殲神封神大戦⑰〜あなたはだぁれ?
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猟兵達が足を踏み入れた先は、無といえる空間だった。
昏い海のような床はあれど壁や天井といった物はない。ただ真っ白な空と黒い床が地平の彼方で繋がっているのが見えるのみ。
(――来たか)
上から、下から。近くから、遠くから。どこからか響く声に猟兵達は身構えた。
(私は渾沌氏……すなわち【骸の海】である)
渾沌氏『鴻鈞道人』。
自らを『骸の海』と称する、謎多き存在。決して、決して油断はならないと先のグリモア猟兵も告げていた。
(お前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である。ゆえに――)
「――私はお前達であり、お前達は私である」
ふいに後ろからはっきりとした声が聞こえて猟兵達は慌てて振り返る。
そこにいたのは白いローブを目深く被った男の姿。
この地へ集まった際にはあんな猟兵がいた記憶はない。
だが、声には覚えがある。
「どうした。この地へに導いた猟兵の姿を忘れたのか?」
猟兵達が固まる。此度の戦場に連れてきたグリモア猟兵はこんなのではなかったと。
グリモアベースで見た際はもっと小さい、クマのぬいぐるみだったはずのに。
「ああ、体に執着じみた児戯が仕込まれていたな。一時的にだが外させてもらった」
男の口元の弧が深くなる。
猟兵としての直感が語り掛ける。目の前の男がここまで連れてきた猟兵だとしても、中身は全くの別の何かだと!
「御託はもういいだろう。罪深き刃(ユーベルコード)を刻まれし者達よ。
相争い、私の左目に炎の破滅(カタストロフ)を見せてくれ」
エドワード……否、鴻鈞道人が剣を抜く。
目深く被った外套の奥、鈍く輝く黄緑の左目が君を嗤う。
遭去
遭去です。乗りたかった、このビッグウェーブに。
●敵
渾沌氏『鴻鈞道人』がエドワード(扉絵にいるキャラ)に憑依しています。
彼と関係があっても一切有利に運びませんので気兼ねなくぶっ飛ばしてください。
また、鴻鈞道人は手加減をする事もできないため常に全力の攻撃はぶっ放してきます。フレーバー程度に彼の持つUCも使いますが、あくまで判定はフラグメントのものに添います。
●その他
参加する猟兵は、シナリオ開始時点で既に転移されています
●プレイングボーナス
グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する。
第1章 ボス戦
『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』
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POW : 肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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ルドラ・ヴォルテクス
アドリブ&連携OK
【ルドラ・ゴースト】
骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな。
醜悪だな、相争う様を望むか。
血の業は初撃を耐える、限界突破したチャンドラーエクリプスの防楯とタービュランスの暴風、インシネイトの炎で氷を防ぎ切ろう。
【反撃】
UCアーディシェーシャ、今を繋ぎ止める楔を打ち、血の業を封じ込める。
こうなれば、決めるのはお互いの剣戟、限界とリミッターを超えた機構剣の打合い、剣を弾き、最大衝撃の雷撃の機構剣で一気に気を奪う。
未だ醜悪な戦いを望むなら、骸の海よ、お前の悪性でもって受け止めろ。左目に映り込んだ愉悦に恐怖を刺し穿つ。
お前の死に七つの孔は要らない、たった一つの恐怖が終わりになる。
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――ゆらり。世界の理がわずかに揺らぐ。そんな気がした。
「――醜悪だな、相争う様を望むか」
ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)がグリモア猟兵を真っ直ぐ見やる。
ルドラの姿を見てグリモア猟兵に憑りついた『鴻鈞道人』 が少しばかり目を見開くが、すぐに興味を含む目線を向ける。
『……既に過去となりし者よ。なぜここにいる』
「骸の海、死の気配が俺をここに呼び寄せたな」
グリモア猟兵が、否、『骸の海』 の問いにルドラは敢えて見当違いの返答をすれば黄緑の目が細められる。
『骸の海』は理解している。
ルドラの嵐のような生き様を、雷鳴のように輝いた軌跡を、結末を。
だからこそ問う。
お前はとうに滅びを迎えたというのに、なぜそちら側にいるのかと。
「たとえ俺の肉体が滅び過去になろうと、俺は今にここに『いる』。未来のため、過去を穿とう」
それは前の肉体が滅びる前に記憶と体の複製を取ったからだけではない。
体が滅びようと彼を想うものはいる。
誰かの中に自分がいる。
だからこそ彼はこの世界に生きているのだ。
『――なら現存する記録も記憶も、想いも全てこちらへと引き戻すとしよう』
グリモア猟兵が剣先を床へ突き立てる。
次の瞬間、戦場を吹雪が吹き荒れた。
もし目を開けよう様ならば氷の礫が瞬く間に目を潰し、口を開けようものならば冷気が肺を蝕んでいただろう。
猟兵達が猛攻を耐える中突如、冷たき暴風を吹き飛ばしながら姿無き波紋がグリモア猟兵の持つ剣へと被弾する。
「これでおまえの技を一つ封じたな」
傷ついたチャンドラーエクリプスの防楯を掲げてルドラにっと笑い、頬に伝った一筋の血を拭う。
僅かに残る冷たき風も限界突破まで起動したタービュランスとインシネイトが放つ炎の嵐が吹き飛ばしていく。
『貴様……』
「これ以上の未だ醜悪な戦いを望むなら、骸の海よ、お前の悪性でもって受け止めろ」
ルドラが一気に距離を詰めれば、グリモア猟兵も剣で迎え撃つ。
風の機構剣と光を纏う剣がぶつかり合う。
本来のリミッターが外されたグリモア猟兵の剣戟が容赦なくルドラへと喰らいつくが、ルドラに比べ接近戦の経験が足りない男のソレはあまりに力に依存している。
対するルドラは叩きつけれるその一撃一撃を風の力も使いながらいなし、時に攻めていく。
何回斬り結んだか。ルドラはかの男の僅かな呼吸の乱れを察知すると、タービュランスの出力を最大限に高める。
「繋ぎ止めろ!『今』という環の裡へ!」
限界を超えた力を纏う雷撃の機構剣の一撃を、かの男へと突き立てた。
「お前の死に七つの孔は要らない、たった一つの恐怖が終わりになる」
男の左目に浮かんでいた愉悦が一瞬、不愉快そうに歪められた。
大成功
🔵🔵🔵
レイカ・ヴァンスタイン(サポート)
フェアリーの聖者×プリンセス、9歳の女です。
戦闘は苦手で援護や救助、支援など中心です。
武器は人間大の人形(銃火器持)ですので、運搬作業も可能です。
普段は悪戯(許せる範囲)で遊ぶ※戦闘とは別です。
普段の口調は「マイペース(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」
苦しい時は「愛想笑い(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」です
幼いので殆どひらがなで喋ってます。
・ユーベルコードは必要に応じて、多少の怪我は厭わず積極的に行動(支援中心)します。
・他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。公序良俗に反する行動はしません。悪戯も笑って許される範囲までです。
・あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
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「はろはろ、けが人居ませんか~?ちりょうしますの~」
幼さが残る口調で言葉を紡ぐ妖精、レイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)がグリモア猟兵をちらりとみやる。
目の前には鴻鈞道人に体を乗っ取られたグリモア猟兵の姿。治療するためにはまず、中にいる鴻鈞道人を追い出す必要がある。
「う~んウチでもちょっと治すのたいへんそうなのよ。でもがんばっちゃうわね~」
口調こそのんびりと、幼さが残る口調で言うも彼女の瞳は一切の油断は無い。手加減を知らず技を振るう鴻鈞道人に勝てるなど、先ほどの猟兵の戦いを見たら決して言えない。
『治せばよい。最も、できるのであればな』
少女を嘲うと鴻鈞道人が手に持つ剣を地面を突き立てた。瞬間、突き立てた地面を中心に氷の礫が混じる吹雪が辺りを覆い尽くす!
「ならばやっちゃいますよ~」
そう言いながらどこからか取り出したるは4体の人形。そのうち水色と橙色の和ロリ服に身を包む少女人形に手を添える。
「葵、朱華。よろしくね。
――花吹雪は星の煌めき寄りて、禍の者を攻め立てん」
2体の人形の端から溢れ出すのは雪柳の花びら。溢れ出るその花びらは無数に展開され吹雪による風圧など知らないといったように優雅に舞い散り、戦場に吹き荒れる氷の礫を包むこむように受け止めていく。
「――蒼、茜、おねがい!」
氷の礫が少なくなったタイミングを見計らい、青と赤色の和ロリ服の人形へと声をかけ思念繰糸操作をもって動かしていく。
「全力で~~いくよー!」
蒼から展開された銃撃が、茜から放たれた弾幕が鴻鈞道人へと直撃した。
成功
🔵🔵🔴
サンディ・ノックス
グリモア猟兵を人質にとって勝ったつもりかな?(ただの煽り)
駄目じゃないか、ヒトの秘密を勝手に暴いたりしちゃ
行儀が悪いね
そもそも本当にお前は骸の海なの?
俺が思う骸の海は、静かにあらゆる過去をも受け入れる場所だったんだけど…お前のような奴なら幻滅しちゃうよ
悪態をつきながら魔力を高めオーラを発生させ敵の攻撃に備えつつ【ダッシュ】、接敵を試みる
オーラで攻撃が防ぎきれなくても【激痛耐性】で耐えながら、可能な攻撃は【見切り】、駆け抜け、敵のどこかに玉桂の小刀を突き刺して解放・紫を発動
継続的にダメージを与えながら暗夜の剣でも切り刻もう
小刀の刺さった場所を切り離されないよう、釣り針の変形は長く深くしておこうか
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殺したい。
少年は明確な殺意を抱いていた。
それは目の前のグリモア猟兵――正しくは彼に憑りついている鴻鈞道人にだ。
「駄目じゃないか、ヒトの秘密を勝手に暴いちゃ。行儀が悪いね」
サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)が何度目かの鍔迫り合い時に言葉をかける。
「そもそも本当にお前は骸の海なの?
俺が思う骸の海は、静かにあらゆる過去をも受け入れる場所だったんだけど……お前のような奴なら幻滅しちゃうよ」
『失望しようと疑問を呈そうと私が【骸の海】であることは変わらない』
「反吐が出そうだよ」
サンディが剣軸をずらし男の剣をいなして男の腕へと斬り付けた。
男の腕へと剣が接触した瞬間、硬い物がぶつかり合う鈍い音が響いた。防具を着込んでいるとかではない。まるで石に打ち据えた様で。
「……グリモア猟兵を人質にとって勝ったつもりかな?」
サンディは瞬時にバックステップで距離をとりながら憎々し気に言葉を吐く。
気に入らない。人の体を勝手に使うことも。
彼女の成した事を無にしたことも。
『……妲己か』
何かを察したか鴻鈞道人が呟いた。
『なぜあの女に執着する。今の偉業も贄もいつかは意味が成さなくなる事など常にある――』
「黙れよ」
低い声で呻くように呟くとサンディが地を蹴りあげる。
鴻鈞道人が何かを唱えれば複数の魔法剣が幾何学模様を描きながらサンディへと襲い掛かったが、それらを魔法剣の猛襲をオーラで防ぎ、時には黒い剣で弾きながらサンディは勢いを落とすことなく駆けていく。
普段の昏い思いを隠すような笑顔はなく、ただ静かに、熱い怒りに燃える顔で猛然と。
「もうたくさんだ、彼女の決意を踏みにじられるのを見るのは」
当たり前だがサンディは妲己と過去に会ったことなど無い。
それでも彼女の性格にそぐわない悪逆に身を染める苦しみに苛まれながらも偉業を成した悲劇の人……そんな彼女に美しく、そして愛おしく感じて。
だからこそ彼女の偉業を踏みにじり、あまつさえこの地をカタストロフを起こすために蘇らせ、彼女の穏やかな死を赦さない目の前のソレに怒りを覚えた。
鴻鈞道人の懐へ入れば彼と目が合った。
こちらは怒りに燃えてるのに対し、なぜそんな顔をするのか分からないといった無感情な目に、サンディの怒りは更に燃える。
「骸の海は骸の海として出てくるな!」
サンディは黒い小刀を殴りつける様に男の胸へと深々と突き刺した。
大成功
🔵🔵🔵
ラファエラ・エヴァンジェリスタ
「その声はエドワード…か?何と、見違えたぞ。随分な男前ではないか!」
いつぞやの礼にこの場で茶会の席の一つ設けたいものではあるが…何やら邪魔者があるな
誰だ?貴公の椅子はない、疾く罷るが良い
先制攻撃はどう防いだものだろうかね
思いつかぬ…【茨の抱擁】にてこの身を切り裂こうか
此方がより多くの血を流して居れば良いのであろう?
癪だがこの身は不死ゆえになぁ…此度限り、朋輩の為に血を流そうぞ
敵の強化を妨げることが叶えど叶わずとも
後は任せたぞ、我が騎士よ
我が貴き血の一滴もこれ以上流させることは罷りならぬーーゆえに護れ
全力魔法で我が騎士を強化しながら、【黒薔薇忌】で怨霊どもを嗾けて援護
オーラ防御は我が身にも騎士にも適宜使用
鴻鈞道人とやら、私は貴公を露も知らぬが、癪だが貴公の人選だけは定かなようだな
嗚呼、我が騎士よ、無理は禁物だ
我らの魔力ではエドワードには勝てぬ
が、退く訳にも行かぬだろうね
エドワード、聞こえておらずとも構わぬが…
マリアベラが貴公を待っているだろう?
例の店のケーキでも手土産に帰還してやり給え
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『なるほど、思ったよりやる』
幾人の猟兵と刃を交え鴻鈞道人、もとい彼に憑依されたエドワードの体は限界に近かった。
剣戟の果てに刻まれた傷が、胸に穿たれた小刀の傷が、心の臓の脈動と共に男の白い服を赤く染め上げていく。
しかし、男の瞳からは戦意は失われていない。もっともそれは彼を奮い立たせる何かがあるからではなく、憑依している男がどうなろうと問題ないからであるが。
――それに体は限界でも魔力はまだある。
男は笑みをこぼすと目の前に剣を掲げる。
『術式改竄――謌代?蜿、縺榊?繧呈斡縺剰?』
掲げる剣に黒い霧が集まる。
男の口から力ある言葉が紡がれると霧が水滴に、やがて水流へと変わっていく。
――今、舞台の終わりが始まろうとしていた。
「その声はエドワード……か? 何と、見違えたぞ」
ラファエラ・エヴァンジェリスタ(貴腐の薔薇・f32871)が驚きの声を上げるのも無理はない。ほんの少し前まで目の前の男はクマのぬいぐるみの姿をしていたのだから。
「いつぞやの礼にこの場で茶会の席の一つ設けたいものではあるが……何やら邪魔者があるな」
ぬいぐるみではない今なら茶会も存分に楽しめるだろう。そう思ったのに、今の彼は彼で非ず。
招待客では無い者を迎えて茶会を開くほど彼女は優しくはない。
「その男は妹にケーキを手土産に帰還する役目があるでな。
ゆえに貴公の椅子はない、疾く罷るが良い」
顔の前で扇を広げ傍に侍る騎士へと視線を送った。
「我が騎士よ、分かっているな」
ラファエラが扇を仰げば魔力が、白銀の騎士の周りへとふわりと舞い、彼の光の力を高める。
(「しかし、鴻鈞道人とやら、私は貴公を露も知らぬが、癪だが貴公の人選だけは定かなようだな」)
大きな啖呵を切ったとはいえラファエラは慎重に物事を見ていた。
いくら数多の敵を退けてきた己の騎士でも、魔術に長ける男の限界を超えた一撃を見舞われて無事でいられる自信は無い。
彼より血を流せばかの攻撃を弱めることが出来ようが、その決心はつかず。
――なら逃げるか? かつて騎士に言われるまま逃げたいつぞやかのように。
……否。逃げる場所など、ない。
そして、ここは何もできなかったあの時でも、ない。
白銀の騎士が自身をじっと見つめるのを横目にラファエラは黒い茨を巻き付けた。
何をするつもりか。止めようとする騎士を少女は小さな笑みを浮かべ逆に静止する。
「此度限り、朋輩の為に血を流そうぞ」
茨がラファエラの柔らかな肌に深く突き刺さる。瞬間、白い肌からは紅い血がしたたり落ちていく。
それは男が流す血よりも多く、ともすれば一瞬でショック死してもおかしくない量。だが、彼女はデッドマン。既に多くの血を流した者。痛みを感じても死ぬ事は叶わない。
「っ……後は任せたぞ、我が騎士よ。我が貴き血の一滴もこれ以上流させることは罷りならぬ」
大きな赤い薔薇の中心に座り込む主人を前に跪き頷くと、騎士は立ち上がり男の方へと向き直る。
騎士が剣を抜いた時、一瞬だけ握る力が強くなったのを見た者は終ぞ、いなかった。
『――謠コ邀?↓蠕ョ逹。繧?蟄舌i繧医?∫悛繧九′縺?>』
祈るように。謳うように。呪うように。
全身から血の気が失せてもなお彼が詠唱を途切れされることは無い。
ふと、血の業の力が弱まったのを感じ、男は薄く目を開いた。
前方には白馬と共に駆ける白銀甲冑を身に纏う騎士の姿。このままではかの騎士の一閃がこの身を貫くだろう。
『譏上″譛昴r隕九k蜑阪↓縲りシ昴°縺励″譏溘?邨先忰繧堤衍繧句燕縺ォ――』
だがもう遅い。男は真っ直ぐに前を見やり剣を高く構え直した。
今、一つの呪が雄たけびを上げる。
『土へと還るがいい……イェーガー!』
振り抜かれた剣より放たれるは黒く昏い、海。
誰もが踏みしめてきた【骸の海】そのものが猟兵を、戦場を――今を喰らい尽くさんと襲い掛かる!
「――」
迫りくる大津波。しかし、相対するかの騎士に怯えはない。ここで引くわけにはいかない。
それはグリモア猟兵を助けるために……。
否、断じて否。
かの騎士を突き動かすのは彼を助けろと命じた我が主の為、そのために!!
津波が白馬もろとも騎士を飲み込む――
一閃。稲妻が如きその一撃を元に海は裂け、かの騎士を道を譲るように割れていく!
『馬鹿な
……!?』
驚愕に目を開く黄緑の目と、兜の奥より覗く青い目が一瞬だけ交差する。
そのまま白銀の騎士は男の不気味に輝く左目へ白刃を向け――
パリン。硝子が割れる様な音が響いた。
大成功
🔵🔵🔵
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『……そうか、これがお前たちの今の力。なるほど』
大量の血を流しながら片膝をつき、左目を押さえて男は笑う。
『残念だがここで終いだ……。再び炎の破滅の兆しが見えし時、また相見えようぞ』
その言葉を最後に男の体が傾き地面に倒れる――その直前でポンと軽い音と煙が上がる。
「――ん?」
煙が晴れる。そこには事態を飲み込めず首を傾げるクマのぬいぐるみの姿があった。