●遺都
その都市は朽ち果てていた。
中心に城塞を据えて、四方に伸びるよう広がった城下町。かつて謳歌していたであろう繁栄も、今となっては昔の話。
城は落ちた。市街は焼けた。民も支配者も生き残りは一人もいない。
廃墟に命は一つもなく、妄執のままに彷徨う影が一つきり。
変わり果てたその都市を、月が静かに見下ろしていた。
●夜を照らすは月の光
将来起こり得る危機をその前段階で予知できたのは幸運だからではない。グリモアエフェクトを発動させるほど獅子奮迅の動きをした猟兵達のおかげだ。
グリモア猟兵のイデア・ファンタジア(空想の描き手・f04404)はそう述べて、集まった猟兵達に改めて感謝を告げた。
「本当にありがとう。それじゃあ早速、ダークセイヴァーの話に移るね」
まずは前提を共有しよう。
ダークセイヴァーは地下世界だ。これまで地上と思われていたのは第4層と呼ばれる場所で、その下には第五の貴族が支配する無数の地下都市、いわゆる第5層が存在する。
「第5層には月光城っていう施設があるのは知ってるよね」
地下都市ごとに存在する、月の満ち欠けに呼応して輝く不可思議な城塞。第五の貴族の干渉さえ受け付けないこの城は、『地下にある月』という怪奇現象との関係もあり、ダークセイヴァーの秘密が眠っていると目されていた。
「月光城は城塞よ。城塞っていうのは守りに使う物で、つまり、何らかの外敵から自分達の領地を守るためにヴァンパイアが造り上げたんじゃないかしら?」
語られたのはとある仮説。一部の猟兵は体験しているだろうが、月光城の主は『月の眼の紋章』によって理不尽なまでに強化されている。それが外敵への備えだとすればぞっとする話だ。
そして残念ながら、この仮説を裏付ける証拠が見つかってしまった。
「第5層で廃墟となった地下都市が見つかったわ。そこへ行って欲しいの」
その廃墟は明らかに攻め落とされた形跡があるという。ヴァンパイアが仲間割れするはずもなく、外敵の存在があったことは疑うべくもない。
出向き、調査しなければならない。今後他の地下都市が同じように滅ぼされないとも限らないし、何より第4層にも月はあるのだから。
「外敵っていうのは一体何者なのか。それが月の真実に繋がる、そんな気がするわ」
そう締めくくり、イデアは猟兵達を送り出すのだった。
渡来あん
初めまして、あるいはお久しぶりです、渡来あんです。
月って何なんでしょうね。
●第1章
ちょっとした冒険です。OP公開後に断章を投下します。
●第2章
廃墟を彷徨う影、『月光城の主』との戦いです。
ただし紋章による強化はほぼありません。
●第3章
詳細不明。
それでは、ご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『飢えた鼠の群れ』
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POW : 噛み付いてきた鼠達を全身で振り払う
SPD : 鼠から足の速さを生かして逃げる
WIZ : 地形や道具、魔法を使って鼠たちの動きを牽制する
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●前哨戦
小高い丘の向こうから城塞が顔を覗かせる。
地下都市の郊外までやってきた猟兵達は、丘の向こうへ目をやり、次いで頭上の月を見上げ、最後に地へと顔を向けて――そこで気付く。
囲まれている。
草の陰からこちらを見つめる無数の瞳。赤く光るそれらの持ち主、正体はすぐに判明した。
鼠だ! 鼠の大群がこちらを凝視している!
都市が無人と化してから幾星霜。遺された食料を喰らい尽くし、増えに増えた鼠算。
市街から溢れ出した暴食が濁流となって襲いかかってきた!
ジン・マキハラ
凄まじい数の鼠だな一体何匹いるのやら
......だがこのダークセイヴァーでこの程度の脅威、ものの数ではないな。
だが鼠がばら撒く病原菌も気になる。俺はサイボーグだから病気や毒に耐性があるが他の猟兵がどうなのかはわからんしな。念の為に全て焼き払うとしよう
UCを発動し、蒼炎の濁流をそのまま鼠の濁流へとぶつけて焼き殺していく。
巣穴などに逃げ込んだ鼠も蒼炎を操作して巣穴に炎を送り込み焼き殺すか窒息させて駆除する
この程度では足止めにもならんさ。さぁ、先へ行くとしよう
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
…飢えた鼠の濁流か!
これほどまでに厄介なものはないぞ!
俺らが餌にならないうちに抜けなければ!
鼠に限らず、生物は火に弱いはず
松明に火をつけ鼠たちに翳し牽制している間に
指定UC発動し高速移動可能に
ここで耐久戦をやっても俺らが食われるのが先
ならば強引に道を開けて一気に駆け抜けよう
前方の鼠たちを黒剣を横に薙いで発生させた「衝撃波」で一気に「吹き飛ばし」道を開け
背後から迫る鼠には松明を投げつけ足止めだ
まとめて火に巻かれてくれれば僥倖だが…うまくいくか
背後の濁流が止まったら「ダッシュ、地形の利用」+UC効果の高速移動で一気に走り抜け月光城へ向かおう
…しかし、なぜここは廃墟に?
●立ち向かう
「凄まじい数だな、一体何匹いるのやら。だがこの程度で足を止める俺達じゃあない」
「侮るな、これほどまでに厄介なものはないぞ! 俺らが餌にならないうちに抜けなければ!」
ジン・マキハラ(ブレイズ・オブ・マキナ・f36251)と館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)、二人の間に隔たる緊張感の差はお互いの過去に起因するものだろう。
ジンに過去の記憶はない。憶えている限り彼は最初から猟兵で、苦戦する相手といえば専らオブリビオンだった。そんな彼であるから、いくら数が多かろうと小動物は警戒に値しない。
対して敬輔は只人だった頃がある。時に何でもないはずの物さえ命を脅かしうる、この世界で人類は弱者だった。そんな彼であるから、相手が小動物であるからこそ警戒に値する。
敬輔の言い分は正しかった。
「終焉炎獄式永久機関、起動。罪深き者よ、蒼き焔に焼かれ、鎮魂の歌を奏でるべし」
ジンの胸部に埋め込まれた永久機関。そこから放出された蒼い炎は激しく燃えあがり、竜の息吹もかくやと鼠共を迎え撃つ。そのまま横に広がり二人の周囲を囲み、四方八方から迫る濁流を防ぐ障壁となった。
炎の壁に鼠が飛び込み、短い悲鳴と共に鼠だった物と化す。後は瓦解した群れを追撃するだけ、ジンはそう思っていたのだが。
「こいつら、逃げ出す素振りがないな?」
次々と仲間が焼死しているにも関わらず、鼠達は後から後からやってくる。死体が積み上がり、それを他の鼠が乗り越えた先でまた焼けて、さらに死体の山が大きくなる。その繰り返しの果てに、じわじわと炎の戦線が押され始めたではないか。
「……そうか、自分達でも止まれないのか!」
よく見れば炎の前の鼠は確かに怯んでいる。だが後ろの仲間に押し出され、望まぬ投身自殺を強いられているのだ。
まるでレミングの伝説だ。極まった技能はユーベルコードに匹敵するが、まさかただの鼠が物量のみで猟兵を脅かすなど!
「く、今から収束している時間はないか」
やはりという思いと同時に、助かったとも思う敬輔。
ジンの猛火でさえ押されているこの状況、自分だけなら時間稼ぎができたかも怪しい。これから行うことは大きな隙が生まれるのだ。
「喰らった魂を、力に替えて……はあっ!」
腰から引き抜いた黒剣を構え、裂帛の気合を入れる。すると剣から――常人には見えないだろうが――妖しげなオーラが立ち昇り、たちまち敬輔の全身に纏わりついたではないか。
喰らった魂と同調し己を強化する。心身ともに負担の激しい魔技を制御するには精神の統一を要した。僅かにふらつくも耐えて首を振り、前を見据える。
蒼い炎の壁と、その向こうで圧を増し続ける暴食。活路を開くには高威力の一撃が必要だ。弱い攻撃では何度放とうとすぐに塞がってしまうだろう。
横、いや縦。剣を正眼に構えて大上段に振りかぶり、溜めて溜めて溜めて――振り下ろす!
放たれた極大の衝撃波は真っ直ぐに、どこまでもどこまでも伸びてゆき。さながらモーセのごとく、鼠の海を割ったのだった。
「こっちだ、今のうちに!」
「もう追ってこないか、全く酷い目にあった」
「……ああ、そうだな」
あれから走ること幾ばくか。余裕の戻ってきた敬輔だったが、対するジンの反応は鈍かった。かと思えば彼は突然、先ほどまでの場所に戻ろうとするではないか。
「おい、なぜ戻る?」
当然の疑問を投げかける敬輔に対し、ジンは一瞬立ち止まって答える。
「認めよう、あれはれっきとした脅威だ。だからこそ野放しにはしておけん」
病原菌も気になるしな、と続けるジンの言葉に敬輔はハッとさせられた。
そう、敬輔は正しく、そしてジンもまた正しい。
猟兵は止まらないのだ。止まらず真っ直ぐに未来へと進む。道を塞ぐ脅威があれば、避けるのではなく立ち向かう。
敬輔は一つ頷き、仲間の背を追いかけていった――。
この先どんな絶望が待ち受けていようと、彼らは必ず立ち向かう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK
攻め落とされた月光城…
それに、荒れた土地と、
そこを支配する者たち、だね
ネズミさんは、どこでも逞しく生きてて、凶暴だね
かわいそうだけど、眠ってもらうの
次に起きれるかはわからないけど、ごめんね?
走ってくるネズミさんに、狼の遠吠えで牽制
その隙に【結界術】で周辺を囲むね
そしたら【高速詠唱】でUCを発動なの
結界の外側に円状に隙間なく並べて、オペレーションスタート。
周囲から熱を急激に奪って、ネズミさんたちが動けなくなる温度まで凍らせるね
奪った熱は結界内に還元して、そこの気温を保たせてこっちには被害が無いようにするね
結界と円陣を維持したまま、月光城を目指すよ
●生きるために
「ネズミさんは、どこでも逞しく生きてて、凶暴だね」
初めに囲まれた時には既に、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は二人と分断されてしまっていた。視界の端に映る蒼い光を他所に、ロランは大きく息を吸い込む。
そうして喉から吐き出されたのは狼の遠吠え。ここにいるのは恐ろしい捕食者だと、そう知らしめる声が月下に響き渡る。
長きに渡る天下でも本能は残っていたか、襲いくる群れの勢いがわずかに鈍った。ロランはその隙を逃さず、吠えながらも並列思考で結界術を励起する。
ひとまず時間は稼げた。結界の向こうで鼠達が騒いでいる。
ふと、その姿が痩せこけているのに気付いたロランは複雑な気持ちになる。
彼らも必死なのだ。この地の支配者と言えば聞こえはいいが、荒れた土地では食料も碌に育たないだろう。おまけにここは地下都市だ、閉じた世界で増え過ぎれば共倒れは時間の問題だった。
「かわいそうだけど……ごめんね?」
だが、だからといって大人しく喰われてやる訳にもいかない。憐憫の言葉を最後にロランは意識を切り替える。
途端、少年の口から抑揚のない呟きが零れた。
「エントロピー移動術式、展開。リアライズ完了。分離、解放。オペレーション、スタート」
脳内の器官が結界の外に魔術を結ぶ。奇しくもサイボーグの猟兵と同じ蒼い炎、しかし性質は真逆のものだ。
炎に触れた鼠がたちまち凍り付く。どころか炎は後ろの鼠達へも襲いかかり、加速度的に勢いを増していくではないか。
濁流を止めるには生半可な冷気では力不足。全てが終わった後に残るは無数の氷像と、気絶した生き残りが僅かばかり。
結末を見届けたロランは悲しそうに目を伏せ、月が照らす道を歩き出したのだった。
救いがあるとすれば、戻ってきた二人が生き残りに気付かず、種の命脈だけは保たれたことだろうか――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『シュッテロッテ・ドランケルハイト』
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POW : 星蝕竜~シュッテロッテ~
自身の【背負う十字架】を捨て【敵対者を磔にし、自身の封印を解き星蝕竜】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。
SPD : 夜光花嵐舞~セストラム・ノクターン~
自身の装備武器を無数の【星の魔力を宿した夜光花】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 星籠~シュテルン・ゲフェングニス~
レベルm半径内に【光を侵蝕する闇】を放ち、命中した敵から【光と魔力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
👑11
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●堕ちた主
鼠の襲撃を突破して猟兵達は城下町へと辿り着いた。
ここは旧市街地といったところだろうか。至る所がボロボロで、激しい戦闘があったことが伺える。
さて、何か手がかりが見つかるといいのだが。そう思いながら調査を始めようとした矢先のことだ。ふと違和感を覚え、やがて気付く。
静かすぎる。
先の鼠の大群はまず間違いなくここが発生源のはずだ。あれだけ増えていた鼠が、いくら食料は食い尽くしただろうとはいえ、一匹も姿を見せないのは不自然だ。
「見つけた、アデリーナアアアアア!!」
理由など決まっている。動物が逃げ出すのはいつだって『死』から逃れるためだ。
大声の元は空から降ってきた。凄まじい衝撃と共に土煙が舞い上がる。
土煙が晴れた先に現れたのは、角と尾を持つ紫の少女。しかし先の声に込められた怨嗟は、そして濁りきった瞳は、決してただの少女の物ではない。
「死ね、殺す、アデリーナ! ああ月よ、月よ!」
目敏い者は星型のランタン内で蠢く紋章に気付いただろう。『月の眼の紋章』を持つ者といえば月光城の主に他ならない。オブリビオンとして蘇ったのだ。
紋章に大した力は残っていないようだが油断は禁物だ。元々の戦闘能力は変わりなく、何より明らかに正気を失っている相手はどちらかが死ぬまで止まりそうにない!
吠える吸血鬼の頭上で、月が銀色に輝いていた。
ジン・マキハラ
全く随分な荒れ狂い様だな。このまま自滅してくれれば幸いだがそう都合のいい事もないだろうし、あの勢いじゃ第四層まで到達しかねん。余計な犠牲は出る前にここで仕留めるとしよう
最初から加減は抜きだ。速やかに殲滅するレイジングストームで急所を重点的に狙い撃つ。まぁ効きはしても足止めにもならないか。なら更に強力な一発をお見舞いするとしようか
UCを使用してパイルバンカーを右腕に装着。シュッテロッテの攻撃を功夫で裁き心臓に狙いを定め杭を放つ
吸血鬼ならこの一撃は効くだろう!そのまま大人しく灰に帰るがいい!
アリステル・ブルー(サポート)
この状況、さてどうしたもんかな
僕は、周囲をよく見て状況を判断して行動するよ
もし保護が必要な人や死守しなくてはいけないものがあるならそれを優先的に守るよ
他の人がやってくれるなら僕は戦闘かな!
基本的に黒剣を細身の剣にして戦うけど状況に合わせるよ
戦闘でも味方の支援でも僕にまかせて!
UCは攻撃/回復問わずその場で一番有効そうなものを使うね
状況の好転等有益だと判断すれば多少の怪我は厭わず積極的に行動するよ
もしも連携してくれる猟兵さんがいたり味方が指示を出してくれるなら、僕はそれが有益である限り従います
(記載に関わらず、不足している役割等MS様のご都合に合わせてご自由に利用してください)
シン・クレスケンス(サポート)
「大抵のことはこなせますので、何でもお申し付けください」
◆人物像
・落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
・窮地でも動じず冷静に戦況を判断し切り抜ける。
◆猟兵になる以前の経歴から調査、情報操作、諜報が得意。
◆戦闘
【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾等の詠唱銃による攻撃や、魔術による攻撃を得意としている。
◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている。
こちらも追跡が得意(魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は牙や爪で攻撃。
◆口調
・シン
僕/相手はさん付け(使役は呼び捨て)
~です、~ます、~ですか?等丁寧で穏やかな話し方。
・ツキ
俺/お前、呼び捨て。
~だぜ、~だろ、~じゃないか?等男性的な話し方。
●食らいつく
星のランタン内にある月の眼の紋章、そこから飛び出す棘鞭。生き物のように変幻自在にうねる殺意を、ジン・マキハラ(ブレイズ・オブ・マキナ・f36251)は次々と功夫で捌いていく。
「全く、随分な荒れ狂いようだな。このまま自滅でもしてくれれば幸いなのだが」
軽口とは裏腹にその拳は真剣だ。そもそも本当に待つつもりなどない。万が一にでも上層へ出てくるようなことになれば、その被害は計り知れないのだから。
続く攻防の中で響く発砲音。終焉炎獄式を冠する内蔵銃は白兵戦でも己の役割を存分に果たしている。
不意打ちはしかし石の十字架で受け止められ、それを見たジンは決断した。
「加減は抜きだ、更に強力な一発をお見舞いしてやろう」
だが、早々に切り札を切ったのは敵も同じだったのだ。
十字架を投げ捨てた吸血鬼、その姿がにわかに膨れ上がる。少女の面影はたちまち消え失せ、次第に巨体を成していくではないか。
「これは……っ、しまった!?」
そしてその様子に目を奪われていたジンは、捨てられた十字架から伸びた茨に絡めとられてしまう!
自身を囮として敵対者の隙を突く。正気を失っても吸血鬼の悪辣さは健在だったか。
動けない猟兵を引き裂こうと巨竜が爪を振りかぶった――。
――その横っ腹へ銃弾が降り注ぐ!
堪らず唸りをあげた竜が顎を向けたその先には、白銀の拳銃を構えたシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)が立っていた。
「姿が変わってもベースは吸血鬼のまま、やはり銀が効果的のようですね」
相手が変化したのは竜の姿だった。時にあらゆる属性に耐性を持つとされる竜だが、目の前の相手の本質は吸血鬼という魔性のまま。仮説が実証されたことに頷くシン。
そしてどうやらもう一つの仮説も正しいらしい。正気を失っているならば高度な判断はできまいと、そう考えての攪乱は成功だ。敵は磔の獲物を放り出し、シン一人に狙いを定めたではないか。
「鬼ごっこと行きましょう。ここは元住宅地で入り組んでいる、こちらが有利です」
『いいのかよ。あまり血の匂いがしない、見た目ほど効いちゃいないぞ』
闇色狼のUDC、ツキの言葉に青年はクスリと笑みを零した。チラリと一瞬だけ十字架の方へ目を向ける。
「大丈夫ですよ。相手と違い、僕達は一人ではありませんから」
シンが竜を引き連れて距離を取った直後のこと。
負傷覚悟で己もろとも焼くしかないか。ジンがその考えを実行するより先に後ろから声がかけられた。
「大丈夫かな? ここは僕に任せて!」
振り向けなかったが仲間の声であることはすぐに分かった。後ほど知ることになるが、アリステル・ブルー(果てなき青を望む・f27826)である。
「ほっ、とっ。結構固いな、それっ!」
細長い黒剣を器用に操り、茨の隙間に差し込んで少しずつ切れ目を入れていく。時に茨を掴んででも固定したこともあり、拘束が解かれるのに時間はそれほど要さなかった。
「すまん、助かった」
「いいってことさ。代わりに頼みたいこともあるしね」
ウインクするアリステル。この後の作戦をジンに伝え、準備運動で体をほぐす。
「さあ、ここからは反撃の時間だ」
「はっはっは! 仲間の力も借りての、復讐劇ってね!」
上から聞こえてきた笑い声に竜が、追われていたシンが顔を向ける。そこには月を背に空を駆けるアリステルの姿があった。
重力を味方に重い突きを繰り出すアリステル。迎撃せんと振るわれた尾は、直前で方向転換した彼を捉えられず宙を薙ぐだけに終わる。
アリステルは地に降りない。竜の目と鼻の先で踊るように跳ね回り、噛みつきを避け、ブレスを牽制し、隙あらば護りの弱い眼球を狙う。
その戦い方は確かに敵にとっては非常に鬱陶しいだろう。だが有効打になるかというと疑問が残る。彼はただの嫌がらせでこのようなことをしているのだろうか?
――もちろん否だ。これが現状の最適解、そう信じてアリステルはここにいる。仲間を支えることが皆の幸せに繋がると彼は知っている。
支えられることがどれだけ力になるか、彼自身が知っている。
その足音を聞いて、シンは頭上の彼が囮を引き受けたのだと理解した。
竜の巨体。頑強な鱗。吸血鬼の再生力。これらをぶち抜いて打撃を与えるにはそれ相応の大技が必要だと、その手段が用意されたのだと音の方を見て悟る。
なら、自分もその力になろうではないか。
「神を捕らえし鎖よ、我が名において今一度顕現し彼の者を捕らえよ」
その魔術が記されているのはとある古書。無銘なれど、『無銘』を銘としてもおかしくないほどの異様な書。白銀の鎖が竜の体を縛り上げる。白銀の枷が尾を首を地面へと縫い付ける。
ああ、十字架を投げ捨てし罪人よ。例え神であろうと何人たりとも罰を逃れること叶わず。首を垂れ受け入れよ。
処刑の時だ。
「喰らい、貫け、罪狩りの蒼牙」
右腕の武装へ蒼き炎が詰め込まれる。限界など知ったことかと永久機関が吠え猛る。
身体に回るのは最低限。足りない分は気力で補う、炉心にも負けない熱い心。
駆け抜け、肉薄し、突き出されるは鋼の大杭。正式名称パイルバンカー、誰が呼んだかデッドエンド。
心臓を――そしてその周辺を消し飛ばされた竜は灰となり崩れ落ちる。跡から這い出た紫の少女は一見無事なようで、されど尾も角も完全に失っていた。
竜殺し、成る。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
この少女が月光城の主か…妙だな
アデリーナ…誰の事だ?
この少女を1度殺したオブリビオンのことか?
…倒してから考えるしかなさそうか
時間をかけていられる状況ではない
指定UC発動、分身を5体生成
俺へのダメージが最大6倍に増える諸刃の刃だが、速攻優先だ
分身たちと連携
全員「第六感、見切り」でタイミングを計りながら「2回攻撃、属性攻撃(炎)、衝撃波、なぎ払い」で波状攻撃
絶え間ない炎の衝撃波の嵐で
夜光花だけでなく紋章から飛び出す棘鞭も全て焼き尽くしてやる
凌いだら「ダッシュ、地形の利用」で肉薄し
「串刺し、怪力、鎧砕き」で黒剣で一息に肉体を貫いてやる
…さて、鬼が出るか蛇が出るか
白石・明日香
見事なまでに正気を失っているな・・・ならそこに付け入るさ。
廃墟の陰に隠れて敵の挙動を観察して情報収集。それを戦闘における知識にして敵の動きを見切り先読みして味方の動きに隠れて2回攻撃、鎧無視攻撃、鎧砕き、怪力の一矢でうち貫く!
さてと、鬼が出るか蛇が出るかな?
ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ
知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね
防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー
そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです
ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK
竜人?
この人が敗れた城主?
それにしても、すごい禍々しい叫び…
気をしっかり持たないと、こっちも引っ張られそうなの
桃の香りがぼくを【落ち着け】てくれるの
まずは、被害を抑えることから
多重詠唱で【結界術】を張り巡らせて、仲間の攻撃チャンスを作る事に集中なの
紋章の蔦は特に危険だから、砕かれるの覚悟で結界を張るね
狼の遠吠えも交えて、こっちに気を引くの
みんなを援護しつつ、決定打を撃ち込む隙を伺うの
増えるターゲットを一人に束ねて…
防御しながら【魔力を溜め】て…
そこ!UC発動なの
【誘導弾】の様な槍の軌道、避けられる?
もう、あなたの戦いは終わったんだから…、
眠っていいんだよ?
●諦めない
「おのれアデリーナ、よくもよくもよくも!」
竜の力を喪いますます激昂する狂した主。彼女が度々口にする人名らしき単語は、館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)の思考に波紋を立てる一石だった。
「アデリーナ……誰のことだ? それが貴様を殺した外敵なのか?」
攻め落とされた月光城、その主が執着する対象といえばまずは件の『外敵』が思い浮かぶ。だが先ほどからの反応を見るに、相手はただ一人だけを意識しているではないか。まさか外敵とやらは個人でこの地を滅ぼしたとでもいうつもりか。
返答は棘鞭でもって行われる。やはり意志疎通は出来ないか。まあ仮に出来たとして、素直に答えはしないだろうが。
「倒してから考えるしかなさそうか」
月の眼の紋章。完全ならば戦闘力を66倍にするというそれは、吸血鬼が持つ紋章の中でも一等危険なものだ。
だが、そちらにばかり目が行くが、飛び出す茨の鞭も決して侮って良いものではない。仲間を庇わんと貼った結界に加えられる衝撃の強さに改めて脅威を認識しつつ、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は密かに思う。
なんと禍々しい叫びだろう。狂気に堕ちたというだけでは説明がつかない地獄のような悪意は、吸血鬼という種が元々備えている物なのだろうか。この世界はそんなにも救いが無いとでもいうのだろうか。
気をしっかり持たなければこちらまで引きずり込まれてしまいそうだ。このままではまずいと判断したロランは、自らの内に染み込んだ狂気を排除すべく大きく息を吐いた。
そのまま深呼吸。サシェから香る桃が送り主を想起させ、心を落ち着かせる。狂気を駆逐した胸に代わりに湧きあがるのは勇気。人が人であるために、この世界を真に人の手で掴むために、この戦いは避けては通れない。
さあ、戦いは始まったばかりだ。結界を貼り重ね補強しよう。遠吠えで注意を引き付けよう。
当てもなく彷徨う哀れな死者を、今こそ眠りにつかせてやろう――。
月光城の主と仲間達の戦いを、廃墟の陰から密かに伺う者がいた。彼女の名前は白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)、ダンピールだ。その髪は月の光を浴びて殊更に輝いている。
「すまんな、今は相手を頼むぜ。付け入る隙は見逃さないからよ」
明日香の戦闘スタイルは隠密からの暗殺だ。ここぞというタイミングで放たれる逆十字の光矢は戦場に決定的瞬間をもたらし得る。
だからこそ、それを最大限活かすために今は雌伏の時であった。心苦しいが仲間を信じて潜み続ける。
「あれはもう竜にはなれんな、十字架もどっか行った。残る攻撃手段は何だ?」
今の所、敵はランタンから飛び出す棘鞭を多用している。しかしあれは元々紋章の力だったはずだ。本来の戦闘能力が竜化だけというのは考えづらく、残る力の把握は急務だった。
そして、戦場が動く。
「ああ、あああ、あああああ! 月よ月よ月よ――夜に陰れ!!」
高まった狂気そのものであるかのように、ランタンから黒い靄が溢れ出した。靄は瞬く間に周囲を満たし月光を遮り、戦場が闇に閉ざされる。
そこに存在するのは星のごとく小さな光だけで、そしてその正体は光る花びら、つまりは敵の攻撃。吸血鬼の殺戮領域だった。
「私達、闇を祓うのは得意なのですよ」
だが、ここにはミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)がいた!
聖者が持つ生まれながらの光は闇の浸蝕を押し返し、人の生存領域を確保する。敬輔の、ロランの、そして無差別ゆえに余波を食らっていた明日香の視界が回復する。
ただ生きてそこにいるだけで人々を救う、そう謳われる聖者の本領発揮だった。
――と、その瞬間。
ぞわり、強烈な殺気にミスティの背筋が泡立った。光の向こうでこちらを凝視する吸血鬼と目が合う。こちらを――『オラトリオの聖者』を見ている。
「ひっ!?」
「お前、アデリーナじゃない? ……でも同じ、殺す!!」
その時、相手は確かにミスティという個人を認識していた。妄執を振り切るほどの拒絶は何が理由だったのだろうか。
あるいは人が吸血鬼に抗うことは、かつてはそれだけ大事だったのかもしれない。それを成し遂げた人々はどれだけ偉大だったのだろう、どれだけ苦労したのだろう。
そして彼らが今の世界を見たら、どれだけ無念であるだろうか。
怖い、今すぐ逃げないと殺される。生物として当然の本能に翻弄され、けれどオラトリオの少女はぎゅっと手を握って耐える。
みんなの居場所を守る。それは間違いなく命を賭ける価値のあるものだから。
星の魔力が結界を切り裂き、聖者へと迫る。
「させるものか」
結果として、ミスティを狙う花びらは一枚たりとも彼女に届くことはなかった。炎の斬撃が近づく端から焼き払っているのだ。ミスティの周囲を六つの人影が囲む。
それは一部を除いてほぼ同じ姿をしていた。右腕が、左腕が、右足が、左足が、そして左目がそれぞれ白化している彼らは、そこ以外は最後の一人と瓜二つ。
正体は、敬輔とその分身である。
「彼の道人の力、今は共に立つ仲間を守り抜くために」
記憶に新しい戦禍、その最中に起きた事件。一度は同化してしまった渾沌の諸相は皮肉にも彼に新たな能力を与えていた。オブリビオンの根源にも近しい力、何も思わないと言えば嘘になる。
だが、それが何だというのか。力は力だ、未定義<undefined>だというのなら己の意思でもってあるべき形<未来>を決めるまで。
分身を護衛として残し、本人は敵へと駆けていく。
過去の亡霊へと引導を渡すために。
迫る死を迎撃する棘鞭は、何度斬り飛ばされようとしつこく魔の手を伸ばそうとする。だがそれもここで終わりだった。
「――」
吸血鬼には聞き取れなかった呟きが、砕かれた結界を纏め上げる。それは逆襲の一手、不利であればあるほど威力を増す破邪の槍衾。
目標、月光城の主、その右手、星のランタン内――月の眼の紋章! 精緻な誘導で収束した穂先がただ一点を貫く!
「さようなら……おやすみなさい」
窮したか、敵が最後に頼ったのはただの瓦礫だった。抱えるほどの石片を掴み闇雲に振り回す。
「まだ終わりじゃない! アデリーナ、お前だけはこの手で!」
なるほど剣への対策としては意外と有効かもしれない。刃筋が立たなければどんな名剣も鈍らと同じだ。
けれども吸血鬼は知らない。結局最後まで気付くことはなかった。この戦場にいるのは――三人だけじゃない。
「いいや、これで終わりだぜ」
時は来た。伸るか反るか、戦場の趨勢に明日香が介入する。
ガーンディーヴァ、限界まで引かれた神弓が解放される。山なりに放たれた光矢は頂点に達すると二つに分裂し、そのまま敵へと襲いかかる。さながら二筋の流星のごとく――逆十字が吸血鬼の両手を貫いた!
そうして、抗う術を全て失った吸血鬼は。
心臓を串刺しにされ、今度こそ命数を使い切ったのだった。
「やったのです、お疲れ様なのですよ!」
「本当に疲れたの。帰ったらゆっくり休みたいの」
倒した。月光城の主を、紋章が不完全だったとはいえ超えてみせた。無邪気に喜ぶミスティと、それに応えるロラン。
だが本来の目的はまだ達成されていない。この地に何が起きたのか調査するというのがそもそもの始まりだった。
とはいえ、少しの間休憩するくらいはいいだろう。二人はそう思っていたが、そこで他の仲間達が難しい顔をしていることに気付く。
「月光城の主はオブリビオンとして蘇った……」
「……蘇ったのは本当にそれだけなのだろうか?」
明日香の呟きに敬輔の疑問が重なる。何となく嫌な予感がする。
けれどやることは変わらないのだ、とにかく調査の結果次第。そう結論付けた二人の言葉が重なった瞬間のことだった。
『さて、鬼が出るか蛇が出るか』
そして、絶望が始まる。
成功
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第3章 ボス戦
『聖剣のアデリーナ』
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POW : 疾風怒濤・緋燕十字斬
敵を【聖剣「導きの極光」による超連撃】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
SPD : 内臓攻撃
【一瞬で間合いを詰めてからの腸を抉る一撃】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 極光放射
【聖剣「導きの極光」から全てを切る光刃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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●月のけだもの
狂乱の主を沈黙させた猟兵達。だがそこへ突然、不気味な音が響き渡った。
ピシリ、ピシリ、ピシピシピシ。
何かが裂けるような音。それと同時に、取り返しのつかないことが起きたような悪寒に襲われる。
辺りを見回し音の発生源を見つけた時には手遅れだった。いや、最初から分かっていたとしても果たして何ができただろうか。
まるで羽化する蛹のように、吸血鬼の骸が大きく割れてその中から――。
月。
その場に居た全員が、月が地上に現れたと錯覚した。それほどまでにその存在は煌々と輝いていた。
今も頭上から降り注ぐ物と同質の、銀色の光。しかしそれに包まれし存在の姿は、目が慣れてきた猟兵達に少なからず衝撃を与える。
一言で言えば女剣士。ただし、全身から腕が無数に生えている。ああ、なんと悍ましい姿だろうか。
分からないことだらけだった。なぜ吸血鬼の中から出てきたのか、なぜ月の光を纏っているのか、なぜ異形の腕が生えているのか。
だがこれだけは確信できる。彼女がこの地下都市を攻め落とした外敵に違いない。
なぜなら放たれる威圧感が伝えてくるからだ。かつて月の眼の紋章、66倍の戦闘力を退けたほどの圧倒的な暴威を!
絶望、絶望、絶望。けれど足を止めることは認められない。生きることを諦めない。
立ち向かい、食らいつき、百に一つの勝利を掴め。さもなくば未来はない!
陰ることなき月光が全てを滅ぼす――!
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
…どういう、ことだ!?
外敵が、月光城の主に擬態していたのか?
それとも…?
いや、今考えている余裕はない
この暴威を、月光を退けねば…未来はない!
内臓攻撃には前兆がありそうだな
おそらく、間合いを詰める直前に一瞬だけ姿が消えるだろう
その刹那を「視力」で「見切り」、「残像」を生み出しながらバックダッシュして腸を抉る一撃を空ぶらせよう
さらに「属性攻撃(闇)、目潰し、衝撃波」で闇の衝撃波を放って目を潰し、距離感を狂わせてやる
それでも至近距離に迫られたら
腹に漆黒の「オーラ防御」を濃密に展開した上で
歯を食いしばり「激痛耐性」で痛みに耐えるしかないか
内臓攻撃が空ぶろうが喰らおうが
アデリーナの注目が俺だけに向いたら占めたもの
指定UCで分身を5体、アデリーナの背後に召喚
分身には「2回攻撃、怪力、鎧砕き」で片っ端から無数の腕を叩き斬らせよう
俺自身は真正面から剣を持つ腕を斬り飛ばす…振りをして
聖剣を黒剣で絡め取り「武器落とし」だ
引導を渡すのは
俺じゃなく縁を持つ者だ
止めは素直に譲るよ
大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
単純戦闘の場合
強力な一撃を叩き出せそうなUCか、形勢逆転が狙えそうなUCを
味方や護衛・救助対象への援護や支援が必要な場合
味方や護衛・救助対象へのサポートとなるようなUCを
戦闘のみ
所持している武器・アイテムを効果的に使い戦局を有利にするよう行動(所持アイテム等を駆使し攪乱や敵の隙をつくる等)
救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密に
常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
地形の利用
世界知識
咄嗟の一撃
情報収集
早業
護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳
C-BA使用
運転
操縦
運搬
騎乗
和田町・いずみ(サポート)
電脳魔術士×魔女です。
大人しい18歳の女性で、何かに熱中すると猪突猛進します。
天然クールで少々ポンコツです。
基本的口調は一人称は私、相手に対しては~さん付け、です、ます、でしょう、でしょうか?と穏やかで丁寧な話し方。
電脳魔術でハッキングするのが得意。
趣味は鉄道が好きな乗り鉄です。
アドリブ・連携は大歓迎。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
白石・明日香
ああ、むせる程の血の匂い。えづくじゃないか!!
無数の腕の挙動を警戒しながら捕まらないように残像で撹乱しながらダッシュで接近。腕の軌道と剣閃を見切って躱し武器受けでいなして受け切れないのはオーラ防御、激痛耐性で耐え間合いに入り込み怪力、属性攻撃(炎)、2回攻撃、鎧無視攻撃で叩き切る!
理想を抱いて溺死するくらいは英雄の権利だろうさ・・・・見なよこの聖剣を。
彼女を導いた寄る辺、目の前にたらされた導きの欺瞞の糸さ。オレはごめんだがね・・・
ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK
月が出てきて、人が生まれる?
それに、この光は…月光?
※満月の如き光と魔力を受けて人狼病が活性化し始める
ぐ、うぅ…、だめ、きみには、任せない…
桃の精さん、ぼくを、少しの間、音狼の狂気から守って?【狂気耐性】
🔴を使って、狼の形をした月光のオーラを纏う真の姿に
一度冷静に、なの
みんなの戦う様子を見て、相手UCの【情報収集】なの
相手が放つ月光に含まれる魔力を【結界術】で吸収しながら、じっと待つよ
一瞬でいい、決定的な隙が作れれば、みんなと一緒なら勝ち目があるの
ここ!
ぼくの【全力魔術】、UC発動
届け、ぼくの咆哮!
相手の力を浸食し、変化させる満月の魔力を乗せた声を!
ラウラ・クラリモンド
「吸血鬼の内部に潜んでいた存在ですか。」「考えることは他の方にお任せして、私は戦闘に集中しましょう。」
【POW】で攻撃します。
攻撃は、【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【貫通攻撃】と【鎧無視攻撃】の【悪夢の聖夜】で、『聖剣のアデリーナ』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【野生の勘】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「私の役目は、少しでもダメージを与える事。そして、とどめはあなたと縁のある方の役目です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
●世を照らすは人の意志
外敵。全盛期だった月光城の主さえ殺した者。月のけだもの。
彼我の差さえ測りきれない絶対的な相手を前に、それでも彼らは前を向き恐るべき光を直視する。
いつの日か世界の夜明けを迎えるために。
咄嗟に地を蹴ろうとした足が異形の腕に掴まれる。
掴まれた館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)が驚愕に目を見開いた時には既に、輝く聖剣が彼の腹部を抉り飛ばしていた。
「館野さんっ!?」
一瞬のことだった。注意を怠ったはずもないが、それでも僅かな猶予があったかすら怪しかった。せめて追撃はさせないと、和田町・いずみ(人間の電脳魔術士・f07456)は即座にバトルキャラクターズを発動して敵にけしかける。
四方八方十六方。世界をハッキングする電脳魔術によって、次から次へと虚空から現れるゲームキャラクター達。彼らはさながら郊外で遭遇した鼠達のように、一つの濁流となって敵に挑みかかっていく。
彼らのレベルは初期値、すなわち1のままだ。合体はさせない。一極集中させても相手からすれば大差はないのだと、先の攻防で分かってしまったから。ならばせめて、物量でもって肉壁として時間を稼いでもらうしかない。
敵が剣を振るう度に被害が出る。溶けるように味方の数が減っていく。馴染みのゲーム機を触媒に召喚したキャラクター達を、本来ならもっと活躍させてやりたかったといずみは思う。
全身を鎧で包んだ大男。耳の長い斥候の少女。どこか知り合いに似た魔法使い。他にも数々の英雄達。彼らは彼らの人生を全力で生きていた。物語の主役だった。現実という舞台でもその輝きを存分に発揮して欲しかった。
けれどこれは、いずみの人生だから。いずみのために、いずみの意志で紡がれる物語だから。
だから彼らはここに立つ。いずみの物語を終わらせないために、脇役に徹してでも、最後の瞬間まで力を貸し役目を果たす。
すなわち、いずみが仲間を救助する間の時間稼ぎと、その様子を敵の視界から隠すことをである。
人数が減るほど形勢は加速度的に不利になる。それを支えたのが大神・零児(魂から別れたもう一人の令二・f01283)だ。
その手に握るのは剣の形をした水晶。異形のオブリビオン、ドクター・オロチと縁ある水晶剣を振るい零児は空間を斬り裂く。
人型にくりぬかれた次元は『門』だ。遠くシルバーレインの世界よりクルースニクの英霊達が召喚に応じ馳せ参じる。
それはもしかしたら本物ではないのかもしれない。零児が体験したのは大生守・令二の記憶から再現された擬似世界であって、オリジナルと全く同一の展開を辿ったとは限らない。
けれど、あの戦争が虚構でも。夜が明ければ霞み消える悪い夢の中だったとしても、そこで育んだ絆は確かに零児の中に残っている。
だから彼らはここに来た。令二ではなく零児の戦友として、今度こそ友を守り抜くために。
ああ、人狼達よ。同胞のために戦い散っていった戦士達よ。
『無念を晴らせ!』
鬨の声を上げて戦士団が加勢する。剣が、槍が、弓が、銃が、たった一人の敵に対して向けられる。
敵の聖剣が光を増す。放出された極光は刃の形を成し、遥か彼方までを一息に薙ぎ払わんとする。
あれは駄目だ、範囲が広すぎる――零児の脳裏に最悪の想像がよぎる。あの光刃が全周に振るわれれば、今直接対峙している者も後方に下がっている者も等しく全滅だ。
――そこへ人狼戦士達が飛び込む。数人がかりでの捨て身の特攻、今まさに振るわれる光刃の下に潜り込み、その軌道を跳ね上げる。
稼いだ猶予の代償は高く、極光の余波で致命傷を負った戦士達。だがその表情は晴れやかで、消えゆく彼らは零児の方を向いて口を開く。
勝てよ、と。音はなかったが、声は確かに届いていた。
――その直後、戦場に少年の咆哮が響く。
時間を少しだけ遡る。
眼前で新たに現れた敵、その存在が放つ月光のせいでロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は心身に重大な変調をきたしていた。
人狼病。ダークセイヴァーを蝕む闇の一つだ。獣の耳と尻尾が生え、満月に心を支配される。
幸いにもロランは猟兵だ。魔術への造詣が深いことも相まって、影響は一般人よりは出にくい。現に今夜は満月だが、いくらか気分が悪くなる程度で済んでいた。
だがこの状況は話が別である。頭上と地上、二つの月に照らされる状況など想定していない。脳をかき回されるような悪寒に耐えつつも何とか後方へと下がったのだった。
魔術を使うだけの気力を残せたのは僥倖だった。戦場の月光を吸収するロランの結界がなければ、仲間の人狼も万全ではいられなかっただろう。
ただし、ロラン自身は結界の恩恵を受けられない。この結界は吸収した月光の魔力を主に還元するからだ。月光の影響を遮るどころか、むしろさらに追い詰める物と言える。
内なる狂気が膨れ上がる。狼の遠吠え――幻聴が聞こえる。獣人を通り越して完全な獣へと肉体が変異していく。
けれど。
「ぐ、うぅ……だめ、きみには、任せない……!」
精神力で抑えつける。桃の精の力も借りているが、根本は少年自身の覚悟。病の進行を早めてでも、死に向かってでも生を得る。それは忌まわしい月への宣言でもあった。
心は渡さない、力だけ寄こせ。
やがてその場にいたのは一匹の狼。月光を纏いし其は月のけだものにあらず。彼の名はロラン・ヒュッテンブレナー、世界の解放を願う一人の人間である。
『うぉぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉん!』
乱戦中の敵へ人の意志を乗せた咆哮が届く。意志の力が両者の差を埋め、月光と月光が衝突する。
光刃が、消える。
初めての有効打。好機を逃すまいとラウラ・クラリモンド(ダンピールのマジックナイト・f06253)が月のけだものへと斬りかかる。
「吸血鬼の内部に潜んでいた存在……その力、味わわせてもらいましょう」
彼女が右手に握るのは火刀。浄化の力を宿す、銘をデイジー。
彼女が左手に握るのは氷剣。封印の力を宿す、銘をヴァイオレット。
変幻自在の二刀流で翻弄せんとする猛攻だが、残念ながら技術も身体能力も相手の方が上だ。いとも容易く見切られ刃筋を逸らされる現実に口の端が引きつるラウラ。
一撃入りさえすれば。そんな思いが募る。一撃でいい、その一撃で決着を付けられるのに。悪夢を冠する絶対切断能力、究極の初見殺しを叩き込めるのに。
しかしラッキーヒットを祈る時間もなさそうだ。幾度となく斬り結びながら、次第に敵の太刀筋がより鋭くなっていくのをラウラは肌で感じていた。
そこへ加勢するように白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)が飛び込んできた。
「ああ、むせる程の血の匂い。えづくじゃないか!!」
ラウラと挟撃する形で女剣士、アデリーナの背後で大剣を振るう明日香。その武器が敵の聖剣と同様に月光を帯びていることに、気付けた者は果たしていただろうか。
死闘への興奮を口にしながらもその足運びは慎重だ。武器のリーチを最大限に生かし、異形の腕に捕まることのないよう牽制に留める。
でなければこの攻撃は避けられなかっただろう。何と敵は武器を異形の腕に持ち替え、振り返ることなく真後ろへと斬撃を繰り出してきたのだ!
真っ当な人間ではあり得ない、剣技と呼ぶのも烏滸がましい異形。これが、こんなものが彼女の末路だというのだろうか。
「理想を抱いて死ねたかよ、英雄!?」
自分のことも碌に分からない明日香だが、これ位はさすがに分かる。そんなことはなかっただろうと。
「あなた、これのこと、知ってますのっ!?」
「さあて、なっ!」
苦戦を続けながらも仲間へと投げた問いかけ。明確な肯定こそなかったが、同時に否定もしなかった明日香の態度にラウラは何となく察する。
彼女には『資格』があると。自分の力でも斬れない数少ない物の内の一つ、因縁を断ち切る資格が。
「それなら私の役目は……!」
今行うべきは繋げることだ。か細い勝利の目を途切れさせず、その時が来るまで持ちこたえること。
何、難しいことではない。絶望的な状況を耐え忍ぶなど、この百年、誰もが行ってきたのだから。
「……明けない夜はない、その言葉はこの地では嘘でした。けれど、いずれ私達が本当にしてみせます!」
さあ愛剣達よ、もう一息だ。シザーズ・クロス、死力を尽くそう。逆境で輝くのはお前だけじゃないと、地上の月に見せてやろう――。
「――はっ!?」
その頃、敬輔は突然発生した意識の不連続に混乱していた。確かたった今、倒したと思った吸血鬼から何か、おそらく件の外敵が出てきた所ではなかったか。
あれは何だ、外敵が月光城の主に擬態していたのか。それとも――いや。
「戦闘はどうなった!?」
思い出した。
どうやら仲間が後方へ避難させてくれたようだが、腹部の致命傷へは手を施せなかったようだ。漆黒のオーラを集中させ、今更のようにやって来た激痛を耐える。
侮ったつもりはなかったが、敵は想像を遥かに超えていた。あれは尋常の戦いが成り立つ手合いではない。
どうする――どうしようもない。そんな正論を弾き出した理性を、敬輔はふざけるなとぶん殴る。
だって、これからなのだ。過去の因縁を清算し、復讐の旅を終え、今後は未来を向いていこうと思った矢先に。
第3層。上層に更なる闇が待ち受けていると知り、まだ終わっていないのかもしれないと、悍ましい可能性を示されて。
だというのに、こんな所で死んでたまるか。
確かに相手はこれまでにない難敵だ。無限に高まり続ける剣技。視認した時には手遅れな俊敏さ。地の果てまで届きそうな極光。
それがどうした。
卓越した肉体も、研鑽した絶技も、比類なき叡智も。そんなものは全て些事だ。そんなもので死闘の行く末は決まらない。
必要なのは意志の力だ。明日をも知れない闇の中でそれでも進む道を照らして示す、心の中の輝き。
未来を望む。今を生きる者だけが持つその意志こそが、どんなオブリビオンも破れない最後の砦なのだ。
月よ陰れ、この地の主役はお前じゃない――!
「おおおおおおおおおっ!!」
走る、走る、走れ。限界を超えろ。魂の叫ぶままに、再び戦場へと駆け戻れ。
もはや痛みは感じない。運命を超克<オーバーロード>し、致命傷さえ乗り越えて、館野・敬輔は突き進む。
見えた、消えていた分身達を再召喚し先行させる、彼らが攪乱している間に距離を詰める、敵がこちらに剣先を向ける、回避はさせないと異形の腕が蠢く――。
――そのまま体当たりした自分に、聖剣が深々と突き刺さる。
ずっと無表情だった女剣士の顔が歪む。次に相手がその手の黒剣で何をするか、分かってはいるのだろう。見えてはいるのだろう。
けれど何もできない。それをしてしまえば彼女の寄る辺はなくなるから。それがなければ英雄でなくなってしまうから。
聖剣を手放すことを、聖剣のアデリーナは認められない。
だから両腕を斬り落とされ、結局は聖剣を失うのだ。
「今だ、やれ!!」
「これがオレとお前の違いだぜ。オレは英雄になんてならねえ」
纏う光を強める大剣を構えながら明日香は告げる。
仲間の有無。それが明日香とアデリーナの違い。どれだけ強くとも一人でできることには限りがある。それを補うのは意志の力であり、つまりは仲間の力でもある。
アデリーナは間違えたのだ。自分一人でことを為そうと思ったその時から。ましてやそれが、欺瞞に満ちた偽りの導きの元でならば尚更に。人の心を手放して人の未来を作れるはずもない。
使命も宿命もいらない。やりたいことをしていれば、それは自ずと未来を拓く。
「じゃあな、永遠にお別れだ!!」
振り下ろす。縦一文字が魔術防御を破り、女剣士の纏う月光を斬り裂く。
振り抜く。横一文字が物理防御を破り、女剣士の胴体を両断する。
すなわち緋燕十字斬。そのまま敵の骸は燃え上がり、虚無へと還っていくのだった。
●月
死闘を潜り抜けてしばし。遺された聖剣を一瞥した明日香が吐き捨てる。
「誰だか知らねえが、いつまでも高みの見物決められると思うなよ」
その言葉に仲間達は頷いた。ただ強敵だったというだけならここまでは言わない。生前がどうにせよオブリビオン化の際には歪むものだから、襲ってきたのは構わない。
だがあの異形はないだろう。
明らかな異常、纏う月光と異形の姿が無関係のはずがない。あれを見た全員が薄々察していた。
夜空に浮かぶあの月は、決して善いものではないのだろうと。
睨むように見上げる猟兵達を、月が静かに見下ろしていた。
成功
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最終結果:成功
完成日:2022年03月20日
宿敵
『聖剣のアデリーナ』
を撃破!
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