マクドナルド・クエスト4~セイヨウ帝国の終焉!
※設定が連続しているシナリオとなりますが、これまでのシナリオを知らない方、参加していない方でも大歓迎です。
●前回までのあらすじ!
クロムキャバリアの小国家の一つ、高い山の頂上に築かれた平和な国家マクドナルド王国。
その地下から度重なる襲撃を繰り返してきた、古代魔法帝国『西妖帝国』の末裔である西洋妖怪たちの地底国家『セイヨウ帝国』との戦いは、猟兵たちの活躍によりマクドナルド王国の勝利で終わった。
脅威的な能力を有しているセイヨウ帝国の幹部たちも悉くが捕えられ、事情聴取により互いの認識に誤りがあったことを理解したマクドナルド王国は、地下帝国を治める皇帝『エンペラー・ノーライフ』との示談と戦後処理、すなわち和平会談を申し込むべく使節団を送ることとなった。
だが、一抹の不安が残っている。
セイヨウ帝国には、皇帝と幹部たちを扇動して地上への侵攻を促した謎の科学者『ドクター・フランケンシュタイン』なる人物がいるという。
セイヨウ帝国の住人たちが知らない、あるいは伝承が途絶え忘れられていた殲禍炎剣の存在を知るかの人物は、まだ地下帝国にいるのである……。
●予知:出迎えるエヴォルグの群勢。
「ここの分かれ道ヲ、右から二番目の道に進めバ、あとは道なりダ」
「了解です」
「この道を通るのも久しぶりだな……我が家族は元気にしているだろうか」
薄暗い地下通路の中を数体のスーパーロボットが列を成して進んでいく。
マクドナルド王国の王子や王女たちの操る使節団だ。
彼らは武装を最低限に、話し合いを主張するための白旗と皇帝と交渉をスムーズに進めるための捕虜交換としてプレアデスの面々を連れていた。
地下深くに存在するセイヨウ帝国の本拠地までの道案内と、セイヨウ帝国の兵士は無事に生きていることを伝えることで、和平交渉をスムーズにするためだ。
「もう戦闘活動できるのは皇帝陛下のエヴォルグ『Diffusion』だけだし、話し合いで解決できる思うぜぇ」
「僕たちの顔を見せれば……いやでも、オブリビオンマシンの戦意高揚効果で好戦的になりますからね……。
脅迫されているとか、思い込んで戦闘になるかもしれません。
エンペラー・ノーライフ様は、無敵の能力を有していますからね」
「まあ、無敵なだけで、状態異常は効くし拘束されたら動けなくなるんだが。
不敬だが、キャバリアから引きずり出して、テーブルに座ってもらおうぜ」
戦いに敗れたプレアデスの面々はオブリビオンマシンによる好戦的な精神汚染も取り除かれ、平素に会話ができていた。
捕虜であるため拘束はあるものの手酷い扱いは受けておらず、リラックスしている。
もし戦闘になっても、プレアデスの者たちが同行していると知れば動きが鈍るかもしれない。
その間に取り押さえてコックピットから引きずり下ろせば、精神汚染も取り除かれ話し合うことができる。
もう、憂慮する事柄はないと。誰もが思っていた。
――それらが現れるまでは。
「……あの? レーダーに大量の敵性反応が出てきたんですが」
「ヴァ? 妙だな、残った兵士は全員連れて最後の決戦に挑んだんだが、俺たち」
「ゾビ……。もしかしてだが……私たちがいなくなったことで、ドクター・フランケンシュタインが防衛戦力として自立型のキャバリアを量産していたとか?」
「なるほド。普通に考えれバ地上の報復、逆襲に備えるものだろウ。……拙いのでは?」
「て、転進、総員退却ー!!」
闇の中から殺到する、無数の量産型エヴォルグに使節団は蹂躙されていった。
●招集:セイヨウ帝国との決着を!
「ハロー、エブリワン! ついに、マクドナルド王国とセイヨウ帝国が国交樹立……するはずデシタガ! 最後の最後でロスタイム! もう一仕事お願いしマース!」
バルタン・ノーヴェがプロジェクターを起動して、予知した映像を投影する。
それは、地下に送り出した和平交渉の使節団が、無数のオブリビオンマシンに蹂躙され、殲滅させられる光景だった。
「何か起こりそうだと事前に予知して正解デシタ。使節団はまだ出発してないのでご安心くだサーイ!
デスガ、そのまま信じて送り出すと自動操縦のオブリビオンマシンに攻撃されて壊滅するのであります!」
予知による情報では、出現するのはパイロットのいない『エヴォルグ量産機』の群れだ。
地下通路を覆い尽くすほどの数がひしめいているようだが、数ばかりでそれぞれの性能はそれほど脅威ではないはずだ。
生身で接触した対象を無力化する『有毒装甲』が施されているが、乗り物を利用するかキャバリアに搭乗すれば問題はない。
すなわち、猟兵たちに託されたミッションは露払い。セイヨウ帝国の本拠地を守るオブリビオンマシンの群れの掃討ということになるのだろう。
……それで終われば、良いのだが。
「その後、セイヨウ帝国の皇帝である『エンペラー・ノーライフ』と、その愛機であるエヴォルグ玖號機『Diffusion』との戦闘に雪崩れ込むことが予知されてマース!
彼らのステータス情報はプレアデスの方々から聴取しているので、事前に対策をしておけば問題は無いはずデース!」
エンペラー・ノーライフの能力、『ノーライフ・ノーキング』。
西洋妖怪の皇帝に相応しい不死系統の能力だが、あくまで致命傷を負うことが無いという話なので、麻痺や眠りや拘束といった状態異常は効果的とのことだ。
プレアデスの面々をマクドナルド王国のスーパーロボットから猟兵のキャバリアなどに移しておけば、攻撃の手を緩める手段になるかもしれない。
「まー人質デスネー、HAHAHA!」
もっとも、彼のキャバリアであるエヴォルグ玖號機『Diffusion』はその状態異常を得意とする、広域殲滅型の生体オブリビオンマシンだ。
キャバリアに侵蝕する鱗粉を放出したり、鱗粉を込めた刃を放ったりして、暴走状態や理性の低下、高い毒性を持つ瘴気を蔓延させることができるという。
性質の悪いことに、オブリビオンマシンに乗ってたら元々暴走しているようなものだし、西洋妖怪の彼らには有毒装甲も瘴気も効果が無いので自国内での使用を憂慮する必要が無いという。
ノーライフの能力がある以上、まともに戦闘するのではなく、説得や無力化してコックピットから引きずり出す方向で作戦を進めると良いだろう。
「これで、予知した内容は終わり、デスガ……」
敵の脅威を伝達し終えたバルタンだが、まだグリモアを眺めている。
「セイヨウ帝国の兵士たちからの聞いた、ドクター・フランケンシュタインとやら。
おそらくこいつが諸悪の根源なのデショーガ……予知の中で、この人物がまだ出現してないのが不確定要素であります。
最後の方で何か要らんことして来そうな……そんな予感がしマース。
なんとなく、でありますが……。何か、選択を強いられる気配が感じられマース……」
仲間を騙し、殲禍炎剣を刺激してセイヨウ帝国の兵士諸共マクドナルド王国を焦土と化そうとした人物だ。
何を仕掛けてくるか、わかったものではない。
「……とはいえ、これ以上は考えても仕方ないデスネ!
皆様、よろしくお願いしマース!
ハッピーエンドを期待してマース!」
セイヨウ帝国との決着をつける刻が来た。
バルタンは笑顔を見せ、グリモアを起動する。
その先は、マクドナルド王国の首都、デカプリオ。
猟兵たちが、出撃していく。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
今回の舞台はクロムキャバリア。マクドナルド王国の地下に広がる、セイヨウ帝国への遠征となります。
エンペラー・ノーライフと和解し、国交を樹立することが目的でしたが、波乱が起こることが予測されます。
マクドナルド王国のシナリオでは王国が所有するスーパーロボット部隊をレンタルすることができます。
スーパーロボットは個別に大きな卵型の格納ケースに封入されており、起動するために接触した人物に合わせて形状を変化させることができます。
そのため、どのようなスーパーロボットを借りたのかは猟兵が決定することができます。
第一章:『エヴォルグ量産機』との戦闘です。
暗い地下通路をひしめくように大量に現れます。自動操縦であるためパイロットはおりません。
セイヨウ帝国のキャバリアはすべて有毒装甲という生身で接触した対象を無力化する装備を纏っています。
そのため、ウォーマシンや悪霊のような特殊な条件の人物でない限り、キャバリアなどの乗り物に搭乗して参加することを推奨します。
プレイングボーナスは、『数的不利を覆す』です。
第二章:セイヨウ帝国の皇帝『エンペラー・ノーライフ』の乗るキャバリア・エヴォルグ玖號機『Diffusion』との戦闘です。
皇帝は不死なので手荒く対処しても問題ないですが、その不死性がキャバリアにも反映されていることが予測されます。
有毒装甲とノーライフの能力のほか、何らかの追加装備を搭載している気配があります。ご注意ください。
プレイングボーナスは、断章にて告知いたします。
第三章:現時点では一切情報がありません。ですが、戦闘が予期されています。
戦闘の勝利だけでなく、セイヨウ帝国に住む人命を考慮して備えておくと良いかもしれません。
プレイングボーナスは、断章にて告知いたします。
登場人物:マクドナルド王国の王族関係者とプレアデスの面々。
使節団として地下帝国に向かう王子や王女と、道案内兼交渉材料の幹部たちです。
プレアデスは、これまでのマクドナルド・クエストのボスです。
自分のキャバリアに載せても構いませんが、複数名で重複した場合は当方の独断で配分させていただきます。ご了承ください。
オープニング公開後、断章を公開します。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『エヴォルグ量産機』
|
POW : ヴォイドレーザー
【口内から無作為に分岐するレーザー】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : リボルティックスピア
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【自身から分離した触腕】で包囲攻撃する。
WIZ : EATエンジン
自身の【エネルギー補給機能を起動。自身】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[エネルギー補給機能を起動。自身]から何度でも発動できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
●前日譚:黒幕が幕引きに動き出す。
マクドナルド王国から猟兵たちと使節団が出発して少し経過した頃合いに。
セイヨウ帝国の玉座にセイヨウ帝国の皇帝『エンペラー・ノーライフ』が座していた。
豪奢な装束とは裏腹にゾンビやスケルトンといったアンデッドタイプの要素を詰め込んだ顔が、憂鬱に沈んでいた。
「情けない……。余は、民を飢餓から救うためとはいえ……兵士たちを、プレアデスたちを、犠牲にしてしまった……!」
信頼する六名の幹部はいずれも戻らず、送り出した兵たちは一人も帰ってこなかった。
民が飢えに苦しむ様子こそ見えなくなったが、国内には精神的動揺が広がっていた。
父を、兄弟を、息子を失った国民たちの悲しみが、しかしそれでも皇帝を責め立てることのない民の思いやりが、ノーライフの心を苛んでいた。
セイヨウ帝国は、飢餓から逃れた代わりに大勢の男手を失ってしまったことについて、先行きへの不安を抱えているのだった。
もっとも、幹部たちも兵士たちも全員捕虜として丁重に扱われているのだが、連絡手段もなく逃げ延びた兵士もいないので、その事実をノーライフたちが知るすべはないのだ。
そして、苦しんでいるノーライフに近づいてくる影があった。
頭部に大きなネジのようなものを取り付けた老人。
『ドクター・フランケンシュタイン』と名乗る人物だ。
「ふぇっふぇっふぇっ……心中、お察しいたしますぞ、陛下」
「ああ……ドクター・フランケンシュタイン……。
貴殿が我らに国難を打破するすべを伝え、そのためのキャバリアを用意してくれたおかげで、民の餓えは収まった……。
だが、余の家臣たちが……くぅ……!」
「いえいえ、陛下……彼らは立派に務めを果たしたのですぞ。
地上に襲撃を仕掛け、人間たちから恐怖の感情を集めるという目的は成功いたしました。
当分の間、この国の民が餓えることはありますまい……しかし」
フランケンシュタインが、歪めた笑みを無理矢理に悲しみの表情に整えて、ノーライフに甘言をささやく。
「地上への経路、キング・ゴーレムの作った大穴が開いたまま長い月日が経ちました。
容易く辿れぬよう入り組んで掘ってもらったものの、どうやら地上の人間共はルートの開拓に成功したようです。
……帝国までまっすぐに、キャバリアの軍勢が向かってきておりますぞ」
実際にはプレアデスが道案内をしているのだが、知る由もない。
フランケンシュタインは地下道に何か仕込みをしていたのか、使節団の動向を掴んでいる様子だった。予知にて使節団が奇襲を受けたのも、そのせいだろう。
「……そうか。余は、国民の為に地上への侵攻を決断した。
ならば、彼らが反撃するのは当然のことだ。
……なんとかして、余の首だけで怒りを収めてもらえればよいのだが……」
「(不死身の癖に何を言っておるのか)
……いえいえ、陛下。諦めるのはまだ早いですぞ。
こんなこともあろうかと、三つの秘密兵器を用意しておきました。
まだ、抗うことはかないます」
「なんと! 流石はドクター・フランケンシュタイン!
真に貴殿は、この国の救世主だ……!」
感激し喜ぶノーライフを見つめ、フランケンシュタインが小さく呟く。
―――ここもそろそろ潮時じゃな―――
「まずは、時間稼ぎに培養した量産型のエヴォルグを出します。
その間に陛下は『Diffusion』に搭乗してくだされ。
黒い鱗粉と有毒装甲に加えて、わしの開発した新型の怪兵器。
キャバリアの破壊用途に特化した粒子を散布する噴霧装置『Distortion』を合わせれば、如何なる侵略者であろうと撃退できるでしょう」
「うむ、承知した。余も、この国を守るために全力を尽くす時が来たのだな。
……して、三つ目の秘密兵器とは、どんなものなのだ?」
「ふぇっふぇっふぇっ……それの起動には少々時間がかかりますのでな。
なに、陛下が勝てれば使うまでもありますまい。
万が一、万が一の備えでございます」
「余は気負うことなく戦いに臨める訳か……うむ、わかった。
あとは任せたぞ、ドクター・フランケンシュタイン!」
意気軒昂な様子でキャバリアに搭乗しに行くノーライフを見送り、フランケンシュタインは堪えきれぬ笑みを溢しつつ、玉座の間の奥へと進んでいく。
隠し通路のその先に、フランケンシュタインが作った秘密兵器があるのだ。
「さて、さて、さて。……猟兵たちは、わしの兵器にどう対処するのやら。
たっぷりとデータを取らせてもらおうかのぅ。ふぇっふぇっふぇっ……」
闇の中に、黒幕が姿を消していった。
●断章:闇にひしめく敵影。
転移し、キャバリアに搭乗するなど準備を整えた猟兵たちがセイヨウ帝国へと進撃する。
プレアデスから聞いた情報から入り組んだ地下通路を迷うことなく進んでいくと、予知通りに前方から敵影が……視界を覆いつくすほどの数のキャバリア・エヴォルグ量産機が溢れ出してきた。
友軍を巻き添えにすることを躊躇わず、無差別にレーザーを放ち、触腕を伸ばし、倒れた仲間を捕食してエネルギーを補給していく。
これらを殲滅しなければ、後続の使節団のスーパーロボットに被害が出ることになるだろう。
平和に至るまでの最後の道程を踏み出すべく、猟兵たちは戦闘を開始する。
鍋島・小百合子
WIZ重視
他の猟兵との連携可
もう少しであるな
立ち塞がる障害とこの戦を仕掛けし黒幕はわらわの薙刀で切り裂くのみぞ
「人形如きが我が道を阻むでないわ!」
鋼機【勝鳥】に騎乗
UC「使役武装【白鴉】」発動にて1240本もの白鴉の羽を使役
敵機の大群に向け包囲・射撃させつつ、わらわの騎乗せし【勝鳥】は薙刀型兵装「霊峰天山」片手に残像を纏いて単騎突撃!
白鴉の羽の射撃に怯む敵機の隙など見逃さぬ!薙刀の武技でなぎ払いてくれるぞ!(範囲攻撃、鎧砕き、騎乗突撃、衝撃波、吹き飛ばし併用)
近接戦においては敵の攻撃を見切りつつ、すかさず反撃を叩き込む!(咄嗟の一撃、カウンター併用)
●小百合子、勝鳥。進軍!
セイヨウ帝国への道程を阻もうと立ちはだかる白面緑体のオブリビオンマシンの群れに、鋼の武者が駆けつける。
鎧武者の意匠を拵えた専用キャバリア『鋼機【勝鳥(カチガラス)】』。
その乗り手が声を上げる。
「人形如きが我が道を阻むでないわ!」
『エヴォルグ量産機』たちを一喝する、義を重んじる女武者。
鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)が先陣を切る。
小百合子は薙刀型兵装『霊峰天山』の刃を敵軍に向け、戦火を交える。
大口を開き手を伸ばす『エヴォルグ量産機』に、小百合子はキャバリア騎乗時にのみ使用できるユーベルコードを発動させる。
「舞い散らせるは意思持ちて敵を撃つ鴉の羽……行け! 白鴉!」
忽ち地下道を覆い尽くす、白い鴉の羽根を模した1240本の自動攻撃用ビームビットが放たれる。
《使役武装【白鴉】(ハネヲキズツケテモトビタツカチガラスノハネ)》。
幾何学模様を描き複雑に飛翔し、『エヴォルグ量産機』を次々に囲み、ビーム射撃でその機体を貫いていく。
ひしめくほどの数が逆効果となり、回避するゆとりがない。
ろくな防御装備もない『エヴォルグ量産機』たちは、片っ端から倒されていく。
降り注ぐビーム弾幕の中、いくつかのエヴォルグが『白鴉』の羽の射撃に撃たれ倒れた仲間を盾にし、そして捕食しようと口を開く。
エヴォルグの有するユーベルコード《EATエンジン》を起動してエネルギーを補給しようというのだ。
だが、その口が仲間に触れる間もなく、エヴォルグの頭が衝撃波により吹き飛ばされる。
放ったのは、小百合子が操縦する『勝鳥』の斬撃だ。
「仲間を盾にし、あまつさえ喰らおうなど……! 貴様等にかける情けはない!」
小百合子は『勝鳥』の手に『霊峰天山』を構え、残像を纏って突撃していく。
エヴォルグたちが反応する猶予を与えることなく、卓越した武技を披露して残存する敵を斬り、砕き、撃破する。
数を頼りに『勝鳥』に群がろうとすれば『白鴉』に穿たれ、ビームを避けようと意識を向ければ突進してきた『勝鳥』が強力な一撃を叩き込んで粉砕する。
それでもまれに、エネルギー補給に成功して『勝鳥』に捨て身の突進を試みるエヴォルグもいる。
「■■■■■■!!」
「ふっ、単調な動きじゃのぅ。
妾の前に立ち塞がる障害とあらば、薙ぎ払ってくれようぞ!」
それに向けて、小百合子はすかさず反応する。
直線的な攻撃を見切り、『霊峰天山』の刃を咄嗟に繰り出して、エヴォルグの首を一撃で断っていく。
ほどなくして、小百合子が担当した道のエヴォルグはみるみるうちに削れていく。
前に出れば『勝鳥』に討ち果たされ、退こうにも『白鴉』に包囲されている。
『エヴォルグ量産機』は進むことも逃げることもできない状況に陥り、全滅していった。
「もう少しであるな。……この戦を仕掛けし黒幕はわらわの薙刀で切り裂くのみぞ」
小百合子は己の進んだ道の残敵がいないことを確認すると、『勝鳥』を駆ってセイヨウ帝国に向かって前進するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
Drフランケンシュタインか…何やら企んでいるみたいだけど…
…本人に直接インタビュー(物理)するのが一番手っ取り早いかな…
…そのためにもまずはセイヨウ帝国へ行く必要があるけど…入り組んだ地下通路であれだけの敵に襲われてたらたまった物じゃなかったね…
これだけ数が居ると普通の手段では物量差で押しつぶされそうだ…
…だからその数の多さを逆手に取らせて貰うとしよう…
…捕食されたら厄介だけど…近寄らせなければ関係無い…
…重奏強化術式【エコー】を五重発動して効果を高めた【連鎖する戒めの雷】を発動…
…エヴォルグ量産機の動きを封じた上でまとめて雷鎖で焼いてしまうとしようか…
●メンカル、ツィルニトラ。進軍!
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はキャバリア風搭乗型ガジェット『試作型術式騎兵【ツィルニトラ】』に騎乗して、地下通路を進む。
ガジェット研究や電脳魔術をはじめとした、各種多世界の技術を研究・統合し、オリジナルの術式として組み上げた魔女であるメンカルは張り巡らされた地下通路に潜む敵を排除し、後続の使節団の安全を確保するべく割り振られた道を進んでいた。
「Drフランケンシュタインか……何やら企んでいるみたいだけど……。
……本人に直接インタビュー(物理)するのが一番手っ取り早いかな……」
出撃の間際に送られた予知(前日譚)にて見えたフランケンシュタインへ思慮しつつ、メンカルは『ツィルニトラ』を操り暗い地下道を進んでいく。
その進行方向には、予想通り多数の熱源反応がある。
『エヴォルグ量産型』の群勢だ。
「……そのためにもまずはセイヨウ帝国へ行く必要があるけど……入り組んだ地下通路であれだけの敵に襲われてたらたまった物じゃなかったね……」
『ツィルニトラ』を認知し、我先にと向かって来るエヴォルグたち。
奴等を片付けなければ、安心して進むことはできない。
仲間との連携など考えないオブリビオンマシンが近づいてくる様子を眼鏡の奥の目を細めて眺め、メンカルは『ツィルニトラ』の足を止めて物量の差を克服する術式の選択をする。
「紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷」
高速詠唱で構築された無数の魔法陣が、『重奏強化術式【エコー】』により五重に展開されていく。
地下通路の上下左右、空間を隙間なく敷設された魔法陣が発光し、迫る『エヴォルグ量産型』に向けて稼働する。
先頭にいたエヴォルグが魔法陣から放出された雷の鎖に拘束され、動きを封じられたうえで焼かれていく。
そして、そのエヴォルグに続くエヴォルグが衝突し、止まったところへ別の魔法陣から射出された雷鎖に絡めとられていく。
瞬く間に、地下道を焼け焦げた臭いが充満していく。
「■■■■!?」「■■! ■■■■■!!」
「これだけ数が居ると普通の手段では物量差で押しつぶされそうだ……だからその数の多さを逆手に取らせて貰うとしよう……」
メンカルが選んだ術式は、《連鎖する戒めの雷(ライトニング・チェイン)》。
周囲に展開した無数の魔法陣から同じ性質の存在に伝播する雷の鎖を放ち、電撃ダメージと共に雷鎖が全身に絡みつく事により対象の動きを一時的に封じるユーベルコードだ。
メンカルを捕食しようと加速していた『エヴォルグ量産型』たちは急停止することなく自ら雷鎖に飛び込んでいき、次々に焼かれていく。
前方の異常を検知した個体が数体立ち止まると、すぐに新たな魔法陣から雷の鎖を射出して縛り上げ、電撃で倒していく。
進もうと、留まろうと、《連鎖する戒めの雷》からは逃れられない。
「……捕食されたら厄介だけど……近寄らせなければ関係無い……」
電撃に耐えるべく仲間を捕食しようにも、炭化するほど焼き焦げたエヴォルグはエネルギー補給に適さない。
何よりそれを食らうために足を止めれば、無数の魔法陣による雷鎖に捕まり餌食となるだけだ。
数多の雷鎖は、数が増えることで一個一個の威力が減じる事はない。
むしろ、増える程に、伝播する数に比例し威力が増加する。
一秒ごとに鎖が増え続け、いつしか地下通路は電が迸る空間と化していた。
この通路にいた『エヴォルグ量産型』は、撤退することすら叶わず雷鎖の檻に閉じ込められ、殲滅されていった。
「……よし
……。……行こうか……」
敵の群れを壊滅させたメンカルと『ツィルニトラ』はセイヨウ帝国への進行を再開するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]
SSWの技術で空間に余裕を持たせたコックピットに、熱い心を持ったミスター中間管理職キングヴァンパイアを乗っけて案内してもらうぜ
あ、他に乗っけていきたい人がいたら譲るけどな
さて、すごい軍勢だな。地下通路では空中戦とはいかないが…問題なし!
UCを起動
戦場となる地下通路全域を白と黒の炎で覆い、味方を癒し敵を焼くぜ
どれだけ早く複雑に動こうと、全部埋め尽くしちまえば避けられないだろ?
さらに、[地形の利用]で地下通路の天井や壁を蹴りながらの高機動戦闘だ
[ダッシュ]駆け抜け敵の触手を[見切り]ながら太刀での[範囲攻撃]で道を切り開くぜ
後続の使節団には[結界術]の守りを
●遥翔、イグニシオン。進軍!
「ヴァーンパイパイア! 助力感謝する、クオンジ・ハルト!
『Blaster』のない俺や他の連中だけでは、オブリビオンマシンの軍勢は突破できないからな」
「なに、礼には及ばないさ。道案内してもらってるんだからな。
それに俺たちの目的のためにも、協力しなくちゃな」
「ああ……地上の、マクドナルド王国の寛大な処遇に、感謝の念は尽きんよ」
アックス&ウィザーズの群竜大陸東部に存在するメレディノポリスの騎士、久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)と、その相棒であるバイク型アームドフォート『フェンリル』をオーバーフレームして再設計された最新鋭のキャバリア『イグニシオン』は、コックピットにセイヨウ帝国の幹部『キング・ヴァンパイア』を乗せて地下通路を駆けていた。
スペースシップワールド由来の技術により『イグニシオン』の操縦席内部の空間に余裕を持たせたことで、二人乗りでも支障なく操縦できている。
キング・ヴァンパイアを乗せるにあたり、万一の奇襲を危惧して遥翔は使節団のスーパーロボットたちにも結界術による保護を施し、万難を排して先行していた。
それは、予知にて知らされた敵の軍勢を排除するためである。
遥翔の眼前、キャバリアが通れるほどの広さの地下通路を『エヴォルグ量産型』の群れが現れ、覆い尽くしていく。
数十体から先を数えるのも億劫なオブリビオンマシンの群れを前に、キング・ヴァンパイアが絶句し、遥翔は笑みを見せる。
「うわ……これは、すごいな……」
「さて、すごい軍勢だな。地下通路では空中戦とはいかないが……問題なし!」
先頭のエヴォルグが『イグニシオン』に向けて手を伸ばし、その触腕を分離させる。
射程圏内の敵全てを包囲攻撃する『エヴォルグ量産型』の《リボルティックスピア》だ。
幾何学模様を描き複雑に飛翔する大量の触腕が『イグニシオン』に迫る中、遥翔は焦ることなくユーベルコードを起動させる。
「原初起動(イグニッション)。最先より在りし焔よ、醒めよ!」
次の瞬間。飛翔していた《リボルティックスピア》が黒い焔に焼かれていく。
距離に関係なく、この地下通路にあったすべての触腕が、同時に燃えたのだ。
これこそイグニスの黒焔。《真焔なる世界(プリミティブ・イグニッション)》だ!
戦場全体に原初の真焔結界を発生させ、敵には終焉の黒焔による攻撃を、味方には再誕の白焔による回復をもたらすユーベルコードだ。
最大で二時間を超えて持続するのだが、そんなに時間をかける必要はない。
「■■■■!?」「■■、■■■■ッー!!」
どれだけ素早く、どれほど複雑に動こうとも、戦場全体を焔で埋め尽くせば避けることはできないのだ。
同時に発生した黒焔に混乱する『エヴォルグ量産型』たちだったが、遥翔はその混乱を落ち着かせる時間を与えない。
「反応が遅い。その速度じゃ、俺たちの残像すら捉えられないぜ!」
地下通路の壁や天井を蹴りながら高速機動を行い、ダッシュで敵軍の真っ只中へと飛び込んでいき、機体の急所を『機神太刀"迦具土"』で斬り伏していく。
その挙動は素晴らしく速く、抵抗の構えを見せたエヴォルグが反撃をする間も与えず連続した斬撃を与えていく。
ろくな連携もない自動操縦のオブリビオンマシンたちは『イグニシオン』の装甲に触れることすら叶わず、エヴォルグたちは《真焔なる世界》の黒焔に焼かれて崩れるか『イグニシオン』の太刀で両断されるかの二択の末路しか与えられなかった。
数分後。
ほどなくしてこの地下通路にひしめいていたエヴォルグはすべて焼き尽くされ、ルート上の安全が確保された。
「これでここはもう大丈夫だな」
「これほどの数を、この短時間で……流石だな、クオンジ・ハルト。
……しかし、ドクター・フランケンシュタインがこんなにキャバリアを用意しているとは、知らなかったな」
「……キング・ヴァンパイアたちのキャバリアも、そいつが用意したんだっけか?」
「ああ。土木工事用の非戦闘用キャバリアはあったが、戦える兵装とかは全部ドクター・フランケンシュタインが用意してくれたのだ。
俺たちは操縦訓練だけで、メンテナンスすら関与してなかったのだ」
それはすなわち、有毒装甲もオブリビオンマシンも、すべてドクター・フランケンシュタインによる産物だという話だ。
開発資金、素材の調達、そしてキャバリアに関する技能の習得も、はたしてどうやって会得していたのだろか……。
いまだ不鮮明な黒幕の存在を思考の片隅に残し、遥翔と『イグニシオン』はキング・ヴァンパイアを連れてセイヨウ帝国の中へと進んでいくのだった。
成功
🔵🔵🔴
メサイア・エルネイジェ
この和平交渉、愛と平和の使徒のメサイアがお助け致しますわ〜!
しっかしセイヨウ帝国の方々は誰も彼も怖いお顔ですわねぇ
おっといけませんわ、ヘイトスピーチになってしまいますわ
ガンフューラーモードのヴリちゃんと参りますわ
狭い一本道の通路で迎え撃ちますわ
一度に戦う敵の数を制限するのですわ
ヴリちゃん!狂竜咆哮ですわ!
吹っ飛ばして後ろを立ち往生させている間に二連装砲とビームガンで蜂の巣でしてよ〜!
触手も咆哮で吹っ飛ばしてしまえば中断させられますし、左右両面が壁の通路で戦えば包囲したくても出来ませんわ!
ヴリちゃんの元に到達したとしてもブレードエッジやクロー、尻尾で払い除けますわ
ヴリちゃんは格闘装備の塊ですわ!
●メサイア、ヴリトラ。進軍!
マクドナルド王国は高い山の頂上に築かれているため、他所との外交がほとんどない平和な国家である。
ゆえに、メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)がクロムキャバリアのアーレス大陸西部に位置するエルネイジェ王国の姫ということを知る由もなく。
メサイアが堂々と参加しても他の猟兵と分け隔てなく対応なされていた。
「この和平交渉、愛と平和の使徒のメサイアがお助け致しますわ~!」
使節団を後方に置き、迫り来るオブリビオンマシンに対処すべく前線に出撃するメサイア。
国際問題? 猟兵だからヨシッ。である。
「しっかしセイヨウ帝国の方々は誰も彼も怖いお顔ですわねぇ。
おっといけませんわ、ヘイトスピーチになってしまいますわ」
使節団にいたゾンビやスケルトンやゴーレムの姿を思い出し、メサイアはすぐに気を取り直して近づいてくる敵軍へと意識を向ける。
エルネイジュ王家に受け継がれる伝説のキャバリア『ヴリトラ』を撃戦能力強化仕様『ガンフューラー』モードに換装し、狭い一本道の地下通路を選んで迎え撃つ構えを見せていた。
少しして、地響きと共に現れ地下通路を疾駆する多数のエヴォルグたちを視認すると、メサイアは『ヴリトラ』のユーベルコードを稼働させる。
「ヴリちゃん! 狂竜咆哮ですわ!」
瞳を赤く輝かせた『ヴリトラ』が、咆哮する。
《狂竜咆哮(ベルセルクシャウト)》。
戦場全体に、敵味方を識別する物理的衝撃波を伴う恐ろしい咆哮を放ち、ダメージと恐慌の状態異常を与える『ヴリトラ』の攻撃である。
伝説では一吼えするだけで大地に狂気が溢れたと言われている音波攻撃が、集まっていた『エヴォルグ量産機』たちを震わせ、立ち往生させる。
避けようのない直線通路。射線上にいたエヴォルグは衝撃波により吹き飛んでいく。
互いにもみ合いぶつかり合い、損傷している機体も見受けられる。
完全に陣形が瓦解したところへ、メサイアは容赦のない追撃を叩き込む。
「さあ、行きますわよ!」
『ヴリトラ』の背中に搭載した『BS-B二連装ロングレンジビームキャノン』と両腕の『BS-Aアームビームガン』が火を噴き、固まっているエヴォルグたちをまとめて貫いていく。
衝撃波で体勢を崩されたところへ撃ち込まれるビームの弾幕は、まともな防御装備をもたないエヴォルグたちを破壊するには十分な威力を有している。
それでもなお、一部の『エヴォルグ量産機』が触腕を分離させ、幾何学模様を描き複雑に飛翔する《リボルティックスピア》で反撃を試みる。
数十本の触腕が『ヴリドラ』を貫こうと、ビーム弾幕を縫って飛来する。
「無駄ですわ。ヴリちゃんは格闘装備の塊ですわ!」
しかし大半のエヴォルグが《狂竜咆哮》で吹き飛ばされているため散発的であり、持ち前の包囲戦術も一方通行の狭い地下道では発揮することもできず『RXブレードエッジ』や『RX-Aクラッシャークロー』といった『ヴリドラ』の有する格闘武装で斬り落とされ、握りつぶされ、踏み潰される。
左右を壁で守り、一度に戦う敵の数を制限するというメサイアの作戦が功を奏していた。
「うまく行きましたわね! このまま押し切りますわ!」
元気に笑いながら触腕をねじ伏せ、弾幕を絶やさず撃ち続けるメサイア。
遠近バランスのよい『ヴリドラ』の戦闘能力を前に、『エヴォルグ量産機』たちは為すすべなく掃討されていった。
動く敵がいなくなったところでようやく射撃を停止し、いい仕事をしたメサイアが息を吐く。
「ふぅ。無事に一掃できましたわね。さあ、先へ進みますわよ!」
後続が通りやすいよう『エヴォルグ量産機』の残骸を端に払い避けつつ死んだふりがいないか確認したうえで、メサイアと『ヴリトラ』は通路を進み、セイヨウ帝国へと向かって行くのだった。
成功
🔵🔵🔴
結城・有栖
有毒装甲…話には聞いてますが、中々厄介ですね。
「まあ、トラウムに乗ってれば大丈夫ダヨ。
問題はあの数ダネー。物量に負けないようにネ。」
了解です、オオカミさん。
今回はトラウムに乗って出撃します。
敵が見えたら、トラウムの掌から幻惑の雷さんを放出して攻撃です。
感電させて敵の動きを鈍らせ、催眠の状態異常で同士討ちを狙います。
そして、幻惑の雷さんで攻撃しつつ、トラウムの周辺に想像暗器(大型クナイ)を展開します。
【武器改造】で想像暗器に爆破の特性を付与し、【念動力】で発射して【追撃】し、まとめて爆破してあげましょう。
敵の攻撃は【野生の勘】で【見切り】、シュトゥルムの風と【操縦】で上手く受け流して回避です。
●有栖&オオカミさん、トラウム。進軍!
「有毒装甲……話には聞いてますが、中々厄介ですね」
「まあ、トラウムに乗ってれば大丈夫ダヨ。
問題はあの数ダネー。物量に負けないようにネ」
「了解です、オオカミさん」
赤いフード付きの衣服に身を包んだオウガブラッド。
結城・有栖(狼の旅人・f34711)は体に宿る友人のオウガ『オオカミさん』と共にマクドナルド王国へ訪れていた。
有栖は初めて参戦するクロムキャバリアでも気負うことなく、普段通りの様子で戦場へ出撃している。
持ち主の想像力を読み取り具現化する能力を持つ魔女のような姿をしたサイキックキャバリア『トラウム』に乗り込み、視界を埋め尽くす異形の『エヴォルグ量産機』の群れと対峙しても臆することなく、有栖は冷静にユーベルコードを発動する。
「来て、幻惑の雷さん。敵を惑わして」
《想像具現・幻惑の雷(ソウゾウグゲン・ゲンワクノイカズチ)》。
『トラウム』の掌から、戦場全体に敵味方を識別する想像力で具現化した幻惑の雷が放たれる。
アリスナイトの想像具現能力がキャバリアサイズに拡大し、迫るエヴォルグたちを残らず飲み込んでいく。
電撃によるダメージと感電により『エヴォルグ量産機』の動きが鈍り足が止まる。
そこへ、有栖は追撃の『想像暗器』を展開する。
想像力で具現化された大型クナイに武器改造による爆破特性を付与し、念動力で勢いよく発射する。
生体キャバリアであるがゆえに感電による影響は大きく、ろくに回避行動をとることもできないエヴォルグたちが吹き飛んでいく。
「おっと、反撃してくるのがいるネ」
「了解です、オオカミさん。……うん、大丈夫です」
クナイ爆撃が降り注ぐ最中、後方にいる『エヴォルグ量産機』が感電に耐えながら《リボルティックスピア》を稼働させる。
自身から分離した数十本の触腕で遠くの敵を包囲するこの技であれば、感電して本体が動きにくくなっていても攻撃することは可能だと判断したのだろう。
幾何学模様を描き複雑に飛翔する触腕が、次々にキャバリアに突き刺さる。
―――だが、攻撃を受けたキャバリアは、『トラウム』ではない。
「うまくかかってるネ」
「やりました」
『エヴォルグ量産機』は《リボルティックスピア》で他のエヴォルグを攻撃していた。
《幻惑の雷》に惑わされ、催眠状態となって同士討ちをしているのだ。
感電と催眠による状態異常。
それが《想像具現・幻惑の雷》の効果であった。
もとより味方への配慮が欠けていた『エヴォルグ量産機』であったが、催眠された状態では有栖の意のままに他のエヴォルグと壮絶な殴り合いを繰り広げている。
もはや『想像暗器』で木端微塵にされるまで、有栖のことを認識していないだろう。
「何とかなりそうダネ。流れ弾には気を付けようネ」
「はい、このまま油断せず済ませましょう」
時折飛来する触腕の軌道を見切り、『シュトゥルムシステム』の風のオーラで上手く受け流す。
有栖は傷一つ負うことなく担当した『エヴォルグ量産機』の排除を完了する。
電撃を浴びたことによる痙攣を除けば、動くエヴォルグはいなくなった。
安全を確保した有栖は『トラウム』を操縦し、セイヨウ帝国へと通じる地下通路を進んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
巨海・蔵人
アドリブ連携歓迎
今までのは関わってなかったんだけど和平会談って話だから来てみたけど、色々きな臭いね。
キャバリア乗りでもないけどお天気お兄さんセットのカラバリから目立ちにくい色を着て、テレビウムドローンをUCの七種七色のパンダドローンに変形(武器変形)させて応援に行くよ
【ちょっと早いけど地下王国で怪談っぽいのと遭遇しました】動画配信。
ビームはお天気お兄さんセットで防ぐよ、ビニール(に似てる)は毒も通さないし、ドローンにも着せたし、カラフルにパンダで調理器具を手にパンダ師父ドローンに率いられて、まずは関節と表皮から食材にして、剥ぎ取り、持ってきて貰って中まで食材にして無毒なら地上までリレーで運ぶよ
ティフティータ・トラーマ
アドリブ&連携OK、WiZ熱沙、ラジェル
「やれやれ、親玉は黒幕に踊らされてるだけだとしても面倒そうだけど…今回は無人機みたいだし、やりすぎは気にしなくて良さそうね。」
わさわさやってくる群に、搭乗状態で視線を向けると
「とりあえず…死体を共喰いしても汚染が廻る様に倒しておけばいいかしら。」
黒沙嵐で蹴散らしつつ、発動後も黒沙を残しておいて倒した死体を汚染しつつ、
「こっちも辛いけど…回復されるよりはマシだし、ね。」
汚染地帯を飛び回って、生き残りを射倒していきます。
●蔵人およびティフティータ、ヴァスター・ラジェル。進軍!
次々とセイヨウ帝国へ続く地下通路が開かれていく中、キャバリアに乗ることなく歩みを進める猟兵がいた。
藍色の瞳と乳白色の髪を持つおっとりとした巨漢のバイオモンスター。
巨海・蔵人(おおきなおおきなうたうたい・f25425)は、謎技術で作られたエネルギー吸収・変換機能のあるビニールパーカー『御天気おにいさん風パーカーセット』を着込んで地下道を歩いていた。
地下で迷彩色となるように、目立ちにくい暗褐色のカラーバリエーションにすることでできるだけ敵に見つかりにくいようにしている。
「今までのは関わってなかったんだけどね……。和平会談って話だから来てみたけど、色々きな臭いね」
予知では、セイヨウ帝国の捕虜を巻き込んで攻撃を加えてきた『エヴォルグ量産型』たち。
敵味方を識別しない防衛機を配備するなど、帰還する味方のことを考慮していない様子が蔵人の嗅覚を刺激していた。
「ともかく、今は僕のできることをしようかな」
キャバリアを持たず、そしてキャバリアとの正面戦闘を考慮していない蔵人の狙いは、動画配信による情報の伝達であった。
タイトルは、【ちょっと早いけど地下王国で怪談っぽいのと遭遇しました】。
「はい! 今日も元気にやっていきます、こちら現場の蔵人です。
今回はマクドナルド王国の地下にあるセイヨウ帝国にお邪魔しようと思います。
まずはセイヨウ帝国に着く前に現れるエヴォルグを、パンダ師父と楽しく御料理していきます。
料理仙人の驚きの技の数々、頑張って再現出来るかな?」
蔵人の呼び声に応じて颯爽と現れる七体のパンダたち。
それこそ《実践!御料理配信【大熊猫ドローンといっしょ】(ダイニンキホンカクハシリーズ)》によって出現したパンダドローンの料理ユニットたちだ。
大人気の本格派シリーズ、パンダ仙人の番組が始まった!
今回は七種七色の大熊猫に変形したテレビウムドローンを用いて、エヴォルグを料理しようという趣旨である。
オブリビオンを食材にするというパンダ師父だが、相手は巨大な5m級のキャバリアだ。
謎技術で造られたパーカーによりビームや有毒装甲の毒素は防ぐことができても、物理的な質量さは如何ともしがたい。
そして、敵の数も多いのだ。
まともに正面から戦うとなれば、物量を前に踏み潰されてしまうだろう。
なので、蔵人はコラボを企画した。
「本日の助っ人はティフティータさんに依頼しております。よろしくお願いします」
「ふう……わかったわ。
今回は無人機みたいだし、やりすぎは気にしなくて良さそうね。
……けれど、食べられるかどうかは、保証しないわよ」
わさわさと地下道に蔓延る『エヴォルグ量産型』の前に舞い降りるのは、黒い鎧女天使型スーパーロボット『ヴァスター・ラジェル』。
搭乗するのは黒沙漠出身の麗しい踊娘。
ティフティータ・トラーマ(堕天使の剣舞暗殺者・f29283)だ。
長らくセイヨウ帝国と戦い続けてきたティフティータに颯爽とエヴォルグを倒してもらい、蔵人はその活躍を撮影しつつ残骸を処分するという連携を行うようだ。
「はい、構いません。いつでもどうぞー」
「とりあえず……死体を共喰いしても汚染が廻る様に倒しておけばいいかしら」
『ヴァスター・ラジェル』を視認したエヴォルグたちが、口内から無作為に分岐する《ヴォイドレーザー》を放つ。
敵味方を問わず無差別に行われる広範囲高威力の攻撃だが、狭く暗い地下通路であっても闇に紛れて空中を舞う『ヴァスター・ラジェル』に当たることない。
流れ弾で蔵人とパンダ師範たちに被弾したレーザーも、『御天気おにいさん風パーカーセット』のエネルギー吸収機能でガードしている。
射撃では埒が明かないと『エヴォルグ量産型』が再び前進する頃には、ティフティータは十分な詠唱を完了させていた。
「―――ハムシーン・カムシーン 煉獄の熱砂よ 嵐となりて吹き荒れよ」
《黒き熱沙は煉獄を成す(シムーン・ジャハンナム)》
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する、黒炎と黒沙、二つの属性の熱砂の嵐を放つユーベルコードだ。
その射程は615mまで向上しており、狭い地下通路を直線状に焼き払うには適した技である。
回避する余地なく、炎に焼かれ砂に削られていく『エヴォルグ量産型』たち。
《EATエンジン》を稼働させるも、その口に届くのは黒き熱沙のみ。
倒れた味方に噛り付いても、暗器として交ぜられた黒沙が捕食したエヴォルグの内側から破壊していく。
前進もままならず、エヴォルグたちは一方的な嵐に為すすべなく倒されていく。
「御覧ください。すごい熱と砂嵐です。
あれだけ居たオブリビオンマシンが、あっという間に倒れて行きます」
「こっちも辛いけど……回復されるよりはマシだし、ね」
「ありがとうございます、ティフティータさん。
あとはぼくたちの出番だよ。パンダ師父、お願いしまーす」
蔵人の号令に従い、カラフルなパンダたちが調理器具を手にしてジューシーに焼かれたエヴォルグたちに群がっていく。
戦闘不能になっていることを確認したうえで、七色大熊猫ドローンの手によってオブリビオンマシンを食材化していく。
有毒装甲を除染してから柔らかくなっている生体キャバリアの関節を取り外し、もも肉など厚みのある部位を剥ぎ取っていく。
あとは格納しているドローンを動員して、地上までリレー形式で運べば完了だ。
「見事な手際ですね、パンダ師父。あとでスタッフが美味しくいただきます」
「……食べられるのね、これ」
テキパキと解体され、運搬されていくエヴォルグの残骸を見やりつつ、ティフティータは『ヴァスター・ラジェル』の調子を確認する。
コンディションに問題は無い。万全の状態といえるだろう。
「やれやれ、親玉は黒幕に踊らされてるだけだとしても面倒そうだけど……」
「さあ、次はいよいよセイヨウ帝国へ突入です。みんな、チャンネルはそのままで!」
「……そういえば、あなたは、キャバリアには乗らないのね」
ティフティータの問いにニッコリと笑う蔵人が何を思っているのか、それはまだ語られない。
倒した『エヴォルグ量産型』の処理を済ませた蔵人とティフティータは、セイヨウ帝国へと歩みを進めるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リア・アストロロジー
ちゅーんちゅんちゅん!(謎挨拶
キング・ヴァンパイアさんもデュラハンさんもお元気そうで良かった。
●同乗?
ちゅんちゅんさんに搭乗。
デュラハンさん、もし良かったら頭だけでも乗りませんか?
頭が……乗るのです(←まだ言ってる
一応理由はちゃんとあって、わたしは精神感応が武器でもあるフラスコチャイルドなので、それでネットワークを作った時に頭の方のお力をお借りできたらどうかなって考えたのです。
あとは、地下帝国の皆さんのお話も聞きたいです。
そこにはどんな方たちが暮らして……どんな夢が育っているのでしょうね。
●戦闘
ドローンを飛ばして地形探査や偵察を主に。
予知で気付けたとはいえ、情報で負けてるのはちょっと心配……。
隘路の出口等での戦闘はなるべく避け、地形とあまり賢くなさそうな性質を利用して立ち回ります。
UCではエヴォルグの制御にアクセスして少し認識をずらして、積極的同士討ちを狙ってみますね。
デュラハンさんたちはオブリビオンマシンに乗っていても理性が残ってたし、協力して貰いエヴォルグの機体の鹵獲も試してみます。
●リア、ちゅんちゅんさん。進軍!
「ちゅーんちゅんちゅん! こんにちは!」
「あ。君はあの時の……こんにちは」
リア・アストロロジー(良き報せ・f35069)は、スズメ型スーパーロボット『ちゅんちゅんさん』に乗り込み、使節団の中にいるセイヨウ帝国の幹部プレアデスの一人『キング・デュラハン』と挨拶を交わした。
リアはキング・デュラハンとの戦いにおいて説得を試み、みごとアンブッシュ(不意打ち)を叩き込むための陽動を果たした実績があるのだ。つまり二人は顔見知りである。
「キング・ヴァンパイアさんもデュラハンさんも、お元気そうで良かった。
ところでデュラハンさん。もし良かったら頭だけでも乗りませんか?
そう……頭に……乗るのです」
「構いませんが、……それは、図に乗るな、ということです?」
意図が通じ、ぱぁっと明るくなったリアは、キング・デュラハンの頭部を乗せる。
使節団とキング・デュラハンの胴体が見送る中、パタパタと飛ぶ『ちゅんちゅんさん』がセイヨウ帝国へ通じる地下通路を先行して進んでいく。
そして、リアがキング・デュラハン(の頭部)を連れているのは駄洒落だけが理由ではなかった。
「デュラハンさんをお誘いしたのはちゃんと理由がありまして。
デュラハンさんは頭と身体が離れていても感覚は繋がっているのですよね?」
「ええ。僕の『デュアル・デュラハン』は頭部と胴体、双方をコア部位として運用する能力です。
元々一心同体なので、今も互いに繋がっておりますよ」
エンペラー・ノーライフ様には劣りますが、この間のように同時撃破されない限り回復すれば復活できますと続けるキング・デュラハン。
その返事を聞いて、頷くリアは自身の考えを伝える。
「わたしは精神感応が武器でもあるフラスコチャイルドなので、それでネットワークを作った時にデュラハンさんの頭の方のお力をお借りできたらどうかなって考えたのです」
「ふむ。……なるほど。
僕を対象とすれば、頭部と胴体の双方に影響が及ぶ。
遠くと繋ぐ中継器のように扱えるかもしれない、ということですね」
Astrology―――精神感応の為の脳強化に特化した開発されたフラスコチャイルドであるリアと、《デュアル・デュラハン》という頭部と胴体で分割して活動できるキング・デュラハンの能力。
ソーシャルディーヴァのSNSを行使する際、手元にあるデュラハン頭部に与えた力が後方にいるデュラハン胴体を経由して、離れた場所の仲間に干渉できるのでは、という発想だ。
断じて、駄洒落だけが理由ではなかった。
「試行してみる価値はありそうですね。わかりました、協力します」
「ありがとうございます! それで、えっとまずはエヴォルグのほうを……」
リアは『ちゅんちゅんさん』を操縦しながら、精神感応(テレパシー)でコントロール可能な高性能ドローン『Casper(カスパール)』を飛ばして地形探査や偵察を行っていく。
予知で敵の情報を得ているとはいえ、敵も使節団の動向を感知する仕込みを用意している。
情報戦で負けるわけにはいかないと、リアはドローンを張り巡らせていた。
「隘路の出口は避けて……できるだけ広い場所にいるところを……。
あんまり賢くない性質みたいですから、立ち回れるはず……。
釣れました」
『エヴォルグ量産型』を待ち伏せるべく策を巡らせるリア。
ドローンから得た情報をもとにエヴォルグたちが向かってくるルートを絞り込み、『ちゅんちゅんさん』を羽ばたかせて最適の立地へと誘導する。
集まってきた『エヴォルグ量産型』の群勢が射程に収まったタイミングを見計らって、リアは自身のユーベルコード―――《暁を残して(アカツキヲノコシテ)》を行使する。
「いきます……。長すぎる夜のために」
戦場となる地下通路全体に、リアを核とした精神感応によるネットワークが発生する。
敵と味方、双方に影響を与える精神感応型ユーベルコードの効果を駆使し、リアはエヴォルグたちの制御中枢に介入する。
エヴォルグたちの認識に誤差を与え、周囲にいる『エヴォルグ量産型』が敵であるように錯覚させて積極的な同士討ちによるダメージを誘発させていく。
一秒ごとにエヴォルグが仲間に捕食され、捕食した仲間もまた他のエヴォルグに喰われていく。
《EATエンジン》によるエネルギー補給が尽きるまで、共食いを続けることだろう。
だが、強力な《暁を残して》は劇的に効果を発揮しているが、ノーリスクという訳ではない。
リアを核としているがゆえに、エヴォルグたちの精神がリアへと影響を及ぼす危険性があるのだ。
ユーベルコードを起動し続けている間、オブリビオンマシンの持つ破壊衝動が、捕食欲求が、残虐性が、じわじわとリアの精神を蝕んでいく……ことはなかった。
「これが、リアさんの能力ですか……。うん、うまく共有できています。
少々気分が高揚しますが、余剰リソースによる代理演算で処理できる範疇です」
「……! デュラハンさん……! ありがとうございます」
《暁を残して》の影響下にあるキング・デュラハンが、リアに被害が及ぶ前にエヴォルグたちの精神汚染を感受し、自己処理していた。
遠くで活動している胴体が精神的なバックアップの役目を果たしているらしく、オブリビオンマシンによる精神異常が引き起こされることなく『ちゅんちゅんさん』の頭の上で図に乗っている。
「デュラハンさんたちはオブリビオンマシンに乗っていても理性が残ってたし、大丈夫そうですね。
鹵獲してみましょうか?」
「うーん、僕たちのキャバリアはドクター・フランケンシュタインの手によって個人用にチューニング(調整)されてましたからね……。
精神汚染に耐えることはできても、上手く扱えるかどうか……ぶっつけ本番で試みるのは少し不安ですね」
「むむむ……いいアイデアかと思ったのですが」
懸念はあるものの何かの役に立つかもしれぬと思い、物は試しとリアは『エヴォルグ量産型』のうち一機を群れから遠ざけ、鹵獲しようと精神感応を施す。
スムーズに活動停止にすることはできたが、相手は強力な生体キャバリア・オブリビオンマシンだ。
デュラハンたちに操縦できるようになるのか、キング・デュラハンがリアのネットワークを利用して予測演算をしていく。
「どうやら、自動操縦機能を取り外さないとこっちの操縦に応じないようですね。
制御中枢を支配するためにリソース(ユーベルコード)を費やせば何とかなるかもしれませんが……そこまで注ぐとなると、僕たちが乗り込む必要性が薄くなりますね」
「取り外す時間は……ないですよね。技師の人がいれば何とかできたかもしれませんが……」
使節団に同行しているキング・デュラハンたちプレアデスの面々を『エヴォルグ量産型』に乗せることができれば、この先で待つであろう『エンペラー・ノーライフ』との戦いで役に立つかもしれないが……猟兵のサポートが必要となるようだ。
暴走して猟兵たちに襲い掛かるリスクを考慮すると、どうするかは判断に悩むところだろう。
「ひとまずこのエヴォルグは動かなくしておくとして……よし。
エヴォルグの量産型は、ここにいる分で終わりみたいです。
あとは地下帝国に進むばかりですが……あの、デュラハンさん」
「はい、何でしょうか?」
リアはエヴォルグを安らかに眠らせ、『ちゅんちゅんさん』を再び進ませながらキング・デュラハンに話しかける。
それは、戦いに直接関わり合い、ささやかな雑談だった。
「向こうに着くまで、地下帝国の、セイヨウ帝国の皆さんのお話も聞きたいです。
そこにはどんな方たちが暮らしているのですか?」
「そうですね。……いろんな種族がいます。
人狼や半魚人といった動物の要素を持つ者から、動く石像や腐乱死体のような生物じゃないような者まで、いろんな西洋妖怪というカテゴリーの住民が住んでいます。
飲食せずとも生きていける環境なので、地上の人のような、人間はいませんね」
セイヨウ帝国は、カクリヨファンタズムに存在する人々に忘れられた妖怪のような種族が跋扈しているようだ。
地上から存在を忘れられたことで飢餓により滅びつつあったところを、ドクター・フランケンシュタインが人間から向けられた感情を食糧とすることを伝えたことで、延命することができたのだという。
「恐怖以外の感情でも大丈夫だというのは教えてもらえなかったのですが……。
ドクター・フランケンシュタインは、知らなかったのでしょうか……」
「うーん。その方は、何を考えているのでしょうね……」
経緯はどうあれ、まだ致命的な手遅れには至っていないのが幸いだ。
感情を糧とするセイヨウ帝国の住民たちと国交を築くことができれば、地上のマクドナルド王国と歩調を合わせて生きていくことができるだろう。
そうなれば飢えをしのぐという目標を達成でき、新しい目標……夢や希望を抱く余裕が生まれることだろう。
「……どんな夢が育っていくのでしょうね」
そんな未来を想いながら、リアはキング・デュラハンと共にセイヨウ帝国へと踏み込んでいくのだった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『エヴォルグ玖號機『Diffusion』』
|
POW : 狂機拡散『Trance』
【機体からキャバリアに侵蝕する鱗粉を放出。】【キャバリアの中枢を侵蝕し、暴走させる。】【人にも高い毒性を持ち、自己進化する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 黒殲拡散『Diffusion』
【感染侵蝕し体を黒く染める鱗粉を込めた刃】で攻撃する。[感染侵蝕し体を黒く染める鱗粉を込めた刃]に施された【理性低下、空気感染、凶暴化、衰弱】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ : 国死拡散『Lost paradise』
【機体から放出される黒い鱗粉】を降らせる事で、戦場全体が【高い毒性を持つ瘴気が蔓延する死の土地】と同じ環境に変化する。[高い毒性を持つ瘴気が蔓延する死の土地]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
●断章:参上! エンペラー・ノーライフ!
無数の『エヴォルグ量産型』を退け、地下通路を駆け抜けた猟兵たち。
地下道を踏破した彼ら彼女らの前に広がるのは、微妙に広大な地下帝国の展望であった。
地下の中を掘り進めて広げられた空間は、キャバリアが複数動いでも余裕のある広場を中心に、集合住宅群のような建造物が扇状に並び立つ都市として存在していた。
そして、そこかしこの物陰に様々な西洋妖怪たち―――セイヨウ帝国の住民たちの姿が確認できる。
女、子供、老人といった非戦闘員ばかりが身を隠しながら、猟兵たちに視線を向けている様子だ。
そして、最奥にある一際大きな建物から一機のキャバリアが現れ、猟兵たちの前に立つ。
それこそ、予知にあったセイヨウ帝国最後のオブリビオンマシン。
侵食細胞で構成された生体キャバリア、エヴォルグ玖號機『Diffusion』である。
「よくぞここまで来たな、地上の人間たち、勇士たちよ。
余こそ、セイヨウ帝国が皇帝。暴政の『エンペラー・ノーライフ』である!」
『Diffusion』に搭乗するエンペラー・ノーライフは、激しい戦意と高揚感を胸に抱いて機体の有するユーベルコードによる黒い鱗粉を散布する。
人に対して高い毒性を持ち大地を汚染する広域殲滅能力だが、元より住居としての機能しかないセイヨウ帝国の、人ならざる妖怪しかいないこの環境では、外敵である猟兵たちにしか影響を及ぼすことのない護国の兵器として機能している。
「宣戦布告なしに攻め入ったことは詫びよう。だが、我々には退けぬ戦いであるがゆえに。
ここで貴殿らを返り討ち、その勢いを以て地上への再侵攻を果たさせてもらう!」
そして、『Diffusion(ディフュージョン)』の左手には見慣れぬ武装が握られている。
追加の予知で確認できた、キャバリアの破壊用途に特化した粒子を散布する噴霧兵器、『Distortion(ディストラクション)』だ。
キャバリアが『Distortion』の毒霧をまともに浴びれば、致命的な痛手を被ることだろう。
セイヨウ帝国のキャバリア共有装備である有毒装甲があるゆえにキャバリアがなければまともに接触することはできない。
『Diffusion』の強力な黒い鱗粉の能力も、そしてエンペラー・ノーライフの不死性能力もある。
非常に難易度の高い戦いとなるだろう。
「発動せよ、余の権能! 『ノーライフ・ノーキング』!
民失くして王は無い! この地のセイヨウ帝国の国民のため! 我らの糧のために!
余は、貴殿らを討ち果たす! 憎み、恨め、人間たちよ!」
オブリビオンマシンの精神汚染が効いている以上、たとえプレアデスを前面に出して説得しても(多少の攪乱効果はあるだろうが)簡単に応じることはないだろう。
皇帝を降伏させ、この戦いを終わらせなければならない。
セイヨウ帝国最大の強敵が今、猟兵たちに刃を向ける……!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※セイヨウ帝国の皇帝『エンペラー・ノーライフ』の乗るキャバリア『エヴォルグ玖號機『Diffusion』』との戦闘です。
地下帝国の本拠地ですが、キャバリア戦を行うのに十分な広さや高さはあります。
セイヨウ帝国の非戦闘員が観戦していますが、人質に取ろうとすれば逃げます。
エンペラー・ノーライフは不死王的なリッチーっぽい種族であり、自身を慕う部下や民がいる限り肉体的に致命傷を負うことがありません。
純粋な攻撃による撃破ではなく、精神攻撃による疲弊や状態異常による行動不能を狙うことを推奨します。
説得、あるいはコックピットから引きずり出すことでオブリビオンマシンの精神汚染から解放され、和解することができるでしょう。
また、セイヨウ帝国のキャバリアはすべて有毒装甲という生身で接触した対象を無力化する装備を纏っています。
そのため、ウォーマシンや悪霊のような特殊な条件の人物でない限り、キャバリアなどの乗り物に搭乗して参加することを推奨します。
また、エヴォルグ玖號機『Diffusion(ディフュージョン)』は、「キャバリアの破壊用途に特化した兵器」『Distortion(ディストラクション)』を装備しています。
各種ユーベルコードとは別に、通常攻撃でキャバリアを破壊する毒霧を散布します。
『Distortion』への対策が不足している場合、皆様の機体に損傷が発生する危険性があります。ご注意ください。
なお、『Distortion』は追加装備であるためエンペラー・ノーライフの能力の範囲外です。すなわち、破壊可能です。
プレイングボーナスは、『エンペラー・ノーライフを行動不能にする手段』あるいは『エンペラー・ノーライフを降伏させる手段』です。
皆様、よろしくお願いいたします。
巨海・蔵人
アドリブ連携歓迎
◼️心情
それはそれとして閉じ籠って困ってるならね
こっちで風穴開けちゃおう!
◼️蔵人機?発信!
まずは時間稼ぎから、
指定UC!問題はぁ対キャバリアを選択、ポチっとな!
(伊Octopusをコアに無数のテレビウムドローンと放熱索が派手に合体してる様な映像が見えるが実際は地道に組み上がっていく)
行け!GTU、キャバリアでも生身でもないからそこそこ持つよ(アイキャッチと共に決めポーズ)
こっちももう一度ポチっとな!問題は食糧難(お天気お兄さんセットとテレビウム眼鏡が合体した防護服と増設サーバーを自身に接続、更に乗ってきたソーシャルトレーラーハウスと合体変形しつつ)
GTUの構成素材が減って縮んできても僕の方で随時生産して補充するから無問題(材料は無毒化したエヴォルグ量産型の骨等)
それを目眩ましにテレビウムドローンを補充以外にも帝国民と窮状を自己端末で撮影、自己ネットワークで多世界配信。
後は届いた気持ちを合体真の姿(仮)でライブでお届け、
ソーシャルディーバの基本機能の拡大解釈だから行ける筈
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
さて、それじゃはじめますか!
引き続きイグニシオンに[騎乗]
ここからは全力、真の姿イグニシオン・ソーリスで行くぜ
[範囲攻撃]で焔をまき散らして毒霧を[焼却]しながら戦う
さらに[結界術][オーラ防御]多重の防壁で中枢部への浸食を食い止め遅らせつつ[生命力吸収]で装甲を修復して出来るだけ耐久力を伸ばす方向で行こう
こちらの攻撃はもっぱら敵の追加装備狙いだ
焔の太刀と[斬撃波]による[2回攻撃]で攻め立てるぜ
けど戦闘はあくまで時間稼ぎ、俺達が今やるべきことは説得だ
って言っても俺達が最初に説得すべき相手は皇帝じゃない。周囲で皇帝を見守っている民たちさ。民を説得して皇帝への説得に力を貸してもらうんだ
俺達に敵意はないってのはキング達を見てもらってもわかると思う
今マシンに意識を乗っ取られようとしてる皇帝を救うために力を貸してくれ
あとは民と協力しながら皇帝を説得だ
さらにUCを使用
マシンによって高められた皇帝の[戦意]を奪い、言葉を届ける助けとするぜ
俺達は敵じゃない
リア・アストロロジー
●Distortion対策、ヨシ!
「だ、だからバリアーいるっていったのにぃ〜!」
「ちゅ……」
コンソールをペチペチ叩いて抗議(?)しながら、霧の濃い場所を避けて逃げ回ります。
ふくら雀っぽい姿が段々スマートになっていってしまう……かも?
「高度を取ることも難しいし、戦闘で気流が……影響は避けられそうにありませんね」
●説得
キング・デュラハンさんにご協力いただいて、先ずは彼の近しい人から誤解を解いてその輪を広げていきたいです。
わたしたちは仕返しに来たわけではありません。
本当はもう、王様が戦う意味だってないはずなんです。
説得はドローン(メルキオール)やUCの精神感応で可能な限り拡散。
同時にカスパールとバルタザールも展開して民間人に被害が出ないように情報収集と味方への共有、万が一出そうな場合は重力場を展開して保護できるように備えますね。
恐怖ではなく親愛や敬愛の感情も糧になるのなら……
UCで接続した国民の方たちの抱くその感情に同調して「わたし」という端末を通して僅かでも王様に届けられるか、やってみます。
結城・有栖
相手は状態異常特化って感じの機体ですね。
「対策をしないとキャバリアでも危険ダネー。
準備はできてるカナ?」
ええ、任せてください。
私はトラウムの力を信じます。
今回もトラウムに乗って出撃です。
まずはシュトゥルムシステムで風の【オーラ防御】を纏い、機体を飛翔させます。
風に【浄化】も加えて相手の毒霧や鱗粉にも対策です。
そして、UCで雷の魔鳥さんを呼んで上から鉤爪で攻撃してもらいましょう。
雷で出来た魔鳥さんの【マヒ攻撃】で感電させて動きを鈍らせ、追加装備の破壊も狙います。
動きが鈍ったら魔鳥さんに雷で【追撃】してもらいます。
反撃による攻撃は【野生の勘】で【見切り】、上手く【操縦】して【軽業】で回避です。
メサイア・エルネイジェ
このメサイアとヴリちゃんが和平交渉に…聞く気が無いご様子なので暴力で円満解決致しますわ〜!
噴霧兵器という事はそんな遠くに届かないという事ですわ
少なくともロングレンジキャノンより射程は短い筈ですわ
なので距離を取って戦いますのよ
戦場が霧だらけになってしまったらブレイクブラストで地形ごと吹っ飛ばして差し上げますわ〜!
ついでに死の土地の上書きも出来ますわ
邪魔ですわよ市民の方々!
見せもんじゃねぇんですのよ!
おどきにならないとおミンチですわよ〜!
そして地下帝国には天井があるのですわ
天井をぶっ壊せば落ちてくるのですわ
瓦礫でノーライフ皇帝を生埋めにしてしまうのですわ
あ、もうお亡くなりになられておりましたわね
鍋島・小百合子
SPD重視
他の猟兵との連携可
貴殿の臣下を送り届けに参った次第であるが、そちらと同じ轍を踏んだようじゃな
なればわらわ達のみを相手取った戦によって話をつけるぞ
「任せよ。奥の手とやらをどうにかしてしんぜよう」
引き続き【勝鳥】騎乗
侵略者なれど無辜の民を傷つけぬよう善処
皇帝機の乗る機体の足止めと追加兵装の対処を担う
毒霧には薙刀型兵装「霊峰天山」を手元で回しては風車の如く吹き飛ばし、
敵の攻撃には残像を纏いての撹乱しつつ回避を重視
敵の動きが追いきれぬ場合にUC「冷厳冬将軍」発動
「霊峰天山」より戦場に吹雪を起こし、氷結効果により敵の動きを鈍らせては胸部機関砲の零距離射撃で追加兵装の部位破壊を試みる
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
…コクピットから引きずり出すにしても説得するにしても…あの『Distortion』と毒が厄介…まずはあれの無力化だ…
…『Lost paradise』に対応して【新世界の呼び声】を発動…
…戦場全体を私の世界に交換…そして『浄化しろ』の一言で土地を浄化してしまおう…
…そして『Diffusion』の左手に装備されている『Distortion』に復元浄化術式【ハラエド】で浄化の魔力を込めた魔法の矢で集中攻撃…
…普通に破壊すれば毒霧が舞い散ってしまうけど…漏れる端から浄化出来る今でなら対応出来る…世界法則の強制力を借りて噴霧される毒霧を無毒化しながらたたき壊すよ…
●開戦前口上。
エンペラー・ノーライフが騎乗するエヴォルグ玖號機『Diffusion』が、黒い鱗粉と毒の霧を散布しながら猟兵たちに向かって来る。
凶悪な様相のオブリビオンマシンを前にして、猟兵たちは誰一人臆することなく刮目する。
セイヨウ帝国とマクドナルド王国の戦いに終止符を打つのだと、それぞれの力を十全に発揮するべく立ちはだかる。
前衛に立つのは、漆黒の武者型のスーパーロボットと蒼い焔を湛える最新鋭のキャバリア。『勝鳥』と『イグニシオン』だ。
「貴殿の臣下を送り届けに参った次第であるが、そちらと同じ轍を踏んだようじゃな。
なればわらわ達のみを相手取った戦によって話をつけるぞ」
「ああ。それじゃあ、話の前にひとつはじめますか!」
『勝鳥』に騎乗する鍋島・小百合子と『イグニシオン』に乗る久遠寺・遥翔は、目を合わせ意図を通じ合わせていた。
エンペラー・ノーライフを無力化することだけではなく、その先を見据えて行動するために。
遥翔は真の姿、蒼い光を纏う『イグニシオン・ソーリス』としての姿を見せながら焔の太刀『機神太刀"迦具土"』を構え、小百合子は薙刀型兵装『霊峰天山』を『勝鳥』の手元で回して意気を見せる。
「ここからは全力で行くぜ!」
「任せよ。奥の手とやらも、どうにかしてしんぜよう」
そして、メサイア・エルネイジェは『ヴリトラ』と共に戦意高揚している。
「このメサイアとヴリちゃんが和平交渉に……聞く気が無いご様子なので暴力で円満解決致しますわ~!」
『勝鳥』と『イグニシオン』の後方、『Diffusion』の武装の射程圏外で『BS-B二連装ロングレンジビームキャノン』の砲口を光らせて、今か今かと砲撃のタイミングを見計らっている。
「噴霧兵器という事はそんな遠くに届かないという事ですわ。
少なくともロングレンジキャノンより射程は短い筈ですわ。
なので距離を取って戦いますのよ!」
シンプルにして最適な対策を練り、決定打を叩き込むチャンスを見逃さないようメサイアは目をパッチリを開いている。
「相手は状態異常特化って感じの機体ですね」
「能力がまさに王って感じだね……」
メサイアと同じく後衛に位置する結城・有栖とメンカル・プルモーサも、それぞれの愛機であるサイキックキャバリア『トラウム』とキャバリア風搭乗型ガジェット『ツィルニトラ』に騎乗している。
冷静に敵の能力を分析している二人に、『オオカミさん』が声をかける。
「対策をしないとキャバリアでも危険ダネー。二人とも、準備はできてるカナ?」
「ええ、任せてください。私はトラウムの力を信じます」
「……ん。……コクピットから引きずり出すにしても説得するにしても……あの『Distortion』と毒が厄介……まずはあれの無力化だ……」
味方の猟兵たちをサポートするための手筈を整え、有栖は『シュトゥルムシステム』を稼働させ、メンカルはユーベルコードの詠唱を開始する。
一方、巨海・蔵人は一人、キャバリアを借りず持たずに戦場へ参じていた。
持ち込んだ大型種族用の『ソーシャル・トレーラーハウス』の横に立ち、そこかしこにいるセイヨウ帝国の住民たちを見渡して懸念していた問題が合致していたことを確信する。
「ふむ。やっぱり餓え、か……なら、みんなに伝えた作戦で問題無さそうだ。
それはそれとして閉じ籠って困ってるならね。こっちで風穴開けちゃおう!」
眼鏡をキランと光らせるバイオモンスターのソーシャルディーヴァが、戦いに巻き込まれないよういそいそとトレーラーに乗り込んで準備を始める。
そして。
蔵人とは別の意味で戦闘が困難な、スズメ型スーパーロボット『ちゅんちゅんさん』に乗るリア・アストロロジーは、コンソールをペチペチ叩いていた。
「だ、だからバリアーいるっていったのにぃ~!」
「ちゅ……ちゅちゅん……」
「この機体、射撃兵装どころか、防御用の装備もないとか正気ですか……?」
『ちゅんちゅんさん』はパタパタと戦場上空を飛行し、リアは同乗しているキング・デュラハンに異常なものを見る目を向けられていた。
だが、きっと大丈夫だろう。
頼りになる仲間たちが、眼下で戦闘を開始するので。
「むむ……仕方ありません、蔵人さんたちと相談した予定通りに!
わたしにできることをやります!
キング・デュラハンさん、ご協力をお願いします!」
「勿論です」
皇帝との戦いを戦友たちに託し、リアはリアの行える『闘い』を始めようとしていた。
戦場全体に、様々なものが伝播していく……。
●戦場に拡散するモノたち。
「行くぞ、人間たち! 『Diffusion』、国死拡散!」
開戦と同時にユーベルコードを発動させているエンペラー・ノーライフ。
『Diffusion』の機体から放出される黒い鱗粉が戦場全体に降り注ぎ、高い毒性を持つ瘴気が蔓延する死の土地へと変化させていく。
侵蝕型ユーベルコード《国死拡散『Lost paradise』》が、戦場を覆っていく。
「はわわ
……!」「大丈夫です、リアさん」
広く拡散していく黒い鱗粉から逃れるため高所を飛ぶ『ちゅんちゅんさん』の傍らに、飛翔する『トラウム』が寄り添う。
有栖は、搭乗したキャバリアに飛翔能力と鋼をも切り裂く烈風の力を与える『シュトゥルムシステム』を用いて風のオーラ防御を展開し、戦場の空気を掌握していた。
清浄な風に浄化され、『Diffusion』から放出される黒い鱗粉は猟兵たちやキャバリアを侵さない。
噴霧装置『Distortion』の毒霧も、至近距離でなければ清められて散るだろう。
「ありがとうございます、有栖さん!」
「こちらの、エンペラーさんとの戦闘は私たちお任せください」
「メンカルさんも浄化してくれるしネー」
「はい! まかせます!」
二機の眼下では、《国死拡散『Lost paradise』》が散布されてすぐに『ツィルニトラ』に騎乗するメンカルが毒霧と鱗粉を浄化する処置を行っていた。
有栖の風の防壁が空気中を保護する中、メンカルは戦場全域を浄化する術式を展開していく。
「新たなる世界よ、換われ、染めろ。
汝は構築、汝は創世。魔女が望むは万物統べる星の声……。
―――《新世界の呼び声(ハロー・マイワールド)》」
瘴気が蔓延する死の土地がすべからく、メンカルの意のまま『浄化しろ』の一言によって浄化されていく。
高速詠唱で紡がれたメンカルのユーベルコードは、戦場内を術者が構築した仮想現実世界に交換する《新世界の呼び声(ハロー・マイワールド)》だ。
「何と、これは……! 『Diffusion』の瘴気が、これほど迅速に除去されるだと!」
「……ん。……私の世界は侵せない……」
仮想現実の風景は基本的に現実と同等であるものの、「術者の意志が絶対上位の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
意志を明確に言葉にすれば低下量は増える。『浄化しろ』という簡潔で明確な意志は、戦場を汚す『Diffusion』の行動成功率を著しく低下させる。
《国死拡散『Lost paradise』》のもたらす死の土地に適応した者の行動成功率を上昇させる効果と相克し合い、削り取っていく。
「いやあ、流石だなメンカルさん。さて、と。僕も頑張らないとね」
蔵人はエンペラー・ノーライフの攻撃を避けるために『ソーシャル・トレーラーハウス』に乗り込み、ユーベルコードを使用して撮影を開始する。
それは激しい戦いを見届けるためであり、作戦を成功させるための布石であり、そして……セイヨウ帝国の食糧難に対処するためである。
「問題はぁ、対キャバリアと食糧難! ポチっとな!」
何処からともなく変形合体シーンのBGMが流れだし、『ソーシャル・トレーラーハウス』が輝いていく。
蔵人の有するビデオドローン『多機能双方向映像通信対応自律式テレビウム型・伊ーOctopus【まう】』をコアに無数のテレビウムドローンたちが合体する!
更には蔵人自身の髪である多目的ケーブル『放熱索』がトレーラーやドローンたちと接続し、派手に合体する!
実際にはこつこつと地道に組み上がっているのだが、そこはプロジェクションマッピングによる演出が光っている!
すごく目立つ。
「な、何だ! あれは、地上の秘密兵器か……!? 合体などさせんぞ!」
「よそ見をしている暇はありませんわよー!」
蔵人がユーベルコードを展開している光景に気を取られたエンペラー・ノーライフめがけて、メサイアが『ヴリトラ』の長距離二連装砲をぶっ放す。
攻撃が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形を破壊して制圧し、その上に立つ自身の戦闘力を高める攻撃型ユーベルコード《ブレイクブラスト》だ!
「ぶっ壊してさしあげますわ!」
「むぅ!? 何という破壊力か……!」
直撃を避けたエンペラー・ノーライフのであったが、瘴気に汚染された死の土地が消し飛び、その効力を失っていく。
ロングレンジビームキャノンの攻撃を受けてもエンペラー・ノーライフの能力により『Diffusion』が致命傷に至ることは無いのだが、痛いものは痛い。直撃すれば吹っ飛ばされることも間違いない火力だ。
エンペラー・ノーライフは浄化された戦場を適宜黒い鱗粉で汚染させながら連続して放たれるビームから逃れていく。
遠慮も容赦もなくぶっ放すメサイアの攻撃によってセイヨウ帝国の地形が吹っ飛ばされて、時々建物が吹っ飛ぶ。
カメラへの配慮はしているのか、セイヨウ帝国の住民たちに被害が及ばないよう狙っているようだ。
「邪魔ですわよ市民の方々ー!」
偶然のようだ。
閑話休題。
メサイアの砲撃により時間を得た蔵人は、最後に衣装である『御天気おにいさん風パーカーセット(使い捨てビニール傘風ユニット付き)』を装着し、眼鏡型ソーシャルデバイス『テレビウム眼鏡』をキラリと光らせ、変形合体を完了させる。
「行くよ! GTU! 全世界に配信開始!」
これこそ、《キマフュ流撮影デバイスVer:EVO(キマイラフューチャーロマンサーデバイス・コーリン)》!
蔵人自身の装備武器を状況と対象概念に対処可能なデバイスに変え、対象問題選択式変形合体能力と優位概念と成長進化能力を追加する、エモーショナル今週のビックリドッキリメカをポチっとなする、リミッター付き浪漫装置によるユーベルコードだ!
どういうことかというと、多世界へのネットワーク配信だ。
「あれは、新手のキャバリア……ではない?」
「これで、視聴者さんたちのいろんな気持ちがセイヨウ帝国の皆さんに届いていくはずさ。
画面の前のみんな、ぼくは現場の蔵人だよ。よろしくね~!」
アイキャッチと共に決めポーズを決める蔵人は、作戦の第一段階を仕込み、以降中継に専念する。
●戦闘経験の、技量の差。
蔵人が配信を始める中、動いたのはエンペラー・ノーライフだ。
蔵人の行いが何か判断がつかないため、ターゲットとして砲撃を続ける『ヴリトラ』を選んだ。
メンカルに浄化される世界、メサイアに吹き飛ばされる大地の中、わずかに残る汚染させた死の土地の上に立ち、エンペラー・ノーライフは次の手を打つ。
「砲撃戦は不利、ならば切り込むまでよ! 『Diffusion』、黒殲拡散!」
エンペラー・ノーライフはユーベルコード《黒殲拡散『Diffusion』》を稼働させる。
黒鱗粉の刃に施された四つの封印、理性低下、空気感染、凶暴化、衰弱を解除する毎に威力が増加する恐るべきユーベルコードだ。
敵に感染・侵蝕してその機体を黒く染める鱗粉を込めた刃を形成し、『ヴリトラ』を攻撃するべく加速する。
理性低下と凶暴化という二つの機能を解除した鱗粉の刃を握り、『Diffusion』が『ヴリトラ』に向かって突進する。
その前に割って入ったのは、『勝鳥』と『イグニシオン』だ。
『Diffusion』を『ヴリトラ』に近づけさせぬと、小百合子と遥翔がエンペラー・ノーライフに接近戦を仕掛ける。
『ヴリトラ』の砲撃がちょっと収まる。
「侵略者なれど、無辜の民を傷つけるつもりはない!」
「今やるべきことを、するだけだ!」
「ええい、二人がかりであろうとも!」
触れるだけでも人やキャバリアに害を及ぼす黒鱗粉の刃は脅威ではあるが、見切りに長けている二人は掠ることもなく捌いていく。
『勝鳥』の機敏な動きが残像を纏って攪乱し、遥翔が展開するオーラの多重防壁が食い止める。
文字通りの意味で、当たらなければ問題は無いのだ。
ならばと、エンペラー・ノーライフは新兵器『Distortion』の毒霧を噴霧する。
刃の届く近距離に在る『勝鳥』と『イグニシオン』には、避ける時間はない。
だが……キャバリアの破壊用途に特化した粒子といえど、届かなければ意味はない。
「燃えろ、焼き尽くせ、イグニシオン!」
「我が薙刀に込めしは猛烈なる寒波を纏いし冷気の渦……轟け!」
遥翔は『イグニシオン』の蒼い炎を撒き散らし、毒霧を焼却する。
そして小百合子は『霊峰天山』を風車のように回転させ、ユーベルコード《冷厳冬将軍(アラシヲヨビシイテツクフユノキビシサ)》を発動する!
霊力を込めた薙刀から戦場全体に敵味方を識別する猛吹雪を放ち、氷結と凍傷の状態異常とダメージを与えるユーベルコードだ!
焼き尽くされた毒霧が立ちどころに吹雪に囚われ、広がることなく落ちて行く。
そして吹雪は『Distortion』の毒霧のみに留まらず、《国死拡散『Lost paradise』》で広まっていた周囲の黒い鱗粉すらも凍てつかせていく。
浄化が進み、『Diffusion』は行動成功率が低下する。すなわち、動きが鈍り攻撃も回避も困難な状況へと陥っている。
「まさか、これほどの力があるとは……!」
「わらわたちの役目は、貴殿の足止めと!」
「その追加兵装の破壊だ!」
動きが鈍った『Diffusion』は、『Distortion』を使用するために左手を構えたままだ。
伸ばされた手中の新兵器を挟み込むように、『霊峰天山』と『機神太刀"迦具土"』が叩き込まれる。
甲高い破砕音と共に、『Distortion』が粉砕される。
「なんだとっ……! 『Distortion』が……!
……すまぬ、ドクター・フランケンシュタイン……!
だが! この至近距離では中の毒霧が……あれ?」
壊れた『Distortion』から溢れ出る毒霧だが、『勝鳥』と『イグニシオン』に届く前に霧散して行く。
汚染や穢れ、毒、呪詛、汚れ、侵食等を浄化して、対象を正常な状態へ戻すメンカルの『復元浄化術式【ハラエド】』が、世界法則の強制力を借りて蔓延する毒霧を漏れる端から無毒化しているのだ。
「……一人で、全部やろうというのが敗因……。
……『Distortion』の毒霧も、『Lost paradise』の鱗粉も……もう害はない……」
「あとは、エンペラーさんを行動不能にして」「お話するだけダネ」
浄化されたセイヨウ帝国の上を飛ぶ『トラウム』の中から、有栖はユーベルコードをイメージする。
「来て、雷の魔鳥さん。あそこに獲物がいますよ」
「あれは……ハルピュイアか!」
《想像具現・雷の魔鳥(ソウゾウグゲン・サンダーハーピー)》。
アリスナイトである有栖の想像から具現化したハーピーが、急降下して鉤爪で『Diffusion』に掴みかかる。
キャバリアでこそないが雷の体を持つ魔鳥は有毒装甲の影響を受けることなく、強力な雷を追撃する。
生体キャバリアであるがゆえに効果的で、電撃により『Diffusion』が硬直する。
「ぐああああ!!」
「観念するがよいぞ、えんぺらあ殿!」
「ぐっ……! まだだ、『Diffusion』! 起動せよ、狂機拡散!」
感電と《冷厳冬将軍》による凍傷で動きが鈍りながらも、エンペラー・ノーライフは最後のユーベルコードを稼働させる。
《狂機拡散『Trance』》。
《国死拡散『Lost paradise』》が広範囲に散布する国土汚染型ユーベルコードならば、《狂機拡散『Trance』》は自己強化型ユーベルコードだ。
キャバリアの中枢を侵蝕して暴走させる黒い鱗粉を利用して、自己進化する事で自身を強化するのだ。
「まだだ、余は、無様に負けるわけにはいかんのだ! なぜならば!」
『Diffusion』から再び、大量の黒い鱗粉が放出される。
メンカルに浄化される前に『Diffusion』を侵食した黒い鱗粉が、エンペラー・ノーライフの能力『ノーライフ・ノーキング』と組み合わさり、防御を考慮しない攻撃能力に特化した機能強化を可能とする。
黒鱗粉の刃は、キャバリアの装甲を切り裂くほどの攻撃性を発揮するようになったのだ。
「余は皇帝」
エンペラー・ノーライフは《黒殲拡散『Diffusion』》の刃を両手持ちに切り替え、雷の魔鳥を振り払って黒い刃を振りかぶる。
直撃せずとも、触れるだけでキャバリアを刻み、たちまち暴走させる不浄の刃が猟兵たちに振り下ろされるまさにその時。
「おどきにならないとおミンチですわよ~!」
「エンっ!?」
不意に《ブレイクブラスト》がセイヨウ帝国の天井をぶっ壊した。
エンペラー・ノーライフの意識から抜け落ちるこの瞬間を狙いすましていたのだ。
これには、他の猟兵たちも驚愕する。
「おおーっと」「ちょ、ええっ!?」「はわっ!?」
「おー」「派手だネ」「メサイア殿
!?」「……」
有栖が『シュトゥルムシステム』で守っているため飛翔しているリア共々無事であり、《狂機拡散『Trance』》の発動を見て一時的に距離を開けていた遥翔と小百合子は退避する猶予があった。
当然、後衛にいる蔵人とメンカル、砲手のメサイアは範囲外である。
よって、巻き添えとなるのはエンペラー・ノーライフとその乗騎『Diffusion』だけであった。
何の、かと言われると。
崩落による瓦礫の巻き添え、である。
「ぐわああああ!! あ……」
舞い上がる粉塵の中、エンペラー・ノーライフの悲鳴がピタリと止んだ。
煙が晴れたそこにいたのは、瓦礫の山に埋まっている『Diffusion』の姿だった。
「瓦礫でノーライフ皇帝を生埋めにしてしまうのですわ!
……あ、もともとお亡くなりになられておりましたわね」
何はともあれ。
勝ち誇るメサイアの勇姿が撮影されている中。
リアと蔵人、二人のソーシャルディーヴァによって行われていた『闘い』が決着を見せる。
●どうか未来のために。
事の発端は、セイヨウ帝国の住民たちが感情を得られずに飢えるという状況だ。
それ故に蔵人はクロムキャバリアの地下に存在したセイヨウ帝国の窮状を、自己端末で撮影してライブ中継していた。
視聴者の感じた気持ちを、感情を届けることで彼らが餓えることがないようにするためだ。
蔵人はエンペラー・ノーライフとの戦いの最中、これまで得られた情報をテロップで流しつつ、そしてリアのインタビューを字幕を添えて放映していた。
「恐怖ではなく、親愛や敬愛の感情も糧になるのなら……」
そしてリアが『ちゅんちゅんさん』と共に戦場をパタパタ飛んでいたのは、遊んでいた訳ではない。
ユーベルコード《暁を残して(アカツキヲノコシテ)》の影響範囲である戦場全体の……物陰から戦場を見ているセイヨウ帝国の住民たちを対象に、精神感応で可能な限り拡散―――リアを核とした精神感応によるネットワークを発生させていたのだ。
リアのユーベルコードで接続したキング・デュラハンを通して、セイヨウ帝国の住民たちの警戒心や恐怖心を解し、相互理解を進めていたのだ。
『Melchior(メルキオール)』、『Casper(カスパール)』、『Balthasar(バルタザール)』といったドローンを展開してセイヨウ帝国の住民たちへの情報伝達、撮影取材、そして誤射防止のためメサイアへの位置情報の提供といった活動を行い、今ここにいるセイヨウ帝国の情報を世界中に発信していたのだ。
もはや、今のセイヨウ帝国に飢えた民は一人もいない。
何より、地上で捕虜となった家族が無事にいることを知り安堵の想いに包まれていた。
そうした彼ら国民の抱く親愛や敬愛の感情を、リアは瓦礫の下にいるエンペラー・ノーライフに届けていく。
瓦礫によって身動きが取れなくなったエンペラー・ノーライフの心に、「リア」という端末を通して国民たちの感情、地上の人間たちの考え、そうした想いが伝わっていく。
「これは……! 飢えが消えて……なんと、兵たちが、プレアデスも
……!?」
「エンペラーさん……。わたしたちは仕返しに来たわけではありません。
本当はもう、王様が戦う意味だってないはずなんです」
リアの言葉に偽りがないと、《暁を残して》がエンペラー・ノーライフに伝えている。
それでもなお、エンペラー・ノーライフは『Diffusion』から降りようとはしない。
オブリビオンマシンの機能が、戦いを終わらせようとしない。
「……だが、余は、余には戦争を仕掛けた責任が……最後まで戦う責務が……!」
「……言葉だけじゃまだ足りないってんなら、言葉を届ける助けとするぜ」
身動きが取れない『Diffusion』に、『イグニシオン』が歩みよる。
このために、遥翔は『Diffusion』との戦いで力を温存していたのだ。
相手を叩きのめすのではなく……説得するために。
「熱情を食らいて燃え上がれ、焔籠!
《戦意を食む焔籠(ネガティブ・プリズン)》!」
燃え上がる焔籠が、『イグニシオン』を中心として半径100m以上を覆い尽くし、『Diffusion』を巻き込んでいく。
熱を持たない焔の籠が奪うのは命ではなく、敵の戦意。
オブリビオンマシンによる精神汚染で好戦的となっている、エンペラー・ノーライフの戦意を吸収して焼き尽くしているのだ。
メンカルと有栖がもたらす清浄な空間で、明るい焔に包まれたエンペラー・ノーライフが『Diffusion』の中から猟兵たちを見つめる。
「……お主たちは、いったい……何者なのだ……」
「わたしたちは、……猟兵です」
「俺達は敵じゃない」
二人の誠意ある言葉を受けて、エンペラー・ノーライフは黙ってハッチを開く。
セイヨウ帝国の皇帝は自ら『Diffusion』のコックピットから降りた。
あとは、後続の使節団と和平交渉を行うことで決着がつくだろう。
今ここに、セイヨウ帝国との戦いは、終結を迎えた。
……セイヨウ帝国との、戦いは。
●蠢動。
「―――ふぇっふぇっふぇっ」
どこからともなく、老人の声が木霊する。
戦いはまだ……終わらない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『キング・オブ・ガルトゥーウ』
|
POW : ガルトゥーウ・スタイル
【突進などよろめかせる攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【大質量剣の一撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : D2転用iADS、バトルモード・シフト
【背面推進器を動力炉と直結する事で戦闘形態】に変形し、自身の【機体消耗、パイロットの継戦能力】を代償に、自身の【背面から過剰エネルギー放出、大幅に出力】を強化する。
WIZ : キング・オブ・ジャッジメント
【外套装甲と合体した両肩の支援機】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
●断章:セイヨウ帝国の真実!
「―――ふぇっふぇっふぇっ」
「この声は……!」
地下のセイヨウ帝国に響き渡る老人の声。
その声の主こそ、セイヨウ帝国の住民たちは人間から向けられた恐怖の感情を食糧とするのだと伝えた人物。
そして、数多のオブリビオンマシンを提供した人物。
謎の科学者、ドクター・フランケンシュタインの声だった。
「陛下、諦めるのはまだ早いですぞ」
「おお、ドクター・フランケンシュタイン! いったいどこに……。あ、いや、もう大丈夫なのだ!
猟兵が脳内に直接伝播してくれたのだが、恐怖の感情以外でも我らは餓えずに済むというのだ!
それに、地上に送った兵士たちも皆無事だという! だからもう、」
「はあ……。知ってしまいましたか」
「……ドクター・フランケンシュタイン?」
会話している隙に猟兵たちがドクター・フランケンシュタインの居場所を探ろうとするが、見つからない。巧妙に身を潜めているのか、何かの手段があるのか……。
困惑するエンペラー・ノーライフをあざ笑うドクター・フランケンシュタインが、どこからか声だけを送っている。
「もとより、貴様らはわしが発掘したがゆえに冬眠から目覚めたのじゃよ。
わしという人間の感情を糧としてのぅ?
お主らは頑丈で、特殊な能力を持ち、そのくせお人好しで騙しやすい……。
ふぇっふぇっふぇっ、実に扱いやすい実験体じゃったわい」
「なん……だと……」
驚愕の真実に、その場で立ち尽くすエンペラー・ノーライフ。
キング・デュラハンを含めたセイヨウ帝国の住民たちもみな、ドクター・フランケンシュタインの言葉にひどく動揺しているようだ。
それほどまでに、信頼を寄せていたのだろう。
「もう少しオブリビオンマシンや兵装のデータを取りたかったところじゃが……こうなっては仕方がないのぅ。
最後に、わしの秘密兵器のデータを取らせてもらおう!
起動せよ、セイヨウ・ピラー!」
ポチッという音と共に、地下帝国が激しく振動する。
そして、セイヨウ帝国の中枢部の天井から水晶の柱が生えてくる。
天井がとある猟兵の攻撃目標となった際にはドクター・フランケンシュタインは焦ったが、彼にとっては幸いなことにこの仕掛けは無事だったようだ。
「これが、貴殿の言っていた秘密兵器……!?
ま、待て、ドクター・フランケンシュタイン! もう戦う必要はないのだ!」
「黙れ怪物! 実験動物風情がさえずるでない!
貴様らはわしの実験に従っておればよい!
行け、『殲術再生弾(キリングリヴァイヴァー
)』……!」
セイヨウ・ピラーと呼ばれた柱から巨大な光条が飛来して、直下にいるエンペラー・ノーライフとエヴォルグ玖號機『Diffusion』に照射される。
そして、『Diffusion』が融解してエンペラー・ノーライフと混ざり合う。
「な、なんだこれは? 何をする、うっ……!? ……ぐ、あ、身体、が……!」
「ふぇっふぇっふぇっ。
さてさて、エヴォルグシリーズのような生体キャバリアを参考にした……。
生身をオブリビオンマシンに変形させる新兵器『殲術再生弾』!
その効果、猟兵相手に試させてもらおうかのぅ!」
猟兵たちの目の前で、原形を留めぬオブリビオンマシンと融合したエンペラー・ノーライフの身体が最終形態へと変形する。
5m級の、並のキャバリアに匹敵する大きさになったエンペラー・ノーライフが、苦し気に出現した武装を展開する。
「あああ……! 身体が……言うことを、効かぬ……!
やめろ、止めてくれ、ドクター・フランケンシュタイン……!」
「ふぇっふぇっふぇっ! さあて、あとはデータをとりつつ……逃げるとしようかのぅ。
猟兵に捕まってしまっては、新しい実験もできぬのでな。……ああ、それと」
再び、ポチッという音と共に、地下帝国が激しく振動する。
今度は何が生えてくることもなく、次々にセイヨウ帝国の外周壁や建造物が爆発していく。
仕掛けられた爆発物により、地下帝国が崩壊し始めているのだ。
わたくしのせいではありませんわよー!? という誰かの叫びが聞こえてくるが、その通りです。
「立つ鳥跡を濁さずというのでのぅ。
実験場はしっかりと、自爆スイッチで片づけて行くとしよう。
では、陛下よ。猟兵相手に健闘してくだされよ? ふぇっふぇっふぇっ!」
その声を最後に、ドクター・フランケンシュタインの声は届かなくなる。
だが、映像や音声、電波などの通信が届く距離にはまだいるはずだ。
探そうとすれば見つけることができるかもしれないが……。
今まさに、セイヨウ帝国の住民たちが崩落に巻き込まれようとしている。
幸い、猟兵たちの行動によりセイヨウ帝国の住民たちの所在はすべて把握している。
迅速に対応すれば、ドクター・フランケンシュタインの自爆装置に巻き込まれる前に住民たちを地下通路まで、地上まで避難させることはできるだろう。
だが……。その前には、一つの障害がある。
オブリビオンマシンと化した、エンペラー・ノーライフだ。
「エンペラ・ノーライフ様ー!」
「ああああ……! 猟、兵、殿……! 頼む……助けて、くれ……!」
なおも『殲術再生弾』を照射し続けるセイヨウ・ピラー。
その光を浴びているエンペラー・ノーライフは、大質量の剣を手に猟兵たちに襲い掛かる。
幸い、巨大化したエンペラー・ノーライフの攻撃目標はキャバリア―――すなわち、猟兵たちだ。
相対して時間を稼げば、住民たちが避難する猶予は得られるだろう。
もっとも……そのまま放置すれば、オブリビオンマシンへと変形を遂げたエンペラー・ノーライフがどうなるかわかったものではない。
「余の……帝国の、民を……! ぐ……助けて……! 頼むっ……!」
エンペラー・ノーライフの自我は、まだ『殲術再生弾』の影響を受けずにいる。
今ならば、まだ。間に合うかもしれない。
選択は多く、やるべきことが重なっていく。……できることは限られている。
ドクター・フランケンシュタインを探すか。
セイヨウ帝国の住民たちを救うか。
エンペラー・ノーライフを救うか。
猟兵たちは、優先順位をつけなければならない。
爆発と崩落の音が木霊する中……地下帝国の終焉が始まる!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※オブリビオンマシンと融合したセイヨウ帝国の皇帝『エンペラー・ノーライフ』との戦闘です。
地下帝国の本拠地ですが、キャバリア戦を行うのに十分な広さや高さはあります。
エンペラー・ノーライフはオブリビオンマシン『キング・オブ・ガルトゥーウ』と同等の戦闘能力を有しております。
有毒装甲は喪失していますが、殲術再生弾の光によるものか、全体的に戦闘力は底上げ強化されています。
また、不死っぽい能力『ノーライフ・ノーキング』は機能を停止しているため、殺害可能です。
なお、時間をかければドクター・フランケンシュタインの仕掛けた自爆装置の爆発に巻き込まれることになります。
自爆装置を解除する方法はありません。ご了承ください。
今回の第三章は、選択するプレイングボーナスによってシナリオの結末が変動します。
それぞれのプレイングボーナスに関わる成功度で得た青丸(🔵)が5つ以上ならば、その内容が達成されます。
複数のプレイングボーナスを選択した場合、判定は難易度が難しい方を優先して行い、青丸も折半されます。ご注意ください。
(二つのプレイングボーナスを選択して大成功の結果を得た場合、それぞれに1.5ずつ配分します)
プレイングボーナスを利用しない場合(サポートなど)、『エンペラー・ノーライフを倒す』として扱います。
・プレイングボーナス
『ドクター・フランケンシュタインを探す』
今回のシナリオの目的には関係ありませんが、今後の被害を未然に防ぐ意味では重要かもしれません。
成功度が不足している場合、そのままどこかに逃げ去ります。
ドクター・フランケンシュタインが現在どこにいるか、逃走手段や逃走経路は何かといった手がかりが少ないため、判定の難易度は「やや難」として扱います。
『セイヨウ帝国の住民たちを避難させる』
今回のシナリオの目的、マクドナルド王国とセイヨウ帝国の和解・国交樹立を達成する条件の一つになります。
エンペラー・ノーライフを助けられなくとも、こちらが達成できていればシナリオ成功となります。
成功度が不足している場合、多くのセイヨウ帝国の住民が生き埋めになり消息を絶ちます。
第二章にてドローンやユーベルコードで住民の所在を把握しているため、判定の難易度は「やや易」として扱います。
『エンペラー・ノーライフを助ける』
今回のシナリオの目的、マクドナルド王国とセイヨウ帝国の和解・国交樹立を達成する条件の一つになります。
セイヨウ帝国の住民を避難できなくとも、こちらが達成できていればシナリオ成功となります。
成功度が不足している場合、死亡します。
『殲術再生弾』による謎の作用が完了する前にセイヨウ・ピラーを破壊することで、救助することができます。
操られているエンペラー・ノーライフは、このプレイングボーナスを選択した猟兵を優先して攻撃する傾向があります。ご活用ください。
『エンペラー・ノーライフを倒す』
もっとも簡単な解決策です。暴力ですべてを解決する。
上記3つのプレイングボーナスに関わらない場合の選択肢です。成功度を達成しても特に何もありません。
殲滅して後顧の憂いを断ち、地下通路に待機している使節団を安全に連れて戻る場合にはこの選択が良いかもしれません。
和解や国交樹立も、セイヨウ帝国が滅ぶのであれば無理に行う必要はないでしょう?
注意事項としては、この場にはプレアデスの一人、キング・デュラハンがいます。
それでは、皆様。よろしくお願いいたします。
カシム・ディーン
機神搭乗
「ご主人サマ!セイヨウ帝国が大変な事になってるよ!」
そのようだな…しかも分かりやすい外道もいるみてーだが…
まぁ…このまま全殺しってのはちと夢見が悪いな
「それならご主人サマ!ドクター君を探しつつ住民を助けられるいい方法があるよ!勿論夏の」
いわんでも分かるわっ!畜生…やるしかねーのか!
UC発動
【属性攻撃・迷彩】
僕と本体は竜眼号に乗りつつ光学迷彩で隠れ水の障壁で熱源も隠蔽
幼女軍団
【念動力】
10師団は主の護衛
念動障壁展開
残り
「「ひゃっはー☆」」
【視力・戦闘知識・救助活動・医術】
圧倒的物量で住民の救助活動と戦術における隠し通路や隠れ家的な物の捜索も同時に行う!
怪我人は夜影ちゃんも手伝い治療!!
●殺伐とした地下帝国に幼女が!!
「ご主人サマ! セイヨウ帝国が大変な事になってるよ!」
「そのようだな……しかも分かりやすい外道もいるみてーだが……。
まぁ……このまま全殺しってのはちと夢見が悪いな」
緊迫する戦場に、新たな猟兵が降り立った。
界導神機『メルクリウス』に搭乗して駆け付けたのは、自称天才魔術盗賊カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)。
名の知れた腕利きの、若きベテラン猟兵だ。
「それならご主人サマ!
ドクター君を探しつつ住民を助けられるいい方法があるよ! 勿論、夏のよ」
「言わんでも分かるわっ! 畜生……やるしかねーのか!」
パートナーである『メルクリウス』は、銀髪少女形態メルシーとしてカシムに進言する。
それは、現状を打破する最適な一手にして……とても、とてもすごいことになるユーベルコードを使用することである。
苦渋に顔を歪めたカシムは、ユーベルコードを起動する。
「ご主人サマ! いっくよ~♪」
「しょーがねーな! やってしまえ、メルシー!」
「「「はーい☆」」」
カシムの許可を得て、大量のメルシーがセイヨウ帝国に蔓延っていく。
これぞ、《対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)》!
カシムと同じ強さを有する幼女メルシーと小型化したキャバリア武装を、1270個師団召喚するユーベルコードである!
……もう一度繰り返す。
1270個師団、召喚するユーベルコードである!
※師団とは軍隊の編成単位の一つであり、大雑把に五千人から一万人くらいの大人数です。
はい。
「10師団は僕たちの護衛に残れ。それ以外は、手分けして助けて探せ!」
「「ひゃっはー☆」」
崩落が始まるセイヨウ帝国の中を幼女が蔓延って行く。
数多くのメルシーたちが数人ごとに分散して、セイヨウ帝国の住民たちの救助と避難誘導を行っていく。
小型化した武装のおかげで、多少の瓦礫は撤去できるし、迎撃も可能だ。
倒壊してしまい人間では入れないような狭い場所もあるが、そこには影に変身できる犬が入っていく。
メルシーズに付き従うシバベロスの一種、影ベロスの『夜影ちゃん』だ。
こう見えて医術に精通している立派な救護犬である。
「わふわふっ!」
「ああ……! ありがとう、シバイヌっぽい子!」
「こ、このワンちゃん、怪我の治療をしてくれるのか……?」
「夜影ちゃん、ナイス♪!」「わふっ!」
次々に住民たちを建物から連れ出し、負傷者の手当ても施していく。
数は多いものの、目立った瑕疵はなく順調に救助活動が進んでいく。
しかし、いまだ安全とは言い難く、まだ脱出できていない住民も少なからず、いる。
一方で戦況だが、エンペラー・ノーライフは『殲術再生弾』に抗いながらも、猟兵たちに刃を振るっている様子だ。
足元を走り回るメルシーを狙うことはなさそうだが、巻き添えにならないよう立ち回りを強いられている個体もいる。
なにより、エンペラー・ノーライフが攻撃対象にならないよう抵抗しているとはいえど、外套装甲と合体した両肩の支援機《キング・オブ・ジャッジメント》の範囲攻撃に巻き込まれては、メルシーはともかく住民たちや、カシムに被害が及びかねない。
万が一カシムが手傷を負ってしまうと、せっかくのパンデミック・メルシーが一瞬で消えてしまうことになる。
カシムは、現地に安全圏を構築することにした。
「よし。僕がダメージを負うと解除されてしまうので。隠れるぞ」
「らじゃー♪」「みなさーん、こっちでーす!」
カシムとメルシーはプラント搭載時空帝竜大戦艦『竜眼号』を着艦させ、一時的な避難所として住民たちを招いていく。
どうやって持ち込んだんです?
『竜眼号』には電磁バリアも搭載しているほか、光学迷彩で隠れることにした。
ルーンシーフの面目躍如というのか、水属性の障壁を張ることで熱源の隠蔽も完璧だ。
そしてもしエンペラー・ノーライフの攻撃が飛んできても、外周にいる数万体のメルシーたちが『竜眼号』と住民たちを警護する。
あとはエンペラー・ノーライフが遠ざかった頃合を見て、ゆっくり動かして地上へと通じる地下通路に向かえばいい。
……しかし、プラントを搭載する戦艦が入れるとは……。
どうやら、セイヨウ帝国は広大なようだ……。
それはさておき。メルシー部隊から報告が入る。
「ご主人サマ! 玉座の後ろに隠し通路があったよ!」
「エレベーター発見! 上にまいりまーす!」
「よしよし、他の皆さんにも情報伝達だ。ドクターはどうやら上の方面にいるようです」
カシムたちの圧倒的な物量作戦は功を奏している。
ドクター・フランケンシュタインの足取りを辿り、メルシーたちが突撃して行く。
この調子ならば、尻尾を掴むことなく逃がすということにはならない、かもしれない。
快調な出だしで、カシムは無数のメルシーたちに指示を飛ばしていくのだった。
進捗状況。
『ドクター・フランケンシュタインを探す』:1.5
『セイヨウ帝国の住民たちを避難させる』:1.5
『エンペラー・ノーライフを助ける』:0
大成功
🔵🔵🔵
巨海・蔵人
アドリブ連携歓迎
◼️心情
あ、ひゃっはー!して良いんだ。
目の前に繰り広げられる惨状に僕は気づいてしまった。
って、思わずモノローグしちゃったけど、
わざわざ吹こうな雰囲気に合わせることもないよね?
なんか、そこはかとなく聞いた事あるような無い様な兵器なんかには負けないよ。
不幸なエンディングなんて雰囲気ブレイカーしないとね。
イイネもってかれそうだし。
ポチっとな!
◼️やる事、GTU分割。
避難者受け入れ用に僕の方はそのままでドローンも生産続けて、GTUは小分けして避難者救助に向かわせるね、子供や動けない人中心に数台単位で乗せて運んで、ついでにはぐれた人のマッチングに爆弾の位置の特定もしておくよ。
避難者の収容が終わったらトレーラーハウス部分を拡張して受け入れて、先に避難させておこう。
で、こそっとエレベーターをシャフトから後も追わせておくよ、顔の確認とか出来るかな?
僕はGTUと再合体キリングなんちゃらを物理的に塞いでみるお天気お兄さんセットの傘マイクロウェーブ発電ユニットでね?後、掘り出した爆弾もあげるよ
●人海戦術におかわりする戦場カメラドローン群。
「「ひゃっはー☆」」
「(あ、ひゃっはー! して良いんだ)」
巨海・蔵人は目の前を闊歩する無数の幼女神機『メルクリウス』たちを見て、思った。
幼女たちの引き起こす惨状……もとい、懸命な救助活動を見つめ、蔵人は笑みをこぼす。
「わざわざ不幸な雰囲気に合わせることもないよね?
なんか、そこはかとなく聞いた事あるような無い様な兵器なんかには負けないよ。
不幸なエンディングなんて雰囲気は、ブレイカーしないとね」
猟兵としても、そしてイイネを稼ぐためにも。
蔵人は克明に戦況を放送しつつ、自分に為せることを行うことにした。
蔵人は、先のエヴォルグ玖號機『Diffusion』との戦いで展開したユーベルコード、《キマフュ流撮影デバイスVer:EVO(キマイラフューチャーロマンサーデバイス・コーリン)》を再稼働させる。
状況に合わせて対処可能に変形するデバイスの、優位概念能力が現在の戦場に適応するべく成長進化する。
他世界に絶賛ネットワーク配信中の巨大合体テレビウムドローン、GTUが光り輝く。
それはまるで誘導灯のように、セイヨウ帝国の住民たちの注目を集めることとなる。
「さあ、回していくよ。ポチっとな!」
蔵人がスイッチを押すと、シャイニングGTUが分裂を開始する。
剥離する度に増殖していくGTUは、各『テレビウム・ドローン』を主軸にセイヨウ帝国の国土に展開していく。
小さな子どもや身動きの取れない住民を中心に、点灯するGTUが救助活動を行っていく。
(※被害者のプライバシー保護のため、モザイクを使用させていただきます。ご了承ください)のテロップも忘れない。
『殲術再生弾』の影響で戦場を駆けまわるエンペラー・ノーライフの突進―――《ガルトゥーウ・スタイル》に巻き込まれないよう、固まらずに分散して行動するドローンたちは、数台単位のピストン輸送で拡張した『ソーシャル・トレーラーハウス』に避難民を収容していく。
蔵人自身も、避難するセイヨウ帝国の住民たちを受け入れるためのドローンを生産し続け、『竜眼号』と連携して要救助者を受け入れていく。
エンペラー・ノーライフとの戦いは、専念する仲間たちを信じて託し……蔵人は安全を確保していく。
瓦礫や戦闘の余波を『御天気おにいさん風パーカーセット(使い捨てビニール傘風ユニット付き)』のエネルギー吸収と変換機能で耐え凌ぎ、蔵人は戦場全体へのサポートもテキパキとこなしていく。
「ついでに、爆発の衝撃ではぐれた人のマッチングして……。
あと、見つけた爆弾の位置の特定もしてマーキングしておくよ」
順調に進んでいく、避難誘導の最中。
救助活動を他の『テレビウム・ドローン』たちに任せて、多機能双方向映像通信対応自律式テレビウム型ドローン『伊ーOctopus【まう】』が、メルシーが発見したエレベーターのシャフトを伝ってこっそり上層部への偵察に向かう。
明かりのない暗い通路をまるでその場にいるかのような臨場感ある中継を続けながら、『【まう】』は幼女の師団と協力して探索を続ける。
「……!
……!」(ピコンピコンとアピールする【まう】氏)
「おっと。これはスクープかな?」
爆発の振動と、猟兵たちとエンペラー・ノーライフの戦闘の衝撃を感じながら……取材班は、ついに熱源を探知することに成功する。
カメラが向かった先で発見したのは、先端にドリルを取り付けた潜水艦のような乗り物だ。
おそらくドクター・フランケンシュタインは、この地底を掘削する潜航装置を取り付けた乗物に乗って、崩壊するセイヨウ帝国から脱出しようと考えているのだろう。
わちゃわちゃと幼女が跳梁跋扈する光景を撮影しつつ、ドクター・フランケンシュタインの捜索を続けていく。
「ん……これがさっき音声を届けてたマイクかな?
となると近くにいるね、ドクターなんちゃら……っと。
こちら中継の蔵人君です。たった今、ドクター・フランケンシュタインの潜伏先を発見しました。
まだドクター・フランケンシュタインの顔は撮影できていませんが、すぐ近くにいるようです。手の空いている方、急行をお願いします」
蔵人の送るレポーター風メッセージを聞いて、戦線を離れる猟兵がいる。
エンペラー・ノーライフの救出とセイヨウ帝国の住民たちの避難を仲間たちに任せ、トリニティ・ウィッチが追跡を開始した。
進捗状況。
『ドクター・フランケンシュタインを探す』:2.0
『セイヨウ帝国の住民たちを避難させる』:2.0
『エンペラー・ノーライフを助ける』:0
成功
🔵🔵🔴
メンカル・プルモーサ
●ドクター・フランケンシュタインを探す
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に騎乗)
…ここで自爆とは…浪漫の塊じゃん…なんと羨ましい…
さて…ノーライフは仲間に任せてDrを追うとしよう…
…秘密兵器のデータを取ると言った…つまりあの機体にデータ転送用の機構があるはず…
…そしてこの崩落なら…別の場所にデータ収集用の機械を置いてるはずも無し…手元の何かにデータを送っているはず…
…【我が身転ずる電子の精】を発動…片目と片耳を粒子化…
…オブリビオンマシンを『目視』してデータの流れを追って転送先…即ちDrを追うとしよう…
…損切りされたら厄介だから追う間は心理隠密術式【シュレディンガー】を使って身を隠しておこう…
魔女・ウィッチ
→ドクター探索
「あったま来たわ……きっちり落とし前付けさせてやるんだからっ!!」
『にゃあー!』
常時箒に騎乗
果実を食べエネルギー充填
真の姿、魔力解放
揮杖と魔導書構え騎乗突撃
「魔女照鏡(かがみ)よ、鏡!我が問いに応え、主の欲望を具現せよ!」
「逃げ出したクソヤロー(ドクター)の居場所とその方向を教えなさい!早くっ!!」
敵UC
高速詠唱
無酸素詠唱
多重詠唱
全力魔法
魔法剣1080本で本体と支援機の動きを封じつつ
鏡を盾にLv×100㎞/hで範囲外へ
魔法剣で支援機破壊
被弾は装束と下着で軽減
この場を他に任せ離脱
サーチしたクソヤローの周囲からも魔法剣1080本を直接創造し、足止めして逃亡阻止
その隙に追いつく
「出でよ、偉大なる魔女の使い魔達よ!遠慮は要らないわ!ボッコボコにしちゃいなさいっ!」
魔法剣と、指環の召喚術で呼び出した使い魔の群れでフルボッコ
その間に再詠唱
「あたしの魔法は、理不尽な運命を撃ち抜く力……この世から全ての涙を奪い去る為に必要な力っ!!」
無限の魔力を込めた揮杖からの魔砲で撃ち墜とす!!
●魔女たちの共演。
セイヨウ・ピラーから照射される『殲術再生弾』の影響を受けて、エンペラー・ノーライフがユーベルコードを駆使して猟兵たちと激闘を繰り広げている。
そんな中、二人の魔女が戦線を離れる動きを見せる。
トリニティ・ウィッチ、メンカル・プルモーサと偉大なる西洋妖怪の魔女・ウィッチ(偉大なる魔女のサーガ・f33446)だ。
「……ここで自爆とは……浪漫の塊じゃん……なんと羨ましい……」
「あったま来たわ……きっちり落とし前付けさせてやるんだからっ!!」
『にゃあー!』
ウィッチのお供の使い魔『魔女黒猫(ウィッチキャット)』のルナ・ノワールも同意するように鳴いている。
キャバリア風搭乗型ガジェットである試作型術式騎兵『ツィルニトラ』に騎乗するメンカルと、意思持つ瞬速飛翔箒『魔女灯箒(ウィッチブルーム)』に騎乗するウィッチ。
爆発し崩落するセイヨウ帝国の天井付近を飛翔する二人の魔女は、ドクター・フランケンシュタインを標的と定め戦場から距離を取る。
「さて……ノーライフは仲間に任せてDrを追うとしよう……」
「悪いけど、あんたの相手はみんなに任せるわ!」
だが、メンカルとウィッチにもエンペラー・ノーライフの攻撃は飛来する。
エンペラー・ノーライフと相対することなく、二人は持ち前の技量で受け流していく。
メンカルは静かに、心理隠密術式【シュレディンガー】を高速展開する。
これにより、エンペラー・ノーライフはもちろんのこと、ドクター・フランケンシュタインからもメンカルの存在を認識され辛くなる。
エンペラー・ノーライフの意識から外れるという技を駆使して、メンカルは《D2転用iADS、バトルモード・シフト》をスルーしては追跡に移る。
ドクター・フランケンシュタインに直接インタビュー(物理)を希望しているメンカルにとって、ここでドクター・フランケンシュタインを逃がすという手はあり得ない。
接近に気づいて逃げられないように、確実に捕らえるべく目立たないという選択をしたのだ。
「……秘密兵器のデータを取ると言った……つまりあの機体にデータ転送用の機構があるはず……。
……そしてこの崩落なら……別の場所にデータ収集用の機械を置いてるはずも無し……手元の何かにデータを送っているはず……」
ドクター・フランケンシュタインが身の安全を優先して逃げているのであれば手間がかかるが、逃走手段はすでに幼女たちが抑えている。
ならば、見つからぬよう身を潜めて『殲術再生弾』のデータ収集を続けているだろう。
それこそがメンカルの辿るルートとなる。
「我が体よ、変われ、集え。我は掌握、我は電霊。魔女が望むは電網手繰る陽陰。
―――《我が身転ずる電子の精(コンバート・テクノマンサー)》」
メンカル自身の身体部位をデータや信号に直接干渉できる粒子の集合体に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となるユーベルコード《我が身転ずる電子の精》が発動する。
メンカルの片目と片耳が粒子化して、データ化された感覚器がオブリビオンマシンと化したエンペラー・ノーライフを視て、聴く。
彼から送信されるデータの流れを、ドクター・フランケンシュタインの元へと転送されるデータの行き先を、メンカルは正確に感知する。
その行き先は、仲間たちの集めた情報に合致する、『【まう】』たちが発見した脱出艇の近くだった。
「……そこか……」
粒子化したメンカルの瞳が、ドクター・フランケンシュタインを睨みつける。
一方、エンペラー・ノーライフの外套装甲と合体した両肩の支援機による無差別攻撃《キング・オブ・ジャッジメント》による範囲攻撃を避けるべく、ウィッチはユーベルコードで対処する。
「さあ、弾幕あそびの始まりよ!」
得意の詠唱技能をフル活用させ、生み出したのは1080本もの魔法剣。
敵の数に応じた倍数の周囲に複雑に飛翔する魔法剣を放ち、敵の動きを一時的に封じるユーベルコード。
《欲望具現術「魔女の大いなる慈悲の剣」(ウィッチクラフト・グランミゼリコルディアスパーダ)》の権能だ。
ちなみに、このユーベルコードを使用している間ウィッチは時速10800kmで移動可能となる。
千を越える剣がエンペラー・ノーライフの支援機を打ちのめし、ウィッチへの接近を妨げる。
魔法剣たちが放たれた攻撃からウィッチを守る盾として広がり、その間にウィッチは主の様々な質問に答える『魔女照鏡(ウィッチミラー)』による情報検索を行う。
「魔女照鏡(かがみ)よ、鏡! 我が問いに応え、主の欲望を具現せよ!
逃げ出したクソヤロー(ドクター)の居場所とその方向を教えなさい! 早くっ!!」
『仰せのままに、我が主。……情報によると、こちらとなります』
喋る鏡が光を放ち、地下の外壁の一角を指し示す。
その土の先、一直線にいるのだろう。仲間たちから得た情報とも合致する。
とはいえ、そこに至る道のりは示されない……だが、ウィッチは迂回路を探すつもりはない。
「よろしい! 突っ込んでいくわよ! ……魔力解放!」
大いなる力をもたらす『魔女果実(ウィッチフルーツ)』をかじり、エネルギーを充填するウィッチ。
その姿は、オーバーロードにより真の姿を……偉大なる魔女の姿を露わにする。
ウィッチは『魔女揮杖(ウィッチタクト)』と『魔女導書(ウィッチグリモワール)』を携えて、壁に勢いよく突撃する。
千の魔法剣をその場に残し、ウィッチは溢れる魔力によるオーラ防御を纏って、土壁を強行突破で切り開き、道を作って行く。
二人の魔女が、邪な科学者に迫っていく。
●決着前の因果応報。
セイヨウ帝国の隠し通路の奥、人気のない廊下に置かれたロッカーの中。
端末を手に、記録装置を背負った老人が身を潜めていた。
「くっ! どこからこれだけの追加戦力が来たというのか……!
猟兵、やはり埒外の化け物共め……! これは想定外じゃ!」
今、まさに。セイヨウ帝国には大勢の猟兵たちが転移してきている。
増援として駆け付けた彼ら彼女らが、先行していた猟兵たちと連携して事態解決の為に動いてくれている。
エンペラー・ノーライフとの戦闘も、セイヨウ帝国の住民たちの避難も、順調に推移している。
そして、ドクター・フランケンシュタインの捜索も。
「脱出艇は珍妙な小娘共に見つかってしまったし……。
ここは隠れて、抜け出す隙を待つしかないのう……」
「……やあ、Dr……」
「ひょ!?」
突然、ドクター・フランケンシュタインの端末のディスプレイ画面に少女の顔が映し出される。
ハッキングしたメンカルの、デフォルメされたフェイスだ。
「なな、なぜこの端末が……!」
「……勧告するよ。五秒以内に投降するように……さもないと……」
「に、逃げねば!」
指折りカウントダウンを始める端末を捨てて、ドクター・フランケンシュタインは慌ててロッカーから飛び出す。
そして背負った記録装置すら捨てて身軽になろうとした、その時。タイムアップを迎える。
「見つけたわよ!!」
「ぎゃああああ!?」
壁を破ってウィッチがダイナミックにエントリーを果たした。
地中を掘削したとはいえ、途方もない速度で移動していたウィッチの発する衝撃波は、只人であるドクター・フランケンシュタインを吹き飛ばすには十分な威力であった。
余波で、老人の頭に取り付けていたつけネジが外れてどこかへ転がっていく。
「な、な、なん
……!?」
「出でよ、偉大なる魔女の使い魔達よ!
遠慮は要らないわ!ボッコボコにしちゃいなさいっ!」
床に転がるドクター・フランケンシュタインを取り囲むように、速やかに《欲望具現術》で大量の魔法剣を想像し、さらに『魔女従環(ウィッチリング)』から契約した使い魔の群れまで召喚する。
あっという間に、廊下が魔法剣と使い魔に埋め尽くされた。
過剰? いいえ、もっとやっても構いません。
「ぐ、ぐえええ……! く、くるしい……!」
「……ん……」
その様子をロッカー内の端末越しに見ているメンカルが、ドクター・フランケンシュタインの背中にある記録装置に目を付ける。
現在進行形でエンペラー・ノーライフから『殲術再生弾』のデータを受信し続けているデバイスだと察知する。
「……その装置、壊さないで回収して欲しい……何かわかるかもしれない……」
「わかったわ! さあ、クソヤロー! 年貢の納め時よ!」
「うう……! お、おい、ま、まて……やめろ……!」
ウィッチは使い魔に命じて記録装置を剥ぎ取らせる。
あとに残されたのは、剣と使い魔に囲まれて指一つ動かすこともできないドクター・フランケンシュタインの姿だ。
ウィッチは情け容赦なく、ドクター・フランケンシュタインに『魔女揮杖』を突きつける。
そこに込められた無限の魔力は、ドクター・フランケンシュタインが青ざめるほどの出力だ。
「ま、まってくれ……た、たすけて……!」
「あたしの魔法は、理不尽な運命を撃ち抜く力……!
この世から全ての涙を奪い去る為に必要な力っ!!
この国の人たちを傷つけた、あんたなんか!!」
ウィッチの放つ非殺傷の全力魔砲がドクター・フランケンシュタインを襲う。
膨大な、圧倒的な魔力の奔流の直撃を受け、恐怖のあまりドクター・フランケンシュタインは断末魔を上げて失神する。
「この程度じゃすまさないんだから!」
「……お見事……あとは、ノーライフと住民の避難、か……」
マクドナルド王国とセイヨウ帝国を巻き込んだ一連の騒動の黒幕を生け捕りにしたメンカルとウィッチは、仲間たちの戦闘が、そして避難が落ち着くまで待機することにした。
間もなく、彼らの戦いも決着がつくことだろう。
二人の魔女は、彼ら彼女らがエンペラー・ノーライフとセイヨウ帝国の住民たちを救うと確信して、戦況を見守っていく。
進捗状況。
『ドクター・フランケンシュタインを探す』:8.0、Complete!
『セイヨウ帝国の住民たちを避難させる』:2.0
『エンペラー・ノーライフを助ける』:0
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リア・アストロロジー
●心情?
「立つ鳥跡を濁さず」ってそういう使い方じゃないですよね!?
どちらかというと濁しまくってますよね!?(怒)
……はぁはぁ。
いけませんね、最近ちょっと怒りっぽくなってる気がします。
それより今は、セイヨウ帝国の皆さんの避難を完了させないと。
●救助活動
「それじゃ、お願いね」
Gravityを発動、ドローンたちに斥力を付与して展開。
避難する住民を誘導し、飛散物等から守らせます。
「だれも残しませんから……捕まえて、放しませんからね」
避難に応じない方や、逃げ遅れが出ないようにしたいです。
生まれ育った故郷が壊れて無くなるのは、きっと悲しい、けど……
「大切なひとが、いなくなってしまうのだって、とても悲しいです」
エンペラーさんは国民をとても大切に思っていたのでしょう。
自分だってピンチなのに。
「エンペラーさんはあなたたちのことを『頼む』と言ったんです。だから、わたしは……その想いを無駄にしたくない」
落下物や崩れた建物からは引力を奪い救助。
状況によっては住民の方をちゅんちゅんさんに引力で引っ付けて運びます。
●取りこぼすことなく。
「立つ鳥跡を濁さずってそういう使い方じゃないですよね!?
どちらかというと濁しまくってますよね!?」
「ちゅんちゅーん!!」
リア・アストロロジーは怒った。
かの邪悪なるドクター・フランケンシュタインの行い、セイヨウ帝国を爆破させるという所業に憤りを感じ、スズメ型スーパーロボット『ちゅんちゅんさん』のコンソールをペチペチと叩き、激しく噴出させる。
「……はぁはぁ。いけませんね、最近ちょっと怒りっぽくなってる気がします」
とはいえ、叫んだことでひとまず落ち着きを取り戻したのか。
リアは肩で息をしながら戦況を見る。
駆け付けた幼女の軍団や展開されたテレビウム・ドローンたちがセイヨウ帝国の住民たちを救助し、避難活動を開始している状況を鑑みて、今リアにできることを判断する。
「今は、セイヨウ帝国の皆さんの避難を完了させないと」
リアは『ちゅんちゅんさん』から身を乗り出し、精神感応でコントロールする各種ドローンたち、『Casper』『Balthasar』『Melchior』に一つ一つ触れていく。
そして、ユーベルコードを発動させて、その力を施していく。
「それじゃ、お願いね」
リアが発動したユーベルコードは、《Gravity(グラヴィティ)》。
リアと、リアに触れた対象の重力を操作するユーベルコードだ。
引力や斥力のエネルギーを数倍にして与えたり、数分の一に奪ったり、様々な応用が効く能力であり、リアの手から離れて行くドローンたちに斥力を付与して展開することで、落下してくる瓦礫や戦闘の余波で生じる飛散物から防護する役目を与えている。
激しくなる戦況、止まぬ爆発による落下物から、逃げるセイヨウ帝国の住民たちを保護して回っている。
「あ……ありがとう……!」
「だれも残しませんから……捕まえて、放しませんからね」
先程のエンペラー・ノーライフとの戦いの中でセイヨウ帝国に広く展開していた精神感応によるネットワークにより、リアは住民たちの所在をすべて掴んでいる。
逃げ遅れる者が出ないよう、各地にドローンを送り込み救助していく。
足場が崩れて入れない建物からも引力を操作して要救助者を取り出し、影ベロスの『夜影ちゃん』と連携して手当てと移送を行っていく。
『殲術再生弾』の影響で暴れるエンペラー・ノーライフが放つ《キング・オブ・ジャッジメント》の範囲攻撃は『ちゅんちゅんさん』に施した斥力で弾き、避難者を載せたGTUを引力で引っ付けて避難施設まで運送していく。
三者三様の的確な救助活動の成果により、セイヨウ帝国の住民たちの避難と収容は完了しつつある。
そんな最中、『ちゅんちゅんさん』と共に飛び回るリアが一角に固まる住民たちに接触する。
そこでは数名の年老いた西洋妖怪たちが座り込んでいた。
「……あっ、いた! おじいさん、おばあさん……! はやく避難しないと……!」
「ああ、地上の、猟兵さん……。いえ、わたしたちは、いいのです……もう寿命も近いし、今更地上に出たところで……」
「どうか、わしたちより、子どもたちや若者たちの面倒を見てください……お願いします……」
「……」
住み慣れた故郷を離れることに躊躇いを見せる者、自分たちに注ぐリソースを他に割いて欲しいと訴えかける者。
老い先短いからと見捨てるよう進言する彼らを前に、リアは静かに語り掛ける。
「生まれ育った故郷が壊れて無くなるのは、きっと悲しい、けど……。
大切なひとが、いなくなってしまうのだって、とても悲しいです。
みなさんがいなくなったら、助かった人たちも悲しむと思うんです」
リアの言葉には、心からセイヨウ帝国にかける思いやりが込められている。
ユーベルコード《暁を残して》により、キング・デュラハンを経由して相互理解を深めていたリアの偽りのない想いは、セイヨウ帝国の臣民に浸透する。
「エンペラーさんは国民をとても大切に思っていたのでしょう。
自分だってピンチなのに……エンペラーさんはあなたたちのことを『頼む』と言ったんです。
だから、わたしは……その想いを無駄にしたくない」
今、猟兵たちと刃を交えているエンペラー・ノーライフの精神は共有できてはいない。
それでも、戦いの前に皇帝が告げた言葉は、民の耳にも届いている。
その言葉を受けた猟兵たちの想いもまた、セイヨウ帝国の住民たちの心に届いている。
「いきましょう。一緒に生きて、未来を見届けましょう」
「お嬢さん
……。……わかった、もう少し生きてみよう」
「迷惑をかけて、すまないね……ごめんよ」
「そんなことはありません。さあ、行きますよ」
パタパタと飛翔する『ちゅんちゅんさん』が、最後の住民たちを連れて避難する。
避難誘導に従事した猟兵たちがすべての西洋妖怪たちを連れて移動を開始する。
『竜眼号』や『ソーシャル・トレーラーハウス』が、それらに随伴する武装した幼女たちが、地上に通じる地下通路へと退避して行く。
リアは、エンペラー・ノーライフと戦う仲間たちを見届けるべく、最後尾を守りながら目を見開いて崩れて行くセイヨウ帝国を瞳に焼き付けていた。
救うべき最後の命を連れて、みんなでいきていくのだと信じて。
進捗状況。
『ドクター・フランケンシュタインを探す』:Completed!
『セイヨウ帝国の住民たちを避難させる』:5.0、Complete!
『エンペラー・ノーライフを助ける』:0
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
わたくしのせいではありませんわよー!?
このままではわたくしが勢い余ってぶっ壊したみたいな雰囲気になってしまいますわ!
ノーライフ様ー!お助け致しますのでわたくしの無実を証明してくださいましー!
あのセイヨウ・おピラーをぶっ壊せばノーライフ様も正気に戻りそうですわ
ロングレンジキャノンで狙い撃ち…邪魔ですわよノーライフ様!
撃ち殺してしまいますわ!
致し方ありませんわね
拳でお話しさせて頂きますわ〜!
突進に合わせてヴリちゃん!ガンフューラーユニットパージ!
身軽になった瞬間にスラスターで横にささっと回避してラースオブザパワー!
顎で咥え込んでジャイアントスイングですわ〜!
投げ付ける先は勿論おピラーでしてよ!
結城・有栖
大変なことになりましたね…。
「まだ大団円とはいかないみたいダネ。
まずはやれることをやろうカ。」
そうですね…では、天井のあの水晶の柱を破壊しにいきましょう。
今回も続けてトラウムに乗って出撃です。
シュトゥルムシステムで飛翔させつつUCで総勢118名の乙女蜂兵団を呼び出します。
乙女蜂兵団の内、半分は天井近くまで飛翔してバズーカでセイヨウ・ピラーに攻撃をしてもらいます。
残りの半分は私と共に敵を足止めです。
シュトゥルムの烈風を放って牽制したり、麻痺属性のクロスボウを持たせた乙女蜂兵団の【集団戦術】を利用して撹乱します。
相手の攻撃は【野生の勘】で【見切り】、上手く【操縦】して【空中機動】で回避です。
鍋島・小百合子
『エンペラー・ノーライフを助ける』
他の猟兵との連携重視
【勝鳥】騎乗
焼ける故郷を背に落ち延びたわらわが今一度申し上げる
国とは民と主が支え合い作るもの!
主たる貴殿が導くのであろう?ならば足掻いてみせよ!
柱の破壊を行う猟兵らに攻撃が及ばぬよう先ずはこちらでえんぺらあ機を引きつけ
よろめき等を誘発する攻撃を残像と併せて見切りつつ、薙刀型兵装「霊峰天山」並びに胸部機関砲で反撃を的確に当てては動きを封じる(咄嗟の一撃、カウンター併用)
柱への攻撃の機が来れば「霊峰天山」と「鴉羽」を合体、UC「疾風怒濤【迅槍天山】」発動にて質量射出形態と化した天山を柱目掛けて撃ち込む(スナイパー、貫通攻撃、鎧無視攻撃併用)
シャルロット・ゴッドハンド
「ばぁー♪」
『とっても非力なかわいい幼精さんがエントリーしました』
ひっ!出たっ!と言う声がどこからか聞こえるかもしれません
敵UCに対し、パワーフードを食べて発揮値4600相当の怪力・超怪力・超破壊の体の攻撃力と、極めて強靭な妖精の体の防御力・超耐性な体の激痛耐性・超頑強な体のハイパーアーマー(常時よろけない)で対抗
幼精翔翅で飛翔して真正面から激突
逆に敵の巨体を撥ね飛ばし大剣強奪
怪力と防御力に任せて敵の攻撃や妨害を無視し、ピラーに大剣ブッ刺してお馴染み無敵潰艦鎚で杭打ち連打(無いなら素手
止めに【ちきゅうわり】の一撃を叩きつけピラー(地形)破壊
何か失敗事があっても極幸運な体できっとどうにかなる☆
●淑女たちの武闘。
ドクター・フランケンシュタインの捜索とセイヨウ帝国の住民たちの避難が進む中。
エンペラー・ノーライフは猟兵たちと激しい戦闘を続けていた。
セイヨウ帝国の天井から生えたセイヨウ・ピラー。
そこから照射される『殲術再生弾』によってエンペラー・ノーライフが変形したオブリビオンマシン、『キング・オブ・ガルトゥーウ』は両肩の支援機と大剣のみを武装とし、通常時は鈍重だが戦闘形態へ移行すると推進力が大幅に上昇する覇王の如しキャバリアだ。
その名を冠した突進攻撃《ガルトゥーウ・スタイル》の直撃を受けてしまえば最後、高威力高命中の大質量剣の一撃を以て粉砕されてしまうことだろう。
背面推進器(ブースター)による加速で戦場を縦横無尽に駆け回るエンペラー・ノーライフが、猟兵たちの乗るキャバリアに向けて大剣を振り回している。
「わたくしのせいではありませんわよー!?」
メサイア・エルネイジェの絶叫が戦場に響き渡る。
彼女と『ヴリトラ』の放った《ブレイクブラスト》でセイヨウ帝国の天井地盤が崩落した訳だが、元々そこにセイヨウ・ピラーが隠されていた訳であるし、セイヨウ帝国が崩壊していく爆発はドクター・フランケンシュタインにより仕掛けられた爆弾によるものだ。
冤罪だとみんなわかっていると思います。
「このままではわたくしが勢い余ってぶっ壊したみたいな雰囲気になってしまいますわ!
ノーライフ様ー!お助け致しますのでわたくしの無実を証明してくださいましー!」
「わ、わかっている、が、それより、はやく……!」
後衛に迫り来るエンペラー・ノーライフとぶつかり合うのは、前衛を務める鍋島・小百合子と鋼機『勝鳥』だ。
薙刀型兵装『霊峰天山』を振るって切り結び、突進する助走距離を与えないよう鍔迫り合いを繰り広げている。
重厚な騎士のような姿と化したエンペラー・ノーライフと鎧武者の意匠を拵えた『勝鳥』は肉薄し、幾度となく刃をぶつけ合っている。
「焼ける故郷を背に落ち延びたわらわが今一度申し上げる。
国とは民と主が支え合い作るもの!
主たる貴殿が導くのであろう? ならば足掻いてみせよ!」
「ぐうっ……ご厚意、痛み入るが……余がまだ、抑えられるうちに……!」
エンペラー・ノーライフは抵抗している様子だが、そう長くは持たないだろう。
ゆえに、一刻も早く為さねばならないことがある。
「大変なことになりましたね……」
『シュトゥルムシステム』を運用して飛翔を続ける『トラウム』に搭乗している結城・有栖は、頭上に生える水晶の柱を見上げる。
延々とエンペラー・ノーライフに謎の作用をもたらしている『殲術再生弾』を放ち続ける元凶、セイヨウ・ピラー。
あれを破壊すれば、エンペラー・ノーライフを救うことができるはずだ。
下手人であるドクター・フランケンシュタインが他の猟兵たちに身柄を確保されつつある今、更なる脅威が現れることもないだろう。
ここが決戦の分かれ目である。
「まだ大団円とはいかないみたいダネ。まずはやれることをやろうカ」
「そうですね……では、天井のあの水晶の柱を破壊しにいきましょう」
「あのセイヨウ・おピラーをぶっ壊せばノーライフ様も正気に戻るのですわね!
よーし、やって差し上げますわー!」
避難もある程度進んだ状況ならば、派手に立ち回っても被害者が出ることはない。
血気盛んな淑女たちが、各々の武装を確認して攻勢に出た。
●個に対するは集団の連携。
「という訳でロングレンジキャノンで狙い撃ちますわー!」
「ぐおっ!?」
「ぬぅ! いかん!」
『ヴリトラ』が『BS-B二連装ロングレンジビームキャノン』の照準を天井のセイヨウ・ピラーに定めると、『勝鳥』と白兵戦をしていたエンペラー・ノーライフが異様な挙動で飛び上がり、強引に射線上に割り込んだ。
そのままでは木端微塵に吹き飛ばしてしまう。
「ちょっと、邪魔ですわよノーライフ様! 撃ち殺してしまいますわ!」
「あがっ……すまぬ! 身体が勝手に……!」
「どうやらセイヨウ・ピラーを狙ったら守るように操作されているようですね」
慌てて射撃を停止する『ヴリトラ』に向けて、空中で方向転換して《ガルトゥーウ・スタイル》を仕掛けるエンペラー・ノーライフだが、その間に『勝鳥』が入り込み再び抑えにかかる。
『勝鳥』の胸部機関砲によるカウンター攻撃で動きを封じようとするが、『キング・オブ・ガルトゥーウ』の装甲に弾かれ有効打とはなり得ない。
『霊峰天山』の的確な一撃を叩き込むことで、ようやくエンペラー・ノーライフの動きが鈍る。
薙刀と大剣がしのぎを削り、火花を散らしている。
天井付近を飛ぶ『トラウム』がセイヨウ・ピラーを攻撃する態勢に入れば、すかさずブースターによる加速でエンペラー・ノーライフの妨害が入る。
『勝鳥』の攻撃を度外視する強引な挙動で、少なからず手傷を負っているもののエンペラー・ノーライフは休まることなく動き続けている。
三機のキャバリアを相手にしても縦横無尽に駆け回るエンペラー・ノーライフの戦闘能力は、エヴォルグ玖號機『Diffusion』を操縦していた時よりも格段に向上している。
これで、本領ではなく抗い続けているというのだから、『殲術再生弾』の脅威が察せられる。
「むう……動きこそ鈍重であるが、予想できぬ挙動を見せる。
えんぺらあ殿の意思とは別に、せいよう・ぴらあからの意思が宿っているのじゃろう。
倒そうと思えば何とかなるが……わらわ単騎では、手加減するのは厳しいのぅ」
「数が必要ですか? それなら、手数を出しますね」
上空を飛翔する『トラウム』の中で、有栖はユーベルコードを起動する。
それは、アリスナイトの想像具現能力。
有栖のイメージに従い、蜂娘のような外見をした少女たちが召喚される。
戦場に幼女が増えました。
「乙女蜂兵団の皆さん、出番ですよ」「「「ビー!」」」
《想像具現・乙女蜂兵団(ソウゾウグゲン・メイデンビーズ)》。
想像力で具現化した乙女の姿をした蜂の兵隊を召喚するユーベルコードだ。
任意の武装を有し飛翔能力と麻痺属性の攻撃手段を有する総勢118名の兵団が現れ、有栖の指揮に従い半分に分かれて行動する。
「ビー!」「ビー!」「ビー!」
「おお、同胞に似た……これはいったい、っと、いかんまた迎撃に動く……!」
半分はセイヨウ・ピラーへ接近し、残る半分は『トラウム』『勝鳥』と共にエンペラー・ノーライフの足止めに向かう。
セイヨウ・ピラーを守ろうと飛び上がろうとするエンペラー・ノーライフの動きを、『シュトゥルムシステム』のもたらす烈風と麻痺属性のクロスボウによる包囲攻撃がけん制し、《ガルトゥーウ・スタイル》の出鼻をくじく。
それでもなお強引に突破しようとするエンペラー・ノーライフだが、生じたその隙を小百合子は見逃さない。
「これだけの手勢があらば!」
「おお……! 猟兵殿……!」
乙女蜂兵団の集団戦術に息を合わせ、小百合子は『勝鳥』の機動力を活かして残像を出してエンペラー・ノーライフの背後を取る。
『霊峰天山』による強打を叩き込み、突進用のスラスターを破損させてセイヨウ・ピラーの防衛に向かえないようにした。
全損には至らずとも、背を切られたエンペラー・ノーライフがよろめき、膝をつく。
「今です、皆さん」
この好機を逃す手はない。
有栖の声に応じて、セイヨウ・ピラーに向かっていた乙女蜂兵団がバズーカを放つ。
次々に着弾する爆撃に、セイヨウ・ピラーは何らかの意を発するように照射する『殲術再生弾』を明滅させる。
「機は満ち足り! 二つの得物を合わせ我は放つ疾風の矢……」
体勢を崩したエンペラー・ノーライフの背後で、素早くユーベルコードを発動させる小百合子。
選んだのは、《疾風弩涛【迅槍天山】(ハヤキイチゲキハコノテノナギナタ)》。
薙刀型兵装『霊峰天山』と弩型ビームライフル『鴉羽』。
二つの装備武器を合体させ、質量射出形態『迅槍天山』に変えて、あらゆる防御を突破する強力な貫通能力と広範囲に及ぶ地形破壊能力を追加する強力な装甲無視攻撃だ。
堅牢な様相の水晶の柱を砕くには、的確な選択と言えよう。
「砕け散れ! 柱よ!」
撃ち込まれた『迅槍天山』がセイヨウ・ピラーに突き刺さる。
甲高い破砕音が生じ、貫通された水晶の柱から幾つもの破片が零れ落ちる。
それでも、量こそ減れど『殲術再生弾』はいまだ射出され続けている。
「致命傷、ではあるが即破壊とはならぬか……! しぶとい!」
「なかなか頑丈……耐久性があるみたいダネ」
「ですが、追い打ちを仕掛ければ……っと」
「猟兵の皆様方……! 今のうちに、余の身体を……!」
体勢を立て直したエンペラー・ノーライフが立ち上がろうとしたところを、『トラウム』と59体の乙女蜂兵団が取り押さえにかかる。
武装を射出した『勝鳥』もその手でエンペラー・ノーライフの肩を抑え込み、動きを封じる。
「めさいあ殿! 今のうちにとどめの……おや?」
「あれ、いませんね」
「……飛んでるネ?」
後方で射撃体勢を取っていたはずの『ヴリトラ』の姿はなく。
そこには射撃戦能力強化仕様『ガンフューラー』の重武装がパージして残されていた。
一同の視線が、天井のセイヨウ・ピラーに向けられる。
そこには、飛翔する『ヴリトラ』と……二対の巨大なハンマーがあった。
●とってもかわいい幼精さんがエントリーしました。
仲間たちがエンペラー・ノーライフの足止めをしている間に武装を解除して身軽になった『ヴリトラ』は、両脚に備わっている推進装置『EPイオンスラスター』の出力を全開にして飛び上がっていた。
ターゲットは当然、セイヨウ・ピラーだ。
「さあ、行きますわよ! シャルロットさん! 全力全開ですわ!」
「おぉー♪ しゃぅもがんばるよー♪」
その『ヴリトラ』と並走(並飛翔)する、15cmの妖精がいた。
巨大ハンマー型型スーパーロボット『RX無敵潰艦鎚・壱&弐』を片手に一つずつ握って振り回すというアグレッシブなフェアリー。
シャルロット・ゴッドハンド(神の腕持つ超怪力ぽわぽわ脳筋全裸幼精・f32042)が駆け付けたのだ。
「ばぁー♪」
「ひっ!? で、出タ……! あいつダ……!」
後方待機勢にいる某プレアデスのゴーレムな方が怯えた声を上げたようだが、きっと歓迎の悲鳴に違いない。
セイヨウ帝国の強力なオブリビオンマシンをその小さな身体で粉砕してきた実績を、その身を以て証言してくれているのです。
どうやら射撃攻撃では埒が明かないと考えたメサイアが、援軍として到着したシャルロットの提案に応じて飛び立ったようだ。
ヤベー奴とヤベー奴が混ざり合ってヤベーことになる。そんな予感がします。
「はい、メサイアちゃん! どーぞ♪」
「どうもですわ。では……ラースオブザパワー!
こんなおピラー、すぐにへし折って証拠隠滅ですわー!」
128トンまでの対象(実体が無くても可)を掴んで持ち上げる、『ヴリトラ』の力持ちなパワーによる《憤怒の剛力(ラースオブザパワー)》でシャルロットから借りた『RX無敵潰艦鎚・弐』を顎で振るう。
足場のない空中であろうとも関係ないとばかりに、スラスターを噴出させてセイヨウ・ピラーに勢いよく『RX無敵潰艦鎚・弐』を叩きつける。
『迅槍天山』で穿たれた貫通穴からヒビが更に広がり、セイヨウ・ピラーが揺れ動く。
「もぐもぐ……よぉし、しゃぅもいくよぉ!」
そして、パワーフードをもりもりと食べて、怪力4600パワーのスーパーモードと化したシャルロットは、力任せに『RX無敵潰艦鎚・壱』をセイヨウ・ピラーに叩きつける。
人知を超えた埒外の怪力のみで他者を圧倒するシャルロットにとっては、通常攻撃が必殺技といえる。
一撃を叩きつけるだけで、戦場全体に単純で重い衝撃波を放つ《ちきゅうわり》。
命中した敵を10km以上吹き飛ばすとんでもないパワーが、セイヨウ・ピラーを襲う。
大地が割れ、天井に更なる亀裂が入り、シャルロットが叩きつけた衝撃で崩壊速度が加速する。
避難が間に合ったとはいえ、何というか、もう少し……いえ、なんでもございません。
度重なる攻勢へのトドメ、『ヴリトラ』とシャルロットの暴威を前に、セイヨウ・ピラーは中ほどで真っ二つにへし折られた。
断末魔のような最後の輝きを放ち、一際強い『殲術再生弾』をエンペラー・ノーライフに浴びせかけて、落下したセイヨウ・ピラーは地面に突き刺さった。
「やりましたわ! 粉砕! ですわー!」
「やったー♪」
「やれやれ……じゃが、良い手柄じゃの」
「これでもう『殲術再生弾』は消えますね」
「ダネー。……とはいえ、もうひと踏ん張り要るようだけどネ」
セイヨウ・ピラーの破壊は達成できた。あとはエンペラー・ノーライフを回収して撤退すれば作戦は成功となるだろう。
ついで天井が崩落を始めた。
「くっ……これが、猟兵……なんとも、強く……頼もしいことか……」
だが、オブリビオンマシンへと変形を遂げたエンペラー・ノーライフはまだ戦闘能力を残したまま、大剣を手に立ち上がる。
あとは、その身体に残った『殲術再生弾』の影響を出し尽くせば、救出することができるだろう。
満身創痍のエンペラー・ノーライフであるが、小百合子たちの消耗も少なくはない。
地帯戦闘で抜け切るのを待つ……その判断をする者はいなかった。
爆発するセイヨウ帝国から離脱するためにも、一刻も早くエンペラー・ノーライフを解放するべく正義の味方が太刀を構えて現れる。
余力を残した猟兵たちを主軸に、セイヨウ帝国最後の戦闘が締めくくることとなる。
進捗状況。
『ドクター・フランケンシュタインを探す』:Completed!
『セイヨウ帝国の住民たちを避難させる』:Completed!
『エンペラー・ノーライフを助ける』:12.0、Complete!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
民を助ける。皇帝も助ける。どちらか一方を諦めるなんてことはしない
味方から住民の所在を共有してもらい[メカニック]技術を駆使して用意したドローンに避難誘導を補助させる
避難誘導メインの猟兵がいたらその指示に従うように設定しておく
あと今回使うUCは使ったあと動けなくなるから事前に回収も仲間にお願いしておこう
間に合わなかったらキング・ヴァンパイアだけでも脱出してくれ
「ようエンペラー。もうちょっと自我を保っててくれ。民想いの指導者も救わなきゃ民を救ったことになんないだろ?」
俺は引き続きイグニシオン・ソーリスに[騎乗]
上下左右、壁や天井、崩れる建造物などの[地形の利用]を含めた立体的な[空中戦]を展開
エンペラーに体勢を崩されないよう動きを[見切り][残像]まじりで回避するぜ
ピラー狙いの他の猟兵と連携し一斉攻撃のチャンスを待ちながら
その瞬間までは太刀と通常の焔による[2回攻撃]でピラーを削りつつ
研ぎ澄まされた[第六感]でタイミングを見切ってUCを解き放ち、一気にピラーを[焼却]するぜ
フレスベルク・メリアグレース
ここは住民の保護とエンペラーの救助を戦場に赴き次第優先順位をつけて行いましょう
住民の保護が完了していないようでしたら避難を
エンペラーが救助されていないようでしたら救助を
どちらも未達成ならば並列して、UCを最大限駆使します
どちらにせよ万象を機械化させるこのUCの散布で環境を掌握
勿論事が済めば機械化は解除します
避難する住民に安全な避難経路を確立し、救助においては防御用移動要塞を創り出してエンペラーの攻撃を受け止め、ピラーを攻撃用戦略級キャバリアで破壊します
やはり、環境戦のプロですね……マザー・コンピュータは
フィールド・オブ・ナインの確認できるメンバ―の中では総合戦闘能力は飛び抜けています
淫魔・サキュバス
あはっ♪『状態異常は効くし拘束されたら動けなくなる』んだって?
あたしの出番ね♡
ナイトメアオーラフル活用で隠れ、使役してる淫馬種ナイトメアの群れに騎乗♪
悪夢爆弾ばら撒いて超昏睡、魅了・石化・幻惑・金縛り・脱力・酩酊等々……行動阻害系の状態異常を込めた催眠魔眼ビームで攻撃よ♡
拷問封具の呪鉄拘束具で厳重に封印、念入れてサキュバスミストで精神を侵食して【纏わりついて精気をむさぼる】♡
精気(行動回数)も頂いておくわ♪
状態異常のオンパレードで動けないまま性癖を刻み込んで、魅了して愛情を捕食しながら、快楽エネルギーと生命力を根こそぎ吸い尽くして、幸せな記憶を全部トラウマに置き換えて更にトラウマ刻み込んで、そのトラウマを数十倍に増幅して恐怖を捕食するとか出来るケド……今回は必要ないかしら?ウフフッ♪ざぁんねんっ♡
あ、もし必要ならやるわよ♪
判定関係無い依頼終了後
拷問封具でドクターを拘束して、非UC版ナイトメアランページ(使役ナイトメア(装備)の群れを疾走させて踏ませ続けてトラウマ増幅)でオ・シ・オ・キ♡
●正義の味方のあり方。
猟兵たちの連携により、セイヨウ・ピラーは叩き折られた。
『殲術再生弾』の照射が止まり、あとはエンペラー・ノーライフの身体に残った影響が抜け切れば無事に救出することができるだろう。
ドクター・フランケンシュタインの確保も、セイヨウ帝国の住民たちの避難も完了した今、安全を考慮するならば一時撤退してエンペラー・ノーライフが元に戻るのを待つのも手であろう。
だが、それではセイヨウ帝国の崩落にエンペラー・ノーライフが巻き込まれるかもしれない。それを良しとしない猟兵たちが、ここにいる。
「民を助ける。皇帝も助ける。どちらか一方を諦めるなんてことはしない」
「住民の保護は完了いたしました。あとは、あなただけです、エンペラー」
キャバリア・イグニシオン・ソーリスを操る『黒鋼』の騎士、久遠寺・遥翔と、
クロムキャバリアの宗教国家メリアグレース聖教皇国の代表、フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)。
二人の猟兵が、満身創痍のエンペラー・ノーライフの前に降り立った。
「よう、エンペラー。もうちょっと自我を保っててくれ。
民想いの指導者も救わなきゃ民を救ったことになんないだろ?」
「貴殿は、あの焔の
……。……ああ、余も、猟兵を信じよう」
先程まで女傑たちに戦線の維持を任せていた遥翔は、気力も機体のエネルギーも十分に残している。
遥翔が得意とするメカニック技術を駆使して用意していたドローンを使って住民の避難誘導の補助をしていたのは、セイヨウ・ピラーを破壊するための余力を温存していたのだ。
そして今、『キング・オブ・ガルトゥーウ』形態のエンペラー・ノーライフを救出するために『機神太刀"迦具土"』を構える。
「やはり、環境戦のプロですね……マザー・コンピュータは」
片やフレスベルクは、聖教皇国に伝わる伝説級のサイキックキャバリアである神騎『ノインツェーン』の中からユーベルコード《大地と天空を開闢せし機械化の洗礼(ジェネシスコード・ザ・マキナクロス)》を散布して、セイヨウ帝国の環境を掌握していた。
森羅万象あらゆる存在を機械化させるこのユーベルコードは、アポカリプスヘルにおいて存在したオブリビオン・フォーミュラ、フィールド・オブ・ナインの一角『マザー・コンピュータ』の権能を解析し、活用したものだ。
状態異常や行動制限といった障害を検知すると、自動的にの散布され環境を改竄する物質や概念機械化兵器を展開して反射行動により対処する。
このユーベルコードの力を用いて、安全な避難経路の確立や避難民を収容した乗り物の移動を阻害する落下物の排除を済ませていた。
そして、それが終わったこの場においては、エンペラー・ノーライフを救助するための布石として展開している。
「行くぜエンペラー。今、助ける」
「頼んだ……。行くぞ、猟兵っ!」
後顧の憂いは最早なく、セイヨウ帝国が仕掛けられた爆弾により崩壊するまでさほど猶予もない。
『イグニシオン』とエンペラー・ノーライフ。
騎士のような姿の二機が数秒見つめ合い……高速機動に突入する。
●完全無欠の大勝利。
大質量剣を構えたエンペラー・ノーライフが、《ガルトゥーウ・スタイル》を敢行する。
突進や足払いといった、よろめかせる攻撃が命中した対象に対して高威力高命中の大質量剣の一撃を放つ必殺技だが、『殲術再生弾』による戦闘能力向上に加えて更なるブーストがかかる。
『勝鳥』の一撃により損傷した背面推進器を動力炉と直結する事で戦闘形態《D2転用iADS、バトルモード・シフト》に変形し、エンペラー・ノーライフ自身の消耗と継戦能力を代償に、背面から過剰にエネルギー放出して大幅に出力を強化しているのだ。
これまでの戦闘ではお目見えしたことのない、最大最速の高速突進攻撃だ。
「うおおおおおああああああ!!」
「速い……だが!」
だが、機体がどれほど速くとも。
大振りの挙動、直線的な軌道、何よりエンペラー・ノーライフの抵抗する意思によるわずかな躊躇。
全力のパフォーマンスを発揮できない状態では、遥翔の見切りを誤魔化せない。
飛翔する『イグニシオン』が崩れていくセイヨウ帝国の地理を利用した立体的な空中戦を展開し、当たりに残像を生み出して高速機動で駆け回るエンペラー・ノーライフを翻弄する。
踵を返し、左右に機敏に動き、跳び上がった突撃を急降下にて避け、そして位置関係を調節して、狙い通りの軌道で駆け抜けるよう素早く身を翻す。
『イグニシオン』が回避し、エンペラー・ノーライフが突進する先には、『ノインツェーン』が待ち構えていた。
「天よ拝跪せよ、地よ礼賛せよ。
其れは機械化の洗礼、世界を鋼鉄の真理で開闢する叡智の御業なり!」
「うおお……!? こ、これは
……!?」
突進を回避されたエンペラー・ノーライフは、そのままフレスベルクの生み出した防御用移動要塞に直撃する。
エンペラー・ノーライフの動きを止めるために創り出された要塞は彼を傷つけないよう衝撃緩衝用の装甲を施されており、相手の体勢を崩そうとした効果が反射されエンペラー・ノーライフの動きを封じ込める。
「捕獲、成功です! あとは……」
「あはっ♪」
そこへ、身を潜めていた援軍の猟兵が姿を見せる。
「『状態異常は効くし拘束されたら動けなくなる』んだって?
生け捕りにするのなら、あたしの出番ね♡」
「えっ、同胞……?」
絶世の美貌を誇り老若男女森羅万象の全てを籠絡する、セイヨウ帝国とは異なる出自の【西洋妖怪】、淫魔・サキュバス(西洋妖怪「サキュバス」の寵姫×ナイトメア適合者・f37101)だ。
遅れて参戦を果たしたサキュバスは、淫魔の角と翼を生やし桃色の霧を纏う使役悪馬『淫馬種ナイトメア』の群れに騎乗し、透化・消臭・消音・消温といった様々な気配遮断系能力を持つ『ナイトメアオーラ』を纏って戦場に潜んでいたのだ。
『ナイトメアオーラ』を解除してエンペラー・ノーライフに駆け寄ったサキュバスは、状態異常付与のスペシャリストだ。
オブリビオンマシン状態の巨大なエンペラー・ノーライフに向けて、超昏睡と超心傷の状態異常を付与する悪夢爆弾『トラウマボール』、魅了や昏睡等様々な状態異常を秘めたビームを放つ催眠魔眼『淫魔の瞳』、快楽エネルギーを濃縮した淫桃蕩夢『サキュバスミスト』などなど、これでもかとありったけのバッドステータスをぶつけて行く。
身体は傷つけることなく、精神と尊厳にダメージを与えていく。
「うおああああ……!? 余の、余の何かが、奪われていく……!」
「あは♡ 皇帝陛下ぁ、すっごいおっきい♪
このまま性癖を刻み込んで、魅了して愛情を捕食したり……。
快楽エネルギーと生命力を根こそぎ吸い尽くしたり……。
幸せな記憶を全部トラウマに置き換えて、更にトラウマ刻み込んで、そのトラウマを数十倍に増幅して恐怖を捕食するとか出来るケド……今回は必要ないかしら?」
妖艶に笑いながら、エンペラー・ノーライフの身体に素肌で触れるサキュバス。ご安心ください、全年齢向けです。
セイヨウ帝国のオブリビオンマシン特有の有毒装甲が失われているからこそ行える、物理的接触だ。
《纏わりついて精気をむさぼる》という、サキュバス種族特有のユーベルコードにより、エンペラー・ノーライフの行動回数(意味深)を奪い取っていく。……ご安心ください、大丈夫です全年齢向けです。
「や、やめてください! エンペラーは救助対象なのですから……!」
「ウフフッ♪ ざぁんねんっ♡ それじゃあ、吸っていい分だけ……頂き♪」
自重してくださったサキュバスはフレスベルクの静止を素直に受け入れ、エンペラー・ノーライフの中の『殲術再生弾』の影響を吸い尽くすことに専念する。
セイヨウ・ピラーから注がれた膨大な『殲術再生弾』の力を吸い上げられたことで、エンペラー・ノーライフが『殲術再生弾』の支配下から解放される。
「お、お、おお……」
見る見るうちに縮んでいき、元の姿に戻っていくエンペラー・ノーライフ。
恍惚の表情を浮かべて安らかに眠る彼の傍らに、部分的に再生したエヴォルグ玖號機『Diffusion』のパーツが零れ落ち、セイヨウ・ピラーの残骸へと這いずるように近づいていく。
破壊されたセイヨウ・ピラーに『殲術再生弾』が残されているならば、再びオブリビオンマシンが復活を果たすことになるだろう。
当然。
この男がそのようなことを見過ごす訳がない。
『イグニシオン』が『Diffusion』を掴み、セイヨウ・ピラーに突きつける。
オブリビオンマシンの残骸が蠢き抵抗するが、掴んだその掌から逃れることは叶わない。
「こいつは、一片たりとも残しちゃ置けねぇな。
ここまでセーブしてきた甲斐があったぜ。……原初励起(イグニッション)」
噴き出すユーベルコードは《星なる真焔(イグナイト・ノヴァ)》。
遥翔の搭乗する『イグニシオン』の真の姿、『イグニシオン・ソーリス』の額部から極大威力の焔の波動砲を放つ最大の一撃だ。
これまで温存したすべてのエネルギーを充填させ、セイヨウ・ピラーとオブリビオンマシンを焼却し尽くす焔を放つ。
だが、あまりの火力に使用後はイグニスの骸魂が休眠状態となり、一定時間行動できなくなるという弱点がある。
すなわち崩壊する地下帝国から撤退することができなくなるのだが……ここにいるのは、遥翔一人ではない。
「後のことはお任せください。必ず回収いたします」
「エンペラーさんはあたしに任せて♡ ちゃんと大切に運ぶわ♪」
「ああ、頼んだぜ、フレスベルク、サキュバス。
……今の俺の全力を以て焼き尽くす―――イグナイト・ノヴァ!!」
地下帝国全域を照らすほどの、劫火が現れる。
波動砲から放たれた焔は瞬時に膨れ上がり、セイヨウ帝国最後のオブリビオンマシン諸共、セイヨウ・ピラーの残骸が燃え盛る焔に包まれていく。
万が一の取りこぼしが無いよう、天井に残った部位すらも焼き尽くし、ドクター・フランケンシュタインの悪意はすべて焼却されることとなった。
●セイヨウ帝国の終焉!
生えていた穴すら崩落で崩れ、そこにあったという痕跡は灰すらも残らなかったセイヨウ・ピラーを尻目に、猟兵たちは撤退を開始する。
エンペラー・ノーライフを乗せたサキュバスの『淫馬種ナイトメア』が疾走し、休眠状態となった『イグニシオン』を抱えて『ノインツェーン』が環境を改ざんして安全な避難経路を構築する。
爆弾により崩壊していくセイヨウ帝国を留めることこそできないが、人的被害はゼロというこの上ない成果を上げることに成功したのだ。
最後に一際大きな爆発を引き起こして完全に崩れ落ちる地下帝国の名残を背中に感じて、猟兵たちは地上へと通じる地下通路を進んでいく。
セイヨウ帝国の全国民と共に。
進捗状況。
『ドクター・フランケンシュタインを探す』:Completed!
『セイヨウ帝国の住民たちを避難させる』:Completed!
『エンペラー・ノーライフを助ける』:Completed!
完遂。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●戦後処理。
薄暗い地下通路の中をカシムの『竜眼号』と蔵人の『ソーシャル・トレーラーハウス』が進んでいく。
遥翔や小百合子が合流した使節団にいる王子たちに事情を説明して、マクドナルド王国への帰路に着いているところだ。
エンペラー・ノーライフは『殲術再生弾』の後遺症はないようだが、用心のために安静にしている。
サキュバスのおかげで充足した様子だが、本人の名誉のために詳細は伏す。
メンカルとウィッチが捕えたドクター・フランケンシュタインの身柄は猟兵たちが十重二十重の監視下においており、とに拷や馬に踏まれるといったオ・シ・オ・キ♡を受けている。
セイヨウ帝国の住民の精神衛生上に悪いので防音設備の中で処置されているが、それはそれは大変な目に遭っていることだろう。
重要な情報は回収された記録装置の中にあるため情報を聞き出す意味は薄いのだが。
地下帝国の攻略に尽力したメサイアの功績は評価され、天井崩落の汚名はすべてドクター・フランケンシュタインが原因となっている。
有栖とリアも、援軍として駆け付けたシャルロットやフレスベルクと団らんしつつ、無事にセイヨウ帝国の民を助けられたこと、そして誤解が解けたことでマクドナルド王国とセイヨウ帝国が共存するために手を取り合えるようになることを、喜び祝福していた。
幾つかの脅威が残されているものの、誰一人欠けることなく、誰も犠牲になることなく、戦いが終わり平和への一歩が踏み出される。
地上から差し込む光を見上げながら、二つの国家を救った猟兵たちは帰投するのだった。
MISSION ALL CLEAR!