殲神封神大戦⑰〜シンカイノコドク
●カナシミヲオシエテ
「みんなー、任務ー。戦争だよー」
続く激戦の中でも、いつも通りのマイペースな口調でグウェンドリン・グレンジャー(Blue Heaven・f00712)が呼びかけた。手の上にはひらりと羽ばたくカラスアゲハのグリモアが。
「えっとねー、敵はねー、なんか強いやつ。なんだっけ、なんだっけな……こんとんし?」
東洋の文字に若干弱いグウェンドリン。渾沌氏『鴻鈞道人』の名前はイマイチ覚えられてないのだが、かいつまんで説明していく。
自分を骸の海と称する謎の敵。倒されたオブリビオンも、まだ倒されていないオブリビオンも自在に作り出しけしかけてくる恐るべき敵であると。
「だからねー、手加減無用で、戦って欲しい。ふぁいと。えいえいおー」
気の抜けたような応援と共に、グウェンドリンは封神武侠界へのゲートを開く。出撃する猟兵を見送って……それだけでは終わらなかった。
異変はその直後。
「あ、あれ、私は、みんな……を、転送、したら、とっておき、の、唐揚げで、おやつタイmうわー」
本来転送されないグウェンドリンまで、引っ張られるように転送され……消えた。
●キエウセタカコカラ
転送されたのは何もない、虚無の世界。
白いような黒いような、何もない混沌の戦場へと赴いた猟兵は、そこにいるはずのない人物がいるのを目にした。
身を包むは虚数物質の鴉羽、さっきよりも伸びた身長と髪。大鴉の脚と、鋭い鉤爪を生やした指。虹色に輝く瞳。
「ごめん、知らない、おっさん……に、乗っ取られた……だめ、だ、意識、も」
無表情のまま、真の姿へと変貌したグウェンドリンが呟く。
そして、次の瞬間。
『罪深き刃を刻まれし者達よ』
グウェンドリンの身体で、グウェンドリンの声で、しかし彼女が喋れる筈もない流暢さで誰かが喋る。
『相争い、私の左目に炎の破滅を見せてくれ』
勘の良い猟兵は気づいた。この場にいる筈の敵、渾沌氏『鴻鈞道人』はグウェンドリン・グレンジャーと融合している、と。
烏丸くろえ
皆様、お久しぶりです。烏丸くろえです。
今回は敵オブリビオンに乗っ取られたグウェンドリンが相手となります。
=============================
プレイングボーナス……グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する。
=============================
グウェンドリンの先制攻撃ですが、基本的にPOW
>>>>>WIZ>SPDのステ値なので大体POWの力押し(彼女の場合、魔術系ユーベルコードもPOWは異能パワーに頼った力押しです)で来ると思ってOKです。
たまにWIZが来ます。SPDはほぼないです。
鴻鈞道人は強敵であり、仮に猟兵達がそのグリモア猟兵と何らかの「心のつながり」があったとしても、一切有利には働きません。手加減したら倒せません。
全力でぶっ飛ばして、戦闘後に生きていてくれる事を祈るのみです。
まあグウェンドリン自身は結構しぶといんで大丈夫だと思います。多分……。
残念ながら現時点で鴻鈞道人を完全に滅ぼす方法は無いようですが、ひとまずこのシナリオで倒せば完全にぶちのめす一助になります。
対戦よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』
|
POW : 肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
アルトリウス・セレスタイト
己の形程度は定まってから出直すが良い
状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う原理を無限に廻し、害ある全てを瞬時に無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給
顕現にて討つ
グウェンドリン含む味方へ創造、オブリビオン及びその全行動に破壊の原理を行使
『刻真』にて高速詠唱を無限加速し会敵即起動
『解放』により全力の魔力を供給し干渉力を最大化
捉えた瞬間討滅を図る
「渾沌」に納まる程度のもの、恐るにまるで値せん
速やかに退場しろ
※アドリブ歓迎
●
色の無い美丈夫が、ただ一つ鮮やかな藍色の瞳で目の前の敵を見据える。
「己の形程度は定まってから出直すが良い」
そう呟くのはアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)
歴戦の猟兵である。
纏う青き光は彼の目となり耳となり、目の前の異形の女……いや、女の身体に巣食った『彼』の様子を窺う。
眼前の人物とは一度二度、任務ですれ違った覚えがないでもない。その時の記憶では言葉はかなり途切れ途切れだった筈だ。あのように流暢に話す筈がない。
「この身体の力、使わせて貰う」
相対する女の口から出てきたのは紛れもなく男の声。それと同時に、女の脚がぐわりと歪む。
異形の力の代償として捧げられた脚はそれそのまま渾沌の諸相となり、女本人が得意としていた攻撃……高度からの飛び蹴りとなってアルトリウスへ襲いかかる!
月白の煌めきは盾となり、渾沌と化した蹴爪と衝突しガリガリと音を立てて抉れゆく。
纏う原理を守りに回すが、乗っ取られたグウェンドリン自身の馬鹿力もあり少しでも気を抜けばアルトリウスが踏み潰されかねない。
が、彼は一瞬の隙を突いて逆転の一手を打つ。
音もなく加速し廻る詠唱が魔力を増幅し、最適の解を編み、織りなす。
「成れ」
凛とした一言が響くと共に、万象を終わらせる破壊の原理が女の身体ごとオブリビオンを貫いた。
「渾沌に納まる程度のもの、恐るにまるで値せん……速やかに退場しろ」
大成功
🔵🔵🔵
ジュリア・ホワイト
誰かのピンチと聞いて!
通りすがりのスーパーヒーロー、オーヴァードライブ参上!
「すぐに助けてみせるから、待っていてくれたまえ!」
む?鴻鈞道人の先制UCに彼女自身の先制攻撃まで来るのか……
道人のものは相手に血を流させない戦術で対処できる
彼女の方は……手持ち武器を使って相殺を狙おうか
放水銃だけ守ってロケランや動輪剣は使い捨てて良い
多少の手傷なら道人のUCに有利になるし
「そしてもちろん忘れては居ないさ、これは救助活動!」
こっちのUCを発動して道人への攻撃力UPとグウェンドリンさんの保護を同時に得る
あとは出血の起こり得ない放水銃の打撃で制圧するだけさ!
「傷つけない戦いは、ヒーローの十八番なんだよ!」
楠葉・狐徹
●POW
「悪りぃな。あんたの事はよく知らねぇ。だから…教えてもらおうか。俺の剣にな!」
まずは正面から肉を喰らい貫く渾沌の諸相が来ると予想し、真正面に回る。攻撃が来たら浄玻璃刀を抜き【ジャストガード】と【カウンター】を組み合わせ、【忍び足】の姿勢で後ろに体重を残したまま刀を使って攻撃の軌道を変えて受け流す事を試みる
「柔よく剛を制すって言葉、知ってるか?」
成功したら【グラップル】で異形化していない部分を掴み、そのまま【怪力】で突き飛ばし、最後に散桜斬りを決める
「力任せだけで勝てる勝負はガキの喧嘩だけだぜ。」
上記の戦術が失敗した場合は刀の他にも手持ちの武器を使って守りを固める
※アドリブ&連携OK
●
ぐらりとよろけるグウェンドリンの身体。しかし、鴻鈞道人はこの身体の主がどんな能力を把握していた。
脚は代償にしてしまった、今は使えない。だが――
腰から伸びる翼を羽搏かせれば、大地を踏みしめずとも身体は起き上がる。
「すぐに助けてみせるから、待っていてくれたまえ!」
「悪りぃな。あんたの事はよく知らねぇ。だから…教えてもらおうか。俺の剣にな!」
白一閃、銀灰の影。
鴻鈞道人が操るグウェンドリンと相対すのは通りすがりのスーパーヒーロー『オーヴァードライブ』ことジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)と、妖狐の剣客である楠葉・狐徹(表裏一体の刃・f17109)
「カタナ持ってるそこの君! 即席だけどタッグだ!」
「おうよ、いいぜ!」
目の前のグリモア猟兵らしき何かは、先刻の猟兵との戦闘でがっつりと重い一撃を喰らっている。
その流血に汚れた手を見て、女の顔がニィと嗤う――言動がどんなに嬉しそうでも、決して笑わない人物なのだが。
それと同時に、彼女が纏う邪悪な空気がズンッと重くなる。
瞬間、グウェンドリンの右手がぐんにゃりと歪んで見えたと同時に、彼女とは別の『女の姿をした何か』が虚空より出現する。
グウェンドリン自身のユーベルコードが、乗っ取られた形で悪用されているのだ。
本来なら聖女の姿をとり召喚されるそれは、鴻鈞道人に乗っ取られている影響か輪郭は歪み、ピンボケしたシルエットが辛うじて見えるのみ。
「まずい! 来るよ、守りを固めてッ!」
ジュリアが叫ぶ。
それと同時に放たれた炎は、本来のグウェンドリンでは出し得ない威力で二人に襲い掛かる!
色の無い、渾沌の火へと歪んだそれを、ジュリアはロケットランチャーの火力をぶつけて相殺する。
彼女自身が炎に強いのも功を奏した。
盾も何も持たぬ狐徹だが、彼は真正面から炎に立ち向かう。否。
「柔よく剛を制すって言葉、知ってるか?」
炎が彼を襲うその瞬間。清水を固めたかのような刃がするりと炎を曲げた。単なる力比べで勝敗を決するのは子供の喧嘩だけ。
戦いに生きる者としては、力の使い方を知ってこそ一人前。
異形の火を受け流すその刃――真澄の鏡が如き刀身に映ったのは、目の前の女と似ても似つかぬ異形凶相の男。
「あんたか!」
炎を受け流し作った道を一気に踏み込み、ドンッと突き飛ばす狐徹。グラリと揺らぎガラ空きになった胴体へ、浄玻璃の刃の斬撃が吸い込まれる!
激しい流血で一瞬勢いを増す炎。しかし、それを打ち砕く一閃が放たれる!
「グウェンドリンさんから! 出ていけー!」
悪に特攻を取る概念と、非殺傷モードへ設定された超強力な放水銃のウォータービーム。
渾沌の火を打ち消された上に、水圧に吹き飛ばされ大きく吹っ飛んだグウェンドリンの身体。
だが、狐徹の一撃以外に傷は増えていない。
ユーベルコードで召喚した人型も放水銃に貫かれ、それと同時に炎も消えている。
「傷つけない戦いは、ヒーローの十八番なんだよ!」
ちらりと即席のタッグ相手を一瞥したジュリア。そういえば自分は激しく傷つけたな、と一瞬目が泳ぐ狐徹。剣客かつダークヒーロー故致し方ない……かもしれなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
叢雲・源次
おやつタイムに突入することなく転送された上に知らないおっさんに乗っ取られた弟子に何とも言えない表情をしつつ
乗っ取られてしまったのならば救い出さなければなるまい。
「…是非もあるまい。」
本当に是非もなかった。
彼女の特性は理解している。
正面からの力押しでは五分…いや、少し此方が劣るか。
なれば性能の差は技で凌駕する。
身を低く構え、三十式特殊戦靴、起動。神速の踏み込みから先手を取らんと二振りの刀を抜刀。
先制攻撃にて執行【七閃絶刀】
翼、触手、刃。その全てを斬らんとす。
「少々手荒だが…返して貰うぞ。貴様には過ぎたるものだ。」
ダメ押しの二連(二回攻撃)
少々やりすぎたか…いや、この程度で死ぬような奴ではあるまい
天瀬・紅紀
グウェンちゃん…!?
ったく、只でさえUDC入ってる所に更に変なの入るとか混ぜるな危険にも程がある
でも知人相手にガチれるってそう無いし
本気、出さなきゃね
(戦闘狂の笑み零し
俺は彼女と正反対にSPD特化
食らったら超ヤバいけど、柔は剛を制すって言うだろ
彼女の黒と渾沌の白、モノクロの翼に触手に刃達は、全て炎纏った刀で向こうの力を利用し逸らす様に受け流し、切り払い飛ばす!
こちとら速さと手数と技術のごり押しが得意でね
UC発動
全力速度から吶喊
炙り焼きにして中身追い出してやる
炎の斬撃を一閃でも届けさせれば僥倖
それさえ適えば後は重い一撃食らうのも構わない
炎がそんなに見たいなら見せてやんよ
破滅するのは貴様だけどな!
●
「グウェンちゃん
……!?」
目の前の女を見つめる猟兵二人。
女の脚と右手は渾沌に呑まれ靄がかかったように曖昧だ。常に一文字かへの字を描いていた口の端は微かに吊り上がっている。
相対する猟兵は身体の持ち主にとって師にあたる叢雲・源次(DEAD SET・f14403)と、親しみ深き戦友である天瀬・紅紀(蠍火・f24482)
弟子の姿をした弟子と言い切れない何かを目にして、源次に浮かぶのはなんとも言えない表情である。
本来なら彼らを送り出した後はとっておきの唐揚げでおやつタイム……の、筈だった。
無理矢理転送された挙句に体は「知らないおっさん」に乗っ取られ、手にしていた唐揚げは渾沌のどこかへ消えた。
「ったく、只でさえUDC入ってる所に更に変なの入るとか」
紅紀が呟く。混ぜるな危険にも程があるマリアージュ。
でも、と彼は続けて。
「知人相手にガチれるなんてそうそう無いし。本気、出さなきゃね」
赤い星色の瞳に浮かぶのは獰猛な笑み。
「……是非もあるまい」
オブリビオンに乗っ取られたなら救い出さねばなるまい、と、源次は左目のアナライザーを起動する。
『その様子、この娘の知己か』
グウェンドリンの口から、彼女では発し得ない男の低い声が響く。それと同時にベキ、ビシ、と皮膚の破ける音。肉を破り現れたのは渾沌の諸相。
黒鴉の子に似合わぬ白い翼、悍しくのたうつ触手。身体からやたらめったらと生えた殺戮の刃。みるみる蒼白く変わる顔にくっきりと現れる隈と、口から溢れるどす黒い血は毒か、呪詛か。
白い羽根が弾丸のように降り注ぎ、触手は不規則な動きと共に二人を刺し貫かんと襲いかかる。
「お前……炙り焼きにして中身追い出してやるよ!」
暴れる触手が力一杯に紅紀の胴体を薙ぐ。体勢を崩しそうになるも踏みとどまった彼の裡から揺らめき出るのは、蠍火色の炎。その赤は真空の刃を纏って触手を切り飛ばす!
手数と技術のゴリ押しは得意でね、と三日月を描いた唇で呟く。
「仕掛け時か……勝負だ」
低い構えからの踏み込み。
単なる力比べなら馬鹿力の弟子が少しばかり上回る。なれば、技で凌駕するのが最適解か。
七閃絶刀――瞬きすら許さぬ疾さの踏み込み。
「少々手荒だが返して貰うぞ……貴様には過ぎたるものだ」
源次が放つ二刀の斬撃は異形の翼と触手を両断し、更に追撃で刃を叩き切る!
命を燃やす炎を纏い加速した紅紀がすかさず飛び込み、グウェンドリンに触れる。
「炎がそんなに見たいなら見せてやんよ! 破滅するのは貴様だけどな!」
『私を燃やすのか? さすればこの身体が消し炭になるだけだ』
しかし、紅紀が放つのは触れたものを燃やし、味方を燃やさぬ異能の火。めらめらと燃え盛るグウェンドリンだが、その身体が焼け爛れる気配はない。
『何? 娘は焼かれぬのに私が……私だけが燃えてゆく……』
一際大きく燃え上がる真紅の炎。
火柱は渾沌の空間を穿つか、と思った矢先にあっけなく消える。巣食った鴻鈞道人が燃やし尽くされた、ということか。
ぷつっと糸が切れたように倒れ伏すグウェンドリン。見たところとりあえず息はあるようだ。
「少々やりすぎたか……いや、この程度で死ぬような奴ではあるまい」
身体に埋め込まれた邪神由来だが、彼女の再生力は折り紙付きだ。暫くすれば目を覚ますだろう。
師が弟子を肩に担ぐ。
三人の猟兵は、渾沌の空間を後にする。
グウェンドリンが目を覚ますのはその半日後のことだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵