●思い悩む鷺は空を見上げる
ヒーローズアースのとある小さなバーにて。
「……はぁ……」
ため息と同時にコップに注がれていたウィスキーの氷が、カラン、と音を立ててコップの中を転がり落ちる。元ヴィランの男・ライアーがウィスキーをゆっくりと飲みながらも、ヒーローへの転向を思い悩んでいる様子でいた。
ある事件をきっかけにヒーローを倒す者となっていたライアー。
その行動は全て『不幸な事件』で殺された弟・アルデアのことを忘れないために、必死で掴んでいたものだった。
事件の黒幕は猟兵達の活躍により退けることが出来たため、ライアーの仇討ちは既に終わっているのだが……ここで、ライアーは1つ悩みを抱えることになってしまった。
――すなわち、このままヒーローとして活動するか、ヴィランとしてヒーローとの戦いを楽しむ日々に戻るか。
元々彼はヴィランの活動もしていた。
ヴィランとして活動していたのは『ヒーローとの戦いが楽しい』という理由。自分の実力がどこまでヒーローに通じるのか、悪役としての立場に立つことで己の優位さを感じることが出来て、高揚感を得られたりもしていた。
だがアルデアを失ってからのヒーロー活動は子供たちに喜ばれたり大人たちに感謝されたり、ヴィラン側では絶対に味わうことが出来ない感覚に陥ったため、ヒーロー側も悪くないと感じている。
それ故に、彼は自分が今どちらを歩むべきなのかを悩んでいた。
この世界はヒーローかヴィランか、どちらかを歩むしか出来ないのだから。
「……アルデアだったら、なんて言ってくれたかなぁ……」
亡くなった弟のことを想いながら、ライアーはもう一度ウィスキーをあおる。
彼の視線に映ったのは、古びた天井だけ。
●ヒーローとしての後押しを
「今回はヒーローズアースの事件……事件? うん、事件っちゃ事件。そっちに向かってほしいんだ」
集まってくれた猟兵達に対し、霧水・砕牙(《黒の風》[プレート・ヴェント]・f28721)は首をかしげつつも今回の任務について説明してくれた。
以前、ある猟書家の手によって弟を殺されてしまったヒーロー・ライアー。彼は昔のように悪に戻るか、このままヒーローを続けるか思い悩んでいるという。
彼がヴィランから足を洗えない理由は、ずばり『優位に立ちたい』思想からくるもの。ヒーローという他者を守る存在を倒すことで、そのヒーローを頼りにした人々が恐怖に陥る一瞬を見ていたいというなんとも言えない思想を持っていた。
だが彼が変わったきっかけは弟の死。不幸な事故を引き起こすヒーローの情報を集めるためにヒーローとしての立場を味わってみると、また違う視界が見えてしまってそっちも悪くない、とのことで。
「ヒーローの数は多くてもいいし、どうせならライアーをヒーロー側に引きずり込んでみない? っていうのが今回の任務になる」
「ライアーはどうにも、優位に立つっていう考えがあるっぽいから……そこをどうにか言いくるめてみたら、案外ヒーロー継続でいてくれるかもしんないね?」
今回の任務の優先事項は『ライアーのヒーロー転向を後押しする』こと。
ただそれだけだ、と砕牙は言うが……1つ、懸念事項があるという。
それはヴィランの裏切り行為は何よりも優先的に断罪されるということだ。
「おそらくライアーも狙われると思うから、そこで彼を手伝ってあげてほしいんだ。ヒーローとしての仕事を一緒にこなそうぜ、って」
ヴィランからヒーローへの転向。口で言えば簡単だが、行動で起こすのは難しい。
その手伝いをしてくれる人から送り届けようと、砕牙は猟兵達に手を伸ばす。
御影イズミ
閲覧ありがとうございます、御影イズミです。
戦争お疲れさまでした。勝利のお手伝いができて何よりです。
ということで2月初っ端のシナリオは戦後のヒーローズアースから。
以前出させていただいた『【猟】幸と不幸のショータイム』の続きものみたいになっていますが、当シナリオを知らずとも参加できるタイプとなっております。
こちらのシナリオは2章構成となっております。
初めての方はMSページをご確認の上、ご参加ください。
●第一章:日常シナリオ
とある古びたバーでライアーと対話するシナリオ。
バーはお酒もありますし、ダーツやポーカーも出来ます。
ライアーはヴィランから足を洗いたいと思っていても、自分の思想である『優位に立ちたい』が邪魔をしてなかなか足を洗うことが出来てません。
そこで猟兵達は『ヒーローに転向するならどうしたら良いか?』『ヒーローとヴィランはどう違うのか?』等など、様々な話で彼にヒーロー転向を決意させる形になります。
●第二章:集団戦シナリオ
集団敵『オブリビオンソルジャー』との戦いです。
ライアーの裏切りを知ったオブリビオンソルジャーの群れがバー店内に入ってきます。
詳細は断章にて。
皆様の素敵なプレイング、お待ち致しております。
第1章 日常
『悩める者達へ』
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POW : これまでの成功体験を聞かせて勇気づける
SPD : これまでの失敗談を聞かせて慰める
WIZ : 話の聞き役に回ってアドバイスをする
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播州・クロリア
優位に立ちたい…つまり向上心に溢れているということですね
私もダンスに関しては過去の自分も含めて他より上手に踊りたい
つまり優位に立ちたいという願望に満ち溢れています
({メトロノーム・コイン}をコインロールしながら話しかける)
その気持ち、抑える必要はありません
優位に立ちたいという欲求の解消の仕方はいくらでもあります
例えば…他のヒーローよりたくさん活躍してみせる
なんていうのはどうでしょう?
これこそヒーローに対して完全勝利したと言える気がしませんか?
…まぁ8歳児の私としてはヒーロー同士は仲良くしてほしい気持ちの方が大きいですが
●人は誰でもその気持ちを持つ
古びたバーの中。ライアーは1人、ウィスキーをあおってはため息をついてを繰り返している。
そんな中、播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は彼の隣に座りミルクを1つ頼む。誰かが来たと思っても、ライアーはちらりとクロリアの顔を見上げるだけで特に気にしていない。再びウィスキーを注文すると同じように弟・アルデアのことを思い出しながら呟いていた。
会話が始まらなければ彼を説得する事はできない。そう考えたクロリアは、まず弟の話から切り込んでみることに。
「弟さんがいたんですか?」
「ん……ああ。アンタは……ヒーローか。アルデアが生きてたら、喜んでただろうなぁ」
「アルデアさん……。ヒーローが大好きだったんですか」
「まあ、な。俺がヴィランとして活動している時には、『ヒーローの方がかっこいいんだよ!』っつって俺を叩いてきたっけなぁ……」
しみじみと懐かしむような表情になったライアー。そんな彼がヴィランとして活動していた理由は『誰よりも優位に立ちたいから』であり、ヒーローとして活動するか悩む今もそれが引っかかって決断ができないと悩みを零す。
ちりん、とメトロノーム・コインを指で弾き、コインロールで彼のリズムを取りながら聞き続けるクロリア。彼の色とリズムを見極め、同調に成功すると彼女は小さく笑ってライアーへ1つ助言を呈す。
「優位に立ちたい……つまり、向上心に溢れているということですね」
「向上心……?」
「はい。私も、ダンスに関しては過去の自分も含めて、他より上手に踊りたい……つまりは、優位に立ちたいという願望が満ち溢れています」
「昔の自分よりも、他の誰よりも……か」
「その気持ちは抑える必要はありません。優位に立ちたいという欲求の解消の仕方は、いくらでもありますからね」
優しく微笑むクロリアに対し、ライアーは首を傾げる。何度か悩んでみたものの、やっぱりヒーローを倒すことがヴィランの優位である証拠ではないのか、とライアーが口にしたためクロリアは軽く首を横に振り、別の提案を示した。
「何も、ヒーローを倒すのが優位に立つだけではないですよ。……例えば、他のヒーローよりたくさん活躍してみせるというのはどうでしょう?」
「他のヒーローよりも?」
「はい。自分こそが誰よりも強いヒーロー、どのヒーローよりも頂点に立つヒーロー。……これこそ、ヒーローに完全勝利したと言える気がしませんか?」
「なるほど……」
納得した様子のライアーは再び考え込む。どのヒーローよりも優位に立つヒーローになるには、次はどうしたら良いのか……それを考えていた。
「……まあ、8歳児の私としてはヒーロー同士は仲良くして欲しい気持ちが大きいのですが……今はそう言ってられませんからね」
ミルクを飲みながら本来の気持ちを呟くクロリアは、もう少しライアーに付き合ってあげたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
平坂・火乃華
アドリブ等歓迎
優位に立ちたいか、分からなくもねぇな。
まずは相手の思いの丈を聞くとするか、何か言うのはそれからだ。
それに、このバーの年季の入った感じ、悪くねぇ。
そして、俺は誰かと組む事を提案させてもらうぜ。
ヴィランからヒーローへ転向した奴とかは割といるんじゃねぇか?
そういう奴とだな。
慣れ合えって言ってるじゃない、張り合うんだ、捕まえたヴィランの数、稼いだ賞金の額、何でもいい、そうして、競い合える仲間を作り、超えるのってのもなかなか悪くないぜ?
俺も、昔は弟と張り合ったりしてたしな。
当然、追手は来るだろうが俺は手を貸すぜ。アンタが張り合おうって思える程の戦いっぷり見せつけてやろうじゃねぇか。
●誰かと組むのも悪くはない
キィ、とバーの扉を開け、ライアーの隣に座って同じウィスキーを頼む者がいた。
「ん……?」
「はじめまして、ライアー。ここ、いいか?」
「……ああ、別にいいけど」
隣に座って注文をしたのは平坂・火乃華(さすらいの銀狼・f35951)。堅いのはナシだ、とライアーに笑いかけた彼は乾杯のためにコップを持ち上げ、ライアーのコップに重ねて音を鳴らし、他愛もない話から始める。
最初はライアーの活躍の話を聞いたり、火乃華の冒険の話をしたりと本当に他愛のない話だったが、そろそろ切り込まなければと火乃華はウィスキーをライアーのグラスに注いでから問いかけた。
「なあ、ライアー。色々と悩んでいるって聞いたけど、どんな悩みなんだ?」
「あー……ちょいと言いづらいことではあるんだが」
だいぶ酒が回っているのか、ライアーは過去の話――すなわち、ヴィランの頃の話をし始める。ヒーローを倒し、優位に立つことで己の欲求が満たされてゆくことが何よりも快感だったのだと。
しかし弟のアルデアが亡くなってからは、ヒーローの活動を始めた。最初は疑心暗鬼になっていた人々が多かったが、活躍のおかげか彼をヒーローとして見てくれる者も少なくはない。
「だからよ……俺は、今どっちなんだ? と思ってさ」
「なるほどね……優位に立ちたいか。それはわからなくもねぇな」
ふむ、と納得する火乃華。もう一度ウィスキーをあおるライアーは注がれた水をゆっくりと飲み、自分がどちらなのかを思い悩んでいた。
そんなライアーに対し、火乃華はヒーローを続けてみたらいいんじゃないか? とアドバイスを加える。ヴィランからヒーローへ転向したものは、ヒーローズアースでもそこまで珍しくないだろうと。
「ただし、そういうときには誰かと組むことを提案させてもらうぜ」
「誰かと?」
「そう。一番いいのはお前と同じように、ヴィランから転向した奴だ」
「なんでまた。そうなったら馴れ合いが……」
「いいや、そうじゃないんだ」
火乃華は言う。同じヴィランから転向したヒーローと組むことで、張り合いをつけようというのだ。捕まえたヴィランの数、稼いだ賞金の額、助けた一般人からの感謝の数。なんでもいいから、競い合える仲間を作り超えるのもいいんじゃないか、と。そうすることでライアーの欲求が満たされ、さらにはヒーローとしての活躍も人々に触れ回ることが出来る。一石二鳥だと火乃華は大きく笑った。
「ま、昔は俺も弟と張り合ったりしてたからな。そういう点では本当にオススメするぜ?」
「なるほどな……。だが、弟とは仲良くするものじゃないのか?」
「おっとぉ……もしかしてお前、思った以上のブラコンだな……?」
火乃華がライアーのちょっとした弟思いにドン引きしながらも、和気藹々とした雰囲気は続いていた……。
大成功
🔵🔵🔵
ユキシロ・クロエ
SPDで行動
(玩具のペンダントを軽く握りながら)なるほどな‥‥彼が悩むのも仕方ないかもしれないな‥‥。
シロも猟兵になる前は暗殺任務が自分が生きているって事を感じれる精神状態だったから‥‥。
どちらかと言うとヴィランよりの仕事ばかりしていたな‥‥
今になって見るとお世辞にも誇れたものじゃないな。
だからこそだ‥‥亡くなった弟さんに誇れる様な悪を倒す正義の味方になって欲しいとシロは思うきっと弟さんもそれを願ってると思うからな‥‥。
●誇れるような姿を
古びたバーに1人、少女――ユキシロ・クロエ(死を運ぶ白狼・f35916)が入ってはライアーの隣に近づいてきた。
「ここ、いいか?」
「……なんだ。今日は客が多いな」
ふう、とため息を付いたライアーは椅子を下げてやり、ユキシロが座りやすいようにする。その後はもう一度ウィスキーを飲み、大きくため息を付いては頭をかきむしったり、指でトントンと机を叩いたりと休まることはなかった。
そんな彼を前に、ユキシロはミルクを頼んで同じようにゆっくりと飲む。ライアーの様子を気にかけながら、ズバリと彼の悩みに切り込んだ。
「なあ、ライアー。悩んでるって聞いたけど、本当か?」
「ん……やっぱ、話は聞いてるのか」
「そうだな。事情は……だいたい、聞いてる」
「そうか。……本当、どっちつかずの半端者って状態だよ、俺は」
ヴィランとしてヒーローを倒すことで優位を得るのも楽しいし、ヒーローとして人々を助けるという優位を得るのも楽しい。これまでの他の猟兵達が様々なアドバイスをくれたおかげでヒーローとして立ち続けるのも悪くない、と考えている。
しかしそれでも、心の何処かに引っかかってしまって今も抜け出せていない。それが最後の悩みだとライアーは小さく吐露した。
「なるほどな……。そう悩むのも、仕方ないかもしれないな……」
「なあ、ヒーロー。アンタはそういうことはないのか? 俺みたいな、そういう感覚って」
「んん……あったには、あった。シロも今の仕事を得る前には、暗殺任務こそ自分が生きている事を感じれる精神状態だったから……」
「そうか……。俺と、殆ど変わらないんだな」
「でも、今になって見ると……お世辞にも誇れたものじゃない、かな」
コップ1杯のミルクをゆっくりと飲み進め、しっかりと、ライアーの目を見据えるユキシロ。そんな彼女から出てきた言葉は『弟さんに誇れるようになってほしい』だった。
「アルデア……に?」
「亡くなった弟さんは……ヒーローのことをどう思っていたんだ?」
「……そりゃ、かっこよくて、強いって言ってたけど……」
「だったら、そのかっこよくて強いヒーローに、ライアーがなるんだ。亡くなった弟さんに誇れる様な悪を倒す正義の味方になってほしいと、シロは思う」
「正義の、味方……」
小さく呟いたライアーは、カランと音を立てるウィスキーの氷を見つめ、じっと思案する。弟思いの彼にその言葉は強い一撃だったのか、しばらく彼は身じろぎ1つもしなかった。
「……きっと、弟さんもそれを願ってると思うからな……」
シロもまた、飲み終えたミルクのコップを見据えて小さく呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『オブリビオンソルジャー』
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POW : バトル・アクション
【準備しておいた集団での連携攻撃作戦】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : デンジャラス・スローイング
【仲間達に全力で投げてもらう】事で【特攻モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : サポート・リクエスト
戦闘力のない【情報伝達用撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【後方部隊から届く援助物資】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●
「……ヒーロー、か」
ウィスキーを飲み終え、水をしっかり飲んで酔った頭をスッキリさせるライアー。
後は支払いを終わらせて帰って、アルデアに供え物をしなくてはと席を立とうとした瞬間……突如、バーの扉が蹴破られる。
「おうおうおう、ライアーの奴はどこだ!」
「裏切り者の鷺野郎め、このままヒーローに転向したらタダじゃすまねぇぞ!」
「俺らを足台にしまくったツケ、ここらで支払ってもらおうかぁ!!」
ヒーローズアースの中でも最もよく見かけるであろう集団ヴィラン・オブリビオンソルジャーの軍勢がぞろぞろとバーの中に入ってきた。
そこまで広くない故に、ライアーはすぐに彼らに見つかるが……ライアーは大きなため息をついて、オブリビオンソルジャー達に向けて言い放った。
「俺ァお前らを足台にした覚えはねェし、なんならお前らが勝手に足台になってただけだろ。人のせいにするから他のヴィランからも足蹴にされてんじゃねェの?」
「て、てめぇ!!」
「足蹴にしたのはてめぇが1番だってーの!!」
「うるせぇな。いいから、とっとと帰して……」
そこまで言った瞬間、ライアーの身体が蹴り飛ばされる。帰ることは許さないと言った風に、オブリビオンソルジャーの1人がライアーを蹴飛ばしてバーの壁に叩きつけていた。
ぎゃあぎゃあと笑い声を上げるオブリビオンソルジャー。叩きつけられた壁で何も出来ず、床に座り込んでしまったライアー。その構図はまさに、ヒーローを殺しに来たヴィランの群れと言った図が広がっている。
流石のライアーも何もしていない自分に対して蹴りを入れられてしまい、堪忍袋の緒が切れたのだろう。ギラリと殺気の籠もった眼をオブリビオンソルジャーに向けると、小さく呟いた。
「……そういうことなら、テメェら全員俺のヒーロー生活第一歩の絨毯にしてやるよ
……!!」
ヒーローとは一体なんなのか、この戦いで全てを知りたい。
そんな意味合いも込めた一言が彼の口から漏れた。
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プレイング受付:即時
集団敵『オブリビオンソルジャー』との戦いです。
対応するユーベルコード以外にも体術で戦ったり、ドローンを展開してきたりします。
場所は古びたバー。少し広めの室内ではありますが、空を飛べるほどではありません。
室内にはバーカウンターやテーブル席の他、ビリヤード台やらダーツ台などが並んでおり、少々戦いづらいですが最終的には戦闘中に全部吹っ飛びます。
室内故にキャバリアの使用は不可、飛翔能力関係も大惨事になります。
ライアーはユーベルコードの使用はありませんが、体術や棒術と言った様々な技術で戦います。
(本来は鎖を使って戦うのですが、今日は休暇だったからか持ってきてないようです)
彼は猟兵の指示があれば指示通りの動きを、指示がなければ適当にオブリビオンソルジャーと戦ってます。
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バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』
年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?
下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も
アドリブ、連携歓迎
●炎の中で鷺は蘇る。
どん、どん、どんと。バーの中で人が叩きつけられる音が響く。
無数のオブリビオンソルジャーは裏切り者を制裁するために、1人のヒーローに対して複数人で連続攻撃を叩き込んでいた。
「おいおい、どうした! いつもの勢いはよぉ!」
「酒飲んでブラコン拗らせたかぁ?」
「なんにせよ、てめぇ1人なら楽勝ってもんだなぁ!」
「さっきの威勢は何処行ったんだよ!」
次々に蹴り飛ばし、まるでバーの中でサッカーを行うようにライアーの身体を飛ばす。なんとかライアーも体勢を立て直しては反撃を行うが、それにしたって人数が多い。
(あぁ、ちくしょう。やっぱ俺は……)
弱気な考えが頭に浮かんだと同時、ライアーの真正面からオブリビオンソルジャーの蹴りが飛んでくる。
ああ、もうダメだ。それが最後の一言だと予感したその瞬間……複数の炎の矢がライアーの横をすり抜けて、オブリビオンソルジャーを焼き尽くす。
「まったく……1人に対して人数が多すぎるんじゃないの?」
大きくため息を付いてバーに入ってきたのはバジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)。ユーベルコード『ウィザード・ミサイル』でライアーの周囲にいたオブリビオンソルジャーを蹴散らしながら、彼へと近づいて手を伸ばしてあげた。
「大丈夫? 立てる?」
「あ、ああ……アンタは、何故ここに?」
「ん? まあ、そりゃあ……負傷者がいると聞いたら、ね?」
格好から彼女が医者であることを割り出したのか、ライアーも納得の顔。マッドサイエンティストではあるが怪我人を放っておけないということで、急遽駆けつけたのだそうだ。
なお、新たな増援がやってきたことでオブリビオンソルジャー達も焦りを見出している。辺りに情報伝達用撮影ドローンがばらまかれると、その風景を見た後方支援部隊が新たな支援物資を届けに来て彼らの装備を整えた。
「っと……装備を新調しやがったか」
「そうみたいね。でももう、あなたの敵じゃあない。私という支援がある限りはね」
新たに装備を新調したオブリビオンソルジャー達に向けて、追加の炎の矢を打ち込むバジル。それでも新たな装備は炎を和らげるようだったので、ライアーが一撃を叩き込んで沈静化させた。
「……悪くねぇな、協力ってのも」
「でしょう? ほら、次も行きましょ」
そうして、バジルの炎の矢が次々に放たれる。
まるで、新たなヒーローの誕生を祝福するかのように。
成功
🔵🔵🔴
ユキシロ・クロエ
WIZで行動
裏切者には死をか‥‥。
なんともヴィランらしいじゃないか、ただタイミングが悪かったな‥‥!
ユーベルコード使用。前方にシロの影であり意思を持つUDCを放つ。
そしてそこから大量の影の剣出して円に入った敵を斬撃の嵐を浴びせる‥‥!敵のユーベルコードは撮影するならそれなりの距離を保たなきゃならないだろうだったらついでにまとめて破壊しておこう‥‥。円から外れた敵はライアーに指示をして戦ってもらう。
さぁライアー弟さんに土産話としてこの戦いの話をするためにこんなモブザコさっさと片付けよう‥‥!そしてヒーローとしての第一歩華々しく飾ろう‥‥!
●華々しく、誇れる戦いを!
「裏切り者には死を、か……」
辺りに群がるオブリビオンソルジャーに対し、小さく感想を述べるユキシロ。ライアーの背を奪われないように位置を陣取り、アサシンダガーを構えて牽制行動をとっていた。
「プライドで成り立ってるような連中だからな。ヒーローに転向されたら、そのプライドもズタズタなんだろうよ」
「なんともヴィランらしいじゃないか。……ただ、タイミングが悪かったな……!」
黒い瞳が見開かれると同時、ユーベルコード『エンドオブシャドウソード』が発動。ユキシロの影がずるりと伸びたかと思えば、UDCとして存在する内なる影がぐるりとユキシロとライアーの足元に円を描く。
何も起こらないじゃないかとキレたオブリビオンソルジャーの1体が足を1歩踏み出した途端、それは始まった。
「影の剣よ……シロとライアーに敵対する者を切り裂け
……!!」
ざん、ざん、ざんと。円に入ったオブリビオンソルジャー達は次々に影の剣によって包囲され、逃げる間もなく複雑な斬撃によって切り落とされる。もはやその姿は元の姿を保つことは難しく、その場に崩れ落ちていった。
だがそれはユキシロの半径92mまでの間に存在する円に入り込んだ者だけに起きる現象。それを知ったオブリビオンソルジャー達はすぐさま情報伝達用撮影ドローンを呼び寄せると、ユキシロとライアーの戦い方を撮影させた。
「チッ、装備を新調させるつもりか……」
「ライアー、円の外をお願い。シロはアレも撃ち落としてみる」
「あいよ。鎖が無いからちょいといつもよりは性能落ちる……けど、な!」
円から外れたオブリビオンソルジャーを、たった一発の蹴りで複数人を巻き込んでバーの壁にぶち当て気絶させたライアー。これで性能が落ちるとは、ヒーローとはなんとも恐ろしい。
だが、ユキシロはむしろそれが嬉しかった。弟のために立ち上がってほしいと声をかけた彼が、今まさにヒーローとして戦っている。まだ若干の迷いは見受けられるが、ユキシロが今目にしているのは紛れもないヒーローなのだから。
「さあ、ライアー。弟さんに土産話として、この戦いの話を持っていこう。そのためには……こんなモブザコ、さっさと片付けよう
……!!」
ギラリと、強い殺気がユキシロから放たれる。ヒーローとしての道を作り出すのが自分の役目だというように、ドローンを撃ち落としては円に入り込んだ者達を切り落とす。
「――そして、ヒーローとしての第一歩を華々しく飾ろう……!」
ユキシロから伸びる黒い影の剣が、ライアーの姿をより一層映えさせた。
大成功
🔵🔵🔵
播州・クロリア
(クロリアとライアーの周りに{蜂蜜色の陽炎}を発生させ『オーラ防御』を行う)
空気が読めない上に騒がしい連中ですね…
ライア―さんこちらをどうぞ
(UC【蠱の隠匿】を発動し蜂蜜色のオーラの鎖をライアーに放り投げた後、透明になる)
鎖の扱いが得意そうなリズムをされていたのでお渡ししました
この鎖に触れてると私みたいに透明になれますので優位に戦えるかと思います
欠点はライアーさんと私、お互いの姿が見えないことですが
私はライアーさんのリズムは感じ取れますので
同士討ちしないように立ち回れます
というわけで思いっきり大暴れしてください
私はサポートに回り『念動力』で奴らの邪魔をしまくります
●姿は見えなくとも、音は聞こえる
「空気が読めない上に、騒がしい連中ですね……」
「あぁ!? なんつった、てめぇ!!」
大きくため息を付いたクロリアは、とん、とんと軽く足でリズムを取りながら、ライアーと自分の周りに蜂蜜色の陽炎を上らせる。彼女のダンスの執念と欲望によって生まれたオーラに少々驚きを隠せないライアーだったが、自分に害をなさないと知ると拳を構えてオブリビオンソルジャーと向き合っていた。
「あ、そうだ。ライアーさん、こちらをどうぞ」
「え」
クロリアが蜂蜜色のオーラを鎖型に練り上げ放り投げると、クロリアとライアーの身体がうっすらと透けてゆく。ユーベルコード『蠱の隠匿』によって伸びたオーラの鎖に触れている間は姿を透明にすることが出来、奇襲には最適なのだと。
「鎖の扱いが得意そうなリズムをされてましたので、こちらを。私みたいに透明になれますので優位に戦えると思います」
「いやでも姿が見えねぇじゃねえか」
「はい、見えません。でも私はライアーさんのリズムは感じ取れますので、同士討ちしないように戦えますよ」
こんな風に、とライアーの攻撃の合間をすり抜け、クロリアはオブリビオンソルジャー達に妨害を仕込んでうまくライアーの鎖攻撃が当たるように仕向けていた。
蠱の隠匿では音や体温は消せない。故にオブリビオンソルジャー達は彼女達の声から居場所を割り出しているが、姿を見ることが出来ないというのは物理攻撃を行う者にとっては致命傷だ。音で場所を割り出す道具が出せないかとオブリビオンソルジャーは情報伝達用撮影ドローンに向けて声を荒げる。
「ああ、なるほど。この力の弱点に気づいたのですね」
流石に装備を一新されては困ると、クロリアはドローンを念動力で操作して破壊。装備が届けられる前に決着をつけることをライアーに進言し、さらに彼が動きやすいように念動力でオブリビオンソルジャー達の足を止めた。
「なあ、お嬢ちゃん! 本当にアンタにゃ当たってねぇんだろうな!?」
「ええ、全く当たっていません。先にも言ったとおり、私はライアーさんのリズムを……そう、ヒーローのリズムを感じ取っていますから」
オブリビオンソルジャー達が次々に鎖の薙ぎ払いに飲み込まれ、吹き飛ばされる。これまでの陰鬱としたリズムを吹き飛ばすような、華麗で、情熱的なリズムが2人の間に流れてゆく。
ヒーローとしての第一歩のリズム。それが今、まさに新たに刻み込まれていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
平坂・火乃華
アドリブ等歓迎
来るのは分かってたんだが、多くねぇか?
俺はてっきり、こう、大物が一人、刺客として送り込まれるもんだと考えてたんだがな
ま、烏合の衆とはいえ、数の利は向こうにある上にこういう奴らは妙に団結力がある、油断大敵って奴だな。
さて、敵の連携攻撃は【残像】で避け、【フロストファング】を発動、連中の連携に穴を開けさせてもらう。
残った奴らは【銀狼爪】による【グラップル】で一人一人確実に仕留めさせてもらうぜ。
あまり、店を荒らし回るような真似はしたく無いんだが、状況が状況だしな、多少は仕方がないだろう。
さぁて、ここが踏ん張りどころだ、ライアー、アンタの覚悟と腕っぷし見せてもらうぜ?
●ヒーローはいつも、覚悟を持って戦う
戦いにおいて集団を相手にするというのは、何よりも覚悟が必要だ。
多勢の攻撃を防ぐ手段。瞬時に攻撃する相手を選ぶ判断。相手の統率をどのように打ち砕くかの計算。大勢であれば個々で行うことをすべて1人で行わなければならない。
そんな大掛かりなことを今から行わければならない火乃華は、少々宛が外れたと言わんばかりに言葉を濁した。
「俺はてっきり、こう……大物が1人、刺客として送り込まれるもんだと考えてたんだが……そうか、こういう場合もあるのか」
大物1人であればライアーと協力して倒せば良いが、集団が相手となればまた戦法も違う。妙な団結力も彼らの1つの強さなので、油断は出来ないとライアーに忠告しておいた。
「烏合の衆とはいえ、数の利は向こうにある。それに、こういう……姿が似通ってる奴らは、個々人の力は弱くても団結力で押し切ってくるぞ」
「確かにな。……で、先輩ヒーローさんはどうしてくれるんだよ」
「ん? そうだなあ、こういうときはー……」
火乃華が言葉を続けようとした瞬間、オブリビオンソルジャーの集団連携の超火力連続攻撃が火乃華とライアーに向けて放たれる。事前に準備をしておいたのもあって連携力が素晴らしく、まるで隙がない。――当てる相手が残像でなければ。
残像がゆらめき、火乃華の姿が消えると同時にオブリビオンソルジャーに向けて絶対零度の剣が振り下ろされる。ユーベルコード『フロストファング』によって生み出された剣はオブリビオンソルジャー達の連携に大穴を開け、小さな綻びを生み出す。
「ライアー、今だ!!」
「――っ!」
火乃華の掛け声に合わせ、ライアーの一撃がオブリビオンソルジャーの連続攻撃の合間に叩き込まれる。1手、また1手と繰り出される連続攻撃を止めるかのように、オブリビオンソルジャー1体1体を集団の輪から剥がし、止まることのない連続攻撃の流れを変えていった。
しかしそれでもオブリビオンソルジャーの動きは止まることはなく、むしろ別の連携を取ろうと必死で動く。そういう相手には火乃華の銀狼爪によるグラップルが行く手を塞ぎ、1人ずつ壁にぶち当てていく。
「いい店を荒らし回るのはちょっと気が引けるんだが、今はこんな状況だからな……!」
「同感。とっととぶっ潰すぞ!」
「その意気だ! ライアー、アンタの覚悟と腕っぷしをとことん見せてもらうぜ!」
絶対零度の剣が連携を切り崩し、ヒーローの覚悟を持った一撃が辺りのヴィランを蹴散らしてゆく。まさにたった今、1人の新たなヒーローが誕生した瞬間が繰り広げられていた。
●そしてもう一度、大空へ
「……ふう……」
猟兵達と共にオブリビオンソルジャー達を退けたライアーは、店に迷惑料やらなにやらを支払った後にゆっくりと外に出る。
入る前はあれだけ眩しすぎて見ることが出来なかった空を、ゆっくりと見上げて陽の光を浴びる。こんなにも澄んだ気持ちで見ることが出来たのはいつ以来だろうかとライアーは呟いた後、猟兵達の顔を見る。
「ありがとう、相談に乗ってくれて。……アンタ達の意見をもとに、これからヒーローとしてやっていってみるよ」
ヴィランを抜け、ヒーローとしてやっていくことを決めたライアーは猟兵達に御礼の言葉を述べると、その場を去っていった。
猟兵達の目には彼の顔に、ヒーローの自信たっぷりな笑顔が浮かんでいたのをはっきり見ることが出来ただろう……。
大成功
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