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アルカディア争奪戦㉑〜凍れし大地の星詠み

#ブルーアルカディア #アルカディア争奪戦 #天帝騎士団 #『天帝』冬のアスタルシャ #リプレイ執筆中


●凍れる世界の王は何を『識る』か
「あと少しってトコか。まぁ……此処が正念場みてぇだが」
 霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)は頭を乱雑に掻きながらも、猟兵達を見回して説明を始める。
「お前らに相手をして貰いてぇのは――天帝騎士団の長。その『天帝』こと、冬のアスタルシャだ」

 クロトは討伐に際し、彼の能力の『特異性』を語る。
 それの1つは――『限定的な未来予知』だという。
「こいつの予知能力は、グリモアよりもある意味じゃもっと狭い『局所的』なモノだ。対象が『己の身にこれから降りかかる悲劇』だけに限定されてる。……まぁ、つまり向こうはソレを阻止する為の動きを確実に取ってくる、って事だ」
 早い話、此方が猟兵を差し向けてくる事は既に向こうも『予知』しているのだという。
 『天帝』に接敵した瞬間、向こうは容赦なくその氷雪の力と鍛え上げた武に合わせ、『幻想武装群の創造能力』を以て此方に国土の凍土の厳しさそのもののような苛烈な攻勢を繰り出してくるだろう、と彼は告げる。

「まぁ、対策方法は――ある意味じゃ単純だ。『搦め手』に走るか。或いは『予知をも上回る攻勢』を叩き込むか、だ」
 悲劇を予知できても、『変えることが出来なければ』意味がない。それは猟兵達とて普段から知っている所の筈だ。そうでなくとも、予知のしようがない行動であれば、予知という『先読み』から逃れ得るかも知れない。

「……ま、見た感じ。それを掻い潜っただけで満足するだけじゃ倒しきれない奴っぽいけどな?」
 そう猟兵達に告げたクロトはニヤリと笑いながら、集った者達の顔を見渡す。
「けど、お前らは『そうじゃない』。……そうだろ?」


逢坂灰斗
 時限TOPの段階で気になってた、というのが本音です。
 逢坂灰斗です。

 今回は『『天帝』冬のアスタルシャの討伐に向かって頂きます』。

【MSより】
 ※このシナリオは先制攻撃が発生します※
 性質上、接敵前の事前準備としてUCを使用するプレイングは採用が確約できない場合がございます。
 また、複数回UCを使用するプレイングの場合、『その回数分だけ先制攻撃を発生させる』形で判定させて頂きますので、十分お気をつけ下さい。

 このシナリオは『アルカディア争奪戦』の戦争シナリオです。
 戦争の該当エリアの戦況に影響を与えます。
 以下のボーナスを踏まえてプレイングすると判定に有利になります。

プレイングボーナス……
敵の予知能力と先制攻撃に対処する。
(※極論対処出来なくても判定は致しますが、相応に判定させて頂きます)

 なお、強力なオブリビオン相手のシナリオの為、相応に判定させて頂きます。
 戦争シナリオの為、早めの完結を目指しますが、なるべく採用できれば……とは思います。
 それでは、お目に留まりましたら、宜しくお願いします。
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第1章 ボス戦 『『天帝』冬のアスタルシャ』

POW   :    絶凍剣
【自身の持つ絶凍剣】からレベルmまでの直線上に「神殺しの【天帝の凍気】」を放つ。自身よりレベルが高い敵には2倍ダメージ。
SPD   :    白雪剣舞
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【氷属性の魔法剣】で包囲攻撃する。
WIZ   :    氷獄凍土
戦場全体に【五感を奪う魔の吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【吹雪と共に飛来する幻想武装群】による攻撃力と防御力の強化を与える。
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●悲劇の星は廻る
 呪われた風雪の吹き荒ぶ中。『天帝』冬のアスタルシャは静かに目を閉じ、苦悶の表情を浮かべる。
 ――今からやってくるのは、数多の悲劇。自らを再び破滅へと突き落とす猟兵もの達。

「……俺は。国は、『悲劇』から逃れ得なかった。数多の悲劇を俺が振り払っても尚、新たな悲劇が生まれ、俺はそれを『詠んで』来た。星の通りに」
 氷雪の厳しさが激しさを増す。それは彼の歩んできた道行を暗示しているかのように。
 今からやってくる数多の悲劇をも彼は抗うだろう。
「そう、俺はそうして来たからな」

 誰かの姿を一瞥したかと思えば、『天帝』は剣を構える――
 『そうして』来たように。今から訪れる全ての悲劇も、『断て』ば良いのだから。
ミリアリア・アーデルハイム
連携・アドリブ◎ 負傷止むなしで

先制攻撃に対し「屏氷万里鏡」を展開「涼風の傘」と「神獣の毛皮」も使用して三重防御。そちら程ではありませんが私も極寒の地出身ですので何とか凌ぎ切りましょう。

感覚がなくとも自分の声が聞こえなくとも、詠唱さえ叶えば・・・
【多重詠唱】でUCの属性を【生命に仇為す者を灼く永劫炉の炎】に書き換え反射。可能ならば【天候操作】で吹雪を弱めたいところですが、そんな余裕は・・・。



●五感を絶たれようとも尚
「――俺の国を苛んできた『呪われた風雪』。お前も味わうといい!」
 『天帝』がミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)を視界に収めた瞬間、一帯に荒れ狂うのは魔の吹雪。
 当然彼女とて予測はしていたが故に、素早く『屏氷万里鏡』を盾が如く拡げ、装備も極寒地を識るものが故に重装備だ。
 ……寒冷に適応する事も、この風雪に押し流されぬ為の準備も整えてきた。
 が、刹那での刺し合いにも似たユーベルコードの撃ち合いは否応なしに『一先ず』向こうに軍配が上がる。

(……『恐らく』凌ぎ切った、というのは実感としてあります、が)
 まだ、立っているという。か細い実感のみで彼女は漆黒に塗りつぶされた世界で抗い続ける。
 意識がまだある。だが、五感が『切断』されたという自覚は同時に彼女に1つの焦りを生ませる。
(――私の、意識も『刈り取られれば』そこで終わり……!!!)

 実際、彼女には『見えていない』が、『天帝』が吹雪と共に顕現させた幻想の武具達はミリアの命を刈り取る為の体制を取っていた。
 最早『根負け』をすれば、自分を信じる事を止めれば彼女が一方的に打ち倒される未来が待っているだろう。
 現に、『天帝』はそういった未来を『見ていない』。

「万里成す屏氷――」
 彼女は、自分の詠唱が『聞こえていない』。心が、抗う意志を示すように、正しい詠唱が紡がれている事だけを信じて『何か』を紡ぐしかない。
 それの成就を阻止しようとばかりに振り翳される刃は、ミリアに数多の傷を刻み、身体の限界を迎えさせようと攻勢を続ける。

 けれども。
「生命の輝きを宿し、」
 ……彼女は、『五感を絶たれている』。どんなに傷つけられようとも、肉体がボロボロにされようとも。
 詠唱を止めることはない。意志が折れぬ限りは――!!!

「悪しきを弾け……ッ!」
 瞬間。極寒の国に『炉』より熱が齎される。
 まるで風雪を相殺するかのように煌々と存在するその焔こそ、彼女の『屏氷万里鏡』が反射し、書き換えた『極寒の世界』。
 その『悲劇の星』は、その刹那に訪れたが。遅い。国では恵みであろう熱が、その君主を灼き、滅びを与えんかのように燃え盛ったのだ。

 ミリアがその五感を取り戻す頃には、ボロボロの自身の肉体の激痛。そして――
 ……焔によって溶かされた雪より、去っていく『天帝』の姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミツバ・カナメ
悲劇を終わらせたいってのは分からなくもないけど、そのためにもっといっぱい不幸な人を増やすのは良くないことだからね!
止めさせてもらうよ!

敵の先制UCは、ジグザグ軌道の【ダッシュ】で狙いを逸らさせて回避を試みる。
それでも当たりそうなら、ブーツからの圧縮空気噴出(【推力移動】)で無理矢理移動方向を変えて回避。

で、こっちの攻撃を先読みして避ける…っていうなら。回避を封じるのが一番かな。
というわけで『動くな!』(UC発動)
動いても行動速度は半分、それでこっちの攻撃避けきれるかな!

ディスチャージ・ロッドから【電撃】を放って【マヒ攻撃】、動きが更に鈍ったところでハード・ノッカーの【零距離射撃】を撃ち込むよ!



動くなFreeze
 『天帝』が炉の焔で焼かれ、その場を離れて数刻程。
「また、俺に悲劇を齎そうと言うのか」
 突如振り向いた彼が剣より凍気を放つ。その射線上に居たのは――ミツバ・カナメ(みんなを守るお巡りさん・f36522)の姿。

「ならば、何度来ようとも絶ち切るまで! 俺は、ずっと、ずっとその様にして国を、導いてきた!!」
「悲劇を終わらせたいってのは分からなくもないけど、そのためにもっといっぱい不幸な人を増やすのは――」
 射線をずらさせるジグザグ軌道に加え、ジェットブーツの齎す推力移動は『追尾性の無い』直線攻撃を避けるには頼もしい装備であっただろう。
「良くないことだからね!」

 直線という分かりやすい射線である以上、回避するのは容易であるが、向こうも『先読み』という利がある。
 先程から随分と派手な牽制を仕掛け続けているが、それ程までに此方が行おうとする行為に警戒心を抱いているのか。
 それもその筈だ。彼女は――猟兵であり、『婦警』でもある。

 翻された警察手帳を見るや否や、その攻勢は激しさを増すが、ある意味ではもう手遅れであると言えたかもしれない。
「『動くな!』」
 それは呪いの風雪よりも余程厄介な『言葉による呪縛』。正義の警官の課すことが出来る共通の『制約』。
「――ちっ、それが貴様の課す『制約』か!」
 従えば動くことはままならぬ。けれど『脱出する』にはその手帳を叩き落さなければならない。
 叩き落とそうと動くならば――その身に流れる速度に重荷が課せられる。

 ……これが成立した時点で、『天帝』は詰んだとも言えるだろう。
 ならば後は警官の鮮やかな武力鎮圧という『悲劇』に押し流されるしか無い。
 電磁警棒の強烈な一振りにアスタルシャがくぐもった声を吐き、その腹部に慈悲なき零距離射撃が浴びせられる。
 その一瞬だけ手帳の掲示が途切れたのは良いが、余りにもその間に受けたモノは手痛い。

 彼女に更なる次手を受ける前に、と判断されたのか、その隙を突いて再び『天帝』が姿を消す。
 だが……彼の詠んだ悲劇はまだ、完全に絶ち切れて居ないことも、双方『知っている』のだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

リューイン・ランサード
困難を乗り越えてきた経験と未来予知の力。
この人が強いのは一目で判る。
でも逃げる訳にはいかないので頑張ります…怖いけど。

氷獄凍土に対しては、仙術・結界術・高速詠唱で自分の周囲に桃源郷に似た別空間を作り出して吹雪の力を軽減。
絶凍剣や武装群は第六感・瞬間思考力で軌道を読んで、自分の翼+空中戦・見切りで回避。躱せない時用にオーラ防御を展開の上でビームシールド盾受けの構えを取る2段重ねで対応。

2回攻撃の1回目で、光の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱にて作り上げた光の槍をスナイパー・貫通攻撃で放つ!
予知で何かしらの対応はされてしまうでしょう。

なので2回目にてUC:次元刀で彼の急所を斬ります。
こっちが本命です!



●見えていても、全てを見ることは出来ず
 『天帝』に休息は与えられない。それも悲劇の1つというべきなのだろうか。
 リューイン・ランサード(波濤踏破せし若龍でもヘタレ・f13950)を視界に収めた彼は、言葉を待たずして氷獄の嵐を叩き付ける。
 それがリューインに示すのは、眼前の王が如何に過酷と戦い続けてきたのかという程の苛烈な氷雪。

(――困難を乗り越えてきた経験と未来予知の力)
 リューインを護るように展開される領域は桃源郷を想起させるような穏やかな仙域。
 だが、吹雪はそれを蝕もうとするかのように領域の中にすら手を伸ばそうとしてきている。
「……この人が強いのは一目で判る」
 寒さではない。確かな強者の感覚に手が震えそうになるも、それを抑えるように盾を握る手が強くなる。
 逃げる訳には、行かないのだ。でも、……それでも、恐怖を拭い去ることは、難しい。

 だからこそ、長引いて自身の臆病が、恐怖がこの期に及んで露出してしまう事だけは避けたい。
 自分だって『相対する』為にやってきた戦士の1人であるのだから――
 振り翳される剣先も、吹雪と合わせて形作られた幻想の武具達も、鮮やかに、軽やかに。勇士は寒空の中で羽撃きを止めることはない。

 ……収束する光を見遣るアスルタシャの顔は険しい。
 リューインにもその顔色で理解できた。『天帝』はこの攻撃を全力で迎え撃ってくるだろうと。
 手に収まった輝ける光の槍は通常であれば防御は難しいものだろう。だが、『予知』が出来ているなら話は違う。
 アスタルシャはその『悲劇』を絶ち切らんと、携えた絶凍剣を以て光の槍を斬り落とすという絶技を見せたのだ。
 そう――槍は確かに斬り落としたのだ。

 が、……彼の肉体には確かな傷が刻まれていた。
 見落としたという訳ではない。傷の被害も確かに『予知』していた筈だったのに。

「――全てを、斬り裂け」
 光の槍を放ち、再びがら空きになった筈の手より放たれたのは『二の矢』としての斬撃。ただ、予知は確かに全てを見ていた。
 ……あくまで、天帝が『そのように別のアプローチ』で斬られると予想をしていなかっただけで。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒影・兵庫
(「悲劇が詠めるって厄介だけど欲しくはない能力ね」と頭の中の教導虫が話しかける)
何しても悲劇が見えるんじゃ何もする気が起きなくなりそうです
(「そうね。さ、どう戦う?」)
UC【蜂皇清掃術】で攻撃を仕掛けます!ただしUC発動前に先制攻撃をされるでしょうから
まず{蜂蜜色の靄}で煙幕を作り
次にオーラを人型に変形させ俺そっくりに『メイク』し囮にし
そして俺自身は『トンネル堀り』で『地形破壊』して地中に身を隠す!
これらを『早業』で行い
隙を見て『衝撃波』を使った『推力移動』で空中に飛び出し即座にUCを発動します!
(「よし!じゃあ作戦開始よ!」)
はい!せんせー!



●見えるものだけが全てで無く
(『……悲劇が詠めるって厄介だけど欲しくはない能力ね』)
 黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)に語りかけるような教導虫の『彼女』の言葉は、かの星詠みの力の『悲劇』を見たものだった。
「何しても悲劇が見えるんじゃ何もする気が起きなくなりそうです」
 『天帝』の星詠みの精度は恐ろしく良い物だったのだろう。けれども、彼の見る未来は『自分に降り掛かる悲劇』のみ。
 それでも折れること無く突き進み続けたその在り方は――不屈、というべきか。

 ……そういった会話の最中、彼らを突き刺すような殺意と共に氷の魔法剣が強襲した。
 既に向こうは此方を『悲劇』の元凶として認識している。ならばまずはこの剣を掻い潜らなければならない。
 刹那、展開された蜂蜜色の靄を斬り裂くように氷剣が乱れ飛ぶも、『天帝』はまだ手応えを感じては居ない。
 その中を飛翔し『仕掛けてきた』様に感じた黒影のような影に彼は当然ながら魔法剣を差し向けたのだが。

(……確かに、あの影を俺は捉えた。だが、感触が、可笑しい)
 斬り捨てた筈の『手応え』が無い。星は靄の中より襲い来る黒影を映していたのは確かなのだ。ならば――何処から?

 その疑問は一瞬の懐疑という隙を与えてしまったことにより『答え』を返された。
 ……後背から氷雪を巻き上げながら出現した黒影は『地中から』現れたのだ。靄はまだこの場を支配している。
 視認させる猶予も無いままに彼が叩き付ける『矢』は、彼より全ての方向に生じる。

 そう、『天帝』が見た悲劇は――
 黒影に襲撃された直後、爆発に巻き込まれる事。
 『天帝』の見た星は一部でしか無く、だがその悲劇は正しいものだった。

 突き刺さり、爆ぜるオーラの矢の爆発に対策する暇も無くその中へ呑まれた『天帝』であるが。
 追撃を避ける為か、黒影がその後でアスタルシャを見つける事は無かった。
 ……靄は晴れた。確かな手応えはある中、最後に聞こえたのは『巻き込まれた』であろう確証の声のみだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!

アスタルシャ……未来を見通し、数多くの結末を乗り越えてきた強敵でありますな。
立場はこちらが挑む側となりマスネ。油断なく戦いに臨みマース!

その先読みはあくまでも受け身!
ワタシが攻撃に出るタイミングに合わせて先制攻撃を叩き込むというものならば!
後の先ならぬ、先の後!
UCを起動すると思ったタイミング、アスタルシャ殿が絶凍剣を放った瞬間に発動をキャンセル!
滑走靴による空中機動で神殺しの一撃を回避して、改めてUCを再起動!
カウンターの「六式武装展開、煙の番!」

煙幕に紛れて接近してファルシオンで斬りかかり……その本気の攻撃を読ませてから、本気のパイルバンカーを叩き込むであります!



●後の先、先の先、先の――?
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は既に負傷を負いながらも今だ闘志を絶やさぬ『天帝』の在り方に強者の感覚を覚えていた。
「アスタルシャ……未来を見通し、数多くの結末を乗り越えてきた強敵でありますな」
 自らと相対するという『悲劇』もまた、彼は見ていたのだろう。接敵の段階から緊張が走っていた。
 じりじりとヒリつく空気の中、煙幕を展開した彼女へ、アスタルシャは素早く絶凍剣を構える。

 ……ただ、彼女の仕込みは二段構え所では無かった。『天帝』が見た未来は煙に乗じた強襲。
 煙幕に即座に反応するように絶凍剣の凍気を放つのを彼女は予め見越していたのだ。
 だからこれは『ブラフ』。煙幕へ真っ直ぐに突き刺さる神殺しの凍気を軽やかに避けたならば『改めて』作戦を開始する。

「――六式武装展開、煙の番!」
 回避機動からそのままあちらからすれば『仕掛け』に行った彼女は再び煙の中へ身を隠す。
 アスタルシャもまた警戒を解いている訳でないことは明白で、まるで彼女の出方を見るように愛剣を構えている。

 予知をも想定した『読み合い』。先に飛び出したのはバルタンの側。
「俺の『星詠み』をも掻い潜ろうというか――だが、足りん!」
 『天帝』は、煙の中、後背を取りファルシオンの一閃で以て強襲しようとした彼女の一撃こそ『本命』だと認識していた。
 だが、その判断こそが誤りであったと認識するには少々遅かった。

 たとえ予知という利があれど、『似たような状況』を重ねてしまえば後はどう動くか、なのだ。
 ……『悲劇』の予知は、一瞬しか切り取らない。

 アスタルシャの身体に、鈍重な衝撃が伝わり、その衝撃のままに彼は氷雪の世界の真っ只中へ吹き飛ばされる。
 バルタンが構えていたのは――パイルバンカー。そう。ファルシオン自体も囮だったのだ。
「……先にそう判断して仕掛けたのはそちらデース。最初以後も油断してこなかったのは流石デスが!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
WHITE KNIGHT、奴が見る悲劇を演算で先読みできるか。
「闇雲な未来予測演算は不毛だぞ。我々が猟兵である以上、奴に悲劇を齎す存在であることが世界に定義されているも同然だ」
つまり我々の全ての挙動が奴の予知の範囲内ということか。予測に予測を重ねれば共倒れになる…厄介だな。
「対処法が無いではない。未来を決め打ちする。【指定UC】を使用すれば奴の未来は『敗北する』という結果に固定される」
奴にとって避けようがない悲劇、か。
「奴と我々の最大の違いは『希望の未来の観測可否』だ。その意味では我々の方が『視界』は広い」

五感を奪う魔の吹雪はPROVIDENCEで無効化可能だ。周囲の事象を電気的に受容し情報処理を行う「レーダーでの観測」は五感のどれにも該当しない。幻想武装群を推力移動で回避。
【指定UC】を発動。有効時間124秒以内に決着させる。
YESODで逃げ場をなくし、CHESEDとGEVURAHで追い込む。接近し、CRESCENT MOONLIGHTで斬撃。

悲劇だけを見ていたこと、それが敗因だ。



●星詠みの収束する先に
 雪原の中を、天使の如く荘厳な姿と成った存在が往く。
 ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)の問い掛けは、『天帝』にも似た力を持つ『彼』に向けられていた。
「――WHITE KNIGHT、奴が見る悲劇を演算で先読みできるか」
 けれども、『彼』は首を振る。嘗て存在していた『白騎士』が、そのような演算において不可能ではないからこそ、だが。
『闇雲な未来予測演算は不毛だぞ。我々が猟兵である以上、奴に悲劇を齎す存在であることが世界に定義されているも同然だ』
 徒に予測のみを繰り返せば、向こうの星はその『悲劇』を根強く定め。彼はそれに全力で抗ってくるだろう。
 それに、そもそも『彼』が解答したように、『猟兵』そのものがかの星にとって悲劇であると定められている可能性が高い。
「つまり我々の全ての挙動が奴の予知の範囲内ということか。予測に予測を重ねれば共倒れになる……厄介だな」

 このままではいたちごっこの果てに共倒れする未来のみが待つだろう。それは互いに望まないだろうし、ジェイミィとしても『意味がない』。
 だが、『彼』は少しの間をおいて、続けての解答を返す。まるで、何かを渋っていたかのように。
『対処法が無いではない。未来を決め打ちする。あの手を使用すれば奴の未来は『敗北する』という結果に固定される』

 数刻後。
 満身創痍にも近い『天帝』が、彼らを視界に入れてからの動きは恐ろしいくらいに早かった。
 魔の吹雪が五感を喪失させ、その中で創造されゆく幻想の武装達は、まるで一番最悪の悲劇を無理矢理払おうとするかのように、力強かった。
「……奴にとって『避けられない悲劇』、か」

 ジェイミィは五感が喪失し、レーダーによる探知データのみが送信される世界に叩き落されながらも、『彼』の言葉を反芻していた。

 ――奴と我々の最大の違いは『希望の未来の観測可否』だ。その意味では我々の方が『視界』は広い。

 現に、彼は共に歩む民達の悲劇をも退けるのは出来なかった。
 彼の視野は自分だけにしか届かない。ただ、此方の予知グリモアは、悲劇を詠むだけではない。希望すらも観測する。
 その希望へ約2分のタイムリミットを捧げるのが、惜しくないのも――そういった『希望』が先にあるから。

 推力移動と共に、かの羽根は舞い散る。
 羽根の形をしたそのビットは、魔の吹雪の中ですら誤差すら無くアスタルシャの下へ殺到したのだから彼の驚愕は言うまでも無いだろう。
 怒号のような叫びが彼から発されたかもしれない。彼がそれを振り払おうとしても、ジェイミィは限られた時間の中で『詰める』事を止めようとはしない。
 二丁のビームライフルが『天帝』の行き場を残酷に、冷酷に塞いでゆく。当然『天帝』はその果ての悲劇を知っている……だが。
 抗えば抗う程に、『絶望の未来』ひげきが収束してくるのだ。それでも心を折ること無く、沈もうとしないのは『天帝』たる所以であったろう。

 そんな彼を、光刃が一刀にて斬り伏せる。
 ……残り4秒の世界。アスタルシャには、その4秒の先が、何も見えていなかったのだ。
「――悲劇だけを見ていたこと、それが敗因だ」

 ……悲劇が、絶望に、固定される。
 それでも。かの男の最後の表情は、最早逃れ得ないものであろうとも、決死に抗い続けた、1人の男の物であった。
 氷雪の地が、その表情を白く白くかき消して――そうして、『天帝』はいなくなった、のだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月29日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト