アルカディア争奪戦⑩〜内より肥大化するモノは
●力の代償、願いの肥大
「さて、進攻は順調のようだが――お前達に行って貰う場所は『バルクラ竜拝帝国』。つまりは完全なる敵地だ。準備は出来ているな」
集まった猟兵達を霧島・ソウガ(電装具現の凍斬機人・f27810)は見据える。
彼が言う通り、竜拝帝国の名を冠するその島は、『
日蝕帝国』を信奉する二大屍人帝国の片割れである。侵攻を受けていた、占領されているなどではない。完全なる敵地への侵攻作戦をソウガは淡々と告げ始める。
「この島の大陸内部全域には『竜脈坑道』と呼ばれる魔法洞穴が張り巡らされている。厄介なことに、そこからの魔力で以て敵将たるオブリビオンが力を得ている事が分かった。……この個体を『ドラグナー化オブリビオン』と呼称させて貰おう」
このドラグナー化だが、通常、敵将に値する存在はもともと強大なのだが、これにより更に強大な力を得ている為、そのまま戦いを挑むには余程工夫をしない限りは苦戦を強いられるだろう、ともソウガは補足する。
「此方で接敵する可能性のある敵将は『灼光石のグラーヌス』。元より強力な召喚魔術を駆使し、数多の召喚獣を以て世界を害する存在であるんだが……ドラグナー化により、更に強力な個体を操る程の力を有しているらしい」
では、どうすれば『同じ土俵に立てるのか?』
それを一人が問えば、彼は少し思案した後に、口を開いた。
「ある意味では簡単な話だ。此方も坑道の魔力を取り込んで『ドラグナー化』をすればいい。ただ、そういった力には代価というものが付き纏っている」
ドラグナー化をすれば、猟兵達もまた、強大な力を得るだろう。ただ、その代価は分かりやすい形で忍び寄ってくるらしい。
「……ドラグナー化をすることにより、普段心の奥底に仕舞っているような邪念――『邪悪な願い』が肥大化することが、分かっている」
己の内から溢れ出す邪願。それを律さなければ、邪悪な願いに呑まれ、戦いどころでは無くなるだろう。それでも尚、ソウガは真っ直ぐに猟兵達を見据える。
「――人の欲望は数多あるものだろう。けれど、それを留め置くことが出来る者が、此処には揃っていると信じている。……頼んだぞ」
逢坂灰斗
あなたの心の奥底には、一体何が眠っているのか――
逢坂灰斗です。
今回は『坑道の魔力で強化されたドラグナー化オブリビオンと戦って頂きます』。
【MSより】
このシナリオは『アルカディア争奪戦』の戦争シナリオです。
戦争の該当エリアの戦況に影響を与えます。
以下のボーナスを踏まえてプレイングすると判定に有利になります。
プレイングボーナス……
ドラグナー化し、自身の邪悪な願いに抗いながら戦う。
(※あえてしないプレイングも可能ですが、そのままだと凄く強いです。注意)
戦争シナリオの為、早めの完結を目指しますが、なるべく採用できれば……とは思います。
それでは、お目に留まりましたら、宜しくお願いします。
第1章 ボス戦
『灼光石のグラーヌス』
|
POW : ランサーズ・サークル
対象の周りにレベル×1体の【有角獣の槍騎兵】を召喚する。[有角獣の槍騎兵]は対象の思念に従い忠実に戦うが、一撃で消滅する。
SPD : 十二天使の憐れみを
自身の【天使核が生み出すエネルギー】を代償に、1〜12体の【灰翼の黒騎士たち】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ : フレンドチップ
200G(万円)相当の【橙色召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【炎獣】族の【召喚獣】をx体召喚する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
●竜の魔力は邪念を齎すか
『バルクラ竜拝帝国』に足を踏み入れた猟兵達は程なくして一人のオブリビオンの出迎えを受ける。
言葉や表情には出さずとも、漏れ出す敵意は少なくとも喜ばしいものでは無い。
「ええ、遠路はるばるお越し下さいまして何よりです。ではどうぞ直ぐにお帰り下さると」
穏やかな声色をした召喚術師の男は丁寧なお辞儀を以て挨拶とすると――
「でなければ、貴方がたを十全に『歓待しなければ』なりません故」
数多の召喚獣達を呼び出し、即座に猟兵達の下へとけしかけて来たのだ。
……この島に張り巡らされた坑道の膨大な魔力が齎す力を示すかのように。
この島の魔力を手に取ることこそ、手っ取り早い対抗策だが、同時に出立前の言葉が反芻される。
……猟兵達は、この召喚術師と戦いながら、己とも戦わねばならないのだから。
黒影・兵庫
邪悪な願いを抑え込んで戦う、か…俺の場合だと『強くなりたい』かな?
しかし肥大化する気配がないですね…ドラグナー化失敗でしょうか?
(「いいえ…成功よ。今アタシは自分の邪悪な願いを必死に抑え込んでるわ…」と頭の中の教導虫が返事する)
えっ!?大丈夫ですか!?せんせー!
(「問題ないわ…さっさと敵を倒してこの戦場を離脱しましょう」)
はい!ではドラグナー化して強力になった『念動力』で敵を抑え込んでUC【一寸鋒矢】でぶち抜きますので少々お待ちください!
(「頼もしいわね…任せるわ」)
はい!お任せください!せんせー!
(「(黒影の脳を弄ってでも黒影にとって最愛の存在になりたいなんて…どうかしてるわ、アタシ)」)
●想う心が邪に歪むならば
「邪悪な願いを抑え込んで戦う、か……俺の場合だと『強くなりたい』かな?」
そんな事を少し思いながらも、数多展開され始めた有角獣の槍騎兵の軍隊に相対し始めたのは黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の姿。
けれども、彼の懸念とは相反するように、彼の心の内にそのような現象が起きることはない。
少し首を傾げ、ドラグナー化に失敗したのでは? と自身の状態を確認する黒影だが、自身には力が漲って来るのを感じ取っていた。
(『いいえ……成功よ。今アタシは自分の邪悪な願いを必死に抑え込んでるわ……』)
黒影の懸念を否定するように、彼に宿った教導虫が問を返す。彼らの場合、彼女のみが邪願の影響を受けるような形でドラグナー化に成功してしまったらしい。
「えっ!?大丈夫ですか!?せんせー!」
(『問題ないわ……さっさと敵を倒してこの戦場を離脱しましょう』)
彼の心配も当然ではあるが、彼女も黒影を信ずるように、自分の戦いを始めている。だが……この様子ではあまり長居をしては支障が出ると彼女も判断しているようだ。
「はい! では抑え込んでから『ぶち抜き』ますので――少々お待ちください!!」
快活な返事と共に繰り出されるのは、彼の潜在能力を更にドラグナー化で強化する形となった、強大な念動力。
その様子を彼の視界を通して確認した教導虫は努めて穏やかであるように彼に後の全てを託す。
(『頼もしいわね……任せるわ』)
「はい! お任せください! せんせー!」
一糸乱れぬ統率による陣形で包囲制圧を狙ったのであろう敵の槍騎兵達が苦しみながらも硬直し、それを振りほどかせぬと言わんかのような速度を以て――黒影の蜂の如き軽やかな疾さが迫る。
当然防御態勢を取ることも許されないままに槍騎兵達の全てが一瞬にして蜂蜜色の残像を伴った『なにか』に吹き飛ばされる。
直後。術者本人たるグラーヌスも、召喚獣の再展開も待たされぬままに念力で拘束され、圧倒的な疾さに蹂躙される形となった。
その高速機動の主である黒影は、その速度の勢いのまま戦域を離脱するが――ドラグナー化した者同士での確実な力量差を示す形となった。
戦域が遠ざかる最中。呻きすら聞かせぬように『願い』に抗い続けた彼女は、己の『願い』に少しだけ自嘲するように、溜息を吐く。
(――
黒影の脳を弄ってでも、『黒影にとって最愛の存在になりたい』なんて……どうかしてるわ、アタシ)
……彼女の歪んだ願いは、彼女の内のままに。黒影には、伝わること無く、埋められていく。
大成功
🔵🔵🔵
ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OK
欲望とドラグナー化か。
俺の欲望は、明日を願い生きる者達の未来。
その過程で、俺が闘争に身を投じ、その礎になることもまた願望。
ならばその願望を余さず解き放てば良い。
【アストラ】
リミッター解除、限界突破。
闘争心、敵を討つ意志こそがアストラの持つ真の意。
今の俺はドラグナー化により、討滅の意志を最大限にまで高めている。
この乾坤一擲により、滅するまで消えぬ、竜となるだろう。
刮目せよ、これが真なるアストラ、我が望みを込めた必中にして必殺の一矢となる!
ルドラストラ
●表裏一体の願い
「……欲望とドラグナー化か」
ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)にとっての願いは、ある意味では『向こうと変わらない』ように思えるように見える。
明日を願い生きる者達の未来を望むのならば、それを願うのが『過去に沈められた者達』であったとした場合。
……膨れ上がる邪は、表裏一体である。『他を害する程の苛烈な闘争』を居場所のように望むならば。
平時ならば過剰の程な力を要求する12の灰騎士に囲われても尚、彼は平静さを失わなかったように見える。いや、見えたのかもしれない。
『望みの過程でこのような闘争の礎に身を置けるのならば』
まるで待ち構えていたかのようなこの時を、望んでいたのかと錯覚するほどに――彼の『闘争心』は解き放たれた。
その奔流は彼が嘗て
葬送った偽神が有していたソレであるとすら錯覚させる。
横に居たならばその苛烈な闘争心に。かの願望の過程に『巻き込まれてしまう』であろうことは想像に難くない。
「闘争心、敵を討つ意志こそがアストラの持つ真の意」
敵を討つことが『全ての障害を排除してまで未来を得る』事になるならば、解放された願いは止まらないだろう。
ドラグナー化により極限まで高められたその闘争心が解き放たれて尚、向こうが怯むことが無いのは、向こうも『同じ様にドラグナー化している』から。
地が、空が、震える。
「この乾坤一擲により、滅するまで消えぬ、竜となるだろう」
齎される破滅に加減は果たして有るのだろうか。だが、それを確認するよりも前に『正常であるならば』この場より退避したい程の『圧』が其処には在る。
「――刮目せよ、これが真なるアストラ、我が望みを込めた必中にして必殺の一矢となる!」
……彼が解き放つ一矢は、一瞬にして全てを薙ぎ払う。
12の灰騎士も、その繰り手である召喚術師も、皆等しく。この場を抉り取る程に解き放たれた力に蹂躙されて。
まだ倒しきれていない、という感触はあっただろうが――
「
嵐神の矢」
視界には、その惨禍が残るのみ。
大成功
🔵🔵🔵
エピテ・ミュアー
まあ、綺麗な石ですね
これの魔力を取り込まなければ対抗できないと
はい、ならば致しましょう!
うっ、私の邪悪な願い……【欲望は律するべき。欲望を是とする技を使っては世が混乱する】
ああ、いけませんいけません!
欲望は解放しそれでこそ世は救われます!
未だ見えぬ我が欲望の神、貴方への信心にてこの邪悪な想いを断ち切ります!
UCを発動
下半身の◆封印を解き
暴食魔王形態に変化
【美味そうな石だ全部食うぞ美味い美味いもっともっと!】
坑道の石を魔力ごと喰らいドラグナー化を更に強めて強化
当然止めなどせず
狂乱暴食のまま槍騎兵も食べようとドラゴン暴食形態となった下半身で次々に◆怪力で攻撃
最後に敵本体にもドラゴンの牙で喰らいつき
●過去の清き『足枷』
坑道の魔力石は妖しき輝きを以て、この大陸にドラグナー化の魔力を齎していた。
エピテ・ミュアー(欲を崇める教徒にしてボス・f31574)はその輝きを『綺麗』と認める程に。
その魔力をその内に取り込んで行ったのならば――
……彼女の中に、『願い』は氾濫する。まるで『語りかけてくるように』。
欲望を律せよ。欲望を是としてはならぬ。
欲望を肯定すれば、世は乱れ、崩れ、混乱へと至るであろう――
今の彼女はあくまで『欲望を是とし、欲望は解放してこそ救われるもの』として。欲望の神を崇めている。つまりは――
これは、過去の『節制を規範とした信徒』たる彼女に沿った願いなのである。
「ああ、いけませんいけません! 欲望は解放しそれでこそ世は救われます!」
ともすれば邪悪には感じないであろう。世の混乱を収める為に自らを律し続ける事は『その側面としては正しい』。
だが、今の彼女の信仰を揺るがす『嘗ての信仰の足枷』は彼女の今の在り方を否定しかねない、『邪悪』なのだ。
……過ぎた抑圧が身を滅ぼしたことは、嘗ての彼女が良く知っている。
「未だ見えぬ我が欲望の神、貴方への信心にて――この邪悪な想いを断ち切ります!」
下半身に封ぜられた暴食の魔王が解き放たれる。
坑道に並び尽くす槍騎兵の群れすら物ともせず、その悪食は眼前に並べられたソレを余す所なく平らげていく。
――ああ、美味そうな石だ、有角獣どもだ。
美味い、ウマイ、うまい、旨い!! もっと、もっとだ、もっと寄越せ
全て――『御馳走様』だ!!!
地も鉱石も、なんなら眼前の敵までも、全てが餌。
魔力を更に『食べること』で取り込んだ魔王は止まることなどしないであろう。
暴力の餓龍と成り果てた下半身部位は、向こうが護りを固めようとも新たな餌としてしか『認識』できないだろう。
護りすらも食らい尽くし。そしてその顎が辿り着く果てが――召喚術師本体、なのだから。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
・アドリブOK単独
この禍々しい魔力を取り込む・・・
邪悪な願いか・・・
きっとそれは、狂気と破壊衝動だろうね
ぼくの中の人狼の狂気・音狼
(ぐっと内ポケットのサシェを握りしめ)
でも、必要なことなら、魔術師として魔導を御してみせるの
ぐぅ、だめ、音狼に塗りつぶされる・・っ!
桃の香りで少しだけ落ち着いて、自分に宿ったドラグナーの力を確認するの
魔導書を喚び出して項を開き、詠唱するの
音狼、そんなに暴れたいなら、今回は解放してあげる
UC発動
狼の身体能力に爪牙、魅了と変化の満月の魔力由来の咆吼による音撃で戦う音狼を、結界と電撃魔術で支援していくの
元は同じ魂、連携はばっちりなの
敵を討ち滅ぼす覚悟は、あるの
●分け身の願望
「この禍々しい魔力を取り込む……邪悪な願いか……」
ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)はドラグナー化の副作用に少し懸念を抱いていた。
自身の中に宿りし狂気――音狼は、その代償に呼応し喚起されることだろう。
狂気、破壊衝動。結果的に勝てるならば委ねる事も択ではあるが、彼にとってそれは選ぶべき選択肢ですら無い。
内ポケットにしまい込んだサシェを握る手は心なしか強くなるが……それでも、それでもだ。
必要とあれば、『魔術師として』御さねばならぬ。
「……魔術師として魔導を御してみせるの」
魔力を少し取り込めば。異変は始まる。
自身の中で雄叫びを上げるように。全ての喉笛を食い千切らんとする程の『もうひとりの自身』が、自身を支配しようと駆け巡るのだ。
「ぐぅ、だめ、音狼に塗りつぶされる……っ!」
緩和の為、自身の平静を取り戻す為にサシェの桃香を軽く吸い込んでも尚、呼気は荒く。
だが、代価として手に入れたドラグナー化の力は――確かに強力なモノだと、実感していた。
魔導書の頁を捲る度に、無理矢理に押し込めたかの衝動が檻を破壊せんとばかりに彼の精神を揺らす。
「――音狼、そんなに暴れたいなら、今回は解放してあげる」
其処までに出たいのならば、自分ではなく、『あちら』へ。
詠唱とともに、血走った眼の人狼が顕現する。
月の有無すらも無視するほどに高められたその狂気と破壊衝動に身を委ねるかのように、彼――音狼は灰騎士を蹂躙し、召喚術師の下へ真っ直ぐ駆けていく。
後は、彼をのびのびと『遊ばせる』まで。
元は自分なのだから、どう支援すれば良いかなんて手に取るように解るのだ。
新たな灰騎士という障害が現れようとも、ロランが結界や電撃魔術で足止めし、その刹那に音狼が食い千切ってゆく。
荒々しい咆哮が響き渡りながらも、彼は手を止めることはない。
破壊衝動や狂気に身を委ねなくとも、この覚悟は最初から――ある。
「敵を討ち滅ぼす覚悟は、あるの」
大成功
🔵🔵🔵
カミーユ・ヒューズマン
自身の邪悪な願いには催眠術を用いた自己催眠と覚悟で対応
まずは対抗策の基礎でもある技能をUCでLV×100倍に強化
「ふぅ、危ういところじゃった」
対策をしておらねば、こう「お姫さんじゃし、アイドルとかもいけるんじゃね」的な邪悪な願いによってうっかりアイドルデビューしておったかもしれんのう
危ない危ない
「ぬはははは、じゃが押さえ籠めたからにはこっちのもの! 刮目せよ、これこそがドラグナーガールならぬドラグナーお姫さんじゃあ!」
強化された先制攻撃の二回攻撃に怪力を乗せて一撃目で目潰し、二撃目で鎧すら無視したボディへの一撃を見舞います
「その身に受けい! これがお姫さんワンツーパンチじゃあ!」
●姫という者は武錬の果てに
「――ふぅ、危ういところじゃった」
カミーユ・ヒューズマン(セイレーンのプリンセス・f26887)はその身にチャイナ服を纏った状態で汗を拭うようにして立っていた。
現在の彼は姫たる覚悟を以て自己催眠――というか自己暗示によってドラグナー化の代償を抑え込んでいた。というのも。
「対策をしておらねば、こう『お姫さんじゃし、アイドルとかもいけるんじゃね』的な邪悪な願いによってうっかりアイドルデビューしておったかもしれんのう」
……
雄姫様、それは邪悪な願いって言うよりはダメな方向の魔が差す、という奴では? 危ないのはキャラの属性過積載では???
それはそれとして。
ドラグナー化した上でプリンセス♂でチャイナな
雄姫様は此処に爆誕した。
「ぬはははは、じゃが押さえ籠めたからにはこっちのもの! 刮目せよ、これこそがドラグナーガールならぬドラグナーお姫さんじゃあ!」
屈強なバルクを包み込むは龍の力強い意匠のあしらわれたスリットチャイナである。チャームポイントはスリットから覗くバキバキに鍛え上げられた太腿。
一歩踏み出せばそれは瞬速。ちょっとプリンセスな効果音で誤魔化しきれない程の重い一撃が、よりによって召喚挙動の『前』に襲いかかる。
だが彼は世界で一番
雄姫様なのである。この程度でプリンセスパワーが途切れると思うは笑止千万。
「その身に受けい! これがお姫さんワンツーパンチじゃあ!」
視界を潰す的確な一撃の後に繰り出されるは渾身のボディブロー。可愛らしい効果音がなっている気がするがもう絵面は格闘漫画のソレである。
召喚術師の欠点は、『自身よりも素早くフィジカルに頼られた場合、対処法が少ない』ことである。
通常であれば護りを展開するなどの策を講じることは出来た筈だが、
雄姫様の前ではそんな小細工など通用しない。
……前も言った気がするんですが、この人負かせた人ってどれぐらい強かったんだ……?
ただでさえ猟兵達に何度も自慢の召喚獣を突破された果てである。渾身の一撃は致命と成り果てた。
ニィ、と笑うカミーユに反し、二撃も受けた余波で吹っ飛ばされ、近場の坑道に叩き付けられた灼光石のグラーヌスは絶命したのだ。
……随分と派手な挨拶になってしまったが、猟兵達はこうして竜拝帝国に一歩を踏み入れる。
だが、この先に『願い』を抱えて雲海の果てを目指すオブリビオンが存在するのだから。……これはあくまで『一歩』に過ぎないのだ。
大成功
🔵🔵🔵