楽園へようこそ
●
この村は楽園だと誰もが口を揃えて言う。私もそう思うし、実際ここは楽園だ。
前いた世界――死ぬ前は寒くてひもじくて怖くて。どうにもできない事に誰もが太陽なんてほとんど見えない空を力なく見上げるか痩せた地面をじっと見ていた。
灰色で殺風景な世界。
でもここは怖い存在もいない。居たとしても領主様の家臣がやっつけてくれるの。
ここは色とりどりなお花が咲き誇る。ちょっとお喋りなのが玉に瑕だけど。あと、レモンって果物ができる木があるの。こんな酸っぱい果物があるのね。
ご飯もいっぱいある。私、ふかふかなパンがあるなんて初めて知ったわ。
そして、そして。ここはとてもあたたかい。
まるで暖炉の火に当たっているかのような……ちょっと熱いかな?でも眠いから、このまま、このままもう少し……。
この日、海沿いにある村が滅んだ。村が燃え上がる火はこの暗い世界には一層輝いてみえた。
「いちにのさんの……村人はこれで全員か?」
火が立ち上がる村の中心部。そこに倒れる焼けた何かの前で南瓜頭の男が背後の騎士へと問う。
「はい。男20、女30。うち子供は15。全員で50
匹です」
「ほぉーん。老若男女よくここまで揃えたな。調整頑張ったじゃねぇか」
「有り難きお言葉」
南瓜頭の男が自身の足元に倒れる何か――焼け死んだ魂人の亡骸を何の感情もない目でちらと見降ろす。
そして直ぐに背後の騎士達へと向き直ると手にもつ王勺を天高く掲げ――。
「計画立てて何年だ? まーとりあえずお前ら、俺様主催のバーベキュー大会、心ゆくまで楽しめよ!」
●
「ダークセイヴァーの第三層に行けるようになったのは知っているわよね」
表情を変えずマリアベラ・ロゼグイーダ(薔薇兎・f19500)はウサギ耳を揺らし、集まった猟兵達の姿を見やる。
「その第三層にね、とある集落があるのよ。至って普通の集落よ。海沿いに作られたそこにはレモンの木々が並び、花々が咲き乱れ、日々を生きるのに必要な糧があって、小さくても雨風を凌ぎ隙間風が吹き込まない白い石造りの家が十軒ほどが建ち並ぶ。そう、私たちにとってはちょっとおしゃれかなっていう位の普通の集落。
でも下層で飢えと無力感を感じながら惨めに死んでいった彼ら魂人にとっては楽園そのものと言っても差し支えないわ」
魂人は下層で死んだ人々。下層で飢えと戦いながら吸血鬼たちに怯え、理不尽な死を迎えた彼らにとってその集落は死後の安寧の地として思われている。
しかし。
「でもね、この集落は天国でも楽園でもないわ。
この村を作ったのは上層を治める闇の種族。彼らのために作られた箱庭なの」
そこは定期的に闇の種族の手の者が訪れ必要な物を支給し、ある時には外敵を打ち払ったり、インフラを整備を行い魂人達の生活をフォローしているのだという。
それはただ一つの目的のため。
「そしてこの村は近々焼かれるわ。魂人はもちろん、全てがね」
そこは大事に造られた
箱庭。慈しみ、愛し、大切に育てあげた
村人は最高の状態で屠畜される。
それが魂人に知らず課せられた役目なのだから。
「彼らをみすみす殺すわけにもいかないわ。皆には彼らを逃がしてあげて欲しいの」
避難を呼びかけ、箱庭の領主である闇の種族の猛攻・猛追を回避しながら村人と共に逃げる。これが今回の依頼の大まかな趣旨だ。
今のタイミングで行けば闇の種族がこの村を訪れる前に到着できる。が、
「この箱庭にいる人たちは死後の世界にある楽園だと信じ切っているわ。
先に避難を呼びかけたり、闇の種族の目的を言っても信じる事は決してないし、最悪追い出されてしまうわ。
非常に心苦しいけど闇の種族が到着するまではこの村に滞在して魂人と交流をしたり避難経路をそれとなく確認するなどに時間を当てて欲しいわ」
避難は闇の領主が訪れ村を焼かれるタイミングで可能だ。
「海側に逃げるのは得策ではないわ。魂人たちを逃すために必要な船もないし、海に何がいるか分からないしね。
幸い森が近くにあるからそちらに逃がしてあげると良いわ」
あとは闇の種族の追手を蹴散らしながら村人と一緒に逃げてまた安全な場所――いえ、安全ではないわね。その安全な場所から放り出されてしまったのだもの……
幸いなことに森の中に隠れ里になりそうな場所あるの。そこまで送ってあげてちょうだい」
簡潔にそう言葉を告げマリアベラはグリモアを起動させるべく傘の石突を鳴らそう――とした直後ぴたりと動きを止め、再び猟兵に目を向ける。
「今回遭遇する闇の種族、ジャックっていうの。
南瓜を被ったふざけた奴だけどふざけた位強いわ。あなた達の実力を疑うわけじゃないけど、戦闘に注力しなければ勝てる見込みがほぼない位にはね。
もし闇の領主を倒したいのなら……魂人の避難を諦める事も必要よ」
そう言い切るとマリアベラは今度こそ傘の石突を床へと降ろしたのだった。
遭去
焼肉をしようぜ、肉は
魂人な!
●1章
海辺の村に旅人として訪れましょう。彼らは快く迎え入れてくれます。が、避難を呼びかけたり、闇の種族の目的や上層の真実を告げても彼らは信じてくれませんし最悪追い出されてしまいますので別の行動を推奨します。
例えば村の中を見て避難経路の確認したり、魂人と交流して信頼を築ければ2章で避難がスムーズにいったり避難の呼びかけに応じやすくなるかもしれません。
●2章
南瓜頭の王様『ジャック』との戦闘です。この章開始直後のタイミングで村に火の手が上がります。
OPで説明している通り避難を行いながらではいかな猟兵でも彼を倒すことは現時点では不可能です。戦闘に注力すればもしかしたらといったくらいの強さです。
●3章
ジャックが放つ刺客の追撃を回避し、魂人と共に逃げましょう
第1章 日常
『束の間の安息』
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POW : 食事や休養で英気を養う
SPD : 周辺状況を確認する
WIZ : 現地の魂人などと交流する
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臥待・夏報
了解了解
目立たないよう情報収集ね、夏報さんの得意分野だよ
住民はここを死後の楽園だと信じてるわけだ
だったら「新入り」の死者として振る舞うのが一番無難かな
ダークセイヴァーの文化に詳しいわけじゃないから……できるだけ黙りこくって、最低限のことをポツポツ喋るように心がけよう
経験上
陰気な顔してじーっと目を伏せていれば、向こうがいろいろ考えて不幸な過去っぽいものを勝手に想像してくれる
というわけで、コホン……
すみません、こちらにはまだ慣れてなくって
わあ……お花畑がとっても綺麗
こんな景色、初めて視ました
あ、あの、森へ行く道はないですか?
とても良くしていただいたので
山菜摘みくらいなら、私でもお役に立てるかなって
●楽園への来訪者~1人目
「了解了解、目立たないように情報収集ね、夏報さんの得意分野だよ」
からからと笑いながらグリモアベースから転移した臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)は身なりをダークセイヴァーの世界にあう物へと着替え、海側の門から村へと足を踏み入れた。
(「周りは壁に覆われていて外敵が侵入するのを防いでるね。
逆を言えば中で何かあったら逃げづらいわけか」)
『あら、あなたは……?』
夏報が辺りを見渡しながら村のメインストリートを歩いていると、彼女に気が付いた魂人の少女が近づいて来た。
「あの、何も分からないで歩いていたらここに村があって……」
『もしかしてあなたも死んじゃってここに?』
「それは……」
夏報は押し黙り、俯いてしまう。
この行動はわざとである。夏報はダークセイヴァーの文化を細かく知っているわけでは無い。ゆえに下手に喋ると怪しまれる可能性がある。
ならば口数少なく、黙り込んでしまえば相手は追及しにくくなると。そう踏んでの行動だった。
『あっ……ごめんなさい。言いたくない事もあるわよね……ちょっとついて来てくれる?』
夏報の行動は当たった。察した村人は追及を止めると、夏報の手を取りある場所へと導く。
『ここよ、この村の真ん中にある名物!』
「わぁ……」
自然と感嘆の声が上がった。
目の前に広がるのは色とりどりの花が咲き誇る花畑。中心に鐘塔、周りに広がる花畑は一周するのに数分かかる位か。
決して広いとは言えないが少なくとも管理された花畑を育てられる位にはこの村には余裕があることが伺える。
「こんな景色、初めて視ました」
『綺麗でしょ? 今度領主様がこの村に来るっていうから頑張って整備したの』
「領主……」
『ねぇ、あなたも行くところが無いならここに住まない? ここは楽園よ。私も死んでからここを出た事無いから外のことはよく分からないけど、絶対幸せだわ』
それは違う。ここは楽園の様に見えるがただの肥育場だよ。
――と喉の先まで出かかったのを夏報はぐっとこらえ、少女へ問う。
「と、ところでこの村に来るときに森を見かけたんですが、あ、あの、森へ行く道はないですか?」
『森? ああ、あなた海側の正門から来たものね』
『森が気になるならこの公園をまっすぐ行って裏門を通ればすぐ森に行けるわよ』
少女は広場の奥を真っ直ぐ指した。
目を細めれば確かに小さく見えるが門らしき物が見える。
この広場から門までは道路が整備されているため、数分歩けば簡単にたどり着けそうだ。
「な、なるほど」
『でもどうして森?』
「いえ、とてもよくしていただいたので山摘みくらいなら、私でもお手伝いできるかなって……」
上目づかいで問えば村人は破顔する。
『来たばかりなのに。そんな気にしなくて良いわよ! それよりおなか減ってない? しばらくはゆっくりしていって!』
成功
🔵🔵🔴
リーヴァルディ・カーライル
…支配者の趣味の悪さは上層も下層も大差無いようね
…さて。真っ当に真実を話しても信じて貰えない以上、出来る事は限られてくる
…とりあえず、避難の為の下準備だけでも済ませておきましょうか
UCを発動し自身の能力を一般人レベルまで抑えて体内に限界突破した魔力を溜め、
旅人を装い魂人達と交流を行い周囲の地形や避難経路の確認等を行い時間を潰すわ
…こんにちは、少し道を訪ねても良いかしら?
…挨拶がまだだったわね。私はリーヴァルディ
…生前、見れなかった色々な景色が見たくて旅をしているの
…この世界に来る前は結局、故郷から出る事は叶わなかったから
…この村の近くには海や森があるのね。良ければ道を教えて欲しいのだけど…。
●二人目
『ねぇねぇこことか素敵でしょ! ここで植えるお花はとっても綺麗に咲くの!』
嬉しそうに村の中を案内する魂人の村人に銀髪の少女は頷く。
白い壁に覆われた村。綺麗な街並みが広がり、街の至る所には花々が咲き誇るそこはまさに楽園。
「……支配者の趣味の悪さは上層も下層も大差無いようね」
銀色の髪を靡かせ、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)ははしゃぐ村人に聞こえないようにぽつり、呟く。
下層で数多の吸血鬼を狩ってきたリーヴァルディはダークセイヴァーの支配者と嘯く吸血鬼や闇の種族の行動を数多見てきた。
ゆえに彼女はグリモア猟兵からこの話を聞かずにこの村を訪れていたとしても、いずれこの村に来る結末を察していたかもしれない。
本当は真っ先に真実を話したいところだが……彼らは完全に上層を死後の楽園だと、そしてこの集落を管理する闇の種族を最高の領主だと勘違いしている。ここで
真逆の事を言えば不快に思った村人に追い出され目的が達成できなくなってしまう。
(「……とりあえず、避難の為の下準備だけでも済ませておきましょうか」)
歯がゆさをぐっとこらえ、リーヴァルディは布石を打つべく埒外の力を発動し――身に宿る力を封印する。
全てはこの村に闇の種族が訪れた時のために。
『ねぇねぇ、そういえばあなた――』
「……なに?」
埒外の力を発動すると、案内をしていた少女がリーヴァルディを振り返る。
(「……ユーベルコードを使ったのが分かったの?」)
『お名前なんていうの?』
ユーベルコードを利用していたことがバレたわけでは無いようだ。リーヴァルディは心の中でほっと胸を撫でおろす。
「……挨拶がまだだったわね。私はリーヴァルディ」
『リーヴァルディ、素敵な名前ね。あっ、私はカノン!よろしくね』
村人改めカノンはリーヴァルディに向けて弾けるような笑顔を向けた。
「……改めてカノン。この村の近くには海や森について、良ければ教えて欲しいわ」
『うーん、さっきお姉さんが入ってきたのは正門、海辺の方だったから教えるとしたら森の方かなぁ。正門から真っ直ぐ歩いていくと花畑が、そのまま突っ切れば森へと繋がる門、私たちは裏門って呼んでる扉があるの』
この村に入った時に正門から整備され、まっすぐ伸びていた道を思い出しリーヴァルディは頷く。
「……他に、森へ行く道はある?」
『無いよ。出入口はこの二か所。あとは周りは白い壁が建っているの。
怖い存在から身を護るためだって聞いたけどお外の景色が見えにくいのが難点かなぁ』
「……そう」
(「……随分逃げないように厳重にしているのね」)
『でもどうしてそんな事を聞くの?』
カノンの問いにリーヴァルディは目を逸らす。
「……生前、見れなかった色々な景色が見たくて旅をしているの。
……この世界に来る前は結局、故郷から出る事は叶わなかったから」
『そうだったの……』
リーヴァルディの話を聞いてカノンは言及を止めた。聞かれたくない事がある、それを察してのことだろう。
『……それならなおの事、森や海の話じゃなくてこの村の事を話したいわ! だって森や海は生前とあまり変わりが無い場所だもの。こっちのことをお話ししたいわ!』
「……そうね」
これ以上踏み込んだら怪しまれるだろうと判断したリーヴァルディは少女カノンの村の案内にしばし耳を傾ける事にしたのだった。
成功
🔵🔵🔴
風見・ケイ
(赤い瞳の螢になり旅人のふり)
――わざわざ案内してもらって悪いな
ああ、旅の途中なんだが海と白い町並みが気になってさ
あの黄色い実の木も可愛いし
レモンっつーのか……っ、たしかに、酸っぱいな……!
これがレモン2秒喰いの友達の家で、あの先がおまえんちか
(会話しながら避難経路と……スナイパーとして射線の確認は必須だ)
(この町で狙撃ポイントとはいかないだろうが、高所や身を隠せる箇所も覚えておく)
(こんな小さな集落でプライバシーなんて言葉はなく、道中話された各家と家族構成を結び付けて記憶する)
――よし、ありがとな
一人で廻るよりも楽しかった
これは……礼だ
(ポケットの中から取り出した飴玉やクッキーを少女に渡す)
●3人目
「――わざわざ案内してもらって悪いな」
『いいんだよ、そんな気にしないでくれよ!』
『ココには外から人が来ることあんまりないからさ、僕らしたくてやっているんだ!』
村の少年たちのそんな無邪気な声に風見・ケイ(星屑の夢・f14457)は薄く笑う。
『そういえばここにはなんで来たんだ?』
「ああ、旅の途中なんだが海と白い町並みが気になってさ」
『ははっ、確かにあんまりないよな。こんな白い家、俺もここに来てからはじめてみたもん!』
たまたまこの村の通りがかった旅人のフリをしてケイ――
螢は街の中を興味深そうに見るふりをしながら街の構造をつぶさに観察する。
(「街の高低差はあんまりないな。綺麗に整備されている。樽やら何やらは置いてあるから隠れる場所は多いが……」)
そう、彼女が訪れたのはただの観光に非ず。ここで起きる惨劇を防ぐべく下見に来たのだ。避難経路、そして狙撃ができる場所は見ておかないといけない。
そうこうしていると少年たちが家の脇に植えられている木から何かをもぎ取り、螢の前へと黄色き果実を差しだした。
『もんだいでーす! これはなんでしょう?』
「これは……なんだ?黄色い実の木も可愛いし」
『これはレモン! すっごく酸っぱいんだよ』
少年たちは螢もレモンを見たことが無いと思っているのだろう。質問と共にレモンを差し出すと食べてみてと催促する。
「レモンっつーのか……っ、たしかに、酸っぱいな……!」
『へへー引っかかったー!』
『やっぱり最初は驚くよね』
『俺なんてこれ2秒で食えちまうけどな!』
言われるがままに螢がレモンを齧り、その酸っぱさを認めるとその様を見て少年たちはへへへと笑う。
「おいおい大人をからかうもんじゃないぞ……。
というか勝手に採って大丈夫だったのか?」
『大丈夫、これ僕の家のだから』
『ちなみに俺は隣の家だ!』
「なるほどね……ここがお前の家で、あの先がレモン2秒喰いの家か」
『なんだよそのあだ名!?』
螢は二人の家――そして周りの家をじっくりと見比べる。
どの家も多少の差はあれど平屋の一階建て。しかし、このレモンの木がある少年の家は裕福なのか、それともこの村を管理している者だからなのか2階建てとなっていた。
(「狙撃するとしたらここか……村の真ん中の広場にある鐘塔か」)
場所は限られる。高所よりは平地での戦いが増えるかもな……などと考えていると少年たちが不思議そうに螢の顔を覗き込む。
『おねーさん?』『どうしたんだ?』
「ああいや……ここはスゲーとこだなって」
『だろー?』
「っと、ここが家ならもう帰った方がいいだろ。今日はありがとな、一人で廻るより楽しかった」
『どうしたしまして』
『俺らも暇潰せて楽しかった!』
螢はポケットを漁ると取り出したるは色とりどり飴玉とクッキーを少年たちへと差しだす。
「これは……礼だ」
『うわっ、良いのか?』
『こんなにたくさん……!』
子供心をくすぐるその色とりどりの菓子を前に、少年たちは喜色の声を上げる。
「ああ。全部食べてくれ」
『ありがとう!』『領主様が来るまで食べようぜー!』
そう言って少年たちは自宅が目の前にあるというのに、どこかへと走り去っていった。
「子供は元気だな。さて……」
独り言ちると螢は空を見上げた。
空は来た時と変わらず暗く、太陽代わりの赤い大樹が空を覆う。
しかし、何かが来るのを告げるように、黒い雲が訪れようとした。
成功
🔵🔵🔴
スカーレット・ブラックモア
【傭兵】WIZ
ダークセイヴァーは故郷だが…今まで見ていたのは空ですらなかったとはな
上層に到達したからと言ってやるべきは大きく変わらん
『奴ら』を屠り、虐げられる魂を可能な限り救う
それだけだ
…で、村に馴染みつつ環境の聞き込みと選択UCを駆使し避難経路の調査中
そろそろ腐れ縁になりつつあるルナ(f04792)と遭遇
しかも状況を確認する前に村人と遭遇
不味い、ここで下手に発言すればボロが…
(友達と呼ばれてすごく不服そうな顔で)「…ああ」
実力は認めているが抜けた所がある
やらかして後の作戦に影響を与えないか心配…もういいそれ以上はベラベラ喋るな!
違和感を気取られない程度に静止したが以後も同行して見張るか
ルナ・クレシェント
【傭兵】SPD
「ダークセイヴァーにも一応ちゃんと景色ってあるんですね。内実はともかくとして」
上層に初めて着いての感想。
そこまで感慨もないため、そのまま避難経路の検討のため森の中に移動
「正直な話、こういう事を考えるのは苦手なんですけど……あっ、こことか襲いやすそうですね」
茂みの位置など先手を取られそうな警戒地点の洗い出しを行う。本人は避難経路確認のつもり
その後は集落の状況の確認のために集落へ移動したところで知り合いのスカーレット(f00474)と遭遇
「友達です!」
村人と遭遇した際には、不審がられないためにも自分の立場を説明
割と事実だと思っているので、やましいことは無いと自信満々に胸を張っている
●4人目、5人目
『ここが村の中心地。鐘塔とその周辺に花畑が整備されているから分かりやすいだろう?』
村人。魂人の青年が今しがた海側の正門より訪れた旅人へと村を案内する。
案内された青年、スカーレット・ブラックモア(異邦神狩り受ける執行人・f00474)はほうと驚く。
「見事なのだ。今まで見たことが無い位に……ここからまっすぐ行くとどこへ続いているのだ?」
『まっすぐ行けば森へと至る門へと繋がっているんだ。特に何もないけど行ってみる?』
「折角だ、村の隅々まで見せてくれ」
分かった、と言った魂人の青年が後ろを向いた隙を突き、スカーレットは
ユーベルコードを発動させ、召喚されたブリキたちを町の方々へと放つ。
(「これで細かい場所も見る事ができる」)
息をつくとスカーレットの視界にふと空が入った。
「しかし…今まで見ていたのは空ですらなかったとはな」
目の前に広がるは紅い大樹のような枝が伸びる暗き空。下層とは違いその木のおかげで多少は明るいように見えるが、それでも禍々しさを増すのみである。
この空を見ても彼らはこの村を天国と呼ぶ。
(「私も猟兵にならねば空に違和感を感じ無かったのだろうか」)
しかし、猟兵であろうと無かろうと彼のやる事は変わらなかっただろう。
奴らを屠り、虐げられる者を救い続ける。それが魔を退けるブラックモアの生まれた者の定めなのだから。
『ん、あれ……?森の方から誰か来るぞ』
「なんだと……って、あれは……」
青年の驚いた声に反応し視線をそちらへと向けるスカーレット。
その誰かが誰が分かった瞬間――見る間に表情が変わっていった。
●
ほぼ同時刻。村周辺の森の中。
うっそうと覆い茂る木々を避けながら歩く少女が一人。
「ダークセイヴァーにも一応ちゃんと景色ってあるんですね。内実はともかくとして」
少女、ルナ・クレシェント(人間の戦場傭兵・f04792)は空を見てそう独り言ちると再び意識を森の方へと向けた。
ルナはダークセイヴァー出身でもないためそこまで感慨もない。しかし受けた依頼はしっかりとこなす真面目な少女だ。
「あっ、この木苺美味しいそう。食べちゃいましょう」
オレンジ色に色づいた木苺を口に運びながら森の中を歩けばやがて道へと行きあたった。
最初は獣道だったそれは歩を進める毎に綺麗に整備されて、やがて低木の樹木が脇を彩るようになっていく。
「うーん、木苺もそうですがこの道の周りは低木が多いですね。あっ、こことか襲いやすそうですね」
村から脱出した際に警戒すべき点を洗い出しながら歩く事数分。
「んっ……ここが終着点ですね」
そうして辿り着いたのは白い壁をぽっかりくりぬいた様な門だ。
「それでは中も見てみましょう」
森側はみたが村には何個門があるのか、避難経路はどうするべきなのか分かっていない。それも調査すべきだろう。
ルナは最後の木苺を口に納め、門をゆっくりと開いた。
●
スカーレットはルナの手を取ると少し離れた場所へ移動し……
「な・ん・で・ここにいるんだ!!」
「なんでって……依頼だから?」
小声で思いっきり詰め寄った。
スカーレットとルナの初めての出会いは銀の雨が降る世界、2回目はこの世界。そしてこれで3回目の邂逅。声を掛け合ったわけでもないのにこうも出会うともはや腐れ縁と言っても差し支えなくない。
故にスカーレットはルナの事をよーく、よーく知っているのだ。
『ん、スカーレットさん、その方は?』
興味津々といった目で見る村人にスカーレットは焦る。
ここで下手に発言すればボロが出る、と。
頭の中でぐるぐると考えるスカーレットと対称的にルナは、
「友達です!」
と言い切った。
『へー友達なんだ。待ち合わせしていたの』
「いいえ、今回は本当にたまたまなんですよ。ね?スカーレットさん」
「……ああ」
割と事実で、嘘はついてないと分かる表情でいうものだから村の人たちも納得したようで。
それに対してスカーレットも渋々ながら同意することにした。友達ならばヘタに否定するより怪しまれることは無いだろうと。
『二人とも別々に旅をしているのにまた出会んだな。運命だ……』
「ああいえ、これは依頼で……」
「わーっ、馬鹿!」
一人納得しようとしていた青年にルナは真の目的を述べようとしたのでスカーレットは慌ててルナの口を塞ぐ。
「そ、そう。たまたま。運命なのやもしれぬなハハハハ」
「むー?」
「な、なので君! 以降は私『たち』の案内をよろしく頼む!」
やはり彼女を放っておけば後の作戦に影響を与えないか心配だから見守ることにする。
そんな名目でスカーレットとルナは村の名所(と避難経路)を見て回ったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『南瓜頭の王様『ジャック』』
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POW : ようこそ客人!歓迎するぜぇ!
戦場全体に、【幸せな幻を見せながら体力を奪う炎】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD : 楽しいだろぉ?
対象に【恐怖心を搔き立てながら追いかける『何か』】の幻影を纏わせる。対象を見て【怒りや恐怖】を感じた者は、克服するまでユーベルコード使用不可。
WIZ : 誰かこの者の首を刎ねよ…やがれ!
自身が【怒りや不快な思い】を感じると、レベル×1体の【体の一部が欠損した騎士】が召喚される。体の一部が欠損した騎士は怒りや不快な思いを与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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●ようこそ
楽園へ!
村の中心に聳え立つ釣鐘塔の鐘が鳴り響く。
普段は決まった時間にしかならないが此度はそのどれにも当てはまらない。
--領主様がいらっしゃった!
誰かが喜色を含んだ声で声を発せば、村人は各々が行っていた作業を中断し釣鐘塔へと向かう。
そこにいたのは鎧に身を包んだ兵士たちの集団。鎧に刻まれた傷が彼らが歴戦の猛者であることを物語っていた。
……もっとも、彼らはそれぞれ体のどこかしらの部位を失っていたわけだが。
「おー出迎えご苦労」
兵士の集団を割るように登場したのは南瓜頭の男だ。彼が登場したことで村人たちの喜びの声は最高潮に。
「ひーふーみ……なんだ、聞いてたのより数増えてね?」
「領主様、只今旅人が何人かいらっしゃってるんですよ!」
「へぇ、だからか。丁度いいや。客人、おまえらも歓迎するぞ」
次の瞬間、村の至る所より炎が巻き上がった。
突如吹き上がった火の手に村人たちは悲鳴を上げ、ある者は逃げようと正門へ、ある者は火を消そうと井戸へと向かおうとしたが……それは火の手と南瓜頭の男の配下によって行く手を塞がれた。
「塩派は塩は海から、檸檬は適当にその辺りからもぎ取って来い。タレ派はアイツらが丸焼けになる前にさっさと
タレを確保しとけ。
……企画立案指示俺、実務配下。ここまで仕上げるのに何年掛かった忘れたが、まぁいいや。
……お前ら! 俺様主催のバーベキュー、心ゆくまで楽しめよ!」
目の前で起こっている事への対処とは思えない指示を兵士たちへと命ずると、男――『南瓜頭の王様『ジャック』』は南瓜の奥で燃える青い目を嬉しそうに細めた。
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●
2章、ボス戦です。
とはいえボスはとても強いので救助をしながら彼と戦うと痛い目を見る事になります。
そのためこの章はボスを倒すか彼の攻撃を適当にいなしながら村人の救助と避難を行うどちらかとなります。
●村の状況
村は至る所から火が上がっており、地獄と呼ぶべき状況となっております。また、この炎はじわじわと村人の体力を奪っていきますので長居させればさせる程避難が難しくなります。
猟兵が先ほど見つけた避難経路は多少火の手が上がっている位で、走って逃げるには問題ないようです。が、炎と敵のユーベルコードは容赦なく猟兵達へと襲い掛かるでしょう。
村人は大体は広間に集まっている設定ですが、一部の人は家の中にいたり孤立してしまっているという事にして彼らを助けるプレイングをかけても問題ありません。
●ジャックを倒す
👑達成できる段階で参加者の半数以上でジャックを倒すことに注力する旨をプレイング内で記載されていればジャックを倒す方向で尽力します。が、必ず倒せるものでもなく、彼を倒せようと倒せまいと村人のほとんどは死んでしまいます。
リーヴァルディ・カーライル
…カノン、裏門から脱出するわ。私の傍を離れないで
大丈夫。この程度の修羅場なら何度も経験しているから
【血の鎖錠】を解放し自身の強化を行いつつUC発動
「演算、御使い、飛翔、岩肌、狂気避け、盾、破魔、軍略、火避け」の呪詛を付与
…落ち着いて。この盾が貴方達を護ってくれる
…殿は私が努めるわ。後ろを振り返らずに、前だけ見て走りなさい
●火炎耐性と●狂気耐性を付与した●破魔の●オーラで防御する浮遊盾を形成し、
●空中戦機動の早業で●団体行動を行う無数の浮遊盾で味方や魂人達を●かばい、
敵の攻撃を●瞬間思考力で見切り魔力を溜めた●盾で受け流しつつ裏門から脱出を試みる
…私達がいる限り、お前の好きにはさせない
●グリルの上にようこそ!~一皿目
『あっ』
少女、カノンは今しがた起きたことについていけず固まっていた。
「…カノン、裏門から脱出するわ。私の傍を離れないで」
リーヴァルディはカノンたちの元へ駆けよると、先ほどまで押さえつけていた力を解放しはじめる。
『で、でも村が……』
「……ここはもう住めない。それは分かるでしょう?」
目の前で起こった火の手に、領主につきつけらた自分たちの
宿命。
仮に今この領主を討ちとっても、別の闇の種族に目を付けれればあっという間に同じ道を辿ることになる。
沈黙するカノンを横目にリーヴァルディはユーベルコード『
吸血鬼狩りの業・千変の型』を発動させ、一瞬より速いスピードで白から黒いドレスへと姿を変えた。
それと同時に村人たちの前に真白き盾が現れた。いきなり現れたそれに村人たちが小さな悲鳴を上げたが、
「……落ち着いて。この盾が貴方達を護ってくれる。あなた達は先に逃げて」
『で、でもアンタは……』
「大丈夫。この程度の修羅場なら何度も経験しているから」
リーヴァルディの静かな声に諭されると村人たちはゆっくりとだが裏門へと駆けていく。
一度に人が集中するよりもゆっくりとの方が安全だろう。
『そんな簡単に逃すと思ったか?』
――避難を目の前の領主が許せばの話だが。
南瓜頭の男が笑いながら指を鳴らすと、陽炎の如きソレが形作り――やがて典型的な姿の吸血鬼が出現し……リーヴァルディへと襲い掛かった!
(「今更こんなもので……」)
その幻影をリーヴァルディは臆する事もなく、手にする剣であっさりと斬り伏せた。
「……こんな子供騙しの技しか使えないなら闇の種族も大したことない」
『いやいやおじょーさんこれは余興だよ、余興。マジになってどうするの?』
あっさり消えたその幻影に正直拍子抜けしながら問えば答えは後方から聞こえた。
『きゃあっ!』
後方を振り向けば、火の手が上がった建造物が崩れ落ち、その残骸に一人の少女――カノンが巻き込まれようとしている!
『肉が焼けるまでの余興』
「――っ!」
そんなジャックの声を最後まで聞かずにリーヴァルディは翔ける。
『あっああ……』
そして崩れ焼け落ちた家屋が彼女に襲い掛かる。
カノンの目の前には煌々と燃え輝く材木が降ってきたのに反射でぎゅっと目を瞑る。
「……無事?」
上から降ってくる声に恐る恐る目を開けば、そこには無表情ながらカノンを心配するリーヴァルディの顔が。
『う、うん』
「……よかった」
リーヴァルディはほっと安堵の声を上げると抱きかかえていたカノンを降ろし、改めて避難するように指示する。
『はぁ~間に合っちまったか。つまんね……でもどうするよお嬢ちゃん。ここにいる奴ら全員助ける気か? 無謀だろ』
後方から聞こえた気が抜けた男の声に、紅い目を領主たちへと向ける。
リーヴァルディとしては決して無謀だと思っていない。が、無謀だろうと、決して辞めるつもりはない。
「……私達がいる限り、お前の好きにはさせない」
吸血鬼を穿つ刃なのだから。
成功
🔵🔵🔴
風見・ケイ
塩にタレにレモンね……いい趣味してやがるな
それだけ仕込みに時間をかけたならその南瓜頭も焼いてやる、と言いたいところだがそうもいかない
広間から逃げようとしている連中に、裏門から森へ逃げるよう誘導する
事前に確認した避難経路を利用しつつ、樽等の影からLilyで追手を牽制
UC発動
村人に襲い掛からんとする炎を撃ち、それ以上の炎(属性攻撃)で打ち消す
幻影は幻影だ
視えた未来でも纏わりつくだけで何も出来やしないし、狙撃手が感情に左右されることはない
例えそれがガキの頃に観た映画のピエロだろうとな
――行くぞ2秒喰い
森に辿り着いたらまた飴をやるよ
大丈夫、絶対に家族に会わせてやる
……これで恐怖なんて抱くわけないだろが
●グリルの上にようこそ!~二皿目
『どうしよう、どうしよう……!』
いきなり宣告された火の手、そして自身の役割に慌てふためく住民。
「落ち着け、アンタらも森の方へ避難しろ。支援は私がやる」
その中で同じく困惑していた少年たちに向け螢は告げる。
『で、でも
……!」』
「大丈夫だ」
少年二人の頭を撫でれば、彼らは頷き他の住民と共に避難していく。
「さて、仕事だ」
螢は事前に見ておいた2階建ての家の屋上にポジションニング。
「しかし、塩にタレにレモンね……いい趣味してやがるな」
焼けた臭いに混じる磯の香りを感じながら
Lilyを手に取った。
数年かけて仕込みんだと豪語した南瓜頭の男へ銃口を向けるも、それも一瞬。
(「アレに構っていられるほど時間は無い」)
相棒に弾丸を込め、構える。
冷静に、慎重に。住人に襲い掛かる騎士たちと炎に向けて込めた弾を穿つ。
目標へと綺麗に弾が当たれば紫の炎が立ち上り騎士と、そして炎を瞬く間に飲み込んでいく!
『はぁーん? 狙撃手なんていんのか。炙り出したる』
南瓜頭の男が避難する群衆へ錫杖を振りかざすと、そこに何かが現れる。
『ヒッ!?』
突如現れたのはピエロだった。白塗りの顔に涙のペイントをした顔には不気味な笑顔。上半身を大きく、下半身を細く見せる奇抜な黄色い服。右手に持つは風船、左手には――血塗れた斧。
ピエロを見たことが無い少年にとってそれはとても未知にして恐怖の煽ったのか、二人の少年は体をこわばらせ足を止めてしまう。
(「あれは、懐かしいと言えばいいのか」)
幻影の正体は『ケイ』が幼い頃見た映画に出てきたピエロだった。
幼い頃のトラウマというのはいつまで経っても消えない物か。しかし、体の主人格である『ケイ』にとっては恐怖を煽る物でも、『ケイ』にとってはなんてことはない、作り込みが甘いピエロでしかない。
『GYAAKYAKYAKYAERWAGRGFH
!!!!』
『ひぃぃぃぃぃぃ!』
狂った雄たけびを上げながらピエロが少年たちへと襲い掛かれば彼らはその場にへ垂れ込んでしまう!
そして血まみれの斧が彼らの脳天を砕こうとするその瞬間。寸分の狂いなく炎の弾丸がピエロの眉間へと撃ち込まれ、ピエロは紫の炎の中へと飲み込まれていく!
互いを抱きしめる形でその場にへたり込む少年たち。螢は彼らの前に立つと腕を取り駆け出した。
「――行くぞ2秒喰い。森に辿り着いたらまた飴をやるよ」
『で、でも母ちゃんが!』
『お父さんがいないんです……!』
「大丈夫、絶対に家族に会わせてやる」
『……本当?』
「本当だ、任せろ」
『……うん』『……分かった』
弱々しいか細い声と共に螢の握る手の力が強くなった。
辺りはまだ一面炎が立ち村人の悲鳴が上がる。まだまだ避難の手は必要だろう。
しかしケイの心に焦りも恐怖もなかった。
他の猟兵達も避難に動いていることは先のポジションニングの時に見て取れた。彼らがいれば被害は最小限に抑えられると信じて。
そして恐怖は――。
(「……これで恐怖なんて抱くわけないだろが」)
幼いころの彼女の怖かったものが見えたけれど、小さなあたたかな手が過去を否定する。囚われてる場合ではない、と。
ケイは少年たちの手を握る力をほんの少しだけ、強めた。
大成功
🔵🔵🔵
臥待・夏報
労働のストレスを与えないことで肉質が良くなるのかな……?
ま、考えたってしょうがないや
避難に集中
幸薄そうな新入りのキャラ設定で演技を続けるよ
すみません!
さっき森のほうで変な声がして!
私どうしても怖くって……皆さん、一緒に来ていただけませんか?
この人たちは善良だ
だからこそ
弱そうな奴が助けを求めてきたら手を貸そうとするはずだ
自分が幸福な幻のなかにいたとしても……ね
逃げ足、時間稼ぎ、呪詛耐性なら多少自信あるから
カボチャ頭の攻撃はできるだけ僕が受けよう
なんなら悲鳴をあげてもいい、「か弱い乙女」のイメージ作りに利用させてもらうよ
天気予報は嘘ばかり
この場に居る全員に、本来の臥待夏報に関する記憶は必要ないんだ
●
気が付くと花畑の真ん中でパーティーを開かれていた。
『あれ、私』
さっきまで、炎に――
いいや、考えなくてもいいよね。だって目の前には優しい村の人たちは美味しいパンを持ってきてくれる。とってもふわふわなパンなの。
おなか一杯になったら眠くなってきたから、お行儀が悪いけどこのまま温かい木漏れ日の下で……
「……さん、――さん!」
—―アリシアさん!
縋るような声が私が見ていた
幻想を打ち壊した。
「大丈夫ですか!?」
『あ、あなた。先に逃げてろって言ったのに……』
炎に包まれた村の中で心配そうに目を合わせる女にアリシアは目をこすり立ち上がる。
先程見ていた夢から脱出した余波か、まだぼんやりしているアリシアに女性は堰き止めていた言葉を一気に発する。
「さっき森の方に行ったら変な声がして!
私どうしても怖くって……皆さん、一緒に来ていただけませんか!?」
『分かったわ……一人だと、心細いものね』
そうつぶやくとアリシアと村人たちは立ち上がる。
先の幻影の影響か、炎のせいかふらつく村人もいたが、一人ひとり森へと歩を進めていく。貴女も一緒に、とアリシアが振り向くと――
『どうしたの……?』
「……すいません、私他の人が逃げ遅れていないか確認してから行きます」
そう言い残すとアリシアが声をかけるより早く、彼女は中心部へと駆けていった。
『はぁ~? あれ壊したんだ?』
花畑があった中心部は既に炎に包まれ、色とりどりの花々は全て
単色に染まりきっている。そんな 村の中心部、炎の中で嗤う南瓜頭の男に相対するは幸薄そうな女性――夏報。
「……あの人たちは、良い人です、から」
絞り出すように声を紡ぐ。既に演技をする必要はないとはいえ、本来の夏報を教える意味は全くないから。
しかし、彼女の口から発せられる村人への評価は真である。自分たちも生前悲惨な結末を迎えたであろうに、否、迎えたからこそこうして訪れた旅人にも優しく手を伸ばす彼女たちはこの男が放った幸せな幻に打ち勝ち楽園から離れていった。
『で、お前は何のために来たの? 肉になるためなら歓迎だけど?』
「……一つだけ聞きたいんですが……」
『んだよ』
めんどくさそうに、しかし律義に質問に答える意志が見える男に夏報は疑問を投げかける。
「労働のストレスを与えないことで肉質が良くなるの……?」
『知らねーの? ストレスにも色々あるが、恐怖の類は肉質悪くすんだよ。
それは死ぬときも同じだ。屠殺んときは恐怖を感じる前に一気にやるか何も知らねー間に殺るんだよ』
「なるほど」
納得がいった夏報に男は王勺を振りかざす。
『って事でストレスフリーな肉育てたのに逃げられそうで腹立ってのんよ。一頭くらい確保しねーと大赤字もいいとこなんだわ。肉になってくれや』
そう言い切ると男を中心に炎の壁が形成された。
灼熱の炎、見える幻影。息のし辛さを感じつつも、夏報の心は凪いだまま。
「今日は雨が降りそうだね」
空を見、そう独り言をつぶやいて夏報はか弱い乙女を演じるべく男に背を向け、逃げ惑う。
少しくらい情けなく弱さを見せてもいいだろう。
この炎によって生み出される陽炎の様に、彼女は
か弱いの乙女ではないのだから。
大成功
🔵🔵🔵
スカーレット・ブラックモア
【傭兵】WIZ
アドリブ◎
できれば始末してやりたいが…この状況では下策か
ルナと連携し逃げ遅れた住民達の救助を行う
予定にない合流とはいえ何度か共闘した事はあるので慣れたもの
「足止めは…する。お前はその間に民家から逃げ遅れた人達を連れて来い!」
『サルベージ・ナイトルーク』で侵攻を塞ぐように城塞を召喚
死霊騎士には配下の始末を任せ、ジャック自身は攪乱と足止めに留める
(奴の感情によって配下が増えるのか…では下手に触らない方が吉だな)
遅滞戦闘にケチ→「お前が怖いから」と心に無い言葉で煽て配下の増殖を抑える
「最後は兎も角ここはよくやったと言っておこう」
ルナと合流後騎馬に自分達を拾わせて裏口から森へ避難
ルナ・クレシェント
【傭兵】WIZ
「適所適材……とは言い難いですが、任されました!」
最初は自分がジャックの気を引く気でいたものの、スカーレットの召喚した城塞を見て意図を察する
「新月!追跡とは違うんですが、力を貸してくれますか!?」
「早く逃げますよ!幸い頼もしい友達がアレの足止めをしてくれてますし、逃走手段を用意してくれているはずです!」
『朔望の精霊:欠』を発動。精霊を呼び出し、民家の中にいる住民の追跡という形で住民を探し出してもらいながら、自力でも捜索
住民を見つけたらスカーレットの元へと案内する
「連れてきましたよ!ところで逃走手段ってちゃんとありますよね?道のことしか考えてなくて私何の準備もしてないんです!」
●グリルの上にようこそ!~四皿目・五皿目
避難が順調に進めば進む程、ヘラヘラしていた南瓜頭も不機嫌になり……遂に堪忍袋の緒が切れた。
『お前ら、そうやすやすと逃がしてんじゃねぇぞ!』
ジャックがぱちんと指を鳴らせば現れるは十人の騎士達。
先に引き連れてきた者と同じように全員がどこかの体の部位を失っているが、彼らから発せられる戦闘力と威圧は下手な一般兵よりも上だろう。
「増えますか……!」
先に合流したスカーレットともに避難を進めていたルナから焦りの声が漏れる。
避難はほぼ終わり、あと海側の家屋に逃げ遅れた人がいないかを見るだけだというタイミングでの増援。
このまま逃げるか、引き付けるか。
そんな物は既に決まっていた。
「ここは私が――」
「……ルナ、ここは俺に任せろ」
スカーレットの言葉と共に大きな城塞が立ち上がり、海側の通路にいたルナと広場にいたスカーレットを分断する。
「まさか……一人でですか!?」
城塞越しに、ルナが驚きの声を上げる。
「足止めは……する。お前はその間に民家から逃げ遅れた人達を連れて来い!」
「適所適材……とは言い難いですが、任されました!」
城砦と共に現れた馬の嘶きを背にルナは燃え盛る街へと駆ける。
●
海側の家屋は既に炎に浸食され白かった家屋も今や煤によって真っ黒に染め上げられていた。
家屋は五軒も無いが時間が惜しい。ルナが黒の二丁拳銃の銃口を空へ向けて発砲すれば銃口からは銃弾ではなく朧げな人間の形を持つ精霊――新月が姿を現した。
「新月! 追跡とは違うんですが、力を貸してくれますか!?」
新月と呼ばれた精霊はルナの声に応え、耳を澄ませるように静止。一瞬後、崩れ落ちた家屋の元へと移動する。
『うっ……』
「大丈夫ですか!?」
ルナが慌てて青年の上に乗っていた瓦礫をどかす。青年はしばし身じろぎだけしかできなかったが、やがてよろよろと立ち上がった。
『他の皆は……』
「避難されました。あなたも一緒に行きましょう!」
励ます様に声をかけ、男に肩を貸しながらルナは迂回しながら森へと続く道へと急ぐのだった。
●
馬に騎乗する騎士が剣を振り上げる。受け止めた衝撃でバランスを崩し地に倒れ伏した男の胸を軍馬の蹄が鎧もろとも踏み砕く。
スカーレットが召喚した騎乗した死霊騎士ははまさに一騎当千の動きでジャックの配下を確実に仕留めていった。
死霊騎士と跨る馬が肢体欠損する騎士たちを蹂躙し、圧勝するかに見えた、が。
『あっちは2でこっちは10……9か? 力で負けてても数で勝ってんだ。馬から仕留めろ!』
ジャックが命令を飛ばすと騎士たちの行動が変わる。弓兵が矢を番い、弓兵に近づけさせないよう前衛の兵が壁となる。統制の取れた行動はそれまで圧倒していた死霊騎士と拮抗していく。
ここにジャックが加勢すれば死霊騎士たちも危うかったであろう。
「よそ見してる場合であるか?」
『してねーし!』
しかしそれは鎌状の拷問具を駆使しジャックを釘付けにするスカーレットの猛攻によって阻まれていた。
だが、それも長くは持たない。それはお返しにとばかりに放たれた炎の魔法をギリギリで回避したスカーレット自身が身をもってひしひしと実感していた。
(「かくなるうえは……」)
一瞬浮かんだそれは後方、森側の通路から出てきた2人の影によって打ち消される。
「連れてきました、これで全員です!!」
「よくやった!」
森側から来た一人――ルナの声にスカーレットはにっと笑うと死霊騎士を呼び寄せると自身を、そしてもう一頭にそのまま彼女たちを騎乗させると森へと繋がる山門へと一目散に駆けていく!
『逃がすな!』
背後から怒号と共に矢が飛んでくるがそれは死霊騎士達が操る馬の速さにはついていけず。それらを置いてけぼりにしてスカーレットとルナ、元村人の青年は暗い森の奥へと姿を消したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
●グリルの上にようこそ!~祭りの後
炎が煌々と燃え盛る。かつての楽園は今や煉獄が如き様相と成り家屋を、檸檬の木を、空気を焦がしてゆく。
「はぁ~~~~~~~
????? 全員逃がしたのかよ!! お前ら何やってたワケ!? 案山子か!?」
街の中心であった場所で苛立ちを隠さずに南瓜頭の男が目の前に集まった騎士達へ怒りの声を上げる。
『面目ありません』
『家屋の下敷きになっている者もおりませんでした。先ほど我々に歯向かってきた猟兵のせいかと』
『いかがいたしますか、陛下』
男は一つ深いため息をつくと、ゆっくりと森側の道を指さした。
「……一人一頭は連れてこい。連れ来なかった奴は焼肉の肉にしてやる」
先とは違う底冷えする声に騎士たちは慌てて森に至る道へと進んでいく。
「はぁ~」
南瓜頭の男と騎士一人残し誰もいなくなると、男はどこからかマシュマロを取り出し枝に刺すと近くで燃え盛る炎に近づけた。
「……馬鹿な奴らだ。ここで死んでた方が楽だったろうによ」
そうこうしている間にマシュマロが焼けたので口元に近づけてから男はふと大事なことに気付いた。
「ヤベ、俺様頭無いから肉も何も食えねぇんだったわ」
第3章 冒険
『無形の追跡者』
|
POW : 真っ向から立ち向かう
SPD : 攻撃を身軽に回避し、反撃する
WIZ : 周囲にあるものを使って臨機応変に対処する
|
●楽園の外に待つものは
村が燃える熱を背に猟兵と"元"村人は森を進む。
森は奥に行けば行くほど暗く道は無く、そして地形も複雑になっていく。
このまま奥の奥へ進んでいけば魂人達が安心して暮らせる拠点となるべき場所があるかもしれない。
「これからどうすればいいんだろう……」
「新しい村を作るにしても……またあの頃に戻れるのか……?」
元村人――魂人が不安げに呟く。
楽園で暮らしを知ってしまった彼らが前世のような生活に戻るのはかなりの痛みを伴うだろう。
しかし、生きてもらわなければ。そうでなければ猟兵たちが命を賭して助けた意味が無くなってしまう。
「――いたぞ、追え!」
彼らに新しい人生を送ってもらうためにも――まずは遥か後ろで叫ぶ
体の一部が欠損した騎士達をどうにかしなければ。
風見・ケイ
あたたかい楽園
管理された牧場
後者だけが現実だったわけじゃない
たとえこの先に安全な場所があったとしても
そこには色とりどりな花も、レモンの木も、ふかふかなパンもないだろうな
それでも
死んでも、死んでも、食い物にされ続けるというなら
――なんて、俺のエゴだな
残りの飴玉も菓子も、元村人達に手渡して先を促す
遥か後ろの追手に向き直ると同時に兵器を召喚
蛍光色のプラスチックみたいな銃には、大きく丸いゴムのような弾が装填されている
地形と木々を利用して
跳弾させろってか
ははは……ま、跳弾もスナイパーの嗜みってことにしとこうか
木に登り、あるいは木の影に潜み
奴らが仕事をこなせるように、奴ら自身を肉にしてやるさ
●
『ねぇ、僕らどうなっちゃうの?』
『帰れるだろ……?』
暗い暗い森の中、二人の少年が泣きそうな声で大人たちに問う。
それに答えられる大人はいない。大人たちは下層で身をもってつらい経験をしてきたからこれから待つ生活も想像できたし耐えれる事が出来よう。
しかし、この少年たちはそんな経験をほぼすることなくここに来た者たち。これから待ち受ける未経験な生活に不安を隠すことができない。
「――楽園は消えた。この先の生活はおそらく色とりどりの花も、レモンの木も、ふかふかのパンも無い」
『そんな……』
『ねぇ、嫌だよ。……怖いよぉ』
言葉を聞いて少年たちは泣き出したに。
ほぼ未経験であろう貧しい生活と――死への恐怖。
「でも全部なくなったわけじゃないだろ。親も、お前らを知ってる人はみんないる」
だからそんなに不安がるなと、螢は少年たちを慰めた。
一方で。
死んで、死んで。また別の生を別の場所で歩んで。それでも食い物にされるづけるというのなら――
『おい、いたか?』
『いや……』
遠くで微かに聞こえる声に彼女は言葉を紡ぐのを止めた。
(「なんて、俺のエゴだな」)
この先を決めるのは彼ら自身。ひとまずは彼らが後悔が無い選択をするための考える時間と場所を確保せねば。
螢はユーベルコード『
がらくた集め』を発動させ武器を召喚する。
現れたのは蛍光色の派手な銃。素人が見ても作りが稚拙なそれは誰が見ても殺傷能力が無いおもちゃだと見て取れるだろう。
(『そんなおもちゃみたいな武器で何が……』)
不安げな少年たちの表情に気付いた螢はポケットからお菓子を取り出し渡すと。
「……まぁ見てな?」
ふっと笑い、そのまま音もなく姿を消した。
『……』
二人の少年は螢が消えた所をじっと見つめ、両手に溢れんばかりに渡されたお菓子と飴をぎゅ、っと握りしめた。
「さぁて行きますか」
木の上を伝い移動した螢は銃を構える。
先に召喚した銃に装填されている弾はゴム。銃身自体もプラスチックでできており、もし実弾を入れて撃とうものなら引き金を引いた瞬間にその場で爆発してしまう位やわな物だ。
殺傷能力はほぼ皆無。
だが螢の瞳には焦りも不安も何一つない。
優秀な戦士というのは武器を選ばない。
精神を研ぎ澄まし――数秒後、騎士のいる方向から大きく外れた方向へと引き金を引いた。
ぱぁん。と軽い音が響いた。その音に気付いた騎士が螢が身を隠す方向へと体を向けるのと、騎士が被る兜と鎧の隙間――項にゴム弾が当たったのはほぼ同時だった。
騎士は声を上げる事もなく、急所を抉られて音もなく倒れこんだ。
いくらゴム弾とはいえ急所に入ればただでは済まない。少なくとも魂人の逃げる間動くことはできない。
その様子を見て螢は音もなく安堵の息を漏らす。
「跳弾もスナイパーの嗜み……ってとこさ」
そうして螢は次の獲物を狙うべく森の闇へと溶けていった。
大成功
🔵🔵🔵
臥待・夏報
【真の姿:セーラー服の少女】
か弱い乙女って設定なら
あのまま炎に巻かれて死んだことにするのが自然だろ
十年後の僕いっつも焼死してんな
……ここから先は『僕』の出番
カボチャ頭に比べたら追手の騎士どもは比較的雑魚だな
真っ向から暴力で対抗する
森で腐った木とか拾って、使い捨てながらとにかく力任せに殴る
別に人助けじゃないぞ
今ちょっと誰かを殴りたい気分なだけ
あの頃に戻れるのか?
まずその性根が気持ち悪いよ
あの
牧場は燃えて灰に
お前らの
日常は昨日になってお終いなんだ
わかるか?
地上に楽園なんてある訳ねえっつってんだよ!
何こっち見てんだ
走れ馬鹿
お前らが行くべき場所はこっちじゃないぞ
●
ガンガンガンと、鈍い音が暗い森の中に響き渡る。
『な、なに……?』
その音に引き付けられていく様に。魂人の少女、アリシアがおそるおそる音の発生源へと近づいていく。
「……何見てんだよ」
音の発生源。そこには原形を留めないほどに変形し、真っ赤に変色した鎧を着る騎士が倒れ伏し、その前には同じく赤く変色した腐木を持ったセーラー服の少女がいた。
『これ、あなたが――』
「人助けとかじゃないから。ただ殴りたかっただけ。で、お前はなんでこんなところにいんだよ。一人で歩く場所じゃねーぞ」
自分だってこんな森の奥にいる格好ではないというのにその事は棚に上げ、セーラー服の少女はアリシアへと問うた。
『……村が焼けたから今逃げている所なの。
ここは危険よ、ねぇ一緒に森の奥へ』
「行かない」
『でも危険よ。一緒に行きましょ? 今は何も無いけれど、皆で頑張ればあの村みたいに美味しいパンも食べられるようになるわ……』
「――あの頃に戻れるのか? まずその性根が気持ち悪いよ」
アリシアの夢に少女はばっさりと切り捨てた。
あの村の生活は全ては
この日のため。だからこそかの闇の種族は定期的に食料や村の整備を行っていた。
かの村から逃げ出した
魂人の村人を守るものはもういない。それなのにアリシアはこの先でも同じ生活ができると宣ったことにセーラー服の少女は苛立ちを隠せずにはいられない。
「あの
牧場は燃えて灰に、お前らの
日常は昨日になってお終いなんだ。わかるか?」
『言わないで……』
「地上に楽園なんてある訳ねえっつってんだよ!」
『言わないで……!』
そのままアリシアは泣き崩れてしまう。
その様子をセーラー服の少女はただ黙って見下ろしていた。
「さっさと戻れよ馬鹿。僕の事なんて気にしてる場合じゃない」
アリシアの涙が落ち着いたころ。セーラー服の少女がある方向を指さした。
――先にアリシアが来た方へと導かれる様に、アリシアは弾かれたように駆ける。
今の現状に打ちのめされ、差し伸べられる手は無くても。彼女は。そして村人は生きているからこそ、生きねばならぬ。
息が弾む中、アリシアは大事なことを思い出した。
(『そうだ、さっきはあの子を探していたんだった』)
村から逃げるときに離れ離れになったあの子。さっきの子は知っていたのかもしれないのに聞けなかった。
一度振り返るも、アリシアは大事なことに気が付いた。
『ああ、どうしよう。私――』
あの子の名前知らないの。
「――はっ見ろよ
十年後の僕。あいつ行ったよ」
森の奥へと姿を消したアリシアがいなくなってどの位経ったか。
セーラー服の少女――先の焼け死んだ
十年後の自分へ向けて
夏報は笑った。
アリシアは気づいていただろうか。自身が先の乙女と一緒なのだと。
そして
十年後の自分は満足しただろうか。自身が炎に巻かれて死んででも逃がした少女たちが無事な事に。
「走れ馬鹿
――お前らが行くべき場所はこっちじゃないぞ」
そう呟くと、夏報はアリシアたちとは別方向の森の奥へと消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
●
『いたか!?』
『いや……』
捜索を行っていた騎士達が顔を合わせたが誰一人してその手に魂人を携える者はいなかった。
深いため息と共に彼らは森の奥へと視線を移す。
森の奥はかの騎士達にとっても未踏の地。何があるかは分からない。
もしこの地の奥を探すとなればそれなりの準備は必要だ。だがそこまでして、時間をかけて彼らを探してメリットがあるかと言われれば難しいものと言えよう。
これからどうするか、どうなるか。それらを想像して彼らは何度目かのため息をついた。
その後彼らがどうなったのか。森をさまよっているのか、村の中に立ち込める煙の元になっているか。それは彼らとかの南瓜頭にしか分からない。
●森の奥に
「お姉ちゃん、この道具はここでいい?」
「ええ、置いておいて」
「お腹すいたな~」
「もう少しでご飯にするわよ」
森の奥、更に奥。ぽっかりと開けた場所で魂人は新たな生活を始めていた。
「は~木の実美味しくないんだよね。またふわふわなパン、食べたいな……」
少年がぽつりと呟きながら目の前に並んだ質素な食事を前につい愚痴を漏らす。
全てを置いてこの場所に来た彼らにとってこの生活はとても厳しい状況である。
「お前……」
「だって……」
諫める少年に少女――アリシアはニッコリと笑う。
「あのパン、実は作り方はあの騎士達からこっそり聞いてたのよ」
「本当?」
「ええっ、あと必要なのは材料よ。あと釜ね。
さ、あの時のパンが食べれるよう、がんばりましょ?」
「「うん!」」
「……大丈夫そうね」
彼女たちから少し離れた洗濯場で少女――カノンは、目を細め眩しそうにその光景を眺めるだった。
暗い暗い森の奥。
楽園を失った彼らは今日も森の奥の生活を営んでいるのだろう。
富良裳・アール(サポート)
「えっと、ぁぅぁぅ…こ、こんにちは…」
赤くなったり青くなったりよく顔色が変わり、基本もじもじしています。
かわいいものが好きで、甘いお菓子も好き。
お化けは怖いし、大きな声にもびっくりする。
一般的な感覚を持った、人見知り気味の、普通の女の子です(本人談)。
普通の女の子なので、戦闘になると
「きゃー!」「うわー!」「こないでくださいっ」
等、よく涙目で叫んでいます。
そして叫んでいる限りは的確に、それはもう的確に
武器、ユーベルコードを使用します。
戦える、普通の女の子だからです。
なので依頼は頑張ってこなそうとしますし、
非戦闘員は守ります。
でもやっぱり、平和な依頼がいちばん好き。
●
『くそっ、どこだ……!』
深い森の奥、片腕が無い騎士が逃げた村人を探していた。
彼がこんな場所で人を探しているのには理由がある。
肉となるべく、
村に飼われていた村人たちは猟兵達の手によって村に隣り合っていたくらい森の奥へと逃げていた。
そして彼ら、体のどこかしらが欠損している騎士たちは
村を維持していた闇の種族の眷属。主からは村人を連れ帰れないならと替わりにお前たちを焼肉にすると言われているので必死に探し回っているのだ。
そんな時、近くの茂みががさり、と音を立てた。
『誰だ!』
「えっと、ぁぅぁぅ……こ、こんにちは……」
おどおどと木の影から姿を現したのはオレンジの巻き毛の少女、富良裳・アール(普通の女の子・f36268)。
『猟兵か……
あいつらの居所を教えろ。さもなくばお前を連れて行く」
「ど、どちらもお断りいたします……!」
おどおどと涙目になりながら、アールはハッキリと自身の意志を示した。
どちらかというと争わない方が良い。だが、罪なき魂人を差し出す程彼女は弱くはない・
『ならば死ね!』
言うが早いか、騎士は残る片腕で剣を握り締め、アールへと斬りかかる。
「エンちゃん、お願いぃぃ……!」
アールの声と同時に彼女の足元から炎が飛び出した。
炎は輪郭こそ揺らぐもののその姿は狛犬そのもの。灼熱の炎の牙を持って騎士へと食らいつく!
狛犬に腕を噛まれた、次の瞬間には噛まれた所から炎が噴き出したので慌てて消火を試みるが、噴き出た炎はユーベルコードによるもの。
火は瞬く間に全身へと燃え広がり――騎士を焼かんとする。
「――お願いします、引いてくださいぃ……」
悶え苦しむ騎士が熱さのあまり頷く。すると先ほどまで燃え盛っていた炎はあっという間に走り去っていった。
情けない声を上げて逃げる騎士をそのまま見送るアールに、狛犬はどうして?とばかりに首を傾げる。
「……痛みを知れば相手に痛みを与えないと思ったから、です」
成功
🔵🔵🔴
●
『いたか!?』
『いや……』
捜索を行っていた騎士達が顔を合わせたが誰一人してその手に魂人を携える者はいなかった。
深いため息と共に彼らは森の奥へと視線を移す。
森の奥はかの騎士達にとっても未踏の地。何があるかは分からない。
もしこの地の奥を探すとなればそれなりの準備は必要だ。だがそこまでして、時間をかけて彼らを探してメリットがあるかと言われれば難しいものと言えよう。
これからどうするか、どうなるか。それらを想像して彼らは何度目かのため息をついた。
その後彼らがどうなったのか。森をさまよっているのか、村の中に立ち込める煙の元になっているか。それは彼らとかの南瓜頭にしか分からない。
●森の奥に
「お姉ちゃん、この道具はここでいい?」
「ええ、置いておいて」
「お腹すいたな~」
「もう少しでご飯にするわよ」
森の奥、更に奥。ぽっかりと開けた場所で魂人は新たな生活を始めていた。
「は~木の実美味しくないんだよね。またふわふわなパン、食べたいな……」
少年がぽつりと呟きながら目の前に並んだ質素な食事を前につい愚痴を漏らす。
全てを置いてこの場所に来た彼らにとってこの生活はとても厳しい状況である。
「お前……」
「だって……」
諫める少年に少女――アリシアはニッコリと笑う。
「あのパン、実は作り方はあの騎士達からこっそり聞いてたのよ」
「本当?」
「ええっ、あと必要なのは材料よ。あと釜ね。
さ、あの時のパンが食べれるよう、がんばりましょ?」
「「うん!」」
「……大丈夫そうね」
彼女たちから少し離れた洗濯場で少女――カノンは、目を細め眩しそうにその光景を眺めるだった。
暗い暗い森の奥。
楽園を失った彼らは今日も森の奥の生活を営んでいるのだろう。