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神去りし理想郷

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●ふたつの顔
 その村は、とても小さく慎ましかった。
 娘達の話し声に誘われるように広場を抜けて村を歩けば、ほどなくして村の隅にある古ぼけた教会へと辿りつく。教会の扉に彫られた女神の姿も穏やかで、とても事件やおそろしいものと縁のあるようには見えない。ぎぃ、と教会の扉を開いて、美味しそうなスープの香りと共に顔を覗かせた聖職者の女性が村の子供達へ呼びかけた。
「今日も一日、穏やかで争いのない時を過ごしましょう。皆さん、お約束できますか?」
「はい、ユートピア様」
 ユートピアと呼ばれた聖職者は、頷く少女の頬にそっと手をあて、良い子ね、と笑む。
「他の皆も呼んで来てちょうだい、アザム。お食事の前に簡単なテストをするわ」
「今日はどんなテストをするの?」
「簡単な問題よ。アザム、あなたならきっとすぐに解けるでしょう」
 にっこりと笑うユートピアに言伝を頼まれたアザムは、村の広場へ駆け出し子供達を呼び集める。
「そう……とびきり愚鈍で低能でなければ、簡単に解ける問題ばかりよ」
 洗濯物に悪戯をして遊んでいた子供を注意するアザムの背中を見ながら、ユートピアは呟いた。
「何度言っても正しくならないのね。やはり頭の悪い子は要らないわね」

「君は神を信じるかい?」
 マカ・ブランシェ(真白き地を往け・f02899)は、猟兵達に声をかけた。なにかの勧誘かと身構える猟兵に、ごめんごめん、と手を振って話を続ける。
「忘れられた神様ってどうなるのかな、って考えてたのだよ。……うん、話を事件に戻すのだよ」
 マカは髪をかきあげると、現場となる村の見取り図を開く。
 場所はダークセイヴァーのとある村。気候も安定していて、もう長い間大きな事件は起きていないという。
「この村の子供は、この教会に住んでいるオブリビオンが世話を焼いているのだ。なぜオブリビオンなんかに子供を託しているのかは不明なのだけれど……恐らく、人質ってところなのだよ」
 今夜、その中からひとりが人柱になる、とマカは付け加えると、村の見取り図の教会へ丸を描く。
「子供達が起きている間はオブリビオンも教会にいるのだよ。けれど、子供達と一緒にいる時に戦闘を起こすと巻き込んでしまう可能性が高い……それに、オブリビオンとはいえ慕っている相手だ、あまり酷い光景は見せたくないだろう?」
 明日自分を殺す相手かもしれなくても。これからを生きていく者達にとっても辛い記憶となるならば、なるべく残さない方が良いだろう。
「そこでだ、日が沈んでからオブリビオンを倒してほしいのだが……ひとつ問題がある」
 マカは少し考え込み、言葉を選んでから口を開いた。
「殺された子供達の怨念か、子を奪われた苦しみで命を落とした親達かは分からないけれど……村には死者の呪いがかかっているのだ。夜出歩く以上、その呪いと対面することは必須なのだよ」
 悲しみからか見境のない呪いは、出会ったものを死へと引きずり込むという。猟兵もその対象の例外ではない。
「オブリビオンとの戦いを円滑に進めるためにも、呪いにも対処して欲しいのだよ。大丈夫、これまで数々の命のやり取りをしてきた君達だ。今回も上手くやれるって信じているのだよ」
 にっこりと笑んで、マカは猟兵達を見送る準備に入った。


Mai
 Maiです。
 よろしくお願いします。

 ダークセイヴァーのとある村に住み着いているオブリビオンを退治してください。
 時間帯は夜です。

 お連れの方がいらっしゃる場合は、【呼び方(ID)】をご記入ください。
 アドリブや選択肢単位でまとめての描写をよくしますので、お嫌な方はその旨プレイングにご記入ください。
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第1章 冒険 『彷徨う魂』

POW   :    持ち前のタフネスや生命力で呪詛に耐え、命の力を見せつける。

SPD   :    魂を縛り付けている何かを見つけ出し、それを示したり破壊することで魂を解き放つ。

WIZ   :    魂の精神に寄り添い、祈りや聖句などで浄化する。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●人ならざるものたちの時間
 村が夜の闇に沈み、人々が眠りについた頃。村の外で機会を伺っていた猟兵達は、そっと村の中へ歩みを進めながら周囲の様子を伺う。呪われると命を取られると周知されているからだろう、明かりの漏れる窓のひとつもなく、人々は息を殺して家の中で静かにしているようだった。これなら、多少の物音を立てても村人達が出てくる心配はないだろう。
 広場に足を踏み入れる。蟠る、じっとりとした重い空気を払うように猟兵が腕を動かした瞬間、突然吹き込んだ風が木々を揺らし、家々の窓枠をがたがたと鳴らした。
 来た、と誰かが呟く。それぞれ、気配を感じ振り返ると、白い人影がこちらをじっと見つめていた。
魅黒・神影
アドリブ大歓迎

神を信じるも何もボクは神を身に宿すのが仕事だからね…ここの神様を下ろせば何か見えたりしないかな?
名は忘れ去られてもまだ居るのなら…きっと…答えてくれるはずさ。

SPDで捜索、ユーベルコード使用して神を身に宿してナニカを探します。
ユーベルコードの代償は受け入れて探索を続けるよ、人の身に神様宿すんだ、反動があるのは当たり前だよ。

反動で力尽きる前に見つけられたら魂を解き放つこと優先で動くけど怨霊があまりにも多いとまずいかもね…でもやることは変わらない、突破して魂を導いてあげなきゃ…それが巫女の役目でもあるしね!



 闇の中に浮かび上がる白い人影のうちの一人に向き合い、魅黒・神影(蛇巫女・f00667)は恐れずにその声に耳を傾けていた。
 “彼”は今の村の在り様に迎合できず、かつての信仰を取り戻そうと訴えて回っていたところをオブリビオンに見つかり殺されてしまったのだという。今もなお村人達に夜な夜な訴えているのだが、混乱と後悔が強すぎるのだろうか、その声は人の命を刈り取ってしまう呪いへと成り果てていた。
『かつて広場に祀られていた女神像をもう一度取り戻せたなら……皆きっと分かってくれるはずなんだ……』
「その女神像は今どこにあるんだい?」
 神影の問いに、“彼”は首を振った。ならば、と蛇神を祀る神社の巫女としてその身に“神”を下ろすのが仕事である彼女は、その女神に直接話を聞こうと考えた。指を組み、心の中で呼びかける。風の音に紛れて、かすかに女性の悲鳴が聞こえ……次の瞬間、全身を駆け巡った強い力と悲しみに、神影の膝から力が抜けた。
「名は忘れ去られてもまだ居るのなら……きっと……答えてくれるはずさ」
 ユーベルコードの力を使うとはいえ人の身に宿すには大きすぎる存在、反動があるのは当たり前だ、と笑む彼女の手のひらから赤い雫がぽたぽたと落ちる。痛みに耐えながら、神影は女神と思しき存在の声に集中した。
 かつて豊穣を司っていたらしい女神は外部から来た存在との戦いに屈し、力を失って深い眠りについている状態のようだ。村人達からの信仰をも失い絶望に沈んでいた女神は、神影の呼びかけに途切れ途切れに応える。
「そう……土の中にあるんだね」
 神影は近くの家に立てかけてあったスコップを拝借すると、出血し続ける手のひらの痛みに耐えながら広場の土を掘った。がつん、とスコップの先が固いものに触れ、やがて首の折れた女神像が現れる。“彼”の輪郭が喜びに揺れる様を見るに、この女神像で間違いなさそうだ。神影は女神像を広場の中央に立てると、そっと首を乗せてやる。失った信仰を取り戻すには足りないかもしれないが、“彼”の後悔を取り除くには十分のようだった。夜の闇に溶け込んでいく白い人影は神影に感謝を伝えると、消える間際に彼女に問う。
『どうして君は……私の言うことを信じてくれたんだ……?』
「信じるも何もボクは神を身に宿すのが仕事だからね」
 魂を導くことも巫女の役目だしね! にこっと爽やかに笑って、神影は呪いが大地に還っていくのを見送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガーネット・グレイローズ
日が沈んだら行動開始だ。マントを着込んで、村の中を散策。ダークセイヴァーはどこもそうだが……この村も、強い怨念が満ちているな。……仕事柄、私は人には聞こえない声が聞こえたり、見えるはずのないモノが見えたりするのさ。浄化とは少し違うが、私の刀「アカツキ」にこの土地の呪詛を集めてみよう。【妖刀の導き】を使い、刀に周囲の呪いを吸収させるぞ。自分に取り憑いたり、呪い殺そうとしてきたら、〈呪詛耐性〉で耐えながら魂に語りかけよう。私の〈第六感〉が役に立てばいいのだが。行き場をなくした魂の迷い子達よ、このアカツキの中で眠るがいい。
周囲の呪いの気配が薄れたら、ひとまず作戦成功だな。



「ダークセイヴァーはどこもそうだが……この村も、強い怨念が満ちているな」
 ひとりごちて、マントを着こんだガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は他の猟兵達と少し離れて村の中を歩く。人ならざるものと渡り歩き人を導くことの多い猟兵という仕事柄だろうか、ガーネットは人ではないものの気配に敏感だった。携えた朱い月の名を持つ愛刀の存在を確かめるように、握る手に力を籠めた時。彼女の目の前に白い人影が現れた。
『近寄るな、あっちへ行け!』
 ガーネットと民家の間に現れたその人影は、彼女を遠ざけようと呪詛を撒き散らす。ガーネットは持ち合わせた呪いへ対抗する力でそれに耐えながら、愛刀を抜き放った。ユーベルコードで土地に染みこんだ呪詛ごと目の前の人影の力を刀に吸収させるが、攻撃とは少し違う構えで相手の出方を伺う。彼女に力の大半を奪われたものの敵意を感じらず困惑しながらも、その人影はその場から動かずガーネットへ敵意を向けていた。
「……お前は、殺された子供のひとりか?」
 勘から発した一言だったが、図星だったようだ。白い人影は輪郭を震わせながら、ガーネットに思い残したことを伝える。病床の妹を残してオブリビオンの手にかかったこと、せめてこの場に居られるうちは妹を守ってやりたいと思い、こうして毎晩人を遠ざけていること。
「ならばお前、私と一緒に仇を討たないか?」
 呪詛という手段しか持てなかったことを嘆く白い人影に、ガーネットは提案した。先ほど見せたように「アカツキ」の中へ入れば、むやみやたらに呪う以外の戦い方ができるぞ、と。少し悩む素振りを見せた人影だったが、
『約束だぞ。絶対、倒すって』
「ああ」
 ガーネットの落ち着いた声を聞いて安心したのか、こくりと頷くと刀へ任せるまま吸い込まれていった。淡く赤く光る刀を鞘に収めながら、周囲から呪いの気配が消えていることを感じたガーネットは、仲間達がいるだろう広場へと足を運ぶ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セレナ・アライアンス
魂の精神に寄り添い、祈りや聖句などで浄化するわ。
瞳を閉じて心を落ち着かせて魂の精神を感じ取るわ。
パラディン、クレリック共に聖なる力があると思われるため、祈りを奉げれば届くのではと思うのよね。
できるだけ魂に肯定してあげることで浄化を促したいわ。
優しい言葉で語りかけて落ち着かせてあげることも大事かしら。
「さあ、呪縛から解き放たれるのよ!」


ヨハン・デクストルム
忘れられた神は死にます。
力を持つ代償として、神は一人で在る力を失った。だからこそ我が神は私を救ったのです。躯の海に沈まぬための『楔』──信者として。
【WIZ】私も聖職者の端くれです。心の澱みを受け止めるのも仕事の内。苦痛も憎悪も吐き出してご覧なさい。ええ、もう大丈夫。すっきりしましたか? ほら、カラスの鳴き声が聞こえるでしょう? もう還る時間ですよ。次にお目に掛るときには、幸せな姿を見せて下さいね。
使用技能:聞き耳、第六感、礼儀作法、祈り、学習力、呪詛耐性、コミュ力、救助活動など

弱者無くして生きられぬ強者……我が神は吸血鬼に殺されたのですが、あんがい動機は同族嫌悪、だったのかもしれませんね。


祝聖嬢・ティファーナ
WIZでお願いします

彷徨う魂に“優しさ”と“祈り”と“歌唱”と“鼓舞”で唄って祈って光の精霊と聖霊を呼んで「一緒に助けてあげようね♪」と言って“こんぺいとう”を配ります☆
魂たちにも祈りと歌唱で落ち着かせながら、“こんぺいとう”も掌に乗せて「良ければどうぞ☆」と笑顔で出してあげます♪

癒しながら話をきいたり、「神様はお救いくださるから落ち着いてね♪」と囁きかけます☆
『シンフォニック・キュア』でキュア・サニティの唄で助けて癒して救います♪

他の猟兵たちのも何かを頼まれたら可能な限り答えれる様に頑張ります☆
必要でしたら『生まれながらの光』も使って治してあげます♪


シャルロッテ・エンデ
闇夜に迷える旅人の、心を支える灯りであれ
暁の女神の信徒として
噂に聞くこの世界を訪れてみたかったでちゅ

異世界TVを起動
極光のヴェールで素顔を隠した、女神様の化身に
光のカーテンで呪詛から守ってもらいつつ
優しさと祈りで、さまよう魂に呼びかけてみるでち

あたちたちは、外の世界から来まちた
シャルロッテちゃんは、ばんぱいあと戦う
ゆ~しゃ様のお供をしてるんでち

あたちの女神様は、この世界のみんなも
力を失ったお友達の神様も見捨てないでちゅ

なにしろ、永遠の冬に閉ざされ
全ての神様が去った世界でそれでもひとりだけ
人々の心に寄り添ってるんでちから

シャルロッテちゃんも、この世界に希望をともす
小さな灯りになるでちよ(にこっ)



 唯一の光源である月さえも黒い雲に覆われ、広場は重い闇に支配されていた。先ほどから猟兵達の行く手を阻むように佇んでいる白い人影は、肌を刺すような強い殺気を放っており、猟兵達との間には戦闘とはまた違う緊張感が漂っている。
「あたちたちは、外の世界から来まちた。ばんぱいあと戦うゆ~しゃ様のお供をしてるんでち」
 シャルロッテ・エンデ(暁のびしょうぢょ神官・f12366)はぺこりとお辞儀をすると、女神の化身を召喚した。極光のヴェールで素顔を隠したその化身は光のカーテンで猟兵達を包む。優しい光が広場を柔らかく照らす中、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)もシャルロッテに続くように挨拶をすると、白い人影へふわりと飛んで近付いた。
「神様はお救いくださるから落ち着いてね♪」
 良ければどうぞ☆と囁き、手のひらに乗せた星の形の砂糖菓子を笑顔で差し出す。人影は猟兵達の動きが予想外だったのだろうか、後ずさり困惑していた。ティファーナは首を傾げると、仲間達へも砂糖菓子を配り、食べても大丈夫なものだとアピールする。
「あたちの女神様は、この世界のみんなも、力を失ったお友達の神様も見捨てないでちゅ」
 シャルロッテは先ほど召喚した光のカーテンに触れながら、自らの世界の話をした。永遠の冬に閉ざされ、全ての神様が去った世界においても、人々の心に寄り添い続ける暁の女神。
『でも、もうここには……どんな神の力も届きはしないのだわ……。いくら生贄を捧げても、神は戻っては来ないのだから……』
 まるで泣いているように輪郭を震わせ、人影は言う。その声をずっと待っていたセレナ・アライアンス(青きパラディン・f14452)は、精神を集中させるためにと閉じていた瞳を開いて、目の前の人影を見据えた。
「よく、頑張ったわね。自らを犠牲にすれば、皆が幸せになるって信じていたのよね?」
 相手の放つ殺気の奥に悲しみを察知し、目の前の人影がオブリビオンに殺された子供であると判断したセレナは、相手の心に寄り添えるように声をかける。
「忘れられた神は死にます。力を持つ代償として、神は一人で在る力を失った。だからこそ我が神は私を救ったのです……躯の海に沈まぬための『楔』──信者として」
 ヨハン・デクストルム(神亡き狂信者・f13749)は、静かに続ける。信者である自らを通して、神とはどういうものかを伝えるために。
「あなたもまた、この地に宿る神にとっては『楔』なのです」
「あなただけじゃない、他にも神への信仰を貫いた人はいたわ。だから、救われることを諦めないで」
 セレナは、広場に戻った女神像を示す。それはとある猟兵が、人影の声に応えて取り戻した信仰の形。
『どれだけ祈っても、答えなんてかえってこなかったのに……』
 この場に居る猟兵達から聖職者の空気を感じた人影は慌てて口を噤んだ。ヨハンはくすりと笑って、人影に手を差し伸べる。
「苦痛も憎悪も吐き出してご覧なさい。私も聖職者の端くれです、心の澱みを受け止めるのも仕事の内ですから」
『……では何故、神はまだ私を迎えに来て下さらないの? 痛みに耐えて肉体を捨てたのに、啓示のひとつも私には聞こえない……』
 ずぶずぶと足元から黒い呪いをたぎらせて、人影は思いの丈を吐きだし続けた。ヨハンは光のカーテンの加護をもっても侵食してくる呪詛に耐えながら、じっと耳を傾ける。隣に立つセレナは彼のために自らの神へと祈りながら、人影の様子を見ていた。自らの澱みに沈み、徐々に冷静さを失って呪いを広範囲へ広げていく姿に危機感を抱いた彼女は、良く通る声で人影に言葉を投げかける。
「さあ、呪縛から解き放たれるのよ!」
 ね? と青い瞳を細めて笑むセレナに、人影は我に返るとヨハンに謝罪した。
「ねえねえ、祈っても神に声が届かないって思うなら、ボク達と一緒にもう一度祈ろう♪」
 ティファーナが砂糖菓子を人影に渡しながら提案する。うんうん、と頷いてシャルロッテも同意した。
「シャルロッテちゃんも、いっしょにおいのりするでち。いっしょにこの世界に希望をともす小さな灯りになるでちよ」
 生命力で紡いだ旋律に祈りを乗せた、ティファーナの歌声に合わせて、セレナが聖句を唱え、シャルロッテとヨハンは心の中で自らの神へと呼びかける。呪いに満ちた村に不意に齎された聖なる時間。猟兵達の持つ力によって呼び起こされた奇跡と言っても過言ではないかもしれない。祈りと癒しは白い人影の心がほぐれるまで続き、やがて柔らかな雰囲気を取り戻した人影に、ヨハンはそっと声をかけた。
「すっきりしましたか?」
『はい。ありがとうございます、皆さん……』
 お礼なんていいのよ、とセレナが笑う。もう還る時間ですよ、と告げるヨハンの声に頷いて、またどこかで会える、そんな表情を残して人影は軽やかに風に溶けて消えた。

 夜明けまではまだ遠く、人ならざるものの跋扈する時間は続く。
「弱者無くして生きられぬ強者……」
 ヨハンの呟きに、シャルロッテが視線を向けた。
「いえ……我が神は吸血鬼に殺されたのですが、あんがい動機は同族嫌悪、だったのかも、と思いまして」
「ばんぱいあのしはいと、あたちたちのしんこうはきっとちがうものでちよ」
 女神の使徒として世界を渡り歩くシャルロッテの言葉に、ヨハンは笑んで、ひとつ息を吐いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『喰われた神々』

POW   :    この世のものでない植物
見えない【無数の蔦】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    名称不明の毒花
自身の装備武器を無数の【金属を錆びつかせる異形】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    異端の一柱
【一瞬だけ能力が全盛期のもの】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●生ならざるもの
 広場を抜け、教会へ向かう猟兵達。オブリビオンの姿が予知されていたそこは、小さな宿舎や畑を擁した、村の規模から想像するそれよりも大きな施設だった。石畳の階段を数段登り教会の敷地へと踏み入ると、重量のある声が猟兵達に降りかかった。
『      』
 年齢も性別も分からないその声は、誰に向けてのものなのか、どこの国の言葉を話しているのかも分からない。ただ強烈な敵意だけは伝わってくる。
 猟兵達が周囲を警戒していると、土中から白い手が何本も現れた。蔦性の植物がうねるように指を動かし這い上がってきたのは、首を失った女神の姿をした3体のオブリビオンだった。
セレナ・アライアンス
アドリブ歓迎よ。

前衛に立って皆を護るわ。
敵の攻撃をできるだけひきつけるように敵に声をかけるわ。
敵の視線を遮るように位置どるわ。

攻撃はジャッジメント・クルセイドで行うわ。
なるべく弱ってる敵を狙って数が減るようにするわ。

「子供達をこれ以上殺させないわ!」
「これ以上悲しむ人を増やさせたりしないわ!」

見えない蔦に絡みとられたこと気づいたらできるだけ蔦を切るように努力するわ。

著しく傷ついた味方がいた場合は攻撃をやめて護ることに専念するわ。


祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を

堕ちた神々を前にして一筋の涙を流します…
風の精霊と水の精霊はティファーナと防具や道具を通して存在してくれているからオブリビオンの攻撃で消される事は無いので、「心の支え」になってくれています☆
『エレメンタル・ピクシィーズ』の“風”“水”と『神罰の聖矢』で“聖”で攻撃をして囚われた軛から解き放ちます♪

“風”“水”の精霊たちにはムリの無い範囲で頑張ってもらって、“聖”はティファーナ本人だから消える事はないので『神罰の聖矢』で続けて攻撃を繰り出します☆
『生まれながらの光』『シンフォニック・キュア』で治しながら癒して行きます♪

精霊たちと猟兵には“こんぺいとう”を渡し配って行きます☆


ガーネット・グレイローズ
これが、神……? いや、かつて神だったモノか。顔も言葉も失い、
いつしか祈りは呪いに変わり、ついには狂ってしまったのか。
いや、もしやこの『神』は始めから……。
まあいい、私には関係のないことだ。

<念動力>で発動させた【サイキックブラスト】による電撃放射で、<マヒ攻撃>の効果を狙う。動きを止めた隙に、仲間と連携して集中攻撃だ。
鋼糸を<念動力>で操り、糸鋸のように高速で震動させて<鎧無視攻撃>すれば、相手の耐久力が上がった状態でも有効打を与えられるだろうか。
糸には<呪詛>を幾重にも塗り重ね、殺傷力を高めておくぞ。
攻撃を見切られにくくするため、<2回攻撃>に<フェイント>も交えて
翻弄しよう。


シャルロッテ・エンデ
…ありは、天使の翼!
(零落した神の姿に、聖者やオラトリオの出現理由を悟る)
希望を託してたんでちね、人の子に

だったら、見せてあげなきゃでちゅ!
光は、ここにあるって

盾を構え、聖鎚・暁の星を振るい前衛で戦う
あぶない味方がいたら、盾受け+オーラ防御しながらかばう
地脈操作で味方を癒しつつ自己強化

この世界の地母神さま、チカラを貸してくだしゃい!
(大地から琥珀色の光が漏れお菓子の形に、それを食べる)

●異端の一柱を使われたら、刺激しないよう
ゆっくり間合いをとって様子を見る
見境なしに暴れるなら、敵同士で自滅するかも?
いちばん速く動くモノが狙われる
味方にも警戒するよう呼びかけ



「これが、神……? いや、かつて神だったモノか。顔も言葉も失い、いつしか祈りは呪いに変わり、ついには狂ってしまったのか」
 ガーネットは未だ見ぬ凶暴な怪獣の肉体さえも切り裂く戦闘用のブレードワイヤーを構える。彼女の少し後ろでは、ティファーナが堕ちた女神達の姿に、一筋の涙を零していた。心の支えである風と水の精霊の声に耳を傾け、なんとか戦意を取り戻す。
「……ありは、天使の翼!」
 一方で、トゲのついたメイスの先端で地を叩いてシャルロッテは喜びの声を上げた。生まれた時から彼女と共にあった神と信仰は、世界を輝かせもしたが同時に謎を齎してもいる。その答えを、頭部を失った堕ちた女神の姿からシャルロッテは掴んだのだ。
「希望を託してたんでちね、人の子に」
 人の間から生まれ、神秘体験と共に覚醒するオラトリオに、生まれながらに聖なる光を体内から放つ聖者。彼らの中に神の欠片を見出したシャルロッテは、この世界にいるだろう地母神へと呼びかける。彼女の呼び声に応じて大地からは琥珀色の光が漏れ出し、みるみるうちにシャルロッテの手のひらに収まる大きさの一枚のクッキーに姿を変えた。
「見るでち、ドワーフのとっておき!」
 大地の魔力を食べたシャルロッテの体は琥珀色に輝き、周囲に癒しの力を齎す。まるで自らが地脈となったような彼女は、聖鎚『暁の星』を持ちあげると、仲間達の先頭に立っていたセレナの横に並ぶと、目配せをして同時に攻撃を開始した。
「子供達をこれ以上殺させないわ!」
 セレナは、攻撃を繰り出すシャルロッテに女神達の攻撃が集中しないように常に両者の間に立ち、声をかけて注意を引き付ける。振り上げた剣が何かに当たり、少し遅れて後方にいたティファーナが小さく悲鳴を上げた。それが女神の放った見えない蔦であると瞬時に判断したセレナは、仲間を助けようと剣先の軌道を変え、蔦を切断する。
 後方からはティファーナの放つ天からの光と、ガーネットの念動力により発生した高圧電流がふたりを援護していた。まずは数を減らそうと言うセレナに同意し、ティファーナとガーネットの援護はシャルロッテとぶつかっている女神に集中して注がれる。
『      』
 連続してダメージを与えられた女神は、胸をかきむしる動作をして片方のみの翼を広げた。かつて異端の一柱として猛威を振るっていた頃の攻撃力と耐久力を獲得した女神は、目の前のシャルロッテを標的に定め強烈な一撃を加える。女神の行動の変化を察知した彼女は、猛攻撃を盾で防ぎながら刺激しないようにゆっくりと後退し、間合いをとった。動きを鈍らせたことによりシャルロッテは女神の標的から外れ、代わりに隣で剣を振るっていたセレナに女神の攻撃の手が伸びる。咄嗟に攻撃を剣で受け、指先から天からの光を放ち女神に反撃するセレナ。瞬発的な強化が切れた女神は、その身を守るように別の女神達の後方へと下がった。
「弱ったあいつから倒したいのに、どうしたものかしら?」
 未だ戦う力を残した2体の女神に壁を作られ、セレナはため息をつく。幸いにもシャルロッテとティファーナの癒しの力により、前衛ふたりの消耗は抑えられているが、あまり戦いが長引くとどうなるかわからない。
「……見境なしに暴れるなら、敵同士で自滅するかもしれまちぇん」
 先ほどの女神の挙動を見て、シャルロッテは作戦を提案した。前衛2体の女神から同時に理性を奪い、隙が出来たところを後方の女神を撃つ。上手くいけば前衛2体の女神はお互いを速く動く標的と認識して同士討ち始めるだろうという作戦だ。
「やってみる価値はありそうね」
 セレナが頷き、ガーネットも鋼糸を構えることで同意する。囚われの軛から女神達を解き放てるのなら、とティファーナも頷いた。それぞれ別の女神を狙い、天からの光と高圧電流を放つセレナとガーネット。攻撃を浴びかつての力を再びその身に宿した女神のうち1体は、誘うように盾を構えて後退するシャルロッテを標的に定め、守りの壁を崩した。
「素ノ源ヨリ来タレリ……」
 崩れた壁の隙間を潜り抜け、放たれたティファーナの魔法の矢が弱っていた女神を貫く。耳障りな断末魔をあげて消滅した女神に、大丈夫でち、光はここにありまちゅから、と盾を構えながらシャルロッテは呟いた。
 消滅した仲間に気づかず、シャルロッテの盾に猛攻撃を続ける女神の脇腹に、ガーネットの高圧電流による感電状態から解放されたもう片方の女神の攻撃が突き刺さる。そうしてお互いを傷つけあう女神達が我にかえるまでじっと耐えた猟兵達は、攻撃の手が緩んだのを見計らい、一斉に畳みかけた。
「これ以上悲しむ人を増やさせたりしないわ!」
 セレナはより弱っている女神へ指先から天からの光を放ち、ティファーナはその両方へと精霊の力を宿した魔法の矢を浴びせる。彼女達の攻撃が途切れぬ間に、ガーネットは念動力で鋼糸を高速で振動させ、女神の体を糸鋸で切断するように攻撃を重ねた。呪詛を幾重にも塗り重ね、殺傷力を高められていた鋼糸に女神の体は耐えられない。再び戦場に耳障りな断末魔が2つ、響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『完全教典『ユートピア』』

POW   :    戒律ノ一「安寧」
自身の【争いを好まない性格 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    戒律ノ二「誠実」
【教典から飛ばした紙片 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
WIZ   :    天啓
対象の攻撃を軽減する【共鳴神霊体 】に変身しつつ、【平和を紡いだ時間に応じて強くなる光】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナハト・ダァトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●聖ならざるもの
 女神達の残響が夜の闇に溶けて消える頃。教会の中からひとりの女が現れた。
「あなた達ですね、神が告げていた邪魔者というのは」
 冷静な口ぶりのその聖職者は、大事そうに経典を抱えている。ぽそぽそ、と彼女はその経典と何か話しているようだった。
「……そうですか。既に手遅れなのですね」
 虚ろな瞳で、彼女は周囲を見回す。まるで風の中に見える何かを探すように緩く首を振っていた彼女だったが、徐々にその首の動きが早くなる。いいえ、いいえ、認めません。いつしか否定を表す動作に移行して、彼女は声を荒げた。
「あと少しで、あと3人、子供を捧げれば女神はお顔を取り戻すことが出来たのに! なぜ邪魔をしたのですか! どうして! どうして!」
 聖職者の女は狂ったように叫び経典を開くと、紙面を指でなぞる。再び彼女の唇が小さく動いた。
「ええ、そうですねユートピア様……この者達を殺して捧げれば、きっと女神もよみがえる……そうすれば皆が笑って暮らせる……平和な村に戻るでしょう……」
 女の虚ろな目が、殺意を帯びて猟兵達を捉える。
ガーネット・グレイローズ
……あの女、さっきから誰と話しているんだ?
あの教典が余程大切なものらしいが、どうやら会話は通じそうにないな。

【妖剣解放】を用いての高速戦闘。
共鳴神霊体に変身しようとも、私の<呪詛>は防ぎきれんぞ!
私はあの子供と約束したんだ、必ず仇を取ると。
紙片や光による攻撃を<第六感>で予見し、<なぎ払い>または<衝撃波>で
迎撃しながら間合いを詰めよう。仲間の猟兵と連携を組んで、
<2回攻撃>に<フェイント>を交えながらの連続攻撃で斬りかかる。
攻撃がヒットしたら、斬撃に<呪詛>を乗せて追加ダメージ。
<生命力吸収>と<吸血>で、消費した寿命を補おう。
戦闘後は<世界知識>を活用し、落とした教典を調べてみるぞ。


セレナ・アライアンス
アドリブ歓迎よ。

あなたが全ての元凶ね。
あなたの凶行、ここで止めさせてもらうわ。
これ以上犠牲者を出すわけにはいかないの。
覚悟して。

前衛に立ってみんなを守るわ。
だってそれがパラディンの役目だから。
「武器受け」を使えるようなら使って攻撃を受けていくわ。

攻撃は「ジャッジメント・クルセイド」で行うわ。
できれば仲間の攻撃と攻撃の間を埋めるように使っていきたいわ。
そのためには攻撃をよく見ないとね。

「誘導弾」が使えるようだったら使って攻撃をこちらに引き付けたいわ。
もしくは攻撃を繰り返すことで引き付けてもいいかも。

全てが終わったら亡くなった子供たちに祈りを奉げるわ。


祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を

ユートピアを見て「魂を救わず利用するのは“善”ではありません…悔い改め、本当の【救済】を見詰め治してください!」と言います☆
「苦を癒し、哀しみを和らげる事こそ“救済”です」と『神罰の聖矢』と『エレメンタル・ピクシィーズ』の風(雷)/水(氷)/光の精霊たちにも攻撃をお願いします♪

精霊と聖霊と猟兵たちに『生まれながらの光』と『シンフォニック・キュア』で治し癒します☆
合間合間や終わった後に精霊と聖霊と猟兵に“こんぺいとう”を上げて甘味で労を労います♪

「神様は魂を救われる存在で搾取を望んではいません!貴女は自らを高める事を望んでいる様に見受けられます…」と本当に哀しみ涙を落とします…


メルフローレ・カノン
遅れての推参ですいませんが、
オブリビオン退治のため助太刀します。
目前のシスターをその狂信もろとも打ち破ればいいのですね。

私の得物はメインがメイス、サブが剣で使い分けます。
敵が術師っぽいので、接近戦を挑みましょう。
[力溜め]の上で、[2回攻撃][傷口をえぐる]で
思いっきり攻撃します。
また、打撃による[気絶攻撃][マヒ攻撃]で敵の動きを止めて
他の方の支援にしましょう。
「全力で行きますよ!」

敵の攻撃は[見切り]でかわしたり
紙片は[なぎ払い]で斬りはらいます。
敵の呪いなどの攻撃は[勇気][オーラ防御]で耐えます
他の方への攻撃を[かばう]【無敵城塞】で防ぐこともしましょう。
「ここは堪えてみせます!」



「……あの女、さっきから誰と話しているんだ?」
 胡乱な聖職者の女の言動にガーネットは眉を顰める。愛用の刀を抜くタイミングを見計らっている彼女の隣で、セレナが大きな剣でいつでも相手の攻撃を受け止められるようにと構えていた。
「あなたが全ての元凶ね。あなたの凶行、ここで止めさせてもらうわ」
 これ以上犠牲者を出すわけにはいかない、その彼女のパラディンとしての誇りにかけた決意には、教会に隣接した宿舎で寝ているだろう子供はもちろん猟兵の仲間も含まれている。
「魂を救わず利用するのは“善”ではありません……悔い改め、本当の【救済】を見詰め直してください!」
 ティファーナは女に向かってびし、と指をつきつける。彼女の怒りに煽られるように、金の首飾りのついたマフラーが風に揺れていた。
「とにかく、あのシスターを打ち破ればいいのですね」
 決戦の知らせを受け助太刀に駆け付けたメルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)もメイスと剣を携え女を見据える。幼少期を過ごした修道院、それを彷彿とさせる場所に居座るオブリビオンに対する憤りが彼女を突き動かしていた。相手の戦闘スタイルを術師的だろうと判断した彼女は、接近戦を挑もうと素早く行動に出る。メルフローレの動きを合図として、ガーネットが刀を抜いて込められた力……呪詛を解放する。
「私はあの子供と約束したんだ、必ず仇を取ると」
 かつてこの村で妹を守り暮らしていた少年の無念からくる呪詛は、共に戦おうと手を差し伸べてくれた猟兵の導きによって仇を討ち滅ぼす術を得た。そして今、ガーネットの言葉に応えるように刀が赤く輝き、代償として彼女の寿命を吸い上げ始める。
「苦を癒し、哀しみを和らげる事こそ“救済”です」
 ティファーナはマフラーを揺らしていた風の精霊の力を借りて、魔法の矢を作りだし聖職者の女に狙いを定めた。

「ユートピア様、ユートピア様。あなた様の与え給う試練に耐える私に、どうぞ力をお与えください」
 天からの光を宿した指先を向けるセレナとメイスを振り上げたメルフローレを前にして、聖職者の女は戦う素振りを見せない。それどころか両手を広げてまるで攻撃しろと言わんばかりの姿に、何かの罠かと警戒したメルフローレは女の目前に踏み止まり全身に守りの力を張り巡らせた。敵に何か思惑があったとしても、メルフローレの守りがあれば後方の仲間に被害が出ることはないだろうと、セレナは指先から放つ光でオブリビオンを攻撃する。無防備な状態で光で体を貫かれた女は反射的に蹲るが、経典を抱え込みぶつぶつと何事かを唱えながら再び立ち上がった。不利な行為への対価として能力を強化する戒律によって力を得た女の体が、さらなる神の力を得て徐々に透けていく。平和を紡いだ時間に応じて力を増すその威光は、オブリビオンの活動期間がそれほど長くはないこともあり決して強いものではなかったが、先に戒律によって能力が強化されていたためかいかなる猟兵であっても無傷ではいられそうになかった。
 ……だが。
「ここは堪えてみせます!」
 防御を固めたまま相手の出方を警戒していたメルフローレが、その身に光の攻撃を引き受けて仲間を守り切った。
「光りを怯える闇と悪よ、悔い改めなさい……!」
 神の光に共鳴し溶け込んでいく女の体を、ティファーナが放った魔法の矢が捉える。陶酔にも似た共鳴状態から引き戻された女は、虚ろな瞳に憎しみを湛えてティファーナを睨むが……その視線を遮ったのはガーネットの朱い刀だった。
「どんな姿に変身しようとも、私の<呪詛>は防ぎきれんぞ!」
 風のように早く駆けオブリビオンに接近したガーネットは、光に浸っている女の体をなぎ払い、刃筋から生じた衝撃波に呪詛を乗せて追撃を加える。
「羽虫のように鬱陶しい……!」
 憎々しげに零した女の手元からどばっとあふれ出したのは、血液ではなく紙片だった。まるで女の体からあふれたしたように見えたそれらは猟兵達の方へ、意思を持っているかのように飛んでいく。飛び退き、経典を開いた女が戒律を口にするより早く、セレナの誘導弾とティファーナの魔法の矢が紙片を次々と撃ち落とし、漏れた分は防御を解いたメルフローレの剣とガーネットの刀がなぎ払う。猟兵達に課すルールを宣告するより早く戦場から紙片を排除され、女の手が怒りからか震えた。
「神様は魂を救われる存在で搾取を望んではいません! 貴女は自らを高める事を望んでいる様に見受けられます……」
 仲間達へ癒しの光を降り注ぎながら、神と呼ぶ相手の力をその身に取り込み暴力として振るう女を見て、ティファーナは目に涙を浮かべる。
「全力で行きますよ!」
「さあ……覚悟して」
 力を込めたメルフローレのメイスと剣による猛攻が女の抵抗を奪い、セレナがその猛攻の合間を縫って指先から光を放った。仲間の動きを見て攻撃を途絶えさせない連携にオブリビオンは成す術がない。猟兵達を振りほどこうと最後の力を振り絞った女が身をよじった時、その手から経典が零れ落ちた。
「これで終わりだ」
 ガーネットが朱い刀で経典を貫く。刀の力を解放する代償に刻々と失っていた寿命を剣先から吸い上げきった頃、経典は灰となって崩れ去り。それを抱えていた女も動かなくなり、やがて経典と同じように崩れて消えた。

 教会の奥。子供達が密かに生贄として殺されてきた隠し部屋を発見したセレナは、手を組んで死んだ子供たちを思い、祈りを捧げていた。仲間達や精霊に労りとして星の形をした砂糖菓子を配って回っていたティファーナは彼女の背中と部屋の意味に気づくと、そっと入り口に砂糖菓子を供えて精霊達と共に祈りを捧げる。
 経典から生命力を吸収した際に流れ込んできた土地の記憶を辿って、ガーネットは聖職者の女が使っていた部屋を調べていた。この村に来てすぐに書き始めたらしい女の日記から、村で起こった女神崇拝に関しての暴動と、それによって命を落とす村人達が続出したことに心を痛めた女が、やがてオブリビオンである完全教典『ユートピア』の声を神と誤認し望みを歪めながら一体化していく様が読み取れた。
「“他人より劣る子供は、大人になっても役には立たない。ならば魂が綺麗なうちに神への生贄とせよ”……あまりにも、ありふれている」
 星の数ほどの悲劇の背景を見てもなお、大したことはないと割り切ることは難しく。ガーネットはそれ以上言葉を続けることはやめて、日記を閉じる。
 グリモアベースへと転送で戻る直前、懐かしさから教会を一目振り返りにこりと微笑んだメルフローレ。そのままふわりと消えた彼女達の姿を見たごく一部の子供達の間で、天使様一行の噂が流れたのはまた別の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月22日


挿絵イラスト