようデスガ、他の世界の料理は未体験とのこと。
皆様の多種多様な料理ならば、アルカディアの魂を震わせることができるはずデース!
ちなみに、参考までに料理の一例を載せておきマース。
インパクト重視の料理ならば、これらを超えるような勢いでなければ、太刀打ちすることは至難の業デショー!」
「完成まではあと二つだな。お前は猟兵?」
虚神アルカディアのフルコースメニュー。
・
オードブル:ピルグリムのアサード。
・スープ:天帝騎士団領の灰雪塩を用いたコンソメスープ。
・魚料理:空欄(未定)
・肉料理:レプリゼンタ・カンギの象鼻肉の味噌煮込み。
・
メイン:空欄(未定)
・サラダ:エンケロニエルの高濃度酸素野菜ボウル。
・デザート:マグナ聖帝国の一流パティシエが遺した黄金キャラメル(絶版。在庫限り)。
・ドリンク:大空を覆うもの凝縮した
拒絶の雲海ジュース。
「アーッ、物を投擲するのはおやめくだサーイ!」
一部メニューにバルタンの料理が含まれている点を指摘されているようだ。
度し難い料理もちらほら散見されている。
ちなみにアサードとは弱火の熾火で燻すように焼いた肉のことです。
「とにかく! グルメバトル! であります!
手料理、レトルト、お弁当! 食事におやつにドリンク! ジャンルは問いマセーン!
ブルーアルカディアの名産を使っても、他の世界から持ち込んだ素材を利用しても、なんでもOKであります!」
「吾は、長い、長い、時をかけて戦ってきた。
戦い続けた。それでもまだ、吾には舌と唇がない。
それでも、味を味わいたいのだ……。
生命ある者の創意工夫の苦しみを、より美味い物を食したいという欲望を。
……吾も、味わいたい」
何やら深そうな口調で語っているが、ただの我欲の塊である。
「強者よ、猟兵よ。
埒外の生命体であるお前たちの技量ならば、吾を感じさせる料理ができるだろう。
それを、食べたい。食べたいのだ。食べさせてほしいのだ。食べさせてください」
いっそ、清々しいほどの自分本位であった。
「という訳であります!
まー、そんなこと知ったことではないと殴りかかっても構わないのでありますが……」
「別に、戦ってもよいのだが……。
今の吾は、完全に食べる気分になっているのでな。
拗ねるぞ」
この
虚神の我儘に付き合うことになるが、命を懸けた戦いではなく死力を尽くした料理で決着をつけることができるのであれば、それはそれで平和的な解決となるだろう。
なお、グリモアを起動して猟兵たちを転移させれば、バルタンはゲートの維持のために力を注ぐため実況は途切れてしまう。
料理大会の行く末がどうなるかは、報告書を待たなければならない。
「そういうことで、質問は……大丈夫デスカナ?
オーライ! それでは現地へのゲートを開きマース!
レッツ、クッキング! エブリワン!」
「期待して待っているぞ、強者たちよ」
ナイフとフォークを手にしたアルカディアの姿を最後にプロジェクターが停止し、バルタンはゲートを開く。
その先に待ち受ける、餓えた神を満たすために……猟兵たちは足を踏み出していく。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
今回のシナリオは一章構成です。ブルーアルカディアの戦争シナリオとなります。
『虚神アルカディアを撃破すること』が目的です。
主旨としては、虚神アルカディアが待ち受ける戦場へ向かい、料理を振舞ってください。
美味しければなんやかんやでダメージを与える事ができます。
プレイングボーナスは、『「大技能戦場」の形状を指定した後、技能勝負する』ですが、料理以外の方法で対抗することも可能です。
もちろん、下記URLの「㉗アルカディアの玉座」からほかの「戦闘手段」をひとつ選び戦いを挑むこともできます。ただし、その場合アルカディアは拗ねます。
プレイングに明記したうえでそれに記載されたプレイングボーナスを参照してください。
『https://tw6.jp/html/world/event/032war/032_setumei_5d4f7rt8.htm』
今回はオープニング公開後の断章はなく、すぐにプレイング受付開始となります。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『虚神アルカディア』
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POW : アルカディア・エフェクト
レベルm半径内を【拒絶の雲海】で覆い、範囲内のあらゆる物質を【爆発気流】で加速、もしくは【猛毒気流】で減速できる。
SPD : アルカディア・インフェルノ
【石の剣】から、戦場全体に「敵味方を識別する【無限増殖植物群】」を放ち、ダメージと【呼吸不能】の状態異常を与える。
WIZ : アルカディア・ヴォイド
【万物を消滅させる虚無】を宿した【見えざる完全球体】を射出する。[見えざる完全球体]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
👑11
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柊・はとり
こいつだけ妙に気の毒だな…
アポヘルのディストピア飯で良ければ食ってけよ
俺のメニューはこれだ
前菜:猟兵なんている訳なかろうジャーマンポテト
スープ:ポーシュボス風邪悪ナる薬膳スープ
魚料理:フルスロットル・カイテン・スシ
肉料理:デスファイア直伝・ヒャッハーの気まぐれステーキ
主菜:プレジデントに貰った冷凍ピザ
サラダ:アカプルコ原産サボテンのサラダ
デザート:ブラッドルビーランド名物・肉塊女帝パフェ(総重量10kg)
ドリンク:偽神細胞液
美味いだろ
素材は貧相かもしれないが
現地の一般人が懸命に育てた品だ
(一部除く
人の温かみが破邪属性となり
命の尊さを感じてもらえる事を祈る
ラスト二品が鬼門な気もするが…
大丈夫か?
●一皿目。アポヘル・フルコース。
グリモアベースから駆け付け、予知の内容と同じ前口上を聞かされた猟兵たち。
『黄金の玉座』の前で、ナイフとフォークを手にして待ち構える虚神アルカディア。
その存在に最初に立ち向かうのは、『白雪坂のホームズ』。
高校生探偵、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)である。
「こいつだけ妙に気の毒だな……。
アポヘルのディストピア飯で良ければ食ってけよ」
「アポヘル。アポカリプスヘルか。たしか、過酷な世界であると聞いている。
どのようなものが培われてきたことか……楽しみだ」
テーブル席に着くアルカディア。
はとりは用意された調理スペースに持ち込んだ食材を並べ、料理を開始する。
ユーベルコードは封じされているが、技量と記憶に異常はない。
「…………」
はとりは第六感に頼って食材の状態を見極め、包丁を入れていく。
料理の技術は身に着けていなくとも、切ること、混ぜること、器に盛りつけ整えることは、できるのだ。
そうして、記憶してきた、学習してきたメニューを再現する。
アポカリプスヘルで出会った、数多くのオブリビオンたち。
ヴォーテックス一族やフィールド・オブ・ナインの面々のことを思い浮かべ、はとりは手際よく調理を行う。
そして、ほどなくして完成するはとりの料理。
照覧ください、アポヘル・フルコース!
「よし。俺のメニューはこれだ」
「おお、待ち望んでいたぞ。いただきます」
手を合わせて、アルカディアがはとりのフルコースに手を伸ばしていく。
前菜。猟兵なんている訳なかろうジャーマンポテト。
ロンメル・ヴォーテックスの慢心さを象徴するかのような、大振りのジャガイモとベーコンが小皿の上に転がっている、熱々のお通しだ。
まずは常人でも食べられる品を出すという優しい心遣いが感じられる。
スープ。ポーシュボス風・邪悪ナる薬膳スープ。
突然ハードルを上げて来た。名状しがたい色彩の汁物が現れた。
味覚ではなく視覚で味合わせてくるという斬新なアイデアがアルカディアに好感を持たせているようだ。それはそれとして飲み干している。
薬膳なのできっと健康に良いのだろう。邪悪だが。
魚料理。フルスロットル・カイテン・スシ。
チェーンソーの上で回転するマグロ・スシ(小型)が並んでいる。
このためにアポカリプスヘルで久しぶりに狩り取ってきた活きのいいオブリビオン……という訳ではなく、ちゃんとしたマグロで調理されたものだ。
急速冷凍をすることで鮮度を落とさず美味しい寿司を提供することができる、はとりならではの一品と言えよう。
肉料理。デスファイア直伝・ヒャッハーの気まぐれステーキ。
ウェルダンにじっくりと直火で焼き上げたステーキだ。
余計な説明は不要。この厚みと肉汁は、まさに男の味そのものだ。
アルカディアも大きく切り取り、その健康的な歯でしっかりと噛み締めている。
主菜。プレジデントに貰った冷凍ピザ。
冷凍食品と侮るなかれ。かの大統領が直々に提供したピザである。
カロリーなんて気にするなよと言わんばかりのトッピング。
ニューヨークスタイル、カリフォルニアスタイル、シカゴスタイル。
アメリカピザ三銃士が勢ぞろいだ。
これにはアルカディアもにっこりと咀嚼していく。
サラダ:アカプルコ原産サボテンのサラダ。
戦争前に制圧されたクライストシティで取れた活きのいいサボテンを使用しており、酸味がアクセントとして効いている。
とろみの少ないこのサボテンは美容によろしい一品だ。
アルカディアには肌はないが、きらめいているような気がする。
デザート。ブラッドルビーランド名物・肉塊女帝パフェ。
総重量10kg! でかぁい! まさにビッグ・マザー!
かのブラッドルビーが常食したというカロリーの爆弾!
暴力的なクリームも、零れ落ちんばかりのフルーツも!
チョコやスコーンという固形物が誤差に感じられるほどの圧倒的物量だ!
サラダで得られた健康なんて一発で消し飛んでしまうぜ!
ルンルン気分で平らげるアルカディアも大概だ!
ドリンク。偽神細胞液。
ソルトレークシティで手に入れたこのドリンク。
摂取すれば一時的に「偽神化」することのできる逸品である。
ただし激しい拒絶反応をもたらし、絶命の危機さえあります。
一般人と猟兵の皆様におかれましては十分注意してご試飲ください。
「美味いだろ」
「……。ふぅ……ああ、堪能した」
ジョロロロとドリンクを飲み干すアルカディア。
偽神化する虚神という意味不明な状態になったアルカディアが、空になったジョッキを置いて一息つく。
大量のカロリーと偽神細胞による副反応が内部でミックスされているようで、アルカディアの胴体が小刻みに振動している。
「素材は貧相かもしれないが、現地の一般人が懸命に育てた品だ」
スープと
ドリンクは除く。
「少しでも……人の思いを。命の尊さを感じてもらえる事を、祈る」
「……グレイト。ああ、吾は……こういう
生命を求めているのだ」
アルカディアの虚ろな眼窩から、虹色の光が溢れ出る。
体内で合わさった食材がオブリビオン・ストームのようなものを作り出し、アルカディアの体内を切り裂いているのだ!
何故虹色になっているのか。
おそらく、人の温かみが破邪属性となり暗黒の竜巻を浄化しているのだろう。
「……大丈夫か?」
流石に偽神細胞液は拙かったかと懸念するはとりだが、アルカディアの答えは美味かったという満足感だった。
「美事なり、猟兵! 強者よ、名を尋ねよう! お前の名は?」
「俺は、……柊・はとり。ただの……探偵だ」
はとりの名を聞き、視線を交えたアルカディアが、ついに爆発する。
だが、まだ死んではいない。まだこれから、多くの料理が並ぶというのだ。
このまま消える訳にはいかないと、虚ろな身体を再構築してアルカディアが立ち上がる。
「ご馳走様。とても、美味かった」
「そいつはどうも。お粗末様。……」
なんで生きているんだこいつ、という謎を抱きつつ。
はとりは次の猟兵のために調理場を空けて、戦場の隅に移動するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
料理対決、了解ですぅ。
食材は『FTS』に入れて輸送、他の世界の品を使い、二品目程[料理]しますねぇ。
一品目は、シンプルな『もりそば』。
アルカディアさんの権能たる『植物』を素材にした麺に、此の地では入手が難しいであろう『鰹出汁』を『かえし』と合わせたつゆでお召し上がり下さい。
そばはのど越しを楽しむ品でも有りますから、アルカディアさんでも味わい易いかとぉ。
もう一品は『天麩羅』を。
此方は定番から変わり種まで色々楽しめますし、先程のそばと一緒に食べても美味しいですぅ。
また、目の前で揚げて見せれば、味はせずとも『目や耳で楽しむ』ことも出来るでしょう。
気に入って頂けると良いですが。
●二皿目。もりそばと天麩羅。
「料理対決、了解ですぅ」
続きましてはとても生命に満ち溢れているバーチャルキャラクターの少女。
和風メイド服に身を包む、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の登場だ。
浮遊する6基の宝玉、特殊な光線で物品を亜空間倉庫に収納する輸送用の『祭器』。
『フローティング・トランスポート・システム』に他の世界の食材を入れて現れた。
礼儀正しくアルカディアに一礼し、るこるは挨拶を交わす。
「よろしくお願いしますぅ。今回は二品程料理しますねぇ」
「うむ、うむ。無理にフルコースにする必要はない。あれはサンプルゆえにな」
あれくらいはっちゃけたものでもアルカディアは美味しく食べるという宣言である。
舌がないので問題はないのだろう。魂で味わうからか。
いそいそと調理場で準備を整え、鍋を並べていくるこる。
片方は汁物、片方は油を使った料理のようだ。
それぞれを温めている間に、まな板の上で生地を刻んで行く。
それは、アルカディアの権能たる『
植物』を素材にした麺料理だ。
「一品目は、シンプルな『もりそば』ですぅ」
「ほほう。これが、そば」
仕上がったのは、余分なもののないシンプルなもりそばだ。
ネギやノリはお好みで、鰹出汁と
かえしを合わせためんつゆを添えてある。
ジャパニーズ文化であるそばを見るのは、アルカディアも初めてだろう。
「そばはのど越しを楽しむ品でも有りますから、アルカディアさんでも味わい易いかとぉ」
「お心遣い痛み入る。いただきます」
食器を割り箸に持ち替え、アルカディアがそばの器に手を伸ばす。
唇がないため、啜ることのできないアルカディアがゆっくりとそばを食していく。
まろやかなつゆを絡ませたそばが、アルカディアの口の中へと入っていく。
そこにある味わいに、アルカディアは気づく。
「これは……! 噛めば風味が口内に広がる。
そして呑めば、つるりとしたのど越しが旨味を主張する。
重すぎず、されど薄くはない……いくらでも食べることができそうな味わいだ」
そばを食むアルカディアが震えている間に、るこるはもう一品を揚げていく。
それは、エビやイカ、さつまいもやかぼちゃ、
鶏肉……。
そう。
「二品目、『天麩羅』ですぅ。
定番から変わり種まで色々楽しめますよぉ」
「おおお……てんぷら」
アルカディアの目の前で揚げられたアツアツの天ぷらは、香りだけでなく視覚と聴覚も刺激する。
箸を伸ばし、油が弾ける衣に齧りつくアルカディア。唇がないから火傷の心配もない。
蒸気を立たせた天ぷらを口に放り込んでいく。
「美味し、美味し」
「先程のそばと一緒に食べても美味しいですよぉ」
「ふむふむ」
合わさり、天ぷらそばと化した料理を堪能するアルカディア。
虚ろな相貌から温かな湯気を立ち昇らせ、白湯を一杯。
ほぅと息を吐き、天を仰ぐ。
「ごちそうさまでした」
「どういたしまして。気に入って頂けると良いですが」
「ああ……とても、美味しい……魂に響く、これが、『和』の一端か……」
ほっこりとしたアルカディアがそのまま悟りを開いて浄化しそうになっているが、ガッツで耐える。
まだ終わらない。アルカディアの飯は、まだ終わりではないのだ。
るこるが片づける様子を見つめながら、アルカディアが呟く。
「次の機会があるならば、舌でも味わいたいものだ」
「その時には、ゆっくりとお召し上がりください。火傷してしまいますからぁ」
ニコニコと微笑みつつ、るこるは無事にアルカディアに一撃を食らわすことに成功した。
大成功
🔵🔵🔵
フレスベルク・メリアグレース
えーと…まぁ、良いでしょう
オウガ・オリジンも似たような手段で倒されましたからね
・オードブル:アルダワ東方風の鮭の炙り
・スープ:幽世大吟醸を使ったチキンヌードルスープ
・魚料理:グリードオーシャンの魚介類を使ったアクアパッツァ
・肉料理:封神武侠界超級料理人特製北京ダック
・メイン:メリアグレースの最高級パスタ
・サラダ:サムライエンパイアの野沢菜
・デザート:帝都屈指の抹茶パフェ
・ドリンク:センターオブジアースのアムリタ(非不死者化処置済み)
といった所ですかね
グリモア猟兵はあちこち縁があるので素材は取り寄せました
無論、デザートと肉料理、メインはレシピを教えてもらっただけで全部わたくしが料理しましたよ?
●三皿目。グリモア式多世界料理フルコース。
続いて調理場に立つのは、クロムキャバリアの宗教国家『メリアグレース聖教皇国』の第十六代教皇にして『
神子代理』。
優れた知性と美しい容姿、柔軟な優しい心の持ち主であるアンサーヒューマンの少女。
フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)である。
「えーと……まぁ、良いでしょう
オウガ・オリジンも似たような手段で倒されましたからね」
フレスベルクが猟兵となる前に行われた、アリスラビリンスでの迷宮災厄戦。
そこに出現したオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』との交戦記録を思い返し、フレスベルクは乾いた笑みを浮かべる。
眼前に座り、ナイフとフォークを握るアルカディアの様子が、記録の中のオウガ・オリジンと重なって見えているのだろう。
「それでは。
グリモア猟兵としてあちこちの世界から取り寄せた素材で挑ませてもらいます」
「グローバルメニューとは素晴らしい。楽しみだ」
国家の代表ではあるが、フレスベルクも一人の乙女。
料理は一流コックとはいかずとも、不得意ではない。
手際よく、揃えた素材を調理していく。
瞬間思考力で、待ち時間の長い調理や下ごしらえが必要な料理を脳内フローチャートで分類し、無駄のない動きを見せていく。
時折、かき混ぜるような単純作業を念動力で並行している。
凄まじい集中力だが……命のやりとりではないゆえに、落ち着いて進めて行く。
「わたくしもフルコースを用意しました。順番にいきますよ」
「来い、猟兵。吾の備えは万全である。いただきます」
オードブル。アルダワ東方風の鮭の炙り。
アルダワ魔法学園の南に位置する東方諸島の独自文化を活かした、サーモン料理。
フライパンで火を入れた鮭のカリっとした食感が癖になる一品だ。
簡単ゆえに調理者の腕前で味が左右されるフレスベルクの一品目は、アルカディアを喜ばせている。
スープ。幽世大吟醸を使ったチキンヌードルスープ。
ヨーロッパ系アメリカ人のおふくろの味、チキンスープ。
そこに幽世大吟醸を隠し味に仕込んだ大人のスープに発展させた。
エッグヌードルはのど越しもよく、アルカディアの内部を程よく温める。
魚料理。グリードオーシャンの魚介類を使ったアクアパッツァ。
これにはアルカディアも膝を打つ。海と言えばグリードオーシャンであろう。
既知未知問わず、様々な魚介類が合わさった、出汁も歯ごたえも抜群の料理である。
鱗の一つも見落とさない丁寧な下処理が、この品の良さを完璧に整えていた。
肉料理。封神武侠界超級料理人特製北京ダック。
現地の本格超級料理人から教えてもらったレシピを基に忠実に再現したフレスベルク手製の北京ダックである。
丸々としたアヒル一匹を用いる視覚のインパクトは然るものだ。
焼かれて照るパリパリの皮に香ばしい匂いが鼻孔をくすぐり、アルカディアの全感覚を刺激する。
「美味である。実に美味である」
「さあ……次はわたくしの故郷の料理です」
「ほう、郷土料理をメインに据えるか……その意気、好ましい」
メイン。メリアグレースの最高級パスタ。
メリアグレースの穀倉地帯から厳選された小麦によって製粉された小麦粉を使ったスパゲッティ。
絡められたクリームソースも振りかけられたチーズも、もちろんメリアグレース産。
これがフレスベルクの自慢の逸品だ。
アルカディアがフォークで食べる度に、かの国の大地の旨味が脳髄を響かせる。
サラダ。サムライエンパイアの野沢菜。
ここいらで(無いけど)舌をさっぱりとさせるべく、浅漬けにした野沢菜の葉と茎が登場する。
シャキシャキとした食感と和ら無い味わいが、魚料理、肉料理、メインの連続攻撃を受けていたアルカディアに一息吐かせる。
デザート。帝都屈指の抹茶パフェ。
サクラミラージュの帝都で人気の抹茶パフェだ。
フレスベルクが訪れた折、気に入ったそのレシピを教授してもらったものだ。
派手なパフォーマンスも特殊な食材もない。
だが、大正700年の歴史が育む抹茶の深みは、確かにアルカディアの魂に刺激を加えている。
そして最後のドリンク、センターオブジアースのアムリタ。えっ。
「これは、アムリタ?」
「ご存じでしたか。ご安心ください、不死になる成分は除いております」
アムリタ。アスラが醸造したと言われる、飲むものに不死を与える神秘的飲料。
ある意味、生命をもたらす本物をアルカディアが摂取したらどんなことになるかわかったものではないが、フレスベルクが自作したものなので不死になることはないだろう。
困惑しつつ、アルカディアが口に含む。優しい乳製品の味わいがする。乳海攪拌か。
「ふぅ。……ご馳走様」
「お粗末でした。如何でしたか、わたくしの料理は」
「うむ……吾の中で多くの世界が活気に満ち溢れている。
とても素晴らしい
生命だ……! 美味しかったぞ!」
八つの世界の料理が、アルカディアに温かな光をもたらす。
カッと目(?)を見開いたアルカディアが勢いよく跳び上がる。
実に美味かったと、喜びを露わにしている。
そして天井に頭をぶつけて落下する。
「お、お、お……!」
「喜んでいただけたようで何よりです」
戦いを終えたフレスベルクが片づけを進める間、アルカディアは痛みに耐えて悶えていた。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
【大技能:料理】
【料理】技能は高いわけじゃないけど大丈夫かな
時間配分に決まりはある?
好きなように作っていいかな
【グルメ知識】も駆使して見た目にも味にも拘って
視覚に、舌に、【誘惑】
1番得意なのは薔薇のアップルパイだけど…
今回は挑戦してみるね
【高速詠唱】で紡ぐ炎と氷の魔法で加熱と冷却の時短しつつ
食紅を使ったピンクのチーズケーキをベースに
シュガーレースやカラフルなチョコの薔薇等で美しく飾り立てたケーキを作成
木苺やアラザンで華やかにして
紅茶はお好き?
用意した紅茶にも蝶型のシュガーレースを浮かべて
見た目の美しさに感動する気持ちに性別なんて関係無い
僕が、そうだったから
僕の大好きな花と蝶
味は……どう?
●四皿目。花と蝶のティータイム。
「僕、料理技能は高いわけじゃないけど大丈夫かな?」
「大丈夫だとも。
例え技量が冴え渡らずとも、お前たちの
心意気がこもっているのならば……吾を振るわせることができる」
女性と間違われるほどに愛らしい容貌のオラトリオ、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は不安げにアルカディアに尋ねたが、その返事は明瞭だ。
澪の不安を払しょくするように、澪の問いかけにアルカディアは答えていく。
それもすべては、アルカディアが
強者の生命を食べたいがためのことである。
「時間配分に決まりはある? 好きなように作っていいかな」
「無尽蔵ではないが、猶予は十分にある。流石に2,3日と言われると困るがな。
如何なる趣向でも構わなぬとも。焦らず、ゆっくり作ると良い」
「そっか。ありがとう。
……一番得意なのは薔薇のアップルパイだけど……今回は挑戦してみるね」
作る料理を決めた澪が、素材を用意して調理を始める。
澪自身のグルメ知識を駆使して、見た目にも味にも拘った料理を作り上げていく。
卵にミルク、クリームチーズに生クリーム。
揃えた食材を小さな手でかき混ぜて、形成していく。
「視覚も、味覚も、誘惑できるように」
高速詠唱で紡ぐ炎と氷の魔法が、加熱と冷却を組み合わせる。
仕上がっていくのは、小さなケーキ。
食紅を使ったピンクのチーズケーキをベースに、シュガーベールを敷物に。
カラフルなチョコの薔薇を盛りつけて、美しく飾り立てたケーキを作成する。
木苺やアラザンをトッピングして華やかに彩られた、紅茶のお供ができあがる。
澪は調理場だけでなく、アルカディアの座るテーブルにも手を加えていく。
テーブルクロスを敷き、ティーカップや食器を添えて、場の雰囲気を整える。
「アルカディアさんは、紅茶はお好き?」
「紅茶か。デザート……いや、ティータイム、というものか。楽しみである」
お湯をポットに入れて適切な温度で維持し、とっておきの茶葉を用意して数分蒸らす。
澪が手ずから紅茶を淹れ、湯気を立ち昇らせるカップをアルカディアの前にそっと置く。
紅茶に蝶型のシュガーベールを浮かべて、繊細な絵柄が目を楽しませる。
薔薇のチーズケーキと合わさり、美しいお茶会が用意された。
「おお……なんとも、愛らしい……吾には不釣り合いなほどに、可憐である」
「そんなことないよ。見た目の美しさに、感動する気持ちに性別なんて関係無い」
僕が、そうだったから、と。口内で呟く澪。
性別どころか顔の肉すら存在しないアルカディアは、澪の優しさに。
心に希望を灯すような輝きに、感極まったようだ。
「……いただこう」
紅茶も、ケーキも、静かに味わうアルカディア。
舌がなくとも、綺麗な見た目と優しい味わいはアルカディアの五感を刺激する。
「僕の大好きな花と蝶。味は……どう?」
「とても美味しいとも……」
「ほんと? ……よかった」
絆されるアルカディアが口を開けて浄化されそうになっているが、堪えた。
優しく包み込む澪のもてなしに昇天しそうになったが、まだ戦いは始まったばかりなのだ。
嬉しそうに微笑む澪としばし歓談して、紅茶とケーキを食べ終えたアルカディアは名残惜しそうに席を立つのだった。
大成功
🔵🔵🔵
マウイ・キビツ
む、アルカディアさんか、自分はタロウだ、よろしく頼む。
スーパーよいこランド産のきのこをふんだんに使ったシチューだ。
他の猟兵の料理と比べるとインパクトは少ないかもしれないが栄養と愛情はたっぷり込めたつもりだ。
健康な身体を手に入れるにはコレが良いと言って、お母さんがよく作ってくれたレシピだ。
味を感じられないのは悲しい事だし、本当は自分の身体を君に渡したりしてでも、救えたらよかったんだけどな。
※アレンジ・連携歓迎
●五皿目。ようこのきのこシチュー。
「む」
「む?」
次に調理場に立ったのは、ブルーアルカディア出身の新米猟兵。
先日スーパーよいこランドから旅立ったばかりの、スーパーよいこ。
親切なエンジェルの少女、マウイ・キビツ(よいこタロウ・f38573)だ。
マウイはアルカディアを見上げて視線を合わせ、しっかりと挨拶をする。
「アルカディアさんか。自分はタロウだ、よろしく頼む」
「ああ。よろしく頼む、タロウ」
ブルーアルカディアの災禍の元凶を前にしてもクールな態度は変わらないマウイ。
普段から人助けを続けてきたため『よいこタロウ』と呼ばれることが多く、タロウという呼び名を気に入っているという。
実によいこである。
そして、調理場に立ち、レシピを見ながら料理を開始する。
具材を揃え、鍋に入れ、じっくりコトコト煮込んでいく。
その動作は調理系技能を有する先輩猟兵たちとは異なり、ゆっくりとしていて覚束ない様子だ。
だが、真剣に、丁寧に。
マウイしっかりと料理をしている。
その様子を、アルカディアも、控えている猟兵たちも見守っている。
「……うん、できた」
「おお」
味見をして確認したマウイは、出来上がった料理をこぼさないように慎重に器に注ぎ、アルカディア前に置く。
簡素な器に注がれたのは、ルーでとろみをつけた濃厚な煮込み料理。
「スーパーよいこランド産のきのこをふんだんに使ったシチューだ」
「おお……そうか、スーパーよいこランドの
……。……いただきます」
きのこもまた『植物』……いや、菌類はどうだったろうか……?
まあ似たようなものということで。
アルカディアはスプーンを手に、自身がばらまいたしもべのシチューを味わう。
口に含み、咀嚼し、嚥下する。
激しいリアクションはなく、浄化されるような煌めきもない。
静かに、黙々と。アルカディアは手と口を動かしていく。
「……うむ。……うむ」
「他の猟兵の料理と比べるとインパクトは少ないかもしれないが、栄養と愛情はたっぷり込めたつもりだ。
健康な身体を手に入れるにはコレが良いと言って、お母さんがよく作ってくれたレシピだ」
「なるほど。母の愛情が……生命の真心が詰まっている、ということか……」
猟兵たちの作り出す命の輝く料理たちは、とても素晴らしいものだ。
だがそれは決して……平凡な―――誰にとっても大切な―――普通の食事が劣るということではない。
マウイの母との思い出の料理という想いが、アルカディアの存在しない五臓六腑に染み込んでいく。
シチューを残すことなく食べ終え、アルカディアがスプーンをテーブルに置く。
「ご馳走様。……とても良く、吾が内に染み渡る味わいだ……。
これが、生命なのだと。伝わってきた……素晴らしい料理をありがとう、タロウ」
「味を感じられないのは悲しい事だし。
本当は、自分の身体を君に渡したりしてでも、救えたらよかったんだけどな」
「よいこっ……!」
曇りなき純粋な少女の眼差しがアルカディアの心を貫いた。
何もないはずの胸を抑え、苦しむアルカディアを心配して背を摩るマウイ。
彼女は継続ダメージで、本来なら心臓があるだろうアルカディアの部位を破壊することに成功するのだった。
大成功
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荒谷・つかさ
●狩猟戦
悪いわね、アルカディア。生憎と私は「技能」としての料理技術は持っていないの。
だから、代わりと言っては何だけれど……もっとすごいもの、見せてあげるわ。
【荒谷流野戦焼肉術】発動
目の前の食材(※襲ってくる魔獣含む)を使って豪快に賑やかにバーベキューを始める
展開される料理は勿論、豪快な焼き物メイン
鉄板焼きに串焼き、網焼き、丸焼きやシュラスコ等々色々と取り揃える
味付けもシンプルに塩のみに始まり、多種多様なタレや果汁なども用意し飽きさせない
そして私がバーベキューを選択した一番の理由……それは味だけでなく「雰囲気を楽しむ」ことができるからよ
(舌と唇が無いことへの配慮)
さあ、存分に楽しんでらっしゃい!
●六皿目。焼肉担当BBQ。
そして。
次なる猟兵は調理場ではなく、戦闘用の舞台に上がっていた。
「悪いわね、アルカディア。生憎と私は『技能』としての料理技術は持っていないの」
一見すると華奢で小柄な大和撫子だが、その実態は怪力無双の狂戦士。
荒谷流の正統後継者、荒谷・つかさ(
逸鬼闘閃・f02032)が拳を握って舞台に立つ。
料理技術は無くとも自分なりの料理を作ってみせると、心と魂を燃やす羅刹が告げる。
「だから、代わりと言っては何だけれど……もっとすごいもの、見せてあげるわ」
「致し方なし。それもまた、生命の多様性である」
口を
ω状にして拗ねつつあるアルカディアだが、ちゃんとつかさの要望に応え狩猟戦を展開する。
召喚した多種多様の魔獣たちを揃え、アルカディア自身も《
拒絶の雲海》を広げていく。
爆発気流で魔獣たちが加速し、猛毒気流でつかさが減速する、特殊な戦場が用意された。
「見せてもらおう。お前の
生命を。吾の期待に応えてくれ」
「もちろん。さ、かかってきなさい」
舞台の上で泰然と構えるつかさへと、勢いよくせ襲い掛かる魔獣たち。
獰猛な唸り声と共に振りかぶった爪が、つかさの指に掴まれる。
圧し折られる。
「ガァッ!?」
「せいっ」
叩き込まれた拳の一発で、その魔獣がその生命活動を停止する。
次から次へと飛び掛かる端から、魔獣たちが一撃でK・Oされていく。
単純にして純粋。
極められた無双の怪力は、多少の速度など誤差でしかないと言わんばかりに。
殴る蹴るの暴力が、魔獣たちを食材へと変えていく。
「ワイルドハント焼肉担当の看板は、伊達ではないのよ……!」
繰り広げられるは、《荒谷流野戦焼肉術(ワイルド・バーベキュー)》!
目の前に広がる魔獣たちを食材と見做したつかさの手によって、豪快に賑やかなバーベキューを開始する!
わずか10秒の間に百を超える魔獣たちが、串焼きに、鉄板焼きに、網焼きに、丸焼きにシュラスコに!
様々な焼肉料理へと変貌していく!
その圧巻の様相に、アルカディアの開いた口が塞がらない!
「おお」
「味付けはシンプルに、塩!
タレやレモン果汁なんかも用意してるから、飽きさせないわ」
「おおおお!」
準備のいいつかさの手によって、たちまち舞台の上はバーベキュー会場へと変貌していた。
戦場に、香ばしい肉の焼ける匂いが充満していく。
片っ端から倒された魔獣たちの残骸は、最早おかわりの素材でしかない。
「そして私がバーベキューを選択した一番の理由……。
それは味だけでなく『雰囲気を楽しむ』ことができるからよ」
「なんと……!」
つかさの豪快な振る舞いから、お出しされる細やかな配慮。
ワイワイと燥ぎ、楽しみながら料理を食べる。
テーブルに座って行儀よく食べるのとは異なる趣きだ。
これにはアルカディアも驚嘆している。
「さあ、アルカディア。存分に楽しんでらっしゃい!」
「……応とも。行くぞ、怪力の猟兵よ。焼肉の備えは十分だな!」
つかさの挑戦に、アルカディアが応じて舞台に上がってワイルドなバーベキューを食べていく。
並の生命ならば胸焼けする大きさと量であっても、虚ろなる神の身を満たすにはいい勝負と言える。
それに、不足したらまた召喚してもらえばいいわけだ。
次の猟兵がちょっと支度が必要とのことなので、連携しているという名目でユーベルコードの使用許可を出しつつ。
アルカディアとつかさは仁義なき戦いを繰り広げていくのだった。
「流石に仕留め立てでは、ちと血生臭いか。熟成させるといいかもしれん」
「アドバイスどうもありがとう食らえ!」
大成功
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巨海・蔵人
アドリブ絡み歓迎
技能戦(料理)
◼️心情
まさか、あの味噌煮込みが虚神のメニューの一角だったなんて!?
ブルアカ初心者の僕には圧倒的に此方での希少食材にジモティー力で劣る(カッ!)
それに、僕の料理技能は20せめて、ピルグリムのお麩があれば良かったけど…
そうだっ!?(謎発光する眼鏡)
◼️特殊調理食材
はーい!
審査員長(虚神)始める前にここでないと手に入らない、
UCを使わないと採取が難しい食材があるので採取の許可を求めたいです。
UCが使えないと難しいけど、どちらにしても難しいからねアルカディアの玉座節、
お出汁にカンギ糀味噌、
大空を覆うものを女媧の祠のミネラルで固めて、
女媧の祠ワカメで、
アルカディア御御御付
●七皿目。アルカディア
御御御付。
「まさか、あの味噌煮込みが虚神のメニューの一角だったなんて!?」
おっとり巨漢のソーシャルディーヴァが驚きの声を上げていた。
多世界で人気の動画配信者猟兵、巨海・蔵人(おおきなおおきなうたうたい・f25425)は、以前グリモア猟兵から振舞ってもらった『レプリゼンタ・カンギの象鼻肉の味噌煮込み』が、アルカディアのフルコースに組み込まれていることを知って驚愕していた。
そして、そのインパクトに負ける者かと、他の猟兵たちが繰り出していく様々な料理を、おもてなしの心を眺め、自身の料理に焦燥し始めているようである。
「うーん、みんな、すごく美味しそうな料理だね。
純粋な料理技能は専門家には届かないし、ブルアカ初心者の僕には圧倒的に此方での希少食材にジモティー力で劣る……!
僕も食べる方は得意だけれど、アルカディアさんをもてなすとなると……」
そして、六皿目の猟兵の調理を目撃して、蔵人に名案が舞い降りる。
「そうだっ!?」
謎発光する眼鏡を輝かせ、元気よく挙手をした蔵人。
「はーい!
審査員長! お願いがあります!」
「はい、蔵人くん。発言を許可する」
魔獣が食材になっている間に質疑応答するアルカディア。
「僕の料理を始める前に、ここでないと手に入らない……ユーベルコードを使わないと採取が難しい食材があるので採取の許可を求めたいです」
「ほう……」
蔵人が行使を望むユーベルコードは、《実践!御料理配信【大熊猫ドローンといっしょ】(ダイニンキホンカクハシリーズ)》。
それは、パンダ仙人とのコラボ企画。
『七色大熊猫ドローン』を呼び出して、攻撃した無機物・オブリビオンを食材化する便利なユーベルコードである。
だが、技能戦である以上、ユーベルコードは無効化されてしまう。
だが、別の猟兵が狩猟戦をしている今ならば、ユーベルコードは利用できる。
「では、吾が彼女の料理を食べている間に済ませておくように」
「おっけー。それと、撮影はしてもいいかな?」
「良いぞ」
ということで、バーベキューを楽しむアルカディアの背後でアルカディアの玉座に近づく蔵人。
数多くの天使核と共に『黄金の玉座』が、蔵人と『七色大熊猫ドローン』の手によって削り節として食材に加工されていく。
……何をしているんだぁ!?
「はい! という訳で、パンダ師父といっしょに楽しく御料理していきます!
本日のメニューはブルーアルカディアのお味噌汁だよ!
料理仙人の驚きの技の数々、頑張って再現出来るかな?」
ゴリゴリと削り取られた金色の出汁に、レプリゼンタ・カンギを加工した
糀味噌を加え、さらに大空を覆うものを神農兀突骨のいた女媧の祠のミネラルで凝縮してから煮沸した湯でかき混ぜる。
エンケロニエル産のワカメを足せば、完成だ。
「ピルグリムのお麩があれば良かったけど」
蔵人もピルグリムまでは手が回らなかったようだ。
あれは扱いを間違えると寄生される特殊調理食材ゆえ、仕方のないことである。
ともあれ、バーベキューを終えてテーブルに戻ってきた
アルカディアに、蔵人は漆塗りの大きな汁椀にたっぷりと注いだお味噌汁を提供する。
「どうぞ、これが僕のアルカディア
御御御付だよ。
そろそろ半ばだし、これで一息ついてね!」
「おお。吾のフルコースを意識しているのか……。
そして、これはこれで実に見事なスープであるな。
……吾が玉座を食べることになるとは、まさに予想外よ」
ささ、と実食を促す蔵人に応じ、アルカディアは豪快に椀を傾け一気に飲み干していく。
「いただきます。んぐ……んぐ……んぐ……」
そして、大量の天使核の成分が溶け込んだお味噌汁を大量に摂取したことで、幽鬼が如きアルカディアは。
「おおおおおお! みなぎる、溢れるこの旨味ぃ! 吾は、吾はぁ!!」
黄金の羽の嵐に飲み込まれ、光り輝く羽に斬り刻まれていく。
まさにスーパーエンジェル状態! フィーバー!
「喜んでもらえたならうれしいね。あ、おかわりはたくさんあるよ?」
「おおおお! 頂戴しようっ!!」
一杯飲む度に天使核と玉座による羽に囲まれ、アルカディアはブルーアルカディアの絶妙な旨味をその身に刻みつけて行くのだった。
大成功
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魔女・ウィッチ
UCを使いたいから【狩猟戦】で挑むのじゃ!UCを使った方が美味しい料理が出来るからじゃ!
料理はちゃんと食わせてやるからそう拗ねずに、大人しくしているのじゃ!
ただし、食べたい食材は自前で用意してもらうのじゃ!足りない食材は揮杖を振り、法力の無限の魔力から
欲望具現術で創造するのじゃ!
欲望具現術で包丁や鍋などの調理具を具現し、そのまま揮杖を振って念動力で操り魔獣を解体!灯箒の火炎放射で「サッと上手に焼く」。味見を兼ねて食べ、パワーアップ!
照鏡に最適な調理法を尋ね、導書からレシピを情報検索
揮杖で果実と食材を鍋へブチ込み全力魔法UC!
薬膳料理でも毒薬料理でも好きな方を作ってやるわ!
●八皿目。魔女の秘密超理。
「我もユーベルコードを使いたい!
ユーベルコードを使った方が美味しい料理が出来るのじゃ!」
そう意気込んで叫ぶのは、偉大なる魔女・ウィッチ(
偉大なる魔女の伝説・f33446)。
その真名、マルグリッド。今はまだ旅路の途中にある、年若い猟兵である。
調理場に立ち、堂々とアルカディアへと狩猟戦の宣言をする。
「ふむ……構わんが……。
魔獣たちも、吾の攻撃も、捌き切れるか?」
前例があるゆえに許可するアルカディアだが、ウィッチの容貌を見て歯切れが悪い様子だ。
言外に、ウィッチの心配をしているのだ。
だが、そんな気遣いは不要だと、ウィッチは胸を張って大きく頷く。
「なーに、お主が食べたい
食材を自前で用意してもらうのじゃ!
料理はちゃんと食わせてやるからそう拗ねずに、大人しくしているのじゃ!」
「……よかろう。では、行くぞ、猟兵よ」
アルカディアが、多数の魔獣を再度召喚し、万物を消滅させる虚無を宿した見えざる完全球体《アルカディア・ヴォイド》を展開する。
戦うならば加減は無礼だとばかりに、ウィッチ目掛けて魔獣たちをけしかけ、その動きに連携して《アルカディア・ヴォイド》を射出する。
襲い来る暴威を前にして、ウィッチは笑ったまま微動だにせず、彼女の魔法を披露する。
それは、
欲望具現術!
遥かな太古より存在する、魔法の根源、世界の根源を操る大魔法!
その一端が明かされる!
『
魔女揮杖』を振って、念動力で操る包丁が活きのいい魔獣を瞬く間に解体していく。
『
魔女灯箒』に取り付けたランタンから暗闇を灼き祓う魔法の炎が放たれ、サッと上手に焼かれていく。
ただの魔獣の群れなど、偉大なる魔女にはただの食材に過ぎないのだ。
「味見を兼ねて、と。ん~おいし!」
焼き上がった魔獣の肉をパクリと一口味見するウィッチ。
狩猟戦の効力により魔獣の力を奪ったウィッチがさらにパワーアップする。
溢れ出る魔力が、オーラが可視化されるほど濃密になっていく。
「……よし! 行くぞ、アルカディア!」
迫る《アルカディア・ヴォイド》を、ウィッチは正面から迎え撃つ。
『魔女揮杖』を振り上げ、大量の『
魔女慈剣』を具現させる。
魔力で形成された魔法剣は空中を飛翔し、見えざる完全球体を逃がさぬように隊列を組んで突進する。
『魔女慈剣』で受けられた《アルカディア・ヴォイド》を相殺していくのだ。
ウィッチを覆う『
魔女法力』がもたらす無限の魔力に、弾切れは起こらない。
「ほう……。こうも容易く迎撃するとはな。これで吾の攻撃は終了した」
「ふふん! ならばここから本番じゃ!
さあ、照鏡よ、導書よ! 最適なレシピを導き出すのじゃ!
……ふむふむ、なるほどのう」
ウィッチは、主の様々な質問に答えて望む真実を照らし出す喋る鏡『
魔女照鏡』に魔獣の最適な調理法を尋ねる。
そして様々な魔術知識やユーベルコードが記述された『
魔女導書』を介してレシピの情報検索を完了させる。
あとは、その通りに作るだけだ。
持ち込んだ『
魔女果実』と食材と化した魔獣たちを鍋に入れ、ウィッチはユーベルコードを行使する。
「『医食同源』。たっぷりコトコト煮詰めて、想いを込めて作り上げる……。
……って、おばあちゃんが言っていたわ!」
《欲望具現術「魔女の秘密超理法」(ウィッチクラフト・フォーミュレーション)》!
薬品調合、医術、毒使い、ドーピング、料理。
そういった技能レベルを十倍に向上させ、自由自在に各々別々に効果を発揮させるという、欲望具現術!
ウィッチが0.01秒未満で創り出す1100品の霊薬や料理をうまく使うことで、その願いが叶えられるのだ。
ウィッチは『大鍋をかき混ぜる魔女』の姿を披露するために時間をかけて、魔女の秘密超理を作り上げた。
作り上げるのは、それらの技能をすべて使いこなした……二種類の雑炊。
薬膳料理と、毒薬料理であった。
「さあ、薬膳料理でも毒薬料理でも好きな方を作ってやるわ!
たっぷりと味わうのじゃ!」
「では、せっかくなので両方もらおう。いただきます」
毒薬料理は摂取しても大丈夫なのだろうか。
そんな心配とは裏腹に、アルカディアは二種類の雑炊を交互に食べ進めていく。
薬と毒がアルカディアの中で中和して、相乗効果で
浄化される。
アルカディアの中の有毒物質が、老廃物が、次々に取り除かれていく。
「ああああ……! 美味い、これは美味である!
吾には無いが、汗がとめどなく流れていく感覚が……すごい!
身体に悪そうなファーストフード、ジャンクフードのような背徳感と!
健康に良い薬膳料理の効果が、吾の中で乱舞している!」
「ふふん、おばあちゃんが言ってた通りね!
『毒が変じて薬となり、薬も過ぎれば毒となる』よ!」
異常なほどの排気煙を吐き出しながら、薬膳・毒薬料理を食べる手が止まらないアルカディア。
中毒にならなければ良いのだが。
また一つ、アルカディアは魔女の手によって美味しい料理を堪能したのであった。
大成功
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侘寂茶聖・千利休
選択UC不使用
茶道師の
千・利休に御座います。
(念動力で宙に浮いて正座し、深々と一礼。茶道器具で合法茶を点てましょう。まずは自身で合法茶を一服)
……ふぅ、やはり茶は良きものに御座いますねぇ。
おやぁ?心配なさらずとも大丈夫です、この茶は合法、合法です。ええ、きちんと合法で御座いますから……はい……♪
(くすくす妖しく嗤い)
さあさぁ、貴方様も……どうぞどうぞ。
(相手の分の茶を差し出す。強化された読心術でどう持て成されたいか読み、その通りに行動。茶道器具で茶菓子まで作ってみせる)
技能:お茶を淹れる
利休の持て成しに、御満足頂けましたか?
おやおやぁ……利休、感激。
●九皿目。『合法茶』。
念動力で宙に浮いて正座し、アルカディアに深々と一礼するのは、幼い妖狐の少女。
その正体はとある事情により後天的にサイキックを得た人造サイキッカーであり、非公式の『茶道』アスリート。
侘寂茶聖・千利休(二重人格のサイキック茶人バーサーカー・f38539)である。
「
茶道師の
千・利休に御座います」
「これはご丁寧に。吾は虚神のアルカディアである」
畳の上に赤い毛氈を敷き、座して向かい合う二人。
厳かな風情漂う場に傘が差され、ししおどしが音を立てる。
簡易的ながら、野点の様相を醸し出していた。
「…………」「…………」
挨拶を済ませ、互いに無言。
千利休が茶を点てる音、ししおどしがカコンと響く音。
静寂な戦場には、その二つの音だけが残されている。
「……ふふ、そう緊張なさらず。此度は貴方様を楽しませる席にございます。
礼儀や作法は気にせずに、ゆるりとおくつろぎください」
「そうか。では、お言葉に甘えよう」
肩の力を抜いたアルカディアに微笑みかけ、千利休は得意の茶……『合法茶』を拵える。
『合法茶なので大丈夫です。絶対安心安全で無害。合法ですので』とは千利休の押す太鼓判。
心身をいやし、サイキック超能力・念動力・読心術を増強する
精神薬もとい異常に美味なお茶である。信じよう。
「まずは、一口」
千利休は、自分の淹れた『合法茶』を一服する。
おそらく、毒は入れていないという意思表示だったりするのだろうか?
茶道は奥が深い。
「……ふぅ、やはり茶は良きものに御座いますねぇ」
「ふむ……茶、か。どうやら、吾の知っているものとは、少々異なる様子だが……」
「おやぁ?
心配なさらずとも大丈夫です、この茶は合法、合法です。
ええ、きちんと合法で御座いますから……はい……♪」
くすくすと妖しく嗤う千利休。
よりいっそう『合法茶』が怪しく見えてくるのだが、大丈夫だろう『合法茶』なのだから。
……脱法? 知らない言葉ですね。
「さあさぁ、貴方様も……どうぞどうぞ。ああ、茶菓子を先に召しあがりください」
「ああ、わかった。……いただこう」
千利休が『茶道器具』で用意した茶菓子を頬張り、味わうアルカディア。
それ単品でも十分に
生命を感じ取っている。
だが、茶菓子の本領は……茶を飲む時にある。
「ふむ、ふむ。……では」
千利休に差し出された茶碗を受け取り、アルカディアは肉も皮もないその手で、回す。
何故そうするのかはわからないが、そういった作法があると知っているようだ。
一拍してから、アルカディアは『合法茶』を飲む。
「……くす」
千利休は猟兵として覚醒してからは日が浅い。
それでも、茶の道を行くものとして、相手がどう持て成されたいかを読み取る術はしっかりと習熟していた。
今、アルカディアに提供した『合法茶』は……まさに、アルカディアに相応しい一杯。
生命成分として、たっぷりと『
侘寂美』を淹れていた。
「!!!!!!」
尋常ならざる刺激に、味覚のないはずのアルカディアが無言で叫ぶ。
流石に持て成されたお茶を吐き出すような無礼はできない。
口の中いっぱいに広がるフレグランスはアルカディアの口内を蹂躙していた。
飲み込めば、喉にも『侘寂美』は襲い掛かってくる。地獄か?
「利休の持て成しに、御満足頂けましたか?」
「……!! ……っ!!
!!!!」
その上で、手抜かりないお茶の美味しさは良し。
結構なお点前でと、アルカディアは笑顔を浮かべてその場に倒れ込む。
無作法だが、気にしなくていいと千利休が告げていたため遠慮なく悶え苦しむことができるのだ。
なんて先を見据えた心遣いなのだろう。
「おやおやぁ……それほどまでに喜んでいただけるとは。
利休、感激」
口元を隠し、くすくすと妖しく嗤う千利休。
アルカディアが回復するまでのしばしの間、千利休の笑い声が戦場に響いていた。
大成功
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風斬・迅太
自分は自炊していますがコンビニのペペロンチーノを再現すべく週一で作ってますね
UDCのコンビニパスタがお気に入りです
ブリーフィングで例示されたインパクトは絶対超えられないのでコンビニ飯という方向で攻めますよ自分
ともあれ、自分が出すのはそのコンビニの味を再現したペペロンチーノです
ベーコンとウィンナーが乗り、油と大蒜たっぷりで、唐辛子も効いてまず辛い
ついでに超大盛り(総重量250g)
健康? 知りませんよと言わんばかりのペペロンチーノ
必要かは分かりませんが汗拭き用のタオルと水も一緒に出します
作り方自体は簡単なのでお替り必要でしたらいくらでも出しますよ?
ところでノーヴェさんが作った料理ってどれなんです?
●十皿目。UDCのコンビニ風ペペロンチーノ。
「ところでノーヴェさんが作った料理ってどれなんです?」
年若くも精悍な竜騎士、風斬・迅太(まな板・f06135)は、虚神アルカディアのフルコースメニューに含まれているという知己であるグリモア猟兵の作った料理がどれか気になっていたようだ。
本人に問い合わせればその場で料理して出してくるからアルカディアに聞いているのだろう。
「うむ。それは肉料理、レプリゼンタ・カンギの象鼻肉の味噌煮込みである。
大変美味であった」
「なるほど。ありがとうございます」
納得した迅太が後ほどグリモア猟兵に注文するのかどうかはさておき。
迅太は自分のお気に入りの料理を用意するべく、調理場に素材を用意していく。
種類はさほど多くはない。
シンプルな材料を調理台に並べ、フライパンと寸胴鍋を設置する。
「自分の料理は、UDCアースのとあるコンビニパスタがお気に入りです。
自炊もしていますが……コンビニのペペロンチーノを再現すべく、週一で作ってます」
「ほう。コンビニ。それは、吾の知らぬ存在である。楽しみだ」
迅太は、ブリーフィングで例示されたインパクトを超えることは絶対にできないと判断していた。
超級料理人や猟理師のみならず、経験豊富な先輩猟兵たちのパワーワードと同じ土俵に上がれない。
ゆえに、親しんでいる、そして気に入っているコンビニ飯という方向で攻めようというのだ。
ブルーアルカディアにコンビニエンスストアが普及していないならば、アルカディアにも未知の存在となるだろう。
「自分が出すのは、そのコンビニの味を再現したペペロンチーノです。
それでは、始めます」
迅太は常識的な手際により、調理し始める。
パスタをたっぷりと茹で、ベーコンとウィンナーと一緒に
大蒜とオリーブオイルで焼き上げる。
総重量250gという、一般的には超大盛りのパスタを簡素な皿に盛りつけて完成する。
もちろん、唐辛子は欠かせない。
「出来ました、これが自分のお気に入り。
健康なんて知りませんよ? と言わんばかりのペペロンチーノです」
「ほほう。……ただのペペロンチーノ、という様子だが……実食させてもらおう。
いただきます」
「必要かは分かりませんが、汗拭き用のタオルと水も用意しておきますね」
皮膚がないので汗は大丈夫だと、水だけを受け取り実食に入るアルカディア。
フォークを動かし、スムーズに食べ進めていく。
ここまで九皿を平らげた健啖ぶりを遺憾なく発揮している。
そして、特に激しいリアクションもないまま、皿を空にして食べ終える。
「……」
塩気があり、旨味があり、ベーコンやウィンナーの肉厚も楽しめる。
美味いことは美味い、だが、これが強者の生命か……? と、アルカディアが落胆したようにフォークを置こうとするその前に。
「お替りをどうぞ」
「む?」
迅太の手によって、新たな皿が差し込まれた。
黄金色に照り輝くペペロンチーノは、市販の食材のみを使用している。
そして、作り方自体はとても簡単なのだ。
アルカディアが食べている間におかわりを作ることは、造作もない。
大量生産できるコンビニ飯は、その数こそが武器なのだ。
「必要でしたらいくらでも出しますよ? 満足するまで」
ニッと笑みを見せる迅太。
その表情を見て、アルカディアは察する。この料理は美食を追求したものではない、と。
弱者たちのために用意されし、日常を生きる糧なのだと。
「……なるほど。吾は強者を食らい、糧としてきた……吾の進化のために」
追加されたペペロンチーノにフォークを伸ばし、おかわりを食すアルカディア。
それを見て迅太は更なるおかわりを調理する。
アルカディアが満足するまでたっぷりとペペロンチーノを提供するために、材料はたくさん用意している。
「もぐもぐ。だが、強者だけでなく、弱者もまた糧と成り得るというのだな。
もぐもぐ。コンビニ飯……。単体ではなく、群体による力……。
もぐもぐ。そうか、これが、お前たち……猟兵の力の源……!」
アルカディアは、迅太の供するコンビニのペペロンチーノを介して、猟兵たちの力、絆の力を悟ったようだ。
たらふく平らげ、アルカディアはフォークを置く。
まだ腹八分目だが……戦場に控えている猟兵の料理を堪能する余地を残すためだ。
最後に水を飲み干して、アルカディアは清々しい様子で迅太に告げる。
「ご馳走様。美味しく、そして素晴らしい料理だった」
「どういたしまして」
迅太は、アルカディアに猟兵の底力を啓もうしてその心を開かせた……のかもしれない。
大成功
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ラップトップ・アイヴァー
《唯一トンチキな部分があるとしたらお姉ちゃんが銃を構えてバトロワで勝負ですわとか言うことかな。
ダメだこの姉話聞いてない。
Revolution。
真の姿:三上・美希に変身。
黒髪に紫の瞳のお姫様。…エプロンも着てるの。
技能戦はUCが駄目でもオーバーロードまでは封じられてない、と思いたい。
でないと料理対決が始まらない。
お姉ちゃんおやすみ〜。
量やインパクトでのゴリ押しよりも、
みきはこっち。
全部アスリートアースの素材で。
カレーライスにコールスローサラダ、ガトーショコラにりんごジュース。
ジュースもりんごからちゃんと作るの。
技能で想いで。
生命で勝負なの。
料理技能で丁寧さを、瞬間思考力でスムーズさを、優しさで思いを込めて。
家族に作るかのように。食べる人に喜んでもらえます様に。
普段もこんな感じで毎日ご飯を作ってるの。
どうぞ、召し上がれ。
誰かを想うことで、生命ってすごく輝くの。
美味しい料理で心が晴れたら、とても満たされるでしょ?
蒼空なんて壊さないで、
こんな生命の在り方もあるって、知っていってね》
●十一皿目。いつも通りのごはん。
「なるほど、わかりましたわ。バトロワで勝負ですわ!」
「えっ」
「ダメだこの姉、話聞いてない」
調理場で銃を構えたのは、一つの身体に二人の魂を合わせたアスリート。
バトロワプレイヤーのシエル・ラヴァロと、絵の上手なプリンセスの三上・美希。
血の繋がった双子の姉妹、ラップトップ・アイヴァー(動く姫君・f37972)だ。
料理を待望していたら突然銃を向けられたアルカディアが狼狽している。
何を勘違いしたのか、姉のシエルは競技『バトロワ』と思い込んでいたようだ。
ため息交じりに、美希が
超克を発動させる。
真の姿を開放し、黒い髪に紫の瞳のお姫様へと変身する。
シエルは、銃と一緒におやすみいただくこととなった。
「お姉ちゃんおやすみ~」
「あっ、すやぁ……」
美希はエプロンを着用して、胸をなでおろすアルカディアに向き直る。
アルカディアは大人しく席に着き、美希の料理を待ち望む姿勢を取った。
「派手さや凄さはないかもしれないけれど、精一杯作るの。
だからちょっとだけ待っててね」
「ああ、わかった。楽しみに待つとしよう」
量やインパクトによるゴリ押しよりも、美希は得意とするスタンダードな料理を選択する。
アスリートアースで生まれ育った美希が作り上げるのは、アスリートアースの食材で構成された、アスリートアースの料理だ。
シエルの健康と身体づくりを考えて、毎日欠かさず作ってきた、家庭の味だ。
丁寧に、それでいてスムーズに。
優しさを、真心を込めて、いつものように作っていく。
細かく切ったキャベツやニンジンのコールスローサラダ。
手作りのガトーショコラに、剥いたりんごをミキサーにかけたジュース。
そして、他の猟兵たちがアルカディアに対峙している間に、調理場の隅の方でじっくりと煮込んだカレー。
炊き立ての白いご飯を大盛りによそって、たっぷりとルーをかければカレーライスの完成だ。
家族に作るかのように。食べる
人に喜んでもらえるようにと。
誠心誠意を込めた、美希のごはんが出来上がる。
「どうぞ、召し上がれ」
「うむ。いただきます」
フォークを器用に使ってサラダを口に運ぶアルカディア。
虚神が全世界にばら撒いたしもべである『植物』を食していく。
何の変哲もない、ただのサラダ。それが不思議と、アルカディアの心を満たしていく。
グラスに注がれたりんごジュースもそうだ。
アルカディアが放ったはずの『植物』に、神が輝くほどの生命が感じられていた。
「何とも……不思議なものだ……。どれも、吾のよく知る生命であるはずなのに。
人の手を介することで、これほどにも変わるというのか」
そしてカレーライスに手を伸ばす。
様々な食材が混ぜられ、煮込まれたスパイスの効いた料理が、皮膚を持たないアルカディアの身体を火照らせる。
ただの錯覚とは思えない、凝縮されたその旨味。
その皿の中から、生命の輝きを感じ取っている。
「……わからぬ。使われているものは、どれも特別な素材ではない。
格別に秀でている訳でもない。にもかかわらず……心地良い味わいを感じる。
なんだ……この味は、いったい……」
「ただ、食べられればいいという訳ではないの。
誰かを想うことで、生命ってすごく輝くの。
美味しい料理で心が晴れたら、とても満たされるでしょ?」
魂で味わうと豪語していたアルカディアが、今。
本当の意味で、その言葉を理解した。
このカレーも、サラダも、ジュースも、美希の手料理だ。
これまでアルカディアが食べた料理も、すべて。
猟兵たちの手料理なのだ。
荒廃した世界のフルコース。シンプルな『和』の二品。多世界の郷土料理。
愛くるしい紅茶の席に、侘び寂びの茶席。
アルカディアのフルコースに匹敵する御御御付と、表裏一体の薬膳毒薬料理。
コンビニの味を再現したペペロンチーノに、召喚された魔獣肉のバーベキュー。
そして……母との思い出が詰まったシチューに、
家族を想う手料理。
猟兵たちの積み重ねた料理によって。
虚ろなる神の心が、魂が。存分に満たされていく。
テーブルの上の皿に盛られた料理を平らげて、フォークとスプーンを置く。
「……ああ、そうか。これが、この、想いこそが。
……猟兵たちの、強者たちの生命の源。
―――
心意気というのか」
「蒼空なんて壊さないで、こんな生命の在り方もあるって、知っていってね」
「……。ご馳走様。……そうか」
美希の言葉を噛み締めるように……顔を上げ、天を仰ぐアルカディア。
しばらくして、再び美希に顔を向けて、虚ろな顔の視線を合わせる。
「吾は、強者の生命を喰らわなければ進化できない。
これからも、食らうことを止めることはないだろう。
だが。……だが」
席を立ち、技能戦の調理場を解除する。
作られた料理はタッパーなどの食品用密閉容器に保管し、持ち込みではない調理道具は片づけ、魔獣たちの残骸も消えていく。
あとに残されたのは12名の猟兵たちと、心身のダメージが甚大なアルカディアだけとなった。
「生命になる方法を。食らい方を……今一度、検討し直す時が来たのかもしれぬな。
いつか、吾に血が、肉が、舌が生じた時に……お前たちの料理を楽しめるように」
「っ! うん、きっと、その時にはまた、みきたちが美味しい料理を作るの」
美希の微笑みに、アルカディアが笑い返す。
いつしかその姿からは、幽鬼の如き恐ろしさは感じられなくなっていた。
大成功
🔵🔵🔵
●幕間。口休め。
満足したアルカディアは、静かに立ったまま、背負った石剣を手に取る。
威風を感じさせる状態で、11人の猟兵たちに語り掛ける。
「さらばだ、猟兵たちよ。実に、美味であった。
あとは……後始末を付けて、終わりを迎えるとしよう」
12人目の猟兵が前に出る。
これから彼女が料理するのは、とても独創的で、とてもとんでもないものとなる。
倫理観とかいろいろと危ないので、ここまで見学していた猟兵たちは一足先にグリモアベースへと帰還するようアルカディアが勧めているのだ。
自身の末路を悟りながら、猟兵たちに感謝を捧げて見送る。
「待たせたな、最後の猟兵よ。……吾らの、最期の料理を始めよう」
虚神と
ダンピールの魔王、どちらが食うか、喰われるか。
最終決戦が幕を開ける。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
片翼戦、大切な人
本人と共に
戦う
私が猟兵に目覚めた『あの日』。雨が降る中この腕に抱いた異母姉にして
親友の
『あの子』の胸には致命的な傷が穿たれていた。その傷を与えたのは私だ。猟兵と
吸血姫の当然の結末。だが、その結末を受け入れたのは『あの子』の方。泣く私の頬に『あの子』はそっと手を添えて、最期のキスは血の味がした。
そうして、私は
心臓を融合させ『あの子』と一つになったのだ。
で今、アルカディアを
ハッキング精神寄生体と
青春とクリームパイ作り♪
もっとも私達の食事は
大食いなんで
『夜』の
料理なのよね。私をじっくり味わってもらいながらたっぷりクリームを注いでもらうわ❤
そのクリームで
化術肉体改造召喚術生命にしてあげる❤
●十二皿目。クリームパイ(隠語)。
戦闘用の舞台の上で、対峙するアルカディアと猟兵。
最後に満を持して登場したのは、この御方であった。
子供の如き無邪気さと小悪魔の如き妖艶さを併せ持つ、
ダンピールの魔王。
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の
混沌魔術師艶魔王少女・f05202)だ。
アリスが挑むのは、技能戦ではない。
アルカディアに引導を渡すための、戦闘である。
アルカディアは毅然とした態度で、アリスに向き直っている。
「汝が為したいように為すがよい。だからわたしはわたしの為したいように為すわ」
「よかろう。それがお前の願いとあらば……吾らの、最期の
戦いを始めよう」
石剣を抜き放ち、構えるアルカディア。
虚神から殺意は感じられない。
猟兵たちの
料理を十分に堪能したアルカディアは、猟兵たちの……アリスの命を奪う意思は無くなったのだ。少なくとも、今この場においては。
だが、誇り高い猟兵が対峙を望むとあらば。
アルカディアのために美味しい料理を提供してくれた猟兵たちのためにも。
全身全霊で相手をしようと、ユーベルコードと戦場効果を稼働させる。
アルカディアの虚ろな顔に、アリスの大切な人の顔を映し出す。
心を揺さぶろうと試みる。
その大切な人の言動を受ければ、いかに百戦錬磨の猟兵といえど、戸惑い、躊躇うことになるだろう。
その隙を狙って放つ、《アルカディア・ヴォイド》。
万物を消滅させる虚無を宿した見えざる完全球体を射出すれば、ひとたまりもないだろう。
ただ。
アルカディアの誤算はただ一つ。
アリスの大切な人の存在が、神の想定にない者だったことだ。
「……そう、アリス。あなたはわたしを殺したのね」
「そうよ、
アリス。……わたしが、私があなたを殺したわ」
アルカディアの映し出した顔は、アリスだった。
アリスの異母姉にして親友だった
吸血姫。
アリス・ロックハーツ。
アリス・セカンドカラーが猟兵に目覚めたその日に討った、『あの子』だ。
「その傷をつけたのは
アリス。そしてその結末を受け入れたのは
アリス」
「ええ、涙を流す
アリスの頬に手を添えて、あの結末を受け入れたのは
アリス」
二人の
アリスの過去の因果は、アルカディアには知る由もない。
アルカディアの意志は、
そこに介在していない。
アリスの大切なアリスの顔を写しそっくりの声を口調で語り掛け、攻撃するのみだ。
だが、卓越したアリスの結界術が《アルカディア・ヴォイド》を封殺し、アルカディアの身体が石剣を振り上げるより早く、先制攻撃でアリスが迫る。
アリスの技量は、生半可なユーベルコードでは太刀打ちできない領域に辿り着いているのだ。
「アリス。
アリスはまたわたしを殺すの?」
「いいえ、アリス」
アリスの中にいるアリスが、アルカディアの顔を見る。
アリスの記憶にある、アリスとの最期の接吻。
最期のキスは、血の味がした。
ふと、アルカディアが気づく。
「(何故、二人の因縁を……吾が知っている
……?)」
「そうして、私は
心臓を融合させ『アリス』と一つになったのよ。
アリスと
アリスは、今、この時も一緒なのよ」
「そう……それが、アリス・セカンドカラーなの」
アリスが、あの時に『あの子』にそうしたように。
アルカディアの顔に手を添える。
そして、ユーベルコードを起動する。
「私達の知覚を離れた客観的真理などない。
故に、あらゆることは真実であり可能である。
私は私の欲する事を為すだろう」
《混沌魔術・艶魔狂宴(ケイオスマジック・サキュバスパーティー)》!
それは、世界観を大革新し続ける魔術的パラダイムシフト。
アリス自身がオリジナルキャラクター《人工未知霊体『アリス・セカンドカラー』》に変身し、既存技術を借用・混合・DIYする混沌魔術の威力増強を行うのだ。
1310レベルにまで強化した所持技能による行動。持続655kmでの飛翔能力。etc.
あらゆることは真実であり可能である。
これぞ、
混沌魔術の実践者の力である。
「ああ……そうか、アリス。私は、今……アルカディアの、吾の中にいるから……」
「そう。アルカディアを
ハッキングしたアリス。
精神寄生体とわたしで、
青春とクリームパイ作り♪」
アリスとアリスが、額を突き合わせる。
アルカディアの身体が小刻みに痙攣する。
食らうのはアルカディアだけではない。アリスもまた、食らっているのだ。
甘くて美味しいアリスのクリーム(意味深)を、アルカディアは味わわせてもらっているのだ。
「もっとも私達の食事は
大食いなんで♪
『夜』の
料理なのよね❤」
「「ああ……吾に、新たなる視野が……」あらあら。嬉しいのかしら、アルカディア」
アリスのクリームパイがアルカディアに振舞われ、そしてアルカディアのクリームパイがアリスに貪られていく。
どちらのクリームが先に染まりきるのか。
どっちにしてもアルカディアは原形を留めないことになるだろう。
アリスになるか、アリスにされるか、二つに一つである。
肉のないアルカディアの身体が激しく跳ね上がる。
徐々に、その存在が、クリームパイが嵩を減らしていく。
アルカディアの中に注がれるクリームの勢いより、アリスに吸われるクリームの量が勝っているようだ。
「さあ……その
クリームで、あなたを……。
化術肉体改造召喚術生命にしてあげる❤」
「これが……新しい……吾……「ええ、さあ。
アリスに身を委ねて」……これが、生命……!」
徐々に意識が遠のいていくアルカディア
虚ろなる神が、アリスによって生命を与えられることとなる。
やったね、アルカディア! 願いが叶うよ!
アルカディアの尊厳は死んだ。
「ふぅ」
そして、戦場に残ったのはアリスのみ。
『あの子』も、アルカディアも、視界には映らない。
だが、二人は変わらずここにいる。
口元に付いたクリームを親指で拭い、アリスは妖艶に微笑みながら腹部を撫でる。
きっと、アルカディアも満足していることだろう。……たぶん。
「ご馳走様でした❤」
―――最後の一皿、アルカディア。完食。
こうして。
猟兵たちの活躍により、『アルカディアの玉座』は無事に制圧できたのであった。
ご馳走様でした!
大成功
🔵🔵🔵