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偽襤褸船、ホノカゼイラズ

#グリードオーシャン #【Q】 #戦後

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#グリードオーシャン
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#【Q】
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#戦後


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 それは薄く霧の出る夜だった。
 海は暗く、星の光の一つも返さず、不気味にゆらゆら、と揺れている。
 第4環源13世代珪素性有機結合類β3型単分子強化素材なる材質で作られたこの島は、一度崩壊しながらも、改定に突き刺さった宇宙船の残骸を支柱に繋ぎ合わされ、島の体を辛うじて保っていた。
 だが、それも徐々に限界が来ているといっていいだろう。略略中継地としての機能しか無いこの島から脱出していくものが絶えない中。行く宛も無く、ただ冒険の日々を焦がれている人々の目の前に、一隻の大型の船が現れた。
 帆はボロボロ、船も朽ちかけていそうな見た目をしているのにも関わらず、荒々しい接岸にすら耐えている。
 そんないかにも怪しげな船へと、ここ――ヨモツアミオリの安穏に痺れを切らし始めていた男達が恐る恐る乗り込んでいき、そして。
「ぎゃあああぁぁぁあああッッ!!!!」
 霧まとう夜の闇に悲鳴が響き渡った。
「せ、生者だああぁぁあ!! 生き……息してぉおぁあああッッ!!??」
 船に木霊する、幽霊の悲鳴が。

 荒事には慣れてるだろうと船長室に案内された鮫魚人のナガハマは、船の中は朽ちかけているような外見とは裏腹い整った内装に驚いていた。
「すみません。この数年、幽霊になった仲間としか会話してこなかったもので、いざ生きてる人にあったら温度感の違いというか……そういうのに圧倒されてしまって……、陽キャの空気は陰キャには厳しいというか……浄化されるかと思いましたよ」
 この船の船長、という彼が人懐こい顔――だったのだろう顎骨を揺らして笑う。半透明な骸骨の姿をした彼だが、彼が特別というわけではない。
 むしろこの船の中で言えばそちらのほうが普通なのだろうから。
 つまり、彼らは皆、死者であった。
「陽キャ……ってなんだ?」
「我々のような死者をそういうのだと、途中拾った船の残骸から知りまして……私、価値のある残骸には生前から縁がありましてね」
「……」
 幽霊船長と対話するナガハマは「多分意味が違うんじゃないか」と言おうとして口を閉ざした。

「いえ、実は故郷がコンキスタドールに襲われ、滅ぼされてしまいまして……」

 この船のことやら、その幽霊の存在やら聞きたいことはあったが、まずお前らはなんなんだと問いかけたナガハマに、船長はいきなり重い身の上話を始めていた。
「そのコンキスタドールから逃げてる最中なのですよ。はは、いえ、もう死んでるんですけどね。もう殺されているのですが、まあ、何故かまだ追ってくるんですよ。多分、私達の屍をコンキスタドールに奪われたので、体に残った思念が幽霊になった思念と引き合ってる、みたいな話だと思うのです。おかしな霧にまぎれてどうにか振り切ったはいいものの、多分今頃彼らもあの霧を抜けてこちらに向かってきていることではないでしょうか。ここ数日はこの近海をウロウロと彷徨っていたので、そろそろ追いつかれる頃でしょうか。いつまでも追いかけ回してこられては、残骸漁りもできなければ、漁った値打ち物を売り捌く事もできないんですから……、まったく、もう、はた迷惑な話ですよね?」
「ですよね? じゃねえが?」
 ナガハマは途中から頭を抱えていた。
 つまり、なんだ、この幽霊を追って、コンキスタドールがここに襲撃を仕掛けてくるかもしれない。というか、ほぼほぼ確信を持って襲ってくるのだろう。
「……なるほど」
 事態を飲み込んだナガハマは一呼吸置いてから、ダンッ!! と机を拳で叩いて、のほほんとした表情を見せる骸骨に指を突きつけて叫んだ。
「はた迷惑はお前らじゃねえか! とんだ災難引き連れてきやがって!」
「いやあ、生者の方の叫びは愉快痛快ですなあ、鮮度が違う」
「悪霊じゃねえか!」
「ははは、船員が増えるかもしれませんなあ」
 立ちあがり、ナガハマは避難を呼びかけようと背を向けようとした。
「しかし、どうやらこの島も沈没寸前のご様子」
 ついでに、この船を切り離して、どうにか適当な海流に放逐しなくては、と画策するナガハマに幽霊船長の声がかかる。
「あのコンキスタドール達をどうにかしていただければ、緑豊かな我々の故郷へとご案内いたしますよ?」
 語る声色は、スラリ、と肋骨の間隙を縫うような鋭さを持っていた。
「それに海嘯を征した彼らに一度お会いしてみたいものです」
 ナガハマは、目の前の幽霊が初めからそれ目的だったのだとそこで気付いた。
「たしか、猟兵と仰るのでしたか?」
 ナガハマ達が色々あって人を多く住まわせられる移住先を探している。そんな情報を何処からか流れ聞いたのだろう幽霊船長は、いけ好かない商人の顔をしてナガハマを見つめていた。


「今は無人島となっている島がある。そこに人々を移り住まわせる為に、まずは襲ってくるコンキスタドールをどうにかしたい」
 夜柄守・白袖(怪奇人間の學徒兵・f32220)は詰まるところを掻い摘んで話して、自分で納得したように頷いた。
「ということだ……、まあ、なんとかなるだろう、と思う」
 実際にオブリビオンの襲撃が予知されたこともあり、猟兵としても放ってはおけない事態だろう。
「頼んだ」
 と白袖は説明を終えた。


オーガ
 わりとゆるい感じです。

 各章ごとに断章を挟みます。

 宜しくお願いします。
66




第1章 冒険 『流れ着いたもの』

POW   :    軽く殴ってみれば分かるだろ。ふんじばってでも正体を明かす。

SPD   :    言葉や技術、異能等を駆使して、本質を表して正体を見極める。

WIZ   :    それによりどんな影響があるのか、周辺や状況から正体を探る。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 
「一緒に船旅をするってのに、距離があるままじゃあ問題も起こるだろ」
 とナガハマは猟兵達に申し訳無さそうに言う。
「まあ、……なんだ、幽霊どもがある程度無害だって事を他の奴らに示してくれねえか」
 ある程度でいいから。とナガハマはどこか不安を滲ませてそういった。
 つまりは、何が起きても大丈夫そうな猟兵に、接触を試みて欲しい。ということだった。


 幽霊船で幽霊船員達と会話したりします。
 人見知りですが、まだ生者が珍しいので好意的ではあります。
 会話が作れる程度の設定は作ってますが、ない設定でも作れるところは作るので適当に会話する感じの場面です。
ヴィクトル・サリヴァン
この島かなりボロボロだったしねー。
滅ぼされた故郷が緑豊かになる位の年月経っててまだ航海できるって相当腕はよさそうだけど。
余計な不安はない方がいいし、お手伝いしたいな。

まず礼儀正しくご挨拶から。
深海人じゃない猟兵だけど海は得意だよ。
会話の切っ掛けとして故郷の話とか聞いてみたり。
船長さん商人っぽいけど何か名産取り扱ってたりしてたのかなーとかも。
ナガハマ君達にも聞こえるようあくまで軽い調子で会話し両者の緊張が解ければなと。
…武勇伝聞きたいの?
島の奪還、七大海嘯戦…偽シャチ退治もあったなあ。
倒すにはこの銛ぶち込んだりしてね。
そいえばキミ達追ってたのってどんな奴なのかな、と尋ねる。

※アドリブ絡み等お任せ



 潮の香り。
 暗い海、波の音。霧が海面を撫でて、幽かに衣擦れの如き震えを見せる。肌に触れる細かな水滴が僅かにヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)の肌を湿らせていた。
 月もなく、朽ちた木材が敷き詰められたような甲板の上で、まるで獲物を待つかのようにして骸骨が立っていた。
 その骸骨はヴィクトルの足音に振り向くと。
「ああ、どうも! こちらから脚を運べず申し訳ない。何分地縛霊ならぬ船縛霊なものでして……!」
 と快活な挨拶で恐ろしげな空気を霧散させていたのだが。
 簡単な挨拶を交わして、ヴィクトルはナガハマや他の島民の視線をひしひしと感じながらも、割りと気にすることなく会話を弾ませていた。
「その故郷から離れてずっと航海できるって、結構すごいよね。えっと……故郷に自然が戻ってるって事は、何十年かぐらい?」
「いえ、えっと……5、6年くらいですかね。暮らしてた人間だけを襲いに来たようでして、少し前に戻った時は畑の作物が野生化してましたよ」
 その間コンキスタドールに追われ続けていたのだと考えれば十分な航海技術だとヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は思いながらも、多分言っても否定されそうからかと「そっかあ」と間の抜けた返事にとどめておいた。
「ですので、ここより数倍は快適ですよ」
「あー、うん。それはそうだよね……」
 と船長の言葉に、ヴィクトルは目を細めて同意を返す。
 彼自身半ばこの島の崩壊の当事者である。正直まだこうしてキャンプが残っている事自体、驚きだったりする。
 まあ、この船の中で暮らしてた人達からしたらこの状況も生ぬるいのかもしれないけど。と彼らの事情を鑑みてから、ヴィクトルは彼らが目指すことになる新天地に想いを馳せる。骸骨船長が案内してくれるというそこで彼らが穏やかな生活を手に入れられたのなら。そう考えるだけでもヴィクトル自身嬉しい心地になる。
「それはそうと。あの骸のコンキスタドールは中々に手強いかと思われますが、腕に自信の程は?」
「うーん、ふふ。期待に応えられる位には、かな?」
 話題を切り替えた船長に、ヴィクトルは思わず笑いを零していた。言葉だけを汲み取れば猟兵の力を疑っているようにも聞こえる。だが、どことなく弾んだ声色は、そのような思惑が無いことを示していた。
「ほほう、どのようなご活躍をされたのか、ぜひお聞きしたいですなあ」
「そうだねえ。島の奪還の話とか、七大海嘯戦……あと偽シャチ退治とか……」
「どれも興味そそるお話の予感がしますね。しかし、受け取ってばかりではフェアではありません。どうでしょう? 色々と気になっているだろう私たちの事と引き換えにお話をお聞かせいただくというのは?」
「ん? いいの? それはねえ、俺も嬉しい」
 その提言にヴィクトルはどうやら彼らも、そばだてている耳の数をある程度把握していて、その信用を得ようとしているらしいと気がついた。そして、猟兵の武勇伝への興味も本物だということもひしひしと伝わってくる。一挙両得を得ようとする船長に商魂たくましさを感じながらヴィクトルは銛を手に己の戦いを、少し面白おかしく誇張しながら語り始めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

あーこれはあれだね
ほらあれだよ!あそこあそこ!そーそー覚えてる覚えてる…ううん?
いやほんとに覚えてるってば!

●対話
大丈夫?成仏する?(ぱぁああっと光って)
まだいい?そう!
いいかい?人は見た目が9割!もう人じゃないって?黙って!
外見より中身を見てくれってキミたち中身が骨じゃん!無じゃん!
船のなかを清潔にするくらいはしてるんだからさー
もっと身なりにも気を付けてみよう!
ある世界には死者の日のガイコツ祭りってのがあってさー
ガイコツをおしゃれにカラフルに装飾するんだよ
任せといてボクがうろ覚えの知識の通りに芸術的に仕上げてあげるよ!アーティスティックに!
あUCも使っておこう



「……え? あーうん、そうだよね。覚えてるよ、さっきも聞いたし、えっと……ナガマサくん! え? 違う? やだなあ、睨まないでって、冗談さ! ホントホント!」
 色々と世話になった上にまた面倒を押し付けてすまない、と挨拶をしにきたナガハマに一瞬誰だコイツ、みたいな目をしてから滔々と語りだしたロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、ナガマサ――もといナガハマの不安そうな目に、胸をどんと叩いて自信に満ちた態度を取る。
「なんたって、神様であるボクがついてるんだよ! 悪霊なんてイチコロだよね!」
「イチコロじゃまずいんだって言ったよな!? いや、そういう奴だって分かっちゃいるけどよお!!」
 ナガハマは叫んだ。ノリで「一人くらい良いんじゃない?」と消し飛ばしてしまいそうだし、多分出来るのだろう自称神が返事の代わりにサムズアップをかましてきたので頭を抱える。
 なんだかんだでこっちの願いも汲んでくれるという過去からの信頼もあるにはあるが、何分破天荒な振る舞いに、幽霊船に乗り込んでいく背中を見つめてナガハマはこっそり様子を見守ることにしたようだった。

「大丈夫? 成仏する?」
「ぎゃぁああ!! 溶けるぅううう!!」
 ロニがボロ布を纏う船員に近づき、夜を裂くような光を発し始めると骸骨船員が苦しそうに床を転げ回り始めた。
「もー」
 ガタタ、と後ろでナガハマが立ち上がるのを感じてロニは腰に手を当て転がる船員に口を尖らせた。
「大袈裟! ちょっとチリっとするくらいでしょ!」
「だってだって、チリっとしたし……いきなりは酷ぇよ、坊っちゃん」
「いいかい? 人は見た目が9割なんだよ」
「俺ら骨なんで」
「黙って、光るよ?」
「すんません」
「船の中清潔にしてるんだから、キミ達もちゃんとした身なりをね」
「外見より中身で勝負ってのが海の男ってもんだぜ!」
「骨じゃん、中身、無じゃん」
「骨密度には自信あり!」
「光るよ?」
「すんません」
「なんで普通の服来てるのさ。肩とか腰骨に引っかかってるだけで、ビリビリのボロボロでホネチラし放題だよ?」
「いや、だって老廃物出ないし」
「ということでプロデュースするよ!」
「いえーい!」
 切り替えの速さが彼らの美点なのかもしれない。いや欠点なのかもしれない。

「ある世界に、死者の日のガイコツ祭りってのがあってさー」
「え?」
「ガイコツをおしゃれにカラフルに装飾するんだよ」
「え?」
 不穏な語り出しに、船員達はどうやら駄目な船に乗ってしまったことを早々に悟っていた。

「もう……お婿に行けない……」
 賑々しく飾り立てられた骸骨船員達は「クリスマス最中にやって来た台風のせいで色々ものが引っかかっている庭先の木」的な、人間には未だ理解できない遥か彼方の壊滅的な芸術性に満ちた風貌に改造されていた。
 所々に本格的な魔術的、呪術的、天体学的な配置が散りばめられているのだが、不幸にも最後の仕上げだけは強く拒絶されてしまい中途半端な出来栄えになってしまった、とロニは不服そうではあるが。
「……うん、なんだ……その……元気出せよ、見ようによっては、ほら、な……」
 とヨモツアミオリの住民に慰められていたので、彼らの橋渡しとしてロニなりに思慮を巡らせたのかもしれない。
「うーん……やっぱり二、三人バラして合体させた方がキマるって思わない?」
「やめてあげてください……」
「もー、分かったよ」
 そんな思慮はなかったらしい。
 ブルブルと恐怖に骨を震わせ始めた骸骨達を哀れんでか住民が頭を下げてきたので、ロニは大人しく、次元を隔てたようなインスピレーションを次の機会に回す事にして諦めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

巫代居・門
アドリブ歓迎

亡霊の類は、まあ、見慣れてるけどさ……なんか……俺が知ってる感じの亡霊じゃないんだよな

ちょっとやりづらいんだけど……まあ、どうにかなるか

話せばいいのか?……よな?よし……

意外と中綺麗なんだけど……掃除してるのか?
亡霊なのに綺麗好きってなんか、まあ不思議で……

と話を聞きながら呪詛、呪詛耐性で邪念がないかを探るよ。

でもまあ、大丈夫そうだよな……たぶんだけど。邪気があればこっそりナガハマに伝えておくよ

戦闘?まあ、海なら禍羽牙で……あんまり放し飼いもまずいんだけどさ

禍羽牙を見せながら、ひとまず荒事は任せてと告げるよ。
まあ、安心はしないで欲しいけどさ。

(2021水着で)



「亡霊の類は、まあ、見慣れてるけどさ……」
「えー? もしかしてお兄さん経験豊富な方だったりする? ウチいい子揃ってるよー?」
「なんか……俺が知ってる感じの亡霊じゃないんだよな……」
 怪しげなお店――それも、別に亡霊とか関係ない方のアヤシゲさのある従業員的な対応をしてくる骨の船員に対して、ため息を隠そうともせずに巫代居・門(ふとっちょ根暗マンサー・f20963)は向き直った。
 シャチを模したラッシュガードの膨らんだ腹を撫でて平静を装おう
 いや、一瞬その空の眼窩を見つめるが、その中にある見えない瞳とすら目を合わせるのを拒んだように門は目をそらす。
 なんというか絡みづらさが、丁度門の苦手とするような人種であるような漢字がひしひしと伝わってきて、やりづらさが湧いてきたのだ。
 とはいえ、このまま何もはなさないというわけにも行かない。
「あー、っと……意外と中綺麗なんだけど……掃除してるのか?」
 亡霊なのにきれい好きなのか、と不思議そうな顔をする門に船員は肩を竦めながらこういった。
「意外って酷くないっすかお兄さん? 衛生管理は船の上じゃあマストっすよ?」
「いや、でも……霊体だし……」
「まあ、それは生前の癖みたいな? というか、俺らってこの船に憑いてる地縛霊……船縛霊? みたいなやつだしさ」
 と半透明の骨船員は門の言葉に、頭をかきながら流暢に答えながら傍にあったロープを手に取った――手に、取れていた。物質であるはずのそれを霊体の彼が拾い上げたのだ。
「船のものなら触れるんだよね。だから、こう誇りが積もってるトコ触るとゾワッとするし」
 だから、結構キレイに凝っちゃうんだよなあ。という船員にあいも変わらず苦い顔を向けながら門は、亡霊である彼からにじみ出る呪詛の質を確かめる。
 元々社の守護を行っていた門にとっては、呪いにも様々あることを知っている。彼から放たれる呪いが周りに害をもたらすものかどうかというのは、手にとるように分かる。
 そして。
「……うん、まあ」
 大丈夫だろう。と門は静かにナガハマへと手を降って合図を送った。問題ないと。
 邪気は感じない。というよりも、敵意も脅威も感じないのだ。彼らが敵になることは、ありえないだろう。
「それで」
 そんな事を考えていた門に、船員はどこか不安そうにこう訪ねてきた。
「……あんたもなよっとしてるけど闘えるのか?」
 と、そういう船員に門はゆらりと組紐をまとう手首を揺らしてみせる。
 さて、どうしよう、影の魚で水面を染めてでもやれば信用してくれるだろうか。そんなことを考えながら門は静かに笑いかけていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『淵沫』

POW   :    残影
【屍と影の機動力に併せ、思念を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    群影
全身を【深海の水圧を帯びる液状の物質】で覆い、自身の【種のコンキスタドール数、互いの距離の近さ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    奔影
【屍の持つ骨や牙】による素早い一撃を放つ。また、【屍が欠ける】等で身軽になれば、更に加速する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そして、遠くの水面に見えたのは人の影……いや、人の躯。
 船員のもの、そして、滅んだ島の住民のそれか。屍を纏う影が、その不定形の昏き魂を揺らがせて猟兵達の前に姿を表した。

 集団戦です。ばったばったなぎ倒してください。
ヴィクトル・サリヴァン
ぞろぞろ出て来たね。…知り合いいたりする?
けどこの位で手間取ってちゃわざわざ来てくれた船長達にも悪いし、蹴散らしちゃおうか。

一応船長にはリクエスト聞いとくね。
遠慮なく海の藻屑に変えていいのか、骨位は島まで連れ帰るか…供養とか。
数には数を、UC発動して空シャチいらっしゃーい。
サシで互角に戦える位に強化させて空から海に突っ込んで暴れ回ってもらう。
容赦なくやっていいなら骨ごとがぶりと齧り砕き加速前に確実に一体ずつ仕留め、
そうじゃなければ尾鰭でぽーんと空に打ち上げ船の方へご招待、止めは破魔と浄化の力宿した俺の銛でぶっすりと。
援軍必要なら俺も水中に潜り泳ぎつつ銛や水の魔法で支援を。

※アドリブ絡み等お任せ



 屍。
 骸。
 本来そう呼ばれるべきものが浮かんでいる。生気を感じさせない動き。だが、それは鈍速という意味ではない。
 逆だ。
 恐るべき速さで、それらはこの船目掛けて接近しつつあるのだ。
「ぞろぞろ出て来たね」
 尻尾で船床をタンタンと叩きながら、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は傍らで淵沫を見つめる骸骨に声をかけた。
「時に船長?」
「はい、何でしょう?」
「骨位は島まで連れ帰りたかったりするかな? ほら、供養とかあるでしょ?」
 予想外の言葉を受けたように硬直を見せた船長は、成る程と納得したように一つ頷く。
「構いません」
 それでも船長の答えは、既に誰かに問われたものを繰り返すような馴れた声だった。
「私達以外の骸もあります。私達は囮として十分に働けはしなかったようですが……それでも、逃げのびた者もおるでしょう」
 それを何度も問いかけたのは、船長自身だったのだろう。彼らは、骸。オブリビオンであり、コンキスタドールであり、そして、亡き故郷の同胞ではない。そこに疑念も希望も存在しないと断じて告げる。
 それに……と、困ったような雰囲気を骸骨の顔に浮かべて船長は言う。
「商品にも顧客にもならない物を大量に輸送するのは勘弁願いたいですから」
 と。


「さて、と困ったな」
 船の欄干に立ったヴィクトルは、苦笑する。それは船長から受けたお願いについてだ。
 売れそうな宝石でも見つけてたら話は別ですが。
「なんて、俺はそういうの綺麗だなとかしか分かんないからなあ」
 銛を掲げる。空気から染み出すようにして形を為すのは空泳ぐシャチ。その数118頭。迫る淵沫を睥睨するようにして、ヴィクトルを中心に泳ぐ彼らは主の指示を待っている。
 とても闘いに赴く戦士には見えない。遊び道具を前にそわそわと落ち着かない子供の如く。ヴィクトルの振り上げた銛が落とされる、その瞬間を。
「うん。船長には悪いけど全部まとめて」
 この瞬間を!
「食い散らかそうかっ!」
 ザッ、パン! と空を泳いでいたシャチが水中へと飛び込んだ。船を中心に盛大な飛沫が宙に舞い、快晴の雨となって降り注ぐ。その雨音が止まぬ間に、五頭同一となった20弱の鯱が猛然と海を駆ける。と同時、その気配に勘付いたのか、骸が一斉に海中へと沈んだ、その途端。
 海が黒く染め上がる。牙が骨を砕く振動が白波を作り出し、砕かれた骨の欠片が黒い波間に揺れる。海と空気の境で音が阻まれながらも、暴虐を体現する海の獣。それでも活き良い個体もいたのだろう。
 トビウオのように黒い鞭を纏わせ海面へと躍り出た淵沫を、追い縋るシャチがその牙で齧り砕く――事はなかった。その牙が届く直前で海に身体の半ばを沈めたシャチは、その尾鰭でヴィクトルへと、船の方へと高く打ち上げていた。
 バレーボールの如きパス。いや、遊び道具は他にもあるからという理由でよこしたのかもしれないそれを、破魔と浄化を纏わせた銛で貫き散らす。
「……まったくもう」
 ヴィクトルは思わずため息をついた。それは放ったシャチの行動にではない。そして、まるで新しい遊びを覚えたように一斉に船へと数体の淵沫を投げ放ち始めた他のシャチ達に対してでもない。
 それは、獲物が打ち上げられた瞬間感じたヴィクトル自身の無邪気な獰猛性を隠すため。銛一つでは彼らのリクエストに応えられなさそうだ。ヴィクトルは魔力を練り上げる。
 ここは海の上。天気もいい。風も気持ちいい。月夜の下、冷たい水が流れる感覚を楽しみながら泳ぎ回りたいようなそんな良い日和。
 そう、尾鰭で力強く水を掻くように。
 銛の切っ先とシンクロするように海面から引き上げられたのは水の塊だ。ともすれば船をも押しつぶすような巨大な質量を持つ、海の尾鰭が宙を薙ぐ。
「うーん、ストライク」
 ゴ、パァッ!! とその大質量は強引に撥ねられ空中で粉砕されながら尾鰭に呑まれる淵沫ごと海に大波を引き起こしていた。途端、船内から聞こえる何かが割れる音と秘蔵の酒がどうやらという悲鳴。
 その原因に少し思考を巡らせて。
「……」
 ヴィクトルは聞かなかった事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
 羅刹の魔法戦士。
 普段の口調は男性的、仲間にはフレンドリー

行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わる。
パッと見た印象では自信過剰に見えるかもしれないが戦場を渡り歩いてきた経験からの発言

戦闘は戦場で敵の技術を盗み自身が扱えるものに昇華させるため戦場を探してる竜殺し。
戦場では弱肉強食、故に弱者に手を差し伸べる者への優しさと敬意は無くしていない。
力押しから技術比べまで多彩な戦闘スタイル。
多彩な戦闘スタイルを理屈でも説明できる。
猟兵の妻と二人の娘がいる。
 
怪我は厭わず行動します。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。



 海に浮かぶ骸の軍勢。
 それを眺めながら七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)は、重々しくその両肩を回してみせた。太い腕に割れた腹筋。服の上からでもはっきりと分かる剛体に活力を漲らせながら、彼はバスタードソード――バルムンクを手に笑っていた。
 敵の数は多い。本来であれば、今ここにいる猟兵達では足りないだろう。
「そういう時、手が足りねえならどうするか。知ってるか?」
 どこから飛沫が跳ね上がる。と同時に淵沫は船へと襲いかかってきた。対抗するは龍厳、武器は今一閃を放つその剣と。
「……剣を増やしゃ、手は足りるってな」
 仄かに光る本から導かれる魔法の剣達――六百の魔刃。
 飛び込んできた淵沫へと振り抜いた剣を、引き戻さずそのまま投擲。ゴ、ガンッ! と真横へと吹っ飛んだバルムンクが船の甲板に登ろうとしていた淵沫に突き刺さり。
 それを横目に龍厳は手を伸ばす。掴み取ったのは相棒たる竜殺しではなく、影がかき消えていく骨骸に突き立ったままの火の剣。
「腕試しには丁度いい。連ねてどこで息が切れるか、やってみようじゃねえか!」
 言うや、飛び込んできた淵沫へと刃を突き立てる。
 骸を炎刃が焼けば、影は苦しむように踊り狂い、声なき悲鳴を上げる。だが、その苦痛を龍厳は鑑みない。淵沫は敵であり、ならばこそ、手を抜く事はない。
 常に渾身を叩き込む。使い捨てるように擲ち、放った刃を引き抜く猛撃。斬り、薙ぎ、払う。風が踊れば直後に岩が砕く。
 すなわちは、三面六臂の連撃。
 千変万化の轟撃が荒れ狂い、鋼の如き肉体が淵沫に先んじて海へと飛び出す。足場など無い。だが数歩。それならば。
「|作れば良い《ここにある》」
 淵沫へと風の剣を叩きつけると、突き立つ剣を押し込むように蹴りつけ、足場にする。
 あとは甲板目掛けて跳躍するだけ。それだけを考えれば良い。そう考える龍厳目掛け、無数の淵沫が海上へと躍り出た。
 逃げ場はない。思考すら読み取る淵沫に龍厳がそれに対する対抗策を考えていない事は明白で。
「晴れ時々剣雨あり。なんだよ、傘は忘れたのか?」
 その対抗策を読み取ったはずの淵沫は既に滅ぼした。
 故に、それを悟られることもなく。驟雨の如く降り注いだ四属性の剣が次々と飛び出した淵沫を貫く墓標と化して、波の底に埋めていく。
 ミサイルが無数に叩き込まれるような轟音。震える海水が空へと巻き上げられていくのを見上げながら龍厳は甲板に転がっていたバルムンクを拾い上げた。
 そして左に持った風の剣。それを空へと向け――開放。
 ゴ、と攻撃に満たぬ烈風が放たれて、龍厳と甲板をしとどと濡らすはずだった潮を瞬く間に晴らしたのを見上げる龍厳は。
「仕方ねえ奴らだな」
 と、どこか穏やかに、そして獰猛に笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​


※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
アレクサンドラ・ヒュンディン(サポート)
人狼の力持ち×ミュータントヒーローです
普段の口調は「私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?」、気にいったら「私、あなた、~さん、ね、よ、なの、なの?」

性格は内気で人と目を合わせるのが苦手ですが、人嫌いなわけではなく事件解決には積極的です
戦闘スタイルは力任せで、ダメージはライフで受けるタイプです

日常や冒険の場合、食べ物があるとやる気が増します

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ロータス・プンダリーカ(サポート)
素早さが売りの格闘猫
口調は「ですにゃ、ますにゃ、ですかにゃ?」と丁寧語に「にゃ」が付く

年齢の割に子供っぽい、と言うか猫っぽい
時々猫の本能には抗えない
尻尾や耳が感情と共に良く動く

拳法と銃を組合せた武術の達人
敵の動きを読み、計算された動きで戦う
悪を許さない正義と立ち向かう勇気を持ち合わせた漢
卑劣な事は嫌いだが、相手がそれ以上の悪であれば勝つ為の奇襲や搦め手は厭わず用いる

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
迷惑行為NG
公序良俗は遵守


緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。



 迫り来る骸の群れを甲板から見据え、アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)は静かに息を吸い込み、吐き出す。他の猟兵と共に戦うことに、緊張がないわけではない。けれどきっと、彼らも同じ思いをどこかに抱いてここに来た筈だ。確かめるように軽く拳を握ってみた彼女の隣で、対照的に明るい笑みを浮かべて、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)が戦斧を肩に担ぎ上げた。
「まだ来るみたいだね。どう、誰が一番沢山倒せるか競争してみる?」
「おふたりとも腕の立つ武人とお見受けしましたにゃ。誰が勝ってもおかしくなしの恨みっこなしですにゃ」
「当然!」
 ロータス・プンダリーカ(猫の銃形使い・f10883)の返答ににっと白い歯を見せ、お先に失礼とばかりに透乃は甲板を蹴る。黒い影に操られるまま、ゆらりと浮遊しながら接近してきた敵の群れに、臆することなく――否、むしろこの状況を楽しむように彼女は突っ込んで。
「それっ! ――はいっ!」
 力任せに振り回された斧の刃が、一体、また一体と屍纏う敵を捉え、荒海の底へと叩き落としていく。その豪快な戦いぶりに、ああ、とどこか安堵したようにアレクサンドラは笑った。――何となくではあるが、彼女とは感覚が通じ合う部分がある気がする。なればこそ、己の取るべき動きも選び取りやすい。透乃の斧が届かない方向へと身体を向け、そちらから向かってくるコンキスタドールを見据えて、アレクサンドラは四肢へと獣の力を流す。
「こちらは……通しません!」
 床板を踏み割りそうな程の勢いで踏み込み、敵に組みつく腕は白く細い。けれどその見目からはおよそ想像もつかない膂力で骸の身体を抱え込み、抵抗を力ずくで封じ込めた形で、彼女はそのまま腕の中の骸を力一杯振り回した。嵐のごとき一撃に薙ぎ払われた次の骸が宙へと飛ばされ、一瞬その制御を完全に失う。刹那の隙を見逃すことなく、打ち上げられた敵の隣へロータスが軽々とジャンプで追いついた。
「まだまだこれは序の口ですにゃ」
 ニャン=カタと称する格闘術による無駄なく俊敏な動きで繰り出された一撃が、骸の頭を貫き通し、その奥に潜む『本体』の影すら打ち砕く。泡沫のように消えゆく敵には目もくれず、引き抜いた銃で即座に別の一群に弾幕を見舞い、ロータスはごく短く息を吐き出した。読み通り、敵は銃弾の雨に侵攻を阻まれ、方向転換しようとしている。けれど、その先には。
「そいつは愚策というものですにゃ」
「任せて!」
 異様な速度でカーブしてくる骸の群れを相手に、透乃が怯む様子はない。盾のように構えた斧の側面で敵の攻撃を押し返し、弾き返し、己の肌には傷ひとつ付けないまま、彼女は獲物を大きく脇に引く。
「お返しいるよねっ! 被刃滅墜衝!!」
 無造作に、大振りに振り抜かれた真一文字が、文字通り敵の群れを叩き斬る。事前にそれを予測し、逃れようとしていた個体もいるにはいたが、その一体も例外なくだ。真二つに割れた骸の向こう側で、回避を図った敵に咄嗟に喰らい付き、抑え込んでいたアレクサンドラが力強く頷いた。
「あの一撃を前にして躊躇なくとは、やはりやりますにゃ」
「多少の怪我や痛みなら、我慢もできますから……それに」
 何となく、大丈夫な距離は直感できた。ロータスの声にそう答えて、アレクサンドラは海を見やる。
「……静かに、なりましたね」
「うん。これで終わりかな?」
「の、ようですにゃ」
 新たな淵沫の群れが現れる様子はない。恐らく今のひと群れが最後だったのだろう。
 であるなら、最早この船を阻むものはない。緑に満ちた新天地は、もうすぐそこだ。進みゆく船の上で感じる風が、少しずつ匂いを変えつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年10月14日


挿絵イラスト