ダイナマイト・スープレックス
●悪魔帝国からの宣戦布告
「……超人プロレスを愛する諸君、ごきげんよう。私は『DEP(Demons Empire Prowrestling)』の総帥、サタン鏑木。突然この番組に乱入する事を許していただきたい」
全国放映されているスポーツ番組の生放送中、突如乱入してきた超人プロレス団体・DEPの総帥『サタン鏑木』がカメラの前に立ち、挨拶する。
彼はこのように定期的にスポーツ番組に乱入し、他団体に宣戦を布告する事で次回興行の告知をすると言う、超人プロレスファンにはお馴染みのパフォーマンスをやっていた。
……だが、今回ばかりはいつもと様子が違うようだ。
「本日、私は超人プロレス団体『EWF(Excite Wrestling Federation)』へ宣戦を布告するためにここへやってきた次第である! そして今回の宣戦布告にあたり、我々は強大な助っ人を用意した。……来るがいい!」
鏑木に呼ばれ、カメラの前にやってきたのは筋骨隆々の大男。
その身から漂う強者のオーラを見るに、この男が只者ではない事が伺える。
勘の良い人ならば既にお気付きであろうが、奴はダークリーガーだ!
「我々はここに超人プロレス界を制圧を宣言する! まずは手始めにEWFを、続いては超日本プロレス、PoX、骸の穴など様々な団体を我が軍門に加えてやろうではないか!」
どうやら鏑木もダーク化してしまったのか、本気の宣戦布告にスタジオ内がどよめく。
その横には何も語らず、ただニヤリと笑うだけのダークリーガーの姿があった。
●エキサイトに迎え撃て!
「新たな世界であるアスリートアースで事件発生よ。まだ公式化されていない競技『超人プロレス』にてダークリーガーの出現を確認したわ」
グリモアベースが写す新たな世界、アスリートアースの風景をバックにアヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)が集まった猟兵達へ説明を始める。
「悪役専門の団体であるDEPが有名団体の一つであるEWFに宣戦布告するんだけど……ダークリーガーが加入した事で、彼らは本格的な超人プロレス界の制圧に乗り出すの」
EWFとは、かつて乱立していた複数の団体を一つにまとめ上げて結成された男女混合型の超人プロレス団体の事で、他の団体と同様に『超人プロレスの普及と公式化』を目指して日々、熱く激しい戦いを見せているそうだ。
そんな彼らが今度行われるDEPとの対抗戦に大敗し、選手達が揃ってダーク化してしまう予知を見たそうだ。
そうなる前に猟兵は助っ人選手として参戦し、正々堂々と超人プロレスでDEPの連中を打ち負かす事でダーク化を解く……それが今回の任務である。
「まずはEWFの道場に案内するから、そこでみんなの力を彼らに見せるのよ」
助っ人として飛び入りで参戦するのはこの世界ではよくある事だが、そもそもにして実力が無ければ意味がない。
そこでEWF道場でのトレーニングに参加し、自分達の力を示すのが最初の一歩だ。
もっとも、訓練は極めて過酷との事らしいが……猟兵ならばそこは問題あるまい。
「試合の当日になったらダーク化したDEPのレスラー達、続いてダークリーガーの助っ人と戦う事になるわ。向こうは悪役専門の団体なだけあって、反則攻撃もお手の物と厄介な相手だから十分に気を付けてね」
試合のルールは凶器・急所攻撃の他、遠距離攻撃を含めた飛び道具全般が禁止となっているが、打撃・投げ技にユーベルコードを乗せて放つ事は認められているそうだ。
決着の方式は3カウントフォールかギブアップ、KO、場外20カウントのいずれかと、この辺りはUDCアースやシルバーレインなどの世界で見る一般的なプロレスと同じである。
戦いの前に、その事をよく覚えておく必要があるだろう。
「まだ公式化されていない競技でも、ダークリーガーの侵略を許す訳にはいかないわ。みんなの闘志溢れるファイトでEWFを……超人プロレスを救って!」
NS
はいどうも、NS(えぬえす)でございます。
超人スポーツで戦う世界! これまたブッ飛んでますね。
今回はアスリートアースからお届けします、よろしくお願いします。
●目的
超人プロレス団体EWFに助っ人レスラーとして参戦。
ダーク化してしまった悪役超人プロレス団体DEPを正々堂々と迎え撃ち、勝つ。
第一章はEWF道場内でのシーンです。主に選手との交流や練習がメインとなります。
その際にはリプレイでEWFの名ありレスラーがチョイ役として登場します。
第二・三章では『観客を盛り上げる事』がプレイングボーナスとなります。
詳しくは第二章からの導入部をご確認下さい。
試合ルールはOPにある通り、内容を守った上でのプレイングをお願いします。
今回はプロレスなので、戦い方もそれっぽく打撃や投げで戦うような感じに。
かつ基本ルールを守れば大体OKなので、あまり難しく考えなくとも大丈夫です。
重要な点として、『ダークリーガーを正々堂々と試合で打ち負かせば、向こうは満足してそのまま消滅しダーク化した選手も元に戻る』ので、その辺りもお忘れなく。
●ご注意
今回のシナリオはプロレス物ですが、NSはそこまで詳しくありません。
深夜のプロレス番組をいくらか見た事がある程度のレベルです。
リプレイはなるべくそれっぽい描写で頑張りますが、細かい点の間違いなどはあまり気にしないでいただければ幸いです。
プレイング受付開始時間・〆切等についてはタグに表記しますので、そちらをご確認の上でプレイングをお願いします。
エントリーが多い場合、キャパの都合で早めに受付を〆切る場合もあります。
受付〆切後に来たプレイングは不採用となりますので、ご了承下さい。
リプレイは出来るだけ早めに、最低でも失効までにはお返し出来ればと思います。
それでは、熱いファイトで試合を制して下さい。
第1章 冒険
『その他スポーツを練習しよう』
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POW : 体当たりで果敢にチャレンジする
SPD : 器用にコツを掴みながら練習する
WIZ : ルールや戦術の理解を深める
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●ラウンド1『パワーを見せろ! 猟兵、EWF参戦!!』
グリモアベースからゲートを抜け、猟兵達はEWF道場へとやってきた。
早速中へ入ってみると、道場内では所属選手達が男女問わず厳しいトレーニングに打ち込んでいる真っ最中であった。
「よぉし次はタックルを2000セット! 全力で打ち込めよ! ……む、君達は?」
竹刀を持ったEWFのトレーナーが猟兵に気付くと声を掛けてくる。
すぐさま一行は事情をトレーナーに伝えると……
「ふむ、DEP戦の助っ人として来てくれた……か。それはとてもありがたいが、まずは君達の実力を見てみない事には何とも言えないな」
トレーナー曰く、助っ人参戦を認めるにはそれなりの実力が必要であるとの事だ。
それにはEWF地獄のトレーニングに最後まで付いていくか、或いは所属選手とスパーリングを行って、己の強さを証明するかのどちらかとなるだろう。
仮に猟兵が超人プロレスを知らなくとも、地獄のトレーニングに耐え切る事が出来れば一週間も経たずにリングで戦えるスキルが身に着くはずだ。
しかし、双方とも一筋縄では行かない程に過酷なのは言うまでもない。
それが一体どれくらいハードなのかと言うと、屈強なEWF練習生達がトレーニングやスパーリングに付いていけず、その場で倒れ込んでいる程である。
「超人プロレスは一に体力、二に体力、三・四に根性、五に体力だ。仮に助っ人として来てくれたからには、君達もそれくらいは余裕で耐えられるだろう?」
猟兵達を試すかのようにトレーナーが尋ねる。
……ならば見せてやろう、猟兵の実力を!
トレーナーと所属選手が驚くほどの能力を、惜しむ事なく見せ付けるのだ!!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
プロレス、ですかぁ。
『武器』『急所狙い』『遠距離攻撃』と、得手が殆ど禁止された相性最悪のルールですが、訓練にはなりそうですぅ。
私の体型に合わせた『衣装』の用意も大変ですし、過酷な訓練への備えもいりますねぇ。
【遍界招】を発動、プロレスに合わせた『衣装(デザインお任せ)』を召喚、着用しますぅ。
『超人プロレスの過酷な訓練環境』を『適応環境』に指定、更に『身体強化』も重ねれば、問題無くついていけるでしょう。
後は、使えない手段を指折り数えつつ『接触による[切断]』『飛行能力使用』『非接触型近接攻撃([結界術]を挟んでの突進等)』等の可否を尋ねますねぇ。
結構、禁じ手が多そうですし。
●るこる、超人プロレスを識る
「19997、19998、19999……20000!」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が地獄のトレーニングに参加し、最初のセットメニューを見事にクリアした直後『おお……!』と、どよめきが沸く。
練習生なら半分まで行ければいい方の過酷なトレーニングを、初手から一発で乗り切ったともなれば当然の反応だ。
「ふぅ、確かにこれは思ったよりも厳しいトレーニングですねぇ……」
トレーニングで滝のように流れた汗をタオルで拭いつつ、るこるが休憩に入る。
現在の彼女はリングコスチューム……一般的な女子プロレスラーが着る露出度はそこそこの華やかな衣装を身に纏っているが、これは『豊乳女神の加護・遍界招(チチガミサマノカゴ・アマネクチヘノマネキ)』で召喚した物であり、超人プロレスの過酷な訓練環境に適応可能、かつ身体強化も重ねている事から地獄のトレーニングにもしっかり付いていく事が出来る優れものだ。
もしもこのコスチュームがなければ、先のセットメニューを乗り切るのは少し厳しかったやもしれない。
「やあ、るこる殿。先程からトレーニングを見させてもらったが……お主、相当な使い手でござるな。拙者、感服致した!」
そこへスポーツドリンクを手にやってきたのは、ニッポンはイガの出身。
忍術とプロレスを組み合わせた人気の忍者レスラー、風魔・才蔵だ。
「ありがとうございますぅ。こう言うのは初めてですけど、いい訓練になりますねぇ」
そう返す彼女は、普段は浮遊武装を主体とした遠距離戦闘を得意とする事から、今回のような近接格闘戦とは極めて相性が悪いと言わざるを得ない。
そう言う点で見れば、今回の依頼は大きな経験となる事だろう。
「む、今初めてと申したか? となると、超人プロレスについては……」
「ええ、お恥ずかしながら……」
出発前に最低限のルールは聞いたが、それくらいしか知らないと正直に答える。
特にるこるが気になっている点はいくつかあった。
「知らぬ事は決して恥ではないでござるよ。それで、るこる殿の知りたい事とは?」
「私が聞きたいのは主に禁止行為についてですが……」
一つ目は接触による切断の可否。
二つ目は飛行能力の使用について。
三つ目は非接触型近接攻撃はどうなのか。
主にこれらの事であった。
「なるほど……では、一つずつお答え致そう」
才蔵が言うにはこうだ。
まず接触による切断、これについては『接触時に近接攻撃を当てたのであれば原則的にセーフ』であるが、それを利用した反則攻撃もあるとの事だそうな。
次に飛行能力についてだが、これは『空中からの攻撃や空中殺法を用いて戦う分には問題無い』との事ではあるが、『いつまでも空を飛んで相手が攻撃出来ないままでいる場合』はさすがに反則行為とみなされるようだ。
最後に非接触型近接攻撃、これは判断が難しいが『完全に遠距離からの攻撃ではない場合、基本的に許される』と見ていい。
……とは言え、レフェリーもこの辺りを見抜くのは難しいと才蔵は言う。
「ふむふむ……大体分かりましたぁ。超人プロレスで学ぶべき事はまだまだありそうですねぇ……それじゃあ、トレーニング再開ですぅ!」
「え、もう休憩終わりでござるか!? るこる殿の体力は一体どうなって……」
驚く才蔵を尻目に、るこるが休憩を終えてトレーニングに戻る。
試合の日まで残り一週間……今出来る事はひたすらプロレス力を付けるのみだ。
大成功
🔵🔵🔵
メリッサ・ウェルズ
超人プロレスならまーかせて!
【吸血鬼式超人格闘技】のレスラーが助っ人に来たよ
PoXでも骸の穴でもやってきてるけど、EWF地獄のトレーニングはどんなかな?
さぁ、挑戦させてもらおうか!
筋力トレでもサンドバッグ蹴りでも打ち込みでもなんでも、地獄のトレーニングのメニューをフルセットでこなしてみせるよ
千回?万回?どんとこい!
そして全部こなした後で、練習生でも現役レスラーでも、スパーリングの相手をお願いしてみようか
ボクの特技はルチャ張りの空中殺法
ジャンプとロープを駆使した変幻自在の高速打撃攻撃に、捕まえてからの投げ技!
とにかくできるだけ大勢とスパーリングしてみたいね!
どうかな?
ボクの力量、納得してくれた?
●吸血鬼式超人格闘技、堂々参戦!
道場内に激しい打撃音が響く。
真剣な眼差しでメリッサ・ウェルズ(翡翠の吸血姫・f14800)がサンドバッグに強烈なチョップを叩き込んでいた。
一見すればただの空手チョップにも見える事だろうが、その技こそ超日本プロレスのレジェンドレスラー・ダイナミック泰山が放つ得意技『スモウチョップ』である!
以前に超日本プロレスの助っ人として参戦した際、道場でダイナミック泰山から直伝されたその技の威力は若き日の彼を彷彿とさせる。
「ていていてぇぇぇぇい!!」
叫びと共に叩き込まれたメリッサの一撃が、サンドバッグを真っ二つにする。
超人スポーツ用のサンドバッグと言えば、我々の世界のそれと比べて大きさ・重さ・耐久力が段違いの代物だ。
にも関わらずスモウチョップで真っ二つにしてしまうのだから、これには練習生達もただ唖然とするしかなかった。
自分よりも体格の小さい少女が、まさかこれだけのパワーを秘めているなど誰が予想出来たであろうか?
「……驚いたな、まさか基礎トレーニングを難なくこなすとは思わなかったよ」
「EWF地獄のトレーニングとは聞いたけど、案外普通だったね?」
驚くトレーナーに対し、最初のセットメニューを余裕で済ませたメリッサは、まだまだ動けると言った様子で答える。
これならば助っ人参戦も認められる事だろう。
「お、言ったな? なら明日からは一段飛ばして実戦メニューを組もうか?」
「ふふん、望むところ!」
これが序の口なら更に上の物はもっと激しいトレーニングになるに違いない。
そう考えただけで彼女のやる気にも火が付いたようだ。
「あ、そうだ。今からスパーリングって出来ないかな?」
「なんだって、まだ動けるのか!? こりゃとんでもない助っ人が来たな……」
「練習生でも現役レスラーでもいいから、相手になってくれる人はいない?」
メリッサが目を輝かせ、新たな相手がいないかと尋ねると……
「……なら、あたいが相手になってやるよ!」
その挑戦受けて立つとばかりに道場内のリングへ飛び込んだのは、EWF所属の人気女子レスラー、キラービー・ヨーコであった。
「あんたのその身のこなし……あたいと同じルチャだね?」
「おおっ、分かるの!?」
「まぁね。久しぶりに楽しめそうな相手のようだし、早く闘ろうよ?」
ヨーコがニヤリと笑い、手招きする。
それに応じるかのようにメリッサも颯爽とリングインすると、トレーナーがゴングを鳴らした。
開始早々、同じルチャ同士と言う事もあって両者とも激しい空中殺法でぶつかり合い、時には互いの技を敢えて受ける事で力量を確かめていく。
「……あんた、なかなかやるね!」
「そっちこそ! そろそろボクの本気を見せてあげる!」
互いの強さを認めて笑った後、メリッサが隠し玉として用意していた『吸血鬼式超人格闘技(スーパー・ヴァンパイア・プロレスリング)』による連携攻撃をヨーコに見舞う!
ジャンプとロープを駆使した変幻自在の高速打撃攻撃を叩き込み、相手が怯んだところで捕まえ……投げる!!
「ワン、ツー、スリー!」
そしてメリッサの3カウントフォールが決まり、決着が付いた。
「……どうかな? ボクの力量、納得してくれた?」
「くぅ、あたいが負けるなんて……ああ、認めるよ。あんた、本物だ!」
負けて悔しいとは言え、いい戦いだったとヨーコがサムズアップする。
戦い終わればノーサイド、それもまた超人スポーツの精神である。
大成功
🔵🔵🔵
草剪・ひかり
WIZ判定
即興連携、お色気&キャラ崩し描写等諸々OK
アスリートアースでは、まだプロレスの市民権は発展途上みたい
だからこそ、この私が貢献して「プロレスラー」の地位を高める余地があるね!
そんなわけで、まずはEWFさんの道場でしっかりウォームアップ
30歳過ぎの完熟ボディを愛用のリングコスチュームで包み視線を集めつつ
ベテラン選手を指名してスパーリングをお願いする
プロレスは受け重視の王道スタイルだから、この団体にもなじみやすい筈
相手の大技に色っぽくダウンする姿も魅せつつ
まずは私の基礎技術とタフネスがここでも通用することを確かめる
これまで築き上げた「絶対女王」の二つ名が伊達じゃないこと、魅せつけなきゃね!
●その名は絶対女王
「ここがEWF……へぇ、大きな団体と言うだけあって設備もなかなか豪華だね」
凄い奴がやってきた。
練習生はおろか、所属選手やトレーナーも一目見てそう思った事だろう。
彼女の名は草剪・ひかり(次元を超えた絶対女王・f00837)、プロレスリングM.P.W.Cの代表にしてかつての“絶対女王”と呼ばれた猛者である。
全盛期に比べれば、その力に衰えこそ否めないが……現在も第一線で戦う女子プロレスラーだ。
「さて、早速ウォームアップを始めようかな。まずは……」
EWFの面々(主に男子達)から熱い視線が向けられている事など一切気にする事なく、ひかりはトレーニング器具のあるエリアへ向かい、ウォームアップを始める。
重さ数百キロはあろうかと言うバーベルを余裕で持ち上げ、時速数十キロは出るであろうランニングマシーンを、足並みが乱れる事なく走る超人っぷりを見せていく。
……因みに、彼女が何かしら行動する度にバルンバルンと豊満な胸が揺れる事から、どうしても視線がそっちに向いてしまうのは男の性と言う奴であろうか。
何せバストは109センチ(Kカップ)と言う凶悪な数値だ、これ程のプロポーションを持った女子レスラーは早々いまい。
と言うか、所属している女子レスラーから羨望の視線を受けているのは気のせい……ではないだろう。
「よし、体も暖まってきた事だしそろそろスパーリングを始めようかな。私としてはベテラン選手と手合わせ願いたいけど、大丈夫?」
トレーニング器具を用いたウォームアップを済ませ、ひかりが早速スパーリングをお願いする。
ここらで実力を見せようと言う事なのだろう。
「お、ベテランをご指名か。そうだな、それじゃあ……」
「ここは俺が相手になろう」
トレーナーがスパーリング相手を誰にしようかと選手達を見渡していると、一人の選手が名乗り出る。
現れたのはキャリア20年を超えるベテランファイター、立川・龍馬だ。
「俺は女子であっても容赦はしないぞ。EWFのプロレス、とくと見せてやろう」
「ええ、お手柔らかに!」
リングの向こうにいる龍馬へ一礼すると、ひかりが先にリングインし、その後に龍馬が続く。
そしてトレーナーがゴングを鳴らすと、スパーリングが始まった。
「ふんぬッ!」
「くぅっ……!」
開始早々から龍馬が激しい攻めで圧倒する。
対するひかりは相手からの逆水平チョップ、ロープに振ってからのラリアットなど、相手の技を敢えて受け(そして意図的に)色っぽくダウンする姿を魅せていく。
「そら、どこまで耐えられるかな!」
更に組み合った直後、龍馬の得意技である暴れ馬固めが炸裂。
これまで数多くの相手からギブアップを奪った締め技がひかりを襲う。
「く、あぁっ……!」
暴れ馬固めを前に苦しげな様子のひかり。
その威力は本物のようだ。
「どうだ、ギブアップか?」
「ん、んんっ……まだまだァ!」
だが、ここでひかりが暴れ馬固めを自らのパワーで……解いた!
「お、俺の暴れ馬固めが!?」
「絶対女王の二つ名は……伊達じゃないよ!」
ここからが倍返しだと言わんばかりに、ひかりが『絶対女王の顕在(イクスクイーンドレス)』で反撃に転じる。
体勢を素早く入れ替え、掌底、エルボーと連続した打撃技のラッシュを叩き込み龍馬を怯ませると、そこから飛翔しフライングボディプレスを叩き込む!
そこからフォールに入り……3カウント!
決着である。
「どうかな、ここでも私の基礎技術とタフネスは通用しそう?」
そしてスパーリング後、ひかりは龍馬にそう尋ねると。
「十分すぎるくらいだよ……お前さん、やるねえ」
と、笑いながら返すのであった。
……因みに先のスパーリングでフライングボディプレスを受けてか、彼の鼻の下が若干伸びていたのは秘密である。
大成功
🔵🔵🔵
シャーロット・キャロル
超人プロレスですか。私も鍛えてる身ですし一つ頑張ってみますか。
早速私も道場へ向かって助っ人参戦ですよ!
トレーナーの前でUCアルティメットマッスルモードを発動、自慢のマッスルを見せつけてまずはアピール!
トレーニングかスパーリングかはトレーナーの判断に任せることにしますよ
トレーニングなら黙々とこなしていきますよ。日頃から鍛えてますからね。得意分野ですよ。
スパーリングならお相手のレスラーさんと真っ向から組み合って時には投げ、時には相手の技を受けてのスパーリング。
プロレスは相手の技を受けてこそですからね、その辺もちゃんとアピールしつつスパーリングをこなしていきますよ
(アドリブ大歓迎です)
●力こぶれ!筋肉密度1000%!!
「超人プロレスの……いえ、EWFの危機と聞いて駆け付けました!」
シャーロット・キャロル(マイティガール・f16392)が『アルティメットマッスルモード』で変身した、筋骨隆々の姿をトレーナーにポーズ付きでアピールする。
その肉体美は超人プロレスだけでなく、ボディビルにも出場出来そうなレベルだ。
「す、凄い筋肉をしているんだな……何をどうすればそこまで行けるんだ……?」
もはや規格外クラスとも呼べるシャーロットの筋肉を目にしたトレーナーは、ただ目を白黒させるばかりだ。
無論、彼だけではなく練習生や女子選手でさえ彼女の筋肉に釘付けだ。
「もちろん見た目だけでありません、超人プロレスの方にも心得はあります!」
「凄い自信だな……よし、分かった。早速スパーリングで君の実力をとくと見せてもらおうじゃないか」
積極的な自己アピールを受け、シャーロットの実力を見てみたくなったトレーナーがスパーリングのため所属選手に声を掛ける。
誰か彼女の腕を確かめてみてくれないか、と。
「……嬢ちゃん、いい鍛え方をしているな。しかし、オレが相手ならどうかな?」
シャーロットとスパーリングをする事になったのは、身長250センチの超大型レスラー、大巨人の異名を持つギガントーだ。
その巨体から繰り出されるパワーは屈強なレスラーを易々となぎ倒す事と言う。
「なんて大きさ……ですが、全力で行きます!」
ギガントーを見上げつつ、シャーロットが構える。
早速ゴングが鳴らされ、スパーリングが始まると双方がガッチリと組み合った。
まずは力比べと言ったところか。
「フフフ、オレと真っ向から組み合うとは迂闊だったな、嬢ちゃん?」
さすがに本気で戦っては向こうが壊れてしまいかねないと思ったギガントーが、幾分か加減をしつつシャーロットを押し込んでいく。
ネックハンギングツリーからボディスラム、立ち上がったところへ重戦車のごときショルダータックル、更にはロープへ振って戻ってきたところにケンカキックを叩き込むなど、強烈な猛攻が続く。
「ぐぅっ! ……プロレスは技を受けてこそ、ですからね!」
巨体から繰り出されるパワーに、何度もリングへ叩き付けられるシャーロット。
しかし、すぐに立ち上がってみせる事でタフさもアピールする。
サイボーグであるシャーロットは筋力の他、耐久力も実際超人レベルだ。
「今度はこっちの番です!」
そのまま闘志を燃やし、シャーロットがギガントーと再度組み合う。
本来なら、彼と真っ向から組み合う事自体が自殺行為にも等しいのだが……
「なんだ、オレのパワーをまた味わい……」
「む、むむむむむ……!」
……おお、見よ!
シャーロットがギガントーを……押し返しているではないか!
「なッ!? このオレがパワー負けしている!?」
「マイティパワー、全開……ていやあぁぁぁーーーっ!」
「ウ、ウオォォォーッ!?」
そのまま彼女はギガントーを持ち上げ、場外に……投げ飛ばした!
身長250センチの巨体が回転しながら宙を舞い、場外へ叩き付けられる。
ズドォォォンと言う凄まじい音と共に埃が舞い上がり、やがて晴れていく。
……ギガントーは、スケキヨめいた姿で頭から床に突き刺さっていた。
「な、投げ飛ばしたのか……あのギガントーを……」
目の前の光景が信じられないと言った様子で、トレーナーが唖然とする。
これにはシャーロットの実力を疑う者など最早誰もいない事だろう。
「どうですか、これなら助っ人としても……って、ギガントーさーーーん!?」
そう得意げにアピールしようとしたところで、少しやりすぎてしまった事に気付いたシャーロットが慌ててリングから降りるのであった。
因みに、この後ギガントーは無事(?)床から引っ張り出されたそうな。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
“超人”プロレス、なんですよね。
普通の、プロレスなら、わかりますが、どこまで、違うのか…
ゆっくり見ては、いられませんから、実際にやりながら、理解しないと、ですね。
さて、まずは、ウォーミングアップ、ですね。
楽に…とまでは、行きませんが、〈怪力〉とか〈根性〉とかで、なんとか、頑張ってみます。
後は、軽くスパーリングも、しておきたい、ですね。
相手の、反則行為、どのくらいの事が、起きうるか、体感しておきたい…ですが、これは、無理には、言えない、ですね。
〈グラップル〉〈怪力〉〈激痛耐性〉なんかで、技を出したり受けたり…
これくらい、出来れば、認めてもらえる、でしょうか…?
(アドリブ可、共闘NG)
●少女、奮戦す
「えっと、アニカ、です。よろしく、お願い、します」
トレーナーに一礼するアニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)。
彼女は若干9歳の少女である。
(……この子が超人プロレスを?)
(本当に大丈夫なのか?)
アニカを目にした練習生達もどこか心配そうな様子だ。
……彼らは知らないが、こう見えて彼女はダークセイヴァーの地下にある、住民同士やヴァンパイアと戦う行為を見世物にさせられる、所謂『闘技場』集落の出身だ。
「“超人”プロレス、なんですよね。普通の、プロレスなら、わかりますが、どこまで、違うのか……」
戦い方については、ある程度その身に染み付いていると言ってもいいが、この世界での超人プロレスは初めてと言う事もあるのだろう。
トレーナーに尋ねるアニカはどこか不安げな様子だ。
「分からない事なら、我々は出来る限りの範囲で教えられる。後は君次第だ」
「ゆっくり見ては、いられませんから、実際にやりながら、理解しないと、ですね」
戦うと決めた以上、逃げる訳にはいかない。
アニカは勇気を出して超人プロレスの第一歩を踏み出す……
「まずは君にどれだけ力があるか、体を動かせるかを見せてもらおう」
最初はウォーミングアップとして、トレーナーはアニカをトレーニング器具の前へと連れてくる。
ここにあるのは超人用と言うだけあって、一般的な世界の物とは大違いな代物だ。
「この、バーベルを、持ち上げれば、いいんですか……?」
「そうだが、さすがにウエイトを落とした方が」
「いえ、やって、みます……えいっ」
この器具の中では比較的軽めの、重さにして100キロはあろうバーベルをアニカはあっさりと持ち上げた。
「え、嘘だろ
……!?」
彼女の小さな体に秘められた怪力を目の当たりにし、トレーナーはただ驚愕する。
「次は、この上を、走れば、いいんですよね?」
……続いてやってきたのは超人用ルームランナー。
時速数十キロは出る他、急角度で心臓破りの坂も再現出来るタイプの物だ。
早速起動すると、レーンが高速で動き出し……
「はっ、はっ、はっ、はっ……お、思ったより、苦しい、です……」
アニカが走り出して既に三十分が経過しただろうか。
キツい走行で苦しそうな様子であったが、そこは根性でひたすら耐えていく。
練習生なら数分は持たないと言うのに、凄まじいタフさだ。
こうしてウォーミングアップで超人レベルの体力と根性を見せたアニカは、次にスパーリングを受ける事となる。
「じゃあ、今から反則攻撃をやんぞ。しっかり耐えろよ……オラァ!」
「あぅっ……!」
EWFのヒールレスラー、久我・死郎がリングコスチューム内に隠していた凶器(実戦ではないため、危険性の少ない木製の物)でアニカを攻撃する。
相手の反則行為はどのくらいの事が起きうるかを体感しておきたい、と言う理由からヒールレスラーである死郎に白羽の矢が立ったが……ここでも彼は容赦ない。
彼曰く、凶器・反則攻撃は五秒以内にかつレフェリーの目を欺いて素早く行ってくる物だそうで、次々とえげつない反則攻撃が飛んでくる。
「どうだ、痛いか?」
「い、痛い、です……でも、わたしは、このくらいで、へこたれません……!」
向こうが容赦のない反則攻撃を行ってきても、アニカはひたすらに耐え凌いだ上で反撃に移る。
身の小ささを生かし、死郎に執拗なローキックを叩き込んで体勢を崩すと……
「素早く、回り込んで、そのまま、背後から、掴んで……!」
「……うぉッ!?」
敢えて向こうの攻撃を受け続ける事で発動した『死闘天使(ストラグルエンジェル)』で身体能力がブーストされた状態から、アニカがバックドロップを叩き込んだ!
彼女の思わぬ一撃に、スパーリングを見ていた者達の間からもどよめきが起こる。
「はぁ、はぁ……これくらい、出来れば、認めてもらえる、でしょうか……?」
「あつつ……まさかここまで出来るとは思わなかったぜ。いや、大したモンだよ」
打ち付けた頭をさすりつつ、死郎がアニカを称える。
最初は彼女を小さな少女だと侮っていた者達も、これで認識を改める事だろう。
大成功
🔵🔵🔵
山神・伊織
結構いろんな超人プロレス団体を見かけますね……皆さん、公式競技化に向けて頑張っているのでしょうか。
まあせっかくですから、私もお手伝いしましょうか。
ユーベルコードで訓練効率を上げて、地獄のトレーニングを体験しましょう。体力と根性に任せて鍛錬するのは好きですよ。
その方向で行くなら、疲れなければ意味がありませんよね。他の人の何倍やってでも、ぶっ倒れて立ち上がれなくなるまでこなしましょう!
1人では出来ない実践形式のトレーニングは、EWFの女性レスラーに手伝って貰いましょうか。
毎日それを繰り返せば、だんだん出来る回数が増えていくはずです!
あ、でも水と塩分、プロテインの補給は忘れないようにですね。
●見せろ根性!地獄のトレーニング、その先へ!
(結構いろんな超人プロレス団体を見かけますね……皆さん、公式競技化に向けて頑張っているのでしょうか)
道場内で鍛錬に励む選手達を見て、山神・伊織(飛龍乗雲・f35399)が一人思う。
彼女が予知で見たPoXや助っ人参戦した超日本プロレス……団体は違えど、公式競技化と言う一つの目標に向け、彼らが日々努力を行っているのは確かだ。
(まあせっかくですから、私もお手伝いしましょうか)
こうしてダークリーガーの事件解決に貢献していけば、いずれ超人プロレスも公式化されるかもしれない。
そのために頑張ってみるのも楽しそうだ、と言った感じであろうか。
「早速ですが、地獄のトレーニングを体験したいです!」
伊織はEWF地獄のトレーニングが一体どんな物なのか気になってしょうがないと言った様子で名乗り出る。
「お、やる気があっていい事じゃないか。だが、ウチのトレーニングは厳しいぞ?」
「ふふ、体力と根性に任せて鍛錬するのは好きですよ」
トレーナーの言葉に、元が特訓好きと言う事もあってか自信ありげに返す伊織。
果たして、彼女の実力やいかに……?
「……それではまずは腕立て20000回、始め!」
トレーナーがホイッスルを鳴らすと、練習生や所属選手に混じって伊織も地獄のトレーニングを開始する。
もちろんただ腕立て伏せをする訳ではなく、予め両腕・両脚・胴体にウエイトを付けた状態で行うと言ったハードな物だ。
「10096、10097、10098、10099、10100……」
開始前、伊織は『修行の心構え(シュギョウノココロガマエ)』で訓練効率を上げ、自身に多大な負荷をかけつつトレーニングに励んでいく。
(トレーニングは疲れなければ意味がありませんからね。ぶっ倒れて立ち上がれなくなるまでこなしましょう!)
……その結果、規定回数の実に三倍の量のトレーニングを全てこなすと言う無茶をやって、伊織は文字通りぶっ倒れた。
ただでさえ二倍ですら厳しいのに、よりにもよって三倍である。
「はぁ……はぁ……さすが、地獄のトレーニングなだけは、あります……ね……」
地獄を超えたトレーニングを行った結果、極度の疲労で動けない伊織であったが、どこか満足げな表情だ。
もっとも、周りの者達は『いや、どう見てもやりすぎだろ……』と軽く引いていたのだが。
「次は実践形式のトレーニングですね。よろしくお願いします!」
あれから休みを挟んだ後、リングに上がった伊織が次なるトレーニングを始める。
まだ疲労は抜けていないと言うのに、凄まじいタフネスっぷりだ。
「ああ、よろしく。それじゃあ始めるよ」
EWF所属の女子選手であるタイガー高橋が練習相手となり、実践形式のトレーニングが始まる。
至近距離からの打撃戦、組み合った時の攻防、投げ技に対する受け身、大技への対処など、試合形式で学べる事をその身に叩き込んでいく。
「うし、今日はここまでにしようか。そろそろ休むと……」
「……高橋さん、あと1セットだけ、お願いします!」
激しいトレーニングで双方ともへとへとになりつつも、伊織だけはまだ動けると言わんばかりにワンモアを申し出る。
「ま、まだやるのかい!? アンタ、どれだけタフなのよ……?」
「毎日厳しい鍛錬を繰り返せば、だんだん出来る回数が増えていくはずです!」
そう答える伊織の目は熱く燃え上がっていた。
凄まじいド根性っぷりだ。
「そりゃあそうだけど……物には限度ってのが」
「超人プロレスは一に体力、二に体力、三・四に根性、五に体力です!」
そしてこの精神論である。
……こりゃあ自分も徹底的に付き合うしかなさそうだと、高橋は覚悟を決めて伊織と向き合うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
花走・りな
プロレス凄い人気だねぇ。
次の公式競技はプロレスになったりするのかな。
とはいえ外から観戦するだけじゃ分からない事も多いしね。
地獄のトレーニング頑張らなきゃだ。
花走・りな15歳!プロレスは初体験ですが他スポーツの経験で体力には自信があります!トレーニングよろしくお願いします!
(挨拶は大事)
実際、一日中動き回ることには慣れてるから全力でトレーニングに挑もう☆
UC【限界の彼方まで】使用
勝負服をアレンジしたらレスリングにも使えるかな?
うん、この服を着ると頑張らなきゃってなるね!
よーし、夜も練習お願いしよう♪
※アドリブ・連携歓迎
●りなの挑戦・超人プロレス編
「花走・りな15歳! プロレスは初体験ですが他スポーツの経験で体力には自信があります! トレーニングよろしくお願いします!」
そう明るく元気よく挨拶する花走・りな(アプローズに憧れて・f37819)。
挨拶にもあったよう、彼女がプロレスに挑むのは今回が初めてだ。
「お、いい挨拶じゃないか。超人プロレスに限った話じゃないが、良きアスリートは挨拶もしっかり出来ないといけないからな」
りなの挨拶にはトレーナーも好感触のようで、初手からいい印象を与える事が出来たようである。
「……だが、先に言っておくぞ。超人プロレスは生半可な覚悟で挑めばケガをする。激しい痛みに耐え、戦えるだけのガッツが君にはあるか?」
「はい、あります! どんな事があっても、決して音を上げたりはしません!」
トレーナーの真剣な問いに、りなも同じく真剣に答える。
挑むからには半端は一切しないのが彼女の流儀だ。
「どうやら本気のようだな……よし分かった。トレーニングには死ぬ気で、必死に喰らい付くつもりでやるんだぞ」
「はいっ! それじゃ、早速着替えてきます!」
ハキハキとした返事の後、りなは着替えのためロッカールームへと向かうのであった。
「……お待たせしました、わたしの方は準備オッケーです!」
それから少しして、リングコスチュームに着替えたりなが戻ってきた。
トライアスリートが着る勝負服――『限界の彼方まで』で用意した物を超人プロレス向けに改造した逸品だ。
「お、少し派手だが……うん、なかなか似合ってるじゃないか?」
「はい! この服を着ると頑張らなきゃってなりますので!」
「なるほど、形から入るスタイルか。それじゃあ基礎トレーニングから始めるぞ」
トレーナーからトレーニングのセットメニューが早速口頭で伝えられる。
基本的に腕立てやスクワットなどと言った運動を複合的に行い、試合で戦える基礎体力を付ける目的で組まれた物だが、その内容は基本的に万単位の回数で行われるなど、非常にハードな物だ。
(これがプロレスのトレーニング……なかなか過酷だね)
今のりなは勝負服の効果もあって疲労を感じない状態とは言え、これは想像以上に厳しい物だと改めて感じる。
しかし彼女はトライアスリートをメインにしている事もあり、一日中動き回る事には慣れているのか、地獄のトレーニングにもしっかり追従出来ていた。
(でも、これなら何とかなりそうだし地獄のトレーニング頑張らなきゃだ)
そのまま真面目な表情でりなはセットメニューを黙々とこなしていく……
「あと3秒……2秒……1秒……よし、そこまで!」
そして道場内にブザー音が鳴り響き、基礎トレーニングの終了を告げる。
「あ、終わった? ……ふへー、なかなかハードだったね」
練習生達のほとんどがリタイアしてしまったが、りなはキッチリ最後までこなす事が出来たようだ。
「……お疲れ様。最後までやりきるとは大した物じゃないか」
スポーツドリンクを手に、トレーナーが話しかけてくる。
「はい、体力には自信がありますので!」
それに対し、りなが胸を張って返す。
勝負服の効果で疲労は感じないが、脱いだ後の反動が大変な事になりそうな予感だ。
「確かに体力面では申し分なしだな。ここから更にレスリングの基礎を短期間で叩き込むが、大丈夫かい?」
「頑張ります! ……なんだったら、夜も練習をお願いしたいかなって♪」
溢れる熱意は抑えきれないのか、りなはテンション高めに宣言する。
この調子ならばきっと、当日までに戦える能力が身に着く事であろう。
彼女の挑戦はまだ始まったばかりである……!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『闇の格闘家』
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POW : 竜技
自身の【身体の一部】に【任意の属性のドラゴンパワー】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD : 闘衣
【身体の内から溢れる闘気】を纏った真の姿に変身する。変身中は負傷・疲労・致命傷の影響を一切受けず、効果終了後に受ける。
WIZ : 連業
【打突技】【蹴り技】【投げ技】【関節技】【投げ技】【寝技】【絞め技】【固技】【マイクパフォーマンス】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
👑11
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●ラウンド2『戦いの時は来た! 炎の対抗戦、開幕!!』
あれから一週間……EWFの助っ人参戦を認められた猟兵達は厳しいトレーニングを経て、いよいよ対抗戦当日を迎える事となった。
「ついにこの日が来たな。みんな、今日まで厳しいトレーニングをよく頑張って……いや、君達ならむしろ余裕だったか」
決戦の地である朱雀ドームの控室で、トレーナーが猟兵達にアドバイスを送る。
「みんなは既に知っている事と思うが、改めて言わせてくれ。今回はDEPに勝つのもそうだが、『いかにして観客を盛り上げ、楽しませるか』が大事なんだ」
EWFは団体の信条として『プロレスで熱く盛り上がれ!』を掲げており、どの試合でも観客を楽しませる事を第一としている。
それは所属しているヒールレスラーも同じ事で、彼らも彼らなりに試合をいかにして盛り上げるかと言う事を念頭に置いて戦っているのだとか。
「基本は相手の技をひたすらに受ける事にあるが、その他にも観客を楽しませるために、試合の直前や最中に様々なパフォーマンスを行うと言うのもアリだろうな」
要は『会場の盛り上がりを考慮した上でDEPの連中と戦う必要がある』と言う訳だ。
そのためなら、多少意図して演出であっても問題はないとの事らしい。
「俺から話せる事は以上だ。みんな……超人プロレスの未来を頼んだぞ!」
トレーナーの熱い思いを受け取り、猟兵達はいよいよ本番の時を迎える……!
「ようこそEWFの諸君、まずは逃げずにここへ来た事を褒めてやろうではないか!」
両団体が試合会場へと入場した直後、リングを挟んだ向こう側でDEPのサタン鏑木が初手から得意のマイクパフォーマンスでEWFを挑発する。
「……フゥム、見たところ助っ人を用意したそうだが、そうでもしなければ我々には勝てないのか? まあ仕方あるまい……何せ我々は! 強いのだからな!」
鏑木の挑発に会場内からブーイングが巻き起こる。
悪役専門の団体とは言え、観客の反応をよく理解した上手いやり方だ。
「さて、まずは我々の誇る悪魔戦士・デモンファイターに諸君らが勝てるか見物させてもらうとしようではないか。フハハハハハ……!」
高笑いの後、マイクを投げ捨て鏑木が退場すると同時に、後ろに控えていたダーク化したDEPのレスラー――闇の格闘家(デモンファイターと呼称)達が前に出る。
全ての元凶であるダークリーガーを引きずり出すには、まず前座であるこいつらと戦って倒せと言う事のようだ。
果たして猟兵達はいかに試合を盛り上げつつ、デモンファイターを倒すのか?
いよいよ、試合のゴングが鳴ろうとしている……!
草剪・ひかり
POW判定
即興連携、お色気&キャラ崩し描写等諸々OK
悪役専門団体だけあって、相手も普通じゃないね
異種格闘技戦を仕掛けてくるとは予想外だけど
想定外ではないね
まずは相手の強さを引き立たせる
オーソドックスなプロレススタイルで仕掛ければ
近づくまでにぼこぼこに殴られ蹴られる筈
爆乳を揺らしながらダウンして、少々セクシーアピールも
その上で、無数のダウンから立ち上がって魅せる
受けの強さがプロレスラーの真骨頂
何百発打ち込まれて顔も体も痣だらけにされつつ
一瞬の隙をついてバックを取り、得意のジャーマンスープレックスで一発KO!
アナタも格闘家としては凄く強いけど
プロレスのリング上で私に勝つには、あと少し足りないね!
●第一試合・草剪ひかりvsデモンファイター一号
「悪役専門団体だけあって、相手も普通じゃないね」
レフェリーからボディチェックを受けるデモンズファイターを眺め、ひかりが呟く。
異種格闘技戦を仕掛けてくるとは予想外であったが、特に想定外と言う事の程でもないようだ。
これくらいならばプロレスの世界ではよくある事、とでも言えばいいだろうか。
「……お前をマットに沈めてやる。覚悟を決めるのだな」
その後、ボディチェックを終えたデモンファイターが向かい合った際、ひかりへ向けて一言放つ。
口ではああも言っているが、何せ相手が相手だ……きっと反則攻撃も容赦なくやってくるに違いない。
「ならその言葉、そっくりそのまま返すよ」
どんな攻撃でもどんと来い、そう言わんばかりの勢いでひかりが返す。
そして双方が睨み合う中、ゴングが鳴らされ第一試合が始まった。
対抗戦の幕開けである。
「……俺の竜技、受けてみるがいい!」
まずデモンファイターが右腕に炎のドラゴンパワーを宿し、ひかりに素早いローリングエルボーを浴びせた。
熱く、重い一撃を受けてひかりが後ろへ大きく吹き飛ばされ、勢いのままロープに跳ね返されていく。
「ハイヤァーッ!」
そのまま跳ね返ってきたひかりに向け、鋭いローリングソバットが胸部に叩き込まれると盛大にダウンする。
「なかなか重い一撃ね……でも、それでこそ倒し甲斐があるってものよ!」
ひかりが立ち上がり、構えを取ると同時に叫ぶ。
「……さあ、もっと打ってきなさいよ!」
「言ったな……!」
挑発を受けた事で、デモンファイターは更なる猛攻を仕掛けていく。
激しい打撃のラッシュや、関節を極めた状態からの投げ技、締め技……更には一体どこに隠し持っていたのか、鉄製の伸縮式スティックバトンによる殴打をレフェリーの目を欺きながら叩き込むと言った反則攻撃も行ってきた。
その都度ボコボコにされ、豊満なバストを派手に揺らしながらダウンすると言った、ひかりの計算高いアピールで観客(主に男性)の心を掴んでいく。
「ぬ、ぬぅぅッ……ま、まだ倒れんと言うのか
……!?」
「……どうしたの。私を倒すには、まだまだ打ち込みが足りないよ……!」
顔や体中に打撃による痣をいくつも作りながら、なおも戦う彼女のタフさに心を動かされた観客からは大きな声援が次々と飛び交い、盛り上がりも最高潮だ。
ダウンの度に何度となく、まるでゾンビのように立ち上がる事で『受けの強さがプロレスラーの真骨頂』である事を魅せるひかりに、デモンファイターもタジタジである!
「来ないのなら、今度はこっちの番よ!」
受けを徹底する事で、相手の良さを十分に引き出したこの辺りが頃合いと見たひかりが、いよいよ反撃に移る。
組み合ってからデモンファイターをロープに振り、ドロップキックでダウンさせるとすぐに立ち上がらせコブラツイストで追撃!
「ほら、さっきまでの勢いはどこへ行ったの!?」
「グ、グゥゥゥ……ッ!」
先の猛攻による疲れもあり、形勢が逆転し劣勢に追い込まれるデモンファイター。
いよいよフィニッシュの時だ。
「さあ、こいつで……トドメよ!」
コブラツイストを解いたと同時に背後を取った状態から『クィーンズ・アブソリュートリィ・アーキテクツ(ゼッタイジョオウノキタエアゲラレシワザノカズカズ)』によるジャーマンスープレックスが……炸裂!
そのままデモンファイターはKOし、ひかりが見事に勝利した。
「アナタも格闘家としては凄く強いけど、プロレスのリング上で私に勝つには、あと少し足りないね!」
そして勝利後、マイクを手にひかりが豪語する。
〆のマイクパフォーマンスも完璧と、プロレスの年季の違いを見せ付ける結果となった第一試合であった。
大成功
🔵🔵🔵
シャーロット・キャロル
いよいよ試合開始ですね!私も頑張りますよ!
リングインしてアピールからの……
●アルティメットマッスルモード発動です!そしてそこからポージング!
これでまずは観客の皆さんの心を掴みますよ
試合開始したらまずはチョップやローキックなどの小技で牽制しつつ相手の様子見
いきなり大技仕掛けてたりではダメですからね
後相手の攻撃は必ず受ける!プロレスですからね全部受け止めてやりませんと【怪力】に任せた投げ技で豪快に攻めてやりますよ!
(アドリブ大歓迎です)
仕掛け所は相手がフィニッシュムーブに入る所、そこで一気に掴まえてからの
●第二試合・シャーロット・キャロルvsデモンファイター二号
(いよいよ試合開始ですね! 私も頑張りますよ!)
自分の出番がやってきたとあって、シャーロットはやる気・気合共に十分と言った様子で颯爽とリングイン、コーナーポストに上がると観客にアピールを行う。
「……それでは、第二試合を始めます。赤コーナー、EWF臨時参戦選手……シャーロット・キャロルー!」
リングアナの名前読み上げの直後、シャーロットは『アルティメットマッスルモード』で筋骨隆々の姿に変身し、ポージングを決める。
いきなり筋肉が大幅増量した姿に変わった事で観客達は一体何事かとどよめき、自身の目を疑ったが……それが彼女のパフォーマンスである事を瞬時に理解してか、紙テープの投擲と共に大きな声援が送られる。
彼らはそう言った演出が何よりも大好きなのだ。
「……お前のその筋肉が見せかけでない事を願うぞ」
「ふふ、存分に私のパワーを見せてあげますよ」
そうして双方が向かい合う中で、二人が最低限の言葉を交わす。
ここまで来れば後はリングの上で語り合うのみだ。
「……ファイッ!」
レフェリーの叫びと共にゴングが鳴らされると、リング上を回るような動きで互いに様子見した直後、最初の組み合いが始まった。
「ふっ!」
最初はシャーロットの逆水平チョップがデモンファイターにバシッと強烈な音と共に叩き込まれる。
「はっ!」
続いて、対するデモンファイターは反撃のグーパンチを打ち返すと、シャーロットが再び逆水平!
早々に大技を出さず、まずは軽い打撃の打ち合いによる様子見で戦うと言う超人プロレスのセオリーを守りつつ、会場を暖めていく。
「仕掛けさせてもらうぞ……!」
それから少しの打ち合いを演出した後、デモンファイターがシャーロットの腕を取り、ロープへと振る。
勢いよくロープに跳ね返されたシャーロットを待ち受けていたのは、右腕が真っ赤に燃えた状態で構えを取るデモンファイターの姿が!
「ふんッ!」
そして竜技で右腕に宿したドラゴンパワーラリアットが炸裂すると、一回転しながらシャーロットが吹き飛ばされる。
これには観客からも、あぁっ……と溜息が漏れる。
「……まだまだです!」
しかし、シャーロットは素早く立ち上がり構えを取る事で健在をアピール!
このまま相手の技を徹底して受ける姿勢に、観客が沸き立つ。
それからもデモンファイターの竜技による、ドラゴンパワー・エンチャントを織り交ぜた様々な技が繰り出され、シャーロットを苦しめていく。
そうして彼女が傷付く度に観客から声援が届き、立ち上がる力となる。
「はぁ、はぁ……さすがにやりますね……!」
「まったく大したタフさだな……そこは褒めてやろう。だがそろそろ終わりだ」
ひたすら受けに徹したシャーロットもそろそろ限界が近いはず。
ならばトドメの一撃をくれてやろうと、デモンファイターが右足にドラゴンパワーをエンチャントし……飛んだ!
「……見えた! ここです!!」
デモンファイターのドラゴンジャンピングニーが直撃する次の瞬間。
シャーロットは一瞬のチャンスを見切り、燃え盛る右足を……掴んだ!
「……ッ!?」
「火事場のマイティパワー……全開! ちぇすとぉぉぉーーーっ!!」
そして、怪力をフルに生かしてデモンファイターを投げ飛ばす!
大きく縦に回転しながら高く投げ飛ばされたデモンファイターは場外へ落ちていき、激しい激突音を立てて盛大に頭から朱雀ドームの地面に突き刺さった。
奇しくもEWF道場初日でギガントーとのスパーリングで見せた、あの時とほぼ同じ状況での決着である。
……かくして第二試合はシャーロットが劣勢からの逆転場外KOで勝利し、観客も大興奮と言った様子であった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
『盛り上がり重視』です?
更に不向きな条件が追加された様な。
【耀衣舞】を発動し『光の結界』を形成、[結界術]で調整し『体の形に合わせた、淡く輝くオーラ』の様な状態にしますねぇ。
外見的にはかなり特徴的ですし、これで『客の意識を引く』ことは出来るでしょう。
本来なら速攻を狙う相手ですが、敢えて最初は防御重視のパフォーマンス、掴まれ無い様注意しつつ必要なら離脱方向への『光速突進』、打撃は『結界』と剣術を応用した体術で受け流しますぅ。
折を見て『アッパーカット』の体勢から上方へ『光速突進』し相手を打ち上げ、[2回攻撃]で僅かに横へ突進、ベクトルを変え相手のみ場外に吹き飛ばしますねぇ。
●第三試合・夢ヶ枝・るこるvsデモンファイター三号
さて、ここで少しだけ時は遡る。
入場前、控室での事――
「盛り上がり重視です?」
トレーナーのアドバイスを聞いたるこるが首を傾げるように聞き返した。
一応、EWFのプロレスについての講習も受け『基本は相手の技を受ける事で、相手の良さを引き出し、観客にも印象を与えられる』とは学んだのだが……どうにもピンと来ない様子だ。
「ああ、要はお客さんを楽しませる事が出来ればいいんだ。難しく考えなくとも……」
「うぅーん……更に不向きな条件が追加された様な……」
るこるは考える事が急に増えて頭を悩ませる。
今回のようなエンターテイナー的要素も要求されるのは初めての経験だ。
しかも今は時間的余裕がない事もあって割と緊急事態である。
もし試合が盛り上がりに欠ける事になってはと思うと、責任は重大だ。
……そして時は戻り、今。
(そう言えば、試合前にパフォーマンスをしていたりもしていましたねぇ)
リングに上がったるこるは、先の試合で戦った仲間の事を思い出す。
自分も似たような事をすれば、ひとまず何とかなるかもしれない。
そう思ったるこるは自身のアナウンスを受けた直後、『豊乳女神の加護・耀衣舞(チチガミサマノカゴ・カガヤクコロモノマイ)』で自身の体の形に合わせた、淡く輝くオーラを纏うと同時にアピールを行い、観客の目を一気に引く事に成功する。
ひとまずはこれで何とかなるだろう。
「ふん……見た目は派手なようだが、果たして腕の方はどうかな?」
一方で、明らかにるこるの事を侮っているであろうデモンファイターが、上から目線で呟く。
まるで負ける気がしないと言った感じの様子である。
「ファイッ!」
「キエェェェァッ!」
ゴングが鳴り、第三試合が始まった。
まずデモンファイターが右足にドラゴンパワーをエンチャントすると、素早いキックのコンビネーションでるこるを攻撃する。
(本来なら速攻を仕掛けたいですけど、基本は受けですからね)
EWFのプロレスのセオリーを思い出し、るこるは脚技の数々を結界と剣術を応用した体術で次々と華麗に受け流す。
カンフー映画を彷彿とさせるようなアクションに、観客の視線は釘付けだ。
「む、どうやら見かけよりもやるな……ならば!」
このままでは蹴りは当たらないと踏んだデモンファイターが、るこるの腕を取ろうと両腕を伸ばす。
が、ここでも彼女は耀衣舞による光速移動で素早く別方向へと逃れた。
まるで瞬間移動である。
「ええい……ちょこまかと!」
デモンファイターはるこるの逃れた方向へ踏み込むと、連続打撃攻撃を再開する。
もちろんるこるはただ向こうの攻撃を受けてばかりだけではなく、時折飛んできた腕或いは脚を取り、柔道か合気道のごとく投げ返すと言った反撃で観客を沸かせる。
……そんな攻防が幾らか続いた後、そろそろ頃合いだと見た彼女が仕上げに入る。
「この、いい加減沈めッ!」
「……ここですぅ!」
「な……グワーッ!?」
ショートレンジラリアットを決めようと腕を振るった瞬間を狙い、るこるがアッパーカットの体勢から上方へ光速突進し、相手を打ち上げる!
そのまま打ち上げられたデモンファイターを追うように、るこるが飛翔!!
僅か数秒で相手と同じ高度に上がったるこるが懐に飛び込むと……
「せーのっ……どっかーん!」
「ウオォォォォー……ッ!」
肩からぶつかるような体当たりで遥か場外へと吹き飛ばす!
そのままデモンファイターは朱雀ドームの壁に叩き付けられ、人型の穴が開いた。
なんたる威力か!
そしてこの一撃が決め手となり、るこるがKO勝ちを掴む事となった。
因みに彼女が危惧していた『観客は楽しんでもらえたかどうか』についてだが……決着の直後に沸き上がった歓声を聞けば、答えは言うまでもないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
笹乃葉・きなこ
●POW/アドリブとかお任せ
(ケモキマイラ状態で)
飛び入り失礼するんだべぇ♪
ん?DEFのスケットかって?
のんのん♪おらはEWFの助っ人なんだべ♪
とりあえず、ワザとスキを作って相手からの攻撃を誘惑するんだべ
攻撃を受けつつ野生の勘を使って、タイミングを見て相手の攻撃をつかむ
そこから反撃開始だべ
サブミッションとか、間接技決めてみるか
投げ始めて、投げている奴を武器扱いにして更にぐるぐるしたり、あっ安心してほしいのは殺さないからな殺したら負けちまうからな
掴んてる相手が伸びたらスロープ外へぽーいっと
自分がぶっ飛ばされてスロープ外に出たら、ユーベルコードを使ってリングにもどるべ
あ、でもこの行為って、大丈夫?
●第四試合・笹乃葉・きなこvsデモンファイター四号
「それでは、第四試合を……」
第三試合後のインターバルタイムを挟み、リングアナが第四試合の開始を告げようとした時であった。
花道をダッシュで駆け抜け、颯爽とリングインするケモキマイラの姿をした謎の乱入者――笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)が現れたではないか!
「飛び入り失礼するんだべぇ♪」
「む、飛び入り参戦か? 君はどっちの味方としてやってきたんだ? DEPか?」
やってきたきなこに対し、レフェリーが冷静に尋ねる。
この世界において競技中の飛び入り参戦は認められており、彼女もおそらくは助っ人としてやってきたのだろう。
……だが、そうなると問題なのは『一体どっちの味方なのか』だ。
「ん? DEPのスケットかって? のんのん♪ おらはEWFの助っ人なんだべ♪」
「君はEWFだな、よし分かった」
猟兵であるきなこは、もちろんEWFの助っ人としてやってきた事を伝える。
それを聞いたレフェリーは頷き、リングアナに耳打ちをすると……
「……えー、ただいま飛び入り参戦としてEWF側に助っ人がやってきた模様です。従って、このままDEPの選手が入場を終え次第、第四試合を始めたいと思います」
リングアナがきなこの参戦を伝えるや、新たな戦士の登場に沸き上がった。
このようなサプライズも、彼らは大歓迎なのであろう。
「さあ、どっからでもかかってくるがいいべ」
「ぬぅッ、奇妙な奴め……!」
ゴングが鳴った直後、きなこが両手を広げて挑発する。
妙に隙だらけなのが気になるが、まずは小技を駆使して攻めようとデモンファイターは竜技でドラゴンパワーを両腕に集め、エルボーやチョップ、ナックルアローなどの打撃技をきなこへ叩き込む。
「……どうだ、どうだッ!」
「あたた……なかなかいい攻撃だべな。んじゃ、おらもそろそろ反撃といくべか」
しっかり相手の攻撃を受けつつも、きなこが野生の勘を生かして相手の腕を取ると、ショルダーアームブリーカーで腕にダメージを与えて怯ませた直後、素早く背後に回って両手を取り、サーフボードストレッチで反撃!
「そぉら、おらの関節技の味はどうだぁ?」
「ぐ、ぐうぅぅぅ……ッ!」
きなこの思わぬ反撃に悶絶するデモンファイターだったが、気合でどうにかロープブレイクに持ち込む。
この時、相手は奇妙な見た目でも油断ならない奴だと思った事だろう。
……それから激しい攻防が何度か繰り広げられた後、試合が動き出した。
デモンファイターが強烈なドラゴンドロップキックで、きなこを場外に吹き飛ばしたのである。
このまま彼女は観客席を隔てる鉄柵に叩き付けられてしまうのか?
(さて、この辺りが頃合いだべか。そろそろ決めるとするべ)
吹き飛ばされつつも冷静なきなこは『笹乃葉式気功術(ササノハシキキコウジュツ)』で未知の生体エネルギーを掴み、引っ張られるような勢いでリングへと戻っていく。
そのまま弾丸のようなスピアーが……デモンファイターの腹部に直撃!
因みに『この笹乃葉式気功術はルール的に大丈夫か』と言う疑問が彼女の中にあったようだが、遠距離攻撃を行わないのであれば特に問題はないため、実際セーフである。
「うぐぉッ!?」
突然のスピアーでデモンファイターの体勢が崩れたところをきなこが腕を取り、そこからハーフハッチスープレックスでリングに叩き付ける。
「そーら、捕まえたべー」
「アーッ!? ヤ、ヤメローッ!?」
更に腕を掴んだまま、きなこがデモンファイターを空中でぶんぶん振り回す!
打撃、投げ技の後に三半規管をも攻めるえげつない攻撃だ!!
「……んー、これくらいで十分だべか? ほい、ぽいっちょ♪」
そしてそのまま、きなこは相手をリングの外に放り投げる。
すぐさま場外のカウントが始まるが、これまでのダメージに加えて目を回して動けないデモンファイターはそのままリングアウト負けとなるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
メリッサ・ウェルズ
さて、いよいよ本番だね
決着はリングの上でつけてあげるよ!
リングインと同時にロープを使ってハイジャンプからのドロップキックで奇襲して着地
その後はMCで挑発しつつ、相手の攻撃を受け止めよう
たいしたことないね、とか、こんな小娘にやられて恥ずかしくないの、とか
ちょっぴりフェミニンなアピールもしたりしつつ
指をくいくいっと
その後はしばらくどんな攻撃だろうと立ったまま受け止めるよ
吸血鬼式超人格闘技で鍛えた肉体は、多少のダメージではへこたれない!
それで終わり?と十分に受けた後は
受け止めて捕まえて担ぎ上げてハイジャンプ!
くらえ、必殺の!【天空落下式吸血鬼落とし】
アルティメットヴァンパイアバスターーーー!!
●第五試合・メリッサ・ウェルズvsデモンファイター五号
「いよいよ第五試合、DEPのデモンファイター五号は既にリングインしておりますが、対するEWF側はまだ……あ、やってきました! メリッサ・ウェルズ選手がダッシュで花道を駆け抜けるー!」
実況席でアナウンサーが熱く叫ぶ。
相手より少し遅れるような形で、メリッサがダッシュからロープを使ってハイジャンプし……ドロップキックをデモンファイターに叩き込んだ!
この奇襲攻撃リングインには観客も『おぉ……!』とどよめく。
着地直後、すぐさまメリッサがマイクを寄越すよう合図すると、近くにいたリングアナが慌ててマイクを手渡す。
「DEPの精鋭と聞いてたけど、思ったよりも大した事ないね? しかもこんな小娘にやられて恥ずかしくないの?」
メリッサのマイクパフォーマンスによる挑発が炸裂!
これには観客席からも『いいぞー!』や『やっちまえー!』と煽りが飛ぶ。
「悔しかったらボクに勝ってみせなよ? 男なんでしょ?」
指をくいくいっとしつつ、更なる挑発を見せるメリッサ。
プロレスの盛り上げ方をよく理解しているムーブだ。
「これは痛烈なマイクパフォーマンスだ! おっと、デモンファイター五号が立ち上がった! メリッサ選手の奇襲と挑発に怒り心頭の様子です!!」
実況の通り、怒りが収まらないと言ったデモンファイターが直ちに襲いかかる。
レフェリーの合図ですぐさまゴングが鳴らされると、第五試合が始まった。
「さあ開始早々からデモンファイター五号の激しいラッシュだ! 竜技によるドラゴンパワーでその威力は倍増していると聞きますが、これはまともに喰らいたくない!」
最初の奇襲と挑発がよほど頭に来たのか、デモンファイターの怒りの打撃技が嵐のごとくメリッサに叩き込まれる。
その様は、まるでサンドバッグだ。
「くっ……もっと打ってきなよ! そんなんじゃボクは倒れないよ!」
だが、メリッサは立ったまま打撃技の嵐を逃げずに受け止める!
竜技によるドラゴンパワーの威力は確かで、体に受けるダメージはかなりの物だ。
「しかしメリッサ選手、全力で受け止めていく! 小柄な体だと言うのに、その堅牢さはまさに鉄壁! これが吸血鬼式超人格闘技の凄さなのかー!!」
彼女のタフさに、アナウンサーもマイクを握る手に力が入る。
あれだけの打撃技をまともに喰らえば大怪我は必至だと言うのに、全くへこたれない強さに観客も息を呑むしかない。
「デモンファイター五号、今度はメリッサ選手を掴みにかかる! 打撃ではダメだと悟って投げ技に出たかー!?」
……あれからどれだけ一方的な打撃の嵐が続いただろうか?
いくら打ち込んでも倒れないなら、今度は投げ技で沈めてやろうとデモンファイターが組み合い、力でメリッサをねじ伏せようとするも……
「……それで終わり? さあ、ここからはボクの時間だよ!」
彼女の目に炎が宿ると、爆発的なパワーで相手のロックアップを解いた!
「受けてみろ、ダイナミック泰山先生直伝のぉ!」
「こ、この技は!? かのダイナミック泰山の得意技、スモウチョップだー!」
体の質量その物を腕の一点に込め、体当たりするように打つスモウチョップが一発、二発と叩き込まれる!
往年の名レスラーの技に、当時を知るアナウンサーも大興奮だ。
そこから体勢が崩れたチャンスを逃さず、メリッサが逆に掴みかかる。
「とぁーっ!」
そのまま相手を担ぎ上げてハイジャンプ!
そして……!
「くらえ、必殺の! アルティメットヴァンパイアバスターーーー!!」
体勢を空中で変え、リングに『天空落下式吸血鬼落とし(アルティメット・ヴァンパイア・バスター)』が突き刺さる!
……技が決まった後には、白目を剥いてドサリと崩れ落ちるデモンファイター。
直後、ゴングが鳴り決着が付いた。
「これが吸血鬼式超人格闘技の力だよ!」
ビシッと勝ち名乗りを上げるメリッサ。
トドメは派手な必殺技でのフィニッシュに、観客も大満足であった。
大成功
🔵🔵🔵
山神・伊織
格闘家が相手ですね。なら、こちらもマイクパフォーマンスを仕掛けて、青龍拳で打撃勝負を挑みましょう。まさか、勝負から逃げたりしないですよね?
とはいえ、打撃勝負と言ってもプロレスですから、攻撃は避けません。打って、打たれてを繰り返しましょう。
相手の打撃は身体の丈夫な所で受け止め、逆に相手の身体に鋭い蹴りを叩き込んでいきますっ!
その打撃戦で優位を取って、相手の大技を誘います。そして、繰り出される相手の連続攻撃に割り込むような形で、必殺の青龍連撃を決めてみせます。連続技なら、青龍拳の右に出る者はいませんっ!
鋭い回転蹴りの連打から、顎をカチ上げる掌底アッパーでフィニッシュです!
●第六試合・山神・伊織vsデモンファイター六号
「……見たところ、あなたも私と同じ格闘家のようですね。ここは一つ、打撃勝負といきませんか? まさか、勝負から逃げたりしないですよね?」
試合開始前、伊織はリングアナからマイクを借りると、相手に対し挑発しつつも一つの提案を行う。
一種のルール変更的な物と見ていいのだろうか。
「……お前も俺と同じ、戦士の匂いがするな。いいだろう、その話に乗ろう」
対するデモンファイターも、同じ格闘家の血が騒いだのだろうか。
伊織の提案にあっさりと乗った。
超人プロレスにおいて試合開始前に選手からルール変更の提案があった場合、相手側もその条件を了承すれば変更が認められる事となっている。
今回はKO決着による打撃勝負と言う形でルールが変更されたようだ。
「えー、EWF側、山神・伊織選手の試合ルール変更の提案をDEP側、デモンファイター六号選手が受諾したため、第六試合は『徒手空拳一本勝負』となります」
そして試合ルールが変わった事をリングアナが告げると、観客から歓声が沸く。
激しい戦いが見られれば、彼らは大歓迎と言った様子だ。
かくして戦いの準備が整い、第六試合が幕を開ける……
「……おぉぉぉぉーッ!」
「……はぁぁぁぁーッ!」
叫びと共に、双方が鍛えに鍛えた拳と脚による打ち合いを繰り広げる。
ここだけ見れば超人プロレスではなく、超人空手の試合にも見える事だろう。
だが、この試合はプロレスの延長上……互いが攻撃を避ける事なく全力で受け止め、激しい打撃音だけがリングの上に響き渡る。
(少しでも油断したら意識を持っていかれそうになる威力……なかなかやりますね)
デモンファイターが竜技によるドラゴンナックルを、伊織が龍尾脚をそれぞれ叩き込み、一進一退の攻防戦が続いていく。
伊織は意図して、自身の丈夫な箇所である腹部へ拳を打ち込ませてはいるが……ドラゴンパワーの宿ったパンチは重く、鋭い。
それでも、根っからのファイターである彼女の表情はどこか楽しげだ。
「フフ……さすがに出来る……!」
対するデモンファイターも伊織のタフさと龍尾脚の威力に感心した様子である。
例えダーク化しても格闘家、純粋に強い相手と戦える事が嬉しいようだ。
まさに拳で語り合う、そんな状態と言えよう。
「ふっ、はっ、たっ……!」
そして膠着状態にあった試合に変化が訪れた。
伊織が少しずつ、試合の優位が彼女に傾き始めたのだ。
デモンファイターは知る由もあるまいが、伊織は生まれ故郷のシルバーレインで若き日から青龍拳士として、ゴーストと幾度となく戦い続けてきた過去があった。
それ故、戦いの駆け引きを向こうよりも熟知していると言ってもいいだろう。
「ぬぅッ……このままでは……ならばッ!」
一方のデモンファイターも己の不利を悟ったか、一か八かの勝負に出る。
向こうが連続攻撃ならば、こちらも手数で攻めるのみ……ドラゴンラッシュ・コンビネーションで一気にケリを付けようと、捨て身の一撃を敢行する。
竜技は敗北の危機に瀕するほど、その威力を更に倍増させる事から一発逆転を狙おうと言う魂胆だ。
……だが!
「見切ったッ!」
相手が踏み込み、ラッシュを仕掛けようとしたところへ割り込むかのように伊織の『青龍連撃(セイリュウレンゲキ)』、最初の一撃である龍尾脚がクリーンヒット!
鋭い回転連続蹴りの嵐が次々と叩き込まれる。
「龍顎拳、奥義……ッ!」
そこから大きくよろめいたデモンファイターへ、トドメの顎をカチ上げる掌底アッパーが直撃!
下から突き上げられる衝撃で大きく打ち上げられると、相手はマットに沈んだ。
KOである。
「……デモンファイター六号、ノックアウト! 勝者、山神・伊織!」
レフェリーが決着を告げると、観客からは大きな歓声が沸く。
時間にして僅か数分程の激しい戦いではあったが、バチバチにやり合う全身全霊のファイトに彼らも魅了されたのは間違いないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
いよいよ、本番、ですね。
気を引き締めて、行きましょうっ
会場の、少し高い所に登場して、そこから〈空中浮遊〉で
会場を一周、ゆったりとリング上に、降り立って、一礼、します。
小さいからといって、舐めないでください、ね?
一通り、技をやり取りしたら、クライマックス、ですね。
まずは相手の技を、受けます、が…
再度〈空中浮遊〉等で、威力を少しでも相殺しつつ、大げさに、飛ばされたりとか、します。(強いダメージを受けている演出込)
全部、受けきれたら、今度は、こちらの、番です。
わたしの、決め技、しっかり、味わってください、ねっ
(UCで投げ飛ばし、その後に肩とか肘を極めつつ、降参しないならもう一度投げで頭から落とす)
●第七試合・アニカ・エドフェルトvsデモンファイター七号
リングアナが第七試合の開始を告げた直後、突然スポットライトが朱雀ドームの高い場所……試合の様子を映し出す大型ビジョンの上の辺りに向けられる。
そこにはポーズを決めたアニカの姿があった。
そのまま彼女がジャンプすると空中浮遊をしながら会場を一周し、ゆったりとリング上に降り立って一礼する。
初手から派手な登場演出に観客の目も釘付けと、掴みはバッチリだ。
「派手な登場をしたかと思えば……こんな小さいのが俺の相手? 全く……」
降り立ったアニカを見て、デモンファイターが呆れたように溜息を一つ。
どう見てもまともに戦える力すらないと侮っているのが丸わかりだ。
「小さいからといって、舐めないでください、ね?」
対するアニカは一歩も退かない覚悟で相手の目を見る。
侮られたままで終われないと言った様子だ。
きっとこの試合はDEPの一方的な試合となる……誰もがこの時はそう思っていた。
「この俺は誰が相手でも容赦せん!」
ゴングが鳴らされた直後から、早々にデモンファイターは打撃技や投げ技、寝技に絞め技などを組み合わせた連業でアニカを襲う度にブーイングが飛ぶ。
対するアニカも得意とする蹴り技で、ローキックや水面蹴りなどで反撃を行い、やられっ放しではない事を見せていくと観客から応援の声が届く。
生まれ故郷の闘技場とは違い、今この瞬間は観客全員が彼女の味方だ。
(これが、超人プロレス、想像以上、です……)
超人プロレスが思った以上にハードな物であるとアニカが痛感する。
技を受ける度に体が軋み、痛みで悲鳴が出そうになるが『相手の技を受け切る事が観客を楽しませる第一歩である』と学んだ以上、ここは全力で耐えるしかない。
……そうして一通り技をやり取りを何度か済ませた辺りでの事であった。
「ふぅんッ!」
「あ……っ!?」
そろそろ試合を終わらせようと、アニカを掴んだデモンファイターが腕を極めつつ、一本背負い気味に投げ飛ばす。
小さく軽い彼女は大きく投げ飛ばされ、ズダンとマットに叩き付けられてしまう。
そして大きなダメージを受けたのかアニカが動く様子はない……万事休すか!?
「思ったよりも頑張ったが、それだけだったな」
やれやれと言った様子のデモンファイターがアニカに背を向ける。
そこへ、背後から声が聞こえてきた。
「……今度は、こちらの、番です」
「何ッ!?」
ダウンしたはずのアニカがゆらりと立ち上がったのを見て、デモンファイターが驚愕する。
今の投げで大きなダメージを受けたはずではと思った事だろうが、あの時投げられた直後に空中浮遊で上手く姿勢を制御しつつ、威力を少しでも相殺した状態で『大きく吹き飛ばされ、大ダメージを受けたような演出』を行っていたのだ。
多少なりともダメージはあったが、この程度で倒れる程アニカはヤワではない。
「く、しぶとい奴め……今度こそ」
「ずっと、やられたまま、終われませんっ」
デモンファイターの攻撃を小さな体を生かして掻い潜って背後を取ると、アニカが『転投天使(スロゥイングエンジェル)』でバックドロップを叩き込む!
頭を強打し悶絶する相手に対し、更なる追撃としてチキンウイングアームロックで締め上げ、苦しむデモンファイター!!
「わたしの、決め技、しっかり、味わってください、ねっ」
思わぬアニカの逆転劇に観客が湧く。
あれだけ小柄な少女が相手を苦しめるなど、一体誰が予想したであろうか?
「さあ、降参、します、か?」
「ま、まだだ……ッ!」
「なら、仕方ない、ですっ」
相手が降参の意思を示さないと知るや、アニカが再度相手を背後から持ち上げ……頭から落とした!
なんたる容赦のなさか!!
「グワーッ!? わ、分かったッ、お、俺の、俺の負けだ!」
そして、これ以上やられてはかなわないとデモンファイターがギブアップする。
このアニカの大勝利に、観客からは惜しみない拍手と歓声が寄せられたと言う。
大成功
🔵🔵🔵
花走・りな
プロレスはショーでもあるなら
たぶん、レースでありライブのようなもの
練習の疲れがないわけじゃないけど、これぐらいがちょうど良いのかも♪
よしっ、盛り上げていこー☆
元気にリングイン
まずは練習で覚えた事を元に受けと攻撃
盛り上がり具合を見ながら
UC【ディスティニーホース】使用
オーラ状態の馬が客席を跳ね駆け回ったあと
りなと合体、オーラを纏い覆面を被る
馬の跳躍力をその身に宿しデモンファイターの頭上を飛び越えリングのポールに乗る
隙を見せたね☆
それじゃあ行くよ♪空中殺法!
※アドリブ歓迎
●第八試合・花走・りなvsデモンファイター八号
「花走さん、そろそろ試合が始まります。出場の準備をお願いします」
「んっ、いよいよわたしの出番だね。よーし、やるぞー!」
仲間達が次々と勝利を重ねていく中、いよいよ出番がやってきた事を運営スタッフから告げられると、りなが椅子からバッと立ち上がって選手控室から出ると、試合会場に通じる廊下を進んでいく。
遠くから第八試合が始まるアナウンスが聞こえる中、彼女は昨日まで行ってきた地獄のトレーニングの事を思い出していた。
(プロレスはショーでもあるなら、たぶん、レースでありライブのようなもの……練習の疲れがないわけじゃないけど、これぐらいがちょうど良いのかも♪)
地獄のトレーニングは確かに過酷だったが、体を動かす事が大好きなりなからすれば、疲れるけど楽しかったと言う感想が真っ先に出てきた程だ。
体に残る心地よい疲労と共に廊下から花道へと出ると、観客が次の試合を今か今かと待ち受けている様子であった。
「よしっ、盛り上げていこー☆」
プレッシャーなどどこ吹く風とばかりに、りなが颯爽と花道を駆け抜ける。
そして四角い戦場へ元気に、かつ軽やかな動きでリングイン!
今ここに、彼女の超人プロレスデビュー戦が幕を開けようとしていた。
「我々はここまで負け続きだが……せめてここで一矢報いてくれる!」
向こうにもプライドがあるのか、デモンファイターが闘衣で身体の内から溢れる闘気を纏った真の姿に変身する。
小細工無しの全力ファイトスタイルだ。
「おっと、その姿……いわゆる勝負服って奴だね☆ それでこそ!」
それを見たりなも、真面目な表情で構えを取った。
そのままゴングが鳴らされ試合が始まると、りなはまずセオリー通り相手の技を受ける事から始める。
受けはトレーニングで再三行った事ではあるが、相手は最初から全力と言う事もあり一発一発がとにかく重い。
「なかなかやるね! 今度はわたしの番だよ☆」
全身がバラバラになりそうな痛みに耐えつつ、りなも反撃に転じる。
自身が挑戦している非公式競技・近代五種から水泳の飛び込みを応用したフライングクロスチョップや、フェンシングの踏み込み接近から地獄突きと言った、己の得意分野をフルに生かした技に観客の反応も上々だ。
「……思った以上にやるようだな」
「あなたもね☆ じゃあ、もっと面白い技を見せてあげる!」
りなが右腕を挙げ、パチンと指を鳴らすと観客席に『ディスティニーホース』で召喚されたオーラ状態の馬が現れ、その場を跳ね駆け回りだしたではないか。
馬そのものはオーラ状態なので実体はなく、観客に危険性はないが……これには彼らも驚くしかない。
「う、馬!? 何故ここに……」
驚愕するデモンファイターを尻目に、オーラ馬がリングの中へと大ジャンプで飛び込んでくると、りなと……合体!
「さぁ、一緒にトップ……じゃなくて、ここは勝利を目指そう!」
その身にオーラを纏い、覆面を被ったりなが馬の力をエンチャント。
デモンファイターの頭上を飛び越えリングのポールに飛び乗った。
「はッ、いつの間に……」
「隙を見せたね☆ それじゃあ行くよ♪ 空中殺法!」
りなはルチャのような機動力で空中から掴みかかると、相手の体を這うような動きと共にマットへ叩き付けるように投げた後で再度跳躍し、ロープをバネにして飛ぶと同時にムーンサルトプレスで追撃!
彼女の華麗な空中殺法を前に、観客の視線も釘付けだ。
「こ、この俺が……手玉に取られるなど……ぐはッ!?」
そこから防戦一方となりつつあったデモンファイターの戦意に綻びが生じ、闘衣が消滅すると今まで受けたダメージがまとめて帰ってくる。
今がフィニッシュチャンスだ。
「それじゃ、これでトドメっ☆」
りなが飛び、両足を相手の頭に挟み込むとウラカン・ラナでフォール。
「ワン、ツー、スリー!」
そしてそのまま3カウントフォールが決まり、りなが超人プロレスのデビュー戦で見事な勝利を掴むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ベルナデット・デメジエール
おーっほっほっほ!
トレーニングでは目立ちませんでしたが、
高貴なる者の力は実戦でこそ輝きましてよ!
わたくしの美しき闘い、とくとご覧あそばせ!
(なおトレーニングでは泣き言ばかりだった模様)
まずは試合開始前のパフォーマンスに見せかけ、こっそり水の魔力によって防御力を高めておきますわ
試合が始まってしばらくは一方的に攻撃を受け続けて不利な展開を演出しますが、
実際のダメージは蚊に刺されたようなもの!演技をしながら耐えますわ
相手に疲れが見え始めたらお遊びはおしまい、
ここからはわたくしの華麗な逆転タイムでしてよ!
これまでの無礼な仕打ちのお返しに関節という関節を極めてあげますから、覚悟なさって!
●第九試合・ベルナデット・デメジエールvsデモンファイター九号
「おーっほっほっほ! 高貴なる者の力は実戦でこそ輝きましてよ!」
試合開始前、ベルナデット・デメジエール(孤高なる夜の女王(自称)・f28172)がマイクを手にするや、早速相手に向けて挑発を行う。
彼女もまた、EWFのトレーニングに参加していた猟兵の一人である。
「わたくしの美しき闘い、とくとご覧あそばせ!」
この試合を中継しているであろうカメラに視線を向け、画面の向こうにいる視聴者にもアピールするベルナデット。
彼女はパフォーマンスと言う物をよく理解していて、観客からも歓声が沸くなど掴みは順調……だったのだが。
一週間前に参加したトレーニングは、それはもう文字通り地獄であったと言う。
あまりの過酷さに泣き言ばかりでトレーナーからよく叱られ、同じ地獄を共にした練習生達と意気投合(?)しつつ、それでもなんとか耐え抜いてようやく試合出場が認められたのだとか。
(い、今の内に試合中は出来るだけ痛みがないよう防御力を高めないと……!)
そして今やっている試合前のパフォーマンスの裏で、『トリニティ・エンハンス』を用いて、自身の防御力を出来る限り上げる事も忘れていなかった。
表では高貴な吸血鬼として振舞っていても『割と詰めが甘いく打たれ弱い』上に『実は小心者で泣き虫』と言う内面がある事から、実際に試合で戦っている最中ボロが出てしまいかねないためである。
色々と不安な点はあるが、ベルナデットはこの戦いに勝利する事が出来るのか?
「さあ、どこからでもかかっていらっしゃい!」
ゴングが鳴り、試合が始まるとベルナデットは早速相手を手招きし、挑発する。
もちろんそのスタイルはひたすらに高貴だ。
「……行くぞ!」
対するデモンファイターが竜技でドラゴンパワーを腕や脚に宿すと、早々に容赦のない攻撃が次々と叩き込まれる。
いくら受けの練習を十分に重ねていたとしても、体に受ける痛みとダメージは相当な物だ。
(……よし、ダメージは蚊に刺された程度で済んでるわ。後はこのまま……)
だが事前に防御力を高めていたベルナデットが受けるダメージは、まるで大した事がなかった。
もしも防御力を固めていなければ、相手の攻撃を二、三発程度受けた辺りでボロが出て、情けない姿を晒す事になっていたであろう。
「くっ、うぅっ……きゃぁっ!?」
そこから意図的に一方的に攻撃を受け続け、不利な展開を演出。
更に演技を織り交ぜる事で、観客から応援をもらうしたたかさを見せていく。
「ふ、ふふ……わたくしはまだまだ……立てますわよ?」
「くっ、あれだけ痛め付けたと言うのにまだ倒れんのか!?」
それから暫くの間、激しい攻撃を叩き込み続けてきたデモンファイターであったが、いよいよもって疲労の色が隠せなくなってきたようだ。
一方のベルナデットは受けと演出で多少疲れた程度と、体に受けたダメージは軽微なままである。
「さあ、お遊びはおしまい、ここからはわたくしの華麗な逆転タイムでしてよ!」
ここが頃合いだと見たベルナデットがいよいよ反撃に転じる。
疲れで動きが鈍ってきた相手をボディスラムで投げ倒すと、まずはハーフボストンクラブで左脚を狙う!
「グ、オォッ……!」
「これまでの無礼な仕打ちのお返しですわ!」
それだけでは終わらず、一瞬技を解こうと見せかけてから素早く足四の字固めに移行、更にそこから倒れ込んで膝十字固めで相手の脚を執拗に極めていく。
ベルナデットの猛反撃に観客も大興奮だ。
「受けた痛みは倍返し……さあ、覚悟はよろしくて?」
そして膝十字固めから体勢を変えると、ロメロスペシャルで吊り天井に!
容赦の無い関節技のラッシュを受けてデモンファイターも心が折れたか、レフェリーの確認にギブアップを口にするしかなかった。
「おーっほっほっほ! これがわたくしの実力でしてよ!」
最後までボロを出す事なく勝利した後、ベルナデットは高笑いしながら勝ち誇るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
松井・一朗
ガハハッ!オレだぜっ!!マツローだっ!!!
レスリング用に用意してもらったコスチュームに、学ランマントを羽織って登場するぜっ!!
見ろっ!!巨人野球で鍛え上げた、この鋼鉄の肉体に宿るスーパーヒーローの超パゥワァッ!!
行くぜっ!!オレの
新たな力っ!!名付けて……
スーパー・ベースボール・バスター改っ!!!!
相手を掴み上げると同時に黄金のオーラを全身に纏い、8800㎞/hで天高く飛び上がりっ!!巨人の闘魂の熱き炎と共にマットへ叩きつけ大爆発だっ!!
プロレスのリング上であろうとっ!!
このオレ自身がっ!!!
野球だっ!!!!
『ワアアアアアッッッ
!!!!!!』
●第十試合・松井・一朗vsデモンファイター十号
「お、おい……アレを見ろ!」
「あっ、あそこにいるのは……マ、マツロー!?」
「まさか超人プロレスにも参戦してきたのか!?」
第十試合のアナウンス直後、花道を進む猟兵の姿にどよめきと共に観客席からの視線が集中する。
超人スポーツを知っているなら、その名を聞いた者は多いであろう高校球児。
アスリートアース野球界のスーパーヒーローと呼ばれる、マツローこと松井・一朗(巨人の野球選手にしてスーパーヒーロー「マツロー」・f37855)だ。
その背の高さから見ても分かる通り、彼は巨人の種族なのだが……猟兵は様々な世界の住人にその姿の違和感を持たれない事から『超絶に背の高い人間』と認識されていて、本人も自身を人間だと思い込んでいるようである。
彼は今回の参戦にあたってレスリング用に用意してもらった特注コスチュームに、学ランマントを羽織ると言う、自身のスタイルを貫いての登場だ。
「……赤コーナー、EWF臨時参戦選手・第六学園所属、松井……一、朗ゥーッ!」
「ガハハッ! オレだぜっ!! マツローだっ!!!」
リングイン直後、リングアナの選手紹介の後に堂々と名乗る一朗。
マイク無しでもよく通る大きな声に、観客から歓声が飛ぶ。
そんな彼を見上げる対戦相手のデモンファイターも、ただ『デ、デカい……!』と驚愕するしかなかった。
「例え誰が相手であれ、戦って倒すのみだ!」
ゴングが鳴った直後、早速デモンファイターが果敢に一朗へと立ち向かう。
竜技によるドラゴンドロップキックを受けると、映画のワイヤーアクションばりに大きく後ろへ吹き飛ばされ、ロープの勢いで跳ね返されると低空ドロップキックで足を払い、転ばせる。
あれだけの巨体を転ばせられるとは、なかなかのパワーだ。
(へへ、いいスライディングだっ! あいつ、野球部にスカウトしてみたくなったぜっ!)
そんな事を考えつつも、一朗が立ち上がる。
「どうした、もっと打ってこいっ!」
「く……デカいだけの奴には負けん!」
相手の規格外のタフさに動揺しつつ、攻め続けるデモンファイター。
時折、一朗も反撃として野球に因んだ技(?)で応えるなど激しい戦いを演出。
この試合は絵的に見て色々と凄い事になっているが……これでもちゃんとしたプロレスとなっており、観客も定期的に声を出して応援していく。
「……なかなかやるなっ! だが、野球もプロレスも最後は逆転サヨナラホームランを決める物、いよいよオレも本気で行くぜっ!!」
そうして、双方ともいい感じに攻防戦をやった後、一朗が堂々と宣言する。
「ハァ、ハァ……お前をマットに沈めてくれる! イヤァーッ!」
一気に畳みかけようと、デモンファイターが飛び掛かった。
「見ろっ!! 巨人野球で鍛え上げた、この鋼鉄の肉体に宿るスーパーヒーローの超パゥワァッ!!」
相手を高速で飛んできた打球のごとく掴み取ると『スーパー・ジャスティス』で黄金のオーラを全身に纏い、飛び上がる!
「ハッ、しまっ……」
「行くぜっ!! オレの新たな力UCっ!! 名付けて……スーパー・ベースボール・バスター改っ
!!!!(※MS注:そんなUCはありません)」
巨人の闘魂の熱き炎と共に、空中からマットへ向けて一朗がデモンファイターを……スーパー・ベースボール・バスター改で投げ付けた!
実際には空中から投げ付けただけであるとは言え、その威力は凄まじく……マット上で大爆発を起こしたデモンファイターが、ボロ雑巾のようにKOしていた。
「見たかっ!! プロレスのリング上であろうとっ!! このオレ自身がっ!!!」
そしてKO勝ちが決まった後、一郎はマイクを使わない魂のシャウト!
「……
野球だっ
!!!!」
野球界のスーパースターが超人プロレスでも魅せてくれた。
その事実を目の当たりにした観客から、大歓声が送られるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『キング・デカスリート』
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POW : アイ・アム・キング
単純で重い【肉体から繰り出される空前絶後】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : キング・ハイジャンプ・アタック
【跳躍からの肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【バーベルをちょっと横に置いておく】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : キング・アンリミテッド・スロー
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【陸上競技用の槍・円盤・ハンマー】で包囲攻撃する。
👑11
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●ラウンド3『現れたダークリーガー! 決戦、キング・デカスリート!!』
デモンファイターとの対抗戦はEWFの連勝、しかも観客は全試合大盛り上がりで終わると言う、非常に理想的な結果となった。
こうなってしまえばDEP側もダークリーガーを投入するしかなくなる事だろう。
「わ、私の精鋭がこうも容易くやられただとッ!? ……おのーれ、おのーれ!!」
自慢の部下達がことごとくやられた事を受け、サタン鏑木がマイク片手に会場内へと戻り、悔しそうな様子で声を上げる。
例え悪役専門団体とは言え、彼らもエンターテイナーと言う事なのか……DEPが大敗した時に聞ける、鏑木の『おのーれパフォーマンス』はダーク化しても健在のようだ。
「かくなる上は……我が切り札、出すしかないようだな! キングよ、来たれい!」
鏑木の言葉と共にDEP側の花道からスモークが噴き上がり、入場曲と共にダークリーガーがやってくる。
ドデカいバーベルを軽々と手にしたまま堂々とした態度で花道を闊歩するダークリーガーこそ、かつて数々の陸上種目のタイトルを総舐めにした、陸の王者と呼ばれたアスリート……キング・デカスリート(以後、キングと呼称)である。
その鍛え抜かれた体からは強者のダークオーラが漂っており、そのプレッシャーは先に戦ったデモンファイター達の比ではない!
「……オレは再び、勝利の栄光を掴むためにここへやってきた。それは超人プロレスであっても同じ事だ。ここでもオレは戦って、そして勝つ」
それから花道を通ってリングへと上がると、セコンドとして付いていた鏑木からマイクを受け取りキングが自らの思いを口にした。
どうやらあまり喋りは得意ではないようだが、とにかく勝ちたいと言う意思だけは間違いなく伝わってくる。
「そして戦うのはオレ一人だけでいい。お前達と一人ずつ、本気で戦おうじゃないか」
「と言う訳だ! だが一戦だけで終わっては面白くあるまい? そこで提案だ……」
上手くキングのセリフに割って入るように鏑木が一つの提案をする。
それはEWFの選手が一人ずつキングに挑んで、全員が勝てばEWFの勝利。
逆に一人でもキングに敗れた場合はDEPの勝ち、と言うルールだ。
聞いた限り、内容的にはEWFが不利だが……
「先程お前達の戦いは裏で見せてもらった。どうやらお前達はオレが本気で戦うに相応しい相手と見ていいようだ。……どうだ、受けるか?」
「彼はこう言っているぞ? よもやここまで来て受けないとは言うまいな?」
キングの本音を上手く利用した鏑木の煽りに観客が湧く。
彼らは向こうに上手く乗せられてしまったようだが、この辺りのコントロールの巧さはさすがと言うべきだろう。
そして、こうなってしまったからには提案を受けるしかないようだ。
「オレはお前達の
健闘に期待するぞ。さあ、真っ向勝負だ」
相当な自信があるのか、ニヤリと笑うキング。
奴はあらゆる競技をこなすスキルがある以上、レスリングのテクニックもかなりの物に違いない。
猟兵はこの強敵をいかにして攻略し、勝利を掴むのか……いよいよ決戦の時だ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
「四肢か内臓を切断、反則負けと引換えに以降の優位を作る」想定が封じられましたかぁ。
徹底して競技との相性が最悪ですねぇ。
等と言いつつ、投げたボールを空中で『刀』で六等分に斬るパフォーマンスで、恐怖と注目を煽りましょう。
【繙壅】を発動、全身を『格闘攻撃無効』の膜で覆い、[結界術]による『光の結界』を重ねて目立ちつつ隠蔽を行いますねぇ。
ルール上、相手も『格闘攻撃』しか出来ませんから、これで全ての攻撃を遮断出来ますし、相変わらず『攻撃手段の制限』が厳しい為『不利な行動』も当て嵌まりますから、身体強化も可能ですぅ。
剣術を応用した『合気』に近い動きで、相手の力を利用し叩きますねぇ。
●第一戦・夢ヶ枝・るこる
(さて、どうした物でしょうか……)
まずは一番手としてリングに上がったるこる早速悩んでいた。
彼女は本来、キング戦において『四肢か内臓を切断、反則負けと引換えに以降の優位を作る』と言う、DEP以上のダーティーファイトを想定していたようだが……向こうのルール提示により、この手は一切使えなくなってしまった。
何せ反則負けでも負けは負け、こちらは一戦も落とせないのだ。
「……徹底して競技との相性が最悪ですねぇ」
ついぼやきが口に出てしまうるこるであったが、ここは正々堂々キングと戦って真っ向から打ち負かすしか手はない。
まずは試合前のパフォーマンスとして用意していたボールを上へと放り投げ、霊刀『純夢天』を抜き、空中で一閃して六等分に斬ってみせると歓声が沸く。
当然だが武器は試合に持ち込めないので、ここだけの出番となるが……
「なるほど、次はオレがこうなる番と言いたい訳か。フフ、面白い」
キングと観客に対するアピール効果としては十分な物となったようだ。
「……ファイッ!」
「フゥンッ!」
レフェリーの声と共にゴングが鳴り試合が始まると、初手からキングが踏み込み強烈なハンマーブローを叩き込む。
単純で重い肉体から繰り出される空前絶後の一撃が、るこるをリングの外へと吹き飛ばすと、あまりの凄まじい攻撃に観客がどよめく。
「こ、これは予想以上ですねぇ……」
「ほう……?」
だが、すぐに立ち上がってみせたるこるに、観客やキングが驚きの表情を見せる。
あれだけの攻撃を受けてしまえば一発KOも已む無しではあるが、戦闘開始前にるこるは『豊乳女神の加護・繙壅(チチガミサマノカゴ・クツガエセシヘイショウ)』で全身を『格闘攻撃無効』の膜で覆い、更には結界術による光の結界を重ね、目立ちつつ隠蔽を行う下準備を済ませていた事もあり、ダメージらしいダメージはほとんど受けていなかった。
「ですが、負ける訳にはいきません。私も全力でやらせてもらいますぅ!」
「フフ、それでこそだ」
るこるが場外カウント3の辺りでリングへ戻ると、キングは攻撃の手を緩めない。
打撃技や蹴り技、時に繰り出されるレスリングテクニックを応用した投げ技などの攻撃を上手く受け、向こうの良さを引き出すプロレスのセオリーを守りつつ、るこるも反撃に出る。
「でぇいッ!」
「はっ!」
るこるはキングの剛腕から繰り出されるラリアットの腕を取ると、そこから相手の力をそのまま返すような、剣術を応用した合気に近い動きでグルンと投げ返した!
「ぬおぉぉぉッ……」
自身の力が直接返ってくるのはなかなかのダメージらしく、キングが悶絶する。
それでもなお、立ち上がって技の応酬を見せつつメリハリのある戦いを繰り広げ……
「……取ったぞ!」
「この時を待っていましたぁ!」
一瞬の隙を突き、キングが抑え込みによるフォールを狙ったところへるこるが体勢を入れ替え、相手の力を利用した逆フォール!
まるで自分自身に押さえ付けられているような感覚に、フォールが返せない!!
「な、返せん……ッ!?」
「……ワン、ツー、スリー!」
そして3カウントが入ると決着のゴングが鳴り、るこるがキングの力を上手く利用する巧みさで一勝目を掴む事が出来た。
「オレとした事が、隙の隙を突かれるとは……おめでとう、まずはお前の勝ちだ」
「あ、はい。対戦、ありがとうございました……?」
試合後、負けたとは言えキングが潔くるこるを称えると、当の本人は少し困惑気味の様子であったそうな。
大成功
🔵🔵🔵
メリッサ・ウェルズ
キングか…さすがラスボスだね
ボクとは身長差もウェイト差もひどいけど…それでこそ超人プロレス
観客にジャイアントキリングの醍醐味を見せてあげるよ!
体格差あるから真面に付き合わない…と思った?
小柄でも舐めないでよね?
正面からでもがっしり受け止めるよ
あとは【吸血鬼式超人格闘技】とキングハイジャンプアタックで勝負
ルチャドーラとして、スピードと空中殺法では負けない
ロープやキングの力さえも活かしてのハイジャンプ
ドロップキックでの往復からの空中蹴りコンボ
多彩な蹴り技の流れからフランケンシュタイナー
最後は背後に回ってキングの腕関節を極めた状態から高角度のスープレックスを叩きこむ!
新技…名前はまだ考えてないけどっ
●第二戦・メリッサ・ウェルズ
「先の試合でお前の吸血……ああすまん、なんだったか?」
「吸血鬼式超人格闘技!」
「おお、それだそれ。オホン……吸血鬼式超人格闘技は見させてもらった。その技を受けるのが楽しみだ」
試合前の睨み合い(?)でキングがメリッサに語りかけた後、ニヤリと笑うも吸血鬼式超人格闘技の名前を覚えきれていない辺りが若干締まらない。
脳筋故のなんとやら、なのだろうか。
(キングか……さすがラスボスだね)
それでもメリッサは相手のプレッシャーを肌でビリビリと感じていた。
実際、向こうと身長とウェイト共にかなりの差があるのは否めない。
しかしこの競技は超人プロレス……埋められない差をひっくり返して逆転勝利を掴む事は決して珍しい訳ではない。
「観客に文字通り、ジャイアントキリングの醍醐味を見せてあげるよ!」
メリッサの気合全開発言に対し、キングはただ黙ってニヤリと笑うだけであった。
これもキングの余裕と言う物なのだろうか。
「ファイッ!」
ゴングが鳴り、第二戦が始まった。
両腕を広げて『どこからでもかかってこい』と言う姿勢のキングに対し、メリッサが……真っ向から組みに行った!
「ほう、オレとやり合う勇気は認めるが……む?」
「体格差あるから真面に付き合わない……と思った? 小柄でも舐めないでよね?」
瞬間、キングの目付きが険しくなる。
あっという間に力負けしてしまうと思われていたメリッサが、意外にもロックアップ状態を維持し続けているではないか。
まさかこれ程のパワーがあろうとは思いもしなかったのだろう。
「まずは小手調べだよ!」
そこから素早くロープに振ると、跳ね返ってきたキングに高い跳躍力でドロップキックを叩き込んだ。
これには観客から『おお……』と歓声が上がる。
「……いいぞ、それでこそオレの相手に相応しい」
続いてキングが立ち上がると同時に踏み込み、反撃のダイビングボディアタック!
あの巨体に似合わず、機動力はかなりの物だ。
「くぅ、思ったより早いっ!? でも、そうでなきゃね!」
「さあ、もっと来い。オレを楽しませろ」
「言われなくても!」
その言葉の後、双方が飛び、空中戦を繰り広げていく。
まるでルチャの試合を見ているのではと錯覚するほどの、機動力を生かした空中技が次々と炸裂。
メリッサはまだしも、巨漢であるキングがあれだけの技を繰り出せる事に観客は驚き、互いの華麗でスピーディーな動きに魅了されていく。
「たぁっ!」
「ぐっ、うおぉッ!?」
やがて試合も後半に差し掛かった辺りでメリッサがロープへ飛んだかと思えば、三角飛びの要領でハイジャンプからドロップキック、更に往復で空中蹴りのコンボを激しく浴びせる。
そこから大きくよろけた辺りで空中から宙返りすると、そのまま両脚をキングの首に絡めてフランケンシュタイナーで投げ飛ばすとキングの巨体が宙に舞い、リングに沈む。
「まさか、これ程とは……」
「もらったぁっ!」
すぐ立ち上がり、反撃に転じようとしたキングの背後に回ったメリッサが腕関節を極めた状態から、高角度のスープレックスを叩き込んだ!
これぞ『吸血鬼式超人格闘技(スーパー・ヴァンパイア・プロレスリング)』!!
「……ワン、ツー、スリー!」
そして蓄積したダメージもあってか、このスープレックスホールド(名称未定の新技)から抜け出せず、キングが3カウントを取られた事でメリッサが勝利した。
宣言通りのジャイアントキリングに観客も大興奮だ。
「よっし、勝ったっ! どうだっ!!」
勝ち名乗りを受けて右腕を挙げるメリッサを見て、敗れたキングは黙ってサムズアップする。
……ナイスファイトだ、と。
大成功
🔵🔵🔵
シャーロット・キャロル
こりゃまた大物が出てきましたね色々と
ですが正義の新人超人プロレスラーマイティガールが相手になります!
あのマッスルっぷりですからねパワーには自信があるでしょう。ですが私だって【怪力】には誰にも負けない自信があるんです!正々堂々と真っ正面からやりあいましょう!!とまずはマイクパフォーマンス。これでパワーによる勝負に持っていかせますよ
試合が始まればお互い打撃も投げも一歩も引かないぶつかり合い
それぞれ体力を削っていきながら私は勝負を決するチャンスを待ちます
焦れた相手がフェイバリットを仕掛けようとした時こそ狙い目!
空前絶後の一撃が繰り出される前にこっちが捕まえて●マッスルマイティバスターでフォールです!
●第三戦・シャーロット・キャロル
先の試合から五分のインターバルを挟み、第三戦が始まる。
三番手はシャーロット、初手からマイクを手に登場だ。
「見たところ、あなたはかなりのパワーがありますね。ですが、私だって怪力には誰にも負けない自信があるんです! 正々堂々と真っ正面からやりあいましょう!!」
シャーロットの真っ向勝負宣言に観客が湧く。
彼女が相当な怪力である事は、先の試合を見た者達なら既に知っている事だろう。
「オレはもとより真っ向からお前達とやるつもりでいた。つまりは望むところだ」
マイクを受け取ったキングも、堂々とした態度で宣言する。
ハッキリそう言えるのは、己の強さに自信があるからこそだ。
それがかつて様々な種目で頂点に立ってきた、キングの器なのかもしれない。
「さあ、正義の新人超人プロレスラー・マイティガールが相手になります!」
「いいだろう。全力で来い、マイティガール」
互いの拳を打ち合わせた後、双方が構えを取る。
パワーとパワーがぶつかり合う第三戦の幕開けは、いよいよ秒読み段階であった。
「はぁっ!」
「ヌンッ!」
ゴングが鳴ると同時に、早速双方がガシッと組み合う。
組み合った手が震え、互いの両腕に浮かび上がる血管から察するに、一体どれだけの怪力がぶつかり合っているのだろうか。
「ぐ、ぐぐ……なかなかやりますね……!」
「ヌゥゥ……オレと互角とは、お前も大した物だ……!」
そしてこのままでは埒が明かないと見たか、一度ロックアップを解くと同時に二人は激しい打撃技の打ち合いを始めた。
バシッ、バシッと相手を張る打撃音に、観客も煽るような掛け声を入れて、より試合を盛り上げる。
怪力から繰り出される打撃技は一発一発が強烈で、意識を軽く持っていかれそうになってしまう程だ。
「まだまだ、行きますよ!」
「……来い!」
続いては互いのパワーを生かした、投げ技の応酬が始まった。
ロープに振ってから、或いは組み合ってからのフロントスープレックス、ブレーンバスター、パイルドライバー、パワースラム等々……
仮にまともな受け身の練習をしていたとしても、強烈なパワーで全身が砕け散るような投げ技の数々に、リングが揺れる。
どちらも一歩も譲らない激闘だ。
「く、さすがはキングと言うだけは……ありますね……!」
「いいやマイティガール……お前も大した実力者だ……」
一進一退の攻防からおよそ15分。
激しい戦いの末、いよいよ二人とも体力の限界が近付いていた。
「さあ、決着を付けるぞ。ウオォォ……!」
ここで勝負を決めるとばかりに、キングが飛び込む。
最後まで取っておいたであろう、空前絶後の一撃でトドメを刺すつもりだ!
(おそらく次の一撃が決まった方が勝つ……ならば私はそこを狙うまで……!)
キングの動きを冷静に見切りつつ、シャーロットが賭けに出る。
向こうに合わせるかのように彼女も同じく……飛んだ!
「なにッ!?」
「……ここっ!」
空中でキングの腕が振るわれるよりも早く、シャーロットが掴みかかる。
その勢いのまま、彼女は大きく飛び上がり……
「これが私の
必殺技!!」
空中でキングの体勢をグルリと入れ替えると、そこからパワーボム……否、『マッスルマイティバスター』がリングに炸裂!
そのままの体勢でホールドに移行すると3カウントが返される事なく入った。
シャーロットの勝利である。
「き、厳しい試合でした……これがキングの実力……」
満身創痍と言った状態でシャーロットがふらつきつつも勝ち名乗りを受ける。
賭けに勝っていなければ、今頃はリングに沈んでいた事だろう。
「……おめでとう、マイティガール。お前の力、存分に味わえて良かったぞ」
一方で負けたとは言え、キングは全力でやり合えて満足と言った様子でシャーロットの勝ちを称えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
山神・伊織
この巨体とパワー……厄介な相手ですね。とはいえ、プロレスですからね、ただ逃げ切るだけと言うのも。
ここはしっかりと、受け切ってみせましょうっ。
ユーベルコードを10倍倍率で使って、相手の技を全力で受けます。回避は出来なくなりますし、相手の技はそれでもきついかとは思いますが……重い肉体による飛び技も、パワフルな背骨折りも、高まった防御力と気合と根性で耐えきってみせます。
十分なピンチを演出した所で、相手のパワーボムに合わせて頭部に脚を絡め、フランケンシュタイナーで切り返しましょう。返し技なら命中1/10でも決まる筈っ。
その後は引き起こして腰に腕を回し、ジャーマンスープレックスでトドメですっ!
●第四戦・山神・伊織
「よし、次の試合と行くか。今度の相手は……超人拳法の娘だな」
試合後、再び五分のインターバルを挟んだ後でキングが椅子から立ち上がる。
ここまで連戦だと言うのに体の疲労やダメージなど、どこ吹く風と言った様子だ。
「あれだけ激しい戦いを続けているのに、疲れた様子すらないだなんて……」
一方、EWFの四番手である伊織は改めてキングの規格外のタフさに驚く。
たった一人で連戦をしていると言うのに(一人だけで戦う事から運営側より制定された)僅か五分の休憩だけでほぼフル回復と、まさに無尽蔵の体力である。
「……さて、お前はオレに自慢の拳法を見せてくれるのか?」
「いえ、今回ばかりは真っ向からプロレスで挑ませていただきます」
先の試合で打撃戦オンリーの戦いを見せた手前、また同じ内容と言う訳にもいかないと思ったか、キングに問いに対して伊織がハッキリと宣言する。
「む、そうか。この試合でもお前がオレを楽しませてくれる事を期待するぞ」
キングがニヤリと笑う。
その口ぶりから、この男は単に強い者と戦う事を純粋に楽しんでいるのだろう。
(この巨体とパワー……厄介な相手ですね)
ゴングが鳴ると同時に互いがリングの上で円を描くように歩き、様子を見る。
伊織はいかにしてキングと戦うかを考えていた。
これがプロレスである以上、逃げ回る訳にもいかない。
そうなれば、やはりするべき事を一つだ。
(ここはしっかりと、受け切ってみせましょうっ)
それはプロレスの基本、受けに徹する事。
すぐさま伊織は足を止め、その場で仁王立ちをし深く息を吸い込むと、青く静かな闘気がその身に覆われる。
それは青龍拳極意の一つ、『構え:不動龍鱗(カマエ・フドウリュウリン)』。
今の彼女は闘気の力で命中・回避・移動力を犠牲に、キングにも相当する攻撃力と強固な防御力を持つに至ったのだ。
「……その攻撃の全て、受け止めてみせます!」
「よかろう……ぬぅんッ!」
キングが早速、伊織の覚悟に応えるかのような空前絶後の一撃を放つと、その体が大きく吹き飛ばされ、場外の鉄柵に背中から派手に叩き付けられる。
いくら屈強な彼女であっても、あのような直撃を受けてしまえばさすがに……
「まだです!」
……否、不動龍鱗で鋼の肉体となった伊織は健在だ!
鉄柵から素早くリカバリーした事に観客が湧いた。
「面白い、それでこそだ」
対する伊織が期待通りの相手である事にキングがニヤリと笑う。
……そして、ここから激しいラッシュが始まった。
強烈な打撃技に投げ技、掴み技、更には……
「さあどうだ。苦しいか?」
「ぐぅっ、これくらい……地獄のトレーニングに比べれば……ッ!」
キングの超パワーによるベアハッグで締め上げられ、体中の骨が悲鳴を上げつつも全力で耐え凌ぐ伊織の姿に、観客から自然と声援が送られる。
常人よりも気合と根性のある彼女が、そう簡単に折れるような事など決してないのだ。
「そのタフさは称賛に値する……しかしそろそろ終わらせてもらおう!」
「……はぁッ!」
ベアハッグの状態から掴み上げ、仕上げとばかりにパワーボムの体勢に入るキング。
だが、伊織はその瞬間を待っていたかのように咄嗟に相手の頭に両脚を絡めると、素早くフランケンシュタイナーで切り返した!
「ぬぅッ!?」
「この隙は逃しません! ふ……んッ!」
その後キングを素早く引き起こし、腰に腕を回すと……ジャーマンスープレックスホールドが炸裂!
攻撃力が10倍となったジャーマンを受けた事でキングはフォールを返せず、伊織が逆転勝利を掴んだ。
凄まじい攻撃の嵐を受け切っての勝利に、観客も大興奮の様子である。
「本当にオレの攻撃を全て受け止めた上で勝つとは……さすがだな」
伊織の健闘を称えキングが右手を出すと、彼女もそれに応えるかのように右手を差し出し、ガッチリと固い握手を交わすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
笹乃葉・きなこ
おお、デケェなぁ
此れなら投げごたえがあるんだべ
まずは怪力と鎧無視攻撃、鎧砕きを使いながら攻撃だべ、プロレスだから己の拳と蹴りで攻撃してくんだべ
相手からの攻撃は下段はジャンプで避けるジャンプ中に攻撃されたら今度は空中戦、空中浮遊の要領でさばく
他は野生の勘頼りに避ける
受けるとしても運が良くても一回耐えればいいほうかもなぁ
相手の攻撃はできるだけさばく、さばいてもスキはできなさそうなので、つかんでユーベルコードでスラムで投げて、スープレックスで投げて、バスターで投げとかで投げまくるべ
相手から投げ返しのスキを作らずとにかく、今度はボムで投げまくるべぇ!!
今のオラは投げの鬼なんだべぇ!
●第五戦・笹乃葉・きなこ
「おお、デケェなぁ」
対戦前、きなこがキングを見上げる。
身長144センチの彼女と相手との身長差は実に60センチ以上もあった。
「此れなら投げごたえがあるんだべ」
「お前のパワーは先の試合で見せてもらった。そこはオレも警戒せねばならんな」
一方のキングは相手を侮る事のない慎重な姿勢で言葉を返す。
まさに王者らしい冷静さである。
「ふっふっふ、一度でもおらに捕まったが最後だ思うべよ」
先のデモンファイター戦でも見せた恐怖のぶん回しを、もう一度見せてやろうと言わんばかりにきなこが笑う。
声は笑っていても、彼女は本気の様子だ。
「ならば、その前にお前をリングに沈めてやろう。手加減は一切無しだ」
「そうでなきゃ面白くねえべ。お互い全力でやろうや」
再びパワー対決となるであろう第五戦、その幕がいよいよ上がろうとしていた。
「そんじゃあ最初から全開で行くべ!」
試合が始まると同時に、きなこがキングに対し果敢な打撃攻撃を仕掛ける。
ナックルパート、ミドルキック、更には自らロープへ走り、勢いを付けてからのフライングニールキックなど、打撃技の連続攻撃だ。
「むぅッ
……!?」
きなこの打撃技を受け止めるキングは、その威力に思わず冷や汗が流れる。
怪力を乗せた鋼の筋肉の鎧を無視する彼女の打撃は、一発一発が……重い!
「おらの打撃は岩をも砕くべな!」
「ええい!」
やられっ放しでは終われないとばかりに、ガードを固めたキングが一旦押し返して距離を取ると、水面蹴りで足払いを狙う。
それをきなこはジャンプして躱すと同時に、ドロップキックで後ろへと吹き飛ばした。
「……大した反応速度だ。パワーだけではないと言う事か」
ならば本気を出せねばなるまい。
キングの目付きが変わると、今度は向こうが猛攻を仕掛けてきた。
空前絶後の打撃技が次から次へと繰り出され、きなこを追い詰める。
「よっ、ほっ、ふっ……!」
激しいキングのラッシュをきなこは野生の勘で躱し、時には巧く捌くなどしてやり過ごす。
一度でも攻撃をまともに喰らえば形勢は向こうに大きく傾いてしまう事だろう。
慎重に、そして冷静に彼女は反撃の機会を狙う……
「どうした、逃げ回ってばかりではオレは倒せんぞ? ……ダァァァーッ!」
そしてちょうどここで向こうが痺れを切らしたか。
キングが叫びと共に空前絶後のダイビングボディアタックを放つ。
「……よっしゃ、今がチャンスだべ!」
それに合わせ、この時を待っていたとばかりにきなこが『笹乃葉式我流投げ技地獄(ササノハシキガリュウナゲワザジゴク)』からキングの体を掴み、パワースラムをリングに叩き付ける!
「さあ、ここからがおらの投げ地獄の始まりだべ」
きなこがパワースラムで叩き付けた直後、今度は腕を取った状態からダブルアームスープレックスが炸裂したかと思えば、続いて俵返し、裏投げ、ジャイアントスイングなどなど、投げ技のラッシュを叩き込む。
彼女の宣言した投げ地獄がついに幕を開けたのだ。
「今のオラは投げの鬼なんだべぇ!」
更にパワーボム、ジャンピングパワーボム、スパイラルボム、掴んだ状態からのランニングパワーボムとパワーボム系のラッシュが続く。
キングの巨体を軽々と持ち上げる、きなこの怪力に観客の目も釘付けだ。
「……したらこれで決めるべ!」
最早グロッキー状態のキングを抱え、コーナーに上げると雪崩式パワーボムを一気に叩き込み、ホールドに入るとそのまま3カウントが決まった。
きなこが見事勝利を掴んだ瞬間であった。
「実際に受けて分かった……お前の投げ地獄、なんとも恐ろしい物よ……」
戦いの後、仰向けで倒れ込んだままキングがきなこの投げ地獄を評する。
彼女に一度でも捕まったら最後と言う意味を、身を以て思い知った事であろう。
大成功
🔵🔵🔵
ベルナデット・デメジエール
一敗も許されない上に、あんな筋肉お化けと戦うだなんて聞いてませんわよー!?
鬼!悪魔!サタン!
…で、ではわたくしは後半のマッチを希望しますわ
これは確実に勝利を掴む為の戦略、決してビビってなどおりませんわよ!
ちょっとレフェリー!あからさまに凶器が飛んでますけどちゃんと見ていらして!?
わたくしに見惚れている場合ではなくってよ!
ともかく落ち着いてオーラ防御で攻撃を凌ぎながら、反撃で確実な一撃を打ち込みますわ
その時に『呪印』を付与することで急に足が滑る等の「不幸」がキングを襲い、消耗させます
傍目には連戦の疲れが出たように見えるでしょうね
疲労困憊の所を華麗にフォールして、わたくしの勝ちですわ!
桜龍神社守護祀神龍・桜之宮撫子
水着関係のお仕事かと勘違いして来てしまいました……お恥ずかしい限りです……
その……試合とは言え、初対面の異性と直接触れ合うのは私には敷居が高く……今は格闘戦に向いた手札もないので、今回はお疲れになられた方々を癒す方向で参ります。
試合前や試合後に癒しの言葉をお掛けし、膝枕して差し上げます。
「頑張ってくださいね……応援していますよ……♪」
「お疲れさまです……見事な試合でした……♪」
所で……先程の歓声に混ざって聞こえた『𝙊𝙋𝙋𝘼𝙄 𝘿𝙀𝘾𝙆𝙀𝙍…』とはどの様な意味なのでしょうか?何分、
外国語には疎く……この後で担当のぐりもあ猟兵様にお尋ねしてみましょう。
●第六戦・ベルナデット・デメジエール(セコンド・桜之宮撫子)
「ああ……とんでもないところに来てしまいました……」
猟兵側のリングに一人の女性がオロオロしている。
彼女は桜龍神社守護祀神龍・桜之宮撫子(女神「桜神龍」の大和撫子の神器遣いの戦巫女・f36448)、どう言う訳かここへ迷い込んできてしまった猟兵だ。
いきなり水着姿でやってきた事から、ラウンドガールか何かと勘違いされているようだが……
「水着関係のお仕事かと勘違いして来てしまいました……お恥ずかしい限りです……」
どうやら何か致命的な話の行き違いがあったようだ。
撫子は猟兵側と言う事で、レフェリーから試合参加選手かと聞かれると……
「その……試合とは言え、初対面の異性と直接触れ合うのは私には敷居が高く……今は格闘戦に向いた手札もないので、今回はお疲れになられた方々を癒す方向で参ります」
……と、言う事から急遽臨時でやってきた猟兵側のセコンドとして、この試合に出場(?)する事となったようである。
それでいいのかと思われる事だろうが、彼女がそう言っているのだから仕方ない。
「一敗も許されない上に、あんな筋肉お化けと戦うだなんて聞いてませんわよー!?」
そして猟兵側の六番手であるベルナデットが、ここに来て本音が漏れてしまう。
色々と理不尽ではあるが、向こうがそのルールを制定してしまった上に会場の雰囲気をコントロールして観客も乗せてしまった事から、こちら側も条件を飲まざるを得ない状況となってしまったのだから仕方ないのだが。
「ハッハッハ、超人プロレスとは何が起こるか分からない物! それくらいで文句を言うようではまだまだだな!」
そんな彼女の本音をキングのセコンドとして付いているサタン鏑木が笑い飛ばす。
試合前の挑発と言い、口の上手さは向こうに分があると言わざるを得ないだろう。
「その前に、あなたは何もしていないでしょう!? 鬼! 悪魔! サタン!」
そもそも試合に出ていない輩にどうこう言われたくはないと、ベルナデットが思い付く限りの罵詈雑言(?)を口にする。
「いや私は確かにサタンだが」
「いえ! そうじゃ! なくて!!」
ベルナデットと鏑木のボケとツッコミ合戦に会場から笑いが飛ぶ。
本人的にはそれどころではないが、この時点から観客を楽しませているのは幸運と言うべきだろうか。
「しかし口ではそう言っても、お前もなかなかの巧者である事をオレは知っているぞ」
そこへ口を挟むキング。
先程の試合を見ていたからこそ、ベルナデットの事を分かっているのだろう。
……さすがに内面までは知りようもないが。
(いや、これで六戦目でしょ!? あんなに元気なの、おかしくない!?)
ベルナデットが心の中で狼狽する。
試合も後半に差し掛かった事でキングがある程度疲労しているであろう今を狙い、『確実に勝利を掴む為の戦略』としてここで出場した訳であったが、どう見ても向こうはピンピンしていた。
僅か五分のインターバルだけであれだけの回復とか、色々とチートである。
「……え、ええ! ええ! わたくしの実力を見抜くとはさすがキングですわね!」
そして、もう後には引けないとベルナデットは虚勢を張るしかなくなってしまった。
ここまで保ってきた、高貴な吸血鬼と言うイメージをブチ壊す訳にはいかないのだ。
「頑張ってくださいね……応援していますよ……♪」
そんなベルナデットをリングの外から応援する撫子。
本人的にはセコンドとして精一杯サポートする気マンマンなようである。
「もし怪我をしてしまっても私が癒して差し上げますので……当たって砕けろ、で」
「当たって砕けろ!? しかも怪我前提ですの!? うぅ、なんでこんな事に……」
乗り込むタイミングをミスってしまったと、小声で後悔するベルナデット。
果たして彼女の運命や、いかに!?
「ちょっとレフェリー! あからさまに凶器が飛んでますけどちゃんと見ていらして!? わたくしに見惚れている場合ではなくってよ!」
……それは試合開始直後の事であった。
キングが早速使用したキング・アンリミテッド・スローで、リング上に無数の陸上競技用の槍や円盤、ハンマーなどの品が空中を飛び回っている様を見て、ベルナデットが早速抗議に入った途端、ポルターガイストのように次々と陸上競技用のあれこれが飛んできて包囲される。
「にぎゃー!? これ反則じゃありませんことぉぉぉ!?」
慌ててベルナデットがオーラ防御でガードに入る。
円盤はまだしも、ハンマーや槍は当たりどころが悪ければシャレにならないダメージは確実だ。
「フフ、身動きが取れないようだな」
そこへ迫りくるキング!
どうやらこちらが本命の攻撃のようだ。
「ちょっ、痛……痛っ!?」
繰り出されるキングの打撃攻撃を必死のオーラ防御で耐えるベルナデット。
先の戦いと違って防御力を上げてないため、受けるダメージは決して無視出来ない。
今は必死に我慢しているが、痛い物は痛い……むしろ泣きそうな程だ。
「ええい、この……っ!」
それでも彼女はキングの攻撃の隙を突いて、何とか胸張り手を一発ビシッと叩き込む。
一見して苦し紛れの反撃にも思えた事だろう……だが!
「どうした、お前の力はそんなものぉッ!?」
再度攻撃に入ろうとしたところで、突然のアクシデントが襲う。
キングが足を滑らせ、その場で転んでしまったのだ。
「オレとした事が、気が抜けていたか……? まあいい、行くぞ……あぁッ!?」
自らロープに走り、跳ね返される事で勢いを付けようとした途端、今度はロープが切れてしまいリング外に転げ落ちる。
キングに起こった立て続けのアクシデント……これは偶然ではなかった。
(ふ、ふふ……災いが効いてきたようね)
相手のアクシデントに四苦八苦する様子を見て、内心ほくそ笑むベルナデット。
先程叩き込んだ胸張り手、実はそこに『吸血鬼の呪印(シーニュ・モディ)』で呪いの印を付与していた事から、次々と発生する不運なアクシデントに襲われていたのだ。
その後もキングがリングを踏みしめた途端、足元が抜けて足がハマってしまったり、リングシューズの紐が突然解けて足を引っかけて転んでしまったかと思えば、今度は紐が切れるなど、想定外のアクシデントに苦しめられる。
「ぬうぅ……まだ行けると思ったが、オレの知らない内に疲れが貯まったのか……?」
そしてこのせいで余計な体力を消耗し、キングは疲労を隠せない様子だ。
「いくら陸の王者と言えど、疲労はどうにもならないようですわね!」
これはチャンスとばかりにベルナデットが組み合うと、勢いのまま一気にフロントスープレックスで投げ、素早くコーナーへ上がると速攻でムーンサルトプレスをお見舞いし、そのままフォールに入る。
「……ワン、ツー、スリー!」
結局、先のアクシデントの嵐で大きく消耗したキングはフォールを返す事が出来ず、そのまま3カウントを許して敗北を喫する事となった。
かくしてベルナデットがユーベルコードを上手く使った姑息……もとい頭脳プレイ(?)で勝利を掴んだのである。
「全力で戦えず負けてしまったが、勝負は時の運とも言うからな……仕方ない」
試合後、悔いは残ったものの負けは負けだと潔く認めるキング。
もしこのアクシデントの真実を知ったら、きっと烈火のごとく怒り狂うやもしれないが……知らぬが仏である。
「か、勝てましたわ……うぅ、まだ体中が痛みますの……」
「お疲れさまです……見事な試合でした……♪ さあ、膝枕をどうぞ……」
勝利後、痛みでへとへとになって戻ってきたベルナデットを撫子が据わった状態で出迎える。
巫女のひざまくらの姿勢だ。
「えっ、ここで!? ……いえ、そもそもセコンドでしたものね……」
こんなところで膝枕はどうなのかと一瞬思うも、今は体の痛みが癒されるならこの際構わないとばかりにベルナデットが頭を預けた。
癒しの時間である。
「所で……先程の歓声に混ざって聞こえた『𝙊𝙋𝙋𝘼𝙄 𝘿𝙀𝘾𝙆𝙀𝙍…』とはどの様な意味なのでしょうか?」
膝枕しつつ、撫子がふと思った疑問に首を傾げる。
多分彼女の水着姿を見て、観客が自然に口にした言葉なのだろうが……
「何分、
外国語には疎く……この後で担当のぐりもあ猟兵様にお尋ねしてみましょう」
おそらく聞かれた本人も困惑するであろう事を口にする撫子。
何と言うか、色々な意味で大丈夫なのだろうか……?
そして、その横では先程の試合で損傷したリングの補修作業が急ピッチで行われていたそうな。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
一本でも、落としたら、負け、ですか…。
責任重大…いえ、いつもどおり、気合を入れて、やるだけ、ですね。
一撃が、重そう、ですから、まともに、喰らうと、そのまま、持って行かれちゃいそう、ですね。
避け続けるのは、プロレス的に、だめそう、ですし、慎重に、見切りながら、芯だけは、外すように、立ち回ります。(代わりに大げさに飛ばされたりしてダメージ演出)
このまま、うまく行けば…あれ、タイミングが…きゃあっ!?
(見切りがずれてまともに喰らう)
う、ぅ…ま、まだ、です…っ
(フォールされるが2.9で返す)
今度は、間違えません、しっかり、見切って…UCで、腕を、極めながら、投げ飛ばしてフォール、ですっ
(アドリブ歓迎)
●第7戦・アニカ・エドフェルト
先程の試合で損傷したリングの補修作業に少し時間はかかってしまったが、無事修復が済んだ事で試合が再開される。
この間、キングは十分な休息を取りコンディションも回復したようだ。
「……よし、体の調子も万全だ。続きと行こうじゃないか」
「なんて、大きい、相手……」
アニカは今までにないプレッシャーを感じていた。
身長差もそうだが、何よりもこの男から感じられる覇気は本物だ。
(一本でも、落としたら、負け、ですか……。責任重大……いえ、いつもどおり、気合を入れて、やるだけ、ですね)
これまで仲間達は様々な手を駆使して、この強敵から勝利を掴んでいった。
ならば、きっと自分にだって出来るはず……そう自らに言い聞かせる。
「例え小さくとも、お前の力はオレも分かっている。手加減はなしだ」
「絶対に、負け、ません……」
どんな者であれ全力で戦うと宣言したキングに対し、アニカがじっと相手の目を見て言い返す。
果たしてアニカはジャイアントキリングを見せられるのか?
いよいよ第7戦の幕が上がる……!
「やぁっ、たぁっ……!」
試合開始と同時に、アニカが得意の蹴り技を駆使して攻める。
その威力は決して侮れず、キングの闘争心に火を付けるには十分であった。
「いい蹴りだ、それでこそ倒し甲斐がある!」
キングがガード体勢を解き、カウンターでショルダータックルをぶちかます。
まるでダンプカーが突っ込んできたかのような衝撃に、アニカが吹き飛ばされた。
(なんて、重い、攻撃……一発、だけでも、持っていかれそうに……)
そのままマットに叩き付けられたアニカは、改めてキングの力強さを思い知る。
生まれ故郷のダークセイヴァーでも、これ程の相手と戦った事はあっただろうか?
(それでも、受けの、練習は、十分に、やった、つもり、ですっ)
だが、強烈な一撃を喰らったにも関わらずアニカは倒れない。
……ここで彼女を救ったのは、故郷での経験と地獄のトレーニングであった。
数はあまり多くはないとは言え、戦闘経験で得た相手の攻撃を見切る力。
それに加えて攻撃を受ける際、いかにして芯を外すように立ち回れるかと言う受けのトレーニング。
この二つを組み合わせる事でダメージを抑えつつ、直撃して大げさに吹き飛ばされると言う演出を何度となく見せていく。
「よもやまだ倒れんとは……な」
「言った、はず、です……絶対に、負け、ません、って……」
あれから激しい戦いが続いていた。
上手く不利を演出しつつアニカが立ち上がる度、観客から熱の籠った応援が飛ぶ。
「ならば耐えてみせろ!」
「(このまま、うまく行けば……あれ、タイミングが……)きゃあっ!?」
近い距離からキングがショートレンジラリアットを放つ。
この攻撃も上手く芯を外せるよう調整しようとしたアニカであったが、見切りの目測を一瞬誤ったか痛恨の一撃を喰らい、ダウンしてしまった!
「もらった!」
そこへすかさずキングがフォールに入り、レフェリーがカウントを始める。
カウント1、2……最早これまでか!?
「う、ぅ……ま、まだ、です……っ」
だがアニカが土壇場で根性を見せ、カウント2.9で……返した!
なんたるガッツか!!
「なんだと!? ならばもう一発……」
「今度は、間違えません、しっかり、見切って……やぁっ!」
「くぉっ?!」
起き上がった直後、再びラリアットを叩き込もうとしたキングの右腕をカウンターで取り、そこから『翻弄天使(プレイングエンジェル)』で腕を極めながらミシリ、と相手の腕の骨が軋む音と共に投げ飛ばした!
キングがそのままマットへズダンと沈むと、今度はアニカがフォールを取る!!
「ワン、ツー、スリー!」
そして翻弄天使で痛めた右腕のダメージもあり、キングはフォールを返せなかった。
決着である。
「や、やり、ました、勝ち、ました……!」
危ないところはあったものの、咄嗟のカウンターから逆転勝利に観客が湧く。
ふと視線が合ったキングは痛めた右腕を抑えつつ、アニカに対し頷いてみせた。
満足げな表情で『誇れ、お前はオレに勝ったのだからな』……と。
大成功
🔵🔵🔵
花走・りな
大丈夫大丈夫
う、デカいなぁ……。
とはいえ不安な顔は観客に見せられないからね。笑顔で頑張らなきゃ☆
さっきノリが良かったし馬のマスクを引き継ぎながら出よう
練習から前の試合までの全てを事を、前の試合以上を目指して。
もちろん言葉で言うより難しいのは分かってるけどやるしかない。
相手がどれだけ強くても喝采を諦める事は出来ないから!
1度攻撃を受けてリング外の戦いへ
UC【応援の翼】を自身に使用
デカいならば高さを増やす
ポールへ飛び乗り上から下へ空中攻撃
ペガサス空中殺法𓆩✧︎𓆪
※アドリブ歓迎
●第八戦・花走・りな
「う、デカいなぁ……」
八番手であるりながリングに立つと、相手の大きさに一瞬足が竦む。
リング外からもキングの大きさは際立っていたが、やはり近くで見ると違うものだ。
(とはいえ不安な顔は観客に見せられないからね。笑顔で頑張らなきゃ☆)
それでも、あくまで自分を貫こうとするりな。
……だったのだが。
「一つ聞くが……何故そのマスクを付けたままなのだ?」
キングが怪訝そうな顔で尋ねる。
今のりなは先の戦いで装着した馬マスクを被ったままであった。
「あ、これ? なんか観客にウケたから、付けたままでもいいかなって☆」
「そ、そうか……」
そう言う物なのだろうかと、いまいち納得しきっていない様子のキング。
どこか調子が狂うな、と言った感じである。
「まあいい。やるからには何であれ、オレは常に全力でやらせてもらうぞ」
「それはもちろん、わたしだって同じだよ!」
負けないぞと言う意思を前面に押し出しつつ、りなも言い返す。
今回は本気の本気で行かねば勝てない相手だ。
……果たして、彼女はこの強大な相手に勝てるのだろうか?
「てやぁーっ!」
試合が始まると、早速りなが掛け声と共に打撃技を連続で放つ。
地獄のトレーニングで学んだ技術を全て出し切るような勢いだ。
彼女の流れるような打撃の猛攻が命中する度、観客からも煽るような掛け声が飛ぶ。
「せーの……たぁっ!」
そのまま打撃技の連打で相手の体勢が崩れた瞬間を狙い、りなが飛ぶとフランケンシュタイナーでキングを一気に投げ飛ばすと、『おぉ』と歓声が沸く。
(練習から前の試合までの全てを事を、前の試合以上を目指して。もちろん言葉で言うより難しいのは分かってるけど、やるしかない)
前以上の試合を見せるためならば、多少の無茶も承知の上。
りなは今まで以上の覚悟を胸に、キングと戦っていた。
「フフ……まるで電光石火のような攻撃だ、オレも楽しくなってきたぞ」
ダウンから立ち上がったキングがニヤリと笑うや、踏み込みと共に跳躍。
高速のキング・ハイジャンプ・アタックがりなを襲う!
「あぅっ……!」
そんなキングの一撃をりなは”敢えて”受け、場外へ吹き飛ばされる。
そして彼女を追い、キングも素早くリングを降りた。
場外乱闘の始まりだ。
「そおら、耐えてみろ!」
場外へ降り立ったキングはりなを起き上がらせると、鉄柵に向けてハンマースルーで容赦なく叩き付ける。
「つぅ……さすがに強いね。……でも、相手がどれだけ強くても喝采を諦める事は出来ないから!」
ここでりなが目を見開き、炎が宿った。
勝ちたいと言う意思を燃やし、『応援の翼』で彼女の背に光の翼が生やされる。
「速さには速さを!」
そして、光の翼で大きく跳躍したりながリングのコーナーポストへ一気に飛び上がると、ダイビングエルボードロップで上から攻める!
「ぐぉッ!?」
「まだまだっ!」
着地と同時に、今度は下から飛び上がるようなダイビングヘッドバッドで攻撃!
「そぉれっ!」
続いて飛び上がってから空中で軌道を変えると、鉄柵を蹴って三角飛びの要領で、ローリングソバットを叩き込む!
物理法則を無視した連続攻撃に観客も熱狂だ!!
「ぐッ、なんて速さだ
……!?」
「これがペガサス空中殺法𓆩✧︎𓆪、だよ!」
空中からの連続攻撃を次々と撃ち込まれ、よろめくキング。
激しい打撃の嵐の〆として、りながトドメのアッパー掌底を叩き込んだ。
「がッ……」
まるでスローモーションを見ているかのように、ゆっくりとキングの体が打ち上げられ、そのまま場外のマット部分へズドン、と落ちていく。
そこから起き上がる様子もないままの場外KOである。
「……DEP側キング・デカスリート、ノックアウト!」
かくしてレフェリーの宣言でゴングが鳴り、りながこの戦いを制したのであった。
大成功
🔵🔵🔵
草剪・ひかり
POW判定
シングル戦でも即興連携でも可
お色気、キャラ崩し描写等OK
負け続けて最後の最後で一度勝ってひっくり返すなんて
あちらが善玉みたいなやり口
本気で戦うと言いつつ、キングはギリギリまで本気を隠す筈
そうして、ラス前まで連勝した私達を最後に倒して勝ち誇る
ヒールが勝つストーリーとして、最高に絶望的
……最高のプロレスラーたる私がここにいなければ
その野望も実現していたかもね
体格もパワーも圧倒的なキングを相手に勝機を見出すなら
スピードやテクニック、インサイドワークを駆使するべきだけど
敢えて真っ向から力勝負に応じ、幾度も超ヘビー級の相手からベルトを守った底力を発揮
でも、私の緊張の糸が切れる一瞬に反撃を許し
汗だくの肢体を色っぽくリングに横たえ大の字にダウン!
3カウントを奪われる寸前……だけど、会場を埋め尽くすファンの大声援を浴びて、リングの女帝はもう一度立ち上がる!
試合も大詰め、得意のドロップキックやジャーマンスープレックスで追い詰めたら、私の必殺ラリアットと、キングのフィニッシュ技で雌雄を決するよ!
●最終戦・草剪・ひかり
「……いいか、どんな手を使ってでも勝て! それが我々DEPのやり方だと知れ!」
果たしてダーク化した影響なのか、或いはこれが素なのか。
サタン鏑木がキングに悪役団体らしい無慈悲な命令を下す。
向こうはもう後がない状況だ。
(負け続けて最後の最後で一度勝ってひっくり返すなんて、あちらが善玉みたいなやり口……本気で戦うと言いつつ、キングはギリギリまで本気を隠す筈)
そんなキングと鏑木のやり取りをリングの反対側で耳にしているひかりが一人思う。
さすがに本職と言うだけあってか、その手のやり口はよく分かっているようだ。
(そうして、ラス前まで連勝した私達を最後に倒して勝ち誇る。ヒールが勝つストーリーとして、最高に絶望的……)
だが、そのストーリーはこちらが盛大にブチ壊す。
その意思を胸に、ひかりが一歩前に踏み出した。
「……さあ行けキングよ! お前と我々の野望成就のために、奴を倒すのだ!」
「最高のプロレスラーたる私がここにいなければ、その野望も実現していたかもね」
「ぬぅぅぅ……減らず口をッ!」
キングに檄を飛ばす鏑木に対して、ひかりが煽る。
さあ、いよいよ最後の戦い……どちらが勝っても決着と言うこの状況、最後に勝つのはEWFか、それともDEPか?
決戦の火蓋が遂に切って落とされる……!
(さあて、色々と向こうが圧倒的となると……ここはスピードやテクニック、インサイドワークを駆使して戦うべきなんだろうけど)
ゴングが鳴った直後、ひかりはいかにあの強大な敵と戦おうかを考えていた。
仮に速さと技を生かして戦えば、力でぶつかり合うよりも勝率は高いはずだろう。
だが彼女はかつての“絶対女王”、小細工を駆使して勝つべきなのか?
……否!
「真っ向から、全力で行くよ! あなたもそれを望んでるんでしょ?」
「フフ……無論ッ!」
敢えて全力でパワー勝負を挑むひかりに、キングも応じる。
幾度も超ヘビー級の相手からベルトを守った底力と強さを見せるに相応しい相手だからこそ、なのだろう。
組み合ってからロープに振り、キングが剛腕から繰り出されるラリアットを叩き込めば、ひかりも負けじとランニングエルボーを打ち返し、打撃戦を繰り広げる。
「……いいぞ、もっとだ。もっとオレを楽しませろ!」
「言われなくたって!」
再び双方が組み合い、今度は投げ技の応酬が始まる。
ひかりがバックドロップを、キングがパワースラムなど強烈な投げ技を惜しみなくリングに叩き付け、観客を圧倒していく。
その激しさは年季の入った超人プロレスファンでさえ声を失うほどだ。
――そして試合が動いたのは試合からおよそ19分後。
どちらも体力を激しく消耗し、いよいよ佳境に入ってきた辺りの事であった。
「……取った!」
「しまっ
……!?」
激しい攻防戦を経て、ひかりの緊張の糸が切れてしまったか。
キングが一瞬の隙を突きエクスプロイダーで思いきり投げ飛ばすと、汗だくの肢体を色っぽくリングに横たえ大の字にダウンしてしまう。
「今度こそ、もらったぞ!」
キングはこのチャンスを逃がさないとばかりに素早く駆け寄り、フォールに入る。
(う、体が動かない……私とした事が……まずったわ……)
ひかりはこれまでのダメージの蓄積もあってか、動けない様子だ。
まるでスローモーションを見ているかのように周囲の時間がゆっくりと動き、キングが覆い被さってくる姿が見えた。
このままダークリーガーに屈してしまうのか!?
「ひかりー、立てー!」「負けるなー、ひかりー!」「底力を見せてくれー!」
否、まだ観客はEWFの……ひかりの勝利を諦めていない!
彼女のファイトに心動かされた観客達が大声援を送っているではないか!!
「ワン、ツー、ス……」
「……っ!」
彼らの大声援が、戦う力を取り戻すアシストとなったのか。
カウント2.9、そこでひかりはフォールを返し……立ち上がった!
その瞬間、より大きな歓声に包まれる会場。
「なんだとッ!?」
「リングの女帝は、まだまだ終われないのよ!」
ここから不死鳥のごとく蘇ったひかりの反撃が始まった。
得意とするドロップキックやジャーマンスープレックスで、逆にキングを追い詰めていき……
「……どうやらこれがお互い最後の一撃になりそうね……」
「フ、フフ……そのようだ……」
共に満身創痍の状態で、両者が右腕を構える。
ひかりは『“戦女神の断罪の斧”アテナ・パニッシャー(ジョオウヒカリノヒッサツミギラリアットガサクレツ)』を、キングは最後の力を振り絞った空前絶後のラリアットを放つつもりだ。
「はぁぁぁぁぁ
……!」「おぉぉぉぉぉ……!」
そして放たれる剛腕の一撃を互いに受け、両者が盛大にダウンするとレフェリーが直ちにカウントを取り始めた。
「ワン、ツー、スリー、フォー……」
そこからカウント4の辺りで意識を取り戻したか、双方がピクリと動き出す。
10までに立ち上がった者が勝者だ。
「さ、最後まで、立ち上がって……みせるよ……」
「オ、オレは……負けん、負けられんのだ……」
ひかりとキングが震える膝に鞭を打ち、立ち上がろうと試みる。
だが、その間にもカウントは無情にも進んでいく。
「セブン、エイト、ナイン……」
「っ!」
先に立ち上がったのはひかりだ!
……では、キングの方は!?
「ぬ、ぬおぉぉ……ぐッ!」
おそらくは先のアテナ・パニッシャーが決め手となったのだろうか。
キングは立ち上がれず、膝から崩れ落ちた。
「……テン!」
そしてゴングが鳴らされ、決着が付くと同時に割れんばかりの歓声と拍手が会場を包み込む。
最後に立ち上がったひかりが激戦を制し、対抗戦はEWF全勝と言う結果で終わった。
「フ、フフ……お前達の力、存分に見せてもらった……本当に、強かったぞ」
全てに決着が付いた後、リング上で大の字になって倒れ込んだキングが口を開く。
負けたにも関わらず、晴れやかな表情だ。
「全力で戦い、負けたのならばオレは何一つ、悔いなどない……さらばだ……」
全てを出し切って満足したかのように、キングはダークオーラと共に霧散し消滅していった。
――こうして、怒涛の対抗戦は幕を閉じた。
ダークリーガー消滅でダーク化から解放されたDEPは普段通りの悪役専門団体に戻り、今日もまた他団体と”真っ当な”抗争を繰り広げ、超人プロレス界を盛り上げていく事だろう。
もちろん彼らだけでなく、EWFや他の団体も一丸となって超人プロレスの公式競技化を目指し、これからも戦い続けていくのだ。
大成功
🔵🔵🔵