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ねこじゃらしより愛をこめて

#UDCアース


●その猟兵、疲労困憊
「いい子だね。よーしよしよし」
 グリモアスペースの一角にて、とある猟兵の男が懐からおもむろに取り出したのはエノコログサだった。
 俗にいう猫じゃらしと呼ばれる雑草がなぜこんなところに、グリモアベースにあるのだろうか。
 此処は草木の生えるような場所ではない。明らかに男の持ち込み品だ。
 だが特筆すべきはそこではなく、最大の違和感の原因は彼が今まさに座り込んでいる場所にある。
 心底嬉しそうに顔をほころばせて猟兵の男がぺたぺたと触るのは床なのだ。男は虚無を撫でているのである。
 ――なにも居ないグリモアベースの端に、男が猫じゃらしを振っている。
 だが男は周りから寄越される怪訝な視線など意に介さず、フサフサの先端をまるで遊ばせるように器用に小動物の動きを真似て振って見せた。
 ぼそぼそと何事か呟きながら男のもう片方の手は毛づくろいの仕草を繰り返している。
「ニャーン……ネコチャン……ネコチャンカワイイ……ウフフ……」

 周囲で様子をうかがっていた猟兵達はいよいよもって混乱した。

「な、なんだあいつ」
「怖ぇよ、一体あそこには何がいるんだよ……!?」
「いや俺なんか猫見えてきたわ。こう、薄ぼんやりとだけど」
「マジで? 本当は猫いるんじゃないのか?」
「Oh……イマジナリー・キトゥン……?」
 などとにわかに猟兵達がざわつきはじめた最中、猫らしき空気を愛でている男の傍にいつの間にか誰かが立っていた。
 マントを羽織った年若いグリモア猟兵が憐みの目で男を見ている。
 もしその横顔を誰かが見ていたら、明日は我が身だと頬にくっきり書いてあっただろう。

●設問その一、猫は液体である。〇か×で答えよ。
「いや、実際多いんだよ。猟兵だって例外じゃないんだぜ」
 げんなりとした顔で話すのは先程男を見ていたグリモア猟兵。多重人格者のウィザード、奇天烈・モクレン(f00754)その人である。
 曰くUDCアースで度々異形を見すぎたせいか精神的に参ってしまい、動物に癒しを求めて奇行に走る猟兵が後を絶たないそうだ。
「俺達だって予知でバケモノばっかり見てると、定期的に可愛い犬や猫でも見て精神落ち着けないとやってられないよ。あんた達の中にも身に覚えのある奴がいるんじゃないのか」
 何人かの猟兵は目をそらした。ほらな、とモクレンは顎をしゃくってみせる。
 当初の目的を思い出したのかモクレンは手のひらを翳し、予知に使うエネルギー体のグリモアを浮かばせた。
「そうだ仕事を依頼しに来たんだった。UDCアースで邪神教団の拠点が判明した。敵に奇襲を仕掛けることができるから、中心部にいるであろうオブリビオンを倒して拠点を制圧してきてくれ」
 行きたくない。なぜこの話の流れでそれを。猫の話題はどこにいった。
 口々に叫ぶ猟兵達を両耳を塞ぐことでシャットアウトして、モクレンは強引に話を進める。
「仕方ないだろ見ちまったんだから! ……場所は閑静な住宅街だけど、幸いにして既に突入準備が整ってる」
 UDC組織が拠点の近場にいた住民を安全なところに避難させているため、あとは猟兵の到着を待つばかりの状態になっているようだ。
 住宅街の一角にある階段を降りていけば、地下には広々とした邪神教団の拠点が構えられているだろう。
「お膳立ては済んでるから、あとは油断しきった奴ら相手に真っ向から挑むだけだ。敵の正確な数までは分からなかったけど結構な数が見えたから気を付けてくれよ」
 集団戦が見込まれると告げたモクレンは猟兵達に注意を促した。
 教団員が呼び寄せてしまったらしい邪神の使いとされる、呪われた鳥人間型の怪物が何匹か居るようだ。
「あとは中央にデカいのが一匹。おそらくこいつが親玉だろうな。集団戦が終わるまでは動く様子はなさそうだ」
 集団戦が終わるまでの間、気にせず存分に暴れて来いとモクレンは言う。
「それじゃあ頼んだ。くれぐれも怪我には気を付けて」

●設問その二、猫は喉にエンジンを搭載している。〇か×で答えよ。
 頼んだぞと出発の号令にすぐさま支度をし始めてくれた猟兵が大半だったが、精神衛生上あまりよろしくなさそうな見た目の異形と戦うことになり若干乗り気ではない猟兵達も少数居るようだ。
 送り出すだけ送り出して同行はできない手前、申し訳なさが募ったのかモクレンがふとポケットから通信端末を取り出してどこぞへと連絡を取った。
「――うん、うん。手配してくれると助かる。ありがとう、じゃあよろしく」
 通話を追えてモクレンは猟兵達に向き直るとこう言ってのけた。
「仕事が終わったらUDC組織が住宅街の近場にある猫カフェ貸し切りにしてくれるってよ。たまには可愛い猫とたわむれるのもいいと思う」
 戦いの日々にも潤いは必要だろう、とモクレンが問いかければ猟兵達は一も二もなく同意の頷きを返して見せた。


山田
●マスター挨拶
 山田と申します。先日はシナリオ参加ありがとうございました。
 今回は新たに追加されたフラグメントのなかの【日常】を取り入れたシナリオとなります。
 集団戦から始まり、ボス戦を挟んで、最後の一章で戦闘が発生しないUDCアースでの日常を描写するものになります。
 楽しんで頂けたら幸いです。にゃんこ。

●場所に関して
 住宅街の一角にある粗末な小屋です。
 小屋の中にある階段を降りれば広々とした地下の邪神教団の拠点となっています。
 UDCアース世界の猟兵支援者である人類防衛組織「UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)」が既に周囲の一般人の避難誘導を済ませてあります。
 彼らは地下での戦闘には参加できませんが、猟兵が拠点に乗り込んだことにより慌てて逃げ出そうと地上に出てき教団員を確保・拘束してくれます。

●プレイングに関して
 割と戦闘でアドリブセリフが入ったりします。
 また共に行動される方がいる場合は、IDやお互いの呼び方などをご記載下さい。

●グリモア猟兵
 奇天烈・モクレン(f00754)
 多重人格者の明るい性格の青年です。
 戦闘には参加できませんが、お誘いされると猫を触りに来たり来なかったりします。
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第1章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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アウレリア・ウィスタリア
空を舞う怪異ですね。
確かに不気味ですが、この程度なら……まだ……

とと、そうではありませんでした。
これを退治しないとでしたね。
普段なら数には数で対抗しますが、
空を舞う相手なら一体ずつ確実にいきましょう。

鞭剣の切っ先を敵に向け
『今は届かぬ希望の光』を発動
空を舞って避けようとするのなら
こちらも空を舞い、鞭剣で敵の翼を狩りましょう
地下で輝く光剣は眩しいでしょうね
その目が眩んでいる隙も利用します

※旅団に所属していますが
まだ旅団に慣れておらず知り合いはとても少ないです


アール・ダファディル
ふん、あの怪物を相手取ればいいんだな。
確かにな。あの見目、この数。
常人なら良くて悪夢だろうよ。

俺は【ライオンライド】で金獅子を喚ぼう。
勇猛な雄獅子を見れば誰しも奮立つだろう。
さあ、これで万全だ。
存分に敵を散らすとしよう。
精神がやられそうな奴は来るといい。
特別に触れ癒される事を許してやろう。
……ふむ。
これも一種のアニマルセラピーか?

騎乗し、戦場を駆け敵の撹乱にあたろう。
巨獣で金色、戦場で目立たぬ訳がない。
味方が戦い易いよう、注意を惹き、
逃走「フェイント」と確殺「不意打ち」。
使い分け寄る輩は可能な限り屠りゆこう。

「羽毟り喰いちぎれ、leone」
だが、絶対に飲み込むなよ。
見るからに不味そうだからな。


花菱・真紀
猫は流体か?だって?答えはYESだろ!
なんてな。
確かにあの柔らかさは流体か!?って思うくらいだけどな。
俺も猫好きだぜ。動画とか延々と見てられる…。
UDC絡みのやつと接してたらほんと精神的にまいってくるからな…。
うん、俺もイマジナリー・キトゥン飼っちまいそう。
まぁすでに別人格がいるから今更かもだが。

断末魔模倣とか聞きたくねぇな…ただでさえ精神的にまいってるのに。
…その口、開く前に塞いでやるよ。
バトルキャラクターズを使う。
口を壊すくらい勢いで攻撃叩きこんでやるぜ。


蓮花寺・ねも
ふにゃふにゃしていてやわらかくて髭が生えていてにゃーんと鳴くいきものはおおよそかわいい。
……単に要素を挙げ連ねると別のものが出そうなご時世だな。
ねこはかわいいと再定義しておこう。
言うまでもなく、これはこの世の真理だ。
ありがとうモクレン。その心意気に応えようではないか。


【サイキックブラスト】で敵の動きを封じることを主眼に。
皆との連携は心がけて動く。
迅速に片付けたい気持ちはめちゃめちゃに強いが、油断はしないように。

ぼくの手はそう大きくないので、こちらに近づいて貰うよう誘き寄せよう。
何羽かまとめることが出来たなら、他の皆も殴り易いのではないかな。

鳥も嫌いではないのだけれど、その顔は気に食わん。


火奈本・火花
「巧妙に隠れていたようですが、ここまでです。UDC組織員の助力もありますし、負ける謂れはありません」

■行動
鳥人間と言うことですし飛行を行う事も可能かも知れません
飛行を行っている対象を狙って攻撃します。居ないようであれば、最も興奮している個体から終了させましょう
時間をかける意味もありません。拳銃による2回攻撃で確実に倒していきます

■戦闘
ユーベルコードでは機動部隊による狙撃を行って貰います
レーザーサイトは単純に向けるだけでなく、あえて焦点を外して猫じゃらしのように興味をそらした後、狙いを定めましょう
あえて大ボスを狙うような素振りを見せれば、もしかすると自ら射線に飛び込んでくれるかも知れませんね


立風・翔
猫って聞いて惹かれてみたらこれだよ!
とはいえ事件は事件だし、そういう事なら解決しないとなぁ。
あと設問その一もその二も×だ×!
猫カフェ行ってそんな猫が出て来たら引くだろ普通。

んじゃ、気を取り直して。
戦場は地下か……狭くて面倒そうだな。
敵がどこから出て来るかも要警戒だし、そういう時には魔法よりも、取り回し易いブラスターの出番だな。
【クイックドロウ】も使って、出て来る敵を片っ端から撃ち抜いていくぜ。
もし近くに出て来られても【零距離射撃】で何とか対応出来るとは思うんだが、出来れば距離は保って戦いたい所だな。
前衛は仲間の皆に任せて、俺は後衛から援護射撃するぜ。
手早く片付けて親玉にご対面といきたいもんだ。


アーノルド・ステイサム
バケモンねえ。
まあ、気持ち悪い……気持ち悪いか。よくわからんが。
“学習”しないと人間の感性ってやつは難しすぎる。
あとキテレツ大丈夫かあいつ。

しかし猫には興味があるな。
仕事の後の楽しみとしておこう。

さて、今回はブチのめすだけだな。シンプルってのはいい。
他の猟兵と連携しつつ力押しで叩き潰していく。
味方を巻き込まないよう注意。敵は極力巻き込んで潰す。

怪腕が絡みつけば力づくで引きはがす。
アミノ酸が足りてねえな。こんな細い腕でウォーマシンに挑むなよ。

(断末魔を聞いて)
ああ、こういうのが気持ち悪いってやつかね。
趣味が悪いって表現でも合ってるか?
ひとつ学べた気がするぜ、ありがとよ。

そしてさよならだ。


九重・咲幸
猫かーいいですねー猫会いたいなー
えへへ、がんばろ
痛いのは、怖いけど……

うわ、顔、こわ……うわ、怖ぁ……
えっやだこっち見られたくない……

式鬼<四天>にできるだけまとめて焼き払ってもらいます
数が多さをいっぺんにどうこうするのは難しいですが、ジリ貧にはなりたくないです
他の人とも標的をあわせて確実に数を減らしていかないと
いいよー、どんどん燃やしてね、今日は怒らないから

広いから遮蔽もないし見通しがいいっていうのも良いこと半分、囲まれないように気をつけないとですね
退路、ちゃんと見ておきますね

そういえば他に出入り口があるとかはないでしょうか
打ち洩らしとかに逃げられたりしないように気をつけた方が良いのかも


田中・ストロベリー
にゃんこ!
……っと、違う違う。先ずはお仕事だね。
それにしてもこんな普通のお家の地下に拠点があるなんて。これ、絶対固定資産税払ってないよね。

ストロベリーはナイフ主体で戦っていくよ。
数が多いなら、一体一体素早く倒していかないと。先制攻撃、2回攻撃の技能を積極的に活かしつつ、仲間と連携して各個撃破を狙いたいね。
広々とした空間、と言うことは敵が飛び上がることも可能なのかな?空を飛ぶような予備動作を確認したら、早業技能でフック付きワイヤーを引っかけられそうなとこに引っかけて邪魔するよ。

断末魔が聞こえてきたら、この戦いの後の、幸せな時間を想像するの。
にゃんこが! ストロベリーを待っているのよ!



「これは……碌に整備していなかったんだろうな」
「ああ。所々に錆び付きが見られる。随分と突貫工事で作った拠点のようだ」
 先頭を往く蓮花寺・ねも(f01773)、そしてアール・ダファディル(f00052)の靴が鉄板の安っぽい階段を踏みつけるたびにカンカンと乾いた音を立てるのを聞きながら、猟兵一行は地下に向かっていた。
 地上に居るUDC組織、派遣された何人ものエージェントの見送りを受けてから彼らは土の匂いがする地下へと足を踏み入れる。
 簡易照明が等間隔で繋げられた地下は深く、暗闇は目を凝らしてもずっとずっと奥へ続いているようだ。
 カンカン、カンカン、タン、と不規則に先陣を切る二人の足音が途切れたのを後続の何人かが耳にした。
 しんがりを務めるアーノルド・ステイサム(f01961)はグリモアベースで形容しがたい猫のような何かを撫でていた男、そしてUDCアースでの予知並びに異形を立て続けに見たのか若干やつれ気味だったグリモア猟兵を思い出す。
「今回の相手はバケモンねえ。まあ、気持ち悪い……気持ち悪いか。よくわからんが。“学習”しないと人間の感性ってやつは難しすぎる」
 ウォーマシンの男は人間の感性を慮ろうとして、気持ち悪いと感じる感情がどういったものか拾おうとする。
 キテレツ大丈夫かあいつ、と零して遥か後方となった地下への入り口を一度だけ振り返った。

「こうも暗いと気が滅入るな。おまけに階段まで明かりが届いてないから見えにくい」
「足元、二段先ですね」
 裸電球の光源は心もとなく、おまけに狭くて湿気ている地下に思わずぼやいた立風・翔(f07212)に突然振り返り声を掛けたのは彼の前を歩いていたアウレリア・ウィスタリア(f00068)だった。
「二段先がどうしたって?」
「鉄板が脆くなって折れたみたいです。抜けてますよ」
「本当だ。老朽化が激しいな」
 ねもとアールの足音が先程不自然に途切れたのはそういうわけかと納得する。
 よく目を凝らさねば分からない程くらい足元は確かに注視すれば一段分抜けていた。
「気を付けて」
「行きはもちろん帰りもな」
 後続の猟兵達がしっかりと一段分抜けた段差を飛び越えたのを確認してから、ねもとアールは再び前に進み始めた。
 思い出したようにアールが靴先でカン、と軽く金属を蹴り上げる。
 その音にねもがピクリと反応して、同じように幾分か足に力を込めて先に進んだ。
 その音に耳をすませる者がいた。火奈本・火花(f00795)だ。
 するりと藍色の髪を手櫛でかき上げてそのまま手を耳へと添えてから、数人の息遣いと足音だけが響く静かな地下の音を聞いている。
 おおよその距離を測っているらしい。
「音の反響間隔が小さいですね、そろそろ目的地かと」
「そういや、わざとらしく足音鳴らしてくれって頼んでたもんな」
 火花は彼女の後ろの猟兵――花菱・真紀(f06119)に頷き返す。
 出発前の小屋で火花がねもとアールにそう頼んでいたのを真紀は覚えていた。
「地下への潜入か。なかなか珍しいシチュエーションだよな」
「邪神教団の拠点は偶にこうして住宅地にほど近い場所に構えられることがあるようです。信奉者を増やす目的でしょう」
「なるほど、勧誘しやすいってわけか」
 UDCエージェントの彼女はこういった秘密裏に作られた教団拠点の立地を知る機会があったのだろう、静かな口調で説明する。
 確かにここまで深く潜るような地下は珍しいですが、と付け加えて。
「こんな辺鄙な場所に作るなんて邪神教団らしい。やましいことが山ほどあるんだろうな」
「現に邪神召喚にも手を染めているようですね。まあ、インターホンを鳴らして、邪神の寵愛はいかがでしょうって来られたら皆さん警戒するでしょうが」
「俺なら秒でドア閉めるね」
「奇遇ですね、私もそうします」

 地下を歩く途中、田中・ストロベリー(f00373)がふと気になったのか口を開く。
「でも、こんな普通のお家の地下に拠点があるなんて。これ絶対に固定資産税払ってないよね」
「だろうなあ……というかもう他人の土地までカンペキに入ってる気がする」
 ここまでくると土地代云々よりも侵入罪にひっかかりそうだ。
 ストロベリーの尤もな言葉に翔が腕組みをしながら真上を見上げた。
 翔とストロベリーの指摘通り、教団は十中八九どころか九分九厘、住民に許可など取っていようはずがない。
 かなりの距離を歩いてきた彼らの真上はとっくの昔に小屋を通り過ぎて何軒も離れたどこかの家の真下にいるはずだ。
「ストロベリー、自分のお家の下によくわかんない施設があったら怖いなあ……」
「誰だって怖いさ。俺だって嫌だよ」
 実際自分の家の地下に謎の邪神信仰の拠点があるなど住民達は夢にも思っていないだろう。
 予知に引っ掛からなければきっと見つからなかっただろう地下を猟兵は黙々と進んでいく。
 一度ぷつりと会話が途切れ、耳に痛い静寂が苦手だったのか九重・咲幸(f03873)がこの一件が片付いたあとのことを口にした。
「そういえば猫に逢えるんでしたっけ。猫かー、いいですねー猫会いたいなー」
「あ、そうだ! にゃんこ! ストロベリー、この後のにゃんこが楽しみ!」
「えへへ、猫のためにがんばりましょうね」
 咲幸がふにゃりと顔を崩して笑うのにストロベリーも微笑んだ。
 彼女達の可愛らしく仲睦まじい光景はきっとこの後の猫カフェでも見られるだろう。
「そういや俺も猫って聞いて惹かれてみたらいつの間にか邪神教団の話になってたんだった。思い出した」
「猫は癒されるもんな。俺も動画とか延々と見ていられるし。UDC絡みのやつと接してたらほんと精神的にまいってくるからな……」
 グリモアベースで空気、もとい虚無キャットを慈しんでいた男を思い出した翔と真紀は顔を見合わせ、お互いの考えていることがあの可哀想な男だと気付いた。
 気まずそうにどちらともなく視線を外す。
 アールと共に先頭を歩いていたねもが咲幸の言葉から広がった猫の話題に、柔らかな毛並みの子猫を想像して藍色の瞳をぱちぱちと瞬かせた。
「ふにゃふにゃしていてやわらかくて髭が生えていてにゃーんと鳴くいきものはおおよそかわいい」
「猫か」
「ねこだ。ねこはかわいいと再定義しておこう。言うまでもなく、これはこの世の真理だ」
 ねもの可愛いという意見に、アールもまた丸い瞳の猫を思い浮かべて口角を少しだけ上げて微笑んだ。
 アールが、皆が、昔から人を引き付けてやまない愛玩動物を想像する中できなかった人物がいた。アウレリアである。
 幽閉期間が長かったせいだろうか。
 ねもの挙げたいくつかの要素を混ぜ合わせた動物が頭に浮かび、端から霧散していく。
 ふにゃふにゃしたやわらかくて、までは良かったのだが髭が生えて以降からキメラが生成されだしたようだ。
「猫、ですか……猫……」
「猫には興味があるな。仕事の後の楽しみとしておこう」
 アウレリアに同調したのはアーノルドだ。人間が特に可愛がる動物が純粋に気になるのだろう。
「今回機会があるなら行ってみるのも良いでしょう。せっかく貸し切ってくれるのですから。さて、拠点に着いたようです」
「そのようだな」
 火花の言葉に全員が顔を上げる。
 ねもとアールが寸分違わず同時にぴたりと立ち止まったそこには、重く冷たい鉄製の扉が待ち構えていた。

 扉についた小窓からまずアウレリアと火花、続けてねもとアール、その後にアーノルドが中を確認する。
 やはり教団員は猟兵達の侵入には気づいておらず、怪しげな紋様の描かれた陣の上でバサバサと蠢く何かを見ていた。
「召喚したのは空を舞う怪異のようですね。確かに不気味ですが、この程度なら……まだ……」
「ええ。飛行する可能性も視野に入れましょう。数は八匹といったところでしょうか」
「ふん、あの怪物を相手取ればいいんだな」
「なかなか奇妙な体躯と顔をしている。ぼくよりも大きい」
「あれが気持ち悪いって奴か?」
 各々の感想には恐怖の色はない。さすが猟兵といったところか、嫌悪感はさほど示されず倒すべき相手を冷静に観察している。
 小窓からでは奥の様子まで見通せず、グリモア猟兵が親玉として言及した邪神は姿が確認できなかった。
 おそらくアウレリアが空を舞う怪異と称した、『嘲笑う翼怪』のさらに向こうに居るのだろう。
「オカルトや怪談、都市伝説の類に慣れるとどうも感性が鈍ってくるな」
「あの見目、この数。確かに常人なら良くて悪夢だろうよ」
「鳥も嫌いではないのだけれど、あの顔は気に食わん」
 同じように小窓を確認した真紀にアールとねもが頷く。
 教団員は自ら呼び寄せた『嘲笑う翼怪』の見た目に驚いて怯える者もいるようだ。
 最後に小窓を覗き込んだストロベリーと咲幸は教団員ほどではなかったものの、不気味に笑う口を見て顔をしかめた。
「見た目、すごくおっかないなあ……」
「うわ、顔こわ……うわ、怖ぁ……えっやだなあ。こっち見られたくない……」
「二人とも無理すんなよ? あんまりまじまじと観察してたら精神やられちまう」
「だ、だいじょうぶです。猫のためなのでがんばります!」
「うん、ストロベリーも大丈夫! にゃんこのためだもん!」
 気丈に振舞う女性陣に杞憂だったかと気遣った翔は頷いて、女子を動かす原動力となる猫に自分もこの仕事が終わったら癒されたいと深く思った。
「では皆さん手筈通りに。時間をかける意味もありません」
「今回はブチのめすだけだな。シンプルってのはいい。とっとと終わらせよう」
「はい、手早く終わらせましょう」
 火花の言葉にアーノルドがいつでも突入できるよう武器を構える。
 猟兵達もそれぞれ集団戦に効果的な武器を手に取って突入態勢を整えた。
「先ずはお仕事、それからにゃんこだね!」
「はい、そのとおりです!」
「にゃんこが! 咲幸ちゃんとストロベリーを待っているのよ!」
 ぎゅっと勇気づけるように握った手を開いて、彼女達は共に扉を押して教団拠点に飛び込んだ。

「なんだ! 誰だお前達!」
「う、うわ! 銃だ!」
「どきなさい」
「体に穴開けたい奴から出てこいよ」
 拳銃を持つ火花、そしてブラスターを持つ翔がそれぞれ威嚇射撃で放った弾に教団員は目に見えて狼狽えた。
 元々『嘲笑う翼怪』を見たせいか腰が引けていたようだ。
 そのまま今まさに猟兵達が入ってきた鉄扉に向かって大慌てで逃げ出していく。
 ちら、と咲幸が拠点を見渡して出入口が鉄扉のみであることを確認した。
「教団員の打ち洩らしたりとか、逃げられたりはなさそうです!」
「あとは地上で待ち構えているUDC組織が上手く運んでくれるでしょう」
「ではこちらは陽動に動きます! アールさん!」
「ああ、準備は出来ている」
 アールが金色に輝く獅子を呼ぶとその逞しい背に飛び乗った。同時に、声を掛けたアウレリアが輝く光剣を構える。
 剣から放たれたまばゆい光は、金色の獅子の姿をぎらぎらと真昼のように地下に照り返させた。
 目が眩んだらしい『嘲笑う翼怪』は、光源に気を惹かれたのかアールの方を追いかけ始めた。
 駆け出した獅子に何匹かの『嘲笑う翼怪』が誘導されだした。
「作戦通りです!」
「わあ、きらきらしてて綺麗……!」
「まぶしいね! すごいね! 思惑通りどんどん敵が集まっていってるみたい。さ、この隙にストロベリー達もやっちゃおう!」
 ストロベリーが後ろから先手を仕掛ける。
 地面を軽やかに蹴り上げた彼女は体を捻りながらダガーを突き刺し、まずは一匹を地に落とした。
 続けざまに火花のレーザーサイトによって導かれた狙撃、翔のブラスターから放たれた凶弾が『嘲笑う翼怪』の額から寸分のズレもなく命中する。
「二人ともすごい!」
「いや、ストロベリーの初撃あってこそだ。狙撃もタイミングバッチリ」
「お二方ともお見事です」
 ストロベリーが歓声を上げて着地をしたのを後衛組の二人が出迎える。鮮やかなまでの連携だ。
 アウレリアは金色の獅子に乗って駆けるアールのすぐそばにつき、アールと共に『嘲笑う翼怪』の惹きつけ役として動き出した。
 鞭剣で牽制しつつ付かず離れずの距離を保つ。今のところの誘導は上出来だろう。
「お手伝いします」
「助かる。その剣の放つ閃光のおかげか敵をひとまとめに出来そうだ」
「いえ、これは……そちらのご助力もあってのことです」
 まぶしいですね、とアウレリアが言うのに対してアールも相乗効果が出すぎなくらいだと評価した。
 ふらふらと蛾が集光性を持つかのごとく『嘲笑う翼怪』が二人を追って低空飛行を続けている。
 それを後ろからストロベリーがもう二匹落として火花と翔の両名が撃墜し、更に数をへらしていく。
 三匹減って残りは五匹。
「そろそろいいんじゃないか」
 アーノルドがねもを振り返ると、準備は万端だといわんばかりにねもが両手をそっと『嘲笑う翼怪』へ向かって翳した。
「おかげで全匹まとめることが出来た、これなら最大の威力で放てるはずだ」
 ねもが纏まった五匹に対して両掌からありったけのサイキックブラストを浴びせる。
 バチバチと耳元で弾ける大きな音が教団拠点の広い地下に響き渡った。
 高圧電流によって感電したか、動きがビデオテープの一時停止のようにぴたりと止まる。
「今だ。集団を叩くのに適した二人の出番が来た」
「っし、あとは任せとけ!」
「任されました!」
 ねもが手のひらを地面へ向けてだらりと下げた両脇から、躍り出るように真紀と咲幸が飛び出す。
 真紀と咲幸は二人ともバトルキャラクターズや式鬼<四天>といった多数を相手取るのに適した能力を保持している。
 敵をまとめて一網打尽にする目論みは要の二人がいて、そして各々が役割分担をすることで成り立つ作戦だった。
 誘導して多数いる敵を束ね、ある程度の敵数を減らし纏まったところで、敵の動きを一時的に止める。
 猟兵達が各々得意な箇所を担当することで見事に集団戦に適した作戦となったのだ。
「いいよー、どんどん燃やしてね、今日は怒らないから」
「遠慮はいらねえ、囲んで叩け!」
 固まってしまった五匹の『嘲笑う翼怪』を数多のバトルキャラクターズが四方八方から縦横無尽に叩きのめしたと思えば、すぐに飛びのいて瞬寸後に業火が襲う。
 その熱さにたまらず『嘲笑う翼怪』はみな地に落ちて動かなくなった。
 だが、運よく攻撃が他四匹と比べて少なかったのか一匹が致命傷を負ってなお翼を広げて飛び上がる。
 おぞましい口から発せられる、子供の聞くに堪えない悲鳴を耳にした猟兵達の動きが止まってしまった。
「しまっ、」
「アウレリア! 逃げろ!」
「アウレリアちゃん!」
「くっ!」
 翔とストロベリーが叫ぶ。しかしアウレリアの身体は竦んだように動かない。
 誘導のため一番近くに居たアウレリアに狙いを定めた『嘲笑う翼怪』が怪腕を伸ばし――きれなかった。
 その怪腕は、いち早く断末魔模倣から復帰したある猟兵の腕によって掴み止められている。
 かつては戦場を暴れまわった戦闘マシーン、今は場末のバーを経営するアーノルドが庇うように彼女の前に立ち、忌々しげに『嘲笑う翼怪』を睨みつけていた。
「随分と耳障りな悲鳴だ。ああ、こういうのが気持ち悪いってやつかね。趣味が悪いって表現でも合ってるか? ひとつ学べた気がするぜ、ありがとよ」
 アーノルドがそのまま『嘲笑う翼怪』を背負い投げ、力のままに地面へと叩きつける。
 金色の獅子から降り立ったアールが駄目押しのように獅子を嗾けた。
「間一髪だ、危なかったな……死に損ないに報いを。羽毟り喰いちぎれ、leone」
 だが、絶対に飲み込むなよ。見るからに不味そうだからな。
 鋭い牙と爪によってアウレリアを狙った一匹は引き裂かれ、他の四匹にもアーノルドが渾身の一撃を決めて蹴散らす。
 今度こそ集団戦は、怪我の一人も出さなかった猟兵側の勝利に終わった。


 全ての『嘲笑う翼怪』を退けた猟兵達は油断せずに拠点奥を見つめた。
 真夏のコンクリートのようにぐらぐら煮立って蜃気楼じみて揺れる空気に目を凝らす。
 ずる、と空気が固形化してかきまわされるような錯覚をその場にいる猟兵全員が覚えた。
「……おでましか」
「ああ、これはキテレツが嫌がるわけだ」
 ぐじゃぐじゃと水気混じりの音をたてながら現れた、親玉――邪神の存在に。
 猟兵達は慣れていても、本能的に身震いしてしまうほどの寒気を感じた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』

POW   :    焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD   :    灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
👑17
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アール・ダファディル
……見慣れると、だが。
全体的に形容し難いぶん悍ましさは先刻よりもマシな気がするな。
あやつの弱点が分からない以上、
可視化されている欠点から叩くとしよう。
先ずはあの複眼だな。

俺はこんな錆びた場に長居はしたくない。
早々に真の力を解放させて貰おう。
【ライオンライド】にて騎乗し戦闘を行う。
引き続き、
金獅子の煌めきで注意を奪えれば結構。
強化された機動力で【灰霞の剣 】の軌道を避け敵の動向を伺う。

だが、本懐は別だ。
ライオンを己すらも囮にしつつ、糸を操る。
狙いは≪彼女≫…Echoの一撃。
懐に潜り込み、
複眼へ「マヒ攻撃」を叩きこもう。
「ほら、Echo。綺麗な空色の宝石たちだ」
君が欲するまま抉り取っていいんだよ。


火奈本・火花
「こんな怪異を信奉する連中の気が知れん……が、理解はしなくてはいけないな。知る事、暴く事、それが捕獲と収容に繋がる」

■戦闘
ともあれこれも邪神の一端、そう易々とはいかないか
「来い化け物。私が相手をしてやる」

狂気に屈せぬよう、構えた拳銃を一発づつ撃ち込みながら近付くとしよう。だが敢えて外したり、「まるで恐怖しているような」演技と共に付近まで近付く。結果として「捨て身の一撃」となったとしてもだ

外れた拳銃や邪神の様子に、一定の距離まで近付いたら愕然としたふりで膝を折る
そこで狂気に飲まれたと、邪神が慢心を持ったら好機だ。怯えたような表情で引き付けて【慢心に根を張る宿木】を展開する
……演技は女の得意技だよ


花菱・真紀
ボス登場っと…うへぇやっぱり気持ちいいもんじゃないな。
でも、こういう怪異に心ときめく俺もいたりでほんと厄介な性質だよ。
でもリアル猫と心置きなくいちゃいちゃする為にもきちんと倒さないとだ。

焔か灰か剣どれかが触れたものを切断か…それじゃあ切るための対象を増やして混乱させてやろう。
エルクトロレギオンで機械兵器を配置
技能:時間稼ぎでその通り時間稼ぎを。
みんなの役に立てるといいんだけどな。


立風・翔
真の姿……って言っても、自分じゃどう変わってるのか良く分かんねぇなぁ。
確かに力が溢れてくる感じはするけどな。
今なら簡単な属性魔法くらいなら覚えてなくても使えそうだ。
そんじゃ、親玉退治といくか!

しかしこいつは厄介そうな相手だな。
こういう奴には魔法の方が良さそうか。
ブラスターに【属性攻撃】も使って、風だったり水だったりの魔力弾を撃ち込んで、効きそうな属性を探ってみるぜ。
まぁ、魔法使うのにわざわざブラスター構える必要はないんだが、こういうのは雰囲気も大事だろ?
それと一応【ウィザードミサイル】も試しちゃみるが、焔や灰に炎って効くのかね?
後は狙うとしたらあの眼だな。
不気味だがいかにも弱点って感じだぜ。


アウレリア・ウィスタリア
もやもやした霞?でしょうか?
これって斬れるのですか?
試してみましょう。

自分を傷つけソード・グレイプニルの刃を血で染める。
加えてレージングを起動して捕縛を試みます。
レージングを切断されても血のマーキングは出来るので
更に鞭剣で斬撃と呪いの枷を放ちます。

それで、霞は捕らえられるのでしょうか?
ボクはそれが気になります。

気になりますけど真面目にやりますよ。
『貪り喰らうもの』が不発でも火力は削れます。
皆と協力して攻めきります!

あと猫、猫……ですよね
存在は知ってるし見たことも触ったこともあります
でも猫カフェ、やっぱりイメージできません。
これは実際に見てみるしかないですね。

アドリブ歓迎!


九重・咲幸
子供の頃から視える眼を持っていたけれど、本能に来る気持ち悪さっていうのは久しぶりです
これは、わるいもの、ここにいてはいけないものだ……

ここは広いとはいえ、あちこち燃やされて炎に撒かれて動きが鈍るのも困ります、それにほらここ地下ですから……
せめて床とかに燃え移った分だけでも、衝撃波の風圧とかで消せたりしないでしょうか、試してみよう
あとそもそも燃やされたりしないように、七星七縛符で抑え込んで邪魔します
弾かれちゃっても、苦しくなっても抑え込みにかかります
うう、吐きそう、でもがんばります……
だってそうしたら他の人が戦いやすくなるでしょう? 
一人じゃないんだもの、私が出来ないことは誰かにやってもらいます


蓮花寺・ねも
うわっ。
……いや、鳥もどうかとは思ったのだけれど。
見ていて気持ちの良いものではないな。
早々にお帰り願いたい。

あの炎を消すのは難しそうだ。
残り続けるのは厄介だな。
当たらないのが一番だけれど、そうも言っていられまい。

対処療法で悪いが、受けた傷を片っ端から【生まれながらの光】で治す。
直ぐに治せば当たっていないのと同じだろう。
――ぼくの体力にも限りはある。そう長くは保たないだろうけれど。
それだけの時間を稼げれば、きっと充分だろうとも思っている。
易く倒れる気もないので、少しは期待してくれて良い。

あとは任せた。


田中・ストロベリー
こいつが親玉か。なんだかもやもやしてるけど、ナイフは効果あるのかな……?
ま、刺してみれば分かるよね!

近距離戦を挑む仲間と連携して、お互いの隙をフォローしあうような動きを心がけるよ。
目がいっぱいあってやな感じ。ナイフの軌道や足裁き等、動きには細かくフェイントも入れていくね。

相手の剣と炎、触れると厄介そうー。
攻撃はナイフで受け止めたりせず、足を使って回避していこうか。
回避が難しかったら、なるべく聞き手の反対側、左腕で攻撃を受けるね。火が燃え移った場合はさくっとカーディガン脱ぎ捨てちゃう。……お気に入りだけど、だけど!



そこに居る猟兵の誰もがその存在を完全に目視することはできなかった。
 拠点の天井まで届く巨大は視界に収め切ることができず、じっくりと観察しようとしても端から霧散する靄のような不確定の身体を捉えきれない。
 誰かが散会だと叫んだのを最後に、猟兵達は拠点をぐるりと一周取り囲むようにして散った。
 攻略方法は不明だが、多角的方向から同時に攻めることで狙いを付けさせないぐらいしか今ここでとれる選択肢はなさそうだ。
 それぞれが目の前の親玉――『灰霞の剣』と呼ばれるUDCを見据える。
 焦げ臭いにおいがあたりに充満して、拠点は燃えているかの如く温度を上げていた。

●弱点看破
 アールは見上げた先の『灰霞の剣』の不規則に並ぶ青い瞳を観察しながら、可憐な相貌を顔を歪めた。
 先程相手取った『嘲笑う翼怪』が人を模した直接的な嫌悪感を湧きあがらせる容姿だったのに対して、こちらは現世生物のどれとも似つかない異形だ。
 別のベクトルからの物々しい雰囲気があるものの、アールの目にはこちらの方が幾許か厭わしさは薄れて思えた。
「……全体的に形容し難いぶん悍ましさは先刻よりもマシな気がするな」
 言いながらライオンライド、先ほど呼び出したleoneの背に再び跨る。狙いは赤黒い体の中央に浮かぶ青い十の瞳。
 実体として物理攻撃が効くかも定かではない『灰霞の剣』の唯一可視化できている部分を攻撃しようとアールが構える。
「先ずはあの複眼だな」
 煙る視界にぎらりと金色の輝きが煌いた。
 その光を追いかけるように瞳がぎょろりとleone、そしてその背に跨るアールの姿を追いかけて嗜虐的に歪む。
「光り物が好きか、いい宝石を見せてやる」
 巨体から放たれる、燃え盛る剣を次々にひらりと躱し避けながらアールはぎりぎりまで『灰霞の剣』に近づくと、leoneに命じて一気に青い瞳と同じ高さまで飛び上がった。
 天井まであと数メートルもない、浮遊感に包まれる一瞬のうち青い瞳とアールの琥珀色の瞳が交差する。
 そして落下していくままアールは懐から大きなリボンが特徴のテディベアをまるでダンスに誘うかのように恭しく手を取った。
 彼の片割れはアールの手に導かれるまま躍り出て、共に青い瞳と対峙する。
「ほら、Echo。綺麗な空色の宝石達だ」
 君が欲するまま抉り取っていいんだよ。
 アールが甘い声色でそう囁けば≪彼女≫は手を伸ばすようにしてアールの元から離れると『灰霞の剣』へ一直線に向かった。
 ≪彼女≫の手のひらが『灰霞の剣』に触れた瞬間、巨体が震える。
 天井につかんとする頭の天辺から拠点に広がる足元まで、ぶるりと激震が走った。
 掴み取れこそしなかったものの、麻痺の攻撃が瞳を通して『灰霞の剣』巨体へと響き渡っていく。
「思った通り、」
 アールが空から降ってくる≪彼女≫を両手で受け止めて抱きかかえながらゆるりと着地して、瞬きを繰り返す青い瞳を仰ぎ見る。
 瞳だ、とアールが言うのを猟兵達は頷いて、狙いを絞って一斉に動き出した。

●一つ目の瞳を突破口へ
 火花はアールの言葉に即座に『灰霞の剣』へ攻撃を仕掛けた。
「来い化け物。私が相手をしてやる」
 UDCに対抗する特務機関のエージェントである彼女は適当に拳銃を放った。
 瞳が弱点というアールの言葉に、であるならば油断させてやろうと彼女は狙いをつけずにわざとらしく瞳を外して『灰霞の剣』に銃弾を撃ち込む。
 炎とも煙ともいえぬ『灰霞の剣』の体は攻撃をするすると避けながら灰塵の炎を浴びせかけた。
 燃えるような痛みが彼女の肌を撫でていく。
 ちりちりと皮膚表面が焼け焦げていくのを感じながら、火花はがっくりと膝をついた。
 ここまで距離を稼げばもう十分だ。今更外しようもない。
 愕然とした表情を浮かべる火花に『灰霞の剣』は目の前のひ弱な生物を屠るための真っ赤な火の玉を生み出して、焼き切ろうとした。
 その様子を見ていた火花が口を開く。
「慢心も良いところだ、化け物め」
 火花が取り繕っていた表情はすぐさま瓦解した。
 小動物のような怯えた瞳は狂気に屈せぬ意思を宿した力強い目に変わり、青い瞳を真正面から見た。
 青い瞳と対照的な赤い瞳が、ゆらめく周囲の炎を映して彩られていく。
 きらきらと、ゆらゆらと、もしここに彼女の瞳をすぐそばで見ることができる人物が傍らに居たのなら。その美しさに視線を奪われていただろう。
「騙されてくれて僥倖だ。私を倒せると、一瞬でも思ったのか。……演技は女の得意技だよ」
 火花が召喚した、球状の塊になったヤドリギの葉。
 葉はすぐさま青い瞳のうちひとつに着床すると、シュルシュルと音を立てて瞳に絡みついた。
 劈くような、生き物が発せられそうもない悲鳴を上げて『灰霞の剣』が再び揺らめいた。
 青い瞳は啜られるようにしてみるみるうちに萎んでしまい、影も形もなくなっている。
 残りかすのようになった薄っぺらい残骸は炎に焼かれてそのうち見えなくなった。
 これで残りの瞳の数は九。
 撃破への突破口が開けたことで火花は初めて笑顔を見せた。
「こんな怪異を信奉する連中の気が知れん……が、理解はしなくてはいけないな」
 異形をよく知る事、異形の正体を暴く事。
 それが異形への理解を深め、捕獲と収容に繋がるのだから。

●必中の射手
 翔のまわりを魔力が渦巻いて、風に漂うように揺蕩っている。
「そんじゃ、親玉退治といくか!」
 瞳のうち一つが様子の変わった翔を見つけて警戒するように細められた。
 瞳孔の開いた様々な感情入り混じる瞳に見つめられ腹が底冷えするようなおぞましさはあるが、翔はそんな目にも臆することなく気丈にブラスターを向けて構えてみせる。
 連射するようにしてトリガーを引けば魔力弾はいくつも『灰霞の剣』の体を貫通して拠点の壁に穴をあけた。
 風や水、練り上げられる様々な魔力はどれも少しは効いてはいるようだがすぐにつなぎ合わされてしまい決定打とはならない。
 己の能力ではやはり弱点の瞳を狙わなければ有効打に繋がらないと判断した翔は、ブラスターの照準を瞳へとあわせた。
「いかにも弱点って感じだぜ、次は隠すような工夫があると良いかもな」
 針穴に糸を通す機械のような精密さで、青い瞳とブラスターが、点と点でかちりと直線上に繋がる。
 汗をぬぐい取って翔はブラスターのグリップ部分を構えるのとは逆側の手で支えた。
 深淵を覗き込む時、深淵もまた。
 邪神がニーチェの言葉を知っているかどうかは定かではなかったが、『灰霞の剣』がその時感じた翔の目からは自身が持つのと同じだけの殺意を感じとる事ができただろう。
 凛とした瞳に貫かれた邪神の動きが止まる。その一瞬を見逃してやるほど年若い射手に情けも油断もありはしなかった。
 ガン、と重い発砲音が拠点中に響き渡る。
 驚いた猟兵達が視線を向けるのも気にならない程、精神を集中させて放った一発は。
 長い距離もあってか、小さく狙い辛い青い瞳のうち一つを見事に正確に貫いた。
 猟兵達の目が羨望を纏って己を見ているのに気づくと、照れ隠しのようにふっと消炎を息で掻き消して、翔はブラスターに指をかけてくるくると回して見せる。
「効いてるみたいだな、この調子で行こう!」
 撃破数は二――残る瞳の数は八だ。

●邪神を捉えし者達
「もやもやした霞、でしょうか? これは、斬れるのかどうか……一応、試してみましょうか」
 アウレリアは手の甲に軽く刀身を当てて、ソード・グレイプニルの刃を血で染める。
 ぽたぽたと垂れる血も気にせずにアウレリアは切りかかった。
 彼女の持つグレイプニルは彼女自身の血や他者の血液で動く戦闘用処刑道具だ。
 鞭剣状の刀身と対象を捕らえるための枷を持っているその刃は、赤黒い靄がかった『灰霞の剣』を確かに切り裂いた。
 先程まで猟兵がどんな攻撃を受けようとも開いた穴をたちまち縫うように塞ぎきってしまう巨体が、いつまでも再生しない。
 ここにきて初めて、彼女の剣が瞳以外への攻撃で『灰霞の剣』に明確なダメージを与えた。
(効いてる!)
 止まることなく続けざまにアウレリアは鞭剣で斬撃と呪いの枷を放ち、巨体を拘束しようと試みる。
 『灰霞の剣』が体を傷つけられてアウレリアを狙うように何度も炎の剣を放つが、彼女は俊足でそれをかいくぐって猛攻をつづけた。
 雁字搦めになった巨体は、誰しもとらえられると思わなかった『灰霞の剣』の巨体は今や枷に縛り付けられて動けない。
「で、出来た……!」
 枷によって完全に動きが封じられた邪神にアウレリアが叫ぶ。
「皆さん、今です!」
 まだ手の残る猟兵達はアウレリアの言葉に勇気づけられて走り出す。
 猟兵達引っ張られるようにして『灰霞の剣』が動こうとするがアウレリアの手中に収まったその体は自由が利かず、彼女に引き留められるようにしてその場にとどまった。
「逃がしません、絶対に!」
 忌々しげに『灰霞の剣』が炎に包まれた剣を飛ばそうとするも、なぜか剣は出現せずにとろけたような赤黒い靄がぼたぼたと地に落ちるだけだった。
 それもそのはず、『灰霞の剣』はユーベルコードを封じられている。
 驚くように縮まった青い瞳にアウレリアが剣を構えたまま言ってのけた。
「絶対にって……言ったでしょう! 指一本だって触れさせませんから!」
 だが、流石は邪神か。徐々にアウレリアが張った拘束が解かれ始めた。
 じゅうじゅうと音を立てて呪いの枷が焼け落ちていく。
「そんな、せっかくアウレリアさんが作ってくれた隙をここで生かさないと!」
 彼女の隣に立ったのは咲幸だ。
 地下の温度は最早危険域に突入している。
 視界は赤く染まりどんどん動きづらくなっていく中で咲幸は炎を消そうと試みたが延焼分も含め自身が任意に消去可能である『灰霞の剣』は消した傍から燃えてしまう。
「だめですか……それなら手早く終わらせるだけです! これは、わるいもの、ここにいてはいけないものだ……!」
 ばちばちとけたたましく燃える炎に怯むことなく、アウレリアの解かれた呪いの枷から重ねるようにして七星七縛符が拘束を固めた。
 再び動きを封じられんとする『灰霞の剣』がもうもうと煙を上げていく中、咲幸が苦しそうに膝をついた。
「無理しないで下さい……!」
「えへへ、大丈夫です。ここで踏ん張らなくていつ踏ん張るんですか!」
 泣きそうに声を震わせるアウレリアに微笑んで見せると、汗を服袖でぬぐい咲幸は髪をかき上げた。
 寿命を削る覚悟を見せた咲幸の勢いに押されるようにして、アウレリアも更に呪いの枷を巻き付けていく。
 アウレリアと咲幸はぎゅっとお互いの手を握って励ましあうようにしながら目の前の相手を睨みつけた。
 人間を遥かに超える力を持つ邪神は、たった二人の猟兵によって押しとどめられている。
 チャンスだ、と猟兵達は口々に叫んだ。

●攻撃手と癒し手
「ありがとう! 二人の作ってくれたこの隙に……!」
 反撃が来ないわずかな時間を全て攻撃に転じさせるためストロベリーが大胆に『灰霞の剣』へ近づいた。
 動かないままでも燃え盛る炎は次々にナイフで切り捨て、かき分けるようにして瞳に続く道を作る。
 ちりちり音を立てる炎を守ってくれたカーディガンが限界に達するとストロベリーはそれを脱ぎ去って瞳だけを目指して進んだ。
「……お気に入りだけど、だけど!」
 今この時と比べたら些細な事だとストロベリーは叫んで、ようやく辿り着いた瞳に斬撃を食らわせた。
 曝け出された青い瞳へと力の限りつき立てたナイフがぼうっと青く光る。
 鋭い悲鳴を上げながらのたうち回る巨体に肌を焼かれながらもストロベリーは二度三度とナイフを叩きつけた。
 叩き切られた瞳がブシュ、と嫌な音をたてて潰れたのを確認するとストロベリーはすぐさま次の瞳を攻撃する。
 反撃は無い。アウレリアと咲幸が完全に『灰霞の剣』を拘束しているからだ。
 二つ、三つ、四つ、と青い瞳が弾けるとついに『灰霞の剣』は拘束を解きストロベリーに襲い掛かった。
 残り四つとなった青い瞳が一斉にストロベリーに焦点をあわせて殺気を隠さず射貫く。
 ばちりとあった瞳にストロベリーがわずかに怯んだ傍から、燃え盛る剣が彼女を刺そうと浮き上がって――。
「うわわっ!」
「おっと、そうはさせない」
 ねもがストロベリーの手を引いて攻撃を間一髪避けた。無事に着地すると邪神の攻撃の届かぬ場所までストロベリーの手を取って走る。
 その間にアール、火花、翔、真紀は彼女に攻撃が及ばないよう攻撃を続ける。
 火花、翔は雨のように降り注ぐ射撃、真紀は数多の機械兵器による攻撃を行い、アールはライオンライドによる攻撃誘導を行った。
 ねもが走ったのは拠点の地下を支える柱で、柱の傍にはアウレリアと咲幸が座り込んでいる。
「ごめん、二人が頑張ってくれたのに、あと少しだったのに……」
「そんなことないです! もう残すところ四つですよ!」
「ストロベリーさんかっこよかったです!」
 息を切らしている二人にストロベリーが頭を下げればアウレリアと咲幸は首を振って彼女を称えた。
 三人とも誰より『灰霞の剣』に近づいていたせいか服は煤けて黒くなり、肌には火傷痕がいくつも走っていた。
「対処療法で悪いが、無いよりかはマシだろう」
 ねもが聖なる光を発すると火傷痕がたちまち癒えていく。
 身体が軽くなる感覚と共に三人の怪我はすっかり消えていた。
「ありがとう!」
「いや、まだ皆戦っている。あちらも癒さないと。ぼくの体力にも限りはあるが、易く倒れる気もないので少しは期待してくれて良い」
 消耗が激しいだろうにふらつく素振りも見せず、ねもは傷を負った他の猟兵へと歩み寄って癒しを与え続けた。
 貴重な唯一の回復役を請け負ったねもによって猟兵達は完全に体勢を立て直した。
 全快近くまで体力を取り戻した猟兵達に対し、『灰霞の剣』は既に六つの瞳を失っている。
 あと四つだとねもが叫ぶのに猟兵達は頷くと、いよいよ熱くなった拠点で勝利のために駆けだしていく。

●増援来りて
「うへぇ、やっぱり気持ちいいもんじゃないな」
 瞳をいくつも撃破されたことで目に見えて暴れ狂う『灰霞の剣』の奇怪な姿に真紀が言い捨てる。
 拠点の温度上昇からすでに数十分、猟兵達はみな額から汗を流してこの釜茹で状態の拠点からいち早く離脱するために各々有効な攻撃を仕掛けていた。
 真紀もまた巨体を取り囲むうちの一角を担当している。
 瞬きした次の瞬間にはもう形を変えている捉えどころのない炎の巨体に、真紀は嫌悪感とは別の感情を確かに抱いていた。
 好奇心から来る篤学とも呼べるその性質は、彼の心の奥底に眠る知識欲を揺さぶった。
 知らないものを知りたがるのは当たり前であると高らかに主張するように。
「こういう怪異に心ときめく俺もいたりで、ほんと厄介な性質だよ」
 そう嘯く真紀に『灰霞の剣』は舐める様にして炎を周囲に展開する。
 逃げ場など与えるものかと真紀を取り囲む炎に対抗するようにして真紀もまた小型の戦闘用の機械兵器をいくつも呼び出した。
「焼いたら焼いただけ増やすからな。そっちの炎とこっちの底意地、どっちが上だか証明して見せようか」
 意地比べだと言う真紀に業を煮やしたか、『灰霞の剣』は真紀だけに狙いを絞る。
 燃やされる端からすぐさま量産され配置される機械兵器に文字通り『灰霞の剣』は手を焼かされているようだった。
 攻撃は真紀に一点集中し、『灰霞の剣』に決定的な隙をもたらした。
「あんまり俺ばかり見てていいのか?」
 悠長に俺だけに攻撃をしている暇なんてないだろ、と問いかける真紀の後ろで、鉄の扉がわずかに開いた。
 猟兵達の粘り強い攻撃によって稼がれた時間がついに実った。グリモアベースから新たに送り込まれた戦力、猟兵の増援だ。
「時間稼ぎが上手くいったようでなにより」
「待たせた!」
 猟兵達の増援に真紀は振り返ると、一度だけにこりと笑って『灰霞の剣』に向き直る。
「さあ、ここから怒涛のとどめと洒落こもう」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

彩花・涼
瑞花・霙(f00115)と一緒に戦う
少し出遅れてしまったな…しかしだからといって手を抜くわけにはいかないが
それに今日は可愛い少女がお誘いに乗ってくれたことだしな

相手が真の姿を強化してくるならこちらも同じく
【カウンター】を決めさせてもらう
瑞花の攻撃に合わせて【2回攻撃】して相手の攻撃する隙を作らない
瑞花を【鼓舞】しつつ、危なそうなら間に入ることも辞さない
「無理はしなくていい」
誘った手前、怪我させたら申し訳ないからな

ボスを倒すことができたら、いよいよ猫かふぇとやらに潜入だな


クレム・クラウベル
得体の知れないものを見続けるのも確かに、疲弊するものがありそうだな
……予知が見える、というのも何かと大変そうだ
一仕事終わったらキテレツにも猫を摂取させることを提案しよう

こんな場所で火遊びは感心しないな
逃げ場の限られた中、あちこち燃やされるのは居心地いいものではないが
だからこそ焦らずに的確な一射を
肌焼く灰霞にも怯まず10秒、十分な集中の後【千里眼射ち】を放つ
前に出る味方が多いなら戦況に併せて【援護射撃】も行い
大技や接近の隙を作る

輪郭があやふやな輩は面倒だな
効いてるかどうかもどうにも判り難い
とは言え手を止めてやる義理もないなら撃ち抜くのみ
その目立つ目玉全部、潰してやろうか


瑞花・霙
彩花・涼(f01922)と一緒に戦うの!
遅れちゃったけど参戦するのよ!涼が居るから頼もしいの!
足手まといにならないように、がんばるのよ。

命中率が高い【ジャッジメント・クルセイド】を使って出来るだけダメージをかせぐの。
無数にある目っぽいの1つ1つを指差して狙うの。
効くか分からないけど【気絶攻撃】も使って攻撃するの。
涼が合わせてくれてるから、みぞれも隙を作らないようにするの。
かばってもらったら【恩返し】でフォローするの!
みぞれだって、涼にケガして欲しくないのよ。


猫カフェの猫さんとお友達になれるかな?


シャルファ・ルイエ
猫と遊べると聞いて!
目の前にご褒美をぶら下げられると頑張ってしまうのは、人間の性だと思うんです……。

それはそれとして、まずはオブリビオンを倒さないといけませんよね。
ここの世界のオブリビオンはこんな姿をしているんですね……。
猫に癒しを求める気持ちがちょっとわかりました。

敵の攻撃は避けたり防御をしたりしつつ、怪我をした人がいれば猫と遊びたい感じの歌を歌って、『シンフォニック・キュア』で癒して援護します。
今ならきっと共感度は高いはずですし。
無事に敵を倒した後にもまだ怪我をしている人が残っているなら、もう一度『シンフォニック・キュア』を。
怪我をしたままで猫カフェに行く訳にはいきませんものね。


秋稲・霖
【WIZ】

ああいうの見たら正気でいられない…っつーか、癒し求めたくもなるっしょ。分かる分かる。
てわけでちゃっちゃと倒して癒されに行こうぜ!
自分の耳とか尻尾とか、もふもふ…っての?触ったりしても虚しいし、俺も癒されたいし。

…うへえ、灰に焔に剣。どこに当たっても厄介な敵なんてそういないぜ
ってわけで、力が欲しいやつらはよっといで

あんたらの役に立てるのが俺の幸せ…ってわけで、今頑張らなきゃ嘘っしょ
今日は俺の歌、誰が聞いて、心に届いてくれっかな
俺は応援してっから、ほらほら、やっちまえ!



●邪神の最後
 鉄扉の向こうから現れた猟兵達は五人。
 先陣を切って表れたのは人間のアーチャーのクレム・クラウベル(f03413)、そのあとから二人のケットシーの彩花・涼(f01922)、瑞花・霙(f00115)が二人あわせて滑り込んでくる。
 やや遅れて後ろをオラトリオの可愛らしい容姿のシャルファ・ルイエ(f04245)、最後に妖狐の陰陽師である秋稲・霖(f00119)が突入した。
「無事か、地上ではUDCエージェント達が教団員をとっちめてる」
「皆さんの活躍で教団員は全員拘束されました!」
 クレムとシャルファの言葉に猟兵達はひとつ肩の荷が下りたような気がした。
 つまるところ最後の、この邪神さえ消滅できればグリモア猟兵から告げられた拠点制圧の仕事は完全に成し遂げられたと言って差し支えない。
 勝利は目前に迫っている。

「増援か、ありがたい」
「グリモアベースで頼まれたんだ! デカい戦いになるから助力になってくれって。久しぶりだなアール、ストロベリー」
「わあ! 久しぶり!」
 以前の依頼で同行していた霖にアールは振り返ることなくニヒルに笑い、ストロベリーはぴょんと飛んで再会を喜んだ。
 霖が笑いかけると此度の敵を見上げる。
 天井に届かんばかりの邪神は猟兵達の攻撃で随分と疲弊しているようだ。
 シャルファは奇妙に蠢いている邪神に眉を寄せて怪訝そうにした。
 霖もまたアンディファインド・クリーチャと呼ばれるUDCアースのオブリビオンを見上げる。
「で、あれが今回の奴さんね。なるほど、ああいうの見たら正気でいられない……っつーか、癒し求めたくもなるっしょ。分かる分かる」
「ここの世界のオブリビオンはこんな姿をしているんですね……猫に癒しを求める気持ちがちょっとわかりました」
「結構エグいよな」
 だからこのあと猫触りに行くんだろ、と笑いかければ猟兵達はお互いに同意を示すように首を縦に振る。
 この後に待つお楽しみに備えてしっかりと敵を倒さねばならない。
 燃え盛る異形の『灰霞の剣』を真正面から見据えて、すぐに霖とシャルファは歌う準備をした。
「あんたらの役に立てるのが俺の幸せ……ってわけで、今頑張らなきゃ嘘っしょ。俺は応援してっから、ほらほら、やっちまえ!」
「皆さんを癒します、しばしお待ちを!」
 相乗効果で霖とシャルファの歌声を聞いた猟兵達の志気と戦闘力が極限まで高められる。
 じわじわと熱により削られていた気力も持ち直し、重く煙立ち込める教団拠点のなかで猟兵達は倒すべき敵を再認識した。
「今のうち! 畳みかけろ!」
「うん、遅れちゃったけど参戦するのよ!」
「少し出遅れてしまったな……しかしだからといって手を抜くわけにはいかないが」
 霖の言葉に飛び出したのは涼と霙の二人タッグ。
 息を合わせるかのように隙を生じぬ二段構えの攻撃で二人は邪神に切りかかる。
 先に切りかかったのは霙、ビッと指をさして狙いを定めると指先がきらりと一番星のように光った。
 霖の歌声に乗せるようにして指先から閃光が放たれ、ストロベリーによって前もって切り開かれていた道はしっかりと後続の攻撃のためにその役目を果たしていた。
 すぱ、と気持ちの良い音を立てて青い眼玉が真っ二つに割れ落ちる。
 霙の一撃を受けた瞳は即時に場所を移動して、二撃目から逃げようと赤黒い体を移動しようとした。
「駄目だ、逃がさない」
 だがそれに待ったをかけたのは彼女のすぐ後ろについていた涼だ。
 小柄な少年のようにも見える体躯から繰り出される、信じられない程素早い攻撃で他三つから移動が遅れていた目玉を黒剣で袈裟斬りにした。
「やったー! 涼が居るから頼もしいの!」
「今日は可愛い少女がお誘いに乗ってくれたことだしな。少しは良いところを見せないと。……無理はするなよ」
「もちろん! 足手まといにならないように、がんばるのよ」
 霙は涼へ誇らしげに頷くと、再び邪神への攻撃を仕掛けた。
 青い瞳は今やその数を二つに減らしている。
 数が減って追い詰められていることを察したか『灰霞の剣』の青い瞳はぐるぐると場所を変えて定まらぬ位置に移動を繰り返していた。
 猟兵達への攻撃を止めてがむしゃらに暴れだし、拠点の壁はぐずぐずに焼けて崩壊が始まっている。最後の悪足搔きだ。
「こちらから援護する!」
「っのやろ……ココ壊す気かよ!」
 火花や翔、仲間の援護射撃を受けてなお、邪神の動きは止まらない。
 もう一度動きを止めようとしたアウレリアと咲幸の呪いの枷と七星七縛符を跳ねのけて、邪神が暴れ狂っている。
 サイキックブラストを放とうとしたねもも既に余力がないのか手をついて座り込んでしまった。
 アウレリアと咲幸が慌てて、座り込んでしまったねもに肩を貸す。
「ねもさん!?」
「癒しの力の行使が限界まで……!」
「ぼくのことは、いい。それより邪神を」
 猟兵達がねもの言葉に顔を上げると『灰霞の剣』の巨体は拠点の壁にもたれかかるようにして壁を溶かし始めていた。
 じゅうじゅう、じゅわじゅわ、酷く不快な音をたてながら教団拠点全体が軋んでいる。
「くそ、せめて出口は確保しないと!」
 真紀は舌打ちしてここにある唯一の脱出経路でもある鉄扉を機械兵器に支えるよう指示した。
 だがそれもいつまで持つかはわからない。天井にはヒビが走り、支柱は乾いた音をたてながら一本が倒れてしまった。
 霖がたまらず驚いて、歌うのを止めて叫ぶ。
「おいおいおいおいアイツ何やってんだ!?」
「壁をとかしてるんだ! まずいよ、崩落に巻き込まれたらひとたまりもない! ね、歌って霖くん! シャルファちゃん!」
「ああ、歌い続けろ。全員で協力し一刻も早くとどめをさせるか否かにかかっている」
「ストロベリー……アール……分かった」
「クレムさん。準備はよろしいですか?」
 二人に促された霖とシャルファは増援に来てくれた残りの猟兵に声を掛けた。
「いつでも準備は出来ている」
 よし、と頷いて霖とシャルファは再び歌い始めた。
 細かな瓦礫が降り注ぐなかでもその力強い歌声は地上にまで届かんばかりに響き渡る。
 シャルファの髪を飾る霞草が風に揺れている。ゆらゆらと、ゆらゆらと。
 地下に無いはずの空気のゆらぎは邪神の発する熱風か、それとも脱出口から吹き込んできた地上のものか。
「涼とみぞれに任せて! 援護するの!」
「絶対に邪神の弱点に攻撃できるよう、私達が可能な限り奴の動きを止める。頼んだ」
 霙と涼が再び邪神の眼を目指して構える。
 ほぼ同時に走り出した二人を、猟兵達は誰一人として地上へ逃げることはせず、その場にとどまって見つめた。
 この戦いの行く末を見守るために。

「涼、だいじょうぶ?」
「ああ、もちろん行ける。そっちは?」
「みぞれも行けるの!」
 芯を持った彼女の受け答えに涼は一度だけ頷いて黒剣を両手で支えた。
 息も絶え絶えの状態でなお猟兵を道連れにしようとする『灰霞の剣』は、邪魔をするなと言わんばかりにおざなりに攻撃を放つ。
 霙の盾になるようにして、霧とも霞とも見える灰塵の炎を切って捨てた。
「道連れなんてとんでもない、お前だけがここで潰えるんだ」
 視界は完全に開けている。猟兵達と邪神の瞳を阻害する要素はなにもない。
「今なの!」
 霙の言葉にクレムが物陰から飛び出した。
 ぎょろぎょろと動く二対の瞳は複眼でなくなったせいか人間のようにクレムを見ていた。
「得体の知れないものを見続けるのも確かに、疲弊するものがありそうだな」
 冷静に言いながらもクレムは集中してその一点を貫くためだけに精神を落ち着けていた。
 降り注ぐ天井のや壁の欠片、肌焼く灰霞にも怯まずに。
 焦らずに的確な一射を、その思いがクレムに周りの景色が気にならなくなるほどの静寂をもたらした。
 絶えず拠点の破壊音が響くなか、彼の周囲だけが水を打ったように静まり返っている。
「目立つ目玉全部、潰してやろうか」
 そう言うや否やロングボウから一矢が流れ星のように飛んだ。
 軌跡を描きながら美しく飛ぶ矢は瓦礫にも炎にも邪魔されることなく、青い瞳を貫く。
 目玉の数は、あとひとつ。
「あとひとつ……!」
「全員攻撃に転じてくれ!」
 歌がやんだ。猟兵達を支え続けていた霖とシャルファの歌声は役目を果たし終えたのだ。
 アールが≪彼女≫を。火花が拳銃を。翔がブラスターを。真紀が機械兵器を。ねもが聖なる光を。ストロベリーがナイフを。アウレリアがグレイプニルを。咲幸が七星七縛符を。
 霙と涼による援護で全員の攻撃が対射線上に綺麗に通る。
「終わりだ、化け物」
 クレムが言いながらロングボウを下げた時、邪神の最後の命運は尽き果てた。
 同時に物凄い轟音を立てて、拠点の天井が崩れ落ちた。

●戦いの終わり
「真紀が出口を確保してくれなければ危なかったな」
「ホントホント! 最後は拠点の壁、土が剥き出しになってたからな! 天井降ってきてたし!」
「なんつーか、無我夢中で……生きて帰るには出口がないとって咄嗟に思ってさ」
「その咄嗟の判断がなければ今頃全員仲良く生き埋めか」
「うわあ……出られて良かったあ」
 猟兵達が口々に言う。
 あの瞬間、真紀のバトルキャラクターズやアールのライオンライドに運び出されて間一髪、猟兵達は崩落に巻き込まれるのをまぬがれていた。
 泥だらけのまま、土埃と共に脱出口から飛び出した猟兵達は階段を軽やかな足取りで登っている。
 シャルファは猟兵達の残りの怪我をすべて歌声で癒してくれた。
 服に関しては地上で帰還を待っているUDCエージェントが清潔な服を用意してくれているようだ。
「やっとにゃんこだ!」
「にゃんこですよ!」
 ストロベリーと咲幸が手を取り合って喜ぶ。
 女性陣は猫カフェに興味深々で、邪神の戦いのあとでも明るく地上に出た後のことを話し合っていた。
「いよいよ猫かふぇとやらに潜入だな」
「猫カフェの猫さんとお友達になれるかな?」
「きっとなれますよ。あ、そこ」
「え?」
「足元、二段先です」
 霙と涼のやり取りに相槌を打っていたシャルファが霖に声を掛ける。
 行きと全く同じ問答を思い出して、アウレリアと翔があっと感づいた顔をしたが止める間もなく、霖の片足は一段分抜けていた階段に吸い込まれていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『ねこねこねこ』

POW   :    不動。俺はキャットタワーださぁ上っておいで!

SPD   :    猫じゃらしをふりふりと、捕まえられないギリギリを狙う!

WIZ   :    猫の好い場所をくすぐり撫でくりツボをつくならおまかせ!

👑11
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アール・ダファディル
指定された猫カフェへ。
モクレン(f00754)、お前はどうだ。
依頼者功労者のひとり。
質量ある猫が好みならば急ぎ来るといい。

ふむ、此処が猫カフェ。
早速猫じゃらしを借りては、
ソファ側で眠そうな黒猫に振るった。
「Echo、起きて。キミも猫は好きだろう」
膝上の≪彼女≫…Echoの糸引けば。
そのコミカル不可解な動作を猫は怪訝様子で観察している。
ああ、その様子のなんと平和なことか!
暫しの虚構に日々縋る心を癒そう。

「お前の気に入りはそいつか」
邪魔にならぬ側へとしゃがみ込み語る。
「虚無の猫が視えそうな時は呼ぶといい」
俺も皆も、喜んで駆け付けるだろう。
仕事が待っていようとな、と苦笑して。
「これからも宜しく頼む」


アウレリア・ウィスタリア
未知の領域……ねこかふぇ
普段から猫の仮面つけてますけど、
この時ばかりは外しましょう

おっかなびっくり猫にてを伸ばして……
ふわぁぁってなりそう

触ったことがない訳じゃ無いんですけど
なんだろう?
空気が優しい?

こんなところで何ですが、
第六感的なものでねこの気持ち良さそうなところを探り当てて……
なごみますね……
膝にのせて一緒になって
うとうとするのもいいかもしれません

WIZ
アドリブ歓迎



●美女と美猫
「未知の領域……ねこかふぇ……」
 たくさんの猫、と一言に言ってもなかなか想像しがたい光景だ。
 裏路地で時折開かれる猫集会に招かれた客のように、猟兵達はUDCエージェントに導かれるまま猫カフェにやってきた。
 日々に癒しは必要、特にこんな仕事の遂行後には特に愛くるしい容姿の動物を愛でるに限る。
 と、件のグリモア猟兵は言っていた。
 アウレリアは猫こそ見たことは有れど、沢山の猫が集まる猫カフェは初めてだ。
 興味深げに辺りを見れば猫達は勝手気ままにカーペットやキャットタワーに寝そべり、好き放題にまどろんでいる。
 アウレリアは普段つけている黒猫の仮面を外して傍らに置くと、そうっと手を差し出した。
 カーペットでぺたんと平らに寝そべった猫はその細い指先をすんすんと嗅いだ後に顎をくてりと乗せてみせる。
 にゃあにゃあ、と甘えた声を出して、ごろごろと低まった喉を鳴らして。
「ふわぁぁ……」
 ぬるま湯に浸かった時のようななんともいえない声が漏れる。触り心地は抜群だ。
 生きている暖かさを持つ表面は柔らかな毛で覆われていて、遠慮がちにおっかなびっくり差し出した手は他の猟兵の見よう見まねで喉をくすぐった。
「触ったことがない訳じゃ無いんですけど……なんだろう、空気が優しい?」
 みゃあ、とアウレリアが撫でる指先にごろごろと喉を鳴らしてクリーム色の猫がますますすりよってきた。
 余ほど気持ちが良いのだろう、うっとりと目を細めてアウレリアに完全に体をあずけている。
「あ、可愛い。なごみますね……」
 大胆にも膝に乗ってきた猫を思うがままに撫でるアウレリアの表情は花開くように綻んだ。
 先刻見てきたものが見てきたものだっただけに、こうして癒しを得ることは確かに心の安寧につながるのだとアウレリアは何度もうなずく。
 そのうちあくびをする猫につられてかアウレリアも眠気に誘われ、ぽしょぽしょと閉じてしまいそうな目をこする。
 彼女を飾るロベリアの花がふわりと揺れた。
「いけませんね、眠たくなってしまって。猫カフェには初めて来ましたがこんなに楽しいとは……」
 人間の言葉が通じたように、彼女の膝に乗った猫がにゃあと相槌を打つ。
 彼女の織り成す優しい空気に誘われてか、一匹、また一匹とアウレリアの座る周りに猫が集まった。
 暖かく甘い空気。和やかなカフェのひととき。美女と猫。
 なんと画になる光景だろうか。
 カメラかそれに付随する携帯端末でも持っていればよかったと、後に猫カフェの店員はUDCエージェント達に語ったそうな。

●猫歩けども棒に当たらず
「ふむ、此処が猫カフェ」
 アールがご自由にお使いくださいと書かれた棚から適当に遊び道具を手に取る。
 ソファ近くで腹を見せてひっくり返っているのは黒猫だ。
 人慣れしている猫が多いのか、初めて来店した人間にも臆すことなく黒猫はアールに挨拶でもするように尻尾をからませる。
 しばらく横目でアールを見ていた黒猫はぴょこりと起き上がった。
 らんらんと見開かれた目は縦に細まって、アールが持っている猫じゃらしをじっと見据えている。
 獲物を見たときの野生の眼だ。
 アールがぴゅん、と小動物の動きをまねて左右へ振ってやれば面白いくらいに飛びついてじゃれている。
 ガジガジと歯で噛みついて手入れのされた爪でいたぶる姿は好奇心旺盛な子供を彷彿とさせた。
 どうやらこのやんちゃな黒猫はまだ若いらしい。
「Echo、起きて。キミも猫は好きだろう」
 ゆらりと膝上の≪彼女≫がアールの声で起こされる。
 黒猫は動きをぴたりと止めた。
 アールの膝上で≪彼女≫が行儀よくお辞儀をするように頭を下げれば、黒猫は興味の方が警戒に勝ったらしく。
 フスフスと鼻を鳴らして≪彼女≫のにおいをかいだ。
 操るのはアール自身だが、まるで黒猫は≪彼女≫が生きているかのように錯覚して≪彼女≫へと頭を撫でつけている。
 黒猫と人形の奇妙で平和な邂逅は、アールに束の間のくつろぎを与えた。
「なんだそれ、マタタビ付きの課金アイテム?」
「違う、貸出品だ。モクレン、お前も持っているだろう」
「だって俺達の方には全然食いついてこないんだ……」
 どうせだから来いとありがたく電話で呼び出しを受けて、この場にはグリモア猟兵であるモクレンもお邪魔している。
 猫だ猫だと多重人格者のグリモア猟兵は喜んだは良いものの、アールの手元を真似て猫じゃらしを走らせるモクレンの足元には猫一匹たりとも寄って来やしない。
 モクレンは黒猫をあきらめて一番人懐っこいですよと店員におすすめされた白猫に絡みに行く。
 白猫はまるでこちらが人間を遊ばせてやっているのだと言わんばかりの横柄な態度でモクレンのぴぴぴ、とじゃらした猫じゃらしを寝っ転がりながらおざなりに追いかけていた。片手だけでだ。起き上がる気配はない。
 アールが彼女と黒猫を遊ばせてやりながらモクレンの傍に跪いた。
「お前の気に入りはそいつか」
「気に入りといいますか何と言いますか……まあでも見てるだけで癒されるからこれはこれで十分……」
「虚無の猫が視えそうな時は呼ぶといい」
「きょむのねこ」
 グリモアベースでの出来事を思い出したのか復唱しながら苦々しい顔をしたモクレンにアールが笑った。
「俺も皆も、喜んで駆け付けるだろう」
 仕事が待っていようとな、と苦笑してアールは黒猫を一撫でしてやる。
「これからも宜しく頼む」
「こちらこそ。今回は本当にお疲れ様。今回来てくれた皆に言えることだけど、本当に猟兵は頼もしいや」
 猫カフェでの和やかな時間は過ぎていく。
 黒猫と≪彼女≫はいつの間にか寄り添うようにして、思い思いに猫と遊ぶ猟兵達を眺めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花菱・真紀
【WIZ】
猫だ〜。癒されるぅ。
リアル猫最高!
もう猫ちゃんたまらん!あ、はいお体の方お揉みしますね〜。
頭のてっぺんとか首の付け根とか好きだったよな。
うん、ゴロゴロ言ってくれるのありがとう〜。

今回は最後に猫カフェにこられたからよかったけどUDCアースのオブリビオンはやっぱきついわー…他の猟兵さん用に癒し猫動画作っとくかな…


田中・ストロベリー
……ついに……ついにこの時が……!
やったー、にゃんこタイムだー!!

【SPD】
ふふふ、子猫ちゃんにこのストロベリーの動きが見切れるかな!
見切れ……見切……あああ、かわいいよ~!
連れて帰っちゃ、連れて帰っちゃだめなのかなあ……! 一匹、一匹なら……!
……こほん、一通り猫たちと遊んだら(遊んでもらったら)適当なところに腰掛けてドリンクを貰うね。

皆がそれぞれ楽しんでるのをにこにこしながら眺めつつ、今日のミッションが上手くいったことにほっと胸をなで下ろして。
これからも誰ひとり欠けることなく……この平穏がずっとずっと続きますように。
この世界にはろくでもない神様しかいないから、この瞬間(とき)に祈るよ。


火奈本・火花
「よろしい、我々エージェントが日常においても全力である事をみせましょう……みせますね」

■行動
猫じゃらしで猫さん達の興味を引きましょう
出来れば機動部隊の皆さんも呼んで、皆で猫じゃらしを操ります
屈強な男性の皆さんと一緒にねこじゃらしを振っている姿は一種狂気的かも知れませんが……楽しいから良いですよね
あ、猫さんが怯えるようなら機動部隊さんには帰って貰います。残念ですが……

ねこじゃらしを振る時はなるべく視線を合わせた低姿勢で、左右に大きく振って翻弄して見せます
ふふふ、必死な様子がまた可愛いんですよね
ある程度遊んだら、逆に捕まえさせてあげるのも良いかも知れません。遊んでくれたご褒美です

「……可愛い」


立風・翔
いやー、やっぱり猫は良いなぁ。
自由気ままで可愛くてもふもふで。
そんな猫と思う存分触れ合えるとか最高だな。
おっかない思いをして頑張った甲斐があるってもんだ。

もちろん全力で撫で撫でもふもふするぜ!
ほらほらー、ここかー、ここがいいのかー(こしょこしょ)
モクレンも癒されてるかー?
猫はたくさん居るし、誘われなくたって遠慮なく撫でもふしに来て良いんだぜ。
ほら、こいつとか特に人懐っこくて勝手にぐいぐい来るし。
よーしよし、可愛いなー(なでなで)

こんなご褒美があるなら、次の依頼も頑張れそうだ。
モクレンもまたよろしくな。


アーノルド・ステイサム
【POW】

ネコ。
UDCアースでは広く一般的な愛玩動物。

俺の世界でも存在はする…
するのか?
知っているが見たことはない。
AIの成長にはデータが必要だ。

くつろいでるヤツ、寝ているヤツ、駆け回っているヤツ…
人には慣れてるな。そういう風に飼育されたのか?
イヌと違って人にはあまり従わないんだったよな
じゃあひとまずは観察だ(あぐらをかいて座る)

お、寄ってきた
……
去った。

また寄ってきた
……
去った。

なあキテレツ、こいつらは俺に何を求めているんだ
構えばいいのか?
指や道具を動かして注意を引いてるやつらも居るみたいだが…

また寄ってきた
……
肩まで登ってきたな
頭にも登ろうとしてるな
……
なあキテレツ、どうすればいいんだこれ


瑞花・霙
彩花・涼(f01922)と一緒に猫カフェを楽しむのよ!
みぞれと似てるけど、猫さんは言葉をしゃべれないのね。

わぁ!かわいい猫さん達がいるの!
涼、猫さん達はこわがりさんだから追いかけたり、
目線を合わせちゃダメなの。
自然と近づいてくれるまで待つの。
猫カフェの猫さん達だからすぐになれてくれると思うの!

なれたらおもちゃで遊ぶの!
猫さんは動くものを追うのよ。
【SPD】で猫じゃらしをふるの!
ほーらほらほらほらっ。
涼もやってみるの!
上手上手!猫さんも楽しんでるの!

ふふ、かわいいの。
たたかうのは大変だったけど、
こうしてかわいい猫さんと遊べて良かったの!
もちろん、涼ともね。


彩花・涼
瑞花・霙(f00115)と参加
猫かふぇ、とやらには初めて行くので楽しみだ

猫かふぇとは猫のいるカフェのことなのか…たくさんいるな
なるほど、こちらから仕掛けずまずは相手の出方を待つのだな
なら動かず猫が近づいてくるのを待とう【POW】
しかし膝や肩に乗られたらどうしたらいいんだ…動けない…

瑞花がおもちゃで遊んでいるのを見ていて、勧められたら一緒にやってみる
猫が捕まえないギリギリのタイミングでやるのがポイントか…コツは掴んだぞ

楽しい一時だった、瑞花は付き合ってくれてありがとう
またどこか遊びに行けるといいな


シャルファ・ルイエ
お疲れさまでした。皆無事でお仕事が終わって何よりです。
という訳で猫カフェです。ねこです。
ねこはかわいいからえらいって本当ですね……。柔らかくてもふもふです。

とりあえず隅の方に落ち着いて、抜けた自分の羽根で寄ってきた子をじゃらしてみようと思います。
猫は羽根とか好きですから、持って行かれてしまったらそのまま差し上げますね。
猫が遊び疲れた様子なら『動物と話す』でご機嫌を伺いつつ、良い場所を色々撫でたり肉球をふにふにさせてもらったりしたいです。でも嫌われたくはありませんから、嫌がってそうなら諦めます。
あ、あと背中の羽根にじゃれるのは構わないんですけど、痛いのでかじるのはやめてください……!


蓮花寺・ねも
これが……ねこかふぇ……。
思ったよりだいぶんねこがいる。

さわって良いの? いいのか。そうか。
逃げないの? 逃げないのか。そうか。
プロだな……。
否、ねこはかわいいし撫でられる個体もいたしぼくだってそうそう引っかかれはせんのだが、
それはそれとして、ひとは目の前に広大な自由が広がっていると一歩を踏み出すのが難しいのだからして、
……、うん。はい。
御免いまいち作法に自信がない。
モクレンを呼んでもいいだろうか。お手本、お手本を見せてほしい。
皆の様子も見たい。学ぶ。

場になれてきたら、そうっとねこをさわりにいく。
出した手に懐いてくれたら、ほっと一息。
……かわいい。
触れたぬくもりを大切にしよう。きっと手に残る。


クレム・クラウベル
【WIZ】
猫。猫は好きだ
機嫌を読み違えなければ素直だし
もふもふで温かい
……おい、そう意外そうな顔をするな
逆に気恥ずかしいだろう

まず愛でるのは飼い猫と似たもっふり長毛種
警戒されないよう横から手を回し
首の回りをわしゃわしゃ
様子を見ながら顎の下や耳の後ろ
良さそうなところを撫でて毛並みを楽しむ

折角の機会なのでモクレンも慰労に誘う
ほら、と押し付けるのはマンチカン
猫慣れしてるか知らないが
その種はおとなしいから不慣れでも触りやすいだろう
存分にもふって補給すると良い
仕事の為の健康も重要なこと
架空の猫を可愛がらないように、実在する猫を心ゆくまで愛でておくんだ
…しかしこの世界は、良いな
斯様な猫の溜まり場があるとは


秋稲・霖
【POW】

いってて…いやあ、あんな派手に転ぶなんて聞いてねえよ!
けど、誰かが笑ってくれんならそれでおっけー…あ、できたら心配もしてくれよ?割と痛い!物理的に!

…よっし、気ぃ取り直して猫もふりにいこーぜ!
ちっちゃい子猫とかいいよなあ
猫って気紛れな感じすっけど、ちっちゃい子なら懐いてくれそーだし
モクレンはどんな猫触ってんのかな、来てんなら気になるかも

よっし昇ってこい!あっ出来たら足には止まらないでまだ傷が!痛むから!!

※アドリブ、他参加者様との絡み歓迎です



●猫の整体師
「猫だ~。癒されるぅ。リアル猫最高!」
 ぐるるるる、と猫が喉を鳴らして甘えている。
 真紀が頭のてっぺんから爪の先まで揉んでやれば、成すがままに茶虎模様の猫がこねられていた。
 パンでもこねるかの如く、猫の柔らかい腹へ指をくすぐらせてやれば次はこちらだと茶虎猫はひっくり返って体の片側を晒している。
 通常、猫は安心しきった相手でなければ腹を触らせることはめったにないらしいが真紀の手が気に入ったのか茶虎猫はむしろ催促しているようだ。
「はいはいお客さん、次はこっちね」
 首の付け根に指をくぐらせて、猫が満足げにみゃあと鳴いた。
 お客さん凝ってますね、なんて整体師めいて冗談を嘯けばぐーっと猫が気持ちよさそうに伸びをする。
「猫は流体かあ……この柔らかさは流体かって思っちまうのも無理ないよな」
 見た目よりもずっと伸び縮みする猫の背骨はしなやかだ。
 カーペットに引き伸ばされてすっかり平たくなってしまったパン生地ならぬ猫生地に今日の疲れもすっかり吹き飛んでいた真紀の背に、暖かい何かが寄り添った。
「ん?」
 真紀の背に寄り掛かってきたのは別の三毛猫だった。
 どうやら羨ましくなってしまったのか三毛猫はにゃあにゃあ鳴きながら真紀の手のひらに頭を押し付けてくる。
「順番な、順番」
 そう言って真紀が撫でようと後ろを振り返ると、何時の間にやら順番待ちの大混雑。
 四匹の猫が今か今かと交代の時を待っている。
「はは、慕ってもらえるのは存外悪くないけどな」
 茶虎猫が止まってしまった真紀の手を取り戻そう尻尾でさりげなく引っ張っている。
 はいお体の方お揉みしますね、と真紀がまた猫を触った。
「もう猫ちゃんたまらん! にしても今回は最後に猫カフェにこられたからよかったけど」
 UDCアースのオブリビオンはやっぱきつい、と真紀が零す。
 今回の異形もなかなかの見ごたえある容姿だった。
「他の猟兵さん用に癒し猫動画作っとくかな……」
 猫に囲まれたこのしあわせいっぱいの風景を、他の者にも共有できたら。
 そんな風に思って撮られた彼の動画が、ひそかに猟兵達の間で癒し映像として大流行するのは、また別のお話。

●彼女が勝ち得たかけがえのないもの
「……ついに……ついにこの時が……! やったー、にゃんこタイムだー!!」
 ストロベリーの元気な声に集まってきたのは比較的若い小さな子猫たち。
 飛んだり跳ねたりやんちゃ盛りの彼らはストロベリーの手をおぼつかない足取りで追いかけている。
 爪も仕舞えないピンク色の小さな手で、ストロベリーをてしてしと叩いていた。
 持ち上げてしまえば片手に収まってしまいそうな小ささだ。
「ふふふ、子猫ちゃんにこのストロベリーの動きが見切れるかな!」
 ストロベリーが人差し指と中指でネズミを模して、ぱたぱたとカーペットを走らせれば走ってくる姿が何とも愛おしい。
 ふわっと手を上にあげて猫の視線から隠してしまえば、見当違いの場所へとびついて、そのうちくるくると自分の尻尾を追いかけだした。
「見切れ……見切……あああ、かわいいよ~!」
 子猫たちの目の前へまた手を降ろしてやれば、獲物を見つけた猫たちは我先にと飛びついてくる。
 ぴょんぴょん、ころり。
 着地もまだまだ大人に比べて未熟な彼らはそのまま一回転して楽しそうに鳴いた。
「連れて帰っちゃ、連れて帰っちゃだめなのかなあ……! 一匹、一匹なら……! ふふ、なんてね!」
 でも本当に持ち帰っちゃいたいくらい可愛い、とストロベリーが子猫に囲まれながらふわふわと笑う。
 薄桃色の髪と同じくらい頬を染めて笑う彼女に猫はとてもよく似合った。
 子猫がそのうちストロベリーそっちのけで大運動会を始めたところで、彼女は近場のソファに腰かけてドリンクを飲んだ。
 猟兵達が猫と触れ合う傍ら、この平和な風景も先程のバケモノたちを退けなければ手に入れられなかったかもしれないと思い返す。
 自分達が今日の功労によって勝ち得たものの大切さに。
 ほっと胸を撫で下ろして、失いたくは無いと強く決意した。
「今日のミッション、上手くいってよかったな」
 これからも誰ひとり欠けることなく……この平穏がずっとずっと続きますように。
 そう願わずにはいられない。
「この世界にはろくでもない神様しかいないから、この瞬間(とき)に祈るよ」
 誰に聞かれるでもない彼女の独白を聞いていたのは、足元に寄り添っている小さな猫達だけだった。
 また集まってきて、遊ぼう遊ぼうと足元で騒ぎ立てる子猫達にストロベリーが手を翳せば面白いくらいに食いついてくる。
「えへへ、じゃあもうちょっとだけ。一緒に遊ぼう!」

●そのエージェント、全力なり
「よろしい、我々エージェントが日常においても全力である事をみせましょう……みせますね」
 火花が持ちだしたのはアールと同じく貸出用の猫じゃらしだ。
 火花と所属を共にする機動部隊の面々もまた猫カフェの隅で猫と遊んでいる。
 屈強な男たちが猫と戯れているのを見るのはなかなかに壮観な光景ではあったが、皆楽しそうなので猫カフェの風景としては可笑しくないのかもしれない。
「なかなか度胸のある猫ですね」
「ふふふ、当店は男性のお客様も多いんですよ。まあこれだけ大人数は初めてかもしれませんが……ウチの子結構人慣れしてるので大丈夫そうですね」
 そうあっけらかんと店員が言うのに火花も頷いて、猫の視線までかがんで見せる。
 猫は本来は警戒心の強い生き物だ。
 頭の上から覆いかぶさったりすると、猫は威圧感から逃げ出してしまうことがあるが、しゃがんだまま近づくとその威圧感も薄れるのだ。
 猫は目を合わせない方が安心する動物。
 火花は猫に懐かれるためのステップを段階を踏んでゆるゆると近づき、猫じゃらしをそっと振って見せた。
 ぴく、と猫が反応する。
 どうやら猫の興味を上手く引けたようだ。
 そのまま左右に大きく振って翻弄してやれば、猫は瞬く間に火花のあやつる猫じゃらしに夢中になった。
 あっちへどたばた、こっちへどたばた。
 尻尾を真上にあげて身体全体で楽しい事をアピールしている。
「ふふふ、必死な様子がまた可愛いんですよね」
 最初の警戒心はどこへやら、すっかり懐いて両手両足に力を込めて火花のまわりをとたとた楽しそうに回っていた。
「はい、どうぞ。遊んでくれたご褒美です」
 適当なところで手を緩めてやれば猫は嬉しそうにみゃあと鳴いて猫じゃらしをようやく捕まえた。
 彼女に得意げにつかまえた猫じゃらしを見せ、褒めて褒めてと寄ってきている。
「……可愛い」
 火花が笑ったのを見て機動部隊の面々はやや驚いたように目を丸くした。
 普段は礼節を弁えた仕事熱心なエージェント、だがそんな彼女にも年相応に猫を愛でる一面があるのだと。
 
●二人と次の約束
「わぁ! かわいい猫さん達がいるの!」
「そうだな……猫かふぇとは猫のいるカフェのことなのか。たくさんいるな」
 あっちも猫、こっちも猫、そこらじゅうが猫だらけ。
 見渡す限りの猫、猫、猫。
 霙がそんな様子に歓声を上げれば涼も楽しむ彼女の姿に頷いてみせた。
「これが猫かふぇ、とやらか。確かに猫が沢山いる」
「えへへ、みぞれと似てるけど、猫さんは言葉をしゃべれないのね」
 ケットシーの霙とよく似た愛くるしい姿に、けれど喋る彼女よりも野性的な猫の姿に涼が興味深げに辺りを見回している。
「涼、猫さん達はこわがりさんだから追いかけたり、目線を合わせちゃダメなの」
「そうなのか?」
「そうなの! 自然と近づいてくれるまで待つの」
「なるほど、こちらから仕掛けずまずは相手の出方を待つのだな」
 うんうんと涼が納得している様子に霙がきらきらと笑う。
「猫カフェの猫さん達だからすぐになれてくれると思うの!」
 こっちこっち、と霙が涼を促して二人一緒にソファに腰かける。
 霙の言葉通り、猫はゆったりと腰かける二人にすぐに興味を持ってゆるゆると近づいてきた。
 近づいてきた猫は丁度いい段差があるじゃないかと涼の太ももや肩にやわらかな肉球をおいてするすると登り始めてしまった。
「本当だ、瑞花の言う通りだな。しかし膝や肩に乗られたらどうしたらいいんだ……動けない……」
「ふふ、涼ったら、猫さん達の憩いの場になってるの……」
 おかしくてたまらないのか霙がこぼれんばかりの笑顔で吹き出す。
 そんな涼に助け舟を出そうとそろりと霙が猫じゃらしを出せば、三角形の猫の耳がピンと立って、視線が釘付けになった。
 わあ、それで遊んでくれるの、ときらきら光る目を向けて彼女に期待の視線を寄越す。
「猫さんは動くものを追うのよ。こうやって猫じゃらしをふってみるの!」
 ぴぴぴ、っと霙が指先でちょろちょろと動かせば猫は片手をあげてジャンプした。
 すんでのところで届かずに猫の手を離れた猫じゃらしは宙に舞う。
 もう一度、もう一度。
 猫がジャンプするたびに届くか否かのところで持ち上げて猫の興味を煽った。
 適当なところで手を放してやれば猫は両手で猫じゃらしをつかんで嬉しそうに跳ねている。
「ほーらほらほらほらっ」
「上手いな」
「涼もやってみるの!」
 手渡されたもう一つの猫じゃらしを涼は見様見真似で操って見せる。
 最初の内は猫の手のひらに収まることが多かったそれは、回数を重ねるうちにだんだんと涼の思うがままに動き出した。
 曲芸のように猫はぴょこぴょこ跳んでいる。
「猫が捕まえないギリギリのタイミングでやるのがポイントか……コツは掴んだぞ」
「上手上手! 猫さんも楽しんでるの!」
 霙の指さす先にはいつの間にか二匹、三匹と集まって猫じゃらしを追いかける猫達の姿があった。
「ふふ、かわいいの。たたかうのは大変だったけど、こうしてかわいい猫さんと遊べて良かったの! もちろん、涼ともね」
 そう言う霙に涼も笑顔を以て答える。
「楽しい一時だった、瑞花は付き合ってくれてありがとう。またどこか遊びに行けるといいな」
 また是非にと笑う二人の下で、ついに猫じゃらしを捕まえた猫達が我先にと先端へ群がった。

●猫は羽根を好いている
「ねこはかわいいからえらいって本当ですね……。柔らかくてもふもふです」
 ぽふぽふと擬音がつきそうな柔らかい手つきでシャルファが猫の背を撫でている。
 可愛いは偉い。
 可愛いは正義なのだ。
 などと、どこかの偉人が言っていた。ような気がする。
 可愛いが偉いかどうかという命題はさておき、アニマルセラピーという観点では確かにこの猫カフェの猫達は戦い疲れた猟兵達を癒すのに一役買っていた。
 オラトリオである彼女の背から抜けたやわらかな羽根のひとつを指先で拾い上げて、ふわふわと揺らせば猫達のうち何匹かが食いついた。
 ててて、と小さな丸めた手で羽根をぱしぱしと叩き、ちょっとだけ爪を出して彼女から受け取る。
「さしあげますね」
 くすくすとシャルファが笑った。
 小さな羽根を貰った猫は、そのまま指先にからめとった羽根を口へ運ぶと、悠々と歩き寝床へと持っていく。
 大変お気に召したらしい。
 てっきりそのまま戻ってこないのかと思いきや、存外に猫はシャルファの傍に居心地良さを感じたらしくぽてぽてと歩いて戻ってくると、そのまま膝の上に陣取った。
「ああ、その子が慣れてるの珍しいですね」
 店員が真っ白な長い毛の猫とシャルファに微笑みかける。
「そうなのですか?」
「ええ、このお店の一番の古株、最年長さんですよ。いつもゆったりお客さんを見てるのが好きで、あまり膝には乗ってこないのですが……」
 よっぽどお客さんのこと気に入ったんでしょうね、と店員が笑った。
 ビーストマスターの力を使ってこっそりシャルファが白猫に聞いた。
「猫カフェ暮らし、いかがですか?」
 みゃあみゃあ、と答えるように口を動かして白猫が答える。
 それは周囲には聞こえない、彼女と膝に乗る猫だけの内緒話。
 そうですか、それはそれはなによりです。
 あら、ではあとでこっそりと店員さんにお伝えしましょうか。
 楽しそうに弾む会話はいつまでも、いつまでも。
 彼女と猫は仲睦まじそうにひそひそ話を続けている。
 おしゃべり好きな猫は久方ぶりの会話を楽しんだ。
「わ、わあ!」
 会話に夢中になっているシャルファの後ろ、何時の間にか背中の羽根に興味を示した若い猫達がぴょんぴょん飛びついて羽根に悪戯を仕掛けている。
 かぷかぷと面白半分に噛みつく猫に困ったようにシャルファが眉根を下げた。
「背中の羽根にじゃれるのは構わないんですけど、痛いのでかじるのはやめてください……!」
 膝の上で最年長の猫がおやめよ若い衆、と止めるまでその悪戯はしばらく続くことになる。

●プロフェッショナルサービス
「これが……ねこかふぇ……思ったよりだいぶんねこがいる」
 猟兵達がすっかり猫と打ち解けた頃、隅っこに固まってすやすやと気持ちよさそうに何匹化の猫が固まって山を築いているカフェの片隅。
 触らずにそうっと猫を観察している者がいた。蓮花寺・ねも。その人である。
「いやー、やっぱり猫は良いなぁ。自由気ままで可愛くてもふもふで」
「そうだ。ねこはかわいい。言うまでもなく、これはこの世の真理だ」
「ねこはかわいい。真理」
 ねもの言葉を一言一句違えず反芻するのは翔だった。
 首を縦に振る彼の手にも一匹のロシアンブルーが抱かれている。
 比較的大人しいロシアンブルーはねもの方を見るとぺろりと舌を出していた。
「んな猫と思う存分触れ合えるとか最高だな。おっかない思いをして頑張った甲斐があるってもんだ」
「さわって良いの?」
「いいぜ」
「いいのか。そうか。逃げないの?」
「こいつ大人しいよ」
「逃げないのか。そうか」
 プロだな……。ねもがそう言うのに思わず翔が笑った。
 至極真面目そうにプロフェッショナルだろう、とねもが言う。
 それに笑顔から浮いてきた涙を指先でかすめ取って、翔は頷いた。
「プロって。いやまあ確かにこいつらはプロかもしれないな」
 野生の猫は触られるの嫌がる奴も多いし、と言いながら翔はロシアンブルーの喉元を人差し指で軽く撫でてやる。
 ごろごろにゃあにゃあと楽器のように鳴き声をあげて目を細める猫に、ねもはぱちくりと瞳を瞬かせた。
「よーしよし、可愛いなー」
「ねこは、」
「うん?」
「ねこはかわいいし撫でられる個体もいたしぼくだってそうそう引っかかれはせんのだが、それはそれとして、ひとは目の前に広大な自由が広がっていると一歩を踏み出すのが難しいのだからして」
「……ねも?」
「……。……うん。はい。御免」
 理由を列挙してみたが、つまるところいまいち作法に自信がないのだとねもは告げる。
「お手本、お手本を見せてほしい」
「手本かあ、」
 ちら、と翔は周囲の様子をうかがう。
 猟兵達はみなそれぞれ猫を手なずけて上手くやっているようだ。
 モクレンが人一倍大きい猫を他の猟兵に渡され、抱えきれずひっくり返っているのを視界の端に追いやって、翔はねもに笑いかけた。
「じゃあほら、こいつとか特に人懐っこくて勝手にぐいぐい来るし」
 触ってみな、とねもにそっと差し出す。
 ロシアンブルーはおとなしくされるがまま、ねもの手に渡った。
 慌てて両手で受け止めるねもに驚くこともなくロシアンブルーは素直にねもの手に収まる。
「わ、わ」
「大丈夫大丈夫! ほらほらー、ここかー、ここがいいのかー」
 こしょこしょとそのまま撫でてやればうっとりとねもにしなだれかかった。
 安心しきっている、これなら大丈夫だろう。
 不安そうに見てくる目に翔が頷けば、ねもも恐る恐るではあるが手を伸ばして抱えている猫の額を撫でた。
 みゃお、と一鳴きしてロシアンブルーがねもの頬を舐める。
「……かわいい」
 触れたぬくもりを大切にしよう。きっと手に残るだろうから。
 ねもが徐々に猫に慣れていくのを見遣って、翔は満足そうに頷いた。
 こんなご褒美があるなら、たとえ異形相手であってもまた頑張れそうだ。
 次もよろしくとグリモア猟兵に向かって声を掛けようと、翔はそっとねもの傍を離れた。
「モクレンも癒されてるかー?」
「たすけてー」
 聞こえてきたのは情けない悲鳴であったが。

●頸つかみ、猫の子みれば、両の眼に
「いってて……いやあ、あんな派手に転ぶなんて聞いてねえよ!」
「見事なまでの転びようだっな」
 クレムが同情混じりの口調で霖を慰める。
 それはダイスの女神が云々、と言いかけたモクレンが口をつぐんだ。成功判定とは時に悲しい事件を巻き起こす。
「けど、誰かが笑ってくれんならそれでおっけー……あ、できたら心配もしてくれよ? 割と痛い! 物理的に!」
 ねもとシャルファによるヒール効果で傷は塞がっているが、霖はなかなかの転びっぷりだったと猟兵達は口々に語った。
 無事にUDCエージェントたちへと仕事の引継ぎを終え、さあ猫摂取だと猫カフェへ乗り出した猟兵達。
 猫カフェではみな概ね、猫によって癒しを得られているようだ。
 愛くるしい子猫達からやんちゃな若猫、のんびりとした大人の猫まで各種お出迎え。
 霖がその中から選び取ったのはまだ若い子猫だった。
 そっと小さな子猫を抱きかかえると甘えるように服の中にもぐりこみ、すっかり居所を落ち着けてしまった。
 首元からぴょこんと顔を出した子猫に鼻先をすりつける。
「甘えんぼめ。結構人懐っこいんだな」
「……しかしこの世界は、良いな。斯様な猫の溜まり場があるとは。このカフェの猫は初対面の人間にもかなり友好的なようだ」
 クレムがそっとふわふわの長毛種を触っている。
 そっと横から手を回し、首回りの毛をかきわけるようにして撫で、信頼を順序良く勝ち取って。
 わりとこの店の中でも触るのは高難易度であったらしい高飛車な猫がすっかりクレムに懐いていた。
「猫は好きだ。機嫌を読み違えなければ素直だし、もふもふで温かい」
「……へえ」
「……おい、そう意外そうな顔をするな。逆に気恥ずかしいだろう」
 高身長の男性、見た目から割とストイックな印象を受けるクレムが動物を愛でている姿が意外に映ったのだろう、霖の表情に浮かんだゆるい笑みと興味深げな視線にクレムは顔をそらした。
「いや、いいと思うよ。猫好きに悪いやつがいるもんか」
 別におかしいってことはないだろ、と笑いかけて霖は首元の子猫を撫でた。
 ついで、足元でうろちょろと走り回る猫に微笑む。
「よっし昇ってこい! あっ出来たら足には止まらないでまだ傷が! 痛むから!!」
 言うが早いがぴょん、と飛びついた猫たちにクレムはほんのりと口角を上げ、まるで人間キャットタワーのようだと揶揄した。
「で、モクレンは猫はいいのか」
 寝そうな勢いにとろけている長毛種の猫を眠りに誘いながら、クレムは所在なさげにしているグリモア猟兵に向き直る。
「俺達はなんていうか……寄ってこないんだよなあ」
「こんなに猫がいるのに何故だ。好みの猫と仲良くすればいいだろう」
「違うんだよ、あっちに吸われてる」
 ほら、とモクレンが指さしたのはアーノルドの方だった。
 
「ネコ。UDCアースでは広く一般的な愛玩動物」
 アーノルドは分析する。解析する。情報を取得する。AIの成長にはデータが必要不可欠だ。
 ウォーマシンの戦場傭兵はデータベースと照らし合わせて目の前の生命体を観察していた。
「俺の世界でも存在はする……するのか? 知っているが見たことはない」
 くつろいでいるもの。寝そべっているもの。元気に駆け回るもの。
 人に飼われる動物に関した知識があまりないせいか、アーノルドはとりあえず座って様子を眺めることにした。
 なにごとも観察にはまずは静観と決まっているのだ。
 猫達は不動のアーノルドに近づいて、最初の内は警戒心をあらわにしていたが、そのうちすぐにアーノルドをキャットタワーと見なしてずんずんと登っていた。
 店員が人慣れしているというだけあってかこの店の猫は他と比べて冒険心が強い。
「お、寄ってきた」
「……」
「去った」
「……」
「また寄ってきた」
「……」
「去った」
「いや何してんだおっさん!」
 やり取りに痺れを切らしたらしい霖が叫ぶ。
 観察している、と零してアーノルドは猫が近寄っては遠ざかるのをひたすら眺めていた。
 そうするうち猫カフェに新たにおかれた置物と間違われたか、あれよあれよという間に猫に囲まれて今に至るというわけだ。
 今やアーノルドの元には八匹前後の猫が集まっている。
「なあキテレツ、こいつらは俺に何を求めているんだ。構えばいいのか?」
「わかんねえけど、とりあえず一匹めぐんで」
 心底羨ましそうに爪を噛むグリモア猟兵に、アーノルドは疑問を浮かべて問いかけるのみだ。
 猫にありつけないモクレンを哀れに思ったか、クレムは自分が抱いている猫を一度置いて、アーノルド塔に登る一匹のマンチカンをそっとモクレンへと手渡した。
 この店の中でもおそらく一番大きい、ぷくぷくと肥えたボス猫のような大きさの猫を。
「ほら」
「ちょ、ちょっと、えっ、なんだこの子すっげえ重たい待って」
「猫慣れしてるか知らないが、その種はおとなしいから不慣れでも触りやすいだろう。存分にもふって補給すると良い」
「いやいやいやいや重い重い重い重い」
 人間の赤ん坊を抱っこするような姿勢になってしまい、重さに耐えきれずズブズブと腰を落としていくモクレンにクレムは無愛想な顔を向けてこう言ってのけた。
「仕事の為の健康も重要なこと。架空の猫を可愛がらないように、実在する猫を心ゆくまで愛でておくんだ」

 虚無の猫など存在しないのだから。
 ……などとすまし顔で言う猟兵に、モクレンは己の中に保有する人格の数だけ助けを求めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月26日


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🔒
#UDCアース


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト