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ランジーリちゃんのお婿探し

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●ここは筋肉が全て
「401、402、403……」
 ある領主の館、広々とした大広間にて複数の若者とベビードールを纏った筋骨隆々の女性――そう、女性が腕立て伏せをしていた。
「493、494」
「だ、駄目だ!」
 若者の一人が筋力の限界に達し、その場に突っ伏せば、次々と男達が床に這いつくばる。
「496、情けない。腕立て500回もできずにレジスタンスと名乗るのね。497、貴方達?」
 とても女性の体躯とは思えないほどの肉体改造を果たしたベビードールのオブリビオンがプッシュアップを続けながら、無情にも言い放つ。
「お、俺達はお前らの様に良いものを食べていない!」
「ふざけないで。500。貴方達、領民には十分な蛋白質を与えているはずよ。そうよね?」
 ベビードールの女が腕立て伏せから指を立てての腕立て伏せに移行しつつ、後ろに控えるマッスルGuyに問えば。
「はい、女男爵様。領民には十分な鶏肉と牛乳。そして月に一度は豚肉や牛肉を施し、万全の蛋白質体制を整えております!」
「嘘だ! だったら何故、俺の親父は親指から激痛を発する病になったんだ!」
「それは貴方達がちゃんと水を飲まなかったから、痛風になったのよ」
 女男爵と呼ばれたベビードールは指立て伏せを終えると立ち上がる、控えるマッスルGuyから清潔な布を受け取り、汗を拭く。
「彼等を牢に入れておきなさい、レジスタンストレーニングをこなしてレジスタンスと名乗る彼らが本物の筋力を身に着けるまで出してはなりません」
「心得ました」
 マッスルGuyが一礼すると次々と現れるGuy達。彼らはデッドリフトと呼ばれる重量物を持ち上げる動作からレジスタンスを肩に抱えれば部屋を出ていく。
「ふう……虚しいものね。これでは誰も城塞公の舞踏会へは連れていけないは」
「女男爵様の肩に乗っている小さな馬車(訳:素晴らしい肩の筋肉)を上回るものは中々居ないと思われます」
「ありがとう、貴方も良い腕のカットをしている(訳:脂肪の無い肉体)わね」
「光栄に存じます、ではいかがいたしますか?」
「決まっている」
 仕上がった上腕三頭筋を隆起させながらオブリビオンは口を開いた。
「レジスタンスから有能なものと領地から公募した者でコンテストを開き、その者を我が伴侶とする」

●グリモアベース
「……っていう、予知を見た。因みに俺はマタタビを決めていない、正常だ」
 げっそりとした表情でトラガン・ストイコブッチ(ブッチ軍曹・f04410)は皆を見た。
「狭い環境下において異常なコミュニティが形成されることはあるのだが……待て、逃げるな、君達が解放しないとこの異常な筋肉天国が続いてしまう」
 グリモア猟兵が引き止める、別の動機があるかもしれないが言っていることは間違っていない。
「今回は三段階の作戦で行く」
 小さな猫がホワイトボードを持ち出して説明を始めた。
「まずは捕まっているレジスタンスの救出。彼らは1トンの鉄格子を扉とした牢に閉じ込められている。鍵はかかっていないがパワーが必要だ、そして見張りのGuyが邪魔をする」
 何か異常な名詞を言ったように聞こえるが猫は気にせず話しを続ける。
「次にコンテストに出場する。此処では基本筋肉をアピールするところだが、違う方法で相手に新風を吹かせることも可能かもしれない――難易度は難しいがな」
 トラガンが渇いた笑いをする、正直どうにでもなれと言う気分なのだろう。
「最後にコンテスト終了後に現れるランジーリちゃん……ああ、他でも同様のオブリビオンは見ただろうが今回は正真正銘女性だ。筋肉はあるがな。こいつを倒せ。だが気を付けろよ、下手にユーベルコードを封印すれば」
 グリモア猟兵が真剣な目で皆を見る。
「無茶苦茶な筋力で挑みかかってくる。お前、炭を握ってダイヤを作れるか? それくらいのパワーがあるなら挑んでも良い……と言うわけだ」
 トラガンが軍用コンパスを開けば、呼応して道が開かれる。
「装具を点検して、時計を合わせろ。この異常な筋肉ワールドから人々を救い出してくれ!」
 気のせいだろうか、グリモア猟兵の目は拒否を許していないようだった。


みなさわ
 筋力トレーニングは最近レジスタンストレーニングというそうです。
 こんにちはみなさわです、今日は筋肉依頼です。
 頭を使って筋肉を駆使し、領民を助け、ランジーリちゃん(女性)を倒してください。

●レジスタンス救出
 レジスタンスは重さ1トンの鉄格子(鍵はかかっていない)を扉とする檻に閉じ込められています。
 開けるにも取り外すにもパワーが必要ですし、Guy(部下のこと)が見張りとして立っています。
 頭と筋力が必要です。

●コンテスト
 基本はボディビルコンテストとお考え下さい。
 皆さまは掛け声を用意していただけると成功率が上がるかと思います。
 また、コンテストに新風を吹かせたい(違うアプローチをしたい)方も大丈夫です。難易度は上がりますが上手く行けば審査員(ランジーリちゃん)の心に響くでしょう。

●ランジーリちゃん
 この地を統治している女男爵です。
 自らを鍛えに鍛えたことで男を上回る筋肉を手に入れました。
 自分が出来るがゆえに他人にもそれを求め、領民は過剰な蛋白質摂取とそれに伴う肥満、痛風、腎疾患に苦しんでおります。

●筋肉雅言葉
 オブリビオン達は教養を受けた筋肉家の為、筋肉に対して直接的な評価を好みません。
『肩に小さな馬車が乗っている(良い、肩の筋肉ですね)』
『腹で野菜が下ろせそう(六つに割れた見事な腹筋ですね)』
 などの言葉で会話します。
 猟兵達も筋肉雅言葉を覚えておけば、コンテストにおけるコールやGuyとの会話に役立つでしょう。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『闘奴の反乱に助太刀せよ!』

POW   :    襲撃だ!腕ずくで牢をぶちやぶれ!など

SPD   :    忍び込み、脱出経路を案内したりカギあけたりすべし!など

WIZ   :    看守達の捜査網を混乱させてしまえ!など

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●抵抗者の叫び
 俺はレジスタンスの戦士。今は牢に囚われの身だ。
 あの女男爵に負けたばかりにこんな目に遭ってしまった。
 今では三食、鳥肉と野菜のスープに茹で卵ばかりで、パン一つ与えられやしない。
 鉄格子は施錠されていないが重量が重たくて動かせられない。
 なので俺はトレーニングに励んでいる。
 そういえば、昨日女男爵から50kgの円盤を2枚もらったがちょうどいい、これを使ってウェイトトレーニングに励んでやる。
 まずはスクワットからだ――。
小野・通
私も貴族社会相手に長年仕事してきたけど……
(カルチャーショックババア)

【WIZ】
実年齢相応の老けメイクに、ブカブカローブ、腰を曲げて牢屋へ
【コミュ力】で看守に話しかける
「む、息子がここにお世話になっていると聞きましてね……。せめて息子に筋肉のよくつく食べ物を差し入れたくて……看守さんもどうぞ」
(籠から茹でササミや焼魚を取り出し)

通じなさそうなら懐に隠した濡れタオルで老けメイクを落として【誘惑】で看守に迫る
「実はぁ~!息子じゃなくて婚約者に会いにきたんですぅ~!」
(くねくね)
婚約者がいるような年齢に見えないと言われたら、別れた夫だとか理由をコロコロ変える
とにかく時間を稼いで他の人の侵入をサポート



●知性は筋肉猟兵の源
「私も貴族社会相手に長年仕事してきたけど……」
 小野・通(夕星・f10508)は何かを呟こうとした口を閉じる。公家や武家とも交流がある彼女にも異文化に対する驚きはあるが、それを盲目的に批判する品性など持ち合わせていないからだ。でも、この世界は異常なので対処はする。
 大きめのローブを身に纏えば、彼女は屋敷へと歩いて行った。

「こちらに御用ですか、ご老女殿。水分と塩分を減らす時期には速いと思いますが? (訳:ご用は何ですかお婆さん、筋肉をつける前から水分と塩分をカットして浮腫みを取るのは早いですよ)」
 メイクによって皺を増やし、腰を曲げることで老婆を装う通に対し、牢を守る牢番Guyが自慢であろう胸筋を脈動させながら応対する。
「む、息子がここにお世話になっていると聞きましてね……」
 籠から持ち出すのは茹でたササミや焼き魚。低カロリー、高蛋白の筋肉食(マッスルフーズ)だ。
「せめて息子に筋肉のよくつく食べ物を差し入れたくて……看守さんもどうぞ」
 差し出される、ササミ。だが牢番Guyはその手を優しく包み込むと片膝を折って、視線を通と同じ高さに。
「これは貴女が食べてください。見たところ貴女は食事が足りない。息子さんの為にも食事を分け与えたのでしょう? ですが、我々は大丈夫です」
 サイド・チェストで胸筋から肩、腕までをアピールすれば。
「この通り、血管うねうねマスクメロンです(訳:筋肉を鍛えて、脂肪もカットして肉体を仕上げてます)」
 筋肉以上に磨きをかけているであろう、歯の輝きと共に自らに施しは要らないという高潔さ(?)をアピールした。
「おっと、息子さんへの差し入れでしたね。お待ちください」
 要件を思い出した牢番Guyは背中を向けると1トンの鉄格子を掴んで、ゆっくり、ゆっくりと牢を開ける。
 手伝うべきかと通は考えたが、すぐやめた。これ以上付き合うと筋肉に汚染されるだろうから、後は力のある猟兵に任せよう……と。

 このように、鍛えた筋肉だけに妄信すれば見事に騙される。
 筋肉猟兵たるもの通の様に知性も身に着けるべきなのだ。 

成功 🔵​🔵​🔴​

月殿山・鬼照
基本的には【POW】で【怪力】【念動力】で檻を開けるのが目標。
「貴殿、なかなかのぐれーとけつぷりでござるな(棒)」
まずは筋肉愛好家のふりをし、愛想笑いと一夜漬けの雅言葉でGuyを油断させて接近。檻を開けるのを手伝う。中の人が逃げられるほど開いたら、
「されど」と愛想笑いから、せせら笑いに表情を変え、
「その筋肉、実戦向きではないな!」
と、細マッチョの本領発揮。スピードと瞬発力を見せつけて殴り倒す。
「大体肉の食べ過ぎであろう。拙僧は山寺育ちゆえ概ね精進料理で養われてきたが、この通りの身体でござるぞ!(微妙にナル発言)」
檻がまだ開ききってなければ仲間と力を合わせて開ける。
※アドリブ連携ネタ大歓迎



●ビタミン、ミネラルは本物の筋肉を作る。
 牢番Guyが鉄格子を(力技で)開けようとしていた時、そこへ伸びるシャープな前腕伸筋。
「大変そうだな、手伝おう?」
 月殿山・鬼照(不動明王の守護有れかし・f03371)が力を入れれば、細いながらも、しなやかで力強い筋線維が浮き上がり、1トンの鉄格子が動く速度が増していく。
「おお、かたじけない。貴方、その上腕筋、ナイスバリバリチョモランマ(訳:貴方の筋肉はとても絞れていて、細いながらも力こぶの存在感は見逃せません)」
 牢番Guyが謝辞を述べれば。
「貴殿こそ、なかなかのぐれーとけつぷりでござるな(棒)(訳:貴方こそ、殿筋がプリッとするほど鍛えられていて惚れ惚れしそうです)(棒)」
 鬼照も一夜漬けの筋肉雅言葉(ノブレスマッスル)で牢番Guyの鍛え上げた殿筋を褒めたたえる。
 それだけで充分であった。お互いをリスペクトする心は牢番Guyの警戒する大胸筋を緩め、そして鉄格子へ向けて背筋を隆起させる。
 伴う様に羅刹の破戒僧が背筋に力を入れれば、脂肪の少ない筋肉に血液が流れ、筋繊維が動くその背中は鬼面を思わせる程。
 Guyと猟兵二人の協力で鉄格子が動き、人が一人通れるほどのスペースを作った。

「されど」
 礼を述べようと振り返った牢番Guyの瞳に映るのはせせら笑う鬼照の顔。
「その筋肉、実戦向きではないな!」
 細くしなやかな筋肉が発条のような瞬発力と鞭のような速さで脈動し、拳に威力を乗せる。
「なんだ……ぐふぅ!!」
 シックスパックに割れた腹筋の隙間、鳩尾に羅刹の拳がめり込めば、牢番Guyは腹を抑えて顔から床に倒れ伏す。
「大体肉の食べ過ぎであろう。拙僧は山寺育ちゆえ概ね精進料理で養われてきたが、この通りの身体でござるぞ!」
 微妙にナルシストな発言から、絞った身体を見せつければ、脂肪を削ぎ落した胸筋は多頭蛇の様に自らを主張する。
 鬼照は胸襟を整えると、牢の中で腕立て伏せをしていたレジスタンスを助け出した。

 このように大きすぎる筋肉は素早さを欠く。
 筋肉猟兵を目指すなら鬼照の様に野菜をしっかりとって、しなやかな筋肉を作り出そう。

成功 🔵​🔵​🔴​

戦場外院・晶
雅言葉とは面白そう……は?筋肉?
はあ、筋肉で雅……はあ、世の中は広うございますね
「もし、私は戦場外院・晶と申します。……よしなに」
GUY様に呼び掛けます

……ペロペロ
え?何を舐めているか?
大豆蛋白でございます。糖分も豊富でして、私も豆腐のようにスッと切れるというもの
もっとも、このUCで切れるようになるのはオツムなのです
「まるで豊洲市場のようなお方です。感服しました……しかし」
この
きなこ
知性で
上げて
落とします
「どうにも、市場に桜が見えますわ」
見せ筋じゃないか、の意
「どうでしょう、ここで一番重い物を持ち上げて見せて頂ければ」
後は扉を動かすよう誘導し、然るのちにしばいて倒します
「はい、ずどーん」
です



●Soy is Power
 雅言葉とは面白そう……は? 筋肉?
 はあ、筋肉で雅……はあ、世の中は広うございますね
 ――戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)の言葉より抜粋。

「もし」
 別の牢において、大胸筋をポンプの様に脈動させて周囲を警戒している牢番Guyへ呼びかける声。
「これはシスター、このようなところに何の御用でしょうか?」
 排他的な右胸筋が警戒を訴え、慎重な左胸筋が対話を呼びかけるのを信じた牢番Guyは異邦の尼僧へと問いかける。
「私は戦場外院・晶と申します……よしなに(ペロペロ)」
「私はマスキュラー、この牢を守るもの……失礼ですが何を摂取しておいでで?」
 目の前できなこペロペロ(ユーベルコードですよ)してる晶の行動を流石に怪訝に思ったのか牢番Guyが再び問いかける。
 いくら筋肉万能世界でも牢の前で尼僧がきなこ食べたら突っ込むくらいの常識は彼にもあった。
「大豆蛋白でございます。糖分も豊富でして、私も豆腐のようにスッと切れるというもの」
「なるほど、ソイプロテイン。私も寝る前に愛用しています」
 大豆蛋白と知った牢番Guyは警戒を緩める、やっぱり筋肉万能世界だった。
「そうでしたか、まるでトヨス市場(訳:筋肉が市場の様に満ち溢れていますね)のようなお方です。感服しました……しかし」
 ここで晶の大脳前頭葉筋(訳:智慧)がきなこペプチドによって刺激され、カットの入った筋肉の様に鋭く指摘する。
「どうにも、市場に桜が見えますわ(訳:その満ち溢れた筋肉は見せるための筋肉ですか?)」
「ほう……私の胸筋は綿あめの様だと(訳:私の胸筋がスカスカの見世物ということですか?)」
 晶が1トンの鉄格子を指さす。
「どうでしょう、ここで一番重い物を持ち上げて見せて頂ければ」
 牢番Guyが鉄格子と尼僧を見比べる。
 仕事と筋肉を天秤にかけ。
「分かりました、では証明いたしましょう」
 筋肉を選んだ、3秒くらい考えて。
 牢番Guyが鉄格子を動かしているのを眺めながら、晶は指の調子を確かめる。軽くパキって音がなったのは気のせいだろうか?
「どうでしょう? これで私の筋肉が本物だと――」
 鉄格子を動かした牢番Guyが振り返ると、その手を晶が握る。

 ミシ……ミシィ!

 男の手から何か音のようなものが鳴った瞬間。
「はい、ずどーん」
 尼僧は相手の手を逆関節に捻りあげてから戻す勢いで放り投げる。
 合気道でいう小手返しの応用であった。
「以上です」
 晶が鋼鉄の円盤を抱えてスクワットしているレジスタンスに目くばせすれば、囚われた男は円盤を担いで牢から出た。

 筋肉は蛋白質(プロテイン)から作られる。
 肉も大事だが大豆も蛋白質が豊富。
 筋肉猟兵を目指すなら、晶の様にソイプロテインも摂ろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニャゴロー・ランタン
扉が1トン、でありますか…どう考えても自分にはとても開けられないでありますにゃ。見張りの人に開けてもらって、自分が気を引いているうちに逃げてもらう作戦しかないにゃ
ややっ、後光が眩しいでありますにゃ?!
輝く筋肉の照りを褒めつつGuyに接近、褒め称えるにゃ
バリバリの背筋にゃ!広すぎてパンこねれる!
もしこの重い扉なんか動かしたら、でかい二頭がさらに盛り上がってダチョウの卵になっちゃうにゃ?!
扉が開いたら中の人に合図を送りつつ、Guyの気を引くにゃ。背中に羽!脚がゴリラ!マッチョのキマイラかい!
レジスタンス殿、早く逃げて欲しいにゃ、筋肉雅言葉(即席)のストック尽きてしまうにゃ…ウインクして合図するにゃ



●脳は筋肉で出来ている
 ニャゴロー・ランタン(戦場のネコチャン傭兵・f10624)は考えた。
「扉が1トン、でありますか……どう考えても自分にはとても開けられないでありますにゃ」
 いくら戦うのが商売の戦場傭兵と言えど、身長42.9cmのケットシーでは基本的に筋肉量の限界がある。というかケットシーを筋肉天国に適応させるべきではない、アルダワの良い子が泣く。
 故にニャゴローは知恵を使うことにした、つまり脳力――Brain muscle。

「ややっ、後光が眩しいでありますにゃ!?」
 リラックスポーズ(全身に力を入れて筋肉を誇示する姿)で警備に当たる牢番Guyへ、腰のあたりから声がした。
 Guyが見下ろせば、そこに居たのはニャゴロー。いつから居たのだろうか? 牢番Guyが思考のマッスルを働かせようとした時、鼓膜を刺激するのは筋肉雅言葉(ノブレスマッスル)。
「バリバリの背筋にゃ! 広すぎてパンこねれる!(訳:とても絞った浮腫みの無い背筋ですね。しかも大きい、しっかり鍛えている証拠です)」
 気を良くした牢番Guyが背中を向けてバックラットスプレッド(背中を大きく魅せる姿)。
「もしこの重い扉なんか動かしたら、でかい二頭がさらに盛り上がってダチョウの卵になっちゃうにゃ!?(もし、この鉄格子を動かしたら、貴方の力瘤はとても隆起して素晴らしいものになるのでしょうか?)」
 例えオブリビオンの配下である牢番Guyといえども人間。しかも筋肉にプライドがある。そして紳士だ。故にもうその手は鉄格子にかかっていた。
「背中に羽! 脚がゴリラ! マッチョのキマイラかい! (訳:背中は翼を広げた鳥のように広く、足は森の賢人のように太い、筋肉に優れた動物から部位を集めたような体つきですね)」
 ニャゴローが矢継ぎ早に筋肉を褒めたたえれば、鉄格子を解放した牢番Guyはフロントダブルバイセップス(身体の正面と上腕二頭筋を誇示する姿)で自らの肉体を表現。その隙にケットシーはレジスタンスへウィンク、サインを送る。
 言葉より筋肉を理解するレジスタンス達は瞬きによって会話する読瞼術を身に着けていたのでニャゴローの意を脊髄反射で理解。砂袋を小脇に抱えると、忍び足で牢から抜け出した。
 
 知識は繰り返し学ぶことで覚えることはご存じだろうか?
 つまり脳は適切な刺激を与えることでニューロンが刺激され鍛えることが出来る――つまり筋肉だ。
 筋肉猟兵たるものニャゴローのように脳を筋肉するようにトレーニングしよう。
 ちなみに脳にはプロテインでなくブドウ糖の摂取をお勧めする。

成功 🔵​🔵​🔴​

仁科・恭介
筋肉相談したら何とかなる?

事前にユーベルコードを使用して筋力をアップしておき、【目立たない】で看守たちに近づくことを試みます。
「まるで山脈達が会話をしているようですね。(おはよう)」

「今日も背中に羽が生えてますね」と話をしつつ、携帯食料を渡しながら悩みを相談します

「私のってこんなカモシカみたいなやつじゃないですか。もっと歌うような仕上がりにするにはどうするんですかね。(私ってスラっとしてますけど皆さんすばらしいですね)皆さんってあの鉄格子があるから捗っているんです?」

と看守達に話しかけ、鉄格子を使用した筋トレを始めたらレジスタンス達に今のうちと促します
「〇〇さん仕上がってる。でも△△さんは?」



●筋肉を褒めたたえよう。
「まるで山脈達が会話をしているようですね(訳:おはよう)」
 シンプルだが力強い筋肉雅言葉(ノブレスマッスル)の息吹を感じた牢番Guyが視線を動かせば、仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)の細くしなやかな筋肉が視線に入る。

 意図的に目立たせないような所作から自分を抑えている様子が伝わるが心臓から流れる血液によって脈動する筋肉の美しさを牢番Guyは見逃さない。
「そちらこそ、見事な峡谷ですね(訳:こんにちは、良いカットの入ったしなやかな筋肉ですね)」
「ありがとう、今日も背中に羽が生えてますね(訳:今日も貴方の大きな背中が鍛えられていますね)」
 恭介が携帯食料を取り出せば、牢番Guyは手で制する。携帯食料は炭水化物や脂質が重視されるので本能的に忌避してしまうのだ。
 Guyの意図を感じたダンピールは携帯食料をしまうと、話題を変える。
「私のってこんなカモシカみたいなやつじゃないですか。もっと歌うような仕上がりにするにはどうするんですかね。(訳:私ってスラっとしてますけど皆さんすばらしいですね)皆さんってあの鉄格子があるから捗っているんです?(訳:皆さんは鉄格子でアイソメトリックストレーニングをしているのですか?)」

 突然始まる筋肉相談。
 だが、筋肉に対して真摯である牢番Guyは快く見ず知らずである恭介の相談に応える。
「貴方のカーフからカモシカが生えてますね。(訳:貴方の足はスマートのしまっているではありませんか、素晴らしいと思いますよ)」
 Guyは虚空をなぞるようにダンピールのふくらはぎの曲線を表現すると。
「歌うように仕上げるには高い強度だけでなく、低い強度でオールアウトするまでトレーニングが必要だと思います。(訳:筋肥大を目指すなら、高強度トレだけでなく、低強度での限界まで追い込むのがベストです) そうですね、鉄格子なら――」
 丁寧なアドバイスを返したのち、牢番Guyは1トンの鉄格子を掴んで力を込める。
 床と鉄格子が擦れる音がし、1000キロの鋼鉄が動くのを恭介は確認し。
「仕上がってる! 仕上がってますね!」
 レジスタンスに合図を送りつつ、自分も鉄格子を押す。
 ダンピールの身体を陰に、虜囚の男は手首と足首に砂の入ったベルトを巻いて牢を出た。

 相手の筋肉をリスペクトすれば、鍛えた筋肉に人生を費やした者は筋肉にかけて貴方に応えてくれる。
 君が筋肉猟兵を目指すなら、恭介のように相手の筋肉をリスペクトする姿勢を持つべきだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・真峰
むむ、不思議な価値観だな
まぁ甲冑を自前(筋肉)で作るのが尊ばれる世界なのだろう
口八丁やってみるとしよう

やあ、仕上がっているな

こちらに素晴らしいだびで像がいると聞いてな
キミのことかな?
こんてすとに向けて目を肥やしたいと言ったら許可が出たのだ
しばらく鑑賞させてくれ

ふむ、ないすばるくだ
土台が違うとはこういうことを言うのだな
ときに、実際に全力を出した筋肉というものを見てみたいのだが、可能だろうか?
そちらの鉄格子など、持ち上げられるものなのかい?

誘導に乗り扉を持ち上げたら
あにきー! と盛り上げながら捕虜達を手招き
こっそり抜け出してもらおう
しかしれじすたんす、何故わざわざ重たい物を持って出ていくのだ?



●筋肉に疑問を抱こう
 水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)はこの世界を不思議がった。
 いや、それが本来正しいはずだ。
「むむ、不思議な価値観だな……まぁ甲冑を自前(筋肉)で作るのが尊ばれる世界なのだろう」
 だが、そういう世界だと理解した真峰は世界観に見合った行動をとることを選んだ。
 郷に入っては筋肉に従えと言う事だろう。

「やあ、仕上がっているな」
 鉄格子に片足を引っかけてブルガリアンスクワットを行っている牢番Guyへとヤドリガミが声をかける。
 汗を拭きとり、リラックスポーズでGuyが来訪者を警戒すれば。
「こちらに素晴らしいだびで像がいると聞いてな(訳:こちらに彫像の様に彫り込まれた筋肉があると聞きました)」
 筋肉雅言葉(ノブレスマッスル)に牢番Guyの左胸筋が反応した。
「キミのことかな?」
 次に右胸筋が反応した。
「こんてすとに向けて目を肥やしたいと言ったら許可が出たのだ。しばらく鑑賞させてくれ」
 筋肉を鑑賞されることを栄誉とするGuyは紳士故に淑女の言葉に応え、ポーズを取る。
「ふむ、ないすばるくだ(訳:はち切れんばかりの筋肉ですね)。土台が違うとはこういうことを言うのだな」
 興味深く見つめる真峰の態度に牢番Guyも気分を良くする。
「ときに、実際に全力を出した筋肉というものを見てみたいのだが、可能だろうか?」
 ヤドリガミが鉄格子を指さす。
「そちらの鉄格子など、持ち上げられるものなのかい?」
 勿論、淑女の言葉に応えるのがGuyであった。

「あにきー!」
 鉄格子を掴んで持ち上げる牢番Guyへとコールをしながら真峰が手招きすれば、コシティと呼ばれる杵状の重りを両手に持ってレジスタンスが牢を出た。
 ヤドリガミはゆっくりと下がりながらコールを繰り返し、やがて捕虜と一緒に外へと出た。
「しかしれじすたんす、何故わざわざ重たい物を持って出ていくのだ?」
 出ていくときに真峰が問えばレジスタンスは一言。
「レジスタンストレーニングに使うから!」
 快活に答えた、彼もやっぱり筋肉だった……。

 時には筋肉に対して疑問を持ち、問いかけることも必要だ。
 真峰の様に、世界観を不思議がり、重りを持って脱出するレジスタンスへ質問することは筋肉猟兵となるために必要な事である。
 というか、今まで重り持って去っていったのにツッコミ無いのがおかしいよ!?

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『ドレスアップ・ビフォー・アフター』

POW   :    肉体や強靭な精神を引き立てて美しくなってみる

SPD   :    凝った装飾や軽やかな仕草で美しくなってみる

WIZ   :    ミステリアスさや神秘さを引き立てて美しくなってみる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●婿探しコンテスト
「筋肉婿探しコンテスト」
 猟兵の言葉にレジスタンスのリーダーが頷いた。
「毎月一回、この地を収めるランジーリ女男爵は、伴侶を選ぶためにコンテストを行っている。基本的には筋肉自慢が集まるが、他の方法で気に入られた者もいる。そして入賞した者がランジーリちゃんファイトへの挑戦権を得る」
 ――ランジーリちゃんファイト。
 一瞬空気が固まった気がするのは気のせいだろうか?
「そこでランジーリちゃんを倒せば、この蛋白質とトレーニングを課せられた圧制から救われるんだが……皆、黒のレースを押し付けられて」
 レジスタンスが視線を逸らす。
「――Guyになった」
 誰かが悲鳴を上げた気がした。
「と、とりあえず。コンテストは参加自由だ、お願いだ! 君達ならランジーリちゃんファイトに挑戦できるはずだ。勿論、筋肉が無くても筋肉雅言葉(ノブレスマッスル)で参加者を応援することで評価を上げることが出来るだろう。すまないが……よろしく頼む!」
 レジスタンスのリーダーは頭を下げる。
 コンテスト開始まで時間は長くない、そして領主であるオブリビオンに近づくチャンスを逃す訳には行かない。
 猟兵は使命と筋肉と常識を今、試されている。

●よくわかるコンテストのルール
 出場者
 自分のアピールポイントを押し出して「ランジーリちゃんに気に入られること」を目的として行動してください。
 筋肉をアピールしても良いし、それ以外でランジーリちゃんの心と筋肉を動かすことも可能です。

 応援者
 筋肉雅言葉(ノブレスマッスル)を駆使して、出場者を応援してください。
 応援プレイングが凄ければ判定も優位に進みます。
 パワーだけじゃ無理ですが貴方の脳をフル回転させたコールが勝利を導きます。

 あとはMSががんばりますのでよろしくお願いします。
 
仁科・恭介
出場者
〇アピールポイント
「ランジーリ」にはない回転木馬のような天然のカモシカ。(器具を一切使わず大自然で鍛え上げた24時間戦えるくらいの持久力)

「貴女が纏っている山並みは本当に黒曜石のように素晴らしい。でも、舞踏会にでるのなら黒曜石は脆いですよ(本当に無駄が無くて素晴らしい。でも持久力はどうですか?)」

と、軽負荷サーキットトレーニングをはじめ持久力の必要性を訴えます。
「私なら貴女の山並みを維持しながら猟犬(長時間動けるよう)に育てるのも可能です。是非私と一緒にマーチヘア(マッチングの言い間違え。「マーチヘアは貴女に夢中です」)しましょう」
と、真剣な眼差しでにっこり笑い訴えます。



●24時間、筋トレできますか?
 最初に挑むのは仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)。
 彼には筋肉は無い、しかし回転木馬のような天然のカモシカ(訳:器具を一切使わず大自然で鍛え上げた24時間戦えるくらいの持久力)の様な肉体を持っている。そしてその素晴らしさを伝えようとステージに立つ。

「貴女が纏っている山並みは本当に黒曜石のように素晴らしい。でも、舞踏会にでるのなら黒曜石は脆いですよ(訳:本当に無駄が無くて素晴らしい。でも持久力はどうですか?)」
 彼の一言に会場がざわついた。当然だ、目の前の審査員――ランジーリちゃん(女性)の筋肉は見掛け倒しだと言っているのだから。
 その場で腕立て伏せ、スクワット、腹筋、背筋を短いレップ(回数)で流れるように行う軽負荷サーキットトレーニングを始める恭介。
「私なら貴女の山並みを維持しながら猟犬(訳:長時間動けるよう)に育てるのも可能です。是非私と一緒にマーチヘア(訳:マーチヘアは貴女に夢中です)しましょう」
 汗を流し、満面の笑みを称え手を伸ばす恭介。ランジーリちゃんは審査員席から立ち上がり、彼の手を掴めば。その場で腕を引く。
 咄嗟にダンピールがもう片方の手を伸ばせばそれを握り、ダブルのシェイクハンドから綱引きの様にトレーニングが開始された。
「貴方は私の肉体が窓を拭けないと思っているようだけど(訳:筋力はあっても筋持久力等が不足していると思ってますね)」
 お互いに引かれる腕と腕、筋が張り、筋が隆起し、血管が脈動する。
「残念だけど、私の腕は水車の様(訳:私の筋持久力は水車並みに常時パワーを発揮できます)。自重トレーニングに傾倒して朝夕を過ごしてはいないかしら? ちゃんと牛を担いでます?(訳:自重トレーニングだけだと筋肉は慣れてしまうのでウェイトも使うべきです)」
 二人の間で滴る汗。
 ランジーリちゃんが手を離せば、恭介が自分の呼吸が乱れていることを知る。
「低負荷の筋トレも追い込めば筋肥大を生み出すのよ。貴方の身体は締まっているけど、それは競技特性」
 息一つ乱さずにベビードールの女性が笑えば。Guyへと視線を送り。
「この者を合格とする……貴方の証明したいものはランジーリちゃんファイトで証明なさい」
 恭介へと白い歯を見せればランジーリちゃんは背を向け、審査員席へと歩いて行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

戦場外院・晶
……踊らにゃソンソン

「大きな鉄塊を用意してくださいまし。私と同じくらい大きなものを」

先ずは観客に一礼……こういう場での作法など分かりません
「戦場外院・晶でございます……この神聖なステージに、このような格好でいる無作法、お許し下さい……筋肉を、妄りに見せない信仰なのです」
少しばかり、ひらひらと、その場でくるり、ポーズを取らない自然体をみせる
「……参ります」
筋量では、私が勝てるはずもなく、されど
「……握力ならば」
鉄塊の出っ張りを掴む、千切る、握り、潰す、手形を残す
私の普段の修練の、ほんの触りです

か弱い()女が見せた離れ業……逆にインパクト
観測されない限り、筋骨粒々かも知れない
シュレディンガーの筋肉



●シュレディンガーの筋肉
「大きな鉄塊を用意してくださいまし。私と同じくらい大きなものを」
 戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)が求めれば、審査員Guy達が全長172㎝の鉄塊を運んでくる。
 晶は観客に一礼をすると。
「戦場外院・晶でございます……この神聖なステージに、このような格好でいる無作法、お許し下さい……筋肉を、妄りに見せない信仰なのです」
 無作法を詫びた後、ひらりとその場を回り、異邦の教えに基づいた僧服を見せる。
 観客席そして審査員席からどよめきが上がった。
 彼らはその足取りを見て、何かを悟ったのだろう。
 筋肉を知る者は衣服の下にある筋肉を知ることが出来、その動きを見るだけで筋肉がどう運用されるかを悟ることが出来る。
 少なくともレジスタンスのリーダー、一部のGuy、そしてランジーリちゃんはそれを理解していた。

「……参ります」
 晶が鉄塊に手を伸ばす。
 皆が固唾を飲んで見守れば、異邦の聖女は鉄塊を握って……。
「……握力ならば」
 まず、持ち上げた。
 観客席が静まり返った。
 掴みやすい棒に重りを付けたものではなく、鉄塊の出っ張りを掴んで持ち上げてるのだから。
 つまり、握力を中心に総合的に筋力があるという事だ。
 次に晶は鉄塊を置くと、そのまま指に力を入れて出っ張りをむしり取った!
 その様子を見た観客からどよめきが漏れる。当然である、いくら鋼ではない脆さのある鉄とは言え、それをむしり取るのは普通の力では出来ない。
 むしり取った鉄を更に握れば鉄はその手の中に納まり、やがて小さい鉄のかけらとなって床に落ち、ランジーリちゃんの足元へ転がった。
 最後に鉄塊にその掌を当てれば、刻まれるのは晶の手形。
「私の普段の修練の、ほんの触りです」
 一礼を以って演を終了すれば、観客から拍手が巻き起こる。
 そこへランジーリちゃんが歩み寄る。
「素晴らしい握力ね、とても鍛えた肉体をお持ちと思われるわ、シスター」
「とんでもございません、私などか弱い()女でございます」
「いいえ」
 ランジーリちゃんは否定して、いつ拾ったのか、先ほど足元に転がった鉄の欠片をその手に持ち。
「これは鋼。鉄を鍛えた末に生まれる物。私以外に握力でこれが出来るものに出会えるとは思わなかったわ」
 そしてGuyへと視線を送れば。
「この者を合格とする。シスター、貴女の握力をランジーリちゃんファイトで是非体験したいわ」
 そこには僧服に隠れたシュレディンガーの筋肉に対する畏敬があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月殿山・鬼照
●(さほどでないけど)スピードをアピール
「女男爵殿が身に着けている雲海を貫く飛騨山脈は、毎日の厳しい鍛錬の成果とお見受けする。また、それを続けていける鋼の如き精神力も尊敬に値致しまする……しかし」
 そこで猛ダッシュで反復横跳びを始める。
「その富士山を常時背負われていたら、速さには欠けると推察するが……如何!?」
 ランジーリちゃんも一緒に跳んでくれると嬉しい。
 さぞかし会場がズシンズシンとなるでしょうから、
「山が動いておる! 武田信玄もびっくりでござる!」跳んでくれたらこんな応援文句で取り入りたい。
 口説き文句は、
「一緒に美とスピードを兼ね備えた完璧な肉体を目指さぬか」
※アドリブ連携ネタ大歓迎。



●反復横跳び風林火山
「女男爵殿が身に着けている雲海を貫く飛騨山脈は、毎日の厳しい鍛錬の成果とお見受けする(訳:女男爵殿の僧帽筋はトレーニングの成果で盛り上がってますね)。また、それを続けていける鋼の如き精神力も尊敬に値致しまする……しかし!」
 月殿山・鬼照(不動明王の守護有れかし・f03371)が舞台を真横に跳んだかと思えば、再び床を蹴り、また横へと飛ぶ。
 ジャンピング・サイドトゥサイド――反復横跳びだ!
「その富士山を常時背負われていたら、速さには欠けると推察するが(訳:その逆三角形の身体と、三角筋の太さでは速く動くのは大変そうですね?)……如何!?」
 鬼照が審査員席に視線を移せば、ランジーリちゃんの姿はない。
 当然だ、今、彼の目の前にいるのだから。
 男と女、猟兵とオブリビオン、二人が真っ向、お互いの目を見て反復横跳びを繰り返す。
「山が動いておる! 武田信玄もびっくりでござる!(訳:その身体で素晴らしい、瞬発力ですね!)」
 羅刹がその躍動感を称賛すれば。
「貴方こそ! まるで駿馬のよう!(訳:貴方の身のこなし、スマートな肉体からの躍動感が素敵ですね)」
 ベビードールは俊敏性に敬意を表す。
 筋肉と筋肉、共通するものはただ一つ、そう筋肉。
「一緒に美とスピードを兼ね備えた完璧な肉体を目指さぬか」
 反復横跳びを終えた鬼照は流れる汗も拭わず手を差し出す。その掌は(運動で)熱い。
「それもいいかもしれない、でも――私は領主、今は答えを返せない」
 名残惜しそうに首を振るオブリビオン、そして――。
「貴方にはランジーリちゃんファイトを受けてほしい。その時にこそ……答えを返しましょう」
 その手を握るランジーリちゃんの手は(運動で)暖かく、力強かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水心子・真峰
観客席で応援の予定だったが出場者の演目を見ているうちにうずうず
私も出る!
錬成ヤドリガミで一振りだけ複製した太刀を佩き飛び入りで赴こう

刀らしく居合切りを披露
神楽で何本の巻藁の間を舞いながら
切る瞬間だけ目にも留まらぬ速さで巻藁を斬り落とそう
ゆったりした動きと同時に見せることで力強い動きを引き立てる

私も昔はもっと野太かったんだがな
今はすっかり痩せてこのざまだ(※本体の話)

巨大な筋肉が手に入れば出来ることは増えてゆくだろう
だが今ある筋肉で最大限の力を出すことも大切だ
それはやがて自信となり
より多くの筋肉を求めて進む力になるだろう

筋肉を愛する心は宿っている
その場所、心臓こそ全て筋肉、全身で最強の筋肉だ!



●Heart of muscle
 水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)の目は舞台に釘付けだった。
 筋肉がないために応援に徹しようとしていた彼女を動かしたのは筋肉猟兵達の熱い演目。
 舞台から溢れる熱意に心の大胸筋はピクピクと脈動し、気が付いたら壇上へと飛び出していた。
「私も出る!」
 錬成した細身の太刀を片手に叫ぶ真峰の心意気。
 ランジーリちゃんは鷹揚に頷くと指を鳴らし(ボキリ)、主人の意に応えたGuy達は舞台に複数の巻藁を用意した。

 それは神楽。
 それは剣舞。
 ゆったりとした動きで舞いながら巻藁へと近づけば、一つ、藁が斬り落とされる。
 静を思わせる摺り足から、目にもとまらぬ剣速で巻藁を斬る姿はまさしく動。
 静と動の揺れ幅が力強い動きを引き立てる。
 ヤドリガミの視界に大きなベビードールの姿が映る。
 正座していたランジーリちゃんはゆっくりと立ち上がるとお互いの瞳を見やり、そしてすれ違いざまに巻き藁を手刀で叩き斬った。
「私も昔はもっと野太かったんだがな、今はすっかり痩せてこのざまだ」
 砥ぎに研ぎ澄まされて細くなった太刀を自らのようにと示せば。
「でも、貴女の太刀筋は落ちた羽毛がカミソリに触れて切れる様!(訳:貴女の太刀筋はとても鋭いですね)」
 ランジーリちゃんはその剣の腕前を評価し、力強い踏み込みから巻藁を吹き飛ばす。
「巨大な筋肉が手に入れば出来ることは増えてゆくだろう、だが今ある筋肉で最大限の力を出すことも大切だ!」
 背中で重厚な手刀が振るわれれば振るわれるほど、舞台の真峰の剣筋は尚更際立つ。
「それはやがて自信となり、より多くの筋肉を求めて進む力になるだろう!」
 お互いの刀が最後の巻藁を斬りとばすとヤドリガミはオブリビオンに向き合う。
「筋肉を愛する心は宿っている」
 自らの胸を叩く。
「その場所、心臓こそ全て筋肉、全身で最強の筋肉だ!」
 心筋、それは骨格筋にして常に血液を体内に送り込む不眠不休の筋肉――そして筋肉を愛すると書いた心の源。
「心筋……素晴らしい。貴女のような人に出会えただけで、今日の場を設けた甲斐があった――ランジーリちゃんファイト、来てくれるかしら?」
 ランジーニちゃんの誘い、それは試練を乗り越えたからではない、筋肉を愛する者への敬意からの申し出であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『変態的破滅招来体』ランジーリ』

POW   :    本当の自分と向き合って!
【欲望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【対象の分身】から、高命中力の【本音】を飛ばす。
SPD   :    あなたの気持ち、わかるわ!
【まるで相手の心をわかっているかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    あなたの欲望を教えて?
質問と共に【視線を向けてウィンク】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ウルフシャ・オーゲツです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ランジーリちゃんfight.0
 ランジーリちゃんの居城地下にあるコロッセオ。
 筋肉猟兵達はそこに案内されたのは古代の闘技場を思わせる円形の戦場。
 周囲は観客席となっていて、そこにはレジスタンス達、領民、そしてGuy達が彼らの様子とこれから来る主賓の登場を見守っている。
「西! 虎の門よりランジーリちゃん女男爵様の入場です!」
 係員Guyが声を張り上げれば、入場口から現れるのは十分にウォーミングアップをこなし、身体から湯気を立ち上らせるランジーリちゃん。
 筋肉オブリビオンは猟兵達の前に立つと。
「お・ま・た・せ・♡」
 姿からは全く想像つかない女の声であった。ランジーリちゃんはそのまま話を続ける。
「貴方達、猟兵の話は聞いているわ。隣の領地の皮剥準男爵がやられたのもね」
 警戒する猟兵に対して見つめる目は穏やか。
「でも、私は構わないと思っている。むしろ猟兵でないと私の筋肉に釣り合わない……だから!」
 右手を握れば血流が筋肉に注がれ、その身はパンプアップ!
「ここで貴方達を倒して、一番強い男を伴侶とし、城塞公の舞踏会へ連れていく!!」
 静かに息を吐き、オブリビオンは腰を落とし構える。
「さあ、来なさい。ランジーリちゃんファイトで私の筋肉に勝たなければ貴方達は誰も救えない……それとも、筋肉に生きる」
 色々とツッコミどころはあるけれど、やっとまともになったぞ!
 使命を思い出して、そして戦え筋肉猟兵!!

 
仁科・恭介
※アドリブ歓迎です。
UC対象:ランジーリ

【POW】
「私はあの子に何か証明することが出来るのだろうか」

待っている間に大量の干し肉を摂取しながら食材の声を聞き考えます【携帯食料】【大食い】

【礼儀作法】に則り手四つを誘います。

その瞬間、UCが開花するような感じで。
「今勝てないなら、1秒先で勝てば良い。相手の想いが強いなら尚更!」

「私と踊ってくれますか、お嬢さん?(今日も輝いてますね、ここで貴女を越えてみせますよ)」

しばらく手四つを行ったあと、バックを取り、お姫様抱っこに決め背中から投げ落とします。
「こういう風に抱き上げるのは初めてですが…
今のはレディ・グレイ・ドライバーって名前にしましょうか」


月殿山・鬼照
「筋肉が全てではない、我々には技がござる!」
【2回攻撃】【先制攻撃】で、まず倶利伽羅剣で一発斬りつける。そのくらいじゃランジーリちゃんはびくともしないでしょうが、引き付けるためなのでダメージは度外視。
 即座に(2回攻撃の2回目)真の姿でUC解除。ランジーリちゃんの精神攻撃(?)も効かないはず! できるだけ受け止めて仲間たちの盾になる。身動きとれないので長続きはしなそうですが。
「見たか、筋肉だけでは拙僧の壁は打ち破れぬわ!」
「筋肉に拘りすぎ、真に有能で忠実な側近がおらぬのが、お主の弱点!」
※真の姿:手甲が全身にめりめり広がって、厳つい悪そうな黒鬼になる。
※アドリブ連携ネタ大歓迎



●ランジーリちゃんfight.1
 鐘が鳴らされ、戦いの火ぶたが切って落とされた。
 最初に始まったのは仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)とランジーリちゃんのロックアップ(組み合い)。
 お互いの首と腕をつかみ、腰を落とせば始まるのは力比べ。
 真っ向勝負な組み合いで膝を着くのは恭介。
 圧倒的筋量でランジーリちゃんが組み伏せれば、そこから首を掴んで投げ、組み伏せた状態からポジションを入れ替えて。
「うふふふふ」
 ベビードールの下にある黒のレースを押し付けようと腰を落としていく。
「させない!」
 月殿山・鬼照(不動明王の守護有れかし・f03371)が攻撃を制する、後の先で倶利伽羅剣を振るえば、ランジーリちゃんは即座に拘束を解き、羅刹に向き直る。
 鬼照もすぐに剣を運び、上段から唐竹に剣を振り下ろせば。
「ぬぅん!!」
 力強い叫びと共に黒のベビードールが白羽取りでそれを受け止めた。

 ――ドクン。

 月殿山・鬼照の意志に心のさざ波が動き。

 ――いいのか……いや、良いです。早くなって!!

 何かが真の姿に変わる意味を問いかけようとしたがむしろ促した。
 瞬間、羅刹の手甲が彼の身体を侵蝕するように広がり、厳しさを持った黒き悪鬼を思わせる姿へと変わる。
「そんな格好で自分を隠しては駄目! 本当の自分と向き合って!」
 筋肉オブリビオンの目が光り、溢れる筋肉への欲望をぶつける。
「筋肉が全てではない、我々には技がござる!」
 だが手甲でも筋肉でもない何かがそれを拒む――人、それを無敵城塞という。
「見たか、筋肉だけでは拙僧の壁は打ち破れぬわ!」
「なんと筋肉漲るユーベルコード!? だが、そこまで硬さを維持するなら動けまい!」
 黒い鬼照の身体に逆水平の手刀を何度も浴びせるランジーリちゃん。
「そのユーベルコードを解いた時が貴方の負けよ!」
「悲しいのう……」
 激しく肉を打つ音が木霊するコロッセオに羅刹の言葉が響く。
「筋肉に拘りすぎ、真に有能で忠実な側近がおらぬのが、お主の弱点!」
「貴方に何が分かる!」
 叫びと共にチョップの激しさが増す!
「ここまで鍛えるのに色んなものを!(バシーン!) 約束した友を!(バシーン!!) 恋するものも!(バシーン!!!) 全てを捨てて身に着けたのがこの筋肉!」
 拳を握り振り上げる。
「筋肉こそが今、私の、真に有能で忠実な側近!」
 その手を抑える腕があった。

「私はあの子に何か証明することが出来るのだろうか」
 鬼照とランジーリちゃんの戦いを目に焼き付け、恭介は大量の干し肉を摂取しながら食材の声を聞く。
 凝縮された蛋白質の塊から伝わるメッセージ。
「P…R…O…T…E…I…N……プロテイン(蛋白質)、そうかそういう事だったのか」
 何かを悟ったフードファイターはゆっくりと歩を進めば、筋肉が側近と叫び拳を振り上げるランジーリちゃんの腕を掴む。
 黒いベビードールが恭介の方を向いた。
「お願いします」
 と腕を掲げる男がいた。
「お願いします」
 筋肉オブリビオンも答礼し、ゆっくりを腕を掲げれば、お互い慎重に指を絡めるように手を合わせる。
 手四つの二人の手が繋がった時、力のぶつかり合いが始まった!
 先ほどと同じように力で勝るランジーリちゃんがウェイトをかけていく。
「これが貴方に証明する」
 耐え抜く恭介が紡ぎだすのは。
「私なりの解答」
 共鳴という名の回答(ユーベルコード)。
「今勝てないなら、1秒先で勝てば良い。相手の想いが強いなら尚更!」
 過去の残滓、筋肉オブリビオンに対し、現在を守る筋肉猟兵が出した未来への答えが、ランジーリちゃんに拮抗し、そして上回る。
「私と踊ってくれますか、お嬢さん?(訳:今日も輝いてますね、ここで貴女を越えてみせますよ)」
「よろこんで、さあ手を取ってくださいな(訳:見せてください、貴方が私を持ち上げるのを)」
 瞬間、二人の手が離れる。恭介がクラッチを切ったのだ。
 そのまま流れるように背後に回れば。
「――今だ!」
 タイミングを計っていた鬼照が声を上げる。
 同時にランジーリちゃんをお姫様抱っこに抱えた恭介がそのまま彼女を真後ろに放り投げた!
「こういう風に抱き上げるのは初めてですが……今のはレディ・グレイ・ドライバーって名前にしましょうか」
 砂地の闘技場に鈍い音が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

戦場外院・晶
「……私の欲望、聞いて下さるのですか?……ふふ、ランジーリ様は、身も心も、アトラス山脈ですわね」
なに偽る事がございましょうや
「戦いを。一心不乱、血湧き肉踊る戦いこそ望むところ」
……山脈に挑むこの総身が、沸き立つのを感じる
「踊って頂けますか?レディ・ランジーリ?」
この「手」を差し出す
【手をつなぐ】【怪力】【グラップル】
私の持つ全てをもって、捕り、離れ、殴り、捌き、極め、蹴り、投げ、踏み、叩いて、殺す
同じだけ痛めつけられるのを、楽しむ
「削れる肉より、流れる血より、この時が惜しい……!」
雅に、言葉と拳を交わす
「全身が燃えていますよ?」
「まるで、金剛石」
「貴女という宇宙の中心は……そこです!」
よしなに



●ランジーリちゃんfight.2
「踊って頂けますか?レディ・ランジーリ?」
 立ち上がろうとしたランジーリちゃんに差し伸べられるのは戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う・f09489)の手。
 その様子を見て他の猟兵達は距離を取る。これから始まる握力台風の恐ろしさは先ほどの鉄塊を見ればわかるからだ。
「勿論」
 その手を筋肉オブリビオンが掴めば始まるのは。
「そういえば本当の貴女を見てみたいわ」
「……私の欲望、聞いて下さるのですか? ……ふふ、ランジーリ様は、身も心も、アトラス山脈ですわね(訳:ランジーリ様は身体のように包容力のある方ですね)」

 ――掌!

「戦いを。一心不乱、血湧き肉踊る戦いこそ望むところ」
「それでこそ、この場に立つ筋肉猟兵」

 ――握!!

 握力と筋力、お互いが求めたものは、手を繋ぐという親愛の行為すら戦の武器と変えてしまう。
 晶がその尋常ならざる握力を以って、ランジーリちゃんの手を握りつぶそうとすれば。
「奮ッ!!」
 黒いベビードールの筋肉が全ての筋肉を総動員して拮抗し、かかった荷重で砂地が陥没する。
「覇ァッ!!」
 ランジーリちゃんが腰を落とし手を繋いだまま晶を持ち上げ、砂地に叩きつける。
 衝撃を吸収するはずの砂地が振動し、観客の足元まで揺れれば、次に引き寄せられるのはオブリビオン。
 手を離さず、異邦の聖女が引き寄せればそのまま立ち上がり、顔面も掴んで一気に疾走、闘技場の壁に叩きつけ、石壁に亀裂を走らせる。
「削れる肉より、流れる血より、この時が惜しい……!」
 手を離さずに何度も顔面に掌打を叩きこむ晶。
「けれど、時を消費しないと、得ることは出来ない」
 その鼻っ柱に拳を叩きこむランジーリちゃん。
「全身が燃えていますよ?」
 目の奥に点いた火花を消すようにに頭を振りつつ。掴んだ手を引っ張り尼僧が腹を蹴る。
「そちらだって、炭のように静かに熱いわよ?」
 くの字に身体を曲げながらも下着姿の女が腕を捻り、自分の肩に相手の肘を叩きつける。何かが折れる嫌な音がした。
「まるで、金剛石(訳:とても硬いですね)」
「まさに、水晶(訳:とても硬く澄んでいますね」 
 もう片方の手を晶が握る、パキパキ硬いものが砕ける音がした。
「貴女という宇宙の中心は……」
 尼僧が掴んだ腕を捻りつつ背後に回れば。
「そこです!」
 合気道でいう四方投げの勢いで腕を回す、但しその膂力故、ランジーリちゃんの身体は空高く舞い、ベビードールのすそがめくれ宇宙が見えた。
 色んな意味で観客が目を逸らす中、轟音が鳴り響き、砂の大地に人型のクレーターが生まれた。
「よしなに」

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・真峰
うむ、素手相手でも気負わなくてもいいのは
先のこんてすとで証明済みだからな
参るぞ!

しかしまともに受けては刀が何本あっても足りないだろう
相手が撃ち込んで来たところに合わせて
こちらも避けながら一太刀ずつ入れてゆこう

本音かい?
そうだな、願わくばこんなちまちま戦うのではなく
一騎打ちがしたいところだ

太刀を振るうことは、古くは"殴る"と言ったのだ
その歩く甲冑(躍動感のある筋肉)とこの刀、どちらが上回るか勝負だ!

剣刃一閃で全力の一撃を放とう



●ランジーリちゃんfight.3
 クレーターから腕が伸びる。
 穴から這い出るランジーリちゃん。
 残心の姿勢を保つ猟兵の脇を小柄な猟兵が駆け抜ける、水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)だ。
「うむ、素手相手でも気負わなくてもいいのは、先のこんてすとで証明済みだからな――参るぞ!」
 砕けた骨を無理矢理手の形に直し、走る真峰の前に両腕を広げれば。
「覇ァッ!!」
 太刀の一刀を片手で受けとめる!
 刃はその鋭さによって物体を斬る、ならば筋肉を徹底的に凝縮し、分子結合すら鍛える域まで到達すればどうなるだろう?

 ――そう、素手で受けとめられるのだ。

 太刀をその手に受けたまま、ランジーリちゃんの剛腕が唸りを上げて振り回される。
 刃を受け付けないほど筋肉に力を入れる。それと引き換えに力のこもった身体は動きが制限される、ゆえの大振りであった。
 勿論、まともに受けては刀が何本あっても足りない、無駄な受けをせず回避するのも筋肉猟兵なら当然のことだった。
 拳を避けて、距離を取るヤドリガミ。
「貴方の本音を……いや、ユーベルコードなどいらないわね」
 その目は光ることはなく、ただ共感を悟る。
「本音かい?」
 太刀を構えつつ、真峰は応える。
「そうだな、願わくばこんなちまちま戦うのではなく、一騎打ちがしたいところだ」
「承ったわ……では今だけ貴女のランジーリちゃんとなりましょう(訳:今この時、一騎打ちと相成りましょう)」

 筋肉オブリビオンの言葉に筋肉猟兵の太刀が上段へと掲げられる。
「太刀を振るうことは、古くは"殴る"と言ったのだ」
 ランジーリちゃんが合掌から右手を脇に左手を前に、貫手を以って貫く姿勢。
「その歩く甲冑(訳:躍動感のある筋肉ですね)とこの刀、どちらが上回るか勝負だ!」
「応! 筋肉を以って斬鉄を為さん!!(訳:筋肉でその刀、叩き負ってあげます)」
 軽やかな運足と、力強い踏み込みが、砂を蹴り、二人がすれ違った。
「……見事、素晴らしい一閃だったわ」
 崩れゆくバランスをインナーマッスルで維持しながらランジーリちゃんが振り向けば、目の前には切り落とされた自らの右腕が砂へと刺さっていた。
 血は砂に吸い込まれ、大地は汚れなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小野・通
なんというますらおぶり……女の殿様、御前様だったわね。
ほほ、弟神に対峙した、太陽の女神もかくやというもの。
ええ、対峙しがいがありますわ。

【WIZ】
攻撃は第六感で予測し、跳躍や走ったりして回避。
私も鍛えているのよ、舞踊で。
書道も華道も、背筋が美しくなくちゃ始まらないもの!

攻撃は【最後の札】
お行きなさい、ブッダの札よ!
あのますら……御前様に、暴政のツケを払わせて下さいな!

私の欲望や本音?……UDCアースでの講師のバイトでもっと生徒が欲しいわ……
いやほら、サムライエンパイアは年金無いし(セチガラババア)



●ランジーリちゃんfight.4
「なんというますらおぶり……女の殿様、御前様だったわね」
 小野・通(夕星・f10508)がランジーリちゃんを前にしてその姿に言葉を失う。
「弟神に対峙した、太陽の女神もかくやというもの。ええ、対峙しがいがありますわ」
「遠く異郷の神の話ね。嬉しい言葉ね」
 片腕を失ったまま、歩み寄るランジーリちゃん。
 普通、片腕を失った直後はバランス感覚が狂い転倒してしまうものだが、どうやらインナーマッスルをフルに動員して姿勢を保っているらしい。
 筋肉オブリビオンが一歩踏み出し、拳を振るえば、通は勘を頼りに後方へと跳躍した。
「私も鍛えているのよ、舞踊で!」
 走る、妖狐。ユーベルコードを使うには距離を取らなければリスクは大きい。
「書道も華道も、背筋が美しくなくちゃ始まらないもの!」
「なるほど、正しい姿勢は正しい筋肉から……貴女も筋肉猟兵なのね」
「そんなダサイ名前の猟兵じゃないわよ!」
 追いかけるランジーリちゃんから距離を保ちつつ、花札を広げる。
「お行きなさい、ブッダの札よ!」
 突然、天井が鳴動し。
「あのますら……御前様に、暴政のツケを払わせて下さいな!」
 破壊されれば、空から降ってくるのは仏像。
 通のユーベルコード『最後の札』が呼び出した仏像がランジーリちゃんをつぶす!
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
 巨大な仏像を背中と片腕で受けとめるランジーリちゃん。
 瞬間その目が光り、ハートの飛ぶようなウィンク。矢のように鋭い♡が通の胸に刺さり、彼女をユーベルコードで縛る。
「私の欲望や本音? ……UDCアースでの講師のバイトでもっと生徒が欲しいわ……いやほら、サムライエンパイアは年金無いし」
「世知辛いわぁ!!」
 世間ずれした妖狐の答えにランジーリちゃんが仏像を投げ飛ばす。
「マジで!?」
 慌てて退避する通。
 そこへ投げ飛ばした仏像が降ってきた。
「筋肉オブリビオンにとって……ウェイトトレーニングは必須。重りなど負荷を与える道具にしかすぎないわ!!」
 重量物の荷重で関節が破壊され、背骨が砕けても、なおランジーリちゃんは立つ――筋肉で支えながら。

 ――決着の時は近い。
 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

仁科・恭介
※アドリブ歓迎
UC対象:ランジーリ

痛々しいランジーリの姿を見てUCが反応する。
細胞達が語りかけてくる。あの子を筋肉オブリビオンのまま終わらせてくれと

戦いの最中静かにコロッセウムの端まで来て牢番Guyに話しかける。
「あの時はお世話になりました。このカモシカが何のためにあると思いますか」

静かにランジーリに狙いを定め、クラウチングスタートの構えをしながら干し肉をむさぼる。
【学習力】と【失せ物探し】で見つけた胸の一点を。
私は剣豪だが…刀は失礼だ。この抜き手にかける。
眼と眼があった時スタートをきる【ダッシュ】
「行くよ!」

「筋肉は最後まで自分で歩くものだ(戦士は自分の足で降りなきゃいけない。手を貸すね)」



●ランジーリちゃんfight.final
 最初は胸の鼓動かと思った、次に武者震いと勘違いした。
 答えは違った、細胞がユーベルコードで共鳴した600を超える筋肉の願いだった。
「あの子を筋肉オブリビオンのまま終わらせてくれ」
「それが多分――いま、ランジーリちゃんにとっての願い」
 恭介は自らの胸に手を当て筋肉の声を受け止めれば、コロッセウムの端で見守る牢番Guyのもとへ。
「あの時はお世話になりました。このカモシカが何のためにあると思いますか」
「それは……」
 答えようとしたGuyに背中を向け、筋肉猟兵はクラウチングスタートで干し肉を口に入れる。
 肉が蛋白質に変わり、プロテインがアミノペプチドに変化したとき筋肉が活性化する。
 失せものを探すようにランジーリちゃんの胸を筋肉を心筋を心の目で見れば、彼女も恭介を見る。
「行くよ!」
 直後、筋肉を愛する男は大地を蹴った。

 ――ああ、何故、人は筋肉を鍛えるのか。
 それは未来の為。
 ――ああ、何故、人は筋肉に試練を与えるのか。
 それは明日の為。

 正調筋肉六聖句(せいちょうきんにくごせいく――マッスルスクリィプチャル)
 M
  U
   S
    C
     L
      E
 ――Muscle!

「筋肉は最後まで自分で歩くものだ(訳:戦士は自分の足で降りなきゃいけない。手を貸すね)」
 心の臓を手刀で貫き、恭介は筋肉雅言葉(ノブレスマッスル)を口にする。
「これが持久力――貴方のような筋肉猟兵に出会えたことを光栄に思うわ」
 ランジーリちゃんが微笑み、そしてその身が黒き灰となって崩れていく。
「――!?」
「過去からの存在オブリビオンが成長を促すトレーニングをした代償よ、悲しまないで……私は筋肉と共に生き、道を誤った筋肉が故、逝くのだから」
 恭介の手から熱が重みが消えていく。
「貴方は鍛えなさい、猟兵は未来を守るため、今を戦う存在。筋肉が未来の超回復のために今破壊するのと同じ」
 猟兵が何かを叫ぼうと口を開くが言葉は出ない。
「さようなら、最後が貴方で良かったわ……」
 破壊された天井より風が吹き、ランジーリちゃんだった灰をさらって、空へといざなっていく。
 満点の月が覗く中、猟兵は勝利し、領民は解放を喜び、そして筋肉に記憶が刻まれた。

 ――これはある誰かの筋肉物語(マッスルストーリー)。
 物語は終わり、ぺージは静かに閉じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月13日


挿絵イラスト