悪徳と腐敗の奴隷工場
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「新たに発見された『サイバーザナドゥ』の世界で、とあるメガコーポ傘下の悪徳企業が、低賃金労働者を掻き集めて自社オフィスの地下工場に幽閉しているようです」
そこは巨大企業群(メガコーポ)が支配する近未来の地球。環境破壊は悪化の一途を辿り、骸の海による汚染から生き延びるために人々は機械化義体(サイバーザナドゥ)に肉体を換装する。社会モラルは崩壊し、力なき者達が企業の横暴に苦しめられる世界だ。
「この地下工場では従業員の人権を無視した奴隷労働によって、違法な武器の製造が行われています。ここで作られた武器は傘下のヤクザなどに横流しされ、メガコーポの軍事力拡大の一端を担っているようです」
何故このような無法が見過ごされているのかと言えば、メガコーポの力は警察にも及んでいるからだ。たとえ心ある市民や警察官が企業の違法を訴えても、買収された上層部は「証拠不十分」としてそれを揉み消してしまう。
「警察が当てにならない以上、労働者達を救うには実力行使しかありません」
企業の地下工場は厳重に警備されており、その中にはオブリビオンも存在する。ここから人々を救い出せるのは、ユーベルコードの力を持つ猟兵をおいて他にはいないだろう。
「地下工場を運営する企業のオフィスがある区域は、メガコーポの傀儡と化した警察組織によって厳重に封鎖されています。まずはこの警備を突破する必要があります」
悪事を見過ごすばかりか加担するほどに腐敗しきった警察に遠慮は無用――とはいえ、穏便に済ませられるのならそれでも構わない。警備の眼をかいくぐって検問をすり抜けるもよし、カネの力で買収するもよし、実力行使でぶちのめすのもよしだ。
「封鎖を突破して地下工場に潜り込めたら、次は警備のオブリビオンを撃破して下さい」
工場内には労働者達を恐怖と暴力によって無理やり働かせているオブリビオンの集団がいるはずだ。そいつらを倒せば人々を救出することができるだろう。もちろん労働者達を戦闘に巻き込まないよう配慮は必要となる。
「そして、どうやらこの工場を運営する企業の代表者もオブリビオンのようです」
工場内で異変が発生すれば、代表者自らが事態解決のためにやって来る可能性もある。
もしも工場の稼働が停止するようなことになれば、メガコーポの怒りを買うのは確実。自身の進退のためにも全力をもって猟兵を排除しようとするだろう。
「逆にここで代表者を返り討ちにできれば、企業自体を潰すこともできます」
メガコーポの傘下企業は無数に存在し、そのうちの一社が潰れたところで向こうにとっては痛くも痒くもないだろう。それでも、強大なメガコーポの力を末端から少しずつ削いでいくことが、腐敗と退廃を極めたこの世界を変える切っ掛けになるかもしれない。
「代表を倒すことができれば、そのオフィスからメガコーポ傘下であることを示す資料を回収できます。これがあれば、いずれ巨大なメガコーポに一矢報いれるかもしれません」
悪徳と無法がまかり通る世界で、猟兵達の使命は変わらずオブリビオンを倒すことだ。
メガコーポがオブリビオンを使役して世界の汚染を進めているのなら、彼らもまた猟兵が対峙すべき敵となるかもしれない。
「説明は以上です。新世界での初の依頼となりますが、どうかよろしくお願いします」
そう言ってリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、サイバーザナドゥへ道を開く。
汚染された大地、機械化された人間、全てを支配する巨大企業。モラルなき混沌とした世界で、新たな戦いが始まる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
やってきました新世界。今回のシナリオはサイバーザナドゥにて、メガコーポ傘下の企業が運営する奴隷工場を壊滅させる依頼です。
1章はメガコーポに買収された警察による封鎖を突破するシーンです。
工場のある区域を封鎖しているのは、カネに目がくらんだ典型的な汚職警官で、モラルも勤労意識も壊滅しています。
武力で猟兵にかなう相手ではないので適当にぶちのめしても良いですし、穏便に見張りをすり抜ける、賄賂を握らせて買収するなど、様々な方法が有効になります。
首尾よく封鎖を抜ければ、2章は工場内にいるオブリビオンとの集団戦です。
工場にいる労働者達はこのオブリビオンによって幽閉され、奴隷のような労働を強いられています。恐怖と疲労により抵抗する意思すら失っているようです。
ここで敵集団を撃破すれば、人々を工場から救出することができます。
3章は工場を経営する企業の代表者とのボス戦です。
メガコーポ傘下のいち企業の代表とはいえ、オブリビオンとしての実力は高いですが、この者を撃破すれば企業は再起不能となり、奴隷工場が再開されることもなくなるでしょう。
また、この企業がメガコーポと繋がりのあった確かな証拠を握れば、いずれメガコーポの横暴に一矢報いるための布石になるかもしれません。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『封鎖区域潜入』
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POW : 腐敗した警察を実力行使でぶっ飛ばす
SPD : 警備の目をすり抜け、素早く侵入する
WIZ : 敢えて警察の目を惹き付け、仲間の潜入をアシストする
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ミツバ・カナメ
悪い人に警察まで協力してるとか、もう情けないんだからー!
こうなったら、あたしが何とかするしかないよね!
というわけで正面から乗り込むよ。
「これからここの工場の強制捜査に入ります!」
令状?あたしの手帳が捜査令状だよ!
(デジ・シェリフを掲げつつ)
とか言いつつUC発動。
この工場にかかってる容疑は、拉致監禁しての違法な長時間労働の強制、そして違法な製品の生産!
警察なら、これへの捜査に協力するよね?
と言って強行突破しにかかるよ。
妨害しようとしても、それは悪事と知った上での加担になるからUCの効果で成功率半減するはず。
そのまま通り抜けて工場へ向かうよ。
「悪い人に警察まで協力してるとか、もう情けないんだからー!」
この世界のとある警察署に勤める武装警官、ミツバ・カナメ(みんなを守るお巡りさん・f36522)は、企業の汚職に加担する同僚がいると聞いて大いに憤慨していた。彼女の職場でもそうだが、モラルの朽ちたこの世界で社会正義を貫ける人間はとても少ない。
「こうなったら、あたしが何とかするしかないよね!」
その数少ない1人であるミツバは、まっすぐな正義感を抱えて今回の事件解決に挑む。
相手が巨大企業群(メガコーポ)の手先だろうと関係ない。そこに困っている市民がいるのなら、助けに行くのがお巡りさんのお仕事だ。
「これからここの工場の強制捜査に入ります!」
というわけで正面から乗り込むことにしたミツバ。件の工場のある区域を封鎖している警官達は、突然やって来た見知らぬレプリカントの婦警に心底面倒くさそうな顔をする。
「なんだお前。捜査なんて聞いてないぞ」
「令状はちゃんとあるんだろうな?」
彼らからすれば、ココはただ突っ立って見てみぬフリをしているだけでカネが貰える、最高の勤務地なのだ。この先で何が行われているのか彼らも薄々知っているのだろうが、それを正そうとは考えない。嘆かわしきはこんな警官が世の中に蔓延っている現状だ。
「令状? あたしの手帳が捜査令状だよ!」
そんな腐った同僚の鼻先に電子式警察手帳「デジ・シェリフ」を突きつけて、ミツバは強引に封鎖の検問を抜けようとする。横紙破りになることは承知の上だが、そんなもので正義の心は止められないのだ。
「この工場にかかってる容疑は、拉致監禁しての違法な長時間労働の強制、そして違法な製品の生産! 警察なら、これへの捜査に協力するよね?」
「は、はぁ? なにを言ってるんだ」
「この先にあるのは真っ当でクリーンな工場だ。俺達の上司からも"そう聞いている"」
小柄な身の丈にあわぬミツバの剣幕に気圧されつつも、警官達はシラを切ろうとする。
上層部もこの件に関わっている以上、組織としての警察は動かない。だからお前も知らんふりをしたほうが身のためだと、暗に脅しまでかけてくる始末だ。
「本当は違法だって分かってるくせに! 協力しないのなら、あたしだけでも行く!」
「お、おい待てっ……!」
怒りで荒っぽくなった勢いのままに、ミツバは封鎖を強行突破しにかかる。警官たちは慌てて止めにかかるが、その動きだしは鈍く、掴みかかる手はするりと躱されてしまう。
「な、なんだ? 体がうまく動かねえ……」「こんな時にボディの不調か?」
当人らは機械化義体(サイバーザナドゥ)の不具合を疑ったが、それは違う。ミツバの発動した【絶対秩序空間】の法則が、彼らの行動を阻害したのだ。法の下の秩序を敷いたこの領域では、当該世界における社会ルールの絶対遵守が求められる。
「ルールは守らなきゃダメなんだからね!」
それが悪事と知った上で加担する者達の妨害は、絶対秩序の妨害に阻まれ成功しない。
ミツバはそのまま封鎖をすり抜けて、問題の工場にダッシュで向かう。汚職警官たちが後を追おうとも追いつけず、「待てっ!」と叫ぶ声もすぐに遠ざかっていった。
「くそ……バカ正直に突っ込みやがって……!」
なぜ彼女がこうまでして真面目に職務に励むのか、この連中には分からないだろう。
例えその献身が報われずとも、悪徳に満ちた世界で己の正義を見失わない。その在り方は骸の海の汚染にも負けぬ、気高いものだった。
大成功
🔵🔵🔵
堂島・アキラ
せっかく猟兵になったんだ。景気づけに企業の一つや二つぶっ潰しておかねえとな!
作戦なんざいらねえ。正面から突破してやるよ。
門があろうがバリケードがあろうが関係ねえ。【ザナドゥの死神】で攻撃力を高めたオレの拳で全部ぶっ壊してやる。
警備の連中が邪魔してくるだろうが防御力も上がってる今なら何されても効かねえよ。
その代わり移動も遅くなっちまってるが……ま、ゆっくり歩いて行こうじゃねえか。
警官どもが束になってもオレの歩みは止められねえんだからよ。
「せっかく猟兵になったんだ。景気づけに企業の一つや二つぶっ潰しておかねえとな!」
気合十分といった様子でそう叫ぶのは、美少女型の機械化義体(サイバーザナドゥ)に肉体を換装した男、堂島・アキラ(Cyber×Kawaii・f36538)。猟兵としての緒戦をハデに飾るべく、奴隷工場のある封鎖区域の入り口までやって来た。
「作戦なんざいらねえ。正面から突破してやるよ」
企業や公権力に真っ向から逆らうことを厭わない姿勢は、自由を愛する叛逆者――に、見せかけて実際には好き勝手暴れたいだけだったりする。己の欲望に忠実でジャンキーでナルシストな、パンクなこの世界の住人にある種ふさわしい人物でもあった。
「おらおら、怪我したくなかったらそこをどきな!」
「な、なんだ貴様は?」
のしのしと肩で風を切って歩いて来るアキラを、警官達は最初ただの不良かと考えた。
著しくモラルの低下した世の中では、この手のチンピラの類は珍しくもない。イキって絡んでくる輩を適当にのして追い払うのも、彼らの仕事の内なのだが――。
「この先は立ち入り禁止――」
「うるせぇ!」
今回ばかりは相手が悪かったと言わざるを得ない。義体の見た目に騙されて無警戒に近付いてきた警官は、強烈なパンチを顔面にお見舞いされ「ごはぁッ!?」と悲鳴をあげて吹っ飛ぶ。可憐な少女の細腕から繰り出されたものとは思えない出力だ。
「門があろうがバリケードがあろうが関係ねえ。オレの拳で全部ぶっ壊してやる」
アキラはそのまま【ザナドゥの死神】を発動し、封鎖区域にゆっくりと近付いていく。
漆黒の闇に全身を覆われたその姿を見れば、誰もが気付く。彼がただの無頼漢でなく、死神と畏れられし全身武装傭兵、デスブリンガーだということに。
「こ、こいつの顔、どこかで……そうだ、企業の懸賞金リストの中に!」
「今さら気付いても遅えよ」
にやりと凶暴な笑みを浮かべながら、バリケードに拳を叩きつける。分厚いコンクリと金属製の壁はビスケットのように砕け、ぽっかりと大きな穴が開く。道がなければ自分の手で作るのが"壊し屋"の流儀だ。
「くそっ、それ以上動くな!」
警察の連中は慌ててアキラを止めようとするが、ユーベルコードの効果で攻防ともに強化されている彼にはどんな妨害も通じない。しょせん公僕が持たされているレベルの装備では、義体のスキンに傷すら付けられないだろう。
「今なら何されても効かねえよ。その代わり移動も遅くなっちまってるが……ま、ゆっくり歩いて行こうじゃねえか」
鈍重な足取りで一歩一歩、拳で道を作りながら進む。銃で撃たれようが包囲されようがお構いなしに。邪魔ならぶちのめすし、そうでないなら無視する。ただそれだけのこと。
「警官どもが束になってもオレの歩みは止められねえんだからよ」
「く、くそぉっ……!」
圧倒的な実力差を見せつけられた警官達は、悔しそうに歯噛みしながら撤退していく。
自分達の手には負えない相手と悟ったのだろう。逃げていく彼らを満足げに眺めつつ、アキラは件の奴隷工場に向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ネロ・アンドラス
「ファントム❗💢💢💨洪水の絵本1ページ❗💢」汚職警官に対し大量の洪水で範囲攻撃❗「次❗2ページピラニア大量放出💢」更に大量のピラニアで範囲攻撃❗「俺はな❗てめえらみたいな糞共が大嫌いなんだ❗次❗3ページ大量の電気鰻放出💢」続けて大量の電気鰻の範囲攻撃❗更に片腕をワイヤークローアームに変換させ隊長みたいな奴を捕まえ「お前みたいな奴は特別に死のメリーゴーランドを体験させてやる❗」勢いよくぶん回して投げる❗「待ってろよ❗必ずボスをぶっ飛ばす💢」怒り心頭のまま玄武号に乗り汚職警官を突破するネロであった。
「ファントム❗💢💢💨 洪水の絵本1ページ❗💢」
メチャクチャに機嫌の悪そうな様子で、怒鳴るように指示を出すのはネロ・アンドラス(バイオモンスターの殺人鬼・f33761)。彼の分身である偽神兵器「ファントム」は、その命令に応じて「洪水の絵本」のページを捲った。
「ん? なんだ、この音は……?」
封鎖区域の前で見張りをしていた警官達は、ふいにドドドという音を聞くことになる。
地を揺るがすような響きと共に迫るのは、大量の水。どこぞのダムでも決壊したのか、数メートルにも及ぶ津波が突如として都市を襲った。
「つ、津波だぁっ!」「バカな、ここは内陸だぞ?!」
なぜこんな場所でそれが発生したのか分からぬまま、警官達は逃げる間もなく波に飲まれていく。水の勢いはそこで止まらず、区域を封鎖するバリケードにも打ち付け、圧力で壁を傾かせる。
「次❗ 2ページピラニア大量放出💢」
ネロがさらに怒号を上げると、ファントムがまた絵本を捲る。すると今度はページに描かれたピラニアの群れが本の中から飛び出してきて、津波に乗って警官に襲い掛かった。
「俺はな❗ てめえらみたいな糞共が大嫌いなんだ❗」
法と正義を守るべき立場にありながら、強きにおもねり弱きを見捨て、警察という立場を悪用して私腹を肥やす、腐った公僕ども。この手の輩はネロが死ぬほど嫌うものの1つであり、容赦という単語はもはや頭の中から消え去っていた。
「次❗ 3ページ大量の電気鰻放出💢」
「「ぎゃああぁぁぁぁぁぁっ
!!!!?!」」
ピラニアに齧りつかれた汚職警官達を襲うさらなる脅威は、高圧電流を発する電気鰻。
肉体を機械化したこの世界の住人にとって、それはまさに致命的な攻撃だろう。悲鳴の大合唱が響き渡った後には、プスプスと煙を上げるずぶ濡れの糞が大量に出来上がった。
「ひ、ひぃっ、助けてくれぇっ」
「お、おい! 逃げるんじゃな――ぐえッ?!」
ほとんどがパニックになって逃げだす中で、ここの隊長格と思しき警官だけは持ち場を離れるなと叫んでいた。が、その首根っこをがっしりと巨大なクローアームが捕まえる。
「お前みたいな奴は特別に死のメリーゴーランドを体験させてやる❗」
アームに繋がったワイヤーの向こう側には、怒りの蒼炎を片目に宿した狼男がいた。
彼がぐいとアームを引っ張ると、警官隊長の体は軽々と宙に持ち上がり、ブオンブオンと勢いよくぶん回される。
「ひいぃぃぃぃっ!!?」
遠心力による凄まじいGを体感しながら、悲鳴を上げる警官隊長。アトラクションと呼ぶには危険すぎる【死のメリーゴーランド】を体験した彼は、しまいにぽいっと近くのゴミ捨て場めがけて投げ捨てられる。
「ゴミはゴミ箱に❗」
「ぶげぇッ!!」
ダストシュートに見事ゴールインした男は、そこに突き刺さったきりピクリとも動かなくなる。他の連中も大半は津波に飲まれるかピラニアと電気鰻の餌食となるかで、職務を果たせるような状態の者はひとりも居なくなっていた。
「待ってろよ❗ 必ずボスをぶっ飛ばす💢」
邪魔な汚職警官をぶちのめしたネロは怒り心頭のまま巨大重装甲車「玄武号」に乗り、封鎖区域のバリケードを突破する。目指すはもちろんこの先にあるという企業の工場だ。
糞どもを利用して奴隷工場なんてものを経営している超弩級のクソ野郎がそこにいる。今にも爆発しそうな――いや既に爆発中の怒気をはらんだまま、彼は爆走するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
なるほど。正義感の強い武装警官もいるって聞いたけど、ほとんどが退廃した汚職警官なんだね。数は多いけど、この程度の練度ならわけはないね。
迷彩魔法で目立たないようにして、空中浮遊で空から突破しちゃうよ。
もちろん、監視システムにはハッキングをしかけて警報がならないようにするよ。
さすがにサイバー技術が高くてセキュリティも頑丈だけど、ぼくにかかればおちゃのこさいさいだよ。足跡すら残さないってね。
気配に敏感な人がいれば気づかれるかもと思ったけど、そこまで真剣に見張ってる人もいないね。簡単なもんだよ。
「なるほど。正義感の強い武装警官もいるって聞いたけど、ほとんどが退廃した汚職警官なんだね」
モラルの崩壊した社会における"一般的な"警察官のありようを見て、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は学びを得たように頷く。カネと企業が支配するこの世界において、社会的正義など飯の種にはならないのだろう。
「数は多いけど、この程度の練度ならわけはないね」
肉体を機械化義体(サイバーザナドゥ)に置換することで生身よりも強靭な体を得ていようと、中身は汚職に染まった人間のクズである。真面目に職務に励むような意識もない連中に、彼女が遅れをとるはずがなかった。
「へーんしん! てね」
アリスは【性質変化】により飛翔力が増加する天使(エンジェル)モードに変身して、空から封鎖を突破しようと試みる。白い羽根をぱたぱたと羽ばたかせて浮遊する彼女を、見咎める者は誰もいない。
「本日も異常なーし、ってな」「ぎゃはは、異常なんてあるわけねえって」
これは連中の不真面目さも原因だが、目立たないようにとアリスが自分にかけた迷彩魔法の効果でもある。くすんだ灰色の空に溶け込んだ彼女の姿は、よほど注意深く見ていなければ気付けないだろう。
(重要な区域なら、警備が人の手だけに任されてることはないよね)
当然というべきか、監視区域の内外周辺には不審な侵入者を監視するシステムがある。
怠惰という感情のない機械の目は、汚職警官のそれよりずっと厳しい。しかしアリスはそのシステムにハッキングを仕掛けて、警報が鳴らないように細工をしていた。
(さすがにサイバー技術が高くてセキュリティも頑丈だけど、ぼくにかかればおちゃのこさいさいだよ)
現実すら書き換える高度な情報操作能力が、情報妖精アリスの特技である。見る者によってそれは達人級のハッカーとも魔法使いとも映るだろう。これまで数々の世界で高度なメカニズムにも触れてきた彼女には、これしきの電子防壁ではまだ歯ごたえが足りない。
(足跡すら残さないってね)
アリスの侵入も介入も何ひとつ検知できぬまま、全ての監視システムは「異常なし」と伝える。それを良いことに見張りの警官達は相変わらずくだを巻いており、呑気に煙草を吹かしたり酒を飲んだり、勤務中とは思えない態度を取っている。
(気配に敏感な人がいれば気づかれるかもと思ったけど、そこまで真剣に見張ってる人もいないね)
予想をはるかに下回るレベルで、連中の練度は低く警戒はザルだった。あっさりと封鎖のラインを飛び越えたアリスは、警官達の姿が見えなくなったところで迷彩を解除する。
「簡単なもんだよ」
自分の家の塀をくぐるような気楽さでアリスは笑って、奴隷工場のある企業を目指して飛んでいく。願わくばこの先には歯ごたえのある相手が待っていることを期待しながら。
大成功
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カビパン・カピパン
地下工場で役職を得た猟書家カビパンという特別顧問。
彼女は前の奴隷労働体制が天国であったかのような、徹底したコストカット最低賃金とギリギリの労働時間など恐怖の働き方改革を行い、企業悪のカリスマとしてここに君臨していた。
「武器の製造が遅れているぞ。それとも…ここより厳しい労働環境を望むか?」
「メガコーポの執行役員と連絡は取れたか?まだだと!カビパンからと伝えろ!」
「警察の捜査か…一部正義を気取る奴もいるから、念のため書類をシュレッダーに掛け、重要なデータは私の隠し金庫に入れておけ。あしらったら区域を封鎖している警察も邪魔だ、丸ごと追い払え」
「まったくここの地下工場は私がいないと何も出来ないのか!」
「武器の製造が遅れているぞ。それとも……ここより厳しい労働環境を望むか?」
猟兵達が続々と封鎖区域に侵入する中で、ひと足速く工場まで到達する猟兵が居た。
彼女――カビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)はどのような手段を用いたのか、猟書家カビパンという特別顧問として地下工場で役職を得ていた。
「い、いえっ。滅相もございません!」
その指導内容はとてつもなくスパルタなもので、前の奴隷労働体制が天国であったかのようなレベル。徹底したコストカット最低賃金とギリギリの労働時間など恐怖の働き方改革を行い、企業悪のカリスマとしてここに君臨していた。
「メガコーポの執行役員と連絡は取れたか?」
「い、いえ、それがまだ……」
「まだだと! カビパンからと伝えろ!」
カビパンはそれでもなお満足はしていない様子で、他の職員達に怒号を浴びせまくる。
たぶん伝えたところで絶対スルーされると思うが、この企業を傘下に収めるメガコーポに取り入ることまで考えている様子だ。
「そ、それとさっきから外が騒がしくて……もしかしたら警察の捜査かもしれません」
残念ながら職員からの報告はカビパンを喜ばせるようなものではなく、むしろ危機を伝えるものだった。警察上層部への買収は済ませてあるものの、ひとりひとりの警官の対応までは分からない。最近は猟兵とかいう連中が活動しているらしいとも聞く。
「警察の捜査か…一部正義を気取る奴もいるから、念のため書類をシュレッダーに掛け、重要なデータは私の隠し金庫に入れておけ」
他ならぬそうした侵入者で猟兵の一人であるカビパンは、そしらぬ顔して指示を出す。
証拠さえ見つからなければ警察は何もできまい。法の目を誤魔化すための対策は手慣れたもので、流石は特別顧問になれただけのことはある。
「あしらったら区域を封鎖している警察も邪魔だ、丸ごと追い払え」
「え? そっちも纏めてですか?」
「そうだ。早くしろ!」
「は、はいっ!」
だが矢継ぎ早に出される指示の中に、逆にここの警備を緩めるような内容のものが含まれていることに他の職員は気付けなかった。封鎖を行う警官の数が減れば、猟兵達の侵入は容易になる。敵に寝返ったように見せかけて彼女は味方の手助けをしていたのだ。
「まったくここの地下工場は私がいないと何も出来ないのか!」
――あるいはマジで寝返ったのではと疑うくらい、堂に入った悪の経営者っぷりだが。
何にせよ彼女の行動が工場に混乱をもたらし、警備に隙を作ったことは事実であった。
横暴なる猟書家カビパンのいる奴隷工場に、猟兵達がたどり着くまであと少しだ――。
大成功
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四王天・燦
労働者も経営者も資本主義の奴隷だね
解放するだけで果たして救いはあるのやら
陽動だけでなく退路の確保もかねて御狐祭儀のだんじりに乗って突撃します
道交法違反と言われてもだんじりは急には止まれない!
轢かれたくなきゃ退けと大声で警告
致命傷には一応気を遣いながら邪魔する警官を蹂躙して恐怖を与えるよ
銃を向けられたら弓部隊は威嚇射撃、呪符部隊は呪詛で警官の体力をごっそり奪ってもらいましょ
お寝んねを勧めるぜ
だんじり特攻なんざ止められるわけもないと上層部に言い訳立つでしょ?
職務熱心な世間知らずはアタシ自ら神鳴の峰打ちで気絶攻撃かましてやるよ
わあいドロップアイテムで警察手帳げっとだぜ♪
今度の偽造の見本にしましょー
「労働者も経営者も資本主義の奴隷だね」
企業とカネに踊らされる人々の有り様を、四王天・燦(月夜の翼・f04448)は皮肉をこめてそう言った。環境が破壊されメガコーポが絶大な力を握ったこの世界では、彼女が言う所の"奴隷"でない人間のほうが珍しいのだろうが。
「解放するだけで果たして救いはあるのやら」
労働者達の将来は分からないが、いずれにせよオブリビオンの気配がそこにあるなら、猟兵として放置する事もできない。やれやれと肩をすくめつつ燦は封鎖区域に向かった。
「祭りのはじまりだ!」
燦は陽動だけでなく退路の確保も兼ねて、【御狐祭儀】により召喚した巨大なだんじり(神輿)に乗って突撃する。わっしょいわっしょいと勢いよく向かってくるそれを見て、驚いたのは警備を担当する警官達だ。
「な、なんだ? おい止まれ!」「ここで祭りの許可は出してないぞ!」
「道交法違反と言われてもだんじりは急には止まれない!」
銃を構えて叫ぶ警官に、燦も負けじと叫び返す。だんじりの上には彼女だけでなく弓矢や呪符で武装した白狐の戦士の幽霊が大勢乗っており、一戦交える用意は万端であった。
「轢かれたくなきゃ退け!」
大声で警告を発しながら、燦を乗せただんじりはスピードを緩めず封鎖に突っ込んだ。
暴走車両の如きそれから警官達は慌てて退避するが、間に合わずに轢かれる者も出る。
「ごふぁッ?!」「げはッ!!」
悲鳴を上げて撥ね飛ばされる警官達。致命傷には一応気を遣われているが、しばらくは起き上がってこれまい。驚異の爆走だんじりはそのまま立ちはだかる輩を蹂躙し、邪魔する者達にとっての恐怖の象徴となる。
「や、ヤベェぞあいつ……」「怖気づくな! 撃て撃て!」
正面から立ちはだかる愚を悟った警察は、遠巻きに射撃でだんじりを止めようとする。
だが銃を向けられた燦に怯む様子はなく、白狐の戦士達に速やかに迎撃の指示を出す。
「弓部隊は威嚇射撃、呪符部隊は呪詛で警官の体力をごっそり奪ってもらいましょ」
この世界の常識に照らせばレトロでオカルティックな武装が、リアルな威力と呪力を伴って敵に襲い掛かる。霊験あらたかな御狐様の破魔矢と呪符だ、俗世の業にまみれた汚職警官にはさぞかし良く効くことだろう。
「な、なんだこれは……ぐはぁっ!」
だんじりからの反撃を受けた警官達は、驚きながらばたばたと地面に倒れ伏していく。
それを上から見下ろしながら、燦はにやりと得意げな笑みを浮かべて彼らに言い放つ。
「お寝んねを勧めるぜ。だんじり特攻なんざ止められるわけもないと上層部に言い訳立つでしょ?」
「く、クソがっ、バカにしやがって!」
職務熱心――と言うよりは意地で退けなくなった世間知らず共がまだ向かってくるが、そんな輩には燦自ら愛刀「神鳴」の峰打ちをかましてやる。抜手も見せぬ瞬速の太刀は、サイボーグの意識すら一撃で刈り取る威力だ。
「がはっ……」
糸が切れたようにばったりと気絶する汚職警官。燦はその懐をおもむろにまさぐると、内ポケットに入っていた手帳を取り出し、にんまりと笑いながら自分のポッケに入れる。
「わあいドロップアイテムで警察手帳げっとだぜ♪ 今度の偽造の見本にしましょー」
今後もこの世界で活動する上でいろいろと役立ちそうなアイテムである。妖狐のシーフは悪巧みを考えつつも再びだんじりに乗って、封鎖の先にある工場へと向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
船内の社会構造が末期となった故郷の宇宙船を彷彿とさせますね、この世界は
ネットワークに潜り羽振りの良い汚職警官をマーク
懇ろになり甘い汁を吸っていたハッカーの拠点を襲撃して確保完了
さて、漸く次の段階に移れますね
(ワイヤーアンカーを端末に強制有線接続)
時間はたっぷりあります
物資の密輸依頼などのデータログを修復
遣り取りの情報を元に電子上でハッカーに成り済まし
汚職警官に“何時もの商談”を持ち掛けましょう
騎士を志す身で零すのは余り宜しくありませんが、やはり密談は“顔を突き合わせて二人きり”に限りますね
依頼するのは企業の目を盗んでの物資の密輸
思考戦車のパーツが入ったコンテナといたしましょう
…中身は私ですが
「船内の社会構造が末期となった故郷の宇宙船を彷彿とさせますね、この世界は」
肥大化した技術と経済、それに反比例するように地に落ちたモラル。サイバーザナドゥの雑然とした街並みを見渡しながら、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は故郷の暗部とも言える光景を連想していた。
「こちらの場合、世界全体が似たような状況にあるという点でより深刻ですが」
歯止めのきかぬメガコーポの暴走により、世界の汚染は今も進んでいる。これに待ったをかけられる者が居るとすれば、それは猟兵のように力ある者だけだろう。ひとまず今回は傘下企業の悪事を止め、囚われた人々を救い出すことに集中しよう。
「ここが情報にあった地点ですね」
そう言ってトリテレイアがまず向かったのは、奴隷工場のある封鎖区域ではなかった。
彼は事前にこの世界のネットワークに潜って、封鎖を担当する羽振りのいい汚職警官の動向をマークしていた。その結果、この警官と懇ろになり甘い汁を吸っていたハッカーの拠点を突き止めたのである。
「お邪魔いたします」
「なッ、なんだお前?! ぐえッ!」
拠点襲撃から確保完了まで、彼の実力にかかれば2分とかからない。相手もそれなりに腕の立つハッカーだったのだろうが、物理戦闘で機械騎士に敵うような備えはなかった。
「さて、漸く次の段階に移れますね」
ハッカーの拠点を確保したトリテレイアは、マルチジャックを兼ねたワイヤーアンカーを端末に強制有線接続する。セキュリティとロックの解除に2秒、保管された情報の全てを閲覧可能になるまで10秒弱。
「時間はたっぷりあります」
警官と共に企業の汚職に関わっていたハッカーの端末だ。その中には物資の密輸依頼等のデータログもある。もちろん履歴は削除されていたもののすぐに修復し、取引相手との遣り取りの情報を元に、彼は電子上でこの端末の持ち主に成り済ます。
『よう、元気か。仕事(ビズ)の話がしたい』
『OK、いいぜ』
ネットワークで汚職警官に"何時もの商談"を持ち掛けると、相手はすぐに乗ってきた。
【鋼の擬似天眼】により全情報を解析したトリテレイアの偽装は、素人に見抜けるものではない。画面の向こうにいるのがいつものハッカーだと相手は疑ってもいないだろう。
(騎士を志す身で零すのは余り宜しくありませんが、やはり密談は"顔を突き合わせて二人きり"に限りますね)
いつ、どこに居ても他者と繋がれるのは便利だが、逆にそれを利用して人を欺く方法もある。今回に関しては悪事を働いていた向こうの自業自得だが、悪巧みにこそ信用と保証が重要なのだということを実感させる一例であった。
『依頼は物資の密輸だ。企業の目を盗んで運び込みたい』
『なんだ、そんなにヤバいブツなのか?』
『思考戦車のパーツが入ったコンテナだとよ』
取引の流れはスムーズに進み、封鎖区域の中まで荷物を運び込むルートが確定する。
封鎖を担当する当の警官が密輸に加担しているのだ。この「コンテナ」を怪しむ者や、搬入を止める者は誰もいまい。
「……中身は私ですが」
敢えて貨物として自分を運び込ませるという盲点の発想。万が一スキャンなどされても誤魔化せるのもウォーマシンの利点だろう。ネット上で全ての話をつけたトリテレイアは通信を切り、さっそく自分を「格納」する準備に取り掛かるのだった。
――こうして、封鎖区域の工場宛てにコンテナが運び込まれることになる。
その中身が工場の経営に終焉をもたらすことになると、まだ誰も知るよしもなかった。
大成功
🔵🔵🔵
アマネセル・エルドラート
「警官と言っても、あまり仕事に対するやる気は無さそうね。お金さえ貰えればそれで良いって感じなのかしら。」
建物の影に隠れながら工場区域に居る警官の様子を確認。
いくら敵とは言え、やる気の無さそうな警官の様子を見ていると少々呆れてしまう。
もっとも、やる気に満ち溢れて居てはそれはそれで面倒ではあるのだが。
「戦って負ける気はしないけれど、見つからないならそれに越したことはないわね。」
オブリビオンと戦う必要もある以上、体力は温存しておいた方が無難だろう。
UC【ドリームベール】を使って姿を隠して警備をすり抜けることを狙う。
万一見つかるようなら仕方がない、その時はアリスランスを振り回して蹴散らして進もう。
「警官と言っても、あまり仕事に対するやる気は無さそうね。お金さえ貰えればそれで良いって感じなのかしら」
お世辞にも良いとは言えない警官の勤務態度を遠巻きに眺め、アマネセル・エルドラート(時計ウサギのアリスナイト・f34731)はそう呟く。彼女は建物の影に隠れながら工場区域にいる連中の様子を確認し、突破の糸口を探っていた。
(いくら敵とは言え、あんな様子を見ていると少々呆れてしまうわ)
あそこに居る連中が特別不真面目というわけでなく、この世界ではあれが普通だと言うのだから尚更。もっとも、やる気に満ち溢れて居てはそれはそれで面倒ではあるのだが。
「戦って負ける気はしないけれど、見つからないならそれに越したことはないわね」
オブリビオンと戦う必要もある以上、体力は温存しておいた方が無難だろう。アマネセルは【ドリームベール】を発動して、自身とその装備を深い夢の力で覆う。不思議の国の時計ウサギである彼女は、この手の幻惑の技に長けていた。
「さあ、行きましょうか」
もしもの時に備えてアリスランスを握りつつ、彼女は姿を隠して警備をすり抜けることを狙う。このユーベルコードは視聴嗅覚による感知を不可能にする――監視カメラも人の目も、夢幻を捉えることはできない。
「異常あるか?」「あ? あるわけねぇだろ」
警官達は封鎖の前に座りこんで「そりゃそうだ!」とガハハと笑っている。この区域はメガコーポ傘下の企業が所有するエリア。その意味を理解する者であれば迂闊に近寄ろうともすまい。ごく一部の反抗的なレジスタンス――猟兵のような者を除けばだが。
「外からは見えないわよ、夢だから」
ほんの目と鼻の先をアマネセルが歩いているのに、警官達はまるで見えていない様子で雑談に興じている。その汚職ぶりを近くから見ていると改めてため息が出そうになるが、仮に連中が真剣に見張りをしていたところで、夢を見破ることはできなかっただろう。
「万が一のことにはならなさそうね」
もしも見つかったら仕方がない、その時はアリスランスを振り回して蹴散らして進む予定だったアマネセルだが、その心配は杞憂に終わりそうだ。青いエプロンドレスと赤い髪を錆びついた匂いのする風になびかせながら、彼女は汚職警官による封鎖を通り抜ける。
「さ、工場はどっちにあるのかしら」
無事に区域の中に入った彼女はきょろきょろと辺りを見回して、奴隷工場があるという企業のオフィスを目指す。あまり「面白い物」とは言い難い目的地だが、そこにいる人を助けるのが新たな発見に繋がるかもしれない――旅人の足取りはけして重くはなかった。
まだ見ぬ「面白い物」を探し求めて、時計ウサギの旅人はサイバーザナドゥを行く。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
腐敗した公的機関に奴隷労働…
正しくディストピアだな、まったく
現場近くの自販機でブリスターパックに入った合成食の安価なブリトーを購入
「チキン100%」ではなく「チキン風味」と言うのがまた凄まじいな…
その独特の味と食感に眉を寄せつつ、中距離から付近を観察する
汚職警官か…
銃で一掃してもいいが、こんな奴ら相手に無駄弾を使うのもな…
防備のなるべく手薄な場所を見つけ出そう
この辺りで良いだろう
声を出すなよ、デゼス・ポア
人気が少ない場所でUCを発動
パーソナルディフレクターから放出されたエネルギーシールドで全身を覆って、視聴嗅覚での感知が不可能なステルス状態へと変化
そのまま金網かバリケードの穴が開いてる場所から敷地内に侵入
もしも邪魔な警察官がいたら、低出力のエネルギーシールドで触れて気絶させる
その後は早業でロープワークを使い縛り上げて、人気のない適当な区域に放り込んでおこう
ステルスミッション…と言う程でもないな、穴だらけの警備網だ
まぁ、勤労意欲が盛んな汚職警官なんてのがいても困るだけか…
「腐敗した公的機関に奴隷労働……正しくディストピアだな、まったく」
末期感の漂うサイバーザナドゥの情勢を知り、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)はため息まじりにそう呟いた。力を持ちすぎた企業の暴走と環境破壊の果てにあるのがこの世界かと思うと、こちらまで空と同じ灰色の気分になりそうだ。
「食事も天然品が貴重品で、合成食が一般的とはな」
問題の封鎖区域を偵察する傍ら、近くの自販機でブリスターパックに入ったブリトーを購入してみる。値段は安価なものだったが、ラベルの成分表示には合成タンパク質や薬品の名前がずらりと並んでおり、食品というよりまるで医療品のようだ。
「『チキン100%』ではなく『チキン風味』と言うのがまた凄まじいな……」
その独特の味と食感に眉を寄せつつ、キリカは現場からそれなりの距離を取って付近を観察する。不審に思われぬよう注意してのことだが、結果的にその警戒は無意味だった。
「あー、酒飲みてえ」「ぎゃはは、もうかよ」
真っ昼間のうちから管を巻く、だらけきった態度の警官達。企業からカネを握らされて封鎖を行っているものの、真面目に働く気はまったく無いようだ。モラルの崩壊した世界では、法の番人も腐敗するらしい。
「汚職警官か……銃で一掃してもいいが、こんな奴ら相手に無駄弾を使うのもな……」
キリカはふうとため息を吐きつつ区域の周りを巡って、防備のなるべく手薄な場所を見つけ出すことにした。あれだけいい加減な勤務態度では、どんな頑丈な壁やバリケードを築いたところで、付け入れる"穴"はそこらにある。
「この辺りで良いだろう。声を出すなよ、デゼス・ポア」
(ヒヒヒッ)
人気が少ない場所までやって来た彼女は、傍らに浮かぶ呪いの人形「デゼス・ポア」に忠告しつつ、個人携行用のエネルギーシールド発生装置「パーソナルディフレクター」を起動した。
「深く、静かに、奴等を欺け……」
【HIDE・MY・BODY】により装置から放出されたエネルギーシールドはキリカの全身を覆い、視聴嗅覚での感知が不可能なステルス状態へと変化させる。人の目や耳はもちろん機械のセンサーすらも欺く、完璧な透明化だ。
「これで良し。行くぞ」
そのまま彼女はバリケードの穴が開いている場所から、封鎖区域の敷地内に侵入する。
近くには一応警備の警官もいるものの、気付かれた様子はまったく無い。仮に五感強化されたサイボーグが紛れていても、今のキリカを発見することは難しいだろう。
「ふわ~ぁ……ねみぃ」
ただ1人だけ、すぐ近くに居座っている警官がいる。おそらく他の連中から離れてサボっていたのだろうが、それが逆に封鎖の穴を埋める形になったようだ。ステルス状態なら問題はないと思うが、万が一にも気付かれては面倒だ――。
(ここは眠らせておくか)
キリカはひっそりとその警官に近付くと、エネルギーシールドを纏ったまま接触する。
このシールドは隠密や防御だけでなく攻撃にも転用できる。今は低出力状態に設定しているので、せいぜい意識を奪う程度だが。
「ぐぇッ?!」
感電したカエルのような悲鳴を上げて、ばたりと気絶する汚職警官。キリカはそいつを持っていたロープで素早く縛り上げ、人気のない適当な区域に放り込んでおく。一連の手順に1分とかかっておらず、異変に気付いた者は誰もいない。
「ステルスミッション……と言う程でもないな、穴だらけの警備網だ」
赤子の手を捻るように警備を無力化し、何事もなく封鎖区域への侵入を果たすキリカ。
彼女がこれまでに潜り抜けてきた修羅場と比べれば、こんなのはまさに朝飯前だった。
「まぁ、勤労意欲が盛んな汚職警官なんてのがいても困るだけか……」
嘆かわしいことではあるが、今回に限ってはそれが幸いした。この腐敗を引き起こした元凶たるメガコーポ、その傘下企業が経営する奴隷工場に向かってキリカは歩いていく。
流石にこの先は今のように簡単には行かないだろう。物音をひそめ、気を引き締める。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『キラー・ドローン』
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POW : スローター・ドローン
【抹殺モード】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【機銃掃射】を放ち続ける。
SPD : バトル・ドローンズ
レベル×1体の、【機体装甲】に1と刻印された戦闘用【重火器搭載型ドローン】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : ファイア・アタッチメント
【飛来する専用強化パーツ】と合体し、攻撃力を増加する【大型ビーム砲】と、レベルm以内の敵を自動追尾する【ミサイル】が使用可能になる。
👑11
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汚職警官による区域封鎖をすり抜けて、無事に企業のオフィスまで辿り着いた猟兵達。
一見ごく普通の会社のビルのように見える建物だが、その地下に潜入した一同は悲惨な光景を目にする。
『業務効率が低下しています。作業を継続して下さい』
「ま、待ってくれ。少しは休ませ……」
薄暗い地下室に設置された工業用のベルトと機械、そして作業を行う多数の労働者達。
製造されているのは兵器の部品のようだ。情報にあった通り、ここがメガコーポのために違法な武器を生産する工場で間違いないらしい。
『休憩時間はあと16時間後です。怠慢は許されません』
「ぎゃぁっ!?」
ボロボロの格好でやつれきった労働者達を監督するのは人ではなく、ドローンだった。
オブリビオン化による自律稼働を可能とした、飛行型警備機械「キラー・ドローン」。
主に要人警護や治安維持のためにメガコーポが運用する兵器だが、ここでは工場の警備と作業員の監視に使われているようだ。
『業務を怠る従業員には、即時処分が実行されます』
「ひ、ひぃっ。働きます、働きますからっ」
労働者達はドローンに脅され、雀の涙ほどの賃金で過酷な労働に従事されられている。
劣悪極まる地下の環境から、自由に外に出ることもできない。奴隷以下のその扱いは、企業が彼らの生命を幾らでもかえのきく消耗品としか思っていないことを示していた。
これ以上、オブリビオンの力を利用してこのような悪事を続けさせる訳にはいかない。
まずはあのドローン群を破壊して労働者を救い出す。猟兵達は即座に行動を開始した。
アマネセル・エルドラート
「あのドローンが作業監督…武装もしているところを考えると警備も兼ねているのかしら。少なくとも、さっきの汚職警官よりは有能そうね。」
工場の様子を見ながら、無理矢理働かされている作業員を巻き込まないように倒すにはどうしようか、と考える。
「部外者が入って来た時の対応は…機械なんだからサボる事はないわよね。それなら逆にそこを利用出来るかも。」
UC【イマジナリーフレンド】で小さなウサギを呼び出し、敢えて目立つように、作業員が少ない方に走って行ってもらい、ドローンの注意を引き付けさせて。
赤のプレイングカードに属性攻撃で電気を纏わせた状態で投擲。
電流によるショートでドローンの機能停止を狙っていこう。
「あのドローンが作業監督……武装もしているところを考えると警備も兼ねているのかしら」
企業の工場に潜入したアマネセルは、敵に見つからないよう物陰に隠れて様子を見る。
疲れきった様子で働く人々の頭上を飛び回るのは「キラー・ドローン」。疲労もサボりも知らずに全自動で稼働し続ける、ある意味この工場にふさわしい監視兼警備員である。
「少なくとも、さっきの汚職警官よりは有能そうね」
勝てない敵ではないが、無理矢理働かされている作業員を巻き込まないように倒すにはどうしようか、と考える。助けに来たのに流れ弾でケガをさせてしまっては本末転倒だ。
「部外者が入って来た時の対応は……機械なんだからサボる事はないわよね。それなら逆にそこを利用出来るかも」
一計を案じたアマネセルは、【イマジナリーフレンド】の小さなウサギを呼び出すと、敢えて目立つように走って行ってもらう。工場をぴょんぴょんと跳ねながら駆けるウサギの姿は、キラー・ドローンの監視にすぐさま引っかかった。
『侵入者を発見。排除します』
プログラムに忠実な彼らはたとえ獣一匹だろうと手は抜かない。重火器搭載型の【バトル・ドローンズ】を招集し、ウサギの追跡を開始する。違法性のカタマリであるこの場所を突き止められた時点で、侵入者は即時抹殺と決まっているようだ。
(上手くいったわね)
ドローン部隊の注意を引き付けたウサギは、そのまま作業員が少ない方に走っていく。
異変に気付いた作業員のほうも、処罰を恐れてか様子を見に来ようとする者はいない。これで彼らを戦闘に巻き込むリスクは小さくなったはずだ。
『目標捕捉。全機、射撃準備』
誰もいない工場の片隅で、キラー・ドローンは追い詰められたウサギに銃口を向ける。
かわいいウサギがあわや蜂の巣に――その寸前、様子を見ていたアマネセルが物陰から一枚の赤いカードを投げつけた。
「痺れちゃいなさい!」
電気を纏った「赤のプレイングカード」が、ドローン群を統率する機体に突き刺さる。
バチバチッと激しい稲光が辺りを照らし、黒煙を噴きながらドローンが墜落していく。電流により機体がショートし、機能を停止したのだ。
『新たな侵入者を発見――』
「気付くのが遅いわよ」
不意打ちを受けた敵群が反転する間もなく、アマネセルは追撃のカードを投げつける。
特徴的な赤い柄のトランプが、雷の矢となり次々にドローンを撃ち落とす。周りに配慮する必要さえなければ、彼我の実力差は歴然だった。
「不真面目なのも、真面目すぎるのも考えものね」
先刻の汚職警官と現在のドローン、いずれも方向性は違えどアマネセルの脅威にはならなかった。企業の手先を不思議の技で翻弄し、時計ウサギのアリスナイトは愉快に笑う。
その活躍は工場内の警備に混乱をもたらし、さらなる猟兵達が突入する契機となった。
大成功
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ネロ・アンドラス
玄武号で扉をぶち破り、スピーカーで大声で「労働者諸君❗今すぐ伏せろ❗」労働者達が伏せるのを確認次第uc発動❗「ドローン共❗てめえらをマグノリアに招待してやるぜ❗」その瞬間白い花園に変わり周りをガトリングで囲み一斉射撃❗「強化パーツと合体なんてさせねえ❗合体する前に絶えない攻撃でてめえら全員スクラップに変えてやる❗」例え合体してミサイルを撃ってきても玄武号のバリアーか包囲しているガトリング砲の餌食になるかのどちらかだ❗
「なんだか今日はドローンが騒がしいな」「ひょっとしてトラブルか?」
猟兵の襲撃により工場内で戦闘が始まっても、人々はまだ事態を把握していなかった。
処罰を受けないよう作業の手を動かしながら、ひそひそと憶測をささやき交わすのみ。
だが、そこに「ドガッシャアァァン!!」と大きな音を立てて何かが突っ込んできた。
「うわぁっ?!」「なんだなんだ!?」
工場の扉をぶち破って姿を現したのは、一台の巨大重装甲車両。その運転席から身を乗り出すのは青い毛並みの狼男――ネロだ。彼は音量最大にしたスピーカーを口元に当て、工場中に響き渡るような大声で叫んだ。
「労働者諸君❗ 今すぐ伏せろ❗」
「「へ、へいっ
!!?」」
鼓膜が破けそうな怒鳴り声に、奴隷根性の染み付いた労働者達はつい反射的に従う。
彼らが伏せるのを確認次第、ネロは【白い花園】を発動。ユーベルコードで周囲の環境を書き換え、己に有利な戦場を作り上げる。
「ドローン共❗ てめえらをマグノリアに招待してやるぜ❗」
その瞬間、無機質な地下工場は白い花が咲き乱れる花園に変わり、芳しい香りが大気を満たす。それだけなら見惚れるほど美しい光景だが――周りを囲む無数のガトリングが、ここが彼のキルゾーンである事を如実に示していた。
『異常発生。火器反応多数』『緊急回避――』
「逃がすわけねえだろ❗」
花園に囚われたキラー・ドローンは直ちに散開しようとするが、それよりも速くネロはガトリングを一斉射撃。四方八方から降り注ぐ鉛玉の嵐が、敵機を容赦なく撃ち落とす。
『脅威レベル:大。ファイア・アタッチメントの使用を――』
危機を理解したドローンが緊急シグナルを出すと、どこからともなく専用の強化パーツが飛来する。だが、そのパーツがドローンと合体するより先にガトリングが照準を変え、集中砲火を浴びせた。
「合体なんてさせねえ❗ 合体する前に絶えない攻撃でてめえら全員スクラップに変えてやる❗」
ネロの怒りに呼応するように、白い花園は間断なく砲声を轟かせ、弾幕を撒き散らす。
この場所に迷い込んでしまった時点で、決着はほぼ付いていたと言ってもいいだろう。オブリビオンとて所詮警備用ドローンのレベルでは、彼の火力に対抗しきれない。
『被害甚大。大至急アタッチメントを』
それでも僚機の影となり弾幕を逃れた幸運な少数のドローンは、強化パーツとの合体を成功させる。大型ビーム砲とミサイルにより攻撃力が大幅に増大した彼らは、花園の主たるネロを排除すべく反撃を仕掛けるが――。
「無駄だ❗」
ネロの「玄武号」に張られたバリアは、ミサイルの直撃を食らってもビクともしない。
核爆発にも耐えられるという触れ込みは、どうやら伊達ではないらしい。敵が懲りずにミサイルを連発してきても、また防がれるかガトリング砲の餌食になるかのどちらかだ。
「ブンブン飛び回ってうるさいんだよ❗」
お返しとばかりに放たれた砲撃が、強化ドローンをまたたく間にスクラップに変える。
その光景はもはや戦闘と言うより蹂躙に等しく。工場に響き渡る砲声は、労働者達には支配からの開放を告げる号砲のようにも聴こえた――。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
ドン引きである
終いに労働力枯渇してカタストロフじゃなかろうか…
労働者に助けに来たことを告げる
後は何も考えなくて良いから―休め!
フォックスファイア乱れ撃ちでドローンの飛行高度に狐火122発を適当に舞わせて牽制するよ
急ぎダッシュで労働者に駆け寄り強引に夢匣にぶち込む、銃殺されそうなら体張って護るぜ…特に女の子はね!
巻添えになりそうな労働者の確保を済ませたら狐火を制御してドローンに叩き込む
飛来する強化パーツなんざ合体前に落とすよ
ロボアニメじゃないし合体を待つ義理はありません
神鳴から電撃属性攻撃の衝撃波を走らせドローンの制御を乱して良い的にしてやる
ドサクサ紛れに違法武器も夢匣に入れましょ
戦利品戦利品♪
(なんだこれ、ひでえ)
筆舌に尽くしがたいほど過酷な奴隷工場の労働環境を眺めて、燦はドン引きしていた。
安い賃金と僅かな休憩で馬車馬の如く働かされる労働者達。彼らを監督するのが人ではなく機械というのも末期感を漂わせている。
(終いに労働力枯渇してカタストロフじゃなかろうか……)
このままではオブリビオンとか関係なく、この世界の未来は暗そうだ。自分ならこんな場所で働かされるのなんて1日だって御免だ――そんなことを考えつつ、彼女は労働者の救出に向かう。
「後は何も考えなくて良いから――休め!」
「い、いいのか……?」
助けに来たことを告げられた労働者達は、ひどく困惑した様子で燦を見ていた。長い間重労働を強いられてきたせいで、奴隷根性が染み付いてしまったのだろう。抵抗の気力が折れかかっている人々の姿はひどく憐れだ。
『今は休憩時間ではありません。作業に戻って下さい』
そこに飛んできたのは監視役の『キラー・ドローン』。無機質な機械音声で警告しつつ機銃を向けてくる。脅しのつもりはないだろう、彼らにとってここの労働者の生命がどれだけ軽いものかは、見ているだけでも分かる。
「この工場は今日で閉鎖だ!」
燦は【フォックスファイア】を乱れ撃ち、近付いてくるドローンを牽制する。122発の狐火を敵機の飛行高度に合わせて適当に舞わせてやれば、向こうも飛び辛くなるだろう。
「ほら、ここに入りな」
「え? うわぁっ!?」
その間に彼女は労働者達の元に駆け寄ると首根っこを引っ掴み、『夢匣』の中に強引にぶちこむ。手に持てるサイズのその小箱の中には入ったものに合わせた箱庭世界が広がっており、快適な環境が保たれている。緊急時の避難場所としてはうってつけだ。
「銃殺されそうなら体張って護るぜ……特に女の子はね!」
「俺らは?!」
微妙に二の次にされた男性労働者がショックを受けるが、それはさておき。いざとなれば身を挺する覚悟をもって救出活動にあたる燦の気持ちが伝わったのか、人々は叩き込まれずとも自ら夢匣に入っていくようになる。
「たすけてくれて、ありがとう」
その中にはまだ幼い児童や女子もいた。労働基準法などという言葉はこの世界では忘れられているか、あるいは形骸化しているのだろう。女子供にも虐待に等しい労働を強いるメガコーポの横暴に、燦の怒りが膨れ上がった。
『当工場の労働者は我社の所有物です。無断の外出・持出は許可されていません』
労働者が小箱の中に次々と連れ去られていくのを見たドローン群は、憂慮すべき事態とみて【ファイア・アタッチメント】を発動。彼方から強化パーツを呼び寄せ、戦闘モードに移行しようとするが――。
「ロボアニメじゃないし合体を待つ義理はありません」
飛来する強化パーツに向かって、燦が狐火を叩きつける。合体前の無防備な隙を狙われたパーツはそれを避けることもできず、たちまち炎上し落ちていく。ビームだのミサイルだの大仰な武装を積んでいたようだが、使わせなければ全部ただのガラクタだ。
「さーて、その小さい機銃だけでアタシとやりあうか?」
巻き添えになりそうな労働者の確保も済み、いよいよ燦は本気で敵機の撃破にかかる。
夢匣を懐にしまって狐火の制御に意識を集中。妖しき軌跡を描いて飛び回る火の玉が、四方八方からドローンに襲い掛かる。
『危険、危険、回避――』
「許すかよ。良い的にしてやる」
さらに燦が愛刀「神鳴」を抜き放つと、その切っ先から稲妻の衝撃波が走り、ドローンの制御を乱す。感電した敵機はフラフラと酔っぱらいのように宙をさまよい、狐火の直撃を受けて墜落していった。
「さっきの警官に比べたらマシだけど、まだまだ」
余裕の表情でドローンを撃破しながら、燦は戦闘のドサクサに紛れて工場で生産されていた違法武器を夢匣に入れる。メガコーポの発注のもと開発された製品なだけはあって、量産品ながらもそこそこ質は良い。
(戦利品戦利品♪)
手癖の悪さはシーフの性分か。盗ったところで文句を言える者など誰もいやしまい。
居たところでそれはこれから懲らしめる予定の連中である。なんの遠慮も容赦もなく、工場を荒らしまわる燦であった。
大成功
🔵🔵🔵
堂島・アキラ
おーいお前ら、仕事は終わりだ。帰っていいぞ。
うだうだ言ってねえでとっとと帰れ。流れ弾がドタマに当たっても知らねえぞ?
うるさいハエ共はサブマシンガンで撃ち落としてやる。
雑魚いびるしか能がねえ癖にブンブン飛び回りやがって目障りなんだよ。
おお? なんか飛んできたと思ったら合体しやがった。で、それでオレを倒すつもりか?
低能AIのガラクタロボが何やっても無駄だって事を教えてやるか。
ユーベルコードでアイツらを操ってお互いの武装で同士討ちさせてやる。
チッ、上の警備のヤツらといいこのポンコツ共といい、てんで話にならねえな。
もっと遊び甲斐のあるやつはいねえのか?
「おーいお前ら、仕事は終わりだ。帰っていいぞ」
「……え?」
しれっとした様子で工場の中に入ってきたアキラは、あくせく働く従業員の肩をぽんと叩いてそう告げる。この工場に就職してから始めてそんなことを言われた人々は、信じられない様子で彼女の顔を見た。
「いや帰っていいって、本当に?」「でも仕事を終わらせないと処罰が……」
「うだうだ言ってねえでとっとと帰れ。流れ弾がドタマに当たっても知らねえぞ?」
困惑する連中のケツをひっぱたき、サブマシンガン『Enforcer』を抜く。さっそくお出ましだと笑みを見せる先には、警備の『キラー・ドローン』が此方に迫ってきていた。
『労働時間は終了していません。作業に戻って下さい。繰り返します、労働時間は――』
「ケッ、うるさいハエ共だな」
無機質な音声による警告に、アキラは舌打ちとマシンガンの銃撃で応える。タタタッと軽い発砲音が連なって響くと、辺りにいた労働者は「うわぁ!?」と慌てて逃げ出した。
「雑魚いびるしか能がねえ癖にブンブン飛び回りやがって目障りなんだよ」
雑に弾をばら撒いているように見えて照準は正確。寄ってきたドローンの群れは次々に撃ち落とされていく。美少女の義体がワルい笑みを浮かべながら熟練の手さばきで銃器を操る様は、なんとも不可思議な姿であった。
『侵入者からの攻撃を確認。ファイア・アタッチメントを使用します』
僚機を撃墜されたキラー・ドローンは専用の強化パーツを呼び、合体することで攻撃力を強化する。大型ビーム砲とミサイルを搭載したその形態は、まるで小型の戦闘ヘリだ。
「おお? なんか飛んできたと思ったら合体しやがった。で、それでオレを倒すつもりか?」
しかし、それを見たアキラの表情に驚きはあっても焦りはない。ビーム砲とミサイルの照準を向けられても余裕の態度のまま、逆に挑発的に口元を釣り上げる。ザナドゥの死神ことデスブリンガーが、その程度の装備で殺られるものか。
「低能AIのガラクタロボが何やっても無駄だって事を教えてやるか」
言うや否やアキラは【ライトニング・カリギュラ】を発動。稲妻の鎖が空中のドローン目掛けて放たれ、ヒットと同時に炸裂する。するとドローン達は武装の照準を彼ではなく付近の僚機に向けて攻撃を始めた。
「お互いの武装で同士討ちさせてやる」
このユーベルコードは命中した対象の行動を自在に操る超能力だ。稲妻の鎖に縛られたドローンはアキラの意のままに踊り狂い、激しい空中戦をさせられた後に爆発四散した。
「チッ、上の警備のヤツらといいこのポンコツ共といい、てんで話にならねえな」
あっさりとドローンを撃退してのけたアキラは、退屈だと言わんばかりに舌打ちする。
暴れるのが好きな彼としては、この程度の雑魚ばかりが相手ではスリルが足りない。
「もっと遊び甲斐のあるやつはいねえのか?」
期待できる敵がいるとすれば、それはこの企業を代表するオブリビオンくらいだろう。
工場が閉鎖に追い込まれれば、そいつも現場に引きずり出されてくるはず。それまではもう暫くこいつらと遊んでやるかと、彼は再びやって来たドローンに鎖を放つのだった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
従業員の保護などプログラミングされている筈もなし
跳弾や流れ弾の事も考慮しなければ…!
物資収納スペース内のUCから射出された杭状発振器を空中で掴み投擲
床や天井に刺さったそれら支点に労働者達をかばう為のバリア構築
強制労働からの解放の為に参上いたしました
障壁より出ぬよう、暫しの辛抱を願います!
機銃を盾で防ぎつつ、ドローンにも杭を投擲し放電機能で電子回路破壊
躱されるのも想定内
壁や天井に刺さる杭を支点にバリアの“壁”や“床”を自在に創出
敵の飛行を制限しつつ、壁を蹴って三次元機動で屋内を舞い翻弄
遠間の敵は口部格納銃器で撃ち落とし、肉薄すれば剣で斬り捨て
ウォーマシンである以上、ドローンに遅れは取りませんとも
「従業員の保護などプログラミングされている筈もなし」
およそ尊厳や命の保証から程遠い扱いを受けている労働者と、彼らを監視するドローンを見てトリテレイアは呟く。戦闘になればあの警備達は「侵入者の排除」を最優先とし、工場内での実弾発砲を躊躇しないだろう。
「跳弾や流れ弾の事も考慮しなければ……!」
彼らを救出するために来たはずが、逆に戦闘に巻き込んでケガさせては元も子もない。
まずは労働者達の安全を確保するために、機械騎士は機体の物資収納スペースの中から【多機能型電磁障壁発振器射出ユニット】を起動した。
「魔法の杖のように万能ではありませんが」
射出ユニットから飛び出した杭状の発振器を、トリテレイアは空中で掴んで投擲する。
地下工場の壁や天井に突き刺さったそれらは、防御障壁を展開するための支点となり、労働者達をかばうための大きなバリアを構築した。
「うわっ?!」「なんだこりゃ!」
『強力な電磁波を検知。接触は危険』
突如出現した電気の壁に、驚いたのは労働者もドローンも同じだった。隔てられた両者が対応に混乱する間に、重質量大型シールドを装備したトリテレイアが颯爽と飛び出す。
「強制労働からの解放の為に参上いたしました。障壁より出ぬよう、暫しの辛抱を願います!」
労働者達にそう呼びかけて、キラー・ドローンと対峙する機械騎士。その格好を重武装の全身義体だとでも思ったのか、人々は「た、助けが来たのか……?」と歓喜に湧いた。
『業務への深刻な妨害を確認。抹殺モードに移行します』
対する敵は【スローター・ドローン】を一斉に発動し、高速で飛翔しながら戦場全域に機銃掃射を行う。無差別にばら撒かれる弾幕は誰だろうと容赦はしないが、それを見越して張っておいたバリアは、しっかりと労働者に降り注ぐ攻撃を弾いていた。
「職務に忠実な、実に"優秀"な機械ですね」
トリテレイアはそう呟きながら大盾で機銃を防ぎつつ、先ほどと同じ杭をドローンにも投擲する。これだけ強力なバリアを張れる放電機能を攻撃に使用すれば、機械の電子回路は確実にショートするだろう。
『回避モーションを実行』
それは敵も理解しているようで即座に回避行動を行う。抹殺モードに移行したドローンの機動性能は高く、投げつけた杭は殆どが躱されてしまった。このままでは攻撃は防げても反撃手段がない――かに思われたが、騎士は動じたふうもなく敵を見上げている。
「躱されるのも想定内です」
的を外した杭は工場の壁や天井に刺さり、新たなバリアの支点となる。トリテレイアはそれを利用して電磁気の"壁"や"床"を自在に創出し、ドローンの飛行を制限していく。
『障害物を多数検知』
あちこちに出現するバリアに進路を阻まれ、思うように飛べなくなるドローンの群れ。
速度も落ちたそれを好機とみたトリテレイアは壁を蹴り、三角飛びの要領で空中の敵に斬り掛かった。
「ウォーマシンである以上、ドローンに遅れは取りませんとも」
騎士の名に恥じぬ鋭い斬撃が、装甲ごと敵機を真っ二つに斬り捨てる。そのまま空中で首を振ると、口部に格納された銃器が火を噴き、遠間のドローンに銃弾の雨を浴びせた。
『損傷率80%。被害、甚大――』
「す、すごい!」「いいぞっ、やれー!」
巨体の重さを感じさせぬ見事な三次元機動と、飛行を妨害する電磁バリアに翻弄され、次々に撃ち落とされていくドローンの群れ。舞うように戦うトリテレイアの姿が、それを見上げる労働者達にどれほどの希望をもたらしたかは、もはや語るまでもないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
「まぁ待て」
「彼らは貴重な労働力だ。今は休ませろ」
(小声:良いか、労働者は生かさず殺さず何も出なくなるまで搾り取れ。飴と鞭なら飴を後にした方が後腐れがない。僅かな希望を持たせてあげるのが労働力を上げるカギだ)
キラードローン達(酷すぎる)
「労働者達よ、今から24時間の休みとする」
「重労働で疲れたであろう。諸君には感謝の意を籠めて本日は食事や酒等を好きなだけ振る舞いたい。美味しいカレーライスも準備した。おかわりもいいぞ!」
ワーイワーイ
「さて、この時間の穴埋めは飴を貪っていた貴様らだ。今すぐドローン監視を辞め、ここの配備につけ」
「私の命令に背く従業員には、即時処分を実行する」
「ひ、ひぃっ。働きます」
『本日のノルマに達していません。業務を継続して下さい』
「そ、そんな……」
猟兵の突入により戦場と化した地下工場。その渦中にあっても労働者達に自由はない。
監視のキラー・ドローンは持ち場を離れぬよう警告してくるし、違反すれば撃たれる。このマシンにとっては人命よりも滞りなく業務を遂行することが最優先事項なのだ。
「まぁ待て」
そんなドローン達の行動に待ったをかけるのは、工場に潜入していたカビパンだった。
持ち前のカリスマと口八丁により、一応は上司という立場にある彼女は、偉そうな顔と態度でドローンに語りかけた。
「彼らは貴重な労働力だ。今は休ませろ」
「お、おぉ
……!」「休んでいいのか!?」
その発言に驚きと歓喜の声を上げたのは労働者達だ。これまで工場の運営者達は彼らにより過酷なノルマを課すことはあっても、手綱を緩めるようなことは決してしなかった。
思わぬ環境改善の兆しに沸き立つ人々を背に、カビパンはさらにドローンに話をする。今度は他の者達に聞かれないように小さな声で。
(良いか、労働者は生かさず殺さず何も出なくなるまで搾り取れ。飴と鞭なら飴を後にした方が後腐れがない)
まさかのホワイト上司かと思いきや、彼女の根底にある思考は完全にブラックだった。
より効率的に搾取するためには、時として褒美をやることも重要である。普段から過酷な環境に慣れきってる連中なら、ほんの小さな飴でも泣いて喜ぶことだろう。
(僅かな希望を持たせてあげるのが労働力を上げるカギだ)
過去の上司と比較してもヤバい級の腹黒さに、心を持たぬドローン達すら(酷すぎる)と思ったとか。しかし彼らは命令を遂行するだけのマシン、上司が言うなら従うのみだ。
「労働者達よ、今から24時間の休みとする」
「「やったぁぁぁぁ
!!!」」
そんな訳で突如として布告された休暇の御触れ。もちろん労働者達は感激の嵐である。
【ハリセンで叩かずにはいられない女】はそんな彼らを満足げな様子で見回し、にっこりと優しげな笑顔で労をねぎらった。
「重労働で疲れたであろう。諸君には感謝の意を籠めて本日は食事や酒等を好きなだけ振る舞いたい。美味しいカレーライスも準備した。おかわりもいいぞ!」
「「わーい、わーい!」」
気前のいい上司カビパンに言われるまま、労働者一同は大喜びで工場の外に出ていく。
果たして彼らの何人がここに戻ってくるだろうか。久方ぶりに人間らしい生活を送った後で、また奴隷労働に従事したいと望む者は希少な気もする。
「さて、この時間の穴埋めは飴を貪っていた貴様らだ」
「……は?」
それはそれとして、労働者を見送ったカビパンは工場の監視ルームに向かうと、そこにいた従業員に居丈高に命じた。こいつらは企業の中間管理職で、底辺の労働者が汗を流すのを眺めながら、企業から漏れる甘い蜜を吸っていた連中だ。
「今すぐドローン監視を辞め、ここの配備につけ」
「は、はぁ?」「デスクワーク担当の私達が、何故そんな仕事を……」
従業員は当然のごとく反抗するが、カビパンの背後からドローンの群れがぬっと現れると「ひえっ?!」と悲鳴を上げた。ギャグ時空の影響を受けたマシン達はカビパンの事を完全に上司だと誤認しており、今や彼女の忠実な手足と化していた。
「私の命令に背く従業員には、即時処分を実行する」
「ひ、ひぃっ。働きます」
ドローンの性能をよく知っているゆえに、その武力をチラつかせられると逆らえない。
こうして従業員達は自分達が牛馬のごとく扱ってきた労働者達の苦しみを、身をもって体験することになった。
「作業効率が落ちているぞ!」
「「ひぇぇ~~っ!!」」
バシバシと鞭のかわりにハリセンをしばき、従業員にブラック労働を強いるカビパン。
絵面としては完璧にギャグなのだが、たまたまそれを見た労働者には溜飲を下げた者も多いだろう。支配する者される者、そのどちらもギャグの前では等しく無力なのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミツバ・カナメ
必死に生きてる人達を、殺させなんかしないんだから!
ドローンに攻撃されようとしている労働者を【かばう】為に、スクランブル・ブーツでの【ダッシュ】で間に割って入り、タスク・シールドで【盾受け】し防御。
凌いだらディスチャージ・ロッドを叩きつけて【電撃】で壊しちゃうよ!
働かされてる皆に逃げるよう呼びかけつつ、追いかけてくるドローンを迎撃。
労働者を狙うドローンがいれば、さっきと同じ要領で助けに行くよ。
敵の数が多い時はUCで広範囲に放電して攻撃、感電させて動きを止めにかかる。
あたしがいる限り、誰も死なせないよ!
「必死に生きてる人達を、殺させなんかしないんだから!」
違法な武器製造、無茶な利潤追求、そして過酷な奴隷労働。警官として正すべき悪事を目撃したミツバは、燃え立つ正義の心のままに叫んだ。「スクランブル・ブーツ」の靴底からホイールを出し、圧縮空気を放出して猛ダッシュ。労働者の元へと急行する。
『脱走は社則違反です。即時処分を実行します』
「ひ、ひぃっ、助けてくれぇっ!」
工場内では既に戦闘が繰り広げられており、ドサクサに紛れて逃げようとする労働者もいる。それを見咎めた『キラー・ドローン』は容赦のない攻撃を浴びせようとするが――間一髪、ミツバはそこに割って入ることができた。
「させない!」
腕にマウントしたポリカーボネート製の「タスク・シールド」が、ドローンの機銃掃射を防ぐ。攻撃を凌いだミツバはすかさず電磁警棒「ディスチャージ・ロッド」を抜いて、思いっきり敵に叩きつけた。
『侵入者を発ケ……――』
電撃を帯びた一撃を食らったドローンは回路をショートさせて、ふらふらと墜落する。
だが工場の警備はこの一機だけではない。他のドローンが集まってくる前に、ミツバは労働者達に向かって叫んだ。
「皆、今のうちに逃げて!」
「お、おうっ!」「ありがとう!」
悪しき企業に働かされてきた人々は、その呼びかけで蜘蛛の子を散らして逃げていく。
ミツバは彼らの背中を守るために、追いかけてくるドローンを迎撃しようと身構える。たった1人で多勢に立ち向かうことになるが、臆する気持ちは欠片もない。
『当工場に部外者の立入りは厳禁。抹殺します』
やって来たドローンの群れは、いずれも【ファイア・アタッチメント】の強化パーツと合体しており、大型ビーム砲とミサイルで火力を増していた。いかに武装警官の盾でも、これだけの数から集中砲火を浴びせられれば耐えきれぬやもしれない。
「大人しくしないと、みんな纏めてビリビリだよ!」
そこでミツバは機先を制して、ディスチャージ・ロッドから【広域制圧放電】を放つ。
最大出力で放たれた電撃はバリバリと落雷のような音を立て、稲妻の嵐となって工場を照らし、周囲のドローンを纏めて感電させた。
『ピ、ガガガ……―――』
プスプスと黒煙を上げて空中でふらつくドローン達。動きが止まっている隙を突いて、ミツバは一機ずつそれを叩き落とす。あっという間に危険なマシンの群れは、自慢の装備を使う暇もないまま、ただの焦げ付いたスクラップの山と化した。
「あたしがいる限り、誰も死なせないよ!」
それからもミツバは労働者達を狙うドローンがいれば直ちに駆けつけ、皆を守りながら戦い続ける。盾と警棒を振るって企業の尖兵相手に奮戦する女警官の姿は、企業に虐げられてきた者達にとって希望の象徴となった。
「警察なんて当てにならないと思ってたけど……」「見直したよ。本当にありがとう!」
モラルの荒廃した世界にもまだ正義は失われていなかったのだと知った、労働者の声援がミツバに届く。それを聞いた彼女は胸が熱くなるのを感じて、ふっと笑みを浮かべた。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
これが奴隷労働か。さすがに行き過ぎだよね。
ドローンの死角からエイムショットで狙い撃つよ。
何度も曲げられるぼくの魔法の矢はどんなに動いていても、確実にコアを貫くよ。
撃ったら、場所が特定されないよう、隠れながら移動するよ。
大型ビームは射線に注意すれば撃たれないはず。みさいるは魔法の矢で打ち落とすよ。
「これが奴隷労働か。さすがに行き過ぎだよね」
薄暗くて血と汗の匂いのする地下工場を見回して、ぷうと頬を膨らませるのはアリス。
いくらなんでも度を越した、ヒトをヒトとさえ思わない労働者達への扱いには、彼女もご立腹の様子だ。
「はやく助けてあげないと」
労働者を監視するのは、工場内を飛び回る『キラー・ドローン』の群れ。まずはアレを何とかしようと、アリスは物陰に身を隠してこっそりと移動し、敵機の死角に回り込む。
「狙い撃つよ」
アリスが仕掛けたのは【エイムショット】。ひゅんと風を切って飛んでいく魔法の矢は、過たずドローンの中枢を射抜き、一撃で破壊する。「ジジジッ」と電子音のノイズを鳴らしながら、それは力なく墜落していった。
『ドローン67の反応途絶。侵入者からの攻撃と見られる』
僚機の撃墜を察知した他のドローンは、カメラアイを光らせて索敵を行うが、アリスはもう付近にはいない。撃ったら場所が特定されないように移動するのは狙撃手の定石だ。
「ぼくの魔法の矢はどんなに動いていても、確実にコアを貫くよ」
隠れながら狙撃地点を変更して、アリスは再びエイムショットを放つ。この矢の特徴は発射した後で何度も軌道を曲げられることにあり、使い方次第で目標を追尾することも、射線の通っていない目標を狙い撃つこともできる。
『飛翔体接近。回避行動を――』
攻撃に気付いたドローンが躱そうとしても、魔法の矢はそれに合わせて軌道を変える。
速度を落とさぬまま変化球のようにカーブした矢に撃ち抜かれて、また一機ドローンが墜落していく。
『攻撃の軌道が不明瞭。射手の所在発見ならず』
矢の軌道を自在に変えられるということは、軌道から逆算して射手の位置を見つける、セオリーの対策が通用しないということでもある。そのためドローン達はアリスを発見できないまま、いたずらに被害を拡大する羽目になった。
(大型ビームは射線に注意すれば撃たれないはず)
一方のアリスも見つからないように注意を払っている。【ファイア・アタッチメント】で強化されたドローンの攻撃は、まともには受けたくない火力がある。ゆえに常に相手の死角に回り込むように動き、一方的に撃てる位置から攻撃を仕掛ける。
「逃さないよ」
その宣言通りにアリスの矢は百発百中、放つたびに必ず戦果を上げる。それでも彼女の所在を見つけられないキラー・ドローンは、苦し紛れのようにミサイルを一斉発射する。
『無差別飽和攻撃を実施』
敵が潜んでいそうな場所をとにかく攻撃して炙り出そうという考えか。しかし、そんな雑な戦法がアリスに通用するはずもなく、放たれたミサイルは魔法の矢に迎え撃たれる。
「残念だったね」
飛行するミサイルを空中で撃ち落とすという離れ業をこともなげにやってのけ、アリスは笑いながら次の矢を放った。全ての武装を使い切ったドローンに、もう打つ手はない。
付近にいた敵機が全て墜ちていくのを見ると、情報妖精は次の前線に向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
テクノロジーが進化しても、中世の奴隷労働と何ら変わらんな
いや、機械に全ての管理を任せてる分、余計にタチが悪いか
オーヴァル・レイとシガールQ1210を装備
ビーム砲と弾丸の乱れ撃ちでドローンの注意を引き
労働者達に逃げるように伝えたら、工場内をダッシュで駆け回りドローンを攻撃
特に労働者達を狙うドローンを集中的に狙い撃墜する
敵の機銃掃射には工業機械を遮蔽物代わりにして避けていく
フン、表の汚職警官よりも勤勉だな
こちらとしては迷惑な話だが
敵の数が増えてきたらUCを発動
不可視の意図を数機のドローンに打ち込んで操作
真っ向から機銃掃射で攻撃をさせたり、機体そのものを激突させたりして同士討ちを狙う
やれやれ、どんどんと出てくるな
ドローンを作業員にして働かせた方がよっぽど儲かるんじゃないか?
破壊されたら次々と新しいドローンに糸を打ち込んで操作
更にオーヴァル・レイも同時に操作してドローンの集団を一気に殲滅していく
今日限りで此処の労働者達は全員退職するそうだ
辞表代わりとして、存分に受け取ると良い
「テクノロジーが進化しても、中世の奴隷労働と何ら変わらんな」
陽光の当たらぬ地下にて横行する、およそ人権やモラルという言葉を忘れ去ったような労働環境を目の当たりにして、キリカは呆れたようにため息を吐く。労働者を消耗品のように扱うのでは、数百年前からまるで進歩がない。
「いや、機械に全ての管理を任せてる分、余計にタチが悪いか」
工場の上を飛び交う「キラー・ドローン」の群れを見て、彼女はさらに顔をしかめる。
文明の行き着く先が、このような末期ばかりとは思いたくないものだ。これ以上不幸な労働者が増える前に、この工場には早急に閉鎖してもらおう。
「こっちだ、機械共」
キリカは強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"を天井に向かって撃ちながら、浮遊砲台「オーヴァル・レイ」より粒子ビームを放つ。銃声と光線の乱れ撃ちでドローンの注意を引き付け、労働者達から引き離す作戦だ。
『侵入者発見。抹殺します』
異常を察した警備ドローンは即座に抹殺モードの【スローター・ドローン】に変身し、高速で飛翔してこちらに向かってくる。その様子は獲物を嗅ぎつけた猛禽類に似ていて、無機質な殺意を感じさせた。
「今のうちに逃げろ」
「はっ、はいぃっ!」
キリカは労働者達に逃げるように伝えたのち、工場内をダッシュで駆け回りドローンを迎撃する。秘術で強化された銃弾のフルオート射撃と、浮遊砲台から放たれる強力な粒子ビームは、敵機を撃ち落とすのに十分な威力だ。
『労働者の逃亡幇助、並びに威力業務妨害は許されません』
対するドローンも高速飛行で攻撃を回避しながら、負けじと機銃掃射を仕掛けてくる。
威力は弱いが弾数が多いのは厄介だ。キリカは近くの工業機械を遮蔽物代わりにして、鉛玉の雨を避けていく。
「フン、表の汚職警官よりも勤勉だな。こちらとしては迷惑な話だが」
自分が狙われるぶんにはまだマシだが、逃げる労働者を狙われると厄介なことになる。
特にそうした動きを見せるドローンを集中的に狙って撃墜しつつ、キリカは戦況確認を行う。既に相当の数を墜としたはずだが、敵の増援はまだ来るようだ。
「全て撃ち落としていたら弾切れになりそうだ」
そこでキリカは銃を手放すと、指先から不可視の糸を無数に放ち【La marionnette】を発動する。呪詛を纏った極細の糸を打ち込まれたドローンは、またたく間に回路の制御を奪われ、彼女のコントロール下に落ちた。
「その身体が軋み潰れるまで、踊り狂え」
キリカは操り糸を通じて呪詛毒を流し込むことでドローンを操る。真っ向から機銃掃射で僚機を攻撃をさせるもよし、機体自体を激突させて相打ちを図るもよし、全ては彼女の意のままだ。
『エラー発生。エラー発生』
機械的なメッセージを繰り返しながら、同士討ちを繰り広げるドローン達。ヒトのような感情を持たぬがゆえに互いに慈悲も躊躇もなく、スクラップの山が工場に積み上がる。
「やれやれ、どんどんと出てくるな。ドローンを作業員にして働かせた方がよっぽど儲かるんじゃないか?」
破壊された傍から次々と新しいドローンに糸を打ち込んで操作を続けるキリカ。僚機の暴走を止めようと敵機はますますこちらに群がってくるが、逆にそれは一網打尽にするチャンスにもなる。
「今日限りで此処の労働者達は全員退職するそうだ。辞表代わりとして、存分に受け取ると良い」
操っている機体で敵を一箇所に密集させたところで、さらにオーヴァル・レイを起動。
最大出力による粒子ビームの照射が、キラー・ドローンの集団を一気に殲滅していく。
『被害甚大。業務継続、不可能……――』
ノイズ混じりの電子音アナウンスを残して、最後のドローンが機能停止して墜落する。
これで奴隷工場を監視していたオブリビオンは全滅。工場の稼働も止まり、過酷な労働から開放された人々の歓喜の声が地下に響き渡るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『オブリビオン・カンパニーマン』
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POW : キャリアアップ・プログラム
自身の【メガコーポ社内での出世】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : メガコーポ式交渉術
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【論理的思考力】、否定したら【冷静な判断力】、理解不能なら【オブリビオンへの注目度】を奪う。
WIZ : メガコーポ・アーティラリー
【砲撃部隊への通信】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【発信機】で囲まれた内部に【メガコーポ私設軍による砲撃】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
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「どこの馬の骨とも知れん輩が、どんでもない事をしでかしてくれたな」
企業の奴隷工場に突入し、監視のオブリビオンを撃破して労働者を救い出した猟兵達。
それから間もなくして姿を現したのは、黒いスーツに身を包んだ長身の女性。いかにも遣り手のビジネスマンといった雰囲気を纏った彼女は、鋭い眼光で猟兵を睨みつける。
「ここは私が本社から任された工場だというのに……こんなトラブルが上に発覚すれば、どんな処罰が下されるやら」
どうやら彼女が、この奴隷工場の運営を行っていた企業の代表者らしい。
その正体はメガコーポの命令により出向していた『オブリビオン・カンパニーマン』。
軍備増強という任務を秘密裏に請け負っていた、メガコーポの忠実なる走狗である。
「こんな所でキャリアに傷が付くなど許せん。貴様達には死をもって償ってもらうぞ」
企業戦士にとって企業からの評価は最優先事項である。己のミスをもみ消すためにも、このカンパニーマンは本気で猟兵を抹殺する気のようだ。彼女がぱちんと指を鳴らすと、武装した兵士達がぞろぞろと後ろから姿を現す。
「メガコーポに歯向かった己の愚かさを、後悔して逝け!」
ここはメガコーポの秘密兵器工場。その長が私設軍隊を抱えているくらいは当然の事。
仮にも企業のエリート社員なだけはあって、カンパニーマンは指揮官としての能力も、本人の戦闘能力も優秀だ。侮っていい相手ではないだろう。
だが、ここで彼女を倒さなければ、奴隷工場はいずれまた再開されてしまうだろう。
また、この工場がメガコーポの傘下だった証拠を握るためにも、退く訳にはいかない。
悪徳と腐敗の奴隷工場を完全停止させるために、猟兵達は企業の走狗に立ち向かう。
ミツバ・カナメ
何処のメガコーポであろうと、悪いコトしてればいつか報いは来るモノだよ!
この工場は、今日限りで操業停止にさせてもらうんだから!
特殊機動隊出撃、警官隊に出てきた兵士を抑え込んでもらうよ。
何人かはあたしと共にボスへ対応。こっちは簡単には抑え込めないだろうから、防御を重視しつつ包囲をかける形で動いてもらう。
ボスが警官隊を狙うならあたしがディスチャージ・ロッドで攻撃、あたしを狙うなら警官隊が包囲を狭めるという感じで連携。
今の状況、ボスにとっては何やっても出世は望めなさそうだし、後は相手の攻撃に対応できるよう、動きに気をつけて戦えば良いかな。
隙を見せたらハード・ノッカーの【零距離射撃】を叩き込みに行くよ!
「何処のメガコーポであろうと、悪いコトしてればいつか報いは来るモノだよ!」
ついに現れた奴隷工場の支配者に、ミツバはびしりと警棒を突きつけて叫ぶ。罪なき者を地下に閉じ込め、無慈悲に酷使するその悪行、たとえ天が見逃したとしても正義の目は誤魔化せない。
「この工場は、今日限りで操業停止にさせてもらうんだから!」
「フン。公僕風情が調子に乗るな!」
メガコーポの忠実なるカンパニーマンは、持っていた煙草を投げ捨てると、私設部隊に敵の鎮圧を命ずる。ここでコレ以上の損害を出せば、彼女の社内での出世は絶望的だ――己の【キャリアアップ・プログラム】の為にも退く訳にはいかないらしい。
「協力お願いしまーす!」
敵の数に対抗するために、ミツバは【特殊機動隊出撃】を要請。ユーベルコードの力で呼び出された100名の警官隊が暴徒鎮圧用の大盾を構え、メガコーポの兵士と激突する。
「ちっ、ぞろぞろと湧いて出てきたものだ!」
メガコーポに買収されて区域を封鎖していたような奴らとは違う。正しき秩序の守護者たる彼らは大盾で企業兵を抑え込み、カンパニーマンに接近するための道をこじ開けた。
「何人かはあたしと共に来て!」
右手に警棒、左手に盾を構えてダッシュするミツバ。先ほどのドローンや他の兵士達と比べても、あのカンパニーマンが別格なのは分かる。そう簡単には抑え込めないだろう。
「防御を重視しつつ包囲をかける形で!」
「小賢しいッ!」
一糸乱れぬ動きで陣形を組み立てる警官隊を、カンパニーマンはブレードで薙ぎ払おうとする。が、そこに一歩踏み込んできたミツバが、させじと警棒を彼女に振り下ろした。
「やあっ!」
「くッ!」
高出力の電流を帯びたディスチャージ・ロッドの一撃は、カンパニーマンにも脅威だ。
咄嗟にそれを切り払った彼女は返す刀でミツバに斬りかかるが、そうすると今度は周りにいる警官隊のほうが包囲を狭めてくる。
「あたしと機動隊のどっちから対処する?」
「むむむ……!」
劇的ではないが堅実な、隙を見せずに少しずつ敵を追い詰めていく戦い方は、"守護"を重視した警官に似合う戦法だろう。周囲からの大盾の圧迫と正面からの電磁警棒の脅威、両方に対処せねばならないカンパニーマンは徐々にアドバンテージを奪われていく。
(今の状況、ボスにとっては何やっても出世は望めなさそうだし、後は相手の攻撃に対応できるよう、動きに気をつけて戦えば良いかな)
こちらが落ち着いて圧をかければかけるほど相手は冷静さを失っていく。単純な1対1なら苦戦しそうだが、焦燥にかられた相手の動きが今のミツバにははっきり視えていた。
「私の出世の、邪魔をするなぁッ!」
状況打開のためにカンパニーマンが仕掛けた無茶な攻め。その隙を彼女は見逃さない。
横薙ぎに一閃されたブレードの下を潜り抜け、その脇腹に大型ショットガン「ハード・ノッカー」の銃口を押し当てる。
「労働者達の痛みを思い知りなさい!」
「な……ぐはぁッ!!!」
対物破壊力に優れたミツバの切り札が、機械化されたカンパニーマンのボディを零距離から撃ち抜く。地下工場に反響する轟音とともに、彼女は悲鳴を上げてふっ飛ばされた。
この世に悪が栄えようと、正義の潰えた試しなし。悪徳の世界で研ぎ澄まされた猟犬の牙はメガコーポにも届きうると、ここに証明された。
大成功
🔵🔵🔵
アマネセル・エルドラート
「いかにも此処の長って感じね。兵士も連れて大歓迎って所かしら。」
現れたオブリビオン・カンパニーマンと、共に現れた武装兵士を確認。
武装兵士の方も汚職警官よりは練度は高いのは間違いないだろう。
此処は数が多いだけ、と油断することなくかかる必要がありそうだ。
「悪いけれど、貴方が管理しているこの奴隷工場にはもう奴隷は残ってないわ。今日で稼働は終了よ。」
UC【アリスナイト・イマジネイション】で戦闘鎧を纏い、武装兵士の銃撃は盾受け、近接攻撃を仕掛けてくる武装兵士は受け流しで対処しつつオブリビオン・カンパニーマンの元へと走りこむ。
上手く接近出来たらランスチャージからのアリスランスの攻撃で一気に攻めて行こう。
「いかにも此処の長って感じね。兵士も連れて大歓迎って所かしら」
現れたオブリビオン・カンパニーマンと、共に現れた武装兵士を確認するアマネセル。
一企業の長たるカンパニーマンは言うに及ばず、武装兵士の方も汚職警官よりは練度は高いのは間違いないだろう。
(此処は数が多いだけ、と油断することなくかかる必要がありそうね)
終盤で詰めを誤らぬように気を引き締めて、白銀のアリスランスをぐっと握りしめる。
ここに来てせっかく壊滅させた工場の運営を、再稼働などさせられてはたまらない。
「悪いけれど、貴方が管理しているこの奴隷工場にはもう奴隷は残ってないわ。今日で稼働は終了よ」
「ふん。労働者などまた集めればいいだけだ。貴様らのような邪魔者さえ消えればな!」
カンパニーマンがさっと手を上げると、武装兵士が一斉に銃口をアマネセルに向ける。
企業の歯車として教育された、一糸乱れぬ連携。メガコーポの外敵を蜂の巣にすべく、無慈悲な銃弾の嵐が放たれる――。
「そんなこと、やらせるものですか」
だが、アマネセルの体には傷一つ付いていない。【アリスナイト・イマジネイション】により創造した戦闘鎧と、ウサギ時計の盾が弾丸を弾き返したのだ。それはサイバネティクスの発達したこの世界においては異質な、幻想と想像の力であった。
「チッ……銃が効かないなら白兵戦で仕留めろ!」
舌打ちするカンパニーマンの命令に応じ、兵士達は銃からブレードに装備を持ち替えて斬り掛かってくる。が、その間合いはアマネセルにとっても得意な距離だ。アリスランスを巧みに操り、攻撃を受け流して突き返す。
「どきなさい」
「ぐわっ!?」
突き倒した兵士を押しのけて、彼女はカンパニーマンの元へと走りこむ。何人もの兵士がさせじと立ちはだかるが、その道行きを止めることはできない。まるで自らが一振りの槍と化したような勢いで、猛然と標的に突っ込んでいく。
「くそっ……なんだ、こいつの強さは……!」
止まらないアマネセルの突進に、カンパニーマンも焦った様子でハンドガンを構える。
ここでの業績はメガコーポ社内での出世に関わる。【キャリアアップ・プログラム】のためにも、負けられないというのに。
「何故、私の出世の邪魔をする!」
「そんなもの、知ったことじゃないわ」
金と権力の奴隷に冷たく言い捨てて、アマネセルはその懐に飛び込んだ。拳銃の射線を切りつつ接近の勢いを銀槍に乗せて、放つは渾身のランスチャージ。一気呵成の一撃が、過たず標的を捉える――。
「がはぁッ!!?」
アリスランスにその身を貫かれたカンパニーマンが、苦悶の絶叫を上げて吐血する。
機械化されたボディの傷口からは火花が散り、破損したパーツがこぼれ落ちる。油断を捨てたアマネセルの本気が与えたダメージは、相当に大きかったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
堂島・アキラ
今さらメガコーポに盾突いたくらいで後悔なんざするかよ。
むしろやっとまともに暴れられそうでワクワクが止まらねえぜ。
思考力だの判断力だの、そんなものはなっから持ち合わしちゃいねえよ。
敵の真っ只中でひたすら暴力の限りを尽くす。それがオレだ。
そもそもテンション上がり過ぎてプッツンしてたら何言われても聞こえねえだろうな。
つーわけで、まずは邪魔な兵隊どもから血祭りだ!
力任せにぶん殴るか、マンティスセイバーで真っ二つか。
あんなヤツの手下になったばかりにあの世行きとはお前らツイてねえな。
最後に残ったオブリビオンの顔を拝むのが楽しみだ。
まだ余裕の表情か? それとも恐怖に歪んだか?
入念にメチャクチャにしてやるよ。
「今さらメガコーポに盾突いたくらいで後悔なんざするかよ」
これまでにも散々企業相手に暴れまわり、賞金までかけられているお尋ね者のアキラ。
彼にとって大事なのは保身よりもスリル。でなければ最初からこんな所に来るものか。
「むしろやっとまともに暴れられそうでワクワクが止まらねえぜ」
「フン。とんだ狂犬が紛れ込んでいたものだな……」
ニヤリと物騒な笑みを浮かべる少女義体に、カンパニーマンは軽蔑の眼差しを向ける。
企業の狗と自由な暴徒。およそ相容れるはずのない両者が出会ってしまえば、起こるのは殺し合いだけだ。
「貴様のような輩は見ているだけで虫酸が走るが、特別に慈悲をかけてやろう。今のうちに降伏するのなら、命だけは助けてやってもいい」
相手を見下しきった高慢な態度で、カンパニーマンが要求を放つ。それが通るとは本人さえも思っていないだろうが、反応次第で相手の論理的思考力や冷静な判断力を奪うことはできる。これが【メガコーポ式交渉術】だ。
「どうする? メガコーポの社員である私が、特別に譲歩してやって……」
「ごちゃごちゃうるせえんだよ!」
だが、今回ばかりは相手が悪かった。カンパニーマンの発言を途中で遮って、アキラは前腕部に畳まれたマンティスセイバー『MuramasaⅩ』を展開。ギラつくブレードを振りかざして、放たれた弾丸のように敵陣に飛び込んだ。
「全部メチャクチャにしてやる!」
思考力だの判断力だの、そんなものはなっから持ち合わせちゃいない。敵の真っ只中でひたすら暴力の限りを尽くす、それがアキラだ。そもそもテンションが上がりすぎてプッツンした今の彼には、何を言われた所でそもそも聞こえてすらいないだろう。
「こっ、こいつ……ぎゃぁっ!?」「ぐへぁっ!!」
義体に備わるセーフティを全解除した【暴走乙女】は、本能の赴くままに暴れまわる。
その最初の犠牲者となったのは、カンパニーマンが連れてきた企業の私兵どもだった。
「まずは邪魔な兵隊どもから血祭りだ!」
アキラの戦い方に決まった型などない。力任せにぶん殴るか、あるいはブレードで真っ二つにするか。何れにせよ単純な暴力だが、その出力は標準的な企業製義体の耐久性能を大幅に上回っていた。
「た、隊長! ダメです、こいつ手が付けられません!」
「えぇい情けない奴らめ、それでもメガコーポの兵士か!」
野獣の如き暴威の前では勤勉なる企業の兵士さえ恐れをなし、怯えた表情で後ずさる。
カンパニーマンはそんな配下を叱咤するが、士気と連携の崩壊を止めることはできず、部隊の混乱は加速していく。
「あんなヤツの手下になったばかりにあの世行きとはお前らツイてねえな」
言葉とは裏腹に一片の慈悲もかけずに、アキラは敵兵を圧倒する。リミッターの外れた人工筋肉のパワーにものを言わせて敵を引きちぎる、その様は心から蹂躙を楽しんでいるようだった。
(最後に残ったオブリビオンの顔を拝むのが楽しみだ)
何もかもを思い通りにできるとおごり高ぶった輩が、思惑が外れて狼狽える様は、いつ見ても痛快なものだ。一人、また一人と兵士がスクラップに変わるたび、カンパニーマンの表情は青ざめていく。
「まだ余裕の表情か? それとも恐怖に歪んだか?」
「き、貴様ッ……」
すっかり余裕の消え去ったカンパニーマンの顔を見て、喜悦の笑みを浮かべるアキラ。
だが、まだ足りない。もっと「イイ顔」をしてもらおうと、彼はマンティスセイバーの切っ先を突きつける。
「入念にメチャクチャにしてやるよ」
「ッ―――!!!」
圧倒的暴力で繰り出される刃を、カンパニーマンは辛うじて逸らすので精一杯だった。
深々と切り裂かれた人工皮膚から血飛沫が散り、表情は激痛でさらに歪み――暴徒の耳を喜ばせる苦痛の悲鳴が、戦場に響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
撤収や慰謝料を要求されてもお断り
何かムカついて冷静さを欠いたので本心ぶちまけて攻撃開始だ
テメーを倒して工場長の椅子はアタシが戴く!ってね
労働者のためアタシが工場経営を奪う腹積もりだよ
私設部隊はオブリビオンでねーなら精神攻撃・気絶攻撃の符を撒いて無力化する
飛び交う銃弾を神鳴で武器受けてカンパニーマンに突っ込むぜ
斬る!と見せかけて更に踏み込んでグラップルで一本背負いだ
そんで懐からスマホを盗みます
お尻で踏みつけて捕縛しながら盗賊式電脳戦法でスマホのロック諸々解いてアタシの口座に全財産を送金・企業の持株も譲渡だー♪
ついでに工場長のアカウントから本社にウイルスとエロ画像を爆撃するぜー
キャリアは終わったな
「くそっ……我が社のお膝元で、こんな事が許されてたまるものか」
奴隷工場を停止に追い込まれたばかりか、自分自身の身まで危うくなっている現状に、オブリビオン・カンパニーマンは危機感と激しい憤りを感じていた。もはや本社での出世だけの問題ではない。文字通りの命運がかかった事態である。
「これ以上の狼藉は許さん、即刻撤収しろ! 貴様らには後日慰謝料を請求する!」
「そんなのお断りに決まってるだろ」
それでも相変わらず上から目線な物言いに、カチンときた様子で言い返したのは燦。
この態度も【メガコーポ式交渉術】の一環なら、思考や判断力を奪おうとする敵の狙いは成功したと言えるだろう。冷静さを欠いた彼女はつい己の本心もぶちまけてしまう。
「テメーを倒して工場長の椅子はアタシが戴く!」
労働者の待遇改善のため、自分が工場の経営権を奪うのが燦の密かな腹積もりだった。
このモラルなき世界では企業の乗っ取りや買収などもままあること。そのうちの一社を彼女が手中に収めることも不可能ではあるまい。
「ふざけるなッ!」
無論、カンパニーマンがそれを許そうとする訳もなく、怒りの形相でブレードを抜く。
さらに後方からは私設部隊の増援も現れる。持てる全ての戦力を投入してでも、自分の椅子を守り抜こうという構えだ。
「お前らはちょっと寝てろ」
向かってくる企業の私兵に対し、燦は精神攻撃の術を封じた「四王稲荷符・桃華絢爛」を撒く。メガコーポの狗とはいえこいつら自体はオブリビオンではないようだし、殺すまでは流石に忍びないと思ったためか。
「何だこの紙は……ぐぅっ?!」「な、なにが……ぐはっ」
一見してレトロな御札を張り付けられた兵士達は、精神的ショックで次々に気を失う。
飛び交う銃弾も燦にとっては涼風のごとし。「神鳴」で弾を切り払いながら、軽やかな身のこなしで敵兵を踏み越え、カンパニーマンの元に突っ込んでいく。
「来るか……!」
雑兵では止められないと悟ったカンパニーマンは、自ら白兵戦で迎え撃つ構えを取る。
どちらも得物のリーチはほぼ同じ。激しい剣戟が繰り広げられると予想されたが――。
(斬る!)
と見せかけて燦は刀の間合いから更に一歩踏み込んだ。意表を突かれ、驚く敵の懐に。
真っ向勝負だけが彼女の戦法ではない。刀を手放して相手の襟首を引っ掴み、そのまま綺麗な一本背負いを決める。
「ぐはッ?!」
投げ落とされたカンパニーマンの身体は背中から工場の床に叩きつけられ、衝撃で一瞬息が詰まる。起き上がる暇もなく、その上に燦がどっかりと腰を下ろして押さえつけた。
「きっ、貴様よくも……」
「ここで問題。こいつは何でしょう」
「は? ……そ、それはッ!!」
お尻で踏みつけながら彼女が見せつけたのは、カンパニーマンの社用スマートフォン。
投げる際の一瞬のうちに懐から抜き取ったというのか。盗賊らしい手癖の悪さである。
「こいつでアタシの口座に全財産を送金・企業の持株も譲渡だー♪」
「やッ、やめろぉッ!?」
燦は【盗賊式電脳戦法】でスマートフォンのロックやセキュリティ諸々を解除すると、好き勝手にその中身を弄りまくる。バックドアまで作って情報を抜き出し、紐付けられた銀行口座や暗号資産をハックするなど、やりたい放題だ。
「ついでに工場長のアカウントから本社にウイルスとエロ画像を爆撃するぜー」
「なぁぁぁぁッ
!?!!!」
悲鳴を上げるカンパニーマンのことは華麗にスルー。資産を根こそぎ奪うだけでは飽き足らず社会的立場までボロボロにするつもりだ。カネと社会性がものを言うこの世界で、ここまでされれば二度と再起するのは不可能だろう。
「キャリアは終わったな」
「よ、よくもぉぉッ
……!!!」
用済みになったスマホをぽいと放り捨てる燦に、殺意と憤怒を向けるカンパニーマン。
これまで積み上げてきた全てを台無しにされた彼女の心中は最悪だろう。今まで企業の力を笠に着て好き勝手してきた報いだと、妖狐の盗賊はにやりと笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ネロ・アンドラス
「遂に黒幕のご登場か❗待ちくたびれだぜ❗まずは霧にご用心❗」辺りを黒い霧で覆い視界を悪くしてクラーケンの擬態で隠れてファントムを使い挑発「俺はこの霧の中だ❗殺れるものなら殺ってみな❗ついでにこれもくらいな❗」洪水の絵本を開き洪水をおこす。「いくら身体能力が増大してもやる気がでなきゃお前の部下共みたいに突っ立てるだけだぞ❗霧はどんな隙間でも侵入できるからな。」相手がファントムを倒すのを確認して擬態解除「感電の時間だぜ❗」アクアヴォルティックエンジンを起動させ水を伝わって部下諸共感電させる。「とどめだ❗くらえ❗リミッター解除❗蜂の巣にしてやるぜ❗」
「遂に黒幕のご登場か❗ 待ちくたびれだぜ❗」
ようやく出てきた奴隷工場の社長に、ネロはギラついた視線と怒りの咆哮を浴びせる。 こいつが警察を買収し、労働者を酷使してきた全ての元凶だと思えば、殺意も高まるというものだ。無論、殺られてやるつもりなど微塵もない。
「まずは霧にご用心❗」
そう叫ぶやいなや彼の周りは【怠惰の霧】に覆われ、墨のように黒く染め上げられる。
ただでさえ薄暗い地下工場でこれを使えば、敵の視界は限りなくゼロに近付くだろう。
「俺はこの霧の中だ❗ 殺れるものなら殺ってみな❗」
「ちっ、小賢しい真似を……撃て、撃ちまくれ!」
霧に隠れたネロを炙りだそうと、カンパニーマンは私設部隊とともに銃撃を仕掛ける。
だが標的が見えないまま闇雲に銃を撃っても手応えはなし。霧の中からは男の叫び声とページを捲る音が聞こえてくる。
「ついでにこれもくらいな❗」
「なッ、水が
……!?」
封鎖区域にいた警官共を押し流したのと同じ、「洪水の絵本」の猛威が再び放たれる。
霧中より溢れ出した大量の水から、カンパニーマン達は慌てて逃げようとするが――。
「な、なんだ? 力が抜けるような……」
「わ、私もです、隊長……」
ネロの放った【怠惰の霧】はただの目眩ましではなく、敵からやる気を吸い取る効果もあった。知らぬ間にそれに触れていたカンパニーマン達の士気は低下し、咄嗟の事態への対応が鈍くなる。
「いくら身体能力が増大してもやる気がでなきゃお前の部下共みたいに突っ立てるだけだぞ❗ 霧はどんな隙間でも侵入できるからな」
「「うっ、うわああぁぁぁぁーーーっ
!!!」」
逃げ遅れた兵士達が次々に洪水に呑まれ、工場の外まで押し流されていく。このまま彼を止められなければ被害はどんどん拡大するだろう。水の勢いも黒い霧も、収まる気配はまるで無かった。
「ええい、これ以上好きにさせてたまるか!」
萎えかけたやる気を振り絞って、カンパニーマンは洪水を乗り越え霧の中に飛び込む。
真っ黒な視界の中に浮かぶ微かな影と気配を頼りに、近接戦用のブレードを振るうと、何かを切り裂く手応えがあった。
「そこかッ!」
追撃の銃弾で畳み掛けると、霧の中にいた「何か」はバタリと音を立てて倒れ込む。
彼女はそれで敵を討ち取ったと確信したが――実際には、倒されたのはネロが囮として配置していた「ファントム」だった。
「残念だったな❗」
「なにッ?!」
本物のネロは「ジャイアントクラーケン」の擬態能力を使用し、霧の中でさらに身を隠していたのだ。そうとは知らず敵が気を緩めた隙を突いて、擬態を解除した彼は「アクアヴォルテックエンジン」を起動させる。
「感電の時間だぜ❗」
凄まじい規模の電力が彼の体内から放出され、洪水により水浸しになった床を伝わって敵集団に襲い掛かる。足元から迫りくる電流から逃げる猶予はなく、カンパニーマン達は揃って「ぎゃああぁぁぁぁッ
!!?!」と悲鳴を上げた。
「とどめだ❗ くらえ❗ リミッター解除❗」
畳み掛けるようにネロは「ガトリングアーム」を突きつけ、全力での掃射を仕掛ける。
水分を弾にした強力な水圧弾は、サイボーグの鋼のボディをも打ち抜く威力があった。
「蜂の巣にしてやるぜ❗」
「お、おのれ、おのれぇぇッ!!!」
銃弾の雨を浴びながら怨嗟の叫びを上げるカンパニーマン。その周りでは彼女の配下らがバタバタと倒れていく。奴隷工場の黒幕が完全なる敗北を喫する時は、そう遠くない。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
キミが代表者だね。奴隷労働を強いた罪、償ってもらうよ。
アナロジーメタモルフォーゼ!
床を壁に変えて私設軍を分断するよ。
そして、こっちを見失ってる隙にカンパニーマンの傍にひっそりと歩みより、魔法ビンタをくらわせる。
労働者の痛みはこんなものじゃないんだからね。再び姿を消し、壁の迷宮を変化させながら反省するまでビンタだよ。
「キミが代表者だね。奴隷労働を強いた罪、償ってもらうよ」
メガコーポの指示の元で労働者達の尊厳を踏みにじり、悪の経営者として君臨してきたオブリビオン・カンパニーマン。その悪行もこれまでだと、指を突きつけるのはアリス。
「罪を償えだと? メガコーポの模範的社員である私に、なんの罪があると言うのだ!」
対するカンパニーマンは微塵も悪びれることなく豪語する。この世界の基準に照らせば自分のしてきた事はなんら無法ではないと、彼女は本気で思っているようだ。企業が力を持ちすぎたサイバーザナドゥにおいては、営利こそが正義なのだから。
「アナロジーメタモルフォーゼ!」
その歪みを正すべくアリスは【類推的手法による物質変換】を発動。周囲の物質情報を分解・再構成することで床から壁を立ち上らせ、カンパニーマンの私設軍の分断を図る。
「なっ、この子供……まさかワールドハッカーか?」
戦場を作り変えた技法を、敵はワールドハッキングプログラムの一種かと考えたようだが、違う。情報妖精の操るそれは魔法ともハッキングともつかない、彼女独自のものだ。
「惑わされるな! こんなもの、ただの時間稼ぎだ!」
カンパニーマンは配下に命じて索敵を行わせるが、アリスが作り出した壁は迷路のように複雑に組み合っており、互いに合流するのも容易ではない。どこに誰がいて出口はどこなのか、把握できるのはこれを作った本人だけだろう。
(ぼくはこっちだよ)
敵がこちらを見失っている隙に、アリスはひっそりとカンパニーマンの傍に歩み寄る。
そして魔力を手のひらに集めると、すかしたその顔面目掛けて思いっきり叩きつけた。
「ごふっ?!」
魔法ビンタに横っ面を張り飛ばされたカンパニーマンは、無様な声を上げてのけぞる。
まずは一撃。しかしアリスの怒りはまだ収まらない様子で、頬を膨らませながら言う。
「労働者の痛みはこんなものじゃないんだからね」
「きッ、貴様!」
屈辱を覚えたカンパニーマンはハンドガンを抜き放つが、アリスは新たに作り出した壁を盾にして、再び姿を隠してしまう。ユーベルコードが維持されている限り、戦場の構造を何度でも変換・操作できるのが彼女の強みだ。
「ええいっ、貴様ら何をしている!」
「も、申し訳ありません! どこへ向かっても出口が見当たらず……」
怒りが収まらぬままカンパニーマンは【メガコーポ・アーティラリー】と通信するが、彼らは未だ分断されたままだった。アリスが壁の迷宮を変化させて合流を妨害している。
「反省するまでビンタだよ」
「ふげっ?!」
親玉を孤立無援の状況に陥らせつつ、アリズは何度も繰り返し魔法ビンタを叩き込む。
痺れるような痛みを何度も味わううちに、カンパニーマンの頬は真っ赤に腫れ上がり、凛々しい顔立ちも実に無様なものとなっていく。
「よ、よぐも……ほぐぁっ!!」
「まだまだ、これで終わりじゃないよ」
壁の影から、死角から、休む間もなく襲ってくる情報妖精に翻弄され、苦痛とダメージを蓄積させられていくカンパニーマン。彼女が己の罪を自覚しない限り、罰が終わることはない――全ての労働者達の苦しみを思い知るまで、あと何回ビンタが必要だろうか。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
「ご苦労だったな」
「貴様がトラブルに対応をしている間にM&Aがあってな」
「PERも低く、ROEが低下しており経営努力もないこの工場は要らないということだ」
「中身をそのまま入れ替えた私の新工場が目に留まり、メガコーポと合併することとなった」
「つまり貴様は空き工場の代表者だ。しかも…隠し金庫(カビパン)にこんな違法なデータがあった」
「警察(買収済)からも証拠は取れている。シュレッダー用紙も復元した。言い逃れは…不可能だ」
「貴様はクビだ、それとも…メガコーポに歯向かうのかね?」
とかげの尻尾切りにあったカンパニーマンは失脚。
カビパンはメガコーポに取り入り、本当に重要なデータを手元に残して高跳びした。
「くそっ、テロリスト共め、なんて奴らだ……」
予想を超えた猟兵達の反撃にあい、今や絶体絶命の窮地に立たされたカンパニーマン。
そこに徐に姿を現したのは軍服姿の女。自称猟書家にして特別顧問のカビパンである。
「ご苦労だったな」
「き、貴様は?!」
ギャグとカオスで潜入工作(?)を行ってきた彼女だが、もちろんカンパニーマンの方はそんなことを知らない。ただ、彼女の放つカリスマ的雰囲気に気圧され、只者ではないと感じてはいるようだ。
「貴様がトラブルに対応をしている間にM&Aがあってな」
満身創痍のカンパニーマンに、冷徹な調子でカビパンは告げる。M&Aとは企業や事業の合併や買収のことであり、ここでは彼女が経営していた会社や工場がその対象になる。
「PERも低く、ROEが低下しており経営努力もないこの工場は要らないということだ」
「ば、馬鹿な! そんなはずが!」
そんな話は一度だって聞かされたことはないと、カンパニーマンは抗議の声を上げる。
しかしカビパンは淡々と話を続ける。M&Aの話が嘘だったとしても、その堂々とした態度で語られれば本当の事のように聞こえてくる。
「中身をそのまま入れ替えた私の新工場が目に留まり、メガコーポと合併することとなった」
「ふ、ふざけたことを言うな?!」
いつの間にそんなものを建てていたのか。真偽の分からないカンパニーマンはただ驚くばかり。もしこれが事実だとすれば、彼女は経営者としてカビパンに負けたことになる。
「つまり貴様は空き工場の代表者だ。しかも……隠し金庫にこんな違法なデータがあった」
「はっ?!」
そう言ってカビパンが見せつけたのは、企業で交わされた不正の証拠。ただし隠し金庫と言ってもカビパン自身の金庫だが。だが身に覚えのありすぎるカンパニーマンは、それを自分のものだと勘違いしてギョッとしていた。
「警察からも証拠は取れている。シュレッダー用紙も復元した。言い逃れは……不可能だ」
さながら罪人に罰を宣告する裁判官のように、キリッとしたドヤ顔で告げるカビパン。
買収済みの警官はカネさえ握らせればいくらでも都合のいい証言をするし、書類や文書も偽造は可能。モラルの低下した社会だからこそできる追い詰め方である。
「わ、私は無実だ! これは何かの陰謀に決まって……」
「貴様はクビだ、それとも……メガコーポに歯向かうのかね?」
トドメとばかりに放たれる殺し文句。メガコーポの走狗が企業に逆らえるはずがない。
自身の【キャリアアップ・プログラム】が修復不可能なまでに崩れ去ったことを知り、カンパニーマンはがっくりと膝をついた。
「今までご苦労だったな」
かくして騒動の責任を取らされ、とかげの尻尾切りにあったカンパニーマンは失脚。
逆にうまいことを言ってメガコーポに取り入ったカビパンは、この会社に残されていた本当に重要なデータを手元に残して高跳びしたというが、それはまた別の話である。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
本来、法と秩序を奉ずるのが騎士の務めですが…
それを敷く側が悪ならば、己が騎士道に則り打ち砕くのみ
手始めに此方の工場の閉鎖と参りましょう
成程、普段はデスクワークでも直接戦闘にも覚えがあるようですね
良い動きです
得物の銃や格闘などを剣と盾にて捌き、巨躯ゆえの懐の弱さを突かんとする敵の肉薄を牽制
…しつつ肉薄を嫌うと相手に思い込ませ
懐に飛び込んだ相手に対しUCで騙し討ち
隠し腕の殴打で攻めを潰し、ワイヤーにて四肢を捕縛
内蔵兵器はこの世界では一般的なれど
その有無を匂わせる掛け引きは実地経験不足でしたね
本社からの処罰に関してはご安心を
断たれるのはキャリアではなく貴女の命
奴隷の酷使の報い、償って頂きます
剣を一閃
「本来、法と秩序を奉ずるのが騎士の務めですが……それを敷く側が悪ならば、己が騎士道に則り打ち砕くのみ」
腐敗した社会と企業の支配、その体現者たるオブリビオン・カンパニーマンを見据え、トリテレイアは静かに語る。騎士の正義とは社会の在りように左右されるものではなく、個人の信念に基づいたものだ。
「手始めに此方の工場の閉鎖と参りましょう」
「させるかァ……ッ!」
対するカンパニーマンは企業の利益と自身の出世の為に、猟兵の前に立ちはだかる。
騎士道とは決して相容れない悪しき理念が、彼女の機械化義体(サイバーザナドゥ)を駆動させる。メガコーポの走狗の力、侮るなかれと。
「成程、普段はデスクワークでも直接戦闘にも覚えがあるようですね」
敵の動きを一目見て、トリテレイアはその実力を把握する。改造された肉体の運動能力に加えて武器の扱いも素人ではない。銃とブレードを巧みに操って攻撃を仕掛けてくる。
「良い動きです」
「舐めるなッ!」
銃弾と刃を剣と盾にて捌く機械騎士に、カンパニーマンは苦々しい形相で吐き捨てる。
巨躯ゆえの懐の弱さを突かれそうになれば、盾によるブロックや足運びで肉薄を牽制。豊富な経験に基づいた彼の技量も企業人に劣るものではない。
(何とかして懐に入れれば……!)
トリテレイアの戦い方から見ても、彼が間合いを詰められるのを嫌っているのは明らかだった。基本的に白兵戦は体格に勝る方が有利だが、超至近距離での戦いとなればまた話は違う。そこに勝機があると考えたカンパニーマンは、多少強引にでも前に踏み込む。
「……そうお考えになると思っておりました」
「――ッ?!」
だが、騎士の懐に飛び込んだ彼女を待っていたのは【両腰部稼働装甲格納型 ワイヤー制御隠し腕】の不意打ちだった。至近距離での殴打がカンパニーマンの攻めを逆に潰し、驚愕する間もなくワイヤーが四肢に絡みつく。
「内蔵兵器はこの世界では一般的なれど、その有無を匂わせる掛け引きは実地経験不足でしたね」
肉薄を嫌うと思い込ませたのも作戦のうち。隠した"手の内"に相手を引き込むために、トリテレイアはわざとそうした挙動を見せてカンパニーマンの思考を誘導したのだ。
「ぐッ、放せ……!」
失策を悟ったカンパニーマンは必死にもがくが、ワイヤーの強度は彼女の予想以上で、強化されたサイボーグの出力でもすぐには解けない。後は煮るなり焼くなり思うままだ。
「本社からの処罰に関してはご安心を。断たれるのはキャリアではなく貴女の命」
拘束したカンパニーマンの前で、トリテレイアは「電脳禁忌剣アレクシア」を掲げる。
メガコーポへの弁明も再起のプランも考える必要はない。数多の人間を踏み台にした【キャリアアップ・プログラム】は今日、ここで終わる。
「奴隷の酷使の報い、償って頂きます」
「待―――ッ!!!」
制止もきかず容赦なく放たれた一閃が、カンパニーマンのボディを深々と斬り伏せる。
鮮血と潤滑液が混合した体液が噴き出し、砕けたパーツが辺りに飛び散る。隠し腕から解放されたその躯体は「よくも……」と恨み言を呟いて、ばたりと地べたに倒れ込んだ。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
フン、キャリアが大事ならば真っ当に働けばいいモノを
いや…メガコーポがアレではな、その下の社員に期待するのは酷か
シガールQ1210とデゼス・ポアを装備
乱れ撃ちで敵の集団を牽制
同時にUCを発動し、自分の毛先を毒霧に変えて周囲に薄く広げていく
出世の為に不利な行動をするとは見上げた愛社精神だな
会社も感激して、盛大な葬儀を行ってくれる事だろうよ
デゼス・ポアとも連携を取り攻撃
軽業を使って動き回りつつ銃撃
近づいてきた敵はデゼス・ポアでの斬撃か怪力とグラップルを使って吊るし上げ、弾除けの盾にする
広げてる毒は遅効性だが強力な神経毒だ
お前のような奴が出てくるという事は、此処はメガコーポ関連の企業か
ついでに、労働者の消耗具合から見て急ピッチで兵器を製造しているな?…何を狙っている?
敢えて出世に不利な行動を取るために喋ってくれる事を期待しよう
いかに身体能力が増大しようと、土台である身体そのものが毀損されればどうなるか…
会話と戦闘を長引かせて奴の身体が芯まで蝕まれたら、装備武器で一気に攻撃をしよう
「フン、キャリアが大事ならば真っ当に働けばいいモノを」
汚職に手を染め、今その報いを受けようとしているカンパニーマンに、キリカは冷たい視線を浴びせる。数多の人間を踏み台にして企業で成り上がろうとした結果がこれでは、同情の余地もない。
「いや……メガコーポがアレではな、その下の社員に期待するのは酷か」
「ハァ、ハァ……愚弄するか、貴様……ッ!」
腐敗しきった大企業でも、まだ忠誠を捧げる意思はあるのか。その一言で敵は眉を吊り上げて怒りの形相を露わにする。満身創痍の機械化義体(サイバーザナドゥ)には、今だメガコーポの"敵"に対する殺意が満ちていた。
「行け……刺し違えてでも奴らを殺せ!」
生き残った僅かな手勢に特攻を命じるカンパニーマン。対するキリカは制圧力に優れたシガールQ1210のフルオート射撃と、遊撃戦力としてのデゼス・ポアで敵軍を牽制する。
「来るがいい。この銃弾と刃を恐れないのならな」
「ヒヒヒヒヒャハハハハハ」
「ぐあっ?!」「ぎゃぁっ!!」
銃身を彩る黄金のラインが輝き、強化された銃弾が装甲化された肌を貫く。呪いの人形は不気味な笑い声を上げながら戦場を飛び回り、目についた敵を片っ端から錆びついた刃で切り裂いていった。
「ええい、不甲斐ない……!」
成果を挙げられないままばたばたと倒れていく部下を見て、任せてはおけぬと判断したカンパニーマンは、己の【キャリアアップ・プログラム】の為に――既にその遂行が困難だとしても、自ら武器を取って敵に斬りかかった。
「出世の為に不利な行動をするとは見上げた愛社精神だな。会社も感激して、盛大な葬儀を行ってくれる事だろうよ」
身も心も企業の狗となった敵に皮肉を浴びせ、キリカはデゼス・ポアとも連携を取って迎え撃つ。斬り合いに応じつもりはないのか、軽業めいた身のこなしで戦場を動き回り、距離を取りつつ銃撃戦メインの立ち回りを見せていく。
「おのれ、おのれェッ!」
カンパニーマンも負けじと撃ち返すが、彼女の弾丸はデゼス・ポアの斬撃で切り払われるか、倒れた部下を弾除けの盾にされて防がれる。並外れた腕力で敵を吊し上げながら、戦場を駆けるキリカの口元には笑みが浮かんでいた。
「お前のような奴が出てくるという事は、此処はメガコーポ関連の企業か。ついでに、労働者の消耗具合から見て急ピッチで兵器を製造しているな? ……何を狙っている?」
「フン! 貴様に言ってもわかるまい!」
その最中、敢えて出世に不利な行動を取るために喋ってくれる事を期待して問いを放ってみると、相手は小馬鹿にするように鼻を鳴らしつつもべらべらと話しだす。窮地ゆえの興奮状態が口を緩くしているのか、怒りで守秘義務という言葉が頭からすっぽ抜けたか。
「我が社の遠大な計画は……他のメガコーポどもを滅ぼし、我が社が世界の頂点に立つ、これはそのための準備なのだ!」
いかにも悪の企業らしい壮大かつ荒唐無稽な野望。もっとも彼女もその全容までは教えられていないようだ。カンパニーマンといえどメガコーポ全体からすればあくまで一社員であり、業務に必要のない情報まで与えられることはない。
「フン、その程度か。まあ期待してはいなかったがな」
「なにを……ッ?!」
冷淡なキリカの反応にますます怒りのボルテージを上げた直後、カンパニーマンは自分の体が思うように動かず、末端からマヒしたように痺れているのに気が付く。がくりと膝をついた彼女の鼻をついたのは、ブルーベリーのような甘い香りだった。
「天国が視えるほどに、甘い香りだろう?」
配下と戦っていた時からずっと、キリカは【プワゾン】で自分の毛先を毒霧に変えて、周囲に薄く広げていたのだ。使用したのは遅効性だが強力な神経毒。症状が現れた時点でもう手遅れになっているタイプの猛毒だ。
「いかに身体能力が増大しようと、土台である身体そのものが毀損されればどうなるか……」
「ぐ、げほっ……き、貴様ァ……!」
守備的な立ち回りや会話を仕掛けたのも、戦闘を長引かせて毒が回りきるのを待つための作戦。身体の芯まで蝕まれたカンパニーマンは、もはや身動きひとつできず――そこに秘術の銃弾と呪いの人形が一気に襲い掛かる。
「終わりだ」
「が、はぁッ
……!!!」
鋼鉄のボディに鎧われた心臓を銃弾が撃ち抜き、同時に錆びついた刃が喉をかき切る。
噴水のように吹き出した鮮血が、アーバンスーツを真っ赤に染める。ついに社運尽きたカンパニーマンは、痺れた喉を震わせて――。
「わ、我がメガコーポに、栄光、あれ……」
それを最期の言葉にして、ばたりと倒れ込んだ彼女の義体は、完全に機能を停止する。
非道な奴隷工場を運営していた悪しきメガコーポの手先は、ここに討ち取られたのだ。
――その後、猟兵達はカンパニーマンが代表者を務めていた企業のオフィスを調査し、この企業がメガコーポの傘下だった事実を示す資料を回収した。決して表沙汰にできない経営状況や裏取引のデータは、いずれメガコーポに一矢報いる武器になるかもしれない。
世界を支配する巨人は今だ倒れずとも、猟兵達はその魔の手から見事人々を救い出し、足元に確かな楔を打ち込んだのだ。
大成功
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