花も綻ぶ季節だから、全ての衣服を水着にしてやろうぜ!
UDCアース。極東の島国、日本。
鮮やかな四季に恵まれたこの国に、今年もまたその季節がやってくる。
冬の寒さが和らぎ、薄桃色の桜の花弁が綻ぶ。春という芽吹きの季節が。
日本という国にとって、この季節はある意味で最も重要な季節である。
例えば、入学式。
例えば、就職。
生活環境が大きく変わる、人生の転機。そんなイベントが重なるのが、まさにこの春という季節なのだ。
故に問われれば、多くの人はこう答えるだろう。
春とは希望の季節である、と。
『だが、あえて言おうか! アタシぁ春って季節が大ッ嫌いだってねぇ!!』
……だが、全ての人がそうでは無いようで。
ここは、とある地方都市にある公園。海沿いの埋め立て地に造成された、それなりの広さとそれなりの遊具を抱える、極々一般的な緑地公園である。特筆する事があるとすれば、整えられた桜並木が特徴的だろうか。
そんな公園の駐車場に辿り着いたマイクロバスから駆け下りた一人の女が、声を荒げる。
長い髪に豊満な肢体の、一見艶やかそうに見える女だ。だがその顔つきや体から発せられる危なげな空気を感じれば、彼女が一般人では無いことを理解出来るだろう。
『どいつもこいつも平和ボケして、頭ン中までお花畑かってんだ!』
吐き捨てるかのように言葉を紡ぎ続ける女。そんな女の後ろから、続々とマイクロバスを降りるのは……覆面姿の男達だ。
女は、所謂『悪の組織』の女幹部である。そして覆面の男達は、組織の戦闘員である。
女達の目的は、この公園に集まる人々の襲撃だ。
平和ボケした人々に恐怖に陥れ、組織の名を挙げる……それが彼女達の、目的であった。
『さて、それじゃあ野郎ども……っと。そう言えば、博士から渡されたものがあったねぇ』
その目的の為に、いざ! と戦闘員達をけしかけようとした、その瞬間。はたと気付いた女幹部が、自らの懐を探り……託されたという物をその手に取る。
それは、小さな箱の様な装置であった。よく見ればその箱には、保護カバーに覆われた怪しげなボタンが取り付けられているのが判るだろう。
その装置の名は、『水着結界発動装置』。とある邪神の妄執を、とある科学者が装置の形に落とし込んだ、狂気の産物である。
『突入前に押せって話だったねぇ? やれやれ、何の装置なのやら……』
そんな装置のボタンを、ポチッとな、と言った軽さで。
何も知らぬ女幹部は躊躇なく、保護カバーごと押し込んだ。
──瞬間、世界に白光が満ちる。
駐車場から緑地公園の隅々にまで、津波のように広がっていく光。その光に飲まれれば、老若男女の区別無く、全ての存在が『その力』に囚われる。
そう。光に飲まれた人々の纏う衣服という衣服を、水着に変じるという恐るべきその力に。
だが、そんな恐ろしいこの装置の事を……ボタンを押し込んだ女幹部は、何も聞かされてはいなかったのだ。
……公園の至る所から上がる、羞恥の悲鳴や戸惑いの叫び。
そしてそれと同種の叫びが、緑地公園の駐車場からも響き渡った。
●
「皆さん、お集まり頂きましてありがとうございます」
グリモアベースに集まる猟兵達を迎え入れる、銀の髪のグリモア猟兵。
ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)のその表情は、穏やかな笑み。だが良く見れば、その表情の端には困惑の色が滲んでいる様にも見えなくもない。
……彼女と付き合いのある猟兵なら、既視感が浮かぶかもしれない。ヴィクトリアがこの手の表情を浮かべる時は、大抵アレな依頼が待っている、と。
「今回皆さんに訪れて頂きますのは、UDCアースの日本国。とある地方都市の、緑地公園です」
季節は花綻ぶ春。舞い散る桜の美しい季節である。
今回猟兵達が訪れる緑地公園も、その例外では無く。整備された公園の中に立つ桜が丁度見頃を迎え……多くの近隣住民が集まり、花見に興じているのだとか。
「そんな花見客を、とある邪教集団が襲撃しようと目論んでいるようでして」
皆さんには、その邪教集団の撃退をお願いしたいのです、と。ヴィクトリアが言葉を紡ぐ。
ヴィクトリアが曰く。今まさに邪教集団は公園で時を過ごす一般人を襲おうとしている状況であるらしい。
そんな状況であるから、まずは現地に飛び込み、狼藉を働こうとしている邪教集団を撃破する事が最優先となるだろう。
そうして下っ端を撃破していけば、敵の幹部も自ずとその姿を見せる事になるはずだ。
……だが、ここで問題が一つ。
「何を目的としたのかは判りませんが、相手は、その……『水着結界』の力を、発動させているようでして……」
その言葉を聞けば、猟兵達の中に苦々しい表情を浮かべる者もいるだろう。
水着結界。それは、その名の通り『踏み入った者の衣服を水着に変える』という結界である。
その力の強さは、強力無比。抵抗は許されず、老若男女の区別も無く。全ての生きとし生ける者を、無慈悲に襲う悪魔の力である。
着せられる水着は、派手なものから比較的健全な物、これは水着かと疑う様な物まで、多種多彩。何が着せられるかは踏み込んでみないと判らないという……まさに狂気の産物と言えるだろう。
「敵は既にその力を発動させていますので、皆さんも、その……そういう事になります」
ヴィクトリアが言う通り、敵は既にその結界を起動させた状態である。つまり、この依頼に参加する猟兵達は水着姿を晒す事は避けられないという事である。予め水着(か、それに類する物)に着替えていても無理やり別の水着にされるというのだから、始末に負えないと言った所だ。
とは言え、結界の効力はそれだけだ。強制的に水着にされる以外に悪さをする事は無いので、戦闘に支障を来すことは無いだろう。
それと、相手の強さもそれ程では無いらしい。油断さえしなければ、そう難しい戦いとなる事は無いはずだ。
「今回は、私も現地に入りまして皆さんの活動をサポート致します」
また、今回はヴィクトリアも猟兵達と共に現地に入る事になる。
直接戦闘に関わる事は出来ないが、現地組織と協力しつつ救助した一般人の保護や公園周辺の封鎖など、戦闘以外の事で猟兵達の動きを援護してくれるという。
猟兵達には安心して、戦闘に集中して頂きたい。
「春は希望が生まれる季節。邪教徒の狼藉を許す訳にはいきません」
皆さんの御力を、お貸し下さい。
そう言って、いつものように丁寧に礼をして。ヴィクトリアは、猟兵達を現地に送り出すのだった。
月城祐一
春。それは戦いの季節(二回連続二回目)
どうも、月城祐一です。ホント、花粉さえ無けりゃなぁ……。
今回は、UDCアース。季節外れだけど、皆さんにはちょっと水着になって頂きます。
なお、あくまでもコメディ。あくまでもコメディです(大事な事なので二回)
参考までに、過去の『水着結界』関連の依頼は ↓ こちら ↓ になります。
(【20年夏】 https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=28085 )
(【20年冬】 https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=30171 )
(【21年夏】 https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=36493 )
読まずにご参加頂いても問題ありませんが、宜しければ是非ご一読を。
以下、捕捉となります。
第一章は、集団戦。
悪の組織の下っ端こと、『睡魔』が相手です。
見た目の圧がやたら強い敵ですが、今回は悪の組織の戦闘員が水着結界の結果でこーなった……という風に設定してます。
その行動も水着結界に汚染されて色々とハジケてますが、戦闘力はOPの通り大した事はありません。
どーん、と蹴散らしてやって下さい。
戦場は海沿いの埋立地に造成された極々一般的な緑地公園。
時刻は昼、良く晴れた絶好の花見日和です。
第二章はボス戦。詳細は現時点では不明です。
章の進展時に情報を公開致しますので、ご了承下さい。
また、第三章も現時点で公開できる情報はありません。
こちらも進展時に情報公開となります。ご了承下さい。
……丁度、桜の季節ですね?
○今回の特殊ルール
OPの通り、今回の戦場には『強制的に水着になる』という結界が展開中です。
その効力・効果の程はOPの通り、非常に強力です。
着ることになる水着に関しては、ランダム。
月城が1d40を振って、手元の水着表(非公開)からチョイスされる形になります。
どんな水着が出るかは、↑でご紹介した過去依頼を参照下さい。
全てはダイスの神の御心のままに。当依頼に参加される際は、徳を積み上げた状態でご参加下さい。
……あ、グリモア猟兵と敵の分も振ります。どんな水着が来ることやら。
和やかな時間を過ごす人々に迫る、魔の手。
猟兵よ。悪意を払い、人々を救え!
皆様の熱いプレイング、お待ちしております!
第1章 集団戦
『睡魔』
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POW : てぃへら♡
【フトモモと股で挟む投げ技 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【水着に隠した宝貝を押し付ける窒息技】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : いやーん♪ み・た・わ・ね♡
【おぞましい見た目 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【現実逃避による意識のシャットダウン】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : ぱおぺい♡
自身が装備する【水着に隠した宝貝 】から【フトモモと股で挟む投げからの窒息技】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【(現実逃避するための)眠り(気絶)】の状態異常を与える。
👑11
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●
グリモア猟兵の導きの下、猟兵達が現場に降り立つ。
瞬間、猟兵達の視界が光に包まれる。
発光源は、それぞれが纏う衣服。『水着結界』の魔力に飲まれ、衣服が解けて水着へと変じたのだ。
──それぞれがどんな水着を纏う事になったのかは、まぁ後で触れるとして。
光が収まれば、現地組織による現場封鎖を依頼するグリモア猟兵(中々に攻めた深さの切れ込みが入った、Vワイヤー・バンドゥタイプのビキニ水着だった)をその場に残し、猟兵達が駆ける。
公園の各所からは、今も羞恥と困惑に満ちた悲鳴と……何やら野太い声が響いたり響かなかったり。
はて、何やら妙な気配がしてきたような、と。首を傾げつつ、更に猟兵達が足を進めて──。
『……むむっ、何者ぉ!?』
──そこに、そいつはいた。
スポーツマン体型、というのだろうか。良く鍛えられた、靭やかな筋肉を纏う男だ。眼には水泳用ゴーグルと、脚には何故かフィン(足ひれ)を履いている。
だが、その最大の特徴はそこでは無い。
その男は、何故か……女性用水着を、纏っていたのだ。
『まさか、猟兵ぃ!? こんなに早く邪魔が入るなんてぇ!』
しかもその上、その態度は妙に女性的である。
スポーツマン体型のマッチョメンが、女性用水着で科を作る。
多分、きっと、おそらく。『水着結界』と、妙に相性が良かったのか悪かったのかで、色々とタガが外れちゃったのかもしれない。
……ともあれ、そんな地獄絵図に似た光景を目の当たりにして。
──うーん、悪夢かナニカかな???
数人の猟兵の意識が、明後日の方へと旅立ちかける。
まぁ、こんなアレな光景を見せつけられれば、うん。現実逃避したくなるのは、仕方ないよね。
『えぇいっ、邪魔はさせないわっ!』
だがそんな猟兵達も、何やら構えを取る相手の様子を見れば、すぐに己を取り戻すだろう。
あちらの台詞から察するに、どうやらこの変質者は邪教集団の構成員であるらしい。
で、あるならば。ここで放置しておく訳にはいかない。一般人達を守る為にも、ブチのめさなければならないのだ。
──あれ? ってことはもしかして、この手の同類が公園の各所に散ってる?
そんな事実に気がついてしまった者の正気度が、若干削れた気もするが。
まずは一般人を守るべく、猟兵達はそれぞれに動き出すのだった。
青葉・颯夏
セフィリカさん(f00633)と
(水着はお任せします)
最近は夏っぽい日もあるし少し動けば暑くなるからなんとかいけなくはない、かも
リリアさんもセフィリカさんもスタイルいいから眼福だけど、あたしもそれに入ります……?
現実を直視したくはないけどアレも放置したらいろいろな意味で被害が大きくなりすぎますね
それなら勝った方がよりお近づきになれるシステムにしましょう
……あたしが前に出ます
雪紐で弓曳落星を一斉射撃するし、花風も撃つし、できる限りアレを視界には入れたくないわ
ひたすら、何かしら飛んでいるならそうそうセフィリカさんには近づけないはず
それでも足りないならあたしが黒紅を持って引き付けます
セフィリカ・ランブレイ
颯夏と行くよ!
水着結界!
早くない?寒くない?
リリアの水着は攻め攻め!このカット、大胆でイイヨ!
今回は颯夏もいて視界が幸せ!
颯夏も美少女だものどんと構えて!
両方写真撮っとこ
『セリカも逃れられないけどね』
ヤバイ水着引いても皆と一緒ならと開き直るんだ!
そんな水着美少女達の相手ができる幸せな敵は…
あー颯夏、どっちが前に立つかジャンケンで決めない?
お近付きになりたくないよアレ!
街中じゃなきゃ周囲一帯爆破してた!
うわー負けた…!って、勝った方が前衛かっ
……自分で持ちかけておきながら罪悪感が!
ええい、颯夏に近づけさせるかー!さっさと倒れろー!!
【火雷ノ禊】、剣を振っての鎌鼬を連打、一気に勝負を決めに行く
●
絶好の花見日和な小春の陽気とは言え、四月の気温は肌を晒すには些か涼しさが勝るもの。
「水着結界! ……や、早くない? 寒くない???」
そんな肌寒さを感じ、セフィリカ・ランブレイ(鉄エルフの蒼鋼姫・f00633)が首を傾げる。
セフィリカは、過去の水着結界案件にも縁がある猟兵だ。そんな彼女の経験上でも、春の屋外での案件というのは無かったはず。(なお、冬の案件ならあったはあったが、アレは屋内だったし水着を気にする様な状況でも無かったのでセフィリカ的にはノーカンである)
この状況で、長時間肌を晒すのは……幾らこちらが生命の埒外と言われる猟兵であるとは言え、体調を崩していまいかねない状況である。
そんな僅かな不安を抱いたセフィリカと、同じ様に。
「最近は夏っぽい日もあるし、少し動けば暑くなるからなんとかいけなくはない、かも……?」
青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)のその呟きにも、戸惑いの色が濃い。
颯夏が言う通り、この時期は冬の寒さも和らぎ徐々に暖かさが増していく季節である。今日も体を動かせば、自然と汗ばむ様な陽気ではある。だからまぁ、寒さの方はそこまで大きな問題とはならないだろう。
「そう言われれば……そうかな? そうかも……」
そんな、戸惑い混じりの颯夏の呟きを耳にすれば、セフィリカの不安も解消され……いや、どうだろう?
何にせよ、いつまでも戸惑ってはいられないと。セフィリカは自らの頬を軽く叩いて意識を切り替え、周囲に向けて視線を送る。
羞恥や戸惑いを露わにしつつ、逃げ惑う一般人達。そしてこの場に集った猟兵達。皆が皆、千差万別多種多彩な水着姿を晒した状態である。
そうして周囲の様子を確かめて。セフィリカの視線が、横に立つ颯夏へと改めて注がれる。
どことなく粘ば着くような、ニヤついた様な目線。
「な、なんですか……?」
そんなセフィリカからの視線を受けて、颯夏が思わず己の身を掻き抱く。
ではここで、颯夏が纏う事になった水着について解説していこう。
颯夏が着せられたのは、『競泳水着』と呼ばれる水着であった。
この水着はレジャー向けの物では無く、競技水泳に挑むアスリート向けにデザインされた水着である。
その為か、この水着の第一義は『速さ』。そして『泳ぎ易さ』の二点が挙げられる。その二点を達成する為に、この水着は撥水性、密着性、伸縮性に優れ、なおかつ水の抵抗を軽減する為に極薄である事が求められているそうな。
颯夏が着せられたのは、そんな競泳水着のうち比較的古いデザインの物。背面は大きく開いたフライバックで、下半身はハイレグカットで仕上げられた……某イラストコミュニケーションサービスとかで検索すれば即座にヒットしそうな、そんな競泳水着であった。
「いやー。リリアに加えて今回は颯夏もいて、視線が幸せだなー、って!」
僅かに身を縮ませた颯夏の反応に、セフィリカさんとしてはそりゃもうご満悦と言ったご様子である。
そんなご満悦なセフィリカの、今回の水着は『三角ビキニ』。白を基調とした、飾り気のないシンプルなデザインだ。
都合三度の挑戦で、三回連続ブラジリアンビキニを着せられたセフィリカである。しかも過去の物は、挑戦する度に布面積がエグくなっていき……特に三度目など、薄手のラッシュガードが無ければポロリ不可避というくらいにはエグい布面積であったのだ。
……だが、そんな過去はもう繰り返されない。四度目の挑戦にして、遂にセフィリカはブラジリアンビキニの呪いから解き放たれたのだ。
転移を終えた直後にしっかり確認した(あまつさえ、撮影すらもしていた)グリモア猟兵の攻めっ攻めな水着姿に、整った体型のスレンダー美少女である颯夏のスポーティーな水着姿という眼福も併せて、セフィリカがご満悦となるのも致し方無かろうと言ったところか。
「お二人はスタイル良いから眼福だけど、あたしもそれに入ります……?」
「颯夏も美少女だもの! どんと構えて!」
そんな浮かれた様子のセフィリカに対し、颯夏はどこか引き気味だが……かわいいものを愛でて何が悪いと言わんばかりに、セフィリカは更にテンション高く囃し立てるばかりである。
『……ほら、いつまで遊んでるの』
だが、そんな浮かれに浮かれるセフィリカに水を差す用に響く声。セフィリカが腰に佩く、意思持つ魔剣『シェルファ』の声だ。
姉と慕う存在の、大いに呆れが混じったその声に、おっといけないと切り替えて。
「さてさて、水着美少女達の相手が出来る幸せな敵は……」
視線を敵に向け直し──その顔が、凍りつく。
その視線の先にあったのは、スポーツマン体型の、女性用水着(スリングショットと呼ばれる、ヒモと同義のヤツだ)を纏う細マッチョが何やら科を作っている光景であった。
「……現実を直視したくはないけど、アレも放置したら色々な意味で被害が大きくなりすぎますね」
凍りついたセフィリカと同じく、颯夏のその表情にも嫌悪感が浮かぶ。
だがいくらアレがお近づきになりたくない手合であるとは言え、放置を決め込む訳にもいかない。アレは一般人を襲う、邪教集団の手先なのだから。
「あー、もう。街中じゃなきゃ周囲一帯爆破してたのに! ……颯夏、どっちが前に立つか、ジャンケンで決めない?」
「ですね。では、勝った方がよりお近づきになれるシステムで……」
やるしかないか、と決意を固める。
そうして颯夏とセフィリカが向き合って、最初はグー、とお互いの拳を振り合って。
「うわーっ負けた……! って、勝った方が前衛かっ」
「はい。あたしが前に出ます」
お互いの立ち位置が、決まる。即ち、颯夏が前でセフィリカが後ろと。
(自分で持ちかけておきながら、罪悪感が……っ!)
一歩前に進み出た颯夏の背で、ぐぎぎ、と歯噛みするセフィリカ。
そんなセフィリカの姿を覆い隠す様に。
「お願い、雪紐」
腕を振るう颯夏に従う様に、顕れたのは一体の人形。
『雪紐』と名付けられたその人形は、様々な仕掛けが施されたからくり人形だ。
そんな雪紐の仕掛け、胴に仕込まれた数多の隠し矢が一斉に放たれれば。
「──逃さないわ」
その矢を颯夏の意思が、【花風(タンペット・ドゥ・フルール)】と名付けられた異能の力で無数のラナンキュラスの花弁へと変えて。変質者の体を、花の嵐の中に包み込む。
(出来る限り、アレを視界には入れたくないわ)
舞い踊る無数の花弁は、その一つ一つが相手を傷つける刃でもある。
自身に傷を与える存在が、無数に周囲を取り巻き続ける状況だ。あの変質者も、そうそうこちらに意識を傾ける事は出来ないだろう。
だが──。
『さぁ、い・く・わ・よぉ♡』
そんな颯夏の目論見も虚しく、花の嵐を突き抜けて飛び出てきたのは変質者。鍛えた体で真正面から突破を図ったらしい。
変質者のその体には無数の刀傷が刻まれて、纏うスリングショットも既にボロ紐と化しているがその動きに影響は無いらしい。
颯夏の姿だけをその目で睨み、筋肉を膨張させながら、一直線に颯夏を向けて駆け出して──。
「颯夏に近づけさせるかぁー!」
その脚を、強制的に止められた。
響いたのは、セフィリカの声だった。
颯夏の背に隠れたセフィリカは、罪悪感に苛まれながらもその時を待っていた。変質者の意識が、完全に颯夏に傾くその瞬間を。
そして狙ったその時が今、訪れた。そうしてその状況が作られれば。
「さっさと、倒れろーッ!!」
この業が、最も強くその力を発揮できるはずだ。
それは、セフィリカが磨き上げた業の一つ。三式【火雷ノ禊(カライノミソギ)】。剣閃による遠当てで相手を攻撃する、剣技である。
振るう魔剣が引き起こすのは、鎌鼬の如き風の刃。颯夏に意識が釘付けとなった変質者に、その刃を躱す術などありはしない!
『なっ! ……ンァーッ!?』
次々に巻き起こされた鎌鼬の直撃を受け、変質者の口から響く汚い悲鳴。
引き裂かれる皮膚。遂に限界を迎え破断するボロ紐。露わとなる【自主規制】。
そうして全てを曝け出した状態で、色々はっちゃけた邪教の戦闘員はあっさりと地に崩れ落ちた。
「「うわぁ……」」
舞い散る花弁の中で倒れ伏し、ピクピクと痙攣する細マッチョの男(全裸)。
タダでさえ悪夢じみた光景が一層酷くなったその光景に、颯夏とセフィリカは二人揃ってドン引きであったという……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
テレスコール・セグメント
(アドリブおよび連携歓迎)
世のため人のため、もちろん自分の夢のためもあるよ?
でもさ、ちょっとくらい……楽しみを貰っちゃってもいいよね?
あたしはこの誰かさんが残した旧い服と、それからスリープする時のテクニカスーツしか持ってないから、水着着てみたい〜って思ってる
一般人への嫌がらせはちゃんと対処するよ、ユーベルコード【observe_data.Porrima;】で攻撃するから!
ただ、ごめんなさい……どんな反撃来るのか全っ然検討付かない……だから、速攻撃破を目指すね……!
あたしの街の海とかさ、ヘドロと破棄されたバイオ生物ばっかで汚いの
そのうちこうやって水着で、海とか行ってみたいな〜!
●
花見日和の小春の緑地公園に響く、羞恥と困惑の悲鳴の数々。
(世のため人のため、もちろん自分の夢のためもあるよ?)
逃げ惑う一般人の流れに逆らいながら、テレスコール・セグメント(星忘れのアストラヰア・f36809)はその脚を進める。
彼女も、この場に乗り込んできた猟兵だ。
普段はディストピア世界の棄てられた天文台に寄り添い、汚染された空の下を生きるテレスコール。
そんな彼女がこの場に乗り込んできたのは、猟兵としての使命感も勿論あるが……。
「でもさ、ちょっとくらい……楽しみを貰っちゃっても、いいよね?」
彼女個人の楽しみも、その目的の一つであった。
ディストピア世界の自動人形であるテレスコールは、あまり多くの物を持っていない。特に服となると、普段彼女が着ている誰かが残したのだろう旧い服と、スリープする際のテクニカスーツくらいしか持ち合わせていないのだ。
そんな彼女が、ディストピア以外の世界に触れれば。
──水着、着てみたいなぁ……!
……とまぁ、そんな風に思うのも当然のことだろう。
そんな思いでこの場に飛び込み、衣服が光に解けて水着に変わり、テレスコールは今、この場に立っている。
「ふふふ……♪」
どこか楽しげな様子で、くるりと回ってみたりなどするテレスコール。彼女の身を飾る水着に、特に不満は無いようだ。
それではここで、テレスコールが着せられた水着について解説していこう。
今テレスコールが着る水着は、ビキニタイプのツーピース水着。その中でも特に、トップスの肩紐を首の後ろで結ぶ事で固定するタイプの、『ホルターネック・ビキニ』と呼ばれるタイプであった。
テレスコールの夜空の様な藍色の髪と同色のその水着は、色白の彼女の肌に良く似合う。場所や状況がこんな事になっていなければ、きっと多くの異性の目を惹きつけ、誘いの声が掛けられた事だろう。
「……っとぉ。浮かれてばっかりもいられないね」
そんなどこか浮かれ気分なテレスコールであったが、視線に入るその姿に居住まいを正す。
彼女の視線の先には、学生と思しき年若い一組の男女がいた。
お花見デートにでも来ていたのだろうか、手を取り合い逃げ惑うカップルの後ろには……。
『うふふふっ♪ まぁ~てぇ~♡』
……女性用水着(マイクロビキニだ。ぶっちゃけ気色が悪すぎる)を纏う細マッチョの変質者の姿が。
変質者の走りは体をくねくねと揺らしながらであるが、何故かその速さはカップルのそれより遥かに速い。これでは遠からず、カップルは変質者の魔の手に掛かる事だろう。
「二人とも、そのまま真っ直ぐ走って!」
そんな状況を見捨てる事など、当然出来やしない。
声を挙げ、テレスコールがカップルと変質者の間に割って入れば……礼の言葉もそこそこに、這々の体で逃げていくカップル。これで一先ずは大丈夫だろう。
さて、問題は……。
『んもう! 良くも邪魔してくれたわねぇ!』
眼の前で怒りを示しながらも科を作り続ける変質者への対処、だろうか。
見れば見る程、頭が痛くなってくる手合だ。その行動を理解しようとしても、きっと理解は出来ぬだろう。
そんな、行動が読めない相手に対する最適解は──。
「──悪いけど、速攻撃破を目指すね!」
有無を言わさぬ先制が、一番だ。
言葉と共に魔力を練り上げれば、解き放たれるのは無限に広がる星々の光。氾濫したデータベースの奥底に眠っていた、彼女の根源を為す力だ。
幾何学模様を描きながら飛ぶその光の瞬きを、多少はっちゃけたとは言え元がタダの戦闘員程度の変質者が抜け出せる道理などありはしない。
包まれ、迷い、貫かれ……そうして変質者は、地に倒れ臥すだろう。
……なんか水着の中に手を突っ込んでるのが見えた気がしたが、その光景は努めて見なかった事とするとして。
「さ、て……」
ふぅ、と一つ息を整える。
吸い込む空気に乗るのは、潮騒の香り。
この緑地公園は、埋立地に造成された公園なのだという。つまりほど近くに、海が在り……そこからこの潮の香りが流れてくるのだろう。
(あたしの街の海とかは、ヘドロと破棄されたバイオ生物ばっかで汚いんだよね)
故郷の海とは違い、この世界の海はきっと綺麗なのだろう。
そんな美しい海に、こんな水着で行けたとしたら……それはどれほど、幸せな事だろうか。
「そのうち海とか、行ってみたいなー!」
声を上げ、体をぐっと伸ばす。
テレスコールの表情は、まだ見ぬ未来への希望を感じさせる様に明るく輝いていた。
大成功
🔵🔵🔵
闇野・みこ
また水着ねー
私なら普段からそれっぽいし、紐だろうが全裸だろうが構わないね!
後者は大問題だけど!
なお、面積が小さい水着ほど動きやすくて
布地が多い方が暑さで動きにくいよ
ともかく、恰好が可哀想なことになってる奴らをとっちめましょう
え?こっちも可哀想なことになってないかって?
アレなって言えそうな代物であろうとも結局は水着ですし……
そうこう言ってる間に粘液ばしゃーっと
なかなか滑りやすくさせましょう
視覚の暴力がよりパワーアップしそうな悪寒はしますけれども
……ところで滑るからって脱げたりしないよね?
ま、ぬるぬるになれば挟むとかやりにくくなるでしょ
●
「また水着、ねぇー……?」
己が着せられた水着を、闇野・みこ(人間の探索者・f28278)がしげしげと確かめる。
みこも、過去に水着結界案件に関わった経験を持つ猟兵である。なので、この結界で出るどんな水着が出てくるかはある程度の想定がついていた。
過去の例を見ても、どんなに酷い物に着替えさせられても一応は水着。体質的な問題で普段から薄着のみこからすれば、紐だろうが全裸だろうが構わないと言った所……いや、やっぱり全裸は大問題だけれど。
「ふーん。まぁ、悪くはないかなぁ?」
そんなみこであったが、今回着せられた水着にはそれ程悪い印象は抱かなかったようである。
今回彼女が着せられた水着は、ビキニタイプのツーピース水着だった。その中でも特に、胸の高い位置までを布で覆う様な『ハイネック』タイプの物であった。
胸の高い位置を覆う、と言われると布地面積が多めであると思われるだろう。
だが、みこが着せられた水着は然に非ず。確かに布面積は大きいが……首元から鎖骨、そして胸元を覆うその布地は、所謂レース素材で作られているのだ。
レース、つまりは透過性の高い素材である。布地から透けて見える肌は艶めかしく、不思議と人を惹き付ける魅力を着る者に与えてくれるだろう。
……前回着せられたフリルで飾られたタンクスーツ水着に比べると、随分と大人っぽいデザインだ。ビキニタイプの中では確かに布面積は多めだが、それでも大部分の肌は晒している。動き易さと通気性(体質上の問題で、これが最大の懸案であった)も十分確保された良い物であると、そう評価して良いだろう。
『あっらぁ~! かわいらしい娘ねぇ~♪』
そんな水着を引いたお陰で気分も上向きのみこに掛けられる、野太い声。
みこが視線を向ければ、そこには立つのは靭やかな筋肉を持つスポーツマン体型の男。
男が纏うのは、みこと同じくビキニ。トップスがタンクトップ状になった、いわゆる『タンキニ』と呼ばれるタイプの水着だ。
『いやーん♪ み・た・わ・ね♡』
みこと目が合い、謎のポーズを取る変質者。
筋肉に押し上げられ、パッツパツになったタンキニ。妙に堂に入った艶めかしい仕草。
……率直に言おう。キッツイわぁ。
「見てるだけで可哀想だし、サクッととっちめましょう!」
そんな事をみこも思ったかどうかは定かでは無いが、どちらにせよ見過ごしておく理由も無いと。一つ叫んで、みこが動き出す。
相手の見た目は、ぶっちゃけ悍ましい。けれど猟兵として多くの戦いを乗り越え、グリモア猟兵としても多くの予知を見るみこからすれば……コレくらいの酷さは、まだ耐えられる範囲内だ。
「妙にトロっとしたこの液体をばしゃーっと!」
言葉と共にばしゃーっと放つのは、みこ曰く『妙にトロっとした液体』である【妖し気粘液(アヤシゲネンエキ)】。
この液体を浴びた対象は、摩擦係数を極限まで減らされる事になる。有り体に言えば、めっちゃ滑りやすくなるという事だ。
全身が滑りやすくなったという事は、相手が得手とする絞め技や投げ技と言った格闘術に不利に働くということ。
これで少なくとも、戦闘で優位は取れたはずだ。
『んぅっ!? ちょっとぉ、せっかく良いポーズしてたに──』
そんな液体を浴びせ掛けられて、変質者の口から出たのは不満の声。
みこに見せつける様に取られ続けていたポーズを解き、全身を粘液でテカテカと輝かせたまま、抗議の為にと一歩踏み出し……。
『──ぬぉっ!?』
つるり、と。履いたフィンが滑り、大柄なその体がくるりと転倒。そのまま頭を地に、打ち付けた。
周囲に響く、重い音。倒れ伏した変質者が起き上がる事は無い。
……どうやら打ち所か相当悪かったのか。昏倒してしまったらしい。
「……えっ。えぇー……?」
なんともコメントのし辛い結末に、思わずといった具合にみこの口から溜息が溢れる。
だがまぁ、これでも一応勝利は勝利。無力化した変質者は適当に縛り上げ、後で現地組織の面々に引き渡せば大丈夫だろう。
「え、っと……それじゃ、うん」
気を切り替えて、変質者を拘束する為にみこが動く。
……ヌルヌルとした体と水着が妙に滑りやすく、色々な意味で手間取ったりはしたが……みこは見事に、変質者を無力化したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鍋島・小百合子
WIZ重視
春の訪れは目の前に来とるのになんと破廉恥か!
・・・このような姿にされたわらわも人の事が言えぬのう・・・
「この身に纏いし見えざる防御を崩してみせよ!」
結界の効力により水着姿にされたらUC「悪魔之加護」発動にてきめいえすの不可視の加護を纏い、薙刀片手に敵陣に吶喊す
羞恥心は恥ずかしさ耐性で凌ぎ、破廉恥極まりない者どもには薙刀の武技で成敗していく(範囲攻撃、なぎ払い、乱れ撃ち、鎧砕き併用)
敵の放つ技を見切りつつ、反撃の機では懐の小太刀で一刺し与えていく
(カウンター、咄嗟の一撃併用)
●
頭上を見上げれば、満開に花開く桜の木。風も穏やかで、注ぐ陽射しも暖かい。
春の訪れを知らせる、そんな光景を目の当たりにすれば。誰もが心躍る事だろう。
だというのに。
(春の訪れは目の前に来とるのに、なんと破廉恥か!)
桜とは、日ノ本の国に生きる民の心である。サムライエンパイア世界出身である鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)にとっても、それは同じ事である。
だというのに、その桜を愛でる場を武と姦計を以て打ち壊そうとするとは。邪教徒達は、許してはおけぬ。
『肥前の女武者』として勇名を馳せる小百合子の義心は、熱い怒りに燃えている。
……燃えてはいる、のだが。
「……いや。このような姿にされたわらわも、人の事が言えぬのう……」
それと同じくらい、小百合子は強い困惑の念も得てしまっていた。
小百合子が今纏うのは、この場に集まる多くの人々の例に漏れない水着姿。そんな姿では、外から見れば破廉恥な振る舞いをする邪教徒達と対して変わらぬ様に見えてしまうかもしれない。その事を思えば……戸惑いを得るのも、宜なるかなといったところだ。
ところで、気になる小百合子の今の装い、着せられた水着は一体どんな物なのか。ここで少し、解説していくとしよう。
まず水着の形状であるが、ビキニタイプのツーピース水着。その中でも特に、サイド部分を紐で結い上げる事で固定する、タイサイドビキニ(紐ビキニ、とも呼ばれる物だ)と呼ばれるタイプ物であった。
色は朱。戦場で小百合子が纏う武者鎧のその色を思わせる、朱色である。
誇り高き女武者として数多の戦場を越えてきた小百合子は、細身ではあるが良く鍛え上げられ、靭やかで無駄がない。肌も色白く、艷やかである。
そんな肢体に、その水着を纏えば……その魅力は、まさに傾城傾国の美女と呼ばれるに相応しいだろう。
(しかし、むぅ……)
だがその水着を着る当の本人としては、やはり着慣れぬ肌を大きく晒す水着に少々羞恥を覚えてしまう。
……いや、ビキニ水着自体の着用経験は、小百合子にもある。あるけれど……この水着は、それらよりも少々派手なようにも思えるのだ。
それに、場所も場所である。
この場が夏の水辺であるならいざ知らず、ここは花見真っ盛りの公園だ。そんな場所で水着などと、これでは──。
「──ッ!」
羞恥と困惑に思考が巡り掛けた、その瞬間。注がれた視線に気付き、小百合子が携えた薙刀を構えて向き直る。
向き直ったその先に居たのは、やはり邪教徒の手先であるらしい大男だ。
向こうが纏う水着は、布地面積を極限まで削ったブラジリアンビキニと呼ばれる物。なんだか色々はみ出しそうだが、そうなりそうになる度に謎の光が差し込むので心配ご無用だ。当依頼は、あくまでもコメディ依頼です。
……まぁそんな光景を見せられれば、男を見る目が厳しい小百合子の目は蛇蝎を通り越して汚物を見る目となるが。
「貴様らが如き破廉恥極まりない者など、わらわが成敗してくれる!!」
逆に言えば、遠慮なくその武を振るう事が出来る、という事でもある。
裂帛の気合を迸らせながら地を蹴り駆けつつ、小百合子が吠える。
「我は纏わす、戦を司りし悪魔の大いなる……鎧装!」
それは、小百合子の力を高める鍵となる言葉。彼女を寵愛する戦場と武を司りし悪魔『キメイエス』の加護をその身に降ろす言葉である。
じわりと体を包む、不可視の加護。そして同時に、四肢に満ちる活力を感じ……更に一歩、強く踏み込んで。
──ゴウッ!!
右手に携えた薙刀を、一閃する。
風を斬り裂く轟音と共に、閃く白刃。磨き上げられた武芸と加護で高めた身体能力で繰り出されたその一閃は、音を超えて光を越えて。刹那の間で、現れた変質者のその身を叩く!
『──!?』
悲鳴を上げる間もなく、変質者の体がその場から弾かれる様に吹き飛ばされる。
弾き飛ばされた変質者はそのまま二度三度と地を跳ね、横たわり……起き上がらない。
どうやら今の一撃で、無力化されたらしい。
……が、よく見れば。薙刀の一閃を受けた筈の倒れ臥す男から、血が流れる様子が無い。
これは、一体……?
「……ふんっ。他愛もない」
鼻息も荒く、小百合子が息を吐き……改めて、薙刀を構え直す。
実は、今小百合子が振るい相手を襲った薙刀は、刃を相手に向けてはいなかった。
向けたのは、峰。つまり今の一打は、所謂『峰打ち』の一打であったのだ。
刃の無い峰の部分であれば、その一撃は殴打と変わらない。骨は砕けるかもしれないが……命まで落とす事は無いだろう。
桜の花に、血は似合わぬ。風流を解する小百合子の、慈悲の心が見せた一打であった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・クイン
クロエ(f19295)から水着結界のウワサを聞いて駆けつけたわ!
夏になるたびアタシを強制的にスケベ水着にするあの呪いを解くためにも、怪しい連中はかたっぱしからヤッてやる!
ハッ、水着なんて今さら…………ちょっ、ふつうの公園で!?
ぐぐぐ、これぐらいの、露出なら、セーフよセーフ!
クロエもほら、いつもの戦乙女のビキニだと思って堂々としてなさい!
見ただけで目が腐るわなにアレ!見た目ドヘンタイのアレが敵ね!!
UC【ガラスの迷宮】
さっさと一般人を守るために、連中をまとめて迷宮に隔離するわ!
一本道の通路の先、ゴールに陣取って、さぁこっちよアタシが相手してあげる!
チラリとクロエに目線を送って任せる気まんまんでね
クロエ・アスティン
アリス様(f24161)と一緒に参戦であります。
れ、例の呪いを解いて、今年こそ普通のかわいい水着を見てもらうでありますよ!(フラグ?)
だ、大丈夫であります。
もうあれ以上ひどい水着なんてそうそうないであります。
公園で水着というのはひ、非常に引っかかるでありますが……し、仕事に集中であります!
現れたHENTAIに思わずぴぎゃーと悲鳴を上げてしまいます。
あ、危なかったであります。
アリス様が迷宮に閉じ込めてくれてなければ、致命傷だったであります。
迷宮から出てこようとするドヘンタイ達に女神様の裁きをお見舞いでありますと【戦乙女の戦槍】をどんどん叩き込んでいきます!
※アドリブ・連携も歓迎
●
「ここが、今回の水着結界の現場ね!」
公園の一角に、甲高い少女の声が響く。
少女の名は、アリス・クイン(ビビり屋毒吐き姫・f24161)。この水着結界と、ある意味で最も縁深い猟兵である。
アリスはこの結界を生み出した邪神に魅入られ、その呪いを深く刻まれていた。その為、夏の時期を迎える度に……アリスは強制的に超マイクロビキニ(アリス曰く、スケベ水着だ)に着替えさせられ、それ以外を着る事を許されない体とされていた。
その呪いを完全に打破する為に、呪いに関わる者は片っ端からヤッてやる、と。今回のアリスの戦意は、まさに天を衝く勢いであった。
「あ、アリス様ぁ~……」
そんなアリスと打って変わって、登場から既に涙目となっているのはクロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)だ。
水着結界案件と聞きつけ、アリスと共に誘ったのは実はクロエだ。例の呪いを解き放ち、今年こそ普通の可愛い水着を、と。そのやる気は十二分であったはずだ。
だというのに、何故クロエは既に及び腰となっているのかと言えば。
「こっ、こんな公共の場で、こんな水着はぁ~……」
公共の場である公園で、水着姿を晒すという……そんな異常事態に、怖気ついてしまっていたからである。
まぁ確かに、桜咲く春の公園で水着姿というのは、常人の所業では無い。それに二人が今着ている水着も考えれば……そういう趣味の方なのかと、余人に疑われてしまいかねない。その辺りを考えれば、クロエが怯えるのも致し方ないだろう。
……ではここで、クロエとアリスの水着について解説していこう。
二人が纏うのは、偶然にも全く同じデザインのものだった。
上下二つのツーピースタイプ。所謂ビキニタイプの造りである。それだけならまぁ、極々一般的な水着と言えるだろう。
だが、問題はここからだ。二人が着る水着は、布地面積が、極端なまでに切り詰められていたのだ。
特に、下半身。ボトムスのデザインが大問題で……Gストリングと呼ばれる、ほぼ紐と呼んでしまっても良いようなデザインであったのだ。
……過去の水着結界案件で、スク水やら貝殻水着やらニプレスやらと、それはもうえげつない物をさんざっぱら着せられてきた二人である。その辺りの耐性も、ある程度は備わっている。
だが、今回のコレは……必要最低限度に水着としての体裁は整えつつ、『そういう目的』にご利用下さいと言わんばかりのデザインなのだ。ある意味、直球勝負よりもタチが悪いと言えなくもない。
『流石にあれ以上酷い水着はなかろう』と油断していたクロエの羞恥心が爆発するのもまぁ、宜なるかなと言った所であった。
(ちなみに、色はクロエ用が白でアリス用が黒。お互いの水着のイメージに沿った色であった。結界さんはなんでそこだけ良心を見せたのか……)
「ハッ! こ、これくらいの露出なら、セーフよ、セーフ!」
そんなクロエの動揺を、鼻で笑ってアリスが吠える。
まぁアリスとしたら、この程度の水着は去年一昨年で散々着てきている品である。最早普段遣いと言っても過言ではない。であるから、これくらいの露出はもう慣れっこなのだ。
……いやまぁ、極々普通の公園で、というシチュエーションを考えると。一瞬動揺して声が震えたりもしたようだけれど。
「クロエもほらっ! いつもの戦女神のビキニだと思って堂々としてなさい!」
「ですからっ! アレは水着ではなくてちゃんとした聖鎧でありますぅっ!!」
まぁともかく、ここでいつまでも震えていても始まらないと。アリスの口から飛び出た叱咤に、涙目のクロエが反駁する。
きゃいきゃいと響く、二人の少女の黄色い声。ただただ逃げ惑う一般人諸氏とは明らかに違う性質の声に、興味を惹かれたか。
『あらあらぁ~♪ 随分、賑やかねぇ♡』
ぬっ、と現れたのは、(小柄な二人からすれば)天を衝く様な巨体の大男。
大男が艶やかに科を作れば、逞しく鍛え上げられた大胸筋がピクピクと震える。その震動を受け、大男の纏う女性用水着(腰の際どい所まで切れ込みが入った、プランジングと呼ばれるデザインのワンピース水着)がミチミチッと軋んだような音を上げる。
……どう見てもHENTAIです。ほんとうにありがとうございました。
「ぴぎゃっ
!?!?!?」
その強すぎる見た目の圧の前に、乙女が上げちゃいけない類の悲鳴を叫んだクロエの思考が止まる。頭が真っ白に染まり上がり、最早何も考えられなくなる。
もしこのタイミングでHENTAIが距離を詰めれば。あまつさえ、クロエの体を掴んでフトモモと股で挟む投げ技を敢行すれば。クロエは為す術もなく、水着に隠された宝具を押し付けられて一生消えない心の傷を背負っていただろう。
「やらせないわよこのドヘンタイ!!」
だが、そんな未来は訪れない。
HENTAIが動き出そうとしたその瞬間、動いたのはアリス。HENTAIを隔離するように、透明なガラスで出来た迷路を造り出したのだ。
『──!!』
ガラスの向こうで何やら叫ぶHENTAIの声は、壁に遮られて聞こえない。これで少しは、時間が稼げる事だろう。
「見るだけで目が腐るわ、なにアレ……! さぁこっちよアタシが相手してあげる!」
出口に立つこちらを目指し、右往左往し始めるHENTAIの姿を眺めて毒を吐き、煽るアリス。
そうして一通り煽った後に……。
「ほら、クロエ!」
「あっ、はい」
一仕事終えたと言わんばかりに、後の対処をクロエに放り投げた。
一見無責任に見えなくも無いが、実際二人の立ち回りはこれが平常通りのこと。アリスが抑え、クロエが仕留めるのがいつものことなのだ。お互いの力の性質を考えた、適材適所の立ち回りである。
(と、とりあえず……危なかったであります)
何にせよ、後は迷宮の出口を目指してやってくるHENTAIを迎撃するのみ。
ほうっと一息、呼吸を整える。そうしてキッと眦を決して、迷路の中を進むHENTAIの姿を睨む。
……いや、正直直視に耐えないけれど。けどしっかりと相手の姿を捉えねば、この一撃を当てることは出来ないから、今は我慢、我慢……。
「──いややっぱり無理でありますぅっ! ヴァルキリーズジャベリン!!」
そんな我慢も、それ程長く続ける事が出来なかった。
HENTAIが出口に続く最後の直線に姿を見せたその瞬間、クロエの恐怖と生理的嫌悪感は遂に限界を迎え……その一撃を、解き放つ。
まぁ、最後の直線はヒト一人がすれ違う事も難しい狭さである。相手が大男であれば、それこそ身動きも取れぬだろう。
『アーーーーッ!!!』
迫りくる光の槍に貫かれ、迷路に響く汚い悲鳴。その悍ましい声を耳にして、クロエとアリスが浮かべたのは引き攣った表情。
姿だけでなく、声までも色々とアレだとは……ホントもう。もうっ……!
「……と、とにかくっ! この調子で一般人も保護して、連中を片付けるわよ!」
「りょ、了解でありますっ!」
げんなりとした表情を浮かべつつ、保護すべき人々と倒すべき敵を探す二人。
……色々と極限な衣装を着せられつつ、二人の少女は猟兵としての使命を全うしようと奮闘するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ゼノヴィア・ホーカーテンペスト
●POW
これが…水着
海では人間の方々が誰も纏っていて、私もいつか着てみたいと思っていましたが…ようやく念願が叶いました
ですけど、いざ着てみると奇妙なデザインで、これが恥ずかしい…という気持ちなのですね
それにしても、あの方…オブリビオンはご立派ですね
思わず身体を引っ込めてしまいそうな私と違って、あんなに胸を張って水着を着ていられるのですから…
しかし、この場に降り立った以上、私は猟兵です
暴力を振るうのは気が進みませんが、公園の皆さんにご迷惑を掛けているのであれば…骸の海へご退場を願う他ありません
相手がUCを放ちましたら、『ラスボス変身』で増大させた触腕の【カウンター】で宝貝ごと薙ぎ払ってみせます
●
「これが、水着……」
着せられた水着を矯めつ眇めつ改めつつ、ゼノヴィア・ホーカーテンペスト(常世より堕ちりし繭入り娘・f31464)の口から溢れたのはどこか感慨深げな声。
ゼノヴィアは、海にルーツを持つ『神』であり、『ラスボス』と呼ばれる種族の、幼生体である。
ゼノヴィアが知る水着とは、海で過ごす人間達が纏うもの。そしていつかは着てみたいと思う、憧れの品でもあった。
……実は過去に一度、温泉地で水着を着た事があるのだが。あの時はグリモア猟兵が見繕ってくれた物であり、それ程見栄えの良い物では無かったし、サイズの方もジャストフィットとはいかなかった。
だが、今回は……。
「ようやく念願が、叶いました」
デザインも良し、サイズもピッタリ。まるでゼノヴィアの為に設えられた様な出来である。
自分専用とも言えるその水着に、ゼノヴィアは己の心が仄かに高揚するのを感じていた。
「……ですけど、いざ着てみると。これが恥ずかしい、という気持ちなのですね」
そしてその高揚感と同時に。羞恥の念という物もまた、ゼノヴィアは感じていた。
さて、ここでゼノヴィアの纏う水着について解説していこう。
ゼノヴィアが着ることになったのは、オフショルダーと呼ばれるタイプのビキニ水着だ。
肩紐を排する事で肩を剥き出しとし、デコルテラインを強調するこのタイプのこの水着は、着る者の女性らしさを周囲に示す事が出来るデザインである。そんなデザインであるから、着慣れぬ身からすれば羞恥を覚えるのも致し方ない所である。
さて、ゼノヴィアの水着のトップスはそんな感じ。ではボトムスの方はどうかと言えば……結論から言えば、ボトムスは存在しないという事になる。
ゼノヴィアは、常人では無い事は既に触れた。そう、彼女の体は通常のヒトのそれと同じ物では無いのだ。
彼女の体、その本体は巨大な繭状の肉塊だ。そこから生え出る様に伸びた少女の姿は、あくまでヒトの姿を模した器官。感覚器の一種でしか無いのだ。
そんなゼノヴィアの生態に、流石の水着結界も困惑を覚えたのか。用意された水着は、少女の上半身を模した器官の胸を覆うトップスだけ、となったようであった。
「それにしても……」
ともあれ、ゼノヴィアの水着はそんな感じではあるが。今回は、ただ水着を着る為だけにこの場に着た訳では無い。
ゼノヴィアの視線が動き、とある一点に注がれれば……そこにいたのは、悪の組織の戦闘員の成れの果て。女性用水着(かなり際どいカットのUバックワンピースだ)をその身に纏った、変質者だ。
自らを見つめる視線に気付いたのか、変質者が妙なポーズを取りながら一歩ずつゼノヴィアとの距離を詰めてくる。
筋骨隆々なその体で、膨れ上がった筋肉で水着が今にもはち切れそうだというのに、縮こまる事もなく胸を張るその姿は……ある意味、見事な物である。
「……ご立派、ですね」
そんな姿に、ゼノヴィアの口からは感じ入った溜息が零れ出る。
着せられた水着に羞恥を感じ、思わず体(器官)を本体に引っ込めてしまいそうな自分と違い、恥じ入ることなど一つも無いと主張するかの如くああまで自信満々に振る舞えるとは。
実に立派。その一言に尽きる。ゼノヴィアとしては、どこか尊敬の念を抱いていた。
……だが、それはそれとして。
「しかし、この場に降り立った以上、私は猟兵です」
その念は、横におく。
いくら立派な相手であっても、彼らは一般市民を傷付けようと目論む悪漢だ。見過ごす訳には、断じて行かない。
だからといって、暴力を振るうのは気が進まないが……それも罪なき人々を守るため。致し方がないと、気を切り替えて。
「骸の海に、ご退場願います」
眦を決して、変質者と立ち向かう。
『あら~、あらあらあら~♪』
戦意を露わとするゼノヴィアの言葉に、変質者の応答は怪しい笑顔。次いでこちらに駆け出す姿が、その答えだ。
腕を横に小さく振りながらのその姿は、俗に女の子走りと呼ばれる走り方。間違っても、筋骨隆々の大男に似合う走りでは無い。
……控えめに言って、気味が悪すぎる。
『い・く・わ・よぉ~♡』
そうしてその走り方のまま(不思議な事に、そのスピードは中々の物だった)、跳躍する変質者。
変質者のその手は、既に横に振られてはいない。隠された何かを取り出そうとするかのように、水着の中へと潜り込んでいた。
その姿もまた、直視すれば気分を悪くする程に気色が悪いが……。
「──薙ぎ払います」
ゼノヴィアに、そんな感性に訴える様な物は通じない。
淡々と一つ呟けば、動くのは本体に生えた触腕の一つ。その触腕が、みるみる内に増大し……強大な肉塊となって、振り回された。
その一撃は、完全に後の先を取った迎撃の一打。跳躍し空中にいた変質者に、躱す術などありはしない。
──ゴッ!!!
まるで骨を砕くかのような鈍い音が響き、撥ね飛ばされる変質者。そのまま地を数度跳ね、転がって……ぴくりぴくりと、横たわるばかりだ。
……とりあえずは、無力化出来たと。そう判断しても良いだろう。
「……ふぅ」
増大した触腕を元の姿に戻しつつ、ゼノヴィアがひとつ息をつく。
醜悪な肉塊の繭という、およそヒトとは程遠いその姿。だがその心根は、誰より純真無垢で心優しい善性の塊。
ゼノヴィア・ホーカテンペストのその有り様は、正しく模範的な猟兵のその姿であった。
大成功
🔵🔵🔵
シグルーン・オールステット
春が嫌い……確かに花粉症に悩まされてたり何か嫌な思い出がある人なんかは嫌いかもしれないけど。そんな理由で暴れるのは迷惑この上ないね。
水着結界、ふざけた名前だけど武装解除の目的なら中々適切かもしれない。衣装だけで武器や装備なんかは特に問題ない?なんだ混乱させるだけのふざけた装置か。別にどんな水着がきても特に問題ないよ。気にしないでいこう(※羞恥心は人並みにあります)
公園内を”天馬”で駆けて敵を探すよ。発見したら「残像」でかく乱し、「地形を利用」して「ジャンプ」突撃で「ふき飛ばす」。
皆見たくないだろうからね。池にでも落とそう。
●
──ブゥゥゥン……。
桜のカーテンを揺らす様に低く響く、モーター音。
愛車である『天馬』の名を持つ宇宙バイクを転がしながら、シグルーン・オールステット(銀光の乗り手・f23940)の口から零れ出たのは、呆れの色が強い溜息だった。
(春が嫌い、ね……)
この公園を襲撃したという、『悪の組織』とやらの女幹部が叫んだとされる言葉を思う。
春。それは確かに、新たな希望が生まれる季節である。
だが、例えば花粉症。
または、進学失敗や就職浪人、異動や転職、etc……。
嫌な思い出を抱えた事で、この季節を厭う人がいるのもまた、事実であるのだ。
(まぁ、そんな理由で暴れるのは迷惑この上ないね)
尤も、そんな個々の理由で他の人に迷惑を掛けて良い理由などありはしない。懲らしめねばならないだろう。
……そんな決意を胸に秘め愛車を転がすシグルーンであるが、普段クールなその表情の頬が、今日は僅かに紅潮していた。
「それにしても水着結界、か……」
それというのも、今の彼女の状態が問題であった。
ふざけた名前かつ、ふざけた効果の結界ではあるが……その効力の強さは、折り紙付きだ。
救いとなるのは武器や装備の持ち込みに関して制限が掛かる訳ではないという点だが、それはそれとして精神的な動揺は避けられない。
本当に、厄介極まりない結界である。
(どんな水着が来ても気にしないつもりだったけど。でも、実際着せられると……)
そんな結界の環境下で着せられた水着に、覚悟をしていたとは言えシグルーンの心が揺り動かされる。
シグルーンが着せられた水着は、クリスクロス・ビキニと呼ばれるタイプの水着であった。
この水着は、トップのバスト下やボトムのウエスト部分で紐が交差されるようなデザインである。
かつて宇宙を征く戦士として教育を受けたことで磨き上げられたスレンダーなシグルーンのその体に、まるで絡みつくように巻き付く紐の存在は何故だか妙に妖艶に見える。シグルーンがこの水着を着て夏の灼熱の浜辺に佇めば、きっと多くの異性が魅了される事になるだろう。
……とは言え、ここは春の桜咲き乱れる公園で。TPOというのが、あまりにも違い過ぎる訳で。
「これは中々、やり辛い……んっ?」
苦虫を噛むように表情を歪ませながら呟いて……シグルーンが気付く。
遠く、公園の噴水の辺りで動く人影がある。
靭やかに鍛え上げられた筋肉を誇示する様に、謎のポーズを取る男だ。そしてその男の悍ましい姿に、まるで蛇に睨まれた蛙の様に身動きが取れなくなった家族連れと思しき人々の姿もある。
……男は、こちらに気付いていない。奇襲を仕掛けるならば、今だ。
「行くよ、天馬──!」
意を決し、アクセルを開く。
瞬間、回転数を上げて唸るエンジン。そしてシグルーンの体に圧し掛かる加速圧。
残像を引くような急加速で、天馬が駆けて──。
「──吹き飛ばす!」
『んなぁ──!?』
備え付けられた特殊操作で、跳躍一番。勢いのままに突撃し、変質者を跳ね飛ばす。
急接近してきたシグルーンと天馬の勢いに、変質者の反応は僅かに遅れた。躱すことも、構えを取る間すらも彼には残されてはいなかっただろう。
直撃を受け、撥ね飛ばされ、噴水の中に叩き込まれ……某推理映画の一幕の様に、脚だけが水面に顔を出す。
「……大丈夫? もう平気だよ」
そんな一瞬の出来事に、唖然とした表情の一般人家族に向けて。シグルーンが言葉を掛ける。
口数こそ少ないが、シグルーンのその態度を見れば救われたのだという事を悟り、一般人達は口々に礼を言い、避難していく事だろう。
奇妙かつ厄介な環境下での戦い。しかしそれでも、シグルーンは己を何とか律し……猟兵としての務めを果たして見せたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
鬼柳・雄
ヴィクトリアさんお久しぶりっス。相変わらずお綺麗で。ちぃとブランク空いてっけど、やるこたやりますんでよろしく。
んで、水着結界かぁ……なんつーか懐かしいなオイ。春にゃその手の不審者が沸くっつーけど寒くね?特に今年なんか天気やべえぞ?雪降ったり三寒四温ってレベルじゃねえもんなーホントなー。
さて現実逃避はこれぐらいにしてと。パンピーいるならドーンと吹き飛ばしてスッキリって訳にゃいかねえか。シア、出番だ。水着新調できるぞ良かったな。礼にあのおっさん斬って燃やして凍らせてやれ。俺は銃で撃つから。くれぐれも民間人巻き込むんじゃねーぞー。
●
猟兵たちの活躍により、危機に瀕していた一般市民の多くは救い出された。
救い出された市民達は、現状安全圏となっている公園の駐車場に集められ……グリモア猟兵が応援を要請した現地組織のエージェント達の手により、治療や処置などが施されていた。
「はぁ~……」
そんな駐車場の光景を眺め、鬼柳・雄(チンピラサマナー・f22507)の口から溜息が零れ出る。
雄にとって今回の依頼は、久方ぶりの依頼である。そんな事情もあってか、久しぶりに顔を合わせるグリモア猟兵に先程軽く挨拶をしてきたところである。
(久方ぶりと言やぁ……水着結界も、なんつーか懐かしいなオイ)
そんな久しぶりの出会いを受けて、思い返すのは過去の記憶だ。
雄もかつて、水着結界案件に参加していた猟兵だ。
あの時は確か、夏の暑さに頭が沸いた邪教徒達が原因だったはず。その時の主張は、極々一部では頷ける所があったりなかったりだったが……。
(……いや、今回は寒くねぇか?)
今回の一件では、こう……色々と、間違っているような。
春の気候は三寒四温とは言うが、近年の気候は色々と乱れている。特に今年は、春先だというのに雪が降ったり気温が乱高下したりなどと……本当におかしいのだ。
そんな状況で、こんな水着結界などと。何かを感じる前に、まず寒さで不味い事になりそうではないか。
……事実、一般人(応援で駆けつけた現地組織の面々含む)の中には寒さで身を震わせている者もいるようだし。その辺り、件の『悪の組織』なる面々にはもうちょっと気を使って頂きたい所である。
(ちなみに、雄も勿論水着姿である。着せられたのはショートスパッツ型。ガッツリ競泳が出来そうであるが、当然防寒性はお察しだ)
「……っと。現実逃避はこれくぐらいにして、と」
そんな益体もない事を脳裏に描いたいた雄であったが。己の頬を軽く叩いて、意識を切り替える。
雄の鋭い感覚は、近づきつつある足音を感じていた。
明らかに、一般人のそれでは無い。鍛えられた男の、ずっしりとした筋肉の重みを感じる様な気配だ。
そんな気配に向けて、視線を向ければ。
『んっふっふっふぅ~♡』
そこには案の定、筋骨隆々の大男の姿。
艶めかしい仕草と、今にもはち切れそうな女性用水着(中々に際どい眼帯ビキニだった。目の毒過ぎる……)を纏うその姿は、紛うこと無き変質者。猟兵達が駆除している、傍観の一味に連なる者だろう。どうやら一般人がこの駐車場に集まっているのを察知し、やってきたようである。
(……パンピーの事を考えりゃ、ドーンと吹き飛ばしてスッキリって訳にゃいかねえか)
良くもまぁ、ノコノコと。とりあえずはヤッてしまうかと身構える雄であったが……冷静に考えれば、全力全開でぶっ潰すには状況が悪い。一般人を巻き込んでしまう訳にはいかないのだ。
……と、なれば。
「──来い、獰猛な雌狼にして戦士。黒き氷炎の悪魔マルコシアス!」
懐から取り出したスマホ型のデイモンデバイスを起動し、その名を呼ぶ。
瞬間、デバイスから光が弾け……顕れ出たのは、キマイラの特徴を持つ黒髪の少女。
炎と氷を操り力とする彼女の名は、マルコシアス。雄が契約を交わした、大悪魔である。
「シア、出番だぞ!」
そんな大悪魔マルコシアスもまた、かつての水着結界案件で水着の犠牲になった一人である。
……いや当人的には、犠牲になったとは思っていない。当時着せられた水着(マルコシアスの権能をイメージしたかのように染め分けられた紐が特徴的なタイサイドビキニだった)は、彼女にとってのお気に入りであったようだからだ。
だが今回、こうして喚び出せば。彼女の纏う水着も、また変わる事になるだろう。
今回の物も、彼女はお気に召してくれるだろうか? 喚び出した雄の頭に一瞬、そんな不安が過るが……。
「……お、気に入ったか? 水着、新調できて良かったな?」
その不安は、杞憂であったらしい。
今回マルコシアスが着せられた水着は、ワンピース型。融合変身をした際の戦闘服をイメージさせる様な配色の水着であった。
だが水着の最大の特徴は、配色では無い。
マルコシアスが纏う水着の最大の特徴は、胸の辺り。バスト間が剥き出しになるように生地が切り取られた様な、所謂キーホールと呼ばれる様なデザインであったのだ。
ワンピース水着というのは、やもすれば着る者に野暮ったい印象を植え付けがちである。だがそんなワンピース水着も、ちょっと手を加えれば……肌を過剰に露出する事無く、健康的な色気を演出する事が出来る。
マルコシアスも、そのバランスの妙を気に入ってくれたらしい。新たに着せられた水着を矯めつ眇めつ確かめて、表情を綻ばせ、時折雄に見せつける様にくるりくるりと軽やかに回転する。実に楽しそうである。
「うっし。それじゃ、その水着を着せてくれた礼に──」
さてさて。そんな新たなお気に入りとなった水着を着れたのも、水着結界案件が生じたからこそ。そんな縁と巡り合わせてくれた相手に対して、礼をしなければならないだろう。
そんな思いを、大いに篭めて。
「──あのおっさんを、斬って燃やして凍らせてやれ、シア!」
お礼参り、と行くべきだろう。
雄の口から飛び出た激に、くるりくるりと踊るように回るマルコシアスが両の掌を翳せば。生み出されるのは、炎と氷で造られた二振りの魔剣だ。
『あらあら~。可愛らしいのダ・イ・タ・ン♡』
そんな魔剣を構える水着姿の大悪魔を前にして、現れた変質者のその様子は変わらない。妙に似合う(そしてそれが異常に気色が悪いのだが)妖艶な仕草と言葉遣いで、その水着の内にその手を突っ込む。
一応説明しておくと、この変質者はその水着の内側に何やら宝具を隠し持っていたりするのだが……そうとは知らぬ者の目線で見ると、正真正銘の変態の行動だ。
そして当然、眼の前でそんな行動をすれば。少女の精神性を持っている大悪魔の目が点となり、次いでその顔が真っ赤に染まり……。
──ゴウッ!!
そして戦場に魔力の輝きが閃き、爆発的な剣風が吹き荒れる。マルコシアスの振るった氷炎の魔剣が反応を起こし、猛烈な風を引き起こしたのだ。
圧倒的な風圧を受け、何やら叫びつつ吹っ飛ぶ変質者。
「あ~……シア、くれぐれも民間人巻き込むんじゃねーぞー」
そんな光景を目にして、雄もまた呆れたように溜息をつきつつ肩を竦める。
相手のアレっぷりは、想像以上。なんというかアレ過ぎて、銃で撃つのもなんだかこうアレな気がする。
まぁこの様子からに、マルコシアスの優勢は動かないだろうし……全部任せてしまっていいだろう。
(……ま、ブランク埋めるにゃ丁度いい感じかね)
何とも色々と緩い今回の任務ではあるが、それくらいの緩さが久々の身には丁度いい。
視界の端で大暴れする相棒の様子を収めつつ、雄は全身を解す様に体を動かし始めていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『悪の女幹部』
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POW : 今週の巨大化獣
【今週の巨大化獣 】の霊を召喚する。これは【パンチ】や【キック】で攻撃する能力を持つ。
SPD : 戦闘員召喚
レベル×5体の、小型の戦闘用【悪の組織員 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : 悪の女幹部のおしおき
【剣 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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●
花咲き誇る緑地公園を襲った、水着結界という魔の手。
その尖兵である女性用水着を纏った変質者達を、猟兵達はあの手この手で打ち倒し……一般人達を、見事に救い出すことに成功した。これで一先ずは、犠牲者が出る事は避けられただろう。
そんな事実を、一旦スタート地点の駐車場に戻ってきた猟兵達が改めて確認し、安堵の息をつく。
さて。しかしこうなると、後は今回の騒ぎを引き起こしてくれたという『女幹部』がどう出てくるか、だが……。
『……えっ、えぇい。よ、よくもアタシの邪魔をしてくれたねぇ!』
そんな考えを巡らせたその瞬間、駐車場に響く女の声。
声の発生源は、駐車場の片隅に停められていたマイクロバスだ。
……って、今の声。なんか妙に震えてなかった? そんな違和感を覚えつつも、そこに向かって、猟兵達の視線が一斉に注がれれば。
『あっ、ゴメン。やっぱこっち見ないでぇ……』
そこに居たのは、やたら性格のキツそうな顔立ちをした女の姿。
だがよく見れば、女は全身を小さく縮こませてプルプルと震えている。そのキツそうな顔も、今は羞恥の念で真っ赤っ赤に染まっていた。
一体、何があったのか。
『な、なんでアタシまでこんな目に……』
耳の良い猟兵なら、プルプル震える女幹部のその呟きを耳にする事が出来たかもしれない。
そしてその呟きを耳にして、纏うその水着を目にすれば。自ずと察しが付くことだろう。
──コイツ、水着結界で自爆したのか、と。
事実はまさに、その通りであった。
今回この緑地公園に展開されている水着結界は、結界下のありとあらゆる生物を水着姿に変えるという狂気の結界である。
その対象に、老若男女の別は無い。つまりこの女幹部も、結界の影響をモロに受けてしまっていたのだ。
『おのれ、博士めぇ……! 帰ったら絶対シバいてやる……!』
だが、いつまでも震えている訳にはいくまいと。
愚痴を溢しながらも、勇気を振り絞って女が立ち直り、叫ぶ。
『アンタ達のせいで、計画は台無しだ! こっ、この落とし前ッ、アンタ達の命で付けて貰うよ!』
……あ、でもやっぱり声は震えてる。完全に動揺から脱した訳では無いようだ。
まぁ何にせよ。コイツが今回の騒ぎの主犯である『悪の女幹部』である事には間違い無い。後はコイツを打ち倒せば、今回の務めは無事終了である。
猟兵達はそれぞれに武器を構え、決戦に挑むのだった。
ちなみに、女幹部の水着は何かと言われれば。プライベートゾーンだけを覆う貝殻とそれを繋ぐ紐で出来た、所謂『貝殻ビキニ』とか呼ばれてる、アレであった。
……抽選率2.5%の二大ネタ枠の一つを、まさか敵が引き与えるとか。
まったくもう、なんと言って良いのやら、である。
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●第ニ章、補足
第ニ章はボス戦。
今回の騒動の主犯、『悪の女幹部』が相手となります。
戦闘について、特に触れる様な点は特にはありません。
戦場も特にギミックがあったりはしませんので、お気になさらず。
描写も基本的にはコメディ寄りですので、お気楽お気軽にどうぞ。
ちなみに彼女、OPの通り『悪の組織』の女幹部であったりします。
が、組織の事を訪ねたとしても、明確な答えを示してくれる事はきっと無いでしょう。
(ぶっちゃけた話、特に設定作っていないという意味です)
○今回の特殊ルールについて
一章から継続して、『水着結界』内での戦闘となります。
一章からの継続参加者の方は、既に描写されている水着に。二章からの参加者の方も、水着となっての参戦となります。
詳しくは、OPのマスコメをご確認下さい。
平和な桜の宴をぶち壊そうとした、その主犯。
自ら巻いた種で自業自得な目に遭ったのは、それはそれ。
猟兵よ、油断無く悪を討て!
皆様の熱いプレイング、お待ちしております!
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鍋島・小百合子
SPD
アドリブ可
敵の首魁まで水着姿に晒されるとはなんとも間抜けな・・・
同情できぬがの
「肌色を晒した者同士の戦などなんとも面妖な光景であるのう」
敵の召喚する戦闘員に対してこちらはUC「群制御動陣」にて女薙刀兵を召喚し指揮
結界の影響で兵達も色とりどりの水着姿になってしまっておるが、戦闘には差し支えないと見て構わず敵戦闘員の相手をさせる
わらわは薙刀を片手に戦闘員を蹴散らしながら首魁の元へ一直線
首魁をばすから引き釣り出し、我が薙刀の武技をもってこれを成敗す(なぎ払い、乱れ撃ち、鎧砕き、咄嗟の一撃併用)
恥ずかしいのはお互い様じゃ!自らが引き起こした惨事に今更喚くでないわ!
●
羞恥に顔を染め上げて、プルプルと震える『悪の女幹部』。
今回の異変を引き起こした敵の首魁であるその女が、猟兵達の前で無様なその姿を晒している。
自ら展開した『水着結界』(とは言っても、当の本人は何も聞かされていなかったようなのだが……)に巻き込まれ、そんな姿を晒してしまうとは。何とも間抜けな話である。同情する余地も無い。
──と、言うかだ。
「恥ずかしいのはお互い様じゃろう! 自らが引き起こした惨事に、今更喚くでないわ!」
こんな自体を引き起こしたのは、単に彼女の選択の結果。与えられた怪しいボタンを何も考えずに押し込んだ、その結果の事である。
つまりは自業自得、因果応報による結果が、今の事態であるという訳で。それをまぁ、被害者面を晒してこちらを糾弾するようなその性根は、唾棄すべき物である。
小百合子がふつふつと怒りを滾らせ声を荒らげたのも、無理は無いと言った所である。
『うっ、うるさいねぇ! アタシだってこんな……えぇい!』
──やっちまいな! 野郎ども!
そんな小百合子の怒りに反駁を試みようとした女幹部であったが、その心根の底では原因が己にある事を理解しているのだろう。口から出かけた言葉を、その腹の底へと飲み下す。
だが、だからと言って組織人としては何もせずにもいられないのか。声も高く叫びを上げれば……。
『『『うふふふ……♪』』』
どこからともなく顕れ出るのは、女の配下である多数の戦闘員だ。
この戦闘員達も、水着結界の影響を受けてタガが外れているのか。先程猟兵達が下した変質者と同じく、女性用水着を纏い女性的な振る舞いがやたらと目に付く連中であった。
……只でさえ視覚的に痛々しいヤツが、群れを成すこの光景。まさか地獄とはここの事だった……?
『まずはあの堅物っぽい女をボコボコにしてやりな!』
『『『りょうかぁ~い♡』』』
まぁともあれ。女幹部(戦闘員達のアレな姿に、苦虫を噛み潰しまくった様な表情であった)が激を下せば、戦闘員達もその意を受けて動き出す。
迫りくる変質者の数は、多い。真正面から相手をしても不覚を取るとは思わないが……少々面倒な事にはなりそうである。
で、あれば。
「──我は呼ぶ、武を誇らんと勇む戦女達……!」
こちらも、数を頼りにするのが上策か。
そう結論付けた小百合子が喚ばえば、時空が歪み……現れたのは、女武者の群れ。【群制御動陣(イクサニノゾミシウツクシキハナバナノグンダン)】の力で喚び出した、薙刀を携えし女傑達である。
だが現れ出た彼女達も、水着結界のその力を免れる事は出来なかった。纏う衣服は普段のそれでは無く色とりどりの薄布で、目の前には同じ様な格好の変質者となれば……流石の女武者達にも、動揺は避けられない。
「落ち着け! 装いこそ違えど、やるべき事は変わらぬ! 眼の前の不埒者を、押し留めよ!」
そんな動揺を看破し、鎮めたのは小百合子の激。
確かに、肌を晒した者同士の戦など何とも面妖な光景である。
だが、面妖なのはその光景だけ。やるべきことは、変わらないのだ。
そんな思いの込められた激を受ければ、女武者達も平静を取り戻し……。
「──いざ、かかれぇい!!」
変質者の群れに、挑みかかるだろう。
鬨の声をあげ、ぶつかり合う女武者と変質者。そこかしこで肉と刃が、時に肉と肉がぶつかり合う音が響く。
「せぇぇぇいッ!」
そんな敵味方入り乱れた乱戦を横目に、小百合子の身体が駆ける。
構えた薙刀を小枝を振るうかの如く振り抜けば、吹き飛ぶのは敵の戦列を作る変質者。
あっさりと崩壊した戦列に生じる穴。その向こうでは、目を丸くした女幹部の姿が。
……遮る者は、誰も居ない!
「覚悟せよ、痴れ者!」
一歩、二歩、三歩。強く地を踏み込めば、加速する小百合子の身体。
その疾さ、音を置き去りにするような勢いは、まさに一陣の風。吹き抜ける旋風と化した、その疾さのままに……その手の薙刀を、薙ぎ払う!
『ぬっ、おぉぉっ!?』
何やら叫び、吹き飛ばされる女幹部のその身体。
だが、小百合子の掌に残る手応えは……薄い。
敵も然る者。悪の組織の幹部という肩書は、伊達では無いらしい。
小百合子の振るった白刃は、女幹部が咄嗟に振るった長剣で受け止められたのだ。
……とは言え、その勢いと衝撃までは殺せなかったのか。吹き飛ばされ、地を転がり、立ち上がる女の口からは……。
『ぐっ、ぅ……やってくれるじゃあないか』
苦悶の唸りが、零れ出るだろう。
……一刀両断、とはいかなかった。けれど呼び出された有象無象を押し留めつつ、その上で手傷を負わせた小百合子の先駆けは、後に続く仲間達を大いに奮い立たせる物となるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
青葉・颯夏
セフィリカさん(f00633)と
貝殻のアレって実在してたんですね……
(アレに比べたらあたしのはかなりましな方よ)
羞恥心だけは賛同できるけどそれ以外は見過ごすわけにはいかないわ
はい、わかりました
援護は任せてください
前に出るセフィリカさんを隠すように花風を撃つ
あたしたちに惑わされている間に決定打、お願いしますね
(アレで転んだらどうなるのかしら……?)
どこからか悪戯なささやきが聞こえた気がする
ねえ、雪紐?
からくり人形へ呟いて絃凛で敵の足を引っかけてみる
セフィリカ・ランブレイ
颯夏と行くよ!
貝殻、実在してるんだよね…転んだら割れそう
セクシーでも若干居た堪れなさが先に出るかも
…あ、颯夏が付けるなら別だよ?ぜひ写真に残しておきたい!
望まぬ水着を強制的に着用させられ羞恥に悶える女の子からしか摂取できない栄養素がある
颯夏やリリアで充分摂取したはずがここに逸材が
普段からキワドめの衣装でも改めて水着となると恥じらうとは!
惜しいのは心が捻くれてる所、減点大!
私や颯夏みたいに満点の水着美少女には遠いね
颯夏、今度は私がフロント!
援護よろしく!
【神薙ノ導】
相手の挙動から相手を学び、打ち負かす技
集中が乱れてるなら余計付け入りやすい!
颯夏が隙を作ってくれる程に、私の間合いは完全になる!
●
「貝殻のアレって、実在してたんですね……」
「こういうのが出るのは、前に見たから知ってたけど。転んだら割れそう」
遂に始まった、決戦。
その緒戦の動向を、颯夏とセフィリカはどこか遠い目で眺めていた。
貝殻ビキニ。水着結界により女幹部が着せられた水着である。
その構造は、極めて単純。女性のプライベートゾーンを覆い隠す貝殻と、それを繋ぎ合わせる紐で構築された……ぶっちゃけ、水着と呼ぶもの烏滸がましいアレな水着である。
そんなアレに比べれば、背が少々剥き出しになってたり中々攻めたハイレグカットとは言え、競泳水着の方がどれだけマシな事か。
颯夏とすれば、ほっと一安心と言った心持ちであった。
「羞恥心だけは賛同出来るけど、ソレ以外は見過ごす訳にはいかないわね」
「そだね。セクシーはセクシーだけど、若干居た堪れなさが先に出るし」
まぁ、アレ(女幹部)もそういった意味では犠牲者ではあるのだが……だからと言って、公園の花見客に対する狼藉の罪が許される訳ではない。キチッと仕留め、反省を促さねばならぬだろう。
でも、それはそれとして……。
(うーん、まさかこんな所に逸材が)
相手を眺め、セフィリカの頭に過るのは痛惜の念。
望まぬ水着を強制的に着せられて、羞恥に悶える女の子。そんな存在からしか摂取できない栄養素がある。
今日セフィリカはその栄養を、隣の颯夏やこの場に導いてくれたグリモア猟兵から十分に摂取してはいたが……まさか相手の黒幕もまた、そんな栄養素を持つ存在であったのだ。
あの手のタイプの敵は、普段からかなりキワドい感じの服装である事が多い。けれど改めて水着となり、恥じらうとは。これは中々の逸材では無いか。
(まぁ、惜しいのは心が捻くれてるって所かなー)
減点、大! 心の中に作った調査票に書き留めて、セフィリカが改めて隣に視線を向ける。
自身と並ぶであろう、颯夏という満点評価の美少女。今の彼女の水着姿もかなりの物だが……もし颯夏が、貝殻ビキニを着たとなれば、どうなるだろうか?
「……颯夏、着ない? ぜひ写真に残して「絶対着ません」アッ、ハイ」
一縷の望みを託したセフィリカのその言葉は、最後まで言わせて貰えなかったが。
「ま、それはともかく! 颯夏、今度は私がフロント!」
「はい、わかりました。援護は任せて下さい」
そんなじゃれ合いはここまでだ。
お誂え向きに、丁度敵は弾き飛ばされて距離が開いた。変質者……もとい。戦闘員達も、先行して動いた猟兵が喚び出した女武者達が抑え込んでいる。
動き出すなら、今が最適だろう。
「それじゃ、よろしくっ!」
到来した機は見逃さない。そう言わんばかりに、地を駆けるセフィリカ。
そんなセフィリカの背を見守りながら。颯夏がその指に繋がる糸を手繰れば、主の意を受け動き出すのは『雪紐』の名を与えられた絡繰人形。その胴に仕込まれた隠し矢が、剥き出しとなり、放たれれば。
「──逃さないわ」
放たれたその矢は、再び無数の花弁と変わる。先程の変質者との戦いでも見せた、花嵐の異能だ。
『チィッ、しゃらくさいね!』
花の嵐が作る壁に包まれて、苛立ちを露わとするように舌を打つ女幹部。
しかし、その戦闘力は流石幹部を名乗るだけはある。襲い来る無数の花弁をその手に持つ剣で打ち払い、致命的な傷を受ける事だけは何とか避ける。
手応えの無い結果。しかし颯夏の目に、焦りは無かった。
セフィリカとの打ち合わせの通り、颯夏の役割は援護。相手の意識を、セフィリカから遠ざける事が務めなのだから。
そして今、敵の意識はほぼ花弁への対処に向いた。セフィリカの動きは、相手の意識の外に置かれたのだ。
「二式──」
花弁の壁の一歩手前。そこでセフィリカが一瞬、脚を止める。
ぐっと沈み込むセフィリカの身体。更に強く、一歩。その脚で強く、地を踏んだのだ。
そうしてその反動で──。
「──【神薙ノ導(カンナギノシルベ)】」
セフィリカの身体が、宙を舞う。
相手は水着結界の力でただでさえ注意力が散漫になっている状態なのに、更に颯夏の花嵐によってそちらへの対処に力を注いでいる状態だ。
そんな状態であれば、当然……セフィリカの間合いは、完全なもの以外にはなり得ない。
『──なぁっ!?』
花弁の壁を突き破り、突入したセフィリカが魔剣を振るう。
だが、この瞬間。女幹部に一瞬だけ、運が向いた。花の刃を捌く為に向けた視線が、丁度セフィリカの突入した壁の方角であったのだ。
慌てて剣を振るい、魔剣を弾く。だがその衝撃までは殺しきれず、女幹部が蹈鞴を踏む。
「防がれたっ? でも──颯夏!」
まさか、防がれるとは。思わずセフィリカが目を丸くするが、それは一瞬だけの事。
次の瞬間には、刃を交えたからこそ理解した相手の状態を伝えるべく、控える颯夏に向けて声を挙げ……その視線を、女の足元へと向ける。
(足元……?)
その視線の意図を、颯夏は確かに読み取った。
そうしてその意図を読み取った、その瞬間。
──そういえば、アレで転んだらどうなるのかしら……?
颯夏の頭に過るのは、先程のセフィリカの言葉。
セフィリカは、こう言っていた。『転んだら割れそう』、と。
では、この状況で相手が転んだらどうなるか。颯夏の頭に、そんな悪戯な囁きが響いたのだ。
「ねえ、雪紐?」
囁き、その手に繋ぐ紐を操れば。からくりに繋がる糸の一筋が外れ、伸びる。そうして伸びた糸は、蹈鞴を踏んだ女幹部の脚に絡み付き。
『えっ、アっ──ッ!?』
その脚を引っ掛け、掬い上げた。
只でさえバランスを崩しかけたところに、意識の外からの足払いだ。女幹部が堪えられるはずなど無い。
哀れ女幹部はそのまま転倒してしまう──貝殻ビキニを圧し潰すような格好で。
『あだーッ!?』
響く女幹部の悲鳴。だがその悲鳴の中に、何かが割れたような音は聞こえない。後で立ち上がる彼女の姿を見れば、その水着は健在である事も知れるだろう。
どうやら水着結界製の水着は、ある程度その形状を保護するような加護(むしろ呪いと言うべきか)があるらしい。
とは言え過去の例を考えれば、その加護の強さはそれ程強くは無いはず。物理的な限界を迎えれば壊れるだろうし、奪おうと思えば奪えてしまうはずだ。
……いやそんな事を知ってだからなんだ、という声も聞こえる気がするが。
まぁ、そんな無駄な知識を得たりしてしまったが。颯夏とセフィリカも、女幹部に確かな手傷を負わせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・クイン
クロエ(f19295)にアイデアを伝えましょう
それは前の夏のこと、アタシはクロエに水着を選んだ時に気づいたの
べつの子を恥ずかしい目に遭わせれば、気が紛れて楽になるってことを!
貝殻なんて捨ててかかってきなさい!
とか言いながら、呼び出すのはぬいぐるみ型のバロックレギオンの群れ
今回はちょっきんちょっきんハサミは動かすカニ型!
どうせあなたもドスケベ水着作戦の首謀者側なのよね?アタシたちを辱めて悦ぶつもりだったんでしょう?自分で思い知りなさい!
クロエの盾に逃げ込んだカニぬいぐるみ軍団が一斉に飛びかかって敵の水着の紐を狙うわ!
あ、お尻につられたカニがいっぴき、クロエの紐の方に?
※アドリブ、連携、OKです
クロエ・アスティン
アリス様(f24161)と頑張ります。
はははっ、貝殻ビキニでありますか……あれも辛かったでありますね……
けど、元々はアイツがこんな結界を使うのが悪いのであります!
アリス様の作戦を聞いて、あの時も酷い目にあったであります……とジト目になりながらも了解であります。
お尻が丸見えな水着に、後ろに人がいないかと気にしながらも盾を構えて自分が前衛であります。
うぅぅ、ア、アリス様、あまり見ないでくれると嬉しいであります。
敵がUCを使ってきたら【戦乙女の大盾】で防御して、跳ね返してやります!
い、今です、アリス様! 自分のユーベルコードで自爆してしまえであります!
へっ? アリス様、カニがこっちにも……ひぃ!?
●
(はははっ、貝殻ビキニでありますかぁ。あれも辛かったでありますねぇ……)
羞恥に震える女幹部のその姿を見て、クロエの口からまず真っ先に零れ出たのは、疲労感に満ちた溜息だった。
思い返せば、昨年の夏。夏の海水浴場で生じた水着結界案件の際、クロエもまたその水着を着せられていた。しかもあの時は、小柄なクロエに合わせた小さいサイズの貝殻で造られた、特別製であったはず。
女幹部が着せられたその水着は、クロエが着た物よりは若干大きく作られているようだが……まぁ何にせよ、色々な意味でお辛いものな事には間違いない。
どことなく共感を覚えたクロエの溜息がこーなるのも、宜なるかなといった所であるが。
「でも、ソレとコレとは話が別! こんな結界を使うのが悪いでありますよ!」
だが、ソレはソレ、コレはコレ。アレも被害者ではあるだろうが、被疑者であることも間違いないのだ。
であれば、同情など無用。真っすぐ行って、ぶっ飛ばすべきだろう。
「そうよそうよ! どうせアタシたちを辱めて喜ぶつもりだったんでしょ!?」
そんな戦意を燃え滾らせ始めたクロエと並ぶアリスの心もまた、ふつふつと怒りの炎を宿していた。
正直を言えば、アリスの中には今も水着に対する羞恥はある。何せお尻がほぼ丸出しのデザインなのだから。
けれどその羞恥は、今は多少は軽減された。だって目の前で、もっとヤバいのを着せられた存在がいるのだから。
この感覚を、アリスは知っている。
それは、前の夏のこと。クロエの水着を選んだ、あの時のことだ。
水着選びの最中、呪いの力で恥ずかしい目にあったアリスはあの時識ったのだ。
そう。他人も恥ずかしい目に遭わせれば、気が紛れて楽になれるという事を!
……いやまぁ、なんというか。性根が微妙に捻くれてるなぁ、とは思わなくも無いけれど。その辺を矯正するのは、今するべき事では無いから放っておこう。
「このドスケベ水着作戦の首謀者め! 貝殻なんて棄ててかかってきなさい!」
『い、いやソレは棄てたら色々不味いだろっ
……!?』
威勢の良い挑発に反駁する(猟兵達の度重なる攻撃で、既に膝がプルプル震えだしている)女幹部のその言葉を聞き流しつつ、アリスが腕を広げれば……背の空間が歪み、ぽぽぽぽーんと飛び出てくる多数の影。
それは、アリスの猜疑心や恐怖心が生み出した、ぬいぐるみ型のバロックレギオン。ちょっきんちょっきん動かすハサミがチャーミングな、カニさん型のぬいぐるみであった。
『ハッ、ナメんじゃあないよ!』
そうして現れたカニさん軍団が、一斉に女幹部へと襲い掛かるが……吹き抜けた剣風の前に、ずばーんって具合に吹き飛ばされる。
ジロリ、とこちらを睨む女幹部のその視線を注がれて、思わず怯むアリス。
「ここは、自分がっ!」
そんな視線の間に割り込んだのは、自慢の大盾を構えたクロエであった。
その姿はまさに、弱きを守る聖なる御楯。戦女神の神官戦士としての、真骨頂である。
……つるんと剥き出しになった、シミ一つ無い綺麗なお尻さえ隠れていれば、だが。
「うぅぅ、あ、アリス様ぁ、あまり見ないでくれると嬉しいでありますぅ……!」
クロエもまた、その事実を自覚しているのか。すーすーとした風を感じるお尻が、妙に気になる様子であった。
『隙だらけだよ!』
そんな風にお尻を気にし過ぎるせいか。クロエの集中力は、やや散漫気味で隙だらけ。
そんな状態を見逃す程、敵は愚かでは無かったらしい。気勢を上げつつ剣を振り上げ、女幹部がクロエへ迫る。
翻る白刃。その一閃を隙だらけの状態で受ければ、例え頑健な盾とて無事では済まぬだろう。
だが……。
「っ! 隙だらけなのは、お互い様でありますっ!」
クロエが言うように、隙だらけなのはお互い様。
女幹部もまた、着慣れぬ貝殻ビキニという衣装のせいでその動きにやや精彩を欠いた状態だ。
その事を自覚していたのか、足りぬ分は気勢で埋めようと女幹部は態と声を張り上げたようであるが……それだけ声が響けば、流石に気付く。
散漫気味であったクロエの意識は引き締められ、その盾で見事に白刃を受け止めて。
「すべてを跳ね返せ! ──ヴァルキリーズシールド!」
その力が、解き放たれる。
クロエの大盾は、信奉する戦女神の加護が乗っていた。
全ての攻撃を受け、返す、絶対無敵の城塞の如き護りの力。その鉄壁を、お仕置き程度で乗り越えられるはずが無い。
『ぐぅ──ッ!』
振るった剣が弾かれて、表情を歪ませる女幹部。弾き返されたその力で、全身を痺れさせたらしい。
「い、今です、アリス様っ!」
眼の前の女幹部の口から溢れた苦悶の息を耳にして、クロエがアリスを促す。
その呼び声を聞けば、ジロリと睨まれ僅かに怯んでいたアリスの心が再び燃え上がり……。
「お、思い知りなさい! ドスケベ女!」
再び飛び出たカニさん型のぬいぐるみが、勇躍。女幹部に、再び挑む。
『ちょっ、このっ……紐はやめっ、あぁっ!?』
睨みを受けた事で怯み、恐怖を覚えたアリスのぬいぐるみのパワーは、先程よりも増している。そして女幹部のその身体も、痺れからか満足に動く事もままならぬ状態だ。
悲鳴をあげ、身を捩らせ……女幹部はちょきんちょっきんと鳴り響くハサミを何とか躱すので精一杯といった様子だ。
必死に水着の紐を守らんとするその姿を見れば、消耗を強いる事が出来たと判断しても良いだろう。
「あっ、アリス様っ!? カニがっ! カニがこっちにも……ひぃぃっ!?」
そんな女幹部の直ぐ傍では、盾を構えるクロエが何やら悲鳴を挙げていたり。
どうやら剥き出しのお尻に釣られた様であるが……まぁ、悲しい事故である。
クロエのお尻が守られたのかどうかは、当人だけが知る所としておこう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鬼柳・雄
【アドリブ絡み歓迎】
さーて変態は片付けたしボス退治といくか。
何だお前(呆れ)お前まで引っかかってんのかよ。この結界、無差別だぞ?入ったらそうなるってわかんだろ、なぁ……。しかも貝殻ビキニってお前なんでよりにもよってネタ枠引くんだよ。見た目に反してポンコツ属性かぁ?
まーとにかく落とし前付けて貰うぜ。
おいシア!合体いくぞ!変身!
解ってた。こうなるって。前がそうだったもんな(変身した姿の上に女物の水着姿の己を見て)まぁいい、これで五分と五分だ(?)
「空中戦」を挑み「グラップル」で闘います。オラオラこんな程度のパンチが効くか!こうするんだよ!凍てつく右拳!燃え盛る左拳!空の果てまで吹っ飛びやがれ!
シグルーン・オールステット
一般人の安全は確保できた。あんなものがうろついてたら人生に要らない傷を負う事になるものね。ボスもしっかりと片付けて平和な花見を取り戻そうか。
………。猟兵もオブリビオンも関係ないとか無駄にスゴイねこの結界。恨むならこんな計画に乗った自分を恨んでほしいよ(嘆息)
なんとも気合が抜ける相手だけどそれはそれ。天馬に乗って戦闘員たちをUCで次々と轢きます。おっとお姉さん(女幹部)、その水着だとあまり暴れると危ないよ?運がなかったね、本当に。といって女幹部をけん制しながら。
一歩間違えると自分があの姿になっていたのかと思うと、うん。同情はするけれど。
テレスコール・セグメント
あはは、そんな水着もあるの? 初めて見たよ~!
あたしは楽しい思いしてるから、狡いなって反省してるけど……まあそれはそれってことで!
事件の原因はちゃんと片付けないと、ね?
ユーベルコード【edit_data.minelauva;】を使うよ
あたしの装備するフォトンセイバー「憂鬱なポラリス」を複製、貴女目掛けて攻め込むね
一振りは他の一振りの退路を断つように、また他の一振りは更に他の退路を潰すように……確実に狙った軌道を描くよ
でもね、水着選びを手伝ってくれたってことで……貴女達の組織には感謝してる
夏が来たら、どんなの買うか決まったもん、その博士さんは結構良い趣味してるよね!
(アドリブおよび連携歓迎です)
●
「いや、何だお前。お前まで引っ掛かってんのかよ……」
さて、時は僅かに遡って。女幹部が猟兵達の目の前にその姿を晒した頃である。
明らかに水着結界の効果に巻き込まれて自爆した感のある女幹部のその姿を眺め見て、呆れ顔を浮かべていたのは雄であった。
雄は、過去にも水着結界案件に挑んだ経験を持つ。その際に、水着というのも烏滸がましい存在が水着ガチャ(※便宜上の呼称です)に存在する事も把握していた。
(事前に何も知らされていなかったらしいとは言え)無差別発動の結界の発信源に立ち、しかもピンポイントでガチャのネタ枠をぶっこ抜くとは……この女、見た目に反してポンコツ属性持ちかよ、と。雄の表情が呆れ顔になるのも、当然と言えた。
(なお雄の相棒の大悪魔は、女幹部の水着を見て顔を赤くして縮こまっていた。少女の精神性を持つ彼女に、貝殻ビキニというインパクトは強すぎたらしい)
「……猟兵もオブリビオンも関係ないとか、無駄にスゴイねこの結界」
そんな雄と同じ様に、嘆息したのはシグルーンだ。
この水着結界のアレさは、ここまでで存分に思い知らされた。そんなヤバさを秘めた結界を発動させる鍵を、特に疑問に思うことなく開け放ったのは目の前の女幹部である。
怪しげな装置を、何も疑わずに起動させた。その結果が、女幹部の自爆。自業自得以外の何者でもない。
なので恨むのなら、計画とやらの内容を精査しなかった自身の迂闊さをこそ恨んで欲しい物である。
「まぁ、一般人の無事は確保できた。あとはボスを片付けて、平和な花見を取り戻そうか」
「……だな」
ともあれ、ポンコツ女幹部を放置しておく訳にもいくまい。何とも気合の抜ける相手ではあるが、コイツが今回の黒幕だというのなら叩いて懲らしめねばならないのだ。
雄とシグルーンが、顔を見合わせ、頷きあい。お互いに動き出そうとした、その時だった。
「──あっははは! そんな水着もあるの? 初めて見たよ~!」
響いたのは、楽しげな女の笑い声。
何事かと雄とシグルーンが視線を向けたその先にいたのは、藍色のホルターネックビキニを纏った猟兵、テレスコールの姿だった。
その細指を指し示しテレスコールが笑うのは、女幹部……正確には、女幹部が纏う貝殻ビキニだ。
水着に憧れ、それなりに良い結果を引き当てたテレスコールとしては、今回は割りと楽しい思いをしている。
だがもし、自身があんなネタ枠を引き当てていたら? と思うとゾッとしないが……まぁ、それはそれ。
敵がネタ枠を引き当てたのなら憂うことなく笑えるし、更に言うならソイツが首謀者であるのなら……きっちりお片付けも、しなければだ。
『こ、このっ! アタシを、嗤うなぁッ!!』
そんな愉快そうなテレスコールの笑い声が、女幹部の怒りに火を着けた。
先に動いた猟兵が喚び出したカニさん型ぬいぐるみを何とか引き剥がし、憤激する女幹部が掌を掲げ──。
『来なッ! 今週の巨大化獣!!』
パチン、と音も高らかに指を鳴らして、喚ばう。
瞬間、晴れ渡る春の空が俄に曇る。そして女の頭上の空間が大いに歪み、割れて。
──オオオオオォォォォンッ!!
顕れ出たのは、巨大な怪物。なんかすっごい四肢と、すっごい爪や牙を持ってそうな、見るからに恐ろしい怪物であった。
……え? 説明がふわっとし過ぎ? 詳細は皆さんの心にあるよ、多分、きっと、めいびー……(どうせヤラれ役だし詳細設定はしてないの意)
「ちっ。ポンコツとは言え、幹部の肩書は伊達じゃねぇか」
そんな大怪獣の姿に、舌を打つ雄。
もしアレが暴れ回れば、公園の被害は甚大な事になるだろう。そしてそうなれば、逃げ延びた一般人達の安全の保障も、揺らぎかねない事態となるのは間違いない。
……そんな事だけは、許してはならない。
「おいシア、合体行くぞ!」
今も顔を赤くして縮こまる大悪魔の頭を優しく叩き、雄が叫ぶ。
「──変身ッ!」
瞬間、少女悪魔の身体が光と変わり……雄の体と合一すれば。雄の装いが、全身を覆う戦闘服へと変わっていく。
基調色は黒。胸や肩は白銀。左右の翼が蒼と橙に輝くその姿は、雄と少女悪魔が【融合変身(ディアボリックフュージョン)】を遂げたというその証左である。
だが、しかし。
「……解ってたよ、こうなるって。前がそうだったもんなぁ……!」
その姿の極一部が、変化していた。
より具体的に言えば。戦闘服の上に、追加されたパーツがあったのだ。
そのパーツとは、女性用水着。少女悪魔が身に着けていた、キーホールデザインが施されたワンピース水着である。
……実は前回の水着結界案件の際も、雄は同じ経験をしている。水着結界の力で水着姿となった相棒と合一した際に、戦闘服の上から彼女が纏った水着を纏う羽目に陥っていたのだ。
戦闘服の上からではあるが、男性の身で女性用水着を纏う。この感覚の、なんと落ち着かない事ではあるが……。
「まぁいい、これで五分と五分だ!」
そこらはとりあえず、横に置く事とする。
「デカブツは俺がやる! 取り巻きは任せたぜ!」
叫んで勇躍、雄の身体が宙を舞う。巨大生物に対し、格闘戦を挑む腹積もりであるらしい。
「了解。それじゃあ、ボクたちは……」
「戦闘員の、討伐ね!」
そんな雄の勇姿をちらと眺め、こちらも動き出すのはシグルーンとテレスコープ。
狙うのは、女幹部が喚び出した取り巻きの変質者……もとい、戦闘員だ。
現状、先に動いた猟兵が喚び出した女武者と戦闘員がやりあっている状態だが、やはり女性に対して戦闘員のあの姿は毒なのか。女武者達の動きは、ほんの僅かに精彩を欠いている様に見える。
そんな戦いに、更に一手テコ入れすれば……戦闘員達を完全に駆逐する事は、容易いだろう。
「──行くよ、天馬!」
気合を入れる様に一つ叫び、バイクのアクセルを開く。
瞬間、高鳴るエンジン音。低い唸りは轟く叫びと変わり、その出力を一気に高める。
そうして高まったその出力で、スピードを速め……。
「轢き、潰せ──!」
『ンノぉぉぉっ!?』
……今まさに女武者に覆い被さろうとした変質者を、轢き飛ばした。
無様な悲鳴をあげながら吹っ飛んでいく戦闘員は、周囲の味方数人を巻き込んですっ転ぶ。
その衝撃が凄まじかったのか、戦闘員達は何やら組んず解れつという状態になっているようだ。脅威としては大きく減じたと見て良いだろう。
『バイクでヒトを轢くだとぉ! それが正義の味方のすることかい!?』
眼の前で引き起こされた衝撃的な光景に、何やら抗議の声を挙げる女幹部。だが、その抗議の声は……すぐに途絶える事になる。
「いけ、ポラリス!」
『──チィッ!』
テレスコールが放った剣閃が、女幹部のその身を襲ったからだ。
閃く光の刃をその手の剣で打ち払った女幹部が、テレスコールへ視線を向けて……絶句する。
テレスコールの周囲には無数の筒が浮かんでいた。
その筒は、テレスコールが振るうフォトンセイバー『憂鬱なポラリス』の発振器の、複製体である。
(観測は、終わらない)
【edit_data.minelauva;(ミネラウヴァ)】。テレスコールが振るうユーベルコードである。
その効力は、自身が振るうフォトンセイバーの複製。そして複製体の、念動操作である。
(それは星光の落とし物……!)
そうして造られた発振器に、思念を乗せれば。テレスコールのその意のままに、発振器が動き出す。
煌めく星雲の如き淡青の光刃を放ちながら、発振器の群れが女幹部へと迫る。その動きは、それぞれの刃の死角を潰すかのようだ。
その光景を喩えるならば、光の網と言ったところだろうか?
(個人的には、貴方達の組織には感謝してるんだけど、ね?)
迫り来る光の網に囚われまいと、必死になって剣を振るう女幹部の姿を眺めながらテレスコールは思う。
今回の水着結界は、確かに厄介だったが……でもこの結界のお陰で、夏に向けたイメージが固まったのだ。
悪事さえ働かないのであれば、結構いい趣味してるねと。手放しで称える事も、出来ただろう。
けれど、相手は自称悪の組織で。実際に一般人に危害を加えようとしたのだから。
……許す訳には、いかないのだ。
『ぐぅっ!? 更に圧が……!』
一際強まる光の網の圧力に、苦しげな息を漏らしながらも女幹部は抗い続ける。
閃く銀閃。発振器が一基砕かれる。ぶるんと揺れるたわわな実り。
「おっとお姉さん。その水着だと、あまり動くと危ないよ?」
『んなっ!? ……ひぇっ!?』
そんな光景を、淡々としたテレスコールの指摘が飛べば。
耳にして、理解した……理解してしまった女幹部の動きが、鈍る。
そう、鈍ってしまったのだ。
『──ぐあああああっ!?』
ここまで抗えたのは、女幹部が必死に剣を振るえたからこそ。
だが鈍ったその身体では、剣を十全に振るう事もままならない。そうなれば必然……テレスコールの放つ光の網にも、囚われてしまうのは道理である。
全身の至る所を光刃で斬り付けられ、苦悶に叫ぶ女幹部。
そして、その叫びと時をほぼ同じくして……。
──ギャオオオオオンッ!?
頭上からも、断末魔に似た叫びが轟いた。
「オラオラッ! こんな程度のパンチが効くかよッ!」
叫んだのは、現れた巨大怪獣だ。
雄に白兵戦を挑まれた巨大怪獣は、そのすっごい四肢と爪や牙で雄を叩かんと振り回すが……その全てが、雄への決定打には繋がらなかった。
確かに、その一撃は重い。だがただ重いだけの攻撃など、猟兵の前では然程の脅威とは成り得ないのだ。
「パンチってのぁ……こう打つんだよッ!」
振り下ろされた相手の前腕を真正面から押し破り、懐へと潜り込む。
「──凍てつく右拳!」
そうしてそのまま、その腹へと右拳を叩き込み。
「──燃え盛る左拳!」
あまりの衝撃にくの字となった怪物の頭を弾くように、左拳を突き当てる。
瞬間、轟く白光。冷気と熱が反応を起こし、小規模な爆発を生じさせたのだ。
突き上げられた左拳と、爆発の衝撃を一身に受けて──怪獣の身体が浮き上がり、飛ばされて……空の彼方に、消えていく。
「空の果てまで、吹っ飛びやがれ!」
消える飛行機雲の向こうへ飛んでいく姿を見届けて、啖呵を切る雄。
その衝撃的な光景を、倒れ伏した状態で見届けて……。
『そんな、馬鹿な……ッ!?』
女幹部は、最早勝機など何処にも無いという事を察し、項垂れるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘× グロ×
WIZ
コミカルお色気
いや~ん、素敵なお姉様♥
しかも貝殻ビキニだなんて大胆っ♪
スク水、マイクロビキニ、スリングショット、何でも来い!
私は見られるほど【気合い】が漲るの♪
私と秘密のお花見しましょ~♥
【ダッシュ・ジャンプ】で抱き着き
迎撃されても【第六感・見切り】からの『狂愛』で
123人のちびルルに分裂して回避
春は嫌い?
じゃあ、夏の日差し以上の熱愛を♥
【念動力】で自身を浮かせ【空中戦】
【怪力・捕縛】の抱擁で軍隊蟻の如く纏わりつき
濃密な【誘惑・催眠術】のフェロモンと
【吸血】しつつ媚毒の【呪詛】を注ぐ【マヒ攻撃】で
魅了・脱力させる【集団戦術・武器落とし】
そのまま全身を【慰め・生命力吸収】よ♥
●
『そんな、馬鹿な……ッ!』
喚び出した大怪獣をいとも容易く撃破され、項垂れる女幹部。
戦闘員も既にその多くが退けられ、自身の身体にも隠し切れない大きな傷を負っていた。
最早勝機など、何処にもない。その事実を前に、女幹部の心は折れかけていた。
「いや~ん、素敵なお姉様♥」
そんな項垂れる女幹部に注がれる、姦しい笑い声。
その声に向けて女幹部が視線を向ければ、そこに立つのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)だ。
「し・か・も、貝殻ビキニだなんて、大胆っ♪」
ニヤニヤと笑うドゥルールに、悪意は無い。本気で貝殻ビキニを良い物だと思っているような風情である。
だが、女幹部からすればコレが良い物だなどと思えるはずも無く。
『ばっ、馬鹿にしてぇ……! というかお前も、人の事言えないだろうに!』
心の奥底に燻っていた火が、ほんの僅かではあるが蘇ったようである。
声を荒らげ、激する女幹部。彼女のその表情は、『お前だけには言われたかねぇ!』と言わんばかりであった。
……さて、ここでドゥルールの着せられた水着について解説しておこう。
彼女が着せられた水着は、シンプルイズベスト。布面積が極限まで削られた、黒のマイクロビキニであった。
ドゥルールの白い肌を飾る黒のマイクロビキニは、彼女から発せられる妖艶さと併せ周囲の空気を染め上げるかのような艶やかさであった。
とは言え、それだけ艶やかであるという事は。女幹部が言うように、人の事を言えない程にドゥルールの水着がアレであるという事で。女幹部が荒れるのも、まぁ致し方なしである。
「べっつにー? 私、見られるほど気合が滾るタイプだし♪」
しかしそんな怒りを、ドゥルールは柳に風と受け流す。
ドゥルールは、気質的に『そういったこと』に対する耐性が人一倍高いタイプである。どんなヤベー水着が来ても、さして恥ずかしいなどとは思わないのだ。
そんなドゥルールのコメントに、女幹部の表情は宇宙人を見るかのような愕然とした表情であった。
「さてさて。アナタ、春がお嫌いなようだけど──」
とは言え、いつまでも誂ってばかりではラチも開かないと。ドゥルールがジッと女幹部を見つめながら、無造作に歩みを進める。
妖しく輝くドゥルールの瞳。熱に浮かされた様なその瞳に射竦められれば、女幹部の背がゾワリと粟立つ。
『ぁっ……ァァァアアアアアッ!!!』
言い様のない恐怖に、女幹部の心は壊れた。
座り込んだまま叫び、剣を引き抜き、ただただドゥルールを遠ざけようとするかのように、その剣を振り回す。
だが……。
「──じゃあ、夏の日差し以上の熱愛を♥」
その振り回された剣が、ドゥルールの身体を刻む事は無い。
剣が振り回された、その瞬間。ドゥルールは己のユーベルコードを発動し、123体の小さな分身体へと変身したのだ。
本能のままに翻る剣閃を、見切り、躱して……。
「「「秘密のお花見、し・ま・しょ~♥」」」
ちびルルの群れが、まるで軍隊アリの如く女幹部に群がり、纏わり付く。
同時にドゥルール各氏の身体から発せられるのは、濃密なフェロモン。媚薬の如き濃密なそれを、纏わりつくちびルル達が女幹部を甘噛する事でその身体に流し込んでいく。
『あっ、ぅっ、ひぃっ
……!?』
注がれる甘い毒に、女幹部の目には最早正気の色は無い。痙攣する様にビクンビクンと反応する身体も、完全に脱力しきってしまっている状態だ。
あっちを向いてもこっちを向いても、小悪魔だらけ。此処は地獄か天国か。
その辺りの判断も、最早女幹部には出来ぬ程の状態であった。
……やがてちびルルが満足し、女幹部を解放した時。彼女の表情は、完全に熱に浮かされてしまった様な陶然とした面持ちであったと言う。
大成功
🔵🔵🔵
ゼノヴィア・ホーカーテンペスト
●WIZ
まぁ…なんて、なんて…素敵な水着なのでしょう
ただの二枚貝の貝殻のように見えますが、よく見るとその表面は丹念に磨かれ、貝の真珠層が虹色に反射して…
まるで、人魚姫や美の女神様が身に付けている水着のようで、物凄く…お似合いです!(全く悪意のない異なる価値観の感想)
あの、物凄く怒っていますが…私、何か言ってしまいましたか?
もの凄い剣幕で剣を抜きましたが、なんとかして無力化しませんと…
『海食水撃』の高圧放水で相手の戦意を削がなければ…ああ、開けた穴に落ちて!?
溺れそうな彼女を触手で引き上げようとしましたが、思わず目を手で覆ってしまいます
その…水着が、水着が…外れて…!
見ている私も恥ずかしいです!
闇野・みこ
うっわー、えっちそうに見えてちょっと笑えちゃう水着ねー
え?私? 私は普段から水着みたいなものだからね!
見られて恥ずかしい、なんてことはないのよー
そんなわけでー、君も恥ずかしがらなくてもいいんだよ?
っと、言いつつ相手の背後からもう一人の自分がこっそり
…分身の分だけ、もう一回水着判定できますね!
ともかく貝殻ビキニの紐を解いてみるなんて悪戯を仕掛けるのです
はらりと落ちる、かもしれない女幹部の水着……
ひっひっひー♪
さあさあ♪ 堂々としなよぉ♪
ほらほらぁ♪ 落とし前をつけるんでしょー♪
ふたりがかりで囁く、二人のみこには悪魔な羽や尻尾の幻が
見えているかもしれない
●
発狂し、甘い毒に浮かされて、陶然とした表情を浮かべたままの女幹部。
投げ出された四肢には明らかに力が無く、コレ以上の抵抗は不可能だろう。
「うっわー。えっちそうに見えて、ちょっと笑っちゃう水着ねー?」
「こうまであからさまだと、最早ギャグよねぇー?」
そんな女幹部を追い打つ様に、みこがケラケラと指をさせば、追従する様に笑うのはみこに良く似た面持ちの女。
みこに似た女の正体は、みこが造り出した写身。五感を共有する、もう一人の自分である。
そんなもう一人のみこであるが、彼女もまた立派な水着姿であった。
彼女が着るのは、ちょっとでも身動ぎするとポロリ不可避なくらいに際どいスリングショット。公衆の面前でお披露目するには、刺激が強すぎる類のアイテムであった。
……ココに来て、(水着と呼べる範疇の内で)ヤベー水着を二連発とか。水着結界=サンさぁ……。
『ぅっ、くぅ……そんなの、ヒモじゃないか……!』
そんなみこwith写身のケラケラとした笑い声に、ほんの僅かに正気を取り戻した女幹部が呻く。
まぁ本体であるみこの水着(ハイネックレースのビキニ水着)はともかく、写身の方は貝殻ビキニと比較しても大概ヤバい部類の水着である。コレを超えるとなると……今回は出番が無かったが、貝殻ビキニと並ぶもう一つのネタ枠である、『アレ』くらいしか無いだろう。
ともあれ、そんな女幹部の呻きを受けて……。
「いやぁ。私、普段から水着みたいなものだからね!」
「見られて恥ずかしい、なんてことはないのよねー?」
みこwith写身の返答は、飄々としたものだった。
みこもまた、先んじて動いた猟兵と同じ様に『そういうこと』に対する耐性の高い猟兵である。体質的な事情もあり、薄着や露出に対する抵抗は、薄いのだ。
そんな二人のコメントを聞けば、『ウッソでしょコイツら……』みたいな表情を浮かべるしかない女幹部である。
「まぁ……なんて、なんて──」
とそこで、女幹部に対してまた違うベクトルの声が掛けられる。
視線を向ければ、そこにはヒトとは明らかに違うシルエットの存在……ゼノヴィアがいた。
ゼノヴィアのヒトの身体に似た器官、その目は女幹部の水着に注がれて、その手は感じ入ったように組まれている。
はて、何やら様子が可笑しいぞ、と。女幹部の頭に、何やら嫌な予感が過る。
「──なんて、素敵な水着なのでしょう!」
『ウッソでしょお前ぇ!?』
今度は言葉に出すのを耐えられなかった。それくらい、衝撃的な一言だった。
「嘘なんかではありません!」
女幹部の魂の叫びに、思わず声を荒らげて反駁するゼノヴィア。
女幹部が纏う貝殻ビキニに使われているその貝殻は、一見すればただの二枚貝のそれである。
だがよく見ればその表面は丹念に磨かれ、貝の真珠層が虹色に反射しているのが判るだろう。
貝の真珠層は、古来から家具の装飾などに利用される価値ある物だ。それだけ美しい物を水着として利用しているのだ。
美しくないはずが、無いではないか!
「まるで人魚姫や美の女神様が身に着けている水着のようで……物凄く、お似合いですっ!」
キラキラと輝くゼノヴィアのその目には、全く悪意の色は見られない。
むしろそんな美しい水着を着てるのに、何故この方はこんなに恥ずかしげなのかと……純粋な疑問すら覚えている様子であった。
……まぁ、ゼノヴィアは度々触れている通り普通のヒトでは無い。ラスボス、と呼ばれる様な種族のお方である。
であれば、価値観が色々と異なってくるのも、まぁ……しょうがないよねー、と言った所だ。
『ふっ、ふざけンな! だったらお前が着りゃあ良いでしょうがぁっ!!』
だがまぁ、そんな事は女幹部には通じない。ここまで散々恥ずかしい思いをして、その上で追い詰められて。更にもうひと押しそんなコメントを叩き込まれれば、激怒するのも当然である。
プルプル震える限界を超えた身体に更に鞭打ち立ち上がる女幹部が、その手の剣を高く掲げる。
『アンタ達の水着をブッ千切って、恥ずかしい目に遭わせてやんよぉっ!!』
そうして叫ぶその言葉は、もう明らかに支離滅裂。我を忘れているのは、明白であった。
そんな凄まじい剣幕の女幹部に対し、ゼノヴィアが浮かべる表情は困惑一色。
(も、物凄く怒っています……私、何か悪いことを言ってしまったのでしょうか……?)
だがまぁともかく、まずはその戦意を削いで無力化しなければ、と……。
「で、出来るだけ痛くない場所に当てないと……」
触腕の一つが蠢き、空気中の水素と酸素を集め、巨大な水球を創り出す。
そうして創り上げた水球から、必要量だけを触腕に取り込んで……。
「──えいっ!」
水流と変えて、撃ち放つ。
放たれた水流は、水鉄砲……等という、生易しい物ではなかった。
喩えるなら、それは消防車の放水。高圧で放たれる、強烈な放水である。
『──うっぷっ!? この、ふざけ──んぎゃっ!?』
高圧放水に押し込まれ、身動きも取れずに一方的に晒される女幹部。
やがてその放水も、終わりを迎えるが……その瞬間、彼女の背に飛びついた影があった。
「まーまー、そんな怒らないで。君も恥ずかしがらなくてもいいんだよぉー?」
『んなっ! いつの間にっ!?』
女幹部の背後を突いたのは、みこの写身だった。
「さあさあ♪ 堂々としなよぉ♪」
「ほらほらぁ♪ 落とし前、つけるんでしょ~♪」
『あっ、あっ、あっ、あっ』
背後に回った写身(ちょっと動いたので水着がズレてた。でも女幹部の身体で隠れたからセーフである)が、背後から腕を回して拘束すれば。本体であるみこが『ひっひっひー♪』とわっるい笑みを浮かべて近づいて、女幹部の耳元で囁く。
前後左右で押さえつけられ、右と左から囁く様に耳を刺激される女幹部。
多分女幹部からすれば、二人のみこの身体には悪魔な羽や尻尾が生えている様な幻影が見えていたかもしれない。
「もう一度行きます──!」
だがしかし、それで事態は終わらない。
念には念をと言わんばかりに、ゼノヴィアが再び水球を造り出し……放水の構えを見せたのだ。
響いたゼノヴィアのその声を聞き、パッと離れる小悪魔……もとい、みこwith写身。同人音声みたいなシチュエーションで耳を刺激されてた女幹部の顔は脱力しきり、立つのもやっとという様子である。
……なんかもう、お怒りの熱は随分と冷めているようだけど。でももしかしたら、まだお怒りかもしれないから。ここはしっかり、お水を被っていただこう。
──ブッシャァァァァァ!!!
注がれる高圧水流。常人であれば容易く流されるだろうその水流を、脱力してしまった女幹部が抗えるはずもない。
あっさりと水に飲まれ、流されて。
「あぁっ! 穴に落ちてっ!?」
そのまま水圧で開いた縦穴に落下する。
縦穴には、当然水が満ちている。そんな所に、力のない人が落ちてしまえば溺死は不可避である。
慌てて救助しようと、ゼノヴィアが縦穴に近づくが……。
「ぁっ、あぁ……!」
穴の中で目にしたその光景に、ゼノヴィアが思わず目を覆う。
「水着が、水着がっ……外れています……っ!!」
そこに広がっていたのは、俯せになってプカプカと力なく浮かぶ女幹部の姿であった。
だが、衝撃的なのはそれではない。ゼノヴィアが言う通り、女幹部の水着は脱がされ、一糸も纏わぬ姿となっていたのだ。
((てへっ☆))
そんな光景をゼノヴィアの後ろから覗き込み、してやったりとほくそ笑むのはみこwith写身。
二人が女幹部の身体に群がっていた、その最中。写身はこっそり、女幹部の貝殻ビキニに細工を施していた。
即ち、『水着が脱げ易くなるように紐を緩める』という悪戯を。
そうして水着に細工を施された状態で、高圧水流の一撃を受けたのだ。結果がこうなるのは、最早自明の理であった。
「──あぁっ! 幹部さんが消えてしまいました……!」
そんなやり取りがあったとはいざ知らず、響くのはゼノヴィアの悲嘆の声。
どうやら女幹部の身体が限界を越えて、骸の海へと放逐されたようである。
何ともこう、締まらない結末ではある。
だが、緑地公園を襲った悪の組織が撃退された事は、間違いのない事実である。
猟兵達は、与えられた使命を見事に果たして見せたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『つかの間の休息を』
|
POW : 全力で遊具で遊ぶ!
SPD : 公園内をジョギング
WIZ : ゆっくりと原っぱに寝そべって休む
|
●
桜に満ちた緑地公園を、混乱の渦に落とさんとした『悪の組織』。その手勢は、猟兵達の手により殲滅された。
一般人の被害は、ゼロ。闊歩していた変質者を目撃した事で、心の傷を抱いた者はいるかもしれないが……その辺りの事は、グリモア猟兵の求めに応じた現地組織の面々がフォローしてくれることだろう。
そうして事態を確認すれば、猟兵達の身体を光が包み……それぞれの衣服が、元の衣服へと変わる事に気付くだろう。どうやら今回の水着結界は、後を引くタイプでは無かったらしい。
まぁ、何にせよ。これで事件は一件落着と言って良いはずだ。
「皆さん、お疲れ様でした」
そんなこんなで、事態を解決に導いた猟兵達に掛かる声。
振り向けば、そこには皆をこの地に導いたグリモア猟兵、ヴィクトリアの姿があった。
彼女の表情は、常の通りの穏やかな笑み。その装いも、常の落ち着いた物だった。
その姿を見れば、事件は終わったのだと実感出来る事だろう。
「それでは、送還を──」
そうして事件が終われば、後は元の場所へと戻るだけ。
皆を送り届ける為に、ヴィクトリアがグリモアのその力を引き出そうとしたその瞬間、吹き抜けたのは涼し気な風。
気付けば、空は随分と日が落ちていた。気温も下がり、風は少し冷たいか。
だが、それよりも。吹き抜けた風に乗って舞い落ちた桜の花弁が……ヴィクトリアの意識を、揺り動かした。
桜の見頃は、短い。今を逃せば、後はもう散ってゆくばかりである。
ならば……。
「──皆さん。お時間があるようでした……夜桜を楽しまれては、如何ですか?」
楽しむのならば、今しか無いと。ヴィクトリアが両手を打って、皆に向き直る。
そのヴィクトリアの提案に、猟兵達が公園へと向き直れば……風に揺れながら光り輝く、夜桜の姿が見えるだろう。
邪神やそれと類するモノとの戦いは、心身に狂気を溜め込んでしまうものである。特に今回の様な特殊な環境下での戦いであれば、その影響も大きいだろう。
そんな狂気を払う最大の特効薬は、日常を謳歌すること。穏やかな時間の中で、自己を存在を見つめ直す事こそが、肝要なのだ。
幸い、事件の影響か。今日はこの公園に、一般人の姿は無い。猟兵達の貸し切り状態である。咲き誇る夜桜の下でなら、きっと穏やかな時間を過ごせる事だろう。
「……それでは、皆さん。お楽しみ下さいね?」
ヴィクトリアのその言葉を受け取って、猟兵達が和気藹々と公園に散っていく。
平和が訪れた公園での、穏やかな一時。猟兵達は、何を楽しむだろうか。
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●第三章、補足
第三章は日常章。
平和が訪れた公園で、夜桜を楽しむ時間です。
公園の情報については、既に触れた通り。
埋立地に造成された緑地公園で、海が傍にある一般的な公園です。
現在は事件の後始末等の影響で、一般人はゼロ。猟兵が貸し切りの状況です。
時刻は日暮れ頃。少し風が寒い時間帯です。
公園の各所に設置されたスポットライトが夜桜を美しく照らす、そんな時間帯となっています。
そんな公園を、それぞれ思い思いに楽しんで頂きます。
フラグメントの内容には囚われ過ぎず、ご自由にどうぞ。
なお、公園近くには極々一般的なコンビニやスーパーなどがあります。
食事やそれ以外に何か必要そうな物がありましたら現地組織の面々が調達してくれますので、プレイングにてお気軽にどうぞ。
(なお、費用は現地組織とヴィクトリア持ちとなりますので、ご遠慮なさらず
また、三章はヴィクトリアも現地に待機しております。
何かありましたら、お気軽にお声掛け下さい。
特に何も無いようでしたら、現地組織の面々と後処理を進めているはずです。
事件は終わり、訪れた平和な時間。
舞い散る夜桜を見上げ、猟兵達は何を思うか。
皆さんの楽しいプレイング、お待ちしております!
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青葉・颯夏
セフィリカさん(f00633)と
水着結界の別利用、ですか?
考えもしませんでした
そういうのなら悪くはなさそうだけど……
(でも何だか、ちょっとだけ背筋が冷える気がするのよね)
それはともかくとして……お疲れさまでした
よければヴィクトリアさんも誘って夜桜見物しませんか?
コンビニに寄って飲み物とお茶請けを調達しましょう
あたしは冷たいお茶と桜もちにします
ヴィクトリアさんもこれでよければ同じものにしますね
満開のときの桜吹雪、好きなんです
あたしはよくラナンキュラスを散らすけど桜は特別
頑張って来たものの集大成をあっさりと手放す
それが潔さにも思えて
セフィリカ・ランブレイ
颯夏と!
水着結界の技術がほしい
平和利用だって考えてるよ!
仕事場で自動的に制服に!とかフォーマルな場も自動的に結界が調整してくれるとか良くない?
……服飾関係が悲鳴をあげるか!
『指摘の前に気付いて何よりよ』
ま、今はお花見だね
リリアにも声をかけてみよう
アフターケアも欠かさないのマメだよね
私にとってはアースはもう一つの故郷みたいなものだからさ、なんか桜を見ると帰ってきたなあって感じがするよ
颯夏も、何か思い入れがあるの?聞いてもいい?
潔さ、かあ……奇麗なの、数日だものね
そういわれると、分かる気がする
コンビニスイーツをお供に友達と夜桜鑑賞
独りではそこそこのお味でも、友人とのこの場で余計においしく感じるね
●
「水着結界の別利用、ですか?」
「うん。あの技術は欲しいよなー、って」
夜桜輝く公園から少し離れた場所にある、煌々と輝くコンビニエンスストア。
そんな店でちょっとした飲み物と甘い物を調達した颯夏とセフィリカが、本日の依頼を終えて言葉を交わす。
「確かに、現状はまぁアレだけど。でも平和利用も出来ると思うんだ!」
グッと拳を握り、語るセフィリカ。
セフィリカのその言葉の通り、全ての生きとし生けるモノの衣服を水着に変える等というあの結界の特性は、実にアレである。だが、考え方を少し変えれば……そこには無限の可能性が広がっているのだ。
例えば、変えられる衣服の種類を別の種類のモノに変えられるのであれば?
仕事場であれば、制服に。フォーマルな場であれば、ドレスコードに準じた物にと。
その場その場に対し、適切な衣服に即座に調整してくれる結界を実現出来ると考えれば……コレは随分と、革新的な事では無いだろうか?
「成程、考えもしませんでした」
セフィリカのその熱い語りを聞けば、颯夏もふむと思いを巡らす。
場に合わせた服選びというのは、色々と気を使う事もあってか意外と面倒なものである。その面倒さを結界側の方で全て調整してくれるというのであれば、それは悪くはない事だろう。
けれど……。
(……でも何だか、ちょっとだけ背筋が冷える気がするのよね)
颯夏の頭に浮かぶのは、一抹の不安。
水着結界とは、邪神が生み出した狂気の術であるという。そんな術をヒトの身で御した上で改変するなどと、可能なのだろうか?
……もし仮に、セフィリカがそれを成し遂げたとしても。彼女の性格上、なんかこう絶妙なラインでのやらかしを仕込んでそうな気も、しなくもないような。
頭を過ぎったその不安に、颯夏の表情が僅かに渋いものへと変われば。
「……あ。でもそうなると、服飾関係が悲鳴をあげるかー……」
『指摘の前に気付いて何よりよ』
曇る颯夏の表情に目ざとく気づいたセフィリカが、何かに気付いた様に声をあげる。
颯夏が感じた不安と、セフィリカのその気付きは別物であるが……セフィリカの気付きは、実に正しい。
もしセフィリカが結界の制御と改良に成功すれば、確かに色々な手間は省けるだろう。
だがその結果、服飾業界に務める人々はその仕事を失い、衰退していく事になるだろう。
そうなれば、職を失った人々は不安と不満に苛まれて、世は悪い方向へと転がる事になるのは必定である。
……為政者であれば、そんな未来を許容する事など出来るはずも無いだろう。
為政者の側に立つ存在であるセフィリカのその気付きに、声を上げた腰の魔剣のボヤキ声は、どこか温かみを感じるモノであった。
「まぁ、それはともかくとして……夜桜見物、ですね」
「そだねー……お、いたいた。おーい、リリアー!」
そんな益体もない雑談も、公園に戻れば終わる。
現地組織が後処理の為に一時的拠点を設置している公園併設の駐車場まで辿り着けば、セフィリカが一人の女性の名を呼ばう。
響いたその声に振り向いたのは、猟兵達をこの場に送り込んだグリモア猟兵、ヴィクトリアだ。
「お疲れ様でした。よろしければ、ヴィクトリアさんもご一緒にいかがです?」
颯夏とセフィリカ。二人の労をねぎらう様に頭を下げるヴィクトリアを、誘うのは颯夏。
猟兵達を導くだけでなく、現地組織を動員しての支援や事後処理など。ヴィクトリアの動きは、実にまめまめしい働きぶりであった。
そんな彼女も、また労われるべきだと。
「冷たいお茶と、桜餅もありますよ」
「リリアも、休める時は休まないとね?」
と。手に提げたコンビニのレジ袋を掲げる颯夏。隣に立つセフィリカも、姉弟子を労う様に笑みを浮かべる。
「よろしいのですか? ふふっ、では折角ですから……」
そんな二人の誘いを受ければ、ヴィクトリアもその表情を柔らかく綻ばせて二人の列に並ぶだろう。
後事を組織の面々に任せ、駐車場から、夜の公園へと歩みを進める三人。
そうして、公園へと足を踏み入れれば──。
──サァァァァ……。
吹き抜ける夜風に揺れて輝く、夜桜のカーテンを目に映す事になるだろう。
地から天へと昇る光の柱に照らされる夜桜の姿は、実に幻想的だ。
「……なんか桜を見ると、帰ってきたなあって感じがする」
儚く風に乗って散る花弁を愛おしげに眺めつつ、セフィリカがポツリと呟く。
セフィリカにとって、UDCアースの世界は長く生活をしたもう一つの故郷とも呼べる世界である。
最近こそ郷里で暮らす時間が増えてこちらでの時間はそれ程取れてはいないが、それでもこの世界での暮らしは、今もセフィリカの魂に刻まれた思い出である。
そんな魂に刻まれた思い出が、散る花弁を見ることで刺激され……セフィリカの心に、郷愁の念に似た感傷を抱かせたのだ。
「満開の時の桜吹雪、好きなんです」
そんな感じ入った様なセフィリカの様子に感化された様に、ポツリと言葉を溢したのは颯夏だ。
「颯夏も思い入れがあるの? 聞いても良い?」
そんな颯夏の呟きを聞きつけ、興味深げな顔でセフィリカが促せば。
「桜は、特別なんです」
今日の任務の際にも見せた通り、颯夏が多用する力で生み出すのはラナンキュラス(金鳳花)の花弁である。
そんな力を振るう颯夏であるから、ラナンキュラスの花への思い入れは一入であるが……だが颯夏にとっての桜という存在は、別格であった。
夏を、秋を、冬を越え。小さな小さな蕾を育て、膨らませ、綻ばせ。そうしてやがて、地を覆い尽くすかの様な薄桃色の花弁を開かせる。
だが、長い時間を掛けて開かせたその花弁が散るまでの時は、ほんの一瞬。見頃を逃せば、あっという間に散ってしまうのだ。
頑張ってきた物の集大成を、あっさりと手放す。
「……それが潔さにも思えて」
桜という樹のその有り様は、散り際に美徳を見出す日本人の感性を刺激する。
調律師の道を志す颯夏であるから、その感覚も人一倍鋭いのだろう。
「潔さ、かあ……綺麗なの、数日だものね」
「散りゆくからこそ、心を揺さぶる。なんとなく、分かる気がしますね」
そんな颯夏の独白に、セフィリカも、ヴィクトリアも。しみじみと呟き、視線をあげる。
……また再び、海から流れる風が吹き、桜の花弁を揺らしていく。
揺れ動き輝く花弁が、さぁっと鳴る音が。三人の身体を包み、満たしていく。
散りゆくその花を見上げながら、三人で囲む甘味と茶は……いつもと変わらぬ味であるはずなのに、不思議と常より美味しく感じられる事だろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・クイン
クロエ(f19295)と夜のお花見でも……って思ったんだけど
なんかめちゃくちゃ機嫌が悪そう!
いったいなにが悪かったの!……分かってるわよカニのせいって。カニに水着をチョキチョキしろ!って命令したから、つい目の前のクロエの水着まで……
大丈夫、キレイなお尻だったわ!ってフォローしたら黙っちゃったし
そ、そうだ、起死回生の策を思いついてちょっと待っててと公園をダッシュ!
しばらくしてからクロエを引っ張って、連れて行くのは公園の絶景スポット
ライトアップされた桜の向こうに、キラキラの街の夜景もセット!
ほら、キレイでしょ!これならめっちゃ映えるから、いっしょに撮らない?
※アドリブ、連携、OKです
クロエ・アスティン
うぅぅ、アリス様(f24161)、ひ、酷いであります。
カニに水着を切られて、公園でお尻丸出しにされたせいで、珍しくゲキオコ状態です。
いえ、もちろんアリス様に悪気があったわけではないのは分かっているのでありますが……感情が追いつかないであります
アリス様が駆け出してしばらく一人になったところでようやく落ち着いてきました。
いつまでも怒っていてはいけないでありますね。
戻ってきたアリス様に謝ろうと思ったら、突然引っ張られて謝る暇もないであります!
アリス様、どこにいくでありますか!?と連れてこられたのは絶景スポット。
一緒に写真を撮って仲直りであります。
※アドリブ・連携も歓迎
●
「うぅぅ……ひ、酷いでありますっ」
「わ、悪かったわよぅ……」
人気の無い夜の公園に響く、少女たちの声。一方は憤懣遣る方無しと言った様に憤り、もう一方はその怒りを受けて困惑し、縮こまっている様な状態であった。
「あんな、あんなっ! カニに水着を切られて、公園で、その……うぅぅぅっ」
大きなその瞳に涙を浮かべ、顔を紅潮させているのはクロエだ。
先程の、女幹部との戦い。その際にクロエは、仲間を護る盾となって活躍していた。
だが、その戦いの最中。仲間が喚び出したカニさん型のぬいぐるみに纏わり付かれてしまい、結局クロエの水着は、儚いこととなってしまったらしい。
……今でこそ、装いは普段の物に戻っているけれど。でも戦いの最中、ずっと剥き出し(意味深)にさせられてしまった事を思えば……クロエのその怒りは、まぁ妥当なところである。
「だっ、大丈夫! キレイなお尻だったわ!」
「…………」
「あっ、あれっ?」
そんなクロエのおこな精神状態をフォローしようと、アリスが口を開くが……そのフォローらしきものは明らかに的外れであり、クロエのおこに火を注ぎ激おことする物でしかない。慣れない事はするものではないね。
(なっ、何が悪かった……って、判ってるケド!)
高まる怒り遂に口を噤んでしまったクロエ。小さなその身体から発せられる圧の強さに、アリスがたじろぐ。
いや、まぁ、こうなってしまったのは、全て自分が悪いのだと、アリスにも判ってはいた。
決戦の際、水着を切れと命じたアリスのカニさんぬいぐるみによって、クロエはまぁあんな事になってしまったのだから。
けれど、ソレは仕方ないじゃないか。あの時はドスケベ水着作戦の首謀者をどうにかしなくちゃと必死で、気が回らなかっただけで。悪意を持ってクロエにけしかけた訳では無いことだけは、確かなのだ。
……とは言え、それを言っても今のクロエには通じないかもしれないけれど。
「……あっ。そ、そうだ! クロエ、ちょっと待ってなさい!」
そこまで考えを巡らせて、瞬間頭を過ぎった起死回生の閃きにアリスが叫び……その場から、駆け出していく。
「ぁっ──はぁ……」
そんなアリスの背に向けて、声を掛ける事も出来ず。クロエの口から、溜息が溢れる。
……本当は、判っているのだ。アレがただの事故であり、クロエに悪気などは無かったのだという事は。
だが、それはそれとして。感情が追いつかないのも、事実なのだ。
(……いつまでも、怒っていてはいけないでありますね)
けれど、それも時間が経てば収まりがつくというもの。
一人になって、冷静になれば。少しずつ煮え滾る心も平静を取り戻し、落ち着きを取り戻すだろう。
アリスが戻ってきたら、謝ろう。クロエがそう、心に決めて……。
「──良かった、ちゃんといた!」
「アリス様っ、って、えぇっ!?」
「いくわよっ、クロエ!」
小さな拳を握り締めた、その瞬間。その場を離れていたアリスが戻ってくる。
早速謝ろうと、向き直るクロエ。だがそんなクロエの手を握り、アリスは再び踵を返す。
「あ、アリス様っ? どこに行くでありますかっ!?」
「いいからっ!」
響くクロエの困惑の声。そんなクロエの疑問に答える事無く、アリスは手を引き続ける。
そのまま、走って、走って、走って──。
「とう、ちゃくっ!」
「……わぁっ!」
──辿り着いたのは、公園の一角。ライトアップされた桜並木の向こうに、夜の街を彩る光が重なる、絶景スポットだ。
アリスがクロエの傍を離れて探したのは、この場所だった。
これだけの綺麗な場所、普段はヒトもいっぱいいるだろうが……今この公園は、猟兵達の貸し切り状態。ヒトの姿は、自分たち以外には存在しない。
「ほら、キレイでしょ! これならめっちゃ映えるわ!」
だから、そのっ。いっしょに撮らない……?
続いたアリスのその言葉は、ほんの少しだけ気弱な声だった。
その声を聞けば、クロエも自ずと理解するだろう。アリスは、クロエと仲直りをしたくて必死にこの場所を探してきたのだ、と。
「……ふふっ。よろこんで、であります」
そうしてその心意気を知れば、その申し出も素直に受け止める事が出来るだろう。
穏やかな笑顔でアリスと向き直るクロエ。そんなクロエに対し、気恥ずかしそうにアリスは懐からスマートフォンを取り出して。
──パシャッ!
シャッター音がその場に響く。そうしてその後、少女たちの姦しい笑い声が響くだろう。
色々とあったが、今回の案件は二人の仲をより深める結果となった……かもしれない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ゼノヴィア・ホーカーテンペスト
●WIZ
ああ…結界の魔力が薄れて水着が消えてしまいました
水分を渇望する体を緑地公園内の汽水池に沈めながら、水着邪神の力が齎した水着に思いを馳せます
私のヒトガタにピッタリあった水着、奇妙だった水着、キラキラ輝いて美しかった貝殻の水着…
私の体がタコのように周囲の景色に合わせて擬態できるように、水着も擬態できないか考えましたが…やはり違いますよね
着るからこそ、です
十分な水分を得れましたら汽水池より陸地へ上がり、皆さんと一緒にライトアップされた夜桜を楽しみたいと思います
力が強すぎてどう加減したらいいのかまだ分かりませんですが、この幻想的な景色と美しい世界を守れたと思うと…何だか誇らしいものなのですね
●
(あぁ……魔力が薄れて、水着が……)
公園内に設置された噴水。その汽水池に、ゼノヴィアは身を沈めていた。
思いを馳せるのは、先程までこの緑地公園を覆っていた結界。とある邪神の狂気の産物である水着結界と、そこから生成された水着にだ。
(私のヒトガタにピッタリあった水着。奇妙だった水着。貝殻の水着……)
先程まで多くの人々の身体を彩っていた薄布。艶やかで、鮮やかで、キラキラ輝いて美しかった水着の数々。
ゼノヴィアに数多の感動を与えてくれたそんな水着を、自身の体の特性を以て擬態は出来ないかと考えて……。
(……やはり、違いますね)
試みようとして、止める。
身体を擬態化させての再現では、水着という存在の尊さは表現できるモノではない。
水着とはやはり、着てこその存在。着る者との調和があってこそなのだ、と。
(……さて)
そうしてそこまで考えを巡らせ続ければ、長時間の陸上活動で身体から枯渇しつつあった水分の補充も整うだろう。
表皮の潤いを肌で感じて、立ち上がるゼノヴィア。ざばぁ、と音を立てて沈めていた身体を起こして陸地へ上がれば。
「──あぁ」
広がるのは、光に照らされた夜桜の風景。
風に揺れ、時に儚く舞い散る美しき花。
幻想的な風景をその眼で見れば、ゼノヴィアの心は確かな確信を抱くだろう。
──私は、この美しい世界を護れたのだ。
かつて棲家としていた神域に居るだけでは、知ることの出来なかった美しき世界。
そんな世界が生み出すこの光景を、護れたのだ。
「何だか、誇らしいものですね」
ほう、と息を吐くゼノヴィアのその表情は、どこか朗らか。その心の内には、温かな物で満ちるだろう。
散りゆく満開の桜と光が織り成す幻想的な風景。その姿を、ゼノヴィアは万感の思いを篭めて見守り続けていた。
大成功
🔵🔵🔵
闇野・みこ
引き続き、二人のままである
桜を見上げながらお団子もっちもち……
(お団子は近くのコンビニで買ってきた)
ふむ、まあ恐ろしい相手ではあったね
戦闘員の方だけだけどっ!
女幹部?
ネタ水着だっただけで
悍ましい奴らと比べるまでもないじゃん!
思い出しそうになったら吐き気と共に思考に霞が……
(見てなかったことになってる)
で、救助活動をしていたそうなグリモア猟兵さんは
どんな水着を着せられたの?
活動の都合上、公園に足を踏み入れたとは思うのだけど?
(お団子をマイクに見立てながらで聞いてみる)
逃げられないよう、しっかり左右から挟んであげましょうかー
●
立ち上る光の柱に照らされる、薄桃色のカーテン。
夜風に揺れる夜桜を見上げながら、二人の少女がお団子を頬張る。
「うんうん。美味しいねー」
「コンビニだからって馬鹿には出来ないねぇ」
あんこにみたらし、三色団子。工場で製造される大量生産品ではあるが、そのクオリティは中々のもの。
もっきゅもっきゅと頬張りその味に舌鼓を打つのは、みことその写身だった。
「……んくっ、と。いや、それにしてもまあ恐ろしい相手ではあったねぇ」
頬張る団子を良く噛んで飲み下し、ほうっと息を吐きながらみこが呟く。
「恐ろしいっていうか、悍ましいの間違いじゃ……」
そんなみこの呟きを耳にして、言葉を返す写身。
今日の戦いは、色々な意味で厳しい戦いだった。その中でも特に厳しかったのは、やはり奇っ怪なことになった戦闘員の成れの果てとの戦いだろう。
盛り上がった筋肉でパツパツになったタンキニ水着。妙に似合う科を作る仕草。やたらねっとりとした喋り口調。全てが全て、悍ましい相手であった。
そんな相手に比べれば、女幹部なんて随分とマシな方だ。出オチみたいな水着以外は、割りとマトモな対応だったのだから。
「……う゛っ。あの悍ましさを思い出したら、頭に靄が……」
(こやつ(本体)、あまりのストレスに記憶を封じて
……!?)
そんなアレな相手の姿を一瞬でも記憶から引っ張り出そうとしたのがよっぽど強いストレスとなったのか。頭を抱えて唸りだすみこの姿に、写身の身体に戦慄が走る。
あの当時アレと相対したのは、本体だ。生で見せられたその衝撃は、やはり相当な物だったのだろう。その事を思えば、本体がこうなるのも無理はない……のか?
「えぇーと……おっ。おーい、ヴィクトリアさーん」
そんな本体の状態を何とかしようと、公園内に視線を向ければ……そこに居たのは桜を見上げるグリモア猟兵の姿。
呼ばうその声に気付いた彼女は、共にいた友人であるらしい猟兵に断りをいれるとこちらへ向けて歩み寄ってくる。
「お疲れ様です。どうかなさいましたか?」
艷やかで長い銀の髪に、淑やかな立ち姿。その表情も穏やかだ。
まさに『立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花』という諺がピッタリとハマる、そんな美人である。
けれど、そんな美人であっても──。
「いえいえ、救助活動をしていたグリモア猟兵さんは……どんな水着を着せられたのかな、って!」
──この現場に居た以上、水着結界の魔の手からは逃れ得ないのだ。
猟兵達と共にこの場に降り立ったヴィクトリアは、確かに水着に変えられていた。だがみこは、彼女がどんな水着であったかまでは詳しく見てはいないのだ。
「だから、教えて欲しいなっ!」
「えっ、えぇ
……!?」
こんな美人さんが、あの水着結界でどんな水着を着せられたか。興味が惹かれぬはずが無いではないか。
むくむくと湧き立つ好奇心のそのままに、齧られた団子が刺さる串をマイクに見立てて突き立ててみれば。
「──ほらほらぁ、恥ずかしがらずに教えてよぉ♪」
生じた楽しげな空気に、みこ本体も我を取り戻して乗っかってくる。
右から本体、左から写身。二人の小悪魔に挟まれるヴィクトリアの戸惑いの声が夜の公園に響く。
……最終的に二人の押しの強さに負けたヴィクトリアが着せられた水着の内容(中々に攻めた角度の切れ込みが入った、Vワイヤー・バンドゥビキニだった)を吐くまで、みこwith写身による挟み撃ちは続いたそうな。
夜桜咲き誇る公園に響く、猟兵達の楽しげな声。
水着結界という邪神の生んだ狂気の御業と、それに翻弄された哀れな者が巻き起こした馬鹿騒ぎは、こうして終わりを迎えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵