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星逢の一夜

#カクリヨファンタズム #戦後


 そこは美しき神域。
 大地の代わりに、足元には水が満ち。
 周囲を取り囲む花を、淡く煌めく灯籠を、中央に立つ鳥居を、水鏡に映す。
 いや、水に映るのは、景色だけではない。
 そこを訪れた人が失った大切な存在を、その思い出を映し出す。
 明けも暮れもしない狭間で、逢魔が時に揺れる、追憶の神域。
 妖怪達が戯れに訪れては、思い出に浸って、また去って行く。
 そんな穏やかな場所に。
 ひらひら、ひらひらと蝶が舞い踊った。
 ただの蝶ではない。
 不思議な霊力を放ち、幽世に舞う『幽世蝶』の群生。
 世界のほころびを感じ取り、世界の崩壊するしるしとして集まる蝶だ。
 幽世蝶が舞う中で。
 逢魔が時から動かなかったはずの時間が時を刻み。
 薄暗かった空が、夜空に変わっていき。
 暗闇の中にぼんやりと浮かび上がるのは、大きな大きな天の川。
 そしてその景色は、足元の水鏡にも映って。
 地の川となったその煌めきの、遠い対岸に。
 貴方の大切な存在が立っていた。
 水鏡に映るのではなく。
 亡くした魂がそこへ戻ってきたかのように。
 貴方の愛した、懐かしい縁者が立っている。
 そして、地の川は、水鏡に映りし虚像。
 元々、地面のように歩けた水面だ。天の川が映っても、それは変わらないから。
 貴方は地の川を歩き渡り、その相手と会うことができるだろう。
 会って、話して、手を取って、共に過ごすことができるだろう。
 でもそれは、一時のもの。
 神域が元の逢魔が時へと戻ってしまえば、再度の別れが訪れる。
 会えず、話せず、触れ合えず。思い出を眺めるだけの場所に戻ってしまう。
「それは嫌でしょう?」
 そんな哀しみに『黄泉の妻返し・足長手長』は語りかけた。
 妖怪・足長が、肩車をした妖怪・手長の繊手に口づけながら。
「僕は手長と共に在りたい。
 例えその姿を見ることを禁じられても。二度と離れたくない」
 振り返ることはできないけれど。
 その存在を感じ、声を聞き、手を取ることができる。
 手長が骸魂であり、足長も取り込まれ、オブリビオンと化してしまっていても。
 ずっと一緒にいることができる。
「貴方も、そうでしょう?」
 取り戻した大切な存在と共に在る、自身の姿を見せながら。
 ひらひら、ひらひらと幽世蝶が舞う中で。
 足長は、別離の哀しみに震える者達へ、誘いの声をかけた。

 それがカタストロフを導くとしても。
 もう、失いたくない、から。

「そう願っちまう気持ちは分からないでもないが、カクリヨファンタズムが滅びていくのを黙って見ているわけにはいかないからね」
 状況を説明した九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は、苦い顔で猟兵達を見回した。
「まだ世界の崩壊は始まってすらいない。
 今のうちにどうにか説得して、諦めさせておくれよ」
 もちろんそれは物理的な説得でもいい。骸魂だけを倒せれば飲み込まれた妖怪は助けられるし、オブリビオンが妖怪に戻れば、世界の終わりは防げる。
 でももし、その心に寄り添い、呼びかけるなら。
 大切な人との邂逅と別離を、見せてあげることだ。
 オブリビオンとなってしまった彼の妖怪とは違う選択を、目の前で見せれば。
 伝わるものも、あるだろう。
「……どちらにしろ、辛いだろうが……」
 夏梅は憂いの顔で、それでも呟くように告げる。
 頼んだよ猟兵、と。


佐和
 こんにちは。サワです。
 足元のミルキーウェイです。

 辺りは夜。天の川が綺麗な星空が広がっています。
 足元は地面ではなく水面で、しかし行動に関しては地面と何ら変わりありません。
 水面は水鏡となっていて、辺りの花々や星空を映し込んでいます。

 第1章は、水鏡に映った天の川の片岸から。
 対岸に、貴方の『亡くした愛する存在』が現れます。
 愛する、は恋愛に限りません。親愛でも友愛でも家族愛でも大切であったならば。
 水鏡に映った天の川を越えて、会うことができます。
 1年に1度の七夕物語のように。
 再会の一時を過ごしてください。

 第2章では『黄泉の妻返し・足長手長』が現れます。
 足長は、愛する手長を骸魂として黄泉返らせ、オブリビオンになっています。
 そんな彼らに、貴方の別離を見せてあげてください。
 その選択が、足長の心を揺さぶれば、戦わずとも倒すことができます。
 尚、戦闘で倒すことも可能です。

 それでは、再会と別離を、どうぞ。
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第1章 日常 『櫻禍刻ノ神域』

POW   :    焦がれるような強い想いを抱く

SPD   :    楽しく嬉しい想いを抱く

WIZ   :    優しくあたたかな想いを抱く

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
神臣・薙人
もう一度会えたら、二度と放したくない
その気持ちは、理解出来るのです
でも…
私はこの世界を、壊したくない

天の川の対岸にいるのは
神臣みづき
十四でゴーストに殺された、僕の従妹

ゆっくり天の川を越えて
みづきの前に
久しぶり。薙人だよ
随分見た目が変わっちゃったけど
みづきには分かるかな
その手を取ったら
きっと涙が溢れてしまう
みづきが困っているのが分かるのに
どうしても止められない

まっすぐな長い髪が好き
無邪気な笑顔が好き
僕の名前を呼んでくれる声が好き
お日様みたいに優しい心根が好き

…全部、君がいなくなってから気が付いた
ごめんね
そこにいるのが僕なら良かった
怒らないで
大好きだからそう思うんだ

もう暫く手を握っていてもいいかな



 足元に広がる煌めきに、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)はそっと足を踏み出した。
 それは、天にかかる天の川を映した水面。
 草履を中心に小さな波紋が広がるけれど、沈むことはなく。
 地面と何ら変わりない感覚で歩いて行ける。
 その不思議さと煌めく美しさを、だが薙人はほとんど見ていなかった。
 どこかぼんやりとして見える茶色の瞳が見つめるのは、進む先。
 天の川で言うならば、薙人が立っていた場所の対岸。
 そこに1人の少女の姿があったから……
 神臣・みづき。
 14でゴーストに殺された、薙人の従妹。
 もう会えるはずのなかった相手。
(「もう一度会えたら、二度と放したくない。その気持ちは、理解出来るのです」)
 真っ直ぐな長い髪を揺らして、無邪気に笑っている姿に、心が叫ぶ。
 会いたかったと。大好きだと。ずっと一緒にいたいと。
(「でも……」)
 ふっと俯いた視界に映る、天の川。
 儚くも美しい、不思議な光景。
(「私はこの世界を、壊したくない」)
 だから。だけど。
 薙人はゆっくりと天の川を越えて。
 こちらを見て少し首を傾げるみづきへ、長いマフラーのように首元に巻いた白い布の下に隠して小さく口を開き、声をかける。
「久しぶり。薙人だよ。
 随分見た目が変わっちゃったけど、分かるかな」
 シルバーレインに居た時と違い、今の薙人は桜の精だから、頭部に桜の枝は生えているし、黒い着物に白い羽織といった和装を身に纏っている。
 けれど、みづきは、そんな差異は些細な事だとでもいうかのように。
 そっとその手を薙人に伸ばして。
 赤い飾り紐が編み込まれた左側の横髪に触れ、告げる。
 もちろん分かると優しい声で。
 また聞きたかった、思い出の中と変わらぬ声で。
 みづきが、笑いかけてくれる。
 黒髪に伸ばされた繊手に薙人が手を添えると。降ろされた手は優しく繋がれて。
 その柔らかな感触に、涙が溢れた。
 突然のことに、みづきが驚き、戸惑い、困っているのが分かる。
 薙人の涙に反応して。薙人のことを心配して。
 繋いだ薙人の手を放さずに。
 みづきはそこに居てくれる。
「ごめんね」
 困らせていると分かっていても、涙は止まらない。
 そして、みづきを怒らせると分かっていても、言ってしまう。
「そこにいるのが僕なら良かった」
 彼岸に居るのが薙人で。此岸に居るのがみづきだったなら。
 殺されたのが自分であったならと。
 何度も、何度も、何度も、思ったことを。
「みづきが大好きだから、そう思うんだ」
 真っ直ぐな長い髪が好き。
 無邪気な笑顔が好き。
 名前を呼んでくれる声が好き。
 お日様みたいに優しい心根が好き。
 でも薙人がその気持ちに気付いたのは、みづきがいなくなってから。
 全部、みづきがいた時には気付けなかったこと。
 だから薙人は、困りながらも怒ってくれるみづきの姿に、また涙をこぼす。
 昔のままの従妹の姿に。
 大好きな気持ちをようやく重ねて。
 足元にぽつぽつと、小さな波紋が次々生まれていく。
 でもその景色は、やっぱり薙人の瞳には映っていなくて。
 潤んだ視界の全ては、みづきに向けられたまま。
 見つめ合い、手を繋いだままで。
「ごめんね……もう暫く手を握っていてもいいかな」
 ぽつり、と零れたのは、せめてもの願い。
 みづきは困った顔で薙人を見つめ。
 それでもどこか嬉しそうに、小さく頷いてくれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
私とどこか似た、でも宙色の私と違った銀の髪、水面の瞳。
その姿は亡くした……失くしたとも言えるかしら。
過去世の私。柵も乗り越えて私は私だと言えるようになって、それはとても喜ばしい事だけども。
でもね。
かつて幻でも見たその姿がどんどん記憶から失われるのはどうしてか悲しい。
「忘れ去られてしまう時が本当の死」
きっと彼の人の姿は記憶は、私以外覚えてる人もいないのでしょう。だからこそ私は私が終わる時その時まで覚えていたい。誰かの為に生きて想いに殉じたあなたの事を。
それがあったからこそ私は私の為に生きると決められたのだから。

語る言葉は必要ないでしょう。今ある私の姿、それを見ていただけたら。



 足元に映った天の川のように。
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)の長い髪も煌めいていた。
 星々が連なる銀河を思わせる、藍晶石のクリスタリアンとしての輝き。
 宙色の瞳で確認するように、肩から流れるそれを見下ろした藍は。
 俯き気味だった顔を上げる。
 真っ直ぐに。天の川の向こう岸へと。
 そこには、藍が立っていた。
 ――いや、藍ではない。
 どこか似た面差しの彼の人の髪は銀色で。藍を見つめる瞳は水面のよう。
 藍とどこか似た、藍ではない……
(「過去世の、私」)
 転生する前の、影朧として存在していた、藍になる前の『藍』。
 かつて幻でも見たその姿が、川の向こうに立っている。
(「私の、亡くした姿……失くした、とも言えるかしら」)
 ゆっくりと『彼の人』に近付きながら、藍は思う。
 猟兵となり、様々な人と出会ったことで、藍は過去世の柵を乗り越えて。
 私は私だと言えるようになって。
 それはとても、とても喜ばしい事。
 だけども。
 彼の人の姿が、彼の人の記憶が、藍の中からどんどん、どんどん失われていくのが。
 どうしてか、悲しかった。
「忘れ去られてしまう時が本当の死……」
 彼の人の姿を亡くした藍が。
 彼の人の記憶も失くしてしまうことが。
 悲しい。
 きっと、藍以外に覚えている人もいないだろう。
 彼の人の姿も。彼の人の想いも。
 藍の中にだけ、残っているのだろう。
(「だからこそ、私は……」)
 覚えていたい。
 せめて、今の私が終わるその時までは。
 忘れずにいたい。
 失くさずにいたい。
 誰かの為に生きて想いに殉じた彼の人の事を。
 だって、そんな酷く重い想いがあったから。
(「それがあったからこそ、私は私の為に生きると決められたのだから」)
 藍は藍だと言えるようになったのだから。
 現世の私のために。
 過去世の私を、失くさないと。
 藍は、天の川を渡り、彼の人の前で立ち止まる。
 忘れかけていたその姿を、もう一度、宙色の瞳に焼き付けるかのように。
 ただただ、真っ直ぐに見つめる。
 語る言葉は必要ない。
 伝えたいことは、1つだけ。
 私はあなた。
 でも、私は私。
 ゆえに藍は、今ある自分の姿をただ見せる。
 天の川が煌めく中で。
 藍晶石の輝きを示す。
(「今の私を、見ていただけたら……」)
 淡い微笑みを浮かべた2人は、ただ静かに向かい合っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

インディゴ・クロワッサン
※大切なヒトは宿敵:アンリ(関係性等全て排出済
「…僕に『愛する存在(もの)』が居るとは思えないけどなぁ…?」
首を傾げつつ、向かうは偽りの此岸。彼岸に立つのは─
「■■■?」
僕の発した音なのに、相変わらずその音は認識出来ないけど、見覚えのある執事服の男性が。今回は顔も見えた。
『■■様、お待ち申し上げておりました』
いつぞやに聞こえた幻聴が。いつかに見えた幻影が。恭しく僕に頭を垂れる。
モノクルを掛けた黒髪の男性執事。
何故か無性に彼に触れたくなった僕は、地の川を渡って、彼に手を伸ばして─
『…何故、お気づきになったのですか』
一瞬、彼が何を言ってるか分からなくて、動きが止まる。
『何故、私が『世界の敵(オブリビオン)』だとお気付きになられたのですか、■■様』
淡々と紡がれた言葉。でもそれは切実な音の響きを残していて。
でも、猟兵になる以前の記憶が無い僕には分からない。
「…分かんない。分かんないよ、僕(インディゴ)には…!」
知らない事を問うその声に泣きたくなって、彼の質の良い執事服を掴んで、顔を押し付けるよ。



 水が満ちた美しき神域。
 澄んだ水は鏡のようにそこにあるものを映し出す。
 周囲の花を。灯籠を。鳥居を。そして、天の川が輝く空すらも。
 ゆえに、夜空を歩いているかのような不思議な光景の中を、インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)は面白そうに歩いていた。
 1つ1つ星を踏んでいくかのように、ちょっと遊んだ足取りで。
 向かうは天の川の……いや、地の川のほとり。
「向こう岸に、亡くなった愛する者が現れる、かぁ……」
 岸辺に立ち、輝く川の向こう側を眺めたインディゴは。
 聞いた話を思い出し、首を傾げた。
「……僕に『愛する存在』が居るとは思えないけどなぁ……?」
 猟兵になる以前の記憶をなくしているインディゴには、そもそも現れるような誰かがいた覚えがないから。こういう場合はどうなるんだろう? と、ちょっと天邪鬼な好奇心を抱いて、偽りの此岸に立つ。
 誰も現れないはずの彼岸。
 そこに、金色の瞳を向けて。
 黒い人影が直立しているのを、見た。
「え……?」
 誰も居ないはず。誰も現れないはず。
 それなのに、誰かがいる。まずそのことに驚いて。
 知らないはず。見覚えなんてないはず。
 それなのに、とても懐かしく感じることに驚いて。
「■■■?」
 口から零れ出た音に、また驚く。
 それは間違いなくインディゴが紡いだ音。多分、彼岸の誰かの名前。
 でも、その音はインディゴには認識できなくて。
 はっきりと発した音なのに、何を言ったのか、相変わらず分からない。
 でも、彼岸の誰かには……執事服をきっちりと着込んだ男性には、聞こえたようで。
『■■様、お待ち申し上げておりました』
 恭しく、インディゴに頭を垂れる。
 いつぞやに聞こえた幻聴が、鼓膜を震わせ。
 いつかに見えた幻影が、より鮮明に網膜に映った。
 灰色のベストに黒いタイ、白いシャツと黒い上下の燕尾服。白い手袋にも黒い革靴にも汚れ1つなく、隙なく着こなされた執事の正装。
 短い黒髪すら1糸も乱れることなくさらりと艶やかに揺れ。
 整った顔立ちにかけたモノクルの下で、赤い瞳が僅かに緩く細められる。
 冷たくすら感じられる程の完璧な容姿の中で、穏やかに浮かべられた微笑。
 それを認識した瞬間。
 インディゴは、地の川に足を踏み出していた。
 何故だろう。無性にその人に触れたくなって。
 2人の間を隔てる川を、衝動的に渡る。
 煌めく水面を揺らし、距離が縮まると共に、その人に手を伸ばして……
『……何故、お気づきになったのですか』
 再び聞こえた声に、ぴたり、と動きが止まる。
 あと数歩の距離まで近づいていた足も。もう少しで触れそうだった手も。
 その人が何を言っているのか分からなくて。
 聞こえた言葉の意味を理解しきれなくて。
 インディゴは、止まる。
『何故、私が「世界の敵」だとお気付きになられたのですか、■■様』
 切実な音の響きに、動けなくなる。
 淡々と紡がれた言葉。
 責めるでもない。咎めるでもない。
 ただただ純粋に疑問として、インディゴに投げかけられた問い。
 でも、インディゴには、この人が誰なのかも分からない。
 世界の敵だと……オブリビオンなのだと知るはずもない。
 なのに。
 それなのに。
 男は、インディゴの知らないことを問う。
 インディゴの無くした記憶を、淡々と、切実に、問う。
 だから。
「……分かんない。分かんないよ、僕には……!」
 泣きたくなったインディゴは。
 数歩の足を進め、止まっていた手を伸ばして、執事服を掴む。
 手に伝わる質の良い感触にも、涙が零れかけ。
 それを隠すように、さらに顔を押し付けて。
「分かんないよ……」
 名前も忘れ、今は髪色からインディゴと名乗る金瞳のダンピールは。
 思い出せない名を呼ぶ男の胸で、藍色の長い髪を振り乱しながら首を左右に振り。
 地の川の彼岸にぽつぽつと、煌めく星を落としていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『黄泉の妻返し・足長手長』

POW   :    手長・黄泉返りの約定。または哀しき妻の羞恥。
自身の【隠した顔を敵に見られる事】を代償に、【顔を見た対象に骸魂化した黄泉の軍勢】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【生への飢えのまま死の雷を纏った武具】で戦う。
SPD   :    足長・黄泉返しの約定。または愚かな夫の矜持。
【妻である手長の守護する】事で【埒外の生物を殺害可能な存在又はそれその物】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    足長手長・果たされた約定。または憐れな比翼連理。
【二人が黄泉の力と埒外の力】に覚醒して【死生を超越した魂を共有した存在】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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 ひらひら、ひらひらと蝶が舞う。
 逢魔が時から夜へと変わってしまった神域で。
 会えないはずの存在に会えてしまった人々を案ずるように。
 ひらひら、ひらひらと、幽世蝶が舞う。
「……もうすぐここは、逢魔が時へ戻ってしまう」
 そこにぽつりと語る声。
「元々ここは、思い出を眺めるだけの場所。
 会えず。話せず。触れ合えず。
 かつての姿をただ見ることしかできなくなる」
 それは嫌でしょう? と哀しく微笑むのは。
 愛する手長を肩車した足長……すなわち、『黄泉の妻返し・足長手長』。
「僕は手長と共に在りたい。
 例えその姿を見ることを禁じられても。二度と離れたくない」
 手長が骸魂であっても。
 その繊手に口づけることができるなら。
 足長が取り込まれてオブリビオンになってしまっても。
 その声を聞き、話をすることができるなら。
「ずっと一緒にいたい。
 そう望むのは、当然でしょう?
 貴方も、そうでしょう?」
 足長は幸せそのものといった微笑みを浮かべ。
 猟兵達にも誘いの声をかける。
 亡くした人とまた共にいられるのなら。
 オブリビオンになってもいい。
 カタストロフを導いてしまってもいい。
 もう失いたくない。
 その人が大切であればあるほどそう思うはずだと。
 足長は微笑み。
「さあ、貴方も」
 自分と同じ選択をするのが当たり前だと信じ切った様子で。
 猟兵達を見つめ、誘いの声をかける。

 ひらひら、ひらひら。
 
神臣・薙人
みづき
もう一度会えて、嬉しかったよ
でも、そろそろお別れだね

足長さんの気持ちは、痛いほど分かる
でも僕はその道は選ばない
みづきが骸魂になるところなんて
見たくない
みづきと共に在る事で
この世界を壊してしまうなんて
僕は、そんなの、絶対に嫌だ
みづきはそんな事望まない

足長さんは本当にそれでいいの?
手長さんを世界を壊す
災厄してしまっていいの?
手長さんは本当にそれを望んだの?
愛するひとを作り変えて
そうして自分も変わってしまって
それは愛情なの?

…そう言うと思ったって?
みづきはお見通しだね
もう、お別れの時間
今までも、これからも
僕はみづきがずっと大好き
…さようなら

涙は止まらないけど
僕は笑うから
みづきにも笑って欲しいな



 ずっと繋いでいた手を。
 ずっとずっと繋いでいたい手を。
 神臣・薙人(f35429)はそっと放した。
「みづき。もう一度会えて、嬉しかったよ」
 柔らかな感触が離れる。温かな温もりが遠ざかる。
「でも、そろそろお別れだね」
 小さくも1歩、2歩と後ろに下がって、薙人は少女に淡く微笑んだ。
 神臣・みづき。
 14でゴーストに殺された、薙人の従妹。
 ここで別れたら、もう二度と会えない相手。
 だけど……
「どうしてその手を放すのです?」
 心底不思議そうな声に、薙人は肩越しに少しだけ振り返る。
 そこに居るのは『黄泉の妻返し・足長手長』。死に別れた手長を骸魂として黄泉返らせて肩に乗せる、オブリビオンと化した長い足の妖怪。
「ずっと一緒にいたいのでしょう? 貴方もそう望むのでしょう?」
 愛おしそうに手長の長い右手に口づけて。
 愛おしそうに手長の長い左手を握りしめて。
 薙人もと誘いかけるようにこちらを見つめていた。
(「足長さんの気持ちは、痛いほど分かる」)
 少女の手を離さなくていいのなら、どれだけ嬉しいだろう。
 少女が傍で笑い続けてくれるなら、どれだけ喜ばしいだろう。
 そう望む気持ちが薙人の中にないといえば嘘になるのだから。
 だけれども。
(「でも僕は、その道は選ばない」)
 薙人はそっと首を左右に振った。
「足長さんは本当にそれでいいの?
 手長さんを、世界を壊す災厄にしてしまっていいの?
 手長さんは本当にそれを望んだの?」
 薙人は、少女が骸魂になるところなんて、見たくない。
 少女が薙人と共に在る事で、この世界を壊してしまうなんて。
 絶対に、嫌だった。
 それに、きっと。
(「みづきはそんな事望まない」)
 そう思うから。
「愛するひとを作り変えて、そうして自分も変わってしまって……
 それは愛情なの?」
 薙人は肩越しに、足長に視線と言葉を投げてから。
 ふと、正面にまた向き直る。
 そこに立つ愛しい少女は。
 薙人が好きな笑顔を無邪気に浮かべて。
 薙人が好きな声で薙人の名前を呼んで。
 そう言ってくれると思っていたと。
 嬉しそうに笑っていたから。
「……みづきはお見通しだね」
 薙人も少女に淡く微笑んだ。
 その茶色の瞳からまた涙が零れるけれど。
 マフラーのような首元の白い布を濡らしながら。そして、足元で輝きを薄れさせ始めている天の川に、ぽつぽつとまた小さな波紋を生みながら。
 それでも薙人は、少女に笑いかける。
「今までも、これからも、僕はみづきがずっと大好き」
 少女が生きているうちに伝えられなかった思いを。
 少女が生きているうちに気付けなかった思いを。
 しっかりと口にして。
 最期の時を、笑い合う。
「……さようなら」
 夜闇が薄まる中に、大好きな少女の嬉しそうな笑顔が消えていくまで……
 

大成功 🔵​🔵​🔵​


 ひらひら、ひらひら。
 
夜鳥・藍
その姿を見る事が出来るだけでも奇跡。私にとってはそう。
だってこれはかつての私。待つことしかできなくてそうして死んだ過去の私。
今の私がいる以上、過去の私は過去でしかなくて。共にある事はもとより不可能。
再度記憶に刻むことが出来る事がどれだけの幸いか。
独りで生きて死んだから、きっと誰かが祈ってくれた願ってくれた。
そうして今の私がいる。離れて暮らしていても私は両親の想いも慕ってくれる弟の感情もをしかと感じる事が出来る。
今の私(あなた)はもう一人じゃない。

あなた方(手長足長)と私とはここにいる意味すら違うでしょう。
でもそれでも姿を目に焼き付ける事が出来る事、それだけで。私には幸いなのです。



「ずっと一緒にいたいと、貴方も望むでしょう?
 大切な人ならば、それが当たり前でしょう?」
 揺れ始めた『黄泉の妻返し・足長手長』の声に、夜鳥・藍(f32891)は振り向いた。
 失った大切な人を前に、自身と違う選択を見せた者に戸惑い。
 でもまだ、手長を肩に乗せ、その長い手を片時も離さないままで。
「それとも、会えたその人は、貴方の大切な人ではないのですか?」
 足長は、どこか縋るように藍を見つめている。
 この場で、大切な人を前にした者に、自分の考えを否定されるとは露ほども思っていなかった……そんな動揺を、藍は感じ取って。
 しかし、はっきりと首を横に振る。
「いいえ」
 目の前に在るのは、藍が会いたかった人に間違いないと。
 共に居たいと思う者であるのは、足長と同じではあるのだと。
 けれども。
「でも、あなた方と私とは、ここにいる意味すら違うでしょう」
 それだけを告げて、藍は足長に背を向けた。
 宙色の瞳に、再び、藍によく似た面差しを持つ銀髪の彼の人を映して。
 水面のような瞳と、視線を合わせる。
 数歩足を踏み出せば触れられる距離。
 だが藍は、やはりその短い間を詰めることはせずに。
 じっと見つめるだけ。
(「だってこれはかつての私。待つことしかできなくて、そうして死んだ過去の私」)
 亡くしてしまった大切な存在。
 会いたいと、忘れたくないと、強く望んでいた相手。
 でも、そもそもが、触れ合うことなどできない人。
(「今の私がいる以上、過去の私は過去でしかなくて。共にある事はもとより不可能」)
 藍にとっては、その姿を見る事が出来るだけでも奇跡である人だから。
 記憶から失いかけてきた彼の人を、再度記憶に刻むことができた。
 それだけで、どれだけの幸いか。
 だから藍は、ただただ、彼の人を、過去の自分を、見つめる。
 かつて、独りで生きて、死んだ藍。影朧となっていた藍。
 でも、誰かが祈ってくれて。願ってくれて。
 そうしてクリスタリアンに転生できた、過去世の藍。
(「だから、今の私がいる」)
 藍は、両親に愛され、離れて暮らしている今もその想いを感じられていて。
 慕ってくれる弟の感情も、しっかりと受け止め、感じる事ができている。
 それは、過去の藍があったから。影朧だった藍が転生したからこそ。
 ゆえに大切で。
 だからこそ忘れたくない。
 そんな彼の人と相まみえた奇跡に、藍は微笑む。
 しかし、それ以上は望まないから。
 夜闇が薄まっていく中で。
 足元に映る天の川が、その煌めきを減じていく中で。
 もう二度と忘れないというように。
 藍は、彼の人の姿を目に焼き付けて。
 そして、告げる。
 ただ1つだけの、伝えたいことを。
「今の私はもう1人じゃない」
 私はあなた。私は私。
 私はもう独りではないのだから。
 あなたももう独りではないと。
 彼の人の姿を見て。
 自分の姿を見せて。
 彼の人に――私に告げれば。
 藍によく似た淡い微笑みは、藍晶石の輝きをその目に焼き付けながら消えていった……
 

大成功 🔵​🔵​🔵​


 ひらひら、ひらひら。
 
インディゴ・クロワッサン
…僕が泣いてる間、ずーっと頭撫でてくれてたんだね…
『私は、幼少期から■■様にお仕えしている専属の執事ですから。』
そうなんだ… 僕にも執事が居たんだね…全ッ然、思い出せないけど。
泣き止めたら、ずっと握ってた執事服から手を放すよ。
シワになってないか心配した僕に、戦闘以外は何でも出来るから問題ない、って言った顔が自慢気で、思わず笑っちゃった。心から。
「…ぷふふっ… アンリらしいや…!」
ん…?今、僕は何て?
確りと自分の耳で聞き取って認識した音を、確認する。
『えぇ、我が名はアンリ。■■様の忠実なる僕。 そして』
「猟兵たる僕の、宿敵…」
僕の敵だと理解した途端、血が騒いだ。
血を吸い、喰らい尽くして還せと本能が叫ぶ。
でも、もう少しだけで良いから、彼と──
『はい。ですから、次にお会いした際は、どうか───』
彼の言葉全てを聞き取る前に(指定)UCが発動して、僕の意識は途切れた。

意識を取り戻した時には、既に彼の姿はなくて。
「──次は、色々と教えてね、アンリ」
多分きっと──この別れ方が『僕達らしい』んだろうね。



 インディゴ・クロワッサン(f07157)は泣き続けた。
 足元に輝く地の川が、その煌めきを減じていくのにも。
 オブリビオン『黄泉の妻返し・足長手長』が現れたことにすら、気付かずに。
 ただただ、胸の奥から湧き上がってくる衝動のままに。
 涙を零し続ける。
 そんな余裕のない状態だったから。
 インディゴの藍色の髪に触れる穏やかな感触に気付くのも遅れて。
(「あ……」)
 頭を撫でられていると理解したのは、大分経ってから。
 そして、気付いたすぐには動けなくて。
 男の胸に顔を押し付けたまま、手袋越しの優しさを感じているうちに。
 いつの間にか、涙が止まっていた。
 それでも変わらず、慈しむように、髪を撫でる手。
 そのおかげでか、すうっと心が落ち着いていき。
 懐かしいような、温かな気持ちが染み渡っていって。
 インディゴはようやく、顔を上げる。
「……僕が泣いてる間、ずーっと頭撫でてくれてたんだね……」
『私は、幼少期から■■様にお仕えしている専属の執事ですから』
 男は穏やかな微笑で、優しくインディゴを見下ろしていた。
 多分、インディゴが泣いている間も。
 藍色の髪を黙って撫で続けていた間も。
 同じ微笑を浮かべていたのだろうと思わせる、どこか慣れた雰囲気。
 インディゴはその笑みを見上げたまま。
「そうなんだ……僕にも執事が居たんだね……全ッ然、思い出せないけど」
 ようやく、男から身体を離す。
 ずっと握っていた、仕立ての良さそうな執事服からも、やっと手を放せば。
 一分の隙もなかった服装が、ぐしゃぐしゃなっていた。
「……シワになってない?」
『問題ありません。私は、戦闘以外は何でも出来ますから』
 さっとシャツや上着を引っ張って整える男の様子はどこか自慢気で。
 思わず、インディゴの口から、そして心から、ふふふっ、と笑みが零れる。
 楽しく嬉しい、そんな笑みが。
「アンリらしいや」
 そして笑みと共にその名が零れて。
 自分の耳でしっかりと聞き取れた音に、認識できた名前に、驚く。
「ん……? 今、僕は何て?」
 驚愕に金瞳を見開いて、確認するように呟けば。
 見上げた先で、男が――アンリが、今まで以上に嬉しそうに、微笑んだ。
『えぇ、我が名はアンリ。■■様の忠実なる僕。……そして』
「猟兵たる僕の、宿敵……」
 瞬間。
 インディゴの血が騒いだ。
 ダンピールの……いや、ヴァンパイアの血が。
 アンリが敵であると、オブリビオンであると理解した途端に、本能が叫び出す。
 血を吸え、と。
 喰らい尽くして還せ、と。
 理性を押し退けるように、五月蠅い程に叫び出して。
(「でも、もう少しだけで良いから、彼と……」)
 話したいと願う小さな心すらも塗りつぶすように。
 藍薔薇が纏わりつき。そして身体が変化していく。
 三対六翼を広げるヴァンパイアに。
 目の前に立つアンリと同じ、赤い瞳に。
 ■■の姿へと、変化していって……
『はい。ですから、次にお会いした際は、どうか──』
 インディゴの記憶はそこまで。
 アンリの言葉の全てを聞き取ることはできないまま、インディゴの意識は途切れ。
 目が覚めた時には、既にアンリの姿はなかった。
 足元に輝いていた星も消え、空も夜闇より明るく、逢魔が時へと戻っている。
 何があったのか、インディゴには分からない。
 本来の姿に戻っていたことも。理性を失い、動くものを無差別攻撃するユーベルコード『暴走覚醒・藍薔薇纏ウ吸血鬼』が、アンリに対して発動していたことも。
 何も知らないまま。
 ただただ、インディゴは。
 やっと名前を思い出せた男がいなくなってしまったことだけを、理解する。
 別れの挨拶もできないまま。
 最後の言葉も聞けないまま。
 でも、インディゴの記憶が途切れるその瞬間まで、笑みを浮かべていた、アンリ。
(「多分きっと……この別れ方が『僕達らしい』んだろうね」)
 インディゴは、少し寂し気にそう感じて。
 元に戻った、誰も居ない神域を、見渡す。
 思い出を眺めるだけとなった場所を、眺める。
 もうアンリには会えない。
 神域に幽世蝶は舞っていないから。
 世界のほころびは戻り、天の川が輝く不思議な夜は終わってしまったから。
 亡くした人には会えない。
 だけれども。
 インディゴには確信があった。
 また、アンリに会えると。
 どんな形で会うことになるのか分かっていなくても。
 不完全に蘇った記憶ゆえに、自分の宿敵であることを正しく理解していなくても。
 その絆だけは、しっかりと感じていたから。
「……次は、色々と教えてね、アンリ」
 インディゴは、もう誰も居ない水鏡に、淡く微笑んで、告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 亡くした人に会えたなら。
 もう二度と別れたくないと願うのが当然だと。
 足長は思っていた。
 だからこそ、亡くしてしまった最愛の手長が骸魂になったと分かっていても。
 自身が取り込まれてオブリビオン『黄泉の妻返し・足長手長』になっても。
 世界がカタストロフに向かっていても。
 再び握れた手を、離せなかった。
 けれど。
 愛する従妹の手を、自ら離した桜の精がいた。
 決して忘れたくない過去の姿を、微笑んで見送るクリスタリアンがいた。
 そして、幼少期から共に居た従者を、喰らい尽くして還したダンピールがいた。
「どうして……」
 だから足長は混乱する。
 自分が思っていたのとは違う行動を見せる猟兵達に。
 混乱して、混乱して。
 ……ようやく、気付く。
「ねえ、手長。君は僕と共に在りたいと望んでくれたよね?」
「ええ、足長。私はずっと貴方と共に在るわ」
 問いかける言葉に、望む答えは返ってくるけれども。
「ねえ、手長。君は僕の手をずっと握っていてくれるよね?」
「ええ、足長。私は貴方の手を離さないわ」
 握った手は温かく、そして優しく握り返してくれるけれども。
「ねえ、手長」
 足長は、振り返ることができないから。
「君は今、どんな顔をしているの?」
 その表情を見る事はできない。
 手長の本当の思いを知ることはできない。
 2人で共に在ることを、望んでいると言ってはくれるけれども。
 その顔が、嬉しそうなのか、悲しそうなのか、分からない。
 握った手は優しく温かいけれども。
 その顔が、喜んでいるのか、寂しそうなのか、分からない。
 共に在っても、離れている心。
 それは、先ほど見た猟兵達とは真逆の……
 
小宮・あき(サポート)
お困りの方がいる、と聞いて参りました。
スポット参戦のような形でフラリと。

◆性格・人柄
敬虔な聖職者として猟兵に目覚めた、人間の聖者。
です・ます口調の礼儀正しい少女。
ピンクの髪に、透き通る水色の瞳が特徴的。
ふふ、と微笑み愛らしい見た目で佇んでいますが、
本業は商人。ホテル経営者。冷静で非情な心も持ち合わせています。

既婚者。
神と夫に報告できない行動は、絶対に取りません。



◆戦闘
UC「神罰」
半径レベルmの【範囲攻撃】です。
強力なスポットライトのような光の【属性攻撃】で物質を透過します。
媒体は【祈り】。敬虔な聖職者の祈りは【早業】【高速詠唱】で発動。
最後衛で距離を取り戦います。

◆冒険
基本『お任せ』です。



「私の力が必要でしょうか?」
 心を揺らす妖怪・足長の前に、穏やかな微笑みを浮かべて進み出たのは、小宮・あき(人間の聖者・f03848)。
 長いピンク色の髪をさらりと揺らし。
 透き通るような水色の瞳で真っ直ぐに足長を見据えて。
 あきはまず、礼儀正しく一礼した。
 そして、じっと足長の答えを待つ。
 急かすでもなく。
 何かを訴えるでもなく。
 ただただ、その決断を、待つ。
 既に他の猟兵達が道を示した。
 だから後は、足長の問題なのだというように。
 愛らしい微笑を浮かべたまま、美しい姿勢で、待ち続ける。
 だから。
 足長は、手長の手を握って。
 その甲にそっと口づけを送って。
「……愛しているよ」
 そう、囁くように言うと。
 真っ直ぐにあきを見つめ返した。
 その瞳の奥に覚悟を見て、あきは1つ頷くと。
「神罰を与えましょう」
 手を組み、瞳を伏せ、祈る。
 高速で紡がれた敬虔な聖職者の詠唱は、まるで歌うように足長の耳をくすぐり。
 そして穏やかに光が降りた。
 スポットライトのような強い光。
 それは、足長の身体を照らし、心の奥底まで染み渡るように届いて。
 微笑みと共に水色の瞳を開いたあきが、組んでいた手を離し、横に腕を広げると。
 その全てを抱きとめるかのような、慈愛に満ちた姿を、足長は見つめ続けて……
 神域は、元の逢魔が時に戻った。
 もう、幽世蝶は飛んでいない。
 そして、『黄泉の妻返し・足長手長』はもう、いない……

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年07月24日


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#カクリヨファンタズム
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#戦後


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はブラミエ・トゥカーズです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト