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私メリーさん、今宝島にいるの

作者：椿油

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●私メリーさん、今あなたに予知を見られているの
『よっし！　宝島に着いたぞ野郎共！　宝を見つけだせェ!!』
　猟書家、メリー・バーミリオンは下っ端達に指示を出す。

　……一時間後。下っ端が帰ってこない。

『遅いなぁ～、アイツら何やってるんだ？』
　すると、メリー・バーミリオンの所に鳩で文ふみが届いた。
『何!?　「地図は見つけたけどどこにもペケ×が書いてない」だって!?　しょうがない、私が出るっきゃないな……！』

　その一時間待ちぼうけの間に、冒険商人がメリーを見つめていた。
「ひょえ～、やばみ天井突破やん……この島の宝を海賊女王っぽいねーちゃんに取られたら激やばMAXやん……バイブス上げてわいが護るっきゃないな！　そうと決まれば善は急げってね！　海賊女王にわいはなる！　バイビー！」
　この冒険商人、黒い耳が付いていたりしないだろうか。

●ここはグリモアベース、今予知の概要を話すの
「――というわけで、メリー・バーミリオンが性懲りもなく宝を目指しているそうよ！」
　グリモア猟兵のジェルダ・ヒーメィ（銭の亡者・f27900）が冒険商人の下りまで説明した。
「予知に出た冒険商人と協力すれば、先に宝を確保できるかもしれないわね。ちなみにこの人はキマイラフューチャーから落ちてきた島出身、ネズミのキマイラの「バッズー」さんだけど黒耳じゃないから安心していいわよ！」
　何に安心すればいいのだろうか。
「ともかく！　メリー・バーミリオンより先に島の仕掛けを解いて、追いかけて来たメリー・バーミリオンを倒す！　それだけの事よ」

　話し終えると、転移を開始したジェルダだった。

第1章 冒険 『海賊の遺産を探せ』

POW   :    野生の勘で探す SPD   :    島を歩いてありそうな場所を探す WIZ   :    地図を見ながら場所を予想して探す 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

●下っ端の会話
『何だよこれ！　地図に全然×がついてないじゃねえか！』
『どれどれ？　貸してみろよ』

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『な？　×ついてないだろ？』
『確かに、地形しか書かれてねぇな……どういう事だ？』




「どんなお宝なのかはわからないけど……ターゲットの確保・収容・保護を最優先だね」
　朱鞠は迷子のフリをして下っ端に近づく作戦だ。
「お宝探しだね、ジェルダさん任せて？」
　グリモア猟兵ジェルダと個人間で仲の良いロラン、やはりしれっと下っ端に混じる。

『何だお前らも迷子か～』
　下っ端は軽く受け入れてくれた。いいのだろうか、それで。
「道が全然分からなくて困ってるんです～」
　と、朱鞠が話しながらスッと地図を奪った事には下っ端は気づかなかった。

『アバッ!!』
「なるほど、ほんとに書かれてないの」
　ロランは雷魔術を放ち、下っ端に少し気絶しておいてもらう事にした。一方朱鞠はUC《忍法・繰り飯綱》で子狐に似た分霊を放ち、探索を開始した。

「おねえちゃん、手伝って？」
　ロランのUC《シスター・ネットワーク》発動で義姉ニーナに似たAIキャラが召喚される。
「ここはキマイラフィーチャーの島、要するに、機械が落ちてるの」
　AIニーナの持つハッキング技能が光る。ロランは島の中央、丁度地形が×になっている辺りに目をつけた。

「なるほど、ここにありそうね」
　朱鞠の放った分霊も同じ辺りを指していた。島の形が丁度バッテン、つまり地図に無い×は島全体が示しているのだろうと見当をつけた。

「どう、反応ありそう？」
　AIニーナが大きな反応があったようでロランに情報を送ってくる。朱鞠も向かっていたその位置に向かうと、土地が丁度凹んでいたようで、雨水と思わしき水が湖を形成していた。

「この湖の中にあるのは間違いないの」
「そうね、でも結構広いから探し切れるかしら」
　宝が露出していればいいが、露出していなければ息を止めながら探す他無いだろう。深さは充分あるようだった。

　ひとまず潜ってみるロラン。見た範囲内に、宝箱らしき物は沈んでいない。
「ぷはっ！　後は湖の中を掘るだけなの」
　湖を掘るという至難な仕事。だが、宝が目の前にあるのは間違いないのだ。掘らない他無いだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「この冒険商人の人、どっかで見た事ある気がするんだけど！」
「わいは気にしたら負けだと思っとるよ！　知らんけど」
　彼は親分ではない。ネズミのキマイラ、バッズーさんだ。
「喋った事もあるような……他人の空似？　ってやつ？」
「それより、さっさとお宝確保しないと『ハハッ、YOU ARE WIN』で終わっちゃうまんがな？」

　その笑い方、一番してはいけないキャラだろう。ともかく、メリー・バーミリオンの下っ端と合流して地図を奪取だ。潤はバッズーと共に酒を売りに来た体で下っ端に出会った。
「どもどもどーもバッズーです！　さてわいは何を売りに来たでしょうか！」
『え、酒じゃないのか？』
「酒が売れないと困るんです～、あと地図も無いと迷子なの～」
　UC《For Me,Please！》を発動、潤のキュルンとした上目遣いで自然と誘惑される下っ端。

『おっおう！　地図ならあげるよ！　俺はここで酒飲みながらお頭からの救出待つから！』
「ついでに何かお宝ありそうな所知らない？」
『そうだなぁ、あそこなら……でも泳げないんだよなぁ俺』

　計画通りに地図を入手してすたこらさっさと逃げた潤とバッズーは、あの下っ端が目星を付けていたらしい湖へと【ブラックキャット】搭載のマップ＆案内機能と共に辿り着いた。
「目的地に到着しました」
「ここだね……出でよテルビューチェ！」

　オブリビオンマシン【テルビューチェ】は豪快に湖を掘り進める。ガツンと固い物宝箱にぶつかったが――その大きさ、なんと湖の半分近くはあった。
「もしかして……この凄く大きいのが宝箱!?」
「うっひょー、大収穫やん」

　施錠はされておらず、中から出て来たのはルービックキューブのようなパズルの物体。
「わいが思うに、まだただのジャンク状態やなって……揃えればドン勝や！」
　パズルには、【現在のコードで揃えよ。過去のコードでは決して開かれん】と書いてあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「現在のコード……猟兵のコードUCという事でしょうか？」
　過去のコードでは開かない。即ち、これはオブリビオンに使える宝では無いのだろうと察した寧々。

「では遠慮なくパズルを完成させてしまって良いわけですね！」

　UC《スリー寧々アタック》を発動し、寧々をあと二人召喚してルービックキューブをカチャカチャと回していく。一応ユーベルコードで揃えるとの指定が入っている以上、ユーベルコードを使って回転させていくしかないだろう。

「一面完成、二面完成、あと残るは……！」
　三人の寧々の力によって次々と完成していくルービックキューブ状のお宝。その全てが揃った時、周囲に結界が発生した。
「こ、これは……結界？」

　結界は地面をえぐり、周囲の物――湖だったここの水さえも消滅させてしまっているように見えた。むしろ一度地形が消滅したから、のちに水が溜まり湖になったのかもしれない。

　周囲を消滅させる結界。これはかなり強い宝だろう。
「こんな物が猟書家に見つかったら危険ですね……！」

　だがメリー・バーミリオンの足音は、すぐ近くまで来ていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 ボス戦 『メリー・バーミリオン』

POW   :    野郎共、仕事の時間だ！ レベル×1体の【海賊船団員】を召喚する。［海賊船団員］は【したっぱ】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。 SPD   :    お宝発見アイ〜伝説の海賊を添えて〜 対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【大海賊の霊】が出現してそれを180秒封じる。 WIZ   :    大逆転！ 元の木阿弥大津波 自身の【サーベル】から、戦場の仲間が受けた【屈辱の数】に比例した威力と攻撃範囲の【津波】を放つ。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

『はぁ、はぁ、下っ端全部回収するのに苦労したわ……って何そのお宝!?　寄越しなさい!!』

　現在のコードユーベルコードのみで揃えられるルービックキューブ状の宝を揃えると開く、地形消滅型結界。人に影響は及ぼさないこの結界の力を使えば、猟書家の威力増強、果ては暴走に繋がりかねないだろう。

　――だが、宝にはこうも書いてある。「過去のコードオブリビオンでは決して開かれん」と。つまり、猟書家に使える代物ではないのだ。
　宝自体は猟兵達によって厳重に保管する必要があるとして、結界発生を悪用しようとメリー・バーミリオンが目論む前に、倒さねばいけない――。


「わー、なんか良く分かんないけどすごい事になってる！」
　結界が発生したのを見て驚く潤。
「相手は海賊団だけあっていっぱいいるなぁ……それならこっちも仲間を呼ぶぞ！」
　集合した下っ端はわらわら居た。なので、UC《シャーク・トルネード》を発動し、119匹サメ軍団が空を飛ぶ。
「出て来い！　うるうのサメ達！」

『サメ如きに負けないからね！』
　メリー・バーミリオンは強気だ。

「でも良く聞いて、下っ端海賊さん達！」
『ん？　なんだなんだ』
「ユーベルコードで呼んだ、回転ノコギリが生えてるサメに負けてもちっとも屈辱じゃないから！」
『確かにユーベルコードだもんなぁ』
『何でもありだもんなぁ』

　頷く下っ端達。箒に乗せられたバッズーもやんややんやと声をかける。
「せやせや、わいなんか海のギャング実はウツボに追いかけられても黄金の精神で逃げ切って今や海のギャングスターやで！　知らんけど！」
『すげぇ！　逃げ切れば海のギャングスターだ！』
　なお海のギャングとはウツボ・シャチ・サメ等を指す。

『ちょ、野郎共そっちに着くなー!!』

　おかげでサーベルから放たれた津波はとても弱く、回転ノコギリがメリー・バーミリオンを襲うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「お宝探しはロマンだけど……寝た子を起こす様な荒事はちょっとご勘弁だね……」
　朱鞠は宝を後ろにメリー・バーミリオンと対峙する。

『さぁ寄越しなさい!!　その何か凄い結界を開いてるお宝！』
「(中途半端に悪用されたんじゃこの世界が手詰まりになっちゃうから、とりあえず目の前のメリーちゃんを退けて安全確保しないとね)」

　なお、メリーは宝の仕様を知らない。勿論オブリビオンでも使えるものだと思っている。
「残念ながら、骨折り損のくたびれ儲けで骸の海にお帰りして貰うんだからね……お覚悟よろしくって？」
『少しでも持ち帰ればいいのよ！』

　朱鞠は頑ななメリーにUC《忍法・鋳薔薇姫》を発動し、足元の影から鎖の触手を放出してサーベルによる攻撃を無力化した。

『な、何この鎖は!?』
　間髪空けず【拷問具『荊野鎖』】をメリーに絡み付ける朱鞠。
『いっ痛い!!　やめなさい、私はその宝を……ああっ痛い!!』
　縛り付けられてもがくメリー。
「うーん、手に入れても無駄なんだけどね……」
『無駄な事は無……痛ぁっ!!』

　本当に骨折り損のくたびれ儲けだと知る事は、恐らくないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「強そうな相手ですね」
　寧々はメリー・バーミリオンを見てぽつりと呟いた。
『そうでしょう!?　強い者こそその宝にふさわしいという事！　だから宝寄越しなさい!!』
　最早言い分が滅茶苦茶である。が、メリーは海賊船団員つまり迷っていた下っ端たちを更に召喚した。

『喰らいなさい、これが人海戦術よ！』
　ローラー作戦とも言えるその突撃に巻き込まれる寧々。
「あっ……」
『どう？　さあ素直に宝を渡して……』
「貴方は一体!?」

　戦場にスラリと立つ一輪の薔薇。UC《アンディファインド・フラグ・クラッシャー》発動で召喚された男装の麗人版寧々である。

「ここは任せたまえ！」
　美しく攻撃を決める男装の麗人寧々。

『だ……誰なのよ!?』
「名乗る程の者では無い……だが一つ覚えておいて欲しい。勝利は猟兵の手にあるという事を！　さらばだ！」

　下っ端をコテンパンに打ちのめしてから、男装の麗人寧々は去って行った。

『だから結局誰なのよ!?』
「ユーベルコードです」
　体勢を立て直した寧々はぽつり呟いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

「お宝の調査をしてたら出遅れたの……。でも、おかげでメリーさんのUCは、どんなものかわかったの。ちょっとかわいそうだけど、完封させてもらっちゃうね？」
　ロランは完封を宣言する。
『やってみなさい！』
　サーベルを構えるメリー・バーミリオン。

「――うぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉん！」

『何っ!?』
　UC《超常を貪る人狼の咆哮》を発動し、ロランの遠吠えに満月の魔力を乗せて広域化する。

『今ので何を……サーベルから波が出ない!?　ちょっと、何したの今!?』
　すたすたと近づくロラン。
「悪いことはさせてあげないよ？　おとなしく骸の海に還ってね？」
　破魔の力を籠めた魔術を演算し、魔術の力をもってメリー・バーミリオンにダメージを与えていく。

『嫌だ――そのお宝、私のもんだからぁぁーーッ!!』
　最後まで自身には使えぬ事を知らずに骸の海に還っていったメリー・バーミリオン。

　結界の発生が止まって再び普通の湖に戻った後、ロランはお宝を回収して、グリモア猟兵の所へと持ちかえるべく帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2022年10月06日