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マクドナルド・クエスト3~セイヨウ帝国との決戦!

#クロムキャバリア #地下帝国 #マクドナルド・クエスト


 ※設定が連続しているシナリオとなりますが、前回、前々回のシナリオを知らない方、参加していない方でも大歓迎です。

●前回までのあらすじ!
 クロムキャバリアの小国家の一つ、高い山の頂上に築かれた平和な国家マクドナルド王国。
 その地を立て続けに襲撃した謎の地下帝国『セイヨウ帝国』。
 その正体は遥か昔に地下に逃れた古代魔法帝国『西妖帝国』の末裔、西洋妖怪たちであった。
 人間たちの感情を糧に活動するため、セイヨウ帝国は地上にいる人間たちに恐怖をもたらすために襲撃を仕掛けていたのだが、猟兵たちの活躍によって未然に鎮圧され、被害は最低限に抑えられていた。
 セイヨウ帝国の兵士たちも、悉くが捕虜となっていた。

●予知:全てを滅ぼす破壊の炎。
 セイヨウ帝国の兵士たちは、オブリビオンマシン特有の精神汚染による高揚作用が抜ければ大人しい性質であった。
 収容人数も増えたため、警備しやすいよう王家直営の軍事施設を一つ使用して管理していた。
 新しく捕えられた幹部からも聞き取りを行い、セイヨウ帝国の皇帝と話し合うための折衝を重ねている……その矢先のことである。

 セイヨウ帝国の開けた大穴。
 埋める余裕もないために一帯を封鎖して、警戒態勢を敷いていたそこから新たなオブリビオンマシンの軍勢が現れた。
 航空系キャバリアで構成されたそれらは、セイヨウ帝国の最後の兵隊たちであった。

「ヴァーンパイパイア!」
「デューララララララ!」

 飛び回る多数のサイキックキャバリアたち。
 その軍勢を率いる異形のエヴォルグシリーズと、軍勢の中心に佇む天使を模した一際大きなキャバリア。
 その搭乗者こそ、残るセイヨウ帝国の幹部『プレアデス』のメンバー。
 『キング・ヴァンパイア』と『キング・デュラハン』であった。

 即座に迎撃に移るマクドナルド王国のスーパーロボット部隊だが、『エルゼドール』の群れが幹部たちの機体を守り、魔法攻撃でけん制している。
 それは、時間稼ぎであった。

「恐れなさい、地上の人間たちよ。
 このキング・デュラハンと『ネハシム・セラフ』の力によって、貴方たちに殲禍炎剣を披露して差し上げます」

 『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』。
 その名前を聞いた戦場にいる人間たちの背筋が凍りつき、驚愕と恐怖の感情に染まる。

 一定の高度を飛翔する存在を無差別に砲撃する暴走衛星。
 目標だけに留まらず、その下にある大地を、国家を、人々を灰にする、恐るべき破壊兵器。
 その存在、その脅威は、争いから縁の遠かったマクドナルド王国においても存分に認知されていた。
 矢継ぎ早に、地上から制止する必死の叫びが投げかけられる。

「お、お。すごいぞ、名前を出しただけでかなり恐怖が満ちていくぞ!」
「それは素晴らしい。では予定通り、このまま起動してとびっきりの恐怖を得ましょう」
「ああ、任せたぞ、キング・デュラハン!」

 地上の様子に喜ぶキング・デュラハンが『ネハシム・セラフ』を操作し続ける。
 殲禍炎剣にアクセスした『ネハシム・セラフ』を通して、地上への攻撃指示を下す。

「よし。あとは人気のない広い平地に照準を合わせて……。
 あれ? コントロールが効かな」
「えっ?」

 そして、天空よりマクドナルド王国の首都を焼き払う白い光が降り注ぐ。
 飛行していたセイヨウ帝国のオブリビオンマシン諸共……。
 すべてを焦土と化していく。

●招集:殲禍炎剣を食い止めろ!
「エマージェンシー!
 皆様、マクドナルド王国とセイヨウ帝国がダブルでピンチであります!」

 バルタン・ノーヴェが看板を掲げ、慌てて猟兵たちに助けを求める。
 プロジェクターから投影される映像は、幾度となく予知してきた古風な雰囲気の街並み。
 マクドナルド王国の首都デカプリオだ。
 その空は、複数の飛行型キャバリアによって制圧されていた。
 そして、バルタンが狼狽するだけの理由があった。

「一体何を考えているのか、セイヨウ帝国が殲禍炎剣を起動させてマクドナルド王国を吹き飛ばそうとしているのであります!
 予知によると、殲禍炎剣の破壊力を正しく認識していない様子で……彼ら自身も巻き添えになってしまいマース!」

 愕然とする事態だ。
 セイヨウ帝国には殲禍炎剣に関する情報が抜け落ちているのか、恐怖を得るための威圧目的に使用するつもりらしい。
 制御できない破壊兵器がもたらすその結果は、自爆を伴う大惨事である。

「セイヨウ帝国の軍勢はマクドナルド王国の上空を緩やかに滞空しているため、まだ殲禍炎剣の攻撃目標にはなっておりマセン。
 しかし、戦闘となれば高速で飛翔することになり、殲禍炎剣の砲撃を誘発する危険がありマス!
 皆様には、敵軍が機動戦に移行しないよう注意して当たって欲しいのであります!」

 高速移動、高速飛翔、高機動戦は殲禍炎剣を刺激する恐れがある。
 地上から対空砲火を試みるか、静かに忍び寄って叩き落すか。
 いずれにせよ、空を飛ぶのならば細心の注意を払わなければならないだろう。
 非常に難易度の高いミッションだが、国一つ、いや国二つの命がかかっている事態だ。
 幸いにして、今回の敵戦力はすべてプロジェクターに映し出されている。

 『エルゼドール』。
 高水準な基本性能と飛翔能力を兼ね備えたサイキックキャバリア。
 幹部の機体を直掩しているため、まず先に殲滅しなければならない。

 『ネハシム・セラフ』。
 殲禍炎剣をコントロールすることを目的として開発され、案の定失敗したオブリビオンマシン。
 今作戦の最優先撃破対象である。

 そして、生体キャバリア・エヴォルグシリーズの伍號機『Blaster』。
 戦場の銃火器を取り込み、魔弾を生成して放つ、射撃戦のエキスパートだ。
 『ネハシム・セラフ』を守るために『エルゼドール』たちを指揮して飛び回っている。

 また、セイヨウ帝国のキャバリアたちには生身で接触した対象を無力化する有毒装甲が施されているが、キャバリアに搭乗すれば問題はない。

「『ネハシム・セラフ』と『Blaster』には、それぞれセイヨウ帝国の幹部が搭乗していマース!
 おそらく、どちらもセイヨウ帝国幹部のお約束として特異な能力を駆使してくることが予想されマース!
 どのような戦闘になっても臨機応変に対処できるようお願いしマース!」

「そして、流石に幹部機体二機を同時に相手するのは無茶であります。
 しかし猟兵を二手に分けて間に合わなくなれば本末転倒。
 ということで、マクドナルド王国のスーパーロボット部隊の皆様にご協力を願いマシテ、『Blaster』の足止めを依頼しておりマース!
 『エルゼドール』の殲滅に合わせて、行動を開始してもらう手筈であります!」

 猟兵でないとはいえ、スーパーロボットを駆るマクドナルド王国の王族たちならばオブリビオンマシンを相手に時間を稼ぐことはできるだろう。
 まさに、総力戦となる。

「これは危機デスガ、好機でもあります!
 ここでセイヨウ帝国の幹部を全員倒せれば、敵の戦力は壊滅状態!
 あとは地下に行ってオハナシできるのであります!」

 長きにわたるマクドナルド王国とセイヨウ帝国の戦いに、終止符を打つチャンスである。
 バルタンはグリモアを起動し、テレポートのためのゲートを展開する。

「あといつものことデスガ、マクドナルド王国のスーパーロボットをレンタル可能であります!
 皆様、何卒よろしくお願いしマース!」


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。

 今回の舞台はクロムキャバリア。マクドナルド王国という平和な国家の首都デカプリオです。
 地底から出現したセイヨウ帝国のキャバリア部隊を撃破することが目的です。

 今回を含め、マクドナルド王国のシナリオでは王国が所有するスーパーロボット部隊をレンタルすることができます。
 スーパーロボットは個別に大きな卵型の格納ケースに封入されており、起動するために接触した人物に合わせて形状を変化させることができます。
 そのため、どのようなスーパーロボットを借りたのかは、猟兵が決定することができます。

 第一章:対空戦、『エルゼドール』というサイキックキャバリアの部隊との戦闘です。
  セイヨウ帝国のキャバリアはすべて有毒装甲という生身で接触した対象を無力化する装備を纏っています。
  そのため、ウォーマシンや悪霊のような特殊な条件の人物でない限り、キャバリアなどの乗り物に搭乗して参加することを推奨します。
  プレイングボーナスは、『滞空している敵に対処する』です。

 第二章:対空戦、セイヨウ帝国の幹部『キング・デュラハン』の乗るキャバリア『ネハシム・セラフ』との戦闘です。
  頭部が着脱できる種族であり、特異な能力を駆使してキャバリアを強化することが予想されます。
  プレイングボーナスは、断章にて告知いたします。

 第三章:対空戦、セイヨウ帝国の幹部『キング・ヴァンパイア』の乗るキャバリア・エヴォルグ伍號機『Blaster』との戦闘です。
  吸血鬼タイプの種族であり、ヴァンパイア系統の特異な能力を駆使してキャバリアを強化することが予想されます。
  プレイングボーナスは、断章にて告知いたします。

 登場人物:マクドナルド王国の王族関係者。
  マクドナルド王国の双子の王子と王女が、猟兵たちをスーパーロボットの保管庫へ案内した後、スーパーロボット部隊を率いて第二章の間『Blaster』を足止めするために戦場に出てきます。
  戦闘経験はありませんが、度重なるセイヨウ帝国の襲撃に備えて訓練を積み重ねてきているようです。
  猟兵から指示があれば臨機応変に対応してくれるはずです。

 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『エルゼドール』

POW   :    近接魔導戦闘
自身に【念導障壁】をまとい、高速移動と【魔杖槍による白兵戦や魔力】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    魔杖槍火力投射
【光輪型探信儀から放たれた探索魔導波】が命中した対象に対し、高威力高命中の【魔杖槍を使用した魔力の奔流】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    第四世代戦闘魔導指揮システム
敵より【洗練された戦闘指揮システムの統制下にある】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:key-chang

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●断章:上空を制するモノたち。

 マクドナルド王国の青空を、数多くのオブリビオンマシンが浮遊している。
 その大半は、サイキックキャバリア『エルゼドール』だ。
 電磁と魔法の双方への探査波に対するステルス性と飛翔能力を兼ね備えた高級機。
 機体自体の開発コストが高いうえに製造や整備に高度なサイキック技術が要求されるため、大規模運用には相当な国力を要するはずのキャバリアである。
 その軍勢を惜しみなく投入し、幹部の機体を守るための護衛に運用している。

「ハーピハピハピィ! これはなかなか扱いは難しいけど、良い機体ハピ!
 それにしても、殲禍炎剣とはどんな兵器かしらハピ?」
「グールグルグル。上からすっげぇビームが降ってくるって話グル。
 それにしても、プラズマキャノンや死の閃光よりすごいんだろうかグル?」
「ギョーギョギョギョ、まあ見るのが一番手っ取り早いギョ、常識的に考えて。
 キング・デュラハン様が制御権を獲得するまでお守りするのだギョ。
 俺達ならできるギョ」

 性能の良い機体に乗っているセイヨウ帝国の兵士たちも、士気は充足しているようだ。
 だが、幹部を直掩するためにステルス性能を切り、守るために回避行動を制限されている。
 そこに、つけ入る隙があるのかもしれない。

 グリモア猟兵により送り出された猟兵たちは、各々の機体やマクドナルド王国から貸与されたスーパーロボットに載り、またある者はキャバリアに騎乗することなしに戦場へ出撃していく。
 マクドナルド王国を、セイヨウ帝国の兵士たちを、殲禍炎剣から守るために。

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 ※対空戦、『エルゼドール』というサイキックキャバリアの部隊との戦闘です。
  セイヨウ帝国のキャバリアはすべて有毒装甲という生身で接触した対象を無力化する装備を纏っています。
  そのため、ウォーマシンや悪霊のような特殊な条件の人物でない限り、キャバリアなどの乗り物に搭乗して参加することを推奨します。

  プレイングボーナスは、『滞空している敵に対処する』です。

  また、全章共通の注意点として、『殲禍炎剣を刺激しないこと』が含まれます。
  明確な基準は不明ですが、キャバリアが高い機動性能を発揮して飛行した場合、殲禍炎剣が降り注ぐ恐れがあります。
  通常の飛翔性能を活用する分には支障はありませんが、飛翔能力や機動力を増加させるユーベルコードを使用される際は、プレイングにて対処・対策を検討することを推奨します。
 (キャバリア未満の大きさ、地上や低空での高速機動、およびユーベルコードを用いない機体性能や技能による飛行・空中戦であれば、問題はありません)

  それでは皆様、よろしくお願いいたします。
メイスン・ドットハック(サポート)
『めんどーじゃけど引き籠る為に』

アメジストのクリスタリアンで、熟練の電脳魔術師
攻撃手段は電脳魔術・もしくは電脳魔術や現代技術を使ったトラップ
電脳魔術はミサイルや機銃、大型兵器も精製可能
トラップは地雷、機雷、ワイヤートラップなど様々
またハッキング技術も長けており、機械コンピュータはもちろん、電脳魔術を応用することにより、空間に直接ハッキングを仕掛け、情報を収集することもできる
正々堂々よりかは、搦手で弱点を的確に攻撃するタイプ
心理誘導をしたり、囮を使ってなどもする
仲間との連携は歓迎です

喋り口調は広島弁
「じゃけん→じゃけー」「じゃけえのう→じゃけーのー」と語尾を伸ばすのが特徴的


ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。



●歴戦の騎手たち。

 マクドナルド王国に駆け付けた猟兵たち。
 その先陣を切ったのは、アメジストのクリスタリアンの少女と猫耳っぽいケモ耳がついた可愛らしい人狼の少女の二人組。
 メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)と、
 ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)である。

「おー。大勢いるんじゃのー」
「まったくにゃ! でも多くいるなら撃ち放題にゃ!」

 二人はそれぞれ、自前のマシンに搭乗して、頭上の敵を見上げている。
 メイスンが駆るのは、『O-Ⅸ型機動強襲用二足歩行戦車型キャバリア「KIYOMORI」』。
 キャバリア機能を搭載している水陸両用二足歩行戦車に、帝竜ワームの因子を覚醒させてオブリビオンマシン形態へ変形した対空戦闘型『O-Ⅹ型機動強襲雷竜型オブリビオンマシン「清盛」』である。

 ミーヤが駆るのは、愛用の丸っこくて可愛らしい戦闘用二足歩行型戦車、『ずんぐりむっくりなマシンウォーカー』。
 純粋なキャバリアではないものの、魔導蒸気機械『ガジェット』の技術をフルパワーで活用できるミーヤの相棒である。

 共に、数多くの戦場を駆け抜けてきた信頼すべき愛機である。

「めんどーじゃけど、殲禍炎剣を撃たせる訳にはいかんけーのー」
「そうだにゃ! ミーヤたちでやってやるにゃ!」

 メイスンとミーヤは互いの機体を並走させて、青空に滞空する『エルゼドール』との戦闘に突入した。
 二人は攻撃しやすい広場に陣取り、先手を打ったのはメイスンだ。
 メイスンは端末を操作して、仕込みのユーベルコードを開放する。

「爆発する蜂は、毒針持った蜂より怖いということじゃのー。
 しかも仕込みありじゃけー」

 《蜂のように舞い、華のように散る(ビー・ビー・ビー)》。
 『清盛』から雀蜂の2倍程度の大きさの585体の小型の『戦闘用電脳爆弾蜂』が放たれ、空へと飛びあがる。
 その小ささならば、殲禍炎剣にも反応することはないだろう。
 もっとも、小さいといっても自分たちに向かって飛来する数多くの物体を、『エルゼドール』のパイロットであるセイヨウ帝国の兵士たちが見落とすはずはない。
 『エルゼドール』たちの『光輪型探信儀』から放たれた探索魔導波が、迫る『蜂』の群れを探知した。

「ギョ? 何か下にいるキャバリアから小さいものが出てきてるギョ!」
「たしかに探索魔導波に反応してるハピ。……弾丸にしては遅い気がするハピ」
「まー、何かわからないグルが、とりあえず魔杖槍を投射して落としておくグル」

 陣形を組んだ『エルゼドール』の一団が、探索魔導波が命中した『蜂』に向けて魔杖槍を使用した魔力の奔流を解き放つ。
 《魔杖槍火力投射》の直撃を受けて、数多くの『蜂』たちが消滅していく。
 爆発規模はC4火薬の同体積程度であり、被弾した『蜂』たちは次々に爆発していく。

「たわいなしハピ!」「ギョーッギョッギョ、これくらいなら問題ないギョー!」
「まー目的は攻撃じゃないけんのー」

 だが。メイスンの狙いは『蜂』による攻撃ではない。
 すべての『蜂』が薙ぎ払われたと思わせ、残存して広く散らばらせた『蜂』たちが一体ずつ、『エルゼドール』にとりついていく。
 展開された『蜂』たちを通じてメイスンが撃ち込むのは、電脳魔術。
 ウィザード級ハッカーであるメイスンは、空間を通じて『蜂』越しにハッキングを仕掛け、『エルゼドール』たちのシステムに侵入していく。

 洗練された戦闘用の《第四世代戦闘魔導指揮システム》を搭載している『エルゼドール』であったが、それはあくまで戦闘に関するもの。
 搦手には、それもスペースシップワールドで鍛えられた熟練の電脳魔術師のハッキングには、対応しきれなかった。
 あっという間にセキュリティが突破される。

「グ、グル!? なんか、挙動がおかしいグル!? 操縦できな、グルー!?」
「ハピ? 何ハピ? 通信が途絶えて、声が……みんな! 何か言うハピ!」
「ギョッ!? 機体の出力が、落ち、落ちるギョォ!?」
「えー具合になっとるのー。トドメはミーヤ、任せるけーのー」

 ハッキングを受け、火器管制や操縦機能に不具合が生じた『エルゼドール』たちの動きが乱れ、パイロットたちが混乱する。
 その様子を見上げて、ミーヤが笑顔でユーベルコードを起動する。

「任されたにゃ! それでは行くにゃ、《ガジェットショータイム》!」

 ミーヤが展開したユーベルコードは、ガジェッティアたちの基本にして神髄。
 いま戦っている対象に有効な、変な形のガジェットを召喚するユーベルコード。
 《ガジェットショータイム》である。

 毎回変わる形状の使い方を理解し、うまく活用できればより効力を発揮する。
 ミーヤが作り出したガジェット、対空大砲型の魔導蒸気機械が現れる。
 『マシンウォーカー』に積載された蒸気魔導誘導レーザー砲塔『M.A.G.U.R.O』と併せて二門の砲口が、ワチャワチャと蠢く『エルゼドール』の一群に向けられる。
 よく狙いを定めたミーヤが、ガジェットを一斉発射する。

「いっけえにゃー!!」

 派手な砲音と煌びやかレーザー射撃が地上から天へと昇っていく。
 『光輪型探信儀』にて攻撃を感知できた敵はハッキングにより回避行動がままならず、操縦桿は無事だった機体も『光輪型探信儀』がハッキングされたことで攻撃に気づくのが遅れて直撃を受けていく。

「ギョォー!?」「ハピーッ!!」「グェ……!?」

 メイスンとミーヤの連携攻撃により、『エルゼドール』の軍勢が次々に撃墜されていく。

「順調じゃのー」「このまま集団を撃ち落とすにゃー!」
「っと、その前に移動するじゃけー。あちらさんもただのカカシじゃないけーのー」

 ハッキングの対象範囲外にあった『エルゼドール』たちに反撃される前に、二人はマシンを走らせて位置を変え、再攻撃の態勢を取るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎

イグニシオンに[騎乗]

対空戦闘か。確かに殲禍炎剣の下では[空中戦]は制限されるができないわけじゃない。
基本的に地表スレスレの低空を飛び、必要に応じてUCによる超高速飛行で一瞬飛び上がり、太刀で斬り裂きながらワイヤーフックを引っかけた[地形の利用]ですぐに地表に戻れるよう立ち回る。

敵の攻撃はこれまでの[戦闘知識]で予測しつつ[第六感]による反射も備えた心眼による[見切り]で回避。しっかりと[残像]を捉えさせて初撃に当たらないようにするぜ。
「悪いな。空中戦は得意分野だ。この世界においても、な」


鍋島・小百合子
WIZ重視
他の猟兵との共闘・アドリブ可

殲禍炎剣なぞに手を出すとは帝国も焼きが回ったものよの
されど見過ごすわけにはいかぬ

「姿が隠れていようが飛ぼうが無駄じゃ!」
専用機たる【勝鳥(カチガラス)】に騎乗
敵の姿を自身の眼(視力、暗視併用)で捕捉しつつUC「使役武装【白鴉】」発動
召喚した1200本もの白鴉の羽(を模した自動攻撃ビームビット)と弩型びーむらいふる「鴉羽」をもって敵軍をまとめて攻撃す(スナイパー、範囲攻撃、鎧無視攻撃、乱れ撃ち、制圧射撃、弾幕併用)
白鴉使役時には見えざる敵の追跡・包囲を徹底する(空中戦、遊撃、一斉発射併用)
なおいずれの攻撃時にも殲禍炎剣を刺激させないよう配慮す



●黒鋼双演。

「こ、これほどの精鋭が控えていたとは、驚きグル……!」
「とにかく、キング・デュラハン様を守るドラ!
 総員《第四世代戦闘魔導指揮システム》、フル稼働! 《魔杖槍火力投射》!
 近づいて来る敵は全部撃ち落とすドラ!」
「おおー! だギョ!」「わかったハピ!」

 先手を打った猟兵たちの攻撃を受け、気を引き締めて動き出すセイヨウ帝国の兵士たち。
 『エルゼドール』たちが連携して、地上にいる猟兵たちへ索敵と攻撃を繰り出そうとしている。
 一部の機体は奇襲に備えてステルス機能を稼働させ、攻撃役と防御役に分担する目論見だ。
 陣形を立て直す敵軍を見上げる猟兵たち。
 一組の男女がキャバリアに乗り、地上を疾駆して行く。

「対空戦闘か。確かに殲禍炎剣の下では空中戦は制限されるが、できないわけじゃない」
「殲禍炎剣なぞに手を出すとは帝国も焼きが回ったものよの。
 されど見過ごすわけにはいかぬ」

 上空で展開する『エルゼドール』の眼下を疾走するのは、二機のキャバリア。
 熱い焔をたぎらせる黒鋼の騎士と、鎧武者の意匠を拵えた黒鋼の武士。

 異界の技術で作られた鋼の翼『イグニシオン』に騎乗する、久遠寺・遥翔(焔黒転身フレアライザー/『黒鋼』の騎士・f01190)と、
 専用機たるスーパーロボット『勝鳥(カチガラス)』に騎乗する、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)だ。

 地表すれすれを低空で超高速飛行する『イグニシオン』と、地上を残像を纏うほどの機動力で駆け抜ける『勝鳥』。
 『エルゼドール』が洗練された戦闘指揮システムの統制下にて『光輪型探信儀』から探索魔導波を放つも、機敏に動く二人のキャバリアを捉えることは至難の業であった。
 遥翔と小百合子の見切りと敵機体の動きを予測する戦闘への知識は卓越している。
 機動力のあるキャバリアの性能と合わさり、探索魔導波は残像を捉えることしかできない。

「なるほど。あちらの機体性能も悪くない。だけどパイロットの経験が足りてないな」
「ふむ……姿隠しの機能、れーだーには映らないようではあるが……」

 一方で、ステルス機能により身を隠していた『エルゼドール』は、小百合子の眼を逃れることができなかった。
 電磁探知でも、魔法によるサーチでもない。
 熟練の猟兵としての眼力による目視での捕捉である!

「姿が隠れていようが飛ぼうが、無駄じゃ!
 舞い散らせるは意思持ちて敵を撃つ鴉の羽……。行け! 白鴉!」

 放たれるのは、千二百本もの白鴉の羽。
 白い鴉の羽を模した自動攻撃用ビームビットが複雑な幾何学模様を描き、飛翔する。
 《使役武装【白鴉】(ハネヲキズツケテモトビタツカチガラスノハネ)》!
 軍勢に等しい兵装が放たれ、上空の『エルゼドール』に殺到していく。

「また何か飛ばしてきたグル!」
「ええい、フロートユニット、浮遊武器だギョ! 撃ち落とすギョ!」

 魔杖槍を使用した魔力の奔流が【白鴉】に向けられるが、【白鴉】は複雑機敏に動き、薙ぎ払われる前に散開する。
 例え幾つか撃墜されたところで、数百を超える兵装が残る。
 雲霞の如き【白鴉】の集団が、ステルス機能を使用した『エルゼドール』たちに襲い掛かる。

「うわあああ!? な、なんでついて来るギョー!?」
「位置情報がバレてるグル! すぐに助けるグル」
「あ、待って射線が! 誤射るグルッ!」

 乱戦となっては、味方を巻き込むような攻撃もできない。
 慌てて機動戦に移ろうとする『エルゼドール』だが、取り囲んだ【白鴉】が機先を制して動かさない。
 陣形が乱れ、地上への意識が逸れた隙を小百合子と遥翔は見逃さない。

「これ、ステルスも故障してるハピか!? あ、やばっ」
「ギョッ」

 地上から幾つもの光線が伸びて、『エルゼドール』を貫いていく。
 小百合子は『勝鳥』の持つ弩型ビームライフル『鴉羽』を構え、【白鴉】に包囲された敵軍を纏めて撃ち落としていく。
 一発撃っては素早く走り、位置を変えて狙撃を繰り返す。
 反撃の隙は与えない。

「殲禍炎剣を刺激させぬよう【白鴉】の速度に配慮しつつ……よし。囲み終えたぞ」
「了解! 次は……指揮官を落とす!」

 小百合子が敵軍を削り続ける真っ只中、『エルゼドール』の部隊を統率する隊長を確認して遥翔が札を切る。
 遥翔が使用する力は、『イグニシオン』との連携技!

「行くぜ相棒!
 今はただ全霊を以てこの空を翔ける―――ラグナレク・キャリバーッ!!」

 《太陽を灼く黄昏の剣(ラグナレク・キャリバー)》!
 時速12200kmで飛翔しながら、自身の乗機から焔の剣の連続斬りを放つユーベルコードだ。
 高速飛翔が殲禍炎剣を刺激しないように敵軍の群れの影から一瞬だけ飛び上がり、その加速を以て空へと翔ける。
 まっすぐ向かった『イグニシオン』の握る焔の太刀が、『エルゼドール』部隊の隊長機を斬り裂いた。

「せ、セイヨウ帝国万歳ー! ドラッ!」
「「た、隊長ー!?」」

 攻撃を終えて自由落下する『イグニシオン』の背後にて、脱出装置が作動して放り出されたパイロットの悲鳴と、敵機の爆発する音が響き渡る。

「悪いな。空中戦は得意分野だ。この世界においても、な」
「順調じゃな。よし、このまま手勢を落とし、急ぎ本命を止めるとしようぞ」

 混乱収まらぬ敵軍を、気を緩めることなく撃破していく遥翔と小百合子。
 半数以上の機体を削られてもなお、『エルゼドール』の群れの奥に佇む敵軍幹部の機体は遠い。
 優勢に進んでいるとはいえ、戦いはまだ始まったばかりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガンズ・ハルモニア
哀れなりまぐなるど。あれ?まくねれど?まく…まくま……たいへんすてきな首なし王にらっかせい貰うなんて……。いやまだ貰ってないのか。
じゃあまだ哀れじゃないね!だって今猟兵がいたからね!!

ガンソルジャー操縦地上からガトリングガンの制圧射撃。
ミサイルで魔力放射迎撃。飛べない私はジリ貧だぁ、電子纏装甲まだ持つ?
継戦能力、私、注意引く。

鳥さんおはようこんにちはこんばんは。
鍋にしちゃるけぇええええ!!!!おりてこんかーい!!!

【自爆ガンズ】
だから私はそこにいます。良い感じに敵群に近付いた複製体ガンキューブのホログラシステム(迷彩)を解いて強襲。ビーム焼却で引っかき回して、
最後は超・大・爆・発!!

たまやー



●勢いで押せ押せドカン!

 クロムキャバリアの戦場で活躍するのは、キャバリアばかりではない。
 電子の海で創造され実体化した人型兵器『ガンソルジャー』もまた、マクドナルド王国に参上した。
 広い公園に降り立ち、機体を操縦しているのは青い髪の幼い少女。
 謎の大型浮遊箱型兵器『ガンキューブ』に搭載されていた経歴不明のバーチャルキャラクター、ガンズ・ハルモニア(ガンガンガン・f17793)である。

「哀れなり、まぐなるど。あれ? まくねれど?」
「マクドナルドです」

 ガンズが言い間違えを随伴しているマクドナルド王国のスーパーロボットのパイロットに訂正される。
 しかし、ガンズが気にする素振りは無い。

「まく…まくま……たいへんだよね、すてきな首なし王にらっかせい貰うなんて……」
「らっかせい……? 落花生……あ! いえ。殲禍炎剣はまだ放たれていません」

「まだ貰ってないのか。 じゃあまだ哀れじゃないね! だって今猟兵がいるからね!!」
「はい……お願いします、猟兵さん。私たちの国を助けてください」

 まかせろーと言わんばかりに、『ガンソルジャー』の操縦席に収まったガンズが走り出す。
 機体に内蔵・装着させている大型のガトリング砲『ガンマシンキャノン』を空に向け、滞空している敵の機体群に地上からの制圧射撃を開始する。
 距離もあり狙いもまばらな銃撃ではあるが、度重なる猟兵たちの攻撃を受けて動揺している『エルゼドール』のパイロットたちの意識を引くには十分だった。

「あそこにも新しい敵がいるギョ!」「グル、何かされる前にこっちから……」
「鳥さん魚さんおはようこんにちはこんばんは!」
「ギョ!? こん、どれ!?」

 ガンズの挨拶に、セイヨウ帝国の兵士は混乱した。朝なのか昼なのか夜なのか?
 少なくとも日差しが出てるので夜ではなさそうだ。

「鍋にしちゃるけぇええええ!!!! おりてこんかーい!!!」
「ギョォ!?」「ハピィ!? 何あいつ、怖いハピ!?」

 ガンズが激怒した。
 必ずやセイヨウ帝国の連中を吹き飛ばしてやろうと思ったらしい。
 その証拠に、ガンズが地上にいるにもかかわらず、謎の推進力で移動する『ガンキューブ』に搭載されたガンズとそっくりのサムシングが『エルゼドール』の集団に迫っていた。
 安心してください、オリジナルではなく複製体です。

「すすーっ……すすーっ……」

 複製体は、虚像投影及び迷彩機能を持つ、複数の魔獣のデータで構成された肉体強化兼外見変更アプリ『ホログラシステム&ガジザジアプリ』によって光学迷彩して空中を忍び寄っていた。
 『光輪型探信儀』で探索していれば気づけたものだろうに、叫びながらガトリングを乱射するガンズに気を取られた兵士たちは《近接魔導戦闘》態勢に入っていたため、気づけない!
 何たる迂闊か!

「よ、よし、攻撃用意完了だギョ!」
「何か怖いけど、魔杖槍から魔力を放出して吹っ飛ばすハピ」
「念導障壁をまとっているんだグル。あんな豆鉄砲では装甲に届くこともないグル」

「「ところがどこさ!」」

 呼吸を合わせた『エルゼドール』が、高速機動で『ガンソルジャー』に攻撃を仕掛ける前に。
 呼吸を合わせた複製体のガンズが暴れます。
 迷彩を解いた『ガンキューブ』から放たれる無差別ハイビームキャノンの大盤振舞!
 不意打ちを受け、被弾する『エルゼドール』たち。
 セイヨウ帝国の兵士たちがパニックに陥った。

「ギョォォォ!?」「しまっ、警戒し損ね、グルッ!」
「ハピィ! お、落ち着いて、敵は一機! 囲んで叩けば」

「そして最後は超・大・爆・発!!」「いえい!」

 ガンズ(複製体)の身体がカッと光り輝き、青空が白く染まる。
 《自爆ガンズ(ワーイ)》!
 それはガンズの複製体ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にするユーベルコードであり、そして効果が終了した後で複製体は超・大・爆・発! により破壊されるのである。
 複製体を囲んで叩こうとした『エルゼドール』たちがどうなるか。
 勿論、爆☆発! に巻き込まれております。

 轟音を伴って、マクドナルド王国の空に綺麗な花火が現れた。

「たまやー」

 木端微塵に吹き飛んだ『エルゼドール』から零れ落ちるパイロットたちの悲鳴を聴きながら、ガンズは笑顔でサムズアップ。
 安心してください、オブリビオンではないのでパイロットは峰打ちです。

成功 🔵​🔵​🔴​

リア・アストロロジー
●すーぱーろぼっと
リア「これは……なるほど、昨日の敵は今日の友というわけですね。いいでしょう、出撃です!」
??「ちゅーん!」

●ばとる
まるっこいすずめ型すーぱーろぼっと(小さめ)に乗って
パタパタ飛んで練習しながら、なんかもう勝った気でいます

「あなたたちの敗因を教えてさしあげましょう!」
「確かにスマートな機体、戦闘指揮システムも優れているのかもしれません。だけど……圧倒的にかわいさが足りません!」←可愛さ勝負で勝ったと言いたい

「いまです、ちゅんちゅん……さん! 頭にのるのー!」

キャバリアの頭部を爪でつかんだら自機をユーベルコードで重力操作。
地面にめり込ませるくらい重たくして無力化を狙っていきます。


ティフティータ・トラーマ
アドリブ&連携OK、WiZドジ
「そういえば、反応する条件も謎なのよね。某所では地上高500mだったかしら?」
まあソコとは違うけど、と思いつつ機体に搭乗すると
「とりあえず墜ちてくダケなら反応しないし…転ばせて堕とせばいいかしら?」
空中で転ぶというのもアレだけど、バランスを崩せば墜ちていくし
「射撃が当たらないからって、突っ込んで来る方が対処しやすいのよね。はい、お帰りはあちら(地べた)よ。」
突っ込んで来るのは見切りカウンターで叩き落します。



●リア・アストロロジー、ちゅんちゅんさん……? 出撃!

 開戦に先立って、遡ることしばし前。
 自前のマシンに乗って戦地に赴く猟兵たちとは別に、一人の少女がスーパーロボットの保管庫にいた。
 その少女の名は、リア・アストロロジー(良き報せ・f35069)。
 とある計画によって創造された、シリーズナンバー2のフラスコチャイルドである。

 リアはマクドナルド王国の王族に案内された保管庫にて、マクドナルド王国の誇る卵型ケースに触れ……その中から現れたキャバリアを見上げていた。

「これは……なるほど、昨日の敵は今日の友というわけですね」

 それは、まるっこいスズメ型のスーパーロボット。
 既存の規格より小さめであるが、シンプルにしてかわいいキャバリアだ。
 どことなく、もふもふとした雰囲気が感じられる。……ロボットのはずだが。

「いいでしょう、いっしょに行きましょう! 出撃です!」
「ちゅーん!」

 スズメ型のスーパーロボットはリアを乗せ、颯爽と羽根を羽搏かせて飛び上がる。
 パタパタと、リアは操縦練習をしながらセイヨウ帝国の軍勢が蔓延る空へと向かうのだった。

●堕蒼穹の輪舞。

 『エルゼドール』との戦いは佳境を迎えていた。
 無数のドローンやビームビットが飛び交い、レーザー砲や跳躍による斬撃で次々に敵が落とされていく。
 時折激しい爆発も発生して、セイヨウ帝国の兵士は半壊状態になっていた。
 それでも、まだ敵の幹部機体を警護する兵が残っている。
 すべてを撃墜しなければ、横やりを許すことになる。

「そういえば、アレが反応する条件も謎なのよね。
 某所では地上高500mだったかしら? ……まあ、アソコとは違うけど」

 黒絹の衣装に身を包み、漆黒の翼を背に持つ麗しい容貌の女性。
 ティフティータ・トラーマ(堕天使の剣舞暗殺者・f29283)は、クロムキャバリアにおける殲禍炎剣の挙動とどこか遠く別世界のモノを比べ、想いを馳せながら足元から現れた黒卵に丸呑みにされる。
 それがティフティータのキャバリア、黒い鎧女天使型スーパーロボット『ヴァスター・ラジェル』への搭乗シークエンスである。

「……ふぅ。さて、と。後は残っている敵を……あら?」

 『ヴァスター・ラジェル』と一体化して、機体の中から空を見上げるティフティータの視界に、まるっこいスズメ型のスーパーロボットが映り込む。
 搭乗しているリアは滞空している残存『エルゼドール』に向かい、パタパタと飛びながら声を上げる。

「セイヨウ帝国のみなさん! あなたたちの敗因を教えてさしあげましょう!」

 リアはもう勝った気でいるようです。実際に趨勢は決まっているかもしれません。

「な、なんだギョ……?」
「まだ敵のキャバリア……! ……なの、ハピ?」

 洗練された《第四世代戦闘魔導指揮システム》を搭載している『エルゼドール』のパイロットたちは、ふわふわまるまるっとしたキャバリアを見て目を丸くする。
 なかなかお目にかかることのないキュートなフォルムであるがゆえに。

「確かにそちらはスマートな機体、戦闘指揮システムも優れているのかもしれません。
 だけど……圧倒的にかわいさが足りません!
 可愛さ勝負はわたしたちの勝ちですっ!」
「……なるほど、ね」

 高性能なサイキックキャバリアである『エルゼドール』は、なるほど愛らしいと表現するには難しい外装ではある。
 どちらかというとかっこいいの部類に入るだろう。
 かわいさという評価項目であれば、リアの載るスーパーロボットの方が優勢であると、ティフティータも納得する。

「ハピィ……! 確かに、可愛いとは言い難いハピ……!」
「ギョ……もっとフリルを付けるとかすべきだったギョ……?」
「冷静になれグル! 兵装にかわいさは重要じゃないグル!
 《第四世代戦闘魔導指揮システム》を作動させて……あれ? あいつどこに行ったグル……?」

 狼狽える女性パイロットたちを叱咤する男性パイロットだったが、その隙にパタパタと飛来したスズメ型スーパーロボット―――『ちゅんちゅんさん』が『エルゼドール』の頭上を取った。

「いまです、ちゅんちゅん……さん! 頭にのるのー!」
「ちゅーん!」
「えっグフォッ!?」

 ちょこんと爪で『エルゼドール』の頭部を掴んだ瞬間、『ちゅんちゅんさん』が勢いよく落下した。
 それこそ、リアと、リアに触れた対象の倍率を操作可能にした引力と斥力を奪ったり、逆に与えたりできるユーベルコード。
 《Gravity(グラヴィティ)》によるものだ。

 ユーベルコードはキャバリアを通して放つこともできる。
 『ちゅんちゅんさん』に触れた『エルゼドール』は、重力操作により数倍もの重量をかせられ、浮遊を維持できず撃墜されたのだ。
 哀れな『エルゼドール』は一瞬で地面の中へとめり込んでいた。

「た、隊長ー!?」
「うっそ、あの丸くてちっこいの、そんなに重量級なのハピ!?」

 眼下の惨状を見下ろして動揺するセイヨウ帝国の兵士たちを見上げながら、ティフティータが妖艶に微笑む。

「なるほど、ね。とりあえず墜ちてくダケならアレは反応しない、と。
 ……なら、転ばせて堕とせばいいかしら?」

 ティフティータは、殲禍炎剣を刺激しないよう地表からユーベルコードを発動させる。

「『転べ』」「ギョ!?」 『エルゼドール』が一機、姿勢を崩して墜落する。
「『転向べ』」「ピッ!?」 また一機、不自然に回転して地上へと突っ込んでいく。
「『堕ちろ』」「グラァ! な、なんのぉ!」 ある機体は懸命に操縦して飛行を維持し、
「しぶといのね、『堕ちなさい』」「グラァ……!」 その甲斐もなく落ちて行く。

 それは、身躱の呪言を逆用して発動させる転倒呪のユーベルコード、《身をかわ…せない(ド・・ジ)》。
 ティフティータが意図して失敗させた身躱呪から無作為対象の呪いを放ち、対象を転倒させて一時的に動きを封じる代物だ。
 優れた性能を有し、対魔法戦闘に精通しているサイキックキャバリア『エルゼドール』といえど、その操縦者は生身のセイヨウ帝国の兵士たちだ。
 重ね掛けられる呪いに抵抗し続けるのは、難しい。

 元より、幹部を守ろうと固まっていたこともあり、攻撃より防御を意識していたところに不意打ちで放たれる呪言は良く効いていた。
 遅まきながらティフティータの仕業と感づいたいくつかの『エルゼドール』が、反撃しようと魔杖槍を向けて襲い掛かるが『ヴァスター・ラジェル』の有する赤い投矢『ベルラ・ダート』に射抜かれて、呪詛を受けることなく落ちて行く。

「ぐえぇ……!」「そんな、俺たちが、こうも一方的に……!」
「はい、お帰りはこちら(地べた)よ。はやくいらっしゃい」

 淡々と敵を撃墜させていくティフティータを見て、リアも士気が向上していく。

「すごいです……! よし、ちゅんちゅんさん! わたしたちも頑張りましょう!」
「ちゅちゅーん!」
「ふふ……気を付けてね」

 再び空へと羽搏いていくリアと『ちゅんちゅんさん』を巻き添えにしないよう意識を向けながら、ティフティータは静かに『エルゼドール』を堕としていく。

 かくして、幹部を守っていた最後の『エルゼドール』が『ちゅんちゅんさん』に潰されて、青い空に群がっていたセイヨウ帝国のオブリビオンマシンは、残り二機と相成った。
 すなわち、『プレアデス』の二人が騎乗する……強敵を残すのみとなったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ネハシム・セラフ』

POW   :    天使の梯子
【自身が殲禍炎剣にアクセスできる状態 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    廻転する炎の剣
【自身の翼から放たれた車輪状の炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【あらゆるものを焼き尽くす】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな
自身が【歌うような機械音を発し、翼が輝いている 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【炎のように輝く翼】によるダメージか【機械音】による治癒を与え続ける。

イラスト:key-chang

👑11
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●断章:参上! キング・デュラハン!

 『エルゼドール』は猟兵たちの活躍により、無事殲滅された。
 地上や空中に佇む猟兵たちは、残る二機のオブリビオンマシンに意識を向ける。
 多勢の部下を失い、数的有利を失ってもなお、セイヨウ帝国の幹部『プレアデス』の二人、キング・デュラハンとキング・ヴァンパイアは動揺することなく泰然としていた。

「ヴァーンパイパイア! 『プレアデス』を壊滅させたのは、お前たちか……!」
「デューララララララ! なるほど、強敵のようですね。
 しかし、僕たち二人の連携をもってすれば殲禍炎剣を起動させるまでの時間は稼げます」
「いかにも。さて、んおおお!?」

 二人の機体、10m級のオブリビオンマシン『ネハシム・セラフ』と、生体キャバリア・エヴォルグシリーズの伍號機『Blaster』が並び立ち、猟兵たちとの戦闘に突入しようとする。
 そこへ、《スーパー合体》を果たしたマクドナルド王国のスーパーロボットたちが割込み、飛び込んでいく。
 彼らは低速で『Blaster』に体当たりをくらわせると、諸共に墜落していく。
 事前の作戦通り、『ネハシム・セラフ』を落とすまでの間『Blaster』を足止めする捨て身であった。

「キング・ヴァンパイアさん!」
「ぐっ! この、その他大勢め! 放せっ!」
「猟兵の皆さん! お願いします、殲禍炎剣を止めてください!」

 戦域から遠ざかっていく『Blaster』と合体したスーパーロボットたちを尻目に、猟兵たちは『ネハシム・セラフ』に向き直る。
 今、この戦場で最も危険なオブリビオンキャバリアであるこの機体を撃破しなければ、マクドナルド王国が地図から消えてしまうのだ。

「くっ……仕方ありませんね。
 セイヨウ帝国がプレアデス第四席。闘争の『キング・デュラハン』。
 帝国の民のために……死力を尽くさせていただきます!」

 突如、『ネハシム・セラフ』の頭部が飛び跳ねた。
 2mほどの大きさの頭部が胴体から離れ、幾何学的な軌道を取って浮遊している。

「僕の頭部と胴体はどちらも本体。
 片方が無事である間にもう片方に回復術式を施せば何度でも蘇る不死身の能力。
 それが僕の能力、『デュアル・デュラハン』です!
 殲禍炎剣への接続完了まで、あと300秒。
 それまで持ちこたえ、すぐに皆さんを吹っ飛ばして差し上げましょう」

 防御に専念する10m級オブリビオンとその頭部を、あと5分以内に撃破しなければならない。
 猟兵たちの猛攻が始まろうとしていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ※対空戦、セイヨウ帝国の幹部『キング・デュラハン』の乗るキャバリア『ネハシム・セラフ』との戦闘です。
  キング・デュラハンは頭部が胴体から着脱できる能力を活用し、殲禍炎剣に接続するコアユニットのある頭部を分離させています。
  ユーベルコード《天使の梯子》を使用すれば頭部が理性を失いますが、コックピットのある胴体には支障をきたしません。
  また、頭部だけを破壊しても、あるいは胴体だけを破壊しても、ユーベルコード《聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな》による治癒が行われれば復活します。
 連続攻撃や範囲攻撃、連携攻撃を活用して頭部と胴体を同時に撃破することが推奨されます。(※なお、WIZ判定がなければ使用しません)

  また、セイヨウ帝国のキャバリアはすべて有毒装甲という生身で接触した対象を無力化する装備を纏っています。
  そのため、ウォーマシンや悪霊のような特殊な条件の人物でない限り、キャバリアなどの乗り物に搭乗して参加することを推奨します。

  プレイングボーナスは、『五分以内に撃破できるよう速攻する』です。
  皆様、よろしくお願いいたします。
鍋島・小百合子
SPD重視
引き続き【勝鳥(カチガラス)】騎乗
他の猟兵との連携重視

時間内に敵将機を討てとは無茶を言うてくれるのう
しかしやれぬのであれば武士の名折れぞ

敵機目掛け弩型びーむらいふる「鴉羽」で撃ちつつ一気に接敵(ダッシュ、弾幕併用)
炎剣の攻撃には火炎耐性で凌ぎ、接敵後は戦闘不能にさせない程度に胴体を薙刀型兵装「霊峰天山」で斬撃(なぎ払い、鎧砕き併用)
頭部は分離させぬよう機体の両手を使って無理矢理にでも胴体に繋げたままにし、その状態からUC「転移速射【胸部機関砲】」発動
胸部搭載機関砲を機体口部より零距離射撃、頭部と胴体の同時撃破を狙う(範囲攻撃、部位破壊、鎧無視攻撃併用)


ガンズ・ハルモニア
首がもげたー!!おおー!!
どっちにも意識があったりするの?
喧嘩とかする???私ならするね!!!

……想像したら泣けてきた。

ガンキューブ操縦。空中浮遊。主砲オブリビオンバスターにエネルギー充填
首の方にガンビームで制圧射撃かけながら、情報収集敵頭部機動予測中。

ぬー!この首、手足ない癖にー!!

クラスターミサイル一斉発射で機動誘導。
置いといた『グラハンマー』で頭部を捕まえる!
ガンキューブには手がなくてもねー手はあるんだよねー!!(重量攻撃、ミシミシいわせて固定)

頭部を胴体と直線状において、纏めて焼却砲撃
まー「マクドナルド」の人達、がんばってるし?・・・ぶっとばーす!
主砲・オブリビオンバスター発射ァー!!


久遠寺・遥翔
連携アドリブ歓迎。
っつーか味方の援護が必須だ。任せたぜ。

引き続きイグニシオンに[騎乗]。
研ぎ澄まされた[視力]と積み上げた[戦闘知識]、そして磨き抜かれた[第六感]で相手の攻撃を[残像]で回避しながら、しっかりと射線上に相手の胴体と頭部が重なる瞬間、そして他の仲間の攻撃タイミングまでを[見切り]、UCを発射する。もちろん制限時間以内にな。
「皆はうまく避けてくれよ……!」
極大威力の[範囲攻撃]だ。周囲に影響を与えないよう地上から空中へ発射して標的を[焼却]するぜ。これで破壊するつもりで発射するが、敵が残ったときは悪い、任せる。これを使うとイグニシオンはしばらく動けなくなっちまうんだ。


リア・アストロロジー
「ちゅんちゅんさん、頭の方です。頭の方を追っかけましょう!」
「図に乗るなって突っ込まれるまで、頭にのるのー!(何」

と、頭部をマークして軌道を制限するように動きます。

「デュラの人! 殲禍炎剣は制御できるものではないです、このまま続けると、私たちだけでなくお仲間の人たちも捕虜の人たちもみんな死んじゃいます。こんなことはもうやめてください!」

ユーベルコードは状況を見て使うか使わないか決めたいです。
連携を考えれば、合図(?)を鳴らしてくれるのは悪くないかなと思いますけど…(迷
キャバリア戦だと心許ない射程ですが、回復と再行動で押せそうな場面があればユーベルコードを使用。

「……痛かったら、ごめんなさい!」


ティフティータ・トラーマ
アドリブ&連携OK、SpDシーブズ
「両方纏めて倒すのは難しいし…とりあえず頭を倒し続ければ回復に手間を掛けさせられるかしら。」
大型の胴体は他に任せて、飛び回る頭を削り倒し
「…死体蹴りで持続ダメージ入れてたら…まぁそう上手くはいかないわよね。」
回復が始まるまでに光剣で串刺し&黒沙侵蝕しておくが、抜けだされ
「っと、大技がイクみたいね。ついでにコレも巻き込ませて!」
胴体に大技が当たるのに合わせ、頭を胴体にシュート!して、同時撃破を狙います。



●集いし熟練の猟兵たち。

「首がもげたー!! おおー!!
 どっちにも意識があったりするの? 喧嘩とかする??? 私ならするね!!!
 ……想像したら泣けてきた!!」
「そんな……! けんかはよくありませんわ! 仲良くしてください!」
「「いや、同一人物だから喧嘩とかありませんよ」」

 殲禍炎剣への接続完了まで、残り五分。
 キング・デュラハンの告げたタイムリミットを聞き、立ちはだかるのは戦線に至った五人の猟兵たち。
 鍋島・小百合子、ガンズ・ハルモニア、久遠寺・遥翔、リア・アストロロジー、ティフティータ・トラーマは、それぞれの愛機と共に頭部と胴体が分離した『ネハシム・セラフ』を睨んでいた。

「さて。時間内に敵将機を討てとは無茶を言うてくれるのう。
 しかし、やれぬのであれば武士の名折れぞ」

 小百合子は『勝鳥』に騎乗したまま、仲間たちと並び立ち、空中に浮いている。
 その目は油断なく敵を見据え、その頭脳はこれからの立ち回りを思案している。

「両方纏めて倒すのは難しいし、全体攻撃されるのも厄介ね……。
 とりあえず頭を倒し続ければ、回復に手間を掛けさせられるかしら?」
「ふむ。やはりティフティータ殿の言う通りかのぅ……。
 よし! わらわが胴体を押さえよう! ガンズ殿、手伝ってくれ!
 リア殿とティフティータ殿には頭部への対処を任せたい!
 そして遥翔殿には、『イグニシオン』の火力で頭部と胴体の同時撃破を狙って欲しいのじゃ!」
「わかったぜ、小百合子。今回は味方との連携が必須だ。……そっちは任せたぜ」

 遥翔が騎乗する『イグニシオン』の有する焔ならば《天使の梯子》によって強化される『ネハシム・セラフ』の超耐久力すらも突破できる。
 そうと見込んだ小百合子が立案した戦術に一同が了解の返答を送る。

「おっけい! このガンビームで頭部にガンガン制圧射撃を敢、あっはい大丈夫よ?
 ちゃんと理解してるぜ小百合子さん、狙うのはボディですね了解さー」

 ガンズは操縦する『ガンキューブ』の瞳の様な模様をしたハイビームキャノンへのエネルギーの充填し始めながら、見えない何かをワキワキと動かして『勝鳥』の隣に浮かぶ。

「わかりましたわ! わたしとちゅんちゅんさんが頭を押さえましょう!」
「ちゅんちゅーん!」

「わかったわ。殲禍炎剣を刺激しないよう飛び回ればいいのね。
 ……あちらはそこまで速く動けないようだし……ね」

 リアと『ちゅんちゅんさん』、ティフティータと『ヴァスター・ラジェル』もまた意気込んでいる。
 飛び立った『ネハシム・セラフ』の頭部を追って、二人とも飛翔する。

 観測、観察からの作戦立案、伝達、把握。
 三十秒で仕込みを済ませた猟兵たちの短期決戦が開始される。
 ―――残り、二百七十秒。


●巨躯を抑える武士と、何だろうデスタム○ア?

 分離した頭部に向かう二人を尻目に、小百合子が『勝鳥』を駆り、ガンズが『ガンキューブ』が空中を浮遊する。
 狙いは、『ネハシム・セラフ』の胴体。頭部が離脱してもなお、その巨体は威風を感じさせている。
 だが、小百合子もガンズも、臆する様子は微塵もない。

「行くぞ勝鳥!」「突撃だー、ガンキューブ!」

 弩型ビームライフル『鴉羽』を乱射させて弾幕を張りながら、先陣を切る『勝鳥』が『ネハシム・セラフ』の胴体へと突進していく。

「愚直な! 正面から落とせると思わないことです! 《廻転する炎の剣》!」
「ふっ……その程度の炎、ぬるいのぅ!」

 キング・デュラハンの胴体が『ネハシム・セラフ』の翼から、車輪状の炎を放つ。
 あらゆるものを燃やす炎は、命中した対象を燃やがキャバリアであろうと焼き尽くす。
 それを小百合子は避けることなく、自身の火炎耐性と『鴉羽』の装甲を頼りに正面から突破する。

「何と……! いや、いくらスーパーロボットといえど、直撃を耐えられる訳がない!」

 もちろん、小百合子が無事に済んだ理由はそれだけではない。

「手はきれい? 綺麗な手は素敵だけどごつごつした手もカッコイイよね!!
 汚い手もそれはそれで一杯がんばった手だもんね!
 熱い炎だって、だいじょーぶ! 煮沸消毒ってやつさー!」

 その理由こそ、ガンズの放ったユーベルコード、《グラハンマー(グラビティハンドマスター)》による見えない超強力な二つの『重力波ハンド』によるものだ。
 遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能な『重力波ハンド』が『勝鳥』の前に置かれ、《廻転する炎の剣》をかき分けるように道を開いていたのだ。
 こぼれる火の粉程度であれば、小百合子と『勝鳥』ならば耐えられる。
 至近距離に踏み込んだ『勝鳥』が薙刀型兵装『霊峰天山』を振るい、『ネハシム・セラフ』を抑え込んでいく。
 そして、ガンズが『クラスターミサイル』の一斉発射と『ガンビーム』の制圧射撃で『ネハシム・セラフ』の動きを阻む。
 遠近に役割を持った連携によりキング・デュラハンをけん制していく。

「頭部が無くとも見聞きはできるようじゃが、のぅ?
 頭も無しにわらわたちの攻撃を、果たして捌ききれるかのぅ!」
「くっ……まだです、《廻転する炎の―」
「この首なし王! 立派な手足は飾りなのかー!」

 『勝鳥』の間合いから逃れようと、再び《廻転する炎の剣》を放とうとする『ネハシム・セラフ』の翼を、ガンズの《グラハンマー》が叩く。
 超強力な『重力波ハンド』が出鼻をくじくことで、これ以上の燃焼を防いでいる。

「くっ、頭部も頭部で、大変というのに……!」

 だが。
 小百合子とガンズの頭上から、歌うような機械音が発されている。
 『霊峰天山』で傷つけられ、『ガンミサイル&ガンビーム』による攻撃を浴びていた『ネハシム・セラフ』の胴体は、機械音による治癒を受けることで修復されていく。
 治癒され続ける『ネハシム・セラフ』の胴体は、一向に落ちる気配はない。
 互いに決定打を打てない、膠着した状態になっていた。
 もっとも……それは小百合子たちの予定通りである。

「チャージ完了、こっちはスタンバイオーケー! いつでもゴールできるよ!」
「うむ! ……頭部も順調のようじゃな。あとは、機を計るのみ」

 眼下にて、準備を整えている遥翔を意識して。
 小百合子とガンズは機を計っていた。
 ―――残り、二百四十秒。


●コンビネーション・アンブッシュ。

「図に乗るなって突っ込まれるまで、頭にのるのー!」
「ちゅちゅーん!」
「ツッコミを望むボケとは……!」

 リアと『ちゅんちゅんさん』が『ネハシム・セラフ』の頭部を狙って飛び回り、翻弄している。
 先程の戦いで『エルゼドール』が踏み潰された情報を得ているキング・デュラハンは、一瞬でも頭を踏まれないようにと回避に意識を向けざるを得ない。
 その攻防に生じたわずかな隙を、ティフティータが狙う。
 『ヴァスター・ラジェル』に備わっている青光剣『リューン・ブレード』と変化する黒い砂のシーブズツール『黒い沙の盗具』を組み合わせて、擦り削るように攻撃を繰り出していた。
 《シーブズ・ギャンビット》による素早い一撃は、確実に『ネハシム・セラフ』の頭部を傷つけている。

「……死体蹴りで持続ダメージ入れてたら……まぁそう上手くはいかないわよね」

 しかし、戦場に響き渡る機械音。
 『ネハシム・セラフ』の頭部から発せられる歌と、胴体の翼が輝いている間、戦場の一定範囲内にいる対象に影響を及ぼすユーベルコード。
 《聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな》による治癒が与え続けられていた。
 そしてそれは、『ネハシム・セラフ』の頭部と胴体の損傷を直し続けている。

「……もう少し、大きな隙があれば……」
「デュラの人!」

 リアが、キング・デュラハンに語り掛ける。

「殲禍炎剣は制御できるものではないです!
 このまま続けると、私たちだけでなくお仲間の人たちも捕虜の人たちもみんな死んじゃいます。こんなことはもうやめてください!」
「何ですって……?」

 キング・デュラハンの頭部が、カメラ越しにリアを見つめる。
 『ちゅんちゅんさん』から身を乗り出して声を張り上げる少女は、ろくな武装も所持していない。(『ちゅんちゅんさん』は除く)
 戦場にいるにはあまりに幼くあどけない少女の真剣な様子に、オブリビオンマシンによる精神汚染で好戦的となっているキング・デュラハンが、数瞬躊躇った。

「まさか……いや、そんな……」
「……ナイス、よ」

 その隙をティフティータは見過ごさなかった。
 『ネハシム・セラフ』の頭部の後ろに回り込み、『ヴァスター・ラジェル』の脚で思いっきり蹴り飛ばした。

「ぐわあああ!?」
「デュラの人ー!? う、嘘じゃないですよ、ほんとですよー!!」

 戦闘中に呆けた方が悪いのです。
 さておき。
 素早い一撃で蹴り飛ばされた頭部が向かう先は、ゴールポスト。
 もとい、『ネハシム・セラフ』の胴体である。

 待ち構えていたガンズが、《グラハンマー》の一つで飛んできた頭部をキャッチする。

「ホールイン、ワンッ!」
「「んぶぅ!!」」

 そしてその勢いを殺さず、胴体に叩きつけるダンクシュート。
 重力波による押さえつけで、ミシミシとめり込ませている。

「ガンキューブには手がなくてもねー、手はあるんだよねー!!
 いくよ、小百合子! 遥翔!」
「応とも!」「待っていたぜ!

 ―――残り、百八十秒。


●地より天へと放つ焔。

「ま、まだ、まだです! 接続が完了しなくても……! 胴体、後は任せます!
 《天使の梯子》起動!」

 キング・デュラハンの頭部が《天使の梯子》を起動する。
 『ネハシム・セラフ』を殲禍炎剣にアクセスできる状態へと変化させるこのユーベルコードには、操縦者の理性を失わせる代わりに超攻撃力と超耐久力を得て、速く動く物を無差別攻撃し続ける機能をもたらす。
 キング・デュラハンの頭部が理性を失い……頭部と胴体両方の操縦を、キング・デュラハンの胴体が担うことになった。
 《聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな》による治癒機能と合わさり、再度分離する前に撃破しなければ制限時間には間に合わなくなる。

 そして、猟兵たちは逃すつもりはない。

「光速の弾幕を張るのは胸部にあらず……撃ち貫く!」

 『勝鳥』胸部搭載の機関砲が、素早く動く。
 それこそ、《転移速射【胸部機関砲】(カラダカラトビデルムスウノタマ)》。
 120分の1秒という速さで、胸部以外の任意の部位より胸部機関砲を発射できるキャバリア専用のユーベルコードだ。
 『霊峰天山』で抑えている『ネハシム・セラフ』を至近距離から、機体の口部より零距離射撃を行う。
 装填されていた貫通弾が『ネハシム・セラフ』に少なくない穴を開けていく。

「ぐっ、がっ……!」
「これくらいならば……!」
「……まーね。”マクドナルド”の人達、がんばってるし? ……ぶっとばーす!」

 ガンズは、『ネハシム・セラフ』の頭部を《グラハンマー》で押さえつけたまま、『ガンキューブ』の瞳を光らせる。
 エネルギー充填されたその瞳こそ、『【主砲】オブリビオンバスター』だ。
 敵を焼き尽くす焼却砲撃が放射される。
 勢いのあるビームが、『ネハシム・セラフ』の頭部と胴体を焦がしていく。
 絶え止まぬ機械音も、輝き続ける炎のような翼も、それそのものが損傷すれば治癒は遅くなる。

「ああ、ああああ……!」
「まだ……まだです! あと……えっ、まだ二分以上ある……?」

 《天使の梯子》により、耐久力が高められている『ネハシム・セラフ』はそれでもまだ健在だ。
 攻撃の勢いも、このままではあと120秒くらいなら耐え抜く恐れもある。
 だからこそ、小百合子とガンズはゆっくりと距離を取る。

 機関砲の攻撃も、ハイビームによる焼却も、あと『重力波ハンド』による拘束も維持したまま、『ネハシム・セラフ』の無差別攻撃を刺激しないようにゆっくりと離れ……射線上から離れた。
 待ちに待った、ヒーローが動き出す。

「ここから先は、任された」

 ―――あと百二十秒。猶予は、十分にある。

 研ぎ澄まされた視力。積み上げた戦闘知識。そして磨き抜かれた第六感。
 それらを動員して、焔黒転身フレアライザー、久遠寺・遥翔は『ネハシム・セラフ』を見上げている。
 しっかりと、射線上に『ネハシム・セラフ』の頭部と胴体が含まれていること。
 仲間たちの機体、『勝鳥』と『ガンキューブ』が離れ、『ちゅんちゅんさん』と『ヴァスター・ラジェル』がいないことを確認して。
 周囲に影響を与えないよう、地上から空中へ向けて『イグニシオン』の掌を振りかざす。

「原初励起(イグニッション)」

 『イグニシオン』の掌から、極大威力の焔の波動砲が放たれる。
 それは、まるで殲禍炎剣と見紛うが如し、焔の具現。

「今の俺の全力を以て焼き尽くす―――《星なる真焔(イグナイト・ノヴァ)》!」

 巨大な、強大な火柱が、10mサイズの『ネハシム・セラフ』を丸ごと包み込む。
 あらゆるものを焼き尽くす《廻転する炎の剣》すら焼却し、《聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな》の治癒機能すら追いつかない。
 《天使の梯子》の超耐久力を超越する火力が、『ネハシム・セラフ』を消失させた。


●戦後処理にはまだ早い。

 残り時間一分以上のゆとりをもって、猟兵たちは『ネハシム・セラフ』の撃破に成功した。
 キング・デュラハンは間一髪、ガンズが《グラハンマー》でコックピットから引っこ抜いて救助していた。
 死にそうなほど丸焦げだが、九死に一生を得て生きているようだ。

 一方で、『イグニシオン』もまた直立不動のまま動かない。
 《星なる真焔》を使用した後は、イグニスの骸魂が休眠状態となり、一定時間行動できなくなってしまうのだ。

「破壊できてよかったが……しばらく動けそうにないか……。
 悪い、あとは任せ……ん?」

 遥翔と『イグニシオン』、そして遥翔に近寄ってきた小百合子やガンズも、不思議な空間に包まれる。
 真昼間のマクドナルド王国の青空に、夜の帳が落ちて行く。
 遠く輝く星の瞬きが―――遠く遠く離れた、光年の彼方で輝く太陽たちの光が、半径110mの内側にいる味方の傷を癒していく。

「夜があなたを呑み込んでしまわないように……」

 《星かげさやかに(ホシカゲサヤカニ)》。
 それは、リアが悠久なる星々に捧げた願いによって、星降る夜に護られた空間を発生させるユーベルコードだ。
 戦った仲間たちを思うリアの、ささやかな癒しのユーベルコードだ。
 各々が火の粉や擦り傷で生じた多少の傷は治癒され、機体の装甲も修復されている。

 『イグニシオン』もまた、再行動を可能とするほどに、回復していた。
 あとついでにキング・デュラハンも意識不明のままだが、治療されていた。

「……あ、あの、ご迷惑だったでしょうか……?」
「そんなことはないぜ。ありがとうよ、リア」

 『イグニシオン』の手を握り、開き、具合を確かめた遥翔がリアに礼を告げる。
 安心したように微笑むリアは少し遅れて、その場にいる一同は気を引き締める。

「うむ。これでわらわたちは全快ということじゃの」
「これにて一巻の終わり! ということにはならぬという訳で?」
「ええ。……まだあと一人、残っているものね」

 一同が視線を向ける先には、マクドナルド王国の合体したスーパーロボットを倒したオブリビオンマシンが浮遊していた。
 そう……まだ、なおも戦おうとするセイヨウ帝国の幹部が一人、残っているのだ。
 長きにわたる、セイヨウ帝国とマクドナルド王国の戦いが、決着の時を迎える。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エヴォルグ伍號機『Blaster』』

POW   :    戦場魔弾警報
【大地から生命力を吸い取り魔弾生成。全銃器】【から高命中の魔弾を撃ち命中した物と自機】【を不可視のラインで繋ぎ生命力を吸収する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    火力集中一条魔弾
全身を【覆う銃器を全て合体し頭部を合体した銃器 】で覆い、自身の【頭部銃器の火力上昇。銃器の総数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    銃火器化身機『Blaster』
【銃火器の攻撃、銃火器を取り込む姿 】に変身する。変身の度に自身の【銃火器、命中率、威力数値】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。

イラスト:FMI

👑11
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●断章:参上! キング・ヴァンパイア!

「ヴァーンパイパイア……。……キング・デュラハン、間に合わなかったか……」

 《スーパー合体》したマクドナルド王国のスーパーロボットたちが地上に転がっている。
 パイロットである王子や王女は無事なようだが、装甲は穴だらけ、武装は大破している。
 それを為したオブリビオンマシンが、猟兵たちの前で滞空している。
 生体キャバリア・エヴォルグシリーズの伍號機『Blaster』。
 戦場の銃火器を取り込み、魔弾を生成して放つ、射撃戦のエキスパートである。

 それを駆るのは、セイヨウ帝国の幹部『プレアデス』最後の一人。
 『キング・ヴァンパイア』。
 新米ではなく、密偵でもなく。最強でもなく、司令塔でもなく。
 作戦の根幹を担う機体を任されたわけでもない、いわば中間管理職だった男だ。

「……。認めよう、地上の戦士たち。俺たちの、セイヨウ帝国の敗北を。
 殲禍炎剣とかいうドクターから推された最後の兵器も不発となった今、もはやお前たちから恐怖を得ることは適わないだろう」

 落ち着いた様子で、キング・ヴァンパイアが静かに敗北を認める。
 頼みの綱である『ネハシム・セラフ』を落とされ、仲間たちは壊滅状態。
 寂寥感に苛まれ、戦意を喪失してもおかしくはない。

「―――だが」

 だが。
 キング・ヴァンパイアが搭乗しているのはオブリビオンマシンである。
 その中でも、屈指の精神汚染効果を持つエヴォルグシリーズである。
 セイヨウ帝国最後の将の瞳には、好戦的な闘志が宿っている。

「俺にも意地がある。責任がある。
 俺を幹部として重用していただいた陛下への忠誠心も、国民たちへの申し訳ないという悔恨も、作戦を遂行できなかった負い目もある!
 ここで、俺だけ戦わずに投降することなど、できやしない!」

 キング・ヴァンパイアの想いに呼応するように。
 操縦者を生体ユニットとして取り込むエヴォルグが歯ぎしりし、その機能を発揮する。
 大地から魔弾を生成し、全身を戦場に散らばる銃器で覆い、その身を銃火器そのものと化していく。
 銃器の翼、銃器の手足、そして巨大な銃器の頭部が、その異形がそびえ立つ。

「悪足掻きと笑え! 無様と蔑め! ただではやられはしないとも!
 俺はセイヨウ帝国プレアデス最後の兵! 吸血の『キング・ヴァンパイア』!
 『Blaster』! 俺たちでこの戦場のすべての血を吸い尽くすぞ!」

 『Blaster』が、白い霧のように散開していく。
 肉眼では捉えられなくなった機体が、戦場を飛び交っていく。

「これが、俺の身体を目に見えないほど小さい霧状に変える能力!
 『ヴァニッシング・ヴァンパイア』!
 霧中から無数の弾丸を放たれる恐怖、たっぷり味合わせてくれる!」

 蠢く白い霧の中から、漆黒の銃口が光る。
 今ここに、セイヨウ帝国プレアデスとの最後の戦いが幕を開けようとしていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ※対空戦、セイヨウ帝国の幹部『キング・ヴァンパイア』の乗るキャバリア『エヴォルグ伍號機『Blaster』』との戦闘です。
  キング・ヴァンパイアは吸血鬼っぽい能力を発揮できる種族であり、身体をコウモリや霧に変えて物理攻撃を回避する能力を活用して『Blaster』の回避性能を向上させています。
  あくまでも銃弾や斬撃などの物理攻撃に対して発揮する回避能力であり、ビーム兵器や焼却兵器、霧のような小さいものでも正確に狙える技には効果はありません。
  また、攻撃する際には霧状になる能力を解除しなければならないため、カウンターにも弱いことが推測されます。
  なお、キング・ヴァンパイアは感情を糧とする西洋妖怪であるため、生き血を啜った経験はありません。

  また、セイヨウ帝国のキャバリアはすべて有毒装甲という生身で接触した対象を無力化する装備を纏っています。
  そのため、ウォーマシンや悪霊のような特殊な条件の人物でない限り、キャバリアなどの乗り物に搭乗して参加することを推奨します。

  プレイングボーナスは、『霧状の敵に有効な攻撃を行う』あるいは、『カウンター攻撃を行う』です。
  どちらか片方が記載されていれば、ボーナスは適用されます。
  皆様、よろしくお願いいたします。
ガンズ・ハルモニア
その意気や良し!
人質に使おうかなって思ったけど仕方ないから使わんとこ。
べ、べつに絆された訳じゃないんだからネ!これは油断とか余裕だ!

ガンキューブinキング・デュラハン(捕獲)から
ガンソルジャーに乗り換え操縦。
ガンビームの制圧射撃にー、
ミサイルの起爆条件変更。空中で時間起爆設定にして発射!
爆破焼却範囲攻撃!

攻撃の為に出てきたキング・ヴァンパイアへ
胸部オブリビオンバスターを発射ー!!

…ラインってさぁあ、中に繋がってるよねぇ…

フェイント『電子纏魔球』発動
主砲を避けられカウンターされた所にカウンター!
ライン接続確認、電子転送システムで生命力吸収ラインを伝って自分をBlaster内部へ放ち、データ攻撃!

有毒装甲の内側に入ったったぞー!!!
ああああ自爆したい複製体の自爆羨ましい!
貴方もそう思う?どうですかそうですね自壊装置作動させたい!
ない!ある!どっちだ。鳥が羨ましい。空自由飛びやがって!
あああああああああああああ!!!!!!!

というわけで機能不全とかで回避能力や戦闘能力を奪う。
一緒に自爆…しよ?


久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
中間管理職って聞くとなんか悲哀を感じるけど、敵ながらその意気やよし。それなら俺も全力で応えないとな。
今回はオーバーロードも解放、イグニシオン・ソーリスに[騎乗]する。

え、待って。キャバリアごと蝙蝠とか霧に変わるってどういう理屈だよ?
こいつは太刀は役に立たなそうだ。額や両掌からの火炎放射主体で行こう。

敵の攻撃はある程度[戦闘知識]でアタリはつけつつ
視界からの攻撃は研ぎ澄まされた[視力]で、死角からの攻撃は[第六感]でそれぞれ[見切り]、[残像]で回避だ。避けきれない分だけ[オーラ防御]で流すぜ。

「どれだけ広がろうとこいつは避けられないだろ?」
戦場すべての敵を焼き尽くす焔のUCで全体攻撃。どれだけ細かく分かれようと全て[焼却]しつくしてやる。
内側から焼きつくす焔だ。細かく分かたれれば分かたれるほど、燃え尽きるまでの時間が短くなる。さっさと元に戻ったほうが身のためだぜ?
敵パイロットは可能な限り[結界術]で死なないように保護する。救出は他の誰かがやってくれそうだし任せるぜ。


鍋島・小百合子
WIZ重視
他の猟兵との連携重視
アドリブ可
引き続き【勝鳥(カチガラス)】騎乗

私情を持って挑まんとする心意気や認めよう
いざ迎えん決戦の火蓋!

まずは牽制目的で弩型びーむらいふる「鴉羽」で範囲攻撃
こちらの武装を敵へ視覚的に知らしめる
敵からの近接攻撃時には薙刀型兵装「霊峰天山」による武器受けで受け流しつつ、真正面から来れば胸部機関砲で反撃(カウンター、咄嗟の一撃併用)
目に見える武器だけだと思うたか?まだあるぞ
機を見ればUC「神鏡浄化光」発動
浄化と神罰の力溢れる光の一撃を裏詠唱文たる魂の叫びと共に【勝鳥】の両目より発射してくれる!(鎧無視攻撃、属性攻撃併用)
「でもりっしょん・ぶらすたあああああッ!」


リア・アストロロジー
「笑いません! 誇り高き将を、尊敬すべき敵を!」

マシンを破壊し敗北を認めるまで戦わなければなのかもしれませんけど
致命的なことにならない内に決着を迎えられるよう戦意を削いでみます

●行動
「バ、バリアー! ……バリアーは無いの? なんで無いのー!!」
「ちゅーん……」

高い火力にパタパタ逃げ回り。

「はぁはぁ。当たらなければそんなに怖いということはな……うきゃー!!」

お返しにユーベルコードで思考や精神に干渉。

「わ、わたしの味わった恐怖をお返ししてあげます……!」

オブリビオンマシンってことは精神汚染があるのでしょうけど…
無事に精神接続出来たら教えても差し支えない情報は伝えます。
捕虜のことや、話し合いの準備が進められていたこと。
クロムキャバリアでは常識っぽい『殲禍炎剣』のこと――どうして皆が怖がっていたのか。
セイヨウ帝国には何故か(なぜ!)情報が抜け落ちて伝わってて、止めなければどうなっていたか。

なのでこうして戦うだけじゃなく、

「ヴァーンパイパイアさんにはまだするべきこと、出来ることがあると思います!」


ティフティータ・トラーマ
アドリブ&連携OK、WiZ熱沙
「ふぅん、貴方が最後でいいのね。普通にやれば面倒そうだけど…。」
霧化する吸血機に対抗するように、機体の翼から黒沙羽根を舞わせると
「霧ごと纏めて灼けば問題ないわね。それに…バラバラに吹き飛ばされても元に戻れるのかしら?」
熱沙嵐で霧を焼きながら、掻き雑ぜ吹き飛ばして
「白木の杭じゃないけど…コレもおまけよっ!」
飛ばされないように実体化した所を狙って、黒いEN矢を撃ち込みます。



●最後の敵を討ち果たすべく。

 『キング・ヴァンパイア』とその愛機『Blaster』がマクドナルド王国の青い空を白く染めていく。
 霧状と化した機体が、猟兵たちを囲むように広く散らばっていく。
 その様子を油断なく見つめつつ、猟兵たちは決戦の準備をしていた。

「ふぅん、貴方が最後でいいのね」

 ティフティータ・トラーマは『ヴァスター・ラジェル』の中から、敵を俯瞰するように高度を保って見下ろしていた。
 取りこぼしが無いように索敵しつつ、静かに高速詠唱による布石を敷いている。

「中間管理職って聞くとなんか悲哀を感じるけど……、敵ながらその意気やよし。
 それなら俺も全力で応えないとな」

 久遠寺・遥翔は『イグニシオン・ソーリス』に騎乗し、オーバーロードを解放する。
 真の姿である蒼い光を纏った鋼の騎士が、キング・ヴァンパイアの意に応じようと気迫を高めている。

「その意気や良し!
 ……これ、人質に使おうかなって思ったけど仕方ないから使わんとこ」

 ガンズ・ハルモニアは先程まで乗っていた『ガンキューブ』から電子の海で創造され実体化した人型兵器『ガンソルジャー』に乗り換えた。
 キング・デュラハンを捕獲した『ガンキューブ』を遠隔操作で戦線から遠ざける様子を、リア・アストロロジーが頬をほころばせて見送る。

「デュラの人、助かってほっとしました。
 ガンズさんが安全なところまで運んでくださるのですね?」
「べ、べつに絆された訳じゃないんだからネ! これは油断とか余裕だ!」

 ガンズを微笑んで見つめていたリアは、表情を引き締める。
 これからの戦いに参加する意思を固めて、『ちゅんちゅんさん』の上からキッとしてキング・ヴァンパイアを見つめる。

「わたしは笑いません! 誇り高き将を、尊敬すべき敵を!
 オブリビオンマシンを破壊し、敗北を認めるまで戦わなければなのかもしれませんけど……。
 致命的なことにならない内に決着を迎えられるよう戦意を削いでみます!」
「うむ。私情を持って挑まんとする心意気や認めよう。
 行くぞ、きんぐ・ゔぁんぱいあ! いざ迎えん決戦の火蓋!」

 鍋島・小百合子は引き続き『勝鳥』に乗り、弩型ビームライフル『鴉羽』を広がる霧へと向ける。
 武器の準備も、戦いへの心構えも、整った。
 今、決戦の幕が開かれた。


●霧中の銃口を穿つために。

「行くぞ、『Blaster』! 奴等にお前の力を見せてやれっ!」

 《銃火器化身機『Blaster』》。
 それは、銃火器の攻撃、銃火器を取り込むエヴォルグ伍號機の権能。
 時を追うごとに銃火器の数が、攻撃の命中率と威力数値が、そして機体そのものの大きさが倍になっていき、負傷すら回復する驚異のユーベルコードである。
 そのユーベルコードの能力が、キング・ヴァンパイアの霧状となる能力と合わさって、霧が段々と拡大していく様を披露している。
 その様子はまさに血を吸って力を増す吸血鬼のようであり、戦場に存在する銃火器を得て強大となっていく。

「……なるほど、ね。倒した敵、倒された味方。
 その機体の銃器すら、取り込んでいくのね」

 散らばった白い霧の塊一つ一つが分裂しながら戦場に展開していく。
 あるものは地上に落ちた『エルゼドール』の魔杖槍を回収し、またあるものはマクドナルド王国のスーパーロボットたちの武装を取り込んで、膨れ上がっていく。
 そして拡充した『Blaster』の霧が猟兵たちに向かい、霧の中から黒い銃器に変身して、次々に猟兵たちを襲っていく。
 銃器からは蝙蝠の翼のようなものを生やし、すばやく戦場を飛翔しているのだ。

「え、待って。キャバリアごと蝙蝠とか霧に変わるってどういう理屈だよ?」
「バ、バリアー! ……バリアーは無いの? なんで無いのー!!」
「ちゅーん……」

 流石に霧に体当たりは通用しないと理解しているのか、リアは『ちゅんちゅんさん』と共に必死に飛び回り、逃げ回っている。
 バリアー展開機能がないのか、『Blaster』の銃撃をひたすら回避行動で凌いでいる。

「こいつは太刀は役に立たなそうだ。火炎放射主体で行こう」

 一方、『イグニシオン』もまたその太刀では霧を捉えることができず、生半可な実弾銃では敵をさらに強大化させるだけとなる。
 遥翔は機体の額や両掌から火炎放射を行うことを選んだ。
 『Blaster』の銃撃の射線を読み、経験則の見切りと第六感で回避して残像すら掴ませない。
 そして引き寄せた『Blaster』の霧に手を向けて放ち、一息で炎の中に飲み込んでいく。
 丸焼きにされた霧から、『Blaster』の残骸が零れ落ちていく。

「くっ……! 焼却兵装持ちか……!」

 『機神焔砲"天照"』。
 イグニスの黒焔を源にしたキャバリア用の火炎放射機構が、点在している霧のオブリビオンマシンを着実に焼き払っていく。

「はぁはぁ。当たらなければそんなに怖いということはな……」
「ならばこっちだ! この丸っこいのなら落とせそうだっ!」
「うきゃー!!」「ちゅーん!」

 一安心したリアを狙い、キング・ヴァンパイアが散開していた『Blaster』を寄せ集め、銃火器を吹かせて狙い撃つ。
 放たれる弾幕と高い火力から『ちゅんちゅんさん』がパタパタ逃げ回っている間に、地上にいる小百合子の『勝鳥』とガンズの『ガンソルジャー』が狙撃と砲撃で霧状の『Blaster』を貫いていく。

「むぅ!」
「此奴にはびーむは有効と見た。わらわが相手じゃ!」
「オゥ、イエス! ガンビーム、制圧射撃ー!」

 『鴉羽』と『ガンビーム』によるビームの範囲攻撃が『Blaster』の霧たちを消し飛ばしていく。
 乱れ撃たれ、広範囲にばら撒かれる制圧射撃が『ちゅんちゅんさん』を魔の手から護り抜く。
 パタパタと、『ちゅんちゅんさん』が『ヴァスター・ラジェル』と合流する。

「た、たすかりました!」
「なに、牽制目的の攻撃よ。これでこちらの武装を奴へ知らしめることもできた」
「おかわりもあるぞー!」

 『ガンソルジャー』の自動追尾『ガンミサイル』が数十発、空へ向けて発射される。
 時間指定で起爆する設定とされたミサイルが、空に広がっている『Blaster』に向かっていって爆発。
 霧を吹き飛ばし、分散していた霧状の機体を焼却していく。
 順調な戦闘が続くが、猟兵たちの攻撃力と『Blaster』の数と回復能力は拮抗している状況にあった。

「ぐぬぬ……! 何という火力……!
 だが、このまま持久戦に持ち込むことができれば!
 数と回復速度で勝る俺たちに有利だ!」
「そうね。普通にやれば面倒そう、だけど……」

 ティフティータは『ヴァスター・ラジェル』の黒い翼をはばたかせ、『ちゅんちゅんさん』を背に庇って前に出る。
 眼下に広がるすべての『Blaster』の所在は、冷静な観察により特定済みだ。
 『Blaster』への対処を仲間たちに任せていたのは、趨勢を傾けるため。
 戦況を有利にする、反撃のためだった。

「霧ごと纏めて灼けば問題ないわね」

 空中戦は己の独壇場だと言わんばかりに。
 開戦より続けていた詠唱を終えて、霧化する吸血機に対抗するように、『ヴァスター・ラジェル』の翼から黒沙の羽根『アルタ・ウイングス』を舞い散らす。

「ハムシーン・カムシーン 煉獄の熱砂よ 嵐となりて吹き荒れよ」
「これは……!?」

 《黒き熱沙は煉獄を成す(シムーン・ジャハンナム)》。
 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する、黒炎と黒沙の二重属性を有する熱砂の嵐を放つユーベルコード。
 その有効射程距離は直線600mほどと、キャバリア戦を考えれば狭い範囲だ。
 だが、『イグニシオン』が焼き払い、『ちゅんちゅんさん』が誘き寄せ、散開していた『Blaster』の数を『勝鳥』と『ガンソルジャー』が削ったことで、《銃火器化身機『Blaster』》の機体はほとんどが射程圏内に収束させられていた。

 《黒き熱沙は煉獄を成す》が、霧を焼きながら掻き雑ぜ吹き飛ばしていく。

「……バラバラに吹き飛ばされても元に戻れるのかしら?」
「く、これは……まずい!」

 霧状から、黒い質感の物理形態へと戻っていく『Blaster』。
 戦場からかき集めた銃火器のほとんどを焼き、吹き飛ばされてもなおその戦闘能力は健在であった。
 だが、もっとも厄介な増殖・回復機能を止めたことで、猟兵たちの反撃の機会がやって来る。


●カオスの権化。

「まだだっ! 『Blaster』、《戦場魔弾警報》発動!」

 マクドナルド王国の大地から、エネルギーが『Blaster』に向けて吸い上げられていく。
 《戦場魔弾警報》。
 それは、大地から生命力を吸い取り、高命中率の魔弾を生成するユーベルコード。
 全銃器から撃ち出される無数の魔弾は、命中した物と自機を不可視のラインで繋ぎ、生命力を吸収する事で、自身の攻撃力・防御力・状態異常力を選択して強化できる恐るべき効果を有している。
 敵の生命力を糧とする吸血鬼らしいその技を……ガンズは目を輝かせて待っていた。

「今って今さー!」

 『Blaster』に向けて駆け出し、『ガンソルジャー』の胴体に輝く『オブリビオンバスター』を天上へと照準する。
 距離を取って見守る仲間たちの視線を背に浴びて、ガンズは瞳の様な模様をしたハイビームキャノンをチャージする。
 それに気づいた『Blaster』が、魔弾の銃口を『ガンソルジャー』へと向ける。

「オブリビオンバスター、発射ー!」
「甘い! 『Blaster』の魔弾を食らえっ!」

 『ガンソルジャー』と『Blaster』、二機が互いに必殺の攻撃を放つ。
 だが、チャージまでの少しのラグを見抜いたか、キング・ヴァンパイアはハイビームを避け、カウンター気味に『ガンソルジャー』へと魔弾を叩き込んだ。
 《戦場魔弾警報》の魔弾は、命中するだけで効果を発揮する。
 直ちに『ガンソルジャー』と『Blaster』の間に不可視のラインで繋がれて……。

 ―――ラインってさぁあ、中に繋がってるよねぇ―――

「的は敵おはよ」
「は?」

 突如『Blaster』のコックピット内部にガンズが現れた。
 目を白黒させるキング・ヴァンパイアの肩に乗り、おじぎをするガンズ。

「僕わ敵意がフレンドでこんにちは」
「こんにちは、って何だお前、どこから入って……!?」

 そう、『オブリビオンバスター』はフェイント!
 ガンズの狙いは、《電子纏魔球(ガンナゲ)》にあった!

 魔弾のラインの接続を逆手に取り、バーチャルキャラクターであるガンズ自身を電子転送システムで送り出し、剛速球で生命力吸収ラインを伝って『Blaster』内部へ放ったのだ!
 要するに敵パイロットへの直接攻撃(ダイレクトアタック)です。
 『ガンソルジャー』から『Blaster』へと乗り移り、コックピットで好き勝手するガンズ。

「憑く土下座こんばんは。有毒装甲の内側に入ったったぞー!!!」
「やめろ! 出てけ、どこを触って、アッダメそれ自爆スイッチ!」

 《電子纏魔球》、それはデータ攻撃!
 ガンズが憑依対象を機能不全や体調不良に包み込み、継続ダメージを与えている!
 ガンズ自身がエキサイト(会話が通じない)=平常運転していると、そのダメージは威力アップだ!
 ……とんでもねぇことをしている。

「うむ、ガンズ殿が首尾よく飛んだようじゃのぅ!」
「あわわ……」「……大変そう、ね」「……やられたくはねぇな」

「ああああ! 自爆スイッチ押したい推したい複製体の自爆が羨ましい!
 貴方もそう思う? どうですかそうですねうん自壊装置作動させたい!
 ない! ある! どっちだ! 鳥が羨ましい。空を自由飛びやがって!
 こっちはフワフワ浮いてるぞどうだ羨ましいかべらぼうめいやっほぉ!
 そんなことよりここを我が拠点とするいいねいいよね異論はあります!
 ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
 ―――そうだ、一緒に自爆……しよ?」

「やめろ、やめろぉぉぉぉ! ちょ、待ってこいつ力強っ!?
 おおおおいっ!!」

 そんな混迷に入り乱れるコックピットに、更なる精神感応が飛んでくる。
 リアの仕業である。


●本当はもっと感動的な説得場面になると思うのです。

 『ちゅんちゅんさん』の上で、リアは落ち着いて目を閉じる。
 リアは、精神感応の為の脳強化に特化したフラスコチャイルドである。
 そのため、行為されるユーベルコードも、ソーシャルディーヴァとしての機能に精通しているものであった。

「長すぎる夜のために」

 《暁を残して(アカツキヲノコシテ)》。
 戦場全体に、リアを核とした精神感応によるネットワークを発生させるこのユーベルコードは、敵にはダメージを、味方には余剰リソースでの代理演算と未来予測による攻撃力と防御力の強化を与える。
 双方向性の情報伝達となる為、互いに影響を及ぼし、精神汚染の危険性等も孕んでいるが……リアは、オブリビオンマシンによる精神汚染のリスクを考慮してでも、キング・ヴァンパイアに伝えたいことがあったのだ。

「……聞こえますか、ヴァーンパイパイアさん」
「誰!? 待って誰!? 俺はキング・ヴァンパイアだからな!?
 あ、ちょっとコイツ待てスイッチに手ぇ伸ばすなぁ!」
「……わ、わたしの味わった恐怖をお返ししてあげます……!」

 忙しいキング・ヴァンパイアに、リアの想いが伝えられていく。
 銃火器に追われていたことを皮切りに、戦いの中で感じた恐怖の感情を。
 そして、セイヨウ帝国の捕虜たちの現状。
 話し合いのための準備が進められていたこと。
 このクロムキャバリアの世界では、地上では誰もが知る『殲禍炎剣』の恐ろしさ。
 止めなければどうなっていたか、その被害を。
 地上に恐怖をと宣っていたセイヨウ帝国が気軽に引き起こそうとした惨状の悲惨さを、リアの感じるがままにキング・ヴァンパイアへと伝達した。

「……そんな……俺たち諸共……? 制御不能、って……。
 だが、ドクターは、そんなことは一言も……足もやめろ」
「わたしたちは、みなさんのことをまだまだ知りません。
 でも、これから知ることはできるんです!
 ヴァーンパイパイアさんにも、まだするべきこと、出来ることがあると思います!」
「キング・ヴァンパイアだからね? ……知ること、か……」

 あわや、説得が通じたかに思えた。
 しかし、リアが激痛に顔をしかめる。
 それは、コックピット内部で激しい応酬が繰り広げているガンズとは無関係のこと。
 自立した判断能力を有するエヴォルグシリーズである、『Blaster』の精神汚染が浸透してきたのだ。
 『Blaster』は、操縦士がコックピットで大変な状況にある上に、敵から精神干渉を受けたことを察して……独自に動き出す。
 いわゆるオートパイロット状態となった。

「ヴァーンパイパイアさん、かならず、助けだしますから!」
「えっ、あっ、自動操縦になって、おい待て青いのぉやめろぉ!」
「ジーバクジーバクジーバク! 自爆戦隊クワトロアクセルゥ!」

 自爆スイッチを押される前に、パイロットを誑かす敵を倒せと『Blaster』が動き出す。


●真なる焔と清浄なる光によって。

 シリアスさを取り戻した『Blaster』が選んだ最後の機能。
 それは、全身を覆う銃器を全て合体し、頭部を合体した銃器で覆い、自身の頭部銃器の火力上昇させるユーベルコード。
 《火力集中一条魔弾》だ。

 集約された銃口は並大抵の防御を貫通する破壊力を誇る。
 すべての銃器の総数に比例した戦闘力増強と、最大で数千km/hに達する飛翔能力を得る火力の権化が、戦場に君臨する。
 動き始めれば狙いを定めることも難しく、何より高空で飛翔することは『殲禍炎剣』を誘発する危険がある。
 すなわち……勝負は一瞬。

「行くぜ、小百合子!」
「応っ、遥翔殿!」

 『Blaster』を上下で挟み込むように、空中の『イグニシオン』と地上の『勝鳥』がユーベルコードを起動する。

「天を裂いて翔けよ、終焉の焔―――」
「我は放つ……輝く神鏡に当てられし聖なる光の柱……」

 二人の起動シーケンスの隙を見抜いた『Blaster』が急加速による回避を試みる。
 遥翔と小百合子の攻撃が放たれるより早く霧状と化して高速機動を行い、後方にいるリアへ攻撃を加えようという判断だ。
 しかし霧化する寸前に、赤い投矢が『Blaster』の頭部に突き刺さる。

「白木の杭じゃないけど……ねっ!」

 実体化した『Blaster』ならば物理は刺さる。
 そして銃火器でなければ、取り込まれることもない。
 冷静に戦況を見続けていたティフティータは《暁を残して》の予測演算と合わさり、『Blaster』の動きを見逃さずに『ベルラ・ダート』を撃ち込んだのだ。
 強力なダメージとはいかないが、出鼻をくじかれた『Blaster』は機を逸した。

 遥翔が。小百合子が。
 飛び切りのユーベルコードを行使する。

「燃やせ! ヴァーミリオン・ヴァニッシャー!」

 《天を摘む終焉(ヴァーミリオン・ヴァニッシャー)》。
 オブリビオン・イグニスの骸魂から放たれる真焔が、『Blaster』を包み込む。
 戦場全体に広がる真焔は避けようがなく、敵味方を識別する炎が『Blaster』を焼いていく。
 遅ればせながらキング・ヴァンパイアの能力によって霧化しようと逃れた部位は、立ちどころに内部から焼却される。
 内側から焼き尽くす延焼の状態異常が、細かく分かたれれば分かたれるほど、効果を発揮するのだ。

「どれだけ広がろうとこいつは避けられないだろ?」
「ぎゃああああ!? あっつぅぅぅぅ!?」
「さあさあ燃え上がってきましたよ皆々様ヒュー!」

 コックピットにいるガンズとキング・ヴァンパイアは味方識別して延焼から除外しているようだが、『Blaster』はひとたまりもない。
 そこへ、十分に詠唱し、充填した小百合子のユーベルコードが放たれる。

 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する、聖気と祝福に満ちた光属性の破壊光線。
 オブリビオンマシンから搭乗者を解放するための、渾身の一撃。
 浄化と神罰の力溢れる光の一撃が、裏詠唱文たる小百合子の魂の叫びと共に……『勝鳥』の両目より発射される。

「……貫け! でもりっしょん・ぶらすたあああああッ!」

 《神鏡浄化光(チヌラレタフジョウスラメッスルヒカリ)》が、『Blaster』を貫く。
 あらゆる防御手段は焼き尽くされ、回避する間もなく、『Blaster』はその根幹たる頭部の銃器を消失する。
 残されたコックピットでガンズが自爆スイッチを押すことは叶わず……しかし、『Blaster』は戦闘を継続することができなくなり、ゆっくりとその機体は地上へと落下していくのだった。


●戦いが終わり。

 (主に精神的に)疲労困憊のキング・ヴァンパイアを『Blaster』から引き摺り出し、ガンズは彼をキング・デュラハン共々護送していく。
 負傷した彼らをリアが応急手当を施しているため、命に別状はないだろう。
 セイヨウ帝国の幹部は、皇帝を除いて六名。
 今、マクドナルド王国にて捕虜となった幹部もまた、六名。
 これ以上セイヨウ帝国が襲撃して来る可能性は低く、逆にこちらから赴くことができるだろう。

「しかし、地下帝国とは何なのじゃろう?」
「……さあ、ね。わからないけど、……ここはしばらく、落ち着くんじゃない?」
「ああ。何にせよ、みんなが無事で何よりだ!」

 マクドナルド王国の臣民たちが、戦いに勝利した猟兵たちのキャバリアを見上げ歓声を上げる。
 この日、この国の平和は猟兵たちによって取り戻された。
 いつかまた、何か起こるその時まで……人々は穏やかな日々を送ることだろう。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月05日


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#地下帝国
#マクドナルド・クエスト


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は天音・優歌です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト