審判はホームラン以外許さない
「皆さん、スポーツの時間です」
普段、貴族風の格好をしているヒース・アーベル(胡散臭い掃除屋・f35538)が、何故かユニフォームを着ている状態でそんなことを言い出した。いや、そもそも野球の時間ってなんなんだ……猟兵たちに戸惑いの声が上がる。しかし、その戸惑いを気にも留めずに、ヒースはぺらぺらと説明をし始めた。
「つい先日発見された世界、アスリートアース。オブリビオンたちも正々堂々とスポーツに興じる世界ですね。そんな世界である催しが行われます。――ホームランダービー・イエローベア杯が。
ああ、分からない方に説明致しますと、ホームランダービーとは、ホームランの本数を競う競技です。ですがこのイエローベア杯は、ちょっと曲者でして……かつてアスリートアースにあった、四十・四ヘクタール程の森で行われた『子ども向け』という名の魔の大会。その大会では、様々な魔球を既定の数打ち返し、その上で打ち返した数の量を競うものでした。何も対策せずにバッターボックスに立つと、一球も掠ることなく終わってしまう……当たったとしても、ホームランダービーですからね。ホームラン以外は許されません。そして、規定数に届かず『残念……』という憐みの籠った目で見られるという……恐ろしい競技ですね。ま、それでもクリアする方がいらっしゃるんですよね。その、唯一クリアできた方の名を冠して、当時のルールを再現したホームランダービーをイエローベア杯としたとか何とか……」
待て待て待て、大丈夫か? 色々と。ツッコミを入れそうになるが、猟兵たちは口を閉ざす。その代わりに、一部の猟兵たちが頭を抱えている。どうもボケではなくマジで言っているらしい。まぁ、このグリモアベースで話しているということは、これはあくまでもヒースが見た予兆なのだ。そう、予兆。つまり、オブリビオンが現れるはずなのだ。とりあえず、続きを聞こう。そもそも、競技の詳細も分からない――まだ、猟兵たちは納得していないが、大人しく耳を傾ける。
「で、ここからが本題です。そのホームランダービー・イエローベア杯に、オブリビオンことダークリーガー『ジェノサイドピッチャー』が現れました。どうやら、彼女はピッチャーをダーク化させ、かつての森の大会を再現しようとしています。つまり、誰もクリアできない状態にしようとしているわけです。負けた方はダーク化しているようで……被害を食い止めるためにも、クリアしなくてはなりません。幸いなことに、当時とは異なりチームを組めばバッターの交代が可能だそうで。猟兵たちでチームを組み、ユーベルコードを駆使しながら攻略しましょう」
概要は分かった。分かったが、大丈夫だろうか。色々な意味で胃を痛めそうな猟兵たち。だが、ヒースは彼らの胃を労わることもなくグリモアを召喚する。
「大会が始まる前に時間が設けられていますから、その間にトレーニングするなり、情報収集するなりしてください。ま、頑張ってください。私はここから見守っていますので……」
ユニフォーム姿なら、お前が参加しろよ! という言葉が聞こえた気がするが、ヒースは「ははっ」と笑いながら、猟兵たちを大会が行われている会場へと送り届けた。
萩野 千鳥
はじめまして、こんにちは、こんばんは。野球は鷹派、萩野千鳥です。やるしかないだろ……などと供述しており……
早速ですが簡単に説明致します。
『第一章:冒険』
トレーニングの時間です。素振りでもなんでもどうぞ。
情報収集もできますが、多分魔球凄いくらいしか分からないと思います。
『第二章:集団戦』
ヘル・マジシャン・ガールズたちが次々と現れ、魔球を投げる選手を召喚したり魔球にしたりします。一体につき、一種の魔球しか投げません。
頑張ってホームランを打とう!
『第三章:ボス戦』
ジェノサイドピッチャーが様々な魔球を投げます。イメージとしては某最終ステージ。
頑張ってホームランを打とう!
『断章について』
今回は、全ての第二章、第三章の前に入れる予定です。
その際のプレイング受付時間等は、タグ上でお知らせ致します。
『他』
アドリブ、共闘不可の場合は、その旨をお伝えください。(例:ア×、共×、等)
元ネタが分からなくても問題ないです! 楽しくホームランを打ちましょう!
どうぞお気軽にご参加ください!
第1章 冒険
『熱血トレーニング!』
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POW : パワーを鍛える
SPD : スピードや技術を磨く
WIZ : 戦術を練る
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白刃根・イオン
四十・四ヘクタール程の森の再来か、カタストロフだな。
ルールの確認だが、ホームランを打てさえすれば、UCの仕様及び道具と其の数は自由か?
詰まる所なにが言いたいのかというと、こういうことなんだが。
UCで、本体のサムライブレイドを最大数で複製、タイミングをずらしながら一斉にスウィング。峰打ちでボールを刈り取ろう、1本目から数本でボールの軌道をそらし、ストライクゾーンに矯正誘導、最終的に全力のフルスイングで、ホームランを打つ作戦だ。
論より証拠、練習をしつつ、イエローベア杯のルール上問題がないか確認を取ろう。
何かあったら、全力フルスイングだけ、指定バットとかで、ごりおせる可能性にかけよう。
「四十・四ヘクタール程の森の再来か、カタストロフだな」
白刃根・イオン(涙を打った透明な刃・f33582)は、どこかで聞いたことがある単語に頭を悩ませる。いや、ここで悩んでいても仕方がない。イオンはイエローベア杯が行われる会場に到着すると、丁寧にルール説明をしてくれたスタッフに質問をした。
「ホームランを打てさえすれば、能力や道具、道具の数は自由か?」
「ええと、どのような感じでしょうか……」
「ふむ……こういうことをしたいのだが」
イオンは少し考え込むと、質問に答えてくれたスタッフを練習用のバッティングマシンのある場所へと呼ぶ。誰もいないのを確認すると、持っているサムライブレイドを複製できる限界までずらりと複製する。急に増えたサムライブレイドに動揺するスタッフ。だが、イオンはそのことなど気にも留めずに、バッティングマシンのスイッチを入れる。ほどなくして、ボールはイオンの元へと投げられる。サムライブレイドのタイミングを微妙にずらしつつ、一斉にスイング。そのスイングでボールの軌道を矯正し、ストライクゾーンへと誘導した。そして、最後一振りで峰打ちで遠くまで飛ばす。その見事な飛びっぷりは、誰がどう見てもホームランだ。
「す、すごい、ですね……」
「そうか。それで、ルール上問題ないか?」
「ええと、その、ボールを打ったそれは刃物、ですよね」
「そうだな」
「ホームランダービーは野球の延長上にある競技。流石に、バットを使用して頂かないと……」
「む、そうか……それなら仕方がない」
スタッフから指定されたバットを受け取ると、イオンはそのバットで練習を始めた。
成功
🔵🔵🔴
鍋島・小百合子
心技体を持って公平に雌雄を決するか・・・戦とはまた違うのう
さながら競技の世界というべきかえ?
まずはほーむらんだーびーとその大元である野球という競技について知るところからじゃな
わらわは現代の球技とやらに馴染みがない故一から学び直さねばならぬのでのう
規則や競技の出で立ち等について知れば次は己の身を持って実践に移る
打席に立ち、ぴっちんぐましーんから放たれる硬球をばっとで打ち返すとしよう
相手の放つ球をよく見てばっとを振るい、場外まで吹き飛ばせば良いのであるな?簡単ぞ
わらわの体力と気力の続く限り何本でも特訓し、魔球とやらに対抗し得る打者となってみせようぞ
※絡みアドリブ可
(心技体を持って公平に雌雄を決するか……戦とはまた違うのう。さながら競技の世界というべきかえ?)
いつもの戦いとは異なった理の世界だということを感じながら、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は新たな世界アスリートアースに降り立った。今回はホームランダービーでダークリーガーたちと戦うらしい。しかし、小百合子は現代の球技に馴染がない。
「ふむ。ほーむらんだーびーとは一体……」
「あら、もしかしてあまりご存じないのですか? でしたら、ご説明致します!」
「おお、助かる。かたじけない」
小百合子が礼を言うと、大会のスタッフが使う道具からルールまで事細かく説明してくれた。要約すると、投げられたボールを、バットで場外へと打ち返せば良い、ということらしい。
「なるほどのぅ……して、練習ができるような場所はあるかえ?」
「勿論、御座います! あちらにあるバッティングマシンをご利用ください」
スタッフがそう言うと、小百合子をバッティングマシンへと案内してくれた。彼女にバッティングマシンの使い方を教えると、スタッフは他の者たちを案内するために戻っていった。
「さて、特訓を始めるとしよう!」
小百合子はバッターボックスに立ち、投げられたボールをよく見てバットを振るう。しかし、まだ慣れないのか一度目は空振る。
「意外と早いのぅ。が、それだけじゃ!」
ボールが投げられ、小百合子はバットを振る。今度は真ん中に当たったのか、綺麗な放物線を描きながら場外へと飛んでいく。
「ふむ。相手は魔球を使うんじゃったな。それなら――」
小百合子はバッティングマシンの設定を何度も変えながら、体力と気力が続く限り練習に勤しんだ。
成功
🔵🔵🔴
ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎・主に情報収集
うーん、ホームランかー。ヒットぐらいなら自慢の視力に投擲技術で軌道を盗んでいけると思うんだけど…パワーはねー
(正直なところ、ズルの手しかないんだよね……バレない様にすればいける?賑やかしに務めて、正々堂々は他の人に任せた方が良さそう)
やっぱり必殺打法次第?どんな人がいるか視て、不自然にならない様に参考させて貰うよ。(ちょっと天の声にネタバラシするとボクは「ボールを操る」「壁透過ホームラン」の2択ぐらいかな)
たぶんイメージに近そうなのは……吸引や風を使った必殺打法や誰にも捕れないゴーストヒット。ありかなしかどっちかな?応援に回った方が誤魔化しには協力しやすそうだけど!。
ホームランダービーと聞いて、ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)は練習場で考え込んでいた。ただの野球だったならば、自慢の視力と投擲能力で軌道を盗み、ヒットくらいならだせただろう。しかし、今回はホームランを打つ以外意味がない。ホームランを打つためには、バットの芯に上手く当てつつも、ある程度の腕力で打ち返さなければならない。ユニにはその腕力にあまり自信が無かったのだ。
(正直なところ、ズルの手しかないんだよね……バレない様にすればいける? 賑やかしに務めて、正々堂々は他の人に任せた方が良さそう)
ユニは不自然にならないよう、練習場で練習する選手たちの様子をこっそり盗み見る。そこには、グリモアベースで見かけた猟兵たちもいた。彼女たちは堂々とユーベルコードを使い、ボールの軌道を無理矢理変えたり、バットに細工をしてボールを飛ばしたりしている。どうやら、ボールとバットさえ使っていれば、割と何でも良さそうだ。近くにいるスタッフも、彼女たちの行動を咎めていない。
(やっぱり必殺打法次第? それなら……)
吸引や風を使い、ボール自体を操作するのも良いだろう。もしくは、ボールを見えなくしてしまい壁すら貫通させ、いつの間にかホームランに……という状況を作る。それも悪くはない。ユニは元々腕力に自信がないということもあり、応援へとまわって他のバッターの補助をするのも有りだなと考えていた。だが、他のバッターの様子を見る限り、先に思いついた方法でも問題は無さそうだ。
「とりあえず試しにやってみて、それから考えよ!」
ユニはバットを握るとピッチングマシンを起動し、本当に出来るのか、試し打ちを始めた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ヘル・マジシャン・ガールズ』
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POW : 助っ人さんいらっしゃ〜い
【大鍵で異空間の扉を開き、助っ人外国人】の霊を召喚する。これは【外国人というより人外なパワーと特殊能力】や【ものすごく派手な乱闘行為】で攻撃する能力を持つ。
SPD : 先程お借りしましたユーベルコードでございます
自身が触れた物体ひとつに【ボス級ダークリーガーの力を宿したモフモフ】を憑依させ、物体の近接範囲に入った敵を【そのダークリーガーの持つユーベルコード】で攻撃させる。
WIZ : タネも仕掛けも詰め放題
【シルクハット】から、対象の【競技に勝利したい】という願いを叶える【ルールギリギリアウトな凶器や凶悪モフモフ】を創造する。[ルールギリギリアウトな凶器や凶悪モフモフ]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
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「始まりました! ホームランダービー・イエローベア杯! あの魔の森で開催されたという伝説の戦いが、今ここで再現されようとしています!」
会場内に響くアナウンスに、観客たちが歓声を上げる。例の伝説は一部の者にとって、熱狂的な支持を得ていたらしい。それ故、今回のホームランダービーを待ちに待っていた者たちが、大勢いるとかいないとか。
「まずは予選で投げるピッチャーの紹介をしましょう。あらゆる助っ人を呼び出し、あらゆる魔球を操る。助っ人呼び出しのプロ集団『ヘル・マジシャン・ガールズ』!」
「彼女たちの人脈は広いですからね。どんな選手がやって来るか、楽しみです」
バニーガールの姿をした少女たちが、マウンドへと上がる。どうやら彼女たちは既に、決勝で登場するダークリーガーによってダーク化しているらしい。
「事前情報ですと……ほうほう。当時話題になったあの跳ねる魔球や急に止まり加速する魔球、それとはまた別に、新たな魔球もあるとのことです」
「果たして、打ち返せる人が現れるのでしょうか? 見物ですね!」
とにかく、三者三様、様々な魔球が繰り出されるらしい。猟兵たちはバッターボックスのあるグラウンドへと足を踏み入れた。
ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
(この手は先手に限りそう、敵を対象に【デモン・フェイカー】発動。手品の様に生やした、精巧なる贋作「偽ボール」を手に)
よーし、投げるぞー!え、違う?打つだけ?(しぶしぶ偽ボールを置いてバットを取り……なんてね、仕込みは万端!)
ズルだけに公言できないけど。
ボクが発動したユーベルコードの真価は、贋作対象になった「本物の操作権」を盗むこと!魔球のコントロールを盗ってホームランに。
不自然にならない様に、自慢の視力で敵の動きや軌道を盗んで、打者としての動きも合わせてくよ。
うっモフモフ魔球かわいい……!でもみんなホームランをとるワルい子になっちゃえ
……えへへ、ボクはあくまで盗賊だもん(しーっ)
「――我が意のままに、あらゆるものを模り生み出す。精巧なる贋作。揺らぐ真実。偽りの財貨にかき乱されて、崩れし真作が悪魔の手に堕ちる」
ホームランダービー・イエローベア杯本番。ユニは入場前に本物と見分けがつかない程精巧な偽のボールを作り出し、それを持って自信満々でグラウンドへと現れた。
「よーし、投げるぞー!」
「の、ユニさんはバッターですので……」
「え、違う? 打つだけ? 仕方ないなー……」
スタッフに指摘され、ユニは残念そうな表情で偽のボールをスタッフに渡しバットを手にとった。偽のボールは、マウンドに立つヘル・マジシャン・ガールズに渡される。それを確認したユニは、内心ほくそ笑んだ。
(――なんてね、仕込みは万端!)
ユニのユーベルコードで生成されたその偽のボールは、ただのボールではない。見本となったボールの操作権を盗むのだ。ユニはバッターボックスでバットを構える。
「さぁ、いきますよ!」
ヘル・マジシャン・ガールズは、自身の持つボールにモフモフを憑依させた。そのモフモフには、この先待ち受けているダークリーガー級の魔球を放つ力が込められている。
(うっ、モフモフ魔球かわいい……! でも……)
放たれたボールをユニ自慢の視力で盗み見ると、不自然にならないようその軌道を修正する。モフモフとしたそのボールは、ユニの構えるボールへと吸い込まれるようにやって来る。打つ直前、高速で分身したようにも見えたが、実際に操作できる本物さえ打ち返せば問題ない。むしろ、球が分身することによって、ユニは遠慮することなくボールを操ることができる。そのまま、思い切りバットを振る。
「おおーっと、これは凄い! 一球目から高い返しだー!」
観客を煽るように解説役がマイクに向かって叫ぶ。ユニが打ち返したそのモフモフとしたボールは高く飛び、そのまま壁を越えていく。
「ホームラン!! まさかの一球目でホームランが出ましたー! これには会場も大盛り上がりです!」
「なっ……!」
驚くヘル・マジシャン・ガールズを横目に、くすくすとユニは笑った。
(この調子で、皆ホームランをとるワルい子になっちゃえ! ……えへへ、ボクはあくまで盗賊だもん)
ユニは余裕の笑みを見せながら、もう一度バットを構えたのだった。
成功
🔵🔵🔴
鍋島・小百合子
POW重視
魔球への対策に費やした時間と汗、血の滲むほどの鍛錬の成果を今こそ見せる時ぞ
「相手の投げる球をしかと見る・・・わらわの心眼なれば一目瞭然じゃ」
打者として立つ前の腹拵えとしてUC「勇者乃甘味」発動
選手の食す大豆で作られたという保健用食品を食す
・・・乾いておるが味もついておって意外にも美味じゃのう?
UC込みの食事にて力をつけたら改めて競技参加
相手の投げる魔球をわらわの双眸で捉えつつその球の特徴を掴んで見切りをつける(視力、暗視、集中力併用)
打ち返す好機がくればこの手に握る棒を強く握りしめては渾身の力を持って受け流し吹き飛ばしていく
特訓の成果を決して無駄にはせぬ!
ピッチャーの交代が告げられるのと同じタイミングで、バッターを務める猟兵チームも交代することになった。グラウンドへと向かう小百合子は、腹ごしらえのために大豆でできたプロテインバーのような物を口にした。
「我の心を満たすこの潤い。……それが何者にも屈せぬ力となる!」
仄かに甘いそれに口内の水分は失われるが、心は満たされる。小百合子は己を奮い立たせ、バットを手にバッターボックスに立った。
「相手の投げる球をしかと見る……わらわの心眼なれば一目瞭然じゃ」
この世界に来てから今まで、魔球対策に時間を費やしてきた。その努力と汗を無駄にはできない。
「さぁ、かかってくるが良い!」
「ふふ……威勢だけは良いですね。ですが、貴女の相手は私ではなくこの方です!」
「!」
ヘル・マジシャン・ガールズが大鍵を取りだすと、異空間の扉が現れ、開く。その扉から屈強な、いかにも強そうな助っ人外国人の霊を呼び出した。だが、相手が誰であろうと関係ない。現れた時は驚いたが、小百合子は怯むことなくバットを構える。その姿に、助っ人外国人の霊も負けちゃいられないとボールを放った。
「早い早い! 鍋島選手、そのボールを捉えられるかー!」
解説の声がスタジアムに響く。小百合子はしっかりとそのボールを見極める。
(ふむ……何やら、普通とは違う回転がかかっておる。これは……)
ただ早いだけのボールではないようだ。ストン、と小百合子が打とうとした直前にボールが落ちる。フォークボールだ。一球目はバットを振ってみるが空振りする。だが、問題ない。ピッチャーがもう一球、投げる。そのボールは先程と同じような速さと回転がかかっている。
「特訓の成果を決して無駄にはせぬ!」
事前に見極め、どういった軌道を描くのか理解していた小百合子は、ぐっとバットを握りしめ渾身の力でそのボールを掬い上げるように打つ。
「打ったー!! ボールは高く舞い上がります!」
距離はギリギリ、といったところか。だが、高さがあるお蔭か滞空時間が長い。そのまま空を飛び、壁を越える。
「ホームラン!!」
解説の声に観客たちが湧きあがる。助っ人外国人は「ノー!」と言いながら、マウンドに座り込んだ。
成功
🔵🔵🔴
仲佐・衣吹(サポート)
オルタナティブ・ダブル発動!
それじゃ行ってみよー!
分身は僕ことベスト
ルーンソードやカルテを使って精霊属性の連携技で戦うのが好きだよ
僕が先に水属性で戦場をずぶ濡れにしていくから
続けて氷属性でガッチリ固めて動けなくしちゃうってのはどうかな?
愉快な敵だともっと楽しいよね
遊んでるように見える?
僕が一番本気が出せるのは、楽しくて夢中な時だよ!
足ひっぱんなよ!
本体はオレことサーベル
まぁ悪かねぇな
それでも逃げるやっかいなヤツは、ハサミ撃ちで即ぶった斬ってやろうぜ
んくらい根性あるヤツがいなきゃ、オレも楽しめねぇからな
使う精霊属性は敵に合わせて変更可
使うアイテム技能も好きに選んで下さい
ピッチャーは次々と交代していく中、猟兵チームもバッターの交代を行った。
「それじゃ行ってみよー!」
仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)はグラウンドに足を踏み入れるや否や、副人格のサーベルに身体を預け、主人格のベストが分身体に宿る。
「なっ! あれは反則なんじゃ……」
「いや、これはただの分身だからね。バッティングコーチか何かだと思ってくれたら嬉しいな」
ベストはにこっと笑って、ヘル・マジシャン・ガールズの抗議を突っぱねる。分身なら仕方がない。そう判断したスタッフがそのまま続行するよう合図をする。ヘル・マジシャン・ガールズはあまり納得していないようだが、マウンドに上がり構える。猟兵チーム側はサーベルがバッターボックスに立ち、ベストがキャッチャーの斜め後ろの辺りで応援をしている。
「まぁ、良いわ。これで分からせてあげる!」
ヘル・マジシャン・ガールズがボールをモフモフを憑依させ、投げる。今回憑依させたモフモフは、勝手に動くため、芯を捉えきれずに空振りしてしまう。
「ベスト」
「分かってるよ」
サーベルの言いたいことを汲み取ったベストは、こっそりと準備を始める。ヘル・マジシャン・ガールズがボールを投げようとした直前に、彼女ごと水属性の精霊による術でずぶ濡れにしてしまう。
「な、なにするの!?」
「はは、暑いかなーと思って。こっちの方が面白くなりそうだしね」
スタッフは止めることなく、試合は続く。ヘル・マジシャン・ガールズは仕切り直し、もう一度ボールを投げた。相変わらず、モフモフが憑依したボールは勝手に動く。だが、水に濡れていたそのボールは、端からピキピキッと凍りだす。
「なっ――!」
「これで打ちやすくなった、な!」
「仲佐選手! 凍ったボールがきらきらと反射し、美しい放物線を描きながら伸び――ホームラン!!」
凍ったモフモフは動くことができず、そのままサーベルの振ったバットに当たり飛んでいく。そのボールは壁を越えホームランとなり、観客の歓声がグラウンド中に響いた。
成功
🔵🔵🔴
穂村・桜火
きっと野球は、あたしの得意分野のはず!穂村家は、四大大家の中で一番の強肩だったって、銀龍王が言ってたもん!
バッターボックスに入ってホームラン予告のポーズ。
野球の作法は完璧です。
【対策】UC寵姫の瞳の視線でピッチャーの持ってるボールを見つめて。
お願いあたしのバットにあたってホームランになって!
モフが来ようと魔球が来ようと、モフ+魔球が来ても、全部バットの当たって、ホームランになって欲しいよ。
このホームランをあたしの愛する方に捧げます。銀龍王見てる~?
(銀龍王は、[芭蕉扇]を咥えてリアルタイムで見てた。)
「きっと野球は、あたしの得意分野のはず! 穂村家は『四大大家の中で一番の強肩だった』って、銀龍王が言ってたもん!」
バットを手にグラウンドへと足を踏み入れた穂村・桜火(ふわふわ天女桜餅(炎操る亡家の姫君)・f33481)は、バットを持っていない方の肩を回しながら自信満々に言った。桜火には見えていないが、彼女が召喚した銀龍王が観客席でうんうん、と頷いている。
「あらあら、可愛い子。でも私の肩も強いのよ?」
マウンドに立つヘル・マジシャン・ガールズが、ボールを持ってニヤリと笑った。だが、桜火はその言葉に怯まない。桜火はバッターボックスに立つと、バットでスタンドの方を指す。
「ホームラン以外は認めない……それなら、ホームランしか打たなければ良いのよ!」
「言ってくれるじゃない。良いわ、最高の魔球を見せてあげる!」
ヘル・マジシャン・ガールズが、被っていたシルクハットにボールを入れる。すると、それは今まで見たことないような凶悪なモフモフとなって現れた。心なしか、そのモフモフの目つきも悪い気がする。
「このルールギリギリアウト……みたいなボールでお見舞いするわ!」
凶悪なモフモフがヘル・マジシャン・ガールズに投げられると、高速でぶるぶると震えだし、更に分身し始める。桜火は【寵姫の瞳】でじっと凶悪なモフモフを見つめる。
(お願い。あたしのバットにあたって、ホームランになって!)
そんな願いが込められた視線に、凶悪なモフモフも絆されてしまったのだろう。桜火の元に来る頃には震えも止まり、分身も消えていた。
「な――っ!」
ヘル・マジシャン・ガールズがそのことに気づいた時には、既に遅かった。桜火のバットはモフモフの芯を捉え、そのままスタンドの壁を越える。――ホームランだ。その様子を確認した桜火は、その場で喜びながら観客席に向かって話した。
「このホームランをあたしの愛する方に捧げます。銀龍王見てる~?」
桜火が観客席に向けて手を振る。その様子を、銀龍王が「見てたぞ~!」と言わんばかりに咥えていた芭蕉扇をぶんぶん振っていた。
「さぁ、この調子でホームランを出しまくりますよ!」
気合十分な桜火は、その後もホームランを連発したのだった。
成功
🔵🔵🔴
ノエル・スカーレット(サポート)
アドリブ&他の猟兵さんとの連携大歓迎。
性的描写NG
世界を飛び回るチビッ子ダンピールです。
吸血衝動はほぼなく太陽へっちゃら、お菓子が好きで、虫が嫌い。
色々な事件に首を突っ込みスカーレッド・ノヴァをぶっぱなします。
(ぶっぱなさなくてもOK)
基本的にいい子なので首を突っ込んだ事件やイベントの解決や成功の為に積極的に行動します。
戦闘は残像を伴う素早い動きから大鎌でなぎ払い攻撃したり。
ユーベルコードをご自由にお使いください。
記載がない部分はマスター様におまかせでお願いします。
自由に冒険させてあげてください。
「ホームランダービー、イエローベア杯も盛り上がってまいりました」
「ええ、ここまで打ち返すとは……新たな伝説をこの目で見ることになるかもしれませんね」
会場内に響く実況・解説者の声。その声を聞きながら、ノエル・スカーレット(チビッ子ダンピール・f00954)はバットを持って入場した。ヘル・マジシャン・ガールズはロジンバッグを手に取り、しっかりと滑り止めの粉を手にはたく。
「可愛らしい子……でも、このもふもふには勝てませんよ!」
「えっと……可愛さで勝つつもりはありませんが、この勝負は私が勝ちますよ」
ノエルはキリッとした目つきで、ヘル・マジシャン・ガールズを睨むようにしっかりと見る。そんなノエルに対してクスッと笑うと、ヘル・マジシャン・ガールズはシルクハットから、カチコチに凍ったボールを取り出した。
「氷、ですか?」
「ふふ、これはただの氷じゃないの。元は凶悪な意志を持つもふもふ…凍ることで、もふもふがとげとげになって、攻撃性が増すの。さぁ、打てるものなら打ち返してみなさい!」
そう言うと、ヘル・マジシャン・ガールズは凍ったもふもふを投げる。元々意志のあるそれは、鋭角に、左右に動きながら、ノエルに向かってくる。ノエルはスッと片手をバットから離し、ボールに向けて掌を向けた。
「全てを燃やし尽くす我が炎――スカーレッド・ノヴァ」
彼女がそう言うと、巨大な炎が凍ったもふもふに向かって放たれる。それは、氷を溶かし、もふもふを焦がす。勢いを失ったもふもふは、ふらふらとゆっくりノエルのバットの元にやってくる。それをノエルは難なく打ち返した。
「なっ! 炎なんて――!」
「もふもふを凍らせた、貴女には言われたくないです!」
ノエルの言葉に言い返せずに、悔しそうに下を向く。ノエルの打ったもふもふは、そのままフェンスを超えてホームランとなった。
成功
🔵🔵🔴
カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」
神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!
目標本数まではあと一本――。マウンドに上がるのは、ヘル・マジシャン・ガールズが召喚した助っ人外国人の霊だ。どうやら、ホームランを打たれないよう抑えきるつもりらしい。そんな状態でバッターボックスへとやって来たのは、カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)だった。
「僕の神様は言ったよ。――無理矢理操るのは良くないって」
カツミが見る限りでは、彼は物理的な物ではない何かしらに彼の生命そのものを縛られているように見えた。それは召喚の際に、召喚主の言うことを聞くように調整されたせいなのだろうか。
「さぁ、なんのことかしら?」
そう言って白を切るヘル・マジシャン・ガールズは、助っ人外国人の霊の肩にポンと手を置く。それが、合図なのか、彼の目から光がなくなっていく。
「自我を殺したの……? そんなの、許せない」
カツミはバットの先から水流燕刃刀の刀身を伸ばす。それは彼女を遣わせた神の力を宿している。その刀で助っ人外国人の霊の身体を一切傷つけることなく、すぱっと彼を縛り付けていた何かが斬れる。
「ココ、は……」
「ここは球場よ。球場でマウンドに立ったら、やることは一つよね?」
「……ナルホド、全力で行きマース!」
誰にも縛られることなく本気の投球を見せた彼は、本来の力でボールを投げた。例えプロとして野球をやっていたとしても、彼は別に猟兵でもなんでもない。本来の力だけで投げられたボールならば、カツミも見切ることができる。
――カンッ、と小気味良い音が鳴る。
「打ちましたー!! 伸びて伸びて……ホーーーームランッ!!」
解説の声が球場に響く。これで、規定数のホームランは打った。観客はワァッと声を上げて、大いに盛り上がった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『ジェノサイドピッチャー』
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POW : 魔球『ジェノサイドアルゴル』
【敵を引き寄せ粉砕する変動超重力】を宿した【魔球】を射出する。[魔球]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
SPD : 魔球『ギガントダークネス』
【自身が投擲した球状の物体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ : 魔球『眠りの森』
【催眠軌道を描く超スローボール】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
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「いやー、ヘル・マジシャン・ガールズの球をあそこまで返せるとは……流石でしたねぇ」
大盛り上がりする会場内の実況席で、しみじみとそう語る解説者。その言葉に、何人の人たちが頷いただろうか。良い物を見せてもらった! そして、もっと見たい! という気持ちが、観客たちの歓声に込められているように聞こえた。その声に応えるかのように、ある人物がマウンドへと上がった。
「今までのは前哨戦。これからは、本当の投球を見せてやるよ!」
「おおーっと!! ここで登場したのは、ジェノサイドピッチャーだーーーー!!」
更に湧きあがる観客たち。その歓声を背に彼女はニィッと嗤った。
アトシュ・スカーレット(サポート)
性格
悪ガキから少し成長したが、やっぱり戦うのは好き
大人になろうと背伸びしてる途中
目の前で助けられる人がいるなら積極的に救おうとする
口調は「〜だな。」など男性的
最近の悩みは性別を間違えられることと年相応に見えないこと
最悪【幻想憑依・無想式】を使って誤魔化す
戦闘
【呪詛(腐敗)】を何かしらの形で使用する。昔機械相手にやって痛い目を見たのでその場合は使わない
前衛も後衛もやれる万能型だが、前衛の方が好き
複数の武器を同時に操ることも可能
高速戦闘も力任せの戦闘も状況に応じて使い分ける
(装備していれば)キャバリアにも対応可
非戦闘
聞き耳などを駆使した情報収集を中心とする
化術で動物に化けて偵察することも
ようやく本命との戦いが始まる――。アトシュ・スカーレット(境界の旅人・f00811)は少しでも情報を得るために、歓声の中何か喋るジェノサイドピッチャーの声を聞こうと耳を澄ませた。
「君たちが今回もユーベルコードで打ち返そうとしているのは、よく分かっている。だから、私も少し小細工させてもらうよ」
「それはお互い様じゃん。悪いけど、オレも遠慮はしないぜ」
これはただのホームランダービーではない。だから、正々堂々とユーベルコードを使ってやれば良い。アトシュは宝石をジェノサイドピッチャーに向けて放り投げる。
「おおっと!? バッターのアトシュ選手、何かを投げたようですが……?」
困惑する実況者の声。投げられた宝石を見て、ジェノサイドピッチャーはふっと笑う。
「なんだ? 打つのは止めて投げたくなったか?」
「いや、これは単なる妨害だよ。――無色の魔力よ、その暴挙にて、全てを引き裂け!」
そう唱えた瞬間、宝石がきらりと光る。その光にジェノサイドピッチャーは一瞬目を瞑ると、どこからともなくダメージを受ける。
「なっ――!」
目を開ければ、時空の亀裂のような物で斬られていた。どうやら、妨害のつもりらしい。ジェノサイドピッチャーは負傷している中でも、ボールを投げる。元々スローボールを投げる予定ではあったが、予想よりも遅く投げてしまった。アトシュはそのボールを見切ると、カーンッと良い音を鳴り響かせながら、ボールを打ち上げた。
「これで、一球!」
「アトシュ選手の打った球は、大きく伸び……ホームラン!!」
対ジェノサイドピッチャーとの戦いは、一球目から好調だった。
成功
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赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
人間のパラディン×シーフの女の子です。
普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ティエル・ティエリエル(サポート)
◆キャラ特徴
ボクっ娘で天真爛漫、お転婆なフェアリーのお姫様です。
王家に伝わる細身のレイピアを使った空中からのヒット&アウェイで戦うのが得意な女の子です。
・冒険大好きお姫様
・珍しいものにも興味津々
・ノブレス・オブリージュの精神で弱者を放っておけないよ
・ドヤ顔がよく似合う
・困ったら動物さんに協力を!
◆戦闘方法
・背中の翅で羽ばたいて「空中戦」や「空中浮遊」で空から攻撃するよ
・レイピアに風を纏わせて「属性攻撃」でチクチクするよ
・対空攻撃が激しそうなら【ライオンライド】
・レイピアでの攻撃が効かない敵には【お姫様ビーム】でどかーんと攻撃
怪我を追いながらも投げるジェノサイドピッチャー。しかし、彼女もオブリビオンである。そう簡単にはやられない。打ち返せなくなってきた、と感じたところで、別の猟兵へと交代した。
「――それで、お願いしても良い?」
「勿論だよ! 任せて☆」
赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)はティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)にあることを頼むと、バッターボックスに立った。ティエルはフェアリーだからということもあり、こっそり動けば観客やジェノサイドピッチャーの目に留まらない。それを利用して、彼女はある場所へと移動した。
「次は君?」
「ええ、そうよ。さぁ、どこからでもかかってきて!」
愛はそう言いながらバットを構える。ジェノサイドピッチャーはそれを見ると、特に細工をすることもなくボールを投げる。しかし、そのスピードはユーベルコードを使わずとも速い。愛はバットを動かすことなく、そのまま見逃す。
「っ、流石ね。普通の球でも速いのね」
「『ピッチャー』を名乗っているんだ。これくらいできないでどうする?」
ジェノサイドピッチャーはニィっと笑うと、もう一球投げる。次の球も速い。愛はバットを振るが空振りする。
「ここで、降参したらどうだ?」
愛にそう促すが、彼女は首を横に振ることもなく、再びバットを構える。その様子に「逃げないのは評価してやるよ」と言いながら、もう一球投げようとしたところだった。
「ようし、服の中からこちょこちょしちゃうぞー☆ こちょこちょ~~!!」
「ふ、はは、な、どこに……っ! はは、やめ、っ!」
いつの間にかジェノサイドピッチャーの服の中に潜り込んだティエルは、彼女がくすぐったいと思うであろう箇所を徹底的にこちょこちょとくすぐる。投げる直前にやって来たその擽り攻撃で、ジェノサイドピッチャーの球は急にへなちょこな軌道を描く。球速もそこまでない。
「それー!」
そんな球をしっかりと捕えた愛は、バットにボールを当てる。打ち所も良かったのだろう。そのまま距離が延びる。
「ジェノサイドピッチャー選手、一体どうしたのでしょうか!?」
「緩急をつけるのに失敗したのでしょうかねぇ?」
解説席ではそんな会話がくり広げられる中、愛はティエルと共にホームランを勝ち取ったのだった。
成功
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シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
あとはお任せします。宜しくお願いします。
ホームランダービー最終戦も中盤へと差し掛かる。猟兵たちが今まで打ち返せた数は、目標の半分程。ギリギリの勝負となっている。
「先程は打たれてしまったが……次こそは……!」
ジェノサイドピッチャーは悔しそうにしているが、決して打たれ弱さは見せない。そんな彼女の前に現れたのはシフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)だ。
「あなたの投球をずっと見ていたけれど、緩急を使った攻撃が得意みたいね」
「それを知ったところでなんだ? ああ、今始めてバットを持ったとしても、簡単に打てる自信があるんだな!」
ジェノサイドピッチャーはシフォンを煽るように言葉を紡ぐ。しかし、シフォンはそれに乗ることも動じることもなく、バットを構えた。そのバットに、こっそり蒸気エンジンを取り付けるているが、それは小型の物であり観客はおろか、ジェノサイドピッチャーにも見えない。
「いつでも大丈夫よ」
「はっ! それなら、遊ばせてもらおうか!」
ジェノサイドピッチャーは初めからスローボールを選んだ。遅すぎる球というのは、打たれたとしてもそう簡単には距離が伸びない。その筈だった。
「ジェノサイドピッチャー選手、投げました! ――おお!!」
シフォンはジェノサイドピッチャーの投げた球を打ち返した。しかし、普通に打ったわけではない。常人ではありえないバットのスピードで打ち返したのだ。
「これは伸びて伸びて……ホームラン!!」
「嘘、だろ
……!?」
わぁっと沸く観客。その声を聞いて唖然とするジェノサイドピッチャー。シフォンはもう一度、バットを構えた。
「さぁ、次も打ち返すよ!」
成功
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七星・彩華(サポート)
呪詛すらも従える羅刹の妖剣士。
『呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!』
口調は我が道を行く姐さん、仲間にはフレンドリー。
支配する呪詛も武器として扱う戦闘狂だが、かなりの頭脳派。
武器は魔剣・妖刀とは似ても似つかぬ呪詛刀
戦闘狂だが考えた戦術や戦闘の流れが上手くハマる方が感情が溢れ出る。
闘う事を至高と考える一方で守る者や仲間との共闘も戦闘の重要な要因と考えている。
行動は天上天下唯我独尊を貫く。
猟兵の夫と二人の娘がいる家族4人共が猟兵。
ユーベルコードは指定した物を怪我は厭わず行動します。
迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
あとはお任せ。よろしくお願いします!
猟兵たちはジェノサイドピッチャーに対して、着実にホームランを返してくる。ユーベルコードを用いた方法から、正真正銘実力だけで打ち返す者もいた。そんな状況に、ジェノサイドピッチャーは流石に焦りを隠しきれていない。流れる汗を袖で拭う。
「随分と余裕が無さそうだな」
そう言ってバッターボックスに足を踏み入れたのは七星・彩華(狂い咲く戦場の華・f32940)だった。彼女の言葉に、ジェノサイドピッチャーはぐっと奥歯を噛みしめる。
「言い返せないのか? 情けないな。まぁ、図星だったんだろうけど」
「黙れ! ここからは誰一人として打ち返させるつもりはない!」
彩華の挑発じみた言葉に、ジェノサイドピッチャーは怒りを露わにする。しかし、それも戦略の内だと言いたげに、彩華はにぃっと笑む。
「そうこなくっちゃね」と、言いながらバットを構える。観客も、ただならぬ空気を感じてしんと静まる。二人の間に緊張が走る。その緊張が頂点に達した時、速度のあるボールが投げられた。
「良い球だな! だけど!」
呪詛刀の怨念のようなオーラを彩華はその身に纏うと、通常ではありえない速度でバットを振りかぶり、ボールを中心に当てる。良い音が鳴ったと同時に、ボールはあっという間に遠くへと飛んでいった。それは、誰が見てもホームランだった。
成功
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マロン・ビネガー(サポート)
◎連携・アドリブ歓迎
知的好奇心旺盛で少し不思議+ひんやり系な性質の僕っ子。思考は理系寄り
戦場ルールと他者の意志は尊重する方
現地住民や先輩には「礼儀作法」で丁寧な対応を心掛ける
◆戦闘傾向
エキセントリック+トリックスター
属性魔法や精神攻撃/誘惑、地形の利用等で撹乱するタイプ
主な得物は蓬莱の玉枝orレイピア、弩
技能は主に「天候操作」、
特に雨・雪系を好む
攻撃系UCに合わせて「電撃」+「貫通攻撃」、
回復系UCに「浄化」を載せる等
勝利の為なら代償・取引系UCも躊躇いませんが
保護対象や共闘する方々を攻撃に巻き込む事は極力避けます
必要なら「結界術」等で防御、場所感知等
臨機応変に支援行動も可
後は基本お任せです
(これ以上は……!)
一本ホームランを打たれれば、この勝負は決着を迎えてしまう。項垂れるジェノサイドピッチャーの前に、新たな猟兵――マロン・ビネガー(夢幻の恋人・f37213)がバッターボックスへと現れた。彼女の姿を見たジェノサイドピッチャーは、これは勝った、と確信した。確かに、今までも小柄な少女にしてやられてきた。だが、残り一本打たれなければ良いのだ。スピード勝負を仕掛ければ、華奢な彼女にホームランなんて打てない。圧倒的に力が足りない。よくよく観察してみても、何か力を増させるような補助的な道具は見当たらない。
「ええと、宜しくお願いします」
マロンは一度お辞儀をすると、バットを握った。それから少しして、ぽつぽつと雨が降りだした。
「どうやら、天は私に味方をしたようだ!」
雨の中で行うスポーツほど大変なものはない。風も吹くかもしれないし、何より滑る。特に、バッターにとっては過酷な状況になりやすい。ジェノサイドピッチャーはにやりと笑うと、ボールを投げた。――投げようとした。
「――――っ!!」
投げようとした直前、稲妻が不自然な形でジェノサイドピッチャーに落ちた。彼女はオブリビオンなので、一撃喰らった程度では倒れることはない。しかし、直前に喰らったせいで、ボールは予想外の軌道を描き、マロンの元へと届く。大したスピードも、重さもないそれは、簡単に打たれてしまう。
「おおっとこれは……入ったか? 入った? 入りましたー!! ホームラン!! ホームランダービー・イエローベア杯を猟兵チームの皆さんが制しました!!」
どうやらラインギリギリのところで入ったらしい。会場内に歓声が上がる。湧きあがる歓声と雨の中で、ジェノサイドピッチャーその場に崩れ落ちたのだった。
成功
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