爆心地に行こう……!
●ひのしまつ
キャンプ……名詞(~スル)。
一般に屋外でテントなどを設営し、野外生活を体験するレクリエーションを指す。
昨今はソロキャンプやグランピングなど様々な形態が登場しているが、
カレー作りやバーベキューを楽しみ、焼きたての肉や魚に舌鼓を打つだけでも心躍るものだ。
集まって身体を動かすゲームをしたり、釣りに興じるのもいいだろう。
夜が近づけばもちろんクライマックス――キャンプファイヤーだ。
ところがある日。
「一番盛り上がるなら最初からやりゃいいんじゃね?」
と誰かが言った。
「キャンプ・キャンプ・ファイヤーにすっから中だるみすんだよ。
ファイヤー・ファイヤー・ファイヤーでいんじゃね?」
と無責任な別の誰かが悪ノリをした。
悪ふざけは加速度的にヒートアップし、ついにのたまう事には。
「もういっそ全地球ファイヤーでいんじゃね?」
「イエエエエアアアア!!」
そして、アスリートアースのキャンプ場の隅の隅にて作戦決行の日。
「キャンンッップファイッッヤアアアーーーーーンパンパンパンパンパ(※フクロテナガザルの鳴きまね)アイアイヤァァァ!! オトナモコドモモコモドオオトカゲモゼンチキュウモエテェェェ! オドラナソンソンオドントグリフスヤキグリハマグリゼンブハゼテェェェ!! ファイッヤアアアアア!! フォア! フォイヤァッ! ヤマドリノフォアグラァァァ!! ジビエトジンバブエトチガイワカンネェェェ!! アッチョンプリケェェ! フォアアアア(以下略)」
ご丁寧にロープの張られたその集会場には「バカ隔離所」との立て札が立てられていた――。
●ひでしまつ
その日、リグ・アシュリーズ(大体こういうの担当・f10093)は最早悟りの境地に達したようにとっても清々しい笑顔であなたたちを出迎えた。
「キャンプファイヤーに行きましょう」
キャンプに、でなくキャンプファイヤーにという所がミソである。
何の事かわからないので過ぎ去ろうとしたそこのあなた、正解。これから始まる騒ぎは清らかな心の持ち主なら関わってはいけない案件だからだ。
「なんかね、アスリートアースのキャンプ場を借りられたんですって! 誰が予約したかわからないけど、メインのキャンプ場から少し離れた集会場がまるっと貸し切れたらしくて」
リグの言うには集会場の周囲には『なぜか』大きく城のお堀のように溝が掘られていて、万一火が拡大しても他へは飛び火しない仕組みになっているらしい。
さらに集会場のそばには『なぜか』立派なログハウスがあり、天然木で作られた小屋はほとんどが可燃物で小屋の中には斧やノミなど解体用の工具も収納されているらしい。
「というわけで、キャンプファイヤーしに行きましょう! もとい、行ってらっしゃい、かしらね?」
背中押すだけ押して身を引くこのグリモア猟兵、悪意に満ちすぎでは。
それはともかく。
通常ならキャンプを楽しんでからファイヤーするところ、今回は朝から晩まで徹頭徹尾キャンプファイヤーである。
真っ昼間からファイヤーを楽しめるかといえばそこはかとなく疑問だが、リグ曰く「昼間でも目立つくらいファイヤーすればいいんじゃない?」との事だった。
なるほど。……なるほど?
なおキャンプ地にはダークリーガーなぞ出ないが、今回警戒すべきものは他にある。
「誰かが焚きつけたからには、当たり前だけど誰かが火の番しなくちゃならないの。前の人が煽れば煽るほど後の人が大変になるから」
なるほど。つまり思いやりの心をもてという事ですな。
「とりあえず、前の人の不始末は」
うんうん。
「次の人がおっかぶればいいんじゃない?」
煽ったーー!! ここに来てこの人煽りやがったーー!!
風船時限爆弾のドでかい版と思うにしても嫌すぎである。
もう説明する事もなくなったので「そろそろいいわよね?」とリグがグリモアのゲートを開く。
バッチコイなアナタも心の準備がまだなアナタも十把一絡げにである。
「いってらっしゃい! お土産は要らないから、事後処理はよろしくね!」
あ――この人、めっちゃいい笑顔するやん――。
涙がちょちょ切れるあなたも巻き添えに、グリモアの転送光は一同を戦地に運んでいったのでした。
晴海悠
正気はどこかに捨ててきた。
IQゼロにしてお送りします、晴海悠です。
世界よ、これがキャンプだ――!(ホントかなあ)
◇概要
キャンプファイヤーです。朝から晩まで。ヘルモード、いえ、ノーフューチャーです。
大体ひどいことなります。和やか成分はないです。
書く側としては、火柱が立つとかそのぐらいで済めばいいなと思ってます。地球から大気圏外に噴き出すプロミネンスとか見た事ないので書けるかなあ(巧妙なフリ)。
◇できること
要するにバカ騒ぎです。ユーベルコードも乱れ飛びますが気にしない。公序良俗も自分たちが最終的におっかぶる形になるので大体問いません。隔離されてるので周辺被害はそんなにないはずです、多分。
◇三章続けて参加しなきゃダメ?
大丈夫。火を大きくするだけ大きくして他の誰かにおっかぶせましょう。次章から参加した人はあおりを受けつつうまい事火を大きくして次の人に繋げましょう。愛のバトンです。
◇例のひどい方向にアドリブかかる呪文ないの?
オープニングの奇声シーンに入っている動物の名前の数を数えてプレイング冒頭に書け。さすれば魔界の扉は開かれん(どうなっても構わない猛者限定です)。
◇最終的にどうなるの?
私にもわかりません。が、ただひとつ。――無事で帰れると思うなよ。
以上、です。ご参加お待ちしてまーす!
第1章 日常
『ちょっと寄り道』
|
POW : 体力の続く限り遊ぶ
SPD : 計画的にあちこち回る
WIZ : 美しい景色や美味しい名産品を楽しむ
|
チェーザレ・ヴェネーノ
5
後の人には頑張って貰…え?俺も被害受ける感じ…?
【毒薔薇】
ラファエラちゃんキャンプ初めてなの?
俺は一応軍属してたからキャンプくらいは…っていうかこれ全然キャンプじゃない気がするけど
でもこのバカ隔離場の一員と見られるのキツくない?
とりあえず燃やして燃やして火の番すれば良いんでしょ
なんかあっちによく燃えそうな木の家とかあったよ、騎士様宜しく
俺は非力だから力仕事とか無理
ねぇラファエラちゃん、お酒でも飲もうよ
色々持って来た…ん?それ?スピリタス
えー、なんであるんだろ、人が飲むものじゃないよそんなの
いかにもよく燃えそうだし…あ、うん
やると思った
酔ってる?
もう夏も終わるのに暑すぎ
ビール美味しいなぁ
ラファエラ・エヴァンジェリスタ
4?5?
ええい、しゃらくさい
とりあえず私はキャンプファイヤーを楽しむのだ!
【毒薔薇】
キャンプは初めてだが派手に騒げば良いのであろう
我が騎士よ、とにかく火力を増すのだ
派手に燃やせ
あの辺にある燃料全て使って良いらしいぞ
うん?あれは燃料だ、全部燃料だ
家の形をしている?凝った燃料だな、感心だ
チェザ、私にはシャンパンをくれ
ん?この酒は何だ
成る程、度数が高い酒…その辺の馬鹿どもと炎にでも飲ませておくか
炎属性攻撃とか追加しておこう
私はまだ酔ってなどおらぬわ
酒も炎も全然足りぬ
…と思ったが大丈夫かこれ
ちょっと燃え過ぎてない?今更か?
とりあえず次の人が来るまで何とか…何とかしてくれ我が騎士よ
…次の人大丈夫かな…
後先考えずやたら大きく組まれた篝火を前に、居合わせた男女が謎の呪文を唱える。
「5」
「4? 5?」
違っていたのか何も起こらぬのを見て、ラファエラ・エヴァンジェリスタ(貴腐の薔薇・f32871)は機嫌を損ねたように踵を踏み鳴らす。
「ええい、しゃらくさい。とりあえず私はキャンプファイヤーを楽しむのだ!」
ずんずかと火の方へ行ってしまうラファエラへ追い縋ろうと、チェーザレ・ヴェネーノ(月に毒杯・f38414)も後を駆ける。ラファエラのお召し物は火のそばには不向きにも思えたが、彼女を慕う苦労性の騎士が甲斐甲斐しく目にも留まらぬ速さで火の粉を払っているようだ。
どかりと腰掛けたラファエラ(いつの間にか椅子が敷かれていた)は足組をし、パチリと指を鳴らしてグラスにシャンパンを注がせる。
「キャンプは初めてだが、何。派手に騒げば良いのであろう?」
「ラファエラちゃんキャンプ初めてなの? 俺は軍属してたからキャンプくらいは……まあ軍のキャンプとはだいぶ意味合いが違うけど」
野営の意味でのキャンプは晴れやかなものではないが、兵卒ならば火起こしや調理など全部一通りできるのは当たり前だ。だが眼前の光景に違和感を覚え、チェーザレはふと傍らの彼女に尋ねる。
「そもそもこれ、キャンプじゃないする気がするけど。あとこの立て札見て一員と見られるの、キツくない?」
ぷはー、と返る淑女らしからぬ吐息。都合の悪い事には耳が遠くなるらしく、気付けば既にグラスが空になっていた。
「火が足りんな。我が騎士よ、とにかく火力を増すのだ。派手に燃やせ、あの辺にある燃料全て使って良いらしいぞ」
ラファエラの指さす先、そこには何とも素敵なログハウスが!
大自然の息吹を感じながらコテージで一泊すれば、さぞや豊かな体験が得られるに違いな――ばきり。べりべりべり。騎士が小屋の外壁を剥がして引っこ抜き、薪とするのに都合のいい細長い材木へと戻していく。
「俺は非力だから力仕事とか無理だなー。ねぇラファエラちゃん、お酒でも飲もうよ」
軽薄そうな笑みを浮かべながら、チェーザレは小屋から拝借した酒(なぜかあった)を簡易テーブルの上に並べていく。シャンパン……は気を利かせた騎士の計らいで既に空だが、珍しい酒もあるらしくラファエラが興味深げにボトルを取る。
「ん? この酒は何だ」
「それ? スピリタス」
別名、水で割る前のウォッカ。直で飲めば喉が焼けつき急性アルコール中毒まっしぐらの恐ろしく度数の高い酒(※危険)である。
「なんであるんだろね。人が飲むものじゃないよ、それ。いかにも燃えそうだし」
「その辺の炎にでも飲ませておくか」
栓を抜かれた透明なボトルがくるくると宙を舞い、炎に覆いかぶさる――気化したアルコールに引火しイリュージョンのように爆ぜたのは言うまでもない。
「あー、うん。やると思った。ラファエラちゃん、酔ってる?」
ぷしゅっと涼しい顔でビール缶を開けるチェーザレに対し、二十歳になりたてのラファエラはやや上ずった声で答える。
「私はまだ酔ってなどおらぬわ。酒も炎も全然足り……」
しゅごっ。彼女の目を覆い隠していたヴェールが炎の吐息に焼かれ、騎士が慌てふためいて予備のヴェールを投げかける。
「……大丈夫か、これ。ちょっと燃え過ぎてない? 今更か?」
「まあ、面倒な片付けや事後処理は後の人に頑張ってもら……え? 俺も被害受ける感じ?」
この期に及んで正気を取り戻したラファエラの声に振り返れば、うねる炎は自分達の背丈をゆうに越えていた。若干青ざめたチェーザレだったが、時すでに遅し、である。
「次の人が来るまで何とか……次の人、大丈夫かな……」
「……ビール美味いなあ」
遠い目で現実逃避をするあなたたちにお知らせしよう。悪役寄りの人物が良心取り戻した時点で、大体世の相場は決しているのですよ、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月宮・若子
え、えっと、つい流されてここに来てしまいましたけど。
普通キャンプファイヤーって夜にやるものじゃ…?アスリートアースだとこれが普通なのかな?
キャンプファイヤーを盛り上げればいいんですよね。とは言え私一人では…そうだっ!人手を増やしましょう。
【死霊術】っ!
え、えっと…。
(召喚された屍人と浮遊する死霊の軍団、主の命令によってキャンプファイヤーで盛り上がる。
キャンプファイヤーの前でウェイウェイする屍人や死霊、自分自身が薪よと飛び込む屍人、火だるまでフォークダンス踊る屍人や死霊、まあ楽しそうだ)
ち、違うんです。これはサバトとか邪神復活の儀式とかじゃなくて、ただのキャンプファイヤーで…。
【アドリブ歓迎】
天を見上げれば晴れやかな空、なのにこの場に参じる事はものすごく後ろめたい。
具体的にどれ程かと云うなら、隠し部屋に忍び込んだあの時くらいに。
「え、えっと……流されてここに来てしまいましたけど。普通、キャンプファイヤーって夜にやるものじゃ……?」
説明を聞いて呆気にとられる間に転送された月宮・若子(探索者の少女・f38454)は、朝から堂々と聞こえる薪の音に耳を疑った。アスリートアースだとこれが普通なのかな、という囁きには全アスアス人民が首を横に振ろうが、ともかく。
「えっと、キャンプファイヤーを盛り上げればいいんですよね。学校ではあまりこうした余興は参加しなかったのですけど……どうしましょう、私一人では……」
盛り上げろと言われて思いつくだけの引き出しがなく、若子は思い悩むこと暫し。
「そうだっ! 人手を増やしましょう……
死霊術っ!」
そうそう人手も借りちょいと待った、今なんて?? 手にした魔書・屍奇譚から滲み出る魔の気配、あれよあれよという間に屍人や死霊がわんさかと!
陽光にまぶしーっ! と目が眩んだのも束の間、意外とパリピ寄りな屍人たちはウェイウェイと縦ノリしながらどんちゃん騒ぎ。呼び出した若子も差し置いて盛り上がるこの始末、幽霊って火や明るいもの平気でしたっけ。
火の輪潜りがエスカレートして勢いよく火にダイブ! 燃え盛る屍人が新たな薪と化し、元から死んでるからOK! と幽霊たちはフォークダンスを繰り広げている。
当人(?)たちは楽しそうだが、傍から見てどう映るかと言えば、やっぱり。
「あ、あの……違うんです……これはサバトとか邪神復活の儀式じゃなくて、ただのキャンプファイヤーで……ひゃわっ!?」
ひと際大きな火の粉が散り、目を瞑った若子は次の瞬間何か大きな気配が立ちあがるのを感じ。おそるおそる、目を開けてみれば……?
「え、ええーっ!? 燃え盛るこの大きな人影は……」
なんと自主的に火にくべられた屍人、薪を身に纏って大成長。ドルイド風に言えば、一躍有名になったあのウィッカーマンである!
「ちょ、ちょっとそのまま踊らないでー! 熱い、火の粉が熱いからっ!」
不気味なチャントを唱えながらサッカー観戦ばりのリズムで踊り狂う幽霊たち。彼らの暴れもとい働きは火の手拡大に大いに、大いに役立ったとか。
大成功
🔵🔵🔵
尾花・ニイヅキ
5
キャンプファイヤーを朝から晩までって何か凄い根性を感じる!
負けずに頑張りたいな!
というわけで火加減がしやすい序盤のうちに肉を焼こうじゃないか。
……網を置けばいいかなって思ってたけど思ってたより規模が大きいな?
僕が思ってたのはこう、たき火的なサイズだったんだけど……。
えーっと、どう焼くか……。ここは串に通して炙って焼くしかないか……?
火傷(と日焼け)をしないように『オーラ防御』しながらじりじり焼くぞ。
戦闘の時並みに気を張った気がする……。
少し焦げてるかもしれないけど、火が通っていないよりはマシだよな。
焼き方のコツを掴めば昼以降でも焼けるかもだし……よし、どんどん焼いてどんどん食べるぞ!
アミリア・ウィスタリア
5
朝から晩までキャンプファイヤー、素敵ですね。
好きなことを極めるのは良いことです。
火の番は任せてください!
私、キャンプで憧れていたものがあるんです!
マシュマロを焼いて、それをチョコレートビスケットで挟む……スモア!
その場で会う方とも美味しさと楽しい思い出を分け合いたいと思って、そこそこの量を用意してきました。
夜まで食べれるわ、きっと。
……この火で焼けるかって?
焼けるか焼けないかではありません。焼くのです。
キャンプファイヤーの火を恐れることなく挑むのです。
ある程度食べたらきちんと火の番のお仕事。
火が尽きないように木材を多めにくべておきましょう。
祭りが終わるまで火を絶やしてはいけませんものね!
ログハウスに酒瓶という名の火焔瓶投擲、火のついたウィッカーマンが大暴れ。
そんな風に騒ぎ続ければ集会場がどうなるかは考えるまでもなく。
「というわけで火加減がしやすい序盤のうちに肉を焼クハズダッタノニー!?」
謎の呪文にも失敗、見事打算をダダダダーンと崩された尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)は用意した肉を取り落としかけ、慌てて相方にトレイを支えてもらう。彼女のプランなら今頃じゃ丁度よく火が起こってたはずなのだが、実際はあちこち飛び火してメラメラボーボー。
「朝から晩までって凄い根性だなって思ってたけど、根性見せすぎじゃない……?」
何せ小屋一つ燃えてるのだ、もう既に火事と呼んで差し支えあるまい。
こうした場にはまだ不慣れのアミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)だが、出自故か理不尽には悲しいくらいに慣れていて。
「朝から晩までキャンプファイヤー、素敵ですね。好きなことを極めるのは良いことです」
ああ、鋼メンタル。歴戦の先輩が隣で心折れかけているのにも気付かぬまま。
「火の番は任せてください!」
えいえいむんっ、と意気込むアミリアをよそに、ニイヅキは手に持った網を茫然と眺めるのみ。
「網……」
そう、網だ。お肉を焼いたり焼き入れるのに使ったり、キャンプには欠かせないアイテムだね。
「肉……」
うん、肉だね。さあひと思いに火にくべようか。
「ちっがーーう!!」
やけのやんぱち石投げた。いや、投げずにちゃんとお肉を串に通しただけえらいと言えよう。
さて、もうお分かりとは思うが。猟兵といえど万能ではなく、オーラの加護で身を護っても肉そのものまでは護れない。それをギリギリ、眼鏡の師範代もびっくらぽんの精密制御で覆って肉の焼き加減を調整しようとしたのだが。
「あっ」
勢いよく火が噴き出して、串の先端が火に包まれて。
「あうあう……」
滴る肉汁の脂でぶわりと火が燃え盛り、慌てて退避するも肉のひとかけらがころりんちょ。
「……あああーー!! 守れなかった……」
オーラの加護が限界を迎え、ぼろりと崩れる炭のカタマリ。
泣くなニイヅキ、傷は深いぞガッカリせよ。
「私、キャンプで憧れていたものがあるんです!」
そんな苦闘ぶりは露知らず、嬉々として目を輝かせるアミリアの手にはビスケットとマシュマロの袋。そう、作ろうとしているのはSNS映えする事で一時期流行ったあのお菓子。
「……スモア、です!」
「この火じゃ無理じゃないか?」
とっさに目の濁ったニイヅキが諦めの沼に引きずり込もうとするが、それしきの事でアミリアの憧れは止まらない。振り返る彼女は透いた頬をぷくりと膨らませてこう言うのだ。
「焼けるか焼けないかではありません。焼くのです」
串に刺したマシュマロを火にかざせば、燃え盛る炎の舌が表面をぺろりんちょ。このままでは焼き目がつくどころかあっという間に溶け落ちてしまう!
けれど諦めないアミリア、ここでなんと炎に目配せ一つ。寵姫のお願いに火はちょっとだけ遠慮、マシュマロ全体を遠赤外線で焼けるベストポジションに陣取った。
「あ、ずるいぞ!」
持っててよかった寵姫の瞳。満遍なく温まったマシュマロをビスケットに挟めば、僅かに溶けたチョコが絡み合ってマーブル模様が食欲をそそる。
「さて、お味は……~~っ!」
頬張れば、嬉しさに紅差す半透明の頬。すぐに焼いたもう一つを差し出されれば、ニイヅキもまた甘さを口の中に閉じ込めるようにしゃくり、しゃくりと噛みしめる。
「さて、火が尽きないようにしませんと。祭りが終わるまで火を絶やしてはいけませんものね!」
「うう……僕だって今度こそは……!」
今度は火の番に回るアミリア、彼女の助力があれば幾らか火も加減できるだろう。あらためて肉を串に通したニイヅキはふと、燃え盛る炎を仰ぎ見る。
そう、仰ぎ見るほどの高さ。どう考えてもこれ、キャンプファイヤーの域を超えているのだが。
「……負けずに、頑張りたいな」
何に、とあえて問うなれば。もう逃げられないこの運命からに違いないだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『キャンプめしを食べよう!』
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POW : 出来立てを沢山美味しく食べる
SPD : 現地で何らかの食材を調達してくる
WIZ : キャンプならではの調理法に挑戦する
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昼。火は燃え盛り、薪とできるものを燃やし尽くした。
時折なぜか補充される材木をくべ続け、
キャンプファイヤーはますます大きな篝火へと成長した。
当初の焚き火は無造作に木を突っ込んだせいで、下手すると雪崩そうな怖さもある。
そして第二の焚き火――いや、正確にはログハウスだったもの。
小屋の輪郭に沿って上に伸びる炎の手、
真っ赤な屋根が時々崩れ落ちて火の粉を噴き上げている。
後から駆けつけたそこのキミ、
なぜ燃えてるかは聞いても理解できないので聞かない方が身のためだ。
119番? 残念ここは圏外だ。あれは焚き火だ、そう思え。いいね?
◇ ◇ ◇
そして夕刻となった今、問題がひとつ。実はそろそろ材木が尽きかけている。
このままでは本番前に火がぽしゅんと消えてしまう、
何とか燃やせるものを投下して火を保たねば!
ふと、あなたたちは辺りに目を向ける。
一般キャンプ場と反対側の山にはうち捨てられたオンボロ小屋。
どうやらあの山は持ち主もいなくなり、ロクに手入れされていないらしい。
一般客を邪魔するのは憚られるが、逆に山に分け入れば材木となるものもありそうだ。
キャンプ――それは時にサバイバル技術を要するもの。
どうにかして火を保つべく、あなたたちは走り出した。
冬原・イロハ
【アドリブ歓迎】
(ラジカセ背負いってブリキザメと共に到着)
キャンプファイヤーには音楽も要ると思いますので援護に来たのですが
か、火事…え…焚き火?
なるほどこれが地獄の業火(考えることを放棄
ラジカセからヘヴィメタな音楽を流しますね
陸海空を業火に染め上げるため頑張りましょうね、ブリキザメさん
木を斧で叩いて、切断属性とかのドラゴンでなぎ倒して行こうかなぁ
メタル音楽にノッて振り回します
ブリキザメさんは凶暴な牙で木を噛み砕いて材木ゲット
ブリキザメさんと材木を運んで
焚き火が小さくなっていたら、コンと材木を斧で叩いて
火属性ドラゴンをそのまま焚き上げます
ウフフ、翼も拡がって塔のような格好良い焚火になるかしら?
月宮・若子
5
ログハウスが燃えてたらそれは最早キャンプファイヤーじゃなくて事件なのでは…。
え、えっと、何はともあれ材木の補充が必要なんですね?
なら私の【死霊術】で使役している屍人や死霊に山に分け入ってもらって材木を補充ようと思います。
…山の中がホラー映画みたいになりそうですが、まあこんな時間に山の中に入る一般人の方はいないでしょうっ!(フラグ)
後は、屍人が持ってきた材木をキャンプファイヤーにくべれば……相変わらず周りで騒いでいる屍人や死霊には目を瞑って。
ま、まあ楽しそうだからいいんじゃないでしょうか?
【アドリブ歓迎】
右へ、左へ。小さな足が一歩踏み出すたび、ケットシーの尻尾が好奇に揺れる。
「キャンプファイヤー、ですね! キャンプには音楽も欠かせないと思うのです」
後からやってきた冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)はラジカセを背負い、準備も万端。そばにお友だちのブリキザメの姿もあって、意気揚々と尻尾を揺らしていたのだが。
「はわっ。か、火事……え、焚き火?」
ぶわ、と尻尾が膨れたのも無理なきこと。誰の所業か、ログハウスが火祭りの憂き目に逢っていたのだから――。
「なるほど、これが地獄の業火」
手のひらポンして一件落着。いえいえちょっとお嬢さん、順応早すぎませんか。
件のログハウスに興味津々なブリキザメを泳がせておき、イロハが流し始めた音楽はというと――バリッバリにデスヴォの聞いたヘヴィメタル。ラジカセにそれ入れてきたって事はさてはあーた、こういう事運びを期待してたな??
「陸海空を業火に染め上げるため頑張りましょうね、ブリキザメさん」
サメも喜んで尻尾ふってる現状を見るに、お山に消えていく†戦場のお掃除ねこ†さんを止める者は誰も居なさそうだ。
さて、やや場所を映して火の対岸。一部始終を目撃してしまった月宮・若子は、若干目の焦点の定まらぬまま謎の呪文を唱える。
「5……何も起きませんね」
不発に終わった何かはさておき。もう取り返しのつかない惨状は、一般常識が残っている者なら途方に暮れるのが普通だろう。
「冷静に考えて、ですけれど。ログハウスが燃えてたら、それは最早キャンプファイヤーじゃなくて事件なのでは……」
なるほど、確かに事件性はあるかもしれない。燃やしていいとは言われてないのだから。
だがこうも考えられる。燃やしてダメとも言われてない……オーケー?
「え、えっと、何はともあれ材木の補充が必要なんですね? なら、私の死霊術の出番かもしれません」
こと人海戦術にかけて、人外のモノの使役術ほど役に立つものはなかろう。若干怖気づく気持ちもないではないが、若子は意を決して山の中へと分け入っていく。
湿った土の感触に混ざり、パキリと小枝の踏み折れる音。虫の声のほかは気配の読み取れる暗がりは、肝試しのスポットにはうってつけだ。
「……山の中で呼び出したらホラー映画みたいになりそうですが……まあこんな時間に山の中に入る一般の方はいないでしょうっ!」
奇書を紐解き、古めかしい表紙の文様をなぞり。現世の垣根を越えて霊界のものへ、殖えよ、満ちよと呼びかける。
ぼこりと地面が盛り上がり、屍人の腕が突き出した。互いに足を引っ張りながらも屍人は這い出て、悪夢のような光景を繰り広げる!
「キャアアアアアアアアアアア!?」
「びゃああああああああああ!?」
「シャアアアアアアアアアック」
たまたま遭遇したイロハの叫びにつられて悲鳴(+サメの鳴き声)の大合唱、勢いよくすっぽ抜けたイロハの斧が木にスコン☆
怪我の功名、突如現れた黒曜石の竜が鋭利な体を回転させ木を薙ぎ払ってくれたのはラッキーとして。山奥で腰を抜かした二人と一匹が立ち直るには、しばし時間を要したそうな。
◇ ◇ ◇
――そして。
一気に木がなぎ倒された事もあり、屍人たちの力でまとめて運べた材木はてんこもり。これなら大拡大した火でも幾らかは持ちそうだ。
「さっきはびっくりしましたけど、屍人さんたち、楽しそうでよかったのです」
「はい、驚かせてしまって……でも材木足りてなかったので本当に助かりました」
和解したイロハと微笑み合い、若子は火のそばで踊る彼らを見る。一族総出で働いた後だ、死後のアフターライフを満喫するのはこの際多少目を瞑ろう。
「あ、そうだ。せっかく木が手に入ったので、ちょっと大きくしてみましょうか」
「え?」
コン、と材木をバルディッシュの頭で小突けば、瞬く間に噴き出る火炎の竜が天へと駆け登り、後には巨大な塔のように燃える火の姿。
「ウフフ、翼も広がって格好良い焚き火になりましたね」
なお、これで更に材木を一気に消費したわけだが……そこは後続への愛のバトンだと受け止めておこう。GANBARE☆
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ラファエラ・エヴァンジェリスタ
7!…いや待てよ?更なる伏兵の可能性を考えてここはやっぱり8だろう!
【毒薔薇】
囀るな、チェザ
私が早々とあれを燃やしたからこそ今この炎が斯くも息づくものと知れ
しかし燃料か、面倒よなぁ…
致し方ない――我が騎士よ。私が言いたいことは解るな?
あの小屋もそこらの立木も、全てバラして薪とするが良い!
私は相変わらず安全圏で酒でも飲みながら全力魔法で貴公を強化してその刃を冴えさせようぞ
ついでだから風属性攻撃とかで木を切る手伝いも、まぁ、多少は?
運ぶのはチェザに任せておこう
おい、チェザ、働け
貴公も火にくべられたくなくば働け
貴公のいかにも貧相な脂の少ない身だろうがあの火力ならばよく燃えよう
チェーザレ・ヴェネーノ
7!7だ!ハゼとアイアイは死角過ぎたけどこれで今度こそ行けるでしょ?
【毒薔薇】
あー、ほら!ラファエラちゃんがログハウス燃やすの早すぎたから皆の予定狂っちゃったじゃん
もう責任取って燃やし続けるしかないね
俺固形燃料とか持ってないし、燃やす系のUCもないし、とりあえず木の枝とか薪くらいは拾い集めるし運ぶけどさぁ
解体とか伐採とかは無理っていうか嫌だよ、騎士様にお願いしてね
はぁ、本当は俺は優雅に炎眺めてお酒飲んでる筈だったのにー…それで
燃やすだけ燃やして離脱して高みの見物してたかったのにー…
ラファエラちゃん、物騒なこと言うのやめない?
俺こんなに健気に働いてるのにさ!
そんなだから革め…いや、まぁ、良いや
互いに躱す視線と頷き。更なる混沌を望む男女は、意を決したように呪文を唱える。
「7! 7だ!」
「7! ……いや待てよ? 更なる伏兵の可能性を考えてここはやっぱり8だろう!」
暫し待ったが、やはり複数回答はダメなのか。炎も夜闇も反応を返さず、辺りは相変わらず火の爆ぜる音だけが支配している。
「あー、ほら! ラファエラちゃんがログハウス燃やすの早すぎたから皆の予定狂っちゃったじゃん」
悔しそうに白軍服の襟を掴み、チェーザレ・ヴェネーノは募る苛立ちを傍らの淑女に投げかける。一方のラファエラ・エヴァンジェリスタは毅然とした態度を崩さず、彼を一瞥するだけだ。
「囀るな、チェザ。私が早々とあれを燃やしたからこそ、今この炎が斯くも息づくものと知れ」
要は速いか遅いかの問題であり、ログハウスを燃やす事は決定事項だったのだろう。なるほど。あなたたちの頭の倫理、さては既にボロ炭ですね?
◇ ◇ ◇
放火もとい火の番の甲斐あって焚き火は二箇所に増えたわけだが、維持する手間も倍。あちらを立てればこちらが立たず、材木の嵩は右往左往する間に減っていく。
「もう責任取って燃やし続けるしかないね」
「当然だ。しかし問題は燃料か、面倒よなぁ……」
生前も含め、力仕事などした事のないラファエラは肉体労働には乗り気でない。今だって火よりも服が汚れるのを心配し、ドレスの煤をしきりに払っている。
「俺固形燃料とか持ってないし、燃やす手段もないし……とりあえず木の枝とか薪くらいは拾い集めるし運ぶけどさぁ。解体とか伐採とかは無理っていうか嫌だよ、騎士様にお願いしてね」
「致し方ない――我が騎士よ。私が言いたいことは解るな?」
呼びつけられた白馬の騎士は、言葉もなくラファエラに従った。生前であれば苦言の一つもあったかも知れぬが、それでもかの騎士が忠義の者である事は今も昔も変わりない。
光宿す剣が閃き、山の麓にある木を深く刻む。根元を欠いた木はめりめりと音を立て、やがて人の居ない方へ轟音と共に身を横たえた。
「あの小屋も、そこらの立木も、全てバラして薪とするが良い!」
命令に忠実に従い、白銀の騎士は馬に乗ったままほうぼうの木を切り倒す。荒れた山小屋、バカ隔離所と書かれた立て看板……ちょっと待て、それ引っこ抜くってどんだけ理解ってるチョイスなの。
さしものラファエラも何の手伝いもなしは気が引けたのか、時折強化の術を飛ばし、刃毀れしだした騎士の剣に冴えを取り戻させる。騎士の方は援護を得て幾らか楽もできているが、まだこの日の気温は秋のはじめ。予定外の労働に駆り出されたチェーザレは軍服の下が汗の洪水である。
「はぁ、本当は俺は優雅に炎眺めてお酒飲んでる筈だったのにー……」
仕方なしに細い木の枝を拾い、集会場の方へとかき集め。
「それで燃やすだけ燃やして離脱して高みの見物してたかったのにー……」
要するにいいとこ取りをしたかったわけだが、残念。場所が場所なだけに土台無理な話である。
「おい、チェザ、ぶつくさ言わず働け。貴公も火にくべられたくなくば働け」
「えー、や……」
ヒュンッ。言葉尻をかき消す風の刃がチェーザレの首元を過ぎり、近くの枝を斬り落とす。
「物騒なことやめてくんないラファエラちゃん!? 俺こんなに、こーんなに健気に働いてるのにさ!」
「フン……役に立たぬなら役立てる方を選ぶまでよ。貴公のいかにも脂の少ない貧相な身であれ、あの火力ならばよく燃えよう」
拾う手を止めて己の働きぶりを主張するチェーザレだったが、ラファエラは意に介した様子もない。事実、小枝を拾う程度の彼に比べ、目の前を悠然と過ぎる騎士は肩に丸太を担いでいるのだから説得力には欠けただろう。
「ったく……そんなだから革め……」
言いかけたところで淑女の目が伏したのに気付き、チェーザレも自制心が働く。気付けば騎士までも手を止め、何か言いたげな視線を寄越していた。
いかに悪女とて、今のは意地悪が過ぎたと自覚する。どれだけ過去の振舞いを言い募ったとて、既に起きた歴史は変えられぬのだ。
「……いや、まぁ。良いや」
罰の悪そうに元憲兵は小枝拾いに戻る。こうしている間にも火は素知らぬ顔で燃やし続ける。言葉も、薪も、彼ら三人の咎さえも。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
尾花・ニイヅキ
え、じゃあ7?
【焼く女達】
肉を焼くコツが掴め切れてない……!
火が弱まっている?
これくらいのが良いんじゃ……。
……成程、一理どころか何千理もある。
夜も心配いらないくらいに木を集めに行こう!
山に入って、枝を拾う。
流石に細くて小さいものばかりじゃ頼りないから……折れそうな木を一つだけ折らせて貰おう。
『属性攻撃』で氷の魔力を付与したルーンナイフと月影で木を倒し、『怪力』で運ぶ。
でも、枝を抱えてはこの大木は運べないし、何往復もするのも流石に面倒だな……。
ここから火が見えるな……。
……投げて、入らないかなあ……。
大木に魔力を付与し、燃え盛る火を目掛けて『投擲』!
照準器もあるし、何とか……何とかなれッ!
アミリア・ウィスタリア
7……もしかして、8?
【焼く女達】
なんだか火が弱まっているような……。
そうだ、ログハウスを解体して焼――あら、ないわ。
ログハウス焼くの、楽しみだったのに……。
先程の火よりも強い火で美味しいお肉とマシュマロを焼いて勝利じゃないですか!?
たとえ上手く焼けなくても最後まで焼き続ければ勝ちです。
ニイヅキさんと一緒に山で枝拾い。
大きい動物さんがいたら運ぶのをお手伝いして貰えないかしら。
ニイヅキさんの大木運びもお手伝いしたいけれど、私が作りたいものもあって。
キャンプ場へ大量の枝を持ち帰ったら火の傍でミニチュアログハウスを作ります。
そしてそれを火に食べさせます。
うふふ、たまにはこういうのも良いですよね。
一方こちらは肉に目が眩んだ女子二人。何事かを呟いたものの、答えを一つに絞り切れていないと発動しなかったようで。
何も起こらぬのに肩を落とした後、あらためてアミリア・ウィスタリアは辺りを見回す。
「なんだか、火が弱まっているような……」
先ほどから猟兵たちがかわるがわる薪をくべているが、少し気を緩めれば火の勢いは弱まってしまう。アミリアたちも火の番に忙しく、食べたかった肉もスモアもまだ十分に堪能できていない。
「ああ、まだ消えるな! 肉を焼くコツが掴め切れてない……!」
尾花・ニイヅキは慌てて薪に空気を送っていたが、火の勢いが戻るのを見てはたと気付く。
「でも、もしかしてこれくらい緩まった火の方が焼くのに良いんじゃ……?」
慎重派なニイヅキの発言に振り返ったアミリアは思わず「おこ」の顔。
「何言ってるんです。先程の火よりも強い火で美味しいお肉とマシュマロを焼いて勝利じゃないですか!?」
「そ、そうかな?」
「そうです。たとえ上手く焼けなくても最後まで焼き続ければ勝ちです」
むんっ、と握り拳で力説するアミリアに気圧され、ニイヅキは「一理どころか何千里もある」と説得されてしまった。
「そうだ、ログハウスを解体して焼けば足しに――あら、ないわ? ログハウス焼くの、楽しみだったのに……」
アミリアが眺めた先に小屋はなく、赤々と燃える瓦礫の山があるのみ。実はこの山こそログハウスだったのだが、あろうことか朝のうちに火がつき今ではこの始末。手段と目的が挿げ変わってる気もしたが、文句はどこぞの誰かに言ってほしい。
「よし。それなら夜も心配要らないくらいに木を集めに行こう!」
「はい!」
やっと前向きさを取り戻したニイヅキを筆頭に、二人は山へと分け入っていく。辺りはだいぶ切り拓かれていて、炎の明るさが山の斜面を照らしていた。
ニイヅキははじめ小さな枝を拾い集めていたが、流石にこれだとすぐ燃え尽きると気付き、折れそうな木を見繕う。青々と葉を茂らせる中に一本立ち枯れた木が見つかり、根元も腐りかけている事から切り倒すならこの木が適任に思えた。
「ごめんよ、使わせてもらうな」
ルーンの刻まれたナイフの刃に氷の魔力を纏わせ、槍を突き入れた幹の隙間にねじ込む。霜の張った幹は次第に氷の膨張圧に裂け、ばりばりと音を立てながら地に倒れ込んだ。
「わ、すごい。こんな大きな木も切り倒せたんですね」
「うん、何とかね。でも枝を抱えたままじゃ大木は運べないし、どうしようかな……何往復もするのは流石に面倒だし……」
「お手伝いしたいのは山々ですけど、私、作りたいものもあって。代わりに動物さん見かけたら、枝を運ぶの手伝ってもらえないか聞いてみますね」
暗がりに消えていくアミリアを横目に、ニイヅキはどうにか楽できないかと考えを巡らせる。
「ここから火が見えるな……」
大木の倒れた斜面の下側に、皆が踊り明かしたり火の番をする姿が見える。このまま木と共に斜面を駆け下りられればどんなに楽だろう。
「……投げて、入らないかなあ……」
手元にはなぜか都合よくある蒸気魔導式の照準器。こういう時の思い付きは大抵ロクなもんではないのだが、果たして。
◇ ◇ ◇
枝運びを手伝ってもらった狸に別れを告げ、再びアミリアは火のそばへ戻る。
「わ、おかげで枝がたくさん……!」
これだけあれば薪とする前に、ささやかな企みも叶いそうだ。
「うふふ、たまには少し遊んだって良いですよね」
枝の節のまっすぐなものを選び、アミリアは丁寧に組み上げていく。小石を土台にして床を組み、蔦で固定した柱には梁を渡す。屋根までしっかりとこさえたミニチュアログハウスは、焚き火の明滅する暖かな光を受け輝いていた。
「火にくべちゃうの、ちょっとためらっちゃいますね」
完成品は元より火にくべる気だったが、出来栄えが良ければ愛着も沸く。暫しそのまま眺めていると、不意に「わーっ」と叫び声が聞こえた。
「どいてぇぇぇえええ!!」
「!!」
咄嗟に躱すアミリアの眼前、丸太に引っ付いたままのニイヅキが一瞬にして過ぎる。横着しようと魔力の爆発で吹き飛ばしたところ、ベルトが絡まってそのまま引きずられてしまったらしい。
火の粉と煙幕が噴き上がる中、這い出したニイヅキが見たものは。
――散らばる何かの残骸と、にっこり至上の笑みを浮かべるアミリアの姿だったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御簾森・藍夜
6
【明雨導】
……誘う場所を間違えたか?
いや、男の遊びってもんはこれぐらいファンキーでいい
なんたって夏だし!
どうした暁、尻尾しまって……え?火事?ははまさか
あれは……えーと、あれはあのあれだ、キャンプファイヤー
大丈夫大丈夫怖くないし火事じゃない
――まあ、雑誌には載せられないかな(ぼそ
薪が足りないのか
よし、山だ
まあ日も暮れてきたが、炎が明るいからな!
適当に枝拾って――ああそうだ、炎を大きくしないとな!
何だろう物凄くテンション上がって来た
とても薪くべたい
くべて――そうだ、洗った枝にデカいマシュマロブッ刺して炙るか?あっやべ炭になった
ここならゴーストタウンソロキャンと違って襲われないし良いと――暁?
楊・暁
6
【明雨導】
キャンプファイヤー(以下CF)なんて初めてだ
誘いに喜ぶも
なぁ…CFって、こういうのなのか…?
雑誌で見たのと、違うような…
…そういうもんなのか…(素直に受け止め
っていうかあれ、ログハウスじゃねぇか!?(吃驚&耳伏せ尻尾震わせ
ら、藍夜、火事だ。消さなきゃ――え?あれもCF!?
いやどう見ても火事だろ…まぁ、お前がそう言うなら、そっか…
乾いた枝集め
…藍夜…なんかテンション高ぇけど…楽しそうだから、いいか
え!?もっと!?大丈夫なのか…?
俺、火炎耐性くれぇしかねぇぞ…
火、怖ぇから隠れてる
藍夜の背から顔出し
マシュマロ…!それ、雑誌で見た(目輝かせ→炭化にしょぼん
…絶対火加減強すぎんだろ、藍夜…
日頃不愛想な男の心を騒がせたのは、夏の余韻か、童心か。
キャンプファイヤーと聞き駆けつけた御簾森・藍夜(雨の濫觴・f35359)は、目の前に広がる一面の火を見て眉をひそめた。
「……誘う場所を間違えたか?」
傍らには楊・暁(うたかたの花・f36185)、またとない遊びの誘いに先ほどまで狐の尾を振り乱していた筈なのだが、散らかした後のような雑多な眺めに訝しげな視線を送っている。
「なあ、キャンプファイヤーってこういうのなのか……? 雑誌で見たのと、違うような……」
少年妖狐の声に落胆の色が混じるのを聞き、藍夜は取り繕おうと必死に言葉を紡ぐ。
「いや、男の遊びってもんはこれぐらいファンキーでいい。なんたって夏だし!」
すちゃり。ギャルソン服のまま張る胸が言い訳に苦しいが、ここまで連れて来たからには乗せてしまうほかない。流されてくれるか冷や汗を拭う藍夜をよそに、暁はあっさりと頷いた。
「そういうもんなのか……」
今日ばかりは、彼の世間への予備知識のなさに救われた。順応の速さは純朴さだけでなく、地頭が良い証左でもあるのだろう。
不意にがらりと崩れる音が響き、噴き上がる火の粉に暁が身を震わせた。振り向けばログハウスだったものが形を失い、隣の焚き火と合体する様が見て取れた。
「っていうかあの残骸、ログハウスじゃねぇか!? ら、藍夜、火事だ。消さなきゃ……」
「え? 火事? はは、まさか……」
ゴーストの襲来ばりに身構える目に、怯えの色が映り込む。耳が萎れ尻尾を隠す暁の狼狽ぶりに、藍夜はしまったと唇を噛む。たまの息抜きにと連れ出した筈が、疲れだけを残して帰すのはあまりに気の毒だ。
何とかうまい方便はないか――不器用な男が辿った思考は、後から顧みれば顔を覆いたくなる程粗末なものだった。
「あれは……えーと、あの、あれだ。キャンプファイヤー」
「?? あれが? キャンプファイヤー?? いや、どう見ても火事」
「大丈夫大丈夫怖くないし火事じゃない。違ってたら今度珈琲とオペラケーキを馳走しても良い」
妙な勢いに押し返され、暁は「そういうもんなのか」と不思議がりながら現実を受け入れる。雑誌のアウトドア特集で見たのはもう少しこう、楽しげで安全そうに見えたのだが。
「……まあ、雑誌には載せられないかな」
ぼうっと火を見る暁をよそに、ぼそりと零す藍夜が胸をなでおろしたのはここだけの話。
◇ ◇ ◇
まだ薪が足りないと聞き、藍夜は颯爽と山に向かっていく。
「まあ日も暮れてきたが、炎が明るいからな!」
小枝を拾い集めては湿った土を掃い、手元の籠に次々と乗せる。今は喫茶店を営む藍夜も過去には森の番をして過ごした事もあり、山歩きにも迷うことなく足元の滑らない場所を選んでいく。
「適当に枝を……これなど良さそうだ」
「……藍夜、なんかテンション高ぇけど……楽しそうだから、いいか」
今にして思えば何かが乗り移ったような奇妙さがあったが、それはともかく。
火の前に戻る頃には他の猟兵のかき集めたものと合わせ、十分な量の薪が確保できていた。
「こんだけありゃ、火も保つか」
「ああ、大丈夫だ。寧ろこれだけあるなら、炎を大きくしないとな!」
「え!? もっと!? 大丈夫、なのか……?」
不安そうに暁が視線を送るも、当の彼は異様なほどのリズミカルな動きで薪を投げ入れる事にご執心だ。後に述懐するには「とても薪くべたい」モードに入っていたとの事だが、おかげで新しい薪にも順調に火が燃え移っていく。
「そうだ、洗った枝にデカいマシュマロぶっ刺して炙るか?」
「焼きマシュマロ……! それ、雑誌で見た」
火が怖いと引き下がっていた暁もこれには瞳を輝かせ、藍夜の背中越しにマシュマロが焼ける様子を覗き込む。待ちかねたように狐の尾がはらりと飛び出、好奇にうず、と揺れ動く。
「ここならゴーストタウンと違って襲われないし良いと思――暁?」
「藍夜、燃えてる燃えてる!」
火に近付けてよそ見をしたが最後、瞬く間にフランベされたマシュマロは真っ黒のかたまりへ。炭になった部分を取り除いたところで、食べられる箇所は殆ど残らない。
「あっ、やべ……」
「……絶対火加減強すぎんだろ、藍夜……」
がくりと藍夜の背にしな垂れかかる暁の後ろで、狐の尻尾が力なく地に落ちた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
壽春・杜環子
4
ディルくん(f37834)と
なるほど。美味しいお水と綺麗な火……火?
いやあれ火事でしょう!?キャンプファイヤー!?
嘘ぉ……しかもディルくんお茶淹れたいの?あんな嬉しそうにして……
うん、キャンプなんて人生初でしたが、こんな地獄とは
わあすごおい燃えてますー(目が死んだ
ん?わたくしマシュマロ焼こうかなって!ね!キャンプってこういうものなのでしょう?
枝……これでいいかしら、よいしょ――炭
えっ炭
やだあカサカサする……
えっディルくん上手く焼けて……えっなんでなんでするーい!
んもう火遊びは大人が一緒じゃなきゃダメなんですよっ
――ご家族が教えて下さったの?
そんなこと言えるのはきっと今だけ
ちょっとだけ許してね
ディル・ウェッジウイッター
4
杜環子さん(f33637)と
近場で美味しい水が湧き、火が燃え盛る。この環境では美味しいお茶ができる事でしょう
つまりキャンプファイヤーってお茶会ですね
薪になる物を山から取ってきて火にくべます。
UCも発動します、そうここはお茶会会場。多少
賑やか方が楽しいもの
杜環子さんは何を作られているのですか?炭?
マシュマロは回しながら焼くんですよ
そう言いながら自分もマシュマロを焼いてスモアを作ります
はっはっは、男というのは火遊びが好きなのでマシュマロの焼き方の一つ二つ
…ほんとは昔家族でよく作っただけです。大した技術じゃないですよ
折角ですしスモアに合うお茶淹れましょう。何が良いですかねぇ
くるくると、少女めいて変わるあどけない面立ちは誰に似たか。
柔和な微笑み、ふくれ面。姫君を模してばかりの壽春・杜環子(懷廻万華鏡・f33637)の表情も、今この時ばかりは彼女自身の偽らざる驚きを隠せずにいる。
「まあ、綺麗な火……火? いやあれ、火事でしょう!?」
皆の火遊びの成果をとくとご覧あれ。二つだった焚き火、片方はそもそも家なのだが、それが一つに合わさって燃え盛る様はもう、山火事の一歩手前とも呼ぶべきで。
不幸中の幸いといえば、山火事になりそうな木は軒並み猟兵たちが取り除いてしまった事だろう。つまりこの先どれだけ燃え盛ろうが、焼け焦げるのは自分達だけで済むのだ。
「近場で美味しい水が湧き、火が燃え盛る。この環境なら美味しいお茶ができる事でしょう」
目を輝かせるディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)は残念かな、人間としてはとことん目が曇っていた。察するに彼の通う学園では混沌寄りの人が多く、朱に交わり毒されてしまったのだろう。
「つまり実質お茶会ですね」
「ですね。……って嘘ぉ……そんなに嬉しそうにするとこ?」
常識人寄りに生まれてしまった己の性を、杜環子は内心呪わずにはいられない。人生初めて満喫するキャンプで、まさかこんな大惨事に巻き込まれるとは思ってもみず。
「わあ、すごおい燃えてますー……」
道中持ってきた薪を下ろして鼻歌まじりに準備するディルをよそに、杜環子の瞳は遠く彼方を見るように大きく見開かれたままだった。
◇ ◇ ◇
音を立てて燃える業火から火種を貰い、ディルは小さな薪に火を灯す。器用に組んだ吊るし木にはケトルが吊るされ、火の先端が触れて湯気を立てている。
「そうそう、ここはお茶会場。燃えるように賑やかな方が楽しいもの」
紅茶は温度管理が大事と、噴き上げる蒸気の音で適温になるのを待つ。横ではせめて楽しもうと杜環子が木の枝をとり、袋のようなものをがさりと開ける音が聞こえた。
「杜環子さんは何を作られているのですか?」
「ん? わたくし、マシュマロ焼こうかなって! ね! キャンプってこういうものなのでしょう?」
楽しげに杜環子が首を傾げ、その弾みで腕も揺れてじゅっと音がした。
「マシュマロ……その炭が?」
「炭?? って、えっ炭、あわわ」
揺れたマシュマロの先と風向きを変えた炎がハイタッチ、フランベを通り越して引火したマシュマロは瞬く間に閲覧注意の暗黒物質Xへ!
「やだあ……カサカサする……」
一応食べられないかと掃ってみるも、炭の中から出てくるのはどこまで削っても炭だけで。
「火に突っ込んじゃいましたか。マシュマロは回しながら焼くんですよ」
お手本にとディルが串を回しながらマシュマロを翳せば、先のダークマター錬成は何だったのか、表面によい焼き目が生まれていく。
「えっ、ディルくん上手く焼けて……えっ。なんでなんで、ずるーい!」
「はっはっはっ。男というのは火遊びが好きなので、マシュマロの焼き方の一つや二つ」
「んもう。火遊びは大人が一緒じゃなきゃダメなんですよっ」
頬を膨らませる杜環子の機嫌を取るよう、クッキーに挟んでスモアを渡せば、ふくれっ面も幾らか収まった。
さくりと噛みしめるクッキーの下で、甘いバニラの香りが鼻の奥に立ちこめ抜けていく。甘く蕩ける味と香りを一頻り味わった後、杜環子はふと気になった事を尋ねてみる。
「そういえば、火遊び……ううん、火の扱いは。どうやって身につけたの?」
問われたディルは故郷の日々を懐かしむように目を細め、「教わったんですよ」と答えを寄越してくれた。
「……男が火遊びどうこうは忘れて下さい。ほんとは昔家族でよく作っただけです。大した技術じゃないですよ」
「……そう。ご家族が教えて下さったのね?」
夜と炎は人を饒舌にさせる。日頃明かさぬような在りし日の思い出、たとえそれが後ろ暗い記憶でなくとも。火の舌の揺らめきを見ていれば、普段宝箱の奥底に仕舞っていたような事も、自ずと思い出されるものなのだ。
その性質を知るが故に、ディルは炎に従った。
「さ、折角ですしスモアに合うお茶を淹れましょう。何が良いですかねぇ」
「そう、ですね。癖のないニルギリなんて、如何かしら?」
笑いあう声の合間を、薪の爆ぜるあたたかな音が満たしていく。二人の笑い声は山間の静寂に飲まれ、夜の冴えた空気へと溶けこんでいった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『キャンプの夜を楽しもう』
|
POW : ゲームやお喋りに興じる
SPD : 歌やダンスで盛り上がる
WIZ : 満天の星空を眺める
|
夜闇に煌々と火の色が滲む。
焚き火にしてはやや大規模に思えたそれは、
横に広がる余地をなくした次に縦へと伸びあがる。
善良なる市民が家路につき、キャンプ地にそれを咎める者はいない。
ただ手の内にあるものを燃えるかそうでないか問わず巻き込みながら、
野放図に赫々とした色が広がっていく。
火山の噴石、荒れ狂う海原。恐怖は遠巻きに見れば一種の崇高さを讃えるが、
それは危険な対象を安全な遠隔地から客観視できるからだ。
――つまり、お膝元では。
◇ ◇ ◇
POW:
煉獄竜巻百花繚乱
自身の装備武器を無数の【舞い踊る焔】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD:
消火活動に励め
【鮮やかな全方位飛び火イリュージョン】を披露した指定の全対象に【この火を命懸けで消さねばという焦燥の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ:
死ぬまで踊れ
【引きずり込む焔の手の掌握】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎が消えるまで離れぬ運命】で繋ぐ。
見よ。薪という薪をくべた火は逞しく成長し、
今やひとりでに空気を吸い寄せ胃袋の中へと送り込む。
置かれたラジカセからは腹の底に響くようなメタルが流れ、
それが熱に浮かされた者たちの狂乱を煽る。
死霊が、白銀の騎士が、絶え間なく可燃物を投げ込み続け、
キャバリアの体高をゆうに超えた火は火柱と呼ぶに相応しい。
斯くも手遅れになるまで危機を察知できなかった理由は唯一つ。
猟兵たちは、あまりに巨大なものとの戦いに慣れ過ぎた。
誰かが正気に返って叫ぶが、あまりに遅い。
未だ気付かぬ者がファイヤーダンスを踊り、危険行為に拍車をかける。
膨れ上がる火、火、火。
これを消しうるものは最早、
超常の力を差し置いて他にあるまい。
汝らに問う。いつからキャンプに
危険がないと錯覚していた?
さあ、キャンプの夜は始まったばかり。
さあ、存分に楽しむがいい――命懸けの炎との戦いを。
ラファエラ・エヴァンジェリスタ
了解だチェザ、滅びの呪文だな
7!
誰かあの台詞言ってくれぬかなぁ
【毒薔薇】
何を慌てる、そんなに青褪めて情けない
此処まで来たら燃やし尽くすしかあるまい?なぁ、我が騎士よ
WIZ被弾
おい何だこれは、運命の赤い糸か?
邪魔をするなチェザ
火を消すだと?私と我が騎士の絆を切らせてたまるか!
やはり貴公は薪代わりにしてくれよう
我が騎士よ、殺れ
おのれチェザめ、うろちょろと…!
私は炎属性攻撃を纏わせた魔力の茨で援護する
辺り一面蹂躙してくれるわ
延焼している?それも事故だよ、事故
うむ
無事に火力も増したことだし誰かに怒られる前に帰るぞチェザ
誰かが消してくれるだろう?誰かが
仕事して疲れた
私はフローズン系のカクテルが飲みたい
チェーザレ・ヴェネーノ
よし、せーので行くよラファエラちゃん
7!
…目がぁぁ!!
どう?満足?
【毒薔薇】
あぁもう、いつの間にこんなことになってるの
猟兵の皆はしゃぎすぎじゃない?
もう燃えるものないし
…あれ?でもこれどうするの?
流石に…まだやるの?!
SPD被弾
正気に帰ってラファエラちゃん!
それ赤い糸ちゃう、UCや!
もう、早く火を消さないと
ねぇ騎士様?貴方の主君の頭おか…ちょっと!本気で殺る気じゃん
やめてよ、俺だって黙ってないからね
炎を盾にする位置で立ち回りながら愛銃で応戦
毒使いだから銃弾は毒入りだよ
この毒可燃性高いんだよねぇ
乱射しちゃお
火力増してる?
不慮の事故だよ
…もう良い?ラファエラちゃん
俺喉乾いた
ねぇねぇ、一杯飲みに行こ
火を前に振り返るチェーザレ・ヴェネーノの表情は逆光で見えぬが、少なくとも口の端は上がっていた。やがて響く声からも、彼が喜色満面だった事は確かだろう。
「よし、次こそは。せーので行くよラファエラちゃん」
「了解だ、チェザ。滅びの呪文だな」
過去類を見ない妙に息の合った声でラファエラ・エヴァンジェリスタが応じ、二人は一斉に何事かを唱える。地獄の釜の蓋が開くような地響きが轟き、二人は何も起こらぬのを見て視線を交わらせた。
「……おかしいなあ。目も眩む閃光が弾けるかと思ったんだけど」
改めて眼前の火へと目を向ければ、最早自分達の手に負えぬ火が踊っている。
「あぁもう、いつの間にこんなことになってるの。皆はしゃぎすぎじゃない?」
「何を慌てる、そんなに青褪めて情けない」
扇子を騎士に扇がせるラファエラは熱風しか来ぬのに気付き、扇子を強制的に畳ませた。次の指令がなく手持ち無沙汰になった白銀の騎士は、仕方なく畳んだままの扇子でラファエラを扇ぎ続ける。
「此処まで来たら燃やし尽くすしかあるまい? なぁ、我が騎士よ」
指示!! 一瞬騎士の目が喜びに輝き、『燃やし尽くす』事を命じられた騎士は喜んで扇子を火の中にぽーいとIN。ちなみにラファエラお気に入りの一品である。
「……ああ、ああああ!?」
今度青褪めたのはラファエラ、顔面を掻き毟って何を言えばいいか次の句を探すも、言うべき言葉なぞ見つからぬ。チェーザレならいざ知らず、まさか忠義の騎士が斯様な狼藉(?)を働くとは思ってもみなかった。
「チェザ! 拾え! 元に戻せ!!」
「流石にそれは無理だよ~。ってかラファエラちゃん騎士様には怒れないんだ」
「ひ・ろ・え! さもなくばお前も飛び込め! 〇×△××~~……わぷっ」
人語として理解不能な言葉を上げ連ねていたところ、飛んできた火の手(not比喩)に攫われラファエラは強制ランデブーの旅へ。主君を追った騎士が助けようと手を伸べるが、炎の手の方がまだ力強い。
「おい何だこれは、運命の赤い糸か? 赤い糸かあ……」
ほわわん。デッドマン故、僅かに上気した頬は赤らむ事こそなけれど、今の彼女にはそんな効果音が相応しい。
「正気に帰ってラファエラちゃん、それ赤い糸ちゃう、実質ユーベルコードや! 早く消さないと!」
「火を消すだと? 私と我が騎士の絆を切らせてたまるか! やはり貴公は薪代わりにしてくれよう」
「ねぇ騎士様? 貴方の主君頭おかし……」
しゃきん。白銀のブロードソードが炎より勢いよく突き出し、チェーザレの短く切り揃えた髪をベリーショートの長さにぶつ切った。
「ちょっと! 本気で殺る気じゃん! やめてよ、俺だって黙ってないからね」
「おのれチェザめ、うろちょろと! 我が騎士よ何をしている、殺れ!」
ぐるぐると火を取り囲む逃走劇。炎纏う茨が足元に繁茂し、地には跳弾の音が鳴り響く。
「む。貴様、何を仕込んだ!」
「ふふん、俺毒使いだから銃弾は毒入りだよ! この毒可燃性高いんだよねぇ」
薬品の撒かれるたび刺激臭が立ち込め、気化する液体に引火して辺りは高熱に支配されていく。
暴れるだけ暴れた二人の結果は痛み分けだった。
走る気力も尽きて倒れ込むチェーザレの元へ、同じく息を切らしたラファエラが令嬢らしからぬ格好で座り込む。
「……うむ。無事火力も増したことだ、誰かに怒られる前に帰るぞ、チェザ」
「もう良い? ラファエラちゃん。俺、喉乾いた」
「珍しく意見が合ったな。私もだ……仕事をして疲れた。フローズン系のカクテルが飲みたい」
「いいねそれ! バーでも探して一杯飲みに行こ」
恨みつらみもぶつけてしまえば、意外と気の済むものだ。
火に投じた扇子は帰っては来ないが、何、また新たなお気に入りを見つければいい。
火消しに負われる周囲をよそに、二人の高らかな笑い声が夜天の下で響く。こうして無茶な事をしたのも夏の思い出として、やがては思い出の一頁に加わるだろう。
年甲斐もなく随分と走ったものだ。喉が渇いた。潤すものを求めて二人は歩き出す。
歩き出すその背に祝福を投げかけるように――。
――がっと火の腕が二人を掴み、燃え盛る業火とのランデブーへと引きずり込んでいった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月宮・若子
7?
た、大変な事にっ!
でも、こんな場面でこそ私の【死霊術】の出番っ!
大量の屍人や死霊を動員して近くの川からキャンプファイヤーまでバケツリレーですっ!彼らは火の手に巻き込まれても動きを止めませんしっ!
(そういう若子は、プカプカ浮遊する『異海蛸』に乗って火の手の届かない集会場のお堀のような溝の外側にいた)
ち、違うんです。私だけ安全な場所で高見の見物と言う訳ではなく…そう、死霊術は私がダメージを受けちゃうと解除されちゃうんでっ!
(死霊の一体が気を利かせて皿に盛ったバーベキューと飲み物を持ってきた)
わぁ、ありがとう。お夕飯時でお腹ペコペコだったんです。いただきます♪
……ち、違うんです。
【アドリブ歓迎】
冬原・イロハ
わ~、すごいですねブリキザメさん
火の海ってこんな感じなのでしょうか(ブリキザメに騎乗して泳いで貰ってきゃっきゃっ)
泳いでいるとやや上空に上がっていて、夜風の心地良さにうっとりです
下を見るとすんごいことになってますね
……はわ、これが地獄の業火
ここまで見事に、皆さんが力を尽くして成長させた焚き火を消すのはとても忍びないのですが、後始末もちゃんとしなきゃですね
皆さん熱(暑)そうですし、改造ショットガンを使って地道に消火
UCを使って、水の魔力で攻撃力をあげます
水の魔力を込めた散弾銃をぶっ放していきますね!
ブリキザメさんに騎乗して
舞い踊る焔を散らしていきます
焚き火さん、楽しい時間をありがとうございました
炎の手に連れ去られた者の叫びが木霊し、回る光景はさながら空中ブランコ。遊園地のアトラクションとの決定的な違いは何も安全が保証されてない事である。
「た、大変な事にっ!」
遠目に見て慌てる月宮・若子は自身の足元でも妙な音がしたのに気付かない。何とか助けようとも思うのだが、まずは火の手を緩めない事には近づけなさそうだ。
「な、何とかしないと……こんな場面でこそ私の死霊術の出番っ!」
人海戦術的アプローチではある意味万能な召喚術。なんだか体よく使い倒されてる気もするが、当の死霊たちが楽しそうなのでWin-Winである。
「さあ屍人の皆さん、バケツリレーですっ! 近くの川からキャンプファイヤーまで水を運んできてくださいっ!」
一列に広がった屍人たちはバケツを次々と手渡し、川面にぷかぷか浮かぶ若子のところまで……川面?? 屍人が不思議そうに首を傾げて召喚主を眺める。
そう、若子は浮遊する青黒い大蛸に乗ってぷかぷか、集会場から離れた安全圏に浮かんでいた。
「あっ、ち、違うんです。私だけ安全な場所で高見の見物というわけではなく……そう、死霊術は私がダメージを受けちゃうと解除されちゃうんでっ!」
言い訳臭くなってしまったというか実際言い訳なのだが、実は生き物に乗って揺蕩っているのは若子だけではない。「あら?」と上空に目を凝らせば、そこには先ほど語らった白いケットシー、冬原・イロハの姿。
「わ~、すごいですねブリキザメさん。火の海ってこんな感じなのでしょうか」
上昇気流に乗ってぐるぐる円を描くように空へと上がれば、夜風が心地よく髭をなでる。近くで見ると大惨事だが、こうして上から見る分には綺麗な眺めだ。
ただ、よーく見てると。
「……はわ、誰か地獄の業火にまかれてますね」
何名かが炎の手に繋がれぶんぶん振り回されているのに気付く。ここまで成長させた焚き火を消してしまうのは勿体なくも感じたが、そろそろたたみ時だ。
「ブリキザメさん、私たちも行きましょうっ」
強く頷く合金ザメの背びれに掴まり、イロハはショットガンに水の魔力を籠めた。
◇ ◇ ◇
宙を泳ぐサメの尾びれが、水面を叩くように大気をかいて加速する。火の元を叩きたい所だが、まずは火の拡大を防ぐ方が先だ。熱を持ち発火しそうな草むらへ、パシュパシュと冷却の散弾銃を放って鎮火する。
「サメさん、もう少し右ですっ。ううんと、もうちょっと前……あちちっ」
火のそばを過ぎる際に焦げそうなヒゲを手でガードし、イロハは次々と地面を冷やして火の燃える領域を狭めていく。
「わ、すごい……魔法の銃。私たちも負けてられませんねっ」
むんっ、と決意を固めた若子に、折よくはい、と死霊が手渡したものは。
「わぁ、バーベキュー! ありがとう……お夕飯時でお腹ペコペコだったんです」
丁度よく焼き目のついたカボチャに玉ねぎ、よく焼けた肉。この業火っぷりでなぜ焼けたのかだが、やたら凝り性の死霊が我が身も顧みず火加減を調節し続けた事は特筆すべきだろう。
「いただきます♪ あーん……あふあふ、んっ……美味ひい!」
口の中でほろりと崩れるカボチャの焼き加減、ソース要らずのこの甘さ! すっかりご満悦な若子を目にし、調理担当の死霊は満足気に成仏していく。
「ありがとう~……はっ。ち、違うんです。私はちゃんと、消火……あら焼き芋」
慌てて消火活動に戻ろうとする若子を押し留める屍人たち、何も言わずとも主の事を分かってるあたりできる子たち。ぜひ今後とも大事にして欲しいものだ。
バケツリレーは順調にざばざばと薪を冷やし、かける際に噴き上がる蒸気も死んでる身なら何のその。炎を恐れぬ屍人たちのおかげで、これ以上の拡大は防げている。
「焚き火さん、楽しい時間をありがとうございましたっ」
空泳ぐイロハが水の魔弾を散らし、睫毛の水滴ごしに虹のアーチが広がった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
楊・暁
【明雨導】
あっ彷いい所に…!
藍夜テンション高くて――
また!?いつもアレなのか!?
先にキレた方?って何やってんだ彷!?
お前、不死鳥になりたかったのか…
ってやっぱり違うよな!?
藍夜お前ストームブリンガーだろ!?雨喚べば…
彷、
藍夜別に保障はしてねぇからな!?
ああもうどうすりゃいいんだ(狼狽
…先にキレた方が勝ち…
…
……
……よし
郷に入れは郷に従え…!(テンパりMAX
UC発動
キャンプ技能100Lvの黒い子狐召喚
任せたぞお前ら…!
って藍夜がこっちに来た!?し、しまう!?(わたわた
…俺も何がどうなるか全然分かんねぇ…
けど、もうこうなったら全力でキャンプするしかねぇだろ…(悟り
彷の羽に隠れつつ見守る
比良坂・彷
【明雨導】
7
どうしてこうなってる?
あー藍夜また冷えたんだァたのしそー
暁くんにしたり顔
「おにーさんが良い事教えたげるね」
大火災から煙草に火→灰
「酒の席と一緒でこういうのは先にキレた方が勝ちなのよ」
吸い殻ぽいっでUC発動
彼岸花満開
「CFちゃんひとりぼっち(?)は寂しいよね
おーててつなご
ふふ、やだ熱いよ
熱いってば
死ぬ?!」
いいや俺は不死鳥
藍夜が保障してくれた
翼ばさー
よし藍夜を正気に戻せた
今の
勝者は俺!
もふ?
やば、暁くんしまって
もふ浚い藍夜が来…遅かったか
暁と並び煙草咥え
すごいね
藍夜はUC使ってねぇのに狐つかまえてら
あの子達何すんの?キャンプ?この有様で?
羽ばたきで火の手を払いのけ藍夜観賞
御簾森・藍夜
【明雨導】
よし、思い切りやるか!な!
どうせ冷えたって温まるんだ!さあ盛大にUCを一発!
うえ、寒苦しい
ん?なんだ彷が燃えた?
分かったあれだろフェニックスみたいな?
……すっごい
凄いなあいつ……やっぱ翼のある賢い奴は違う
――あれ?あいつ“が”燃えて?お、おい彷
ば、ばか本当に燃えるな!
ああもう消――(俺は消火機能が無い
だあああもうなんでンなとこで変な慈悲を!ばか!
なあ、暁……え。待て。もふ……き、きちゅねが!!
え、なんで?こんなとこに?もふもふ?
――かわいい。拾う。つれてかえる
彷ちょっと待ってろ後で必ず行く
俺は今可愛いふあふあを拾う緊急クエストを受注した
愛と気合があればたぶん
一時の夢でも良いんだ……!
さて、宴もたけなわという所で、悪友たちに「面白い催しがある」と聞かされ辿り着いた比良坂・彷(冥酊・f32708)の第一声をお聞き頂こう。
「どうしてこうなってる??」
咥え煙草が思わずぽろりと落ちそうになったのも無理からぬ事。何せ先の読めないスラップスティックコメディの終幕だけを見ているようなもの、目の前3m超の炎が「キャンプファイヤーだよ☆」と言われてもンなわけあるかとしか返しようがない。
「あっ、彷、いい所に……! 藍夜がなんか、テンション高くて――」
火も友人も手に負えず困り果てていた楊・暁は、頼もしい助っ人の登場に胸を撫でおろす。盛大に火を焚きつけたりマシュマロ焦がしたり様子のおかしい御簾森・藍夜に、正直不安を覚えていた。
「よし、思い切りやるか! な!」
「何を??」
「どうせ冷えたって温まるんだ! さあ盛大に一発、極東の冬をくれてやる!」
黒鉄色をした狙撃銃を構えた藍夜、自身の体温を極限まで引き下げ、増大しきったエントロピーの中核へと月光の魔弾を放つ。数発撃つだけで生命維持にも支障をきたす一撃だが、絶対零度の弾丸が命中した焔は確かに熱を奪われた。
「うえ、寒苦しい」
「あー、藍夜また冷えたんだァ。たのしそー」
「また!? いつもアレなのか!?」
常態化してる事に驚く暁だが、彷は横目で見るや「初めてだったか」と乾いた笑みを浮かべる。
「そそ、藍夜もあれで時たまイカれてるからねー。自分の体温と心拍くれてやるなんざ、大した博打でしょ」
「そんな代償あるのか!?」
「吃驚すんでしょ。あと、イカれついでにおにーさんが良い事教えたげるね」
燃え踊る火災から器用に火を貰い、彷は煙草を燻らせる。吸い口と反対側の端が赤々と燃えて灰になり、ポトリと落ちた地面に火よりも赤い花が芽吹く。
「酒の席と一緒でこういうのは先にキレた方が勝ちなのよ」
燃えさしの落ちた箇所から次々芽吹く彼岸花、火を取り囲み群生する花からは幽世蝶が旅立ち、夜空を彩っていく。
「キャンプファイヤーちゃん、ひとりぼっちは寂しいよね。おーててつなご」
何気なく火に手を伸ばせば、あちらからもずわりと伸びる手。燃える炎と悠々と手繋ぎ空を舞う彷は、炎の熱さも感じず社交ダンスを踊るように見えた。
「……すっごい。凄いなあいつ……あの余裕。やっぱ翼のある賢い奴は違う」
目を閉じ穏やかに笑む彷はさながら奇行――失礼、貴公子。袖に燃え移る炎にもくすぐったそうに笑い、ダンス相手を導くように目を開ける。
「ふふ、やだ熱いよ。そんなに焦んないで。熱いってば……死ぬ!?」
「何やってんだ彷!? 藍夜、彷が燃えてる! お前ストームブリンガーだろ、雨喚んで何とか……」
「燃えてる? ふ……分かったあれだろ、フェニックスみたいな? ってお、おい彷、ばか、本当に燃やされてどうする!」
危うく高い高いされかけた彷を引きずり下ろし、暁はばさばさと上着で火の粉をはらう。
「お前、不死鳥になりたかったのか……?」
「クックッ……やっぱ俺、不死鳥だわ。藍夜が保証してくれたし」
オラトリオの翼をばさりと広げて火の鳥と言い張る彷だが、煤だらけの翼はもはや烏に等しく。
「土曜の夜のフィーバー! 荒ぶる火の鳥のポーズ!」
「ってやっぱり違うよな!? 彷、
藍夜別に保証はしてねぇからな!?」
どこかで見たポーズを次々と披露しておどける彷、気づけば藍夜が先ほどまでの浮かれっぷりを忘れたように大きくため息をついていた。
「よし、藍夜を正気に戻せた。今の
勝者は俺!」
「正気? ……だあああもう、なんでンなとこで変な慈悲を! ばか!」
「え!? あれ、喜んでやってたのか!?」
藍夜、どうやら夢から醒めたくなかったらしい。日頃ストレスが溜まっていたならたまに酔いたくもなるよね、うん。
「ああもう、藍夜はこんなだし彷もヘンだしどうすりゃいいんだ……」
「ふっふー、先に言ったじゃんキレた者勝ちってサ」
「先にキレた方が勝ち……」
若気の至りなノリに免疫のない暁だったが、ようやく飲まれなくてはやってられない事を悟り。
「……よし。郷に入りては郷に従え……!」
覚醒した妖狐の妖気が辺りを覆い、隠していた尾がふぁさりとしな垂れる。主の窮地(?)に呼ばれた黒い子狐たちは驚くなかれ、なんとキャンプ技能に特化型だ――!
「任せたぞお前ら……!」
「クゥーン!」
なお、方々へ散る子狐たちの目的は鎮火でなく『キャンプを楽しむ事』である。
「暁……え。もふ??」
ここで、炎を茫然と見つめていた藍夜が視界の端に動く毛だまを認め、首がぐりりとあらぬ方に振り向く。
「待て……き、きちゅねが!! え、なんでこんなとこに? WHY~もふもふ?」
「えっ。藍夜がなんかこっち……変な目で……」
「げっ。やば、暁くんしまって、もふ浚い藍夜が来」
「かわいい。拾う。つれてかえる。彷ちょっと待ってろ後で必ず行く俺は今可愛いふあふあを拾う緊急クエストを今受注したゲッダーン!!」
「ちょっと待ってしまうってうわああ」
「……遅かったか。しかしすごいね、浚いっぷりが」
ユーベルコードも使わず次々ともふもふを手に抱えていく藍夜を眺め、諦めて傍観に回った彷は二本目の煙草を咥えた。
「あの子達何すんの?」
「俺も全然分かんねぇ……けどもうこうなったら全力でキャンプするしかねぇだろ」
「キャンプ? この有様で??」
羽ばたきで炎をはらう彷の後ろ、火を怖がるように隠れた暁は常日頃冷静な男の本性を眺める。くるくる回りながらウェイターのように子狐を手に乗せていく藍夜は、現世の全てのしがらみから解放されたように爽やかで。
「トゥルルルル……ティーン☆ あっははは、愛と気合と
もふもふがいれば俺はずーっとハッピーさ……!」
抱えたものを次々と手放していく藍夜に、暁は「将来ストレス抱えすぎないようにしよう」と心に固く誓うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
壽春・杜環子
7
ディルくん(f37834)と
…ねえ
ねえねえ、ディルくん
やっぱり火事では
若い子の火遊びヤバい
さっきまでの方がよっぽどキャンプだったんだったのですね
消火…
あ!そうです!わたくし、とっても閃きました!
運が悪く雨が降って火が消えちゃったー!なんてことあるんじゃないかしら!ね!ちょっと賢いのではなくって?
だってアクシデントは仕方がないもの!
というわけで呪っちゃ―え?
火、動い…手?
え?来ないで!あっち行って!
ひえ掴まれました!わたくし燃えちゃうー!うええん!
うっ、ぐすっ…泣いてないです
不運に雨とか降らないかなって…そう、思ったんですのよ
でも…火の手が
ディルくんの手に誘導されつつ避難
ありがとう、ディルくん
ディル・ウェッジウイッター
7
杜環子さん(f33637)と
いやー凄いですね
キャンプファイアーもといお茶会と火事のギリギリを攻めるの楽しい!やはり火遊びは最高ですね!!(キャッキャッ)
ですがお茶会も終わりとなれば、火の始末はすべきですね
尽力いたします
消火
そうですねリベレイションで召喚した英霊を炎に憑依させます
火力は高くなりますがしばらくすれば生命力、つまり炎の勢いはぐんと減るという算段です
という事で炎の勢いが無くなるまで
逃げます
後の事は
消火のプロである皆さんにお任せを…って、何やってるんですか杜環子さん
自分が不運に巻き込まれてどうするんですか…
残っていた水をかけて火の手を消火
適当に宥めながら逃げるとしましょう
猟兵達の尽力の甲斐あり、燃え上がる火柱は次第に火勢を弱める……はずだった。
はずだったのだがあにはからんや、直前のお連れ様方たちが消火活動の手を緩めるとはよもや、よもやで。
「……ねえ」
壽春・杜環子が見る間にも火はじわじわと息を吹き返し、燃え残っていた隣の薪へも足をちょろっ。どうしよっかなー、お出かけしちゃおっかなーとルンルン気分に見えなくもない。
「ねえねえ、ディルくん。やっぱり火事では」
「いやー凄いですね、はは」
火の扱いに長けたディル・ウェッジウイッターにも、これは人間の制御しうる域を離れている事は明らかで。
「キャンプファイヤーもといお茶会と火事のギリギリを攻めるの楽しい! やはり火遊びは最高ですね!」
「そんな倒錯的なシュミ持ち合わせていないですぅーえぇーん……」
杜環子は哀しきかな常識人。いっそ正気をかなぐり捨て騒ぐ側に回れれば楽だが、都での教養とプライドがそれを許さない。なんだか遠くでお目付け役を放棄した男(f35359)が狂喜のハッスルを繰り広げてる気がするが見ない見えない、後で百叩きの刑に処す。
「若い子の火遊びヤバい……ヤバいとか言っちゃうくらいヤバい……さっきまでの方がよっぽどキャンプだったのですね」
けれど楽しい祭りもいつかは終わり、遊び呆けた後の片づけは必ず回ってくるものである。
「まあ、ですが。お茶会も終わりと成れば、火の始末はすべきですね。尽力いたします」
「……! やっと動いてくれる気になったのですね!」
こくりと頷いたディルは懐より古びたメダリオンを取り出し静かに掲げる。ゆらめく炎の色が鈍色を照らし、赤銅の輝きを宿らせた。
◇ ◇ ◇
で、策はというと。
「まずリベレイションで英霊を召喚して炎に憑依させます」
「ふんふん」
ぶわり。舞い降りた英霊が「ヤッダー炎の中に召喚されチャッター☆」なもがき苦しむポーズで炎にIN。勇ましいトランペットの幻聴がどこからか聞こえ、炎の若い命が真っ赤にガンガン燃え上がる。こころがひとつになれば?
「御覧の通り火力が増します」
「増してどうすんですかーーー!?」
ありがとう、英霊。ありがとう、地球! また会う日まで……!
「まあまあ。何事にも代償はつきもの。しばらくすれば生命力、つまり炎の勢いはぐんと減るという算段です」
「……それ先に言ってくださいよぉ」
膨れ上がる炎の威力は体感にして四~五倍、これだけ燃やせば確かに火種は尽きそうだ。
問題は如何にしてそれまで凌ぐか、だが。
「という事で。炎の勢いが無くなるまで、逃げます」
「えっ。嫌ですよわたくし、こんな格好で汗をかいちゃうの、ってわわっ」
有無を言わさず手を掴まれ、駆け出す杜環子の居た所が炎の海へ。火の恐ろしさに青ざめた杜環子だが、何とかそれ以外の手を浮かべようと走りながら頭を抱える。
「消火……あ、そうです! わたくし、とっても閃きました!」
振り返る杜環子の目に迷いは消え、手には嵐の霊力秘めたる古巻貝の杖。
呪いの基本たる水鏡を呼び出し、打ち寄せる炎の波を出迎える。
「運悪く雨が降って火が消えちゃったー! なんてことあるんじゃないかしら、ね! ちょっと賢いのではなくって?」
「なるほど。名案です!」
アクシデントは仕方ないもの、と含みのある笑いで水鏡を突けば、映した鏡面から水流が呼び出され炎の元へ向かう。
「というわけで呪っちゃ――え!?」
ちょいとお嬢さん、お手を拝借。横から伸びた火の手がそれはもうがっしり、杜環子の腕を掴んでいて。
「火、動い……手? え、来ないで掴まないで、あっち行って……はーなーしーてー!?」
さあて空へとご案内、今宵は楽しい空中ランデブーと洒落込もうじゃありませんか!
「わたくし燃えちゃうー! 鏡部分以外は紙で燃えちゃうのー!! うええええん!」
「何やってるんですか杜環子さん……」
危うく死ぬまで踊らされかけたところを最後の水を振りまいて救出し、ディルは落ちてくる杜環子を両腕で抱える。
「うっ、ぐすっ……泣いてないです……不意に雨とか降らないかなって、そう、思ったんですのよ……」
「自分が不運に巻き込まれてどうするんですか……後は適当に宥めながら逃げて待つとしましょう」
災難にも遭ったが、ディルは年の割にこうした不運にも慣れていて。強く手を引く彼の背中は、不思議と頼もしくも思えたものだ。
「ありがとう、ディルくん」
「いえいえ。誘ったのは私ですから」
駆け行く最中、ディルは思う。
(「これ、本当に消えるんでしょうか――」)
思いを馳せるだけ馳せ、男は真摯な問いを空の彼方に投げ捨てた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
青梅・仁
7
皆が楽しそうだからおじさんも様子見に――うっゎぁ。
え、何?何これ?
一日キャンプファイヤーしてたからってこうはならんだろ。
取り敢えずアレだ、山火事になったら大変――いや何で山の木めっちゃ少ねえんだよ。
猟兵ってすげーなとは思ってたけど、うん……。
まあ皆が楽しそうだから、いっか!(諦)
普段あまり火をぼーっと見ることもないし、俺もちっとゆっくりすっかな。
そういや火を見てると癒しになるって
……、……なるかぁ?
冷静になったらUCを使って怨霊共を呼び出し消火――おい、燥ぐな。
一部燥いで戦力にならん怨霊は放っておいて、残りと俺とで海水で消火活動。
火柱に負けるかよ、こちとら海だぞ!!?(ヤケクソ)
男は、煌々と燃える火を眺めていた。
吸って落ち着こうと咥えた煙管は上下逆さで、刻み煙草を地に零して無駄にする彼の視点は夜闇を見つめるように定まらない。
動揺していると自身で認めざるを得ない。男――青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)は現実の光景を忌避するように目尻を弛緩させながらライターに火をつけた。
「あちっ。……いや、こうはならんだろ」
火傷した手元の熱さを拭い、あらためて本領たるツッコミを入れてやろうと語彙を漁る。
「何これ。ねえどういう事よこれ? 一日キャンプファイヤーしてたからってこうはならんだろ?」
楽しい誘いと聞き、どれおじさんもご一献と軽いノリで来たのが運の尽き。発起人が誰かは有耶無耶だが、誘った人と手を挙げた人の属性から推して知るべきだった。
「……よくもまあこんだけ燃やすものを集め……つか、今何燃やしてんだ。木? なんか梁みたいなモン見えてねぇか」
ここまでよく、持ち堪えた方だろう。元は建造物の一部と思われる太く整った残骸ががらりと崩れ、火の中へと息を引き取った。
「取り敢えずアレだ、山火事になったら大へ――いや何で山の木めっちゃ少ねえんだよ!?」
山は山で大量伐採の荒れ放題、間伐のつもりで皆切り倒してしまった案件のような悲惨さだ。日が昇ればあまりの茶色い地面に目を覆いたくもなろう。
「猟兵ってすげーなとは思ってたけど、うん……まあ皆が楽しそうだから、いっか!」
ごめんツッコミの神様、俺の手にゃ余るわ――実在するかもわからぬ架空の神に向け、自身も神である男は内心で詫びながら力不足を認めた。
海にほど近い場所に住む仁は普段、あまり大きな篝火を見る事がない。
火の揺らめきは癒しとも聞く。ひとまず火のそばに腰を落ち着け、眺めようとしたのだが。
「……どこに腰、落ち着けんだよ……」
水浸しの地面、燃えた扇子の残骸、異臭のする薬物の痕跡、動物の抜け毛。まず座れそうな場所が見当たらず、くわえて風向きが変われば前髪を焦がしに来る気まぐれなこの大火。眺めるだけで持っていかれる観覧料はあまりにデカい。
「つか、冷静になろうぜ俺。こんな火で癒されようがねえ」
どう考えても巨大火の有効活用法が思い当たらず、仁は己の理性に従って鎮火を決意する。
「おいお前ら、出番だ」
『あいあいさー! ってうわっ、親分どんだけ火遊びしたんだよ』
怨嗟の海から呼び出された怨霊たちの筆頭・小吉が目を丸くし、仁に罪をなすりつける。
「俺じゃねぇ、俺じゃねぇ! とにかく火を消すぞ、手伝え!」
『えー本当っすかー。まいいや、行くぜ皆。突撃ぃー!』
『火の輪くぐりだー!』
「そういう遊びじゃねぇ、燥ぐな!」
暗く冷たい海水を浴びせかけ、力の及ぶ限り火消しに精を出す。海が火柱に負けるかよ、とは仁の弁だが、誤算があったとすれば呼び寄せた者もまた祭り好きだった事だ。
『西~~、亀助の里~~。東ぃ~~、若布乃尊~~。両者、見合って~~?』
『はっけよいこらせー!』
「遊ぶなてめぇら……!」
突如周りのお堀で始まる、大波相撲。結局のところ消火に使われた海水は、砂浜のお城を辛うじて崩せる程度だったという。
大成功
🔵🔵🔵
尾花・ニイヅキ
もう、次こそ合わせないと!
せーの、7!
【焼く女達】
さっきは結構危なかっ……いや今も結構危ないな?
でも折角こんなに燃えたのに消火活動しなきゃいけないのか?
……少し、勿体ない気がするな。
どうせ消すなり消えるなりしてしまうなら僕は肉焼きチャレンジを諦めない!
この火が消えるなり僕の持ってきた肉が尽きるまでの勝負だ――!
UCで水の防御を施し、炎と向き合う。
焔の花弁が飛んでこようが、今度こそ僕は負けない。
火力が強すぎるならその花弁を利用すればいい。
ついでだ、マシュマロを焼くのにも挑戦する。
一頻り焼いて満足したら消火活動。
『属性攻撃(水)』でひたすら魔弾を撃つ!
……消火出来ない? そのうち消えるよ、きっと。
アミリア・ウィスタリア
ごめんなさい、今度こそ!
7!
【焼く女達】
ログハウスを焼く欲が不完全燃焼ですけれど、火は順調に燃えていますね!
とても元気で素敵です。
え、消火……?
こんなに元気に燃えているのに消すのは少し可哀想な気も……。
けれど、このまま爆発なんてしたら危ないですものね。
名残惜しいので、火の周りで少し踊りましょう。
危険な場所で踊るのは多少はやったことあるので大丈夫です。
火に踊りを捧げたら、じっと火を見つめて、少しずつ落ち着くよう願います。
消されるよりは、自ら消えた方がいいと思うから。
……もし落ち着かないようなら?
あたりにある枝を投げ込んでしまいましょうか!
奇跡的に物量で消火できるかもしれません。難しそうですけど。
さて、お分かりいただけただろうか。
ここまで本気で消火を試みた人の数が、あまりにも少ないのである。
水鉄砲や極低温の魔弾、海水を放った者は確かに居たが、大火に対してあまりに無力。それ以上に焚きつける者の存在が大きく、途中で火の勢いを五倍にされた時点で勝敗は決したと言えよう。
「さっきは結構危なかっ……いや、今はもっと危ないな?」
身の危険を感じるセンサーが故障していたのだろう。尾花・ニイヅキはようやく火の規模に危機感を覚えるが、今更どうしようもない。
「ログハウスを焼く夢は未消化なままですけれど、火は順調に燃えていますね! とても元気で素敵ですっ」
一方こちらは初めからセンサーなどないアミリア・ウィスタリア、魂人の境遇故か悲しいほど強メンタル。これに勝る絶望を超えてきただけあり、人としての真っ当な感覚も抜け落ちてしまったのだろう。
「折角こんなに燃えたのに消火活動しなきゃいけないの、少し……勿体ない気がするな」
「え、消火……? こんなに元気に燃えているのに、ですか?」
そこ、悲しそうな顔しない。どちらかというとアミリアの方が火を消す事に本気で異を唱えそうな勢いである。
「……そう、ですね。名残は尽きませんけれど、このまま爆発なんてしたら危ないですものね」
「うん……とりあえず」
世話になった火に、別れと感謝を。荒ぶる火を鎮めるべく、二人は同時に消火準備に――。
「どうせ消すなら最後に肉焼きチャレンジを! 僕は諦めない」
「名残惜しいので火の周りで少し踊りましょう! 危険な場所で踊るのは多少はやったことあるので大丈夫です、ほら吸血鬼の前ですとか」
ああっと前言撤回、ダメな方に振り切れた精神の持ち主だった! この期に及んでまだ楽しもうとするなら、全力で責任を負ってもらおう。
◇ ◇ ◇
さて。混沌の様相を呈してきたので、以下ダイジェスト版でお送りしよう。
「~♪」
焦茶の髪が風になびき、炎の淡い光を照り返す。肢体くねらすアミリアの踊りたるや流石のもので、この美貌と技量で暗黒世界を渡り歩いて来たのだと思えば逞しくもなろう。
寵姫たる眼差しを炎に投じれば、ぶわりと勢いを増す火は天を衝く。
「……落ち着き、ませんね?」
少しずつ落ち着くよう願ったつもりだが、炎は無意識的に友好的な行動、すなわち素肌も露わにした彼女が暖をとれるようごうごうと勢いを増したではないか!
「あちっ……あっ、ああ……!」
持ってきた肉の悉くを焼き尽くされ、これでもかと肉焼きチャレンジに励むニイヅキだったが、炎も肉が食べたかったのだろう。そっちの大きい塊ちょうだい! と飛び火した先には肉のクーラーボックス、脂の乗った肉は瞬く間に燃え盛って炭へと変わり果てていく。
「肉がダメならマシュマロだ、今度こそ僕は負けない……!」
ごう、とニイヅキの顔面を炎が過ぎり、火がひと舐めした後には炭の塊。残りのマシュマロにも炎の花が咲き、真っ赤なひなげしのようにゆらゆら揺れる。綺麗だね!
「……くっ……いくら何でも性質が悪すぎる! 消火を……消……消せ、ない……?」
身に纏う水の魔力の加護が弾け、「わぷっ」と焔の花弁を顔面に浴びる。魔弾を撃てども撃てども火は尽きる事なく、むしろ踊る火焔に水をかけた事で高熱の飛沫が辺りに飛び散るこの始末。
「アミリア、もう消えるまで放っとこう! そのうち消えるよ……って、何を?」
「え?」
ここに来て魂人の透いた手が火に投げ込む、大量の薪。曰く、奇跡的に物量で消火できるかもと思ったとの事だが、膨れ上がる火を前にそんな事をすればどうなるか――後は直接火に聞いてみよう。
「わ、火が……大きく……?」
酸素を一頻り大きく吸い上げた火がうねるように踊り、
「綺麗……」
凝縮するように焚き火の中央、一点に集まり。
「……。…………! ……に、にげ」
長く伸びる二人、いや居合わせた全員の影。燃やすもの全てを燃やして燃え尽きる事を願われた火は、どこまでも忠実に願いに従い『燃やせるすべからく』を呑み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
その光景を、森の獣たちは憶えている。
夜闇を切り裂いて立ち昇る火柱。自然界になき現象。
燃え盛る赤い玉は一度力を溜めるように内へと籠もり、
その全ての力を解き放つように天へと伸びた。
ギャアギャア、と烏たちが夜に騒ぎ、逃げ惑う隊列を形作る。
後は、静けさが支配した。
住処を離れた森の奥で何があったのかを獣たちは知らない。
火を巡る人間たちのドラマがあった事も、彼らがその後どうなったのかも。
ただ一つ、動物たちの知らぬ確かな情報を付け足しておこう。
誠に言い難い事なのだが。聞くに堪えぬ、痛切な報せだが。
アスリートアースの地において彼らは――。
……一か月ほど、キャンプ地限定で出禁を喰らったという。
守るかどうかはわかりませんけどね☆
◇ ◇ ◇
【オマケ:希望者だけに見える🎲生死不明表🎲】
十の位:理由 一の位:日数
1 森を彷徨う★ 5日★
2 川の水でお腹を壊す 2日
3 焦げマシュマロの亡霊にあう 1日
4 山でサバイバル生活 3日
5 見知らぬ街で無一文 半日
6 野良のもふに心を奪われる★ 5日★
7 事後処理を手伝わされる 2日
8 火を見るたびトラウマが蘇る 2日
9 なんか海まで流されてた 3日
0 ある一日の記憶が全くない 2日
奇特なロールをしたい猛者だけ1D100を振ってみよう!
十の位、一の位、それぞれがさまよう理由と日数を表しているよ!
★のついた出目は十・一の位ともにダブルトリガー、
★の数だけ1D100を1回振り足して加算できるよ! ワァ素敵!
旅団での適用範囲をどうするかや辻褄合わせ、周りへの説明は各自で頑張ってね☆
頑張ってね。マジで。