侵攻! 湿度の高いやつら!
●揺らぐ日常
「そういや、第6大浴場の改修って今日終わるんだっけ?」
「あー、そういやそうだったな。結構時間かかったよな」
学園の生徒達がそんな何気ない会話を楽しんでいたある日のことであった、血相を変えた少年が走りながらやってくる。
「おい、やばいって! 迷宮から災魔の群れが侵攻して来てるって!」
「はぁ!? 最近は大人しかったってのに――」
「ばか! そんなこと言ってる場合か、行くぞ!」
口々に騒ぎながら武器を手に取る学生達。ここアルダワ魔法学園は、戦うための学生を育てる場所……学生達も戦いなれているものが多い。
だが定期的に数も減らしているはずの災魔が侵攻してくるなどというのは、ただ事ではない。
だからこそ多くのものが、血相を変えながら迷宮へと飛び込んでいくのだった。
……そこに待つものが、自分達には手に負えないものだとは知らぬまま。
●それは湿度が高く
「こんこ~ん、皆さん集まってくれてありがとうございます! こいんちゃんです♪ ……あ、そんな目で見ないで。見ないで」
ビシィ! と決めポーズまでつけておきながら、恥ずかしくなってヘタレる水縹・狐韻(妖狐の迷者・f06340)。慌てた様子で手を振り誤魔化しながら、グリモアベースに集まった猟兵達に向け、こほんと咳ばらいをしながら説明を始める。
「アルダワ魔法学園で迷宮からオブリビオン……この世界風に言うなら災魔、ですね。その災魔が迷宮から出てきちゃう事件が起こっちゃうみたいです」
その為今すぐに迷宮に潜り、侵攻を始めた災魔達を迷宮の中で迎え撃って欲しいのだという。
「今の時点ならまだ迎撃のために迷宮の中に入った学生さんはいないと思います。ただ既に迷宮に入っていた人はいるかもしれません」
だからもしそんな人を見つけた場合は、助けてあげて欲しいと狐韻は手を合わせる。
「それと今回潜ってもらう迷宮の状況ですけど、なんだかとても湿度が高いみたいで……温室って言えばいいんですかね。ううん、もっと湿気がすごいかも。だから足場が悪くて滑りやすかったりするかもです。足場の確保も大事ですね」
もしかしたら、暑くてすぐばてちゃうかも? と狐韻は首を傾げる。
「最初に相手をしてもらうのは、フラスコスライム……名前の通り、フラスコに入ったスライムですね。この子がいっぱいいます。ただこの子達自体はそんなに強くないんですけど……どうやらそれを指揮してるボスみたいな敵がいるみたいなんです」
ただ……それがどんな敵かまでは、と狐韻は表情を曇らせる。
「でもきっと、そのボスは迷宮の奥にいるはずです! だからスライムを蹴散らして、学園の人達を助けてあげてください。ファイトーっ! ですよ!」
おーっ! と腕を振り上げる狐韻の声に押されるように、猟兵達は準備を始めるのだった。
原人
どうも、原人です。
今回みなさんが参加していただくのは、『アルダワ魔法学園』の迷宮内での災魔達の迎撃作戦となります。
●迷宮内
湿気が多く、非常に暑くなっています。
その為暑さでバテない工夫や、足場の確保等が重要になってきます。
最初は集団戦としてスライム達が待ち受けます。
では、頑張ってください。
第1章 集団戦
『フラスコスライム』
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POW : スライムブレス
【ねばつく液体のブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : スライムバイト
自身の身体部位ひとつを【奇妙な獣】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : フラスコアブソープション
小さな【自分のフラスコ】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【フラスコ空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
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猟兵達が迷宮に足を踏み入れると、熱気と湿気を帯びた空気がその体を包み込む。
周囲を見渡してみれば、既にフラスコスライム達があちらこちらに姿を現しており、もう少し到着が遅れれば迷宮から学園まであふれてしまっていたことが察せられる。
コトト・スターチス
魔法学園からコトトですっ!
グッドナイス・ブレイヴァーで迷宮探索の実況配信しながら探索しますね!
ぼくはこの後みなさんが奥へ進みやすくできるように、露払いをがんばります!
・準備
タオルとUDC世界のスポーツ飲料を多めに持って、すべらないようにスパイクをはいていきます!
はやめの水分補給はきほんです!
・戦闘
かわいいスライムさんですが、油断しません!
ユーベルコードで、配信の再生数やコメントを力にかえて、フラスコごとメイスで叩きますっ!
……ふ、ふえぇ、べとべとします
・要救助者
声をかけながら進みますね
見つけたら、安全を確認してから【医術】【救助活動】で応急手当をします
辻ヒーラーはこういうのもできるんですよっ!
「はーい! では、魔法学園からコトトですっ! うわぁ~……スライムさん、いっぱいいますね!」
自身のユーベルコードである配信用のドローンへと、コトト・スターチスは笑顔を向けながら周囲を見渡している。
「あっ、救助者さん発見ですっ。えいやっ!」
ぬかるんだ迷宮の地面を、スパイクをはいた足で駆け回りながら、日課として迷宮に潜っていたのだろう学園の生徒を、今にも襲おうとしているスライムの入ったフラスコの側面をたたき割る!
「勝利のぶいっ――」
『ぶ、ぎゅる』
「へぷっ!? ふ、ふえぇ……べとべとします……」
一撃でフラスコを叩き割ることのできた感触に、コトトがドローンへと決めポーズを取る。しかしそれに一瞬遅れるように、フラスコを割られたスライムが破裂するように散りコトトの全身に降り注いだのであった。
「え、ええと、大丈夫かい?」
「へ、へーきへーき! それよりもお兄さん、怪我はないですかっ?」
「あっ、ああ。地面にちょっと足を取られただけだから。いつもはこんな地面じゃなかったんだけど……」
思わず救助される側であった生徒の少年に心配されてしまうが、コトトは取り繕うように言いながら、少々あざとさすら感じさせるような上目遣いを生徒へと送る。
少年はどこか気恥ずかしさのようなものを覚えながら、一度学園へと戻ることにするとコトトに告げ去っていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
栖夜・鞠亜
じめじめも汚れるのも嫌...けど、やる。
エレメンタル・ファンタズムで氷属性と風を合成してまりあの周囲だけ冷たい微風を展開。制御が難しいけど規模を小さくすればなんとかなる、はず...これでじめじめしない?
滑って転びたくないからすごいゆっくり、歩く。熱くて倒れそうな人がいたら入れてあげないことも、ない。学生みたら危険だから帰れって、言う。
スライムに会ったらあついの嫌だけど冷たい風を停止、再度エレメンタル・ファンタズムで氷属性と突風を合成。氷の吹雪でカチコチに、してあげる。
御影・雪乃
話は読めました、つまり冷やせばよいのですね
濡れてしまっている地面はどうしようもないので、せめて暑さだけでも。
冷気の魔法で冷やしつつダメージを与えていきましょう…。
高速詠唱3、属性攻撃3、範囲攻撃2、の技能を活かして手数で削ります。
少しでも楽をするために味方と連携できそうなら連携。10mほどって短いので…。前衛となるべく一緒に戦いたいです。
「攻撃ついでに冷やしてみます、良かったら連携しましょう」と声掛けしてみる。
フラスコや噛みつきなどの接触はなるべく回避するよう意識。
見切り1、学習力2、武器受け1、の技能も活かして凌ぎます。
アルル・アークライト
【WIZ】
あっつーい!なんなの、この気温ー!
暑さはさておき多湿は苦手かも、団扇でぱたぱた扇ぎながら進行。
…って、あんまし見ないでよね?
ちょーっとだけ可愛いし、ちょーっとだけ可哀想だけれども。
モンスターもといオブリビオン相手だもの、
遠慮も加減もしないんだから。本当よ?
パッと見た感じ、瓶に詰まってるし。
そこまで遠距離攻撃は得意じゃなさそうね…と、言う事は。
こっちが遠くから攻撃しちゃえば一方的な展開に持ち込める、かも!
そうと決まれば…これ!【ウィザード・ミサイル】!
魔法の矢で滅多打ちにしてあげる。
遠距離を支配してみせてこその、魔法使いよね?
ヴァリアクルス・プロディクト
湿気……暑い……わかりました。対処するために、【エルフの聖なる水着】を準備しましたっ。急いで用意したので、女性用のものしか手に入りませんでしたけど……。
とにかく、これなら湿気対策は十分。
ぼくは、戦うのは苦手ですけど、戦うみんなのサポートは得意です。
傷ついた人や、暑さでのぼせちゃった人の回復や手当に努めますっ。
いざとなれば、セパレート水着のトップスを脱げば【シーブズ・ギャンビット】の加速も上がって、安全なところまで連れていって上げることもできます。
(なぜトップスを着ているのか? ……については、ツッコんではいけない)
浅葱・シアラ
ひぅ……!
フラスコスライムが一杯……
……何かよく見たら可愛いけど、やっぱり倒さないと、だよね
滑りやすい足場は、フェアリー特有のふわふわ飛行していればなんとかなりそう、だね
暑くてバテそうだから、涼しい服装でお水も沢山持って来たし準備万端!
フラスコスライムたちは沢山いるみたいだね……
数が多い相手の時はそう!
ユーベルコード「神薙胡蝶蘭」で武器の鉄塊剣を胡蝶蘭の花弁に変えて一斉に攻撃するよ!
仲間を巻き込んでしまわないように気をつけながら、技能の高速詠唱で可能な限り何度も神薙胡蝶蘭でフラスコスライムたちを片づけちゃお!
「あー、もうっ! あっつーい!」
思わず叫ぶように言い放ちながら、アルル・アークライトは団扇を扇ぎながら迷宮を進んでいく。生ぬるい風をその身に浴びながら、アルルは近づいてくるフラスコスライムを遠距離から魔法で作り上げた矢で仕留めていく。
『ぶぎゅ』
『きゅるるるる』
『ぎょぎょ』
形容しがたい甲高い鳴き声のようなものを残して破裂していくスライム達の姿を見ても、暑さはマシになるどころか余計に湿気と共に増えていってるような気さえする。
「お水でお腹がいっぱいになっちゃいそう、だね」
「あら、あなたは涼しそうな格好だからまだいいじゃない」
「ひぅっ
……!?」
水分補給をしながら近くを飛んでいた浅葱・シアラの独り言に、少しの羨望すらのせてアルルが言えば、まさか返答が返ってくるとは思っていなかったのか、シアラは小さく悲鳴を上げながら驚き岩陰へと隠れてしまう。
まさかそこまで驚かれるとは思っていなかったのか、アルルもびっくりである。
「ちょ、ちょっと。脅かしちゃってごめんって」
「あ、ご、ごめんなさい。急にでびっくりしちゃったから」
そう言いながらも、なかなか岩陰から出てこずに『ちらり、ちらり』と恥ずかしそうに小さく顔を出してアルルの顔色を窺っている。
今度は驚きというよりかは恥ずかしい、といったところであろうか。心なしか顔が赤く染まっており、もじもじと踏ん切りづかない様子をみせている――のだが。
『ぶぎゅるっ!?』
そうして窺いながらも、アルルの後ろにやってきていたスライムを、ユーベルコードで花弁に変えた武器で倒している辺り、やることはちゃんとやっているらしい。
シアラの右目が一瞬赤く染まったと同時、後ろから響いたスライムの鳴き声に驚いた様子のアルルの姿を見て、シアラははにかむ様な笑みを浮かべて舞う様に飛び近づいてくる。そしてアルルの肩へとしがみつく様に、その身を預けるのだった。
「そ、それに涼しい恰好ならあっちの人の方が、だよ?」
耳元で囁くように、シアラの小さな小さな指がさす方。そこには何故か女性用の水着を着たヴァリアクルス・プロディクトの姿があった。怪我をしていたらしい学生の手当てをしている姿は、実に堂に入ったものなのだが……。
「大丈夫、傷はそんなに深くありませんよ。これで大丈夫です」
「あ、あぁ……なぁ、アンタどうして水着を?」
困惑したような生徒に問われ、ヴァリアクルスは恥ずかしそうに水着のトップスを摘まみながら苦笑を浮かべる。
「湿気が多くて暑いと聞いていましたので、慌てて用意したら女性用しか用意できなくて」
「……そ、そうか。そうかぁ……女性用しかなかったかぁ」
――違うんだよ! そうじゃねぇんだよ! なんでそもそも水着着てんだよ!
そう言いたいであろう複雑な表情を浮かべつつ、助けてくれた恩人への無粋な一言を飲み込んだ生徒は、今目の前で見ている夢からの出口を探すかのように、ゆっくりと迷宮の外へと向かっていった。
「大丈夫でしょうか。ついていきましょうか?」
「大丈夫、大丈夫だから!」
少し、歩く速度が上がった。
「涼しい……みんな大変そう……」
温風漂う迷宮の中を、涼しげな様子で栖夜・鞠亜が悠々と――いや、ぬかるんだ地面で転びたくないからか、そろそろと慎重に歩いている。
周囲でみんなが暑さにあえいでいる中、鞠亜が涼しそうにしていられるのは自身の使うユーベルコードの恩恵であった。心地よい微風が鞠亜の頬を撫でる。
「なるほど……つまり冷やせばよいのですね」
そんな様子をしげしげと観察していた御影・雪乃はそう結論付ける。
思いついたならば即実行――強い好奇心に突き動かされ、雪乃は自身の身につけている手袋へと力を注ぎこみ、ユーベルコードを発現させる。
直後に雪乃を中心とした一帯が、一瞬で雪と冷気に包まれたものへと置き換わり、先ほどまでの湿気や熱気はどこへ行ったのかというほどの様子である。
「くしゅっ!?」
思わず近くを通りがかった水着姿のヴァリアクルスが、可愛らしいくしゃみを発しながら逃げていく。流石に水着で雪中は辛かったようだ。
「あら、なかなか調整が難しいのですね」
「力、こめすぎ」
寒いだけでなく近づいてきたスライム達が、どんどんとフラスコの中で凍っていくのを見つめながら困ったような声を――もっとも見た目は全く困っているようには見えない――漏らす雪乃の傍に、いつの間にか鞠亜がやってきていた。
「じめじめしない……けど、寒い」
「ただ冷やせばいいものじゃなく、なかなか難しいのですね」
「うん、難しい」
胸に抱いていたぬいぐるみに顔をうずめるようにしながら、鞠亜は一度だけ小さくこくりと頷いてみせる。
「冷やしすぎると寒い、から。普段は涼しく、して――」
近くまでやってきていたスライムに気づいた鞠亜は、冷風を一度止め今度はそれ以上の冷気――吹雪を操り一瞬で氷漬けにしてしまう。
「戦うときだけ寒く、する」
「使い分けているわけですね」
眼下で何度も頷きを返している鞠亜を見ながら、雪乃は考えを巡らせる。
このまま自分一人でいるのは、敵がいくら弱いとはいえ得策ではないのではないか。
幸いにも近づいてくる傍から氷漬けになってくれるのだが、力を使い続けていると疲れるしなによりも寒い。
――ああ、正直楽に涼みたい。
「今すぐに調節するのは難しいかもしれません。どうでしょう、良かったら連携しましょう」
「じゃあまりあが涼しくする、から」
「私が攻撃を担当しましょう」
ぬいぐるみごともう一度頷いた鞠亜は、そのまま迷宮の奥の方へと歩き始める。
雪乃はそんな鞠亜の少し後ろを歩きながら、力の調節を意識しながら攻撃の準備を始めるのだった。
こうして猟兵達は、群れるように存在していたフラスコスライム達を、危なげなく撃破しながら迷宮の奥へと足を踏み入れるのだった。
大成功
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第2章 ボス戦
『迷宮温室の女王』
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POW : 百裂蔓撃
【髪のように見える無数の蔓】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 捕縛液噴射
【腹部の食人植物】から【刺激臭のする液体】を放ち、【空気に触れると凝固する性質】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 女王の花蜜
レベル×5体の、小型の戦闘用【昆虫型モンスター】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
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迷宮の奥の奥、大半のフラスコスライム達を駆除し辿りついた部屋のような一角に足を踏み入れると、今まで以上の湿気と熱気が猟兵達を迎え入れる。
それはさながらサウナのようで、植物が成長し樹海のように張り付く部屋の中央にやつはいた。
まるでやって来た猟兵達を迎え入れるように、迷宮温室の女王と呼ばれる災魔は耳障りな奇声をあげながら、猟兵達へと襲い掛かるのだった。
花宵・稀星
じめじめの元凶は貴女です?
いっそじめじめばかりでなく、諸悪の根源だったりしませんか?
ここで貴女を倒せば全てのやっかいごとが解決する、それくらいなら楽だったんですが。
しかし、花に引き寄せられてか虫がうじゃうじゃとまあ。
恐怖症の方が見たら失神ものなのです。
<ミレナリオ・リフレクション>で<女王の花蜜>をコピーして、こちらも昆虫たちを召喚、迷宮温室の女王の放つ昆虫たちにぶつけ、相打ちにさせるです。
相殺し続けるだけではじり貧ですから、そうして拓いた突破口を他の猟兵の方に活かして女王に吶喊して頂きたいところですね。
ミーユイ・ロッソカステル
なあにあれ。……美意識のかけらもありはしない。
つぎはぎだらけの醜悪な怪物……。一秒でも見ていたくはないわね。
湿度が高いのは嫌だけれど……。
地下迷宮ならば、日光を気にすることなく立ち回れるのは救いかしら。
……あぁ、でも、汗ばむのはやっぱり嫌。
【wiz 女王の花蜜】に対峙しての行動を。
無数の昆虫共に対して……私はユーベルコード「夜との闘い 第3番」を高らかに歌うわ。
この歌は、私に敵意を抱いた相手に攻撃を加える、カウンター型のユーベルコード。
虫に歌を理解する知性があるとは思えないけれど。……聞いて、軽快する頭さえあれば、この場においては充分でしょう。
所々出来た水たまりを蹴るようにしぶきを立て、迷宮温室の女王が猟兵達へと迫る。見た目からは想像し辛いほどの俊敏さを見せ、更には蜂のような小型のモンスターを自らの身の内から湧きだす蜜により召喚する。
「……美意識のかけらもありはしないわね」
汗ばむ不快感に眉を寄せながら、ミーユイ・ロッソカステルは近づいてくる女王の醜悪さに口元を覆ってみせる。そんな仕草が癪にさわったのか――さわるだけの知能があるかは不明だが――女王は使役する蜂の群れをミーユイへとけしかける。
耳障りな羽音を立てながら迫る群れに、ミーユイは小さく唇を開き歌を紡ぐ。それは夜の暗澹さと苛烈な星々の輝きを呼ぶ呪歌に他ならない。
静かに紡がれ始めた言葉はだんだんと苛烈さを増していき、それと共に闇がミーユイとその周囲を覆っていく。そしてその闇の中に瞬くように存在していた『星』から放射された輝きが、今にもミーユイへと鋭利な針を突き立てんとしていた小物達を 焼き払っていく!
触れることも能わず無様に墜落していく配下の姿に怒りを見せ、女王は更に蜜を産みだし一矢報いようとする。だがそこに一石を投じるものがいた。
「苦手な方が見たら失神ものなのです」
蜂の群れに、小さな影が横からぶつかっていく。それは花宵・稀星がユーベルコードの力で模倣し召喚した蜂達であった。
「あら、助けてだなんて言った覚えはないわよ?」
「じめじめの元凶を解決したいだけですから」
歌を少し中断し強がるような様子をみせるミーユイに、稀星はコテンと首を傾げて不思議そうな顔をして見せる。それに毒気を抜かれたのか、ミーユイは少し笑みを浮かべてみせ。
「それにしても貴女、なんだか光ってるわよ?」
「ユーベルコードを真似したら、なんだか蜜まで出てきてしまって……」
「……えっ」
身体の所々が鈍く光り甘い香りを漂わせている姿に、思わずミーユイは後ずさる。そんな様子に内心ショックを受けながら、稀星は残る蜂達を退治していく。
「相殺し続けていくのにも限界があります。今のうちにどなたか、お願いします」
少しだけ……ほんの少しだけぶーたれた顔で、稀星は仲間の猟兵達に呼びかけるのだった。
大成功
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浅葱・シアラ
ひぅっ!?
フラスコスライムはちょっとかわいいかなと思ったらこのボスなんか怖い……!
温室状になった迷宮の女王……何だね……お花みたいのが見えるのに不気味だよ……!
植物みたいにも見えるから炎で燃やしちゃえばいいけど、この暑さでそれは嫌だね……
引き続き涼しい格好で水分補給をきっちりしていくけど
使うユーベルコードは引き続き「神薙胡蝶蘭」
鉄塊剣を綺麗な胡蝶蘭の花弁にして強風に乗せて、花弁を刃のように敵にぶつけていくよ!
属性攻撃の技能で風属性を高め、全力魔法で威力を強化!
高速詠唱で出来る限り連発してぶつけていくよ!
風属性で植物なら切り刻めるよね!
……ついでに強風で涼めたりしないかな……?
御影・雪乃
群れは頭を潰せばあとは野となれ山となれ…。ターゲット、あれですよね?潰しましょう
これだけジメジメして暑いところに居るのなら、寒くて乾燥しているところは苦手でしょう…。
というわけで、水蒸気ごと凍らせて湿気対策も兼ねてみましょう、おーけー(脳筋魔法使い)
範囲攻撃、属性攻撃、高速詠唱の技能を活かし、手数と属性マシマシで、フローズンブラストで冷やしていきます。
氷結で動き鈍るついでにダメージも入ると良いな…
防御は、見切りや武器受けを活用。
接近されたら護身用ナイフで守りつつ離れて前衛の後方に退避したりします。
冷気による行動阻害が有効に効いていると、だんだん楽しくなってきて、サディスティックな微笑みに
栖夜・鞠亜
ここもすごい熱そう、けど女王倒さなきゃ・・・我慢する。
でも一緒にいた氷使いの子がいてくれたら少しは涼しい、かも?
まりあは戦いの援護、する。グズマニア・マグニフィカで女王を一時的に拘束してみんなが攻撃しやすい状況をつくったり、女王の攻撃の瞬間に拘束して妨害する。
まりあの届く範囲で危険な目に遭ってる子がいたら[かばう]してあげない事も、ない。大丈夫、まりあは[武器受け][激痛耐性]あるから見た目より、頑丈。
ヴァリアクルス・プロディクト
暑さ対策に仲間が冷気を使うのは、予測してしかるべきでした…。
そこで、今回は冷気から身を守るためにマフラーを用意しました。
水着とマフラーを同時に身につけることで、暑さと寒さの両方に耐えられるというわけです。(ファンタジー出身者特有の耐性思考)
ぼくは戦うのは苦手だから、あまり前には出られないけど、みんなの助けにはなるはず。
クレリックとしてみんなのケガを治しつつ……
ボスの【百裂蔓撃】で味方の動きが封じられたら、ユーベルコードを使って、バラの花びらを舞い散らせて蔦を切り裂くんだ。
凝固液?その対策は……他の誰かがしてくれる、よね?
ギルバート・グレイウルフ
かぁーっ、じめじめしてて気分まで落ち込んでくるぜ。
さっさと敵の親玉を蹴散らして、美味い酒でも飲みにいきてぇな!
さーてっと、ボスのご尊顔を拝見させていただきますかねっと。
ふむ、温室っぽい空間だけあって植物型のオブリビオンか。観葉植物にするには、ちと向いてなさそうだな。虫寄ってきそうだし。
ってことで、遠慮なくぶちのめしにいきますか!
まずは奴さんがどの程度硬いのかってところか。拳銃で胴体でも狙ってみるか?いきなり接近戦なんておっかねぇしな。
んでもって、今回も頼むぜ……ユーベルコード『忍び寄る死の気配』
やべぇ気配がしたら、安全第一ってな。
範囲攻撃っぽかったら、周りの奴にも教えてやるかね。
アルトリウス・セレスタイト
王になるは威厳が足りんぞ
主に露払い
事前に手頃な大きさの瓦礫を拾って準備
数で勝る相手へは数を向かわせてくる可能性もあるだろう
女王の花蜜で昆虫型が召喚されたら華嵐で潰す
味方へ近いものから狙いたいが数を減らすのを優先
昆虫型の数が減っていたら潰しつつ時折ボスの様子を確認
捕縛液噴射は腹部からのようなので、動きが見えたら持ってきた瓦礫を怪力で投げ付ける
ダメージはなくとも一回くらいは邪魔できる可能性がある
特に自分が狙われていれば噴射されたものも瓦礫が被ってくれるかもしれん
万一危険な者がいれば回廊で安全な場所へ退避させる
コトト・スターチス
配信をつづけながら進んでいたら、ついにボスっぽい敵が出てきましたっ!
強い敵相手ならサポートはとっても大切だと思うので、ぼくは昆虫型モンスターの相手をします
敵数が多いときはとにかく一撃を与えられるようにメイスをふりまわして、数が減ったらしっかり狙っていきたいと思います
みなさんがボスへ安心して向かえるようにがんばりますね!
そしてヒーラーとして、ケガした人がいたら生まれながらの光で治療しますっ
「お兄(姉)さん、大丈夫ですか?ぼくがすぐに治しますねっ!」
使いすぎには注意ですが、ここぞという時には一気にみなさんを回復してサポートします!
暑くてたいへんなので、はやくおふろに入れるようにすごくがんばりますっ
「……すごく、暑い」
「閃きました」
だらりとぬいぐるみを持つ手を弛緩させ暑さにうめく鞠亜の隣で、女王の隙を見計らい攻撃の機会をうかがっていた雪乃が名案を思い付いた、と手を打つ。
「閃いたって、何を?」
「これだけジメジメして暑いところにいる敵なら、逆は苦手だと思うんですよね」
「ちょっと、待っ――」
「ですから。水蒸気ごと凍らせれば、おーけー」
鞠亜が止める間すらなく、雪乃は女王に向けて翳した指先から超低温の冷気を放出する。それは襲い掛かる猟兵達を、髪のようにも見える蔦で牽制していた女王の身体の一部を凍らせると同時に、瞬時に周りの空気を極寒へと叩き落す!
「やり、すぎ」
「あ、あら……ですが、動きも止まってますし」
急な冷気の余波にさらされることとなり、鞠亜は非難するように雪乃を見上げる。とはいえ、女王の動きを妨害できていることも確かなので、必ずしも責められるいわれはないのではあるが。
しかし可哀そうなのは宣告なしに冷気に晒された仲間達も同様であった。
先ほどの経験を活かして、水着の上に何故かマフラーを首に巻いていたヴァリアクルスなどは、思わず跳ねるようにしてまだ熱気の残る部屋の隅へと退避する。
メイスを握っていた手もかじかみ、まるで局所的な地震でも起きているかのようにメイスの先が震えている。
「首だけ暑いと思っていたら、今度は首だけが温かくて他が……他が辛いですっ!」
「ほら」
「あれはあの格好がまずいのではないでしょうか?」
露出した腕や足を必死にこすって暖を取っているヴァリアクルスの姿に、少しだけ申し訳ない気持ちを抱きながらも、何故あんな格好をしているのだろう、という思いに駆られてしまう雪乃であった。
だが気楽に構えていられたのはそこまでであった。
凍り付いた根や蔓を、女王が引きちぎれるのを厭わずに猟兵を襲い始めたのだ。
『ア”ア”ア”ア”ァ”』
植物である女王にも痛覚はあるのだろうか。激痛に耐えるかのように叫びながら、女王が髪の蔓を力任せに振り乱す。その先にいるのは――報復とばかりに雪乃であった。
「あれだけの数、受けきれな――」
「させないっ!」
護身用のナイフを掲げる雪乃であるが、振り下ろされる蔓の数に受けきれないことを悟る。衝撃に備え強く歯を食いしばった瞬間、傍らにいた小さな影が突き飛ばすように雪乃を押し出し、本来受けるはずだった蔓の乱打をその身に受けきる。
「鞠亜さんっ!」
「……大、丈夫。まりあは見た目よりも、頑丈」
「すぐに治しますっ!」
痛みに顔をしかめる鞠亜に駆け寄り、コトトがユーベルコードの光を発し治療を始める。鞠亜の顔から痛みが引いていくのに比例して、コトトの顔が疲労に包まれていくが、コトトはやせ我慢をするように笑顔をはりつけ自信を鼓舞する。
「配信をしながらたどりついたら、もう戦闘が始まっててびっくりしました」
「驚かせて、ごめん。でもそれよりも今の、うち」
「ふぇ?」
鞠亜の指さす方を見てみれば、そこには鞠亜の影から出た植物のような影が、女王の影へと絡みついて動きを封じているのが見えた。それに連動するように、女王自身も動きを阻害され、満足に動けていないのが分かる。
「無茶はだめですよっ!」
責めるような、それでいて心配するようなコトトの声に呼応して、鞠亜のユーベルコードが解けるように消えていく。だがそのわずかな時間を阻害できたことは、猟兵達にとって大きな価値があった。
「ちぃ……ただでさえじめじめして、気分が落ち込みそうだってのによ!」
動きの止まっていた女王のどてっぱらに、ギルバート・グレイウルフは手にしていた拳銃で何度も鉛玉を打ち込む。破裂するような発射音が続けざまに何度も鳴り響き、硝煙の匂いが白い煙と共に部屋の中に漂う。
女王の腹部に存在する食人植物の花弁は散り散りに吹き飛び、残った花弁も穴だらけというひどい有様である。
してやったり、とギルバートが顔を歪ませた瞬間――彼はそのまま慌てた様子で背後へと飛ぶ。
「……おい全員注意しろ! 来やがるぞ!」
周囲の猟兵達に注意を促しながら、ギルバートは背後へ背後へステップで後退していく。それの後を追うように、刺激臭を伴った粘液がいくつも撃ち込まれ即座に固まっていく。
動けなくなった後の末路を予想してか、ギルバートの頬が引きつるようにつりあがる。自身の経験の豊富さに感謝しながら、逃げることに専念するのだった。
「立ち止まるな! あれに当たれば動けなくなるぞ!」
事前に用意しておいた瓦礫や大ぶりの石を投げながら、アルトリウス・セレスタイトは逃げ回るように移動する。
狂ったように乱射される粘液に忌々し気な視線をやりながら、飛んでくるであろう方向へとアルトリウスは瓦礫を投げる。そのいくつかは粘液に当たり、あらぬ方向へと飛んでいくが、そのすべてを相殺できているわけではない。だがそれでも十分だと、アルトリウスは手を止めることはない。
少しでもこちらの動きを止めてから襲おうというのだろうか、女王は足を止めたものを目ざとく見つけては、無残になった腹部から粘液を放射する。
「ふん、王になるには無様で威厳の無い姿だな」
「今ならにげられますっ! 安全な場所に移動しましょうっ!」
だが少しでも瓦礫で阻害できた隙を見計らい、アルトリウスは未だ倒れたままであった鞠亜を抱き上げ、治療を続けていたコトトと共に部屋を脱出する。
あとは残った仲間達が手負いの女王に止めを刺してくれると信じ。
残された猟兵達は女王の粘液と蔓に翻弄されながら、少しずつ手負いを負っていく。女王自身の行動への対応は出来ているのだが、決定的な攻撃力が欠けているが故の長期戦になってしまったのだ。
「怪我をした人はこちらに来てください! 応急手当程度ではありますが治療します!」
治療役として残っていたヴァリアクルスが声を張り上げる。その顔には部屋の湿気や熱気だけではない、色濃い疲労の汗が滲んでいる。治療を終えて戻ってきていたコトトも負傷者の手当てにまわっていたが、手傷を負いながらも暴れまわる女王に決定的な一撃を与えられず膠着状態が続いていた。
怪我人を狙ってきた蔓から庇うように、ヴァリアクルスが武器を変化させた花弁を飛ばす。切り裂かれた蔓はそのまま女王の内へと収納され、別の蔓がまた用意される――キリがない。
そんな決定打にかける中で、1人力を溜めていたものがいる。
「……怖い……不気味だよ……」
内気なフェアリーの少女は女王の蔓から逃れながら、自らの中に燻ぶる恐怖心と戦う。
狂乱といった様子をみせる女王と、それと戦う猟兵の仲間達。それを上空から俯瞰しながら、シアラは恐怖に声を震わせる。
まだ愛嬌のあったフラスコスライムであれば、ここまで恐れることはなかった。
人の面影すら見える女王は、シアラにとっては刺激が強すぎたらしい。
「大丈夫ですかっ!? すぐに、すぐに治しますからっ!」
だが、シアラは勇気を振り絞る。眼下では自分よりも小さな――体は大きくとも年下の少女が、疲労を押して仲間を鼓舞している姿がある。今にも疲れで倒れそうな体で、仲間達を癒しながら。
……なんて、情けないんだろう。
みんな出来ることをやっている。
だから自分も……出来る限りのことをやらなければいけない!
恐怖心をそう妄信に変え、シアラは呪文を紡ぐ。
――緑の右瞳が、そっと赤に切り替わる。
「やべぇ攻撃はじきに終わる、それがチャンスだ!」
シアラだけにかけられた言葉ではなかっただろう。ギルバートが仲間達に呼びかけた言葉に突き動かされ、シアラは剣をユーベルコードで胡蝶蘭の花弁へと変換する。
「今度こそ、動きを止めます!」
雪乃の放つ冷気が、攻撃終わりの女王の動きを再度阻害する。冷気に包まれた女王は、満足に動くことが出来ずに無防備な身体を晒す。
――無防備な姿は一瞬。けれどその一瞬あればいい。
その身に宿る風の力を乗せ、シアラは花弁を打ち込む。――疾く。疾く!
『ア”ア”ア”ア”!?』
ほぼ真上から降り注いだ花の嵐に、女王は包まれ刻まれていく。
猟兵達が唖然と白い花弁に包まれた女王を見つめる中で、蔓を、腹を、根を切り刻まれ――女王は無残な欠片へと分解され崩れ落ちる。
あとにはユーベルコードが解け、一本の剣に戻った花弁だけが残される。
全てをなし終えた少女は、力尽きたのか、それとも緊張から解き放たれたのか、ふらふらと舞い落ちていく。
それはまるで……花弁のように。
大成功
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第3章 日常
『学園大浴場でリフレッシュ!』
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POW : じっくり湯船につかり、温まって疲れを癒す
SPD : 素早く体を洗ったりして隅々まで綺麗にする
WIZ : 浴槽や脱衣所などで交流し、精神を癒す
👑11
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女王を倒した瞬間、あれほどあった湿気と熱気はすぐに引いていった。
おそらくは女王がなにかしらか影響していたのかもしれないが、猟兵達には詳しいことが分かるわけではなかった。
そして学園へと戻った猟兵達は、学園側からの報酬の一つとして、改修したての大浴場を特別に使わせてもらえることになったのだった。
男女混合……勿論、水着を着るのが条件で。
浅葱・シアラ
えへへ……勇気出して戦った甲斐、あったね……。
湿気も熱気も引くとこんなに心地いいんだね
でも結構じっとり汗かいちゃったし、フェアリー用の水着も用意したから折角だし、お風呂、借りちゃおう
【wiz】で判定
男女混合で色んな人とはいるお風呂、ちょっと怖いけど……えへへ、折角だしお話しできるといいなぁ……
物陰に隠れたり、隅っこで湯船に浸かったりして、もし仲間たちと交流できそうなら話しかけてみよう
シアの人見知りでもしかしたら上手く話せないかもだし、隠れながらかも、だけど……えへへ、仲間だし、仲良くできたらいいなぁ……
お話して湯船にゆっくり浸かればきっと心も温まってほぐれていくよね
花宵・稀星
女王のユーベルコードを模写したら、私まで体表から蜜が出てきてしまうとは……不覚なのです。
このままではベタベタで、近づいてくれる方もいなくなるので、しっかりと蜜を洗い落としておきましょう。
水着着用で入浴、とのことですが、もともと私は露出の高い衣装を着ているので、あまり変わらないかもしれませんね。
ミレナリィドールの球体関節も、元の服装の時点から見えているので、今更それが見えて驚く方もいないでしょう。
そもそも、この学園にはミレナリィドールは珍しいというほどの存在でもないでしょうし。
ゆっくり湯船につかり、今回冒険を共にした仲間と交流を深めるとするです。
※アドリブ台詞歓迎です。「です」多用しがちです。
ギルバート・グレイウルフ
いやぁ、熱いと思ったら急に寒くなったりして、おじさんの身体には堪える戦いだったわぁ……もうさっさと風呂に入って一杯引っ掛けたいねぇ。
ってところで、学園側からの粋な計らいよ!いいじゃねぇか、大浴場!
さらに混浴だってよ!!……流石に水着着用だよなぁ。分かってるって、ちょっと期待しただけだからよ……。
くぅーっ、熱い湯が身体に染み渡るぜ……いちちっ、傷にも沁みるわ、これ。
たまにはこんな風に広々した風呂もいいもんだ。
ぐふふ、水着着てるとはいえ眼福眼福。存分に楽しませてもらうぜ!
まぁ、あんまり見すぎてると女性陣から反撃が来そうだが……それは甘んじて受け入れるとしよう。良いものを見させてもらった対価だしな。
御影・雪乃
…さて…
(おもむろに簡単な無人販売所を設置し始める)
(木箱の上に牛乳のボトルを並べて監視カメラ代わりに召喚した雪うさぎをおいて、値札と牛乳を冷やす氷を置き、硬貨を投入できる小さい箱と、使用済みボトルを回収する棚を置く。)
(値段は銭湯の標準的な価格)
善意に任せた形式ですが、ボトルさえ回収できれば利率は高いですし。
どのくらい売れるか楽しみですね。
どこかやり遂げた表情で洗い場へ。
洗ったあとは湯船でぐったり。
暖まります…汗もかきましたし、お風呂は良いですね…。
水分補給なら、あちらで飲み物が売ってるみたいですよ。
などとシレッと売り込んだりする。
時々、桶で水を汲んで凍らせて販売所の氷を補充。
栖夜・鞠亜
気が付いたら女王倒されてた・・・さすが、猟兵たち。
もっと強くならなきゃ。
身体がべたべたする、から。まりあは綺麗にする。ごしごしわしゃわしゃ
でもちょっと、しみる。
こんこーんのお姉さんいる、かな? 見かけたらあの時のポーズ、真似してみせてみる。ポーズがちょっと違う? じゃあ、びしっとお手本お願い。そしたらまた真似て、みる。
コトト・スターチス
ふぃぃ~、とっても疲れました……
ゆーでぃーしーで言うところのスクール水着で、おふろをたんのーします!
あっ、プライベートなのでさすがに配信はしませんっ
できれば冒険でご一緒した方と、おふろの中で交流したいです!(WIZ・コミュ力)
最後の戦いではみなさんの活躍がすごかったので、そのことをいっぱい話したいと思います!
「あの時の○○お兄(姉)さんの攻撃、すごかったですねっ!
とってもかっこよかったですよ!」
もしぼくが褒められたりしたらうれしくて思わず抱きついちゃうかも?(相手が嫌がらなければ)
まだまだヒーラーの修行中ですが、大けがをした方がいなくてよかったですっ
次もみなさんを癒せるように、がんばるぞー!
ヴァリアクルス・プロディクト
やはり水着を用意しておいて正解でしたね……(自己正当化)
あっ、相変わらず女性用です。もし勘違いする人がいらしたら、平らな胸を見てもらえばわかる、はず……
あらためて、冷えた体を温めて、疲れと傷を癒やしましょう。もちろん、皆さんと一緒に。
ぼくはあまり前で戦うことができなかったので、お疲れの方の体を洗って差し上げるのもいいでしょう。さすがに、女性に……というのは問題がありそうなので、男性に、でしょうか。
御影雪乃さんがいらしたら……もしかしたら、冷気の件で気にしていらっしゃるかもしれません。
ちゃんと温泉に入って温まれば大丈夫、ってお伝えしてあげましょう。
(ほか、絡めそうなお相手との絡みは大歓迎です)
大きな浴槽に、広々とした洗い場。そして先ほどまで潜っていたダンジョンとは別種の、温かな湯気に包まれた大浴場では、戦いを終えた猟兵達が疲れと汚れを洗い流していた。
「この蜜、なかなか取れないです。凄くベタベタです」
洗い場で身体にこびりついている蜜を流すのに悪戦苦闘しながら、稀星は全身を洗い始める。水着という薄着ではあるが、普段から薄着に慣れているからか混浴でもあまり恥じらった様子はなく、関節の中に入りこんでしまっている蜜を洗い流すことに集中している。
「まりあも身体べたべた、する。お湯でさっぱり――しみる」
「大丈夫です?」
「ちょっとぴりって、した」
お湯を頭からかぶった鞠亜は、治りきっていない傷が痛かったのかビクリッと身体を震わせつつも、石鹸を泡立てながら身体に纏わせていく。
「あわあわ、ごしごし、わしゃわしゃ――しみる」
「傷に石鹸はしみますよね。私も関節に入った蜜がなかなか取れないです」
泡まみれになりながら、傷口に染みるたびにピクリピクリと跳ねていた鞠亜は、ふと何かに気づいたように突然立ち上がる。
「どうしたんです?」
「こんこーんのお姉さん、いた。こんこーん」
「え? あ、はい。こんこ~ん、こいんちゃんですよ」
ビシッ、とポーズを決めてみせる鞠亜に比べ、通りがかった狐韻はあまりにも素でとっさにポーズも取れなかった。キャラづくりの意識の低さが露呈した瞬間である。
鞠亜の眉が不満そうに歪む。
「ちゃんとポーズ、取る」
「えっ」
「ポーズ、取る」
「は、はいっ」
慌ててポーズを取ってみせる狐韻の姿に、鞠亜は満足そうに頷き返す。手首の角度や足の角度をじっくり確認をすると、自分もまたそのポーズをまねてポーズを取る。
「え、ええと、これいつまでやれば……」
「もうちょっと、だけ」
「……くしゅん。はい」
泡まみれで楽しそうにしている鞠亜の顔を見ると、そろそろお風呂に入りたいなー、とは言えない狐韻であった。
「さて、これでよし」
一仕事終えたような笑みを浮かべ、雪乃は一度頷く。
浴場の端になにやら販売所のようなものを設置した雪乃。それは冷えた牛乳を売るための簡易の無人販売所であった。
ご丁寧にもユーベルコードで召喚した雪うさぎを監視において、自身は優雅に身体を洗い湯船へ向かう。傍からはわかりにくいが、内心ご機嫌に鼻歌でも歌いそうな気分である。
「ああ、雪乃さん。お疲れさまでした」
すでに先客としてヴァリアクルスの姿が、湯船につかろうとしていた雪乃に声をかける。先ほどまでと同じく、相変わらず女性用の水着を着用したヴァリアクルスは、湯船の中で上気した肌を晒しながら笑みを浮かべている。
「あら、先ほどは冷気でご迷惑を」
「いえいえ、こうしてお湯で温まれば大丈夫ですから」
桶の中に入れていた手ぬぐいでヴァリアクルスは一度顔を拭う。そしてしみじみと、心からそう感じているというような声で呟くのだった。
「やはり水着を用意しておいて正解でしたね」
「……ええ、そうですね」
自己を正当化するヴァリアクルスの前に、雪乃は何も言うことが出来なかった。
女性物の水着を着る必要はなかったんじゃないのか、とか。
せめてトップスつける必要はなかったんじゃないのか、とか。
だがそれをつっこむのは――野暮というものだろう。
あんなにも満足そうにしているじゃないか。
だから雪乃の取った選択はこうだ。
「そうそう。水分補給なら、あちらで飲み物が売ってるみたいですよ」
話題の切り替えである。
商売人の顔を微かにのぞかせながら、雪乃は自分で設置した販売所を案内する。
「そういえば少し喉が渇きますね」
「あのー、お話し中すみません」
早速、とヴァリアクルスが湯船から出て無人販売所に行こうとしたその時であった。雪乃に向かって声をかけてくる人影――学園の職員らしき人物。
「あら、どうかしましたか?」
「あそこの販売所作ったの貴女ですよね。販売の許可取られました?」
「…………」
「困るんですよね。勝手に商売されちゃうと」
「…………」
「せめて一言でも言っていただければ」
「では、私はこれで!」
「あっ――!」
呼び止める間もなく、一目散に逃げだす雪乃。後ろを見ることもなく、脱衣所へと飛び込んでいくのだった。
ちゃんと許可は取ろうな!
「はー、元気な嬢ちゃんだな。……いちちっ」
走り去っていった雪乃の姿を、どこか感心したような様子で眺めていたギルバートが、熱い湯船で傷口が染みるのか小さく悲鳴をあげる。
「にしても、混浴だっつーから期待してきたもんだが、水着着用か……それに――」
周囲に悟られぬよう、慎重に視線を飛ばすギルバート。一般の学生も一部混ざってはいるものの大半は猟兵達であり、そしてその猟兵達はといえば。
「ひぅっ!? ゆ、揺らさないで……!」
「あははっ、高波ですよ~!」
大きめの木桶の中に張ったお湯の中に浸かるシアラと、その木桶を無邪気に揺らすコトト。とても無邪気で心和む光景ではあるのだが――。
「ちょいと、無邪気すぎてなぁ……」
「では、代わりにお背中でもお流しましょうか?」
「うおっ!? いつの間に」
幼女たちの戯れをみて気を抜いていたからか、いつの間にか背後にいた稀星からかけられた声に、ギルバートは驚き湯船に沈みかける。慌てて体勢を立て直すギルバートを、稀星は不思議そうに眺め。
「少女達に目を奪われている辺りです。どうでしょう?」
「げほっげほっ、人聞きの悪いことを言わんでくれ……。いやぁ、やってもらえるなら歓迎だがよ」
湯が口に入ってしまったのか、むせながらも洗い場の方へと向かおうとするギルバート。困惑を残しつつも、歓迎という言葉通りに欲求には素直であった。
「ああ、それでしたらぼくもお手伝いしましょう」
「お、おう。助かるぜ」
100%善意からのヴァリアクルスの言葉に、ギルバートは一瞬声を詰まらせながらも頷きを返す。
無粋なことは言いっこなしなのだ。
今は打ち上げなのだから。
「お、お願い。ゆ、揺れ……すごくてっ……」
「ふぃぃ~、しょうがないですねっ。それじゃあこれぐらいにしてあげますよっ」
風呂代わりの木桶を揺らす手を止めたコトトに、シアラはほっと安堵の息を吐きながら、ぐったりとへりに頭を乗せる。
UDCで言うスクール水着を身に纏ったコトトは、どこか興奮冷めやらぬといった様子で、木桶を腕の中に抱えシアラに話しかける。
「最後のシアラお姉さんの攻撃、すごかったですねっ! 花弁がびゅんびゅーんって!」
「えへへ……頑張った甲斐、あったかな」
照れてどこかに隠れたそうなシアラであったが、木桶の中には隠れる場所はなく、代わりにと大きな手ぬぐいをまるで布団のように広げて、目の下まですっぽりと隠れてしまう。
「コトトも、みんなを助けててすごかったよ」
「ふぇ? ぼく、すごかった?」
「うんうん。とってもすごかったよ!」
褒めてもらえるとは思っていなかったのか、きょとんとした表情を浮かべていたコトトであったが、だんだんと嬉しそうに顔が緩んでいき。
「やったー!」
「きゃああっ! ゆ……揺れが! コトト、揺れてる……!」
思わず木桶を抱きしめたままじたばたと喜びを表現するコトトに、またもや木桶が揺らされシアラはわりと切実に悲鳴を上げる。木桶のへりに必死にしがみついている様は、まるで沈没船に搭乗してしまった乗客のそれだ。
しかし喜びでいっぱいになっているコトトにはその声が届くことはなく、暫く揺らされ続けることになるのであった。
コトトが気づいたときには、シアラはぐったりとした様子で木桶の中で目をまわすことになったという。
こうして無事に逆侵攻から学園を救った猟兵達。各々はゆっくりとお風呂で疲れを癒し、次なる戦いに備えて元の世界へと帰っていったのだった。
大成功
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