銀河帝国攻略戦⑤~煙霧号 迷蒼動力部
●銀河帝国との戦い
スペースシップワールドは今まさに激しい戦いの最中。
猟兵達、『解放軍』の元には既にほとんどの味方艦隊が集結していた。
しかし現在――辺境星域を航行していた為、合流に後れを取っている宇宙船がまだ少数残っている。其処に目を付けた或る帝国戦艦は銀河皇帝が持つワープドライブを用い、未だ解放軍に合流できていない宇宙船を破壊せんとして侵攻を始めた。
視えたのは、宇宙船が巨大戦艦に蹂躙される未来。
グリモアを手にしたミカゲ・フユ(かげろう・f09424)は猟兵達に願う。
「どうかお願いします。敵戦艦を星の海に沈めてきてください!」
今回の敵戦艦の名はエアロゾル・バトルシップ。
通称『煙霧号』と呼ばれる戦艦には多くの兵士や機械兵などの戦力が積み込まれている。このままでは解放軍に合流しようとする宇宙船が星海の塵にされてしまう。
それゆえに攻め込まれる前に相手の戦艦に乗り込まなければならないと話し、少年は真剣な眼差しを向けた。
エアロゾル・バトルシップこと煙霧号は巨大だ。
だが、主要個所を潰していけば敵戦力を大きく削ることが出来ると予想されている。
「ここに集まって貰った皆さんには『動力部』を攻めて頂きたいです」
動力部、つまりエンジンルーム。
戦場となる場所までは直接テレポートで送ることが出来るが、その内部にはガードマシンである小型のデルタ・ファイターが多数配置されているようだ。しかしそれさえ倒せば動力部を破壊することができる。
「ガードマシンはかなりの数がいて、エンジンを守る形で布陣しています。攻撃を行いながら増援を呼んだり、時には無差別攻撃も行ってくるみたいなので気を付けてください」
予知で視えた敵は数え切れないほどだったと話し、ミカゲは俯いた。
その狼尾も心なしか不安げに揺れている。
されどすぐに顔をあげ、尻尾をぴんと伸ばした少年は猟兵達を改めて見つめた。
「僕は知っています。皆さんが、とっても強いってことを!」
だから大丈夫。
そう言って信頼が宿った眼差しを向け、仲間達の顔をひとりずつ見回したミカゲは十字架型のグリモアを掲げる。
「では動力部に直接テレポートを行います。皆さん、覚悟は良いですか?」
この戦いはきっと銀河を救う一助となる。
そして――星の海に向け、世界を渡る扉がひらかれた。
犬塚ひなこ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●やること
敵戦艦の名はエアロゾル・バトルシップ。
通称『煙霧号』内にテレポートで乗り込み、内部の敵をぶちのめす戦いとなります。難しいことは考えずに思いきり戦えば成功です。
こちらのシナリオは『動力部』でのバトルとなります。
動力部に当たる戦艦内部に直接テレポート致しますので道中については心配しなくても大丈夫です。
内部は広く、戦いに支障はありません。戦いの中でエンジン等を壊しても暫くは予備動力が働くので撤退までは問題ありません。敵を蹴散らしてささっと帰ってきましょう!
●エアロゾル・バトルシップについて
こちらは『煙霧号』と名のつくシナリオで同舞台となっています。
同舞台ではありますがシナリオ同士の連携は発生せず、時系列などもあえて詳しく判定しません。またその都合上、『このシナリオ内で他所に援軍に向かう』という描写はできかねますのでご了承ください。
全てを巡るも、一箇所を攻めるもよし。お気の向くままご自由にどうぞ!
第1章 集団戦
『デルタ・ファイター』
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POW : 増援要請
自身が戦闘で瀕死になると【増援飛行隊 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 帝国軍の栄光のために!
【制御不能の高速航行モード 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ : 対宙銃撃
レベル×5本の【貫通 】属性の【機銃弾】を放つ。
👑11
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アレキサンドラ・ミルキーウェイ
※アドリブ連携歓迎
敵も中々大部隊のようですが、質はこちらが上なのです
皆さん、私は後ろで応援しているので猟兵の力を見せつけてやるのです
戦闘では主に後方支援
【星の鎖】を使って流星鎖を複製、【ロープワーク】技術を駆使して敵の拘束を狙っていくのです
拘束した敵からは流星鎖を通じてじわじわ【生命力吸収】してやりましょう
自分や仲間への攻撃は鎖で拘束した【敵を盾にする】事で防ぐのですよ
制御不能モードに入った敵がいるなら、流星鎖を高速で動かす事でそちらに攻撃を誘導できないか試してみます
また、私は後方に位置しているので、敵全体の動きを観察して【情報収集】、敵の回り込みや不意打ちを防ぐ為に仲間に声掛けしてみるのです
逢坂・宵
ふふ、攻め入るのみの攻勢は単純でいいですね
僕はこういうのも好きです
さて、クールに、クレイジーに……参りましょうか
不肖この星術師、お相手仕ります
お手柔らかに―――死合いましょう
「対宙銃撃」がなかなかに厄介そうですね
射程圏外からちまちまと攻撃していきたいところですが
必要があれば近寄らざるを得なさそうです
『属性攻撃』『2回攻撃』『高速詠唱』『全力魔法』を用いて
『天撃アストロフィジックス』で攻撃します
猟兵の仲間とも連携や協力をおこなっていきましょう
●星の海を往く
銀河の彼方、辺境星域。
其処に浮かぶ敵戦艦へとテレポートを果たした猟兵達は前を見据える。
耳に届くのは静かに響くエンジンの音。
そう――まさに此処が帝国戦艦、エアロゾル・バトルシップの動力部だ。
「さて、クールに、クレイジーに……参りましょうか」
逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は共に転移してきた仲間と同時に動力部へと踏み入る。一瞬にして数多の視線――否、そのように感じられる敵意が宵達に向けられた。
アレキサンドラ・ミルキーウェイ(強欲の貧者・f13015)は身構え、動力部を護るガードマシーンである機兵達を見据える。
「敵も中々大部隊のようですが、質はこちらが上なのです」
敵は小型だが一目では数え切れないほど集まっていた。宵はアレキサンドラが後方へと下がったことに気付き、自らは星の魔杖を構える。
此処で行うことは至極単純。ただ目の前のものを殲滅するだけ。
「ふふ、攻め入るのみの攻勢は単純でいいですね」
「皆さん、私は後ろで応援しているので猟兵の力を見せつけてやるのです」
宵がちいさく笑むと、アレキサンドラが仲間達に呼び掛ける。頷いた宵は即座に身を翻し、敵から撃ち放たれる機銃弾を避けてゆく。
それと同時にアレキサンドラが魔力を紡ぎ、邪封鎖オルファリルを複製した星の鎖を展開していった。自分に向けられた機銃弾を鎖で防御しながらアレキサンドラは宵に向かう攻撃も弾き飛ばす。
その援護に感謝を抱き、宵は詠唱を始めた。
「不肖この星術師、お相手仕ります。お手柔らかに―――死合いましょう」
そして、その言葉が落とされた刹那。
流星めいた属性の光が戦場に奔り、デルタ・ファイターのコアを真正面から貫いた。ジジ、と火花が散って一体が床に落ちる。
颯爽と一体目を倒した宵だが、其処にはもう意識を向けていられない。
上手くやれば即座に屠れる相手だとしても、その数は膨大。
アレキサンドラは少しでも敵の動きを止めようと狙い、自らの操作術を駆使してデルタ・ファイターを絡め取ってゆく。
「動きを阻んでやるのです。それから、こうしてやります」
片目を軽く瞑って見せたアレキサンドラは絡めた流星鎖から敵の力を奪う。
更には力を失って揺らいだ敵を一気に引き寄せ、他の機体から放たれた機銃攻撃の盾として使うということまでしてみせる。
「あの厄介な対宙銃撃を防いでくれるなんて、頼もしい限りです」
宵はアレキサンドラの立ち回りに信頼を覚えながら、自らは攻勢に入っていく。
幾ら動力部内部が広いといっても敵の数を考えると、射程圏外からの攻撃はさせてくれそうもない。それにこちらの射程も届かなくなるだろう。
それならば、と宵は夜闇色のローブを翻して戦場を駆け巡る。
息が切れようとも、詠唱の速度は変わらない。アレキサンドラの鎖が自分への攻撃を弾いてくれている間に、と宵は魔力を迸らせた。
「――太陽は地を照らし、月は宙に輝き、星は天を廻る」
銀河の海にも巡っている星々に思いを馳せ、宵は天撃の力を顕現させる。
刹那、数多の流星矢が戦場に降り注いだ。
それによって一体、二体、三体とガードマシーンが次々と落ちていく。アレキサンドラは後方からその様子をしっかりと見つめ、戦場の様子を確かめていった。
戦況は上々。だが、アレキサンドラはふとあることに気付く。
「敵が妙な動きをしていますね。気を付けてください」
呼び掛けたアレキサンドラが危惧した通り、デルタ・ファイターは制御不能暴走モードへと入ったようだ。更に危険な攻撃が来ると察知したアレキサンドラは再び星の鎖を複製し、それらを囮にするべく力を揮った。
「さあ、こちらなのです」
暴走した物は往々にして速く動くものを狙うのが定石。アレキサンドラが鎖を操作して敵の攻撃を誘っていると察し、宵はそっと視線を送る。
「敵の誘導はお願いします。そちらもどうか、お気をつけて」
仲間の無事を案じながらも宵は更なる攻撃を担おうと決めた。そして、ふたたび解き放たれた流星の矢は高速モードの敵を見事に打ち貫く。
アレキサンドラは一先ずの安堵を覚え、宵も呼吸を整えた。だが――。
「少しずつ、数は減って来ましたが……」
「ええ、まだ終わらないようです」
動力部の奥からは更なるデルタ・ファイターが現れ、猟兵達に敵意を放っている。
されど、此方とてまだ音をあげたわけではない。宵とアレキサンドラはこの場で共に戦う仲間達にも意識を向け、しかと頷きあった。
この戦いに勝ち、宇宙船を護る。そして――必ず帰還する。
そう心に決めた二人の眼差しは、ただ真っ直ぐに敵へと向けられていた。
成功
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ベリザリオ・ルナセルウス
●目的
突っ込んで行く織久(f10350)を守りながら戦う
連携を取れる仲間がいればいいね
血が出たり痛みで苦しんだりしない敵なら織久も落ち着いていると思ったんだが……仕方のない子だ
●戦闘
私は我が身を盾にして織久を守ると覚悟を決めている
どのような攻撃でも私の盾、私の守りを抜かせないよ
味方を【鼓舞】する事で【存在感】を示してあえて目立つ
敵を誘き寄せて織久が目立たないようにしよう
武器と盾で攻撃を受けながら、織久の攻撃に合わせて【鈴蘭の風】の目眩ましを使う
織久が危険な時は必ず【かばう】
無差別攻撃は私がいる場所を拠点に見立てて【無敵城塞】で【拠点防御】
深い傷は【生まれながらの光】て癒す。存分に戦ってくれ
西院鬼・織久
【POW】
【心情】
血肉を持たず苦痛もなし
これなら俺も大人しくするだろうと?
残念ながら我等が怨念は底無し故
全て喰らい尽くしてやろう
【行動】
呼称:ベリザリオ(f11970)と共闘
攻撃担当として攻撃に専念する
【戦闘】
「先制攻撃」で一体に「影面」を使用
爆発と同時に「ダッシュ」で接近
対象ごと周辺を「なぎ払い」、「殺意の炎」の「範囲攻撃」で追撃
炎の効きが悪いなら次の一体を「影面」で拘束したまま振り回す
振り回された敵に当たる等で空間が開けばそこに「ダッシュ」
「怪力」で「闇焔」を振るい周辺の敵を「なぎ払い」
敵からの攻撃の程度を「見切り」致命傷のみ避ける
回避が可能なら「見切り」、無理なら「武器受け」で防御
●闇焔と純白の護り
動力部のひらけた場所。其処にひしめくのは機械の兵達。
彼らには血肉はおろか、意思すら持たず、苦痛も感じない物だ。しかし、西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)はそんなことになど構わない。
ただ、西院鬼の怨念の蠢くまま己の狂気と殺意を解放するのみ。
彼が真っ先に先制攻撃を仕掛けに駆けた背を見つめ、ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)は軽く肩を竦める。
「……仕方のない子だ」
血が出たり痛みで苦しんだりしない敵ならば織久も落ち着いていると思ったが、どうやら彼の憎悪はその程度でどうにかなるものではないらしい。
闇焔の名を抱く大鎌でガードマシンを薙ぎ払い、織久は力を揮う。そして、ベリザリオの思いを感じ取った織久は僅かに頭を振った。
「残念ながら我等が怨念は底無し故」
そう告げて敵へと向き直った織久は更なる一閃を放ってゆく。自身に宿る怨念を黒き殺意の炎へと変え、織久は敵を穿っていった。
だが、その分だけ敵からの攻撃は彼へと集中することになる。ベリザリオもそれを察しており、織久に向けられる対宙銃撃を遮るように前に出た。
元より、我が身を盾にして織久を守ると覚悟を決めている。
「どのような攻撃でも私の盾、私の守りを抜かせないよ」
ベリザリオはデルタ・ファイター達から容赦なく放たれる銃撃を受け止めた。その純白の盾は敵からの攻撃を弾き返す。
そして、ベリザリオは織久をはじめとする仲間へと鼓舞の呼び掛けを行う。
そうやって敢えて存在感を示すことによって自分へと狙いを定めさせるためだ。織久は攻撃の手を止めず、デルタ・ファイターを次々と炎で撃ち落としていく。
しかし、織久は殺意の炎だけでは殲滅速度が足りぬと感じた。
「炎の効きが悪いな。ならば――」
濡鴉を翻し、織久は黒い影を次の標的へと放つ。影の腕が対象を拘束したことを確かめた織久はそのまま敵を振り回しながら、其処へ炎を重ねた。
彼が奔放に、全力を以て戦えるようベリザリオは庇い続けている。純白の盾と鎧は穢れず、護り手として立ち回る者に加護を与えていた。
視線は敵に向けたままだが、織久もベリザリオがいるから自分が攻勢に回り続けられることを理解している。
だからこそ力を揮い、敵だけに意識を向けることが出来る。
敵は増援を呼んだが織久達には些細なことだ。ただ護り、ただ憎悪をぶつける。それだけで良い。そうすれば勝利は見えてくると二人は知っている。
「存分に戦ってくれ」
「言われなくともそうしている」
ベリザリオは織久が戦う姿を見つめ、自らも鈴蘭の嵐を戦場に散らしていく。織久は彼の声に淡々と答え、力いっぱいに闇焔で敵を薙ぎ払った。
続く戦いの中で二人の視線が一瞬だけ重なる。言葉にせずとも通じる思いが彼らの間にはあるかのようだ。
黒き影と焔、そして白く可憐な花。
重なりあう力は強く、悪しき機械兵達を穿ち――敵戦力を削り取ってゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
嘉三津・茘繼
動力部で暴れて沈めちゃえばいいんでしょう?
へいへい、かしこまり―。
テレポーテーションして貰って
とりあえず光ってたり目についた動力っぽいものを攻撃してこう
そのものは安全性の為プロテクトされてるとしても
ハイテクになればなるほど制御系は繊細になるから
駄目もとでもアタックしておくものだよね
増援自爆無差別攻撃ぃ?
だーい歓迎さ
潰し合ってくれればくれるだけ
僕の材料が増えるでしょう?
流石に食べるのには時間がなさそうだから
ビルドロボットで壊れ(し)た部品で
外装を強化しながらガシガシ殴るさ
ファイターが取り込めるなら銃撃も乗っ取れるかチャレンジしてみよう
さぁ、精々頑張って僕を肥やしてね?
※アドリブ絡み歓迎だよー!
ヒビキ・イーンヴァル
よし、偶には細かいことは考えずに行こうか
とりあえず目についた奴からぶっとばす
敵の数が多いなら『範囲攻撃』で纏めて潰して行くかね
『蒼き焔よ響け、天雷の如く』を『全力魔法』でぶっ放そう
機械だからどのくらい燃えるかはわからねぇが、よく燃えてくれ
敵の動きが止まってる間に、二撃目、三撃目と追い打ちをかける
敵からの攻撃は、避けるか剣で受けていきたいところ
できたら『見切り』で回避しておきたい
それから、囲まれないように注意だな
うっかり敵の集団に突っ込んだりもしないように、立ち回りには気を付ける
首尾よく行ったら動力部を破壊して退散だ
榛・琴莉
こう、メカメカしいと言うんですかね。
そう言った敵を相手にするのも、だいぶ慣れてきたと言いますか。
映画みたいだと思っていた事が、日常化してきたと言いますか。
「ホームシックじみてきました…惑星規模で」
地球が恋しいなんて思うの、猟兵か宇宙飛行士くらいでしょうね。
【スナイパー】で関節部などの比較的脆そうな部分を狙い、【属性攻撃】【全力魔法】で【CODE:ブライニクル】。
【鎧砕き】の要領で粉砕します。
増援は阻止したいところですが…難しそうですし、
そちらにも【2回攻撃】で同様の攻撃を。
「増えたら増えただけ、撃てば良いだけの話ですね」
いえ、枯渇してくれるに越したことはないのですけど。
●単純明快、破壊活動
テレポートした先は動力部。
其処にひしめく機械兵を見遣り、嘉三津・茘繼(悪食・f14236)は改めて自分達の任務を確かめる。それは至極簡単なこと。
「つまりここで暴れて沈めちゃえばいいんでしょう?」
タールの身体を軽く伸ばした茘繼は空洞となった骨眼を敵に差し向ける。見たのではなく、知覚した敵の数は何十体。
「こう、メカメカしいと言うんですかね」
同じくガードマシーンを見遣り、榛・琴莉(ブライニクル・f01205)は軽く肩を竦める。視線の先にいる敵は今にも攻撃を行ってきそうで、琴莉は身構えた。
そういった輩を相手にするのも、だいぶ慣れてきたのだと感じて琴莉はアサルトライフルの銃口を敵に向けた。
「映画みたいだと思っていた事が、日常化してきたと言いますか」
共にこの場に訪れたヒビキ・イーンヴァル(蒼焔の紡ぎ手・f02482)も敵を見遣り、そうだね、と答える。
「よし、偶には細かいことは考えずに行こうか。とりあえず……」
目についた奴からぶっとばす。
片目を眇めてそう告げたヒビキに頷くような仕草を返し、茘繼は動き出す。
「へいへい、かしこまり―」
彼が軽く答えた次の瞬間、三人に向けて鋭い一閃が撃ち放たれた。茘繼は身体を捻ることで躱し、ヒビキは星喰の蒼剣を素早く振り上げて刃で以てその軌道を逸らす。
琴莉は咄嗟に遮蔽物に身を隠し、反撃の銃弾を撃ち返していった。
狙うのはデルタ・ファイターの関節部にあたるであろう部位。敵から放たれるのも対宙銃撃であり、宇宙内での戦闘に適したものだと考えると妙な気持ちが浮かんだ。
「ホームシックじみてきました……惑星規模で」
地球が恋しいなんて思うのはきっと猟兵か宇宙飛行士くらいだろう。そんなことを考えながら琴莉は魔力を込めた弾丸を放っていく。
着弾した部分から絶対零度の氷槍が顕現し、敵を更に貫く。
其処に合わせてヒビキが蒼剣を振るい、其処から蒼く燃え盛る焔を放った。焔の結界が広がり、周囲の敵の動きを止める。
それは一瞬。だが、茘繼にとっては十分すぎるほどの間だ。
七七七――アンラッキーセブンの名を抱く鋏刃を縦横無尽に振り廻せば、動きを止められた機体が次々と崩れ落ちていく。
「おっと、あっちの機械も光ってるね。とりあえず壊していってしまおうか」
目につく物はとにかく破壊すればいい。そう考える茘繼の行動は単純明快ではあるが、それこそ今回の目的に合致している。
機械そのものは安全性の為にプロテクトされてるとしても、ハイテクノロジーになればなるほど制御系は繊細になるはず。駄目もとであってもアタックしておけば敵の力を削る一手になるはずだ。
「機械だからどのくらい燃えるかはわからねぇが、よく燃えてくれ」
ヒビキも茘繼に続き、更なる蒼焔を解放していく。
そして、敵の動きが封じられている間に、二撃、三撃目と追い打ちをかけていった。そうして協力しあうことで敵の数は減っていく。だが、デルタ・ファイターとて増援を呼ぶことで猟兵達に対応していった。
「増援は阻止したいところですが……止められそうにありませんね」
「仕方ないねー。あっちも必死そうだし?」
琴莉が次々と現れる増援に銃口を向ける中、茘繼も其方に意識を向ける。ヒビキが敵の動きを止めてくれている為か、敵は無差別攻撃すら行えないでいた。
茘繼はこれも好機だと察し、壊れて落ちた機械兵の外装を自らに換装していく。
「流石に食べるのには時間がなさそうだからね。僕の材料になってもらうよ」
己を強化しつつ、デルタ・ファイターの機銃を取り込んだ茘繼。このまま敵と同じ銃撃が打てると察した彼は銃口を機兵達に向けた。
「さぁ、精々頑張って僕を肥やしてね?」
「倒せば倒すほど強化できるなら、手伝おうか」
ヒビキは対宙銃撃で敵に向かう茘繼と攻撃のタイミングを合わせ、剣を振り下ろす。真っ二つに断ちきられた機体が床に転がる最中、琴莉もふたたびブライニクルを装填した。
「増えたら増えただけ、撃てば良いだけの話ですね」
氷槍が敵を貫き、冷気が周囲に満ちる。冬青の花がそれによって揺れても尚、琴莉は敵へと銃口を向け続ける。
仲間と共に戦い続ければ、いずれ敵も枯渇するだろう。
それまでは決して攻撃と破壊の手を緩めぬと決め、猟兵達は敵を見据えた。
成功
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ルル・ル
ふむふむ……これは、たいへん!
るるる、ひとりだとむずかしいかも
みんなと、ちからあわせて、がんばろ!
開幕から、どどーんといっちゃおっ
それゆけ!くじらちゃん!(ガジェットだよー)
なるべく敵がいっぱいかたまってるとこ、ねらうよ
まとめてどっかいっちゃえ!
うちもらしちゃったら、ちかくのひと、ごめんね!てつだって~!
もうへとへと~な敵も、はやめにポイポイしたいね
どんどん数、へらしてこ
あんまりひとりで走りまわらないよに、きをつける
敵にかこまれちゃったら、たいへんだもん
るるるもみんなも、もし集中こうげきされそうなときは、
おねがい!くじらちゃん、まもって!
みんな、げんきにおうちにかえろ
だからぜったい、まけないよ
花咲・まい
【POW】
敵もこれだけいるのですから、私も好きなだけ暴れさせていただきますですよ!
仲間たちの勢いに続きましょうです!
集団戦ですから、私は夜叉丸くんを使って戦いますですよ。
これだけ敵がいれば、振り回せば当たりますです!
薙ぎ払うのも、まとめて攻撃するのも、薙刀の得意分野ですから!
おやつもしっかり食べてきましたですから、元気いっぱいなのですよ。むきむき。
さあ、倒されたい人からかかって来てくださいです!
*使用技能:なぎ払い、範囲攻撃、生命力吸収、鼓舞など
*連携やアドリブはご自由に
ヴァーリャ・スネシュコヴァ
うむ!ここはすっきりまとめて片付ければいいというわけだな!
俺は撹乱作戦といくぞ!
まず敵の前に躍り出て【ダッシュ】と【残像】を使用。縦横無尽に素早く動き回り、敵の意識を俺に集め、あえて攻撃を誘うぞ。
状況に合わせ【ジャンプ】や【スライディング】を駆使し、敵の攻撃を回避。
そして味方に攻撃が及ばない場所まで移動。たくさん敵が引き寄せられ、一箇所に密集したところで『霜の翁の怒り』を発動! 一気に敵を冷気で攻撃し、一網打尽を狙うぞ!
撃ち漏らした場合は、【2回攻撃】+氷の【属性攻撃】で撃ち漏らした敵をきちんと倒す。
俺たちを信頼してくれる人々を乗せた船。一つたりとも沈ませるものか!
(アドリブや絡みなど大歓迎)
●少女達の饗宴
銃弾が舞う音に炎が舞う軌跡、凍てつく冷気の風。
戦場となった動力部には様々な衝撃が響き、激しい攻防が繰り広げられていた。
「ふむふむ……これは、たいへん!」
テレポートで送られた先、ルル・ル(ニンナナンナ・f01886)は周囲を見渡して状況を把握する。爆風のかすかな余波で彼女が身に着けているリボンがふわりと揺れる中、花咲・まい(紅いちご・f00465)とヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)も身構えた。
「私も好きなだけ暴れさせていただきますですよ!」
「うむ! ここはすっきりまとめて片付ければいいというわけだな!」
これだけ敵がいるのですから、と薙刀の夜叉丸を握ったまいに頷き、ヴァーリャもルーンが刻まれた氷剣を敵に向ける。
既に乱戦になっている為たった一人で立ち回るのは危険だ。ルルは二人の傍へ駆け、ガジェットを構えた。
「るるる、ひとりだとむずかしいから……みんなと、ちからあわせて、がんばりたい!」
「もちろんなのだ!」
「私も皆さんを頼らせて頂きますです!」
ルルの言葉にヴァーリャがしっかりと答え、まいも双眸を緩めてちいさく笑む。
三人寄れば頼もしさもいっぱい。
それに今はただ全力で暴れて周りや敵を壊せばいいだけの戦い。いくよー、とルルがくじらちゃんガジェットを解き放てばヴァーリャとまいもひといきに駆け出した。
ガードマシン達は少女の動きに反応し、銃口を向ける。瞬時に幾重もの機銃弾が襲い来たが、ヴァーリャは跳躍してそれらを躱した。
「それゆけ! まもって、くじらちゃん!」
しかしそれだけではヴァーリャがすべてを避けきれぬと感じたルルが銃弾にガジェットの一撃を放つことで攻撃を相殺する。
「夜叉丸くんでどどどーんと、薙ぎ払っていきますですよ」
まいも薙刀の刃で銃弾を弾き返し、一瞬で敵との距離を詰めた。そして、全周囲を巻き込むように振るった夜叉丸の刃は数体のデルタ・ファイターを地に落とす。
ヴァーリャも其処に続こうと決め、天井付近のダクトを蹴って前に進み、一気に奥の方へと踏み込んだ。
「二人とも、少し下がって欲しいのだ!」
「わかったよー」
「すごい技を使うのですね。了解しましたです!」
ヴァーリャが呼びかけると、まいとルルが即座に距離を取る。そして敵の最中へと彼女が飛び込んだ次の瞬間、激しい霜が降り落ちた。
辺りを瞬時に凍結させるほどの冷気が広がり、敵の動きを阻んだ。
その間にまいは美味しいおやつを口に放り込む。
「おやつも食べて元気いっぱいなのですよ。むきむき」
「わー、むきむき!」
それがまいの戦う力の源なのだと感じたルルは口許を緩めた。そして、まいは己の身に生命力を満ちさせ、ヴァーリャの元へと駆けてゆく。
ヴァーリャだけを孤立させるわけにはいかない。助太刀しますです、と告げて敵陣を奔るまいの援護を行う形でルルもくじらちゃんを駆使してゆく。
敵も援軍を呼んでいるが、此方が相手を倒す方が僅かにはやい。このまま戦い続ければ勝利も近いと感じ、まいは夜叉丸を全力で振るい続けた。
だが、状況が悪いと判断したらしきデルタ・ファイター達が高速航行モードへと切り替える。制御不可能であるがゆえに激しい攻撃を行える形態へと変化した敵は、ルルに狙いを定めていた。
ルルはガジェットを構えたが、避けることも受けることも出来ないと察する。
「わ、わー……ごめんね! てつだって~!」
そして、仲間に助けを求めればヴァーリャとまいが周囲の敵を蹴散らしながらルルの傍へと馳せ参じた。
「凍らせて動きを止めてやろう。いくぞ!」
「では私はそれを斬って落としますです!」
ヴァーリャが氷の属性を宿らせた魔力を放ち、一瞬だけ動きを止められた敵をまいが次々と斬り伏せてゆく。ルルはそんな二人の連携に頼もしさを覚え、自らも敵にガジェットをどどーんと放っていった。
「ありがと! はやめにポイポイして、どんどん数、へらしてこ」
「はい、どんどん参りますですよ!」
「俺達が一緒なら絶対に負けないのだ!」
視線と微笑みが重ねた少女達は互いに背を預けあう。
戦艦を落とし、この宇宙の平和を――そして命を救う為に。抱く思いと力は強く強く、戦場に巡っていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ロード・ブラッドリー
フユに頼まれちゃあ仕方ねえな!
その敵、オレに任せろ!
兄貴面で仁王立ち
考えずにぶちのめすならオレの領域だぜ
この地に縁もゆかりもないが
ここを故郷と愛している仲間がいるんだ
(先日共闘した仲間を思い浮かべて)
これから世話になるかもしれねえしな
だから、絶対守り抜く!
ハクを使ってだまし討ちや串刺しにしたり
2回攻撃を行う
敵の動きはスライディングで避けたり、野生の勘で見切りたい
くあーッ!わらわら増えやがって面倒くせえ!
だから機械相手は苦手なんだよ!(頭を掻き毟りたい龍)
いいぜ、来いよ
全員纏めて燃やしてやるぜ…!
(墨色の地獄の焔を吐き出して、機銃弾を燃やし尽くさんと)
安心しろ、絶対に守るから
※アドリブ、絡み歓迎
レガルタ・シャトーモーグ
目標は動力室の破壊か…
警備は厚いだろうな、警戒していくか
動力室の中では遮蔽物に身を隠しながら敵兵との距離を詰めていく
被弾は【見切り】か【オーラ防御】で回避するが、遮蔽物から遮蔽物への移動時、飛針を投げて敵の注意を引き
攻撃を誘導して動力室の破壊を誘う
俺たちだけでやるより、奴らにも手伝ってもらったほうが効率がいいだろう
近い敵には「背面強襲」で背後から刺突し、中のコードを引きちぎり、更に奥へ
増援を呼びそうな個体には、背後から忍び寄って【暗殺】で倒せないか試す
移動しながら【破壊工作】で爆薬を仕掛けて回り、切れそうなコードの類は全部切断
どうせやるなら、景気よくってな
●守り、壊すもの
激しい機銃弾の雨が降り注ぎ、猟兵達に襲い来る。
警備は厚く、敵の迎撃態勢も恐ろしいほど。予想した通りだと感じたレガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)は今、物陰に身を隠していた。
これだと出ていくことも儘ならない。
小柄なレガルタであれば遮蔽物に隠れたまま少しずつ近付いていくことは可能だが、それでは時間がかかってしまう。どうすべきかと考えを巡らせたとき、威勢の良い少年の声が耳に届いた。
「――その敵、オレに任せろ!」
声の主はロード・ブラッドリー(累々血路・f06133)。
グリモア猟兵のテレポートでその場に参じた少年はレガルタのまだ幼い容姿に何処となく、グリモアベースで自分を見送ってくれた友人の姿を重ねていた。
そして、兄貴分めいた表情で明るく笑ったロードはレガルタの前に立つ。
「考えずにぶちのめすならオレの領域だぜ」
「そうか、ならば頼んだ」
レガルタも協力しあった方がいいと感じ、短いながらも確かな言葉を返した。同じ猟兵同士ならば名を知らずとも信頼を抱くに値する。
撃ち放たれた機銃弾を見切り、ロードは身を翻して駆けた。
ハク、とロードがその名を呼べば愛らしく応えた白龍が槍の姿に変じる。そのまま柄を握り、大きく振るったロードは銃弾を弾き返した。
彼が大立ち回りをしてくれている間にレガルタは気配を殺し、敵に感知されぬよう静かに距離を詰めていく。だが、ただそれだけではない。
ロードに迫る銃弾の数々を解き放った飛針で打ち落とし、時には敵へと命中させることでレガルタも援護に入っていた。
勢いに乗せて奥へと進み、ロードは低空飛行する敵へと狙いを定める。相手から銃弾が飛ぼうとも構わない。一気に滑り込むようにスライディングして攻撃を躱したロードは竜槍を振るい、標的を撃ち落とした。
この地には縁もゆかりもない。それでも、ここを故郷と愛している仲間がいる。
先日、共に戦った仲間を思い浮かべたロードは拳を握る。
「この世界もこれから世話になるかもしれねえしな。だから、絶対守り抜く!」
強い思いを言葉にして、ロードは次々と敵を倒していった。
だが、デルタ・ファイター達も増援を呼んで守りを強固にしていく。その様子に気付いたロードは頭を掻き毟りたい衝動に耐えながら槍を振り廻した。
「わらわら増えやがって面倒くせえ! だから機械相手は苦手なんだよ!」
煩わしさに紅い竜尾が激しく揺れる中でレガルタもまったくだと同意を示す。しかし、レガルタには妙案があった。
「俺たちだけでやるより、奴らにも手伝ってもらったほうが効率がいいだろう」
そういって飛針を幾重にも飛ばしたレガルタは敵の攻撃を誘導していく。そうすれば動力室の破壊を誘えるだろう。
なるほど、とちいさく笑ったロードも仲間に合わせて地獄の炎を解き放つ。
焔と機銃が重なりあう中、レガルタは駆けた。狙うのは敵の背面からの強襲。刺突からの切断。更には中のコードを引き千切ることで敵を破壊したレガルタはそのまま動力部の中枢へと転がり込む。
彼に追い縋る個体も居たが、それは確りとロードが切り伏せた。レガルタが破壊工作を行うのだと察したロードは周囲を見渡し、共に戦う仲間達すべてに呼び掛けた。
「よし、今だ! 皆で一気にこいつらを壊しちまおうぜ!」
そして――決着の時が訪れる。
●その未来の向こう側へ
猟兵達の力によってガードマシーンの数は減っていた。
増援は厄介ではあったが、徐々に殲滅速度がそれを上回っている。宵は動力炉を守る敵の壁が薄くなっていると察し、皆に先を示してみせた。
「あと少し……見えました、あれが動力部の中枢です」
だが、完全にあれを破壊するには周囲の敵を全て落とさなければならないだろう。後僅かだと掌を握った宵はふたたび流星の矢を顕現させる。
刹那、天撃は瞬く間に敵を貫いていった。
更には琴莉が援護射撃を行い、其処に続いたまいもデルタ・ファイターへと勢いよく吶喊していく。
「さあ、倒されたい人からかかって来てくださいです!」
愛薙刀である夜叉丸と共に斬り込むまいの姿は勇ましく、その刃は邪魔な敵を打ち払った。しかし、敵も攻撃を止めようとしない。
ベリザリオは疲弊した己の身を癒し、更なる防護へと回る。
どんなときでも護るべきは織久の身。敵へと斬りかかる彼と共に駆け、ベリザリオは無敵城塞の力を構築した。
されど織久とて守られてばかりではない。
闇焔を掲げた織久はベリザリオに向けられた銃弾を弾き、刃を斬り返す。そしてすぐに敵へと切先を向けた彼は殺意と狂気が宿る赤い瞳に標的を映し込んだ。
「全て喰らい尽くしてやろう」
冷ややかな宣言と共に黒炎が迸る。
ベリザリオが見つめる中、織久の放つ焔は敵兵を焼き尽くしていく。
しかし敵は尚も残り少ない増援を呼びながら、暴走モードへと入っていった。されど茘繼は少しも動じることなく敵からの攻撃を受け止める。
身に纏った無機物の装甲が欠けたが、それは元々デルタ・ファイター達のもの。敵が暴走しても茘繼がやることは同じ。
「暴走も無差別攻撃もだーい歓迎さ、その破片なんかも全部僕のものにするからね」
「あの状態の奴らは精度を欠いているな」
茘繼が笑ったような仕草を見せると、ヒビキも敵の様子を見て双眸を鋭く細めた。
首尾よく進めば、動力炉を破壊することができる。行くよ、と呼びかけた茘繼の誘いにヒビキが頷きを返し、二人は敵を薙ぎ払っていった。
そして――アレキサンドラは彼らが斬り拓いた道の先を指差す。
「今なのです、あの動力炉を狙うのです」
自らも星の鎖で敵を阻みつつ、アレキサンドラは呼び掛けた。その声に応えたルルはくじらちゃんを放って皆を守り、後を仲間達に託す。
「みんな、げんきにおうちにかえろ。だからぜったい、まけないよ」
「いいぜ、来いよ。敵も動力部も全部纏めて燃やしてやるぜ……!」
ルルの思いに頷き、ロードはこれまで以上の全力で挑もうと心に決めた。其処から解き放つのは墨色に染まった地獄の焔。
この場の全てを燃やし尽くさんと迸った龍焔は戦場を包み込んでゆく。
――安心しろ、絶対に守るから。
友への思いを胸に抱き、ロードは仲間に目を向ける。
其処には真正面から動力炉に突っ込むヴァーリャの姿があった。氷刃の蹴撃で以て標的を貫いた彼女は思いを言葉に変える。
「俺たちを信頼してくれる人々を乗せた船。一つたりとも沈ませるものか!」
「その通りです。終わらせて、帰りましょう。……皆で」
琴莉も絶対零度の氷槍弾で動力炉を貫き、其処に多大な衝撃を与えた。同時に宵と織久達が最後のデルタ・ファイターを撃ち落とし、辺りに一瞬の静けさが訪れる。
これで後は放っておいてもこの場は壊れていくはずだ。
そんななか、中枢周辺で破壊工作を行っていたレガルタが影から顔を覗かせる。
「爆薬を仕掛けた」
「……爆薬?」
「それはまた……」
さらりと告げる少年の声にヒビキと宵が目を丸くした。あと一分もすればすべて爆発すると付け加えたレガルタは無表情ながらも何処か得意気に告げる。
「どうせやるなら、景気よくってな」
「なるほど、なかなかやるねー」
少年の思い切りの良さに茘繼は感心した様子を見せた。だが、その間にも爆発の刻限は迫ってきている。
「なっ……確かにそうだけどな!? おーい、テレポート! テレポートだ!!」
大胆不敵なレガルタの行動にロードは驚きながらも突っ込みを入れつつ、皆に撤退の呼び掛けをする。するとルルとヴァーリャはきゃっきゃとはしゃぎはじめた。
「るるるも、もうかえる~!」
「敵陣の大爆発からの大脱出なのだ!」
「はい、皆さんいっしょに戻りましょうです」
まいも夜叉丸を下ろして笑顔を見せる。爆発が迫っているというのに妙に緊張感のない少女達を見遣った琴莉は更にホームシックが強くなった気がして俯く。
「こんなところまで映画じみていなくてもいいのですが……」
「ともかく撤退なのです」
アレキサンドラはやれやれと軽く肩を落とし、慌てることなく撤退用のテレポートが起動するのを待った。
「……騒がしいな」
「何にせよ、戦いは終わりかな」
周囲の様子を見遣った織久は得物を下ろし、ベリザリオもゆっくりと息を吐く。
やがて何処か慌てた雰囲気を思わせる様子でテレポート陣がぱっと現れ、仲間達を誘うように明滅する。
猟兵達は駆け出し、星海の敵地から脱出する為の陣へと踏み込んだ。
そして――。
すべての人影がその場から消えた直後、大爆発が巻き起こる。
煙霧号ことエアロゾル・バトルシップの動力部は二度と再生できぬほどに木端微塵となり、宇宙空間に機器の残骸が散らばった。
こうして大戦艦は破壊され、罪なき宇宙船が潰える未来は消える。
戦いは未だ続く。それでも――この先に続く道が勝利に繋がるものであれば善いと願い、仲間達は星の海へと思いを馳せた。
大成功
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