殲神封神大戦⑲~黄天に死す
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この世界は荒れ果てていた。
世界を見守る三皇は既に骸の海に還り、仙界と人界の境界も開かれていた。
ならば誰が統べるべきか。
誰かが統べねばならないのだ。
骸の海より立ち返った混沌氏は言った。「蒼天すでに死す」と。
ならば私が立ち上がり、全ての命をオブリビオンへと為すしかあるまい。
其れこそが最良の道なのだ。
生きて乱れた世を生きるより、骸の海で安寧を生きる事の方が遙かに安らかだ、何故其れが判らない?
判らぬのならば蹴散らすのみ。猟兵よ、真にこの世界の民を思うなら――
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「何もするな、というのが張角の主張な訳だ」
――ああ。この前は世話を掛けたね。
ヴィズ・フレアイデア(ニガヨモギ・f28146)は傷だらけの体にも関わらず、いつも通りドレスを纏って、いつも通り、凛と立っていた。
「まあ、オブリビオン特有の訳の分からん主張だ。そりゃあ確かに死は安寧だろうけども、限りある生を生きるから人は尊いのだ。張角は其れを忘れてしまったらしい。なので殴って其れを思い出させて……というか、思い知らせてやってくれ。場所は太平道。仙界に広がる草原だ」
其処にはオブリビオンが溢れている。かつて張角を信奉したであろう、配下の“黄巾オブリビオン”だ。彼らは一様に黄色い布を付けて、未だに黄巾の民であると主張している。最も、彼らに自我があるかどうかは定かではない。
「この大軍勢を蹴散らして、張角に接近しなくてはならない。お前達の総力を懸ける時があるとすれば、其れは恐らく今だろう。――幸い、張角は数の差に油断しているのか……先んじて攻撃してくる事はない。安心して蹂躙して良いぞ」
死にたがりの敵に、厄介な憑依。
色々鬱憤が溜まってただろ? 此処では純粋にバトってよいぞ。
ふふん、とヴィズは笑った。白磁の門が開いて、草原の清かな風が入って来る。――微かに、戦の香りがした。
key
keyです。さて、いよいよ最後の敵です。
心して行きましょう。
●目的
「大賢良師『張角』を斃せ」
●立地
太平道。
仙界の一角、広々と草原が広がる場所です。
おびただしい数の黄巾オブリビオンが張角を護るように位置どっています。
●プレイング受付
〆切含め、タグにてお知らせ致します。
●プレイングボーナス!
「黄巾オブリビオンの大軍勢を蹴散らし、張角と戦う」
幸い、張角は先制攻撃を“しません”。
兎に角黄巾オブリビオンを倒して倒して倒しまくって、張角の元に辿り着きましょう。
ただ、張角は先制攻撃をしませんが、猟兵が辿り着く頃にユーベルコードを発動する事は在り得ます。
●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
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此処まで読んで下さりありがとうございました。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『大賢良師『張角』』
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POW : 戦術宝貝「黄巾力士」
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【巨人兵士型宝貝「黄巾力士」】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : 黄巾三巨頭
戦闘用の、自身と同じ強さの【妖術を操る地公将軍『張宝』】と【武芸に長けた人公将軍『張梁』】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ : 黄巾之檄
【「蒼天已死 黄天當立」の檄文】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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久留米・圓太郎
■WIZ
これで最終決戦か!
ならオレの持つ「最大火力」で真っ向勝負してやろうじゃないか!
(差し当たり数さえ減らせられれば。オレが張角まで届くかどうか)
【UC】の槍や大砲の弾は全部使い尽くすつもりで!
兎に角オレ達の進路を作ってくれ>飛空艇の幻影
[高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃、援護射撃]全部使って吹っ飛ばす!
ただこうなると、戦場が煙や砂埃でエラい事になりかねないからな。
魔法使いの箒の騎乗をしておいて、[空中戦、オーラ防御、コミュ力、ハッキング]で敵の連絡系統を潰しつつ、仲間への進軍の助けをしよう。
オレの目標は張角の城の門を破壊する事!後は仲間に託そう
そこまでの火力はオレには無い
※連携・アドリブ共歓迎
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「これが最終決戦かあ」
ごくり、と久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は喉を鳴らし、ふるふると頭を振る。怯えている訳にはいかない。オレはだって、偉大なる魔法使いの一番弟子、其の生まれ変わりなんだから!
オレの持つ最大火力で真っ向勝負だ。変な屁理屈なんていらない、蹴散らして突き進んでやる!
そう圓太郎が願った瞬間、其れは現れた。仙界の空を引き裂くような黒い影。なんだ、と黄巾オブリビオンが顔を上げると、其処には巨大な飛空艇が一隻浮かんでいる。
空を浮かぶ鳥。いや、鳥よりももっと大きい何か。
がこん、と鉄のような音がしたかと思うと、耳を破るかのような砲撃音と共に焔纏う鉄槍を撃ち出した。大地に突き刺さりオブリビオンを蹴散らして、其の熱風が圓太郎が進む道を作る。
――どおん、どおん。
まさに戦のような音を聞きながら、圓太郎は魔法使いの箒に乗って熱風の中を泳ぎ回る。
ばさり、と何処からともなく檄文が舞い降りて来る。圓太郎が一枚とって見ると、其処には「蒼天已死 黄天當立」とだけ書かれていた。兵士は其れ等を読んで、気分を高揚させる。――けれども。空を泳ぎ回る金魚のような圓太郎も、空に鎮座する飛空艇も、彼らは捉える事が出来ない。飛空艇に矢を射たところで、遙かに大きな鉄矢が撃ち返されて来るだけだ。
圓太郎は防御を張って泳ぎ回りながら、やがて城門に行き着く。其の間にハッキングの種は仕掛けた。あと数分もすれば仕掛けた種は開花して、兵へと行き回り、彼らは文字を認識できなくなるだろう。
そうして辿り着いた張角の城。飛空艇が狙いを定めると、圓太郎は巻き添えにならないように慌てて避難した。
――轟音と共に、張角へと続く門扉は粉砕される。
大成功
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アマネセル・エルドラート
「数が多いわね。それでも、足を止めているわけには行かない。」
幸いにも敵はそれほど強くは無いらしいが、一人で全員を倒しきるには数が多すぎる。
敵の数を減らそうとするのではなく、とにかく張角の元にまで進む事を優先。
UC【アリスナイト・イマジネイション】で戦闘鎧を纏い、敵の攻撃を凌ぎつつアリスランスを振りまわして敵を蹴散らしながら進んで行く事にしよう。
「戦争は終わらせてもらうわよ、私達の手で!」
張角の射程圏にまで近づけたら赤のプレイングカードに【全力魔法】で【属性攻撃】で風属性を付与、風で勢いを付けた状態で赤のプレイングカードを【投擲】することでダメージを狙おう。
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「数が多いわね……」
門扉は開いているみたいだけど。と、黄巾オブリビオンの数にうんざりしながらアマネセル・エルドラート(時計ウサギのアリスナイト・f34731)は呟く。
其れでも足を止めてはいられない。時計に追われるウサギのように、チクタク働くとしますか。
兎に角届かなければ意味がない。アマネセルは、己に鎧を纏う。想像力から生まれる其れは、光の粒子から作られる。――信じる。其の鎧は堅固であると。信じる。其の鎧は不敗であると。
白銀の槍――アリスランスに合わせてしつらえた白銀の鎧。アマネセルは一息に駆け出し、進路上の邪魔なオブリビオンを一閃していく。あくまで最低限のオブリビオンを狙う。じゃないと張角の元に辿り着けない。
駆け抜けるアマネセルを破られた城門で待ち受ける張角は、巨人兵士型宝貝「黄巾力士」に乗り込む。
「黄巾の友よ、案ずるな! 黄天の世はこれから始まるのだ!」
「いいえ――終わらせるのよ。私達の手で!」
巨大なロボは目印にしかならない。アマネセルは兎ゆえの俊敏さで張角――もとい、黄巾力士の元へと辿り着く。
ぴ、と指先に挟んだ赤のプレイングカード。其処に風の全力を宿す。一気に駆け出しながら、プレイングカードをそのまま投擲する。
「このような紙切れごとき!」
「そうよね、貴方ならそうする!」
払われたカードから、烈風が解放される。ぐらついた張角の関節部を――アマネセルは容赦なく、アリスランスで切り抜いた。
大成功
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キャロライン・ブラック
平和を望むそのお心を否定することはできません
ですがわたくしには安寧という一色に染まった世界はひどく退屈に映ります
世界とは多様な色を重ねることで輝くのです
ですからこれはわたくしの我儘
壮大な行いをただの我儘で阻みましょう
はしたないとはおっしゃらないで下さいませ
油断をしていらっしゃるのであれば好都合
鮮血の赤を広範囲に放って敵の数を減らしてまいります
最も長角によって大軍勢が強化されてしまえば苦戦は必至
長角までの道のりを染め上げ、己の強化も並行して行います
この赤は戦場におけるレッドカーペット
わたくしの歩みを阻むことは許しませんわ
近づいた後は戦線の維持を重点に
長角から大軍勢を引き剥がす様に立ち回りましょう
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キャロライン・ブラック(色彩のコレクター・f01443)は、張角の心を全て否定する事はしない。
彼が望むのもまた平和。やり方はきっと間違っているとしても、安寧を望む其の心まで否定は出来ないと思うのだ。
だけれども、安寧という一色――骸の海という色だけに染まった世界は酷く退屈だと思いませんか。わたくしは思うのです。世界とは、多様な色が重なっているからこそ輝いて見えるのだと。例え其れが、争いを生む色合わせだとしても。
「ですからこれは、わたくしの我儘」
黒い枠組みに、虹色の宝石。ワンドを振り翳せば、宝石はたちまち赤色に染まる。
「どうかはしたないとは仰らないで下さいませ。貴方さまの壮大な行いを、ただの我儘で阻みましょう」
鮮血の赤――紅い塗料が周囲に撒き散らかされる。黄巾オブリビオンはただの塗料と敢えて身で受けるが、侮るなかれ。其の赤色は、肉を食う赤だよ。
「ぐっ!? ぐ、ああああ!」
「ああ、どうか邪魔をなさらないで」
キャロラインは涼やかに、赤く染まった大地の上を歩く。紅い塗料を撒き散らし、肉を食い、大地を染めながら歩く。
自然と黄巾オブリビオンが道を開ける。張角は怯えもせず、怖気づく事もなく、ただ其処に立っていた。
「蒼天已死」
静かに張角が言う。黄巾オブリビオンの筋肉に、熱が通る。
「黄天當立!」
其の檄は、黄天を戴く者すべてに力を与える。
ああ、でもどうか抵抗なさらないで。わたくしもまた、赤にて己を強化しているのだから。
このレッドカーペットを阻む事は許しません。踏み入る事も許しません。
わたくしの歩みを邪魔なさらないで下さいまし。
そうしてキャロラインは張角の元へ辿り着く。
静かに向き合う二人。
先に動いたのはキャロラインだった。赤の塗料を張角へ向けて放つ。張角は其れをくるり避けると、杖を強く大地に打ち鳴らした。
べきべきべき、と音を立てて、赤く染まった大地が罅割れる。キャロラインのレッドカーペットが裂かれていく。
キャロラインは再び赤を張角に見舞う。張角は其れを避けるしかない。そうして二人の応酬は続いていく。そっとキャロラインが、黄巾オブリビオンから離れた位置に張角を誘導しているとも知らず。
大成功
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リーヴァルディ・カーライル
…過去に支配された世界がどうなるかなんて、
私の故郷の世界を見れば分かりきっている
…それでも、安寧だの何だの戯れ言を宣うならば良し
お前達は皆、永遠に私の糧として使い潰してあげるわ
「闇の精霊結晶」を砕き戦場を闇で覆い瞬間的に吸血鬼化して敵を暗視しつつUCを発動
負のオーラで防御を無視して生命力を吸収する闇属性攻撃を行い、
精霊結晶とUCを乱れ撃ち敵軍を吸収しながら中心部に切り込む
…光を鎖し、闇よ在れ
…数だけは多いけど、それならそれで利用させて貰うだけよ
数多の魂を降霊し超強化した身体能力を駆使して敵UCの攻撃を受け流し、
限界突破した闇の魔力を溜めた大鎌をなぎ払い、
黄巾三巨頭を纏めて切断する大斬撃波を放つ
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――過去に支配された世界がどうなるか?
――安寧を得られるのか?
――そんなものはないわ。私の故郷を見れば判るでしょう。
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の心には、静かな怒りが燃えていた。支配する事で安寧が手に入るなら、リーヴァルディは何度だって領主の首を狩り取れるというのに。そんな簡単な事で安らぎが手に入るなら、猟兵が駆けずり回る必要なんて、ないのに。
……戯言だわ。安寧だの何だの、まだ言うの?
ならばよし。お前達は皆、永遠に私の糧として使い潰してあげるわ。それが“支配という安寧”よね?
リーヴァルディがぱきり、と結晶を砕くと、闇が彼女を中心に戦場全体に渦巻いた。其処には蒼天も黄天もなく、ただ滔々と黒い闇が渦巻くばかり。
少女の瞳が赤く輝く。僅かに本来の力を開放して闇の中を駆け、黄巾オブリビオンの命とエネルギーを奪い去っていく。黄巾オブリビオンは大鎌で切り付けられた傷口からエネルギーを吸い取られ、動く事も出来ないまま首を刎ねられる。其れはまるで、御伽噺にでてくる赤の女王のよう。いや――闇の中を統治するならば、黒の女王と呼ぶべきかな、お嬢さん。
大鎌に闇がわだかまって、黒が重なり合って紫色に輝く。其の輝きを見止めは出来ても、止める事は出来ない。ただ紫の閃光が迸り、オブリビオンたちを切り裂いていく。
「本当に――数だけは多いのね」
うんざりとリーヴァルディが呟く。其れなら其れで利用させて貰うだけだけれども。
――御霊を下ろす。己の体に。吸収したエネルギーを手足に集中して、誰よりも速く、誰よりも強く駆け、斬る。黄巾オブリビオンが闇に目が慣れてきた其の頃には、リーヴァルディは張角の元に辿り着いている。
「よくぞ来た。だが此処で紀行は終わりだ。――張宝! 張梁!」
「何人いようと――誰が居ようと結果は同じよ」
闇の魔力を溜めに溜めて、まるで陽炎を纏ったように大鎌が揺らいでいる。
リーヴァルディは距離を詰めずに、大鎌を一息に振り下ろすと二人の武将を切り裂く大斬撃波を放った。
そして駆ける。ユーベルコードの有効範囲内に張梁と張宝を巻き込んで、斬撃波を受けた彼らをさらに切り裂く。
疾風怒濤の攻め。そして上空から張角を見下ろすと――空中で素早く姿勢を変えて、大鎌で其の胴体をばらり、と斬り付けた。
大成功
🔵🔵🔵
待鳥・鎬
全てが自分の支配下にあるのが最良、ですか
うんうん、自分こそが正しくて過ちも犯さない、それ以外は間違いだと信じてるんですねぇ
覇道を突き進むその姿…
…なぁんだ、結局貴方も、乱世の諸侯達と言ってることやってること変わらないんですね
「山吹」の光学【迷彩】で姿を晦ませ、杞柳に翼を借りたら【目立たない】ように上空へ
護るように位置取っているなら、布陣で張角の位置は把握できるはず
視認出来るようなら、UCで一息に敵将へ斬り込むよ
油断している一撃目が肝要
首でも胴でも【切断】する勢いで思い切り
配下が召喚される前に再度距離を取って
二撃目以降は警戒されるだろうから、他の猟兵達と戦っている隙を狙うとか、少し慎重にいこうか
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「全てが自分の支配下にあるのが最良、ですか」
待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)はうんうんと頷く。
「自分こそが正しくて過ちも犯さない、其れ以外は全部間違いだ、と信じてるんですねぇ」
其れこそは覇道。あれ? なぁんだ。結局貴方も、乱世の諸侯たちと言ってる事もやってる事も変わらないんですね。
鎬は飛び立つ。己の衣服に迷彩を施せば、黄巾オブリビオンはたちまちに鎬を見失って右往左往した。敵がいるはずなのに、何処にいるのか判らない。判るのは上空へ跳んだ事だけ。
「討て! 討て!」
矢が大地から降り注ぐ雨のように放たれる。使い魔である“杞柳”に翼と速さを借りて、ふうわりと気付かれぬように鎬は其れをかわしてみせた。
布陣は至極単純だった。黄巾オブリビオンがいて、その奥に壊された城門があって、その奥に張角が立っている。念の為という奴だろう、既に二人の武将を召喚しているようだった。でも、妖術も武術も、一撃離脱の前には――無駄、ですよね?
鎬は羽撃く。音が鳴ろうが、迷彩が剥がれる程の速度だろうが構わない。狙うは張角の首。無理ならば、そうだな、張宝の首でも頂こうか!
「ぱ」
張宝が何かを言った。そう、張角は思った。
なんだ、と顔を向けると、――彼の首が飛んでいた。張宝は何が起こったのか判らないという顔をして、己の首のない胴体を見て、莫迦な、と表情を歪めた。
どん、どん、どん。首が大地にバウンドする。さらさらと揺れる草原に、張宝の身体が青黒い灰となって消えていく。張梁が素早く張角を守りに入ったが、鎬は既に其処にはいない。上空で再び迷彩を纏っている。
「……流石に二度目は難しいかな」
あの武人は対処出来てなかった。其れが速さによるものか、不意打ちによるものだったか判らない限りは、分の悪い賭けはしない方が無難だろう。
でも収穫はあった。――召喚された武人は、殺せる。
大成功
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カイム・クローバー
俺は請けた依頼を果たしただけさ。だが、最初の啖呵には恐れ入った。魔女様に殺されなくて心底、ホッとした。(肩を竦め、悪戯めいて笑い)…とはいえ、怪我は軽くないだろ?あんまり無茶を――って。言った所で聞きやしねぇか。(嘆息)
いつもならゆっくり歩いて張角まで辿り着くトコだが。……今回はさっさと予知を終わらせて、休ませてやりたい友人が居てね。あんまりのんびりしてる暇はないんだ。
折角、歓迎会を催してくれたトコ、悪いが。早々に切り上げて終わらせるぜ。
UCを発動して張角に辿り着いた猟兵の近くへと移動。
将は三人。あー…どいつが張角だ?自己紹介してくれねぇかな?
それとも先に名乗れ、とか言うタイプ?だったら名乗ろうか。便利屋のカイム・クローバー。――この戦争、終わらせに来たぜ。
構図は3対1。ハンデさ。一騎打ちじゃ勝負にならないだろ?
二丁銃と状況に応じて魔剣を使用。【クイックドロウ】に【焼却】。決着はすぐに付く。
残った張角には銃口を向けて。
決め台詞ぐらい残した方が『らしい』だろ?
――Jack・Pot!!
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「魔女様に殺されなくて心底ホッとしたぜ」
グリモアベースにて。カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)はヴィズを見て、肩を竦める。
「あたしこそ、お前を殺す羽目にならなくて良かったよ」
「とはいえ、怪我は軽くないんだろ? あんまり無茶は……ああ」
聞くような性格じゃないか。
すわりがわるそうに剣をくるりと回すカイムに、グリモア猟兵はころころと笑った。
「判っているじゃないか。あたしはあたしの仕事を為すまでだ。怪我なんてしていられないのさ」
「という訳でな」
かくして、カイムは黄巾オブリビオンという壁の前に立った。いつもならゆっくり歩いて、黄巾オブリビオンをかわしながら張角のもとへと歩いていくのだが、今日は事情が異なる。さっさと予知を終わらせて、休ませてやりたい友人がいる。
だから、――折角大人数で歓迎会してくれてるところ悪いが、早々に切り上げさせて貰うぜ。
猟兵の気配が遠くに感じられる。今ならまだ“跳べる”だろう。カイムはとん、と軽く跳躍すると、――其の場から、消えた。
「消えた!?」
「何処へ行った!」
「ヘイ、此処だよ此処」
黄巾オブリビオンを乗り越えて、直接張角のところに跳んでるだなんて誰が想像できるだろうか。張角は既に張梁・張宝を呼び出してカイムとの間に立ちはだからせている。
「アー……どいつが張角だ? ちょっと自己紹介してくれねぇかな。それとも先に名乗れとかいうタイプか? なら名乗ろうか。……俺は便利屋のカイム・クローバー。この戦争を、終わらせに来たぜ」
魔剣を仕舞い、二丁銃を取り出して向ける。其の先は張角――なんだ、はっきり判っているんじゃないか。
張宝が杖を翳す。中空が凍りつき、落ちて来る氷柱を銃で撃ち砕く。
「おいおい、こっちが名乗ったってのにそっちの名乗りがないのはちょっと卑怯なんじゃないかい?」
「黙れ! 張角様の為――ひいては黄天の世の為! 貴様には消えて貰う!」
其れこそが戦いの終わりだと、張梁は両手に持った剣でカイムに斬りかかる。カイムは銃で迎え撃った。先に右手が来る。相手の筋肉の動きを読み、銃弾でそちら側の剣を弾く。仰け反った張梁の二の腕に更に銃弾を撃ち込めば、剣士の大事な腕は使えなくなる。其れでも、と左手の剣でカイムの首を狙う張梁。カイムは身を逸らして避け――白銀に紫を刷いたような色の髪がちらり、と散った。
本来なら剣と銃では銃が不利だ。間合いの遙か内側に入り込まれているのだから。けれどもカイムは敢えて銃を選んだ。だって其の方が――キマるだろ?
張梁の剣戟、そして張宝の衝撃波を、カイムは銃でさばく。銃の装飾が削れて行く音がする。ああ、これは修理が必要だな。だが、脚がお留守だぜ、武将さん。
カイムは素早く身を縮めると、一番近くにいた張梁の脚を払った。片腕の重み、其のバランスの悪さの中で足を払われてはたまらない。体勢を崩した彼の顎に狙いを定め、そのまま――Jack Pot。間合いの違いが致命的だったな。柘榴のように張梁の頭が割れて、ふうわりと陽炎のように消える。
「張角様、後ろに!」
「いや、もう良いぜ」
狙いは定まった。最早張宝に使う弾は“無駄弾”だ。
カイムが引いた引鉄、銃口が火を噴いた。張宝が振り返る前に焔を纏った弾丸が吐き出され――張角の肩を撃ち抜く。張角様、と焦ったように叫ぶ張宝の姿が陽炎めいて消え……にやりと余裕の笑みを浮かべる便利屋と、肩に孔を開けた張角が残った。
大成功
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楊・美帆
【闘え。】で参加
この戦争がこの世界の民の為だって!?わっかんないナ〜。確かに戦ばっかりの世の中だけど、みんな一生懸命生きてるんだヨ!
敵軍から飛んでくる矢の雨を【オーラ防御】した長袖で叩き落とす。正面から突っ込んで【功夫】で敵兵を打ち倒していこう。僵尸だから疲れることはないけど、このままじゃキリがないヤ。
こんなときのとっておきのUC!青い炎の拳で殴り飛ばした相手は燃える!その周りにいる敵も燃える!延焼を連鎖させながらどんどん殴っていくヨー!
敵軍を突破したら張角の黄巾力士とご対面。助走をつけた飛び蹴りで【鎧砕き】をお見舞いしよう。生身を晒したら追い討ちの【頭突き】!頭の固いわからず屋にはこうダ!!
ルルティア・サーゲイト
【闘え。】で参加
ふん、数ばかり揃えた所で妾の敵では無い。初手から本気で行く。【比翼の凶鳥】で『凶鳥の翼』を強化し、敵陣のど真ん中へと凶鳥の片翼で空中から飛び込む。撃ち落としに来るなら【縮地法】の射撃回避も使うか。
携えた大鎌を中空でゆらり、と振るう。流れる動きで二度、三度と大鎌を振るう。その刃先から桜の花弁が散り、全てを魅了するように舞う。
円を描く動きから垂直に飛び上り、
「天武桜花陣ッ!」
真下に大鎌を振り下ろす。地面に突き立てた瞬間、一瞬にして桜吹雪は消え、ただ斬られたという事実のみが残る。
春華なら状態異常も付くので状態異常をバラ撒いてグラン辺りにふっ飛ばしてもらうのじゃよ。
堆沙坑・娘娘
【闘え。】で参加
私は真正面から突っ込みます。
皆さんもお好きなように。では、また後ほど。
それだけ言って敵陣に突撃。
UCで強化された先読み能力を使い『敵の動きを誘導し何体か纏めてパイルバンカーによる【貫通攻撃】で貫く』『敵が同士討ちするように誘導する』などして敵を蹴散らしながら進みます。
道中、周囲を統率するような行動を取ろうとする敵や味方ごとでも範囲攻撃を放とうとする敵を察知したらそれらも潰しておきます。
皆さんも大暴れしているようなので、その援護ですね。
張角の下に辿り着いたら皆さんの動きに合わせつつ張角に全力の闘気を込めたパイルバンカーによる貫通攻撃。
問答は無用です。お覚悟を、大賢良師殿。
グラン・ボーン
【闘え】 「蒼天已死 黄天當立」か 青から黄色になっても、最終的には赤色になるんだろ
まるで信号機だな中華ってやつは
おう、みんな集まったか
(闘えの仲間に手をあげる)
さてと 俺の案は、進撃の巨人作戦だ
とにかく突き進んで張角をぶん殴る
(全員特攻という作戦で意見が一致した)
よし突撃だ!
(UCで巨大化してまっすぐに張角を目指して突き進む ちゃんと巨大化したとき用のパンツも用意してあるので安心だ)
どどどど
(走るだけで、地響きが起こり、踏まれたものはペチャンコになっていく)
高金利騎士とかいう金貸しっぽい名前のロボットが出てくるそうだが、俺の敵じゃない 踏み倒してやるぜ!
そして、張角もおもっきり殴る
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「蒼天已死 黄天當立……か」
グラン・ボーン(巨人の巨人拳伝承者・f34134)は其の巨躯で既に黄巾オブリビオンを圧倒している。ばきり、と腕を鳴らしながら、どうせ最期は赤色になるんだろ? と笑った。
「まるで信号機だな、中華って奴は」
「ちょっと! 中華でひとくくりにしないでくれル!?」
楊・美帆(デッドハンド・f33513)がぷんぷん、とグランに反論する。握り拳は袖で隠れているので見えないが。
「てゆーか、戦争がこの世界の民の為? わっかんないナ~。確かに戦ばっかりの世の中だけど、これでもみんな一生懸命生きてるんだヨ!」
「まあ、言って伝わるような相手ならこの戦は起きておらぬ。そういう事じゃな」
ルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)が巨大鎌によりかかり、美帆を見る。
「で、作戦は?」
堆沙坑・娘娘(堆沙坑娘娘・f32856)が静かに問う。三人は目を見合わせて、頷いた。
「「「真正面から突っ込む!」」」
「提案と作戦合致ですね。では、また後ほど」
張角のいるところで会いましょう。
そう言うと娘娘はパイルバンカーをがしゃん、と打ち鳴らし、敵陣の中へと突っ込んでいった。
「やれやれ、行動力に長けた娘じゃ」
「よーっし、負けてられないゾー!」
「悪いが俺が一番乗りだ、悪く思うなよ!」
グランがポーズを取ると、ユーベルコードで巨大化する。素早く下着を巨大化用のものに履き替えるのも忘れない。燃え盛るように赤熱した角を頭部に讃えた、原初の巨人。黄巾オブリビオンは怯えるも、人数の多さ故に逃げ場がない。
グランが一歩踏み出した。弓を勇敢にも構えていた兵士が数人、ばきぼき、と全身の骨を折られてぺったんこになった。グランが二歩踏み出した。怯えて逃げ出す兵士を捕まえて、放り投げた。高所から振り落とされた兵士は、他の兵士の上にどかん! とぶつかって骨と肉がへしゃげ、二度目の死を迎えた。
そうしてグランは走り出す。黄巾オブリビオンのもとを抜け、一気に張角へと距離を詰める!
「ワー、すっごい力押し。負けてられなーい!」
美帆も動き出す。蒼い焔を纏い、黄巾オブリビオンを一人、殴り倒す。オブリビオンの中には内心でほっとする者がいた。一対一、一体多数ならばまだ分があると。しかし其の見立ては甘い。蒼い焔に包まれたオブリビオンから、隣のオブリビオンに火が燃え移る。まるで生き物のように脚から胴へ、胴から全身へと這い上がる蒼い炎は、更に周りのオブリビオンにも燃え移った。
「う、うわああ! 何だこれは!?」
「来るな! 火が移る! 来るな!!」
檄文も最早意味を成さない。というより、張角はそれどころではない。“黄巾力士”に載り、巨大化したグランとタイマン真っ最中であるからだ。
やれやれ、と進撃していく仲間を見ながら、ルルティアは真の姿である混獣へと変じ、己の得物を強化し、―― 一気に跳躍した。
高く高く舞う少女。弓矢を構える兵たちだったが――其れを横合いから娘娘のパイルバンカーが貫いていく。相手が何をしようとしているか読める彼女に、防げない攻撃はない。次はあちらが弓を構えようとしている。娘娘はパイルバンカーを起動させると、一気に其方へ突撃した。
結果的に彼女の動きは、ルルティアの進撃を助ける事となる。ルルティアは鎌を振るう。二度、三度、揺らすように。はらり、と桜の花びらが零れて、黄巾オブリビオン達に落ちて来る。其れはまるで早すぎる春の訪れのようで、思わず彼らはルルティアを見上げた。
「天武に捧ごう、この桜花の舞――」
――天武桜花陣!
急降下したルルティアは、一息に鎌を振り下ろす。其れが地面に突き立った瞬間、桜吹雪が消えた代わりに青黒い血飛沫があちこちで飛び散った。其れはまるで、桜が散った後の紫陽花のようだ。
「あがあっ……!」
斬られた。其れは判る。しかし何故だろう、彼女に刃を向ける事が出来ない。大鎌を手にしどけなく佇む少女は美しくしなやかで、触れ難いものに思えてしまうのだ。
「ふふ、妾に刃を向けられぬかえ? 仕方なき事。ならば妾から触れてやろうぞ」
――ただし、この鎌でな?
「ぬうううううんッ……!」
「蒼天已死! 黄天……當立
……!!!」
グランの巨大さは時に油断を生む。
常人から見て巨大な黄巾力士だが、彼にとっては小虫のように小さい。だからこそ捉えづらいのだ。黄巾力士は素早く動き回り、グランの踏みつけを巧みにかわしていく。
自らを鼓舞し、檄し、張角もまた必死であった。
「くっそ、小さいのに素早いぜ……! 虫っころみてえだなあ!」
手でつかもうと屈めば、黄巾力士は素早くグランの背中側に逃げる。攻撃しようにもどうしようもなく、逃げ回るので精一杯。張角は屈辱だった。この自分が、徒手空拳の相手に逃げ回るなどと!
「アイヤー! ……あれ? グラン君、まだ仕留められてないノ?」
「うるせえな! こいつちょろちょろと……この!」
「そりゃあグラン君、とっても大きいもんネ~。じゃあボクが動きを止めちゃうヨ!」
続々と黄巾オブリビオンの群れを抜けた仲間が張角の元へと辿り着いてくる。美帆は疲れを知らぬ僵尸の身体で駆け、跳んだ。燃え盛る拳で思い切り――黄巾力士を殴りつける。鎧による防御など知らぬとばかりに叩き付けられた拳は鉄を焼き、砕き、へし折った。
「ぬうっ……!」
「最早問答は無用。御覚悟を、大賢良師殿」
娘娘のパイルバンカーが吼える。何処に張角が居ようと関係ない。黄巾力士のどてっぱら、ど真ん中に突撃して穴を開けてやった。
「……っ、ぐ……!」
「動きが止まった! 今だぜ!」
そうして、張角が見たのは巨大な――巨大に過ぎる拳。
見えたと思ったら吹っ飛んでいて、身体中を痛みが駆け抜け、空を仰いでいた。
「たーまやー、とな」
ルルティアが呟く。いや、此処は南無三というべきだったかの?
大成功
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夜刀神・鏡介
奴は渾沌氏、鴻鈞道人から話を聞いたと言っていたな。つまり、奴に利用された可能性も考えられるが……真実はどうあれ、カタストロフを起こさせるつもりはない
敵は多いが、こういう時こそ単純に行こう。神刀を抜き、黎の型【纏耀】を発動して、神気を纏うことで戦闘能力を大きく引き上げて、正面から切り込むのみ
刀を振るうと同時に斬撃波を発生させて纏めて敵をなぎ払い、こじ開けた所をダッシュで助走を付けて大きくジャンプ。集団の頭を飛び越えて一気に張角の元へ飛び込んでいこう
敵がUCを使用する前に切り込めれば有利だが、使用されてもやる事は変わらない
配下は纏めてなぎ払い、張角の攻撃は受け流し、カウンターで切り崩していこく
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――張角は混沌氏から話を聞いたと言っていた。
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は壁の如く聳える黄巾オブリビオンたちの前に立ちながら考える。骸の海だと自称する混沌氏は、撤退こそしたものの余りにも得体が知れなさ過ぎた。或いは張角もまた、そそのかされているのかもしれない。或いは彼が左目を得るために利用されたのか……
だが真実はどうあれ、張角が望むのは世界の終わり(カタストロフ)。させる訳にはいかない。この刀と身一つで止め切るだけだ。
鏡介が剣を抜く。斬りかかってきた黄巾オブリビオンだったが、衝撃の余波で吹っ飛ばされた。鏡介の黒髪は白銀に、瞳は燃え盛るような炎の色へと変わる。真の姿を解放した鏡介は神気を纏い、真正面から斬り込んでいく。
刀を横薙ぎに振るう。斬撃波が刀の間合いよりももっと広範囲の敵を薙ぎ倒す。
「蒼!天!已!死!」
「黄!天!當!立!」
まるで仲間など見えていないかのように、黄巾オブリビオンが鏡介へ殺到する。一人を斬り倒し、くずおれる其の肩にふわりと飛び乗った。大きく跳躍して張角との距離を詰めると、大上段から斬り降ろして大地にいる黄巾オブリビオンを強襲する。
更に斬る。斬る、切る、伐る。まるで巨大な剣を振るったかのように、人々が散らされていく。
そうして鏡介は張角の元へ辿り着く。
「だが、時すでに遅し」
張角は巨大ロボ“黄巾力士”と合体していた。其の大きな拳が鏡介を狙う。刀で削るように受け流し、関節部を切り付ける。
大きいロボに分があるか、というと、そうとも限らないのが戦だ。ロボに比べて小柄な鏡介は其の可動域を十全に活かし、素早い動きでロボの稼働する関節部を攻め立てる。
ぎり、ぎし、と鉄が軋む音がする。
「蒼天已死、――だったか」
刃を振るい、いよいよロボを斬撃波で攻め立てながら鏡介が静かに言う。
「……俺からも返そう。黄天已死――だ」
そうして、一息に。
黄巾力士の首を、ちょん、と刎ねた。
人界と仙界、二つの世界を動乱させた首魁の、呆気ない最期であった。
大成功
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