殲神封神大戦⑰〜黒へ至る
●Lloyd
いつもの光景が変わり、画面に映し出された景色と同じ景色を見ている。
「(どういう……)」
問う言葉を口にするより早く、聞き覚えのある声が響いた瞬間に理解した。
ロイド・テスタメント(全てを無に帰す暗殺者・f01586)自身が封神武侠界へ転移した猟兵の声だからだ。
そう、ここは仙界の最深部にある『渾沌の地』と呼ばれる場所。
そして、眼前にいるのが鴻鈞道人と名乗る存在だ。
(その疑問を理解するよりも先ずは――)
鴻鈞道人に呼び出されたロイドへ近付く。
「(……良いでしょう。“貴様”は骸の海よりも無へ帰るべきだ)」
察した。
ロイドの表情がいつもの穏やかな笑みから、口元を吊り上げて獲物狩る猛獣の様な笑みへ変わった。
「(俺が居なくとも、猟兵は貴様を倒すまで戦う。そんな奴らだ)」
(私を侮るな)
白でも黒でもない灰色の様な意識が完全に黒へと偏る。
天秤の片方に重りを乗せて皿が傾く様に、ロイドの意識まで奪い体を乗っ取った。
言葉は届かない。
親しい人物でも躊躇いなく、戦う。
そう、グリモア猟兵であるロイドの体ではあるが、中で鴻鈞道人が操っているだけだ。
アナタが躊躇えば、アナタが窮地に追い込まれる。
知っている顔と同じだけの敵。
強敵と全力で戦え、手を抜けば勝てない。
渾沌の地にて、猟兵たちと鴻鈞道人に乗っ取られたグリモア猟兵であるロイドとの戦いが始まった。
既に転送されている猟兵たちは、武器を手にした――
龍真 神
オープニングに目を通して頂きありがとうございます。
ひよっこMSの龍真 神(タツマ シン)です。
よろしくお願いします。
勢いって怖いですね!
言葉も脅しも聞こえません。
だって、ロイドだけどロイドじゃない。
こういう展開は好物です!
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プレイングボーナス……グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する。
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★連携する場合は、相手のIDやチーム名の記載を忘れずにほぼ同時にプレイング送信して下さい。
※連携人数は最大でも2人が限度となりますのでご留意ください。
★プレイング受け付け数は完結の数に達したら。
第1章 ボス戦
『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』
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POW : 肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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エリー・マイヤー(サポート)
どうもエリーです。
手が必要そうなので、手を貸しに来ました。
【念動力】で解決できる事なら、お任せください。
遠くから押したり引いたり掴んだりとか、
持ち上げたり回したり投げたりできますよ。
包み込んで動きを封じたり、破裂させて攻撃したりもできます。
微弱な念動力をばら撒けば、ソナー代わりにも使えます。
後はスプーンを曲げに曲げて、コルク抜きにしたりとかですかね?
タネなし手品で子供を喜ばせるとか、朝飯前です。
子供は煙草の臭いで逃げる気もしますが…
まぁ、それはさておき、状況に応じて色々できますよ。
あ、運動は苦手なので、
殴り合いとか派手な運動は期待しないでくださいね。
たぶん息切れして倒れちゃいますよ。
リヴィア・ハルフェニア(サポート)
ミレナリィドールのシンフォニアであり精霊術士。
普段は「女性的(澄んだ・穏やか)私、~君、~さん、ね、わ、~よ、~の?」
敵には「男性寄り(凛とした)私、お前、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?」
※説得の出来る相手や場合によっては普段の口調で話す。
UCや技能はその時に使える物を選び使用。
他人への迷惑行為や公序良俗に反する事はしません。
【戦闘】
後方で攻撃とサポートどちらも。
でも仲間がいる場合はサポート優先。
【あとはおまかせ。連携ok】
●
「くっ!」
エリー・マイヤー(被造物・f29376)の細い体が宙に舞う。
アイアンメイデンなんて大きな処刑器具は目立つハズなのに、サファイアの様に青い瞳で姿を捉えられずに大きな衝撃と共に彼女の身はオモチャの人形の様に軽々と吹き飛ばされた。
それを見たリヴィア・ハルフェニア(歌紡ぎ精霊と心通わす人形姫・f09686)は駆け出した。
「動けますよ、ね?」
吹き飛ばされたエリーを受け止めると、リヴィアは傷を確かめながら声を掛けた。
「え、ええ……負傷にてないのに、この力があるとは思いませんでした」
小さな擦り傷はあるが、肋骨が何本折れたんだろう? と、考えながらエリーは立ち上がった。
「大丈夫?」
「何とか」
リヴィアが心配そうに見つめて来るが、エリーは面倒くさそうに息を吐いた。
見た目は線の細い成人男性のグリモア猟兵、中身は底知れぬ力を持つ敵だ。
「見た目の傷は酷くありませんが、その手の位置は……」
リヴィアの視線はエリーの腹部へ向けられた。
ユーベルコード『シンフォニック・キュア』を発動させ、リヴィアの優しい声色が響いた。
「ありがとうございます」
エリーの体から痛みが消えるのを感じつつ礼を言う。
「今から私の独壇場です」
ユーベルコード『念動フィールド(サイ・フィールド)』を使い、こちらへ向かって来るロイドを見据えた。
再び振り下ろされたアイアンメイデン、それをエリーは念動力で受け止めた。
「これは、本人の力じゃなく――」
渾沌氏『鴻鈞道人』のだ、と言いかけた瞬間にエリーの眼前に迫る赤い色。
「させないっ!!」
リヴィアが間に入り込むと、ロイドのアイアンメイデンの体が開く。
「そんな物騒なモノはこうです!」
エリーが念動力でアイアンメイデンを吹き飛ばした。
ゴン、と重たく、鈍い音を立てながらアイアンメイデンが地面に転がる。
「はぁはぁ……何ですか、アレ」
「酷いニオイ、沢山の者を食べ散らかしたとしか……」
アイアンメイデンからドロリ、と大量の血が地面を濡らすのを見てエリーは怪訝な表情に変わる。
リヴィアの周囲に飛んでいたルトが視界を覆う様に立つと、これ以上は見てはならないと言わんばかりに首を振った。
「でもっ!」
リヴィアが顔を上げようとした瞬間、ルトの小さな手が鼻先に触れた。
動いてはダメ、と呟く。
「いつの間に?」
エリーは手足が動かせない事に気付く、手足に絡むのはほのかに青色に光る鋼糸。
「……けほっ、けほっ」
リヴィアの首がキリキリと鋼糸が閉まる。
歌声が猟兵へ利をもたらすから潰そうとしてるのであろう、ルトが心配そうにリヴィアの周囲を飛ぶ。
エリーが念動力で解こうと苦戦していると、一緒に来ていた猟兵がこちらへ向かう音がした。
成功
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バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
了解でありますロイド殿!
お助けいたしマース!
……もう、鴻鈞道人に操られているのデスネ。
わかりマシタ! 遠慮なく全力で攻撃しマース!
なので、頑張って生き延びてくだサイネー!
どのような『渾沌の諸相』か、冷静に見切り回避!
避けるのが難しそうならば、ファルシオンで受け流し!
肉迫したところを、カウンターUCを決めマショー!
すなわち、ヴァリアブル・ウェポン展開! 攻撃力重視!
至近距離からグレネードランチャーやガトリングガンといった、内蔵式武装の数々をおみまいデース!
渾沌氏からの攻撃はファルシオンで防ぎ、内蔵武器でカウンター!
攻防両立させた戦闘プランにて、ロイド殿を倒しマスヨー!
レイカ・ヴァンスタイン(サポート)
フェアリーの聖者×プリンセス、9歳の女です。
戦闘は苦手で援護や救助、支援など中心です。
武器は人間大の人形(銃火器持)ですので、運搬作業も可能です。
普段は悪戯(許せる範囲)で遊ぶ※戦闘とは別です。
普段の口調は「マイペース(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」
苦しい時は「愛想笑い(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」です
幼いので殆どひらがなで喋ってます。
・ユーベルコードは必要に応じて、多少の怪我は厭わず積極的に行動(支援中心)します。
・他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。公序良俗に反する行動はしません。悪戯も笑って許される範囲までです。
・あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●手心なく
「了解でありますロイド殿! お助けいたしマース!
……もう、鴻鈞道人に操られているのデスネ」
明るく答えるものの翡翠の様な緑色の瞳を伏せながらバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、唇を噛みながら小さく呟いた。
「わかりマシタ! 遠慮なく全力で攻撃しマース!
なので、頑張って生き延びてくだサイネー!」
バルタンは顔を上げると、最近見慣れた蘇芳色の髪を靡かせる青年ロイドを見据えた。
「サポートはまかせてほしいの!」
くるくると宙を舞う小さなフェアリー、レイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)が笑顔で言った。
「掴まっててくだサイネー! 攻撃が来マース!」
「はいなの!」
バルタンの肩にレイカが乗って、ぎゅっと首にしがみついた瞬間――
「わっ!」
「見切れ、全部は無理デスネ……」
鋼糸が放たれた。
十字架を持っていた右腕が異形化してこそから放たれている様だ。
「だめ、きょりをとるの!」
目の前から無数の鋼糸が飛んで来るのをバルタンは必死に見切ろうとする、が。
レイカが声を上げた。
「どうてデスカ!?」
「にげられなくなるの! わな、なの!」
レイカはバルタンの髪を引っ張り、周囲を見る様に促す。
「でも、いいえここはワタシに任せるのデス!」
ユーベルコード『ヴァリアブル・ウェポン』によってバルタンに内蔵されている兵器が展開された。
「内蔵武器でカウンター!」
バルタンの内蔵式グレネードランチャーから回転弾倉式擲弾発射器で6発の弾が射出される。
「まだまだ戦えますの!」
レイカが声援を放つとユーベルコード『言霊之玉響(コトダマノタマユラ)』の効果により、バルタンを含めて他の猟兵が負った怪我を癒した。
グレネードの弾が鋼糸に当たり、爆発してプツンと切れてゆく。
「いつの間に……袋のネズミだったのデスネ」
「うん、こうしのうごきをみていたからわかるの」
キラリ、と地面に青く光る鋼糸を見てバルタンは呻いた。
肩に座っているレイカはこくりと頷き、ロイドの異形化した右腕から伸びる鋼糸へ視線を向ける。
「今がチャンスって事デスネ!」
バルタンが“内蔵式ガトリングガン”の銃口をロイドへ向けると、カラカラと複数の銃口が回転する音が響いた。
ダダダダ、と銃口から紫煙を上げながら無数の銃弾が射出される。
ふと、後ろの方で近づく存在にレイカが気付いて視線を向けた。
真の姿へ変わった他の猟兵の姿が前に、出た――
成功
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黒城・魅夜
手加減?戸惑い?ためらい?
……ふふ、愚かな
私こそは悪夢の滴、外道どもを殺し屠り滅ぼすもの
私の前に現れた時点であなたの末路は決まっています
オブリビオンであろうとなかろうと同じ事
ただの獲物でしかありません
「早業」「範囲攻撃」で鎖を全方位に撃ち出し「結界」と為し
同時に「衝撃波」を放って攻勢防壁を形成
触手と刃を防ぎましょう
無論ただ身を守るだけではありません
鎖と触手・刃がぶつかり合って生み出す火花による光と影は
私を「闇に紛れ」させ実態を隠すでしょう
翼による飛翔に対しては
空間に満たした「オーラ」に込めた「呪詛」でその行動を束縛します
そして翳に紛れた私は既に間合いに入っています
我が牙の鋭さ、その身で味わいなさい
因果と時空ごと消え失せるがいいでしょう、つまらぬ過去の怨念よ
だから言ったでしょう、ためらうわけなどないと
私は信じています、いえ、事実として知っているのです
自分自身の強さと……
そして、必ず帰ってきてくださるロイドさんの強さもです、ふふ
●宵闇は暁であっても暗い
幼さ残る少女の横顔は瞬きした瞬間に、黒いアゲハ蝶が蛹から羽化するかの様に大人の顔立ちへと変わる。
「……ふふ、愚かな」
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は朱色に染まった口元を吊り上げて妖艶な笑みを浮かべた。
手加減?
戸惑い?
ためらい?
そんな甘い言葉は魅夜の口からは紡がれない。
彼女の前に立つのは、よく知った人物に似た敵だ。
「私こそは悪夢の滴、外道どもを殺し屠り滅ぼすもの。
私の前に現れた時点であなたの末路は決まっています」
黒い翼を広げ、魅夜は迫りくる触手や白刃を黒曜石の様な黒い瞳に映す。
「ただの獲物でしかありません」
“呪いと絆”が重たくジャララと鎖が音を響かせながら、自身を中心に全方位へ放った。
炭の様な色をした触手を引き裂き、飛び散る黒い液体を振り払いながら白刃を撃ち落とす。
ガラスの様に割れた白刃は、光を帯びたまま宙に浮遊する。
白刃が数を増やす度に、光は徐々に強くなり鎖の下に深く純粋な闇が出来ていた。
鴻鈞道人が気付いた時には、魅夜は闇へと身を委ねてその場から消えた様にしか見えない。
「ならば、こちらは――」
罠が得意な体であれば、と鴻鈞道人は十字架から慣れた手付きで周囲に鋼糸を放つ。
限界が近いのであろうか、それともユーベルコードの代償で流血しているからか体の動きが鈍い気がした。
「……っ!? そうかッ」
そう、疑問は直ぐに分かった。
背中に生えた白い翼に黒いオーラが蛇の様に巻き付き、ソレ自体が呪詛で出来ているので徐々に純白を黒に近い紫へと染まってゆく。
「鴻鈞道人。我が牙の鋭さ、その身で味わいなさい」
影から伸ばされた白磁の様な腕は、素早くロイドを捉えると魅夜は首筋に向けて唇を寄せた。
「泣き叫べ因果、枯れ果てよ縁、消を超え滅を超え我が牙よ絶となれ」
ユーベルコード『虚無の海より撃ち抜き穿て絶の牙(タスク・オブ・カルマ・ザ・フェイトブレイカー)』によって、ロイドの体を乗っ取っていいる鴻鈞道人へと牙を立てた。
「……な、なん、だ……」
「因果と時空ごと消え失せるがいいでしょう、つまらぬ過去の怨念よ」
静かに影の上に倒れるロイドの上に現るは鴻鈞道人、元々白い体はゆっくりと消滅していく。
「……少し、強引です、ね……」
「私は信じています、いえ、事実として知っているのです。
自分自身の強さと……」
不満そうだが何処か明るいか細い声がした方へ魅夜は視線を向けた。
「そして、必ず帰ってきてくださるロイドさんの強さもです、ふふ」
魅夜が伸ばした手をロイドは弱々しく取ると、赤い羽根の様なグリモアが静かに光を帯びた。
「おかえりなさい。またあの場所で皆さんと待っています」
と、魅夜が言うのと同時にロイドは意識を手放した。
バルタンが素早くロイドを抱え、全てが終わった渾沌の地を後にした。
大成功
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