殲神封神大戦⑰〜歓喜を討て、迷わずに
●回想、グリモアベース
渾沌氏『鴻鈞道人』。
仙界の最深部に位置する、形定まらぬ『渾沌の地』に待ち構える、謎多き敵。
自らを『骸の海』であると称する、左目のみの顔を持つかの者の力は途方も無い。
殲神封神大戦に関わるオブリビオンを「再孵化」という能力で、容易く作り出すという。
鴻鈞道人自身も「再孵化」に頼らずとも、「渾沌の諸相」という詳細不明かつ強大な能力を操る上、現時点で完全に滅ぼす手段もない……あまりにも異質な存在だ。
一度戦場へと向かえば、何が待ち受けているかはわからない……まさに混沌。
だから、何が来ても対処できるように準備は万全にな……と、グリモア猟兵は警戒を促す。
完全に滅ぼすことは出来ずとも戦場で殺し続ければ、例え謎の敵でも撤退するだろう。
だからだろうか、グリモア猟兵は力強く言った。
「何が出ても、迷わず殺すのだぞ」
●渾沌の地
そうして猟兵達は、渾沌の地で再び彼と出会う。
今回の予知を担当したグリモア猟兵、ロアー・アレグリアス(雷刃名轟・f02956)。
真の姿を晒し、両の手に稲妻迸る宝剣を握り締めた彼は、誰かが問う前に名乗りを上げる。
「私は渾沌氏……すなわち【骸の海】である」
ロアーの声で、ロアーとは異なる名を述べる。
虚ろな左目は、グリモアが写し出していた鴻鈞道人の左目と同じ輝きを放っている。
身体の至るところから白き殺戮の刃が飛び出した時、猟兵達は否応なく理解させられる。
渾沌氏『鴻鈞道人』は、グリモア猟兵の肉体を乗っ取っているのだ、と。
鴻鈞道人は強敵だ。
仮に猟兵達がロアーとの何らかの「心のつながり」があったとしても、一切有利に働くことはない……ただひたすらに、鴻鈞道人が力尽きて融合を解除するまで戦う他はない。
「罪深き刃を刻まれし者達よ、相争い、私の左目に炎の破滅を見せてくれ」
鴻鈞道人はロアーの身体を操って構えを取る……どうにかして肉体の主を救いたくとも、手加減など決して許されない相手だ。
出来ることは限られている、せめて戦闘後に彼が生きていてくれることを祈るしかない。
ーーあぁ、だから彼はこう言ったのかもしれない。
『何が出ても、迷わず殺すのだぞ』、と。
退路は、既に断たれている。
四季臣
このシナリオは「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、『殲神封神大戦』の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオになります。
七十三度目まして、四季臣です。
この度はここまでOPを閲覧して頂き、ありがとうございます。
グリモア猟兵が事故るシリーズは人気があると聞きました、主にMSの間でです。
乗るしかない、このビッグウェーブに……乗り遅れた気がしますけども。
第1章は、ボス戦『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』です。
敵はグリモア猟兵『ロアー・アレグリアス』の中に潜り込み融合してしまった渾沌氏『鴻鈞道人』です。
敵ユーベルコードは必ず先制攻撃です、その上でグリモア猟兵の雷宝剣二刀流による近接攻撃が加わります。
グリモア猟兵固有のユーベルコードは使用しないため、彼のステータスシートを見に行く必要はありません。
プレイングボーナスは、【グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する】ことで発生します。
OPでもちらっと書きましたが、ロアーと何らかのつながりがあったとしても、それによるボーナスは発生しませんのでご注意下さい。
それでは、四季臣より戦争シナリオ三本目です。
よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』
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POW : 肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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荒珠・檬果
ロアーさんを乗っ取るとは許すまじ鴻鈞道人(ワンブレス)
恐らく、自傷も厭わずなタイプでしょうから…三倍は覚悟しなければ。
赤兎馬に騎乗、竜脈を使った高速多重詠唱で透明な土属性結界を何重にも配置。その上で、赤兎馬の機動力で避けます!
赤兎『むう…』
鴻鈞道人、あなたのリクエストに答えるわけではないですが。
七色竜珠を白日珠[長剣形態]へと合成変化。そして、ロアーさんin鴻鈞道人へ向けてUC発動ですよ。
鴻鈞道人、あなたは今、ロアーさんに融合している。つまりは耳があり、音が聞こえる。
この状態で火矢を避けるのはとにかく、攻撃できますか?少しでも隙間あれば、聞こえますよ?
私は…遠慮なく攻撃しますが。
もっふり返せ。
バロン・ゴウト
ロアー団長!何てことなのにゃ。
【医術】も覚え直してきたし、【薬品調合】で怪我に効くポーションも準備してきたのにゃ。
後はロアー団長の頑丈さを信じて戦うのにゃ。
今鴻鈞道人から解放するからちょっと待っててにゃ!
ボクの装備、『黄金獅子の盾』を構えて敵の先制攻撃に備えるのにゃ。
身体の前面に【オーラ防御】を張り、【怪力】を絞り出して全力で【盾受け】するのにゃ!
攻撃を受けきったら【トリニティ・エンハンス】の風の魔力で反撃なのにゃ。
風の魔力で大きく【吹き飛ばし】て攻撃にゃ!
絡み、アドリブ大歓迎にゃ。
ルドラ・ヴォルテクス
アドリブ&連携OK
【ルドラ・ゴースト】
骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな。
血の強化か……その形で悪辣な手を取るのだな。
限界突破、チャンドラーエクリプス、防楯形態。タービュランス、暴風障壁展開。
【反撃】
UCアーディシェーシャ、今という円環に封じろ。
ロアーの身を簒奪した傲慢な過去の輩、全てがお前の思うがままになると思うな。
タービュランス&エレクトロキュートの双剣を振るい、魔法剣をリミッター解除の一撃で弾き、気絶攻撃を覚悟と共に、混沌の形状を破壊する一撃として仕留める。
手応えがない。
だが、次は殺す。
……亡霊を殺すのは亡霊ではない。
オメガ・カストゥール
グリモア猟兵を取り込むとは、恐るべき敵が出たとしか言いようがないな。
こうなれば、猟兵の力を頼りにするしか無いということか。
ならば、やってやろうじゃないか!
相手はケットシー、逆に「通常状態」で戦うと見落としてしまうから、今回は身長は3mに抑えて竜化するとしよう。
近接攻撃で襲いかかるってことなら、【空中戦】で空に飛ぶ事にしよう。
この強大な敵を相手にするなら、強力な炎を食らわすしか無いな。
詠唱時間は長くし、更に強力な「無色透明の炎」に転換して焼き尽くすしか無かろう。
【ブレス攻撃】、炎の【属性攻撃】でUC「ハイペリオン・ホワイトファイアーブレス」でグリモア猟兵を焼く。
…本当にいいんだな?
テン・オクトー
そんな!ロアーさんが!?
何が出ても迷わずに、、、か。ボクやるよ!まず勝たないとなんだね。勝ってからロアーさんの救出、、したい!
WIS
激痛耐性、見切り、オーラ防御、盾受け、手持ちの技能ありったけ使い攻撃を受けるよ。
そしてUCで反撃!羽持ちの敵にボクの竜巻が効くといいのだけど。
もし敵の攻撃が出血で強くなっていたら、先制攻撃はとられるかもだけどボクも負けないよ。多少攻撃遅れるにしてもUCを放つよ。竜巻で敵の攻撃を出来るだけ軽減し反撃するね。
連携アドリブ歓迎。
●その醜い醜い姿は
「ロアー団長! 何てことなのにゃ!」
「そんな! ロアーさんが!?」
悲鳴にも似た声が二つ上がるのに対し、“それ”は稲妻纏う剣戟で応える。
溌剌とした笑い声も、見栄を張るようような動作もなく……二振りの宝剣アレグリアスは、バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)とテン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)、同郷の者へと振り抜かれていた。
肉体にかかる負荷に構わず放たれた一撃の威力は凄まじく、咄嗟に盾を構えてなんとか刃を凌いだ二人だったが、少しでも気を抜けば盾ごと斬り伏せてしまうだろう。
無論、気を抜く暇など有りはしない……前方にオーラ防御を張り巡らせた二人のケットシーは力を合わせて、鴻鈞道人の先制攻撃を無理やり押し返し、距離を取るべく後退する。
しかしその途中でバロンはバランスを崩して尻餅をついてしまう、宝剣に迸った電流が子猫騎士の身体の自由を奪っていた。
片や押し返されただけの鴻鈞道人は、宝剣を握ったままの右手を異形化させる……宝剣を呑み込んで姿を現した『渾沌の諸相』、それは動けなくなったバロンを叩き潰すべくして振り上げられた。
「にゃ……ッ」
「バロンさん!?」
激痛耐性で痛みを抑えていたテンが咄嗟に手を伸ばすも、バロンへはあと一歩届かない。
無慈悲に振り落とされる『渾沌の諸相』に息を呑むーー濃厚な死の気配が迫る。
「骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな」
倒れたバロンの前に立ち塞がったのは、ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)だ。
荒廃が進む終末の世界において、数多の禍風を葬った『滅びの未来を破壊する剣』は今、電脳領域より再誕し、自らを死の気配へと導いた渾沌と対峙する。
最初から限界突破させた羅睺の刃チャンドラーエクリプスを防楯形態で機動させ、渾沌の諸相を籠められた一撃を真っ向から受け止める……轟音と共に、兵器が軋む。
「体勢を整えろ、長くは持たない」
「バロンさーん! 大丈夫ですかー!?」
剣と渾沌が睨み合う最中、テンの手を借りて起こされたバロンに迫る声と蹄の音。
赤兎馬に乗って渾沌の地を駆る荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、馬上で機動力を保ちながら竜脈を活用しての高速多重詠唱を行い、透明な土属性結界を何重にも重ね掛けていく。
雷撃の威力を軽減する効果のある結界を辺り一面に張り巡らせることで、地の利を得ようとする檬果の計略……この属性効果によってバロンの身体の痺れは少し収まった。
それと同時に、鴻鈞道人の操る『渾沌の諸相』や雷宝剣に纏わせた電流が弱まっていく……グリモア猟兵の属性と相性の悪い力を操る檬果に鴻鈞道人は目を向ける。
猛将の愛馬としても知られる赤兎馬の足には容易く追い付けまい……それでも、バロンとテンを回収しつつ結界を広げる檬果を追おうとしたなら、ルドラの防楯が行く手を阻んだ。
「タービュランス、暴風障壁展開」
次いで取り出された風の機構剣によって吹き荒れる嵐が、加えて空中からは巨大な翼の羽ばたきによる追い風が、グリモア猟兵の小柄な身体を押し返した。
バロンやテンのみならず、ルドラと……身長3m程の大きさで現れたドラゴンロード、オメガ・カストゥール(火焔竜にして、竜神王・f34605)からも風圧で押し切られ、ついに鴻鈞道人は体勢を崩す。
こうして敵の先手を凌ぎきった猟兵達だが……ここからが本番だ、強大な敵である鴻鈞道人を殺す程の猛攻を仕掛けなければならない。
ただ、右腕を『渾沌の諸相』……電流纏う白くおぞましい肉塊に裂かせ、弾け出た血を浴びて嗤うその姿は……いくら歪んでしまっていても、猟兵『ロアー・アレグリアス』に違いない。
「血の強化か……その姿で悪辣な手を取るのだな」
「まさかグリモア猟兵を取り込むとは……恐るべき敵が出たとした言いようがないな」
流れた血によって強化を謀る様、そして仲間である猟兵の身体を乗っ取る所業にルドラとオメガは、再び繰り出されるであろう苛烈な攻撃に備え警戒を強める。
「ああ、やっぱり自傷も厭わずなタイプでしたか……ロアーさんを乗っ取るとは許すまじ鴻鈞道人」
粗雑な扱いを受けるグリモア猟兵の身を案じる檬果は、その感情全部を鴻鈞道人への怒りへと転換させつつ、七色竜珠と白日珠を合成変化させた長剣を握り締める。
「何が出ても迷わずに……か。 ボク、やるよ!」
「そうにゃ……今は、ロアー団長の頑丈さを信じて戦うのにゃ!」
迷わず殺せと彼は言った、それほどまでに恐ろしい敵であるとテンもバロンも身をもって知らしめられた。
だからまずは、ただただ勝たなければならない……祈りは心の隅に追いやって。
●この世を滅ぼす愛で
「相争え、そして私の左目にカタストロフを見せてくれ」
血染めの強化を終えた鴻鈞道人の矛先は、土属性結界の発生源である檬果に向けられた。
俊敏さと攻撃力が増した渾沌の異形は、張り巡らされた土属性結界を突き破りながら檬果へと猛進する。
その一方で唸る赤兎馬を急かして走らせる檬果は、その身に美律将『周瑜』を憑依させて、切っ先を迫る鴻鈞道人へと向けた。
「さあ、いきましょう……『炎よ、美しき旋律を奏でよ』!」
音を聞き、即座にその乱れを指摘できるという呉の名将、周瑜の号令で天より火矢の雨が降り注ぎ、調った笛の音が響き渡る。
地に落ちた火矢の炎は瞬く間に燃え広がる……舟の帆ほどに立ち上った炎の壁が鴻鈞道人を囲う中で、笛の音色が……不慣れな感覚が着実に鴻鈞道人の身を捉えた。
「ぐ……、耳が……」
「鴻鈞道人、あなたは今、ロアーさんに融合している。 つまりは耳があり、音が聞こえる」
本来、顔に左目しか持たぬ鴻鈞道人であったが……今の融合先はケットシーだ。
微かな物音も拾い上げる聴力を持ち、塞ぐには大きすぎる猫の耳を持ちながら、音による攻撃を防ぐのは不可能……だと思われた。
「この状態で火矢を避けるのはともかく、攻撃できますか? 少しでも隙間あれば、聞こえますよ?」
「ーーならば塞げばいいのだろう」
だがそのケットシーと融合しているのは『渾沌の諸相』たる鴻鈞道人だ。
猫の頭が内側より歪に蠢いたと思った矢先、耳穴を塞ぐように触手が飛び出したのだ。
「ヒッ」
異形度合いが増した上、炎を破りながら迫るグリモア猟兵の姿に、檬果がひきつった声を上げる。
「グルルルルルルルルルルルァアアアアアアアアアオオオオオオオオオォァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァォオオオオオオ!!」
そんな悲鳴や笛の音すらかき消すほどの咆哮が轟いた時、降り注ぐ火矢の上から更なる炎がばらまかれた。
ドラコンロードたるオメガの巨口より放たれた、ハイペリオン・ホワイトファイアーブレスは、本来であれば白く輝く高圧縮の炎の息吹である。
しかし……強大な相手ならば更に強力な炎を食らわすしかないと思い立った竜の王は、詠唱を長くして更に強力な無色透明の炎に転換して、鴻鈞道人を地表もろとも焼き尽くすに至った。
定命の者であれば魂すら吹き消してしまうのではとさえ思える火力だ……オメガ自身が『本当にいいんだな?』と自問する程のファイアブレスは、鴻鈞道人さえ回避に徹する。
借り物の肉体とて、塵も残さぬほどに焼かれては堪らないと言ったところだろうか。
そんな魂すら浄化せんと迫る透明な炎を後押しするように竜巻を巻き上げるのは、生命の埒外である猟兵の耐久度を信じたバロンとテン、二人のケットシーだ。
「トリニティ・エンハンスの風の型よ、我に力を示せ! ……なのにゃ!」
「ご先祖様力をお借りします……竜巻よ、吹き荒れろー!」
テンのサモニング・ガイストによって召喚された、テンと瓜二つの姿をした古代の魔導師が唱えた竜巻の魔法……それにバロンがトリニティ・エンハンスの風の型を加えて勢い増した竜巻は、檬果とオメガの炎の熱を取り込んだ。
猟兵達の力がいくつも重なり生み出された熱風の竜巻に呑まれた鴻鈞道人は、熱から身を守るべくして身体中を異形化……『渾沌の諸相』で覆い尽くす。
あまりの猛攻に、鴻鈞道人がそうせざるを得ない状況こそを、ルドラは待ち構えていた。
滅びを破壊する剣が『殺す』と定めた相手は、白の絶対防御壁として姿を現した『渾沌の諸相』そのものだ。
「今という円環に封じろ」
繰り出されたユーベルコードは、無終の円環アーディシェーシャ。
見えざる波紋、時間停止コード・アナンタによって捕縛された『渾沌の諸相』は。
「ロアーの身を簒奪した傲慢な過去の輩、全てがお前の思うがままになると思うな」
風の機構剣タービュランスに加え、破壊的な雷撃を放つ機構剣エレクトロキュート……二振りのリミッター解除された双剣の一撃によって切り裂かれた。
ルドラの一撃によって白の防壁は崩され、『渾沌の諸相』の力の一部を封じることは出来た。
だがこの一撃を以てしても、鴻鈞道人の撃破には至らない……ルドラ自身も手応えの無さを感じていた。
「成る程。 確かに凄まじい力だったが……私の望む破滅には至らないようだ」
一時的に異形化が解けた姿で、鴻鈞道人は息を整えた後、再び雷宝剣を構える。
渾沌を殺すにはまだ足りないが、左目の虚ろな輝きには陰りが見えていた。
成功
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アガト・シレスティアル
二刀流による近接攻撃をシャーくんで武器受け
雷宝剣の電流は我慢しながらも電脳ゴーグルによる武器改造で電気耐性と飛行・自立行動機能シャーくんへ付加
渾沌の諸相を籠めた一撃はシャーくんカーを実体化して盾にする
「分かったにゃ。団長……殺すにゃ」
夢見ていた空への想いを発動
晴れわたった青空を切り裂く稲妻を
鴻鈞道人を、骸の海を殺し、
ロアー団長は絶対に傷つけずに透過する剣を想像して
空想剣:青天の霹靂を三本創造、一本はシャーくんに咥えさせて、渾沌の諸相を籠めた一撃の武器受けを任せて、
自分は真の姿とへと変わり、団長を助ける為の無敵の剣二本で攻撃する
「団長を人質に取る卑怯な輩はぶち殺す……
それと団長は後でシャーくんにかぷかぷされる刑にゃ!」
剣戟しながら空想剣を武器改造
雷宝剣から流れてくる電流を貯めて、増幅して放つ機能を付加
ロア―団長を絶対に助けるという決意を空想剣に込めながら
助ける為に、貯めた電流を鴻鈞道人の虚ろな左目にぶち込む!
「一人だけのお前に、団長と自分達は負けないのにゃ!!」
アドリブ歓迎にゃ
クーナ・セラフィン
憑依してくるとは…何ともやり辛いね。
けどここで負ければそれこそロアーさんがどうなるか分からない。
お互い手加減なし、不安はあるけど…共に帰る為にまずは倒させて貰う。
距離を取りつつ遠距離から仕掛ける。
手数はともかく至近距離から雷は避け辛い。翔剣士の身軽さで跳ね駆け剣の間合いから逃れつつ触手や刃を見切り回避。
翼で一気に距離詰められそうなら逆に突っ込みすれ違いざまにカウンターの槍を見舞ってやろう。
先制攻撃凌いだら相手の白い左目を見て行動を予測、オーラを纏いガードしつつ剣戟と雷をすり抜け剣を弾きつつ突撃槍でキツイ一撃を喰らわせる。
撃破後は手当を。待ってる人がいるんだから帰らないと。
※アドリブ絡み等お任せ
●この身が壊れど歌う
力の一部が封じられようとも、鴻鈞道人の猛攻は止むことはない。
幾人もの猟兵が傷を負いながら戦闘を継続する最中、遠距離戦闘に徹していたクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)が新たな標的となった。
これまで翔剣士の身のこなしで軽快に立ち回り、異形の触手や刃といった攻撃範囲から逃れていたクーナへ、鴻鈞道人はグリモア猟兵の背中に天使の翼を生やしての突撃を仕掛ける。
いずれは来るだろう、そう予期していたクーナはそれならばと銀槍を構えて地を蹴り、敵の突撃に合わせて正面から突っ込んだ。
目鼻の先といった距離から放たれた雷を回避するなど困難だ、すれ違いざまに反撃の槍を繰り出したクーナの身体に高電圧が迸る。
対して鴻鈞道人もクーナの銀槍を右肩に受けた、真っ向から互いに衝突し合った勢いは凄まじく……鴻鈞道人は飛行体勢を崩して地へと落ちていく。
とはいえクーナも無事とはいかない、雷に打たれた状態で地に投げ出され、どうにか着地は出来たものの……土属性結界が展開されていなければ立ち上がることが出来たかどうか。
「やはり……何ともやり辛いね」
能力も高く、自壊しながらの猛攻を仕掛ける鴻鈞道人を相手取ること自体が難しい上、その身体は同志たるグリモア猟兵のものだ。
けれどここで負ければ、それこそグリモア猟兵の身がどうなってしまうかは分からない。
不安はあるが、共に帰る為の糸口を手繰り寄せる為にはまず倒さねばならないのだ。
アガト・シレスティアル(夕焼けと青空・f03547)もまた、前線に立ち続けた上で鴻鈞道人の攻撃を凌いでいた。
雷宝剣の斬撃は相棒の機械鮫であるシャーくんで受け止めて、流れる電流に耐えながら電気耐性をシャーくんに施していく。
相棒はアガトの意志に応えるべく電撃を受け止め、主の負担を少しでも減らすべくして雷宝剣を押し返した。
機械鮫の守りに埒が明かぬと見たか、鴻鈞道人は再びグリモア猟兵の腕を異形化させ『渾沌の諸相』の一撃をアガトに放つ。
ケットシーの小さな身体を押し潰すほどに肥大化した『渾沌の諸相』を前に……アガトは一歩も下がることはなかった。
剣を受け止めていた相棒が渾沌の一撃に合わせて実体化させたのは、水陸両用の戦闘車両シャーくんカーだ。
弾除けにも適した鉄塊の盾にアガトは身を潜ませ破滅の一撃をやり過ごすも、鴻鈞道人はもう片方の腕も異形化させて追撃を放ってくる。
流石にこれは凌げない、咄嗟に飛び退いたアガトが立っていた所に渾沌が覆い被さる……その内にあったシャーくんカーは爆散し、渾沌の諸相を大きく仰け反らせた。
「アガトさん!」
土属性結界の中で痺れを取り除いていたクーナが、アガトの元に駆け寄り合流を果たす。
仲間はやらせまいと槍を突き付ける彼女の背後で、アガトは直ぐ様立ち上がる。
その姿で奇しくも、鴻鈞道人に乗っ取られたグリモア猟兵によく似ている……普段の姿よりも背丈のある、人により近い形をした真の姿だ。
オーバーロードを経て、大きくなった両の手に空想剣、青天の霹靂を握り締める。
二つの異なる色した瞳が、鴻鈞道人の虚ろな左目を捉えた。
「わかったにゃ。 団長……殺すにゃ」
●歓喜を討て、救う為に
クーナもまた、アガトと同じように鴻鈞道人の左目を見ていた。
騎士猫は終焉を識る……瞳を合わせた相手の心と辿る終焉を見透かす力は、この先鴻鈞道人が取るであろう一挙一動の予想を構築していく。
その中で僅かながらに残された通り道を見出だしたクーナはオーラを纏い、鴻鈞道人へと再び突撃した。
対して鴻鈞道人は果敢に向かってくる騎士猫を斬り伏せるべく、身体の至るところから生やした白き殺戮の刃を渦のようにして振り回す。
その度に自壊が進むグリモア猟兵の肉体をこれ以上壊させまいとして……刃の嵐の中に見えた隙間へ向けて、突撃槍の一撃を放った。
白雪と白百合の刻まれた銀槍、ヴァン・フルールが鴻鈞道人の左足に深々と突き刺さる……自壊の痛みに刺突が加わり、鴻鈞道人は借り物の顔に苦悶を浮かべた。
「あれほどの刃を通り抜ける、だと?」
「悪いね、それはもう視てるんだよ。 残念だろうけど」
隙間風を通したにしては重すぎる一撃を受け、その場に縫い止められた鴻鈞道人の前には、空想双剣を構えたアガトがいる。
相棒のシャーくんも空想剣を咥えて応戦姿勢を取る最中、アガトもまた退くことも叶わぬ鴻鈞道人へと真っ正面から斬りかかった。
「団長を人質に取る卑怯な輩はぶち殺す……それと団長は後でシャーくんにがぶがぶされる刑にゃ!」
迷わず殺せと、団長は言った。
では誰を殺すのか……そんなの最初から決まっている、団長の内に潜り込んだ卑怯者だ。
絶対無敵の空想剣と雷宝剣が幾度も激しくぶつかり合う、たとえ弾ける電撃に身体が蝕まれようともアガトの猛攻は止まらない。
それどころか流れる電流の多くを空想剣に蓄積させ、魔力を更に増幅させていく……斬り合えば斬り合うほど、アガトの力は増していく。
押し切られることを悟った鴻鈞道人は右半身を異形化させ、より強大な『渾沌の諸相』を放とうとした。
しかしその動作は途中で食い止められる……終焉を見越したクーナの槍と、『渾沌の諸相』に備えていたシャーくんの空想剣が、グリモア猟兵の形を繋ぎ止める為に突き刺さった。
「……ッ!」
「掴まえたにゃ」
二本の空想剣を重ねて一本に合成……団長の魔力と、『ロアー団長を絶対に助ける』という決意を込めた、その一撃を。
「一人だけのお前に、団長と自分達は負けないのにゃ!!」
夢見ていた空への思い。(兵器は色とりどりの空を夢見ていた)
まるで空を切り取ったかのような、残酷なまでに美しい世界の色を持つ剣が、鴻鈞道人の虚ろな左目に叩き込まれた。
●残酷なまでに美しい世界を見た
「う……うぅん……」
虚ろなる鴻鈞道人の左目とグリモア猟兵が分離されてから、数分が経過した頃。
医術技能を持つ檬果、バロン、クーナによる応急処置を施されていたグリモア猟兵が、ついに意識を取り戻す。
その経過をじっと見守っていたテンは、万一に備えて周囲警戒に当たっていたルドラ、オメガ、アガトを呼び戻して七人は集う。
骸の海を名乗る謎の敵、鴻鈞道人の支配から解放されたロアー・アレグリアス(雷刃名轟・f02956)は、仲間達の顔を一人一人見返してから、またしばらく経った後。
本来の色を取り戻した緑の瞳からぶわっと、それはもう沢山の大粒の涙を溢し始めた。
「う、ううぅぅぅぅ~~」
「にゃにゃっ!? ロアー団長!?」
「だだだ、大丈夫ですかロアーさん!?」
「えぇっ! ま、まだどこか痛むの!?」
あまりにも突然の大泣きに、治療をしていた檬果を始め、バロンとテンもわたわたと慌てる中……クーナだけはふっと小さく笑う。
その微かな声を聞いたルドラとオメガが揃ってクーナを見やれば、クーナはただ安心しただけと答えた。
「まぁ……鴻鈞道人の左目を視た時、ロアーさんの目も視たからね。 こうなる予想はあったけど、こうして直に視られて良かったよ」
穏やかな光景が現実となったと微笑むクーナの横で、アガトはといえば……今にもロアーに飛び付きそうな姿勢のまま、わなわなと震えている。
そんなアガトの様子に気づいているのかいないのか、ロアーは両手で自身の目を覆い隠した。
「予想までされてたとか……ううぅぅ。 こ、このことは我達だけのナイショにして欲しいのだ……泣いちゃったこととか、この予知そのものとか。 こんなん弟に知られたらめっちゃ怒られるのだ……」
「にゃー達も怒ってるのにゃ! 自分がこんな目に合うの知ってて、なーにが『何が出ても迷わず殺すのだぞ』にゃ! 分からず屋なロアー団長にはやっぱりおしおきが必要だにゃ! シャーくんがぶがぶの刑にゃー!!」
「ひぃぃぃ、なんか聞き覚えあるけどそれは勘弁してほしいのだぁぁああッ!?」
と……復帰したてのロアーに対してアガトがシャーくんを差し向けそうになった辺りで周りの猟兵達が全力で止めに入る。
そんな一騒動があったものの、鴻鈞道人という強敵との戦いにおいて……猟兵達は誰一人とて欠けることなく、グリモアベースへ帰還を果たす。
団長に対し、刑が執行されたかどうかは……また別の話。
大成功
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