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7thKING WAR①〜Smash or Grab!

#デビルキングワールド #7thKING_WAR



 魔界デパート『キング屋』では、一般悪魔達同士の攻防が続いている。
 そしてその騒ぎは、上層階にあるアクセサリー売り場も例外ではなかった。
「……」
 デビルエレベーターから飛び出し、突入して来たのは、屈強な悪魔達の一団。
「うわー!! お客様いけません!!」
「困ります困ります!! あーっ!! あーっ!!」
 たちまち始まる乱闘。だが悪魔達は巨大な拳で並み居る警備員もとい万引きGメン達を殴り飛ばし、力づくで店内への突破口を開く。
 鉄の拳が超強化ガラスを叩き割り、中にある装飾品の数々を掴み出す。
 そして数分後、売り場には昏倒したGメン達と――無残に破壊されたショーケースだけが残されたのだった。


「デビルキングワールドにおいて、魔界裁判長『ジャッジメントガール』が目覚めました」
 グリモアベースを訪れた猟兵達を、クララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)が出迎えた。
「彼女の判定の下、魔界のあちこちで新たなデビルキングを決めるための戦いが行われています」
 デビルキング、悪魔の王。
 全ての悪魔達の憧れであり、とてつもなく大きな権限を持つ存在。
 そのデビルキングに真っ先に名乗りを上げたのは、こともあろうにオブリビオン・フォーミュラ――それも伝説と呼ばれる1stKING『魔王ガチデビル』であった。
 彼の目的は、強力な悪魔達を他世界に輸出する事。もし彼が優勝してしまえば、大混乱の種を撒くことになる。
「『ジャッジメントガール』はあくまで審判なので、判定を覆すことは出来ません。その代わり、私達に参戦の打診がありました」
 どのような形であれ、猟兵達の勝利は悪逆非道の『魔王ガチデビル』の企みを合法的に阻止することになるだろう。

「私の所からは、とあるデパートの上層階に飛びます」
 魔界デパート『キング屋』。食品から飛行機まで、文字通りありとあらゆる商品を詰め込んだデパートだ。
 そして同時に、熾烈な戦場でもある。
 高額商品やなっとくグルメを狙うため、デビルキング法に従う一般悪魔達が『悪魔万引団』として襲撃を仕掛け、デパート側も彼等と戦う為『武装万引きGメン』達を常に募集しているそうだ。
 そんな魔界最強のデパート『キング屋』の守りを打ち砕く、ガチデビル配下の凄腕『悪魔万引団』が送り込まれる、というのが、予知の内容だ。

 場所はジュエリー&アクセサリーショップ。そこに襲来するのは『フランケンシュタイン』達。
 彼等は勢いのままに殺到し、陳列されたデビルアクセサリーを奪っていったという。
「魔界の装飾品は高額商品……もし全て奪われれば、『ジャッジメントガール』も天秤を『魔王ガチデビル』側に傾けざるを得なくなるでしょう」
 彼等をGメンとして止めるのが、今回の依頼である。

 相手は巨体。乱戦になる。だが宝石類は一つでも多く守りたいものだ。
 振り回される拳がショーウィンドウを割ってしまう事もあるだろうが、超強化ガラスは一撃くらいなら受け止めてくれる。
 幸い真面目で無口なフランケン達は、窃盗よりもGメンとの戦いに集中するだろう。乱戦自体を制すか、アクセサリー自体を守るか。具体的な判断は猟兵達に一任される。
「全てを守り切ると、『ジャッジメントガール』がパーフェクトボーナスをくれるそうです。ガチデビルの覇権を遠ざけるためにも、一緒に頑張りましょうね」


白妙
●戦争シナリオ
 これは戦争シナリオです。
 1章だけで完結する、特殊なシナリオとなります。

●プレイングボーナス
『悪魔達との乱戦を制する/壊れそうな商品を守って戦う』です。
 これに基づく行動をするとプレイングボーナスを得られます。

●戦場
 超強化ガラスのショーウィンドウが幾つも並ぶ、綺麗な一角。
 おおむね、デパートの高級アクセサリー売り場に近い雰囲気です。
 通路はやや広く、フランケン二体分程となります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『フランケンシュタイン』

POW   :    マッドネスサンダー
自身の【知性】を代償に、【電撃】を籠めた一撃を放つ。自分にとって知性を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    フランケンナックル
【強靭な拳】で攻撃する。[強靭な拳]に施された【電撃発生装置】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    ファイナルフランケン
【体内を流れる電流】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
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プリ・ミョート
それは万引きじゃねえ! 普通に強盗だべ! ま、おらも銀行強盗やったことあっけども。まあ悪魔的には嗜み? っちゅーかこれができて一人前、みてえなところもあるよな。大人の階段登る? なんてな、へへへへへ!

寡黙なやつには命令されることもねえだろうし、髑髏柱は邪魔だしなあ。ここはパワー勝負でいくべ! 乱戦を制するはパワー! 力バンザイ!
というわけで布を脱ぐべ。へへっ、こっち見ちゃやだべさ

真っ直ぐ伸びる槍で並んだフラちゃんたちをぐさーっと一網打尽にしてやるべ! こんな狭いところだったら避けられんべ? 避けられたら、槍を捨ててパワー勝負! どすこーい!!


ロビン・コールドラッド
なーにぃ? 泥棒を防げばいいのぉ?
そしたらお金貰える? おっけー、頑張りまーす♪

通路のほうがいいかな? 周囲がショーケースの場所よりはマシかも。
げっ、通路にも何個かあるじゃん。高級ショップってわかんなーい。
まーいっか、ガラス硬そうだし? 割れたら先に僕が拾っとこ。

通路に立って待ってたら、向こうから殴りかかってくるよね?
こわーい☆ でも僕、自分より強い相手に襲われるの、慣れてるからさぁ。
かよわいウサギだからね☆

脱力してスカらせたら、通路いっぱいに『ウサギのボビー』をばらまいて……ボッカーン!!
通路じゃ避けられないでしょ? 足の腱斬ってぇ、万引き犯確保だー☆
てゆーか、万引きじゃなくて強盗だよね。



「てゆーか、万引きじゃなくて強盗だよね」
「へへ、違いねぇ。ま、おらも銀行強盗やったことあっけども」
 アクセサリー売り場に足を踏み入れたプリ・ミョート(怪物着取り・f31555)とロビン・コールドラッド(ドン亀・f25775)を迎えたのは、あちこちから響いて来る交戦音だった。
 既に先行した猟兵達を含めた武装万引きGメン達が、凄腕の悪魔万引団との間で、熾烈な戦いを繰り広げている。
「まあ悪魔的には嗜み? っちゅーかこれができて一人前、みてえなところもあるよな。大人の階段登る? なんてな」
 へへへへへ! と野暮ったい笑い声を上げるプリ。元より魔界のブギーモンスターにして由緒正しい四天王である彼は、流石に場馴れしていた。
 そんな頼もしいプリに対し、ロビンは気になっていた事を尋ねてみる。
「あのさあのさ、もしGメンとして泥棒防ぐことが出来たらさ、お金貰える?」
 目の前で暴れているのはか弱い万引き犯では無く、屈強な強盗団である。
 ましてや善良な一般悪魔達はロビンにとって『ウサギ』とはならない。彼等を力づくで鎮圧する以上、お腹を満たしてくれるのでなければ割に合わないだろう。
「おうよ、もし成功したら報酬はちゃんと出るし、凄腕万引きGメンとしても引っ張りだこだべ!」
「おっけー、頑張りまーす♪」
 オオカミのマスクの下でぱぁっと顔を輝かせるロビンに、ブリもカラカラと知恵の布の下で嗤う。
 乱戦に紛れるようにして、二人は別方向から突入を開始した。

(「お、いたべ」)
 店内通路を少し進んだところで、ブリは足を止める。
 彼の目の前には、必死の抵抗を試みるGメンを、数で圧倒するフランケンシュタイン達の姿があった。
 強靭な拳を振り上げる彼等も、実のところ、積極的にオブリビオンに協力する『良い子』に過ぎない。
 彼等を平和裏に鎮圧すべく、ブリは思考を回転させ始めた。
(「寡黙なやつには命令されることもねえだろうし、それに、髑髏柱は邪魔だしなあ」)
 バトラーズブラック、全てはわが策略の内。
 魔界で磨かれたこれら強力なユーベルコードはしかし、万能とまでは言い難いものだ。
 ならばと冷静に自身の手札を吟味していたブリは、やがておもむろに、狭い通路の中央に飛び出す。
「……!」
 気配にフランケン達が振り返った時、既にブリは自身の知恵の布を脱ぎ始めていた。
「へへっ、こっち見ちゃやだべさ」
 そんな事を言いながら、もぞもぞと布の下で動き回るブリに、さらに周囲のフランケン達の注目が集まる。
 すかさず拳を振り上げてブリに突撃を仕掛けた者と、突然の事態に通路で立ち尽くす者。割合としては半々といったところか。
 彼等が無意識のうちに一直線の陣形を作り上げた瞬間――肉色の何かが奔った。
「……」
 回避する術も無く、軌道上のフランケン十体程が貫かれ、一度に戦闘不能に追い込まれる。
 通路を一直線に駆け抜けたそれは、木の杭が如く先端が尖った、おぞましき肉の槍であった。
 そして知恵の布がバサリと近くにショーケースに被さった時――ブリの姿は異形の鹿へと変貌を遂げていた。
「ここはパワー勝負でいくべ! 乱戦を制するはパワー! 力バンザイ!」
 僅かに理性を手放しつつも気勢を上げるブリ。
 先程の一撃を逃れた残り数体のフランケンシュタインに対し、血を啜った槍をべちゃりと投げ捨て――代わりに禍々しい形状の角を突き出し、突進した。
「どすこーい!」
 迎え撃つ巨大な拳を跳ね飛ばし、ブリの体当たりがフランケン達を纏めて吹き飛ばす。
 そのまま壁に背中から激突し、意識を失う万引き団を見下ろし、ブリは再び知恵の布を纏う。
「へへ、こんなもんだべ」
 こうしてブリは一瞬の攻防を制し、その過程で多くの万引団を捕らえたのだった。

 ロビンは店の端に存在する通路を進んでいた。
(「高級ショップってわかんなーい」)
 高級品を扱う店は、貧民街育ちのロビンにとって馴染みのない場所だ。
 特に店の中央部はショーケースに囲まれた場所が多く存在している。それは守るものが多いという事であり、ロビンからすれば戦いにくい場所であった。
 だがそうでない場所を選んで進めば、そこはむしろロビンが見慣れた路地裏の環境に近い。
「げ」
 だいぶ進んだところで、思わず声を漏らす。
 赤い瞳が見据える先には、戦いの流れの中で拳が当たったのだろうか。大きく割れたショーケースと、その奥できらりと光るルビーのネックレスがあった。
(「拾っとこ」)
 強盗団に先に奪われる訳にもいかない。ロビンは手を突っ込み、ネックレスを確保する。
 猟兵達が目指す『ジャッジメントガール』のパーフェクトボーナスを考えれば、これは大きな働きであった。
 ちょうどその時、数体のフランケンがロビンに気付き、突進を始めた。
 ドスドスと言う足音と共に、互いの距離があっという間に縮まっていく。
「こわーい☆」
 だがロビンは呑気な様子で、通路の真ん中に棒立ちしたままだ。
 そして遂に鉄の拳がロビンの顔面を捉えた瞬間――フランケンシュタインの体が大きく泳いだ。
「!?」
「でも僕、自分より強い相手に襲われるの、慣れてるからさぁ」
 手応え無し。ロビンの脱力がダメージを無効化する。
 そして彼の頭から吹き飛んだ帽子から、大量の何かが床一面に撒き散らされた。
「……!!」
「かよわいウサギだからね☆」
 それは可愛らしいうさぎの爆弾人形『ウサギのボビー』達であった。
 狭い通路では回避も防御もままならず、その場にいたフランケン達全員を巻き込み、一斉に誘爆した。
 続けざまに爆ぜる爆炎。その中で炎に巻かれたフランケン達が、派手に転倒していく。
「万引き犯確保だー☆」
「!」
 炎を切り裂き、ロビンが厚手のナイフを続けざまに閃かせれば、フランケン達の巨体に衝撃が走る。断ったのは足の腱であった。
 逃走不可能。とはいえ元が頑丈な継ぎ接ぎの悪魔である。Gメン達に突き出せば手厚い治療が施されるだろう。
「報酬、楽しみだなぁ」
 そして手柄を立てたロビンにも報酬が入るに違いない。その事を思い、彼は暫し頬を緩ませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルイ・エルドレッド
「なるほどね。なら多勢には多勢だ」

そういうと【召喚術】で装備している【三剣士】を召喚。代わりに戦ってもらう。それと同時にUCを発動し、三剣士に[斬撃強化、体力増強、防護強化]のバフ効果(エフェクト)を付与。他の猟兵とも協力できるし、3体いるので壊れそうな商品も守れるはず。【戦闘知識】も駆使。

「敵も多いなら、その分追加するまでだ」

敵に対しても[弱体化、鈍足、混乱]のエフェクトを付与し、攻撃力や素早さを下げて必殺技にも対応。これで1分もの昏睡状態に陥らせられるならメリットしかない。【幸運】も味方してくれるはず。

「あとは先輩猟兵さんに任せるか」

そう言って自分の影に潜むジークの能力で影の中に隠れて。


ユースティ・アストライアー
◆POW行動
◇アドリブ絡みOK
◇一人称「私」二人称以上「名前+さん」

「皆の幸せ護ります希望の星スーパーウィッシュガール只今参上です!」
ブロンドの髪や真紅のヒーローマントをなびかせかっこよく口上を名乗り登場
「宝石を泥棒することはおろか、お店の備品を壊すなんてだめです!フゥー!(息を吸い込んで吐く音)」
乱闘と見るやいなやユーベルコード『スーパーウィッシュコールドブレス』で敵を攻撃
その間に体をショーケースの前に割り込ませ、ショーケースごと守ろうとする
「私はコレでも頑丈なんですよ!」
更に戦闘では技能【怪力】使用
力比べをしつつ敵をちぎっては投げちぎっては投げする
「正義のヒーローは負けないのです!」



 魔界デパート「デビル屋」のアクセサリー売り場は喧騒に包まれていた。
 万引団『フランケンシュタイン』達の数と、電撃を篭めた拳を前に、デパート側のGメン達は苦戦を強いられていた。
 だが、全てが予知通りとは限らない。
「なるほどね」
 シニカルな声に視線が集まれば、そこに立っていたのは、ルイ・エルドレッド(隠しボス・f36867)。
「なら多勢には多勢だ」
 そう呟いた瞬間、ルイの目の前に三人の影が現れる。
 ファンタジー世界の剣士と一目でわかる武装と、中ボスに匹敵する強力なオーラを纏う彼等は、ルイの契約した、エルドレッドの三剣士である。
 そして剣を構え突進をかける彼等の動きに合わせ、ルイもまた世界浸食ソフト『OPUS』を起動した。
「そして……ここでは俺がルールだ」
「!」
 ゆらりと世界が揺れたような感覚。その次の瞬間、剣士の放った斬撃が一気に伸び、フランケン達の戦列を後退させた。
 ――斬撃強化。
 距離を詰める二体の剣士を、苦し紛れに振り払おうとするフランケン達。
 だがその腕がショーウィンドウに当たる寸前、残る一体が間に割り込み、商品へのダメージを防ぎ止める。
 ――防護強化。
 既にこの戦場内は、ルイが様々な強化を付与できる空間へと変貌を遂げていた。
「数は十分……と思いたい所だが」
 そうもいかない、とばかりにルイが視線を泳がせた方角からは、五、六体のフランケンシュタイン達が駆け付けて来る。
 だが彼等の動きを制すように、今度は凛とした口上が響き渡った。
「皆の幸せ護ります! 希望の星、スーパーウィッシュガール! 只今参上です!」
 ブロンドの髪と真紅のヒーローマントを靡かせる、ユースティ・アストライアー(スーパーウィッシュガール・f16665)であった。
「!!」
 ユースティに方向転換しようとするフランケンシュタイン達。
 だが三剣士は狭い場所で巧みに動いている。彼等との乱戦を抜け出す事は容易では無い。
「宝石を泥棒するのは勿論、お店の備品を壊すなんてだめです!」
 その間にユースティは大きく息を吸い込むと、次には、フランケン達に向けて思い切り吐き出した。
 音を立てて放たれる吐息の勢いはまるで風のようだ。
 だがそれだけではない。それは冷気を纏い、極寒の吹雪と化してフランケン達を襲った。
 張り付くような冷たさにフランケン達が身を捩り、後退に追い込まれる。
「……やはり数は足りそうだ。ならば後は……」
 その時、数体のフランケンが電流を纏い、凄まじい勢いでルイへと躍りかかった。
 ファイナルフランケン。全能力を6倍に増強したその一撃は、まともに食らえばただでは済まない。
 ルイ目がけて放たれようとする強烈なフック。その出始めでショーウィンドウとの間に、ユースティが体を割り込ませた。
「!!」
 撃砕音にも似た凄まじい音が響く。
 だがそれはユースティの頑健な体躯がパンチの衝撃を殺し切り、その背中を強化ガラスに打ち付けた音であった。
「私はコレでも頑丈なんですよ!」
 平然としたユースティに向けて次撃を放とうとするフランケンだが、明らかにその腕は力を失っており、足回りも鈍い。
 これこそがルイのユーべルコード『実効支配の間合い』の強さ。敵味方限らず、様々なエフェクトを自在に付与することが出来る。
「悪いな」
 瞠目するフランケンをユースティは両手で掴んで持ち上げ――渾身の力で通路の向こうへと放り投げた。
 灰色の巨体が味方を巻き込み、店外へと吹き飛んでいく冗談のような光景が広がる。
「先に行ってます! ルイさんもお気をつけて!」
 ルイにそう言い残すとユースティは乱戦へと突っ込み、持ち前の怪力で獅子奮迅の働きを見せ始めた。
「正義のヒーローは負けないのです!」
 自分よりも遥かに体の大きなフランケン達を前にちぎっては投げちぎっては投げ。みるみるうちにユースティの周囲から万引団の数が減っていく。
「……さて」
 残されたルイの周囲では、先程躍りかかった数体のフランケン達が、膝を付く音と共に倒れ込む。
 彼等の独壇場であった筈の時間を、ルイに付与された弱体と混乱、そして鈍足のエフェクトが奪い取ったのだった。
 その末に訪れたのは1分間の昏睡。ユースティの暴れ回るこの戦場において、それは余りにも長い時間だ。
「……あとは先輩猟兵さんに任せるか」
 そう言ってルイは、自身の影に潜む契約魔獣『ジーク』と共に、その身を影の中に溶け込ませるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テリブル・カトラリー
昏倒に留めているのは優しさかね
……超強化ガラスとはいえ、火器の使用は避けよう。

道の中央に立ち【黒剣装甲】展開
雷属性攻撃へ耐性を得、纏った液体黒剣を広げて道を塞ぐ。
ガントレットをガンと叩いて、自身の存在を誇示。

此処から先には、通さん。

ブースターで自身を推力移動、
ガントレットで重量攻撃。吹き飛ばして戦闘開始。

知性の無い単調な拳は見切り、
戦闘知識でフランケン達の攻撃を躱す。

液体黒剣を浴びせ、行動阻害及びしばらく動けなくなる程度まで生命力吸収

早業で組み付き、怪力で敵への盾にして盾受け、敵へ投げ飛ばす。
超重装甲の足で脚をへし折る勢いで部位破壊攻撃。
カウンターで顎を殴り叩き脳を揺らがせる等して乱戦に対応。



 あちこちから戦いの音が響いて来る。
 店内には輝く宝石が飾られたショーケース。だがその傍には、それとは明らかに不似合いな『誰か』が倒れ込んでいた。
 それに近づくのは、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)。
「……昏倒に留めているのは優しさかね」
 息がある事を確かめ、テリブルは呟く。彼等は武装万引団であるフランケンシュタインにノックアウトされた、万引きGメン達であった。
 頑丈な一般悪魔である事は勿論だが、万引団側の手加減もあったのだろう。どうやら命を取る事まではしないらしい。
 こちらとしては好都合なようでも、やりにくいようでもある。
 目を瞑り軽く頭を振ると、テリブルは先へと進む。
 かなり気配が近付いた頃、通路の中央で立ち止まり、改めて周囲を見渡した。
 複雑なように見えて、店内の大部分を構成しているのは狭い直線通路だ。
 そこを一挙に制圧可能な武装――反射的にテリブルは銃火器へと手を伸ばし……途中で思い直し、引っ込めた。
(「……超強化ガラスとはいえ、火器の使用は避けよう」)
 火器を使った戦闘には自信がある。だが乱戦の中で飛び道具を使えば、思わぬ流れ弾が直撃する可能性は否めないだろう。
 結局、テリブルが手に取ったのは、流動黒剣【ゲルニカ】であった。
 目の前に立てて翳すや、ぶわり、と膨張。
 黒剣装甲(ゲル・コート)――雷への耐性を備え液体となったそれは、コートの上からテリブルを包み込み、残りは黒い膜となって通路を塞いだ。
 ちょうどその時、テリブルから遠く離れた場所に、十体程の武装万引団が現れる。
 フランケンシュタイン達だ。首を捻り、辺りを探っている。だがまだこちらに気付いてはいないらしい。
「……」
 こちらに注意を向けるため、テリブルは両手に嵌めたガントレットを、思い切り打ち鳴らした。
 ガァン!!
「!!」
 豪奢な周りの雰囲気には不似合いな、武骨な金属同士を打ち合わせる音に、フランケンシュタイン達が一斉に振り返る。
「此処から先には、通さん」
 宣言するや、上体を僅かに前傾に。
 フランケンが動き出すよりも前に、テリブルは足元のブースターを起動した。
 黒い影が駆ける。
「……」
 フランケン達が目の前に現れる。
 ――違う。
 テリブルが、彼我の距離を食らい尽くした。
 その凄まじい加速力を、目前に構えた超重のガントレットに乗せ、渾身のシールドバッシュを繰り出す。
 弾き飛ばされ、真っ直ぐ後方へ吹き飛ぶ先頭のフランケン。
 後続を巻き込み、そのまま店外まで吹き飛ばされ戦闘不能に陥る。それが、戦闘開始の合図となった。
「――」
 今度は敵が動く。
 横合いから襲ったのは、電撃を篭めた巨大な拳だ。
 まともに食らえば昏倒どころでは済まなそうなその一撃を、テリブルは上体を軽く引くことで回避する。
 耳元で爆ぜた電流が、身に纏う流体金属に吸収されていく。
 今度は正面から。だが合わせるようにテリブルがクロスカウンターを放てば、金属のガントレットは鉄の顎を掠り、頭部を揺らして瞬く間に意識を奪う。
 バックステップ、サイドステップ。
 知性を失ったフランケン達の攻撃は出鱈目に振り回されているだけだ。
 単調な彼等の動きをテリブルは冷静に観察し、豊富な戦闘知識の下、回避と反撃を繰り返す。
「!」
 最適解の動きと共に、テリブルが隙を突いて浴びせかけたのは液体金属。
 黒剣の性質はそのままに液体となったそれは、まともに食らえばただでは済まない。
 たちまち膝を折るフランケン達。流体金属に動きを阻害され、おまけに生命力を吸収されれば、もはや他のGメンに捕縛されるまで動くことは出来ないだろう。
 そしてテリブルは、辛うじて液体を避けた、最後の一体を見逃さなかった。
 動きの流れを緩めず、動けなくなったフランケンに組み付き、凄まじい膂力で持ち上げる。
 そしてその背を、放たれた拳の軌道上に、盾の如く翳した。
「!!」
 硬い肉を殴りつける鈍い音。仲間を盾にされ目を丸くするフランケン目がけて、テリブルは持ち上げたフランケンを、力いっぱい投げ飛ばした。
 どかりと衝突する二体のフランケン。その足元目掛けテリブルは、一挙、足を繰り出した。
「――――ふッ!!」
 鋭い呼気と共に風が奔り、最後の一体が脚を抱えて崩れ落ちる。
 ウォーマシンの超重装甲の足で為されたローキックの威力は、屈強なフランケンをも悶絶させるに十分なものだった。
 こうしてテリブルの奮戦により、十を優に超えていた魔界の万引団の一隊は、瞬く間に全滅したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナ・ストリーム
【縁端】

「ねえ、あたしだってアクセサリー欲しいのよ!
でも頑張って稼いで手に入れてるわけ、分かる!?
お店にあるものはね、お金を払わなくちゃいけないのよ!」

キーキー怒りながら箒で飛び回り、毒スイーツをまき散らします
ガラスを割ってはいけないという理性はあるので
アルカナ・ブラスターは詠唱短め
戦いよりもアクセサリー見てたいけど
見たら気を取られちゃうから攻撃を頑張る

アクセサリーが大変!と友達?に声をかけて参戦
基本呼び捨て
興奮するとグリュックにはお兄ちゃん呼び
「ちょっとお兄ちゃん、ボーとしてないでアクセ守ってよっ!!」


グリュック・ケー
【縁端】の3人で参加
引率の先生気分

入口初っ端に迷路をつくり
足止め、分断を狙おう

あとはショーウィンドウの前でケヴィンとレナが打ち漏らした敵を攻撃
盗られたら盗り返すし
なんならアクセを自分が持って逃げ回る

なんか、ケヴィンとフランケン似てね?無口なとことか
ちょいとレナちゃんよ、あんまスイーツまき散らすと味方にもあたりますけど!?


ケヴィン・ウッズ
【縁端】
興奮している女には逆らってはいけないことは知っている
ので、言われるがままに連れてこられ参戦
無言で目の前のフランケンを淡々と攻撃

迷路で分断されてるなら余裕があるかも
なら色んな武器使いたいし、持ち替えて戦いたい
交換無理でも、敵の戦い方を観察できれば満足

ただレナが振りまく菓子が自分にも当たりそうで邪魔な気もする…



 開戦当初はデパート側のGメン達を圧倒していたフランケン達の勢いも、ここに来て流石に落ち始める。
 そしてそれに拍車をかけるように、さらに3人の猟兵達が店内へと突入した。
「!」
「へへ、悪いな。分断させてもらうぜ」
 戦端を開くと同時、グリュック・ケー(なんか黒い・f32968)は、ユーベルコード『ガラスのラビリンス』を展開した。
 店内を埋め尽くす透明な迷宮を前に、流石のフランケン達も出鼻を挫かれたようである。
 しかし電流と強靭な肉体を持つ彼等は、そう簡単に暴れるのを止めない。
 目の前のガラスの壁を破壊できないと見るや、それぞれが迷宮内を走り回り、猟兵達を排除しにかかる。
「……」
 が、それならばとケヴィン・ウッズ(人間の剣豪・f34923)が輝き目映いサムライブレイドを振り翳し、迷宮内部へと突入する。
 前面に意識を集中し、拳でショーケースを叩き割った一体の背中に駆け寄ると、無言で袈裟の斬撃を叩き込んだ。
 凄まじいのは、フランケンが戦闘不能に陥ったと同時に、武器を持ち換えその場を駆け去った事だろう。
「うーわー……流石は実家が武器屋、っと、感心してる場合じゃねぇな」
 急いでグリュックはケヴィンを追い、先程破壊されたショーケースから零れ落ちたアクセサリーを、黒衣のポケットに入れていく。
 目指すは『ジャッジメントガール』からのパーフェクトボーナス。そのためにも、落ちている宝石を持って逃げ回る心算だ。
 ちょうどその時、視線を感じたグリュックは、頭上を仰ぎ見る。
 果たしてそこには、箒に乗ったレナ・ストリーム(魔女っ子・f34922)が浮かんでいた。
「うぅ~……」
 レナのキラキラと輝く銀の瞳は、グリュックの手元のアクセサリーを、穴が開くほど見つめていた。
「れ、レナちゃん、ステイステイ」
「わ、わかってるわよ! ……でも、あたしだってアクセサリー欲しいのよ!」
 元はと言えばここのアクセサリーを守る為に、レナが2人を誘ったのが、そもそもの始まりであった。
 とはいえ、のんびり眺めていると気を取られてしまう。
 グリュックの言葉にレナは無理矢理アクセサリーから視線を逸らすと、ガラスの迷宮の影響を受けない天井スレスレの位置を飛び回り始めた。
「……でも頑張って稼いで手に入れてるわけ、分かる!?」
 キーキーと怒りながらも、レナが何かを辺りに振り撒き始める。
 毒々しいスイーツ。だがそれは見た目だけではなかった。
 フランケン達を直撃するや、みるみるうちに彼等を弱体化させていく。
 毒、麻痺、混乱。症状は様々だが、明らかに毒の入ったスイーツであった。
「お店にあるものはね、お金を払わなくちゃいけないのよ!」
 うわっと!? とグリュックが飛び退けば、たった今居た場所を、理性を失ったフランケンの雷の拳が通過していく。
 彼と入れ替わりに敵の至近距離に踏み込んだのは――ケヴィン。
 理性を失った大袈裟な相手の動きを前に、小回りの利くチープウェポンを一閃させ、頭部を殴り付け気絶させる。
「ちょっとお兄ちゃん、ボーとしてないでアクセ守ってよっ!!」
「ちょいとレナちゃんよ、あんまスイーツまき散らすと味方にも当たりますけど!?」
「……」
 ダガーと宝石を手に逃げ回るグリュックは勿論、ケヴィンもレナの毒入りスイーツに脅威に晒されている。
 正直邪魔と言えば邪魔だが、ケヴィンが育ったのは女所帯。興奮した女性の怖さが身に染みている手前、口出しする気にもなれない。
 故にケヴィンは淡々と、しかし確実に迷宮を辿りつつ、相手を追い詰める事に集中していた。
「なんか、ケヴィンとフランケン似てね?無口なとことか」
「似てないわよ……それより、残り少ないわ」
 空中から戦場を俯瞰していたレナの言う通り、いつの間にか万引団の多くは猟兵達に撃退されていた。
 迷路で分断された敵を前に、3人はラストスパートをかける。
「!」
 チープウェポンを仕舞いつつ、敵を発見したケヴィンが駆け出す。
 ガラスの迷宮の行き止まりに当たる場所では、最後のフランケンの一隊が、防戦を繰り広げていた。
「ケヴィン、今よ!」
「――おらっ!」
 グリュックが投擲したダガーがガラスの壁を叩けば、乾いた音に注意を逸らされたフランケン達の頭上から、破壊力を篭めた光線が降り注ぐ。
 周囲の被害を鑑み、詠唱を短縮したレナの魔法はしかし、消耗したフランケン達を追い込むには十分だ。
 通路の中央に広がる白炎の泉で分断されたフランケン達に、さらに毒入りスイーツが降り注ぐ。
 一体を残して全員が膝をつくフランケン。駆け付けたケヴィンが手にしていたのは――戦斧刀。
「……」
 言葉も無く、前触れも無く。
 幅広の刃が重い唸りと共に一閃される。
 描かれた軌跡はフランケンのガードを弾き、そのまま店外へ向けて大きく吹き飛ばす。
 この瞬間――フランケンシュタインで構成される武装万引団達は、残らず捕縛された。
 そして3人と他の猟兵達の尽力もあり、店のアクセサリーは残らず無事であった。
 ちょうどその時、デパートの窓から見える空に、大輪の花火が上がる。
 それこそは『ジャッジメントガール』の手で、猟兵達にパーフェクトボーナスが加算された事を伝えるものであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月06日


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#デビルキングワールド
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#7thKING_WAR


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト