【サポート優先】少女たちは水無月の金色に消えた
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
●手向けの花を
「おや。不滅の使者ばかりの島ですか」
初め虹目・カイ(金狐は虹を目指した・f36455)は僅かに目を丸くし、それからどこか優しげに微笑んだ。
「グリードオーシャンの島々が、転移した異世界の土地で構成されているとは、私も存じ上げておりますが。いざ故郷の島を見つけると、嬉しいような遣る瀬ないような、不思議な気持ちになるものですね」
何か予知でも掴んだのかと問えば、カイは静かに頷き。
「長く『七大海嘯』の攻撃に晒されていた島を治める海賊たちが、コンキスタドールの残党に対し蜂起を計画しています。皆様にはその救援をお願いしたいのです」
カイが言うには、その島はシルバーレインから落ちてきた島――恐らくは未発見であった島だろう――で、島民は不滅の使者ばかりだそうだ。
元の世界でも比較的近年の内に発見され、なおかつ当時の銀誓館学園生との交流の末に誕生した種族であるはずの彼らが何故、ひとつの島に唯一の種族として生活しているのかは、予知では解らなかったと言う。
まあ、その点は今回の件に直接の因果関係を持たないので、解明する必要はないだろう。
「彼らは穏和にして思慮深く、また肉体が炎で構成された種族ゆえ、本来であれば海賊としての活動を行うとは思えないのですが……恐らくは先にもお伝えした、七大海嘯からの侵攻を防ぐべく、自衛のために始めた稼業なのでしょうね」
実質は自警団などの類に近いのだろうとカイは言う。
そんな彼らが今回、平穏を取り戻すべく一念発起し、未だに侵攻を続けるコンキスタドールの残党を完全に撃退すべく、今回の計画に至ったようだ。
「ですが相手は残党と言ってもコンキスタドール、即ちオブリビオンです。真の意味での撃退には、我々猟兵の力が必要となるのです」
彼らと協力して、コンキスタドールとの海戦に打ち勝ち、島に平穏を取り戻すのだ。
一方のコンキスタドール。彼女たちもまた、銀誓舘学園生ではないものの、シルバーレイン出身の、ごく普通の学生だった身だと言う。
修学旅行中に船ごとグリードオーシャンに転移、そのまま船はこの世界の海に翻弄され、沈んだ。コンキスタドールとなった少女たちは、運命を共にした船と共に、帰るべき場所を求めて侵攻を繰り返していると言う。
「悲運ではあったのだろうと、思います。ですがコンキスタドールと化した以上、我々にできることはその凶行を止めるのみ。よろしくお願いいたします」
カイは頭を下げるが、場の空気はやや重い。
すると、何やら思い出したようにカイは声を上げた。
「ああ、それと。この島にはいわゆる青の洞窟が存在しているのですが。陽光の差し込む時間には、水底で向日葵が咲き乱れるそうですよ」
ふわりと儚く揺蕩い踊る、淡い夏の金色。
なかなか見られる光景ではないだろうから、是非堪能してきて欲しいと。
「島民たちも潜れはしませんが、海面から見えるその光景を愛していますから。皆様のことも案内してくださるでしょう。短い時間ではありますが、皆様の夏の想い出となれば幸いです」
そしてせめて、海の棺に抱かれるしかない哀れな少女たちへと、手向けの花を。
猟兵たちにしか、できないことだ。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
サポート優先シナリオ強化期間、三本目のシナリオになります。
(勿論、通常参加も望外の喜びですので歓迎いたします)
流れと詳細は以下の通りになります。
第1章:日常『夏花揺蕩う海の庭』
第2章:集団戦『『女学生』のリビングデッド』
第1章では、島民たちの歓迎を兼ねた案内で辿り着いた島の名所である、向日葵の漂う海を満喫していただきます。
第2章では、秘境とその守人である公孫苞を狙う『百花精』との戦闘を行います。
(リプレイ中に描写はいたしませんが、海賊としてユーベルコードを有している複数の不滅の使者たちもこの戦いに参加しています。不滅の羽ばたきによる支援を行います)
サポート優先シナリオですので、調子と相談しながら自分のペースで執筆していくことになるかと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 日常
『夏花揺蕩う海の庭』
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POW : 海の生き物たちと戯れる
SPD : 海中探索、泳いで回ろう
WIZ : 海に浮かぶ花を楽しむ
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四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ~……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ~?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ~。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう~。
案ずるより産むがやすしともいいますしぃ、躊躇うよりはいいですよねぇ~?
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ~。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう~。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ~。
※アドリブ・絡み歓迎
●青に涼む
「ぅゅ……くぅ~……」
「……大丈夫ですか?」
「あらぁ? 眠ってしまってましたかぁ?」
自身の顔を遠慮がちに覗き込む、愛らしい炎の化身に、四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)は軽く目を擦りながら首を傾げる。
「体調が優れないのかと……」
「いいえ〜、確かに暑いのは苦手ですがぁ、ここは涼しいのでぇ……」
つい微睡んでしまったと、へにゃりと微笑む眠斗。
洞窟の中は、初夏にもかかわらずひんやりしていて涼しかった。
雪女の身である眠斗としては、夏でもこの気温はありがたい。
それに、眠ってしまうと言うことは、ここには平穏な時間が流れていると言う証でもある。
眠斗はおもむろに立ち上がると、界面に浮かぶ透き通った金色のひとひらを、掬い上げた。
争いを好まぬ島民たちが、大切にしている光景、穏やかに緩やかに流れる時間。
きっと、コンキスタドールたちの侵攻がなければ、島全体がこんな雰囲気なのだろう。それは眠斗にとっても好ましい空気だった。
「皆さんがのんびり、お昼寝できるようにぃ、がんばらないといけませんねぇ〜」
「……お昼寝……? あっ、はい、ありがとうございます」
眠斗なりに、島の平和のために協力すると言ってくれているのだと、島民にも伝わったのだろう。
コンキスタドールの侵攻が始まるまで、もう少し時間がありそうだ。眠斗は来たるべき戦いに備えて、洞窟の中でもう一眠りすることにした。
成功
🔵🔵🔴
納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから8年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!
あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ
商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします
●金色を食む
「素敵な場所に案内してくださって、ありがとうございます。何かお礼をさせていただきたいのですわ」
「いえ、そんな。コンキスタドールとの戦いに、力を貸してくださると言うだけで充分です」
「ご遠慮なさらずに〜、あっ、こちらを差し上げますわ!」
納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)が島民たちに差し出したのは、金色の飴ちゃん。
とは言っても、向日葵味とかそう言った変わり種ではなく。この季節にぴったりの、爽やかな夏みかん味だ。
「よろしいのですか?」
「勿論ですわ!」
「ありがとうございます。いただきます」
金色を口に含んだ、島民たちの顔が一斉に綻ぶ。
洞窟の岩場に腰掛けて、一緒に飴を食べながら言葉を交わせば話も弾む。
「ところで、この島では交易などは……?」
商人街出身の性と言うべきか、ピンチンは気になっていたことを尋ねれば。
「今は行っておりませんが、生活もありますし……コンキスタドールを撃退した暁には、再開しようかと」
「素敵ですわ! 特産品はありますの?」
「特産品と呼べるかどうかは……こうして浮かんできた向日葵を使って、油や石鹸などを作ったりはしていますが、やはり海に潜っての採集はできませんから、数は多くなくて」
「なるほどなるほど」
石鹸と油。どう生産を増やし、どの島と交易ルートを繋げれば、利益が上がるだろうか?
ついつい、そんなことを考えてしまうピンチン。
「……どうかされましたか?」
「あっ申し訳ございません、つい考えごとを」
兎にも角にも、交易ルート確保のためにはコンキスタドールを何とかしなければ。
ピンチンは胸中で気合を入れ直すのであった。
成功
🔵🔵🔴
ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ
狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る
主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ
怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの
●慈愛の白
青の世界に淡く煌めく金色が浮かぶ。
その光景に、ソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)は、ほうと感嘆の溜息を吐いた。
この世の全てを愛するソフィアは、世界の美しさそのものも愛する。そしてそれを愛する人々のことも。
(「この類稀なる光景と、共に在る穏やかな時間を大切にする。なんと素晴らしいことでしょう」)
その尊い心は、報われるべきだと。ソフィアは本気でそう思っている。
一方で、彼女はこの後に現れるのであろう、コンキスタドールたちへと想いを馳せた。しかしそれは、哀れみからではない。
(「今を懸命に生きる、この尊き命を救うために。過去はあるべき過去へと還さなければ。それが今、わたくしを愛してくれる人たちの想いに応えることにも繋がるのですから」)
事情がどうあれ、過去は過去だ。
ソフィアが愛する命を救うために。そしてソフィアを愛してくれる人たちに報いるために。彼女は、過去を討つことを躊躇わない。
だが、全てを愛する彼女は過去を愛していないわけがなかった。
(「この煌めく黄金の咲く海に抱かれて過去に還ることができたなら、彼女たちも幾分か幸せでしょう」)
愛している。
だからこそ、ここで、この手で、葬る。
それこそが、自身が過去に与えられる愛だと信じて疑わず。
ソフィアは今も、全てを愛している。慈愛の眼差しで、揺蕩う煌めきを、見つめている――。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『『女学生』のリビングデッド』
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POW : ナイトメアランページ
自身が戦闘で瀕死になると【『女学生』のリビングデッド】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 断末魔の瞳
【元居た世界への未練の籠った瞳】を向けた対象に、【死亡時の記憶を五感を伴う夢として見せる事】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 「死がふたりを分かつまで」
【生前所属していた武道系部活動の道具】で武装した【恋人と、その後輩たち】の幽霊をレベル×5体乗せた【レベル✕2隻の幽霊船】を召喚する。
👑11
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四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ~……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ~?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ~。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう~。
案ずるより産むがやすしともいいますしぃ、躊躇うよりはいいですよねぇ~?
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ~。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう~。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ~。
※アドリブ・絡み歓迎
●青を白で塗り潰す
「四条様、起きてください。開戦です」
「ぅゅ……くぅ~……あらぁ?」
デジャヴュめいたシチュエーションで、四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)は目を覚ました。
先程と違うのは、目覚めた場所が船の上であること、そしてコンキスタドールを乗せた船が迫ってきていることか。
だが、伝え聞いた予知での話よりも、船の数が増えているような。
「亡霊を乗せた幽霊船です。ああすることで、戦力を増やしているのです」
「そうなんですかぁ」
海賊の一員――と言うには人の良さそうな不滅の使者の一人が説明してくれる。
ただ、正直なところ、数が増えようと眠斗には余り関係のないことだった。
元より、戦場全体に効力を及ぼすユーベルコードの使い手なのだから。
「帰りたい……助けて……夕くん……」
『任せておけよ。お前ら、行くぞ! 俺たちで皆を守るんだ!』
『おおーっ!』
望遠鏡を借りて見た眠斗は、コンキスタドールの少女たちに応じて声を上げる男子生徒の亡霊たちを見た。胴着と防具からして、あれは剣道部員だろうか。
なら、白兵戦に持ち込ませなければいい。そしてそれは眠斗の望むところでもある。
「眠くなっちゃう前にぃ、出し惜しみなしで一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう~」
どこまでも白く、そしてどこまでも巨大な錘を天へと掲げる。
繊細な少女のような姿の眠斗のどこにそんな力が――味方の不滅の使者さえぎょっとする中、その巨大な雪玉の如き白錘を中心にして渦巻くように――雪を孕んだ暴風が、一帯へと吹き荒れる!
『まずい、船が傾いてるぞ!』
『立て直さないと!』
「いや……もう沈むのはいやぁぁああ!」
白に覆われた世界はまさに氷雪地獄の名に相応しい。
吹雪の中、敵船は混乱を起こし、気心知れた仲であっても統率が取れなくなる。
やがて船同士が衝突し、多くの少年少女が船外に投げ出された。落ちただけの者は這い上がってくるかも知れないが、身体が凍り始めていた者や、既に幽霊となっている者の復帰は難しいだろう。
(「これでも教師見習いとしてはちょっと複雑ですがぁ……」)
せめて今は、蘇るまでの僅かな時間だとしても、彼女たちが穏やかに眠れればいいと、眠斗は願う。
成功
🔵🔵🔴
エダ・サルファー(サポート)
アックス&ウィザーズ出身の聖職者で冒険者です。
義侠心が強く直情的な傾向があります。
一方で、冒険者としての経験から割り切るのも切り替えるのも早いです。
自分の思想や信条、信仰を押し付けることはしません。
他人のそれも基本的に否定はしません。
聖職者っぽいことはたまにします。
難しいことを考えるのが苦手で、大抵のことは力と祈りで解決できると言って憚りません。
とはいえ、必要とあらば多少は頭を使う努力をします。
戦闘スタイルは格闘で、ユーベルコードは状況とノリで指定のものをどれでも使います。
ただ、ここぞでは必殺聖拳突きを使うことが多いです。
以上を基本の傾向として、状況に応じて適当に動かしていただければ幸いです。
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。
基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。
武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。
クロムキャバリアでも生身で戦います。
不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。
ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。
口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。
ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●赤に落とす
「! 敵船に損傷が発生しています。今なら……!」
「お、白兵戦行っちゃう? 行っちゃうか!」
「兎に角全員倒せばいいんだよね。腕が鳴るー!」
先の吹雪で敵の数が減った今なら、こちらから仕掛けても不利にはなるまい。そう判断し、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)、エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)の三人は、揃って敵船へと乗り込んだ。
「ひっ! こ、こないで」
「えーそんなこの世の終わりみたいな顔してたら楽しくないでしょ? 全力で! 楽しまなくちゃ!」
小難しい事情は抜き。今は兎に角、戦いを楽しみたい!
「いっぱつでぶっこわーす! 行くよ、緋迅滅錘衝!!」
少女たちの憂鬱ごと吹き飛ばすように、透乃が和の意匠の施された重戦斧のフルスイングを見舞えば。
倒れた少女の側に、同級生らしき女学生が現れ主を守るように立ちはだかる。護るために生み出された彼女は、明らかに先程の少女よりも強そうだ。
「いいよいいよ! そう来なくっちゃ♪」
だが、透乃の闘志は寧ろ燃え上がっていた。強敵との戦い、そのスリルこそを彼女は求めているのだから。
そんな彼女の背後に迫る影。それを、自身の周囲の敵を唸る拳で沈めながらもエダは見逃さなかった。
「行かせないよ! 隆起しろ!」
ばん、と勢いよく甲板を殴りつける。
すると、不意打ちを狙った少女の眼前に、板を重ねて建てられたような壁が現れ、その身体をエダの方へと弾き返し、押し戻す。
吹き飛んだ少女は、もともと対人戦の心得などあるはずがない身だ。受け身など取れない。そこに、拳を叩き込む――!
「くらえ必殺! 聖拳突きぃっ!」
大抵のことは力と祈りで解決できると言って憚らない、殴り僧侶ならぬ殴り聖職者であるエダの、聖と打の一撃。単純明快、それゆえに重い一撃が、少女の身体を砕く!
「かは……っ」
「んーやっぱり、異世界の学生ってこう言うの習得してない子が多いよねぇ……自衛のためにもギムキョウイクとやらに取り入れるべきじゃ……?」
少女の身体が呆気なく吹き飛ぶのを見て、大真面目にそんなことを考えてしまうエダ。
「集中ですよ! 油断なく!」
ほぼ同時に生まれた同級生の少女へと、鍛え抜かれた剣技を披露するのはハロだ。
とは言え、かつて少年兵だった過去を持つハロ。彼女に比べて、コンキスタドールである少女も、彼女を護るために現れた同級生の少女も、生身の戦闘力で言えばハロには遠く及ばない。
戦いとは縁遠かった身。それがある日突然、死の恐怖を刻み込まれた挙句、戦いの日々に身を投じなければならなくなった。
その恐怖を理解することは、自分には難しいだろうとハロは思う。境遇が根本的に違うからだ。
だが、それはきっと恐ろしいことだったのだと、それだけは確かに解る。
解っても、もう少女たちは戻れない。ならば。
(「私にできるのは、戦って、終わらせることだけ」)
細剣が煌めく。少女の身体を貫く。
そうして現れた彼女の友の初撃を見切り、いなし――二人纏めて、極限まで圧縮した魔力を放つ!
「これは、オマケです!」
赤熱する炎が、爆発し船を揺るがした。
少女と友は二人纏めて転がり、同級生たちを巻き込みながら海へと落ちてゆく。
「だいぶ減ったみたいだね〜。もうひと頑張りしようか!」
「うんうん、お楽しみはこれからだよね♪」
ハロの奮戦を見たエダと透乃も、負けていられないと顔を見合わせ、にっと笑い。
そうして三人はまた、躊躇わず敵の一群へと向かって行くのだった。
成功
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魚目・めだか(サポート)
「戦場の矢面から些細な支援行動まで、めだかになんでもござれだぞ!」
普段の口調は「自分の名前(めだか)、~殿、だ、だな、だろう、なのか?」、適宜敬語も使用可です。
外見は少女ですが、判断基準や倫理観などは若い成人男性相当で、落ち着いた風を装った言動を心掛けていますが、精神が肉体に引っ張られて快活になりがちです。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
その他、連携・アドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
あとはお任せします。宜しくお願いします。
●金色の海へ
「よし、殿はめだかが務めるぞ!」
(「あれ、殿って本来は退却する時に使う言葉のような
……?」)
幼い少女の姿の魚目・めだか(偽典の巫女・f36514)から殿なんて言葉が出たことにも驚きだが、意味がちょっと違うような。シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)は一瞬引っかかってしまったが、まあいいか、と思い直した。
今は何より、残る敵の一掃が最優先である。
「可哀想ではあるが、コンキスタドール、もといオブリビオンとなってしまった以上、倒すより他に手立てはないな。せめて一刻も早く解放してやろう」
本来は儀礼用である氷の大剣を震えば、元は戦う力など持たないはずだった少女たちが、ばっさばっさと薙ぎ払われ、倒れてゆく。
その背後を守るようにシフォンは立ち、淡い金色を煌めかせた。それは不思議な力を秘めた、三叉鉾の柄を彩る時計。
「ここは素敵な島だもの。帰れないならせめて、心の傷を癒せるような、居場所を求めていたのかしら」
けれど、島民の命を奪って得る平穏の島など、あってはならない。
ましてや、望まずしてとは言え、コンキスタドールとして破壊と殺戮を繰り返す身になり果ててしまっては!
「ごめんなさいね」
一言だけ、そう告げて。
シフォンの指を、槍の穂先が掠める。
噴き出した赤は鮮血ではなく――紅蓮の炎。
瞬く間に少女のひとりが、助けを求めた友も諸共に、包まれてゆく。
少女たちが倒れれば、既に倒れた者にも連なるように引火してゆき、そして。
「しぶといな。だが、これでトドメだぞ! リベレイション!」
温存していた英霊の力を借りて、めだかが最後の一人をその重い一閃で打ち倒せば。
倒れ伏した彼女も、炎は等しく抱いて、戦場を赤く染め上げる。
「終わったな、戻ろう」
「ええ」
めだかが不滅の使者たちが操縦する船へと戻ったのを見届け、シフォンも船の縄梯子を掴み――一度だけ、振り返る。
少女たちを乗せていた船が、燃え落ちて二度目の沈没を迎える。
――手向けの花は、そこにあるから。
成功
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