己で磨き、己を磨くために
●サムライエンパイア とある山中
「いい加減しつこいぜアンタ等!」
「そちらこそいい加減諦めてはどうだ?」
「俺達と同じオブリビオンになってしまえば、お前が一生鍛えても到達できないような剣の高みにすぐ到達できるぜ?」
傷だらけの青年を囲むのはヤドリガミのオブリビオン集団、模倣刀『偽村雨』達である。
「アンタ等みたいな奴等に負けたくないから鍛えてるんだ。一緒になってしまったら意味がないだろ!」
そしてこの青年、研馬もヤドリガミである。とある事件に巻き込まれ、猟兵と共に猟書家と戦って以来、自分も何か力になれればと武者修行をしていた剣豪でもある。
「ならば、尚更だ。我々は優秀な剣豪を欲している。来たるべき戦に備えてな!」
「ついでにせいぜい足掻いてもらおう。その恨みや怨念が我々を強くするからな」
「くっ」
偽村雨達に囲まれ、逃げ道も絶たれている。もはや、研馬に生きてここを脱する術は残っていない。
「なら、お望み通り、一人でも多く道連れにできるよう足掻いてやるさ」
腹は決まった。そう言わんばかりに研馬は大太刀を構える直すと、敵へと向き直るのだった。
●グリモアベース
「そんな訳で、オブリビオンに襲われている剣豪を助けてほしいんすよ」
そう話を切り出したのは狐のお面型ヒーローマスク、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)である。
「敵は猟書家『クルセイダー』の命令で江戸幕府の転覆の為の兵力を集めているみたいなんすよ」
そこで目をつけたのが優秀な剣豪の命。彼らを殺し、オブリビオンとして戦力に加えようというのだ。
「そして、自分の予知に現れたのが研馬ってヤドリガミの剣豪っすね」
以前に自分の住んでいる街が猟書家幹部に襲われた際、猟兵達と一緒に戦ったことがあり、それから自分の腕を磨こうと武者修行の旅に出ていたらしい。
「ちなみに、本体は砥石っすね」
旅の最中だったので人間態の体のどこかに持っていると思われるので、本体の安全さえ確保できれば、だいぶ守りやすくなるだろう。
「敵は刀のヤドリガミの集団と、それを率いているカラクリ人形っすね。両方とも溜め込まれた怨念の力を自分の力として使うタイプっすね。あと、刀のヤドリガミ……『偽村雨』って言うんすけど、クルセイダーの力で『上杉謙信』の魂が憑いてるみたいっすね」
それにより、巧みな集団戦術と地の利を活かした戦い方をするとのこと。
「研馬も武器である大太刀が扱いにくい障害物の多い場所に追い込まれて苦戦してるみたいっすね。みんなも、何か対策しておかないと厳しい戦いになるかもしれないから注意っすよ」
そして、研磨を偽村雨から守り切れば、彼らを率いているボスが出てくるとのことだ。
「ボスは憑坐絡繰『白花』って言うんすけど、こちらは謙信の力は宿していないっす。その代わり、戦闘力自体は偽村雨達よりも遥かに強いんで、こっちも注意が必要っすけどね」
ちなみに、ボスを撃破すれば、配下に生き残りがいても即座に撤退してくれるという。
「それじゃ、研馬のこと頼んだっすよ」
そう言うとリカルドは準備のできた猟兵から順に転送を始めるのだった。
麦門冬
どうも、マスターの麦門冬(むぎと・ふゆ)です。最近は時々春めいたりもしてきましたね。季節とはあまり関係ないですが、猟書家系シナリオを送らせていただきます。
第1章では偽村雨達を倒してもらいます。山中の地形を生かした戦い方や、集団での隙を与えない連続攻撃などを繰り出してくるので、対策しないと苦戦する可能性が高いです。
第2章ではボス『白花』との戦闘です。白花を倒せば配下は撤退します。
また、このシナリオは全章通じて以下のプレイングボーナスがあります。
プレイングボーナス……剣豪を守る(本人もそれなりに戦うことはできます)。
以下、補足事項です。
●研馬
ヤドリガミの剣豪です。以前にも猟書家の襲撃にあったことがあり(2章目だけですが)猟兵と一緒に戦ったことがあります。彼の出ているシナリオは「#ヤドリガミの剣豪・研馬』で検索することができます。
砥石のヤドリガミだからか、鍛えることは好きです。戦闘力は猟兵には遠く及びませんが、本体の安全が確保できれば、大太刀を振るって思いっきり戦ってくれます。
●模倣刀『偽村雨』
量産型ヤドリガミの集団です。自らの刀剣を殺された犠牲者の怨念で縛ることで名刀を妖刀に変化させてきました。剣の腕に加え、上杉謙信の魂を憑装して小賢しい戦術も用いるようになりました。
●憑坐絡繰『白花』
元々は加持祈祷の憑坐として作られた中性的な絡繰人形ですが、怨霊、怨念を溜め込み、浄化し切れず堕ちてしまったようです。地形とか障害とかは力技でなんとかします。
●戦場
木々の立ち並ぶ山中で、障害物が豊富。直線的な射撃武器や長物を使うには不利な環境で、敵は身を隠したりしつつ多方向から連続攻撃を仕掛けてきたりします。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『模倣刀『偽村雨』』
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POW : 雹刃突
【呼び起こした寒気】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 怨呪流血斬
自身に【過去の被害者の怨念】をまとい、高速移動と【止血し難くなる呪い】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 氷輪布陣
【氷柱】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を凍らせて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:ボンプラム
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
政木・朱鞠
兵力の水増しの為の殺しなんて、上杉謙信の分霊にしては不粋な策ね…。
ヤドリガミの剣豪さん達がターゲットを引き付けてしまうのなら…。
申し訳ないけど、それも敵布陣の視野分散に利用させて貰おうかな。
…それに、この妖刀さん達は私と因縁があるみたいだし…好き勝手にはさせないよ…。
戦闘【WIZ】
分身達が攻撃を受けて減っちゃう不安は有るけど、『忍法・火煙写身の術』を使用して集団戦に対処したいね。
武器は一撃必殺より距離を取り手数の多い攻撃を優先して忍者手裏剣『鳳仙花』をチョイス、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かずダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
鹿村・トーゴ
鍛錬好きの剣豪を死なせるなんて勿体ないねェ
敵もヤドリガミだが人の身を得た分毒も効く筈…
研馬に意識が向いてるのを利用
樹枝に身隠し奇襲【地形の利用/忍び足】
木を背にする者を狙い木から垂直降下
猫目雲霧で背後から首を絞め喉を掻き斬り【暗殺】
低木に紛れ姿勢低く移動しクナイで敵の足首など切断、動きを鈍らせ
研馬に接近
敵の斬撃から【カウンター/かばう】
多勢に無勢は難儀だ
助太刀するよ
その位置から
通常攻撃に見せかけ手裏剣、毒菱を撒きUCへ繋げる為【念動力/投擲/毒使い】活用し命中狙う→UC使用
>敵UC
被弾は【激痛耐性】で耐えるが多勢の為【視力/聞き耳】で察し極力躱し
足場を地面、樹上、敵死体と次々変え対応
アドリブ可
●
「なら、お望み通り、一人でも多く道連れにできるよう足掻いてやるさ」
模倣刀『偽村雨』の集団に囲まれながらも覚悟を決めて大太刀を構え直す研馬。
「兵力の水増しの為の殺しなんて、上杉謙信の分霊にしては不粋な策ね……軍神といえど、今はクルセイダーの駒でしかないってことかしら」
「何奴!?」
声のした方を向けば、そこにいるのは妖艶な陽子の女性、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)の姿があった。
「申し訳ないけど、あなたの事を敵布陣の視野分散に利用させて貰ったわ。この妖刀さん達は私と因縁があるみたいだし……好き勝手にはさせたくないのよ」
そう研馬に流し目を送りながら語りかける。
「よそ見とはいい度胸だな! 邪魔だてするなら貴様も、斬る!」
偽村雨の一人が斬りかかろうとするが、
「あなた達こそ、こちらの仕込みに気づいていないなんて、呑気にも程があるんじゃないかしら? ……疾く攻めよ!」
朱鞠の合図と共に、草むらから、木陰からと飛び出してきたのは、小型の朱鞠の姿を模った炎。朱鞠の【忍法・火煙写身の術】で召喚された朱鞠の狐火による分身達だ。その数は600に達しそうな程。
「な!? いつの間に!」
偽村雨達が研磨を追い詰めている間に朱鞠が潜ませていたのだ。狐火分身達が一斉に敵へと襲いかかる。
「こんな炎などかき消してくれる!」
ユーベルコード【氷輪布陣】で分身達をかき消してゆく偽村雨達だが、
「鍛錬好きの剣豪を死なせるなんて勿体ないねェ」
木の上から飛び降りてきたの一人の羅刹。そのまま偽村雨の一人におぶさると、そのまま喉をクナイで掻き切る。
「多勢に無勢は難儀だ。助太刀するよ」
そしてそのまま低い姿勢で敵を切り裂き駆け抜け、研磨を守るように位置取りをしたのは鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)だ。
「新手か!」
「ただ死なせるのではない、有能なオブリビオンとして生まれ変われるという素晴らしきことを理解できぬ輩……がっ!?」
何やらしゃべっていた偽村雨の身体に朱鞠の忍者手裏剣『鳳仙花』が突き刺さる。
「価値観は人それぞれだものね。でもね、嫌がる相手に価値観を押し付けるのもダメよね」
耐久度に難のある自身の分身体達を倒されないよう、手裏剣を飛ばし続けて牽制を続ける。
「チィ、鬱陶しい」
地形を氷結させて自身の戦闘力を上げられるユーベルコードを使用する偽村雨にとって狐火の分身達は相性の悪い相手。優先的に片付けたいところではあるが、朱鞠の手裏剣がそれを許さない。さらに、そこへ畳み掛けたのが、
「千鳥砂嘴ひと刺し浅しニワトコに 天地五感を掠め狩る──なに、些細なかすり傷さ」
トーゴも朱鞠に重ねて手裏剣を飛ばす。しかも、念動力で軌道を変えて巧みに当ててゆく。
「ハッ! 当たりはしたが痛くもなんとも……」
トーゴの手裏剣の刺さった偽村雨が、それだけの言葉を残して崩れ落ちる。
「な……!? 身体が……」
立ちあがろうとしても起き上がれない。
「敵は刀剣のヤドリガミだが人の身を得た分、毒も効く筈。どうやら読みは当たったみてーだな」
トーゴのユーベルコード【千鳥庭】の毒が付与された手裏剣を受けた偽村雨は三半規管を狂わされ、立ち上がることができない。
「これはおまけだ!」
さらに追い討ちで毒の撒菱を撒くトーゴ。
「クソッ、こんなもの……」
反撃に氷柱を出すが、三半規管を狂わされ、狙いは定まらない。当たらない攻撃してできないオブリビオンなど、あとは狐火分身たちの格好の餌食だ。
「グアアアアアアア!!」
偽村雨達は本体の刀身もろとも狐火分身達に焼き尽くされるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エリカ・グランドール(サポート)
サイボーグのシャーマン×電脳魔術士のエリカ・グランドールです。
戦闘はあまり得意ではありませんが、周囲の状況を観察して違和感のある箇所を発見したり、敵の弱点を推測して隙を作り出すといった行動で皆さんをサポートしたいです。
※セリフ例
「今、何か光りました。ここに何かあるのでは……」
「あの敵の動きには規則性があるわ。うまく狙う事が出来れば……」
冷静沈着と言う程ではありませんが、ビックリする事はあまりありません。
あと、笑いのツボが良くわかっておらず「今の、どこがおもしろかったのでしょうか?」と、真面目に聞き返す事もあるようです。
ユーベルコードは、エレクトロレギオンを好んで使います。
シホ・イオア(サポート)
『前へ進む、痛みと祈りがシホの背中を押してくれるから』
怖くなって緊張すると 口調が硬くなる
背中の聖痕で相手の悩みや痛みを感じ取ってしまうため
敵でも癒したい・終わらせてあげたいという方向で動く
罠や防衛戦では建造物を作り豪快に解決することが多い
自衛手段を持たないものがいる場合は救助を優先
ユーベルコードは遠距離戦に強いものが多いが
残像を纏い剣と銃を使って接近戦も行ける
輝いているため隠れるのは苦手
一人称は「シホ」
連携アドリブ歓迎
●その力は何の為に
「恨み……怨念……どうしてそんなものを背負っているの?」
模倣刀『偽村雨』と対峙するフェアリーの少女、シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)の表情は固い。普段は天真爛漫な彼女ではあるがあるが、彼女の聖痕から偽村雨の纏う怨念を感じとり、その境遇に気持ちを曇らせている。
「怨念こそが我らが力になる。斬り捨てたもの達の怨念こそが我らの強さよ」
偽村雨達は誇らしげに言い放つ。
「斬り捨てた先に何があるの? そんな力、悲しいだけだよ」
相手が敵でも癒してあげたい。そう思ってしまうシホではあるが、返ってくるのは敵からの嘲笑。
「力に哀しいも嬉しいもない。そこにこだわり、刃先を鈍らせれば、死あるのみぞ」
そして刀身に冷気を纏わりつかせる。
「なら、せめて……ここで終わらせてあげます! 輝石解放、ルビー!愛の炎よ、優雅に舞い踊れ!」
シホの詠唱と共に炎が、ユーベルコード【ハート・ロンド】による愛の炎が舞い踊る。
「させるか!」
その炎を打ち消さんと偽村雨達は【氷輪布陣】による氷柱を繰り出す。
「その凍てついた刃、愛の炎で溶かしてあげます!」
シホは負けじと炎を繰り出す。
「かかったな!」
ここで、氷柱を出していたのとは別の偽村雨が木の上からシホ目掛けて襲いかかる。目の前の敵に攻撃に回っていて、この急襲にシホは反応しない。だが、
「囮を使っての奇襲。この場所であれば、その作戦が最適。だからとても読みやすかったですね」
奇襲をかけた偽村雨は銃弾の嵐を受け、吹き飛ぶ。そして、攻撃が発射された方向を見てみると、そこには【エレクトロレギン】を従えたエリカ・グランドール(サイボーグのシャーマン・f02103)の姿があった。
「この周辺は索敵済み。敵の位置情報は全て把握しています」
サイバーアイに表示された情報を確認しながらエリカは淡々と話す。
「牽制、支援射撃を行いますので、攻撃に専念していただいて問題ありません」
「ありがとう!」
エリカのエレクトロレギオン達が敵の奇襲を牽制し足止めの射撃攻撃を行い、そこへシホの炎が敵を焼く。
「あなた達の力、どういった過程で身につけたものであるか、私は問うつもりはありません」
エリカは淡々と、それでいてしっかりした口調で倒されてゆく偽村雨達に語りかける。
「ですが、その力を以って私達の前に立ち塞がるのであれば、容赦はしません」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ミカエラ・マリット(サポート)
好奇心旺盛な少女
世間知らずなところもあるのでどんな事も割とすぐに受け入れるけど、ツッコむ事も知っている
どんなことも力づくでどうにかできるという思考回路
基本的にギャグ漫画の様に人間離れした力持ち
自分より遙かに大きいものを持ち上げたり、ぶん投げたりして戦う
愛用はイラストにあるハンマー
近接戦は大体これでピコハンのように殴る
遠距離の時は自分より大きなアンカーを鎖掴んで振り回す
足元が不安定な場所や冷気に弱い敵にはあずきソード
いずれにしても鈍器
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず積極的に行動
他の猟兵は大体年上なので懐くし頼りにしてる
エロは禁止
水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか
太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ
正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな
それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ
厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。
亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」
動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。
また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。
なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。
依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。
●恨みの力を使う者達
「く、猟兵がこんなに来ていたとは」
「だが、我々の目標はあのヤドリガミだ。奴さえ殺せば、クルセイダーからの任務は完了だ。行くぞ、【怨呪流血斬】!」
仲間のオブリビオン達が猟兵に倒されていく中、残された模倣刀『偽村雨』達はその身に、過去に殺めてきた被害者の怨念を身に纏い高速移動し、猟兵達を突っ切って砥石のヤドリガミ・研馬へ呪いを込めた斬撃を飛ばそうとする。
「させないよ!」
だが、研磨の前に無数の刀が飛び出し、斬撃を遮る。
「水心子真峰、推参! さて、真剣勝負といこうか」
ユーベルコード【錬成カミヤドリ】によって本体の複製を大量召喚した水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)が研馬を守るように立ちはだかる。
「つまりはあいつらをなぐっておけばいいんですよね」
「うむ。その見解で相違ないだろう。修行し己を鍛えんとするものを手にかけるとは許し難いからな」
更には巨大な金槌『にゃんこあくすはんまー』を抱えた少女、ミカエラ・マリット(撲殺少女・f23163)と鋭い眼光の仙人、厳・範(老當益壮・f32809)も立ちはだかる。
「またゾロゾロと……。だが、お前達にこの動きを捉えられるか!?」
偽村雨達は木々に身を隠しながら高速移動し、撹乱する。
「この技は、妖剣士が使うものに似ているな。だとすれば、命を削っているだけにあの速度も頷ける」
真峰はそう冷静に分析する。百を超える太刀を同時に操作する真峰も、隠れながら高速移動する複数の相手を同時に捕捉するのは難しい。
「私一人であれば、相性の悪い相手だったかもしれない。だが」
「じゃまだから、ドカーンと行くよ!」
ミカエラがにゃんこあくすはんまーを振りかぶり、思い切り薙ぎ払う。
「なんだと!」
その小さな身体から放たれたとは思えない【グラウンドクラッシャー】の一撃で木々は吹き飛び、地形が変わる。偽村雨達は逃れることはできたものの、身を隠す木々がなくなってしまった。
「ならば、強行突破よ!」
ミカエラの攻撃は鈍重ゆえに、高速移動すれば回避するのは容易い。真峰の太刀であれば、怨念の防御で致命傷になる前に偽村雨の誰かが研磨を仕留められる。そう判断しての特攻だった。
「ここでわしの出番だな。来たりて力に」
範の呼びかけに応じ、召喚されたのは【胡蜂】、スズメバチの群れである。100を超えるスズメバチはそれぞれ分散して偽村雨達に飛びかかる。
「そんな羽虫如きが!」
大部分を【雹刃突】によって蹴散らし、残りは身に纏った怨念の力で弾いて突破しようとするが、
「グアアアアアアア!」
「何故……だ!?」
スズメバチ達は偽村雨の纏う怨念を通過し、ユーベルコードで強化された毒を容赦なく突き入れる。
「こやつらを突き動かすのは恨みの力。お前達が纏うものと同質だったが故に弾かれなかった……ということだろうな。相手が悪かったな」
「おのれ!」
偽村雨達は斬りかかろうとするが、激痛と蜂の毒に動きが鈍っている。
「あとはもう、ぶんなぐればおわりだね!」
「そういうことだね」
そして容赦なくミカエラの巨大金槌と真峰の太刀の奔流が襲いかかる。
「おのれ猟兵共めえええええ!!」
恨みの言葉を残しつつ、偽村雨達は骸の海へと還ってゆく。
「周りから恨みを買い、その挙句にそれを利用してきた者の末路だな」
消えてゆくオブリビオン達の姿を目にしながら、範はそう口にする。
「あらかた片付いてきたようだな」
「のこりもやっつけてけばいいんだよね?」
そして戦況を見ながらそう呟く真峰にミカエラが質問する。
「ああ。だが、他にも倒さないといけない相手がいるがな」
真峰がそう言葉を返した時、戦場の空気が変わる。戦場の温度そのものが下がったような感覚。『それ』が纏っている怨念の量は偽村雨達の比ではなかった。中性的な姿をした動く絡繰人形。
その名は『白花』と言った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『憑坐絡繰『白花』』
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POW : 鳥獣偽牙
戦闘用の、自身と同じ強さの【怨霊獣】と【怨霊鳥】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD : 禍鳥降霊
【取り憑かれた獣の力を解放】事で【巨大な禍鳥】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 禍神虚戯
自身の装備武器を無数の【瘴気を纏ったウツギ】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
イラスト:まっちょす
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠薄荷・千夜子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●憑坐絡繰『白花』
「上杉謙信の憑装……憑装とは所詮この程度のものでしたか。魂の問題か、器の問題か」
そう言うと、表情ひとつ変えず偽村雨達を一瞥する憑坐絡繰『白花』。
「原因がいずれにせよ、目的の剣豪を殺害できていないという現状を解決できそうにはいですが」
「す、すまない」
偽村雨の一人が白花の言葉に謝罪する。
「その言葉は現状の打破には何の意味も持ちません。ですので、作戦変更です。私の中での憑装の評価は終わりました。私が作戦を遂行するので貴方達は猟兵達の足止めでもしていてください。全部は無理でも何人かは止められるでしょう」
「……はっ」
配下を叱るでも労うでもなく、淡々と次の指示を与える白花。偽村雨達も命令に従い散開する。
「猟兵……いささか邪魔ですが、諸共に轢き潰せばいいでしょう。彼らからの怨念も良い糧となり、オブリビオンとして黄泉返れば良い戦力になるでしょう」
そう呟いた白花から吹き出すのは瘴気。身にまとわりつく怨念が害となって吹き荒れる。偽村雨達が纏っていた怨念とは量も濃度も違う。
「私の事を大いに恨んでくれて結構ですよ。それが私の力となるのですから」
「……みなさん」
瘴気を吹き出す白花の迫力にたじろぎながらもヤドリガミの剣豪・研馬は猟兵達に話しかける。
「俺はこの戦いに足手まといかもしれませんが、何か力になれることあるなら言ってください」
猟兵達よ、数々の怨念をその身に受け呪われ死からくり人形を撃破せよ!
(※生き残った偽村雨達は第1章で登場したサポート猟兵の相手を描写街で行なっているので、ボス戦には干渉してきません。ボスが倒れれば勝手に撤退します。
研馬は基本的に余程無茶なことではない限りは猟兵の指示に従ってくれます。また、ヤドリガミなので、本体の砥石が破壊されない限りは人間体がいくら傷ついても死ぬことはありません。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております)
ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ
狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る
主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ
怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの
スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●それは愛?
「わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ。例え死することとなろうとも、恨むことなどありませんわ」
憑坐絡繰『白花』の言葉にそう言い放つのはソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)、クリスタリアンの貴婦人だ。
「それは困りますね。怨念は私の糧、私の拠り所。怨念をその身に溜めることが私の存在理由なのですから」
白花はその言葉と共にユーベルコード【禍神虚戯】、瘴気を纏った無数のウツギの花びらを自分の周囲へ展開させ、猟兵達へと飛ばす。
「そんなこと、させません」
だが、その花びらは妖狐の少女、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)の放つ【フォックスファイア】の炎にかき消される。
「例えどんな理由でも、人々を害する正当な理由にはなりません。貴方の怨念、払ってあげます」
禍々しい瘴気を放つ敵に、穏やかながらも毅然とした態度で立ち向かうスピネル。ユーベルコードの狐火を呼び出しては立て続けに放ち続ける。花びらが燃えやすいのか、狐火に盛大に燃やされ紅蓮の華が咲き乱れる。
「ふむ……どうやら技の相性が良くないようですね。ですが、このくらいであれば……む?」
花びらの出力を上げようとした白花の背後を何者かが襲う。
「姿を隠していましたか」
「ええ、彼はわたくしの愛する『きょうだい』ですわ」
背後の何者かへ白花が花びらを放つと、何もなかった空間から礼服を着た水晶製の骨格標本のような存在が出現する。それこそがソフィアが『きょうだい』と呼ぶ、自身の力の片割れ『水晶髑髏』である。ソフィアが【クリスタライズ】で彼の姿を消し、スピネルが攻撃している間に背後に回らせ、攻撃を仕掛けたのだ。
「そして貴方も、愛しているのでしょう? 自身に溜め込まれた怨念を」
「愛……?」
独特な価値観を持つソフィアは白花をそう分析する。
「貴方が怨念に対し、愛しさを感じていらっしゃるのではないかしら。怨念に愛され生を受け、怨念を愛しその身に宿す。わたくしは、それは素晴らしいことだとは思いますわ」
そしてソフィアは少し悲しげな表情をする。
「だからこそ、愛しい存在を使って世界に仇なすようなことはさせたくありませんの。貴方はあるべき場所で安寧に過ごすべきですわ」
「私の……いるべき場所?」
白花が疑問を口にしたところで冷気が吹きすさび、偽村雨の集団が現れる。
「敵に惑わされている場合ではありません」
「貴方は早く剣豪を討ってください。ここは我々が引き受けます」
「……そうですか。では、お願いしましょう」
配下の言葉に疑問を押し込め、思考を切り替えると、白花はその場から離れ、当初の標的である剣豪の元へと向かうのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
政木・朱鞠
ふーん、黒幕登場って所だね…。
乱を起こして不安と怒りを巻き起こすことで貴方の糧となる…って所かな?
人の命をただの力を貯めるためだけの乾電池だと思って虐げているのなら絶対に許せないね。
未来を呪いで満たすことを是とする貴方の咎をここ潰させて貰うよ…。
戦闘【WIZ】
骸の海に押し返すまでは絶対逃しちゃいけない相手…命削る覚悟で挑まないとね…。
イニシアチブ取れないにしても『忍法・鋳薔薇姫』でほんの数秒だけど動きを封じて隙を作りたいね。
得物は『風狸ノ脛当』をチョイスして、【スライディング】技能を使いバランスを崩して、四肢を思いっきり【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】のキックでダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
御狐・稲見之守
ちょっくらメシ喰いに来た。
あ、ワシのことは気にせんでくれ、すぐ終わるから。
[呪詛耐性][結界術]っと、そこなヤドリガミ。
危ないからこのワシの霊符をお守りにあげやう。
豊作祈願、家内安全、安産祈願、火防雷除、退魔厄除けになるゾ。
あ、恋愛成就は受け付けてないが。
ご利益に関しては心配することなかれ。
呪詛怨霊ばっちこい、ワシ陰陽術とか少ぅしかじっててナ。
[UC精気略奪][生命力吸収][捕食][呪詛耐性]
さぁてさて、瘴気も怨霊も魂も
みんなみぃんな喰うてやる
さあさあ人喰い魂呑みの外道がまかり通る
鹿村・トーゴ
淡々とした奴だな
攪乱とか動揺とか、自身の窮地にも強そ
…なら正面から
研馬どのと言ったね
オレが仕掛ける
そしたらその得物で加勢頼むぜ
殺して操り手駒増やそ、とか碌でもないもん
何とかアイツ凌いで生き残ろーぜ
研馬を【かばう】のもあり正面から手裏剣を白花へ【投擲】
敵UCの怨霊がこちらへ向けられれば【激痛耐性】で待ち受け【カウンター/武器受け】も活用しクナイを手に【串刺し】狙い斬りつけ、手裏剣も【念動力で追跡】し仕留める
一度に二体は、と研馬にも助力請い
怨霊残り一体を彼が仕留めきる前に攻撃できない白花へ接近
クナイにUCの威力を乗せ至近距離から撃ち【暗殺】
UC余波で木が薙げたら研馬の刀でも一撃入れて貰う
アドリブ可
宴・段三郎
くひゃひゃひゃ!研馬よ久しいのう!
また共闘してアレやるぞアレ
今度はどんなやや子が産まれるかのう!
【行動】
まずはこの足場が悪りぃのう!
号 『大元帥明王』と号 『化生炉』で敵と森含めて【範囲攻撃】で薙ぎ切りて大太刀が振るえる程度の空間にするかのう!
その次はわしの門『地国鞘』を使いて、研馬にわしが持っとる刀の中から好きなの取らせるかのう!
同時にわし【鍛治仕事】をするかのう!
研馬用にあと一振り鍛えてできたてほやほやのやべぇ妖刀を渡し、研馬とまた二刀流で共闘するでのう!
また、号 『村雨地国』を使いて瘴気による【マヒ攻撃】を絡め手で使用するかのう!ちょうど偽村雨もおるしのう!!くひゃひゃ!
※アドリブ歓迎
●憑坐絡繰の行く先は
ヤドリガミの剣豪・研馬を仕留めるべく、憑坐絡繰『白花』は標的へと迫るが、それを猟兵達が阻む。
「ふーん、黒幕登場って所だね……乱を起こして不安と怒りを巻き起こすことで貴方の糧となる……って所かな?」
そんな白花を見定めるかのように見据えるのは政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)だ。
「人の命をただの力を貯めるためだけの乾電池だと思って虐げているのなら絶対に許せないね」
「私は怨念を集められればいい。その過程にあるもの……人の命などどうでもいいのです」
朱鞠の言葉に白花は表情一つ変えず答える。
「淡々とした奴だな。攪乱とか動揺とか、自身の窮地にも強そ」
その様子を飄々とした様子で分析するのは鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)。
「なら、正面から行くまでだ」
「ああ、そうだね。白花、未来を呪いで満たすことを是とする貴方の咎をここ潰させて貰うよ……」
そう言葉を口にし、それぞれの武器を構える2人の猟兵。そしてトーゴは研馬に声をかける。
「研馬どのと言ったね。オレが仕掛ける、そしたら加勢頼むぜ。殺して操り手駒増やそ、とか碌でもないもん。何とかアイツ凌いで生き残ろーぜ」
「ああ、承知した」
研磨がそう頷いた時、さらに2人の猟兵が加勢に入る。
「ちょっくらメシ喰いに来た。あ、ワシのことは気にせんでくれ、すぐ終わるから」
「くひゃひゃひゃ! 研馬よ久しいのう! わしの次郎太刀をまだ使っているとは嬉しい限りだのう!」
現れたのは妖狐の仙人、御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)と刀鍛冶の宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)である。段三郎はかつて研馬と共に猟書家と戦い、その時に鍛えた大太刀『次郎太刀』を研馬に授けている。
「ほう、刀とな。確かにそれは結構な業物のようだナ」
そして段三郎の言葉に稲見之守が食いつき、研馬の持つ大太刀を食い入るように見る。
「ならば、そこなヤドリガミ。危ないからこのワシの霊符をお守りにあげやう」
そう言うと研馬に霊符をぐいっと押しつける。
「豊作祈願、家内安全、安産祈願、火防雷除、退魔厄除けになるゾ。あ、恋愛成就は受け付けてないが。ご利益に関しては心配することなかれ。呪詛怨霊ばっちこい、ワシ陰陽術とか少ぅしかじっててナ」
口早にご利益を説明すると、同じ霊符を敵に向けてかざす。
「ほれ、このように」
そう言って白花が放った【禍神虚戯】による瘴気を纏ったウツギの花びらを、結界を貼りながら防ぐ。
「この守りを個人に張っておるからナ。気にせず戦うといい」
「む、ならばわしももう一振り研馬に刀を授けよう。二刀流もなかなかいいじゃろ」
負けじと段三郎も更に刀を渡す。
「今さっき【鍛治仕事】で鍛えたできたてほやほやのやべぇ妖刀じゃ。効能はな……」
「そろそろ敵さんを待たせすぎだぜ?」
話を止めに入ったトーゴが指差した先には、【鳥獣偽牙】によって怨霊で構成された獣と鳥を召喚した白花の姿。
「一度に二体は流石にキツイ。ご助力願うぜ」
「うむ、任された。研馬、鳥の方を狙うといい」
「承知!」
トーゴの言葉に2人が答え、怨霊獣と怨霊鳥と相対する。
「まずはこの足場が悪りぃのう!」
段三郎が燃え盛る妖刀『化生炉』と刀身15mの妖刀『大元帥明王』を取り出し、周囲の木々義を焼き払った上で、長大な刃で薙ぎ払う。
「これで大太刀を振るうのに必要な空間は生まれた。行くが良い!」
「応!」
開けた戦場を研馬が、トーゴが駆ける。もちろん怨霊獣達も迎撃に向かうが、
「骸の海に押し返すまでは絶対逃しちゃいけない相手……命削る覚悟で挑まないとね……」
朱鞠の影から【忍法・鋳薔薇姫】による鎖、己の命の危険を代償に相手の攻撃行為を封じる鎖が飛び出し、怨霊獣と怨霊鳥に巻きつく。長時間使用すると命の危険があるため数秒しか拘束できないが、それでも隙を作るにはそれで十分。
「食らえ!」
研磨の大太刀の一撃が怨霊鳥を叩き斬る。その様子を段三郎は満足げに見守る。
「うむ。鳥系の素早い相手に特化した妖刀が上手くいったようだのう。名前は『燕返し』だとまんまな感じだから『飛燕落とし』……うーむ、名前は後でゆっくりつけるかのう」
そして、怨霊獣に向かったトーゴは、動きの止まった獣の額をクナイで刺し貫き、そのまま白花のところへ駆けてゆく。念動力で軌道を変えた手裏剣で牽制しつつ、そのままクナイを片手に飛びかかろうとするトーゴ。
「ですが、その程度の動き」
怨霊獣召喚中の代償として反撃ができない白花だが、難なくトーゴの攻撃を回避。怨霊獣達を消して反撃に移ろうとするが、
「足元がお留守よ!」
注意が上方へ向いていた白花に対し、朱鞠は地面をスライディングするようにして滑っていき、『風狸ノ脛当』を装着したその足で、白花の右足を蹴り砕く。
「っ!?」
片足で器用に間合いを開ける白花。
「油断したつもりはありませんでしたが、ここまでやるのは予想外でした。力の消耗が激しいので避けたかったですが、仕方ありません。!!」
次の瞬間、白花から高濃度の瘴気が立ち上り、白花を包み込む。そして、瘴気が晴れた時には、そこには大きな禍鳥がいた。禍鳥に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する白花のユーベルコード【禍鳥降霊】である。
「速い!?」
「攻撃が届かない!?」
超スピードで戦場を飛び回る白花。追尾する手裏剣や拘束の鎖を飛ばしても届かない。
「手も足も出ん状況か。『村雨地国』の瘴気で動きを鈍らせようとも思ったが、偽村雨の瘴気程度では止められんか。くひゃひゃ!!」
超スピードで一方的な攻撃を始めた敵の状況を確認する段三郎。そして、
「研馬、次郎太刀を使え。『ヤドリガミ殺し』じゃ!」
「む……わかった!」
段三郎の指示に研馬は次郎太刀の一撃を、白花の『砕けた右足』に叩きつける。
「ぐっ!??」
すると、白花本体がまるで攻撃を受けたかのように動きが一瞬止まる。そしてその一瞬は猟兵達にとっては十分な時間である。
「これで終わりにする。……なるべく痛くしないから」
「“視ずの鳥其の嘴は此の指す先に” …穿て大鉄嘴」
朱鞠の【忍法・鋳薔薇姫】の鎖が白花にまとわりつき、動きを完全拘束し、そこへトーゴのユーベルコード【空嘴】クナイに纏わせた超圧縮空気の一撃が叩き込まれる。
「がはっ!!」
強烈な一撃を食らい吹き飛ぶ白花。その一撃だけで損傷は激しく、すぐには動き出せない。そして、そこに追い打ちをかけるのは、
「ふむ、本来はその地の怨念を溜め、浄化するのがお前の役割だったのだろう。怨念を溜め込みすぎて本来の役目を忘れるとは何とも哀れ」
白花のそばに立った稲見之守はそのように語りかける。
「本来の……役目……」
さぁてさて、瘴気も怨霊も魂も
みんなみぃんな喰うてやる
さあさあ人喰い魂呑みの外道がまかり通る
子供を寝かしつけるような調子で口ずさみながら、稲見之守の身体から影が伸び、白花を包み込む。相手の生命力、今回の場合は白花の瘴気と化した怨念を吸い取るユーベルコード【精気掠奪】だ。
「ああ、そうでしたか。なぜ今まで思い出せなかったのか……」
長年溜め込み続けた怨念を吸い出され、白花はそう呟く。かの人形の最後がどんな表情だったのか。他の猟兵達が駆けつけた頃には、白花の肉体は崩れ、骸の海へと還っていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●そしてまた鍛えに
白花が倒されたことにより、配下の偽村雨は撤退。これで研馬の命を狙う向こう側の作戦は失敗に終わったと見ていいだろう。
「研馬助かったぜ」
「それに関しては、敵の体の一部が分離していたのが大きかったと思う」
トーゴの言葉を返す研磨の視線の先にあるのは自信の握る『次郎太刀』。ある猟書家の能力を真似て作られたこの刀には、攻撃が道具や分身体を遡り、ダメージが道具の使い手や分身体の本体に届く『ヤドリガミ殺し』の能力が付いている。
朱鞠が砕いた白花の体の一部を攻撃したことにより、そこを伝って白花本体へと攻撃が通り、トドメへ繋がる一手へとなったのだ
「だが、これは刀の性能のおかげというのが大きいとは思うが……」
「刀がお主に応えたのは、お主がちゃんと手入れをし、自身も鍛えていたからだぞ。さすが砥石のヤドリガミといったところか。くひゃひゃひゃ」
「そうそう、感謝は素直に受け取っておきなって」
どこか自信を持ちきれない研馬に段三郎と朱鞠が語りかける。
「んむ。鍛錬が身についたことを肯定することも、時には必要だと思うゾ」
稲見之守も2人に続く。
「そうか……わかった。みんな、ありがとう」
研馬はそういってから、じっと手を見る。力は猟兵には遠く及ばないが、それでも役に立つことはできる。己の鍛錬は自信を裏切らなかった。
猟兵達と別れた後、研馬は再び武者修行の旅を再開する。自信を磨き、鍛える事が未来を切り開く一助になると信じて。