「白亜の蛇神の神託が下される。貴様ら、余の言葉に傾聴せよ」
蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)の裏人格であり、彼女に憑依する白亜の蛇神オロチヒメ。蛇神はグリモア・ベースへ猟兵を招集すると、今回の任務の内容を話し始めた。
「今回は少々特殊な案件である。そして、神に係わる案件でもあるのだ」
オロチヒメは訝しがるように目を細めた。
「場所はシルバーレイン世界の東北地方岩手県。地図にも殆ど載らぬ小さな集落に、今回の標的である土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』が根城を築いておるぞ」
土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』という名を聞いて、一部の猟兵が息を呑んだ。
10年以上も前、銀誓館学園の学生たちが多くの犠牲者を出して討ち果たしたゴースト。土蜘蛛勢力のトップ。その彼女は今、オブリビオンとして蘇っていたのだ。
「彼奴は性懲りもなく、集落丸ごとをすっぽり包み込むほどの『土蜘蛛の檻』を作り出し、その中の住人達の生命力を吸い上げて同胞の数を増やしておるのだ。このままでは住人達の生存は危うく、土蜘蛛オブリビオンを増殖させてしまう。貴様らにはこの地の“視察”に赴いてほしいのである」
オロチヒメは“殲滅”ではなく何故か“視察”と言い渡した。
その理由をひとりの猟兵が尋ねると、蛇神は険しい顔をしたまま答えてくれた。
「……妙なのだ。この土蜘蛛の女王、集落の住人達へ危害は加えているが、それ以上の侵略の気配がまるでないようでな? しかも、どうやら集落の中心に存在する神社で『神』として祀られているらしい」
国見・眞由璃が、神として崇められている……!?
つまり、住人達も自覚して生命力を眞由璃へ差し出している可能性もあるという事だろうか?
「であるから、貴様らには現地に赴き、集落の現状をその目で、その耳で確認してもらいたい。滅する必要性があると判断しなたら眞由璃を斬れ。だが、それ以外の可能性を見出したのならば……まぁ、処断は委任するので、【参加者同士でよく話し合必要がある】だろうな。余もかつて、レモンが生まれた集落で生贄を求め続けた代わりに土地を守護したこともあった。彼奴が本当に神の真似事を本当にしているのならば……くかかか! とんだ笑い種だな? まぁ、どう転ぶかは貴様ら次第である」
オロチヒメは自嘲気味に嗤い声を漏らした。
それは蛇神が、武力での処断以外の結末を期待しているかにも思えた。
「では早速、転送の準備に取り掛かる。貴様らの行いに、白亜の蛇神の加護があろうぞ」
オロチヒメの予知する案件は、どれも難解かつ後味の悪いものばかりで有名だ。
今回の新たな『土蜘蛛戦争』は、猟兵たちにいったい何を齎すのだろうか……?
ユーベルコードの高まりを感じる……っ!
七転 十五起
このシナリオは【決戦シナリオ】であり【オロチヒメ案件】です。
特殊なシナリオギミックが発生しますので、内容の精読を願います。
なぎてんはねおきです。
●概要
シルバーレイン(TW2作品)で登場した土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』が、オブリビオンとして現在に蘇りました。彼女は現在、東北地方の岩手県の小さな集落に極めて大規模な『土蜘蛛の檻』を作り、その中の住民達の生命力を吸い上げながら同胞の土蜘蛛たちを孵化させ続けています。集落は外部との交流を完全に遮断されていますが、眞由璃によって外の人は檻の内部やそこに住む人の事を完全に忘れ、内部の人も、檻から決して出られないにも関わらず、『違和感なく日常生活を過ごしている』という、完全な記憶操作の下にあります。例えば集落内の学校に通う生徒達は、放課後にあたる時間はずっと『蜘蛛糸の繭』の中で眠っていますが、それに気付いていません。
このままでは住民達は衰弱し、いずれ精気のみならず肉体も土蜘蛛たちに喰い殺されてしまうでしょう。早急な対処が必要です。
●クリア目標
土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』の討伐及び現地住民の救出。
●特記項目
猟兵達が現地に赴き、実際に見聞きした判断材料を鑑みた上で、土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』の殺害に疑問を抱いた場合、任務参加者の裁量を優先するものとする。
(ただし、その裁量は多数決で採択されるため、判断を下す場合は【参加者同士の話し合いを強く推奨する】。これができない場合、各個人の意に反した結論が下されても反論の余地はないみなす)
●その他
コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能ですが、その際はオーバーロード投稿を推奨します)
それでは、皆様の創意工夫を凝らしたプレイング、お待ちしております。
第1章 日常
『本日は参拝日和!』
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POW : とにかく五感を研ぎ澄まして参拝!
SPD : ポイントを抑えてスマートに参拝!
WIZ : 雑学やうんちくを交えながら参拝!
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現地に転送された猟兵たちは、早速、観光客と偽って超大規模な『土蜘蛛の檻』の中へ突入した。
『檻』の中の集落の光景は、一見何も異変を感じさせないほどのどかで平穏そのものな日常だ。しかし、猟兵たちの眼力であれば、意識を集中することで見えてくるだろう。
――数多の民家中から、巨大な『繭』が窓からはみ出ているのを。
――または家屋そのものが『繭』で覆われている異様な風景を。
住民達はこの異様な日常を認知しておらず、異変前と同様に何不自由なく暮らしている。しかしそれは土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』へ絶えず精気を供給し続けていることを意味し、彼らは土蜘蛛の餌として生かされているからこそ日常を送れるのだ。
「おんや? 珍しい。観光客ですかい?」
ひとりの老婆が君たちに声を掛けてきた。
「ちょうどええ。今日から『蜘蛛姫』様の神社でお祭りが開かれるでの、あんたらも寄ってきんしゃい」
老婆が指差した山の中腹に、色とりどりの幟(のぼり)が乱立しており、朱塗りの鳥居もみえた。
……あれが、眞由璃が奉られている神社で間違いないだろう。
だとすれば、猟兵らも参拝してみて『視察』しなくてはならない。
また、住民達に『この状況の違和感』に気付いてもらい、集落の外へ避難してもらう必要がある。それを促すためにも、神社の産廃と祭りへの参加は必要不可欠である。
こうして、猟兵たちは傾斜がきつい参道を登ってゆき、目的の神社を目指す。
果たして、そこに何が待ち構えているのだろうか……?
カシム・ディーン
UC常時発動
「ご主人サマ!お祭りだって!楽しそうだよ☆」
おめーは何はしゃいでやがる
ってかこういう依頼は実は僕は初なんですよね
取り合えず…今必要なのは情報だな
【情報収集・視力・医術】
住民達の現在の状態
死亡のリスク
食生活などどのような状態かを細かく調査
祭り参加
様子と精気の状況
後は存分に楽しむ
そういえばこの祭りってどれくらいの頻度でやってるんです?
毎日やってたりとかしているんですか?
「休んだりしている人とかいるの?」(さり気に眠り続けてる人がいないか…あるいはそれを思い出させるように促したり
後は動いている土蜘蛛等の動きについても分析
居ないわけはないだろうからな
…生まれた蜘蛛はオブビリオンか…?
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』が潜伏していると思しき山奥の寒村に転送されてきた。
「やれやれ、本当のド田舎ですね、これは」
「ご主人サマ! お祭りだって! 楽しそうだよ☆」
カシムの背中にへばりついてるのは、彼の相棒のメルシーだ。長い銀髪を初夏の風になびかせ、豊満な乳房をカシムの背中に押し付けている。きっと反応を楽しんでいるのだろう。カシムはそれを理解しているので、メルシーをぞんざいに扱うのだ。
「おめーは何はしゃいでやがる……あと贅肉を押し付けるな、暑苦しい……!」
「メルシー知ってるぞ☆ メルシーのおっぱいが押し付けられている間、ご主人サマは必至に逆ズリネタを頭の中に思い浮かべてるって☆ 魔力回路から思考が駄々洩れだぞ❤」
「クソがッ!!!」
カシムは開幕早々に絶望した。
だが立ち直りが早いのがカシムの長所だ。
彼は聞こえてくる祭囃子に耳を傾け、ふと思い返す。
「……ってか、こういう依頼は実は僕は初なんですよね。場合によっては、オブリビオンを見逃すかもしれないっていう依頼を……」
カシムの言う通り、今回は実際に現地で土蜘蛛の女王の処断を判断するという異例の措置が取られている。
他の猟兵とある程度の相談が必要ということもあり、まずは現状視察を優先しなくてはならない。
「取り合えず……今必要なのは情報だな」
「ご主人サマ! 第一村人、発見だよ! おばちゃーん! こーんにーちはー!」
「っておい、不用心に話しかけるな! ったく、コミュ力オバケですか、あいつ」
メルシーが良くも悪くも他人への距離の詰め寄り方が強引な性質に助けられながら、カシムはこの村の情報を着実に入手していった。
(魔力で目を凝らすと……うへえ、母屋丸ごとが『繭』に包まれてますね。あそに出入りしている住民達……笑顔は耐えませんが顔色は悪いですね。しかも無自覚のようですし……こいつは相当たらふく喰らってますね、女王様は……)
メルシーが住民達と世間話に興じている間に、カシムは周辺の探索に専念できた。
「ご主人サマー! 早くお祭り行こうよー?」
「ん? ああ、ちょうどこっちも『用が済んだ』ところです。って、なんか周囲のオバチャン達が僕をニヤニヤしながら見守ってるんですが……」
まさか、と勘繰ったカシムがメルシーを睨む。
メルシーは悪びれもなく答えた。
「えっとね? ご主人サマはこういう古民家に興味があって、将来はメルシーと一緒に素敵な古民家で野球チームが作れつくらいの子宝に恵まれたらいいなぁー❤って話しただけだよ?」
「風評被害もはなはだしいっつーの!」
いつもなら空っぽのメルシーの頭を引っ叩くところだが、さすがにカシムも周囲の目を気にするわけで。潜入捜査かつ視察中であるがゆえ、カシムはツッコミを我慢してメルシーの手を繋いだ。
「ぐぎぎぎ……い、今だけ恋人同士のフリをしてやる……! だからさっさと視察を終えるぞ……」
「ご主人サマしゅきぃぃ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」
こうして、偽装カップルとして蜘蛛姫を祀るお祭りに参加することになったカシムとメルシー。
縁日で食事をしたり、射的で絶対動かないはずの景品を撃ち落として店主に土下座させたり、2人はお祭りを満喫してゆく。
「……で、ここが蜘蛛姫様のご神体か」
「何の比喩もなく『繭』だったね……キモいよね……」
社の中には巨大な『繭』がご神体として祀られていた。
住民達は信心深くその『繭』に向かって手を合わせたり拝礼している。
その姿がカシムとメルシ―の目からしてとても敬虔であり、とても異様であった。
「あの、ちょっといいですか?」
カシムは意を決して住民のひとりの男性に声を掛けた。
「そういえばこの祭りってどれくらいの頻度でやってるんです? 毎日やってたりとかしているんですか?」
「さすがに年がら年中やってないさ。今日は初日で、あと3日間続くのさ」
男性の言葉に、カシムが更に問う。
「本当に、今日は初日ですか? もしかして……『ずっと初日』だったりしませんか?」
「な、何を言って、るんだ……?」
カシムの言葉に男性が明らかに奇妙な反応を示した。
何かを反芻し、懸念に駆られている態度だ。
「あ、れ? そういや昨日も祭りをやってたよう、な……? 俺は、いったい、何を……?」
「おじさん? お祭りに参加する人はずっと同じ顔触れ? 『誰か欠員が出てたり』してないかな?」
メルシーは既に餌として供された住民がいるのではないかと鎌をかける。
男性の記憶違いを促す意味でも、この質問は決定打となった。
「……あ、ああ! そうだ、タツやマッチャン、ケンジは……どこ行った? あいつら、祭りを楽しみにしていたのに、なんで此処にいない? いや、居たんだ、数日前までは確かに。でも今日は祭りの初日で、あの日も初日で……? あれ? うぅ……頭が……!」
「メルシー、この人を村の外へ運べ! 『竜眼号』を村の外へ退避させてあるから、中に退避させろ……!」
「う、うん! ラジャったよ……!」
記憶を取り戻した住民達はこの後もチラホラ現れ始め、その度に村の外へメルシーとカシムは避難させてゆく。
だが、それをずっと監視する存在をカシムはずっと勘付いていた。
「メルシー、僕たち、監視されてますね……」
「うん、たぶん蜘蛛だよね。動きが人間のそれじゃないもん」
木々や家の屋根を飛び移る気配の挙動は、おおよそ人間技ではない。
間違いなく眞由璃の手先だろう。
「居ないわけはないだろうとは思ってましたが、こうも早くマークされるとはな」
「あの気配、オブリビオンだよね?」
「ええ、やはり生まれた土蜘蛛はオブリビオンとしてこの世界で数を増やしてるみたいだな。さて、いつ襲い掛かってくるか……」
土蜘蛛の女王に泳がされてる状況を気に食わないカシムだが、今は粛々とメルシーと一緒に住民達の洗脳を解いては避難をさせてゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
今回は椋坊主じゃなく土蜘蛛の姫様か
山奥の限界集落みたいな所じゃもともと外界と寸断されてるよーなモンだ
そこに根城を張るてなァ巧くやったねぇ…
お社の場所を村の人に尋ねる
きっと場所を示してくれるだろ
>ここは秘境案内、みたいな本で見てねェ
でもその本には蜘蛛姫さまのお社なんて載ってなかったぜ?
○○新聞社、ってトコ出版の本だけど
そいや新聞見せてくれない?
帰りの日の天気、調べときたいし
(相棒の鸚鵡ユキエが空から降りて肩に止まり)
『村の入口から向こうの道、草ボーボーよ、帰り大変ね』
そーそー
何ヶ月も道放置したみたいにさぁ
ねー?
こんだけ山奥だと医者かかるのも大変だろ。普段は山降りてお医者に通うのかい?
アドリブ可
「今回は椋坊主じゃなく土蜘蛛の姫様か」
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は行商人めいた恰好で問題の集落へと足を踏み入れた。
「山奥の限界集落みたいな所じゃもともと外界と寸断されてるよーなモンだ。そこに根城を張るてなァ巧くやったねぇ……」
鹿村の言葉通り、山奥の集落はまさに陸の孤島だ。そこへ外界と隔てる結界めいた『檻』で覆ってしまえば、誰にも気付かれずに事を運べるというもの。蘇った土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』は、かなり知恵を付けているとみて間違いないだろう。
「んじゃ、ちょっくら『散策』するかね? ユキエは空から何か不審な物がないか探してくれ」
相棒の白い雌鸚鵡ユキエが合点承知とばかりに集落の上空へ舞い上がる。それを見送った鹿村もまた、祭囃子で賑わう神社の境内へと向かっていった。
鹿村は観光客を装って、境内までの道のりを尋ねた。
「お祭りをやってるって聞いてね? はるばるやってきたわけだけど、不慣れな場所で道に迷っちまった。お姉さん、あの神社までどうやって行けばいいか教えておくれよ」
中年女性へ鹿村が尋ねる。
「も~、この子ったら口が上手なんだから。あの神社は、この山道から登ってゆくんだよ。かなり傾斜がきついけど、若いから大丈夫だろうさ」
「うわ、こりゃ地元の人じゃなきゃ分からないはずだ。殆ど獣道じゃねーか」
指し示された道はお世辞にも整備された形跡はなく、人が長年かけて分け入ったことで出来た道が山の上へ上へと伸びていた。
ここで鹿村が突っ込んだ質問をぶつける。
「富岡新聞社出版っていうトコの『日本のマジ秘境100選』っていう本に……ああ、これなんだけどさ? この本には蜘蛛姫さまのお社なんて載ってなかったぜ?」
「あれま、そりゃ取材不足か何かじゃないかい? ここいらじゃ、蜘蛛姫様を知らない人なんていないからねぇ?」
「へえ? どんな謂れがあるか教えておくれよ、お姉さん?」
鹿村が更に質問を投げ負けると、中年女性はよくある土地神伝説のテンプレート版の一節を耳にした。
(ふゥん……? 一応、設定は練り込んであるわけだ。だが、これならどうだ?)
鹿村がわざとらしく大声を上げた。
「あ、いっけね! お姉さん、今日の新聞って持ってる? 帰りの天気予報を確認してなくてさ、図々しいのは百も承知で見せてくれない?」
「お安い御用さ。はい、どう、ぞ……? あれ? これ、だいぶ前の日付だねぇ……?」
中年女性は手に取った新聞の日付が1か月以上も前だと気付いて首を傾げた。
と、そこへ空からユキエが舞い降りてきた。
「何かわかったか、ユキエ?」
『村の入口から向こうの道、草ボーボーよ、帰りは大変ね』
これに鹿村が同調して中年女性に言い聞かせる。
「そーそー。何ヶ月も道放置したみたいにさぁ。文屋もこれじゃ街から新聞を運んでこれないんじゃないかい? ねー? お姉さん? こんだけ山奥だと医者かかるのも大変だろ。普段は山降りてお医者に通うのかい? 食料は? 生活必需品は? 此処の商店って1つか2つくらいしかないんだってなー? それでどうやって、道が塞がれたこの集落で生活してるか不思議だよなー?」
鹿村が矛盾を指摘するたびに、中年女性の顔色がどんどん悪くなってゆく。
「あ、あたしは、なんで此処で暮らせていたんだろうね……? あれ? ここ最近の記憶が、急にあいまいに……」
「おや? 気分が優れないかい? ちょっとあそこで休んだらどうだい?」
鹿村が指差した場所は、苦無で囲われた円だ。そこはこの土地の吸精の働きを額流させる術式が組み込まれている、ちょっとした避難結界だ。一般人には休憩所に見えるように催眠術も施されている。
「あら、あんなところに休憩所なんてあったかしらねぇ? まあいいわ。ありがとう、少し休んでくるよ」
中年女性は結界内で横たわって寝入ってしまった。
「さて、オレらは女王様に謁見しに行くとしますかね?」
鹿村とユキエは神社へ向かう。
果たして、彼らが下す決断や如何に。
大成功
🔵🔵🔵
朔夜・煉
あの時の俺達は、来訪者という存在を知らず、
互いの生存を賭け戦うことしかできなかった。
だが、今ならば、違った結末を迎えることはできるだろうか。
別の世界では影朧なる存在もあると聞く
この世界の特性ならば、或いは眞由璃を救うことも……
いや、まずは眞由璃の真意を問うところからか
片眼鏡をかけ、人当たりのよさそうな性格に切り替える。
死別した両親の代わりに育ててくれた
祖父母との移住を検討していると装い、参拝者に接触
『このお祭りの歴史は古いのか』を問う
回答に礼を言いつつ、ごみを取るふりをしてぺオスのルーンを刻み、
「しかし、事前に調べた情報だと、こういったお祭りは催されてないんですよね」
偽りの記憶を気づかせる
朔夜・煉(鍾馗・f35342)はかつて、銀誓館の学生として最前線で戦っていた能力者だ。
当然、土蜘蛛のことも知っており、かつて倒したその女王のことも朔夜は記憶していた。
「あの時の俺達は――『来訪者』という存在を知らず、互いの生存を賭け戦うことしかできなかった。だが、今ならば、違った結末を迎えることはできるだろうか」
異世界より来訪したとされる、地球の生物とは発生起源の異なる存在。それが『来訪者』である。
あの頃はまさか、自分たちの世界の周囲に数多の世界が存在しているなんて思いもしなかった。土蜘蛛という種族も集団としてのレベルが未成熟がゆえに人を襲って数を増やしていたという背景があり、結果論とはいえ両者が対立したのは情報不足だった点も否めない。
「別の世界では影朧なる存在もあると聞く、それはオブリビオンから無害な種族へと転生が可能だとか。この世界の特性ならば、或いは眞由璃を救うことも……いや、まずは眞由璃の真意を問うところからか」
朔夜は『まさか』の結末を今度こそ実現できるのではないかと、淡い期待を抱いていた。
その想いをより鮮明にするためにも、現地での視察を進めなくてはならない。
朔夜は片眼鏡を装着すると、いつもの無表情さは影を潜める代わりに人当たりのいい柔和な笑顔を浮かべる。
そのまま山道を歩く老夫婦に、朔夜はおもむろに声を掛けた。
「すみません、ちょっとお尋ねしたいのですが。死別した両親の代わりに育ててくれた、祖父母との移住を検討していまして。足の悪い祖父母に代わって私がここを見て回っているのですけど、今日は随分とあの麓の神社が賑やかなのですね?」
「ああ、私らはちょうど、蜘蛛姫様のお祭りに向かうのです。あの神社で行われるのですよ」
「あんたぁ、運がええだ。今日が祭りの初日だかんなぁ」
老夫婦はにこやかに朔夜へ言葉を返した。
「それはそれは……では私も参拝させていただくとしましょう」
朔夜は初耳だと言わんばかりに感嘆の声を上げると、老夫婦に付き添って神社を目指すことにした。
その険しい山道の道中、朔夜は再び尋ねた。
「このお祭りの歴史は古いのですか?」
老夫婦はすぐに蜘蛛姫様にまつわる伝説を披露してくれた。
だがそれはあらかじめ用意されていたかのような内容であり、それが却って朔夜には不自然に思えた。
「ご丁寧にありがとうございます。と、話し込んでいるうちに到着しましたね。おや? いけません、鳥居の周囲にゴミが散乱しているなんて……」
朔夜が屋台の使い捨てトレイを拾い上げる。同時に、ぺオスのルーンを地面に刻み込んでゆく。
その後もゴミを拾ってはルーンを刻み込んでゆき、敵の神域を密かに繰り替えてみせる朔夜。彼は『ゴミ拾い』を終えると、ふと気が付いた素振りで老夫婦に問い掛けた。
「そうそう、この蜘蛛姫様の伝説やお祭りなのですが……事前に調べたときは、その片鱗すら見当たらなかったのですよね。それほど有名だと言い張る謂れのお祭りが、どうして何故Web上にひとつも検索に引っ掛からないのか? どうして最新の出版物に取り上げられていないのか? 答えはひとつ……そもそも、蜘蛛姫なんて存在していない」
その真実を突き付けられた老夫婦は激昂するかと朔夜は覚悟していた。
だが、思いのほか老夫婦の反応は素直であった。
「……そういや、なんで蜘蛛を祀ってるんだっけか、婆さん?」
「私に聞かないでくださいよ、お父さん。というか、ずっとお祭りをしていたような……?」
老人のふたりの記憶領域は常人のそれと比べて脆弱なのか、暗示にかかりやすい反面はがれやすかったのだろう。
ともかく、今だ夢うつつの老夫婦に『隠匿』と『睡眠』の効果を持つルーンを施して神社の境内から遠ざける。
「土蜘蛛の女王は、誰それ容赦なく住民達を喰らい続けているようだ。眞由璃は、何を焦っている……?」
集落ひとつを丸ごと覆う『檻』にて、外界と遮断して内部の住民達の精力を吸い続ける土蜘蛛の女王に、朔夜は不気味な違和感を覚えたのだった。
大成功
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第2章 集団戦
『絡新婦』
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POW : 鋼糸使い
【鋼糸】が命中した対象を切断する。
SPD : 蜘蛛の領域
レベルm半径内を【蜘蛛の巣】で覆い、[蜘蛛の巣]に触れた敵から【若さ】を吸収する。
WIZ : さらなる絶望
【蜘蛛の巣】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【部位を持つ蜘蛛の部分は分離し、人間】に変身する。
👑11
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それぞれの方法で、猟兵達は住民達を我に変えさせては避難させてゆく。
住民達全員を瘴気に帰すことは難しいが、たった1割だけでも遠ざければ土蜘蛛側もさすがに勘付く。
この『檻』の中では同じことをずっと繰り返し、住民達の記憶は絶えずリセットされ続けてきたのだ。それに例外は存在しない。故に、前日と違う行動をとった者が突如現れれば、外界からの接触者による異変だと断定できるわけだ。
無論、一般人にはこの集落を現在認識するこてゃ出来ない。ならば、此処へ辿り着けるのは……猟兵しかありえない。
土蜘蛛の配下達が猟兵達へと姿を現す。
それも周囲から、数えきれないほどの大群で押し寄せてくる。
もとより蜘蛛型のオブリビオンなのであろうが、土蜘蛛の力が加わったことで、ひとつひとつの個体が巨大化かつ『糸』の性能が格段に向上している。それはまるで刃物のような鋭利さを誇り、強度は鋼鉄よりも頑丈だ。
追い返すというより、そのまま猟兵達も無力化させて糧にしようという意図が見え透いている。まず巨大蜘蛛の群れを撃破しなければ、生還はおろか女王との対面も果たせない。
猟兵達は武器を手に取ると、迫りくる脅威を退けるため立ち向かうのであった。
――ユーベルコードの高まりを感じる……!
朔夜・煉
「これを土蜘蛛と称するには、あまりにも醜悪にすぎるな」
眞由璃に問い質すためにも、まずは奴らを無力化するか
ルーンの秘蹟を用い、ソウェル、トゥールのルーンを刻み、炎を纏った攻性防御結界を張り、敵の攻撃に対する護りとする
「しかし、若さを奪うか。運命の糸症候群の俺が触れた場合、果たして歳を取るのだろうか。いや、いかんな。触れてどうする」
第六感を研ぎ澄ませ、結界を超えてくる攻撃を避ける
その上で、混沌嵐撃を発動し、可能な限りの敵を捕らえ、無力化する
「ふむ。攻撃に特化させた分、オリジナルとは異なるが、悪くはないな」
敵が接近戦を仕掛けてきた場合、呪厄の牙で絡め取り、災禍の爪で切断
「生憎とこっちの方が得意でな」
猟兵達の介入を察知し、遂に土蜘蛛の眷属たちが襲い掛かってきた。
朔夜・煉(鍾馗・f35342)は当時を知る者として、目の前に現れた土蜘蛛オブリビオンの姿に違和感を覚える。
「これを土蜘蛛と称するには、あまりにも醜悪にすぎるな」
呪厄の牙と災禍の爪と呼称する、二振りの紅刃のナイフを左右に携える。
朔夜は眞由璃に問い質すためにも、まずは目の前の敵の群れを無力化すると決めた。
途端、蜘蛛の群れは強靭な硬度を誇る蜘蛛の巣を周囲に張り巡らせてきた。
しかし、朔夜は冷静にルーンの秘蹟を用い、ソウェル、トゥールのルーンを刻み、炎を纏った攻性防御結界を張り、敵の攻撃に対する護りとする。
「遅い。こちらの結界を張るに十分すぎる隙だ」
浴びせられる蜘蛛の巣を結界が焼き払う。いくら強靭な硬度を誇る蜘蛛の巣でも、火に弱い性質なのは変わらないようだ。
「しかし、若さを奪うか。グリモア猟兵の予知がなければ触れてしまっていたかもしれないな。……時に、運命の糸症候群の俺が触れた場合、果たして歳を取るのだろうか」
興味本位で焼かれている蜘蛛の巣に手を伸ばそうとする朔夜。だがはっと我に返って手を引っ込めた。
「いや、いかんな。触れてどうする。いい加減、あの蜘蛛共を黙らせねばな」
朔夜は結界の中から光をも喰らい尽くす混沌の暗闇を解き放つ。それはたちまち戦場全体を覆い尽くし、土蜘蛛オブリビオン達をも蝕み始めた。
「惑い、朽ちろ」
ユーベルコード『混沌嵐撃(カオス・ストーム・ブラスター)』は、朔夜が放った暗闇に飲まれた対象から五感、生命力、精神力、自我を奪うのだ。しかも暗闇状態ならば威力が3倍に跳ね上がるため、一瞬で土蜘蛛オブリビオン達はその場で呆けたまま動かなくなってしまった。
「ふむ。攻撃に特化させた分、オリジナルとは異なるが、悪くはないな」
自身の編み出したユーベルコードの威力に満足する朔夜。
だが、その中でも動ける個体が、暗闇に乗じて朔夜の背後へ飛び掛かってきた。
朔夜、絶体絶命か?
「成程。まだ動ける個体がいるか。だが、それくらいは想定済みだ」
振り返る朔夜が強力な呪詛と猛毒を内包している呪厄の牙を振るう。
ノールックで振るわれた毒牙は、土蜘蛛オブリビオンの前脚を斬り払った。
攻撃が弾かれて戸惑う土蜘蛛オブリビオンは、やがて傷口から伝播する苦痛に悶え転がり始める。猛毒がその体中に駆け巡っているのだ。
「生憎とこっちの方が得意でな。なに、殺しはしない。少々、その多すぎる脚の幾本かを断ち切らせてもらうだけだ」
如何なる防護や束縛も無意味と化す切れ味を誇る災禍の爪が、土蜘蛛オブリビオンの左側の脚2本を刎ね飛ばせば、飛び掛かってきた個体から攻撃の意思が消え失せた。
「さて、眞由璃に会いにゆくとするか。いるとすれば神社の社殿だな」
その後も襲い来る土蜘蛛オブリビオンの群れへ暗闇を放って無力化を進めてゆき、朔夜は蜘蛛姫を祀るとされる神社へと向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
相棒ユキエは村人監視兼ね避難
へー
ご神体の眷属にしちゃ物々しーぜ
【情報収集】
糸も巣も触れたら斬れる
獲られれば喰われる…無傷は無理でも極力一撃離脱で行くか
常時【野生の勘/武器受け/野生の勘】で敵攻撃を掻い潜り糸は武器で【カウンター】し弾き、巣への着地・跳躍時も躰でなく武器を介する
クナイと手裏剣を【念動力で投擲】
山の【地形の利用】多数の蜘蛛巨体を足場に
UCで飛翔よりは弾丸的に跳び常に場所を変え遠くからはUCの針を撃ち
移動の勢いを乗せ敵接近時には
七葉隠を手に胴体【串刺し】足関節を砕くよう斬り付けUCへ追い打ち【傷口をえぐる】
胴体に刺したら体内で武器七分割【暗殺】
↓
念動で目や傷口、腹を刺し破る
アドリブ可
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は迫り来る土蜘蛛オブリビオン達を前に、ニタリと口元を歪めながら苦無を構えた。
「へー? ご神体の眷属にしちゃ物々しーぜ。ユキエ、そっちは頼んだ」
『任せて。さっさと片付けなさいよ?』
相棒の白い雌鸚鵡のユキエが大空へ舞い上がってゆく。避難した住民達の監視を兼ねつつ蜘蛛糸の射程外から逃れるためだ。
ユキエが十分な距離を取ったのを確認すると、ありったけの手持ちの苦無と手裏剣を空中に放り投げる鹿村。だがそれらは地面に落ちずに、空中にそのまま浮かび続けていた。鹿村の念動力だ。
「糸も巣も触れたら斬れる。獲られれば喰われる……無傷は無理でも極力一撃離脱で行くか」
漂う刃を障壁にしつつ、まずは手近な個体へ駆け寄る鹿村。
すかさず土蜘蛛オブリビオンは刃物めいた鋭利さを誇る蜘蛛の巣を吐き出した。
これを鹿村は手裏剣を空中で高速回転させて強引に引き裂き、バラバラになった蜘蛛の巣の合間へ苦無と共に身体を飛び込ませて突破する。多少の掠り傷など厭わない。更に、押し寄せてきた他の個体を踏み付けながら移動し、それぞれの急所へ苦無を突き刺して仕留めてゆく。
「こういう傾斜のキツイ山ってさ、集団行動に向いてないよなー? どうしても後が詰まって、格好の的だよな」
蜘蛛を足場にして跳弾めいた軌道で素早く飛び交う鹿村は、ユーベルコード『刺硝子(シリカ)』を発動させて更に加速する。
「透ける珪砂の刺すところイラクサの葉毒賦活せよ──その傷口は痛む。躰のあるうちは、ずっとな」
手近な土蜘蛛には苦無を、近寄る敵には毒針を浴びせ、次々と敵を蹴散らしてゆく鹿村。その間に、番傘の柄から巨大忍刀『七葉隠』を引き抜く。七振りの刀に分解できるそれで、飛び掛かってきた個体の胴体を木の幹に縫い付け、別個体の脚を刎ね飛ばし、毒針で息の根を止めてみせた。
残る五振りを念動力で操る鹿村は、そのすべてをひとつに連結させて神社を目指す。
すると、ひときわ大きな個体が山道を塞いでいるではないか。
「なるほどなー、門番って奴? だが、図体がでかいのは俺相手じゃ悪手じゃないか?」
吐き出された蜘蛛の巣を手裏剣と苦無で絡ませたあと、何処からともなく飛来してきた二振りの刃が土蜘蛛の前脚を断ち切ってみせた。『七葉隠』の残る2つの刃だ。それらはひとつに繋がると、全長420cmもの大太刀となり、透明な刃が血濡れて太陽光で禍々しく輝く。
「そっちに恨みはねーけどさ、先を急がなきゃならねーんだ。相手が悪かったな?」
弾き出された鹿村の肉体が巨大蜘蛛の顎を蹴り上げてひっくり返す。腹が丸出しになった敵へ、鹿村は目いっぱいの毒針を撃ち込んで肉を融解させる。グズグズに爛れた腹へ、大太刀と化した『七葉隠』を柄まで突き刺した鹿村は、敵の体内で念動力を発現させた。
「――そのまま破裂しろ」
途端、蜘蛛の体内に埋め込まれた『七葉隠』が七振りの刀へ分解され、念動力で蜘蛛の内部を掻きまわしてゆく。そのまま体内を突き破られた巨大土蜘蛛は、哀れ爆発四散の憂き目に遭ったのだった。
「ここまで抵抗するんだ、さぞかし猟兵を追い出したかったんだろうなー? んじゃ、女王様の面を拝みにゆくとするかね?」
ユキエを呼び戻した鹿村は、遥か頭上に建つ鳥居を目指して三角飛びで高速移動していった。
大成功
🔵🔵🔵
大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』
右サムライブレイド左日本刀(試しで使ってみたがやはり刀はエンパイア産の方がすぐれているのだ)の二刀流+随行大剣
スーパー変態人時は右サムライブレイド+フライングシャドウ、左日本刀+妖刀の四刀流
それらを持っていなければ適当に
大軍を前にいろいろ考えるが結論は「全員やっつければ(斬れば)いいのだ!」
ユーベルコードは基本MS様にお任せだが決まらなければ
ネタ可なら優先度高い順に
ネタキャラとしての矜持>鬼殺し>変態的衝動>絶対零度氷河期到来>わたしのネタを聞け>ギャグ世界の住人>自爆スイッチ>もっと愉快に追いかけっこ>鬼面フラッシュ
ネタ不可なら
剣刃一閃>スーパー変態人
大豪傑・麗刃(24歳児・f01156)は絶望していた。サポート猟兵として駆け付けたシルバーレイン世界の山奥、早速ひとボケ入れようと思った矢先に土蜘蛛オブリビオンがおそってきたのだ。
「うわあぁぁっ!? いきなり何をするのだっ?」
浴びせ掛けられた蜘蛛の糸を間一髪で回避する大豪傑。その後ろで轟音が響いた。何事かと彼が後ろを振り向けば、林の木々が蜘蛛の糸で絡め乗られたままバラバラに切断されてしまったではないか。
大豪傑はボケる状況ではないことを悟り、さらなる絶望に打ちひしがれた。
「つらいのだ……麗ちゃんにボケさせないシリアスなんてジゴクなのだ……」
巨大な蜘蛛の怪物の群れを前に、大豪傑はネタ体質を存分に活かせない悲しみを爆発させた。
「麗ちゃん、とてもつらいのだぁぁぁあああ!」
それは絶望から憤怒への転換であった。その絶望と悲しみと憤怒がユーベルコードとなって、大豪傑の肉体を巨大化させてゆく!
「こんなボケられないところにいられるかなのだ! 麗ちゃんは蜘蛛を踏み付けて帰るのだ!」
ブチギレた大豪傑の肉体は、山より大きくなって土蜘蛛オブリビオンの群れをぷちぷち踏み潰せるほどのサイズ感になってしまった。
「シリアスなんて嫌いなのだぁぁああー!」
魂の叫びとともに暴れる大豪傑の姿を見た住民たちが驚きのあまりに土蜘蛛の暗示が解けて我に返り、村の外まで逃げていったのは幸運だったのだが、大豪傑がそれを知る由はなかったという……。
成功
🔵🔵🔴
月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。
基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。
シリアス以外ならいたずら好きの面も。
月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)と春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)がシルバーレイン世界の現場に駆け付けてみれば、集落全域に巨大な土蜘蛛オブリビオンの群れが跋扈していた。
「これは……なんて数でしょうか……」
月詠は民家の屋根や壁に群がる土蜘蛛オブリビオン達をおぞましそうに眺めている。
一方、春霞もハンドガンで敵を殺せるか不安になっていた。
「参りましたね。あの蜘蛛糸は絡め捕った樹木を簡単に切断できるほどの強度を持っているようです。私の幽世蝶も簡単に餌食になってしまうでしょう」
となると、残された手段は魔法攻撃と狙撃銃による急所狙いだけ。
だが、それを行うには敵の数が多すぎる。
「すみません。居合わせた相手にこんな事を言うのは不躾でしょうが、私はバックアップに回りますので主な戦闘はお任せしてもいいでしょうか?」
よもやの他力本願に月詠は一瞬目を丸くするが、彼女は生来から歌による魔力制御に長けてきた。
普段は気弱な月詠でも、得意の魔法を使えばオブリビオンの群れくらいはどうとでもなるという自負があるのだ。
「……えっと、私でよければ。村人の皆さんの安全を確保するためにも、勇気を出して頑張ります……!」
途端、土蜘蛛オブリビオンの群れが猟兵達に背を向けると、尻から大量の蜘蛛の巣を発射してきた。
このままでは鋭利な刃物同然の蜘蛛の巣に2人とも絡め捕られてバラバラに刻まれてしまうだろう。
しかし、月詠はセイレーンヴェールから聖なるオーラ障壁を発生させて、押し寄せる蜘蛛の巣を押し留める。
春霞も白紙の符束を目の前の空間へ投げ払うと、紙の束同士が連結して結界を作り出した。
だがギリギリと音を立てて蜘蛛の巣は徐々に障壁と結界へと食い込んでくる。
このままではジリ貧だ。
「でも、何も手がないわけではありません……!」
月詠は懐から十字架を取り出して両手で握り込む。そして悪しきモノを打破したいと祈りながら歌い上げた。
「月よ、自然よ、森羅万象よ、私の声に従いその力を解放せよ!」
文字通りオラトリオの月詠の歌声は天使の歌声、清らかで伸びのある旋律は、やがて月光煌めく竜巻となって周囲の土蜘蛛オブリビオンの群れを苛み始めた。
「これは……! ユーベルコードですか!?」
竜巻で動きが鈍った個体を、スナイパーライフルで各個撃破してゆく春霞が目を見張る。
だが月詠の消耗が激しい。当然だ、蜘蛛の巣を防ぎながらユーベルコードで敵を薙ぎ払っているのだから、魔力の消費は相当な量だ。
春霞は彼女へ駆け寄ると、片手をかざして聖者特有の生まれながらの光を浴びせ始めた。
「頑張ってください。私はこの結界と障壁を維持しますから、この回復ユーベルコードで少しでも魔力を持ち直してください」
「ありがとうございます! これでユーベルコードを暴走させずに済みそうです……!」
守りと回復を春霞が担当し、一網打尽の広域攻撃をユーベルコードで月詠が担当する。
即席とは思えないほどのコンビネーションを発揮した2人は、瞬く間に土蜘蛛オブリビオンの群れを撃退したのだった。
成功
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カシム・ディーン
「ご主人サマ!集団戦だよ!これは夏の幼女」
ざけんな!交渉も何もかも台無しになるというか此処じゃ一般人も潰れるわ!
【情報収集・視力・戦闘知識・医術】
蜘蛛達の陣形と動き
戦い方の癖やパターンの把握
更に「どこまでの攻撃に耐えられるか」を正確に把握
此方に向けての殺意はあるかの分析
聞く耳があるか知らねーが一言だけ忠告します
殺される覚悟がある奴だけ殺しに来い
UC発動
3体ずつ合体
リーダーにメルシーを乗せ
【属性攻撃・捕食・弾幕・念動力】
炎属性を竜達と己達に付与
炎のブレスで蹂躙
念動障壁で防御強化
後は直接襲い掛かり食らい尽くし無力化
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
連続斬撃から金目の物は強奪
尚
殺意を以て殺しに掛かる蜘蛛は滅殺
但し
殺意の無い蜘蛛に対してはあくまで無力化に止め不殺徹底
女王に伝えろ
殺しにかかるなら殺すしかない
だが…あくまで精力を借りるだけなら話し合いに応じる気は此方にはあるとな
それさえ認められないなら…一切の容赦なくぶち殺す
対話をする気があるなら…此方も容赦しねーぞ?
基本方針
殺意には殺意
対話には対話
「ご主人サマ! 集団戦だよ! これは夏の幼女ま――」
「ざけんな! 交渉も何もかも台無しになるというか、此処じゃ一般人も潰れるわ!」
「メルシー、一般人は掘らないよ
?????」
「そういう問題じゃねーよアンポンタン! つか蜘蛛だけ掘ろうとしてたお前の性癖マジでやべーな!?」
のっけからカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と相棒メルシーのアホアホ会話が限界集落に轟く。
カシムはにじり寄ってくる土蜘蛛オブリビオンの群れをつぶさに観察する。
「おいおいおい、僕たちへの殺意が漲ってんじゃねーか。ったく、お前ら! 聞く耳があるか知らねーが一言だけ忠告します。殺される覚悟がある奴だけ殺しに来い」
このカシムの言葉を挑発と受け取ったのか、周囲の土蜘蛛オブリビオンの群れは一斉に蜘蛛の巣を尻から発射してきた。
「なんか全員こっちへ向けて攻撃してきたよ、ご主人サマ!?」
念動障壁で全方位の蜘蛛の巣を押し留めるメルシー。
この有様にカシムは落胆して深く息を吐いた。
「つまり、僕の目に映るこいつらは、全員殺して構わないってことですね。なら、まとめて……」
「やっぱり幼女祭り?」
「シリアス決めようとしてる時にぶっこんで来るな、おめーはよぉ!? だからちげーよ! 他に数で対抗できるユーベルコードがあるだろうが!」
メルシーのボケに丁寧なツッコミを入れつつ、カシムは巨大な宝珠を手元に具現化させて魔力を集めてゆく。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……文明を構成せしめし竜の力を示せ……!」
途端、カシムとメルシーの周囲に、かの帝竜『ダイウルゴス』の身体を組織していた小型のダイウルゴスの群れ126体が召喚された。
その竜たちはカシムの指示で3体1組で合体して強化すると、指揮官個体として定めたドラゴンの頭にメルシーを騎乗させた。
「僕は強くて優しい天才盗賊カシムさん様ですので、殺意には殺意を、対話には対話をもって相手しますよ。どうします? まだ僕らを殺したいですか?」
念動障壁を直に破壊しようと、土蜘蛛オブリビオンの群れが身体をぶつけてくる。
対話の意思は、ないようだ。
「……警告はしましたよ。征け、ダイウルゴス。蹂躙しろ」
合体した42体の強化ダイウルゴスの群れは、周囲の蜘蛛の巣を炎のブレスで焼き払うと、障壁の外へ飛び出して土蜘蛛オブリビオンの群れを爪で容赦なく切り裂いてゆく。
カシムのルーン魔術によって、ダイウルゴスの群れ自体にも炎属性が付与されているため、ドラゴンから直接攻撃を受けた土蜘蛛オブリビオンはたちまち全身を紅蓮の炎が包み込んでいった。
敵が燃えてゆく独特の異臭にカシムは顔をしかめつつ、残る敵個体へ最後通牒を突き付けた。
「おめーらの女王に伝えろ。殺しにかかるなら殺すしかないだが……あくまで住民達の精力を借りるだけなら、話し合いに応じる気は此方にはあるとな」
カシムの言葉を聞いて、明らかに土蜘蛛オブリビオン達は動揺する気配を見せた。
この反応にカシムは手ごたえを感じ、更に言葉を継ぐ。
「さっきから言っていますが、殺意の無い蜘蛛に対してはあくまで無力化に止め、不殺を徹底すると約束します。こちらは交渉の余地があるって言ってるんですよ。それさえ認められないなら……おめーらは此処で一切の容赦なくぶち殺す。対話をする気がないなら……此方も容赦しねーぞ?」
土蜘蛛オブリビオンの群れは、この提案を受け入れるかのように撤退し始めた。
既に多くの仲間が猟兵達の手で屠られ、敗戦は免れないことは土蜘蛛側が把握していたのだろう。
そこへ舞い込んだカシムの提案に、土蜘蛛側は光明を見出した。
「……って、ところかな?」
「ナレーションをお前が読み上げるのやめろよなぁ!?」
平然と第4の壁を突破してくるメルシーの頭を引っ叩いたカシムは、土蜘蛛オブリビオンの群れが撤退した先……蜘蛛姫を祀る神社へと向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』』
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POW : 眞由璃紅蓮撃
【右腕に装備した「赤手」】が命中した部位に【凝縮した精気】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD : 疑似式「無限繁栄」
自身の【精気】を代償に、1〜12体の【土蜘蛛化オブリビオン】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ : 土蜘蛛禁縛陣
【指先から放つ強靭な蜘蛛糸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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猟兵達は、吸い寄せられるように集落の象徴的建物である、蜘蛛姫を祀る神社へ集結する。
全ての土蜘蛛オブリビオンの群れが退いた先が此処であることから、土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』がこの神社の社殿に潜んでいることは明白であった。
「猟兵の皆様、先程の非礼をまずはお詫び致します」
清浄な境内に凛と良く通る女の声が聞こえた。
そして社殿の奥から、黒いセーラー服の上から白と赤の打ち掛けを羽織った土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』が姿を現す。
猟兵達は咄嗟に身構えるが、対して眞由璃は猟兵達に対して敵意を一切持っていないようだ。
「そう構えないでください。私はもう、皆様と争う気はございません」
眞由璃の言葉に、一部の猟兵達は眉をひそめた。
その理由を問われた眞由璃は、静かな微笑を湛えながらつらつらと答えてくれた。
「オブリビオンとして蘇った私は、この世界をいずれ滅ぼす存在だと知ってなお、同胞を増やすことを優先しました。ですが、かつてのように無差別に人々を犠牲にすることは是としません。私は、この集落の人々の精力を少しずついただき、ゆっくりと土蜘蛛の同胞たちを増やして静かに暮らしたいだけなのです」
かつてこの世界に銀の雨が降り注いだ時代を知る者ならば、眞由璃の言葉に理解を示すものもいるだろう。
だが、それではこの集落の人々を犠牲にし続ける事実は覆らない。
そのことについてどう考えているのか?
眞由璃はこの疑問に真摯に答えた。
「この集落の人々には大変申し訳なく思っております。ですが、この集落はもはや遅かれ早かれ消滅する命運……少子高齢化という避けられない事実を前に飲み込まれるのを待つだけです。もとより外の世界と交流が少なかった地域でもありました。この世界の人間社会への悪影響はほぼ皆無といって過言ではありません。ですので……どうか、此処はお目こぼしをいただけないでしょうか? 勿論、その暁には、この世界の窮地の際に土蜘蛛たちを援軍として送ることも可能です。決して悪い話ではないと思います。ゆめゆめご熟慮くださいませ」
この回答に、猟兵達はそれぞれ何を思うのだろうか。
――戦闘で眞由璃の首を採るべきか?
――対話で眞由璃の手を取り合うか?
これは出来るだけ全会一致が望ましいため、参加者同士で話し合う必要があるだろう。もし意見が割れても、それは民主主義らしく多数決で処断されるゆえ、意見は一本化するべきである。
果たして、猟兵達の結論は如何に?
朔夜・煉
「叶うのならば、対話で解決したいところだが、まずは現状確認をしつつ、幾つか問いたい」
1つ、蜘蛛童達を始めとする使役ゴースト達が使役されるものではなく、一つの種族として成り立っている
2つ、ゴースト同士で子を成すことが可能になり、新世代ゴースト達が生まれている
3つ、土蜘蛛の繁栄という観点で見るならば、これらの実情から、犠牲を払いながら土蜘蛛達を増やす必要性はないのではないか
以上をもって、現状の手段からの脱却できないか提案する
しかし、それを知ってなお、犠牲を払い土蜘蛛を増やそうとするのならば、その理由を問い質す
こちらの提案を飲む、あるいは検討するのなら危害は加えない
そうでないのならばやむを得ない
朔夜・煉(鍾馗・f35342)は10年前の土蜘蛛との対立をリアルタイムに経験してきた銀誓館学園の卒業生である。
「叶うのならば、対話で解決したいところだが、まずは現状確認をしつつ、幾つか問いたい」
「ええ。何なりと」
土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』は朔夜が対話の姿勢を見せてくれたことを喜び、彼の質問に真摯に答えるべく耳を傾けた。
朔夜は指を3本立てると、眞由璃へ問い掛けた。
「まず1つ、蜘蛛童達を始めとする使役ゴースト達が“使役されるもの”ではなく、今や一つの種族として成り立っている事を自覚しているだろうか?」
これに眞由璃が首を縦に振った。
「ええ。私達は完全に独立した種族として、この世界に存在していることを理解しています」
「……そうか。では次に2つ、ゴースト同士で子を成すことが可能になり、新世代ゴースト達が生まれている。これは?」
この質問に眞由璃はいささか目を細めた。
「……それが本当ならば、我々は人を食わずに土蜘蛛同士で繁殖ができる。そう言いたいのですか?」
「ああ。この世界で確固たる存在を獲得した土蜘蛛種族なら、人間のように同じ種族で繁殖も可能なはずだ。だがそれを是とせず、人々を犠牲にして個体数を増やし続ける。俺にはそれが不思議でならない」
ここで朔夜は3つ目の質問を投げかける。
「3つ。土蜘蛛の繁栄という観点で見るならば、これらの実情から、犠牲を払いながら土蜘蛛達を増やす必要性はないのではないか。つまり、『檻』を強化したり拡大する必要もないし、人々を生かし続けながら寄生するような行為での繁殖が意味を成さなくなると俺は考えているのだが」
朔夜の提案は、土蜘蛛種族の意識改革を促す抜本的な内容だ。
彼の言葉はすべて事実であり、10年前とは事情が大きく変遷していることは眞由璃も薄々感じていた。
故に、土蜘蛛の女王は言った。
「私達は猟兵達へ『檻の強化』による外部との完全認識遮断、そしてこの土地への住民の増加をお願いすれば人間を犠牲にする必要がなくなるとお伝えしようと考えていましたが……世界の実情は、私達が思うよりも先を行っていたのですね」
眞由璃は胸に手を置くと、朔夜へ微笑みかけた。
「いいでしょう。その提案、前向きに検討致しましょう」
朔夜は女王の言葉にほっと胸を撫で下ろした。
「……良かった。もしこちらの提案が呑めないと言われたら、俺も覚悟を決めなくてはならなかった。それは当時を知る身として気が進まないのでな」
「あら、銀誓館学園の卒業生でしたか。ならば尚更ですね。この提案はあの戦いを経験した者同士だからこそ、重みが分かるというもの。感謝します」
眞由璃が頭を下げる。
朔夜は土蜘蛛の女王との交渉に成功し、和平への道の第一歩を踏み出したのだった。
【※トミーウォーカーより……戦闘と区別をつけるため、眞由璃の交渉に応じた場合は、結果を失敗でカウントしています。シナリオ失敗すると、眞由璃の檻はそのまま残ります。】
失敗
🔴🔴🔴
土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎
「あらあら……。大変な事態です。微力ながらお手伝い致します」
一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。
先ずは私や仲間へ【オーラ防御/結界術】展開、守りを。
【早業/軽業/地形の利用】で移動。
敵の攻撃は防御結界で弾き、物理攻撃は薙刀で【武器受け】し薙刀or式神の黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。
UCは戦況と効果次第で適切なものを使用。
可能な限り【早業】で敵のUC発動前に発動。
後はお任せ。
嘉納・武道(サポート)
シルバーレイン世界で接骨院を営む元能力者にして現猟兵。
表向きは寡黙な性格。
根は情に脆い熱血正義漢。
己に厳しく他者に甘い。
道を窮めようとする者特有の知識の深さと探求心を持つが、
専門外の事には若干常識が怪しい時がある。
長年の修練の過程で鍛え上げた身体は、ナチュラルサイボーグと
言っても過言ではない発達をしている。
戦闘は[体勢を崩す][グラップル][足払い]を用いた近接格闘主体。
[殺気]を用いた[残像]をよく使う。
敵からの攻撃は[受け流し][武器受け]で対処。
UCは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず目標
完遂の為に積極的に行動します。
●上記を含む、他の言動・行動はマスターに委ねます。
土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)と嘉納・武道(柔道整復師にして青龍拳士・f36325)は、土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』と対峙する。
彼らはあくまでも眞由璃の討伐でこの地に訪れた。故に、交渉の余地ありと分かっていても、その真偽を図るためには刃を交えるべしと判断したのだ。
「私は、眞由璃さんのお考えも分からなくはないのです。ですが、やはり民草を犠牲にしてまで生存を目論むのは捨て置けません」
「右に同じ。銀誓館第一期卒業生ならば、土蜘蛛が行ってきた所業を全て知っている。貴様らが俺たちの仲間を殺したこともあった。その親玉が、見逃してくれなどと首を垂れるのは、いささか手前勝手ではないか?」
身構える猟兵達を前に、眞由璃が右腕に装備した「赤手」を振り上げる。
「ええ、その意見は真っ向至極です。ですが、我々は以前のような土蜘蛛ではありません。ひとつの独立した種族として、もはや世界結界に怯える必要もありません。それに我々の同胞およそ60名弱が猟兵へと覚醒している事実。これらを鑑みれば、私の行いは愚行なのでしょう。だとしても、私はこの『檻』を守り、同胞を増やし続ける覚悟があります。私はオブリビオン。いずれ世界を蝕む影になろうとも、今は世界への負担をなくしつつ、わが身の安全を優先しましょう」
覚悟の言葉を放った眞由璃は、赤手を振り下ろしながら嘉納へ飛び掛かってゆく。
その大きな爪が可能の左肩を捕えた。
「奥義! 眞由璃紅蓮撃!」
嘉納の肩を引っ搔いた爪から、凝縮された『気』が彼の体内へ流し込まれる。
「さあ、華々しく爆ぜなさい!」
「う、ぐッ……!」
苦しそうに悶える嘉納。体内で暴走する『気』を抑え込もうと必死だ!
一瞬でも気を抜けば、彼の肢体は粉々に爆ぜるだろう!
「そうはさせません……!」
だがすかさず泰花が動く。
泰花が自ら作成した霊符を嘉納の背に張り付けると、彼女の霊力を嘉納へ流し込んだ。
「暴走する『気』を、私の霊力で相殺しましょう」
「……う、うぅ……! 助かりました……!」
泰花の治癒の技能が、嘉納の身を救ったのだった。
これに眞由璃は目を細めて低く唸る。
「……防ぎましたか。やはり猟兵は何でもありです、ね
……!?」
突然、感心していた眞由璃の赤手が、突如として爆散したではないか!
これに嘉納が安堵の表情を浮かべていた。
「呼雄ぉぉォォオお……絶っ! うまく行ったようだな? これぞ白虎絶命拳・塊(ビャッコゼツメイケン・カイ)! 我がユーベルコードの発動条件は、『我が身体の箇所を問わぬ一部分に敵が触れる』事! つまり、攻撃を喰らった瞬間、赤手は時限爆弾を抱えていたのと同然だったのだ!」
「似たようなユーベルコードを使ってくるなんて……うぅ……私の、右手が……!」
先ほどの爆発で、眞由璃の右腕の肘から下の筋肉が吹き飛び、骨が露出していた。赤手も破壊され、眞由璃は大幅な戦力ダウンを余儀なくされる。
「諦めろ、眞由璃。今の貴様では、猟兵に覚醒したばかりの私にすら勝てない。大人しく『檻』を解き、この地から立ち去れ」
「……できない相談です。折角、被害が最小限に留められる土地を見つけたのです。移動すれば、もっと大きな被害が出かねませんが、それでもいいのでしょうか?」
嘉納は無言で奥歯を噛み締めた。
殺害することは可能である。だが、今回は他の猟兵達がそれを是としていない。
「……やりづらい任務だ。俺は降りる。あとは任せます」
泰花へ一瞥をくれた嘉納は、そのまま一歩後ろへ下がって見守ることにした。
そうして、対面で見詰め合う泰花と眞由璃。
「私は、戦うのも対話をするのも、どちらでも構いませんが」
これに眞由璃が鼻で笑う。
「……冗談を。隙を見せれば私は貴女に屠られるでしょう。それだけの技量を貴女はお持ちですから」
「あらあら……殺気や義憤は、笑顔の下に隠していたはずなのですが……」
見透かされていたことに驚きつつ、泰花は巴形薙刀【菫】の切っ先を土蜘蛛の女王へ突き付けた。
「では一手、胸をお借りしても?」
「ええ、この国見・眞由璃、全力でお相手仕りましょう」
両者が身構え、数秒の沈黙が神社の境内に横たわる。
そして……。
「遅い! 土蜘蛛禁縛陣!」
眞由璃の右手の指先から、強靭な蜘蛛糸が泰花へ向かって放たれる。
この蜘蛛糸で絡め捕られてしまえば最期、対象はユーベルコードと身動きを封じられて嬲られ続けるだろう。
しかし、泰花には式神が付いている。
「蜘蛛の糸に絡め捕られるのは気の毒だけど、私を守ってくださいね」
霊符から具現化した真っ白な白揚羽蝶の式神が、泰花の前方の視界を覆い尽くす。
白揚羽たちは壁となり、使役主の身代わりとなって蜘蛛糸に絡め捕られてしまう。
更に絡め捕られた蝶の壁は、眞由璃の視界を大きく遮る。
「なんですか、この蝶は? 前が見えな
……!?」
咄嗟に後ろへ歩を下げる眞由璃。
その顎の下に、薙刀の切っ先が飛び出てきたのだ。
あのまま突っ立っていたら、喉元を刺し貫かれていただろう。
だが、これで終わりではなかった。
「菫は、道端にささやかに咲く花のみならず。かの有名な猛毒植物もまた菫なのですよ」
泰花の詠唱と共に、薙刀の刃がひらひらりと青い花弁へと変わってゆく。その花弁に触れた眞由璃の呼吸が急に荒くなってゆく。
「はぁ……はぁ……っ! こ、れは……神経、毒……身体が、しび、れ……ぅ……」
青い花弁はトリカブトの花弁。根に有毒物質を持つことで有名だが、葉や茎、そして花弁にも同様の猛毒が含まれている。
「参り、ました……さあ、とどめ、を……」
眞由璃が身を投げ出すように寝転がる。
だが泰花は首を横に振る。
「命を取るつもりはありませんよ。あとは他の猟兵の皆さんにお任せしますので」
そう告げた泰花は残りの猟兵達へ一瞥をくれる。
こうして、無力化された眞由璃は、猟兵達との交渉の座に再び就くのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鹿村・トーゴ
非礼ってゆーには些か苛烈だぜ
襲ってきた眷族はおっかなかったが
姫様は随分と別嬪さんだね
◆念の為警戒解かないが基本不戦
相棒ユキエは無言で肩に
お初に
蜘蛛姫様
オレは羅刹、鹿村の赭
人外が安住の住処を求める気持ちは解るし
姫様個人の殺戮欲はなく一族を抱えてって事で必死なのも理解した
敢えてこの村を選んだのが限界集落で遠からず離散するからって事だけど
それを言ったら姫様の血族、土蜘蛛も似たよーな立場じゃねーの?
オレはこの世界の住人じゃ無いけど人外が生きるのに多少難儀な世ってのは感じるよ
で
こっからはオレからの『目こぼし』の条件提案だ
この村を騙して糧を搾取してるよーだが
いっそ
本当にあんたがこの土地の護り手になったらどう?
住民達から掠め取るんじゃなく特定の一人を死なすでなく
少しずつ精気を分けて貰うんだ
その分あんたの子育てはゆっくりになるね
…そりゃ信用は勝ち得なきゃダメだけどよー
猛獣やゴーストを退けて直に守って
土蜘蛛独自の知識で怪我や病を治してやるとか
世界の前にこのちっさい村1つを守って
人から信頼されてさ
どうだい?
カシム・ディーン
対話を行う
一応、だがここで起きた戦いについては一読はしています
銀誓館と土蜘蛛達共々壮絶だったようですね
それ以上の感想は言いません
「ご主人サマー!たこ焼き美味しいよー☆」
おめーは空気を読め!
取り合えず…人を犠牲にしない方法があるなら協力はさせて貰います
【情報収集・視力】
現状におけるこの集落における状況把握
何より…煉の提案に関しての現状における問題点を確認
新しい事は色々問題は出てくるでしょう
良い案ではあるのでしょう
とはいえ行き成り全部変えるってのは混乱を招くでしょうしね
ましてや生態の状況を変える事ですし本能にも基づくでしょうから
提案というか質問は
猟兵は現行における精力の提供は可能か
そうする事で集落の被害者を出さずには出来るか
「ご主人サマは珍しく和解に積極的だね?」
知らなかったか?僕へ平和主義なんですよ
何々だから殺す
排斥するや捨てるってのは不条理だろ?
ムカつく奴はぶちのめすがな
「(あ、そっか…あの記憶…あれは…)」
あ、精力提供はエロいやり方がいいですね
「メルシーもー♥」
基本此処はブレない主従!
サポート猟兵によって無力化された眞由璃の元に、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)とカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)がやってきた。
「最初に姫様は非礼を詫びるっていったけどよー、非礼ってゆーには些か苛烈だったぜ? 襲ってきた眷族はおっかなかったが、姫様は随分と別嬪さんだね」
そう言って鹿村は笑うと、痛み止めの軟膏を骨が剝き出しになった眞由璃の右腕を塗る。
カシムもオーシャンオーブ・カシムカスタムで治癒魔法を眞由璃に施しながら告げる。
「一応、だがここで起きた戦いについては一読はしています。銀誓館と土蜘蛛達共々壮絶だったようですね。それ以上の感想は言いません」
「ご主人サマー! たこ焼き美味しいよー☆」
そこへカシムの相棒メルシーが、屋台からたこ焼きをかっぱらって勝手に喰っていた。
「おめーは空気を読め!」
「眞由璃さんもたこ焼きどうぞ☆」
「いや、怪我人と中毒者にたこ焼きを進める奴がいるか!!」
「折角なのでいただきましょうか」
「そして食うんかーい!」
メルシーの暴走と眞由璃の天然ボケにカシムのツッコミが冴え渡っていた。
「相変わらずカシムんとこは賑やかだなー?」
苦笑いを浮かべる鹿村は、眞由璃へ自己紹介を始める。
「お初に、蜘蛛姫様。オレは羅刹、鹿村の赭。人外が安住の住処を求める気持ちは解るし、姫様個人の殺戮欲はなく一族を抱えてって事で必死なのも理解した。敢えてこの村を選んだのが限界集落で遠からず離散するからって事だけど、それを言ったら姫様の血族、土蜘蛛も似たよーな立場じゃねーの? オレはこの世界の住人じゃ無いけど、人外が生きるのに多少難儀な世ってのは感じるよ」
鹿村の故郷はサムライエンパイアの忍びの隠れ里。外界との接触も最小限に留められていたため、この世界の限界集落と重ねると事が多いようだ。
対して、カシムは先述の『土蜘蛛同士の生殖活動』について言及する。
「良い案ではあるのでしょう。とはいえ、行き成り全部変えるってのは混乱を招くでしょう。ましてや、今まで他者の精気を喰らって反映していた存在が生態の状況を変える事ですし、やはり捕食本能にも基づくでしょうからね?」
「ええ、それは否定しません。ですが、ならばどうすれば?」
眞由璃の疑問にカシムがまず答えた。
「提案というか質問に近いですが、猟兵は現行における精力の提供は可能か? そうする事で集落の被害者を出さずには出来るでしょうか」
これに眞由璃は首を傾げる。
「できると思いますが……それでは根本的な解決になってないのではないでしょうか? むしろ話の流れに矛盾してませんか? 精気の搾取を控えろ、といっているにも拘らず精気を猟兵が提供するというのは……」
「うーん……猟兵なら常人の何倍も精気を一度に提供できると考えたんですけどね……駄目ですか」
「どんなに一度に多く貰ったとしても、いずれ枯渇するのは明白ですので」
眞由璃の回答にカシムは腕を組んで考え直す。
そのようにメルシーが目を丸くして驚いていた。
「ご主人サマは珍しく和解に積極的だね?」
「おめー、知らなかったのか? 僕へ平和主義なんですよ。何々だから殺す、排斥するや捨てるってのは不条理だろ? ムカつく奴はぶちのめすがな。今までも、これからもな」
カシムの言葉に、メルシーが納得してしまう。
思い浮かんだのは、以前カシムから流れ込んできた記憶の断片。
おびただしい数の死体の中、カシムだけが呆然と立ち尽くす。とある人物から不要だと命じられ、見放される光景。
(あ、そっか……あの記憶……あれは……)
普段はアホと奇行に塗れたメルシーだが、こういう時だけは何故か勘が鋭い。メルシーはカシムの封じられた過去の記憶を何となく察してしまうのだった。
「持続可能な精気の提供ですか。眞由璃は最初、この集落に人を呼び寄せれば、これ以上外界へ侵略せずに済むと言ってましたよね? ならばこの地を観光地として盛り立ててゆくのはどうです? 観光客からごくわずかな精気をいただいてゆく。村人たちから枯れるまで吸い尽くすよりも、毎回新鮮な精気が獲得できるはずですが」
「つまり、檻の干渉を弱めろ、と?」
眞由璃が眉を顰める。現在、この集落は蜘蛛糸の『檻』によって外界からの認識から隔絶されているため、余所者を受け入れずらい。観光客を受け入れるということは、その『檻』の権能を最小限まで弱めなくてはならない。
「そうなると、この集落での異常を隠ぺいする催眠効果も減退し、住民達が混乱してしまいます……」
今まで事案にならなかったのは、そういった側面もあるのだろう。
眞由璃の住民を思う気持ちは確かなものだった。
ならば、と鹿村が提案する。
「だったらさ、こっからはオレからの『目こぼし』の条件提案だ。この村を騙して糧を搾取してるよーだが、いっそ、本当にあんたがこの土地の護り手になったらどう?」
これには眞由璃もカシムも驚愕した。
「それはつまり、私に神に成れと?」
「演技じゃなくてマジでこの集落に祀られるってことか。蜘蛛神伝説をでっち上げることになりそーだがな?」
眞由璃とカシムの言葉に、鹿村も苦笑いしっぱなしである。
「まぁ、その辺は上手く整合性を受けてくれよ。で、住民達から掠め取るんじゃなく特定の一人を死なすでなく、観光客や住民達から合意の上で少しずつ精気を分けて貰うんだ。ただまあ、その分あんたの子育てはゆっくりになるね」
現人神としてこの地に君臨し、架空の伝説を現実の元のとする。
観光のネタにもなるし、押し寄せる観光客も本物の蜘蛛姫に興味本位で精気を譲渡してくれるらもしれない。
鹿村は言葉を付け加える。
「……そりゃ信用は勝ち得なきゃダメだけどよー、家屋とかへばりついた繭とか、ああいうのは景観守るために取り除かないとだよなー? 要はさ、襲ってくる猛獣やゴーストを退けて直に守って、土蜘蛛独自の知識で怪我や病を治してやるとか、世界の前にこのちっさい村ひとつを守って、人から信頼されてさ。まぁ、この世界は超常を認知しない結界が張られているようだが、姫様がその垣根を取り壊す橋渡し役になればいいじゃないか?」
鹿村は飛び切りの笑顔で眞由璃へ告げた。
「どうだい?」
これに眞由璃は拍手で応えた。
「素晴らしいです。これならば同種族同士の繁殖が根付くまでの間、我々も生きながらえそうです」
これはつまり、土蜘蛛と猟兵の間で和睦が結ばれた瞬間である。
「はいはいはい! 精気を搾取する方法は、やはりエロい方法のほうが観光客が集まりやすいと思います!」
「メルシーも賛同するぞ☆」
「いや、ブレねぇなー」
最後までアホアホぶりを発揮するアホアホコンビに、鹿村も眞由璃も、顔を見合わせて苦笑いを浮かべるのだった。
――こうして、討伐任務は失敗し、この集落に蜘蛛糸の『檻』が残った。
しかし、しばらくして『蜘蛛姫伝説』や『本物の神様を祀る神社がある』という口コミで、この集落を訪れる観光客が増えていったという。
人類と土蜘蛛の共存の一歩は、確かに前へ踏み出されたのだ。
【了】
失敗
🔴🔴🔴🔴🔴🔴