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暴嵐魔王と聖獣の騎士団

#ヒーローズアース #戦後 #スナークゾーン #魔法使いの時代


●魔法使いの時代
 城がある。巨大な城だ。
 それも、人知を超えた建築術と建材がそろって初めて成立しうるもの。
 そんんな超常の城を、崖の上から眺めるもの達がいた。
 女性1人に、男性2人。共通点は、色こそ違えど鎧姿と言う事。
「団長、あれが魔王の城だってさ」
 狐耳のような兜飾りを付けた、青の鎧の騎士が、軽い口調で告げる。
「団長、臆する事はありません。我等ここまで、魔王の手下どもを何度も退けたではありませんか」
 熊を思わせる黒鎧に身を包んだ、ガタイの良い騎士が、鼓舞するように言う。
「び、ビビッてなんかいませんよう」
 団長、と呼ばれた女性騎士が、ぶるりと震えて応えた。まとう白の鎧、その兜には、兎の耳めいた飾り。
「『聖獣の騎士団』のみんなが、あちこちで魔王軍を食い止めてくれているんです。私だって頑張りますとも!」
「その調子だよ団長」
「世界の存亡は、団長の双肩にかかっているのですからな」
「ええと、団長って呼ばれるの、全然慣れませんねえ……」
 この3人が、遠い未来ではヒーローと呼ばれる類の能力者であり、魔王に挑むつもりであるなど。
 この時代の多くの人間には、知る由も、ない。

●猟兵の時代
 ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、集まってくれた猟兵達に、オウガ・フォーミュラ『ミストレス・バンダースナッチ』の撃破を伝えた。
「これで世界は平和へと大きく前進したと言って良いでしょう。ですが、ミストレスの撃破後、世界各地に、謎のクライシスゾーンが出現し始めたのでございます」
 通称『スナークゾーン』。内部は原理不明で『過去のヒーローズアース全て』を再現した超広大な空間になっているらしい。
「ゾーン内のオブリビオンの首魁は『グレイト・スピリット』 。多数の手下を率いて天空に浮かぶ魔王城に君臨し、天変地異にて各地を破壊しているのでございます」
 スナークゾーンは、現実とは異なる場所、一種の仮想空間だ。だが、相互に干渉することで、現実世界に影響を与える可能性は否定できない。
「何より、ゾーン内にも通常の人間達が住んでおります。この事実を知ってしまった以上、魔王軍による蹂躙を放っておくことなどできますまい」

 今回ヴェルタールが導くゾーン内部は、過去のヒーローズアース、『魔法使いの時代』だ。
 この時代は、ヒーローやヴィランがまだまだ少ない頃。前者は騎士や魔術師、後者は邪悪なる支配者として活動していたという。
 そしてオブリビオン『グレイト・スピリット』 は『魔王』を名乗り、オブリビオン達を統率。
 天空に浮かぶ城から配下を放ち、世界征服にまい進している。
「先ほど申し上げた通り、これに対抗するヒーローも存在します。その1つが『聖獣の騎士団』なる組織でございます」
 ヴェルタールが投影した立体映像には、3人のパーティ。魔王討伐に向かった精鋭たちである。
「この騎士団に属する方々は、皆、動物に関する二つ名を冠している様子。団長である『白兎(はくと)』をはじめ、『黒熊(こくゆう)』、そして『蒼狐(そうこ)』。彼らと力を合わせ、魔王城を攻略してくださいませ」
 天空の魔王城に到達するには、峻険な霊峰の頂に存在する階段、『魔王のきざはし』を登らねばならない。
 だが、行く手には魔王配下の『ジャスティスクルセイダーズ』が待ち受けている。
 魔王は、敵味方問わず、強きものを好む性質であるらしい。つまり、このオブリビオン騎士達は、その眼鏡に叶った実力者という事。

 城へと至り、玉座の魔王を倒せば、スナークゾーンも消滅。猟兵達も、現実世界に戻る事が出来る。
「この勇者さまがたの実力、そして正義の心に偽りなし。必ずや皆様の力となってくれるでしょう。ズバーンと魔王を討ち、皆様も勇者となってくださいませ」
 そしてヴェルタールは、既に戦う勇者たちの元へと、猟兵達を導くのであった。


七尾マサムネ
 ヒーローズアースの過去へ挑むこちらのシナリオ。
 集団戦とボス戦の2章構成となっております。

●聖獣の騎士団
 ヒーローの力に目覚めた人々が集まってできた組織です。規模は小さいですが、騎士だけでなく魔術師など、雑多な面々の集まりのようです。
 一章、二章ともに、彼らと共闘する事が出来ます。

 団長である聖騎士『白兎』は、『スーパー・ジャスティス』相当のユーベルコードを。
 同様に重騎士『黒熊』は『ヘビーアームド・ウェポナイズ』、軽騎士『蒼狐』は『クロックアップ・スピード』の能力を使用して戦います。

 それでは皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『ジャスティスクルセイダーズ』

POW   :    ジャスティス・クルセイド
【剣先】を向けた対象に、【天から飛来する十字型の光線】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    ジャスティス・グレートレイジ
【己の正義を妨害する者達への怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    ジャスティス・オーバードライブ
自身に【強大なる聖なる光】をまとい、高速移動と【聖剣からの光線】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
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 雷と嵐の群れが、世界を吹き荒れる。魔王の暴虐が、人々から悲鳴を引き出す。
 その根源は、天空の魔王城。
 魔王の居城に、遂に王手をかけた『聖獣の騎士団』の3人。
 だが、魔王を守る剣は、奇しくも騎士達であった。
「あわわ、数が多いですね!」
 『白兎』に、一斉に群がる『ジャスティスクルセイダーズ』。聖なる光が魔王の敵に裁きを下す……!
「世界の皆さんを泣かせる魔王の手下は、許しません!」
 しかし、金色の輝きと共に、クルセイダーズが吹き飛ばされた。これぞヒーローのスーパー・パワー!
「流石は団長。これは負けてられないね」
 ぱちん、と指を鳴らした『蒼狐』の姿が、掻き消える。クルセイダーズの剣は、空を切ったのみ。
「正々堂々じゃなくて悪いね」
 神速の剣が、敵を背後から切り捨てる。
「それでは、私が道を作りますかな。我らの勝利の道を!」
 『黒熊』の鎧が、変形を始める。ロボットの装甲を思わせる姿となり、敵の攻撃を受け止める。
「穿て聖槍!」
 鎧に呼応し巨大化した槍の一撃が、ビームの如く敵陣を薙ぎ払う。
 だが、天よりの更なる増援が、3人の騎士を襲う。
 ヒーローのピンチを救うもの。それもまた、ヒーローであるはずだ……!
メナオン・グレイダスト
「過去の世界を再現した空間。かつて存在した“魔王”。
 そしてお前達『騎士団』。なるほど、興味深い」

3人きりで奮闘する『騎士団』を内心で称賛しつつ、頃合いを見計らい参戦する。
【グレイダスト・レギオン】。大量に生成した灰色砂塵――ナノマシンから構成される手勢を呼び出し、共に戦うことで集団戦に対応。
手勢は人型を残しつつも禍々しく悪魔じみた異形。
隊列を組み、身体の一部を兵器に変化させ、巧みに連携し、消耗した者が入れ替わりながら戦う。
ある時は砲火の嵐を、ある時は巨大な剣戟の猛撃を叩きつけ。一方で文字通りに全身を盾として敵の攻撃を防いでみせる。

教えてやろう。“灰色の魔王”を阻むこと能わず、である……!



『正義は我らにあり。「悪しきもの」よ、裁きを受けよ!』
 魔王の『正義』に侵食されたオブリビオンが、天空魔城より降臨する。
 オブリビオン騎士達に抗うは、ヒーロー。正義の心と肉体を、聖なる獣の鎧に包みし騎士達。
 たった3人きりで世界侵略を食い止めようとする『騎士団』を、心の内で賞賛しながら。
 メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)が魔王城への道へと降り立った。
『! 猟兵か』
 灰色外套なびかせるメナオンの姿を認めるなり、ジャスティスクルセイダーズは、吹き荒れる砂塵に進軍を封じられた。
 大量の灰色砂塵……ナノマシンは人の形を構築。メナオンの手勢となって、敵軍へと攻撃を開始した。
「あ、あなたは? それにその力は……!」
「過去の世界を再現した空間。かつて存在した“魔王”。そしてお前達『騎士団』。なるほど、興味深い」
 咄嗟に、メナオンから『白兎』を庇って立つ2人の騎士。
 それも無理からぬことか。メナオンが率いるのは、人のシルエットを残しつつも悪魔じみた禍々しき異形達だったのだから。
 しかし、『白兎』達の警戒と逡巡をよそに、隊列を組んだ異形達の矛先は、ただクルセイダーズへと向かう。
 敵の剣を、身体そのものを変化させかわすと、身体の一部を砲、あるいは剣へと変化させ、反撃に転じる。
 砲火の嵐をしのいだとて、巨大なる剣戟の猛撃の前には屈するしかない。
 想定外の戦力に、クルセイダーズの陣も乱れる。剣を掲げ十字光にて反撃を試みるも、異形の軍勢は自らを盾と為し、『白兎』達やメナオンを守る。
 損耗したそばから、万全なる兵と入れ替わり、常に戦線を維持する。
『魔王様の慈悲を拒む、反逆者めが……!』
 飛び交う敵味方の光、クルセイダーズを押し返し、駆逐していく灰色の軍勢。
「教えてやろう。“灰色の魔王”を阻むこと能わず、である……!」
 メナオンが味方であると確信した3人は、己の持つ力を振い、レギオンに加勢する。
 人々から異能を異端とされるゆえに、聖獣の騎士達も知るのだろう。
 力の本質とは、姿かたち、目に見えるものではなく、心の在りようにこそ現れるのだと。
「異能を以て魔王軍と戦うのならば、私達の同朋です。行きますよ皆さん!」
「「承知!!」」
 灰色魔王の軍勢と、ヒーローたる聖獣の騎士団。
 2種の刃が、正義を騙る魔王軍を打ち破りながら、魔王城への道を攻め上がる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

バーン・マーディ
…笑止(だが大激怒

此処まで堕ちたか正義の狂信者共よ(UC即発動

対峙する漆黒の騎士団とその首魁

まさに悪たる騎士団

聖獣騎士団よ
我はバーン・マーディ
悪の神である

貴様らと共闘するつもりはない

唯…この正義の狂信者たる騎士共を捨ておくことはできぬ
故に…我らの邪魔をするな
【戦闘知識】
敵騎士団の陣形と動きと
聖獣騎士団が突破しやすい為の突破口を分析
【集団戦術・切り込み・二回攻撃・怪力・武器受け・カウンター・吸血・生命力吸収】
先陣を切り襲い掛かり怪力で切り捨てて敵の攻撃は魔剣で受け止め車輪剣で切り捨て
騎士団
三体で一体に襲い掛かり確実に数を減らしつつ聖獣騎士団への対処を封鎖

共闘せずとも彼らの動きのフォローは行う



「……笑止」
 地を睥睨する天空魔城より、襲来する騎士群。
 魔王の軍勢を見上げるバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、呟きとは裏腹に、憤怒に身を焦がしていた。
 ジャスティスクルセイダーズ……ヴィランを討つためなら全てを正義と為す騎士達。
 だが今は『魔王』の走狗。
 『魔王』とやらに正義すら捻じ曲げられたか。
 迷いなく『聖獣の騎士団』へと刃を向けるクルセイダーズは、黒によって切り捨てられた。
 バーンの従えた漆黒の騎士団が、白の天騎士達に逆襲したのである。
「此処まで堕ちたか正義の狂信者共よ」
 『正義』の騎士団と対峙する、漆黒の騎士団とその首魁……バーン。その威容は、まさに悪たる騎士団と呼ぶにふさわしい。
 何も知らぬものがこの戦場に居合わせたならば、どちらを正義とみなすであろうか?
 そして『聖獣の騎士団』もまた、逡巡していた。
「聖獣騎士団よ」
 3騎士の警戒の視線を受け止め、鋭く告げるバーン。
「我はバーン・マーディ。悪の神である」
「あ、悪……!?」
「貴様らと共闘するつもりはない。唯……この正義の狂信者たる騎士共を捨ておくことはできぬ」
 その時、クルセイダーズの剣が閃いた。『白兎』達を狙った聖光は、しかし、払いのけられる。デュランダル騎士団による不滅の剣によって。
「故に……我らの邪魔をするな」
 回答を待たずして、バーンは先陣を切って、敵へと攻めかかった。
 デュランダル騎士団と共に武勇を振るいながらも、バーンの思考はめまぐるしく。
 敵騎士団の陣形及び挙動。そして、聖獣の騎士団の為の最適な突破口を分析。
 反撃の剣光を、魔剣の刀身で受け止め、即座に車輪剣で切り返すバーン。
 従う騎士達も、バーンに遅れを取ることはない。三体一組となって敵一体にあたる。確実に数を減らしつつ、聖獣の騎士団への対処を封じる構えだ。
 共闘するつもりはない。
 そのバーンの言葉に、偽りはない。しかし、三騎士は確信していた。バーンが自身らへの攻撃をカバーしていてくれている事を。
「悪と言うのならば、見過ごすべきでないのかもしれません……ですが今の私達には、為すすべき使命があります。いきましょう!」
「団長がそう言うなら!」
「あえて礼は言いませぬぞ、悪たる神よ!」
 『白兎』の号令一下、二騎士が動く。
 漆黒の騎士団が切り拓いてくれた活路を駆け抜けていく。すれ違いざま、バーンと視線を交わしながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!



 『スナークゾーン』を、嵐と雷で支配せんとする魔王。
 その座所である天空の城を目指し、突き進む『聖獣の騎士団』三名。
 だが、魔王軍の正義騎士達は、なおもその使命を阻む。
『正義の前に、果てるがいい!』
「邪魔をしないでください! ……はっ、これは?」
 反撃のため、異能の力を振り絞ろうとした団長『白兎』の視界を、よぎったものがある。
「……花びら?」
 おそらくは、知らぬ花であろう。
 桜……それを連れて助太刀に現れたのは、姫神・咲夜(静桜・f24808)だった。
「争いは好みませんが、世界の存亡がかかっているのなら躊躇はしていられません。それがたとえ箱庭の世界であっても……」
 最後の部分だけを、『白兎』達に聞こえぬよう小声で告げると、咲夜は、ジャスティスクルセイダーズに視線を向けた。
 その背後には、草花一輪咲かぬ荒廃した山。ここに彩りが無い事を、咲夜はふと悲しく思う。
 そんな咲夜もまた、オブリビオンにとっては排除すべき異物。
『邪魔をするか、外界よりの来訪者よ』
『正義に仇為すものよ、あまねく裁きを受けよ!』
 クルセイダーズの聖剣が、天を指す。
 降り注ぐ天光、その正体は魔王の暴威か、神の怒りか。
 しかし、それを弾いたのは、咲夜の桜吹雪であった。
 無論、ただの花びらの舞ではない。クルセイダーズを貫く、優美な刃である。
 一枚一枚は小さきもの、しかし、その儚さが、むしろ有利となった。
『ぐうっ!?』
『これはッ!』
 クルセイダーズの鎧の間隙をついてその体を斬り裂き、肉を、腱を断っていくのだ。
 桜色の斬撃の前に、次々と、屈していく敵騎士達。
 そして咲夜は、背後のヒーロー騎士達を、先へと導く。
「さあ、急ぎましょう、この世界が壊されてしまう前に」
「感謝します!」
 咲夜の桜吹雪は、『白兎』達には勢いを与えたらしい。それぞれの異能を駆使して、敵陣を破り、反転攻勢を開始する。
 金色の輝き、切り裂く疾風、そして機械鎧の巨大槍。
 咲夜の桜吹雪によって勢いを増した『聖獣の騎士団』が、その実力を発揮する。
 並み居るクルセイダーズを突破、天への階へと向かっていく咲夜達……!

成功 🔵​🔵​🔴​

諏訪野・みすず(サポート)
リーダー役が必ずいると思うので、ソイツを先に倒すようにします。「リーダーが倒れたら、あとは烏合の集だよ」アドリブ、共闘歓迎です。



 『スナークゾーン』の地球、天に浮かぶ魔王城へと続く、霊峰を進軍する『聖獣の騎士団』の面々。
 猟兵達の力を借りて、目指す天空魔城は、もう直君だ。
 しかし、魔王軍の抵抗はなおもやまぬ。正義を体現した騎士……ジャスティスクルセイダーズが、この地を『白兎』達の旅路の果てにせんとする。
「あと少しだというのに……」
 行く先に待つ敵を、金色の光で吹き飛ばす、『白兎』。
 だが、魔王戦の為にも、ここで力を使い果たすわけにはいかない。力の使い所を迷う『白兎』達の目の前を、疾風が駆け抜けた。
 諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)である。
「加勢するよ!」
 大気を吐き出し、駆動するレガリアスシューズ。みすずを疾風に変えて、敵陣を駆け抜け、動きを乱していく。
 みすずの描く軌道、圧倒的な速力と機動力に、翻弄されるクルセイダーズ。
『正義に歯向かう愚物め。真なる速さというものを教えてやろう』
 敵騎士達が光輝を発したかと思うと、そのまま、みすずへと斬りかかった。正義の輝きを帯びたその速さは、『白兎』達を相手にしていた時とは段違いだ。
 しかし、みすずは冷静だった。乱舞する光となって迫りくる敵集団、その中にいるであろうリーダー役を見つけ出すと、そちらに標的を定めたのである。
 駆け続けながら、靴をリズミカルに鳴らす。出現した蒸気エンジンが、シューズに更なる性能を与えた。白の排気とともに。
 倍化したスピードが、残像を伴って敵陣を駆け抜ける。
 これには、敵も追いすがるので一苦労、聖なる光も命中しない。虚空を薙いで、そのまま輝きの粒となって消え去るのみだ。
 そして、みすずは正面に、標的とした敵リーダーを捉える。
 迎え討つ構えの相手にも臆することなく、いっそう加速。勢いを付けて、高速のキックを浴びせかけた。
『なんと……!』
 鎧兜が砕け、背中から仰臥する敵リーダー。
 みすずの思惑通り、敵軍の動きが、鈍る。
「リーダーが倒れたら、あとは烏合の集だよ。さあ、お城はもうすぐだから!」
「感謝です! この御恩は決して!」
 みすずに導かれ、駆け抜けていく3人のヒーロー騎士達。
 その背を守るように、敵騎士団を追い払っていくみすずだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラムダ・ツァオ(サポート)
ラムダよ、よろしく。
戦闘なら足と手数で勝負するけど、周りに合わせて臨機応変に動くわ。
見切ったり残像を残すように動いたりと、避けるのには多少の自信があるわよ。
集団戦なら死角を減らすために数を減らすのが先決、
あとは一緒に戦う人がいればその人次第かしら。

行動指針としては以下の3通りが主。
1.味方の死角にいる敵を優先して片付ける。
2.範囲攻撃を行なえる味方がいなければ範囲攻撃優先。
3.数を減らすため、止めをさせそうな相手を狙っていく。

台詞回しや立ち位置などは無理のない範囲でご随意に。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
アドリブ・連携歓迎



 いよいよ、魔王城へつながる『魔王のきざはし』が見えて来た。
 『聖獣の騎士団』が、その魔力によって構築された半透明の階段を登ろうとした時。
 ジャスティスクルセイダーズの増援が、一行の道を遮った。
『「正義」は不滅。「悪」が消えぬ限り何度でも立ちはだかろう』
「あと少しなんですってば……!」
 団長『白兎』の穏やかな顔にも、さすがに苛立ちの色が浮かぶ。
 が、クルセイダーズが、苦悶の声を挙げて倒れた。
「……え?」
 敵陣を駆け抜けた影。その正体は、ラムダ・ツァオ(影・f00001)であった。
 魔王の本拠目前とあって、敵数は多い。だが、速度と手数なら、得意技だ。
「私が敵陣を切り崩すから、その隙に進んで」
「わ、わかりました! 感謝します!」
 ラムダ達を包囲するように、展開してくるクルセイダーズ。
 だが、焦れているのは、彼らも同じであった。
『おのれ、どうして正義に従わぬ。なぜ抵抗するのだ……!』
 聖なる鎧から、どす黒い怒りの念が立ち昇る。
 それはクルセイダーズの身体を二回りも巨大化させると、重騎士となった。
 聖騎士めいた優雅さは放棄された。ただ、正義の敵を殲滅する、力の塊だ。
 呼応して巨大化した剣が、振り下ろされる。だが、ラムダにはかすりもしない。
 シーブズ・ギャンビット……元々身軽さには自信がある。そこにきて、相手が巨大化してくれたことで、対象は更にわかりやすくなった。
 幅広の階段を、自在に駆け回るラムダ。巨大クルセイダーズが捉えられるのは、ラムダ本人ではなく、その残像ばかり。
「力を添えさせてもらうよ」
 ラムダの翻弄に、三騎士の1人、『蒼狐』も加わった。二つの疾風が、鈍重なる正義騎士達をからかうように駆け回る。
 ラムダ達が敵陣を翻弄している間に、『黒熊』は攻撃準備を整えていた。
 その剛健な鎧を変形、巨大槍へと変形させると、敵に突きこんだのである。
『ぐお……!』
 なぎ倒される重騎士。そしてとどめは、ラムダの仕事だ。
 突破するなら今。ラムダが視線にこめたその意図は、正しく伝わったらしい。
「感謝します! 改めて!」
 『白兎』の全身が金色のオーラに包まれたかと思うと、一気に敵の間を突破した。
『行かせぬ……!』
「余所見してていいの?」
『!?』
「それとも私は『悪』じゃないから見逃してくれたの?」
 『白兎』達を追撃せんとする敵騎士の背を、ラムダの黒刃が切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『グレイト・スピリット』

POW   :    カミカゼ・トルネード
【クンッと突き上げた指先】から【広範囲を切り刻む竜巻】を放ち、【一定時間巻き込む事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ナルカミ・サンダーボルト
自身からレベルm半径内の無機物を【速く動く物体ほど激しく撃たれる雷鳴の嵐】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
WIZ   :    「あなた、イイわね。私のところに来なさい?」
【自身の掌】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身の掌から何度でも発動できる。
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 猟兵達の助けを得、『聖獣の騎士団』は、遂に辿り付いた。
 魔王城。
 世界蹂躙の為に出払っているのか、それとも先ほど撃退したのが主力だったのか。
 城内の進軍は、スムーズなものだった。まるで魔王に誘われているように。
「ようこそ、強き者達」
 玉座で騎士達を迎えたのは、魔王その人であった。グレイト・スピリット。
 大柄な魔術師は、騎士達の実力を測るように、その体を視線で舐め回す。
「いいわね……あれだけのクルセイダーズを乗り越えて、私の元に至るなんて。その強さ、認めないわけにはいかないわ」
 舌なめずりし、ゆっくりと立ち上がる魔王。蠱惑的な笑みで、騎士達を誘う。
「私のところに来ない? 世界の4分の一でも半分でも、任せてあげてもいいわ」
「お断りです。世界は、誰か1人や2人だけのものなんかではありません」
 強い意思で、抵抗する『白兎』。
「そう。そうでなくてはね。なら、その強い心をへし折って、私の『コレクション』に加えてあげる」
 魔王の周囲に、風が発動し、雷が励起する。
 騎士達も、身構える。己が異能を全開にして
 いざ、決戦だ。スナークゾーン……世界を救い、解放するための。
緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。



 世界の存亡を賭けた『聖獣の騎士団』とグレイト・スピリットとの対決に、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)が加勢した。
「ああっ、またまた猟兵さん! 一緒に世界を救ってくださ……」
「強い者を求めるってことは、そっちももちろん強いってことだよね? なら勝負!」
 ぐっ!
 重戦斧を、嬉々として構える透乃。
 それを見た団長『白兎』の期待に煌めいていた瞳から、すっ……と光が消える。
「こ、この人、きっと魔王と同種です、戦いが好きな人です……」
「団長、魔王を倒すと言う目的は同じようですので、問題はないかと」
 重騎士『黒熊』に助言された『白兎』が、我に返る。
 そう。透乃は味方だ。ただ、強敵と戦える喜びが、少し世界を救うという目的より勝っているだけで。
「いいわ、アナタ。さあその力、もっと見せてちょうだい!」
 魔王が、魔力を奮い起こす。世界を蹂躙する超自然的パワーが、玉座の間に荒れ狂う。
「と、とりあえず援護はしますので!」
 『白兎』の申し出が、透乃の背中に当たる。
 とりあえずにっこり笑顔だけは返した透乃だが、その心は既に魔王の方に向いている。
 魔王によって引き起こされた雷と嵐を、透乃の斧が切り裂く。
「は、入る隙がないかもです……!」
 魔王と透乃の激戦に、『白兎』達は、二の足を踏んでいた。ヒーローをもってしても、この戦闘領域に迂闊に手出しすれば、自分か透乃が負傷してしまうかもしれない。
 何より、二者の顔。どちらも戦い自体に楽しみを見出している様子。
 一応、魔王も魔術師のようだが、透乃同様、いわゆる脳筋という奴のようだ。
 世界の存亡をかけた決戦には、ある意味相応しいのかもしれない……。
「そろそろ、こちらからも仕掛けさせてもらうわね?」
 クンっ。
 魔王が、これみよがしに突き上げた指先から、魔力が迸った。
 発生した風の刃は瞬く間に竜巻へと成長し、透乃を呑みこんだ。
「こっ、このくらいー!」
 荒れ狂う魔力の中、気合で耐える透乃。
 そして、魔王が更に魔力を高めようとしたその瞬間。魔力の嵐を突き破って、飛び出す透乃。そのショルダータックルが、魔王に炸裂した。
「なっ……!?」
「くたばれ、消え去れ、あの世の果てまで飛んでいけー!」
 透乃が押し付けた重戦斧が、魔王の体を持ち上げる。
「罷迅滅追昇!!」
 高らかに打ち上げられた魔王の身体は、玉座の間の天井すらも突き破った。

成功 🔵​🔵​🔴​

迅雷・電子(サポート)
 人間のバーバリアン×力持ち、16歳の女です。父親が相撲取りだったのが切欠で相撲にはまり、夢は女横綱です。
 普段の口調は「男勝り(あたし、あんた、だねぇ、だよ、だよねぇ、なのかい?)」です。普段は女子高生なので制服ですが戦闘になると脱いでイェーガーカードの姿になります。基本相撲の動きで戦います。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「ふふふ、どうやら私の目に狂いはなかったようね。どんどん来てちょうだい、強き者達!」
 猟兵によって天高く打ち上げられた魔王グレイト・スピリットが、再臨する。
 玉座の間では、迅雷・電子(女雷電・f23120)が、それを待ち受けていた。
「強い奴なら誰でもいいってのかい? 流派も何も問わずってなら、あたしにもその参加資格はあるってわけだよねぇ?」
 そう言い放つと、電子は、服を脱ぎ捨てた。制服の下から現れたのは……鍛え上げられた体躯。
 さらしをまいて、レギンスの上からまわしをまとった勇姿。この場に居る『聖獣の騎士団』の重装備とは正反対の、軽装……否、戦装束だ。
「武器は使わない、と? 面白い戦い方をするようね。ではその力を見せてもらおうかしらっ!」
 自らを雷と為すと、魔王は電子に飛びかかった。
 だが、電子は身軽にそれをかわすと、背後から押し出しにかかった。
 相手が使う魔術に対し、電子は相撲の動き……技で対抗する。
 まさに、異種格闘技戦の様相。この戦いを、『聖獣の騎士団』3人は、ただ見守る事しかできない。
「うかつに手出しすれば、あの方を傷付けてしまうかもしれません……!」
 電子の戦い方は、騎士達にとっては特異に映っているのだろう。組み合ったかと思えば、小技も駆使して、相手の巨躯を翻弄する。
 そして、遂に魔王の本体を、しっかと捉えた。魔術師として必要以上に鍛え上げられた、ガタイの良さが腕に伝わって来る。
「さあ、一度捕まえたからには、逃がさないよ!」
 魔王に抱きついたところからの、鯖折り!
 これには、巨躯を誇る魔王もたまらず、苦悶の声を上げた。
「これなら、お得意の魔術も使えないだろう? さあ、いつまで耐えられるかねぇ?」
「肉を切らせて骨を断つ……だったかしら? 自ら傷つく事も恐れないその勇気。まさに強者と呼ぶにふさわしいわ!」
 電子の相撲技を喰らいながらも、魔王は、なおも愉快そうに笑っていた。
「身体こそが最大の武器というわけね。なら、こちらも全力で!」
 魔王が、その力を解き放った。
 電子の技を魔術的に解析、複写すると、その身を使って再現して見せたのである。
 だが、電子はそれを耐えきると、強気に笑って返した。
「技のやり方と威力は同じ……いやそれ以上かもね。でも、あんたの技には『魂』がこもってないのさ!」
 電子は、魔王の束縛を払いのけると、力強く笑ってみせたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♥

ヴィジランテの説明と初期UCを根拠に技能値100以上の技能はUC並に鍛え上げたと主張。
サポートとして狂言回し。あると便利な舞台装置、高い幸運の技能で御都合主義を押し通すデウス・エクス・マーキナー。

己の裡の世界観を瞬間的に切り替える魔術的パラダイムシフト(瞬間思考力)をコンセプトとする混沌魔術(多重詠唱結界術)の使い手。既存の技術を実在フィクション問わず借用(Sampling)し組み合わせ(MIX)自作(DIY)することで白兵戦、魔術戦、諜報戦とマルチに動けます。

依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?
えっちなのうみそおいしいです♥



 猟兵の加勢を受けた『聖獣の騎士団』3人が、魔王に攻撃を加える。
 だが、魔王城への道中の連戦で、3人の体力も限界が近い。
「あらあら、私に屈服する覚悟ができたのかしら?」
「冗談を、この魔王め……!」
「魔王? 呼んだかしら☆」
 玉座の間に響く、小悪魔の声。
 魔王と騎士との戦いに割って入ったのは、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)だった。
「魔王。魔王と呼ぶならこのわたしが来ないわけにはいかないわ♪」
 きょろきょろ、と玉座の間を見回すアリス。
「ここがスナークゾーン、仮想空間? それに魔王は魔術師、ふんふん、興味少しあるかも」
「お、お力を貸していただけるのですか……?」
 猟兵ならば味方だろうと思いつつも、団長『白兎』は、おそるおそると言った体で、アリスに話しかけた。
 アリスは、兜からのぞく、気弱少女風の顔立ちを、じっ、と見つめてから、
「うーん、『お礼』してくれるって約束してくれるならいいかも?」
「お、『お礼』? ですか?」
 アリスの意味ありげな……というか蠱惑的なまなざしと口ぶりを受けて、『白兎』はちょっぴり警戒していたようだったけれど、うなずいた。
「もちろんです、この世界を守る為ですから!」
「契約成立ね♪」
 そしてアリスはくるりとターン、魔王との魔術戦に臨んだ。
 魔術の使い手としてなら、オブリビオンで魔王な巨漢、グレイト・スピリットにも引けを取るつもりはない。一切。
 対する魔王の方も、アリスの実力に気づいたようで、不敵に笑ってみせる。
「ちょうど強い魔術師が欲しかったところなのよ。私のところに来ない?」
「お・こ・と・わ・り♪」
 アリスのお眼鏡にはかなわなかった。誘いをばっさり切り捨てて、魔術を発動。
 玉座の間の調度品の数々が、変容する。その存在に干渉する事で、在り様自体を瞬時に書き換え、再構成。
 アリスの魔術によって、調度品たちは、持ち主に牙を剥いた。闇色の炎となって。
「面白い術を使うのね!」
 すると、魔王もまた、魔術を展開。それも、アリスの闇炎生成魔術を解析する事で、模倣してみせたのだ。
 魔王同士、2人の魔術が、闇をまき散らす。
 だが、威力を決定するのは魔力量だけではない。魔術に対する理解度、そして練度。
 その証明として、本来の使い手たるアリスの闇炎が、魔王の闇とその全身を呑みこんだのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メナオン・グレイダスト
・WIZ

「なるほど、様式美だな。
 「だが断る」。自ら切り拓き征服した領土こそ、この“灰色の魔王”が治めるに相応しいものだ」

問いかけには常の無表情・無感情で応えつつ。
世界も在りようも異なれど、同じく魔王を名乗るもの同士。負ける訳にはいかない。

“灰色の魔王”たる力を示す。【グレイダスト・クライシスゾーン】!
自身の周囲の無機物……範囲内の玉座の間そのものを「灰色砂塵」に変化させ支配下に置く。
そうして自身を中心に荒れ狂う砂塵の嵐を形作り、敵に突撃。嵐に飲み込み翻弄しながら、嵐の中に生成した剣戟の雨霰で擂り潰す。

……何だ?
お前も灰色砂塵を扱うつもりか。
やってみせろ。“全て”我輩のものだと示してやる……!


バーン・マーディ
…ふん…貴様の問いに応えよう
そして…あえてこういおうか

「全て寄越せ」だ
我はバーン・マーディ
悪の神である
故に強欲であろう
貴様こそ我がデュランダルの騎士となり下るがいい


…決裂か
【戦闘知識】
敵の動きと攻撃の癖の把握
【属性攻撃・オーラ防御】
炎のオーラを全身に付与
UC発動
【二回攻撃・怪力・カウンター・武器受け・生命力吸収・吸血・集団戦術】
放たれる竜巻に対して
オーラで防ぎつつ魔剣による切断により巻き込みを防ぎにかかる
我が魔剣…我が叛逆は災害とて例外ではない

超高速で襲い掛かり
魔剣と車輪剣による連続斬撃
更に猛攻を仕掛け剣から血を啜りその命を奪う

同時に参加している騎士団や猟兵とも連携し攻撃を合わせ



 依然、屈服する態度を見せぬ猟兵達に、魔王は、改めて持ち掛けた。自らの元に来るように、と。
「条件は先ほど言った通りよ。悪くはないと思うんだけど……考え直す気はない?」
 メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)は、グレイト・スピリットの誘いに、表情筋をぴくりとも動かさず、きっぱりと答えた。
「なるほど、様式美だな。『だが断る』」
 感情を一切排したメナオンの返答に、首を傾げる魔王。
「どうして? 興味が無くても、もらえるものはもらっておいた方がいいじゃない?」
「自ら切り拓き征服した領土こそ、この“灰色の魔王”が治めるに相応しいものだ」
 灰色魔王メナオンの断言に、暴嵐魔王グレイト・スピリットは、肩をすくめた。
「『魔王』の数だけ、世界征服に対するスタンスも存在する、ってことね」
 メナオンの胸にあるのは、ただ、矜持。世界も在りようも異なれど、同じく魔王を名乗るもの同士。メナオンも、負ける訳にはいかない。
「なら……そちらの騎士サンはどう?」
 魔王が、バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)に視線を移す。
「……ふん……貴様の問いに応えよう。そして……あえてこういおうか」
 バーンは、一拍置いた後、
「『全て寄越せ』だ」
「あら」
 傲慢、ともいえるバーンの回答に、グレイト・スピリットは目を見開いて見せた。
 バーンは、魔王へと一歩踏み出し、
「我はバーン・マーディ。悪の神である。故に強欲であろう。貴様こそ我がデュランダルの騎士となり下るがいい」
「面白い事を言うものね。でも、そういうワケにはいかないワ。屈服させるのは好きだけど、屈服させられるのは嫌いなんだもの」
「……決裂か」
「初めからわかっていたンじゃない?」
 睨み合う、魔王とバーン。そしてメナオン。
 メナオンの魔力が、またたく間に玉座の間に広がる。その範囲内に存在した無機物……調度品の数々が、途端に風化を始める。
 “灰色の魔王”たる力を示したメナオンによって『灰色砂塵』へと変化させられたのだ。
 本来の持ち主である魔王ではなく、変容をもたらしたものに、砂塵は従属した。すなわち、メナオンに。
「凄いです……!」
 『白兎』が、思わず声を上げる。
 今や、メナオンを中心として、荒れ狂う砂塵の嵐が生成されていた。
 砂塵をまといながら、魔王へと突撃するメナオン。敵の姿は嵐に呑みこまれ、内部に生成された剣戟の雨霰が、その魔術師らしからぬ強じんな肉体を擂り潰していく。
「なんて魔術なの。楽しくなってきたわ」
 数多の傷を受けながら、砂嵐を脱した魔王は、今度はバーンへと矛先を向けた。
 指先を動かし、風を起こし、竜巻を生成する。
「さあ、そちらの騎士サンも。私のモノになりなさい!」
 魔力の竜巻が、バーンへと迫りくる。
 その視線は、油断なく敵の動きの全てを捉えようとしていた。攻撃の癖の把握に努める。
 竜巻に取り込まれる寸前。バーンの全身が赤く輝いた。炎のオーラが立ち昇り、その身に付与されたのである。
 悪神に相応しき禍々しさと不屈の精神を帯びた、紅の炎である。
「いいわ、もっと力を見せて頂戴!」
 魔王の感情の昂ぶりを表すように、鋭く、激しく。無数の風の刃が、バーンを切り刻もうとする。
 だが、紅のオーラが、それを通さない。それどころか、手にした魔剣で、嵐を断ち切る。
 四散させた風を突き破って、バーンが、魔王へと迫る。
「私の、混沌の嵐を破ったというの?」
「我が魔剣……我が叛逆は災害とて例外ではない」
 加速するバーン。超高速で襲い掛かるその手には、魔剣と車輪剣。
 連続斬撃が、魔王を襲う。その勢いを失う事なく、更なる猛攻を仕掛けるバーン。その剣によって、魔王の血を啜り、その命を奪う。
「フフ……ここまで私を追いつめるとは……ますます手に入れたくなったわ」
 猟兵2人に満身創痍となりながらも、魔王がそのスタンスを崩す事は、ない。
「そこの魔王サンも、素晴らしい魔術ね。そのすごさ、自分でも味わってみたくはない?」
 メナオンを標的とした魔王の掌に、魔力が集中する。そして、生み出されるのは、新たな砂塵。
「お前も灰色砂塵を扱うつもりか」
「私の魔力を以てすれば、もっと凄いものができちゃうわよ?」
「やってみせろ。“全て”我輩のものだと示してやる……!」
 魔王とメナオン、2人の生み出した灰色の嵐が、激突する。
 そして、互いを引き裂き合う破壊の輪舞の後、残ったのは、メナオンの灰色砂塵であった。
「勝負あったようだな。引導を渡してくれよう」
「私達も参ります!」
 バーンの猛撃が魔王の動きを封じている間に、『聖獣の騎士団』も動いた。
 今ならば、『命中させる』ための労力を、攻撃力に集中させる事も可能。
 三騎士による神速の斬撃が、金色の拳が、そして巨人すら討つ槍撃が、魔王を三方向から貫いた。
 そこに、メナオンの剣戟が切り刻み、そしてバーンが振り下ろした双剣が、魔王を×の字に切り裂いたのであった。

「この世界でなら、私の望みも叶えられると思ったのだけどね……フフ、貴方達、強かったわ……」
 金色の粒子となって、消えゆく魔王。
 そして、それを見届けた頃、猟兵達の姿も、消滅を始めた。
「あるべき場所へと戻られるのですね。本当にありがとうございましたっ」
「あんた達の事は忘れないよ」
「世界の救世主として、語り継いでいきますぞ!」
 三騎士の感謝を受けながら、猟兵は、元の世界……スナークゾーンの外へと帰還するのであった。

 その後。
 猟兵達は、街で、自分達によく似たヒーローのグッズを目にする事となる。
 ゲームのキャラクターだと言う。しかし、元となったのは、実際に語られる伝説。古の時代、獣の二つ名を冠した騎士達と共に、魔王から世界を救った英雄の物語。
 あのスナークゾーンは、消えた。そもそもあれは、仮想空間のはずではなかったか。しかし……。
 猟兵の干渉により、歴史が書き換えられたというのか? だとすれば、あの勇気ある騎士達もまた、この世界に存在したのかもしれない。本物の英雄として。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年04月15日
宿敵 『グレイト・スピリット』 を撃破!


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シュワルベ・ポストボーテです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト