7thKING WAR⑬〜Mimic(作者 無限宇宙人 カノー星人
5


#デビルキングワールド  #7thKING_WAR 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#デビルキングワールド
🔒
#7thKING_WAR


0



「す……すごいっ!!これがスーパーカオスドラゴン様のちからなのねっ!!」
 悪魔アリスは歓喜した。
 悪魔アリスはモノマネの悪魔であり、他者の姿や行動を模倣する能力をもった悪魔である。
 そして。
「このカオスパワーがあれば、わたしはなんでもできる……!なんでもなれる!!」
 この場所は、対峙した者の内心を読み取ることでその記憶に刻まれた強敵の姿を呼び覚ます力をオブリビオンへと与える領域なのだ。
「これなら勝てる……!そう、この場所ならわたしは無敵っ!見えるわ、輝く未来を抱きしめるわたしの姿が……!」
 即ち。
 元々が他者の模倣を得意とするモノマネの悪魔である彼女と、この領域は――たいへんに相性が良かったのである。
 それを理解したとき、悪魔アリスは歓喜し、そして奮起した。
「よーし!今なら何がきても負けないぞっ!フレフレわたし!がんばれわたし!猟兵でもなんでもどんとこーーーい!!」
 かくして、悪魔アリスは猟兵たちを待ち受ける。

「割と強敵ね、これ」
 ドローテア・ゴールドスミス(f35269)は状況の確認を済ませると、悩ましげに唸った。
「……はい、ごきげんよう。戦争案件よ。出動を急いで頂戴」
 グリモアベースへと集った猟兵たちの姿を見遣り、ドローテアは姿勢を正す。そうしてから、デビルキングワールドの広域図を開いた。
 ドローテアは、ポインターで図内の一点を示す。
「今かラみんなに向かってもらうのは『カオスの混沌領域』よ。ここにいるスーパーカオスドラゴン旗下の敵戦力を叩いてもらうワ」
 シンプルなビートダウンミッションね。ドローテアはそう付け加えてから猟兵たちへと視線を戻す。
「ただ……今回のエネミーはけっこうな強敵よ」
 ドローテアは双眸を細める。
「あなたたちに担当してもらう攻撃対象は、「モノマネの悪魔アリス』……そう、モノマネ。他人の動きを模倣することを得意とする悪魔ね」
 本来であれば、そこまで大した脅威ではない。
 しかして、今回の戦場においては少々話が異なるとドローテアは告げる。
「今回の戦場はスーパーカオスドラゴンの作り出した混沌領域……。ここはあなたたちの内心を読み取り、そこに存在する恐怖心や敗北感、そしてそれを与えた恐怖の象徴……つまり、あなたたち自身が過去に戦った強敵の姿が現れるの。敵は、それを憑装……自分の力として身につけて襲いかかってくるワ」
 たとえば。
 かつて戦ったオブリビオンフォーミュラや将兵格のオブリビオンの姿を思い起こせば、敵はその姿を纏って仕掛けてくる。
 そして――『モノマネの悪魔』である悪魔アリスは高い再現性をもってそれを模倣し、襲い掛かってくるのだ。その戦闘出力はこの領域に満ちるカオスパワーの供給によって担保されるため、実物にも引けを取らぬ脅威となるだろう。
「敵はあーぱーな雰囲気に見えるけド、この領域の特殊性と合わさってかなりの強敵になってるワ。油断せずいって頂戴」
 そこまで言ったところで、ドローテアは一度言葉を切る。
 ひと呼吸置いてから、ドローテアは再び口を開き始めた。
「とはいえ、実は対抗策もあるわ」
 ドローテアがぴっと指を立てる。
「敵が使ってくる『かつての強敵の姿』は、あなたたちの心の中の恐怖心や敗北感がその根源よ。だかラ、その気持ちを振り切り勇気を出して立ち向かうことができればそのパワーは弱体化するはずよ」
 だかラ、気合と根性で乗り越えてらっしゃい。
 ドローテアは最後をそのような精神論で締め括って、説明を終えた。
「それじゃ、話は以上よ。がんばっていってらっしゃーい」
 そして、ドローテアはグリモアを輝かす。
 かくして、猟兵たちは戦場へと赴くのであった。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 ひきつづきせんそうです。よろしくおねがいします。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「7thKING WAR」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 このシナリオにはプレイングボーナス要項があります。ご確認ください。
☆プレイングボーナス……かつての強敵に対する恐怖心や敗北感を描写し、乗り越える。
(※もとから恐怖心なんかないぜ!という場合は恐怖心の描写ができないため適用外となります。ご了承ください)
195




第1章 ボス戦 『モノマネの悪魔アリス』

POW ●ワンダーミミック
【モノマネ対象の姿】に変身する。変身の度に自身の【モノマネした対象の能力】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD ●クレイジーミミック
【モノマネのレパートリー】を解放し、戦場の敵全員の【エナジー】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ ●マッドネスミミック
自身が【モノマネして】いる間、レベルm半径内の対象全てに【モノマネ対象の能力】によるダメージか【モノマネ対象の能力】による治癒を与え続ける。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アリス・セカンドカラーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


エメラ・アーヴェスピア
あら?誰をコピーするのは猟兵によって変わるのね
それでも物まねをするのだから、確かに強敵だわ
…所で人型じゃない奴の場合どうするのかしら…?

私、色々と転戦しているから強敵との戦闘経験はそこそこ多いのだけれど…
今回判り易そうなのは[帝竜ガイオウガ]かしら
あの時は結局、私の魔導冷凍弾は途中で効力を失ってしまったから…
でももうあの時のようにはならないわ、しっかりと過去を生かして専用の兵器も制作済みよ
それじゃあ行きましょうか、『凍て付かすは我が極寒の巨人』投下!
全身に搭載した各種氷冷型魔導蒸気兵器で攻撃・防御を行い、正面から打倒するわ!
とはいえあの敵を何処までコピーできるのかしら?そこは気を付けないと、ね


「あーーーっはっはっはっは!よくきたわね、猟兵!このわたしに斃されるためにっ!」
 ――混沌の領域にて。
 エメラ・アーヴェスピア(f03904)の前に現れた悪魔アリスは、崩れかけた岩塊の上からエメラを見下ろし、そして高笑いした。
「さあ、あなたの恐怖心を見せてみなさい!その恐れを利用して、わたしはあなたを徹底的にうちほろぼーーーす!」
「……あら?誰をコピーするのかは相手によって変わるのね」
「そう!そのとーりっ!何故ならばこのわたしのモノマネレパートリーはまさに無限大!どんなのだってマネしてみせるわ!」
 エメラの呟く声を聞き逃すことなく、悪魔アリスは更なる高笑いとともに胸を張る。
「どんなのでも、とは大きく出たわね……だけど、それが本当なら確かに強敵だわ」
 エメラは油断なく警戒の姿勢をとりながら、岩塊の上で笑い続ける悪魔アリスの姿を仰ぎ見た。
「……所で、人型じゃない奴の場合はどうマネするのかしら……?」
「ふっふっふ……出たわね、当然の疑問!なら、その答えをいま見せてあげる!……こうするのよっ!!」
 エメラが疑問を呈したそのときである。
 高笑いを続ける悪魔アリスは、突然に天へと向けてその手を伸ばした。
 ――瞬間、そこに収束する混沌のエネルギー!即ち、カオスパワー!
「へえ……あなた、みかけによらずすごいのと戦ってるのね!」
 渦巻くカオスのエネルギーは瞬く間に収束・凝縮し、そしてひとつのカタチを作り上げてゆく!
「……あれは!」
 その姿こそ――!!
「がおおおおおおおおーーんっ!!なあんてねェッ!!」
 ――震える、山!
 生ける火山。炎獄の支配者。炎をもたらす者!
「……帝竜、ガイオウガ……!」
 見よ。地獄はここに在る。
「へえー!ガイオウガっていうのね、これ!すごいすごいっ!なーんてパワーなのかしらっ!!」
 かくてエメラの眼前に再びまみえしは、かつて群竜大陸に君臨せし帝竜が一角!帝竜ガイオウガ!
 ここに顕現せしその姿は、オリジナルのそれよりは幾分小さくなってこそいるものの――それでも、城ひとつ分はあろかという巨大な幻像であった。
「えいっ!」
 悪魔アリスはその幻像の中へと飛び込んだ。
 ――彼女は、現れたこのガイオウガの幻像の中へと入り込むことで、その姿をガワとして“着込んだ”のだ!
「なるほどね……。……たしかに、印象深い相手よ」
 エメラは内心でかつて感じた焦燥感を思い出す。
(あの時は結局、私の魔導冷凍弾は途中で効力を失ってしまったから……)
 ――かつてガイオウガを相手取って仲間とともに戦った際、エメラの用いた魔術弾頭は効果を発揮したものの、とどめを刺すまでには至れなかった。
 それだけ強大な敵だった、という記憶と、自分の力が及ばなかった、というふたつの心残りが、彼女の記憶の中に爪痕を刻んでいたのだ。
「あーっはははは!ならばっ!そのまま怯えて竦んで燃え尽きちゃえーーーっ!!」
 哄笑!
 周辺の空間から吸収したカオスパワーをエネルギー源としながら、悪魔アリスはユーベルコード出力を放った!――瞬間、広がる獄炎!ガイオウガの幻像が、その全身から激しく火を噴き出したのだ!本物に比すればごく小規模ではあったものの、それはまごうことなくガイオウガのもたらす地獄であった!
「ッ……なるほど、たしかにコピーの精度は高いようね!」
 エメラは展開した魔導蒸気盾で広がる熱量を遮りながら、盾の向こうに咆哮するガイオウガの幻像を仰ぐ。
「でも……もうあの時のようにはならないわ」
 しかし。
 ――エメラは、その口の端に挑戦的な笑みを浮かべてみせた。
「ふーんだ!恐れてるくせに強がっちゃってっ!このまま炭も残んないくらい焼き潰してあげるから、そのまま覚悟しなよっ!!」
 対し、アリスガイオウガは嘲笑うようにその顎門を開き、そこに膨大な熱を収束した。そこから砲撃めいて熱線を放射し、エメラを灼き尽くそうとしているのだ!
「それじゃあ、行きましょうか」
 だが――エメラは、僅かたりとも恐れる様子を見せることなく、そこに口を開いた地獄門へと立ち向かう。
「なによ、強がっちゃって!本当は恐れてるくせにっ!」
「そういう気持ちを乗り越えていけるのが、あなたたちオブリビオンと猟兵の違いよ」
 そして、エメラは叫ぶ。
「『凍て付かすは我が極寒の巨人』、投下!」
 その時――空間が、開いた!
「なに……っ!?」
 開いた空間の中から、何者かが飛び出してくる――それは鉄でできた巨人だ!エメラのユーベルコードによってこの戦域へと呼び寄せられた、【凍て付かすは我が極寒の巨人/ゴーレムタイプフリジット】である!
「パンチよ、フリジット!」
 エメラはすかさず声をあげた。響く声がゴーレムの頭脳へと届き、巨人は混沌の領域へと降り立つと同時に拳を打ち出す!
「ぎゃーーっ!?」
 命中――轟音ッ!!打突の衝撃にガイオウガの幻像が揺らぐ!
「続けてフロストマイト!叩き込みなさい!」
 矢継ぎ早!エメラは間髪入れずゴーレムへと続けて指示を下す!指令を受けたゴーレムはその腕部に装着した氷冷型魔導蒸気砲フロストマイトを至近距離から全力で撃ち放ち、アリスガイオウガへと激しく浴びせかけた!
「なん……ッ、なの!このパワー……!?こいつ、このガイオウガを恐れているんじゃ……!」
 押し寄せる零度の暴圧にアリスガイオウガは呻きながら後退する。
「まだよ。畳みかけて!」
 更なるエメラの指令のもと、ゴーレムは更に一歩踏み込んで追撃の凍結光線を浴びせかけた!
「ッ、ぐあ……!……ち、力が出ない……!!こ、こいつ……わたしを…………ガイオウガを、恐れていないっ!?」
 この地に顕現せし強敵の幻像は、それを想起した者のもつ恐怖心や敗北感を糧として存在しエネルギーを得ている。
 なればこそ――それを克服した心を前にしてしまったならば、幻像は存在の根源となるネガティブな情動の供給を止められてしまうことでそのパワーを落としてしまうのである!
「負けたと思うなら、その過去を生かして勝つ方法を考えるわ」
「ぎゃあああああーっ!!」
 そうして力の根源を失ったとあらば――そこにある帝竜の姿はもはやハリボテでしかなく、単なる『モノマネ』へと堕する。
 ならば、制するのは難しいことではない。
「これで終わりよ」
「くっ……おのれっ!」
 衝撃!――ゴーレムの放った拳がガイオウガの幻像を打ち払い、その姿をかき消す!
「こ、これで勝ったと思わないでよ!」
 間一髪、幻像の中から脱出を果たした悪魔アリスは捨て台詞と共に戦域から逃れてゆく。
「追うわよ」
 エメラは逃れる敵の姿を冷静に目で追い、そしてゴーレムと共に素早く追撃へと入った。
 ――かくして、混沌の領域における戦いは始まったのである。
成功 🔵🔵🔴

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

あまり戦闘経験のない私の強敵とは誰でしょう…?

はっ!あ、貴女は…小学校時代の先生!
そしてその机の上に乗った料理は…暗黒筑前煮!

思い出した!いつも私は暗黒筑前煮が食べられなくて
お昼休みまでずれこみ、先生の前で半分食べた後
給食室に持って行ってたっけ…

ふふ…つまりこの暗黒筑前煮を貴女の前で完食する
これが私の超えるべき試練というわけですね
(椅子に座り片手に箸をもう一方に暗黒筑前煮が入った椀を持つ)

確かに今すぐ離席したいくらいですが
私は魔王ダーティ!魔王は逃走なんてしません!
(暗黒筑前煮を一気に頬張る)


「私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
「まあ!これはこれはご丁寧なあいさつをどうもありがとう!!わたしはモノマネが得意な悪魔のアリスちゃんよ!!!」
 ――アイサツ!
 混沌の領域に於いて対峙した悪魔アリスとダーティ・ゲイズコレクター(f31927)は、お互いに正々堂々と名乗りを交わし合った。
「ふふ……このわたしに斃されにのこのことやってきたわね!さあ、今から血も凍る恐怖をあなたにプレゼントしてあげるわ!」
 そして、悪魔アリスは早速ダーティのもとへと迫る!交渉するその身体が、周辺の空間に漂うカオスパワーを集めて身にまとった。
(向こうは私たちの記憶を読み取って恐ろしい敵の姿を真似してくるそうですが……あまり戦闘経験のない私の強敵とは誰でしょう……?)
 ――一方、対するダーティは悩ましげに頭上へと疑問符を浮かべながら向かい来る敵の姿へと対峙する。
「オオーーーーーッホッホッホッホッホッ!!」
 そして――悪魔アリスはそこに新たな姿を結んだ!
「はっ!……あの笑い声……それに、あの姿は!」
 空気が熱を帯びる感覚に、ダーティの背中に冷たいものが走る。
 向かい来る悪魔アリスの姿は、既にカタチを得ていた――きつい顔立ち!ひっつめ髪にタイトスカートのスーツスタイル!逆三角形の鋭い眼鏡をかけた女悪魔の様相である!
「ンまァァ~~~~アア~~!!ダー!!ティー!!!ちゃんンンンン!!!お久しぶりざますねェェェ~~~!!!」
「あ、貴女は……魔デリーン先生!」
 ――魔デリーン先生!
 それは、ダーティがデビル小学校へ通っていた頃のデビル担任の先生である!
「オーッホホホ!!ダーティちゃんたら見ないうちにズイブン立派になったざますねぇ……」
 否。それは本物ではなく悪魔アリスのモノマネした偽物だ。しかして、その見た目・声・ダーティの記憶から再現された細かいしぐさの癖……いずれをとっても本物と寸分たがわぬそれであった!
「ま、魔デリーン先生……きょ、今日は一体……!」
 その威圧的な気迫にダーティはじりじりと後退る。
「そこに座るざますダーティ!!!」
「ひゃあっ!!」
 一喝する魔デリーン先生!ダーティは思わずびくんと身を震わす!
 ダーティはいつの間にか戦場に用意された小学校教室の机椅子セットへと促されて着席すると、静かに魔デリーン先生を見上げた。
「あの……」
「口答えはナシざます!!!さあ、さっさと箸をもつざますよ!!!」
「箸……!?」
 続けて魔デリーン先生はダーティへと箸を持つように強要する!そして――次の瞬間、ダーティは気づいたのである!
「はっ……こ、これは……!!」
「思い出したようざますね……これはあなたが大ぁぁ~~~~いッ!!嫌いな!!!いつもお残ししていたッ!!」
「あ……」
「「暗黒筑前煮!!」」
 魔デリーン先生とダーティの声が唱和した。
 暗黒筑前煮とは、デビルキングワールド南部のチークゼン地方に伝わるデビル郷土料理である。
 イーヴィル鶏肉や魔こんにゃく、悪ごぼうや魔レンコンなどの具材を悪魔しいたけの戻し汁や暗黒調理酒、デスみりんや殺糖などで煮込んだ品だ。デビルキングワールドではポピュラーなデビル料理のひとつである。
 しかして、デビル小学生時代のダーティはこれがどうしても苦手だったのだ。悪魔しいたけの風味も、デビル根菜の食感も、全体の味わいも、その全てが彼女のデビル味蕾にとって苦痛と感じていたのである。
「思い出した……!いつも私はこれが食べられなくてデビルお昼休みまでずれこみ……先生の前で半分食べた後、デビル給食室に持って行ってたっけ……」
「オーッホホホホ!!思い出したようざますねェ!!」
 ぽつりぽつりとつぶやきながらかつての記憶を思い起こすダーティを見下ろしながら魔デリーン先生は嘲笑った。
「さあ!!デビル子供時代に心の奥深くに刻まれたトラウマは相当に根深いざますよォ~~~~!!!これに勝てるワケがないざますねェェェ~~~!!!!」
 そして――悪魔アリスは勝ち誇る!
 ――――しかし!
「ふふ……」
 勝利を確信した悪魔アリスを前にしながら、しかして――ダーティは、笑った。
「なに……?何を笑っているざます!」
「いえ……わかりましたよ。……つまり、この暗黒筑前煮を貴女の前で完食する……。これが私の超えるべき試練というわけですね!」
 顔を上げたダーティは、十分に気合を込めた表情でぎゅっと拳を握った!
「なに……!?」
 これに驚いたのは魔デリーン先生――悪魔アリスの方である!間違いなく、たしかに弱点を突いたはずだというのに!!
「馬鹿な!!あなたはこの暗黒筑前煮が深いトラウマになっているはずざます!!」
「ええ、その通りです!!確かに今すぐ離席したいくらいですが……私は魔王ダーティ!」
 ダーティは手の震えを気合で止める。そして、暗黒筑前煮のはいったお椀を手に取った!
「魔王は逃走なんてしません!」
 そして――立ち向かう!!
 搾り出した勇気で気合の叫びと共にダーティは暗黒筑前煮へと箸を伸ばした!かきこむように一気に暗黒筑前煮を頬張ると、そのままむしゃむしゃと咀嚼して――食べる!!
「そんな……は、話が違うざますっ!!」
「魔デリーン先生は厳しかったけど悪くて立派な先生でしたっ!あなたのモノマネは見事でしたが……本物には及びませんっ!」
 ダーティは空にした椀を机に置いて手を合わせると、そのままダーティガントレットを構えて拳を握る!
「それでは……ごちそうさまでしたっ!!」
「ギエーーーーーッ!!!」
 一撃ッ!!
 過去のトラウマを乗り越えたダーティのパンチはまさに無敵の拳であった!必殺の一撃を叩き込まれ、悪魔アリスが悲鳴をあげながら吹っ飛んでゆく!
「……今度先生にお手紙書きますか」
 お星さまめいて飛んでいった悪魔アリスを見送って、ダーティは静かに呟いたのであった。
成功 🔵🔵🔴

灘原・世理衣
東のラスボスさんはオブリビオンではないけれど、直接ガチデビルと戦わせるのは危険だから戦力を減らして退場させたいね
『その為なら、強化されたオブリビオンが相手でも、ハニーと共に頑張る』

私とダーリンの両方がいてこそだから、片方しかモノマネできないアリスは脅威じゃないとして……
『憑装されたのは、ムカデ王。一度勝てたけど、二度三度も勝てるかと言われれば、怖い』
しかも今回は恐らく他の猟兵の助けは無いでしょうね

『でも、世界の危機を私達だけで何とかするとしても、ハニーと一緒ならやってみせる』
私も怖いけど、ダーリンと一緒ならどこまでも!
敵の攻撃を限界まで引き付けて、相打ち覚悟で【夫婦充実】の込めた一撃を放つ!


「これは……」
 崩壊を続ける混沌の領域に足を踏み入れ、灘原・世理衣(f35525)はそこに充ちるカオスパワーに眉を顰める。
『かなり強力な力を感じる。ここは東のラスボスの支配エリアらしいけど』
 世理衣のかたわらを歩く瀬利亥――世理衣の文字通り片割れであり、伴侶である自分自身――は、警戒するようにその視線を周囲へと向けた。
「東のラスボスさん……スーパーカオスドラゴンさん、だったわね」
『ああ』
 世理衣は情報を思い返す。デビルキングワールドの王を目指すラスボスの片割れ、混沌をもたらす竜のことを。
「あの人が王になってもオブリビオンではないから問題はないけれど……直接ガチデビルと戦わせるのは危険だから戦力を減らして退場させたいね」
『そうだね。この世界も有力者が消えるのは痛手だろう』
「ええ。その通りよ、ダーリン。善良なラスボスを、オブリビオンと戦わせたりなんかしない」
『うん。猟兵ではない人を危険に晒すわけにはいかないからね。その為なら……、どれだけ強化されたオブリビオンが相手でも、ハニーと共に頑張る』
「嬉しいわ、ダーリン!一緒に頑張りましょう!」
 世理衣は頼もしく拳を握る瀬利亥の姿に惚れ直しながら黄色い声をあげ、そしてぎゅっと情熱的にハグした。

「……あのー。もういい?」
 悪魔アリスはその様子にげんなりしながら二人へと声をかける。
「ええ、いつでもきなさい!」
『私たちは決して負けない!』
 対し、強い絆で結ばれた世理衣と瀬利亥はともに手を取り合いながら悪魔アリスへと対峙した。
「うるせーーーっ!」
 これに、悪魔アリスはキレた。
「人前でひとめもはばからずイチャイチャして見せつけやがってーっ!あーもうムカついたっ!わたしのちからでブッとばーーーす!!」
 激昂とともに叫んだその声に呼応するように、空間に満ちたカオスパワーは悪魔アリスのもとへと収束してゆく!
「混沌のエネルギーを……集めてる!」
「あーっはっはっはっ!!さあ、見せてやるわよ!あなたたちのいーーーっちばん恐れてるものをねェッ!」
 そして――凝縮されたカオスの力は、やがてそこにひとつの姿を作り出す!
『あれは……ムカデ王!』
「その眼をしかと見開き仰ぎ見よ。此れなるは我が尾を成す天覇地征の剣也」
「と……あの人は誰!?」
 二人の前に現れ立ちはだかったのは――かつて銀誓館学園の能力者たちを幾度となく苦しめた極めて強力なゴースト・『ムカデ王』!
 そして――その主たる妖狐七星将・廉貞である!
 妖狐七星将・廉貞は在りし日の銀誓館学園と幾度となく刃を交え、そして最終的に和解に至った学園外勢力・大陸妖狐の集団の将軍の一人だ。
 それがどういうわけかオブリビオンとしてのムカデ王にはセットでついてくるので、悪魔アリスはこれをキャラ立ての機会として捉え、せっかくなのでそっちのモノマネも披露することにしたのである。
 尚、銀誓館学園勢力として死と隣り合わせの青春を送ったわけではない世理衣たちにとっては、本当に知らない人であった。
「猛虎が如く地を馳せ、そして一切を塵芥とせよ」
 しかして一方で悪魔アリスはそんなこと知るものかとばかりにノリノリで廉貞ごっこに興じながら幻像として顕現したムカデ王へと指令を下し、世理衣たちへと攻勢を仕掛けてゆく!突進!大地を砕きながら怒涛めいて進撃するムカデ王が、二人へと迫った!
「ダーリン!」
『躱すよ、ハニー』
 だが、二人は素早く身を翻し突進の軌道から逃れる!間一髪!二人の横で大地を砕きながらムカデ王の幻像が駆け抜けた!
「逃しはせん」
 廉貞アリスはムカデ王の頭を叩いて進行方向を指示!吼えるムカデが反転し、再び世理衣たちを狙う!
「モノマネだとはわかってるけど……まるで本物ね」
『ああ……。一度は私達で勝てた相手だが……。一度勝てたけど、二度三度も勝てるかと言われれば、たしかに恐怖はある』
 二人は顔を見合わせた。
「しかも今回は……他の猟兵の助けは無いでしょうね」
『ああ、私達だけで勝たないとだ』
「汝らに最早勝算なし。我が前に立ったその不幸を呪い、百足王の牙の露と消えよ」
 そして――廉貞アリスの駆るムカデ王は、再び夫婦へと襲い掛かった。
 しかし。
『でも――大丈夫だ。世界の危機を私達だけで何とかするとしても、ハニーと一緒ならやってみせる』
「そうね……私も怖いけど、ダーリンと一緒ならどこまでも!」
 ムカデ王の牙が迫ったそのとき、二人はそっと寄り添い合い、手をつなぎ合った。
 次の瞬間である。
「いきましょう、ダーリン!」
『勿論だよ、ハニー』
 二人の間に、強烈なユーベルコード出力が燃え上がった。――【夫婦充実/ラブラブ・エナジーチャージ】!それは、その名に違うことなく、二人の愛と絆を力に変えるユーベルコードのカタチである!
「はあっ!!」
 そして――世理衣と瀬利亥は、同時にその拳を打ち放ったのである!
「!?」
 廉貞アリスは困惑の声をあげた。
 ――その戦闘出力の根源となっていた敵の恐怖心は、既に消滅している。恐れの心は互いに相手を想い合う世理衣と瀬利亥の愛にかき消されたのだ!
 そうなってしまえば、エネルギー源を失った恐怖の幻像はその力を失ってしまう。
 であれば――ユーベルコード出力を燃やす二人と、対して弱体化を始めたムカデ王の幻像!このぶつかり合いの結果がどうなるかは、火を見るよりも明らかであった!
『おおおっ!!』
「ば……ばかなーーーーーーっ!!」
 ――爆発!
 愛の力のこもった拳から放たれた強烈なユーベルコードは、ムカデ王の幻像を見事に打ち砕き、そこに乗じていた悪魔アリスをもまた吹き飛ばしたのである!
「お、おぼえてなさいよーーーーっ!!!」
 吹っ飛ぶ悪魔アリスは捨て台詞を残して後退!半泣きの顔で戦域から後退してゆく!
「勝った……勝てたわ、ダーリン!」
『ああ……私たちの勝利だ』
 悪魔アリスの逃れてゆく姿を見送り、世理衣と瀬利亥は手を繋いだままに見つめ合い、そして熱く抱擁を交わし合った。
 ――これが、愛の勝利である!

 かくして猟兵たちの進撃は続く!
成功 🔵🔵🔴

リアナ・トラヴェリア
…ウィンドゼファー。
この速度はあの時を思い出すね。
でも私はあの時よりも進んでる、速さもある、同じくらいの速さの敵とも戦った事がある。

いける、はず。心の問題じゃない、力の問題だから。
飛ぶ、追う、翻る。
…違う、相手はウィンドゼファーじゃない。あの人が持っていた速さに求めてた渇望がない。……なら、全く怖くない。
恐れることはない、あの時とは何もかもが違うんだ。これまでの戦いを全部武器にするんだ。
そうすれば速さで勝てる。

貫け……!
私はモノマネするだけの貴女と、それに真似されるだけの影に押されてるわけにはいかないんだ!
…貴女の強さは貴女以外に依存していた。この土壇場では私達には勝てないよ。


「混沌の領域……スーパーカオスドラゴンの支配エリア、だね」
 リアナ・トラヴェリア(f04463)はひび割れた大地に立ち、警戒とともに周囲へと視線を巡らせる。
 その胸中に抱えるのは、警戒心と僅かな緊張。
 この戦場は、猟兵の記憶に刻まれた恐怖心と敗北感を呼び起こす。
 リアナはそれを聞いたとき、ある一人の強敵との戦いを思い出した。
 その名は。

「久しいですね、竜の子」
 瞬間。
 風が、吹く。
「!」
 刹那、リアナの視界の端を過ったのは鮮血めいて輝く赤の色彩!
「はッ!」
 ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!獰猛に唸るエンジン音とともにリアナを襲ったのは秒間1000回転で廻るギロチンめいた鋭利なウィールブレードだ!
「くッ……!!」
 リアナは咄嗟に振り上げた黒鱗剣で間一髪に刃を弾く。二人は反動で互いに後退し、そしてあらためて互いの姿へと対峙した。
「……ウインドゼファー」
「ウインドゼファー……そう!私はウインドゼファーです!」
 赤く光るヘルメット状の頭部。風にはためく白いコート。手にした刃が音を鳴らして回転する。
 ――スピード怪人、ウインドゼファー。
 かつてキマイラフューチャーにおける大規模な戦いの際に姿を見せた将兵格のオブリビオンの一人だ。
 全てを抜き去る神速のスピードと、風を繰る能力によって多くの猟兵たちに苦戦を強いた。
 その凄まじい戦闘出力は、当時一度ならず刃を交えたリアナの心の底へと強烈な存在感を残していたのだ。
「見えますよ……あなたの心の中の恐れが!怯えていますね。この私の姿に!」
 ウインドゼファーは――否、その姿を借りた悪魔アリスは、リアナを嘲笑った。
「あなたは再び敗れるのです。この“私”の――スピードに!」
 ヴォン、ッ!
 次の瞬間、ウインドゼファーは加速する。唸る気筒の叫び声。高鳴るエンジンの鼓動。混沌の領域に鳴り響く駆動音とともに、ウインドゼファーは再びリアナへと襲い掛かった!
「っ……、たしかに、速い」
 再接近の瞬間、閃く回転ウィールブレード!しかし、リアナはその刃の軌道を視界に捉え、そして躱してみせた!
「なにッ!?」
「この速度……たしかに、本物のウインドゼファーとおんなじだ」
 ――あの時を思い出すね。
 キマイラフューチャー中心部での戦いを思い返しながら、リアナは胸中で小さく呟いた。
「でも!」
「ちいッ!」
 反撃!閃く太刀筋!リアナの薙いだ黒鱗剣がウインドゼファーへと迫る!ウインドゼファーは咄嗟に後退し、剣筋を躱した。
「あなた……“私”を恐れているんじゃないんですか!」
「恐い、かもね。ウインドゼファー……あの人は、本当に強かった」
 二人は幾許かの距離を置いて再び対峙し、じりじりと間合いをはかる。
「でも……私はあの時よりも進んでる。速さもある。同じくらいの速さの敵とも戦った事がある」
「思い上がるなッ!!あなたは!“私”に!勝てなかったんでしょうが、ァッ!!」
 瞬間――ウインドゼファーが大地を蹴り、そして風を纏いながら宙へと舞った。
 ヴォン、ッ!爆ぜるようなエンジン音!続けざまに吹き荒れる暴風!空中のウインドゼファーは幾何学的な軌道を描きながら宙を舞い、そしてリアナの姿へと狙いを定める!
「――」
 だが、次の瞬間にはリアナもまた空へと向けて翼を開いていた。
 その身を包むユーベルコード出力がリアナの身体を押し込み、広げた黒竜の翼で風を切ってリアナは空を駆け抜ける。
「それで追いつけると思わないことですよ――“私”の方が、速いッ!!」
 轟音。吼える鋼の音とともにウインドゼファーは反転軌道をとり、リアナめがけて再加速していた。
「あなたは――“私”に、勝てないッ!!」
 音速にも届く加速度で、流星めいてウインドゼファーは空を流れた。
 ――しかし。
「違う」
 それを迎え撃つリアナの双眸には、僅かたりとも恐れはない。
「あなたはウィンドゼファーじゃない。あの人が持っていた、速さに求めてた渇望がない」
 リアナの翼が翻る。風に乗り、リアナは空を翔けた。
「……なら、全く怖くない」
「なッ、めるなアッ!!」
 黒い翼と白い風が、デビルキングワールドの空を奔った。とうに音速など置き去りにした超常の速度で、二人はぶつかり合う。黒鱗剣とウィールブレードが火花を散らしながら幾度となく交錯した。
(恐れることはない)
 吹き抜けてゆく空気の悲鳴が耳をつんざく中で、しかしてリアナは冷静であった。――穏やかですらあった。
(あの時とは何もかもが違うんだ。これまでの戦いを全部武器にするんだ)
「なぜ“私”を恐れない――ッ!!なんで恐れないのよッ!!」
 風の音に、絶叫が混じった。
(そうすれば――速さで勝てる)
 その一方で――リアナは、静かに双眸を開く。
「はああッ!」
 瞬間。リアナは更に加速した。そしてすぐさまに反転し、ウインドゼファーの進路を塞ぐようにその翼を広げた。
 そして――リアナはもう一度、空を疾る。
「貫け……!」
「――!!」
 丁度、真正面から衝突する軌道であった。
 互いに最大出力で加速しながら、ウインドゼファーとリアナはぶつかり合う。
「く、う、お……!!」
 一瞬の拮抗――同時に、ウインドゼファー――悪魔アリスが、苦悶するように呻いた。
「どうして……どうして勝てないのッ!!」
「当たり前だよ!」
 翼が、翻る。
「私は……モノマネするだけの貴女と、真似されるだけの影なんかに負けるわけにはいかないんだ!」
 ――そうして。
 勝負を制したのは、リアナであった。
「な……なんでえええええええええええっ!!」
 衝撃に貫かれ、弾けるように消える幻像!ウインドゼファーのガワを借りて真似ることで得ていた飛行能力を失って、悪魔アリスは悲鳴をあげながら混沌の領域へと落ちていく。
「……貴女の強さは、貴女以外に依存していた」
 リアナはそれを見送ってから、翼を閉じてゆっくりと地面へ降り立った。
「この土壇場では私達には勝てないよ」
 借り物の力では、多くの戦いを乗り越え成長を続けてきた猟兵たちに勝つことなどできようはずもない。
 力強く大地を踏みしめるリアナの雄姿は、そのことを何よりも雄弁に物語っていた。
成功 🔵🔵🔴

マリア・ルート
私の恐怖、ねぇ。
…帝竜が1体、プラチナかしら。
だってアイツすっごく硬いし。一撃系じゃない私にとって防御固めてくる系は厄介この上ないのよ。

…ただ、ね。今は違う。
あんたのその硬い防御を崩す手段がある!
【指定UC】発動!あんたの硬い金属、集めてきたレアメタルーーそれら全ては、私の武器の素材となる!
防御を無視した変換攻撃、あの時にはなかった力!
悪いわね、あんたがレアメタル作れば作るほど私が強くなるわよ?
ふふ、そんな可愛い見た目や素振りで油断させてもダメ…さぁ、あんたの力であんたが滅びる番よ!

…本当はモノマネじゃなくて本人にやりたかったけど。
ま、それはしょうがない。時は戻らないからね。


「私の恐怖、ねぇ」
「そーよ!!見せてごらんなさい、あなたの恐れをっ!!」
 続けて混沌の領域へと足を踏み入れたのは、マリア・ルート(f15057)であった。
「さあ!早く思い浮かべて!」
 そこでマリアに対峙する悪魔アリスは、大声で叫びながらマリアを急かす。
「……帝竜が1体、プラチナかしら」
「よーし!それね!わかったわ!」
 意気揚々!マリアがそれを口にした瞬間、悪魔アリスは混沌の領域に渦巻くカオスのパワーをその身に取り込み、そしてマリアの精神から読み取った恐れのカタチを纏う!
「――なるほど、この姿ですね!!」
 そして――ここにその姿を現したのは、群竜大陸に君臨せし帝竜が一角!鋼を纏いし帝竜プラチナ!その写し身である!
「出たわね……覚悟はしてたけど!」
 マリアはその威容を仰ぎ見て、短く息を吐き出した。
 それは白金の塊。
 レアメタルによってその全身を固めた、まさに生きる城塞である。
「……とんでもない硬さ。見るからに凄まじい防御力……ってところね」
 マリアのこめかみにじわを汗が滲む。
 ――こうした防御を固めてくるタイプの敵に対しては、高威力の一撃をもって装甲を貫くのが多くの猟兵の解決方法だと言えるだろう。
 しかして、マリアはそうではない。一撃を叩き込むタイプのユーベルコードを、マリアは得意としていない。
(……厄介この上ないわね)
 仰ぎ見た威容に、マリアは緊張感を高めた。
「あーっはははは!このプラチナの力なら……まさッ!もー無敵中の無敵よっ!!」
 一方。
 帝竜の姿と力を得た悪魔アリスは、交渉と共に纏った帝竜プラチナの幻像躯体を繰る。
 上体をもたげた帝竜プラチナは、咆哮しながらその能力を発揮した。――周囲一帯の空間が、様変わりを始めてゆく!これこそが帝竜プラチナの持つちから、レアメタル化の能力である!
「あなたには――私を砕くことは絶対にできなーーーーいっ!!」
 そして、帝竜プラチナはマリアへと向けて進撃した。
「ジルコニア・プラス・バナジウム!」
 更に――モノマネ再現された帝竜プラチナの力が光る!プラチナはその身体を構成する装甲の一部を身体から剥離させ、鋭利なブレードとして放ったのだ!
「おっ……と!ここまで再現できるの、あいつ!?」
 マリアは咄嗟に地面を蹴って跳んだ。横っ飛びの軌道で絶対超硬剣を躱し、態勢を立て直しながら敵の姿を視界へと捉えなおす。
「そして!外殻補充っ!」
 帝竜プラチナの腕がレアメタル化領域の地面を叩いた。強烈な一撃に砕かれた破片が宙を舞う――しかして次の瞬間、砕けた破片はプラチナの躯体へと吸い込まれるように張り付き、装甲を再構築したのだ!
「見るがいい、この最高・最強の防御力っ!まさにわたしは城塞!あなたごときでは絶対に突破できませ~~ん!!怯えて死んじゃえ!!」
 そして、悪魔アリスが哄笑する。――既に彼女は勝利を確信していた。
 帝竜プラチナは更に絶対超硬剣を撃ち出し、攻勢を強めてゆく。
「たしかに脅威ではある……。以前の私だったなら、太刀打ちできないくらいの強敵だった」
 暴風めいて吹き荒れる刃の嵐の中、辛うじて致命傷を躱しながらマリアは視線を上げた。
「……ただ、ね。今は違う……あんたのその硬い防御を崩す手段がある!」
 そして――マリアは、敵の攻勢を掻い潜りながらその身の内にユーベルコード出力を高めた。
「ふーんだ……ざれごとーっ!!」
 しかしてプラチナアリスはお構いなしにその能力を強めてゆき、周囲一帯の空間のレアメタル化をさらに強めながらマリアへと更に強烈な攻撃を仕掛けるべく迫ってゆく!
「レアメタル化……金属を作り出してゆく能力!今の私なら、対抗できるのよ!」
「なあんですってえーーッ!!」
 瞬間――ユーベルコード出力が、拮抗した。
 ユーベルコード戦闘が意志力の戦いであると解釈されることは少なくない。相反する現象を生じさせるふたつのユーベルコードが展開された場合、その結果を導き出すのは――より意志力の強い方だ。
「できるものかっ!私のこのレアメタルをあやつる最強のパワーが……!」
「いいえ――!あんたの硬い金属、集めてきたレアメタル……それら全ては、私の武器の素材となるのよ!」
 二人の意志力がここでぶつかり合い、ユーベルコード出力が火花を散らした。
 そうして――数秒のせめぎ合いを、置いてから。
「打ち砕きなさい……っ!【破壊と創造の輪廻転生】っ!!」
「な……っ!?」
 ユーベルコードの力が、爆ぜた。
 マリアの意志力を乗せたユーベルコードの力は、帝竜プラチナの能力によって展開されたレアメタル化空間へと広がり、そして周囲一帯の空間へと満ちたのである。
 次の瞬間、帝竜プラチナによって作られたレアメタル化の領域も、プラチナ自身が纏うレアメタル装甲も。その全てがマリアのユーベルコードに飲み込まれ、その力を大きく弱体化した。
「ど、どういうこと――これはっ!?」
 そこに曝け出されたのは、帝竜プラチナの真体であるか弱い少女の姿である。
「あんたのつくったレアメタル……ぜんぶ、頂いたわ!」
 対し。
 それに対峙するマリアの背後には、地面やプラチナ自身の装甲から引っぺがされたレアメタル金属がぎらぎらと輝きながら刃のかたちを成していた。
「ばかな……!?ま、まだ……まだよ!も一度、レアメタル化を――」
「――悪いわね、あんたがそのレアメタルってやつを作れば作るほど……私が強くなるわよ?」
 マリアは挑発的に笑んでみせた。
 対抗を試みるプラチナアリスは叫びながら再び周囲空間のレアメタル化を始めるが、それもまたマリアのユーベルコードに囚われてその手からは失われてしまう。
「そ……そんなぁ!?」
 プラチナアリスは悲鳴をあげた。
「ふふ、そんな可愛い見た目や素振りで油断させてもダメ……さぁ、あんたの力であんたが滅びる番よ!」
 しかしてマリアは一切の容赦と油断をすることなく、レアメタルによって作り上げた武具の群れを振りかざしながらプラチナアリスの姿を睨む。
 ――そして。
「いっけええっ!」
「ぎゃおおおおおおおんっ!!」
 爆砕、ッ!!マリアの振り下ろした無数の武具が、大地を砕きながらプラチナアリスを叩いたのだ!
「お、おぼえてらっしゃーーーーい!!!」
 帝竜プラチナの幻像というガワを失いながら、衝撃に吹き飛んだ悪魔アリスが捨て台詞を残して飛んでいった。
「……ま、こんなものかしらね。本当はモノマネじゃなくて本人にやりたかったけど」
 吹っ飛んだ勢いで遂に視界から消えた悪魔アリスを見送って、マリアは頷いた。
「ま、それはしょうがない。時は戻らないからね」
 マリアは踵を返し、そして戦場を後にする。
 ――間もなく、戦いは次の局面へと移ってゆくはずだ。ここでもたもたしている時間はない。
 デビルキングワールドにおける戦いは、ここからこそが正念場となるのである!
成功 🔵🔵🔴

エダ・サルファー
ちょうどこの間敗北したね。
パドドンが作ってくれた16,000,000℃の油で揚げられた魔串カツ……
あのときは加護の力で完成品を食べずに攻略したけど、それって結局「試合に勝って勝負に負けた」ようなもんじゃん。
やっぱり完成品を食べなきゃ本当に勝ったことにならない!

……でもやっぱりこの温度は無理だよねぇ……
うん、パドドンに素直に聞こう。
「この温度ではとても食べられないので、冷めるまで待ってから食べても大丈夫?」
って。
パドドンはきっと話せばわかってくれるはず。
わかってくれないなら……拳でわかり合うしかないな!
どうかわかって欲しい、種族間の性質の違いを!
そしてこの魔串カツは冷えても美味しいってことを!


「ぜはーっ、ぜはーっ……」
 悪魔アリスはぼろぼろの恰好で肩を上下させながら荒く息を吐き出す。
 ――猟兵たちとの交戦を繰り返し、彼女は既に体力の限界に近付きつつあったのである。
「だ、だけど次こそは……次こそは勝ーつ!!」
 しかして、掲げた拳には気合十分!
「さあ、あなたの恐怖と敗北の記憶をみせてもらうわよっ!!!」
 そうして、悪魔アリスはこの地へと足を踏み入れた猟兵の姿を睨みつけ、挑戦状を叩きつけた!
「敗北、敗北かあ……そうだ、あったあった。ちょうどこの間敗北したね」
 意気込む悪魔アリスとはやや対照的に、泰然とした態度でエダ・サルファー(f05398)が頷く。
「あれは、そう……パドドンが作ってくれた16,000,000℃の油で揚げられた魔串カツ……」
「魔串カツ!?」
 しみじみと敗北の記憶を思い起こすエダに、悪魔アリスは困惑した。
「そう、魔串カツ」
 魔串カツ!それはつい先日のこと、悪魔料理会においてエダが対峙したデビル料理の一品だ!火属性の悪魔基準での熱々の料理に、猟兵たちは苦戦を強いられたのである。
「ふーん……なるほどね……いいわ、わかった!それなら味あわせてあげる!文字通りに、敗北の味をね!」
 混沌の領域に充ちる力によってエダの記憶を読み取った悪魔アリスは、その魔串カツの調理者である悪魔料理人・双頭火炎鳥の悪魔パドドンの姿をカオスパワーによって生成し、それをガワとして被る!
「パギーッ!パギーッ!」
「うわっ本当に出てきた!……よし、なら今度こそ正々堂々と勝負だよ!」
 パドドンの姿が像を結んだのと同時に、混沌の領域にはキッチンと食事用のテーブルセットがカオスパワーによって生成された。エダは席に着き、パドドンアリスは咆哮しながらキッチンへと立つ。
「あのときは加護の力で完成品を食べずに攻略したけど、それって結局「試合に勝って勝負に負けた」ようなもんだからね……やっぱり完成品を食べなきゃ本当に勝ったことにならない!」
 エダは席からキッチンへと真っ直ぐに眼差しを向け、そして燃える闘志を露わにする!
「パギーッ!パギーッ!!」
 その挑戦に受けて立つと言わんばかりに、パドドンアリスはキッチンでさっそく調理工程を開始した。

「パギーッ!パギーッ!!」
 吼えるパドドンアリス!双頭火炎鳥の悪魔パドドンの力を得たパドドンアリスは、口から火を吐きながら調理工程を進めてゆく!
「パギーッ!」
 太陽と同等の火力を出すことができると言われる双頭火炎鳥の悪魔はその力によって16,000,000℃にも達する熱を操ることができるのである。本来であれば食材も滅却されてしまう温度であるが、調理工程の中で料理人が魔ごころをこめることで食材に耐性を与え、炎属性の悪魔基準での熱々温度に耐えられるようにしているのである。
「パギーッ!」
 そして――その一皿は完成の時を迎える!
「パギーッ!パギーッ!!」
 こうしてできあがった魔串カツの一皿を、パドドンアリスはエダの座す席へと運び届けた。
「むっ……」
 魔串カツが近づいた瞬間、エダの全身はぶわと汗をにじませた。――当然である。如何に一般の人類より強靭な肉体を持つドワーフ族でしかも猟兵であっても、これほどの温度の物体は平然に触れられるものではない。
「……でもやっぱりこの温度は無理だよねぇ……」
 エダはぼそりと呟いた。
 そして、僅かな逡巡を置いて、後。
「……うん、素直に聞こう」
「パギッ?」
 何事かを決意したエダは、席から顔を上げてパドドンアリスへと訊ねる。
「この温度ではとても食べられないので、冷めるまで待ってから食べても大丈夫?」
「……」
 その問いに対し、パドドンアリスは僅かに沈黙した。
(きっと話せばわかってくれるはず……)
 祈るような気持ちで、エダはその沈黙が途切れるのを待つ。
 ――だが、しかし!
「パギーッ!パギーッ!!」
 NGサイン!!パドドンアリスは両腕をバツの字に交差させ、エダの問いに対して明らかな難色を示した!
「パギーッ!」
 更にパドドンアリスは卓上の皿をひったくり、皿から掴んだ魔串カツの一本を掴んでエダに押し付けようとする!
「くっ……わかってくれないか……!」
 突きつけられた魔串カツを前に、エダは沈痛な面持ちで歯噛みした。
「わかってくれないなら……」
「パギーッ!!」
 睨み合う両者。張り詰める緊張感――!そして!
「拳でわかり合うしかないな!」
 ――ここでエダの必殺が飛び出した!秘技・聖拳突き!聖なる加護を受けた重く強烈な拳の一撃である!!
「パギーッ!!!!」
 直撃!突然のパンチに対応できなかったパドドンアリスは正面から聖拳突きをもろに喰らって衝撃に吹っ飛び、地面の上を3回バウンドしてから転げ回った!
「パギーッ!」
 だが、パドドンアリスはしぶとく立ち上がる!その手に悪魔基準での熱々の魔串カツを握りしめたまま、再びエダに迫ったのだ!
「どうかわかって欲しい、種族間の性質の違いを!」
「パギーッ!?」
 しかして迎撃!二撃目の聖拳突きがパドドンアリスを貫く!
「そしてこの魔串カツは冷えても美味しいってことを!」
「パギーッ!!!」
 更にとどめの一撃!!三度目の必殺拳に射抜かれたパドドンアリスは再び地面の上を転げまわり、そして最終的にパドドンの姿を失って元の姿である悪魔アリスへと戻ったのである!
「け、結局……克服できてないじゃない……の……ッ!!」
 全身を痙攣させた悪魔アリスは、辞世の句めいて最後にそれだけを言い残し、爆発四散した。
「……」
 エダは悪魔アリスの指摘を静かに聞き流し、そして滅び去った彼女のために短く祈りをささげた。
「……うん。ちゃんと美味しい」
 尚、残った魔串カツは人類基準での熱々にまで冷めたところでエダがおいしく完食したのだという。

 ――かくして、この地における戦いは終結の時を迎えたのである!
 だが、デビルキングワールドの命運を決める戦いは続いている。猟兵たちの戦いは、まだ終わらないのだ!
成功 🔵🔵🔴

最終結果:成功

完成日2022年05月15日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴