アルカディア争奪戦⑩〜アイランド・オブリビオン
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蒼空解放団
飛空艇の甲板上で前方を眺めていた私は、視界に入ってきた巨大な浮遊大陸に目を見張りました。
「あれがバルクラ竜拝帝国……」
「うん、
日蝕帝国を信奉する帝国みたいだよ、リベレイアさん」
飛空艇の操舵輪を握るリオさんが、空図をみながら浮遊大陸の方向へと舵を切ります。
浮遊大陸が徐々に近づいてきます。
まるで邪悪なオーラを発するかのような浮遊大陸を見ながら、召喚士のアライナさんが説明を始めました。
「バルクラ竜拝帝国には、大陸内部全域に「竜脈坑道」と呼ばれる魔法洞穴が張り巡らされているの。それによって『ドラグナー化オブリビオン』という強力なオブリビオンを生み出しているというわけ」
「強力なドラグナー化オブリビオン……」
アライナさんの言葉に、心の中に不安が広がっていきます。
――屍人帝国に立ち向かうなんて、私なんかに本当にできるのでしょうか。
ですが、漆黒の翼を持った黒騎士、シドゥリアさんが声をかけてきてくれました。
「安心して、リベレイア。どんな敵が待っていても、わたしがあなたを守るわ。たとえ屍人帝国が相手でも、ね。――わたしは、あなたの剣だから」
「ありがとうございます。頼りにしていますね、シドゥリアさん」
私は彼女に笑顔でお礼を言い――。
――その瞬間。突然、飛空艇に大きな衝撃が走りました。
飛空艇――ガレオノイドのサラさんの声が響きます。
「ちっ、攻撃を受けてる! アンタたち、どこかに掴まってな! 不時着するよ!」
「きゃっ、きゃあああっ!」
飛空艇は急速に高度を下げ――小さな浮島に激突するように着陸しました。
サラさんがガレオン船から人型に戻ったことで、私は地面に投げ出されます。
「リベレイアさん、ご無事ですかっ!?」
「は、はい、ヴォルフさん。私はなんとか大丈夫です」
人狼騎士のヴォルフさんの声に応えながら身を起こしました。
「怪我がないようでよかったです。他の皆さんも大丈夫そうですね」
全員の無事を聞き、ほっと一息つくと改めて周囲を見回します。
――そこは、鬱蒼とした森が広がる浮島でした。
けれど、島から感じるのは邪悪な気配。
「これは……まるでオブリビオンのような……」
「そうでござるな。見たところ、この浮島自体がドラグナー化オブリビオンというもののようでござるよ、聖女殿」
カイゼル髭の騎士ラケーテンさんの言葉に自分たちの置かれた状況をようやく理解しました。
「まさか――私たち、ドラグナー化オブリビオンの島に攻撃されて……その上に墜ちてしまったのですか!?」
果たして私たちは、この浮島から無事に脱出できるのでしょうか――。
「ア”ア”ア”-ッ!」
ズタブクロさんの奇声が島に響き渡りました。
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「
日蝕帝国を信奉し、増援を送り込んでいるバルクラ竜拝帝国――。そこが今回の戦場です」
グリモアベースで猟兵たちに説明を始めたアイ・リスパー(f07909)は、ホロキーボードを操作すると空中に3次元立体映像を表示した。
巨大な浮遊大陸のワイヤーフレームが描画され――その周辺に浮かぶ小さな浮島が拡大される。
「この浮島は元々、浮遊大陸の一部だったのですが――竜脈坑道という魔法洞穴によって『ドラグナー化オブリビオン』となってしまったものです」
そう、この浮島ひとつが巨大なオブリビオンなのだ。これまで戦ってきたオブリビオンとはスケールが違う相手である。
「このドラグナー化オブリビオンである浮島を倒すには、その心臓となる天使核を見つけ出して破壊する必要があります。ですが――予知では天使核の場所を特定することはできませんでした」
浮島には、森の奥に生えた大樹や、廃墟となった城、地中に広がる洞窟など、怪しい場所が多い。
こうなっては、浮島を人海戦術で探して天使核を見つけ出す以外に方法はない。
「そこで今回は、この浮島に攻撃されて不時着した
飛空艇艦隊の一員である
蒼空解放団の勇士たちと協力し、島を探索して天使核を発見、破壊していただきたいのです」
蒼空解放団は、これが結成後初任務となる勇士たちだが、リーダーのリベレイアの元、強く結束しているパーティだ。
彼女たちも浮島から脱出するために天使核を探しているので、協力すれば効率よく天使核をみつけられるだろう。
「また、浮島に天使核からのエネルギーを循環させている竜脈坑道という洞窟を破壊することでも、浮島の活動を止めることができるかもしれません」
ただし、洞窟を崩落させる場合には、生き埋めにならないように注意が必要だ。
「このドラグナー化オブリビオンである浮島を放置しては、
日蝕帝国への増援になりかねません。要塞級のオブリビオンですが、なんとか撃破をお願いします」
そう言うと、アイはホロキーボードを操作し、浮島へのゲートを開いたのだった。
高天原御雷
このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結し「アルカディア争奪戦」の戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。
オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
敵は浮島級の巨大オブリビオンです。それを撃破するために
蒼空解放団の勇士たちと協力して天使核を見つけ出してください。
オープニング公開からプレイング受付を開始します。断章はありません。
それでは、よろしくお願いいたします。
●プレイングボーナス
飛空艇艦隊の勇士達と協力して戦う/坑道の崩落に敵を巻き込む。
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蒼空解放団について
蒼空解放団は以下のシナリオで登場した勇士パーティですが、内容は知らなくても問題ありません。声をかければ手伝ってくれます。
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=44471
リベレイア・ホリィ
人間、女、16歳、聖者
神の啓示を受けた農家生まれの少女。正義感が強い。
蒼空解放団のリーダー。
ズタブクロ
デッドマン、男、年齢不詳、殺人鬼
ブーメランパンツを履いた裸体マッチョ男。顔には穴の開いた袋をかぶっている。武器は巨大な中華包丁。意味不明の叫び声を上げるだけなので意思の疎通はできない。
シドゥリア
堕天使、女、18歳、黒騎士
闇色の大剣を装備した少女。かつてはパーティを全滅させる死神と呼ばれていたが、リベレイアの剣になることを誓った。
リオ・レウス
人間、男、16歳、飛空艇パイロット
真面目で優しい常識人。空賊王を目指している。
アライナ
強化人間、女、22歳、クリスタルサモナー
腕は確かな召喚士。複数のパーティで恋愛トラブル(主に女性相手)を起こし追放されてきた。貧乳派。
ラケーテン・リッター
人間、男、38歳、ロケットナイト×白馬の王子様
カイゼル髭が似合う地方領主の跡取り息子。聖女が触手魔獣に襲われる薄い本が好き。
サラ・レキシントン
ガレオノイド、女、120歳、飛空艇パイロット×ディバインウィザード
面倒見がいい姉御肌。豪快な性格。
ヴォルフ・ドナー
クルースニク、男、16歳、サンダーバード×カースブレイド
礼儀正しい性格の人狼騎士。トラックに轢かれて異世界転生してきた能力者。能力は雷の刀を生み出す『サンダーカースブレイド』。
第1章 集団戦
『蜃気楼の島インスラ・ポモルム』
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POW : 悪魔猫を撃退せよ
【冒険心】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【猫型の魔獣が襲い掛かる。その魔獣は爪】から、高命中力の【斬撃】を飛ばす。
SPD : 魔鳥の群を退治せよ
召喚したレベル×1体の【巨大なカラスのような姿の魔獣】に【さらなる頭や翼、人間の腕など】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ : 迷いの森を踏破せよ
戦場全体に、【蜃気楼で包まれ、一部魔獣と化した木々】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
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菫宮・奏莉
このパーティに足りないものがあります。
それは『勇者』なのです!
ということで押しかけ勇者しちゃいますですね。
ダンジョン攻略、ご一緒させてくださいなのです。
竜脈坑道を突破して天使核を見つけるお手伝い、させていただくのですよ。
ダンジョンは、右手の法則でいけばぜったいに迷わないと教えてもらいましたので、
壁に右手をつけ、左手にはメディカルトレーを掲げて、
ダッシュで最速攻略を目指しますですね。
障害物は【オーラ防御】と【ジャストガード】【シールドバッシュ】で突破なのです!
石につまずいて壁に思い切りダイビングヘッドバット。
あわわわっ!? 坑道が崩れちゃいますー!?
え、えと、竜脈壊せたから結果おーらい、です?
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「リベレイアさん、このパーティには足りないものがあります!」
「えっ、あ、あなたは!?」
島の探索を始めようとしていたところに、突如、少女の声が響きました。
周囲を見回すと、大きな岩の上に一人の少女が立っています。
その少女は黒髪を肩のあたりで切りそろえていて――額と右目に包帯を巻いた痛々しい姿をしていました。さらに着ている服は病人服で、両手首と両足首の包帯は赤く染まっていて……。
「って、怪我人じゃないですかっ!? 今、治療をしますからねっ!」
「あ、ありがとうございますです。ちょっと岩に登ろうとしたら、足が滑っちゃいましたです」
「そこまでして無理に高いところから登場しないでくださいっ!?」
私が手をかざして聖なる光を少女に当てると、その傷が見る見る塞がっていきました。
ふう、これで一安心です。
「いえ、そうじゃなくって。こんな浮島で何をしているのですか?」
私の問いかけに、黒髪の女の子は本来の目的を思い出したというような顔をして、再び大岩に登りました。
「というわけで、このパーティには足りないものがあります!」
「あ、そこからなのですね」
大岩の上に仁王立ちしてビシィっと指を突きつけてきた女の子が、天を指し示しながら告げます。
「――それはすばり『勇者』なのです!」
「ゆ、勇者っ!?」
確かに、このパーティには神の啓示を受けた私はいますが、勇者というジョブの人はいません。
まさか、屍人帝国に立ち向かうには、勇者も仲間にしなければならなかったのでしょうか!?
「けど、安心するです。今なら勇者である、この菫宮・奏莉が天使核を見つけるお手伝い、させていただくのですよ!」
「ええっ、奏莉さん、勇者なのですかっ!? な、なるほど、その額と右目の包帯は、激しい戦いで負った傷のせいだったのですね――」
「いえ? これは、ものもらいなのですよ?」
可愛らしく首をかしげる奏莉さんでした。
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「さあ、リベレイアさん、一緒にダンジョン探索に出発なのですよっ!」
「あっ、奏莉さん、待ってくださいっ!」
ずんずんと島の地下に広がる洞窟へと踏み込んでいく奏莉さん。怪我だらけ(に見える)の女の子を一人で行かせることはできず、私も一緒についていきます。
「知っているですか、リベレイアさん。洞窟は右手の法則で行けばぜったいに迷わないと教えてもらったのです」
そう言うと奏莉さんは右手を洞窟の壁に付け、左手には医療用のトレーを掲げ、暗闇の中を勢いよく駆け出しました。
「奏莉さーんっ、暗い中で走ったら危ないですよっ!?」
「だいじょぶなのですよー! って、あわわわっ!?」
暗闇の中から奏莉さんの慌てた声と、何かに激突する激しい音が聞こえてきて――ガラガラと洞窟が崩れる音が!?
「だ、大丈夫ですかっ!」
暗闇の中を転ばないように慎重に進んでいくと、そこには倒れた奏莉さんと――。崩落した坑道に生き埋めになった猫型魔獣たちが!
「うっかり石に躓いて、魔獣さんたちにヘッドバッドしてしまった上に、坑道を頭突きで崩しちゃいましたですけど……。龍脈壊せたから結果おーらい、です?」
ぴょこんと元気よく立ち上がった奏莉さんですが……。
――その直後、額からぴゅーっと鮮血が吹き出し。
「早く戻って手当てしますよっ!」
私は奏莉さんを連れ、仲間たちの元に戻ったのでした。
大成功
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フィーナ・ステラガーデン
蒼空解放団から誰か連れていけるのね!適当に良い子見繕ってちょーだい!
ってか大きな木みたいなのが島乗っ取って迷宮っぽくなっちゃってるわけよね?全部燃やせばいいんじゃないかしら?あ、だめ?いつもの流れね!
じゃあ適当に進むとするわ!道が根っことかで通れないなら燃やすなり爆破するなりするわ!基本まっすぐしか進まないわよ!ってか迷路になってるのね。
あー。ん-。ん-。ん-?あー。面倒臭いわね!!
もうなんか核あるっぽい所に向かってUCを思い切り打ち込めばいいわ!
かなりの硬度があるなら硬度上回る火力でぶち抜けばいいのよ!というわけでため込んでUCを打ち抜くわ!
後は勇士に運んでもらうとするわ!
(アレンジ歓迎)
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「この私フィーナ・ステラガーデンが見つけてきた勇士ズタブクロのパーティ、
蒼空解放団の初めての冒険が始まるわけね! つまり初めてのお使いみたいなものよね! どんな結果になるのかとっても楽しみだわ!」
「マ”ァァ」
「ズタブクロ、アンタも気合入ってるじゃない。いいわ、私もアンタの冒険に協力してあげるわ! 大船に乗ったつもりで安心してなさい!」
「ウア”ア”?」
「なにアンタ、このフィーナ・ステラガーデンの実力が信じられないっていうの? それなら目ぇかっぽじってよーく見てなさい!」
「ホ”エ”エ”エ”!?」
「え? 目は見開くもので、かっぽじるのは耳? ちょっとアンタ、そんな図体して細かいことにこだわるわね! いいのよ、そんな些細な事は! さあ、さっさと先に進むわよ!」
「ア”ア”ア”-ッ!」
「それにしても、この森、まるで迷路みたいで進みづらいわね! あれね! あの島の中央の大きな木が島に森を広げて迷宮っぽくしてるわけね!」
「ヴォウウウウッ!」
「ならどうするのかって? 簡単よ。迷宮の壁のように這い回っている大木の幹や根っこを消し炭にして真っ直ぐ進めば迷うこともないわ! さあ、ズタブクロ、アンタの出番よ! まずはそのでっかい中華包丁で迷宮の壁を切り刻んでちょうだい!」
「イギィィイ!」
「気合入ってるじゃない! いい感じに木の幹や根っこに切れ込みが入ったわね! ……あとは私の魔術で燃やし尽くしてあげるわっ!」
「コ”オオオッ!」
「よーし、この調子で壁を燃やしながら進めば――って、ちょっと、あの大木までいったいどれだけ距離があるのよっ!」
「ウ”ォォォッ」
「そうね。これだと非効率的よね。けど大丈夫よ、この私の天才的な頭脳が素晴らしい解決策を閃いたわ! そう、邪魔な森は――全力で焼き尽くす!」
「ア”ア”ア”!?」
「其の力は焔、焚べるは我が魂。嗚呼燃やせ、燃やせ、燃やせ! 渦巻くは煉獄の炎。立ちはだかる不条理を射抜き! 貫き! その先までも!! ――これが、詠唱時間に応じて威力が強くなる黒焔の濁流よっ! 焼キ焦がせええええええええ!!!」
「ヲアアアッ!」
「――ただ、この魔術の欠点は……全魔力を注ぐから……私が気絶しちゃうことなのよね……。ズタブクロ、森の出口まで私を運んでくれないかしら? あとのことは頼んだわ……」
「ヴォオオオオオッ!」
大成功
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ビッグ・サン
「やあリオ君、元気ですか」
「ああ、ビッグさん、変わった人ばかりですが(ズタ袋に視線を向け)何とか頑張ってます(リベレイアに視線を向け)」
「それは良かった、猟兵が紹介する人たちなんて変なのが多いでしょうからね。つっこみ役に常識人が必要だと思ってたんです」
「そんな理由で進めたんですか」
「まあまあ、それより、この厄介な森をみんなで突破しましょう
どうです、森は突破できそうですかコロンボスさん」
「ビッグ君、うちのカミさんがね、こういう森の突破方法を知っていてね」
(天使核を求めビッグも浮島に来ていたのだが、迷いの森で足止めを受け、名探偵の霊を呼び出し進んでいる)
「迷宮無しの名探偵の手腕に期待してますよ」
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「やあリオ君、元気ですか? 仲間とはうまくやれていますか?」
「あ、ビッグさん!」
浮島に落下して脱出方法を探している僕たち
蒼空解放団の前に姿を現したのは――左目に仮面を付けたナイスミドルな人形遣いのビッグさん! ぼくをリベレイアさんたちに引き合わせた人だった。
「ちょっとビッグさん、聞いてませんでしたよ。こんなパーティだなんて……」
ぼくはチラリとズタブクロさんの方に目を向ける。
ムキムキマッチョなボディにブーメランパンツ一丁で奇声をあげながら中華包丁を振り回している変人だ。顔には目の部分に穴が開いている袋をかぶっているので、その表情は伺い知れない。
「それに冒険に旅立ったかと思ったら飛空艇が墜落するし――」
「リオの坊や、アタイの飛び方に何か文句でもあるのかい? そもそもパイロットの坊やが敵襲を回避できてれば、こんなことにはならなかったんだよ?」
飛空艇――今は人間形態に戻っているガレオノイドのサラさんに目を向けると、怖い目で睨み返されてしまった。いやいや、だって、まさか浮島がいきなり攻撃してくるなんて思わないじゃないか。
「まあまあ、サラさん。あれは誰のせいでもありません。すべてはこの浮島――巨大なドラグナー化オブリビオンのせいなのですから」
そこにやってきたのは、パーティのリーダーであるリベレイアさんだ。ぼくと同じ16歳なのに神の啓示を受けて屍人帝国と戦おうと立ち上がった勇気ある女の子。
正義感が強く清楚な性格な美少女なのに、着ている聖女服は超ミニスカートなんだ。
風が強い飛空艇の甲板上で、ついその足に目が行ってしまうのは男として仕方ないことだよね。
「なるほど、リオ君はああいう娘が好みですか」
「な、何を言うのかな、ビッグさんは!? ぼ、ぼくは空賊王になる男だよ! 女の子なんかにうつつを抜かすわけないじゃないか」
けど、ビッグさんはすべてお見通しといった表情だ。
「まあそういうことにしておきましょう。けれど、なかなか個性的なメンバーが集まったようですね。ツッコミ役の常識人としてリオ君を推薦した甲斐がありました」
「ちょっと、そんな理由でぼくを旅立たせたんですか!?」
――ビッグさんにはそう言ったけど、この人に感謝しているというのがぼくの本音だ。
もしビッグさんが夢を追うように背中を押してくれなかったら、ぼくは今でも田舎の島でくすぶっていたんだろう。そして、「いつか空賊王になる」と口先だけで言いながら、そのままただの飛空艇乗りで人生を終えていたはずだ。
こうして本当の冒険に出て、屍人帝国のドラグナー化オブリビオンに挑んでいるなんて、本当に夢みたいなんだ。
「と、とにかく、リベレイアさん! この森を突破して天使核をみつけよう!」
「はいっ、そうですね、リオさん。一緒に頑張りましょうね!」
リベレイアさんがぼくの両手を握って、にっこり微笑んできて――。ぼくはこの迷宮と化した森を何としても突破しようと心に誓ったんだ。
「――リオ君、わかりやすいですねぇ。それにリベレイアさんは無自覚なのが罪深いですね」
「う、うるさいな、ビッグさん!」
「私がどうかしました?」
ああ、きょとんと首をかしげるリベレイアさんも可愛いなあ。
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「あの、リオさん、さっきからなんだか同じ場所を回っていませんか?」
「だ、大丈夫だよ、リベレイアさん。ここはぼくに任せて!」
「――リオ君、手分けして調査しようということで、私とリオ君、それにリベレイアさんのチームになるよう仕組んであげたんですから、いいところをみせてくださいね」
リベレイアさんに聞こえないように、ビッグさんがぼくに耳打ちをしてくる。
けれど、この迷宮のような森に入ってから、すでに一時間。すっかり道に迷ってしまっていたんだ。
「ど、どうしよう、ビッグさーん」
ぼくは小声でビッグさんに助けを求めるしかなかった。
「やれやれ。それでは少しリオ君の手助けをしましょうか。――真実は常に一つ、謎解きの時間ですよ名探偵コロンボスさん」
ビッグさんがどこへともなく語りかけると、急に背中に寒気が走った。それは、まるでゴーストに肌を撫でられたかのような感触で――。
そして、ぼくの口が勝手に言葉を紡ぎ出した。
「ビッグ君、うちのカミさんがね、こういう森の突破方法を知っていてね」
え、こ、これ、ぼくの声!?
一体、ぼくの身体に何が起こったっていうんだ!?
「リオ君、キミの身体に名探偵の霊を乗り移らせました。迷宮無しの名探偵の手腕に期待していますよ」
「いや、名探偵が解く迷宮って、こういう迷宮じゃなくないですかっ!?」
ぼくのツッコミの声が森に響き渡った。
「ふう、ようやく迷宮突破したよ……」
「ほら、名探偵の頭脳も役に立ったでしょう、リオ君」
名探偵の推理やひらめきを駆使してぼくは迷宮化した森を見事に抜けることができた。
――ほんとに迷宮を抜けるとか、すごいな名探偵!?
「さすがです、リオさん!」
天使のような笑顔を浮かべたリベレイアさんが駆け寄ってきて――。
「きゃあっ」
けれど、足元の木の根に足を取られて転んでしまったリベレイアさん。
――ぼくの名探偵としての優れた頭脳は、リベレイアさんの服の裾がめくれたのを見逃さず、脳裏に刻みつけたのだった。
「ふふふ、どうやら楽しい冒険になりそうですねぇ」
ぼくたちを見つめるビッグさんは楽しそうに笑っていた。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
◎アドリブ連携OKです
勇士の人が不時着してる?
むやみに超力陽子砲使えないね、プランBで、勇士の人と協力して攻略しよう。
魔獣の襲撃はぼくのユーベルコヲド、厭穢欣浄パラダヰムシフトで、改変して元に戻すか、スズメくらいまでちっちゃくてかわいいのにしちゃうよ!
フロヲトバイの紅路夢の方が小回りききそうだから、道中の攻略や天使核の反応(索敵、道案内)と、ブルーリベレイションズのみんなの分析と合わせて捜索してみよう。
天使核や魔獣にはユーベルコヲドの他に、射撃術やレーザー、障害物の切断とか色々協力していくね!
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「ぼくの名前は国栖ヶ谷・鈴鹿! キミが神様の啓示を受けたっていうリベレイアだね?」
浮島に不時着した私たち
蒼空解放団の前に現れたのは、茶色い髪に狐の耳が生えた、メイド服を着た少女でした。その紫色の瞳は自信に満ちあふれているかのようです。
――その彼女の言葉に私は思わず勢い込んで聞き返してしまいました。
「はい、私がリベレイアですが――国栖ヶ谷さんは、私が聞いた神の啓示を信じてくださるのですか!?」
これまで、多くの人々に神の啓示――『屍人帝国を倒さなくては世界が滅びる』――を話してきたのですが、それを信じてくれたのは
蒼空解放団の仲間たちだけでした。
ですが、国栖ヶ谷さんは初対面にも関わらず、あっさりと言ってのけてきます。
「もちろん信じるよ! ぼくも魂の形に触れたりできるから、そういうものは身近に感じてるからね」
「ああ、ついに分かり合える方と出会うことができました! 神よ、感謝いたします……!」
思わず首から下げた十字架を握り、天に祈ってしまいました。
「ええと、それで、本題に入ってもいいかな?」
国栖ヶ谷さんが遠慮がちに聞いてきます。
い、いけません。つい自分の世界に入ってしまっていました。
「キミたち、勇士の人たちだよね? ぼくと協力してこの浮島を攻略しない?」
「は、はい。私たちも浮島の天使核を探しているところなのです。協力してくださるのはとてもありがたいです」
こうして、国栖ヶ谷さんと一緒に浮島の探索を進めることになったのです。
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「あの、国栖ヶ谷さん、それは……?」
私が目を向けたのは、彼女が乗る――まるで一人乗りの飛空艇のような赤い乗り物です。それは国栖ヶ谷さんを乗せて、空中をゆっくりと飛行しながら進んでいます。
そんな私の思考を読んだかのように、国栖ヶ谷さんから答えが返ってきました。
「ああ、これは飛空艇やガレオノイドじゃないよ? ジヰニアスであるぼくが作った最先端テクノロジヰの結晶たるフロヲトバイ、百弐拾伍式・紅路夢さ」
「ええっ、そんな凄いものを作れるのですかっ!?」
「まあね、天才であるぼくに不可能はないからね! ――本当は超力陽子砲を使いたかったんだけど」
残念そうに呟く国栖ヶ谷さん。恐ろしそうな響きの言葉に、私はそれ以上の詮索をするのをやめました。
「それで、どうやって天使核を探しましょうか?」
「天使核の探索なら任せて。ぼくの方で反応を探ってみるよ」
国栖ヶ谷さんが乗り物のパネルを弄り始めますが――。その直後。
「みんな、天使核の前に敵対反応だよ! 気をつけて!」
国栖ヶ谷さんの視線の先に、大量の巨大カラスのような魔獣の姿が見て取れました。
「
蒼空解放団の皆さん、戦闘に備えてください!」
私の声に、パーティメンバーの前衛の方々が前に出ます。
癒し手である私は、後方からの支援をしつつ戦場全体を見渡して指揮をとります。
「危険ですから、国栖ヶ谷さんも後衛に……」
「ふっふっふ、ぼくを誰だと思っているのかな? 天才にできないことはないんだよ」
ええっ、国栖ヶ谷さんが前に出ていってしまいました!?
いくら優れた発明家の方でも、あんな大量の魔物相手では……っ!
――空の彼方から飛翔してきた巨大カラスたちは、その身体に次々とさらなる頭や翼、さらには人間の腕のようなものまで生やして、国栖ヶ谷さんに襲いかかろうとしてきます。
パーティの前衛メンバーも敵の迎撃をしようと武器を構えますが、あの数が相手では国栖ヶ谷さんまで守ることはできません……!
このままではっ!
――ですが、その時、戦場に国栖ヶ谷さんの声が響きました。
「ここはぼくの領域、さぁ、君の魂をあるべき姿へ」
国栖ヶ谷さんの身体から、まるで神聖な後光のような光が放たれ――。襲いかかってきた異形の巨大カラスたちを包み込みます。
すると、なんということでしょう。巨大カラスたちに生えていた頭や翼、腕などが、元に戻っていくではないですか。
さらに、巨大カラスたちが見る見る小さくなって――スズメくらいの大きさになってしまいました!?
ぴーぴー鳴くスズメ大のカラスが私のところにも飛んできましたが、いくら突かれてもちょっと痛い程度です。
そこに、国栖ヶ谷さんの乗り物から光線が放たれ、スズメ大の魔物を焼き尽くしていきました。
「これが、ぼくの
厭穢欣浄パラダヰムシフト。理想世界再構築型ハイカラさん御光さ。――ね、天才に不可能はないでしょ?」
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
初任務から大変ですねぇ。
『坑道』を循環に使っているなら、何処かで天使核と繋がっているでしょうし、まずは『坑道』を探しましょう。
解放団と合流し【涵輔】を発動、獣人姿の多数の『信徒』を召喚しますねぇ。
『猫型魔獣』に備え、猛獣等の戦闘に長けた方と知覚に優れた方で組を作り散開、『坑道』の探索をお願いしますぅ。
『信徒』の一部は解放団と同行し負傷者治癒と護衛、『猫型魔獣』出現時は『FMS』で守りつつ『F●S』各種で対処、『坑道』が発見されたら向かいますねぇ。
後は繋がり方を確認後『FDS』の[爆撃]で『坑道』を崩し『FIS』の転移で脱出、該当方向へ地上から移動して天使核を探しますぅ。
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「初任務から大変ですねぇ、アライナさん」
アタシたちの前に、胸の大きなメイドが現れたわ。
そう、アタシをリベレイアの元に導いてくれた少女。名前は確か、夢ヶ枝・るこるね。
「ふふ、そうでもないわ、るこる。なにせ、ここは木々の多い浮島よ。人目が多い飛空船の上ではリベレイアを物陰に連れ込むことは難しかったけれど、ここならば隙をみて――」
「隙をみて、何をされるつもりですか、アライナさんっ!」
あら、リベレイアに聞かれちゃってたみたいね。
「あのぅ、リベレイアさんがずいぶん警戒しているようですがぁ、なにかあったのですかぁ?」
「ええ、旅立ちの前の夜に、ちょっとリベレイアに夜這いをかけたらね……」
「あ、あの時はびっくりしたんですからっ! もうああいうことは禁止ですっ!」
ああもう、リベレイアの怒った顔も可愛いわね。
「あのぅ、アライナさん、そろそろ坑道の探索に向かいませんかぁ?」
――リベレイアをからかって遊んでいたら、るこるに急かされてしまったわ。
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「なるほど、るこるさんのお考えでは――」
「はいぃ、『坑道』を循環に使っているなら、どこかで天使核と繋がっているかとぉ」
「つまり、アタシたち3人で坑道を探索して、暗闇でリベレイアを押し倒せばいいのね?」
「って、どうしてそうなるんですか、アライナさんっ!」
アタシとリベレイア、そしてるこるの3人は、天使核の探索のために、浮島の地下にあるという坑道を探していたわ。
この広大な森のどこかに、地下の坑道への入口があるはずなのよね。
「それにしても、アタシは召喚士だし、リベレイアは聖女だから、もし敵襲があったら危険よね」
「そこはご安心くださいぃ」
るこるは笑顔を浮かべると、両手を胸の前で組み、神へと祈り始めたわ。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、女神の加護を得し豊饒の信徒達よ、私の下へ――
涵輔」
「な、なんですかっ、この足音っ!?」
リベレイアが目を見開いて見つめる先――森の奥から現れたのは、無数の獣人たち!?
「敵襲っ!? リベレイア、下がって――」
「いえ、大丈夫ですよぅ、敵ではありませんからぁ。あれはぁ、私が呼び出した女神の信徒ですぅ」
現れた獣人たちは、驚いたことに、るこるの指示に大人しく従い、組を作って散開していったわ。
ど、どうなってるの、これ?
「戦闘組に坑道の探索をお願いしましたぁ。残りは戦闘に備えて、私たちに同行してもらいましょうぅ」
「なるほど、これならアタシとリベレイアが後衛職でも問題ないわね」
けど、るこる、召喚士である私ですら呼び出せないほどの数の獣人を、一体どうやって支配下に置いているの!? 彼女、召喚士には見えないのだけど。
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そして、森の中をしばらく歩いていると――。
「皆さん、気をつけてくださいぃ、敵が来ますぅ」
るこるの声と同時に木々の奥から現れたのは、無数の猫型の魔獣たち。
それを、るこるが召喚した獣人たちが迎え撃っていくわ。
「アタシもやるわよっ!」
リベレイアを後ろに下がらせつつ、アタシは火蜥蜴の精霊を呼び出し、猫型の魔獣たちに攻撃を仕掛けたわ。
――けど。
「そんなっ、爪の斬撃でっ!?」
火蜥蜴を切り飛ばした猫型魔獣がアタシとリベレイアに迫り――。
「そうはいきませんよぉ、
FMS!」
るこるから放たれた12枚の円盤がアタシとリベレイアの前に展開されると、そこに光の壁が発生したの。猫型魔獣の斬撃は光の壁に阻まれて、アタシたちの元には届かなかったわ。
「さらに、祭器で攻撃ですぅ」
るこるの周囲に展開された魔道具から光弾や重力弾が放たれ、猫型魔獣たちを殲滅していったわ。
召喚術だけでなく、こんな強力な攻撃魔術まで使えるなんて、ほんとにるこるって、何者なの?
●
「ここが坑道の入り口ですかぁ」
ほどなくして、アタシたちは坑道の入り口にたどり着いたわ。ここから奥に進めば天使核があるのだろうけど……。真っ暗な坑道の中で、また猫型魔獣に襲われたら危険ね。
「けど、迷っている場合じゃないわよね。暗闇の中でリベレイアを押し倒すためにも!」
「アライナさんっ、押し倒さないでくださいっ!?」
アタシとリベレイアが坑道に入っていこうとするけれど――それを止めたのはるこるだったわ。
「ふむふむ、天使核の方向はわかりましたぁ。もう坑道には用はないですねぇ」
そう言ったるこるが展開したのは、14台の宙に浮かぶ卵型の武装で――。
「行ってくださいぃ、
FDS!」
上空へと浮き上がった武装によって坑道が爆撃されて。
「きゃあああっ!」
崩落してくる坑道に、リベレイアが悲鳴を上げ――。
「って、えっ!?」
「大丈夫、リベレイア?」
気がついたら、アタシたちは崩落した坑道から離れた場所に立っていたわ。
――まるで瞬間移動でもしたかのように。
「さあ、お二人とも、地上から天使核の元へ向かいましょうぅ」
まさか、るこるが瞬間移動なんていう超高度な魔術を使ったというの!?
――アタシは驚愕しながらも、天使核へと向かって歩き始めたわ。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
はい、ヴォルフ
ルーって子からの手紙
後でちゃんと読み返して、手紙を書いてあげなさい
私が届けてあげるから
そう言って光速を突破する速度で烏の様な巨大魔獣を因果律ごと叩きのめし、勇士達を護りながら天使核を探していくわ
所で、かなり濃いメンバーが集まったけど……
ズタブクロは唸っているだけで暴走していないみたいだし、アライナがシドゥリアやリベレイア、サラ相手にちょっかい出しているくらいかしら?
何にせよ、良いパーティーね
ヴォルフ、雷剣は近接武器として使うだけでなく投げナイフのように投げる武器として使う事も出来るのよ!
そう言いながらヴォルフが作り出した雷剣を受け取り、インスラ・ポモルムに投げつけるわ
●
「はい、ヴォルフ。ルーって子からの手紙よ」
そう言って俺に手紙を手渡してきたのは、俺がこの世界に来て初めて出会ったシャルロットさんでした。
そうでした。俺は銀誓館学園への通学中に、幼なじみのルーの前でトラックに轢かれてこの世界に来たのでした。ルーにとっては、俺は死んだことになっていたのでしょうか。
「その顔、アンタ、さてはルーのことすっかり忘れてたわね? 彼女、アンタが死んだと思ってすごく落ち込んでいたのよ? ちゃんと手紙読んで返事書くようにね。私が届けてあげるから」
ルーからの手紙――ということは、シャルロットさんは異世界間を行き来する能力があるということでしょうか!?
驚愕する俺に、シャルロットさんが軽い口調で言ってきます。
「っと、その前に邪魔者を排除しなくちゃね」
シャルロットさんが目を向けるのは、はるか彼方の上空。
そこには巨大なカラスの群れがいました。――あれは魔獣!?
巨大カラスたちは、頭部や翼、さらには人間の手などを生やして俺たちの方へと襲いかかってきました。
「くっ、人狼騎士として仲間を守らなくてはっ!」
俺は雷の刃を生み出して前に出ようとし――。
「過ぎたる魔術と科学、即ち叡智と技術はやがて魔の法の域に到達する。其れは因果を跳躍して理を紡ぐ超人の御業なり」
シャルロットさんの詠唱が聞こえたかと思った瞬間。
――巨大カラスたちが光に包まれて悶え苦しみ……そして消滅していきました。
「え、一体何が!?」
「あら、アンタの目には見えなかったかしら? 雷を操るサンダーバードの目ならば、光の速度にもついてこられるかと思ったのだけれど。――ああ、さすがに光速突破までは見切れなかったかしら?」
「光速突破って――まさか、相対性理論を超越したんですか!?」
そう、この世界には光速より速いものはありません。――もしもそれを超えたというのなら。
「ええ、そうよ。光速を超えることで因果律を反転させ、『あの魔獣たちが滅びる』という結果を与えてきたわ。それによって魔獣たちは滅びたというわけ。滅びるという結果が決まった以上、そうなるように原因が生じたのよ」
異世界間移動といい、光速突破といい、この前の予知といい、常人には不可能なことをやってのけるシャルロットさんは一体何者なのでしょうか。
「ところで、ずいぶんと濃いメンバーが集まったみたいだけど……まあ、良いパーティね」
「シャルロットさん、今、ズタブクロさんとかアライナさんから目を逸していませんでした?」
「そんなことはないわよ? それはそうとヴォルフ、ちょっとその雷剣貸してみなさい」
あ、今、話を逸しましたね。
シャルロットさんは俺の手から雷剣を受け取ると――。
「よく見てなさい、ヴォルフ。雷剣は近接武器として使うだけでなく、投げナイフのように投げる武器としても使えるのよ」
雷剣を持ったシャルロットさんは、それを大きく振りかぶり――浮島の中心に向かって投げました。
天を貫き飛翔する雷剣。
それが浮島の中央の上空で静止したかと思うと、まるで落雷のように太い光条となって大地に突き刺さりました。
「ええっ、あ、あれが、俺の
雷剣の威力!?」
「そういうこと。まだアンタは自分の力を引き出しきれていないということよ。ルーのためにも、その力をしっかりと磨くことね」
「え、なんでそこでルーの名前が出てくるのですか?」
首をかしげた俺に、シャルロットさんはため息をつきながら呟いたのでした。
「――はぁ、アンタ、能力だけじゃなくて乙女心についても修行が必要みたいね」
大成功
🔵🔵🔵
光満・桐江
この島が、オブリビオン…!?
つまり、いつどこから脅威がやってきてもおかしくない…
でも、みんなを助けていくためにも
無事に乗り越えていかないと!
ここはこんな事もあろうかと、「敵意」を探知する警報装着付きのレーダー「ギラギラハートはセンシティブ!」で、敵の襲来や天使核を探知していきます
天使核が放っていると思しき反応へ向かいつつ、襲ってこようとする敵も探知し
みんなが攻撃されないよう、迎撃して守っていきます!
場所によっては数が多かったり
奇襲をしてくる敵もいますから
みんなで力を合わせて脅威を退けていきますっ!
シドゥリアさん…
守りたい、という気持ちは、きっとみんなも…
リベレイアさんも、一緒ですから…!
●
「シドゥリアさん、リベレイアさんの仲間になってくれたんですね」
「桐江……だったかしら。あの時は私の背中を押してくれてありがとうね」
私やリベレイアたちの元に現れたのは、光満・桐江。聞き慣れない名前の浮遊島から来たという、メガネをかけた黒髪の女の子よ。短いスカートの服の上から白いローブのようなものを羽織った姿は、まるで錬金術師を思わせたわ。
けれど、今はこの浮島のことが優先ね。
「桐江、気をつけて。どうやら、この浮島自体がドラグナー化オブリビオンとかいうものみたいだから」
「この島が、オブリビオン!? つまり、いつどこから脅威がやってきてもおかしくない……」
この浮島は危険だから帰るように言おうとしたのだけど、桐江の瞳に迷いはなかったわ。
「なら、みんなを助けていくためにも、無事に乗り越えていかないと!」
――この子は、私なんかと違って強い心の持ち主なのね。
これは、私も――負けていられないわね。
●
「それで、天使核を見つけて破壊すれば、この浮島を撃破することができるはずよ」
「なるほど、それなら……こんなこともあろうかと、とっておきの品を作っておいたのです!」
な、なにかしら?
突然、桐江のテンションが上がって、不思議なアイテムを取り出したわ。そして、そのままメガネをきらーんと輝かせながら笑顔で解説を始めたわ。
「これは『敵意』を探知する警報装置付きのレーダー『ギリギリハートはセンシティブ!』です! なんと! この装置は敵の襲来や天使核を探知できちゃうのです!」
「そ、そうなのね……」
桐江の勢いに思わず後ずさってしまうけど――きっと、これもこの子の一面なのよね。
私が自分のことを死神だと思い心を閉ざしていたように――誰もが心の中に本当の自分を隠しているのかもしれないわね。
「あっ、すみません、私、魔科学のことになると、つい夢中になってしまって……。だめですよね、生徒会長補佐が役割なのに――」
「いいえ、ダメなんかじゃないと思うわ。桐江は私の心を開いて素直にしてくれたんだもの。私も桐江の魔科学のこと、もっと聞いてみたいわ」
「はいっ、喜んでっ! ――あ、けど、ゆっくりお話するのは後回しみたいです」
桐江の手元を見ると、『ギラギラハートはセンシティブ!』――この名前だけはなんとかならないかしら――が光って、危険を知らせていたわ。
「どうやら敵のお出ましみたいね」
「はい、一緒に敵を迎撃しましょう!」
私は桐江と顔を見合わせて、空から襲ってきた巨大カラスたちに向かっていったわ。
●
「私が前衛になるわ! 桐江は援護をお願い!」
私は黒い翼を広げると、闇色の大剣を抜き、巨大なカラス型魔獣に向かって飛翔していくわ。
私が悪魔や死神と呼ばれる原因になって、忌み嫌っていた黒い翼。
けれど今は仲間を――桐江を守るために空を飛ぶ力を授けてくれる心強い武器よ!
「私は仲間を守ってみせる!」
大剣を振るい、巨大カラスたちを斬り裂いていくわ。
――けど、巨大カラスたちの身体から頭や翼、腕などが生えてきて……!?
「シドゥリアさん、よけてくださいっ! ギラギラハートはセンシティブ――ブレイクハートモード!」
漆黒の翼を大きくはためかせて上空へと急上昇したところに、桐江が投げ込んだ『ギラギラハートはセンシティブ』が大爆発を起こして――巨大カラス魔獣たちを一網打尽にしたの。
私は桐江の元に着地して――。
「どうやら、私の方が守られちゃったみたいね」
「いいえ、シドゥリアさん。守りたい、という気持ちは私も一緒ですから。きっとみんなも……リベレイアさんも、一緒です」
――ああ、そうなのね。
リベレイアの剣になって守ろうと思っていたけれど、それは間違いだったみたい。
きっと、お互いに守ろうとしあう、それが真の仲間なんだわ――。
「ふふ、それなら――桐江も私の本当の仲間ね。まずは魔科学とかいうものについて、ゆっくり聞かせてもらおうかしら」
「はいっ!」
桐江の楽しそうな声が響きわたり――。
そして、私は迂闊に桐江の魔科学の話題に触れてしまったことを後悔しながら、一晩中語り明かすことになったの。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
人海戦術…ちょっと呼び出してみる?
【指定UC】発動
親衛隊の皆様ー? いらっしゃるー?
呼んどいてなんだけどここ浮島なんだけどどこから来たの君達
即興で親衛隊達のチーム編成
勇士の皆様は各般のリーダーになって捜索エリアを分担していただいて…
あー……ズタブクロさんは自由にどうぞ
一応ヴォルフさんだけ僕と来てもらっていいかな
僕が調べたい方向、魔獣の気配がするから戦力が欲しい
同性の方がいいでしょ?
…男だゾ?
天使核から魔力を感じられるならそれで方向判断
魔獣は【高速詠唱】で水魔法の【属性攻撃、範囲攻撃】を放ち
怯ませ&全身濡らしたところを
雷でバリバリしてもらえたらなと
天使核を見つけたら僕も雷魔法で連携して破壊狙い
●
「僕は栗花落・澪。よろしくねっ」
「俺はヴォルフです。で、こっちが俺たち
蒼空解放団のリーダー、リベレイアさんです」
「リベレイアです。よろしくお願いしますね」
俺たちの前に現れて挨拶をしてきた澪さん。背中から純白の翼を生やした姿はまるで天使のようです。その身にまとうのは、純白のまるでウェディングドレスのような水着のようなそんな衣装。
さすがは俺の世界――シルバーレインと呼ばれているらしい――にはいなかった天使、本格的に神聖なイメージの衣装ですね。
「ねえ、よかったら僕も一緒に島の探索をしてもいいかな?」
「ええ、よろこんで」
澪さんの申し出をリベレイアさんが快諾し――。
「それじゃあ、人海戦術でいくよ。親衛隊の皆様ー? いらっしゃるー?」
――澪さんが呼びかけた瞬間。
空の彼方から飛空艇団が高速で近づいてきて、浮島の上空に差し掛かったところで、無数の人影が飛び降りました。その人影はパラシュートを開きながら浮島の各所に着地していったようです。
「あれは――空挺部隊ですか!?」
「呼んどいてなんだけど、呼べば浮島でも来るんだ、君達……」
澪さんの前に整列し点呼を始めた一団。
「って、650人もいるんですかっ!?」
「……また人数増えた? この親衛隊」
どうやら彼らは澪さんの親衛隊のようです。天使に仕える神の軍勢という意味でしょうか?
さすがは異世界。元の世界の常識は通じないようです。
●
「それじゃあ、親衛隊をチーム編成するから、勇士の皆さんは各班のリーダーになって浮島を捜索してね」
「ア”ア”ア”-ッ!」
「あー……ズタブクロさんは自由にどうぞ?」
「イギィィイ!」
ズタブクロさんは、中華包丁を振り回しながら一人で森の中へと突進していきました。
――ま、まあ、ズタブクロさんなら一人でも大丈夫でしょう。なんなら野生の勘で天使核見つけちゃいそうですし。
そうしてリベレイアさんや他の仲間たちが、親衛隊の皆さんを引き連れて浮島の各所に散っていきます。
さあ、俺も――。
そう思った瞬間、澪さんが俺に話しかけてきました。
「あ、一応、ヴォルフさんだけ僕と来てもらっていいかな? 僕が調べたい方向、魔獣の気配がするから戦力が欲しいんだよね」
「あ、はい、いいですけど……」
「――なにか言いたいことでも?」
澪さんが可愛らしい仕草で首をかしげて聞いてきます。
うーん、やっぱり天使だと気にしないんでしょうか?
「俺、男ですけど。前衛ならシドゥリアさんとかの方が良かったんじゃ?」
「……僕も男だゾ?」
「えっ!?」
――異世界には、本当に不思議が多いです。
●
「んー、こっちの方から天使核の魔力を感じるかな? あとやっぱり魔獣の気配もあるね」
「じゃあ、油断しないように行きましょう」
俺は
雷剣を生み出すと、油断せずに森を進んでいきます。
周囲は鬱蒼と茂った森です。周囲に親衛隊の皆さんもいますけど、不意を突かれないように気をつけないと。
「ヴォルフさん、上空っ!」
「上ですかっ!」
俺が空を見上げると、そこには巨大なカラス型の魔獣が群れをなしていました。
カラスたちは本来の身体に、さらに頭部や翼、それに人間の腕のようなものを生やして襲いかかってこようとしています。あんな大群に一斉に襲われたら――。
ですが、そこに澪さんの声が朗々と響き渡りました。
「――水よ、僕の命に従い、その姿を変えよ!」
まるで網のような形になった水がカラス型魔獣たちに絡みつき、その動きを止めています。
「敵が怯んだよ、ヴォルフさん! 雷で一気に!」
――そうか! それで澪さんは水を生み出したんですね!
理解すると同時に、俺は手にした雷剣を振りかぶり、跳躍しました。
「受けてくださいっ、サンダァアア・カァアアアス・ブレイドォオオオオ!」
俺が放った雷剣の一撃は、澪さんが生み出した水の網を伝って、カラス型魔獣たちの群れをまとめて感電させ――。
「こんがり焼けましたね」
「さすがにこれは食べたくないけどね」
俺と澪さんは笑みを交わしたのでした。
●
さらにしばらく進むと、森が開けて――澪さんが前方を指さしました。
「あった、あれが天使核だね」
「あれを壊せばいいんですね」
俺は雷剣を構え、澪さんは魔法を詠唱します。
「いきますっ、サンダーカースブレイド!」
「雷よ、オブリビオンの核を打ち砕けっ!」
雷剣から放たれた雷と、澪さんの雷魔法が合わさり、螺旋を描いて天使核へと向かい――それを粉々に打ち砕いたのでした。
「これで、ドラグナー化オブリビオンは活動を停止するんですね!」
「うーん。まだ他にも天使核の魔力を感じるねぇ。もしかしたら、複数の核を持っているのかも……」
だけど、俺たちは確実に天使核を破壊しました。
この調子なら近いうちに、この浮島を止められる――俺はそう確信したのでした。
「ところで澪さん、その服装で森の中とか冒険しづらくないんですか?」
ウェディングドレスっぽく、水着っぽくもあるような衣装。きっと天使の力を増幅させるとか、そういう意味があるんだろうと思って質問したところ――。
――澪さんの笑顔が固まりました。
「……それは偉い人にきいてくれないかな?」
どうやら、聞いてはいけない質問だったようです。
――異世界というのは、本当に不思議です。
大成功
🔵🔵🔵
南雲・深波
ふむふむ
島を探索すればいいでありますな?
では勇士諸君!我に続け―!であります!
巨大な森、廃墟の城、地中の洞窟
そのいずれにも対応できるのが鮫というものであります
【最強幻想鮫軍団】出動であります!
森の中の地面を泳いで、廃墟の石壁の中を潜って、洞窟の中を飛び回って、
天使核を探しに行くでありますよ!
ん?
何かおかしいでありますか?
鮫というものは神羅万象どこにでも現れ、あらゆる場所で最強でありますから、不思議なことはないでありますよ?
天使核らしきものを見つけたなら、鮫の背に乗って、ほら勇士諸君も一緒に乗って、竜巻のような勢いで一気に向かうでありますよ
そして鮫軍団が天使核を喰い尽くして一件落着でありますな!
●
俺の名前はヴォルフ・ドナー。
自分の世界でトラックに轢かれて、気がついたらこの空の世界ブルーアルカディアに転移していた、銀誓館学園所属の人狼騎士です。
異世界に来てリベレイアさんの仲間になってから様々な不思議に出会ってきましたが、さらに非常識な存在と出会うことになろうとは思ってもいませんでした。
「自分は鮫機動部隊司令官の南雲・深波であります!」
まるで軍人のようにビシッと敬礼したのは、青色の――まるで水のような質感をした髪を持つ女の子でした。その身を包むのは、黒を基調とした軍服風のワンピースと軍帽です。
――そして、彼女は……空飛ぶ鮫の背中の上に立っていました。
「ちょ、ちょっと、なんですか、その鮫っ!? 空飛んでますよっ!?」
俺は怪しげな鮫を指さしながら、リベレイアさんや
蒼空解放団の仲間を振り返りますが――。
「どうしたんですか、ヴォルフさん? もしかして……鮫を見たことないのですか?」
可愛らしく首をかしげるリベレイアさんから怪訝そうな視線を向けられてしまいました。
仲間たちからも同じような視線を感じます。
「いえっ、鮫くらいみたことありますけどね!? いやまあ、野生の鮫じゃなくて鎌倉の近くにある水族館でですけど! けど、俺が知ってる鮫は空飛んだりしませんよっ!?」
「えっ、鮫が
雲海を飛ばなかったら、いったいどこに棲んでいるんですか?」
――ああもう、これだから
雲海の世界の住人はっ!
さらに南雲さんからも青い瞳を向けられて優しく微笑まれ――。
「鮫というものは森羅万象どこにでも現れ、あらゆる場所で最強でありますから、不思議なことはないでありますよ?」
俺の中で常識という言葉がガラガラと崩れていく音が聞こえた気がしました。
●
「それでは鮫機動部隊、整列であります!」
南雲さんの言葉に従って、空飛ぶ鮫の大群が一糸乱れぬ隊列を組みました。
それも、ただの鮫だけではありません。蛸のような触手を生やした鮫とか、頭が二つある鮫とか、機械でできた鮫とか、色々な鮫がいます。
「いやほら、鮫が隊列組むとかおかしいですし、なんか変な鮫も混じってませんか、リベレイアさん!?」
「そうですね――」
リベレイアさんも真剣な眼差しで南雲さんのことを見ています。
よかった、ようやく話が通じ――。
「あれだけの種類の鮫を使役できるとは、南雲さんはかなりの腕前の鮫使いとみました!」
「なんか水族館の飼育員なノリなんですかっ!?」
「えっ、だって鮫ですし……」
きょとんとした顔をするリベレイアさんです。
そこに南雲さんの声が響いてきます。
「
最強幻想鮫軍団、出動であります! 勇士諸君、我に続けー! であります!」
「さあ、ヴォルフさん、私たちも南雲さんに続きましょう!」
「わ、わかりましたよっ!」
――なんとも釈然としない気持ちのまま、地面を泳いだり空を飛んだりする鮫の軍団を追うのでした。
●
そうして浮島の森の中を奥へと進んでいくと――。
「気をつけるであります! どうやら魔獣が現れたようであります」
先行する鮫軍団の前に猫型の魔獣が現れ、鮫と交戦に入っていました。
空飛ぶ鮫に猫型の魔獣が飛びかかり、その爪から斬撃を飛ばしてきています。
「皆さん、猫型魔獣は爪から斬撃を飛ばしてくる非常識な相手のようです。十分気をつけて戦ってください!」
「――俺には空飛ぶ鮫の方が非常識にみえるのですが……」
頭痛が痛くなるのを感じながら、俺は
雷剣を生み出し、猫型魔獣に斬りかかっていきます。
――なお、俺が猫型魔獣の一体と戦ってる間に、魔獣の群れは鮫軍団によって駆逐されていたのでした。
「やはり、鮫の能力は無限大であります!」
●
「む、天使核らしきもの、発見であります!」
魔獣の住む森を抜けた俺たちの眼前に、光り輝く天使核が姿を現しました。
この天使核から浮島にエネルギーが供給されているわけですね。
――ですが、その天使核ははるか上空に浮いています。遠距離攻撃が有効か微妙な距離です。
「さあ、リベレイア殿、ヴォルフ殿、鮫の背に乗るであります」
「はい、南雲さん!」
「えっ、リベレイアさん、そんなにあっさりとっ!?」
俺は、南雲さんとリベレイアさんが乗る巨大鮫の背中に、恐る恐る足を乗せます。
――うわっ、なんかぷにっとしてますよっ!?
「さあ、竜巻に乗って一気に向かうでありますよ!」
南雲さんの声と同時に、鮫の周囲に竜巻が発生し、勢いよく空へと飛び上がりました。
俺たちが見つめる眼下で、無数の鮫が天使核に食らいつき、それを破壊していき――。
ついには、天使核は粉々に砕け散ったのでした。
――天使核を噛み砕く空飛ぶ鮫の群れ。一体、俺は何を見せられているのでしょうか。
「やりましたね! さすがは
雲海の覇者の鮫ですね、南雲さん!」
「リベレイア殿も鮫の良さ、わかってくれるでありますか!」
鮫の上で喜びあう二人の少女。
――これだから、異世界というものはよくわかりません。
「しかし、まだ鮫たちがざわついているでありますな――。天使核は、これで全てではないのかもしれないであります」
南雲さんが頭上を振り仰ぎながら呟きました。
「――けれど、天使核が何個あろうとも、第二第三の鮫たちがそれを破壊してくれることでありましょう」
「そこは鮫限定なんですかっ!?」
俺の声は竜巻の轟音にかき消されていきました。
大成功
🔵🔵🔵
天城・千歳
【SPD】
アドリブ・絡み歓迎
リベレイアさん達、順調に活動している様で何よりです。
さて、浮遊島そのものが敵要塞ですか。既にリベレイアさん達が上陸している以上砲撃戦で破砕する訳には行きませんね。こちらも突入部隊を上陸させて内部から破壊する方向で行きましょう。
サテライトドローン群を浮遊島を囲む様に展開し、通信、観測網を構築後、強襲揚陸艇で島に強襲上陸
揚陸艇を【拠点構築】で橋頭保として本体及び歩行戦車、歩行工作車、浮遊砲台群を展開します。
展開完了後、観測網と揚陸艇及び展開した戦力からの【索敵】【偵察】【情報収集】で収集した情報を元に【戦闘知識】【瞬間思考力】で龍脈坑道及び天使核の位置を推測しUCで召喚した斥候部隊に捜索させます。
目標発見までは揚陸艇周辺に防御陣を構築し寄って来る敵戦力に対し【誘導弾】及び【砲撃】【レーザー射撃】を行い迎撃します。
リベレイアさん達との交渉はリモート義体が対応。
味方猟兵に対しては【援護射撃】と情報共有で支援します。
「サラさん辺りは私の正体に気が付いてそうですね。」
●
「リベレイアさんたち、順調に活動しているようで何よりです」
私――航宙巡洋戦艦『天城』の自立型コアユニット『天城・千歳』のリモート義体は、強襲揚陸艇の指揮所のモニタに映る
蒼空解放団を見て、小さく呟きました。
すでに強襲揚陸艇から発進させたサテライトドローン群は、ドラグナー化オブリビオンとなった浮遊島を取り囲むように展開しています。そうして構築された通信・観測網によって、リベレイアさんたちが順調に島の天使核を破壊していることも把握しています。
「しかし、リベレイアさんたちが上陸している以上、強襲揚陸艇からの砲撃戦で残りの天使核を爆砕するわけにはいきませんね。――こちらも突入部隊を上陸させて内部から破壊する方向で行きましょう」
私は指揮所のモニタに浮遊島の全体図を表示させると、天使核の推定位置を表示させ、強襲揚陸艇を島に向けて加速させたのでした。
「本強襲揚陸艇は、あと数分で浮遊島に到達します。各部隊は上陸準備を!」
私はデータリンクを介して、強襲揚陸艇に待機している斥候部隊に指示を出します。
――直後、浮遊島に生えた大木がミサイルのように飛翔し、強襲揚陸艇に向かって飛来してきますが……。
「予想通り、攻撃してきましたね。近接防衛システム、起動」
強襲揚陸艇のCIWS、連装機銃、ブラスターを発射し、
大木を至近距離で迎撃します。
そして、そのまま最大戦速で強襲揚陸艇を浮遊島へと上陸させました。
●
船体を揺らす激しい衝撃。
「外部カメラ回復、被害状況を確認――」
モニタに表示された船外の様子は酷いものでした。強襲揚陸艇が突入した島の一角は、地面がえぐれ、森の木々がなぎ倒され、その先にこの強襲揚陸艇が停止しているという状況です。
ですが、宇宙空間での超高速の相対速度下における強襲揚陸作戦に備えて設計された強襲揚陸艇は、この程度の衝撃ではびくともしません。セルフモニタリングの結果では、強襲揚陸艇自体に損傷は見られませんでした。
「強襲揚陸、成功ですね。これより本艦を橋頭堡とします。斥候部隊は橋頭堡を足がかりに、天使核の推定位置まで進軍。天使核を発見次第、速やかに情報を共有してください」
斥候部隊を出撃させようと船外ハッチを開くと――サテライトドローン群からの警戒警報が鳴り響きました。
上空からの映像によると、揚陸艇の周囲の森がまるで迷路のようになり、木々が魔獣となって向かってきています。
「なるほど、敵の白兵戦力というわけですね――。こちらは私の本体を中枢とし、歩行戦車、歩行工作車、浮遊砲台を展開し橋頭堡の防衛に当たってください」
データリンクを介して、細かな作戦プランを各部隊に通達します。
迫り来る木の魔獣に対して、橋頭堡とした強襲揚陸艇を中心に、歩行戦車や浮遊砲台からの誘導弾、砲撃、レーザーで対抗していきます。
「相手は木で出来た魔獣です。銃火器による迎撃は効果が高いようですね」
これならば、この場の指揮は私の本体に任せれば問題なさそうです。
私は、砲撃によって開いた迷路の壁から外へ出て、リベレイアさんたちとの合流を急いだのでした。
●
サテライトドローンからの情報があれば、
蒼空解放団との合流は簡単でした。島の探索をしているリベレイアさんたちに何食わぬ顔で声をかけます。
「あら、リベレイアさん、こんなところで奇遇ですね」
「千歳さん!? いえ、奇遇というか、偶然こんなところで出会うわけなくないですか!?」
金髪の聖女の少女、リベレイアさんが目を丸くしています。
――確かに、偶然出会ったという設定は無理があったでしょうか。
「こほん、まあ、細かいことは置いておきましょう。皆さんが天使核を探していることは知っています」
「えっ、なんでそのことまで知っているんですか!?」
「私の方でも天使核を探しているところですので、それが見つかったら、協力して天使核を破壊しませんか?」
「あっ、私の疑問、華麗にスルーしましたね!?」
リベレイアさんをスルーして話を続けていたら、サラさんが会話に加わってきました。
「へえ、見たところアンタは単独行動みたいだけど……その口ぶりだと、味方でもいるみたいだねぇ? アンタ、どこかアタイに似た雰囲気を感じるんだけど、そのあたりに秘密があるのかねえ?」
さすがは歴戦のガレオノイドのサラさんといったところでしょうか。
航宙戦艦のコアユニットである私にシンパシーを感じたのか、私の正体に気がついていそうな口ぶりです。
――その時、斥候部隊から天使核発見の報告がありました。
「どうやら、ちょうど天使核が見つかったようですね。みなさん、天使核の元までご案内しますね」
私は
蒼空解放団の皆さんを天使核の元まで道案内します。
サテライトドローンで索敵しながら移動しますので、敵と遭遇する心配もありません。
そして、浮遊島の中央に建つ城の中枢部に、それはあったのでした。
眩い光を放つ、この浮遊島のコアである天使核――。
「これを破壊すれば――ドラグナー化オブリビオンになった浮遊島を止められるのですね」
「ええ、ひと思いに破壊してください、
蒼空解放団の皆さん」
「わかりました。――皆さん、力を合わせて破壊しましょう!」
リベレイアさんの言葉に、
蒼空解放団のメンバーが声を合わせます。
そして、全員の力を合わせて――天使核が粉々に砕かれたのでした。
「状況終了。これより帰投します。――リベレイアさん、いい仲間に恵まれましたね」
●
蒼空解放団
こうして、私たち
蒼空解放団は、多くの人々の協力を得てドラグナー化オブリビオンと化した浮遊島を破壊することに成功しました。
「浮遊島が――崩壊していきます――」
浮遊島から離れていく飛空艇に乗った私の目の前で、雲海へと沈んでいく巨大な島。
――これで、少しは屍人帝国に打撃を与えることに成功したのでしょうか?
ですが、私は今回の冒険で自分の力不足を痛感しました。
屍人帝国と戦っていくには、もっともっと経験を積んで、一人前にならなくてはなりません。神が私に与えた啓示を果たすためには、それが必要なのですから――。
大成功
🔵🔵🔵