ミスター・モカによるあなたのための一杯
●温かな一杯
ミスター・モカとは、アルダワ魔法学園の学生食堂に設置されているコーヒーマシンの愛称である。
コーヒー豆とチョコレートシロップ、それにミルクなどが機械内に入れてあり、ボタンを押せば飲み物を抽出してくれる。
出せるのは、ココア、ホットミルク、それに各種コーヒー。一番人気はカフェモカだ。
ボタン操作によって自分好みの味にカスタマイズできる、便利な魔導蒸気機械なのである。
●グリモアベース
「そいつが、バレンタインデーの間は、無料で誰でも使い放題らしいぜ!」
管木・ナユタ(ミンチイーター・f36242)は、無邪気に笑って告げた。
「一口にコーヒーって言っても、色々あるだろ? エスプレッソとか、カフェラテとか、カプチーノとかさ。飲みたいのはどれでも、ミスター・モカが叶えてくれるぜ!」
ボタンを押すだけで、飲みたい物をカスタマイズできる。操作方法が分かりやすいのがミスター・モカの特長だそうだ。
「アタシ様のオススメは、カフェモカだな!」
チョコレートシロップが入ったコーヒーは、苦みの中に優しい甘みが感じられ、カカオの香りが心を落ち着かせてくれるだろう。
「ミスター・モカに飲み物を淹れてもらった後は、学生食堂で好きなように過ごすといいぜ! お菓子やチョコを交換し合ったり、恋バナしたりな! もちろん、隅っこでゆったり飲み物を味わうって過ごし方もアリだぜ! あと、学生食堂のキッチンを借りてお菓子作るのもオッケーだってさ!」
にかっと笑ったナユタは、猟兵の転送準備に入る。
「年に一度のバレンタインデーだ、思いっきり楽しもうぜ!」
地斬理々亜
地斬です。
よろしくお願いします。
●できること
ミスター・モカにお好みの飲み物を淹れてもらった後は、学生食堂でお好きなようにお過ごしください。
なお、ミスター・モカは喋りません。
プレイングでお声がけがあった場合は、グリモア猟兵のナユタも登場可能です。
●プレイング受付
【15日(火)8:31】から受付開始とします。
のんびり運営の予定ですが、2月中には完結させるつもりです。
それでは、良きひとときを。
第1章 日常
『アルダワ魔法学園のバレンタイン』
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POW : 皆とチョコやお菓子を交換しながら盛り上がる
SPD : 恋の噂話に花を咲かせる
WIZ : 賑わいの輪を抜け出し、秘密の場所に向かう
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ペネカ・マネッチア
幼馴染のグリンくん(f33946)と
機械にお名前がついてるなんて、なんていうか……可愛いのです
今日はミスター・モカさんのお世話になりましょう
淹れてもらうのはカフェモカです
ミルクとチョコレートシロップをたっぷり入れて甘めにしてもらうのです
グリンくんはブラックなんですね
大人です……渋いのです……
飲み物を用意したら一緒に食堂へ
適当な席に腰掛けて一緒に飲みましょう
……ほっとする味です
こうやってのんびり出来るの、幸せですね
……あの、グリンくん
せっかくだからブラック……飲んでみてもいいですか?
カップを交換して一口飲んでみましょう……
……やっぱりペネカにはまだ早かったのです
頑張ってもっと大人になるのですよ!
グリン・バウクスイート
幼馴染のペネカ(f33906)と
へー、ここが魔法学園
色々気になるが、今日はコーヒーを頂いていこう
俺はブラックにしようかなぁ
甘いコーヒーって逆に落ち着かなくて
ペネカは甘いのにしてもらったんだな
チョコの香りが漂ってくるのは結構好き
食堂も広いなぁ……
一緒にどこかに座ったらいただきます、だ
はー、美味しい
身も心もあったかくなるやつだな
ペネカの提案にはちょっと不安げ
いいけど……あ、それなら俺も一口カフェモカ貰っていいか?
交換して一口飲んで
こっちはお菓子食べてるみたいでホッとするけど
……ペネカ、大丈夫か?
ほら、自分のカフェモカ飲みな
コーヒーが飲めるから大人って訳じゃないが
ペネカが頑張りたいのは応援するぜ
●少女の背伸びと、見守る青年
「へー、ここが魔法学園」
グリン・バウクスイート(バグベア・f33946)の三白眼が、きょろきょろと物珍しげに辺りの風景を見回す。
廊下には、ドラゴニアンやケットシー、ミレナリィドールといった種族を含む、多様な学生たちが行き交っており、賑やかだった。今は、授業の合間の休憩時間らしい。
「色々気になるが、今日はコーヒーを頂いていこう」
「はい。グリンくん」
グリンへと、ペネカ・マネッチア(カラフルレンズ・f33906)が小さく頷く。
グリンとペネカ、幼馴染である二人は連れ立って、学生食堂に向かった。
テーブルと椅子が沢山並んでおり、誰でも自由に着席できるようになっている。そんな広い空間の片隅に、一台の魔導蒸気機械が佇んでいた。
「あれがミスター・モカか」
「きっと、そうですね」
グリンに相槌を打ちながら、ペネカは思う。
(「機械にお名前がついてるなんて、なんていうか……可愛いのです」)
長い前髪でペネカの目元は隠れているが、口元はほんのりと笑みの形になっていた。
二人は歩み、ミスター・モカの前に立つ。
「ミスター・モカさん、お世話になりますね」
ペネカは話しかけながら、ボタンを操作した。
ミルクをたっぷり、チョコレートシロップもたっぷり。甘めのカフェモカを選択し、抽出ボタンを押す。
「ペネカは甘いのにしてもらったんだな」
チョコレートの香りがグリンの鼻をくすぐる。グリンはそれを、快く感じた。
「はい。グリンくんはどうしますか?」
「俺はブラックにしようかなぁ。甘いコーヒーって、逆に落ち着かなくて」
「大人です……渋いのです……」
そんな会話を交わしながら、二人は飲み物を淹れ終える。周辺を見回してから、近くの適当な席へと歩み、向かい合って座った。
いただきます、と声を揃えて、カップに口を付ける。
ペネカのカフェモカは甘く温かく、カカオの香りが安らぎを与えてくれた。グリンのブラックコーヒーは、すっきりとキレのある苦味が心地良い。
「……ほっとする味です」
「はー、美味しい」
「こうやってのんびり出来るの、幸せですね」
「そうだな、幸せだ。身も心もあったかくなるな」
言葉を交わしながら半分ほど飲んだところで、おずおずとペネカが言い出した。
「……あの、グリンくん」
「ん、なんだ?」
「せっかくだからブラック……飲んでみてもいいですか?」
「いいけど……」
グリンの表情は不安げだ。なんとなく、この後の展開が読める気がする。
「あ、それなら俺も一口カフェモカ貰っていいか?」
「はっ、はい。交換しましょう……」
カップを交換して、それぞれ、くいと一口。
(「……こっちはお菓子食べてるみたいでホッとするけど」)
甘いコーヒーは落ち着かないと感じていたグリンだが、思いの外、心が和んだ。
だが、ペネカは……。
「…………」
前髪で表情は読みづらいものの、明らかに、一生懸命、苦味に耐えていた。
グリンの不安が、的中する形となったのである。
「……ペネカ、大丈夫か?」
グリンに問われ、ペネカは頑張って口の中のブラックコーヒーを飲み込む。
「……やっぱりペネカにはまだ早かったのです」
ブラックコーヒーの残りをそっとグリンに返却しながら、ペネカはぼそりと言った。
「ほら、自分のカフェモカ飲みな」
「ありがとうございます……」
グリンが返したカフェモカをちびちび飲んで、ペネカは口直しする。
ペネカの前では、グリンが悠々とブラックコーヒーを飲んでいる。
(「ペネカも、大人になりたいです」)
カフェモカを飲み終えたペネカは、宣言した。
「頑張ってもっと大人になるのですよ!」
「コーヒーが飲めるから大人って訳じゃないが……」
グリンは、歯を見せて、にやっと笑う。
「ペネカが頑張りたいのは応援するぜ」
「あっ、ありがとうございます……!」
大人になりたいエンジェルの少女は、照れながら、幼馴染へと礼を述べたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
ミリア(f32606)と
アルダワもすっかり浮かれ気分ねぇ。
あたしはカプチーノちょうだい、ミスター・モカ。
気がつけば、結構長い付き合いよね、あたしたち。
一緒に依頼行ったり、あたしがミリアに告って玉砕したり。
あたしの恋人は式神のアヤメと羅睺ね。どちらも依頼の中で出会って、連れ帰ってきたの。
アヤメはちょっと焼き餅焼き。羅睺はその辺どっしり構えてる。
印象に残ってるのはあれかしら。ブルーアルカディアの学生の部屋まで上がり込んだはいいものの、そこから一晩中術式の講義をする羽目になって。
鋭い鈍いは気にしない方がいいわよ
ミリアリア・アーデルハイム
f01658:ゆかりさんと
おすすめのカフェモカを注文
アルダワはあまり来たことがなくて。
蒸気船クルーズとか蒸気機関車の旅とかもしてみたいんですけど。
ゆかりさんは恋人さんとはどんな出会いだったんですか?
好みのタイプ、とか。
そういえば、図書館の前で蒸気自転車を倒してしまって、起こそうとしたら助けてくれた方があったので「え、キュン?」って思ったらその人の自転車だったらしく、ごめんなさい案件だったという事が・・・。
誰かを好きと気付いた時にはもう会えなくなってたりするんですよね。
私、鈍いんでしょうか?(悩)
甘くってほろ苦いカフェモカが記憶を呼び起こす
ミスター・モカは、ずっとみんなの話を聞いてきたのかな?
●花咲く恋バナ
アルダワ魔法学園の学生食堂に到着した、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)と、ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)は、辺りを見回す。
お菓子を贈り合う学生や、寄り添い語り合うカップルなど、バレンタインデーらしい光景が見られた。
「アルダワもすっかり浮かれ気分ねぇ」
微笑ましくそれを眺め、ゆかりは食堂内を歩く。
「アルダワはあまり来たことがなくて。蒸気船クルーズとか、魔導機関車の旅とかもしてみたいんですけど」
ミリアリアは、見慣れていないアルダワの風景をきょろきょろ見回しながら、ゆかりの後ろをついて行く。
ゆかりとミリアリアは、ミスター・モカの前に立った。
「あたしはカプチーノちょうだい、ミスター・モカ」
言いながら、ゆかりはミスター・モカのボタンを押す。白い蒸気がミスター・モカから噴出し、ふわふわの泡が乗ったカプチーノが抽出された。
「私は、おすすめのカフェモカをお願いしますね」
ミリアリアがミスター・モカをボタンで操作し、カフェモカを選択する。コーヒーとチョコレートシロップの香りが漂い、一杯の温かいカフェモカが出来上がった。
ゆかりはカプチーノ、ミリアリアはカフェモカが入ったカップを手にし、空いている席に移動して、向かい合って座った。
「気がつけば、結構長い付き合いよね、あたしたち」
先に口を開いたのは、ゆかりだ。
「猟兵として、一緒に依頼を受けたり」
「そうですね。これまで、様々な世界に行きましたよね」
頼れる仲間として、二人は互いに戦場で助け合ってきた。
昨年のハロウィンに、キマイラフューチャーできのこたけのこ武闘会に出場し、ユーベルコードをぶつけ合ったのも、良い思い出だ。
「あとは、あたしがミリアに告って玉砕したり」
「あー……」
互いに苦笑する。そんなこともあったが、良き友人としての仲は今も続いていた。
一口飲み物を飲んでから、今度はミリアリアが口を開いた。
「ゆかりさんは、恋人さんとはどんな出会いだったんですか? 好みのタイプ、とか」
「恋人ね。あたしの恋人は、式神のアヤメと羅睺ね。どちらも戦いの中で出会って、連れ帰ってきたのよ」
また一口カプチーノを飲んでから、ゆかりはカップを置く。
「アヤメはちょっと焼き餅焼き。羅睺はその辺どっしり構えてる。好きよ、どっちも」
「なるほど……」
ミリアリアはカフェモカを飲む。
ふと、ある出来事がミリアリアの頭に浮かんだ。
「そういえば、図書館の前で蒸気自転車を倒してしまって、起こそうとしたら助けてくれた方がいらしたので。『え、キュン?』って思ったら、その人の自転車だったらしく。ごめんなさい案件だったということが……」
「あらあら……。そんなこともあるわよ」
「ありがとうございます。ゆかりさんにはそうしたエピソードは?」
「そうね。ブルーアルカディアの学生の部屋まで上がり込んだはいいものの、そこから一晩中、術式の講義をする羽目になったことかしら」
「わあ……」
ミリアリアは思わず少し笑ってから、カップの中身をもう一口。
甘く、それでいてほろ苦いカフェモカが、ミリアリアの記憶を呼び起こす。
「……誰かを好きと気付いた時には、もう会えなくなってたりするんですよね」
ミリアリアは呟く。カップを置けば、カフェモカの水面に、自分の顔が映っているのが見えた。
ミリアリアは顔を上げ、ゆかりを見る。
「私、鈍いんでしょうか?」
「鋭い鈍いは気にしない方がいいわよ、ミリア」
ゆかりから間を置かずに返ったのは、穏やかな答え。
「自他の気持ちに鋭すぎると、かえって傷つくこともあるわ。だから、鋭い鈍いに正解はないのよ」
世話焼きであるがゆえに、ゆかりはミリアリアに言わずにはいられない。
「はい。ありがとうございます、ゆかりさん」
ミリアリアが飲み干したカフェモカは、甘く感じた。
(「ミスター・モカは、ずっと、みんなの話を聞いてきたのかな?」)
ふと、ミリアリアはそう思ったのだった。
大成功
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アパラ・ルッサタイン
やあ、ナユタ
良ければご一緒してくれないかい
まずはミスター・モカ氏にとびきりの一杯を作って頂こう
ふむ、おススメはカフェモカなのだね?
ではそれをお願いしよう
ミスター、宜しいかな?
お道化つつボタンをぽちっと
ううむ、なんて便利なんだ
ミスターなんて呼ばれているだなんて
学生さん達に愛されているのだねえ、このマシン
ナユタは何にするかい?やっぱりカフェモカ?
コーヒーは良く頂くが、カフェモカはあまり機会が無かったかも
なるほど香りが好くて心地よい甘味、贅沢な一杯だ
チョコチップクッキーを持ってきたんだ
宜しければ如何かな
学生食堂でバレンタインと言えば矢張り話題は恋――は、ええと、
ちと気恥ずかしいので
ナユタ、あなたの好みが知りたいな
お菓子のだよ??イヤ本当だって
ホラ、いつか差し入れする事があった時に
好みを知っていたら選び易いじゃないか
あたしはこれ
クッキーが好きだな
小麦とバターの良い香りが好むようだ
色々味も変えられるし
保存もきくからランプ作りで食事の準備が面倒な時に助かるしな
恋バナの方の好み?
――君も知ってる人だよ
●バレンタイン女子会
「やあ、ナユタ。良ければご一緒してくれないかい」
「おー! もちろんだぜ、喜んで!」
アパラ・ルッサタイン(水灯り・f13386)の提案に、ミスター・モカの前に立っていた管木・ナユタは笑顔で応じた。
「まずはミスター・モカ氏にとびきりの一杯を作って頂こう」
「おう! オススメはカフェモカだぜ!」
「ふむ、ではそれをお願いしよう。ミスター、宜しいかな?」
「あっはは!」
おどけてみせたアパラにナユタが笑う。アパラがボタンを指で押せば、コーヒー豆が挽かれる音がして、蒸気が噴き出し、一杯のカフェモカが抽出された。
「ううむ、なんて便利なんだ」
アパラは感心する。
「ミスターなんて呼ばれているだなんて。学生さん達に愛されているのだねえ、このマシン」
じっとアパラはミスター・モカを眺めてみた。無骨なデザインだが、なんだか愛嬌があるようにも見えてきた。
「ナユタは何にするかい? やっぱりカフェモカ?」
「もちろん、カフェモカだな!」
頷いたナユタもカフェモカを淹れ終え、二人は空いた席に座った。
(「コーヒーは良く頂くが、カフェモカはあまり機会が無かったかも」)
アパラはそっとカップに口を付ける。
(「なるほど香りが好くて心地よい甘味、贅沢な一杯だ」)
コーヒーとチョコレートの二重奏が、アパラの心を満たしてくれた。
「チョコチップクッキーを持ってきたんだ。宜しければ如何かな」
「マジで? わーい、サンキュ!」
喜ぶナユタの前にアパラはクッキーの包みを置き、二人で摘まめるように中身を広げた。
(「さて」)
学生食堂でバレンタイン。
と言えば、話題は――。
「ナユタ、あなたの好みが知りたいな」
「アタシ様の好みか? 背が高くて頼り甲斐のある男かな!」
「お菓子のだよ??」
「えっ」
「イヤ本当だって。ホラ、いつか差し入れする事があった時に、好みを知っていたら選び易いじゃないか」
「あー……あー……うん」
顔を赤くして、ナユタは照れ隠しにクッキーを頬張る。
アパラは気恥ずかしくて、恋の話題はあえて避けたのだった。
「アタシ様は和菓子が好きだな、羊羹とか最中とか。アパラは?」
「あたしはこれ」
アパラが指したのはクッキーだ。
「小麦とバターの良い香りがあたし好みだ。色々味も変えられるし、保存も利くからランプ作りで食事の準備が面倒な時に助かるしな」
「あー、カロリー摂らないと、大切な作業って出来ないからなぁ。時短も大事だし、分かるぜ。ところで……」
ナユタは身を乗り出した。
「恋バナの方の好みも教えて欲しーな?」
アパラは瞬きを数度。ほんのり頬を染めて、にっこりと笑った。
「――君も知ってる人だよ」
「えっ!? 心当たりの人数めっちゃ少ないんだけど! どいつだー!」
ひとしきり騒いでから、ナユタは言った。
「応援するぜ! アパラ!」
「ああ。ありがとうね、ナユタ」
カフェモカとクッキーの香りが漂う中、和やかな時間が過ぎてゆくのであった。
大成功
🔵🔵🔵