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マダラー・ラヴズ・ストロベリーパイ

#UDCアース

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#UDCアース


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 平日の午後3時、関東近郊の駅ビル内にあるレストランで事件は発生した。
 30歳前後の男性が来店すると、イチゴタルト、イチゴパフェなど、その店にあるイチゴソースを使用したあらゆる甘味を注文した。
 店員は驚きながらもすべての注文の品を運ぶ。そして、男はそれを全て完食した。
「そういえば、ストロベリーパイはこの店にないのかね? 出来立てを貰いたいのだが」
 男の問いに、ウェイトレスが答えた。
「申し訳ございません。当店はストロベリーパイを扱っておりません……」
「ならば、仕方がないな」
 男は懐から牛刀を取り出すと、逆手に握って振り上げる!
「君の“ストロベリーパイ”を戴こうか!」
「えっ……?」
 理解が追い付かず、棒立ちになるウェイトレスの鳩尾に刃先が入ると、男は力任せに一気に彼女の下腹部まで牛刀の刃を振り下して、更に――!

「……というのが、今回の事件の予知なんだよっ!」
 蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)が真っ青な顔で猟兵たちに予知の内容を説明してた。レモンが肩で息をしている。今回の事件が相当悪質な内容だという事を容易く予測できるだろう。
「これから15分後、この事件が発生するよ……っ! ギリギリで予知できたのは本当に幸運だったね。みんなは転送完了次第、そのレストランにお客として先回りしてほしいんだよっ!」
 その為のグリモア猟兵の予知だ、とレモンは力強く語った。
「犯人はどうやら、邪神教団のフロント企業の関係者みたいだね。しかも、この犯人は自分の体内へ既に邪神を“飼っている”みたいなんだよ……っ! でも不完全な邪神の力だから、制御のために街中で虐殺行為を行って生贄を喰らおうとしているっぽい!」
 なんたる傲慢かつ自己中心的な行いなのだろうか!
 ここで猟兵たちが事件を阻止すれば、犯人を追い詰めて撃破する事が出来るはずだ、とレモンは言葉を継ぐ。
「お願い……っ! こんな悪い奴、みんなのユーベルコードでやっつけちゃってっ!」
 猟兵たちに懇願するレモンの頭上で、グリモアが輝き始める。
「あ、そうそう。これ、豆知識なんだけど……」
 転送の直前、猟兵たちにレモンがポツリと呟く。
「ストロベリーパイってね? ――『内臓』の隠語なんだって」
 惨劇を止めるべく、猟兵たちはUDCアースへ転送されてゆく……。


七転 十五起
 七転十五起、なぎてんはねおきと申します。
 今回はサイコスリラーな展開をお届けできたらと思っております。
 ストロベリーパイの隠語は、もしかしたら知っている人は知っているかもしれません。

 事件現場のレストランには、従業員が6名(厨房3名・フロア3名)在籍。
 フロアには家族連れ1組、カップル2組、男女混合のご老人方6名が食事中。
 たとえウェイトレスさんを救出しても、犯人の狙いが他に移る為、店内にいる一般人の避難は重要になりますので、猟兵の皆さんは自分の得意分野を活かしながら行動を考えてみてください。

 また、犯人はレストランでの犯行を諦めると駅ビル内から逃走します。
 犯人を追い詰めた後、ボス戦へと突入です。
 心情面も含めて、かっこよく邪神男を撃破しちゃってください!

 それでは、皆さんの挑戦をお待ちしております!
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第1章 冒険 『午後三時、影冴ゆる』

POW   :    襲われているウェイトレスをかばう

SPD   :    レストランの客を逃がす

WIZ   :    殺人鬼の行動を撹乱、制限する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エウトティア・ナトゥア
WIZ殺人鬼の行動を撹乱、制限する

(テーブル席にマニトゥと向かい合わせで座りテーブルにはカップルストローを挿したジュースを用意)
ふっふっふ、完璧な偽装じゃな。この3組目のカップルが猟兵とはオシャカサマでも気がつくまいなのじゃ。
(注文した肉厚ステーキを食べさせながら)マニトゥ、あーんなのじゃ。

っと、芝居に夢中になっておったら犯人が動きそうじゃの。
術を準備しながらタイミングを計り、犯人が牛刀を振り上げた瞬間、秒間26層の風の障壁で犯人の身体ごと押さえつけ間髪いれずマニトゥをけしかけるのじゃ。
マニトゥ!彼奴を押さえ込むのじゃ!

あとは、犯人の牽制を続けつつ避難を促すかのう。


信楽・黒鴉
POW
【殺気】を読み取ってはウェイトレスの襲撃に割り込み、ユーベルコードにて武器を強奪して【残像】の現れるほどの早業で怪人に斬りつける。
不発の場合は、あらためて自前の刀で斬りかかり、襲撃を阻止する。

「人間、所詮は血袋か刀置きみたいなもんですが」
「どうせなら据え物よりも、斬り甲斐のあるモノを斬ってみたくなるじゃないですか」
「その点、どうやら僕はあなたと分かり合うことはできないらしい」
「キドニーパイでよければご馳走しましょう。材料は貴方ですけどね」

改変 アドリブ 共闘 その他もろもろ大歓迎です。


時雨・零士
【POW】
レストランに事前に入店。
犯人の斜め前くらい、普通に顔を上げれば自然と視覚に入る位置の席を確保して、レストランのウェイトレスさんを嫌われない程度に軽く口説く等しながら犯人を監視。

犯人が牛刀を取り出して行動しようとした瞬間にブラスターの【クイックドロウ】を犯人の手元に撃ち込んで取り落とさせ、相手が怯んでる隙に【ダッシュ】で犯人とウェイトレスの間に割り込みつつ【グラップル】でボディ→顔面と叩き込んで叩きのめし、ウェイトレスに逃げる様に伝えて逃がすぜ!

敵が予想外の反撃や襲うのを継続する場合は【見切り、第六感】で対応。引き続き【グラップル】でのめす。
逃げるなら【ダッシュ】で追うぜ!

アドリブ歓迎


トリガー・シックス
(ターゲットを視認)
店内に入って件の男を目視したら適当な椅子に座り、動きがあるまで待機。
男が動いたら護衛対象Aであるウェイトレスの護衛を確認したらすぐに間に入る。
牛刀を振り回してくるだろうが【見切り】で避けつつ【早業】の徒手格闘を行う。
【武器落とし】を狙い、見切りからの【グラップル】の組み技により、時間稼ぎを行う。
【残像】を残しながら【ダッシュ】を行い、牛刀を落としたら滑らせて男から遠ざける。
逃亡を始めたら『影の追跡者の召喚』で追跡させる。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK
恰好が恰好のため、怪しい人に見られる恐れも(頭巾とクロークで顔隠してる)


エルーゼ・フーシェン
ウェイトレスか他のお客さんたちの避難に回るわ。
あの男のほうはトリガーがなんとかする間に、避難を行わないと。
万が一に備えて、目を離さないほうがいいわね。
襲ってきたら『トリニティ・エンハンス』で攻撃力上げて殴り飛ばす!

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


戎崎・蒼
ストロベリーパイが内蔵の隠語だなんて初めて知ったよ。……何かの宗教では、ワインに浸したパンを血肉だ、って言ってるのと同じ感じなのかな。

【POW】で判定。
とりあえず僕はウェイトレスを庇おうかな。…スナイパーだからといって別に近接線が得意じゃない訳じゃない。
出来たら銃で零距離射撃(スナイパー+零距離射撃)を打ち込みたいけど、無理そうならWitch Picker(武器)で貫きたい(串刺し+傷口をえぐる)

少しでも邪神による被害を最小限に抑えられたらいいんだけどね………。


カイム・クローバー
……これってさ、質の悪いゴシップ映画じゃないよな?邪神教団の連中が絡んだ事件ってのはどーしてこうホラー風味になるかねぇ…(←お化け、ホラー苦手)

とりあえずレストランの客を逃がすか。こんな時に便利なのが俺の技能【挑発】って訳だ。両手を叩いて派手に音を鳴らしてこっちに注意を向けられねぇかな?一応イかれてるみてぇだが、言葉は通用するみてーだし、ついでにコケにでもしてやるぜ。
大剣は使うがあくまで時間稼ぎ。基本はUCや【見切り】を使った回避と【武器受け】の防御をメインに動くぜ。
ま、他の猟兵も居るし、手が届かねぇ部分や攪乱、制限はやってくれるだろ。
にしても…初っ端からこの惨劇か。先が思いやられるぜ…


レイ・アイオライト
【SPD判定】
店にいる人間たちが危機とはいえ、超常的な現象を起こしちゃうと後が面倒そうよね。
一応変装していきましょうか。灰色のパーカーに、帽子、後は刀を隠すために楽器のケースを持っていくわ。
敵が刃を取り出した瞬間、店内の照明を短剣の『投擲』で壊して、それと同時に【選択したUC】で暗闇の領域(『目潰し』)を作り出すわ。そこから『暗視』『情報収集』で戸惑っている人間を……乱暴だけど鋼糸で捕まえて強引に避難させる。もちろん避難させる人間にはあたしの影のオーラを纏わせて『オーラ防御』、傷つけることは絶対にしないわ。

(アドリブ、共闘歓迎です)



 惨劇が始まる15分前。午後2時45分。
 UDCアースの日本、関東近郊の駅ビル内のレストランに、猟兵たちが入店する。
 ……のだが、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)だけが店長から待ったを掛けられた。
「お客様、申し訳ございません。当レストランはペットと同伴での入店は禁止させていただいております」
「なんじゃと!?」
 がーんっと驚愕の表情を浮かべるエウトティア。そして同じく愕然とする聖獣の巨狼マニトゥ。
 ただ、UDCアースの飲食店でペット同伴OKなケースが珍しいかもしれない。特に保健所がうるさい。
「むむむ、マニトゥと一緒に入店できぬとは……」
 困っていると、同行している猟兵のひとりであるレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)が声を掛けてきた。
「アンタも狼を使役しているのね。親近感が湧くわ。もしよかったら、使う?」
 背負っているデカい楽器ケース(コントラバス用)を親指で示した。
 どうやら、マニトゥを此処に入れろという事らしい。意を汲んだエウトティアの顔が一気に明るくなった。
「それは助かるのじゃ! マニトゥ、ちと狭いが我慢するのじゃぞ?」
 レストランから一旦離れた場所でマニトゥをケースに収めたエウトティアは、ようやく入店することが叶った。
 ちなみに、レイも長い楽器ケース(トロンボーン用)を持参しているが、中身は呪われた魔刀・篠突ク雨が収まっている。
(店にいる人間たちが危機とはいえ、超常的な現象を起こしちゃうと後が面倒そうよね。アンタたち、やり過ぎは禁物よ)
 小声で他の猟兵たちに忠告をするレイは、地味なグレーのパーカーを着込んでいた。
 隣ではしゃぐカップルを横目でチラチラと視界に入れつつ、レイはエウトティアと相席で座ると、ウェイトレスに2人分のオレンジジュースを注文するのだった。

 犯人の斜め前には、時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)が陣取っている。
 顔を上げれば犯人と自然と目が合う、そんな距離感の位置取りだ。
「お姉さん、こっちも注文頼むぜ。え~と、メガハンバーグのスープセットAのスープ大、スープはオニオンコンソメの方で。そっちの奴にはナポリタンのBセット。あ、もうひとつ追加注文。お姉さんとのプライベートでの思い出も注文したいぜ!」
「メガハンバーグのスープセットAの大オニコン、ナポリタンセットB入りま~す」
 注文を取り終えたウェイトレスにガン無視される時雨は思わず苦笑い。
(ま、平和で何よりだぜ……。な、そう思うだろ?)
 時雨は小声で、相席となった信楽・黒鴉(魔剣死蔵家(ソードストッカー)・f14026)に話し掛けた。
 だが、信楽は何やら不服げな様子。
(まったく、キドニーパイを置いていないなんて、この店の底が知れましたね)
(いやいやいや、よりによってそんなマイナーな料理を扱うレストランの方がやべぇだろ……! ここ日本だぜ?)
 説明しよう!
 キドニーパイとは、別名『世界一不味いパイ』の異名を持つともいわれる、イギリス発祥の豚や牛の腎臓を使ったパイである!
(現地でも賛否両論だそうですが、ブリーフィングで内臓の隠語が話題に上っていたので、つい食べたくなりまして……)
(信楽、お前、すげぇな……!)
 猟兵にはいろいろな奴がいるんだな、と改めて思い知らされる時雨であった。

(いやマジでさ、猟兵ってやつは色んな奴がいるよな……?)
 カイム・クローバー((自称)凄腕イケメン狼盗賊・f08018)がクリームソーダのチェリーをかじりながら、相向かいに座る戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)に小声で同意を求めた。
(俺達は猟兵の特性で、どんな格好でいようが各々の世界の住人に違和感を持たれることはねぇ。だからこそ、ここにいる奴らの格好や態度が猟兵の俺にはちぐはぐに見えちまう。面白いったらありゃしねぇ)
 小さくケラケラと笑うカイム。その眼にはレトロな書生服の少年やらグレーのパーカーの女、キマイラの幼女やあからさまに武器を隠し持ってるだろオマエという男やらを捉えており、ハッキリ言ってカオスだった。
(んで、俺はダークセイヴァーのコソ泥で、蒼は……短パン?)
(いや待って。僕は他に見るべきところがあるだろう?)
 戎崎は小さく首を振りながらツッコミを入れた。
 このふたり、同じ旅団で何度か顔を合わせているせいか、自然と相席をしていたのだ。
(まぁ、いいや。今のところ、スイーツに夢中になっている犯人に目立った動きは無し。監視を続けてゆこう。それにしても驚いたよ。まさかチェリーパイが『内臓』の隠語だったなんてね? 初めて知ったよ……。何かの宗教では、ワインに浸したパンを血肉だ、って言ってるのと同じ感じなのかな。って、カイム、どうしたの?)
 急にカイムの顔色が悪くなる。口を真一文字に閉じて小刻みに震えているようにも見える。戎崎はやれやれと肩を竦めた。
(寒い日に冷たいものを注文するからだよ、カイム。僕みたいにホットコーヒーを頼めばよかったのに)
(いや、そうじゃねぇ。このクリームソーダってやつは美味い。すげー美味い。ダークセイヴァーにこんな美味いモノはねぇからな)
(だったら、なんでなんだい?)
(……俺が震えているのは、その……蒼、いまここで『内臓』とか云々の話はやめてくれねぇか……?)
 カイムの発言で、なんとなく察した戎崎。
(え、まさか、ホラーの類の話題、苦手なのかい?)
 ダークセイヴァー出身なのに、と半ば言葉が出かかったところで戎崎は口を押えた。
 これにカイムは気を紛らわせるべく、クリームソーダにストローを刺して一気に吸い上げた後に答えた。
(あー、確かにダークセイヴァーは亡者なんかのオブリビオンがいるけどよ、そーいう話じゃねぇんだよ……ホラーとかオバケとか、駄目なものは駄目なんだぜ……。念のための確認なんなんだが、……これってさ、質の悪いゴシップ映画じゃないよな? 邪神教団の連中が絡んだ事件ってのはどーしてこうホラー風味になるかねぇ……? あ、これ、他の奴に言うなよ?)
(分かってるって、カイム。あとこれは映画じゃなくて現実だからね? 予知の時間までもう少しだ。気を抜かないようにね?)
 戎崎はホットコーヒーのお代わりをウェイターに注文すると、犯人をさりげなく監視し続けるのであった。

 一方、こちらは互いに勝手知ったる相棒2人組。
 頭巾とクロークで顔を隠してるトリガー・シックス(黒衣の銃剣士・f13153)とエルーゼ・フーシェン(双刃使い・f13445)だ。
 犯人の男の真後ろの席に陣取り、怪しまれずに絶えず2人は監視を続けている。
 いくら特性で違和感を与えないとはいえ、このコンビの放つ雰囲気は独特であった。
「ご注文は……お決まりでしょうか?」
 ウェイトレスの言葉に、2人はというと?
「……」
「いえ、まだ決まってないわ」
 2人はオーダーをスルーしていた。だが、これはすぐにでも動けるようにするための措置だ。ゆえに今はお水のお代わりだけで充分なのだ。
「お、お決まりでしたらお呼び立てくださいませ……」
 首を傾げながらウェイトレスが厨房へ戻ろうとしたとき、犯人の右腕が彼女を呼び止めるべく挙がった。

(ふっふっふ、完璧な偽装じゃな。この3組目のカップルが猟兵とはオシャカサマでも気がつくまいなのじゃ。感謝するぞ、レイ殿?)
(礼には及ばないわ、エウトティア。それより、ステーキ、美味しい?)
(とても美味じゃぞ! ほれ、マニトゥ。あーん、なのじゃ!)
 こっそりと巨狼マニトゥに切り分けたステーキを与えるエウトティア。
 だが、その団らんも犯人の挙手で打ち切られることとなる。
「そういえば、ストロベリーパイはこの店にないのかね? 出来立てを貰いたいのだが」
 予知の説明で聞いた台詞だ!
 周囲の猟兵たちが身構える。
「ならば、仕方がないな。……君の“ストロベリーパイ”を戴こうか!」
 振り上げられ、逆手に握られた牛刀が煌めく!
 そこへ殺到する猟兵たち!
「っと、芝居に夢中になっておったら犯人が動いたのう!」
 すかさず術を練り上げるエウトティア。その間に信楽がウェイトレスの前に割って入り、ユーベルコード『秘剣・借刀殺人』を発動させる。
「おっと、いいモノ持ってんじゃないですか。ちょっと貸してくださいね?」
 素早くエルボーで犯人の顎を殴打すると、握られていた牛刀を奪ってしまった。そのままカウンターで犯人を叩き斬ろうとする!
「残念だったね! 刃物はまだあるのだよ!」
 ガキンッと金属同士がぶつかる音が轟く!
 なんと、犯人は巨大なアーミーナイフを隠し持っていたのだ!
 その峰で信楽が振り下ろした牛刀の刃を、辛くも受け止める犯人。信楽はそのままへし斬ろうと牛刀に力を籠めてゆく。
「人間、所詮は血袋か刀置きみたいなもんですが」
 ぎちぎちぎちと刃と峰が擦れる音が聞こえる。
「どうせなら据え物よりも、斬り甲斐のあるモノを斬ってみたくなるじゃないですか」
 徐々に信楽の本性が、このやり取りによって発露されてゆく。
「その点、どうやら僕はあなたと分かり合うことはできないらしい。あなたは斬れればいいなんていう安直さで刃を振るう。なんてみっともない。だが僕は違う。どうせ斬るなら、互いに殺し合おう」
 何合か剣戟を繰り返した後、ウェイトレスを守るように信楽は犯人に立ちはだかる。
「キドニーパイでよければご馳走しましょう。材料は貴方ですけどね」
「ふぅむ、猟兵か。邪魔をしてくれるな。今は“食事中”なんで、ね?」
 ウェイトレスは殺せないと判断した犯人は、持っていたナイフを一組のカップルの女性の方へ投擲する構え!
 だが、それは時雨の熱線銃(ブラスター)の早撃ちによって阻止された。手首に熱線を浴びた犯人は、ナイフを床に落とした!
「悪いが、その食事を邪魔しに来たんだぜ、俺達は!」
 狙われたカップルを庇うように立ち回る時雨が、この好機を逃すはずがなかった。
 一気に接近して右手で胸倉を掴み、左腕で続けざまに鳩尾へのフックからの顎直撃コースのアッパーカットを炸裂させた!
 ソファーの上でひっくり返る犯人!
「何ぼーっとしてやがる! 全員、早く逃げろ!!」
 時雨の一喝で、ようやく店内の一般人は身の危険を察知した。
「うわああっ! ドラマの撮影か何かじゃなかったのかよ!?」
「早く逃げよ!? 警察、警察……!」
 まずはカップル2組が一目散に店の外へ逃げていた。
 続いて従業員5名も現場から脱出してゆく。
 だが、ウェイトレスは腰が抜けてしまっている! そこへ襲い掛かる犯人、今度は徒手空拳で直接肉を抉ろうとしているようだ。邪神の力をもってすれば、一般人の肉体など簡単に破壊できるであろう。
「……エルーゼ!」
 トリガーがウェイトレスを庇うように犯人の攻撃を一度受ける。そして反撃で犯人の腕を取って一本背負い! 背中から落ちた衝撃で海老反りに悶絶する犯人!
 しかし、犯人はすぐさま立ち上がると連続ラッシュをトリガーに仕掛けてきた。それを見事なスウェー技術で回避し、カウンターで顔面に高速パンチを叩き込んでゆく。
 その間にエルーゼがウェイトレスを立たせて肩を貸す。
「ほら、こっちよ」
「あ、ありがとう、ございます……!」
 ショックのあまり、茫然自失となるウェイトレスを解放しながらエルーゼとともに店の外へ。
 残る要救助者は家族連れとお爺さんお婆さん6人組だけだ。
「若い女はいなくなったが、まあいい。そこの母親の“ストロベリーパイ”を戴くとしようか!」
 執念深く立ち上がり、床に落ちたナイフを拾い上げる犯人!
 だが、当然、信楽と時雨、そしてトリガーの3人との格闘戦が発生する。
 そこへ戎崎が犯人に駆け寄ると、その脇腹へ向かって愛銃『Steyraug-Armee0-』による零距離射撃が火を噴いた!
 銃声と硝煙が広がり、犯人は脇腹から大量の血を流してたたらを踏む!
「なるほどね。普通の人間なら即死してもおかしくないというのに……」
 戎崎は更に罪人を判定する処刑道具『R:魔女の錐-Witch Pricker-』で犯人の腹を貫き、傷を抉る!
「ぐ、ぐぬぅぅ!?」
 血を吐きながら猟兵たちを睨み付ける犯人。
 ここで家族連れは恐れをなして、子供を庇うように店の外へ逃げていった。
 だが、お年寄りたちは恐怖のあまりにその場に丸くなって動こうとしない!
「ああ、もうおらはここで死んじまうんだ!」
「ナンマイダ、ナンマイダ……!」
 絶望して、逃げることを諦めかけている様子だ。このままでは、犯人の毒牙に掛かってしまうやもしれない!
 そんな中、こっそりと厨房に忍び込んでいたカイムが、お玉とフライパンをもって飛び出してきた!
「おい! そこのクサレ脳味噌野郎? そこで血を吐いているお前の事だぜ? なぁ、猟兵に食事を邪魔されて、今どんな気持ちだ?」
 ガンガンガンッとお玉でフライパンを叩きながら犯人を小馬鹿にするカイム。これには犯人は怒り心頭!
「貴様! 殺してやる!」
「お? 鬼ごっこか? コソ泥相手にやろうっていうのか? いいぜ! ほら、こいよ、マヌケッ!」
「この……っ!」
 完全に犯人の意識がカイムへ向けられたことによって、お年寄りたちの救出が可能になった!
「お年寄りの姿を覆い隠すわ。朔月に墜ちる影、全てを塗り潰す暗黒の結界、具現しなさい!」
 レイがユーベルコード『影ノ傷跡漏出:暗黒領域(イベント・ホライゾン)』によって空間を暗黒で塗りつぶす結界を作成、その中に老人たちを隠匿すると、鋼糸で捕まえてオーラで包み込むと、そのまま少々荒っぽく天街へ放り投げた。オーラの防御服のおかげで投げられても衝撃はほぼゼロ。無傷で逃げおおせる事が出来るだろう。
(本当は照明を破壊したかったのだけど、仲間の戦闘に支障が出るわね……)
 予定は狂ったが、破壊しないことによって猟兵たちの連携を生み出せたのが僥倖であった。
 そして、ようやくエウトティアの術式が完成!
「お待たせなのじゃ! 風の精よ、全ての悪意から彼の者を護れ!」
 ユーベルコード『風の精霊は防ぐ』によって、26分の1秒の攻撃を逸らす風の障壁を発射!
 吹き飛ばされた犯人は壁に激突!
「マニトゥ! 彼奴を押さえ込むのじゃ!」
 大柄な霊獣が犯人に覆い被さると、その牙で体中を噛み砕いてゆく!
「あら、私の出番は必要ないかしら?」
 一般人の避難と、UDC組織への対応を要請したエルーゼは、トリニティ・エンハンスを起動させたまま微笑む。
 猟兵たちの妨害によって、既にボロボロの犯人。だが、それでも犯人の目は狂気に染まっていた。
「くくく! ここは引かせてもらうよ、猟兵諸君! さらばだ!」
 なんと! 犯人は窓ガラスに自ら突っ込み、突き破って外へ逃走!
「……ここは8階だぞ!? これが邪神の力なのか……?」
 思わずトリガーも絶句する。だが、すぐに冷静さを取り戻し、ユーベルコード『影の追跡者の召喚』で犯人の後を追わせた。
「くそ! まさか飛び降りるとか、そんなのアリか!?」
 時雨も自慢の脚力で追い掛けようと考えていたのだが、流石に駅ビルの8階から飛び降りるのは無謀だと判断した。
「でも、ここでの惨劇は防げたね。あとは追い掛けて、少しでも邪神による被害を最小限に抑えられたらいいんだけどね……」
 戎崎は今後の方針に頭を悩ませているようだ。
 これにカイムも同調し、溜息を吐いた。
「まったくだぜ。初っ端からこの惨劇か。先が思いやられるぜ……」
 この場を後にした猟兵たちは、逃げた犯人――半邪神の行方を探す事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『命懸けのかくれんぼ』

POW   :    足を使って虱潰しに捜索する

SPD   :    技能を活かして情報を集める

WIZ   :    罠を張って脱獄囚を誘い出す

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵が放った追跡者とUDC組織のエージェントの協力によって、隣の市の住宅街へ半邪神が逃げ込んだことが判明した。
 近くには、半邪神の会社が経営する倉庫会社の敷地が存在している。
 恐らく、半邪神はそこへ向かっているのだと思われる。
 君達は途中で彼奴を追い詰めてもいいし、決戦の舞台を定めて彼奴を誘導してもよい。
 ただし、放置すれば一般人はたちまち半邪神の餌食になってしまうだろう。
 猟兵たちと半邪神による、まさに命懸けのかくれんぼが始まる。
レイ・アイオライト
【SPD判定】
あれだけの手傷を負ってまだ逃げる体力があるなんてね……まあいいわ、あたしの『影』から逃げ切る事ができるかしら。
【変幻ナル闇ノ曙光】で路地裏の影に同化しながら、敵が流した血痕を頼りに『追跡』よ。
『情報収集』『第六感』で犯人を補足、影の刃で逃亡する先にあるモノを破壊して進路を塞ぐ(『破壊工作』)、他の猟兵がいる場所に誘導するわ。
周囲の人間を襲いそうだったら影のオーラで『オーラ防御』、もしくは楽器のケースで『武器受け』するわね。

いくら逃げても無駄よ。アンタはもうあたしの『影』の中。逃亡する先に影があればいくらでも補足してやる。


時雨・零士
一章でトリガーが追跡者で追った情報から、敵の位置を特定し【操縦、騎乗】カオス・アクセラレイターで追跡。更にナビから確認したこの周辺の地図と敵の逃走経路から、敵が何処へ向かおうとしているか【見切り、第六感】で予測。空中から先回りするぜ!
可能なら追跡中に【クイックドロウ】ブラスターのマグナで敵を撃ち抜いて止めるぜ。
周囲の状況(一般人への危険の有無等)によっては、敵の姿を捉えた瞬間「変身」!
【ゴッドスピードライド】で超加速して敵に突っ込むぜ!

一般人に更に被害が出る前に止めてぇ…。ヤツが向かう先に何があるかもわからねぇしな…。可能なら追跡中に仕留めたいが…。

アドリブ、絡み歓迎


エウトティア・ナトゥア
可能なら味方と連携して、半邪神を人気のない場所へ追い込む。

「ダッシュ」「騎乗」使用
マニトゥを封じる為に獣同伴禁止の店で事を起こすとは、邪神に組する者らしい姦計じゃった。
おのれ卑劣な半邪神め、許さぬぞ!
と、マニトゥに騎乗しぷりぷり怒りながら半邪神を追跡。

「鼓舞」使用
こうなったら手加減はせぬのじゃ。
狼を大量動員して虱潰しに捜索じゃ。
おまえたち、嗅覚を活かして探すのじゃぞ。
大鷲には上空から監視させて追い立てられた半邪神を追跡させるのじゃ。

「野生の勘」使用
む、特に根拠はないが、あそこが怪しいのじゃ。
マニトゥ!吶喊じゃー!
と、狭い場所に閉じ込められた怒れるマニトゥと共に、勘に任せてあちこち走り回る。



 そこはどこにでもある郊外の住宅地であった。少し足を伸ばせば、問屋団地や工業地帯が立ち並ぶ、そんな片田舎の午後4時。日が傾き始めたこの時間に、集まった猟兵たちが、これからの方針を話し合っていた。
「あれだけの手傷を負ってまだ逃げる体力があるなんてね……」
 レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)の表情は硬い。だが、すぐに自信に満ちた笑みを湛える。
「まあいいわ、あたしの『影』から逃げ切る事ができるかしら」
 すかさずユーベルコード『変幻ナル闇ノ曙光(ヴァリアブル・ドーン)』を使用する。
「あたしは影。あたしは闇。アンタを喰らう、暗黒の黄昏―――!」
 すると、レイは路地裏の影に同化! そして再び日向へ戻ってきた。
「こんなふうに、あたしは影から影へ移動できるわ。いまなら529m以内の視認した影に瞬時に潜り込む事が出来るわ」
「だったら、俺と一緒に来ないか?」
 時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)が宇宙バイク『カオス・アクセラレイター』に跨りサムズアップ。
「俺のカオス・アクセラレイターの影に潜れば、高速移動もできるんじゃないか?」
「へぇ、いい考えね。あたしは血痕を辿る予定だったけど、素早く移動できる“影”があるに越したことはないわね。よろしく頼むわ、零士?」
「レイ殿! わしのマニトゥも疾いのじゃ! マニトゥの影に潜れば血の匂いも追えるゆえ一石二鳥じゃ! さあ、早くマニトゥの影に潜るのじゃ!」
 エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)が聖獣である巨狼マニトゥに跨り、時雨の宇宙バイクに対抗意識を張っていた。
「しかし、よもやマニトゥを封じる為に獣同伴禁止の店で事を起こすとはな、邪神に組する者らしい姦計じゃった。おのれ卑劣な半邪神め、許さぬぞ!」
 ぷりぷりと激怒するエウトティアに、時雨が思わず苦笑いを浮かべる。彼女の世間知らずな部分はスルーしつつ、なるべくフォローを入れようと心掛ける。
「……偶然だとしても運が悪かったよな、それ? エウトティア、だったら俺とレイとお前、3人でチームを組もうぜ? よろしくな!」
 時雨が笑顔を向けると、エウトティアは巨狼に跨ったまま巫女姫の威厳を誇示しながら頷く。
「ぬぅ、そこまで零士殿が言うならば協力はやぶさかではないのじゃ。ともに痕跡を辿ってゆこうぞ? それとレイ殿、此度も協力して彼奴を追い詰めるのじゃ! そして終わったらまたステーキを食べようぞ!」
「はいはい、オレンジジュースも飲む?」
「当然なのじゃ! 肉の脂っぽさがオレンジジュースの酸味によって、口の中がさっぱりするのじゃな! またひとつ、わしは賢くなったのじゃ!」
「仲いいな、お前ら! よっしゃ! 一緒に賑やかにやっていこうぜ!」
 3人は一気に打ち解け合っていった。

 にぎやか組ことレイ・時雨・エウトティアの3人。まずは当初の目的通り血痕を探す事にした。
「わしの出番じゃな? こうなったら手加減はせぬのじゃ。狼を大量動員して虱潰しに捜索じゃ! 天狼の巫女の名の下に来たれ!」
 エウトティアのユーベルコード『巫女姫の威光』を発動させると、大鷲と30匹の狼の群れを呼び出した。
「おまえたち、嗅覚を活かして探すのじゃぞ。特に血の匂いは重点的にじゃ!」
 エウトティアは狼たちに指示を与えると、すぐさま狼たちは散開!
 レイはその影を点々と移動しながら、血痕を辿ってゆく。
「大鷲よ。上空から半邪神の居場所を探し出すのじゃ!」
「おっと、だったら俺も付き合うぜ? カオス・アクセラレイター、変形!」
 宇宙バイクに備わっている変形機構により、カオス・アクセラレイターは重力下でも飛行可能な形態に移行! 時雨も大鷲と共に上空からの捜索に参加する事に。
 それを見送るエウトティアは、自身の第六感を頼りにマニトゥを駆り出す。
「む、特に根拠はないが、あそこが怪しいのじゃ。マニトゥ! 吶喊じゃー!」
 狭い空間に閉じ込められた怒りを発散させるかのように猛ダッシュをするマニトゥ。奇しくも、向かう方向は半邪神の会社の倉庫会社の建物がある敷地であった。
 同じくレイも時雨も、自然とその建物のある敷地へと接近してゆく。
 すると、前方に半邪神の姿を発見!
「逃がすか! デオルム・ドライバー、オン!」
 宇宙バイクを着地させた時雨の腰に禍々しいベルトが顕在化!
「変身ッ!」
 宇宙バイクの上でポーズをとって叫ぶ時雨! するとバックルから呪紋が全身に広がり、謎の電子音声が響き渡った!
『デオルム! マテリライゼイション! ライダーッフォームッ!』
 BGMとともにメタリック装甲のヒーロー・デオルムに変身!
 そこへエウトティアが巨狼を駆りながらデオルムと合流!
「なんじゃ今の!? 歌と音楽がベルトから鳴り響きおったぞ!!」
「歌は気にするな! さぁて半邪神! ひとっ走り付き合ってもらおうか! ゴッドスピードライド!!」
 エンジンを吹かして急加速するカオス・アクセラレイター! それが人型のアーマー形態へ変形すると、デオルムと合体!
 デオルムは機体の勢いを増しながら、半邪神を後ろから撥ね飛ばした!
「ぐわぁぁぁぁ!?」
「わしも行くのじゃ! 狼たちよ、やってしまえ!」
 30匹の狼たちが半邪神を追い付め、擦れ違いざまに爪や牙で切り刻んでゆく!
「何でこんな町中に狼がいるのだ!?」
 半邪神が日の当たらない裏路地へ逃げ込もうとしたその時、影から鋭い刃が走る!
「いくら逃げても無駄よ。アンタはもうあたしの『影』の中。逃亡する先に影があればいくらでも補足してやる」
 レイのユーベルコード攻撃だ! 袈裟斬りに斬られて、血を撒き散らす半邪神!
「はぁ、はぁ……! 残念だったな!! 私は既に、邪神の力を手に入れているのだよ!!」
 なんと、深く刻まれた傷が見る見るうちに塞がってゆく! そのまま民家の屋根伝いに半邪神は逃走!
「くそ! 逃げられたか!」
「あの能力は厄介ね……」
 時雨が思わず舌打ちをする。レイもあと一歩まで追い詰めたが、よもや敵の再生能力があるとは思いもよらなかった模様。
 だが、エウトティアは余裕の表情。
「大丈夫じゃ! 次の猟兵たちが上手くやってくれるはずなのじゃ」
 そういうと、他の猟兵たちの活躍をエウトティアは祈るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

エルーゼ・フーシェン
住宅街……早く探し出さないといけないわね。
【動物と話す】となにか聞き出せるかも。
あれだけ異常な雰囲気を纏ってるなら、なにか得られるかもしれないわ。
建物の中に逃げ込んでるなら【野生の勘】も働かせてみるわね。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


トリガー・シックス
「飛び降りて、隣の市まで逃げたとは」
半邪神となっているのなら可能だろうな。だが見つけ出す。
エルーゼが動物から聞き出すらしいので、こちらは住人から聞き込みにより【情報収集】を行う。
普段とは異なる様子の人物、ダメージを負っているなら衣服にも痕跡はあるだろう。
それを手掛かりに情報を集める。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


信楽・黒鴉
POW

【残像】を出すほどの俊足を活かし、建築物の上を飛び移りながら半邪神の足取りを追う。ユーベルコードにて、斥候を飛ばしつつ、自身もまた【殺気】を感じ取ればそれを追跡しながら、狩り立てていく。

「……やれやれ。半邪神の会社ってなんだかパワーワード感ありますね」
「さておき。あそこで仕留めきれなかったのは残念ですが、胸が躍ります」
「獲物の活きがいいのは、大いに結構」

「こういうときは、こう言うべきですかね。 ……今宵の虎徹は血に飢えておるわ……とかね。別に虎徹は持ってませんけど。あれ贋作多いらしいんですよね」

アドリヴ 絡み 改変 なんでも歓迎です



 エルーゼ・フーシェン(双刃使い・f13445)とトリガー・シックス(黒衣の銃剣士・f13153)、そして信楽・黒鴉(魔剣死蔵家(ソードストッカー)・f14026)のシリアス系の3人は、半邪神の驚異的な身体能力に驚嘆していた。
「飛び降りて、隣の市まで逃げたとは」
 人間ではなく、半邪神なら可能だろうと彼は見解を示す。
 黒尽くめの格好のトリガーの言葉に、エルーゼは頷いて同意した。
「しかも逃げ込んだ先が住宅街……、早く探し出さないといけないわね。それに、ここは半邪神の所属する会社の保有する敷地が近いそうよ」
「……やれやれ。半邪神の会社ってなんだかパワーワード感ありますね」
 信楽は思わず脱力してしまう。今や邪神も会社経営に精を出す時代なのか、と思うと言葉にできない感情で彼の胸の中がモヤッとした。
「さておき。あそこで仕留めきれなかったのは残念ですが、胸が躍ります」
「あら、それは何故?」
 エルーゼの問いに、信楽は愉悦に満ちた表情で口角を吊り上げた。
「獲物の活きがいいのは、大いに結構。斬りがいがあります」
 その言葉に、エルーゼとトリガーは言葉少なに納得したようだ。
「だが、必ず俺たちが見付けだす。ゆくぞ」
 トリガーの先導で3人の半邪神捜索が始まる。

「……すまない。この辺りで怪しい男を目撃しなかったか? 例えば、怪我をしているような……」
 トリガーは通りすがりの女子高校から情報を引き出していた。
 黒ずくめのトリガーもUDCアースではかなり異質な格好だが、猟兵の特性によって違和感を与えずに会話を行う事が可能だ。
「は、はぁ。そういえば、ボロボロのスーツを着たおじさんに話し掛けられたんですけど、怖くて逃げました」
「それはどのあたりだ? どれくらい前だ?」
「ええと、ついさっき、5分くらい前です。あのコンビニを曲がった角で」
「情報提供、感謝する」
 すぐさまトリガーはコンビニの角を曲がった先を捜索すると、屋根伝いに移動してきた信楽が手招きをしていた。上がってこいという事らしい。
「見てください。血痕があちらへ続いています。僕の放った追跡者で確認したところ、やはり倉庫会社の建物へ向かっているようです」
「なるほど、少女に声を掛けそびれ、諦めた半邪神はアジトへ向かっているのだろうか……?」
 そこへエルーゼも屋根の上に跳び乗ってきた。
「大変よ。他の猟兵が放ったこの子が、半邪神を見つけたそうなの」
 動物会話技能で情報を得たエルーゼの腕には、神々しい雰囲気を漂わせた大鷲が止まっていた。
「俺達も追うぞ。いつでも戦える準備をしておけ」
 トリガーは銃のセッティングに余念がない。
「もちろんよ、トリガー。これ以上、犠牲者を出させるわけにはいかないわね」
 エルーゼも双剣を抜き払い、臨戦態勢へ。
 そして、信楽もにっかりと笑みを浮かべる。
「こういうときは、こう言うべきですかね? ……今宵の虎徹は血に飢えておるわ……とかね。別に虎徹は持ってませんけど。あれ贋作多いらしいんですよね」
 3人は急いで半邪神を追跡してゆくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カイム・クローバー
【ペンドラゴン】で行動。 半邪神の会社の敷地?あんな見境ないイカレ野郎がうようよしてるとかじゃねーよな?だいたいマトモな会社なのか?それこそ臓物とか目玉とかグロテスクなモンが……(うっぷ)言ってて気持ち悪くなってきた…
SPD判定で技能を使って情報を集めるぜ。俺が使うのは【追跡】と【コミュ力】。勿論、追跡するのはイカレ野郎の血痕。あんだけ派手にやらかしたんだ。まだ血は乾いていないし、姿を見た一般人も残ってるかもしれねぇ。情報を集めながら追い詰めるぜ。万一戦闘の場合は俺が前衛だ。【挑発】かまして注意は引き付ける。蒼の射撃をアテにして俺は囮役をやるぜ。状況によっちゃやつの誘導もアリかもな。


戎崎・蒼
【ペンドラゴン】で行動。
まさか住宅街に逃げ込むだなんて姑息な奴……って思ったけど、そうか半邪神の敷地があるからか。

情報収集は得意でもないから、POW判定で。通りそうな道全ての壁に銃痕を付けておき、ここは猟兵が常に通っているかもしれないと思わせる(一斉発射+恐怖を与える)。
そうすれば通る可能性が低くなると思う。あとは実際に追ってみて攻撃、かな(追跡+スナイパー)。
白痴でないと思うし、取り敢えず知略で追い詰める。

僕は中衛で積極的に相手を狙い、カイムが引き付けたらその怪人の足止めを行って援護射撃。
もしカイムに誘導してもらい射程範囲内に入ったら、UCを当てようと試みるよ。…数打ちゃ当たる戦法で。



 旅団『ホテル・ペンドラゴン』に属するカイム・クローバー((自称)凄腕イケメン狼盗賊・f08018)と戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)。今回も2人で行動を共にするようだ。
「まさか住宅街に逃げ込むだなんて姑息な奴……って思ったけど、そうか半邪神の敷地があるからか」
 納得する戎崎に対して、カイムは先程から顔色が優れない。
「半邪神の会社の敷地? あんな見境ないイカレ野郎がうようよしてるとかじゃねーよな? だいたいマトモな会社なのかすら怪しいぜ……。 それこそ、血の滴る臓物とか、抉り出された目玉とかグロテスクなモンが……うっ!?」
 自分で言っておぞましい情景を想像してしまったカイムは、その自身の豊かな想像力をこの時ばかりは恨んだ。先程飲んだクリームソーダが一瞬、食道からせり上がってしまい、慌ててその場にしゃがみ込む。
「わりぃ……、言ってて気持ち悪くなってきた……」
「大丈夫か、カイム? 背中さすろうか?」
「ガキ扱いすんじゃねぇよ、蒼……。でも、頼む……」
 戎崎は優しくカイムの背中をさすり始めた。
「あぁ……、うん、僕たちはマイペースに進めていこうか? 僕自身、情報収集は得意でもないからね……」
「すまねぇ……うっぷ……」
 ペンドラゴン組、この先が若干思いやられるが……。

 閑静な住宅街に、突如鳴り響く銃声!
 だが、住人は様子を見に出て来ようともしなかった。
「こういう時、事なかれ主義って都合がいいよね。白痴ともいえるのだけども……」
「蒼、今戻ったぜ。って、何やってんだ……?」
 復活したカイムが情報収集から戻ってくると、ちょうど戎崎が人様の家の塀へ向けてマスケット銃をぶっ放していたのだ。戎崎は構わず、立て続けに銃弾を等間隔に撃ち込んでゆく。
「これかい? 半邪神が通りそうな道の全ての壁に銃痕を付けておくんだ。そしてここを通った奴に、既に猟兵のマークが入っていることを知らしめてやるんだ。そうすれば、半邪神の奴は警戒してこの道を通らなくなるはずだ。あとは実際に追ってみて攻撃、かな。敵は白痴でないと思うし、取り敢えず知略で追い詰めてみようかと思っているよ」
「なるほどな。ちょっとギョッとしたけどな? ああ、俺の方は収穫があったぜ? 半邪神を見かけて声を掛けた爺さんと話をしてきた」
「よく生きていたね、そのお爺さん?」
 戎崎が目を丸くしていると、カイムも頷いてみせた。
「だよな? でも奴、どうも女性しか狙わないらしい。爺さんが声を掛けても『男には用はない』とか言って追い返してしまったらしーぜ? とんだ女好きだぜ、まったくよぉ?」
 それと、とカイムは真剣な表情で戎崎に告げた。
「半邪神の奴、自己再生能力を持っているらしいな。爺さん、奴の傷の治りがやけに早いなと不思議がってたぜ。ああ、勿論、記憶がどーのとかはUDC組織の連中に連絡して対応させたけどよ? どう思う、蒼?」
 これに戎崎は小さく唸った。
「有り得るよね。レストランでもあれだけ重傷を負ったのにもかかわらず、ビルの8階から飛び降りたんだ。自己再生能力に長けている邪神なんだろう」
 戎崎が顔を起こして遠くを眺めると、なんと、ちょうど半邪神の奴が少女へ襲い掛かろうとしているではないか!
「危ないっ! クラヴェッタ! ……Tiro volley!」
 戎崎のユーベルコード『第二楽章 無言歌《1999》op.13(リーダオーネウォルテ・ティロ・ボレー)』の魔弾の一斉射撃が炸裂!
 半邪神の全身を魔弾の弾幕が撃ち抜き、その身体を吹き飛ばした!
「はやく君は逃げて!」
 少女を逃がした戎崎は、再びユーベルコードの構え!
 対して、カイムは再び挑発! 少女を庇いながら前に出る!
「邪神の力はそんなもんか? 逃げてばっかりで情けねぇぜ!」
 だが、半邪神はカイムを睨み付けた後、全速力で猛ダッシュして逃亡!
「そんな安い挑発に乗るものか!!」
「逃がさない!」
 そこへ再度、魔弾の弾幕が半邪神の背中を撃ち抜く!
 血塗れの半邪神は、死に物狂いで空き倉庫へ駈け込んでいった。
「なぁ、蒼? ここってもしかしてさ……」
 カイムが青ざめた顔で尋ねると、戎崎は警戒しながら門を潜り抜ける。
「どうやら、敵の根城らしいね。何とか此処まで追い詰めたようだ」
「うへぇ、ヤバいモン転がっていませんよーに……!」
 2人は恐る恐る空き倉庫へ足を踏み入れる。
 そこが、決着の舞台となると確信をしながら……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『半邪神『伽羅・明宏』』

POW   :    神は不滅だッ!
自身が戦闘で瀕死になると【同じ能力を持った自身のバックアップ】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    神に歯向かった罰だッ!
【邪神の力を解放した姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    君達は最高のモルモットだァ!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【邪神の力によりゾンビ】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は胡堂・充です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 半邪神『伽羅・明宏』は、邪神教団のフロント企業の社長であった。
 UDC組織のエージェントの協力と猟兵たちの情報網により、突入前に半邪神の身元を特定する事が出来たのだ。
 猟兵たちは、恐る恐る倉庫と思しき会社の建物へ侵入。
 建物の中は生臭さが充満しており、その中に死臭が混じっていることを勘の良い猟兵は察することが出来るだろう。つまり、既にここで多くの一般人が半邪神と邪神教団の手によって命を落としている……!
 その時だった。突然、入ってきた扉が閉まったかと思えば自動的に施錠されてしまう!
 しまった、閉じ込められた!
「ようこそ、弊社の“神殿”へ」
 半邪神『伽羅・明宏』は真っ赤なナニカを食みながら、猟兵たちの前に姿を現した。奴の傷は既に完治していた。
 あれは、見てはいけない……! 奴の喰っているモノが何かを識別してしまったら、猟兵の中には怒り狂い、はたまた卒倒するものがいるかもしれない。
 だから、半邪神が食べている“ストロベリーパイ”を直視してはいけない……!
「以前から私は興味があってね? 世界に選ばれた存在たる猟兵の“ストロベリーパイ”を喰らえば、この身に宿した邪神の制御も容易になるのでは、とね?」
 猟兵たちに戦慄が走る。そして、君達の周囲には、数多の死体が無造作に、まるで壊れて棄てられた人形のように散乱している事に気が付く! 薄暗い建物内で目が慣れるのが遅れたがゆえのタイムラグ! ここは、既に半邪神の腹の中だ!
「さぁ、少し早めのディナータイムと洒落込むとしよう! いただきます!」
 半邪神『伽羅・明宏』が猟兵たちに襲い掛かる!
 このまま黙って喰われるわけにはいかない。何としても奴を倒さねば!!
レイ・アイオライト
……最悪よ。こんなことになってるなんて思いもしなかったわ。
だけど……そう、それほど「食事」にご執心なら、あたしも同じようにアンタを喰い尽くしてあげるわ。
【虚空ヲ喰ム者】(攻撃力重視)で自分の周囲に影を纏った後、こちらに引き付ける(『殺気』『誘惑』)。

灰の影の「食事」と魔刀の『クイックドロウ』『2回攻撃』よ。
事前に鋼糸を張り巡らせて足が引っかかるように誘導する。(『罠使い』)その後は『影縫ノ暗剣』で行動不能にするわ。

殺すとバックアップで復活するし、他の猟兵たちにも協力してもらうことにしましょうか。
大技を使う猟兵がいるなら時間稼ぎになるだろうしね。

(共闘、アドリブ歓迎です)


時雨・零士
「救えねぇな…テメェは…。テメェはここで仕留める…さぁ、オマエの罪を、数えろ…!」

ブラスター・バーストの連射【2回攻撃】で牽制し、【ダッシュ】で接近。懐に入り込み、【グラップル、2回攻撃、怪力】での拳や蹴りの連撃を叩き込みつつ、敵が邪神の力を解放したら、こちらも【アクセルフォーム】にチェンジ。
速く動く物を攻撃する特性を逆手に取ってこちらに攻撃を引き付け、千倍の動作加速と【第六感、見切り】を併用して攻撃回避。回避後に高速連続攻撃からの【捨て身の一撃、力溜め、怪力】の連続ライダーキックを叩き込んでやるぜ!

「さぁ、振り切るぜ!ひとっ走り付き合えよ!」
「絶望がおまえのゴールだ…!」

※アドリブ歓迎


エウトティア・ナトゥア
可能なら味方と連携

何やら御託を並べておるようじゃが、要するに生存競争じゃろう?
弱肉強食は自然の摂理じゃ、どちらが上位捕食者か教えてやるわ

「ダッシュ」「誘導弾」「属性攻撃」「援護射撃」
マニトゥ!
味方の攻撃と同調してマニトゥを半邪神に嗾け前衛とし、後ろから援護射撃するかの
矢に「風の刃」を纏わせて半邪神の足を執拗に抉るのじゃ
高速再生しようとも肉を抉られ続ければ動きは鈍るじゃろう

「迷彩」「忍び足」「ダッシュ」「破魔」「祈り」「見切り」使用
味方の攻撃に紛れ徐々に敵の死角に回り込み、タイミングを見切って高速移動で一気に肉薄し、「破魔」の「祈り」を載せた黒曜石のナイフで一突きにしてやるのじゃ


カイム・クローバー
【ペンドラゴン】で行動。この匂い…っ!こいつは…(口元を手で押さえ)いや、吐いてる場合じゃねぇな…大丈夫だぜ、蒼。キッチリ仕事はこなすさ(顔色は悪く)SPD判定で勝負。身体に宿した邪神とやらがどんな醜悪な化け物なのか見せて貰うぜ。 前衛での立ち回り。【二回攻撃】【鎧砕き】【なぎ払い】【串刺し】を使用しつつ、奴の理性を無くす。前衛で足を止めずに動いて狙いを俺に絞らせるのが目的だ。【見切り】【武器受け】、UCを用いて回避に専念。……情けない話だが、この匂いのせいで叩き斬るまでの力が入らなくてよ。きっちり役割はこなすが撃破は譲る形になるぜ。 戦闘後はとりあえずトイレに。うん、これは無理だわ…


戎崎・蒼
【ペンドラゴン】で行動。
いよいよ邪神との戦いか。死臭とか血肉の腐敗臭が酷いな…カイムは無理だけはしないようにね………?

判定はPOW。邪神だから手強いとは思うけど、体力を減らして貢献出来るようにしたい。
Sigmarion-M01で射撃しつつ(スナイパー+援護射撃)、隙を伺おうかな。後方から死角を補って、且つ相手の足止めも行うよ(2回攻撃+恐怖を与える)。
頃合と隙を見計らって、射程範囲内に入ったらUCを使う。
より攻撃力を上げられるようにSyan bullet(テルミット系弾丸:使用可能回数1回)を装填して攻撃するよ。

……もしこの攻撃が最後辺りだったら、カイムに変わってトドメを刺すよ。


信楽・黒鴉
SPD

その【殺気】を見切り、【残像】の現れるような速度で翻弄しながらUC封じのUCを叩き込みつつ、血祭りに上げる。

「…………ずいぶんと安い神もあったもんですねえ」
「とりあえず、神様だろうと鬼だろうと肉があるなら斬れるでしょうね」
「それでまあ……斬れるってんなら、殺せない道理もないでしょうよ」
「やっちゃいますかね、神殺し。まあ、威張れるような殊勲でもなさそうですが」

アドリブ 改変 共闘 歓迎いたします。


エルーゼ・フーシェン
「食べるならお店の食事のほうがいいと思うけど?」
双剣『ラーズグリーズ』を抜き、半邪神に切りかかる。
舞うように剣を振るいつつ【怪力】を用いた【なぎ払い】や【二回攻撃】を織り交ぜる。
攻撃には【残像】による空振りを誘い、【カウンター】による【衝撃波】で吹き飛ばす。
『トリニティ・エンハンス』で攻撃力を上げて剣に炎を纏わせて【属性攻撃】で追撃を行う。
変異することがあれば【野生の勘】で危険を察知できるようにする。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


トリガー・シックス
「制御が容易になるか。時代が変われど、人は変わらないか」
『太極刃【昂陰】』を抜き、光刃を形成して【2回攻撃】による連撃や連結させ、敵の攻撃を【見切り】ながら叩き込む。
ゾンビ化させてきたら犠牲者という考えは捨てて、躊躇なく切り捨てる。
一瞬の躊躇が左右する戦場であるためだと知っているから。
姿を変化させたら『ジョーカー5s』を抜いて、囮として動く。
【ダッシュ】による移動、【地形の利用】を用いた回避、【残像】による空振りなどを誘発させる。
『幽幻なる狩人』を呼び出し、翻弄も試みる。
弱ってきたら一気に畳みかける。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK



 死臭と腐敗臭の漂う閉ざされた倉庫の中、半邪神『伽羅・明宏』と猟兵たちは対峙する。
「うッ!? この倉庫内に散乱してるモノは!? それにこの臭いは……! ッ――!!」
 グロテスク耐性のないカイム・クローバー((自称)凄腕イケメン狼盗賊・f08018)は、胃の奥から込み上げてくるモノを必死に押し留めようとしていた。
 そんな友の異変を察知し、カイムの前を遮るように進み出たのは同じ旅団『ホテル・ペンドラゴン』の朋友たる戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)だ。
「いよいよ邪神との戦いだけど、想像以上に死臭とか血肉の腐敗臭が酷いな……。カイム、無理だけはしないようにね……?」
 戎崎に背中をさすられるカイムが、その手をそっと払い除けた。
「いや、吐いてる場合じゃねぇな……。大丈夫だぜ、蒼。キッチリ仕事はこなすさ」
「でも顔色が悪いわ、カイム。私たちもいるから、こういうときは頼っていいのよ」
 エルーゼ・フーシェン(双刃使い・f13445)が静かに微笑んだ。
「それにしても……半邪神? そんなにお腹が減っているなら、お店の食事のほうがいいと思うけど?」
 双剣『ラーズグリーズ』を抜き、半邪神の動きを窺うエルーゼ。
 これに対して半邪神は体の半分を邪神のそれへと変質させながらくつくつと嘲笑う。
「店での食事は嗜好品の意味合いが強いのだよ、そこの綺麗なお嬢さん? 対して、此処での食事は神聖な行為……! 生贄の血肉が私の一部として取り込まれる儀式なのだ! 君達もすぐに分かる。その身をもってね……?」
「……最悪よ。こんなことになってるなんて思いもしなかったわ」
 レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)はうんざりした様子で顔をしかめた。既に多くの一般市民が半邪神の犠牲になっており、このままだと自分たちも腐った肉の残骸の仲間入りになりかねないという事実に、彼女は心底嫌悪した。
「だけど……そう、それほど“食事”にご執心なら、あたしも同じようにアンタを喰い尽くしてあげるわ」
「ほう? 神を喰らうというのかね、君は? やれるものならやってみるがいい! 私も猟兵を喰らって、宿した邪神を完全制御してみせよう!」
「……神の完全な制御、か。時代が変われど、人は変わらないか」
 落胆したような声を漏らすトリガー・シックス(黒衣の銃剣士・f13153)。
「そのような悪あがきなど身を滅ぼすと、先人たちの歴史が教えてくれている。つまり……、既に“詰み(チェックメイト)”だ、半邪神……」
 トリガーも漆黒の小太刀陰狼と金色の小太刀昂龍の双刀『太極刃【昂陰】』を両手に持って身構える。
 そんな彼の隣で、刃長二尺八寸の打刀『不語仙』の柄に手を掛ける信楽・黒鴉(魔剣死蔵家(ソードストッカー)・f14026)が半邪神を値踏みするように睨み付けた。
「やっちゃいますかね、神殺し。まあ、威張れるような殊勲でもなさそうですが。せめて、神話のように倒したら体の中から剣が出てくるのならやる気が出るって話ですけれども」
 書生服姿の少年から、悪鬼の如き殺気が放たれる。半邪神はその殺気に当てられ、一瞬、その身を竦めた。その様子に、信楽は呆れたように呟いた。
「この程度の殺気に震えてしまうなんて……ずいぶんと安い神もあったもんですねえ」
「だ、黙れ……! 男には用はない! すぐに殺してやる! うおおぉぉぉ……!」
 すると、半邪神の右半身が急激にドス黒く染まってゆくではないか! もしや、その身に宿した邪神の力を解放しつつあるのか!
 だが、そんなことはお構いなしと言わんばかりに、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)が聖獣の巨狼マニトゥを従えて半邪神を見据えて告げた。
「何やら御託を並べておるようじゃが、要するに生存競争じゃろう? 弱肉強食は自然の摂理じゃ、どちらが上位捕食者か教えてやるわ」
「生贄ハ、神ニ喰ワレる宿命(さだめ)ナのだ!!」
 邪神の力を解放して、自我が浸食されているのだろう。徐々に敵の口調が濁り始めてきている!
「さァ、若イ猟兵の女性の“ストロベリーパイ”ヲ、私ガ味わっテやろウ!!」
「救えねぇな……テメェは……!」
 傍若無人の半邪神に対して、怒りを露わにするのは時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)だ。
「許さねぇ……! テメェの身勝手な食欲のせいで、どれだけ多くの人が泣いているかと思うと、腹の底から怒りが湧いてくるぜ……!」
 その怒りに応えた魔術装置ベルト『デオルム・ドライバー』が禍々しい光を帯びて具現化!
「テメェはここで仕留める……! さぁ、オマエの罪を、数えろ……ッ! 変身ッ!」
 ポーズを決めた後にバックルへ両手をかざせば、ベルトに籠められたUDCのエネルギーによって呪紋が時雨の全身へ広がってゆく!
『デオルム! マテリライゼイション! ライダーッフォームッ!』
 たちまちメタリックな装甲に包まれたサイボーグ戦士へと姿を変えた時雨ことデオルム。
「テメェの罪は……この俺が裁くッ!!」
 この変身が戦闘開始の合図となったのだった。

『デオルム・ブラスター・バーストッ!』
 謎の電子音声がデオルムの熱線銃から発声すると、2連バースト連射で敵の動きを牽制する。
 そのままデオルムが半邪神に接近し、肉弾戦を敢行! ジャブ・フックのコンビネーションパンチからの浴びせ蹴りが半邪神に炸裂!
 怒涛の連撃に、半邪神は堪らず床を転がってゆく!
「マニトゥ!」
 そこへエウトティアの巨狼マニトゥが半邪神へ襲い掛かる! 半邪神を逆に喰らってしまわんと、巨体を活かして覆い被さり噛み付いてゆく!
「なにィ!? この、どけェッ!!」
 邪神が巨狼から抜け出そうと必死にもがく!
 その間にエウトティアは手製の短弓に緑縞瑪瑙の矢を番えて弦を引き絞る!
「風の精霊よ、刃となれ! 悪しき邪神の足を抉る鋭き刃となるのじゃ!」
 エウトティアが矢を放つと、風の精霊を宿した矢の一撃が、半邪神の左足のすねに突き刺さる!
「ぐっ!? よくも、私を虚仮に、虚仮にしてくれたなァ!? 神に歯向かった罰だッ!」
 半邪神が遂に、邪神の力を解放した姿に変化! 刺さった矢がまるで逆再生映像の如く押し出され、傷口が癒えてゆく!
 そして半邪神は巨狼マニトゥの鼻先をむんずと掴んで押し戻す! そのままマニトゥは投げ飛ばされ、遠くの資材の山へ轟音を立てて突っ込む!
「マニトゥ!? おのれ、よくも! 再生するとはいえ無限ではないはずじゃ!」
 もう一度、矢を番えてエウトティアが放つ!
「グルルルルァァァアアァァアアッ!!!」
 しかし、矢が半邪神に突き刺さる前に叩き落とされた! なんたる超反応!
 そして先程まで饒舌だった半邪神が、急に腹を空かせた獣の如き唸り声を上げて、猟兵たちを品定めしている……!
「邪神の力の影響で理性をなくしているの……? だったら!」
 レイがユーベルコード『虚空ヲ喰ム者(イマジナリー・イロージョン)』を発動させる!
「『光』と『闇』を喰い散らかす真影、全てを侵し尽くしなさい!」
 レイの呼び声に応じ、敵の体の『陰』から空間ごと喰い破る灰の影、敵の攻撃に自動迎撃する漆黒の影、敵の眼に入る『光』を喰らう純白の影が出現!
 担いでいた楽器ケースから魔刀・篠突ク雨を鞘ごと取り出すと、影とともにレイは前に進み出る。
「若い女の内臓が食べたいの? だったらここにあるわ。でも、そう簡単に食べさせてあげないわよ!」
「グルァッ!!」
 レイに飛び掛かる半邪神! しかし、死角から出現した灰の影に右肩をかじられ、自動迎撃する漆黒の影に腹部を抉られ、純白の影によって視界を奪われる! そこへレイの居合斬りが半邪神を一刀両断!
 真っ二つになった半邪神の身体が床へ無造作に落ちた!
「……あら、随分とあっけないわね?」
 切り捨てた半邪神を一瞥し、ユーベルコードを一旦解除するレイ。
 だが、振り返った目の前に、無傷の半邪神の姿を見て驚愕する!
「どういうことなの……!?」
「神は不滅だッ! そして私の力はパワーアップして戻ってくるのだ! ふはははははっ!!」
 無理矢理にレイの髪を掴んだ半邪神は、力任せに振り回して柱へ叩き付けるように放り投げた! 柱に激突したレイの顔が苦痛に歪む!
 攻撃の機会を窺っていた猟兵たちは目の当たりにしていた。半邪神がレイによって切り捨てられた瞬間、空間からもうひとりの半邪神が出現してくる光景を……!
「どうやら、死ぬ寸前に予備の肉体を召喚してパワーアップするようね?」
 どうするの、と言いたげにエルーゼはトリガーと信楽を見遣る。
「厄介だが……、肉体のストックは無限ではないはずだ。そして邪神化が解けた今なら、こちらの攻撃が通るはずだ。ゆくぞ」
「とりあえず、神様だろうと鬼だろうと肉があるなら斬れるでしょうね」
 打刀『不語仙』を振るって、我先にと半邪神へ飛び掛かる信楽!
「それでまあ……斬れるってんなら、殺せない道理もないでしょうよ。あんたの身体が幾らあろうがね?」
 擦れ違いざまに半邪神の身体が斬り裂かれて床を鮮血で濡らしてゆく。だが、やはりすぐに傷口が再び塞がってゆく……。
「させるか」
 閉じゆく傷を目掛けてトリガーが紅と蒼の光刃を走らせる!
 そこへ阿吽の呼吸でエルーゼが反対側からダッシュで急接近、トリガーと擦れ違うようにして刃を滑らせていった。
「おのれェ!」
 半邪神がふたりへ鋭い爪を振りかざす! だがトリガーはその攻撃を見切り、エルーゼも残像を囮として攻撃を回避!
 そこへ戎崎の改造マスケット銃『Sigmarion-M01』が邪神の背後に銃弾を浴びせる!
「カイム、今だよ!」
「身体に宿した邪神とやらが、どんな醜悪な化け物なのか見せて貰うぜ」
 全長2m近い両刃の狼盗賊の大剣を低く構え、半邪神の背中を深々と貫いた!
 致命傷だったのか、大量の血を吐く半邪神!
「かは……っ!? か、神に逆らう事が……どれほど罪深いか、おしえてやろう!」
 敵は再び邪神の力を解放すると暴走!
 カイムに漆黒の爪で横薙ぎに斬り裂く! 狙うかは彼のの頸動脈、真一文字にプッツリと切断せんと振り抜く!
「っぶねぇ!?」
 だが、カイムはユーベルコード『絶望の福音』によって、10秒前にこの攻撃を予測していた。
 カイムが体を反らせると、ギリギリ首元を黒い爪先が素通りしてゆく!
 堪らず大剣を引き抜き、後ろへ下がるカイム。だが、理性をなくし、動くものへ自動攻撃を仕掛ける半邪神はカイムを追尾、再び黒い爪を突き刺さんを前へ伸ばす!
「俺が相手になってる……」
 トリガーが回転弾倉式大型拳銃NAタイプHC『ジョーカー5s』を発砲! 半邪神の腕を銃弾で弾いた!
 そして、その速度で標的が今度はトリガーへ移り、カイムから離れてゆく!
「こっちだ……!」
 残像が残るほどの速度で、暴走する半邪神をトリガーは翻弄。そして彼に合わせるように、やはりエルーゼがコンビネーション攻撃を仕掛けてゆく。
「グルァァァッ!!」
「力任せの大ぶりな一撃、避けるのは容易のようね」
 半邪神の腕は空を切り、がら空きになった目の前にエルーゼが衝撃波の剣気をぶつければトリガーはユーベルコード『幽幻なる狩人(ファントムハンター)』でアサシンの霊を召喚する。召喚者と同じく二本の短刀を駆使して半邪神を切り刻む!
「ハッ!」
「グルゥ!?」
 その間、エウトティアも弓での援護射撃を行い、デオルムもブラスターでダメージを蓄積させてゆく。
 レイも再び『虚空ヲ喰ム者(イマジナリー・イロージョン)』で半邪神を喰らってゆき、カイムもまた大剣で、信楽はフォースセイバーに持ち替えて近接戦闘に参加してゆく。
「これでとどめだ」
 トリガーが呼び出したアサシンの霊が、半邪神の首を刎ねた!
 だが、次の瞬間、更に強化された半邪神の肉体ストックが召喚され、戦況は振り出しへと戻ってしまう……!
「なんだこいつ!? キリがねぇ……!」
 カイムが吐き気を我慢できずに、その場でえずく。
「うっぷ……わりぃ、蒼。それにみんな……。実はさっきから武器を持つ手に力が入らねぇ。この異臭と目の前の死体のせいで、俺の方がこれ以上耐えられねぇ……!」
「なんてしぶといのかしら……。それに、ストックの肉体が召喚されるたびに半邪神が強化されるのも厄介よね」
 レイも魔刀を構えながら肩で息をする。
 優勢を悟った半邪神、ここにきて更なる攻撃を繰り出してきた。
「猟兵は思っていたよりも脅威ではなさそうだ。私がこれ以上、邪神の力を解放するまでもない。ならば、私のモルモットたちの相手で充分だろう。――起きろ、私の実験体たち!」
 半邪神の身体から黒い霞が発散されると、周囲に転がっている死体に霞が吸い込まれゆく。すると、いきなり死体がゾンビとなって起き上がり、一斉に猟兵たちへ襲い掛かってきた! その数、ざっと50人!
「げぇっ、今度はゾンビかよ、勘弁してくれ……!」
 悲鳴を上げるカイムがこっちへくんなと黒い大剣をゾンビへ向けて振り回す。
 他の猟兵たちも突然の増援に対応を余儀なくされる。
「このままでは押し切られてしまうぞ……!」
 流石に焦るトリガー。拳銃を連発してヘッドショットを決めてゆくが、数が多すぎる!
 他の猟兵もゾンビの手数に、邪神まで攻撃を届かせる事が出来ない!
 だがその時、エウトティアが腹の底から叫んだ。
「何をしておる、マニトゥ! いつまで寝ておるのじゃ!? はやく皆を助けるのじゃ!」
 その一言で、状況が一変した。
 気絶していた巨狼マニトゥが飛び起きると、ゾンビたちを次々と噛み砕いては蹴散らしてゆくではないか!
「マニトゥ! その者たちは任せたぞ!」
 ゾンビの相手を巨狼に任せたエウトティアをはじめとする猟兵たちは、いよいよ半邪神と決着を付けるために3度目の勝負を挑む。
「何度やっても同じことだがね!? はぁぁぁぁ!!」
 三度、邪神の力を解放して暴走を開始!
 だが、ここで信楽が動く。
「やれやれですね。このユーベルコードを出す事になってしまうなんてね? 秘剣っていうのは、おいそれと表に出さないからこそ秘剣なんですがね……?」
 刃長三尺の妖刀『稚児切』に持ち替えた信楽は、刀身を鞘から出さずに抜刀術の構えを取る。
「どんなご大層な技だろうと、攻めの枕を押さえりゃ良いンです。このように、ね?」
 次の瞬間、弾丸の如く床を蹴って半邪神へ向かって加速する信楽!
 当然、半邪神は標的を信楽に絞って突っ込んでくる!
 両者が激突、交錯してゆく!
 だが、猟兵たちは確かに見た!
 信楽が半邪神の両腕を抜刀術で切り落とし、返す刀で右腕の腱を袈裟斬りで断ち、続けて足首ごと左腕の腱を逆袈裟斬りで刎ね飛ばす高速三段殺法、ユーベルコード『秘剣・擒賊擒王』を一部始終を……!
 四肢を断たれて身動きが取れなくなった半邪神は、暴走が解けて床に転がり込む。これでもはや邪神の力を解放できないだろう。
 そこへレイの電撃を帯びた鋼糸が容赦なく半邪神を絡め取って締め上げてゆく!
 そして追撃の感電!
「あがががががががががァッ!?」
「そう簡単に死なせないわ。また復活したら面倒だもの」
 レイの言葉に、戎崎がふと何かを閃いたようだ。
「だったら、これでどうかな? 僕のユーベルコードで、その再生能力を封じよう」
 蒼い液状火薬が入った透明色な硝子製弾丸『Syan bullet-#00FFFF』を愛銃に籠めると、ユーベルコード『第一楽章 「94」より:最悪の銃式について(パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ)』を発動させる!
「これが君に課す規則(ルール)だよ。……Pallottola magica ed infinita(無限の魔弾)!」
 放たれた弾丸は這いつくばる半邪神の背中に命中! 爆薬が炸裂するかのように半邪神の骨肉が吹っ飛ばされた! すかさず、戎崎は命令を下す!
「命令はこうだ。“もう君が二度と再生することを僕は許さない。勿論、新しい肉体に乗り換えることも含まれる”よ」
「は、ははっ! そんな命令、聞く義理もないな……! いでよ、我が新たな肉体!」
 半邪神のユーベルコードによって、新たな肉体が召喚されてしまった。しかし、次の瞬間! 新しい肉体が銃撃に晒されたかのように粉々になって吹っ飛ばされた! 同時に、本体の半邪神の身体も銃撃のような傷が深々と作られていた。
「言っただろう? もう君は新しい肉体に乗り換えることはできない。これが僕の“無限の魔弾”だ。ルールを破った者へは、必中の見えざる銃弾が撃ち込まれるのだから……」
 つまり、もう戎崎の“銃撃”から逃れることはできない!
 ユーベルコードを2つも封じられた半邪神は、ゾンビで対抗しようとするも、周りを見渡せばゾンビの姿がいなくなっていた。
「マニトゥ、よくやったのじゃ!」
 全てのゾンビを蹴散らしてしまえば、もはや簀巻きにされた半邪神が猟兵に対抗する手段は皆無だ。
 半邪神は状況の不利を悟り、恐怖に慄きながら懇願する。
 何とかヨロヨロと立ち上がると、泣きながら命乞いを始めたではないか。
「も、申し訳ございません! もう邪神を呼び出したりしません! この通り! 許してください!!」
 だが、彼はもはや人間ではなくオブリビオンに成り果てている。
 そして彼は既に多くの無関係な市民を食い散らかしてきたことは明白だ。
 当然、このまま黙って見逃す道理など猟兵たちに持ち合わせていなかった。
「その言葉、人を喰う前に言えたら合格だったんだがな!? さぁ、振り切るぜ! ひとっ走り付き合えよ!」
 時雨のベルトにスピードメーター表示が現れたかと思うと、彼は一気にフルスロットル!
『Start UP! デオルム! トップギアァッ! アクセルフォームッ!』
 謎の電子音声とともに、デオルムの姿が豹変! これぞ高速の戦士、デオルム・アクセルフォームだ!
 説明しよう!
 デオルム・アクセルは攻撃力強化と動作を1000倍に加速する強化変身フォームだ!
 つまり、今のデオルムは通常フォーム1回の攻撃動作で1000発も撃ち込む事が出来るぞ!
 これが新たなデオルムのパワーだ!
「さぁ、終わりにするぜ……!!」
 デオルムが高々と跳躍!
「絶望がおまえのゴールだ……!」
『デオルム! アクセル・サウザンド・キィック!!』
 そのまま1000倍に加速した超高速ドロップキックが半邪神を狙う!
 その動作と連携するように、エウトティアは詠唱を開始!
「精霊よ、我が身に宿るのじゃ。共に赤き光芒となりて駆け抜けようぞ!」
 ユーベルコード『緋色の線条』によって、高密度の紅い精霊力をまとったエウトティア。彼女もまた高速移動を実現させると、破魔の祈りを載せた黒曜石のナイフを手裏剣めいて投擲! ナイフは半邪神の胸元に突き刺さる!
「マニトゥ! 踏み台になるのじゃ!」
 エウトティアは巨狼の背中を蹴って天高く跳躍! デオルムと並んだ!
「これでとどめじゃ!!」
 突き出した右足に『崩壊の概念』の赤い光を放ちながら、デオルムと一緒に急降下キック!
「それじゃあ、私も行くわね?」
 エルーゼもユーベルコード『トリニティ・エンハンス』で炎の魔力、水の魔力、風の魔力で自己強化! 風の魔力で自身の身体を宙に浮かせ、そのまま炎と氷をまとったキックを繰り出した!
 迫る猟兵3人のトリプルキックに、半邪神は恐怖に顔を歪める!
「うわあああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」
 3人のキックの衝撃が、エウトティアが放った黒曜石のナイフを半邪神の心臓に届かせ、一気に貫く!
 半邪神は吹っ飛ばされながら、エウトティアが放った『崩壊の概念』に蝕まれ、まるで溶けた雪像のように崩れ落ちてゆくのだった……!

「うっぷ、もう無理! おえぇぇぇ……!」
 倉庫から脱出したカイムは、植え込みの陰で胃の内容物を全て吐き出してしまった。
「カイム、よく頑張ったね……」
 朋友の健闘を称える戎崎は、カイムが復調するまでひたすら背中をさすり続ける。
 倉庫にはUDC組織のエージェントたちが駆け付け、現場の後処理に追われていた。
 変身を解除した時雨がその様子を眺めながら戦闘を振り返っていた。
「すげぇ強敵だった気がするぜ……。あんな奴が他の場所でも出現するかもと思うとゾッとするぜ……」
「でも、倒せない訳じゃないわ。猟兵たちが力を合わせれば、必ず勝てる相手だって証明されたのよ」
 レイは自販機で買った缶コーヒーを時雨に手渡した。
「お疲れ様。コーヒーでよかった?」
「ああ、いただくぜ。サンキュ、レイ!」
「零士殿! ずるいのじゃ! レイ殿! わしはオレンジジュースとステーキを所望するのじゃ!」
 エウトティアの抗議する姿に、エルーゼとトリガーはにわかに微笑み、信楽はボソッと一句詠みあげた。
「人の欲 時に神をも 凌駕せん 愚行はいずれ 破滅を招かん」
 和歌じゃなくて狂歌だな、なんて思いながら、信楽はようやく安堵の表情を浮かべた。
「これにて一件落着、お後がよろしいようで」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月26日


挿絵イラスト