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もふもふこねこは断食中

#UDCアース #グリモアエフェクト #UDC-P #もふもふこねこ


● 猫cafeシャトンの晩ごはん
 UDCアース某所にある『猫cafeシャトン』。かわいい猫たちと美味しいカフェメニューで癒やしのひと時を満喫できると話題の店には、一匹のUDC-Pがいた。
「にゃ! 今日もお仕事がんばったにゃ!」
 チョッキを着て二足歩行する、子供ほどの身長の猫・ミケは、以前猟兵達にUDC-Pとして救助されたガキにゃんこの一匹だった。どんなに食べても癒やされない飢餓に苦しめられていたが、それも過去のこと。
 猟兵達によって異常な食欲を抑えることに成功したミケは、それでも残る腹ペコと付き合いながらも猫カフェで元気に働いていた。

 今日も一生懸命働いた。同僚の猫達と一緒に来てくれたお客様達を時に和ませ時にモフってもらいながらおやつを食べて。毎日充実していたが、それでもやっぱり空くのはおなか。
 今日は忙しかった。お客さんがいっぱいで、うっかりお昼ごはんを抜いてしまった。新しく来た子猫のタマのお世話を任されたけど、この子が腹ペコ坊主でおねだり上手。お客さんがミケにくれるはずだったおやつを横取りされたことも何回か。
 腹ペコを抱えたミケは出された晩ごはんをペロリと平らげると、お水を飲んだ。
「にゃあ。おなかすいたにゃあ」
 いけないいけない。よく噛んで食べなきゃいけなかったのに、すぐ食べちゃった。おかわりが欲しかったけど、お店の人がそばにいなくて。
 おなかがすいた。見ればまだ他の猫達は食べ始めたばっかり。いい匂いが漂ってくれば、意識はそっちばかりに向けられて。
 隣ではタマがごはんを食べている。あんなにおやつをいっぱい食べたのに、ごはんをミケよりたくさん貰ったのを知っている。タマがお水のお皿に顔を移した隙に、ミケはそっとタマのカリカリを拾うと口に含んだ。
「おなかがすいたにゃー!」
 口に広がるカリカリのかつお味。フッと魔が差したミケは、タマのお皿を奪うと残りを全部平らげた。
 おなかすいたおなかすいたおなかすいた。それしか考えられなくて、からっぽになったタマのお皿を放り出すと隣の猫を押しのけてごはんを奪って。
 同僚猫のごはんを全部食べてひと心地ついて。我に返ったミケを待っていたのは、跳ね飛ばされて気を失った猫達の姿と猫カフェスタッフの悲鳴、そして逃げ出した同僚猫達からの恐怖と怯えの視線だった。

● グリモアベースにて
「皆様、UDC-Pのガキにゃんこ・ミケ様をお助け願えますでしょうか」
 切なる視線で猟兵達を迎えたアカネは、UDC施設の部屋でうずくまるミケの姿を映し出した。
「晩ごはん平らげ事件を起こしてしまったのは、三日前のこと。それ以来ミケ様は、ごはんを食べるのが怖くなってしまったのです。あんなに好きだった猫カフェ勤務もお休みして、ずっと水ばかり飲んで。もふもふな毛並みもしおしおになってしまわれて……」
 眉を顰めてため息をついたアカネは、グリモアに映し出されたミケの毛並みを撫でるように指を滑らせた。
「皆様はUDC施設にいるミケ様を訪ねて、元気づけてあげてくださいませ。そうして少しずつでも、ごはんを食べられるようにしてあげてください」
 このまま放置すれば、じきに自我を失って暴走する。そうなったらもう骸の海へ還すしか方法がなくなってしまう。それを防ぐには、食べられるようにするしかない。
 ミケがごはんを食べられないのは精神的なものが原因だから、話を聞いてあげて励ましてあげるのが近道だろう。元気づけてあげることに成功すれば、少しずつ食欲が戻る。そうすれば、反動で腹ペコ暴走を起こすことが予知されるので、ごはんをあげながら戦って落ち着かせてあげるといいだろう。
「おなかが満ちて気力が戻れば、ミケ様も猫カフェに戻りたくなるでしょう。ですが少し気まずいと思いますので、どうか付き添ってあげてくださいませ」
 ミケと猫達のわだかまりが解ければ、他の猫たちも猟兵達を歓迎してくれる。猫をモフりながら美味しいカフェメニューを堪能するもよし、ひたすら猫をモフるもよし。思い思いに過ごして欲しい。
「少し歯車がずれてしまったことで、ミケ様も猫カフェの猫様方も苦しんでいます。どうか、元の楽しい猫カフェに戻れるようお力をお貸しくださいませ」
 アカネは猟兵達を見渡すと、ぺこりと頭を下げた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んで下さいまして、ありがとうございます。
 今回はUDC-Pのミケにまつわる事件解決をお手伝いくださればと思います。
 概要はオープニングの通りです。
 第一章は、ごはんが食べられなくなったミケを元気づけてあげてください。

 プレイング受付期間は、断章提出後タグにてお知らせします。
 第三章では、お声がけがありプレイングに問題がなければアカネもお手伝いに参じます。なければ登場しません。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『UDC-Pの特性を更に調べよう』

POW   :    頑丈な肉体で危険に耐えつつ、UDC-Pの身体を調べる。

SPD   :    UDC-Pの危険な性質を安全に調査する方法を編み出す。

WIZ   :    危険な性質が発現する、より詳細な条件を考察する。

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● ミケの寝室
 ベッドに横になったミケは、お水を飲むところんと寝返りを打って天井を見上げた。
 あれからどのくらい時間が経っただろう。みんなのごはんを全部食べちゃって、おなかがいっぱいになった。だからだろうか。ずっとおなかがすかなくて。
 代わりに浮かぶのは同僚猫達の視線と、ミケを信じて一緒に晩ごはんを食べさせてくれたスタッフさん達の悲しそうな顔。あんな顔させるくらいなら、食べない方がいいに決まっている。
 UDC-Pであるミケは、その気になれば同僚猫達を簡単に傷つけてしまえる。それだけの力はある。同僚猫達から、ああもあっさりごはんを奪えたのが何よりの証拠で。
 まるで化け物を見るような、怯えと恐怖に彩られた視線が忘れられない。頭を振って追い出しても、また戻ってきてしまう。もしあの時もう少し力を込めて跳ね飛ばせば、爪を立ててひっかけば、みんな死んでたかも知れない。そうしたらガキにゃんこになって戻ってくるのかしら?
「にゃ! それはダメにゃ!」
 悪い想像を頭を振って追い出したミケは、くらりと貧血を起こすとベッドにへたりこむ。
 これからも一緒にいたら、またごはんを奪ってしまうかも知れない。ごはんを見るとあの時のことが思い出されて、食べたら職員さんも傷つけてしまいそうで。
 今度こそ取り返しのつかないことをしてしまうかも知れない。だからもう猫カフェに行ったらダメなんだ。
「にゃあ」
 ぽつりつぶやいたミケは、栄養剤入りのお水をひと口飲むところんと丸まった。
フレスベルク・メリアグレース
ミケ様、意志ある者の内一切間違えてしまわない事はあり得ません
何かのはずみで、歯車が違ってしまう……
ですが、それを赦せるのが信頼というものです
信頼というものは一度崩したら戻すのは時間がかかると言いますが、それでも誠意を見せて反省の意を示し行動すれば、必ず貴方を信じていた者は貴方を許してくれます
わたくしとUDC組織も、一緒に謝りに行きます
行動を起こした結果、今より状況が悪くなる事が怖いなら、わたくしが壊れない様に取り計らいます
だから……一緒に謝りに行きましょう?
そう言ってミケ様にご飯を差し出します



● ごめんなさいのために
 薄暗い寝室の片隅にうずくまるミケにそっと歩み寄ったフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、人の気配に顔を上げるミケの姿にそっとベッドサイドの椅子へと座った。
 のそりと緩慢な動きで起き上がるミケを安心させるように微笑む。優しく包み込むような笑みに安堵の息を吐いたミケは、フレスベルクの前にちょこんと座ると首を傾げた。
「にゃ? お見舞いに来てくれたのかにゃ?」
「はい。お加減はいかがですか?」
「ミケは元気にゃ」
 空元気に微笑むミケに、フレスベルクは小さく首を横に振ると膝上の手にそっと自分の手を置いた。
「話は聞きました。無理して元気にならなくてもいいのですよ?」
「にゃあ……」
 しおしおとひげをくゆらせたミケは、再びころんと横になるとベッドに伏せる。そんなミケの背中を撫でたフレスベルクは、神子の代理たる皇が有せし在るがままの威風マスターマインド・ザ・ナチュラルを込めた声でミケに優しく語りかけた。
「ミケ様、意志ある者の内一切間違えてしまわない事はあり得ません。何かのはずみで、歯車が違ってしまう……。ですが、それを赦せるのが信頼というものです」
「にゃ。その信頼を、ミケは裏切ったにゃ。ミケを信じて晩ごはんも食べさせてくれたのに、ミケ、おなかがすいて皆のごはんまで全部食べちゃったにゃ」
「信頼というものは一度崩したら戻すのは時間がかかると言いますが、それでも誠意を見せて反省の意を示し行動すれば、必ず貴方を信じていた者は貴方を許してくれます」
「行動……」
 ちょっと顔を上げてこちらを見るミケに、フレスベルクは頷いた。傷ついたミケを優しく包み込む微笑みに、ミケの頬に少しだけ元気が戻る。
「わたくしとUDC組織も、一緒に謝りに行きます」
「でも、許してくれるかにゃ? ミケ、ガリってやっちゃったにゃ」
「行動を起こした結果、今より状況が悪くなる事が怖いなら、わたくしが壊れない様に取り計らいます。だから……一緒に謝りに行きましょう?」
 フレスベルクの言葉を噛みしめるように、じっと視線を落としたまま動かない。やがて顔を上げたミケは、フレスベルクを見上げるとこくりと頷いた。
「にゃ。みんなに『ごめんなさい』って言うにゃ」
「なら、少しでも元気にならないといけませんね」
 ミケに頷きを返したフレスベルクは、ベッドを横切るテーブルの上にトレイを置いた。小さな土鍋の蓋を開ければ、白粥がいい匂いを部屋に漂わせる。
 ひくりと鼻を鳴らしたミケは、スプーンを手に取ると手を合わせた。
「いただきますにゃ」
「めしあがれ」
 ぺこりと頭を下げたミケが、お粥のつゆを口に含む。少しずつ食べようと努力する姿に、フレスベルクは嬉しそうに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
ミケさん、お久しぶりです。お見舞いに来ました。

やってしまったことは、取り返しがつきません。それはたしかです。
でも、まだ…ミケさんはミケさんでしょう?もっと酷いことを考えて、でも『ダメだ』と止まっていられるのですから。
謝りに行くのは、私も一緒に行きますよ。

それに、もしかしたら、なんですけれど。
スタッフの人も同僚猫さんも…気にしているのかもしれません。『ミケさんの空腹に、気づけなかった』『側にいられなかった』と。
ですから…行って、ミケさんの姿を見せましょう?
だって、今まで…ミケさんを見ていた方たちですから。

お粥が出されているようなので、味変用の鮭フレークとかを置きましょう。



● 再会の鮭フレーク
 フレスベルクに続いて部屋に入った荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、おかゆをゆっくり食べているミケに微笑んだ。
「ミケさん、お久しぶりです。お見舞いに来ました」
「にゃ! 檬果にゃ!」
 邪神の手下のガキにゃんこ集団・ガキぬこ同盟にいたミケを助けてくれた檬果の姿に、ミケは目を輝かせる。ベッドサイドの椅子に座った檬果は、伸ばされた肉球を手に取るとそっと両手で包み込んだ。
 以前モフった時は、もふもふの毛並みがすごく心地よかった。いつまでもモフれる毛並みは今、力なくへたってしまっている。ミケの不調を思った檬果は、ミケがまたもふもふを取り戻せるよう祈りながらそっと撫でた。
 その手にひげをくゆらせたミケは、ぽつりと語った。
「にゃあ。ミケは本当に、いけないことしたにゃ。あの時、檬果にゃ達はいろんなことを教えてくれたのに、全部守れなかったにゃ」
「やってしまったことは、取り返しがつきません。それはたしかです」
「にゃあ……」
 檬果の指摘に、ミケはしおしおとひげを揺らす。そんなミケを元気づけるように微笑んだ檬果は、手を伸ばすとミケの背中を優しく撫でた。
「でも、まだ……ミケさんはミケさんでしょう? もっと酷いことを考えて、でも『ダメだ』と止まっていられるのですから」
「にゃあ」
「謝りに行くのは、私も一緒に行きますよ」
「ありがとうにゃ! でも、みんな許してくれるかにゃ?」
 ちょっと微笑んだミケは、ネガティブな方へと思考を走らせる。そんなミケに、檬果は首を横に振った。
「そんなことは。それに、もしかしたら、なんですけれど。スタッフの人も同僚猫さんも……気にしているのかもしれません。『ミケさんの空腹に、気づけなかった』『側にいられなかった』と」
「みんなは悪くないにゃ!」
「ですから……行って、ミケさんの姿を見せましょう? だって、今まで……ミケさんを見ていた方たちですから」
「にゃ。またみんなに会いたいにゃ」
「なら、元気になりませんと。お粥が出されているのですね。なら……心の癒し、カモーン!」
 檬果の詠唱と同時に、127体の小さく陽気な兵士達が現れるとミケの周りを賑やかに踊った。元気づける応援や助言をしてくれる兵士たちは、小さなキッチンを取り出すとあっという間に鮭フレークを作り上げた。
 いい匂いのするできたて鮭フレークの入った壺を手渡されたミケは、食欲をそそる匂いに目を細めた。
「いい匂いにゃ」
「味変用に使ってください。多少保存も効くので、残ったらおにぎりに入れたりしても美味しいですよ」
「にゃ! 早速いただくにゃ!」
 おかゆに鮭フレークを入れて、絡ませて頬張る。美味しそうに目を細めるミケの顔に、檬果は嬉しそうに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
猫がたまに飯食べなくなったりてのはあるが
この子の場合
ワガママてゆーより悩みすぎて受け付けないのか
…切ないねェ

や、ミケて言ったね
オレはトーゴ、お初に

な?ずっと水だけなんだろ
腹減らない?
(煮干しを置いて

ん…食欲ないなら仕方ないけどよー
はー
でも勿体ない
(抵抗しないなら背を撫ぜ
ふわふわのはずの毛並みもしょんぼりでさ
魅力のはずの眼も元気ないもん

仲間の猫もお店の人もきっと心配してる
普段は食いしん坊なんだろ?

みんなと少し違うし強いから
次やらかしたら?っての、解るよ
オレも猟兵なんてはみ出し者
家族にも秘密にしてんの

みんなに爪や牙を向けたくないって思ってんなら大丈夫
あんたは自分を戒められる賢い子だよ

アドリブ可



● あじわいの煮干
 おかゆを食べ終えたミケは、鮭フレークの壺を冷蔵庫にしまうと窓際のソファに座り込んだ。
 ころんと丸まったミケに歩み寄った鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は、うとうとしているミケの前にしゃがむと切なく眉を顰めた。
 ミケの事情は知っている。その後のミケの心情を思えば、胸の奥に苦いものが湧き上がってくる。
(「猫がたまに飯食べなくなったりてのはあるが、この子の場合ワガママてゆーより悩みすぎて受け付けないのか」)
「……切ないねェ」
「にゃ?」
 思わず呟いたトーゴの声に、ミケがピクリとひげをくゆらせるとゆっくり起き上がった。首を傾げるミケに微笑んだトーゴは、明るく微笑むと軽く手を上げた。
「や、ミケて言ったね。オレはトーゴ、お初に」
「トーゴにゃか。ミケはミケにゃ」
「な? ずっと水だけなんだろ」
「にゃ」
 こくりと頷いて顔を上げたミケの前に手のひらを掲げたトーゴは、再び首を傾げたミケの前で手を翻した。手首を返して手を開いた時、何もなかったはずの手のひらには煮干しの袋が乗せられていて。手品に目を輝かせるミケに、トーゴは煮干しを差出した。
「にゃにゃ!?」
「腹減らない? この煮干し、けっこうイケるぜ?」
「にゃ」
 トーゴから煮干しの袋を受け取ったミケは、煮干しの頭の先をちょっとかじると首を横に振る。申し訳無さそうに眉をハの字にすると、大事そうに煮干しの袋を抱き締めた。
「ごめんにゃ。あんまりおなかがすいてないにゃ。また今度食べるにゃ」
「ん……食欲ないなら仕方ないけどよー」
「ごめんにゃ」
 しおしおと背中を丸めるミケの様子に、トーゴは出そうになるため息を飲み込んだ。トーゴもガキにゃんこの噂は知っている。いつものミケならひと口だろうが、あまり食べられていないから硬いものは荷が勝ちすぎるのだろう。
「はー。でも勿体ない」
 ミケの背中に手を伸ばしたトーゴは、毛並みをそっと撫でた。ちょっと驚いたように顔を上げたミケは、気持ちよさそうに目を細める。手の下に感じる毛並みは柔らかいが、やはり毛艶はあまり良くない。
「ふわふわのはずの毛並みもしょんぼりでさ。魅力のはずの眼も元気ないもん」
「にゃあ……」
「仲間の猫もお店の人もきっと心配してる。普段は食いしん坊なんだろ?」
「にゃ。でもミケ、腹ペコでみんなにひどいことしちゃったにゃ。ミケ、おなかがすくと乱暴者になっちゃうにゃ。みんなにケガさせるのは嫌にゃ」
 ミケの答えに、トーゴは破顔するとミケの頭をくしゃりと撫でた。ミケが食べられなくなって苦しんでいるのは、元を正せばお昼ごはんやおやつを抜いたから。管理責任を問うてもいいはずなのに、自分が苦しいことよりも自分が傷つけてしまったことを悔いている。ミケならば大丈夫だ。
「みんなと少し違うし強いから、次やらかしたら? っての、解るよ。オレも猟兵なんてはみ出し者。家族にも秘密にしてんの」
「秘密にゃ?」
「みんなに爪や牙を向けたくないって思ってんなら大丈夫。あんたは自分を戒められる賢い子だよ」
「にゃ。そう言われると照れるにゃ」
 嬉しそうに目を細めたミケは、煮干しをかじるとゆっくりよく噛んで飲み込んだ。噛めば体が食べることを思い出したのか、もう一匹口にすると苦旨い煮干しに目を細める。少し元気になったミケの頭を、トーゴはくしゃりと撫でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雁帰・二三夫
「こんにちは、猫さん。わたくし、雁帰二三夫と申します。猫さんとお話したくて参りました。抱き上げさせていただいても?」
OK出たら抱き上げ胡座をかいた膝の上に乗せ優しく撫でる

「貴方の福福しさはみんなの安らぎで癒しです。それが萎れて毛づやも悪くなっては、みんなが心配して当たり前じゃないですか」

「貴方の可愛らしい福福しさも、食欲も、貴方の個性に過ぎません。みんな違ってみんないい、の一つなんですよ。空腹が過ぎると周りが見えなくなるなら、最初からご飯の時だけ個室で店員さんとだけ食べるとか、やり方を整えれば済む話なんです。これを食べ終わったら、一緒にお店に行ってみんなで考えましょう、ね?」
猫缶幾つも皿に出す



● スペシャル猫缶
 煮干しを噛み締めながらソファの上で日向ぼっこするミケの姿を見た前に立った雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)は、すっとしゃがむとミケと目を合わせて微笑んだ。
「こんにちは、猫さん。わたくし、雁帰二三夫と申します。猫さんとお話したくて参りました。抱き上げさせていただいても?」
「にゃ? モフってくれるにゃ? モフってくれるのは嬉しいにゃ」」
 嬉しそうに短い腕を伸ばすミケを抱き上げて胡座の上に乗せた二三夫は、そのまま丸まるミケの背中を優しく撫でた。
 猟兵達の差し入れで少しは元気が出たようだが、撫でた手の下に感じる毛並みは艶をなくし、ふっくらしていたであろう背中も触ればすぐに骨の感触がした。
「こんなに痩せてしまって……。さぞお辛かったでしょう。貴方の福福しさはみんなの安らぎで癒しです。それが萎れて毛づやも悪くなっては、みんなが心配して当たり前じゃないですか」
「にゃ。心配してくれてありがとうにゃ。でも、おなかがすいたミケは何をするか、自分でも分からないにゃよ」
「そんなこと」
「ミケ、猟兵にゃや職員さんのおかげで、はらぺこはガマンできるようになってきたにゃ。でも、ガマンできなかったにゃ。だから、あんまり食べちゃダメにゃ」
 ちょっと苦笑いをこぼすミケに、二三夫は首を横に振った。
「貴方の可愛らしい福福しさも、食欲も、貴方の個性に過ぎません。みんな違ってみんないい、の一つなんですよ」
「みんな違うといいにゃ?」
「ええ。それが多様性というものです」
「たようせい……」
 聞き慣れない言葉に首を傾げるミケの頭を、そっと撫でてあげる。少しごわつく毛並みを漉いてあげた二三夫は、ミケと視線を合わせながら言った。
「あなたは、あなたのままでいいのです。空腹が過ぎると周りが見えなくなるなら、最初からご飯の時だけ個室で店員さんとだけ食べるとか、やり方を整えれば済む話なんです」
「やり方にゃ? ……ちょっと、考えてみるにゃ」
 顔を上げて微笑むミケに、二三夫は微笑みを返す。さっきよりも元気になってきたミケの顔色に、持ってきた紙袋から缶詰を取り出した。かわいい猫がプリントされている猫缶に、ミケのしっぽがまっすぐに立った。
「差し入れに猫缶を持ってきました。気に入って貰えると嬉しいのですが」
「にゃ! この猫缶大好きにゃ!」
「それは良かった」
 ホッと胸をなでおろした二三夫は、ミケをソファに座らせるとお皿を取り出した。白くて深さがあるお皿に猫缶をあけて、そっと差し出す。ちょっと匂いを嗅いだミケは、口に含むと美味しそうに食べ始めた。
「にゃにゃ! 美味しいにゃ」
「これを食べ終わったら、一緒にお店に行ってみんなで考えましょう、ね?」
「にゃ。そうするにゃ」
 頷いたミケは、ゆっくり噛み締めながら猫缶を頬張る。ひと缶食べ終えた頃合いを見計らってもうひと缶開けてあげれば、それもまた完食してくれて。
「にゃあ。おいしかったにゃ!」
「それは良かったです。残りはお土産に置いて行きますので、後で食べてください」
「にゃ! ありがとうにゃ!」
 2缶分食べてだいぶ元気が出てきたミケに、二三夫は残りの猫缶をお土産として手渡す。目をキラキラさせて喜ぶミケの頭を優しく撫でる。少し毛艶の良くなった様子に、二三夫はホッと胸をなでおろすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩瑠・姫桜
差し入れに猫用ピューレを持って
ミケの様子を見に行くわ

ミケ、久しぶり
…その、大変だったみたいね

今回の件は一生懸命だった分、反動がきちゃったのかもしれないわね
でも、ミケは悪かったって思っているのでしょう?
皆の言う通り、起こしてしまったことはなかったことにはできないわ
けれど、大切なことはその後どうするかよ
まずは今、どうなっているかを自分の目で確かめて、謝って
その上でできることは全部やって…それでも駄目だったら、その時また一緒に考えましょう

スタッフの方々や同僚猫の子達は、きっと許してくれるとは思うけれど

…万が一、怖がられて、許してもらえなかったとしても
私やここにいる猟兵の皆はちゃんと傍にいるから、ね?


藤崎・美雪
他者絡みアドリブ大歓迎

うーん、一緒に謝りに行く猟兵が結構いそうだな
なら、私はミケがスムーズに謝れるよう計らおうか

ミケはまた同じことをしないかと恐れているのか
だが、誰もが失敗して成長するものだ
今回はちょっとやり過ぎただけだから
次から気を付ければいいだろう?

何、どう謝ればいいのか、って?
なら、ここで練習してから行こうか
指定UCで「優しさ」100の子ネコサイズもふもふ羊を9体召喚
まずはこの羊たちを子ネコと思って練習してみたらどうだ?
優しい羊たちだから、ミケの練習に粘り強く付き合ってくれるぞ
…あ、羊たちのハリセン使用は厳禁(ぼそ

練習がうまくいったら
私からほうれん草スープを差し出すよ
…貧血気味らしいし


エリシャ・パルティエル
ミケちゃん久しぶりね

ちゃんとお仕事も頑張って続けて本当に偉いわ
(もふもふ毛並みをなでなで
子猫ちゃんのお世話も任されているんでしょう?

ミケちゃん、自分が一生懸命頑張らなきゃって
ちょっと無理しすぎたのかも
普段はできることでも
疲れてたり心に余裕がないとできなくなったりするの

だから心配しなくても大丈夫よ
誰だって失敗することはあるわ
今度はしないように気をつければいいし
ミケちゃんの今の気持ちをしっかり伝えて
ごめんなさいすればみんなわかってくれるから

責任を感じるのも
ミケちゃんが成長した証
ね、元気を出して
UDCアースで大人気の液状スティックタイプのおやつよ
これなら食べやすいし
ちょっとずつ食べて元気になってね



● 再会のスティックタイプ猫ピューレ
 いただいた猫缶を大事に戸棚にしまうミケの後ろ姿に、彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)は声を掛けた。
「ミケ、久しぶり」
「にゃ! 姫桜にゃ! エリにゃも来てくれたにゃ!」
「もちろんよ。ミケちゃん久しぶりね」
 掛けられる声に顔をぱあっと明るくしたミケは、姫桜に駆け寄るとお膝に両手を置いた。見上げてくるミケの頭を撫でてあげる姫桜の隣にしゃがんだエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、エリシャの姿に喉を鳴らして喜ぶミケの頭をそっと撫でた。
 久しぶりの再会に驚いたり喜んだりと忙しいミケに、藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)も軽く手を上げ視線を合わせた。
「久しぶりだな。カレーを作った時以来か」
「にゃ! 美雪にゃ! 元気だったかにゃ?」
「ミケも少し元気が出てきたようだな」
「猟兵のみんにゃがごはんくれて、励ましてくれたにゃ」
「そうか。なら良かった」
 エリシャとは反対側にしゃがんだ美雪も、ミケの背中を優しく撫でる。久しぶりの再会に、ミケは嬉しそうにしっぽをパタパタさせた。ひとしきり再会を喜んだミケに、姫桜は意を決すると本題に入った。
「ミケ。……その、大変だったみたいね」
「にゃ……」
 パタパタさせたしっぽをパタンと床に落としたミケの背中を、姫桜は力づけるように撫でてあげる。このまま何事もなくおやつをあげて終わらせても良かったかも知れないが、ちゃんと解決しなければならない問題は先延ばしにしてはいけない。
「今回の件は一生懸命だった分、反動がきちゃったのかもしれないわね」
「そうね。姫桜の言う通りだと思うわ。ミケちゃん、自分が一生懸命頑張らなきゃってちょっと無理しすぎたのかも。普段はできることでも、疲れてたり心に余裕がないとできなくなったりするの」
「普段はできること……」
 エリシャの指摘に、ミケは深く考え込んだ。何か思い当たることがあったのだろう。何か言おうと頑張っているミケが紡ぐ言葉を、エリシャは根気強く待った。やがてエリシャを真っ直ぐ見たミケは、自覚した自分の気持を口にした。
「にゃ。ミケは猟兵のみんにゃや職員さん達のおかげで、はらぺこはなんとかできるって思ってたにゃ。もう大丈夫って思ってたにゃけど、大丈夫じゃなかったにゃ。このままじゃ、みんなと一緒に猫カフェで働けないにゃ。それが、悲しかったにゃ」
 おひげをくゆらせるミケに、美雪は深く頷いた。二度あることは三度あるとはよく言われているし実際その通りでもある。最初に猫カフェに行った時、店のおやつを食べ尽くしたと聞くが、その後カレーを作った時は大盛り一杯で我慢できた。少しずつ進歩してきただけに、いやだからこそ失敗が堪えているのだろう。
「ミケはまた同じことをしないかと恐れているのか。だが、誰もが失敗して成長するものだ。今回はちょっとやり過ぎただけだから、次から気を付ければいいだろう?」
「そうね。美雪の言う通り、誰だって失敗することはあるわ。今度はしないように気をつければいいの」
 ミケの背中を撫でたエリシャは、UDCアースで大人気の液状スティックタイプのおやつを取り出すとミケに手渡した。なかなかもらえないレアおやつに、ミケの目もキラキラと輝いた。
「これなら食べやすいし、ちょっとずつ食べて元気になってね」
「ありがとうにゃ! ……おいしにゃー!」
「あ……」
 エリシャが差出したおやつに、姫桜は気まずそうな声を上げた。バッグの中から出したおやつを慌てて後ろ手に隠して、知らない振りをする。エリシャと同じおやつを持ってきてしまった。いくら美味しいおやつでも、同じものがいくつもあってはミケも迷惑だろう。それに、あげすぎは良くないと聞いたこともある。差し入れできないのは心苦しいが、その分心を込めて力づけてあげよう。
 そう納得した姫桜に、エリシャは金の瞳を緩やかに細めた。立ち上がってくるりと姫桜の後ろを覗き込んだ。
「姫桜は何を持ってきたの?」
「え? ええと……」
「にゃ! 猫ピューレにゃ! ミケに持ってきてくれたにゃ?」
「でもエリシャさんと同じのじゃ飽きるわよね。それにあげすぎは良くない……」
「ミケのおやつじゃないにゃ……」
「べ、別にあげたくない訳じゃないんだからね!」
 ひげをしおしおにするミケに、姫桜は慌てて猫用ピューレをミケに手渡す。両手で受け取ったミケは早速猫用ピューレの封を切ると美味しそうに目を細めた。
「これはお仕事頑張ったらもらえる、特別なおやつにゃ。食べられて嬉しいにゃ」
「そうなの。ミケ、ちゃんとお仕事も頑張って続けて本当に偉いわ。子猫ちゃんのお世話も任されているんでしょう?」
 エリシャの質問に、ミケは目を輝かせた。
「にゃ! タマっていうにゃ! タマは茶トラのかわいい子にゃ。いつも腹ペコで、おねだりされるとついおやつを分けてあげちゃうにゃ」
「そうよね。子猫にキラキラした目でおねだりされたら、なんでもしてあげたくなっちゃうわよね」
「分かってくれるにゃエリにゃ!」
 目を輝かせたミケは、エリシャとひとしきり子猫談義で盛り上がる。子猫のかわいさについて語り合えるだけの元気は出てきたようで、心から安堵の息をついたエリシャは、ふいに表情を曇らせるミケを心配そうに覗き込んだ。
「にゃ。でもミケ、タマを蹴飛ばしちゃったにゃ」
「まあ。タマは大丈夫?」
「タマはびっくりして目を回しただけって職員さんが言ってたにゃ。でも、びっくりさせちゃったにゃ」
 しおしおとうなだれるミケを元気づけるように背中を撫でた姫桜は、目を合わせると真剣な眼差しで語りかけた。どんなに悔いても、過去は消えない。積み上げた自信は吹き飛んでしまったかも知れないが、ここで立ち止まって後悔ばかりしていては何も始まらない。
「皆の言う通り、起こしてしまったことはなかったことにはできないわ。けれど、大切なことはその後どうするかよ」
「その後にゃ?」
「そう。まずは今、どうなっているかを自分の目で確かめて、謝って。その上でできることは全部やって……それでも駄目だったら、その時また一緒に考えましょう」
 姫桜の言葉に、ミケはハッとしたように目を見開く。少し前に言ってくれた言葉を思い出したミケは、深くい頷いた。
「にゃ。そうにゃ。二三夫にゃも「やり方をととのえる」って言ってたにゃ。みんなもついていてくれるから、大丈夫にゃ。ミケ、みんなにごめんなさいするにゃ!」
「その意気よ」
 ミケの手を取って、一緒になって喜んで。はたと動きを止めたミケは、困ったように眉をへの字に曲げた。
「でも……ちゃんとごめんなさいできるかにゃ?」
「心配しなくても大丈夫よ。ミケちゃんの今の気持ちをしっかり伝えて、ごめんなさいすればみんなわかってくれるから」
「ごめんなさい……。うう、ちゃんと言えるかにゃ?」
「不安なら、ここで練習してから行こうか」
「にゃ?」
 首を傾げるミケに、美雪は不敵な笑みを浮かべた。

● もふもふさんのごめんなさい教室
 立ち上がった美雪は、ミニチュアハウス型のチャームを掲げると詠唱を開始した。
「……もふもふさんもふもふさん、ちょっと色々お手伝い願えるかな?」
「にゃにゃ!?」
 もふもふさんの家から白いもふもふが出てきたかと思えば、次々に飛び降り床に着地する。9体の子猫サイズのもふもふ羊達は、ミケの前に整列するとぺこりと一礼した。
「まずはこの羊たちを子ネコと思って練習してみたらどうだ? 優しい羊たちだから、ミケの練習に粘り強く付き合ってくれるぞ」
「「「「「「「「「ンベェー!」」」」」」」」」
 一斉に鳴いたもふもふ羊達は、ハリセンを手にぺこりと一礼する。その様子に、美雪はボソッと釘を刺した。
「……あ、羊たちよ。ハリセン使用は厳禁だからな」
「「「「「「「「「ンベェー!」」」」」」」」」
 掲げたハリセンをもふもふの毛並みに隠した羊たちは、改めてミケに一礼する。そのかわいい様子に、エリシャは目を輝かせた。
「練習するのはいいアイデアね。もふもふ羊も子猫サイズなら、タマに見立てやすくていいわね」
「もふもふ……かわいいわね」
 思わず撫でようと出した手を慌てて引っ込める姫桜の仕草に、美雪は苦笑いを浮かべた。
「あー、9体いるからな。羊がいいって言ったらモフっても構わないぞ」
「いいの……? その、羊さん触らせて貰ってもいい?」
「ンベメ!」
「ふふ、本当にモフモフが好きなのね」
 頷いた羊が、姫桜の膝に飛び乗る。恐る恐る触っては毛並みに笑みが溢れる姫桜の姿に、エリシャは嬉しそうに微笑んだ。
「さて、練習を始めるぞ。準備はいいか?」
「にゃ! ええと……タマにゃ元気かにゃ?」
「ンベメ!」
「タマはこんな声出さないにゃ……」
「いや鳴き声は仕方ないだろう」
 思わず裏拳ツッコミを入れた美雪に、笑い声が場に満ちた。

● あったかほうれん草のポタージュ
 一通り練習して、ちゃんと謝れる自信がついたミケに、美雪はそっと緑色のポタージュスープを差出した。保温用ジャーポットから出したスープは温かく、立ち上る優しい香りにミケは顔を上げた。
「にゃ?」
「私からの差し入れの、ほうれん草スープだ。……貧血気味らしいし」
「ありがとうにゃ! とっても美味しいにゃ!」
「スムーズに謝れるようになっただろうし、もう大丈夫だな」
「にゃ! ミケ、ちゃんと謝れるにゃ」
 微笑んで肩を叩く美雪に、ミケは力強く頷いた。最初よりもだいぶ回復してきたミケの姿に、エリシャはそっと肉球の手を取った。
「責任を感じるのも、ミケちゃんが成長した証よ」
「えへへ。ミケ、がんばったにゃ」
「スタッフの方々や同僚猫の子達は、きっと許してくれるとは思うけれど……万が一、怖がられて、許してもらえなかったとしても。私やここにいる猟兵の皆はちゃんと傍にいるから、ね?」
「みんながいてくれるから、へこたれないにゃ」
 優しく微笑む姫桜に、ミケはガッツポーズで応える。
 猟兵達の差し入れと励ましに元気を取り戻したミケが立ち上がった時、おなかの音が低く大きく響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ガキにゃんこ』

POW   :    お菓子が足りない、もっとにゃー。
戦闘中に食べた【お菓子】の量と質に応じて【なぜか空腹感が増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    食べ終わってしまったのにゃ。さあ、次の袋にゃ。
戦闘中に食べた【お菓子】の量と質に応じて【空いた袋が増大し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    このお菓子はおまえらにはやらないのにゃ。
戦闘中に食べた【お菓子】の量と質に応じて【独占欲が増大し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

● 食欲 vs 理性
 ミケをモニタリングしていたUDC職員は、元気を取り戻したミケの姿にホッと安堵の息を吐いた。赤い警告色のランプや計器も、今は黄色まで落ち着いている。
 なにしろ、食べられないガキにゃんこの事例などほとんどない。表面に現れかけた危険な特性は鳴りを潜めたし、猟兵達のおかげで予想以上にたくさんのデータを得ることができた。今後のUDC-Pの研究にとても役立つだろう。
 何杯目かのコーヒーを飲み干した職員は、響くおなかの音にマイクをオンにした。
『猟兵の皆さん! ミケはおなかがすいています。これは回復している証拠ですが、このままだとミケは職員の食料庫を空にするまで食べかねません。そうしたらまた、「食欲でミスをしてしまった」と思い悩むことでしょう。今から料理を持っていきますので、暴走を抑えてあげてから一緒に食べてあげてください!』
 職員の放送に、猟兵達はそれぞれ頷く。早速運ばれてくる料理に目を輝かせたミケが飛び付こうとするのをガードした猟兵は、料理を背中で守りながらガキにゃんこと対峙した。

※ 食欲が戻ったミケは、目の前に出された料理を食べ尽くそうと襲いかかってきます。
 猟兵達の励ましの結果、完全に理性を失っている訳ではありません。戦闘はさほど重視しませんが、戦闘重視のプレイングも歓迎します。ミケを落ち着かせてから、一緒にごはんを食べてあげてください。
 出てくる料理は何でもOKです。料理とありますがスイーツでも大丈夫です。プレイングで指定してくださいませ。
 それでは、よろしくお願いします。
フレスベルク・メリアグレース
落ち着いて下さい、ミケ様
そう言って万物を魅了する香気を放ち、ミケ様の時間質量に働きかけて現在の状況の対応力を100倍以上にします

落ち着きましたか?
それは良かったです

そう言ってお菓子やスイーツを用意し、一緒に食べます
所でミケ様ってチョコとか食べても大丈夫なのですか?
そんな事をミケ様やUDC職員の方に尋ねながら、一緒にお菓子やスイーツを食べていく
ゆっくりと味わって食べて下さいね
長く考えれば考える程、物事は丁寧に進むのですから
そう言って食べ終わった後、ブラシを用いて毛を梳いていきます


荒珠・檬果
せっかく立ち直ったのですから…ここは落ち着かせませんと。
ミケさんのもふもふ回復のためにも…!

カモン、バトルキャラクターズ!今回は盾を持った重戦士です!
数が多いので、四人ずつ合体ですね。たしか一人だけ三人合体になるはずですが…。
そうして、かっちり料理を守りましょうね!
あ、私は白日珠を盾にしてますよ。傷つけたくないので。

一人飯もいいですが、皆で食べる食事もおいしいのですよ。
それに、ミケさんが「また皆と一緒に料理を食べる」ということになりますからね。
というわけで、私は『クリームたっぷりパフェ』です!ふふ、こういうのは分けあうのもいいものですからね!
食べ物に付随するおいしい思い出にもなりますから。



● ここはスイーツパラダイス
 さっきまで静かだったミケの部屋に、まるで雷鳴のような音が鳴り響いた。
 ミケのおなかから聴こえてくる重低音。その中心に立ったミケの目は牛乳瓶の底のようにぐるぐるで。おなかを押さえたミケは、漂ってくる甘い香りに鼻をひくひくさせた。同時に開いたドアから入ってきたスイーツ満載のワゴンに、ミケはぐるぐるの目をキラーンと輝かせた。
「に゛ゃ゛ー゛!゛ お゛な゛か゛す゛い゛た゛に゛ゃ゛ー゛ー゛ー゛!゛」
「落ち着いて下さい、ミケ様」
 問答無用でワゴンに飛び付こうとするミケを抱きしめて止めたフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、ミケの背中を軽く叩いた。なんとか落ち着かせようとするが、食欲に目がくらんだミケは大きく伸びをするとスルンとフレスベルクの腕の中から抜け出した。
 一瞬の隙を突いて駆け出したミケは、まるで猪のような勢いでワゴンへと突進する。スイーツに向けて大きくジャンプしたミケの姿に、檬果は詠唱を開始した。
「カモン、バトルキャラクターズ! ミケさんを捕まえてください!」
 詠唱と同時に現れた盾を持った重戦士達に指示を出した荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、即座に組体操のピラミッドを組んだバトルキャラクターズに大きく頷いた。最上段のバトルキャラクターズがミケを捕まえ、羽交い締めにする。逃げようとじたばたもがくミケの姿に、檬果は切なそうに眉を顰めた。
「せっかく立ち直ったのですから……ここは落ち着かせませんと。ミケさんのもふもふ回復のためにも……!」
 拳をギュッと握り決意を新たにするが、腹ペコ暴走を起こしているミケは重戦士の腕からぬるりのらりと抜け出しては少しずつワゴンとの距離を詰めていく。
「猫は液体、という説もあるようですが。ミケ様も液体だったのですね」
「重戦士達! かっちり料理を守ってください!!」
 飛びかかる勢いのミケを捕まえようとしていた重戦士達は、檬果の指示でフォーメーションを変える。文字通り鉄壁のディフェンスでスイーツのワゴンを守る重戦士達の姿に、ミケは低く唸りながら隙を伺いゆっくり移動する。
 じりじり距離を測るミケの前に立ったフレスベルクは、ドレスを摘みスッと膝を折った。カーテシーと呼ばれるお辞儀で裾を持ち上げたフレスベルクは、立ち上る香気を全身に浴びると再び腕を伸ばす。ワゴンに飛び掛かる直前にミケを捕まえたフレスベルクは、抜け出そうとするミケをしっかり抱きしめる。ミケはなんとか抜け出そうとするが、現在の状況の対応力が128倍になったフレスベルクの腕からは抜けられない。
「ミケ様。そんなに飛びつかなくても、おやつは逃げません」
「い゛や゛に゛ゃ゛お゛な゛か゛す゛い゛た゛に゛ゃ゛!゛」
「空腹に任せて食べ尽くしてしまっては、晩ごはん事件の二の舞いですよ」
「に゛ゃににゃ!」
 フレスベルクの指摘に、ミケは暴れるのをやめる。おなかの音を鳴り響かせながらも辛うじて自制心を取り戻したミケは、切なそうに呟いた。
「にゃあ。でもおなかすいたにゃー……。食べちゃダメにゃ?」
「ダメじゃありません。一緒に食べましょう」
 頭を撫でながら言う檬果の言葉に、ミケは顔を上げた。ミケが自制心を取り戻すほど嫌だったのは、晩ごはん事件の二の舞い。誰かのために自分を制するミケの強さは尊いもの。だが、それでも一人で食べるのは味気ない。
「一人飯もいいですが、皆で食べる食事もおいしいのですよ。それに、ミケさんが「また皆と一緒に料理を食べる」ということになりますからね」
「にゃあ……。一緒に食べてくれるにゃ?」
 首を傾げるミケに、フレスベルクも頷いた。
「もちろんです。一緒におやつを食べましょう。……ところで、ミケ様はチョコとか食べても大丈夫なのですか?」
「ミケはなんでも美味しく食べられるにゃ!」
「それは良かったです」
 その声に安堵したフレスベルクは、ミケをだっこしたままワゴンを覗き込んだ。
「色々なスイーツがありますね。何から食べますか?」
「にゃ! チョコケーキとシュークリームとアップルパイとパウンドケーキがいいにゃ。檬果にゃは何にするにゃ?」
「私は『クリームたっぷりパフェ』です! ふふ、こういうのは分けあうのもいいものですからね! フレスベルクさんは何にしますか?」
「私はこの巨峰のタルトにします」
 皆がそれぞれが選んだおやつをテーブルに並べたフレスベルクは、温かい紅茶を淹れると全員の前に置いた。おやつに飛びかかりたいのを必死にがまんするミケに頷いて、手を合わせる。
「では、いただきます」
「いただきますにゃ美味しかったにゃおかわりにゃ!」
「ミケ。おかわりは、ゆっくりと味わって食べて下さいね。長く考えれば考える程、物事は丁寧に進むのですから」
 ペロリと平らげたミケの額を小さくつつくフレスベルクに、ミケは頭をかいて反省の姿勢を取る。頭を抱えて丸まったミケは、不安そうに呟いた。
「にゃ。またやっちゃったにゃ」
「大丈夫ですよミケさん。今日のことも、食べ物に付随するおいしい思い出にもなりますから。おかわりはどうしますか?」
「にゃ! もらいに行くにゃ!」
 気を取り直しておかわりをもらいに行ったミケを見送ったフレスベルクは、自分用にいただいた巨峰タルトをひと口頬張った。
 甘酸っぱい中にも広がる巨峰の味が口の中を満たす。後を追うようにカスタードクリームとタルト台のミルクやバターの風味が巨峰と混ざり合い、口中の風景を変えながら喉の奥へと落ちていく。
 美味しそうに目を細めるフレスベルクの姿に、檬果もクリームたっぷりパフェを頬張った。口の中に入れるとほどけて溶ける極上の生クリームは口の中に甘く柔らかい残像を残して喉を滑り落ちていく。そんな生クリームとカスタードクリームを一緒に食べれば、乳脂の風味と卵黄のコクが混ざり合って何とも言えない余韻を残して。
 美味しいスイーツを堪能したフレスベルクは、一生懸命ゆっくり食べるミケの背中を優しく梳いてあげるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雁帰・二三夫
「早速猫さん、いえミケさんと遊ぶ時間が来たようですね」
UC使用

爪を出して引っ掻こうが噛みつこうがダメージを与える行動は全て行動禁止で行動成功率が低下するので、ミケが料理に飛びかかろうとする度に割って入って抱き上げわしゃわしゃ体を撫でる
キャンプと違い食事等他の行動成功率を上昇させないので体を張る

「楽しいですねえ、ミケさん。ほぅら、ぶーんぶーん」
脇に手を突っ込み持ち上げ自分の身体ごと大回転
UDC職員の準備する食事の用意が整うまで力の限り全身でミケを受け止め撫で回し振り回し遊ぶ

「わたくしはミケさんと遊べて楽しいです。ミケさんはどうですか?」
ミケが質問に答えられる程食事から意識が離れるまで手を抜かない



● 大乱闘!格闘バトロワブラザーズ
 最初のワゴンに満載されていたスイーツを食べ尽くしたミケは、次のごはんを今か今かと待ちわびていた。ちょこんと正座で待つことしばし。再びおなかから雷鳴のような重低音を鳴らしたミケは、すっくと立ち上がるとドアへと向かった。
「おな゛か゛す゛いた゛にゃーーー! ミケ、ごはんをお迎えに行って来るにゃ!」
「お待ちなさいミケさん」
 ミケの前に立ちふさがった雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)は、目を合わせると首を横に振った。どうやら厨房でトラブルがあったらしく、次の料理が届くまで少し時間がかかってしまうようだ。それまで何とかミケの気を散らさなければ。
「今、職員さん達が一生懸命作ってくれています。もう少し待てますね?」
「ミケはおなかすいたにゃ! ごはんがミケを待ってるにゃー!」
 二三夫の手を振り払いドアへと向かうミケの姿に、二三夫は楽しそうに微笑むと再びミケの前に回り込んだ。
「早速猫さん、いえミケさんと遊ぶ時間が来たようですね」
「にゃにゃ! そこをどくにゃ!」
「厨房に行きたければ、わたくしを超えて行きなさい。競い合いましょう。それがわたくしの……アスリートアースの信念です」
「にゃ! ミケの信念はおなかいっぱい食べることにゃ!」
 ユーベルコードを詠唱し行く手を塞ぐ二三夫に、ミケも蟷螂の構えで応じる。ミケの部屋はいつの間にかアスリートアースのバトロワ競技場へと変わり、どこからか吹き抜ける風が枯れ葉を吹き上げていく。
 睨み合ってしばし。ミケのお腹の音をホイッスル代わりに、ミケと二三夫の格闘バトロワの幕が切って落とされた。
「にゃ! これは正々堂々真っ向勝負にゃ! ケガして泣いたらなぐさめてあげるにゃ!」 宣言と同時に駆け出しミケは、鋭い牙をむき出しにして二の腕に噛みついた。牙をむき出しにした本気噛みで向かったにも関わらず、噛みつく時には甘噛みになっていて。腕にしがみついてあぐあぐするミケの背中をわしゃわしゃ撫でた二三夫は、だいぶ艶を取り戻した毛並みに頬をほころばせた。
「にゃにゃ!?」
「かわいいですねえミケさんは」
「にゃにゃ! これならどうにゃ!」
 液体猫の要領でわしゃわしゃから抜け出したミケは、爪をしゃきーん! と伸ばした。駆け寄りジャンプし、必殺のバリバリで二三夫の頬に碁盤目状の引っかき傷を作ろうと飛びかかる。狙い違わず伸ばされた爪はしかし、二三夫の頬に傷を作る直前に引っ込んだ。
「にゃにゃ!?」
 ミケは驚きの声を上げるが、攻撃のモーションは止まらない。肉球で頬をぷにぷにするミケを捕まえた二三夫は、ミケの脇の下に手を突っ込むとそのまま持ち上げた。
「このどこでもアスリートアースでは、ダメージを与える行動は全て行動禁止なんですよ」
「にゃにゃ!? 卑怯にゃ!」
「代わりに、わたくしもダメージを与える行動は全て行動禁止ですから。おあいこです」
「おあいこならしょうがないにゃ」
 納得したミケと頷きあった二三夫は、持ち上げたまま腕を伸ばして自分の体ごと大回転。高く低くぐるぐる回す二三夫に、ミケは嬉しそうな歓声を上げた。
「にゃー! 目が回るにゃー!」
「楽しいですねえ、ミケさん。ほぅら、ぶーんぶーん」
 力の限り全身でミケを受け止め撫で回し振り回し遊んだ二三夫は、荒い息をしながら砂浜に大の字になった。隣で大の字になるミケに首を巡らせ問いかける。
「わたくしはミケさんと遊べて楽しいです。ミケさんはどうですか?」
「にゃ! 楽しかったにゃ!」
「そうですか。それは良かったです」
「にゃ!」
 にっこり笑いあった一人と一匹は、部屋に戻ると料理が来るのを心待ちにするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケイラ・ローク
【トーゴf14519】に合流するねっ

キミが猫カフェとか意外~…と思ったらお仕事なのネ(猫耳がぴこぴこ)
やだぁ❤猫ちゃん服着てるし、可愛い~❤
ミケちゃん!あたし達と運動したらおやつにしましょ♪
あたしからは~
招猫行進曲!合わせてピザと小判型チョコを投げるわ
あたしはフラワービームで乱れ撃ちのパフォーマンス
ミケちゃんも一緒にダンスしましょ♪
あとね、これでもユーベルコードだから当たるとちょっと痛いわよっ
頑張ってよけてうまく食べ物キャッチして❤

落ち着いたらピザと、じゃーん❤ほかにもフィッシュバーガーにフレンチポテト、ホットドッグとジャンクフードをご用意したわ
聞けば断食してたとか
焦らないでのんびり食べてね♪


鹿村・トーゴ
ケイラ【f18523】と

…ネコマタがねこかふぇ来るよりフツーかなーと思うけど
ガキの頃家にねこ居たから猫は好きだしよー

ん、女の子ってカワイイ♪って反応すんのめっちゃ早いのな

UC蜂は積極的に攻撃せずミケがUDC職員の用意した食料に突進すると牽制でチクリと体当たり
オレは【念動力】でミケごと浮かせて食料に近づけないようにする
向かってくるなら布状の猫目雲霧を振って猫じゃらしの要領で気を逸らしたりしならせて打ったり
流血沙汰は避けたいもんな

どう?ちょっと落ち着いた?
煮魚(骨取り済みだってー、と感心)だし巻きや肉団子、食べやすく切った焼き芋、かまぼこ炊いたやつと、あとおにぎりもあるって
一緒に食べよ?

アドリブ可



● おいしいごはんをお迎えに
 ひとしきり遊んで気を紛らわせたミケは、遅れている料理をそわそわしながら待っていた。大人しく正座してドアをじーっと見つめては、時折体を揺すって期待に目を輝かせる。
 そんなミケの姿を微笑ましそうに見守っていたケイラ・ローク(トパーズとアメジスト・f18523)は、ふいに鳴るスマホに視線を落とした。
 UDC職員から「料理を届けるのにもう少し時間がかかる」と連絡を受けたケイラは、猫又がウインクしながら「OK♪」と言っているスタンプで返すと、隣でミケを見守る鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)の顔を覗き込んだ。
「キミが猫カフェとか意外~……と思ったらお仕事なのネ」
「……ネコマタがねこかふぇ来るよりフツーかなーと思うけど。ガキの頃家にねこ居たから猫は好きだしよー」
「猫ちゃん服着てるし、可愛いもんね~❤」
「ん、女の子ってカワイイ♪ って反応すんのめっちゃ早いのな」
 苦笑いをこぼすトーゴに、ケイラは猫耳をぴこぴこさせるとミケの後ろ姿を見守った。子供ほどの大きさのミケは毛艶も良くなり、もふもふな毛並みが光にちょっと透けて端っこが輝いている。ちょっと触ってみたいかも? と思ったケイラは、響く重低音の腹音に踏み出した足を止めた。
 口からよだれを垂らしながら我慢強く料理の到着を待っていたミケだったが、だんだんガマンの限界が近づいたのだろう。すっくと立ち上がると、ドアへ向かって駆け出した。
「にゃー! ごはんがミケを呼んでるにゃー!」
「幻聴よ!」
 一言で片付けたケイラは、ミケの前に回り込むとカラフルで可愛い招き猫達を召喚した。ケイラに喚ばれて現れた招き猫たちは、ピザや小判型チョコを手にするとミケの周りで踊り出した。
「にゃにゃ! 猫にゃおやつにゃ!」
「ミケちゃん! あたし達と運動したらおやつにしましょ♪ 」
 招き猫達と一緒にステップを踏んだケイラは、どこからともなく流れてくる招猫行進曲マネキネコマーチの軽快な音色に合わせてフラワービームを乱れ撃ち、華と彩りを与えていく。
「ミケちゃんも一緒にダンスしましょ♪」
 いい匂いを漂わせながら空を飛び地で踊る猫たちの姿に、ミケは目を輝かせる。狩猟本能が刺激されたのか、猫が掲げたお皿に飛びかかった。
「にゃ! 美味しそうなの食べていいにゃ!?」
「いいけど、これでもユーベルコードだから当たるとちょっと痛いわよっ」
「にゃにゃ!?」
 驚いて意識を逸したミケは、目測を誤り招猫にぶつかる。とたんにビリビリくる刺激に尻餅をついたミケは、負けじと立ち上がると小判型チョコを持った招猫を捕まえようと飛びかかった。
「頑張ってよけてうまく食べ物キャッチして❤」
「にゃ! おやつはミケのにゃー!」
 ビリビリきながらも全部のおやつを食べたミケは、頭をひとつ振るとドアに向けてアタックを仕掛けた。
「ごはーん! 今迎えに行くにゃー!」
「ここまで待ったんだ。もうちいと待っちゃみねえか?」
 ドアに向かうミケに手を差し伸べたトーゴは、念動力でゆっくり浮かせた。宙に浮いたミケは、空中で短い足をバタバタさせながらドアに向かった。やがて自分が浮いていることに気付いたミケは、くるりと振り返るとトーゴに向けて突進を仕掛けた。
「にゃ! お邪魔するならガリってするにゃ!」
「ガリってのはいただけねぇよ。流血沙汰は避けたいもんな」
 八本ひげが描かれた猫柄の六尺手拭いを振ったトーゴは、ミケの手が届くか届かないかギリギリを狙いひらひら動かす。揺れる猫目雲霧に耳をピクっとさせたミケは、布の端に手を伸ばした。
 布を捕まえようとするミケの肉球は、空しく宙を叩く。ミケがつかもうとしていた猫目霧雲を捕まえたケイラは、むふん! と自慢げに胸を張った。
「さあミケちゃん! どっちが早く猫目霧雲を捕まえられるか勝負よ♪」
「にゃ! 受けて立つにゃ!」
「お? 二人ともやるかい?」
 ライバル心を燃やしたミケが、ヒラリと抜けた布を更に追いかけ両手で捕まえる。肉球の間をするりと抜けた猫目雲霧をしならせて軽く背中を叩いてやれば、ケイラがダンスしながら飛びかかって。
 猫じゃらしの要領で遊んでいたトーゴは、ようやく来た料理に目を輝かせるミケを宥めるとワゴンの前に立った。

● 待ちに待ったごはんタイム
「お待たせしました! ご飯ができましたよ-!」
「にゃにゃ!」
 職員の声に大喜びで振り返ったミケが、まっしぐらに飛びかかろうとする。押し倒す勢いでジャンプするのを宥めたトーゴは、大人しく待つミケと視線を合わせた。
「どう? ちょっと落ち着いた?」
「にゃ! 二人とも遊んでくれてありがとにゃ!」
「よく言えました♪ それじゃ、ごはんにしよっか」
「にゃ!」
 ケイラの声に飛び上がりそうな勢いで喜んだミケの前に、トーゴは煮魚を出した。続けてだし巻きに肉団子、食べやすく切った焼き芋にかまぼこを炊いたやつを次々にミケの前に出せば、飛びつきそうになるのを必死でガマンするミケに微笑んだ。
「あとおにぎりもあるって。一緒に食べよ?」
「にゃ! もちろんにゃ!」
「あたしからはピザと、じゃーん❤ ほかにもフィッシュバーガーにフレンチポテト、ホットドッグとジャンクフードをご用意したわ」
「にゃにゃ! こっちも美味しそうにゃ! どっちも美味しくいただくにゃ!」
 頬に手を当てたミケが、目をキラキラ輝かせる。仕切りのあるお皿に煮魚とフィッシュバーガーを乗せたミケは、トーゴとケイラに倣って手を合わせた。
「「「いただきます」」にゃ」
 一礼して箸を手に取ったトーゴは、飴色の煮魚をほぐすと口へと運んだ。甘辛く煮付けられた白身魚からはちゃんと魚自身の味もして、濃いめの味付けにおにぎりを頬張れば、魚のしょっぱさをごはんの甘さが中和して調和して。骨の抵抗もなく喉の奥へと滑り落ちる魚に、思わず感心の声を上げた。
「この魚、骨取り済みだってー」
「んー、このフィッシュバーガー、衣がサックサクでジューシーでタルタルソースと合っててサイコー! パンもふっかふかでレタスしゃっきしゃき!」
「にゃにゃ!! おかわりにゃ!」
 あっという間に自分の分を平らげるミケに、ケイラは口の端についたタルタルソースを拭ってあげた。
「聞けば断食してたとか。焦らないでのんびり食べてね♪」
「にゃ! ゆっくり、よく噛んで。ミケ、つい忘れちゃうにゃ」
 てへぺろ♪ と頭を掻いたミケは、おかわりはゆっくりよく噛んで味わう。楽しく美味しいごはんの時間は、楽しく過ぎていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

藤崎・美雪
【一応WIZ?】
アドリブ連携大歓迎

…あー待て待て
暴走を抑えろと言われても、私、力づくでは無理なんで
精々鋼鉄製ハリセンでツッコミ入れる程度しかできぬよ?

ひとまず鋼鉄製ハリセンで軽く頭をはたいてから落ち着かせよう
まあミケよ、ちょっと落ち着け
ここでミケが後ろの料理を食べ尽くしてしまったら…我々の食べる分がなくなるだろう?(ド正論で切り込む)

落ち着かせたら一緒に料理を食べよう
よーく噛んで食べれば、少しの量でも満腹になりやすいぞ
…ってこれ、ガキにゃんこに通用するのかな

どうしてもミケの暴走が収まらない場合のみ指定UC発動
123体のもふもふさんの「優しい」瞳で見つめて貰うか
…あまりやりたくないのだがなぁ


彩瑠・姫桜
食欲が戻ったのは元気になったってことだし、アリはありなのよね
基本は宥めて付き添うことにするわ
背中を撫でたりくらいで収まるかしらね…あんまり拘束はしたくないから、
拘束系のUCは使わないつもり

あんまりおイタが過ぎたらちょっとだけ白燐の力(指定UC)を借りようかしら
食べることにトラウマ持たせるのも嫌なので、
あんまり言う事聞かない場合だけに限定するつもりだけど
とはいえ悪い子じゃないから…白燐、手加減はしてあげてね?

料理はちょっと腹持ちのよさそうなカツ丼をお願い
がっつり系だけど勢いついたらぺろっといっちゃうわよね

さ、ミケ、ゆっくりいきましょうか
多少食べる速度は早くても一気食いしなければ大丈夫だからね?


エリシャ・パルティエル
さあミケちゃんも元気になったみたいだし
また暴走して自己嫌悪に陥ったら台無しになっちゃう
食欲の暴走を止めなきゃね

ミケちゃん、ご飯を食べる前にちょっと運動しましょう?
UCでミケちゃんサイズのキャットタワーを作るわね
またたびの匂いをつけた猫じゃらしで
上へ下へと誘導して
落ち着く時間を与えるわ

いいわよ、ミケちゃんその調子
運動したらよりご飯が美味しく感じられるわよ
でも、食べすぎは厳禁だからね!

落ち着いたらご飯を食べるのを見守るわ
前に皆に教えてもらったことは覚えてる?
よく噛んでゆっくり食べるのよ
作ってくれた人にも感謝して美味しく食べるの
ごちそうさまはできる?
そうよ偉いわミケちゃん
(もふもふ毛並みをなでなで)



● もぐもぐもぐもぐ(ツッコミ待ち)
 厨房のトラブルを乗り越えて、ようやく届けられたごはんの数々。ワゴンに乗せられ次々と出される料理を食べ続けるミケに、彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)は声を掛けた。
「ミケちゃん、調子はどうかしら?」
「にゃ。元気にゃ」
 姫桜の声に、ミケは生返事を返す。 「ゆっくりよく噛んで」という猟兵達の教えを守っているから、食べるスピードは早くない。だが猟兵達が来て声を掛けてもこの反応は少しおかしくはないか。
「食欲が戻ったのは元気になったってことだし、アリはありなのよ……ね?」
「まあ確かに食欲が戻ったのはいいが……別方向から暴走してないかこれ?」
 ミケの食事を見守っていた藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)もまた、不審そうに呟いた。暴走が止まるかも知れないと召喚した123体のもふもふさん達に優しい目で見つめてもらっても動じず、掛けられる「ンベメ」という呼び声にも答えない。
「ミケちゃん。美味しい?」
「おいしいにゃ」
 優しく声を掛けたエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)の声にも生返事。さすがに不審に思ったエリシャは、無言で食べ続けるミケの目をじっと覗き込んだ。ぱっと見はふつうにごはんに夢中になっているように見えるが、目の奥に宿るのはぐるぐるの牛乳瓶の底のような目。やっぱり静かに暴走している。にっこり微笑んだエリシャは、顔を上げると猟兵達を見渡した。
「ミケちゃん元気になったけど、やっぱり暴走してるみたいね。このままじゃ自己嫌悪に陥って台無しになっちゃう。食欲の暴走を止めなきゃね」
「えっ!? や、やっぱり暴走してるのね。ミケちゃん、食べるのは少し休んでお話しましょう?」
「……ゆっくり、よく噛んで、飲み込むにゃ。ゆっくり、よく噛んで、飲み込むにゃ……」
 もふもふさん達に囲まれて思わず頬を緩めていた姫桜は、表情を引き締めるとエリシャの指摘にミケの背中に手を伸ばした。ゆっくり背中をさする手の感触と宥める声にも、取り憑かれたように食べる手は緩めない。
 食べるのをやめさせるだけならば拘束系のユーベルコードを使えばたやすいが、それはあまりしたくない。だがゆっくりよく噛んで食べているだけのミケをどう止めるべきか。思案した姫桜は、美雪を振り返った。見ればエリシャも美雪を見ている。二人に見られた美雪は、自分を指差すと頭を掻いた。
「……あー待て待て。暴走を抑えろと言われても、私、力づくでは無理なんで。精々鋼鉄製ハリセンでツッコミ入れる程度しかできぬよ?」
 鋼鉄製のハリセンを取り出した美雪が、手の中で準備運動しながら後ろに回り込む。パシーンパシーンと金属音を立てる叩かれるととっても痛いハリセンに、姫桜は白燐蟲を召喚した。
「美雪さん、ちょっと待って。……白燐よ、お願い、力を貸して!」
 ちょっとだけ召喚した白燐蟲が、ミケの周りにふわりと漂う。ミケに装甲強化を付与した姫桜は、美雪に訴えた。
「ミケは食べてる最中だから。食べることにトラウマ持たせるのも嫌なの、だから……手加減はしてあげてね?」
「いや、そこまで強く叩くつもりはないぞ?」
 苦笑いした美雪は、集まる視線にもめげず鋼鉄製のハリセンを振り上げた。
「まあミケよ、ちょっと落ち着け」
「に゛ゃ!」
 ミケの後頭部で、ハリセンがスパン! と小気味よい音を立てる。ようやく気付いたミケは、頭を撫でながら猟兵達を振り返った。

● 魅惑のキャットタワーとカツ丼と
「にゃ! 美雪にゃ! 姫桜にゃもエリにゃもいるにゃ!」
 猟兵達の存在をようやく認識したように、ミケは振り返ると笑顔で駆け寄ってくる。その姿に安堵した美雪は、めっ! とするように人差し指を立てた。
「ミケ。ここでミケが料理を食べ尽くしてしまったら……我々の食べる分がなくなるだろう?」
「にゃ!」
 ド正論で斬り込む美雪に、ミケはしっぽをぼわあっ! とさせる。ようやく我に返ったミケは、ほぼ食べ尽くされた料理にしゅんとうなだれた。
「ミケ、またやっちゃったにゃ。ごはんに夢中になっちゃったにゃ」
「でも、ちゃんとゆっくりよく噛んで食べてたわよ。暴走していても返事をしてくれたし。だから大丈夫よ」
「にゃ。ミケ、みんなのお声は聞こえてたにゃ」
 姫桜の励ましに、ちょっと顔をあげる。ちょっと元気を取り戻したミケの肩を、美雪は叩いた。
「落ち着いたか? なら一緒に料理を食べよう」
「にゃ! 一緒にごはん……」
 ちょっと言ったミケは、おなかをさすってワゴンを見る。まだごはんは多少残っているが、さすがのミケもたっぷりスイーツパラダイスからの和洋ごはん大戦でおなかがいっぱいになってきたらしい。
「にゃ。だいぶおなかがいっぱいにゃ。でもミケ、みんなとごはんが食べたいにゃ」
「ならミケちゃん、ご飯を食べる前にちょっと運動しましょう?」
 そう言って微笑んだエリシャは、詠唱を開始した。聖痕から放たれる淡い光が照らし出した床の上に現れたのは、大きなキャットタワーだった。聖遺物ではないため精巧さには欠けるが、猫を魅了するフォルムにミケは目を輝かせた。
「にゃにゃ! 夢のキャットタワーにゃ! エリにゃありがとにゃ!」
「ふふ、喜んでくれて嬉しいわ。……さあ、ミケちゃんこっちにいらっしゃい♪」
 またたびの匂いをつけた猫じゃらしをぱたぱたさせたエリシャは、鼻をひくひくさせるミケの前で活きの良い鼠のように動かした。
 はしっ! と手を伸ばしたミケが掴む寸前ヒラリと避ければ、猫じゃらしはキャットタワーの上段にあって。狩猟本能に目を光らせたミケは、猫じゃらしを追いかけキャットタワーを上へ下へと駆け回る。
「いいわよ、ミケちゃんその調子。これはどうかしら?」
 最後は最上段から大ジャンプして猫じゃらしを掴んだミケは、そのまま床ででんぐり返ると房をあぐあぐ甘噛みする。その姿を微笑ましく見守ったエリシャは、ミケの前にしゃがむと微笑んだ。
「どうかしら? まだごはん食べられないかしら?」
「にゃ! ……ちょっとおなかすいてきたにゃ!」
「ね? 運動したらよりご飯が美味しく感じられるわよ。でも、食べすぎは厳禁だからね!」
「にゃ!」
「いい子ね。さあ、新しいごはんが来たわよ」
 エリシャが釘を刺すのを、神妙な面持ちで頷く。ミケの頭を優しく撫でたエリシャは、運ばれてくる料理の前に座った。ほかほかと湯気を上げる丼の前に座ったミケは、配膳する姫桜に喜びの視線を向けた。
「にゃ! カツ丼にゃ!」
「これだと、ちょっと腹持ちよさそうでしょ? がっつり系だけど勢いついたらぺろっといっちゃうわよね」
「にゃ! カツ丼大好きにゃ! 姫桜にゃもエリにゃも美雪にゃも、ミケと一緒にいただきますするにゃ!」
 嬉しそうに駆け回っては三人を席につかせようとするミケに、三人はそれぞれ席につく。ほかほか丼を前に再びおなかを鳴らしたミケを、姫桜は軽くつついた。
「ミケ、ゆっくりいきましょうか。多少食べる速度は早くても一気食いしなければ大丈夫だからね?」
「姫桜の言う通りだ。よーく噛んで食べれば、少しの量でも満腹になりやすいぞ……ってこれ、ガキにゃんこに通用するのかな」
「にゃ! 美味しいごはんをしっかり食べて、栄養あるおやつをちょっとずつよく噛んで食べて、ちゃんとお水を飲むにゃ!」
「前に皆に教えてもらったことは覚えてるわね。偉いわ」
 ミケの頭をもふもふなでなでするエリシャに、ミケはくすぐったそうに微笑んだ。喉をゴロゴロ鳴らしたミケは、期待の目でエリシャを見上げた。
「にゃ! 他にはなにかあるにゃ?」
「他に? そうね。作ってくれた人にも感謝して美味しく食べるの。そして、食べ終わったらごちそうさまよ。練習してみましょうか」
「にゃ! ……ごちそうさまにゃ!」
「そうよ偉いわミケちゃん」
「いやまだ食べ始めてもないだろう」
「最初はいただきますよ」
「にゃ!」
 美雪と姫桜のツッコミに、ミケはバツが悪そうに頬を掻く。微笑みあった三人と一匹は、お箸を手に取ると目を閉じた。
「「「「いただきます」」」にゃ!」
 いただきますの挨拶と同時に開けられた蓋からは、いい匂いが立ち上った。カリッとジューシーに仕上げられたカツをふんわりトロトロな卵と味わい深い出汁で閉じ込めた逸品をほかほかご飯の上に乗せたカツ丼は、視覚だけでもう美味しいこと決定で。
 美味しく楽しい食卓を囲んだ猟兵達は、楽しいひと時を堪能するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ねこねこねこ』

POW   :    不動。俺はキャットタワーださぁ上っておいで!

SPD   :    猫じゃらしをふりふりと、捕まえられないギリギリを狙う!

WIZ   :    猫の好い場所をくすぐり撫でくりツボをつくならおまかせ!

👑5
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● 猫cafeシャトンのごめんなさい
 元気を取り戻したミケは、緊張の面持ちで猫cafeシャトンの従業員用のドアの前に立った。
 今日は定休日。何かあっても他のお客様が入ってくることはない。ミケが今日復帰するのは、同僚猫たちも知っている。入らなきゃ。ごめんなさいしなきゃ。でも。
 緊張で手が震える。心臓がドキドキして静かにしてくれない。嫌な想像が頭を駆け巡って、このまま帰ってしまいたくなる。
 そんなミケの背中を、猟兵は軽く押した。驚いて振り返れば、そこには優しく力強く頷いてくれる姿があって。
「にゃ。ミケには猟兵のみんながいるにゃ」
 ホッと安堵の息を吐いたミケは、再びドアノブに手を伸ばす。大丈夫。もしも猫カフェのみんなに「あっちいけ」って言われても、ミケには猟兵がいる。UDC職員さんもいる。帰る場所があって、話を聞いてくれる人達がいる。なんて幸せなんだろう。
 だから大丈夫。ちゃんとごめんなさいできる。
 勇気を貰ったミケは、笑顔で頷くと従業員用のドアを開けた。
 そろりと細く開けたドアの向こうには、ミケの帰りを心待ちにしていた同僚猫達の歓迎のにゃー! で満ちていた。
「にゃ! みんな、その、みんなのごはん食べちゃって、ガリってやっちゃって、ごめんなさいにゃ」
 頭を下げるミケに、同僚猫が頭を擦り寄せる。険悪な雰囲気だったら仲裁しようかと思ったが、どうやら大丈夫そうだ。
 猫たちの輪の中に戻ったミケの姿を、猟兵達は遠くから見守るのだった。
 ひとしきり謝ったミケは、猟兵達の許へと駆け寄ると手を取り中へと引っ張った。
「にゃ! みんなにお礼がしたいにゃ! 今日はミケのおごりにゃ! ここで遊んで行って欲しいにゃ!」
 笑顔でパタパタしっぽを振るミケに手を取られた猟兵は、猫cafeシャトンの中へと入っていった。

※ミケの復帰を祝って、ささやかですが人間用のお茶会が用意されています。
 喫茶や軽食、スイーツなどが食べられますので、ご入用でしたらお声がけください。
 猫用のおやつもあるので、ミケはもちろん他の猫達にもあげることもできます。
 猫たちと思う存分遊んでもいいですし、お茶しながらモフることもできます。
 猫カフェのひとときを、思う存分たのしんでくださいませ。
フレスベルク・メリアグレース
制服姿で入店し、紅茶アールグレイにスコーン、それにクリームパスタをお願いします
そう言って注文をした後、ミケ様の様子を伺う
一歩踏み出せば、己の世界が変わり、己が変わる事で外界も変容する……
知的生命体の最重要本質はそれなのでしょう

そんな事を想いながら紅茶とスコーン、クリームパスタを受け取り口に運んでいく
柔らかい口当たりが特徴的ですね
茶葉も良い物を使っているのが分かります

そう言いながら食事をとっているとミケ様が
仲直りが出来たようで何よりです
よろしければ他の皆様についても教えてもらっていいでしょうか?
そうして食べ終わった後、ミケ様と一緒に他の皆様と戯れます



● 猫カフェの静かなひととき
 和やかな雰囲気が漂う猫cafeシャトンに入ったフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、出迎えてくれる猫たちの頭をひとしきり撫でるとカウンター席に座った。
 明るく清潔な店内で、のびのびくつろぐ猫たち。猫達が運動不足にならないよう設置された大きな木形のキャットタワーや天井から吊り下げられた足場。そんな中に絶妙に配置されたソファやテーブル席。ここはなかなか環境も良さそうだ。
 制服姿で入店したフレスベルクを出迎えた店員は、にっこり笑顔でメニューを手渡した。
「お菓子をテーブルに置いておくと、猫ちゃんが食べちゃうんですよ」
「では紅茶アールグレイにスコーン、それにクリームパスタをお願いします」
 注文を復唱してキッチンへ去る店員を見送ったフレスベルクは、同僚猫達とお喋りするミケの姿に目を細めた。
 最初に会った時はしょぼくれていたミケも、すっかり元気になっている。同僚猫達となにやら猫語でお喋りをしている声は元気そうで、打ち解けた様子が見て取れた。
(「一歩踏み出せば、己の世界が変わり、己が変わる事で外界も変容する……。知的生命体の最重要本質はそれなのでしょう」)
 猫たちとじゃれ合う姿を見ていたフレスベルクは、受け取ったクリームパスタを口にした。なめらかなソースを纏ったクリームパスタは口に含むとこっくり丸い味が口の中に広がって。噛めばベーコンとチーズの旨味がパスタと絡み合い、絶妙な塩加減を与えてくれている。
 コク深いパスタを堪能したフレスベルクは、紅茶を口に含んだ。ベースとなるダージリンの味にベルガモットの華やかな風味が加わり、後味も存分に楽しめる。添えられたスコーンはイギリス式で、バターの風味香る生地にストロベリージャムがよく合う。
「柔らかい口当たりが特徴的ですね。茶葉も良い物を使っているのが分かります」
「にゃ! フレスベルクにゃいらっしゃいませだにゃ」
 食事を終えたフレスベルクに駆け寄ったミケが、ぺこりと頭を下げる。屈託のない笑顔に思わず眉根を下げたフレスベルクは、ミケの頭をそっと撫でた。
「仲直りが出来たようで何よりです」
「にゃ! フレスベルクにゃ達が来てくれたおかげにゃ!」
「よろしければ他の皆様についても、教えてもらっていいでしょうか?」
「いいにゃ! みんなを紹介するにゃ!」
 フレスベルクの申し出に、ミケは目を輝かせて手を取った。店のまんなか広場まで来たミケは、同僚猫を一匹ずつ紹介した。
「にゃ。こっちがミケがお世話してるタマにゃ。こっちがマロン先輩でこっちがココにゃ。そこのおっきいのがボスにゃ。それから……」
「フレスベルクだ。よろしく」
 猫たちに礼儀正しく挨拶するフレスベルクに、猫たちは一声鳴くとフレスベルクの手に頭を擦り寄せた。猫たちは毛並みも良く、人間を信頼してくれる様子が感じられて。その空間がとても心地よくて。
 人懐こく寄って来てくれる猫たちを撫でたフレスベルクは、じゃれてくる猫たちと心ゆくまで戯れ合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
ケイラ【f18523】と

あは
良かったなぁミケ
みんな待っててくれたじゃん
(屈んで目を合わせミケの耳の下を掻き背中を撫ぜる)
たまのヘマは仕方ねーよ
みんなお前さんが良い子って知ってんだもん
ま、(肩から絶対降りない相棒のオウムのくちばしを撫ぜ)ユキエは仕方ないなー
猫相手じゃ警戒しちゃうか

猫カフェではケイラに促されるまま
ユキエも落ち着いてきたので無意識に猫もふ
『トーゴ、ユキエがいるのにネコに浮気ばっかり。喋ってあげない(怒』
おいおい
何でそんな拗ねンのよ?!

出されたプリンに逡巡
うむむ忍びは耐えてナンボと…好物だからだよ!プリンは年二回って制限してんだー
でも今年もあと少し…
プリンを食べる

はー幸せ♡

アドリブ可


ケイラ・ローク
【トーゴf14519】と
猫カフェにお邪魔するわ

ミケちゃん人気者じゃないの❤それに気前も良いわ!きっとモテるわよっ!

猫用のおやつを貰って猫と戯れちゃう
んっふふ、猫のイイトコロは知ってるゾ
あったしもねっこだも~ん♪
喉やおなかや機嫌の良くなるところをかきかき
ここでしょ~❤
ユキエちゃんヤキモチ焼きねっ
はいはいトーゴ
キミもソファに座って猫ちゃんと禁断タイムを楽しみなさい✨
キミもウリウリしてあげようか?イイ所は知ってんのよ~?そう、例えば!
じゃーんキミの好物のプリン(ミニサイズ)よん
食べるの遅いんだからぶつぶつ言わずに食べなさいって
美味しいわよっ
あたしはプリンパフェとオープンサンド
ハイあ~ん
アラいらない?



● 猫と鸚鵡と猫又と
 猫cafeシャトンの店内に入った鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は、同僚猫達と猫語でお喋りするミケの姿に嬉しそうな笑みを浮かべた。
 同僚猫達と仲直りできるか心配していたミケだったが、どうやら杞憂だったようだ。額を寄せ合いうにゃうにゃ言い合う姿は、ミケがUDC-Pであることを忘れてしまうような微笑ましさで。
「あは。良かったなぁミケ。みんな待っててくれたじゃん」
「あ、トーゴにゃ! よく来てくれたにゃ嬉しいにゃー!」
 トーゴの姿に駆け寄るミケの前に屈んだトーゴは、視線を合わせるとミケの耳の下を掻き背中を撫ぜた。すっかり戻ったもふもふの毛並みが手に心地良い。気持ちよさそうに喉を鳴らすミケを追いかけて、他の猫達も駆け寄ってくる。「だれ?」「お客さん?」と言わんばかりに首を傾げる猫たちの姿に、ケイラ・ローク(トパーズとアメジスト・f18523)も笑顔を浮かべた。
「ミケちゃん人気者じゃないの❤」
「にゃ!」
 自慢気に胸を逸したミケは、ケイラの腕の中に思いっきりジャンプで飛び込んだ。頭を擦り寄せゴロゴロ喉を鳴らす。ケイラもまんざらでもなさそうにミケの背中を撫でている。足元の黒猫を抱き上げたトーゴは、黒猫と一緒にミケを見た。
「たまのヘマは仕方ねーよ。みんなお前さんが良い子って知ってんだもん。なー?」
「なぁん♪」
「トーゴにゃ達が来てくれたおかげにゃ」
 ケイラの頬に頭を寄せるミケは、ふと顔をあげるとユキエを見た。うっかり目が合ってしまったのだろう。肩に止まったオウムのユキエがぶわあっ! と翼を広げた。そのまま飛んで逃げそうになるのを必死に堪えたユキエは、すんでのところで留まるとトーゴの肩をしっかりと掴む。黒猫をリリースしたトーゴは、相棒の様子に周囲を見渡した。
 黄芭旦の鸚鵡であるユキエの姿に、猫たちがキュピーン! と目を光らせている。猫カフェで暮らしているとはいえ、猫の本能がそうさせるのか。捕食者の視線に晒されたユキエは、逃げたい本能とトーゴの相棒としての矜持の間で揺れ動きながらトーゴの肩から降りようとしない。そんな相棒の姿に、トーゴはユキエのくちばしを撫でた。
「ま、ユキエは仕方ないなー。猫相手じゃ警戒しちゃうか」
「にゃ?」
 首を傾げたミケが、心配そうにユキエに鼻を寄せる。近づく猫の顔から更に逃げようとするユキエの姿に、ケイラは立ち上がると猫用おやつの袋を開けた。
「みんなー! おやつの時間だよ♪ こっちにおいでー!」
「にゃ! おやつにゃ!」
 猫用ジャーキーをじゃーん! と差し出したケイラは、ミケを抱いたまま猫たちの視線を一身に浴びる。ジャーキーの誘惑に勝てない猫達の注意を引き付けたケイラは、少し離れた場所まで誘導すると一匹ずつおやつをあげる。
 猫の視線から解放されたユキエが、安心したように緊張を解く。ユキエを撫でたトーゴは、始まる猫パーティを遠くから見守るのだった。

● 猫とプリンとハイあ~ん
 巧みな猫用ジャーキー捌きで猫たちの心を鷲掴みにしたケイラは、期待に満ちた目で見つめてくる猫の喉を掻いてあげた。触ってみて気持ちよさそうに目を細めるのを見極めて、ちょっと強めに掻いてあげれば嬉しそうにゴロゴロ喉を鳴らす。まるでマタタビを貰ったようにうっとりする猫に、ケイラは指をわきわきさせた。
「んっふふ、猫のイイトコロは知ってるゾ。だってあったしもねっこだも~ん♪ はいはい順番じゅんばーん♪」
 茶色猫のココを心地よさで溶かしたケイラは、我も我もと寄ってくる猫達に手を伸ばした。ある猫はお尻を、ある猫は頭の後ろを。一瞬でその猫の気持ちが良くなるポイントを見極めたケイラは、優しくも巧みな手さばきで猫たちを撫でもふり満足させていく。
「キミはここでしょ~❤」
 わしゃわしゃ撫でられた猫達が、溶けたような声を上げる。ひとしきり猫と遊んで満足したケイラは、店員に注文するとカウンター席に戻った。いつの間にカウンターに戻ったミケの頭を撫でると、猫の戯れを見守るトーゴの隣に座った。ケイラについてカウンター席に来た猫達が、トーゴを興味津々と見上げている。その視線を見てみぬふりする姿に、ケイラは足元の猫を抱き上げトーゴの膝に乗せた。
「はいはいトーゴ。キミも猫ちゃんと禁断タイムを楽しみなさい✨」
「お、おお」
 膝に座って鼻をひくひくさせながら見上げてくる猫の背中を、無意識に撫でる。そんなトーゴに、ユキエは不満そうに羽を広げた。
『トーゴ、ユキエがいるのにネコに浮気ばっかり。喋ってあげない』
「おいおい、何でそんな拗ねンのよ?!」
『知らない!』
 ぷい、とそっぽ向くユキエにトーゴは慌てるが、猫をもふった手を避けるように身体をよじらせる。それでもトーゴの肩からは飛び立たないユキエの女心に、ケイラは微笑んだ。
「ユキエちゃんヤキモチ焼きねっ」
『そ、そんなんじゃないわ!』
 ケイラの指摘に、ユキエは照れ隠しのように更にそっぽ向く。宙に浮いた手で自分の頭を掻くトーゴに、ケイラは肘を押し当てた。
「キミもウリウリしてあげようか? イイ所は知ってんのよ~?」
「イ、イイ所って?」
「そう、例えば!」
 運ばれてきたプリンを手に取ったケイラは、脚付きの器に盛られたミニサイズのプリンを高らかに掲げた。
「じゃーんキミの好物のプリンよん」
「プ、プリン……!」
 掲げられたプリンに釘付けになる視線を、引き付けたままテーブルに置く。プリンを見つめたまま逡巡するトーゴを尻目に、ケイラは運ばれたプリンパフェとオープンサンドに目を輝かせた。
「美味しそー♪ 運動したからおなかすいちゃったのよね。トーゴ食べないの?」
「うむむ忍びは耐えてナンボと……」
 ブツブツ呟くトーゴに、ケイラは自分のプリンをひと匙掬うとトーゴの前に差し出した。
「食べるの遅いんだからぶつぶつ言わずに食べなさいって。美味しいわよっ!」
「好物だからプリンは年二回って制限してんだー。でも今年もあと少し……」
「ハイあ~ん。……アラいらない?」
「にゃ。トーゴにゃミケのおやつ食べるにゃ?」
 プリンを食べようとしないトーゴに、ミケはおずおずと猫用クッキーを差し出す。心配そうなミケの頭を撫でたトーゴは、差し出されたプリンをパクリと食べた。
「それは自分で食べな。……はー幸せ♡」
「ミケちゃん気前良いわね! きっとモテるわよっ!」
「にゃ。照れるにゃ」
 照れながら頭を掻いたミケが、嬉しそうに微笑む。
 プリンの甘みを噛みしめるトーゴの隣でオープンサンドを頬張ったケイラは、他愛のない話をしながら過ぎる時間を心から楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
猫カフェ。それはもふの天国…さらに元気になったミケさんがいるなら、そこはパラダイス。
ええ…無事に元気になってよかった。
ところでここ、もしかしてミケさんとはじめて会った猫カフェでは?

さーて、私は紅茶とスコーンいただきまして。美味しいですね。
それで…猫用おやつを、ミケさんも含めた猫の皆さんに。
この後、存分にモフりたいので、先払いというやつです!いやー、食べてる姿も可愛いですね。

猫さんたちを疲れさせない程度にもふもふしますよー!
もふもふ!いやー、もふもふはいいですね。癒されます…。
ああー、暖かい。
本当。ミケさんが元気になってよかった。


藤崎・美雪
他者絡みアドリブ大歓迎

ミケ、ちゃんと謝れたようだな(頭なでなでしながら)
折角の機会だから、存分に楽しませてもらうよ

とりあえず自分用にコーヒーとクッキーを注文して席に着こう
猫用のおやつも頼んで、他の猫たちに配れろうか
あ、猫用のおやつはできるだけ他者と被らないように選ぶぞ

香り高いコーヒーを口にしつつ
おやつに釣られて膝に飛び乗って来た猫におやつをあげつつもふもふ
やはり猫は触り心地が良いのだよなぁ…
…ってこらこら、おやつ巡ってケンカしない
ちゃんとあるから、な?

え?
あのもふもふ羊をまた呼んでほしいって?
…さすがに猫cafeに羊を呼ぶのはどうかと思うんで、勘弁してほしいなぁ
※ネタで呼んでもらうのはOK



● そこはもふの天国
 日差しが降り注ぐ平和な猫カフェのテーブル席に座った荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、美味しい紅茶とスコーンをいただきながら猫達の姿に目を細めた。柔らかい日差しの下でひなたぼっこしながらのんびり過ごす猫たちの姿は、正に平和そのもので。
「猫カフェ。それはもふの天国……」
 鼻をひくひくさせながらおもちゃにじゃれつく子。ちょっと離れたところで香箱座りしながらこっちを見ている子。あにゃうにゃ言いながら毛づくろいし合う姿はかわいいの極地。そして……。
「さらに元気になったミケさんがいるなら、そこはパラダイス」
「にゃ?」
 かわいい猫たちと一緒にじゃれ合っていたミケが、ぴこんと耳を立てる。キョロキョロ見渡し二人を見つけて、ぱあっと笑顔になって。そのままパタパタと駆け寄ってきてはキラキラした目で見上げると、檬果の手に肉球でぺたりと触れた。ちょっと冷たくてぷにぷにして気持ちいい。
「にゃ! 檬果にゃいらっしゃいにゃ!」
「ミケさんも、無事に元気になってよかったです」
「ここはコーヒーも美味しいし、いい猫カフェじゃないか」
 コーヒーカップをソーサーに置いた藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は、手を伸ばすとミケの頭をそっと撫でた。手が沈む感じは心地よく、もふもふと柔らかな毛並みは病んでいたときとは比べ物にならなくて。頭をもふられて嬉しそうに目を細めたミケは、ひげをくゆらせると美雪を見上げた。
「にゃ! 美雪にゃも楽しんでるにゃ?」
「ああ。折角の機会だから、存分に楽しませてもらってるよ」
「ゆっくりしていってにゃ!」
 嬉しそうに微笑んだミケの笑顔を見つめていた檬果は、ふいに目を細めた。猫カフェの名前を聞いた時から「あれ?」とは思っていたが、改めて店内に入るとやはり見覚えがある。確かここで、猫の追いかけっこを仲裁しながらミケを助け出したっけ。
「ところでここ、もしかしてミケさんとはじめて会った猫カフェでは?」
「そうにゃ。覚えていてくれたにゃ? あのとき、ミケ達を助けてくれてありがとうにゃ。ミケ、これからもおしごと頑張るにゃ!」
「その意気だ」
 小さな拳を握りしめるミケに、檬果と美雪はおやつをあげる。二人から渡されたおやつを食べるミケを微笑ましく見守る中、一匹の子猫が美雪の膝に飛び乗った。猫用クッキーに興味津々と鼻を寄せた子猫は、美雪を上目遣いで見上げると「にゃあ」と鳴く。絶対自分はかわいいって分かってやってるだろうと思いながらも、美雪は子猫の背中をもふった。子猫の毛並みはなめらかで柔らかくて、ミケとはまた違った良さがある。もふもふを堪能した美雪は、子猫の前に猫用クッキーを乗せた手のひらを差し出した。
「やはり猫は触り心地が良いのだよなぁ……。お前も食べるか?」
「うにゃん♪」
 一声鳴いた子猫が猫用クッキーを頬張ろうとする寸前、小さな影が動いた。鼻先をやや強引に突っ込んだ黒い子猫が、タマのクッキーを横取りしてしまう。テーブルの上であぐあぐ食べる黒猫に、ミケは慌てて手を伸ばした。
「にゃ! ノエルにゃダメにゃ! それはタマにゃのおやつにゃ!」
「ふしゃー!」
「ぎにゃー!」
「あわわ。タマにゃもノエルにゃもやめるにゃ!」
「……ってこらこら、おやつ巡ってケンカしない。ちゃんとあるから、な?」
「そうですよ。ほーら、タマさんもノエルさんもおやつをどうぞ♪」
 小さな半生かつおぶしを差し出す檬果に、二匹はケンカをやめてかつおぶしに夢中になる。その匂いにつられたのだろう。他の猫たちも駆け寄ると、我も我もと檬果におやつをねだった。
「たくさんあるから、みんなで食べましょうね。先払いというやつです」
「なんの先払いだなんの」
「モフのです」
 苦笑いをこぼした美雪に、檬果は真顔で返す。猫たちの期待を一身に背負った檬果は、おやつを手に猫広場へと向かった。
 広場に集まった猫たちの「おくれ」攻撃をいなしながら一通りおやつを配り終えた檬果は、あぐあぐとおやつを食べる猫たちに頬を緩めた。ここにいるのはいろんな種類の猫たち。大きい子や小さい子、毛の長い子や短い子。みんな違ってみんな良い。
「いやー、食べてる姿も可愛いですね。猫はそこにいるだけで心が癒やされます」
 食事の邪魔をしないように猫たちを見守っていた檬果は、食事の姿に目尻を下げた。さっきから猫たちの仕草や行動に目尻が下がりっぱなしだ。良い環境で愛されて暮らしている猫達は、毛並みも気立ても良くて癒やしのオーラを放っているは気のせいじゃないはずだ。これがきっと猫成分。
 やがて食べ終えた猫たちが、檬果にお礼を言うように頭を擦り寄せた。猫たちの背中に手を伸ばした檬果は、柔らかな毛並みに触れた。触る毛並みはどの子も柔らかく、なめらかで心地よい。猫特有の曲線美に沿って撫でてやると、檬果の手付きにそって形を変える背中が美しくて。別の猫の喉元をそっと掻いてあげれば、鳴らす喉に少し力を込めてあげて。思い切りモフりたいところだが、猫たちを疲れさせては本末転倒だ。一匹ずつ手触りの違う猫をモフった檬果は、しみじみときめいた声を上げた。
「もふもふ! いやー、もふもふはいいですね。癒されます……」
「にゃ。檬果にゃはもふもふが好きにゃ?」
「大好きです!」
 真顔で頷く檬果に、ミケはててて、と美雪に歩み寄ると膝に手を置いた。
「にゃ。美雪にゃ。ンベメ達を呼んで欲しいにゃ」
「え? あのもふもふ羊を? ……さすがに猫cafeに羊を呼ぶのはどうかと思うんで、勘弁してほしいんだが……」
「にゃ。ダメにゃ? モフモフがいっぱいだと、檬果にゃも喜ぶにゃ。それに、ミケもンベメ達に会ってもういっかいお礼がしたいにゃ」
 うるんだ目で美雪を見上げたミケは、しおしおとおひげを萎れさせるとシュンと俯く。タマの甘えテクを学んだか? と苦笑いをこぼした美雪は、ンべメーこと9体のもふもふさんを召喚した。
「分かった分かった。……もふもふさんもふもふさん、ちょっと色々お手伝い願えるかな?」
「ンべメー」
「この子達はもふられるのが好きだからな。存分にモフっていいぞ。……ああ、もふもふさんや。分かってるとは思うが、ハリセンはしまっておくように」
「ンベメ!」
 美雪の召喚に応じたもふもふ羊が、コミュ力を100レベルに強化させて現れる。あっという間に猫たちとも馴染んだもふもふ羊を、檬果は嬉しそうな顔でモフった。座った羊にしなだれかかれば、それは本物の毛布で。
「ああー、暖かい。さすが羊毛です」
「ンべメー」
「ミケもンベメが大好きにゃ。檬果にゃが気に入ってくれて良かったにゃ」
「ありがとうございます。……ミケさんが元気になってよかった、こうして一緒にモフれるのですから」
 嬉しそうに目を細めた檬果が、猫を膝に乗せ背中を羊に預け至福のため息をこぼす。
 猫と羊のモフモフ大会は、和やかに続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩瑠・姫桜
ふふ、ミケ、無事に仲直りできてよかったわね
私達用のお茶会もあるの?
それじゃあ私はシフォンケーキとミルクティーをいただくわね

…と、その、お茶もいいのだけれど、やっぱり私は、もふもふで遊びたいわ(うずうず)
遊ぶ道具はいつもの猫じゃらし(持参品)使わせてもらおうと思うわ
他のおもちゃと悩んだのだけど…
個人的には動かし方を自分で調整できるこのおもちゃが一番使いやすかったのよね
…ということでお相手よろしくね、猫さん達(すちゃっと)

あとは…ミケの復帰記念のお祝いとして
カフェの方々へ据え置き型の猫用おもちゃを一つプレゼントしたいわ
実際に使用するかどうかはカフェの方針で決めてもらって構わないので
よかったらどうぞ


エリシャ・パルティエル
ミケちゃん無事ごめんなさい出来て良かったわね

あたしたちも楽しみましょう!
アカネちゃんも呼んで猫カフェ堪能よ!
そうだ、ミケちゃんの後輩猫ちゃんを紹介してもらおうかしら
あらあら確かに甘えん坊さんみたいね
でもミケちゃんは他の猫ちゃんやお客さんに気配り出来てて偉いわ

おもちゃで遊んだりおやつをあげたり
可愛い写真もたくさん撮っちゃいましょ
アカネちゃんも至福って感じね
ステラも元気にしてる?
茜姫も今度連れてこないとね
あたしもしょっちゅう猫カフェに行って
もふもふ成分はちゃーんと摂取してるわよ!

ミケちゃん働くことが楽しそうで良かったわ
失敗は誰でもあるけど
ちゃんと誠意をもって謝ればやり直せるのよ
これからも頑張ってね



● やっぱり猫が気になって
 おやつを食べてまったりくつろぐ猫たちが、思い思いにのんびりしていた。鼻をひくひくさせながらおもちゃにじゃれつく子。ちょっと離れたところで香箱座りしながらこっちを見ている子。あにゃうにゃ言いながら毛づくろいし合う姿はかわいいの極地で。
 テーブル席に座った彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)は、猫達と猫語でおしゃべりするミケの姿に頬をほころばせた。
「ふふ、ミケ、無事に仲直りできてよかったわね」
「そうね。ミケちゃん、無事ごめんなさい出来たみたい」
 姫桜の向かいでカフェオレのマグカップを両手で包んだエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、クッキーをつまむと美味しそうに目を閉じた。つられてシフォンケーキをひと口食べた姫桜は、ふわんぼよんとした口当たりに思わず笑顔がこぼれた。この猫カフェは人間用の食べ物も美味しいと評判だが、噂は違わなくて。
「美味しい」
「はい。抹茶ラテも美味しいです」
 元気に応えたアカネは、抹茶ラテを美味しそうに飲みながらも視線は猫たちの方に6割方言っていて。そういう姫桜も、さっきから猫たちの方が気になって仕方がない。視線に気付いてエリシャを見れば、微笑ましそうな視線と目が合って。
「な、なに?」
「ふふっ。あたしたちも楽しみましょう!」
「た、楽しんでるわよ。ケーキもミルクティーも美味しいもの」
 なんだか見透かされたようで、なんとなくバツが悪くてミルクティーを口に含む。紅茶の風味がフワッと香る中にミルクの甘味と丸みが加わって、本当においしい。ミルクティーを飲み干した姫桜は、抹茶ラテを飲み干したアカネと同時にカップをソーサーに置いた。
「アカネも楽しんでいますよエリシャ様。抹茶ラテも豆大福も美味しいです」
「じゃあ店員さん、二人におかわりを……」
「……と、その、お茶もいいのだけれど、やっぱり私は、もふもふで遊びたいわ」
 店員さんを呼びかけるエリシャに、姫桜は慌てて立ち上がった。さっきから猫と遊びたくてウズウズしていたのだ。お茶のおかわりはもちろん嬉しいけれど、その分猫と遠ざかってしまう。同じことを思ったのだろう。同時に立ち上がったアカネは、拳をギュッと握りしめた。
「奇遇です姫桜様。アカネもそろそろこう、モフ成分を補給したくなって参りました」
 リボンを手にしたアカネに、姫桜も持参したいつもの猫じゃらしをすちゃっと掴んだ。他のおもちゃと悩んだのだが、個人的には動かし方を自分で調整できるこのおもちゃが一番使いやすかったのだ。猫たちと思う存分遊ぶには、道具からこだわらなければ。
「……ということでお相手よろしくね、猫さん達」
「今日は存分に遊びましょう姫桜様」
「そうこなくちゃ。ふたりとも、写真、撮ってもいいかしら?」
「いいわよ」
「アカネも構いません」
 立ち上がった二人に、エリシャもカメラを片手に立ち上がる。ちょうどお昼寝から起きて身体をほぐした猫の前に猫じゃらしをパタパタすれば、釘付けの視線が追いかけてきて。
 猫パンチをすんでで避けた姫桜は、猫との遊びに没頭するのだった。

● 新しい写真 新しい遊具
 猫じゃらしで猫たちと思いっきり遊んで思いっきりモフる姫桜の姿に、エリシャはカメラを向けた。予告なくシャッターを切れば、自然な笑顔が素敵に撮れて。この自然な笑顔は、撮影予告をしてからだとなかなか撮れるものではない。猫たちにカメラを向ければ、いい感じにこちらに気を取られない姿を撮ることができた。
 おもちゃで遊んだりおやつをあげたりしている可愛い写真をたくさん撮ったエリシャは、猫に囲まれて頬を緩ませまくっているアカネを覗き込んだ。
「アカネちゃんも至福って感じね」
「はいれふ」
「ステラも元気にしてる?」
「とっても。今日は猫カフェに行くと言ったら、お留守番してると言われてしまいました」
「そうなの。でも、それがいいわね。今のアカネちゃんの顔を見たら、きっとやきもちを焼くわ」
「ステラは別格です。ですが他の猫からでないと摂取できないモフ成分があるのです!」
 拳を振り上げ力説するアカネに、姫桜も深く頷いた。モフ好き達の暴走を微笑ましく見守ったエリシャは、今ここにいない猟兵に思いを馳せた。
「茜姫も今度連れてこないとね」
「エリシャさんも、猫と遊んでもいいのよ。写真なら私が撮るわ」
 ひとしきり猫と遊んで満足した姫桜が、ずっと撮影しているエリシャに気遣わしそうに声を掛けてくれる。その申し出に、エリシャは微笑んだ。
「ありがとう姫桜。でも大丈夫。あたしもしょっちゅう猫カフェに行って、もふもふ成分はちゃーんと摂取してるわよ!」
 自慢気に言ったエリシャは、依頼で撮影した猫の写真を広げた。ぐにーんと伸びる猫の写真に目を輝かせて歓声を上げる二人に、ミケがほたほた歩み寄った。
「にゃ? なに見てるにゃ?」
「猫ちゃんの写真よ。……そうだ、ミケちゃんの後輩猫ちゃんを紹介してもらえるかしら」
「いいにゃよ!」
 頷いたミケが、子猫を連れてくる。茶トラの愛らしい子猫は、まんまるな目でエリシャを見上げると頭を擦り寄せる。撫でて撫でてと言っているような仕草に、エリシャはタマの背中に手を伸ばした。
「あらあら。確かに甘えん坊さんみたいね」
「甘えん坊で食いしん坊にゃ。でも自慢の弟分にゃ」
 胸を張るミケの頭を撫でてあげれば、嬉しそうに目を細めて。喉を鳴らしたミケは、ここで働くことが心底嬉しいのだろう。常連のお客さんのことを教えてくれる姿に、姫桜は金額の無いキャットタワーのカタログを差し出した。森をイメージしたデザインで、店のインテリアともマッチする。爪とぎ用の柱も備えてあるし高低差も十分にあり、猫が休める足場もちゃんとあって。
「ミケの復帰記念のお祝いとして、カフェの方々へ据え置き型の猫用おもちゃをプレゼントしたいわ」
「にゃ! これカッコいいにゃ!」
「実際に使用するかどうかはカフェの方針で決めてもらって構わないので、よかったらどうぞ」
「ミケはほしいニャ! でもお店の人に相談してからお返事するにゃ」
「ミケちゃんは他の猫ちゃんやお客さんに気配り出来てて偉いわ」
 褒められて嬉しそうにはにかむ姿に、エリシャはミケと視線を合わせた。
「ミケちゃん、働くことが楽しそうで良かったわ。失敗は誰でもあるけど、ちゃんと誠意をもって謝ればやり直せるのよ。これからも頑張ってね」
「にゃ! ミケは頑張るにゃ!」
 エリシャの激励にぴしっと敬礼で応えるミケに、他の猫達も一斉に鳴き声を上げた。

 後日、老朽化したキャットタワーの代わりに大きなキャットタワーが据え付けられた。新しいキャットタワーは、猫cafeシャトンのシンボルとして末永く愛されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年11月01日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト