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君のごちそうを待ちつづけ

#UDCアース #カクリヨファンタズム


 彼女は鬼だった。鬼には人間の友達がいた。
 友達は何の変哲もない農夫だったが、料理がとてもうまかった。
 友達の手にかかれば、獣も山菜もとんでもないごちそうに変わる。
 だから、鬼は友達と約束を交わした。
「これからもおいしいご飯をたんとごちそうしてくれるなら、お前の村をずっと守ってやる」と。
 時間が経ち。友達は出稼ぎで遠くの街に行ってしまった。
「戻ってきたら、もっともっとおいしいものを食わせてやるから、それまで村を守っててくれ」そう、言い残して。
 だから友達がいない間も、鬼は村を守り続けた。時に獣から、時にならず者から。何日も、何か月も、何年も何十年も――。
 友達以外の村人たちが自分を忘れても、村人たち全員が村を去っても、鬼は友達がいつか帰ってくると信じて、村を守り続けた。
 飢えをしのぐために怪物を食べ、己の身を異形に変えてしまった鬼は、それでも友達と友達のごちそうを待っている。誰もいない廃村で、ずっとずっと。

「……。それが彼女――UDCアースで発見された一人の、鬼の妖怪の話」
 グリモア猟兵のベッキー・ウッドは、神妙な声で猟兵たちへの話を続ける。
「この鬼が約束した人は出稼ぎ先で死亡した。彼女が守ろうとする村も既に廃村。鬼を覚えている人はもういない」
 人から忘れられたことによる飢えを、彼女はUDC怪物を食べることでしのぎながら、村に居続けている。
 しかし、UDC怪物を食べ続けていることで、彼女は変化してしまった。カクリヨファンタズムの骸魂に飲み込まれた妖怪のように、身も心も殆どオブリビオン化してしまっているのだ。
「このままUDC怪物を食べ続ければ、彼女は約束すら忘れ、この世界に害をなすだけの怪物となってしまう。そんな事はあっちゃいけない。皆にはUDCアースに行き、鬼の彼女を助けてあげてほしいんだ」
 鬼を助けるためには、まず鬼がこれ以上怪物を食べるのを阻止しなくてはいけない。
 しかし今、この鬼の力に引き寄せられ――UDC怪物『首無しライダー』の群れが彼女のいる廃村を訪れようとしている。
「だから、皆。まず首無しライダーが廃村を訪れる前に、『首無しライダー達を待ち伏せ、退治してほしい』」

 戦場となるのは、村から離れた場所にある、幅広い道路。
 猟兵たちはここで、やってくる首無しライダーの群れを迎え撃つことになる。
 首無しライダーたちは、数は多いし、移動速度も速い。
 もしライダーたちを撃破しそこね、ライダーたちが廃村にたどり着けば、鬼は彼らを喰らってしまう。
 ライダーたちを確実にこの道路で殲滅できるよう、知恵と力を発揮せねばならない。
 ライダーたちを殲滅できれば、廃村に赴き鬼と戦うことになる。鬼を倒せば、彼女に理性を取り戻させることができるはずだ。

 説明を終え、ベッキーウッドは転移の準備を始める。
「鬼の彼女が大事な友達と交わした約束は、彼女を呪いのように縛り続けている。どうか――どうか、彼女を解放してあげて。よろしくお願いね!」


支倉みかん
 支倉みかんです。ご閲覧ありがとうございます。
 約束に呪いの如く縛られ、怪物と化しつつある鬼の妖怪。
 このシナリオの目的は、そんな鬼と戦い、救うことです。

 第一章は集団戦。
 鬼のいる廃村に向かう怪物――首無しライダーの群れとの戦闘です。
 戦場は、廃村からそこそこ離れた位置にある、幅広い道路。
 この道路で、敵を待ち伏せ戦ってください。

 鬼が道路へやってくることはありません。
 猟兵たちは首無しライダー達の対処に専念できます。
 ただし、ライダーたちは廃村を目指そうとしています。
 逃がさないよう、討ち漏らしのないよう、工夫が必要でしょう。

 第二章では鬼との戦闘、第三章では正気を取り戻した鬼との交流を扱います。
 よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『首無しライダー』

POW   :    金属バット攻撃
【すれ違いざまに、手に持った金属バット】による素早い一撃を放つ。また、【バットを投げ捨てて運転に専念する】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    轢き潰し攻撃
【バイクによる轢き潰し攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【が道路上である限り、更に加速する事で】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    仲間を呼ぶ
自身が戦闘で瀕死になると【増援の首無しライダー軍団】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
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神代・凶津
約束とごちそうを忘れられない鬼ねぇ。難儀なもんだ、なぁ相棒?
「…その方を災厄を振り撒く怪物に変貌させる訳にはいきません。」
おうよ、その為には先ず廃村にくる奴らを殲滅しねえとなッ!

「…式、召喚【築き大太郎法師】」
時間もあるし丁重にお出迎えの準備をしねえとな。
築き大太郎法師達に簡易的な城を作らせて道路を通行止めにしてやるぜ。さながら一夜城ってなッ!

首無しライダーが来て一夜城で立ち往生したら築き大太郎法師達に襲撃させる。
乱戦になったら俺達は一夜城の上から破魔弓でライダー達を狙い射っていくぜ。
オラオラッ!ここは通行禁止だぜッ!


【技能・式神使い、集団戦術、破魔、スナイパー】
【アドリブ歓迎】


穢宮・風月
SPD

モーンブレイドに跨って待機

遠い昔の……果たす人も居なくなってしまった約束を守って、今も待ち続けているなんて。
……兎にも角にも、まずは廃村に辿り着かなきゃいけませんね。
敵の「道路上にいること」が前提となる攻撃の対処は……あまりやりたくはないです……が!

神酒「笑ひ蛇神」をぶちまけ【竜脈使い】発動
関東平野の龍脈と力を直結させ活性UCをぶちかます
狙いは敵及び道路!
12体の蛇神の御魂による水流ブレスがアスファルトを破壊しようとも、
悪路走破の出来る愛車の前には問題なし、です!

おりゃー!

ブレスで混乱する敵の合間を縫うように進みながら、
巧みなハンドル捌きでモーンブレイドをパワーウィリー状態にしてアタック




 まばらに並んだ街灯が照らす道路。そこに巫女服姿の女性が凛と佇んでいた。
 彼女が着けた鬼の仮面――神代・凶津が言葉を発した。
『時間もあるし、丁重にお出迎えの準備をしねえとな』
「……式、召喚。【築き大太郎法師】」
 相棒は頷き、目を閉じる。力を発動させた。凶津達が召喚するは、大工姿の巨人達!
 築き大太郎法師は木材や金槌を手に動き出す。身の丈から想像できぬほど機敏に。たちまち組みあがる、道を塞ぐ簡易的な巨城。
『さながら一夜城ってな!』
 城が完成した頃。前方に無数の灯りが見えた。近づいてきている。首無しライダーどもだ。
 ライダーどもは城に気づいたようだ。が、怯まず加速。爆音を立て城へ迫る
『体当たりしようってのか? 面白れえ!』
 凶津は不敵な声をあげ、相棒と迎撃の構えを取る!

 穢宮・風月はモーンブレイドに跨り、仲間が作った城の傍で待機していた。ヘルメット越しに空を見、嘆息。
「遠い昔の……果たす人も居なくなってしまった約束を守って、今も待ち続けているなんて」
 風月は首を振り、視線を迫りくる敵へ向け直す。
「兎にも角にも今は目の前の敵に専念ですね……この手段は、あまりやりたくはないです……が!」
 手にした瓶を傾ける。神酒「笑ひ蛇神」で地を濡らし、叫ぶ。
「広大なる関八州のみずかがち達よ……在れっ!!」
【水練忍法「関八州大蛇神瀑布」】。地に流れる龍脈と己の力を繋げ、蛇神十二体を顕現させる。
 巨大な蛇神達はライダー達に顔を向け、一斉に口を開けた。迸る水流!
 水がライダー達十体を吹き飛ばし、地に幾筋もの亀裂を作る!
 吹き飛ばされなかったライダー達も、水流に動きを止め、あるいは地面の亀裂に転倒。
 風月は忍者手袋をはめた手でハンドルを強く握り、モーンブレイドを発進!
「おりゃー!」風月は走行技術と機体性能を駆使、破壊された道を難なく疾走。
 動きを止めた敵をパワーウィリー状態で襲撃、倒れた敵を容赦なく轢く!

 が、ライダーの幾らかは態勢を立て直し、再び前進。凶津の城へ猛スピードで接近。
 彼らに立ちはだかるのは、築き大太郎法師達。ライダー達へ鋸や金槌を振る。
 ハンドルを切るライダー達。大太郎法師達の攻撃は避けられるが、敵の体勢は崩せた。
『オラオラッ! ここは通行禁止だぜッ!』
 凶津の相棒・桜は機を逃さない。城の天辺から破魔弓の弦を引き絞り、撃つ。間髪入れず、二射、三射、と矢を浴びせかけた。
 矢の雨はライダーたちの肩や胴を貫通! 地に倒れるライダー達。彼らの多くは絶命。が、幾らかはまだ生きていた。再び走るため機体を起こす。
 その時、風月が、
「彼らの対処はわたしにお任せを!」
 パワーウィリー状態のまま限界まで加速。機体を起こす敵の背をタイヤで殴打! 敵を行動不能に追いやった。

 猟兵達の攻撃に、敵数は半減。が、凶津達は一切の油断なく、
「……あの方を災厄を振りまく怪物に変貌させるわけにはいきません」
『おうよ、その為には先ず奴らを殲滅しねえとなッ!』
 再び矢を番える。
 風月も追撃のためモーンブレイドを操りつつ、仲間に告げる。
「皆さんも攻撃を! 彼女のいる廃村に辿り着くためにも、このまま決めましょう!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九段敷・流
種別は違えど同じ妖怪のお仲間。助けるというのなら喜んで手を貸そうじゃないか。……なんて言ってみたものの、僕自身は荒事は得意じゃないからね。同行しているみんなの勢いに便乗させてもらおうかな。

道路から外れた未舗装の物陰にでも隠れつつ、【繋ぎ止めの鎖】を首無しライダーのバイクのタイヤやフロントの可動部に放って鎖を癒着させよう。いくらバイクのパワーがあったとしても、タイヤがダメになったりハンドルが効かなくなれば転倒させるのは難しくない……はず。バイクから投げ出された本体も暴れないように鎖を巻いておこうね。
もしこれがダメだったら味方の壁の方に逃げ込ませてもらおうか。みんなか弱い僕を匿っておくれ!




 九段敷・流は道路脇の草蔭に潜んでいた。
「同じ妖怪のお仲間。助けるというのなら喜んで手を貸そうじゃないか……なんて言ってみたものの」
 流の黒い瞳の先で、首無しライダーと仲間達の戦闘は既に始まっていた。仲間達は、道を破壊し、また簡易的な城を作り、敵の行く手を塞いでいる。
「荒事は得意じゃないからね。みんなの活躍に便乗させてもらおうかな」
 嘯きつつ隠れ続ける流。はたしてライダー達の一部が破壊された道を乗り越え、加速。道を塞ぐ城へと突撃せんとしていた。
「今なら僕でもお役に立てる……かも? とにかく、頑張って援護らしいことでもしてみようかな!」
 流は牛仙杖で地面を突く。杖先から妖気を流しこんだ。
 途端、道路のアスファルトに大きな罅が入り、無数の鎖が生える。それは【繋ぎ止めの鎖】。触れたものと癒着する力を持つ鎖。
 その鎖がライダー達のタイヤやハンドルと地面を繋ぎ止める!
 ライダー達の数体はバイクごと転倒。別の数体はつんのめり、バイクから投げ出され地に激突。
 ライダー達は立ち上がろうとするが、流はさらに鎖を操作し、もがくライダー達を完全に拘束。
「スピードの出し過ぎが徒になったね。その状態でハンドルやタイヤがダメになったら、転倒させるのは難しくないんだよ」

 そして流は仲間と合流すべく走る。
「流石に全部は倒しきれなかったよ。というわけで、みんな、か弱い僕を匿っておくれ!」
 おどける流。が、実際には流の鎖は敵戦力を大きく削った。
 役割を見事に果たした流は『後は任せたよ』と、仲間達に片目を瞑る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。


ニケ・ブレジニィ(サポート)
技能を、フル活用します。

仲間を守りつつサポートし、敵を倒すという戦闘スタイルです。

また、このシナリオ内で戦闘不能になったオブリビオンの肉体と魂を、ユーベルコードの『桜の癒やし』で鎮め、転生できるように祈ります。

「…もう鎮まりたまえ、あなたの名を忘れないように私は憶えておいてあげるから…」

リプレイのために、このキャラクターを自由に扱っていただいて、全く問題ありません。




 路上に立つサイボーグ、アス・ブリューゲルト。
 アスの眼球に装着されたサイバーアイは、前方からこちらを目指す首無しライダー達の群れを補足していた。
「なるほど、あれが今回の敵か。手が足りないなら、力を貸すぞ……」
 仲間に注げ、敵の前に立ちはだかるアス。そのアスへ、ライダー達は加速してくる。機体をぶちあてようとしてくる。
「なんの工夫もなくただ前進するだけとは……そこだ!」
 アスが片腕を動かす。【クイックドロウ】! 瞬間的な速さで、ブルーブラスターより熱線を発射。敵のバイクを撃ち抜く! 敵のバイクは燃上し――爆発。
 一体がやられても、敵の群れは怯まない。なおアスへ突進してくる。
 アスは射撃を続行。敵の機体を再び破壊し、またライダーの胴を撃ち抜く。次々と倒れるライダー達。
 だが。
 瀕死のライダーたちが片手をあげる。すると――虚空から新たなライダー達が現れ、路上に降り立つ。その数は多い。
「仲間を呼ぶ能力もあるのか……時間はかかりそうだが、片っ端から倒せばいいだけだ」
 毅然と敵達を睨むアス。

 その時、
「ここは私がサポートするわ。私に任せて」
 桜織衣を纏った女性、ニケ・ブレジニィがアスの隣に立つ。
 ニケたちは前方に群がる首無しライダーたちをまっすぐに見つめた。
「あなた達はこのままいけば、オブリビオン化した妖怪に誘き寄せられ、食べられてしまう。そしてオブリビオンの一部となり、ずっと苦しみ続けることになるわ……それは、あまりに辛く、悲しいことよ」
 憂いと悲しみを込め、ニケの言葉をかける。
 だが、ライダー達はその言葉など耳に入らぬとばかりに、ニケへ接近してくる。
 ニケは静かに掌を敵に向けた。
 桜の花びらがふわり、ふわりと舞い落ちる。空から無数に落ちる花びらは、ライダー達の全身を包む。ライダー達は途端に動きを鈍らせ、バイクから落下、その場に崩れ落ちた。
 ニケの【桜の癒やし】が敵を眠らせたのだ。
 ニケは視線をアスへ向ける。
「この状態なら、仲間を呼ぶこともできないはずよ――今のうちに終わらせましょう」
 悲しみを含みつつも凛としたニケの言葉に、アスは首を縦に振る。

 アスは眠った敵どもへ銃撃を開始。眠ったままの敵を消滅させる。
 だが、敵数体が目を覚ました。バイクに騎乗しなおそうとするが、そんな隙をアスは与えない。ブルーブラスターの照準を素早く合わせ、
「バイクに乗ることにこだわり、隙を見せたな……これで終わりだ!」
 敵の胸を容赦なく撃つ。熱線が敵の胸を貫通。
 さらに目を覚ました別の数体の前にニケが立ちはだかる。その数体はバイクに乗らず、金属バットを振り上げた。
 が、ニケの力で眠っていた影響からか、彼らの動きは鈍い。ニケは難なく敵の動きを回避し、
「目的も見失い、衝動のままただ走り続けるあなた達……もう鎮まりたまえ、憶えておいてあげるから」
 革命剣の刀身を輝かせ、その先端で敵の胸を貫く! 

 猟兵達は首無しライダー達の掃討に成功。
 ニケは再び桜の花びらをその場に降らせていた。
「……ここはサクラミラージュではないけれど、どうか、どうか……」
 倒した彼らのために切実な顔で祈るニケ。
 一方アスは、視線を動かした。首無しライダー達が向かおうとしていた先を見つめる。
「……休んでいる暇はない、行こう」
 アスの言葉に、猟兵達は動き出す。
 道の先にある廃村に向かって。
 その廃村には妖怪がいるはずだ。約束に縛られ、この世界にとどまり、オブリビオンと化しつつある妖怪が。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『鬼喰らいの絡新婦』

POW   :    蜘蛛の巣の主
【戦場全体に張り巡らされた糸による拘束】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鋭い脚での串刺しや、鬼の膂力での縊り殺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    蜘蛛糸の舞
見えない【程細いが、鋼鉄よりも強靱な蜘蛛の糸】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    可憐なる母蜘蛛
【呼び出した子蜘蛛達の放つ糸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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 時間が経過し。
 猟兵たちは、山間にある村――否、かつて村だった場所に辿り着く。
 道は舗装されておらず、背の高い草が茂っている。
 放置された家々は荒れ果て、壁のところどころにひびが入っていた。
 そんな村の一角に“彼女”はいた。

 鬼の少女の彼女は、怪物たちを喰らった結果、蜘蛛に似た姿に変貌してしまっている。
「誰?」と鬼は問う。
「帰ってきたの?」と、鬼はまた問う。
 鬼の声と瞳には、狂おしいまでの祈り。
 が、不意に、鬼の瞳に敵意が浮かぶ。
「違う。あいつじゃない。あいつじゃない、あいつじゃないいいいいいいっ」
 吠えた。
「お前たちはだれ? だれだれだれ? あいつじゃない。違う。わかった。村を襲いに来た獣か。盗賊か。守る。村、守る。あいつが戻るまで守る。約束。守る。村の敵、殺す、ころす、コロスゥゥッ!」
 鬼は喚き、蜘蛛の身体からカシャカシャと音を立てた。

 蜘蛛になりかけた鬼、彼女を正気に戻すためには、彼女と戦い倒す必要がある。
 長い年月UDCアースに留まり続けた彼女の力はあまりに強い。
 が、彼女にはわずかだが、理性が残っている。
 適切な言葉をかけ彼女の心を刺激すれば、力を弱められる。
 人間との友達と、村を守ると約束した鬼。
『戻ってきたら、もっともっとおいしいものを食わせてやるから、それまで村を守っててくれ』
 その言葉に縛られ、友達の死後もその死に気づかず、ひたすら村を守り続けている。
 彼女の境遇を理解したうえで、彼女に現実を分かってもらえるよう説得してもいいだろう。彼女の悲しみに共感してもいい。
 猟兵たちの想いを込めた言葉なら、きっと彼女に届くはず。
 ただし言葉だけでは彼女は救えず、言葉で力を弱めたうえで戦闘で倒さねばならない。
 想いと力を尽くし戦え、猟兵よ!
穢宮・風月
POW

鎮まり給え…
わたしは貴女の待つ「かの人」ではありませんが…
貴女が何故斯様に荒ぶるか、
全てを識った上で、ここに来ました。
どうか、鎮まり給え…イグニッション!

懐から抜いたカードが白光を発して詠唱銀の霧となって解け、両拳の忍者手袋と化す

あくまでも制圧が目的であるため、刃は使用せず、己の両の拳と体術だけで立ち向かう
【グラップル】【受け流し】による体捌きで、糸による拘束を躱す
ある程度拳を交えたここぞというところで活性UCを発動

練(両足が大地を抉り)
気(力は螺旋となって体幹を駆け)
成(掌が触れただけの体勢は、瞬時に「拳を撃ち抜く型」へと変化し)
龍(地面から全身を使って練り上げた水気が敵に突き刺さる)




 穢宮・風月は、前方の鬼に語り掛ける。
「わたしは貴女の待つ『かの人』ではありませんが……貴女が何故斯様に荒ぶるか、全てを識ったうえで、ここに来ました。どうか、鎮まり給え……」
 一言一言を丁寧に。茶色の瞳で、相手をまっすぐ見つめながら。
 風月の真摯な視線に、鬼は一瞬動きを止めた。が、鬼の殺意は消えない。
 風月は懐から年季の入ったカードを出し、高らかに叫ぶ。
「イグニッション!」
 カードが白い光を放ち、霧へ。霧は両拳を覆い、忍者手袋へ変化する。
「守る、殺すぅっ!」
 鬼は蜘蛛の身体から次々に糸を吐き出す。たちまちに戦場に張り巡らせられる蜘蛛の糸。
 風月は跳び、或いは体を捻り、糸の多くを避け、鬼に接近。
 が、鬼が吐いた糸は大量。全て避けることはできず、一本の糸に足を取られてしまう。動きを止める風月。
 間髪入れず、鬼が蜘蛛の脚を突き出してくる。鋭く尖った脚先が、風月の腹を貫いた。大量の血が飛ぶ。
 風月は額に汗を浮かべつつも、痛みを堪えた。敵の脚を抜かぬまま、声を発する。
「錬」両足に地を抉る程の力を籠め、「気」体内の力を螺旋の形に駆けさせ、「成」掌で鬼の体に触れる。姿勢を『拳を撃ち抜く型』へ。そして、
「龍っ!」練り上げた圧倒的な水気を、掌から敵体内へ流す。【霧影龍神爆水掌】!
 鬼の顔が苦痛に歪む。「グアアアアアアアッ」全身をのけぞらせ、絶叫する鬼。風月の肌に刺さった蜘蛛の脚は抜けた。
 傷から血が流れるが、風月は表情を変えない。
「鎮まり給え……」
 鬼から目をそらさず、彼女と対峙し続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神代・凶津
ちぃ、あの蜘蛛鬼女正気を失ってやがるぜッ!
「…仕方ありません。彼女を鎮めます。」

戦場全体に張り巡らされてる糸が厄介だぜ。近付けやしねえ。
張り巡らされた糸の脆い場所を見切って破魔の霊力を込めた薙刀で切断しながら蜘蛛鬼女に近付いていくぜ。

理性が残っているなら言葉で揺さぶってみるか?
おい蜘蛛鬼女ッ!お前さんの友達は死んじまってもう戻ってこれねえよッ!
「…約束に縛られた貴女を見たらきっとそのお友達も悲しみます。
ですから貴女を呪縛から解放しますッ!」

「…破邪・鬼心斬り。」
薙刀に霊力を込めた一閃であの女の歪んじまった心、そしてオブリビオンの部分を斬り祓ってやるぜッ!


【技能・見切り、破魔】
【アドリブ歓迎】




 神代・凶津とその相棒・桜は蜘蛛の糸の張り巡らされた戦場を駆けていた。聞こえるのは「守るぅ、殺すぅ」憎しみの籠った鬼の声。
『ちぃ、あの蜘蛛女、正気を失ってやがるぜッ!』「……仕方ありません。彼女を鎮めます」
 苛立つ凶津。瞳に決意を宿す相棒。
 凶津は戦場を観察、糸の脆い部分を看破、
『右上の糸を叩き切れッ!』
 凶津の指示に従い、相棒が霊鋼の薙刀を振る。破魔の力で行く手を遮る糸を切り落とし、前進。
 鬼との距離を詰めつつ、凶津は声を張る。
『おい蜘蛛鬼女ッ! お前さんの友達はもう死んじまって戻ってこれねえよッ!』
「え?」鬼が目を見開く。
「あいつが死ん………嘘だああっ! 嘘、嘘、嘘っ」
 鬼は憤怒の表情を作り、跳びかかってきた。
 怒り任せの攻撃を、相棒の薙刀が弾いた。
「……嘘ではありません。貴女はもう約束に縛られなくていいのです。……約束に縛られた貴女を見たらきっとそのお友達も悲しみます」
 淡々と語り掛ける声に、鬼の動きが止まった。
「ですから貴女を呪縛から解放しますッ!」
 相棒は薙刀を上段に構え、刃の先に全霊力を注ぎ込む。
「……【破邪・鬼心斬り】」
 そして一閃! 刃は鬼の身体を傷つけることなく、心の歪みを切り裂いた。

「わ、わた、私は、あいつは……ああ、ああっ!!」
 困惑した声をあげながら、蜘蛛の手足をデタラメに振り回す鬼。
『完全な解放にはまだまだだが――それでも、自分を取り戻すきっかけは与えられたようだな』
 確かな手応えを感じながら、凶津と相棒は、薙刀を構えなおす。

大成功 🔵​🔵​🔵​

プリンセス・アラモード
おいしいものが食べたいの?
それなら、いいの……♪
プリンを、た・べ・て……♡

一切抵抗せず無防備に、自分から前に出てクモさんの心身の安らぎと癒やしを祈り、この身を捧げるの
自分から抱きついて首筋を差し出してもいいの
これがプリンなりの優しさなの

封じられちゃうかもだけど、一応プリンとクモさんをUCの赤い糸で繋いでおくの
でもその前に、子蜘蛛さん達にも「そんなことより……はやくプリンを食べて♡」って甘い香りで誘惑しちゃうの

お腹を空かせるのは、とってもツラいことなの
プリンは……誰も飢えることの無い、優しい世界のお姫さまになるの!

優しい心の持ち主だけが、真のプリンセスになれるの!




 プリンセス・アラモードは甘い香りを漂わせつつ、蜘蛛になりかけた鬼の少女に近づく。
 鬼の少女は仲間の攻撃に傷つき、また突きつけられた真実――友達の死に混乱しているようだ。
「あ、あいつが、死んだはず、ないっ、嘘っ、あいつが死んだら、あいつが死んだらっ」
「その人が死んだら……おいしいものが食べられない? おいしいものが食べたいの?」
 喚く鬼を、カラメルソースの瞳で見つめるプリン。
 鬼はプリンを睨みつける。そして大量の子蜘蛛を召喚。
 糸を吐こうとする子蜘蛛たちに、プリンは両腕を広げ、フルーツのドレスとカスタード色の肌を見せ、誘惑。
「そんなことより……はやくプリンを食べて♪」
 子蜘蛛たちは糸を吐くのを忘れ、プリンに殺到。
 プリンのプリンセスボディは幾ら齧っても減らない。
 プリンは子蜘蛛たちが満足するまで待ってから、鬼に赤い糸を投げつけ、【死がふたりを分かつまで】を実行。
 鬼の少女に近づきつつ、プリンは語る。
「その人を待ちながら、クモさんはずっとお腹を空かせていたのね……お腹を空かせるのはとってもツラいことなの」
 誰も飢えることのない世界を願う者だけが出せる、慈愛に満ちた声色で。
「プリンを、た・べ・て……」
 鬼の少女へ手を差しだすプリン。
「く、来るなあっ!!」鬼は蜘蛛の脚でプリンの手を払う。が、その動きは先程よりさらに鈍い。プリンが見せた無償の愛が、混乱していた鬼の心をさらに揺さぶったのだ。
 プリンは苦しそうな鬼の少女の顔を見つめ続ける。彼女の安らぎと癒しを、心底から祈りながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九段敷・流
妖怪同士、ゆっくりとお話したいけど、そうするにはもう少し頑張らなきゃいけないみたいだ。
周りの子蜘蛛達はUCで僕の友人達に相手してもらおう。それが終わったら彼女も攻撃してもらうけど、それまでの時間稼ぎにお話をして彼女の意識を揺すってみようか。

君の待ち人は亡くなってしまったよ。僕ら妖怪と人とでは時間の流れが違う。特に君のような長命な種にとっては人の一生など一瞬さ。君だって本当は、ここで死に行く人を、朽ちていく村そのものを見て薄々は気づいていたんじゃないかい?しかし君は目を背け、それを窘める者もいなかった。ならば、その役目を僕達猟兵が勤めようじゃないか!君は自分の現実と、未来と向き合う時が来たんだ。




 鬼は苦しげな顔のまま、大量の子蜘蛛を呼び出す。子蜘蛛達は猟兵たちに這い寄ってきた。
 九段敷・流の表情はあくまで穏やか。
「子蜘蛛達の相手は、僕の友人に任せるとしよう」
 言うや否や。子蜘蛛達の前に大量の髑髏が出現。【その内で蠢くもの】、即ち大量の虫が髑髏の眼窩から出て、子蜘蛛達に跳びかかる。子蜘蛛達が動きを止める。
 流自身は鬼へ歩み寄る。彼女の眼を覗き込んで言う。
「僕の仲間が先程言ったように、君の待ち人は亡くなってしまったよ」
「う、う、嘘だ……!」
 鬼の反論に、流は首を左右した。
「僕ら妖怪と人では時間の流れが違う。長命な種にとっては人の一生など一瞬さ。君の友達の命も、例外じゃない」
「黙れ黙れっ」
 鬼の少女は手で己の耳を塞ごうとする。
 流は彼女の手首を掴む。耳を塞がせない。彼女を窘めるのが自分達猟兵の役目だからと、言葉を続ける。
「君だって本当は、ここで死に行く人を、朽ちていく村を見て、薄々は気付いていたんじゃないかい? 時が流れてしまったことに――」
 流は視線を動かし、村内を目で示す。鬼は流につられ視線を動かし硬直。村が既に廃村であると、人間にとっては余りに長い時が経ったと、悟ったのだ。
「じゃ、じゃあ……あいつ、もう帰って……」
 鬼の目に溢れる涙。体からは力が抜けていた。戦意を失っている。
「一旦お休み。起きてから向き合えばいい。自分の現実と未来とに」
 流が呼び出した虫が、鬼に跳びのり肌を優しく刺した。

 鬼は、目を閉じ横向きに倒れる。その体から、蜘蛛の部分が消え、頭に角のある少女の姿に。
「これが本来の彼女の姿、か。どうやら、彼女を助けられたようだね」
 寝息を立てる鬼の少女に、流は優しげな視線を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『バーベキューの時間だ!』

POW   :    肉を焼く

SPD   :    飯盒でご飯を炊く

WIZ   :    煮込み料理を作る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 猟兵達の活躍により、鬼の少女は元の姿を取り戻した。
 蜘蛛になりかけていた姿から、頭に二本角がある少女の姿に。
 鬼の少女は眠っていたが、やがて目覚める。その瞳には正気の色。猟兵たちは、彼女を救えたのだ。
 鬼の少女はもう解っていた。友達がもう死んでしまっていることを。だから、
「うあーん……」
 声をあげて泣く。
 しばらくして、涙まじりの顔を猟兵に向けて言う。
「攻撃してごめんなさい……そして、気付かせてくれて、ありがとう」

 鬼の少女は、この世界からカクリヨファンタズムにわたることを決めた。
 鬼の少女がカクリヨにわたるためには『宴』を開かねばならない。
 猟兵たちは彼女のために宴を開くことに決めた。
 どんな宴をしたいかと聞くと、鬼の少女は、
「……うまいものが、たべたい」
 そう答えた。ごちそうを作ってくれた友達はもういないけど、この村で友達を偲びながら、この世界での最後の食事がしたいと。

 猟兵たちは彼女の為に廃村でのバーベキューパーティーを行うことにする。
 必要な材料や道具は、UDC組織が用意してくれる。もちろん、自前の材料を持ち込むこともできる。
 猟兵たちは腕を振るって調理をしてもいいし、鬼の少女と一緒に食事を楽しんでもいい。あるいはこれからカクリヨに旅立つ彼女に応援の言葉をかけてもいいだろう。
 鬼の少女の願いをかなえるべく、猟兵たちはバーベキューの準備に取り掛かるのだった。
神代・凶津
鬼の嬢ちゃんも正気にもどったし、『宴』を開いて最高のご馳走を食わしてやるぜッ!……相棒が。
「…それがご友人を失った事を知った彼女の慰めになるなら。」

どうせなら鬼の嬢ちゃんに友人が作ってくれた思い出のご馳走を聞き出してそれを再現してみるか。
必要な材料や道具はUDC組織が用意してくれるし、相棒の料理の腕なら何とかなるだろ。

「…よかったら『おはぎ』もどうぞ。」
デザートに持ってきた『おはぎ』を鬼の嬢ちゃんに振る舞うぜ。
こいつは絶品だぜ。

カクリヨファンタズムに行っても元気にやるこった。友人の分までな。


【技能・慰め、情報収集、料理】
【アドリブ歓迎】




 石を組んで作った即席カマドの前。
 神代・凶津は相棒の頭の上で、宣言。
『鬼の嬢ちゃんも正気に戻ったし、最高の御馳走を食わしてやるぜッ! ……相棒が』
 鬼の面の凶津自身は料理できないが、声には、相棒の技術への信頼。
「……それがご友人を失った事を知った彼女の慰めになるなら」
 相棒・桜は頷き、巫女服の上にエプロンを着ける。

『鬼の嬢ちゃんよ、あんたの友人の料理を聞かせてくれよ。どんな料理だったんだ?』
「うん。友達は、山菜を細かく切って……」
 凶津は鬼の少女から、彼女の友人の料理を聞き出す。その料理を再現すべく、相棒が調理を開始。
 山菜を塩ゆでし、冷水につけアク抜き。一方でシャカシャカと米を研ぎ……。丁寧かつスムーズな動き。調理への慣れを感じさせる。
 暫くして。
 飯盒の蓋を相棒は開ける。炊き上がった飯から、もうもうと湯気。醤油等で濃く味付けをした山菜を入れ、しゃもじで混ぜた。
『完成だッ』「……山菜の混ぜご飯です」
 相棒が茶碗に盛った飯を、鬼の少女はじっと見つめ、食べだす。
 ふっくら炊けた白米の中に穏やかな旨味の山菜が入ったそれを、鬼の少女はがっつくように食べた。
「……あいつの味……」呟く鬼の少女の目に、涙が一滴。

 茶碗が空になったのを見、相棒はタッパーを開けた。
「……よかったら『おはぎ』もどうぞ」
 中には、神代家直伝の御手製おはぎ。鬼は早速おはぎに齧りつく。目を細め幸せな顔。
『あっちに行っても元気にやるこった。友人の分までな』
 凶津の言葉に、鬼の少女は微笑み、しっかりと頷いてくれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九段敷・流
僕は人に食べてもらえるほど料理が上手くはないから、彼女とお話でもしようかな。ただ、手ぶらで行くのはなんだから、お酒でも持っていこうか。

さて、君はこれからこことは別の世界に行かなければならない。僕は君と共に行き、共に生活することはできないから、大丈夫だとか心配ないだとか安易な言葉を言うつもりはないよ。ただ、これだけは言わせておくれ。今この時を共に笑顔で迎えられたことを嬉しく思う。そして君の新たな門出を祝して乾杯しよう!

……あ、そうそう。僕のブロマイドは無病息災の厄除けに加えて、ちょっとばかしの幸運を呼び込むご利益もあるんだ。ぜひともお守り代わりに持って行って。きっと君の助けになるはずさ。




 九段敷・流はグラスと瓶を手に、鬼の少女の前へ。
 鬼の少女は仲間が作ったごちそうを口いっぱいに頬張っている。
 流はそんな彼女を、目を細め優し気に見守っていた。
 彼女の食事が一段落してから、「さて」と話しかける。
「君はこれからこことは別の世界に行かなければならない。僕は君と共に行き、共に生活することはできないから、大丈夫だとか心配ないだとか安易な言葉を言うつもりはないよ。ただ」
 そこで流は言葉を区切る。
 鬼は黙って流を見、言葉の続きを待つ。流は優しげな笑みを浮かべ、
「これだけは言わせておくれ。今この時を共に笑顔で迎えられたことを嬉しく思う」
「……わたしも嬉しい。それは流達がここに来てくれたおかげ。本当にありがとう」
 返ってきた礼の言葉を聞きながら、流は二人分のグラスになみなみと瓶の中身を注ぐ。
「さぁ、乾杯しよう。君の新たな門出を祝して!」
「乾杯!」
 流と鬼の少女は互いにグラスのふちを重ね合わせる。カンッ、涼やかな音を立てるグラス。
 グラスに口をつけてから、流は一枚のブロマイドを少女へ渡す。それは自作のブロマイド。写っているのは、ポーズを決めた流。
 興味深そうにブロマイドを手に取る鬼へ、流は親指をぐっと立てた。
「無病息災の厄除けに加えて、ちょっとばかしの幸運を呼び込む利益もあるんだ。ぜひともお守り代わりに持って行って」
 どこかおどけた流の口調に、鬼の少女はくすり、くすくすと笑い声を漏らしてから、大事そうにブロマイドを懐に仕舞った。

 宴はその後もしばらく続いた。
 鬼の少女は猟兵達が用意した食べ物や飲み物に舌包みを打ち、やがて満足したのか、手を止める。
 少女は猟兵たち一人一人に歩み寄り、感謝の言葉を述べる。
 そして、少女の姿が徐々に薄れていく。カクリヨに旅立とうとしているのだ。少女は最後に猟兵たちに幸せそうな笑みと言葉を投げかけた。
「皆、ごちそう様。……いつかまた会おうね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年07月22日


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#UDCアース
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#カクリヨファンタズム


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト