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葛葉・御前(千年狐狸精・f36990)は未来を予知した。
午前零時。UDCアース。日本。K県S市郊外。旧黒桐男爵邸の内部からアンディファインド・クリーチャーの軍勢が出現する光景を目睹した。
それ等は影絵の様に輪郭も判然としない低級な邪神の眷属達だった。
オブリビオンの軍勢は草木を喰い尽くす飛蝗の貪欲さをもって近隣の人里を襲撃した。
それ等は殺戮に関しては勤勉な使徒であり徹底した蹂躙によって主人への忠誠を示した。
人間を支配する感情の中で最大のものが恐怖に塗り替えられて混乱と暴動が秩序立つ行動を駆逐した。
眷属達の手に掛かり邪神の供物にされた犠牲者の数は指数関数的に増加した。
「クロ男爵の呪いだ」
狂気の淵瀬で正体を無くした人間が悲鳴と共に吐き出した。
クロ男爵。それは企図せずして惨劇の原因を創造した怪人の名前だった。
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葛葉御前はグリモアベースに参集した歴戦の猟兵達の姿を型通りに眺め回すと形の良い唇を開いた。
「妾の予知がUDCアースに存在するオブリビオン自動召喚装置の存在を突き止めた。場所は日本じゃ。K県S市の郊外に存在する廃家。築百十余年の洋館の内部で召喚装置が稼働しておる様じゃの。この洋館は、かつての地元の名士であった黒桐男爵の邸宅だそうじゃ。もっとも日本の華族制度は昭和二二年に廃止されておるし黒桐家も断絶しておる。洋館の最後の所有者であった黒桐哲夫も昭和四七年の二月二七日に死去しておる様じゃの」
葛葉御前は、その黒桐哲夫の遺品が数十年の時を経て邪神の眷属達を招き寄せる呪物と化したのだと語った。
「黒桐哲夫は幼少期から黒魔術に傾倒しておった様じゃの。家の資産を真偽も定かではない怪しげな魔導書や曰く付きの美術品を収集する為に使い潰していたらしい。満月の夜には黒魔術の儀式だとかで犬や猫等の小動物を生贄に捧げたりもしていた様じゃ。近隣の住民からは何時しかクロ男爵と呼ばれる様になり気味悪がられていたらしい」
クロ男爵こと黒桐哲夫には親類縁者も無く誰にも看取られる事の無い孤独な最期を迎えた。
男の死後に黒桐家の洋館は人手に渡る事も無く朽ち果てるままに残された。
「これまでにも幾度と無く取り壊す事が検討されたそうじゃがな。何故か工事の度に関係者に不幸が相次いだらしい。クロ男爵の呪いが現在も洋館に染み付いておるのじゃと近隣の住民は廃家に近付こうともしなくなった。今回は、それが幸いしておるの。妾が予知した時点で既に自動召喚装置は稼働しておる。洋館の内部には邪神の眷属達がひしめき合っておるのじゃ」
洋館の許容量は限界に達しようとしていた。
一刻も早く自動召喚装置を発見して停止させなければならなかった。
「さもなくば妾の予知が現実の光景になるじゃろう。生憎と確かな呪物の位置までは予知する事は適わなかったがの。廃家の中には酔狂が高じた結果の怪しげな器物が山の様に遺されておるぞ。床や天井に描かれた星形の魔法陣。人皮で装丁された魔導書。何の動物かも判然とせぬ角のある頭蓋骨。試験管に満たされた薬液に浮かぶ胎児。そして、それ等に群がるオブリビオンの群れ。構う事は無い。片端から打ち倒して破壊するが良い」
元は魔術師ですら無い一人の男の収集品から悲劇の種が萌芽した。
万に一つの可能性であるにしても今後も同様の事件が発生しないとは断言出来なかった。
「貴様等にとっては雑兵に過ぎぬであろうが敵の数だけは多いようじゃ。オブリビオンの軍勢を相手にしながら洋館の内部に存在する召喚装置を停止させる。然る後に残敵を完全に駆逐するのじゃ。永い夜になりそうじゃの」
葛葉御前の掌中にあるグリモアが霊験あらたかな光輝によって目映いばかりに周囲を照らし上げた。
能登葉月
能登葉月です。
宜しく御願い致します。
シナリオフレーム『呪いの建造物』
火奈本・火花(エージェント・f00795)様。
厳・範(老當益壮・f32809)様の宿敵を採用させて頂きました。
この場を借りて御礼を申し上げます。
皆様の御参加を御待ちしております。
第1章 集団戦
『暗闇の追跡者』
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POW : 燃エ広ガル狂気
【崩れた輪郭から溢れ出る闇】が命中した対象を燃やす。放たれた【狂気を齎す漆黒の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 膨レ上ガル呪詛
【膨張しながら不定形に拡がり続ける闇】に変形し、自身の【輪郭や自己同一性】を代償に、自身の【攻撃範囲】と、技能【精神攻撃】【呪詛】を強化する。
WIZ : 揺レ浮カブ恐怖
レベル分の1秒で【対象の背後に出現し、対象を絞め殺す腕】を発射できる。
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コーデリア・リンネル(サポート)
アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
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コーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)の眼前に旧黒桐男爵邸が聳えていた。
風雨と年月に浸蝕された洋館の外壁を夜陰を裂く蒼褪めた月光が洗い流していた。
廃家は近隣の住人が呪いの染み付いた館であると畏れるに相応しいだけの妖気を纏っていた。
漏れた汚水が原因であろう臭気が敷地内に充満していた。
コーデリアは勇気を振り絞ると廃家の正面玄関の扉を開け放った。
グリモア猟兵が予知した影絵の如き邪神の眷属達が騒々しい侵入者の姿を一斉に捕らえた。
「予知の通り……最初から、本気で行きますよ……!」
不定形の闇が月光の騎士を飲み込もうと膨張を開始した。
それに先んじて脱ぎ捨てられた純白のエプロンが宙を舞い、洋館に凝る闇を切り裂いた。
普段は抑制されているコーデリアの魔力が解放されると同時に不浄を清める破魔の月光が携えられた棍に宿った。
理性を喪失しながらも聖性を宿すコーデリアの現在の姿は地上に顕現した聖姫にも等しかった。
それは低級の邪神の眷属が触れて犯し得る存在では無かった。
「消えて、ください……」
清かに闇を照らし上げる聖姫の月光が膨張したオブリビオンの肉体を塵埃に変えて吹き散らした。
周囲の敵を一掃したコーデリアだが警戒を解いた様子は見られなかった。
月光の騎士の鋭敏な感覚は廃家が纏う妖気が更に強大なものとして膨れ上がったのを察知した。
「本当に、永い夜に、なりそうですね……」
コーデリアは聖なる月光を宿す棍を構えると洋館の奥に足を踏み入れた。
成功
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御形・菘
右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ!
此度のロケ現場は雰囲気抜群の洋館! しかもマジで「出る」!
戦慄しながら是非とも堪能してくれ!
お主らを弱いモブ敵だとか侮るつもりは一切ないよ
数で攻めるのも作戦の一つ、ならば妾は幾千万幾億の応援を受けて、絶対の個となってブッ飛ばす!
テンションのアガッた邪神の左腕の一撃、食らって消し飛ぶがよい!
それに妾がこの手を使ったのはな、
背後に瞬間移動して奇襲をキメようとしても、視聴者がちゃんと教えてくれるからよ…後ろ、後ろとな!
はっはっは、たかだか細首絞め殺せる程度の腕が! 妾のブチ込む裏拳に耐えられるはずがなかろう!
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本日の労働を終えた会社員は帰宅と同時に動画配信サイトのお気に入り一覧を確認した。
目当ての動画配信者が生放送中であるのを確認した男の表情が喜色に染まった。
男は躊躇わずに動画を再生した。
画面に映し出されたのは妖気が漂う廃家の前で傲然と胸を張る、蛇神であると同時に邪神でもある美女だった。
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は高々と右手を突き上げると、指を弾いて鳴らした。
『はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ! 此度のロケ現場は雰囲気抜群の洋館! しかもマジで出る! 戦慄しながら是非とも堪能してくれ! それでは始まるぞ! 妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた!』
「イエー! 菘様ー! 最高ー! 今日も魅せてくれぇー!!」
毎日の労働で溜まった鬱憤を吹き飛ばすかの様な男の熱狂と声援が、広くもないアパートの部屋を震わせた。
熱烈なファン達の興奮と応援は、菘の周囲に浮かび上がる空中ディスプレイを通す事で余さずに届いていた。
今宵の生放送も大盛況であると菘は笑いながら、堂々たる態度で洋館に乗り込んでいった。
騒がしい侵入者を排除せんと影絵の如きオブリビオンの軍勢が襲来するも、菘の進撃を阻むには至らなかった。
圧倒的な存在感を誇る異形の左腕が宙を薙ぐと、邪神の眷属達が木端も同然に吹き飛ばされた。
「数で攻めるのも作戦の一つ! しかしだ! 刮目するが良い! 妾こそがキマフュの一番星! 幾千幾万の声援が! 妾を! 大勢すら凌駕する絶対の個に変える!」
豪快であるが故にカメラ映えする剛腕の乱舞が、視聴者の夢と希望を乗せて、オブリビオンを次々に打ち砕いていった。
『菘様! 危ない、後ろ!』
突如として熱心なファンの一人が声を張り上げた。
菘の眼前から音も立てずに消えたオブリビオンの内の一体が、彼女の背後に出現した。
黒い腕を伸ばすと、菘の首を強引に締め上げた。
常人ならば首の骨が折れるだろう圧を受けても、菘は小動もしなかった。
「はっはっはっ! たかだか細首絞め殺せる程度の力で、妾がどうにかなるものか! しかし教えてくれて感謝する! この一撃はお主の為に振るおうぞ!」
『菘様ー!!』
空中ディスプレイの向こうで歓喜の表情を浮かべるファンの前で披露された神速の裏拳が、非力なオブリビオンを吹き飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵
編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」
囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。
戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。
『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』
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編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)は継ぎ接ぎだらけの黒猫の縫い包みを抱き締めながら、妖気が漂う洋館の内部を進んでいた。
床と天井に配置された星形の魔法陣が放つ妖しげな光が、廃家の内部を照らし出していた。
「ここ、嫌い……」
希亜は薬品棚に陳列された試験管を満たす褐色の粘液に浮かぶ胎児らしきものを見て呟いた。
時折、視界の端を横切る輪郭さえも曖昧なオブリビオンの姿が恐怖心を煽り立ててきた。
破れた壁紙の後ろ。倒れた家具の物陰。次に開く扉の裏側にオブリビオンが潜んでいるのでは無いかという想像が、希亜の足取りを重く憂鬱なものに変えていた。
埃のついた窓硝子越しに差し込む月光を頼りに長い廊下を歩いていると、突如として窓の一枚が外側から砕かれて、高音と共に硝子の破片が廊下に散乱した。
「きゃ……!」
窓を砕いて廊下に乱入してきた邪神の眷属が、驚愕に身体を竦める希亜の首を締め上げようと腕を伸ばしてきた。
「いや……。来ないで……! 皆、いなくなっちゃえ……!」
希亜の叫びに呼応する様に、百体を超えようかという膨大な数の継ぎ接ぎされた黒猫人形が召喚された。
廊下に溢れた黒猫人形の津波がオブリビオンを押し流した。
召喚された黒猫人形が消えると、後には静寂を取り戻した廊下の真中に佇む希亜の姿が残されていた。
希亜は自分の記憶の始まりから共に在る大切な友達を胸に抱き締めた。
「静かになったよ。今日も、ありがとうね……」
清かな月明かりに照らされた黒猫の縫い包みは、優しく微笑んでいる様にも見えた。
成功
🔵🔵🔴
ロートフラメ・クリーガー(サポート)
「ヌハハハ!諸君、我輩はロートフラメ・クリーガーである!」
細かいことは気にせず、とにかく元気に勢いよく行動します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。どんな目に遭っても大丈夫です。よろしくおねがいします!
花咲・翁(サポート)
一人称は僕か我で、気分によって使い分ける。
罪人に対しては容赦が無いですが、基本的に捕縛をメインにした行動をとる。
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ロートフラメ・クリーガー(さすらいのストライカー・f36816)の深紅の装甲が月光を反射した。
重重しい鋼の駆動音が廃家の静寂を千々に乱した。
「ヌハハハ! これはまた大勢であるな!」
ロートフラメは行く手を阻むオブリビオンの大勢を捉えると武術を極めた者に特有の覇気を総身に纏わせた。
「邪神の眷属達……我が魔天牢の獄に繋ぎましょう……」
罪人を裁く魔天牢の看守長、花咲・翁(魔天牢の看守長・f33065)が漆黒の長衣を翻した。
魂を縛る黒鉄の鎖が、翁の掌中でざらりという音を立てた。
鋼鉄の拳士と死人の看守長の行く手を遮るオブリビオン達が、自らの輪郭を崩して狂気を齎す漆黒の炎を放った。
低級であるとは言え邪神の瘴気を宿す黒炎が、二人の猟兵を焼き尽くさんとした。
「生憎と我輩は見ての通りの鋼の躯体! それでは火力がちと足りぬ!」
ロートフラメに内蔵された推進装置が軌道すると、鋼鉄の拳は音を置き去りとする勢いで正面に繰り出された。
「一撃必殺! 我輩の相手をするには鍛え方が足りなんだな!」
黒炎を断つ一撃が暗闇の追跡者達に突き刺さり、激しい衝撃に廃家が揺れた。
宙に吹き飛ばされたオブリビオンの大勢が、光を宿さぬ虚ろな瞳で最後に見た光景は、翁の背後に蜃気楼の様に揺らめいて佇む魔天牢の姿だった。
翁の掌中にある閻魔帳のページが、風も亡いのに独りでに捲られていた。
「貴様達の罪状は……現世への侵入。不法滞在。瘴気流出。そして、たった今、看守への抵抗も加わった……看守権限により炎熱地獄への幽閉を申し付ける……」
翁が召喚した地獄の蒼炎が渦巻く嵐と化して邪神の眷属達を飲み込んだ。
狂気を齎す黒炎の瘴気を、罪過を滅する浄化の炎が焼き清めた。
鋼の拳と蒼き炎。二者のユーベルコードが洋館の内部に氾濫寸前となっていたオブリビオンの大勢を速やかに駆逐した。
「ヌハハハ! 雑兵が片付いて随分と見通しも良くなった! これならば自動召喚装置とやらも見つけやすかろう!」
「そうですね。一刻も早く、この永い夜を終わらせましょう」
二人は連れ立って、邪神の眷属を現世へと呼び寄せるクロ男爵の遺産の探索を開始した。
成功
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第2章 冒険
『自動召喚儀式を破壊せよ』
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POW : 力尽くで怪しげな家具や床、調度品等を破壊する
SPD : 絨毯の下や壁紙の裏など、怪しげな場所を調査する
WIZ : 霊視や魔力感知によって、儀式の核となっている座標を探す
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チェリオ・ヴィルキッド(サポート)
『チェリオにお任せください!』
『真っ正面からどーんと立ち会います!』
『皆さん、頑張りましょう!』
蒼白狐火の桜精
魔王志望なデビキン地方領主
召喚士系ドラゴンナイト
口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)
驚いたり油断すると敬語が抜けちゃいます
戦闘時は身の丈よりデカいドラゴン・ランスで頑健な前衛として、ドラゴンに騎乗して勇ましく戦います
UCはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵さんに迷惑をかける行為はしません
依頼成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
領民の皆さんに恥ずかしい真似は見せられませんからね!
他、不明点はお任せです
宜しくお願いします!
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デビルキングワールドに領地を構える由緒ある一族の末裔、チェリオ・ヴィルキッド(桜花爛漫・f36842)が身の丈を超える長大な騎兵槍を高々と掲げた。
騎兵槍の穂先に燈る蒼白の炎が中空に召喚の魔法陣を描き出した。
魔王の系譜たる春の精霊の妖精に応えて参集したのは、蒼白の炎を宿す装備に身を固めた忠実なる配下質だった。
「皆さん! 此処に有る怪しいものを片端から壊して下さい! 怪しいものばかりですけれど! 頑張りましょう!」
チェリオの号令に配下の軍勢が咆哮を上げた。
「まずは、この床の魔法陣とか怪しいです!」
長大な騎兵槍の一撃が床に描かれた星形の図形を破壊した。
配下の魔物たちも主人たるチェリオを見習い、周囲の家具や調度品を入念に破壊した。
クロ男爵が先祖の資産を食い潰して収集した呪物の数々が真贋に関わらずに砕かれて、焼き捨てられていった。
チェリオの配下の魔物の一体が、神話の怪物を模した石像を槌で打ち据えたところ、その一撃が瘴気の壁により弾かれた。
「今のは! ここはチェリオにお任せください! ……えーいっ!!」
炎を宿す長大な騎兵槍が一閃された。
魔物の膂力をもってしても破壊の適わぬ呪具が、チェリオの一撃の前に脆くも石塊へと変わった。
洋館を覆い尽くす妖気が微かに薄れていくが感じ取れた。
「まだ妖気が残っています。まさか、これがグリモア猟兵が召喚装置の正確な場所を予知出来無かった理由ですか? 呪具はひとつだけじゃないのですか?」
成功
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ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。
口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。
食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆
※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。
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ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)はチェリオから自動召喚装置と化している呪物が一つだけでは無いという可能性を聞いて、人狼の鋭敏な感覚を最大限に研ぎ澄ませていた。
「にゃー……此処も怪しいし、其処も怪しいし……怪しい場所も物も多すぎるのにゃー!」
洋館の其処彼処に残留するオブリビオンの瘴気に加えて、複数の呪具が連鎖し、共鳴したが故の濃密な妖気。それらは流石のミーヤの感覚を持ってしても廃家の全容の把握を困難なものとしていた。
神経を削るような地道な作業の連続が、ミーヤの精神に多大な負荷をかけていた。
「にゃっ! 休憩! 休憩だにゃー!」
ミーヤが取り出したのは大好物の駄菓子だった。
昔ながらの製法で作られた豊かな甘味が全身に染み渡り、ささくれ立った心を優しく癒していった。
「んんー! ミーヤ! 完全復活だにゃー! ……そしてっ! そこだにゃーっ!!」
活力を充填したミーヤの感覚は再び冴え渡り、壁紙の裏に巧妙に隠されていた呪符の位置を正確に突き止めた。
魔導蒸気機械の引き金が引かれると、発射された魔力光が呪符に宿る瘴気を貫通した。
燃え落ちる呪符と共に廃家を覆う妖気が減衰するのが感じ取れた。
成功
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御形・菘
モブい邪魔者たちをブッ飛ばしたところで、いよいよ本格的に館を捜索だな
とゆーことで普段通り、視聴者コメントにある程度ナビられながら進むとしよう
霊感とか妖気とかは専門外だし、妾がビビるリアクションも無いので各自で調達してくれ!
それと残念だが戦利品を視聴者プレゼントとかはせんからな?
雰囲気バッチリの物品がてんこ盛りだが、どの辺から手を付けてみるかのう
せっかくだから、デカいとか派手なデザインのから粉砕していくとしようか
細かい物品を握り潰したりしても地味だしな
はーっはっはっは! 瘴気だとかまあそんな感じのも、精一杯の抵抗だと思えば可愛らしいものだ!
だが妾の尾の一撃を耐えるにはパワーが全然足りんぞ!
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御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は邪神の眷属達を相手に、カメラ映えのする大立ち回りを演じた後で考え込んでいた。
目に見える範囲のオブリビオンを粗方、掃討してしまった後である。
次は、どの様にして加熱した生放送視聴者達の要望に応えようかと頭を捻っていた。
「何せ真の蛇神にして邪神たる妾の事だ! 暗がりを恐る恐る進んで物陰から化け物がバァー! ウワー、キャー!? とかは絶対に有り得ぬ! かと言って霊気とか妖気とかの辛気臭いものに関してはまるで門外漢である! 呪物? 知らん!」
菘は胸を張りながら蛇身をうねらせて廃家の内部を進んでいく。
時折、怪しげな壺だの絵画だのを蹴散らしては見るが、まるで手応えは無く、怪人どもを手あたり次第にボコって見る以上に面白い見世物とはなりそうも無い。
さて、どうするかと思案をしながら視聴者の投稿したコメント欄に視線を向けた。
すると、そこには菘の興味を一際強く惹く画期的なコメントが投稿されていたのである。
『いっそ全部纏めて吹き飛ばせばいいんじゃね?』
「はーはっはっ! 面白いな! それ、採用である!」
菘は呵々大笑しながら視聴者の意見を取り入れた。
菘の忠実にして優秀な放送スタッフ達の手によって、広間には数々の調度品が山の様に積み上げられた。
難解な魔導書が並べられた本棚。何の獣かも不明な巨大な四足獣の骨格標本。悪魔の姿を彫り上げた石像。衣装箪笥から食卓、金庫まで一定以上の大きさの物品は手当たり次第に、菘の前に集められていた。
「ガラクタも、こうまで積み重なると壮観よな! 生憎であるが、これらは視聴者プレゼントにはならぬ! マジで危ないのが混ざっていても妾には責任が取れぬ故にな。さぁ! 刮目して見よ!」
多くの視聴者が空中ディスプレイ越しに固唾を飲んで見守る中、菘の蛇身が宙に舞い上がった。
カメラのレンズに見詰められる中、くるり、くるりと、長い蛇尾が空中で振り回される。
「潰れて果てろ! 楽土裁断(ジャッジメント・テイル)!」
蛇尾が叩き付けられる瞬間、集められた品々の内の何れかが瘴気を発した様な気もしたが、菘も特に気にも留めずに蛇尾を降り抜いた。
強壮無比の一撃の前に粉微塵と砕け散るガラクタの山。傍若無人な自称邪神の振る舞いにより、遂に洋館を覆う瘴気は消滅したのである。
「はーはっはっ! 他愛なし! 召喚装置、これにて破壊完了である! 残すは残党の始末のみ! 最後まで派手に魅せるぞ!」
大成功
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第3章 集団戦
『『やれ恐ろしや』』
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POW : 狐の七化け
【マントの中から相対者と同じ姿のもの】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD : 狸の八化け
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【供物として目を付けた相手】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ : 貂の九化け
【恐怖や畏怖】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【影の塊】から、高命中力の【喰らった相手に化ける貂】を飛ばす。
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土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎
「あらあら……。ふふ、ご安心を。お手伝い致します」
一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。
先ずは【早業】で私や仲間へ【オーラ防御/結界術】展開、守りを。
【早業/軽業/地形の利用】で移動。
敵の攻撃は防御結界で弾き、物理攻撃は薙刀で【武器受け】、薙刀or式神の黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。
UCは戦況と効果次第で適切なものを使用。
可能なら【早業】で敵のUC発動前に発動。
後はお任せ。
北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理う解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。
スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、21歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
多対一又は多対多の場合
多数を一度に相手取るUCを
味方や護衛・救助対象への援護や支援が必要な場合
味方や護衛・救助対象へのサポートとなるようなUCを
各個撃破の場合
UCの選択はマスターに任せ
戦闘のみ
所持している武器・アイテムを効果的に使い戦局を有利にするよう行動
救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密に
常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
世界知識
地形の利用
咄嗟の一撃
学習力
情報収集
早業
敵を盾にする
護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳
C-BA使用
運転
操縦
運搬
騎乗
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廃家に纏わり付いていた濃密な妖気は既に雲散霧消していた。
後は邪神の眷属達の僅かな手勢が残るのみである。
それらは歴戦の猟兵達にとっては、さして恐ろしい相手であるとも思えなかった。
「あらあら……これは流石に予想していませんでしたね」
土御門家の若き当主たる土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)は自身の歩みの前に立ち塞がる者の姿を視認すると、油断なく巴形薙刀を構えた。
「敵か。まさか俺自身が敵になる事があるとはな」
「勝手に人の姿を使いやがって。余り気分の良いもんじゃねぇな」
人間と人狼の妖剣士、北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)と大神・零児(魂から別れたもう一人の令二・f01283)もまた相対する者に対して刀を抜き放った。
「大丈夫。こんなの姿を真似ただけの偽物ですから! 私達の敵じゃありません!」
スフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)がライフルを構えて立ち塞がる敵の一団を牽制しながら元気に声を上げた。
猟兵達と相対する者は、闇夜に溶け込む黒い影のごときオブリビオンと、それを守護する様に円陣を組んでいる自分達の姿であった。
鏡面に映った像が実体化したかのように、瓜二つの姿がオブリビオンに付き従っている。
『泰花』は真言の刻まれた呪符を携え、『優希斗』と『零児』は鍛えた剣術の型を模倣しながら、贋作の妖刀を構えている。
『スフィア』はライフルの引き金に指をかけて、自身のオリジナルである赤髪の女へと銃口を向けていた。
『我らが主の下へと参りましょう』
『其処に敵は無く罪も無い。真の安息が約束されている』
『長い長い闘いも、漸く終わりを迎えるんだぜ』
『皆でひとつになるの! それは凄く素敵な事だと思うよ!』
姿だけでなく声の響きまでもが本体と寸分の狂いもなく再現されていた。
猟兵達の顔に隠しようも無い嫌悪が表情となって現れる。
「お断り致します。そのような甘言に惑わされる私達ではありません」
「刀刃を構えておきながら、敵が無いとは笑わせる」
「そうだ。俺の終わりは俺が決める! 偽物に押し付けられるもんじゃねぇ!」
「私達はひとつじゃないけど、一人じゃないよ! だから力を合わせる事が出来るんだから!」
実態を伴わないオブリビオンの甘言に惑わされる者は一人として居なかった。
これまでの闘いを勝ち抜いてきた猟兵達の強靭な精神は、ただ姿かたちを真似ただけの虚像に犯し得るものでは無い。
確固たる自身を示す猟兵達の堂々たる姿を前に、贋作として生み出された影達の輪郭が崩れて揺らめきだした。
「此の世ならざる邪悪の影! 祓い、浄めます!」
泰花の足が大地を蹴り、清浄な気を纏って振るわれる巴形薙刀の軌跡が夜気を裂いた。
『し、四神よ! 疾く来りて私を守……!』
『泰花』が術を唱えるよりも疾く、薙刀の一閃が、舞い散る呪符諸共に贋作の肉体を両断した。
「邪妖滅殺。虚ろな影よ。陰陽五行の理のもと、天地の氣に還りなさい」
『優希斗』が形ばかりを模した白銀の妖刀を振り被る。
「遅い」
斬の一字が夜気と共に『優希斗』を裂いた。
斬られた『優希斗』の身体から鮮血ではなく黒い影が流れ出す。
刹那の内に間合いを詰めた本物の優希斗が両手に携えた双刀を目にも止まらぬ速さで振り抜いていた。
「俺の剣は、拭えぬ罪を背負うが故の業だからな。罪を無くそうとする者には、形すら模倣は出来ないさ」
零児の妖刀「魂喰」もまた己の虚像を貫いていた。
苦悶の表情を浮かべる『零児』の肉体から、貪欲な妖刀の刃が魂を強奪していく。
『馬鹿野郎が……俺の主だけが『俺』を救えるって言うのによ……!』
「救いなんぞ求めちゃいねえ。そんなモンに縋るほどガキじゃねぇんだ。歩みを止めるほど年も食っちゃいねえよ。失せな。お前は、俺じゃねぇ」
『零児』の身体は虚ろな影となって四散した。
スフィアの構えたライフルの銃口から、霊的エネルギーを秘めた弾丸が発射される。
彼女の姿を模した虚像は廃家の床を蹴る事で、その射線上から逃れた。
『残念! 私は『私』だから! 『私』が撃つ時の癖は全部、判るんだよ!』
「そうみたいだね。でも、それがどうかしたの? 私、貴女なんか最初から相手にしてないよ!」
スフィアの言葉と不敵な笑みを前にした赤髪の虚像が狼狽する。
重たい音を立てながら『スフィア』の手にしたライフルが地に落ちた。
銃把を握る偽物の腕が蜃気楼の様に揺らめいて、端から消え失せていく。
『スフィア』が背後を振り返った。
其処にはオリジナルの銃弾によって撃ち抜かれた邪神の眷属の、崩れ落ちようとしている姿があった。
「一人じゃないって言ったでしょ。皆はね。私のために、わざと自分の偽物と派手に戦ってくれたんだよ! 皆、ありがとう!」
スフィアの言葉に猟兵達が力強く頷いた。
虚像を生み出していた邪神の眷属が消滅すると同時に、形だけを模した贋作の残滓も陽光に照らされた影絵の如くに消え失せたのである。
成功
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御形・菘
どのような経緯で呼び出されようが、世の中に迷惑を掛けなければ好きにすればよいと思うのだがな
これでどうして襲撃とかに走るのかのう?
お主らに帰る場所などない! 朝が来る前には終わらせるとしようか!
右手で、眼前の空間をコンコンコンっと
はーっはっはっは! ようこそ妾の統べる世界へ!
自分とまったく同じ姿形のナニモノか、確かに普通なら恐ろしいものよ
だが妾的には大歓迎! きっとこの撮影を、バトルを共に盛り上げてくれるのであろう?
はっはっは、エモいロケーションに同キャラ対戦、これで戦闘力が上がらんワケがない!
本体とカッコ良く連携して攻めてみせるがよい
できなければせめてド派手に散れ、真なる邪神の左腕の一撃でな!
●
夜明けが近い。永い夜も終わりを迎えようとしていた。
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の生放送『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』も遂に佳境である。
菘の前に立ち塞がった最大の強敵は『菘』自身であった。
「どのような経緯で呼び出されようが、世の中に迷惑を掛けなければ好きにすればよいと思うのだがな」
『『妾』達は偉大なる主の御心に添うのみぞ。全てをひとつに。溶け合い、混じりあい、果ての無い永遠の闇へ。それこそが主の望み。『妾』が産み落とされた意味じゃ』
『菘』の言葉に真なる蛇神は呵々大笑をしてみせる。
「はーはっはっ! なるほどの! 姿かたちは瓜二つに真似られても、妾の輝きまでは複製できぬか! キマフュの一番星たる妾が! 胡乱な神などに傅くものか! 妾の活躍を心待ちにするファンに顔向けが出来ぬ! ゆくぞ! 今宵最後にして最大の見せ場! 敵は妾を騙る不敬なる大馬鹿者! 刮目して見るが良い!」
空中ディスプレイの向こうで声援を贈る視聴者に向けて宣言すると、菘の右手がコンコンコンと空中を叩いた。
その動作がキマイラフユーチャーの無限の欲望を開放する中枢システムの機能をUDCアースに流出させる。
それは菘が望むカメラ映えのする極地の世界。極彩色の花が咲き乱れる爛漫の戦場の具現化である。
「ようこそ、妾の世界へ! 同キャラ対戦を彩る戦場へ! 『妾』よ。かかってくるが良い! お主も妾の姿を模しているならば、やるべきことは判っている筈!」
『はーはっはっ! 無論! 我が主よ照覧あれ! 垂涎の供物を捧げようぞ! 然る後、そのチャンネルは『妾』が頂く! 妾のファン、根こそぎ供物にしてくれる!』
カメラの前で蛇神と、邪神の眷属が生み出した虚像との壮絶な闘いが始まった。
拳が火花を散らし、振るわれる蛇尾が花々を薙ぎ払う。
両者の死闘に、今宵、最高の熱狂が視聴者達の身体を貫いた。
「素晴らしいぞ! 妾の闘い方を良くぞ、ここまで模倣した! しかし! 妾は更に先を征く! この一撃でド派手に散れ! 高評価とチャンネル登録を、よろしく頼むぞ!」
カメラに向けて最高のキメ顔を披露した菘の一撃が、虚像と、それを操る邪神の眷属の残党を諸共に吹き飛ばした。
こうして『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』生放送は、今宵も大盛況の内に終幕したのである。
大成功
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夜が明けた。
クロ男爵の洋館は暁の光に沈黙したまま佇んでいる。
昨夜の猟兵達の活躍を近隣の人里の住人達が知る事は無い。
邪神の侵略は猟兵達の活躍を前に一人の犠牲者を出す事も無く終結した。
猟兵達は褒賞も賛辞も受け取ることは無くグリモアベースに帰還した。
永い夜を超えた先にある何時もと変わらぬ平穏の夜明け。
それこそが彼らに与えられた最高の褒賞であった。