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天ノ湯ノ花

#ブルーアルカディア #お祭り2022 #夏休み


●天ノ湯ノ花
 美しいグラデーションを見せる空彩の近さは、ブルーアルカディアならではのもの。
 ぽかぽかとして、時折ひんやりとしたあわい熱の温泉に身を浸せば、こころもからだもねむたくなりそう。
 今日は夏休み――思いっきりはしゃいだって、誰も文句は言わない。

 ふわふわ、ふんわり。

 雲の欠片は湯の花めいて、とぷとぷと満ちた水面に浮かんで泳いでいる。

●天ノ癒ノ時
「こんにちは。夏休み、楽しんでる?」
 リヤン・サクリフィス(戀慕・f34991)は、すこしばかり緊張しつつもふんわりと笑みをこぼしている。
「えっとね、あたし、皆をブルーアルカディアの温泉に誘いに来たの。よかったらどうかなって」

「ちいさな浮島ひとつがね、リゾートホテルになってるところがあって。温泉に入りながら、雲海が一望できるとっても素敵なところなの。猟兵だけの貸切にしてくれるから、ゆっくり楽しめるよ」
 なお、その温泉は温かいお湯は勿論、すこしひんやりとしたぬるめの温水プールも楽しめるらしい。
「普通の水遊びみたいに楽しんで、そのあと温泉を楽しむのもいいよね。プールも温泉もいい匂いがして、傷や病気の効能がすごいんだって。それに、お湯ごとに色も違うの」
 きっと素敵だよね、と、今日も浅い傷だらけのエンジェルはそわそわとした様子を隠しきれていない。
「温水プールと混浴のコーナーは水着を着てね。でも温泉はいくつもあるから、個別に……その、いちゃいちゃできるの!」
 周囲を気にせずひとりでのんびり、あるいは恋人や家族、友人と言葉を交わすのもいいだろう。少しばかり頬を染めつつ、娘は大事なことだからと伝えた。
「それに、この温泉にはもうひとつ特徴があって。ふわふわした、雲の欠片がお湯に浮かんでるの。しばらくすると溶けちゃうけど、触るとふわふわしていい匂いがするんだよ」
 湯の花っていうのに似てるのかな、と、小首を傾げつつもリヤンはわらう。

「折角、あたしの故郷での夏休みだもん。空の色とか、温泉とか、たくさん楽しんでほしいな」
 勿忘草の花々が咲き乱れて、エンジェルは猟兵達を浮遊大陸へと手招いていく。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●成功条件
 雲海を眺めながら温水プールや温泉を楽しむ。

●プレイングボーナス
 水着を着用する。

 水着コンテストに参加していなくとも、着用と書いてくだされば問題ありません。
 また、個別温泉に入る場合は不要です。

 合わせ参加は二名様まで。
 ちいさなハプニングは問題ありませんが、マスタリング次第で却下致します。

 少人数受付のつもりで、おそらく再送のお手間をかけます。
 通常・オーバーロード共に歓迎しております。

 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『空の湯でひと息』

POW   :    ゆっくりお湯に浸かり、身体を温める

SPD   :    打たせ湯で身体をほぐす

WIZ   :    雄大な景色を眺めて楽しむ

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夜刀神・鏡介
故郷でも高地の温泉は「天空の湯」のような名前である事はあったけれど。この世界だと、文字通りに天空にある訳だな
しかし温泉と言えば地下水だマグマだって話だけど、空に浮かぶ島だとその辺りは……いや、考えても仕方ないな
大切なのは此処に温泉があるという事実だけだ(等と考える温泉好き)

水着着用の上で温泉へ
空の上だけあって幾らか涼しいから、熱めのお湯に浸かるのも寧ろ丁度良いかもしれないな

雲海を眺めるというのは絶景だし。露天風呂でも突然雨が降って大変な目に遭う心配がないとかを考えれば、これは中々素晴らしい環境だよな

暫く温泉を楽しんだなら、折角だし他に何処か観光でも……とか考えながらこの場を後にしよう



 故郷でも、高地にある温泉に『天空の湯』といった名前を冠したものがあったな、と夜刀神・鏡介はふと思う。けれどこの空に近い世界、ブルーアルカディアは文字通り天空に温泉があるということ。
 しかし、此処で疑問が起こる。温泉といえば地下水だのマグマだの、そういった地層深くの話であって、此処は空に浮かぶ島。
「……いや、考えても仕方ないな」
 そう、大切なのは此処に温泉があって、ゆっくりとくつろげるということだから。
 シンプルなハーフパンツの水着を着用して、青年はちゃぷりとお湯に浸かる。空の上だけあって、頬にあたる風はひんやりといくらか涼しく感じられる。
 あえて熱めのお湯に浸かった半身がちょうどよく、とろりと薄緑の湯が心地よい。
「おぉ、これは絶景」
 思わず感嘆の声をあげるほど、視界に広がる雲海は素晴らしい眺め。遥か彼方まで続いていそうな、ましろのうっすらと広がる白雲の群れが、ほんのりと青空との境界線を描き出している。
 なんたって、ここは空の上。たとえば露天風呂で寛いでいたのに、突然どしゃ降りに遭ってしまう……なんて心配もない。
「そう考えると、これは中々素晴らしい環境だな」
 なるほど、と感心していれば、ふよふよと水面に浮かぶ綿雲の花。何気なくそれに鏡介のゆびさきが触れると、ふわふわとした感触に興味がわく。わたあめのように溶けていくそれは、新緑の香りを広げていく。
 森林浴をした時のような、そんな清々しさを感じてお湯に浸かっていれば、日頃鍛錬や荒事で傷ついた身体も、こころと共に癒されていくのがわかった。
 日々を修行に費やす鏡介にだって、たまにはこんな日があったっていい。だって今は夏休みなのだから。
「このあとはどうしようかな」
 折角の温泉リゾート、観光にだって事欠かない。ホテルスタッフにどこかおすすめの絶景ポイントを教えてもらうのもいいかもしれない。
 青年はつかの間の極楽を堪能しながら、温泉を楽しんだあとの予定を考え始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皐月・灯
ユア(f00261)と2人きり、水着で個別温泉でゆっくり

すげーな……ほんとに話の通りだ。見渡す限りの大雲海、だな。
他にも入ってるヤツはいるけど、ここからの景色はオレたちが2人占め、ってところか。

……ユア、もっとこっち来いよ。
(肩を抱き寄せて)

お前、綺麗になったよな。
ん? そうじゃねーよ、前から綺麗だと思ってた。
元々世界一の女だったのに、どんどん綺麗になっていくって意味だ。
……全部わかって言ったろ、お前?

ほら、雲の欠片あるぞ。どうだ?
(頬にふわりと当ててやる悪戯。優しく微笑んで)

……お前は綺麗だよ、ユア。それに可愛くて、良い女だ。
オレが成長できてるっていうなら、そいつはお前のおかげだよ。


ユア・アラマート
灯(f00069)と水着着用で入浴

本当に綺麗な景色だ。これを見ながら二人っきりでのんびりできるなんて、贅沢な話だな

…ふふ、言われなくても傍にいるだろう。もっと近くがいいのか?(寄りかかる)

なんだ、急に綺麗だなんて。そんなにこの水着が気に入ったか?
あはは、ごめん。分かっているよ。お前はいつも私のことを褒めてくれるものな。けど、私が綺麗なのは全部お前のおかげだよ
お前の中で一番綺麗なものが、永遠に私であるように努力できるんだから

あっ、まったく…ほら、お返しだ(雲の欠片を鼻に乗せ)
…ほんと、大きくなったな。大きくなったし、とびきりのいい男になった
それが私のおかげだって言うなら、これからもそうでいてくれ



 ちゃぷり、あたたかなお湯が膚を包む。ざぶざぶと温泉に半身を沈めて、少年は一面に広がる景色を見た。
「すげーな……ほんとに話の通りだ」
 見渡す限りの大雲海に軽く驚きの声をあげて、皐月・灯はふたいろの瞳をぱちりと瞬きさせる。他にも温泉を楽しむ人間は居ても、今は愛しいひととふたりきり。
「ここからの景色はオレたちが二人占め、ってところか」
 本当に綺麗な景色だ、と頷いて、ユア・アラマートもくすりと微笑む。
「これを見ながら二人っきりでのんびりできるなんて、贅沢な話だな」
 此度は猟兵達に与えられた夏休み。どんな風にリゾート温泉を楽しんだって、誰もふたりの邪魔をしない。互いを支え合うような片翼を模したお揃いの水着を身に纏って、とろりとしたお湯に身体を浸す。
 すこしばかり距離が遠いように思えて、灯はぽつりと言葉をもらす。
「……ユア、もっとこっち来いよ」
 返事を待つまでもなく肩を抱き寄せれば、ユアが眦を下げて蕩ける声色で尋ねた。
「ふふ、言われなくても傍に居るだろう。もっと近くがいいのか?」
 雲海を見つめたまま女が少年に寄りかかれば、あわい水色の湯が波打って。抱いた肩のぬくもりに、灯はふんわりとこころのぬくまった感触を覚えた。
 最果てなど到底わからない、はるか遠くまで広がる青と橙のグラデーションの空彩に、この浮島をリゾートホテルにしようと考えた人間の気持ちもよくわかる。こんな絶景と共に楽しめる温泉ならば、いつまで居ても飽きないかもしれない。
 ――けれど灯にとって、雲海よりももっと綺麗な存在が隣に寄り添っている。
「お前、綺麗になったよな」
 いつものぶっきらぼうな何気ない口調のまま、ユアのしろがねの髪を指に絡ませる。それをどこかからかうように、緑の瞳がやわく見つめる。
「なんだ、急に。そんなにこの水着が気に入ったか?」
「そうじゃねーよ、前から綺麗だと思ってた。元々世界一の女だったのに、どんどん綺麗になっていくって意味だ」
 年下の最愛が紡ぐまっすぐな愛の言葉は、いつだってかわいくいとおしい。あはは、とわらって謝罪を告げて、女は目を細める。
「分かっているよ、お前はいつも私のことを褒めてくれるものな」
「……全部わかって言ったろ、お前?」
「ふふ。けど、私が綺麗なのは全部お前のおかげだよ」
 だって、灯の中で一番綺麗なものが、永遠にユアであるように努力できるのだから。
 とはいえなんだか、からかわれたような感覚が残るから。灯もすこしばかり悪戯心だってわいてくる。
「ほら、雲の欠片あるぞ」
 お湯に浸かってほんのりとあかいユアの頬に、ふわりとわたあめのような雲があてられる。控えめな花の香りに、妖狐は思わず驚いて。
「あっまったく……ほら、お返しだ」
 えい、と雲の欠片を少年の鼻の頭に乗せれば、かわいらしいちいさな白ひげが一瞬だけ現れた。すぐに溶けていくそれらに、互いに優しい笑みをかわす。
「……ほんと、大きくなったな。大きくなったし、とびきりのいい男になった」
 ずうっと見守り続けていたちいさな彼は、こんなにも素敵になって傍らを離れずに居てくれる。
「それが私のおかげだって言うなら、これからもそうでいてくれ」
 いとしい彼女のお願いに、灯は微笑を浮かべて頷く。
「……お前は綺麗だよ、ユア。それに可愛くて、良い女だ」
 帰るべき場所となってくれた女を慈しむように、頬をゆびさきが撫でる。
「オレが成長できてるっていうなら、そいつはお前のおかげだよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と
この世界を訪れるのは初めてだが。空の世界と言うのも雄大なものだな。
今年は新しく水着も仕立てたしな。これなら水着のマクベスと並んでも問題ないだろう。
ん、プール遊びは終わったか?なら温泉でゆっくりするか。
(混浴コーナーに不満げにする様子に苦笑しつつ)
せっかく水着を仕立てたからなもう少しこの格好を楽しみたくてな。マクベスの水着もよく似合っているし構わんだろう?

(ふわふわと浮かぶ雲のかけらを興味深げに触りつつ)触れる雲というのも不思議だが香りも良いな。
あぁ、可愛い。
(動物の形の雲を作ったマクベスを愛おしげに見て)
私もやってみるか…


マクベス・メインクーン
水着着用
グラナト・ラガルティハ(f16720)
わぁ、めっちゃいい眺めだね
こんなところで温泉入るとか贅沢な感じ
プールで遊んだら温泉でのんびり景色みて楽しもっか♪

温水プールでひとしきり遊んだら、混浴コーナーでゆっくり温泉だね
赤い色のお湯とかもあるかな?
それにしても…俺は個別温泉でも良かったんだけどな~
(グラナトさんに悪戯っぽい笑顔で)

それにしてもこの温泉いい匂いだね
雲の欠片が浮いているとか…雲に触れるとか不思議
(ふにふにと触って)
なんか上手く形変えられたりするかな?
変えられるなら動物の形作って遊びたい

ほらほら、見てグラナトさん
可愛い?(作ったものを見せながら)



 どこまでも続くましろの雲海と、ほんのり夜の近付いている幻想的な空の風景。空の世界は、猟兵達にゆめまぼろしのような絶景を見せていた。
 マクベス・メインクーンは、思わずわぁ、とはしゃいだ声をあげて、愛するひとへと振り返る。
「めっちゃいい眺めだね」
 こんなところで入れる温泉だなんて、なんて贅沢極まりない。グラナト・ラガルティハも、ああ、と頷き目を細める。
「空の世界と言うのも雄大なものだな」
 はじめて訪れた世界だけれど、このうつくしさには神も目を見張る。けれど、楽しい時間はこれから。新しく仕立てた赤い水着は西洋の王族めいて、青い竜をモチーフにした水着姿のマクベスと並ぶにふさわしい。
「よーし、それじゃあ飛び込むよ!」
 グラナトが返事するより先に、少年はどぼんと温水プールの中へ。激しい水飛沫をまともに食らった男も、楽しそうに笑ういとし子を見ればなんだか笑えてしまった。
 浅瀬で火炎模様のビーチボールを跳ねさせて、男の足がつく深さまでざぶざぶ泳いでみたり、ふたり揃ってプールをめいっぱい楽しんでいく。
 飲み物を頼んですこしばかり休憩したら、次はあれ、とマクベスが指差すのは長い長いスライダープール。
「滑り台、か?」
「そう! 流れが速いらしいんだ」
 ねぇね、と袖を引っ張って、一緒に滑ろうと上目遣いにおねだりされれば、グラナトには拒否権はない。かわいい彼のお願いは、なんだって聞いてやりたいものだから。
 ゆるやかな段差を登って、いざスライダーへ。グラナトに抱きかかえられる形で滑り始めたマクベスは、あまりの速さに怖がるどころか、楽しそうな歓声をあげている。
 ざぷん、とゴールのプールに落っこちれば、こどものようににこにことした笑顔を浮かべていた。
「あははは、楽しかったぁ! グラナトさんは?」
「少し驚いたかな。でも、お前となら恐ろしくはなかったさ」
 その言葉に、んふふ、とどこか満足げな少年はプールを満喫したらしい。
「沢山遊んだし、次は温泉だね。混浴だっけ」
「ん、プール遊びは終わったか?」
 男の問いに頷いて、すこしばかり悪戯っぽく笑みをかえす。
「それにしても……俺は個別温泉でも良かったんだけどなぁ」
 どこか不満そうにも聞こえる声に、グラナトは穏やかに微笑んで。
「せっかく水着を仕立てたからな、もう少しこの格好を楽しみたくてな」
 マクベスの水着もよく似合っているし、構わんだろう? あまい重低音でそう褒められれば、少年だって頷かざるを得ない。
 やわらかな朱色のお湯にゆっくり浸かると、ほのかによい香りが立ち込める。ほう、と息をついてリラックスしたふたりの傍には、ふよふよ浮かぶ雲の欠片達。
「雲の欠片が浮いているとか……雲に触れるとか、不思議」
 素直な感想を呟いて、マクベスは泡雲をふにふにと触ってみせる。グラナトも同じように、ふわふわとした欠片を興味深げに触れている。
「触れる雲というのも不思議だが、香りも良いな」
「なんかうまく形変えられたりするかな?」
 そう言って、濡れた掌で融けてしまわぬよう、慎重な手つきで形づくっていく。それはちょこんとかわいい猫のかたちをしていて、出来た、と声が弾む。
「ほらほら、見てグラナトさん。可愛い?」
「あぁ、可愛い」
 猫の雲よりも、くすくすと笑う創造主を見ての言葉だったけれど。私もやってみるか、とふたりの共同作業が始まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【狼兎】

※個室風呂だが記念に今年の水着着用

これが雲の欠片かぁ
ほんとにふわふわで甘い匂いする
ほら、紫崎君も嗅いでみて
味じゃなければ大丈夫でしょ?
んー、近いのは花の匂い、かなぁ

傷の効能すごいって言ってたし
紫崎君の手の傷痕も治ったりするのかな
え、僕そんなに動き回ってるイメージある?
でもどちらかというと援護側だし
強敵と直接拳を交える機会で言えば紫崎君の方が怪我の機会は多いし…

と、ここまで言葉を交わしていたがふと口を閉ざし
それからふは、と微笑を零す

お互い様、だね
心配してくれてありがと
…ね、ちょっとだけそっち行っていい?
景色、一緒に見よ

そっと紫崎君の胸に落ち着いて
雲海を見ながらゆっくりしたいな


紫崎・宗田
【狼兎】

※一応個室風呂で、記念に今年の水着着用

まぁ、匂いだけならな
…つかこれなに系の匂いだ?
花か、なるほどな

あー、痕はどうなんだろうな
お前こそゆっくり浸かっておけよ
病気にも効くらしいぞ
流石に心臓病にどこまで効能あるかわからんが
お前は普段から人助けだの戦争だのと動き回ってばっかだからな
体休めるにはいい機会だろ

お互い様……まぁ、そうだな
俺は怪我とは無縁にはなれねぇからな
(お前と一緒の時は、お前を護りてぇからってのもあるが/ボソッ)

…ん、来い

澪の言葉に両手を広げ
猫のように擦り寄ってきた澪を軽く抱えてから
ぶっきらぼうに、けれど優しく頭を撫でて
澪程に興味があるわけではないが
黙って同じ景色を見つめる



 ちゃぷんと足を薄紅色のお湯に浸せば、高所ゆえの涼風と共に不思議な心地よさ。ぬくぬくとあたたかい温泉に浸かるふたりは個室を選んだけれど、せっかくだからと水着を着用。
 ましろの花婿と花嫁を思わせる紫崎・宗田と栗花落・澪は、水面に浮かぶ綿雲に目を向ける。
「これが雲の欠片かぁ」
 ほんとにふわふわで甘い匂いがする、と澪はすこしだけ鼻を近づける。どこか懐かしいこの香りを、だいすきな彼にも試してもらいたくなって。
「ほら、紫崎君も嗅いでみて」
 甘いものが苦手だとしても、味じゃなければ大丈夫でしょ、と掌にすくった欠片を宗田の顔のあたりへ。
「まぁ、匂いだけならな」
 そう応えて、くん、と香りを吸う。確かにどことなく甘いそれはほんのりとした程度で、顔を顰めるようなものではなかった。
「……つかこれなに系の匂いだ?」
「んー、近いのは花の匂い、かなぁ」
 なるほどな、と頷いて、宗田はぽふりと手近な泡を澪の頭に乗せる。慌てた澪の顔がかわいくて、どこかいたずらっぽく笑った。
 澪はとろりとしたお湯を両手で掬うと、肌触りのよさにため息がこぼれた。ふと、傷への効能がすごいとグリモア猟兵が言っていたことを思い出す。
「紫崎君の手の傷痕も治ったりするのかな」
「あー、痕はどうなんだろうな」
 今更深く遺ってしまったそれが治るとも思えない。けれど宗田は自分のことよりも、澪のほうが気にかかっていて。
「お前こそゆっくり浸かっておけよ、病気にも効くらしいぞ」
「え、僕そんなに動き回ってるイメージある?」
 心臓病にどこまでの効能があるかはわからない。けれど、ひたむきに人を想って常に動く澪の疲労が心配だった。
「お前は普段から人助けだの戦争だのと動き回ってばっかだからな」
 きっと、身体を休めるにはいい機会だと続けた彼に、澪はうぅんと首をひねる。
「強敵と直接拳を交える機会で言えば紫崎君の方が怪我の機会は多いし……」
「俺は怪我とは無縁にはなれねぇからな」
 そこまで会話をかわすうち、少女めいた愛らしさを持つオラトリオはふは、と微笑をこぼす。
「お互い様、だね。心配してくれてありがと」
「……まぁ、そうだな」
 ――お前と一緒の時は、お前を護りてぇからな。
「え?」
「なんでもねぇよ」
 ちいさくちいさくもらした本音は、澪の耳にはわずかに届かなかったらしい。一瞬不思議そうな表情をしてから、澪はまたやわらかく笑む。
「……ね、ちょっとそっち行っていい? 景色、一緒に見よ」
「……ん、来い」
 とてもささやかなわがままに、宗田は両手を広げる。するりと猫のように擦り寄る花嫁を軽く抱えれば、澪は花婿の厚い胸板に身体を預けた。
 ぶっきらぼうで、だけど優しい手つきで頭を撫でてくれる彼の鼓動は一定のリズムで鳴っている。落ち着くその音を耳にしながら、澪はマジックタイムの雲海を見つめていて。
 ちいさくはかない大切なひとをその胸に抱いて、宗田は同じ景色を見つめる。澪ほど興味があるわけではないけれど、ふたりで同じ色彩を見るこのひと時は、かけがえのないものだから。
 寄り添うふたりの夏休みは、まだ始まったばかり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神坂・露
レーちゃん(f14377)
なるべく人が居ない温泉にいくわ。静かな場所がいいわ。
個別じゃないから水着って必要よね。うん。持ってく。
あ。あと空が見えるところがいいわ!雲海とかも!!

「わあぁぁ…♪ 凄いわ、凄いわよ。レーちゃん!」
ふわふわであったかそうな雲がとっても柔らかそう!
それにお布団みたいに重なっててとってもあったかそう!
「レーちゃん見てる? 見てるかしら?」
肩まで温泉に浸かってて返事しないレーちゃんに抱き着くわ。
そのまま頬すりしたら嫌がるかしら?でもするわ♪えへへ♪
見上げたら夜か近い所為かしら?黒が混じった濃い青色で。
白く青く輝くお月様がとっても綺麗…ここって素敵よね♪
「レーちゃん! お月様綺麗よ♪」
『興奮するな』って言われちゃったけど仕方がないわ。
だってだってすっごくすっご~く素敵な場所なんだもの。
「えへへ♪ 後ろから抱きしめられながら、空見たいわ♪」
くっついて頬をすりすりしながらレーちゃんに聞いてみる。
…むぅ。『駄目だ』ってぇ…。
「いいもん。なら前から抱きしめるわ! …ぎゅう!」


シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
「…」
絶景だ。幾ら言葉を重ねても表現しきれないな。
露はいい場所に誘ってくれた…と今回は思っておく。
まあ。本人には言わない。煩くなるだけだ。

私と露が入るところは人が来ないようだ。とてもいい。
夜空に近い空色と落ちきっていない陽と雲海が絶妙だ。
一つだけ悪い点を挙げるなら隣に居る露がうっとおしい。
「ゆっくりと浸かっていろ…いい湯なんだから…」
私の声が小さかったようだ。はしゃぐ露には聞こえていない。
「…やれやれ…」

暫く静かに浸かっているなと思ったが露はやかましく月を指す。
「…ああ。そろそろ満月になるようだな。この世界の月は」
それから月の名称の講釈を始め…まあこのくらいなら…いい…。
急に私に顔を寄せたと思ったら後ろから抱きしめて欲しい?
「君の髪が顔にかかってうっとおしいくなる。しない」
頬を膨らませて抗議してもダメだ。髪が顔に触れるのは不快だ。
「何時ものように隣でくっついていろ」
妥協案を提示したのだがな。何故私の前から抱き着こうとするんだ?
「空や雲海をみなくてもいいのか?」
一応聞く。



「わあぁぁ……♪ 凄いわ、凄いわよ。レーちゃん!」
 混浴温泉のなかでも、なるべく人の少ないところを陣取ることに成功した神坂・露は、フリルの愛らしい青白の水着姿で目を輝かせる。
 それもそのはず、ふわふわであったかそうな雲の群れが、遥か彼方まで広がる絶景を目にしているのだから。さわったらやわらかそうなそれは、おひさまをめいっぱい浴びた布団のように重なっている。
「レーちゃん見てる? 見てるかしら?」
 はしゃいだままで振り返れば、肩までしっかりと温泉に浸かったシビラ・レーヴェンスが居た。黒のシンプルなビキニ水着は、薄黄色のお湯であまり見えない。
「……」
 返事をしない彼女ではあったものの、それは幾ら言葉を重ねても表現しきれなかったから。絶景、その一言以外に、このうつくしい雲海を褒める言葉が思いつかなくて。
 露はいい場所に誘ってくれた……と、実は今回は思っていたりする。うるさくなるだけだからと、本人には言わないのだけれど。
 夜闇がちかくに降りてきている空彩と、まだ沈みきらぬ太陽の赫橙に、そのグラデーションを映しとるましろの雲海。絶妙なバランスで成り立っている風景に、少女はふむと頷いて。
 ――ただし、ひとつだけ悪い点を挙げるなら。
「ゆっくりと浸かっていろ……いい湯なんだから……」
「えへへ、レーちゃんレーちゃん♪」
 いつのまにやらシビラに抱きついてた露は、楽しそうに頬ずりをしている。嫌がるかしら、でもしちゃう。だってだいすきな親友と、ぬくぬく一緒に過ごせる夏休みなのだから。
 はしゃぐ彼女にシビラの声は聞こえていないようで、やれやれ、と相変わらずのうっとおしさにため息をもらす。
 そうして暫くすると、露も静かに天を見つめているようだった。夜が近いからなのか、見上げてみれば闇彩の混じる深く濃い青が広がっていく。
 しろくあおく輝いた、うつくしい月の姿に少女は目を見張る。月の光を浴び続けたヤドリガミゆえか、不思議と惹かれるように指をさして。
「レーちゃん、レーちゃん! ねぇねぇ、お月様が綺麗よ♪」
「興奮するな」
 すこしばかり大人しくなったかと思えば、やっぱり賑やかに騒ぎ出す友人をシビラが軽くたしなめる。
「だってだって、すっごくすっご~く綺麗な場所なんだもの。それにお月様があんなにまるくて!」
「……ああ。そろそろ満月になるようだな、この世界の月は」
 ふと、思い立ったように魔女は言葉を紡ぐ。無数にある世界によって、月の名称はさまざま。季節や日付によっても変わる名称の講釈を始めれば、いつのまにやら露の瞳はシビラに釘づけになっていた。
 ずい、と顔を近づけ再びすりすりと甘えはじめた露に、シビラは豆知識を中断して。
「……なんだ」
「えへへ♪ 後ろから抱きしめられながら、空見たいわ♪」
「君の髪が顔にかかってうっとおしいくなる。しない」
「えぇ~」
 頬を膨らませて抗議する彼女に、ダメだ、とシビラは再び顔をしかめる。どれだけ綺麗な髪だとしても、濡れたものが顔にくっつくのは不快に感じる。だから、
「何時ものように隣でくっついていろ」
「……むぅ」
 妥協案を示してやると、それでも露は納得がいかないらしい。するとすぐに表情を明るくさせて、前からえいっと抱きついた。
「いいもん! これなら大丈夫でしょ!」
「空や雲海をみなくてもいいのか?」
 せっかくの絶景を捨てて、何故かいつものパターンと化している彼女が不思議で仕方がない。そんな様子で一応尋ねてくる親友に、露はにこにこと笑顔でかえす。
「レーちゃんと一緒に居られるなら、どこだって素敵な世界だもの♪」
 素直すぎるほどまっすぐな愛情表現に、シビラはまたちいさくため息をつく。
「……まぁ、君がそれでいいなら構わない。すきにしろ」
「やったぁ♪」
 うれしそうに抱きつく熱はあたたかく、温泉はふたりの身体を更にぬくぬくとあたためる。極楽を堪能したあとは、美味しい夕食を食べようか。雲海と同じくらいふかふかのお布団に入って眠ろうか。
 そんな会話を重ねて、少女達の夜は更ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

護刃・樒
リヤン、当然おれといちゃいちゃしてくださるんでしょう?
彼女がみんなを誘った時点で、それは自分へのお誘いも込みだと当然のように思っている
何なら、個室でいちゃいちゃ出来る、なんて彼女が言った時点で、その時に思い浮かべたのは自分のことだと思っている
それくらいには愛を捧げている自信も、愛してくれているだろう自覚もありますよ
当然でしょう?
彼女はおれの愛しいひとですから、ね

一緒に温泉に入って、ゆっくりしたいですねえ
雲の欠片なんて珍しいものがあるのでしたら、少し触れてみたいと思いませんか、リヤン
へえ、本当に柔らかくて良い匂いですこと
……ふふ。
ねえ、リヤン
おれの可愛いひと
今夜は同じ匂いですねえ、おれたち



「リヤン、当然おれといちゃいちゃしてくださるんでしょう?」
 護刃・樒がそう囁けば、グリモア猟兵は顔をぽっとあかく染める。何故なら彼の予想通り、猟兵達を誘った時点で樒を温泉に誘ったのも同然。なんなら個室でいちゃいちゃ出来ると言った彼女が思い浮かべた顔が、自分のことだと当たり前のように思っていたし。
「……ミツ、あたしといちゃいちゃしてくれる?」
「当然でしょう?」
 おれの愛しいひとですから、ね。そう告げれば、エンジェルの娘は照れ笑いを浮かべる。恥ずかしそうに麦わら帽子で顔を隠そうとするのを、青年は優しく見つめていた。
 すこしずつ夜の降りてくる紺色と、ほのかに残る太陽の残り火。それらの色彩はましろの雲海と共に、やわらかな絵画に似た絶景を繰り広げていた。
「ミツ! とっても綺麗!」
「ええ、本当に。桃源郷でもなかなか見られる光景じゃありませんねえ」
 せっかくだからと、個室でもふたりは水着を着用。合わせたつもりはないけれど、封神武侠のアレンジが施された水着と白いレースのモノキニは、白と青でおそろいになっていた。
「ミツ、あのね、水着姿似合ってるよ。すっごく綺麗。かっこいい!」
 もう何度も聞いた褒め言葉だというのに、リヤンは言い足りないらしい。乳白色のお湯にそっと身体を沈めながら、目を煌かせて樒を褒めちぎる。
「おや、それでもリヤンは敵いません。誰よりいっとう可愛くて綺麗でしたよ。コンテストでも独占したいくらいでしたから」
 ――だから、今はいいでしょう?
 ヒトならば耳のある翼をそっと撫でてやれば、ふにゃりと嬉しそうにはにかむ少女の思考が、自分だけでいっぱいになってほしい気持ちはある。
 けれど告げずとも、彼女はわかっているだろう。それくらいには愛を捧げている自信も、愛してくれているだろう自覚もある。
「良い効能らしいですから、しっかりと浸かりましょうねえ」
 どんな姿であったとしても、樒には彼女が誰よりうつくしいと思う。けれど、浅い切り傷だらけの全身が、少しでも癒えるように。彼女のコンプレックスを、わずかでも減らせるように。
 うん、と頷くリヤンが言葉をかえす。
「これでミツの足も、ちょっとは楽になったらいいな」
 純粋な想いを受け取って、青年はくすりと笑む。雲の欠片をそうっと手にして、ほら、とリヤンに差し出す。
「わ、ふわふわ……いい匂い!」
「へえ、本当に柔らかくて良い匂いですこと」
 綿雲にはしゃぐ彼女の愛らしさに、ふふ、とまたひとつ笑みがこぼれる。
「ねえ、リヤン。おれの可愛いひと」
「うん? なあに」
「今夜は同じ匂いですねえ、おれたち」
 その言葉に、ぽわ、とリヤンの頬があかく染まったけれど、これは樒しか見られない秘密の表情。
 ――きっと今宵も、ふたり一緒なら幸せに眠れるはず。


 うつくしい、果てのない雲海はどこまでも。
 猟兵達のこころとからだを癒す湯の花は、それぞれの思い出に残るだろう。

 引き続き、どうぞリゾートでの素敵な夏休みを楽しんで。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年08月02日


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト