殲神封神大戦⑰〜我は混沌なる者
●夢の底
(あれ……?)
はっきりとしない意識のまま、秋月・充嘉(キマイラメカニカ・f01160)は疑問を浮かべた。
ここはどこだろうかと。
封神武侠界。
殲神封神大戦真っ只中のこの世界に、充嘉は自分の意志とは関係なく転送されていた。
(なんか、似たようなこと、あったすよね……)
予知を担当してた戦場に巻き込まれた形で飛ばされた事がある。
今回はそれとも違う。
そもそも、『まったく予知していなかった』はずなのだ。
疑問ではあったが、そこから先の思考がなぜかできない。
(なんだか……眠いっすね……)
ふわふわとなんだか安定しない肉体に、抗えがたい眠気が充嘉を掴みはじめて、抱きついてくる。
眠気は充嘉の意識をゆっくりと確実に黒く塗りつぶしていき、さらに底へと沈めていく。
なんとなく不味い状況なんだろうなとは思いつつも。まぶたを閉じて眠りの底へと沈んでいく。
どこまでも、どこまでも。
●現の天
目を、開けた。
すうと呼吸をする。
「この猟兵は、随分煩悩にまみれているな」
普段の彼からはまず出ない口調で出した声は、充嘉であって充嘉ではない。
その左目は色彩も瞳孔も変わり続けており、混沌としていた。
軽く肩をまわすなどして体をほぐした充嘉はすっとグリモアを呼び出す。
なれた手付きでグリモアを操作した充嘉――『鴻鈞道人』は、呼びだした猟兵に影を、混沌を、殺意をむき出しにして襲いかかってきた。
「さぁ、相争い私の左目にカタストロフを見せてくれ」
川内嘉治
ありそうでなかった。
はいどうも、川内喜治です。
今回の封神武侠界シナリオは戦争シナリオ。
グリモア猟兵である充嘉を乗っ取った鴻鈞道人が相手です。
グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人は、グリモアで転送させた猟兵(つまり参加者さんです)に対し先制攻撃をしてきます。
これを凌ぎきり撃退してください。
なお、鴻鈞道人は強敵です。
説得を試みても充嘉には届かないし、してるスキを狙って手痛い攻撃がくるでしょう。
そして、強敵であるがゆえに『手加減をする事もさせることもできません』。
正面切って殴り合ってください。
ユーベルコードはボスデータにあるものと充嘉自身のユーベルコードも使ってきます。
(※ 『助けて!狼お兄さん!』『召喚・狼と大統領』は使用不可
『肉体譲渡・〇〇』は文言の前2つまでの『』を無視して発動)
今回のプレイングボーナスは以下の通りです。
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プレイングボーナス……グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃に対処する。
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では、嘉き混沌を。
第1章 ボス戦
『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』
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POW : 肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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ナスターシャ・ハイドフェルド
●SPD
●アドリブ・連携〇
まだ会ったことはありませんが…私たちは似た種族…見捨てる訳には行きませんわ!
まずUCで飛翔力を増加する踊り子の衣装にドレスアップですわ
そして先制攻撃は舞いを披露しながら「受け流し」ます
彼は接近戦に特化するユーベルコードをお使いのようね…ならばこちらも踊り子の身のこなしで彼の攻撃を「受け流し」続けます!
鴻鈞道人自身がユーベルコードをお使いの時にわたくしは一気に叩き込むように秋月様に状況に応じた「気絶攻撃」で眠らせようとしかけますわ!
彼を無力化した後は貴方ですわ!鴻鈞道人!
わたくしは貴方を許しません!飛翔力を活かした拳の「乱れ撃ち」を食らいなさい!
●
転送されたナスターシャ・ハイドフェルド(世間知らずのおっちょこちょいな王姫・f32967)は、充嘉――鴻鈞道人の影の一撃をふわりと舞うようにかわし距離をとった。
「ほう、能力増幅のユーベルコードか」
攻撃をかわされたことそのものには関心を向けずに、鴻鈞道人は服装が変わったナスターシャに対しそう言った。
「反射的に攻撃をかわしたか、それとも……ただの幸運か?」
白き殺意を身にまとわせて鴻鈞道人はナスターシャに接近し刃を振るう。その動きはあるはずの代償を感じさせない。
「いいえっ!猟兵としての力ですわ!」
白き刃を、その後にきた追撃の黒い刃もふわりひらりとかわして。
ナスターシャは攻撃のスキを見て、魔扇をぶつける。
本来の肉体の持ち主である充嘉から引き剥がすつもりの攻撃は、当たりこそしたものの。
「殺すつもりならこの猟兵を殺すつもりでやるべきだな」
片腕で防がれ、もう片方の腕で打ち上げようと拳に影をまとわせる鴻鈞道人。
それに気づいたナスターシャはすぐに鴻鈞道人から離れる。
「彼は殺しません!そんな卑怯な手段を提示する貴方をわたくしは許しません!」
大成功
🔵🔵🔵
五ヶ谷・グレン
◼️心情
あ、この猟兵なんか、エロい事件でよく見かけるっていう?
あー、融合されたんだな。
うん、それならラテンなのりの用はないな(嬉しそう)
まぁ、知り合いの知り合いののよしみだ、殴るのに遠慮はいらないよな、
◼️守勢
まぁ、まずは初手を結界やら破魔やら道術、仙術。竜脈使いで出力あげて、あとは、力一杯どうにかする
◼️魔女の時間
だな。
まぁ、よくよく深く沈んでる、
声も届かず、望みも見えず、こっからは打つ手無しってやつだが、
それならどうにかするってのがよい魔女ってやつだ。
取り出したる無色の鏡。
気に食わない奴をぶん殴る体(ちから)が欲しい、よくある願いだ、この魔女に任せろ(プレジデントとお兄さんにUCで体を作り
●
(おっと。この猟兵ってたしか、エロい事件でよく見かけるっていうヒトじゃなかったっけ)
鴻鈞道人の初手を結界術を中心に道術、仙術。さらには竜脈使いで出力を上げて防いだ五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)は憑りつかれた充嘉を見て、知り合いが言っていたことを思い出す。
「まぁ、よくよく深く沈んでる、声も届かず、望みも見えず、こっからは打つ手無しってやつだ」
だが、それでもなんとかするのがよい魔女というもの。
融合されているのなら普段のラテンなのりの用はない。
「応法、因果、悪因、善果。報い酬いは巡り廻るってなぁ」
グレンは大釜から『無色の鏡』を取り出して願いを言う。
「気に食わない奴をぶん殴る体(ちから)が欲しい」
その願いを叶えるために現れたのは、二つの人影。
その影がはっきりと輪郭を見せると、そこには充嘉が契約していた狼お兄さんことウルフと大統領と呼ばれた男プレジデント。
「あ?どういうことだよ、こいつは」
「ふむ?充嘉くんの魔力、ではないな」
充嘉以外の人物から召喚されるとは思いもしなかっただろう、一瞬の戸惑いを見せるが充嘉の状態を見てすぐに状況を理解した。
「どーも、お二人さん。彼を救うのを手伝ってもらえるかい?」
「そういうことかよ……うっかり殺しても構わないんだな?」
「殺すつもりなぞなかろうに。その願い、我々が叶えよう」
呼び出したグレンから願いを聞いた二人はそれぞれ構えて充嘉に武器を向ける。
向けられた充嘉は、鴻鈞道人は。
「来い、骸の海から零れ落ちた者どもよ」
本人がしないような笑みを浮かべた。
大成功
🔵🔵🔵
ブリッツ・エレクトロダンス
うおっとあっぶねえ!(先制攻撃を野生の勘で直感回避)
…なーるほど、充嘉を乗っ取ってんのか。
OK、んじゃあぶん殴るか。こういうのはぶん殴って無力化させてからどうにかするのがセオリーだからな。
って訳で、だ。殴り合おうぜ!
ゲーム的に言うならキマイラノケンカって奴だ!
(こうしてガチキマイラとガチドラバイトの不毛なHP吸い合い合戦がはじまる)
●
「うぉっとあぶねぇ!」
充嘉の一撃を野性の勘で直前に回避したブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)は抗議の声をあげる。その前に。
「……お前、充嘉じゃねぇな」
相対した人物が充嘉でないことに気づく。
「……何言ってるんすか?俺っすよ?」
だが、充嘉は自分だと主張している。
その口調と抑揚は本人のようでいて、違う。
「はぁ?いつものお前なら、俺を呼んですぐ物陰でさっくり食ってるじゃねぇか」
もちろんそんなことはしていない。
だが、真偽の判定など憑依している鴻鈞道人にはできない、出来るわけがない。
「……同じ穴の狢が」
吐き捨てるように呟いた鴻鈞道人は、充嘉の右腕を白きおぞましき触手で包みこみその上から黒き龍の頭部へと変貌させる。
「望み通り喰らいつくしてやろう、楽に逝けると思うな」
「その前にぶん殴ってひっぺがしてやるよ」
ブリッツもまた右腕をライオンの頭部へと変えて、鴻鈞道人に向ける。
食らいつき食みあう。
奪われた自分の生命力は相手から生命力を奪う。
一進一退の攻防は止まるところをしらない。
「この状況を、なんと言うか知っているか猟兵」
「あん?」
息を乱さずに鴻鈞道人は息を切らしはじめてるブリッツに問いかける。
「膠着、平行線、千日手だ」
「で?じゃあ、諦めて殺せってか?あいにくと諦めが悪いんだよっ!」
大成功
🔵🔵🔵
祓戸・多喜
…乗っ取られて最初の言葉がそれってよっぽどよね。
古風な秋月さんは何か違和感あるし、ナニヨリ鴻鈞道人の思い通りにさせるのは嫌よね。
…その体に入った事後悔する位叩きのめしてやるんだから!
容赦は全く無しに念動力と空中浮遊で後退しつつ弓に矢を番えて速射、乱れ撃ちして引き撃ち。
近づかせたら向こうの独壇場、触手も刃もどうみても接近戦用…よね?
とにかくアレ好きに振らせたらヤバいから矢の補充考えず撃って撃って撃ちまくって押し切るわ!
影を実体化させてきても慌てず結界術で防ぎつつ、UCの準備できたら空に全力で放つ!
光矢の雨で鴻鈞道人を射抜いてあげるわよ!
戦闘後は秋月さんを手当てするわね。
※アドリブ絡み等お任せ🐘
●
「離れて!」
膠着状態の食い合いを破ったのは、そんな一言だった。
声を聞いた黒豹の猟兵は、すぐさま食い合いをやめて、祓戸・多喜(白象の射手・f21878)に攻撃を譲るために後退する。
鴻鈞道人は後退した黒豹には眼を向けず、矢をつがえている多喜へと視線を向ける。
「言わずにまとめて射抜けば早かろうに」
言って鴻鈞道人は、グリモア猟兵の片翼を白き天使の翼に変えて、多喜へと接近する。
近づかれると触手や影の刃の応酬がくると判断していた多喜は、わずかに地面から浮かせた自分を念動力で後方へと飛ばし一定の距離を保とうとする。
もちろんその間は矢を射ち続ける。矢の残数や補充は考えない。
射ぬいた矢のほとんどは弾かれたものの、何本かはグリモア猟兵の身体へと刺さる。
その痛々しい姿に多喜は内心謝罪しながらも、本命の攻撃をたたみかけるため上空に向かって巨大な光の矢を放つ。
光の矢は地面に落下する前に倍々に増えていき、地表へと到着する頃には多喜の半径100メートル範囲に光の矢が降り注いだ。
大成功
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五ヶ谷・グレン
◼️方針
まぁ、死ななきゃイケるだろう。
ケミカリンΘ、この、マッドな情熱を良薬は口に苦しを味以外に極振りしたヤバいの、
更にオーバーロードで精製した奴
◼️心情
過去、ねぇ。
俺らもいずれ過去になるし、
踏みにじれれたなんて思う奴も少なくないとは思う。
が、だ。
だからって全てを今のせいにして踏みにじるってのはなぁ、
それを良しとしないで抗って胸を張り過去となったって人を見たばかりだからな、うんとは言ってやれないな。
◼️抗う黒妖犬
さて、プレジデントに狼のお兄さん、まずは二人。
秋月さんを救いたいって奴は、まだいる。
何時もなら兎も角、オーバーロード、俺の本質とやらの、闇の陽炎纏う黒妖犬でこの戦場に来た奴らの分も、願いを叶えてやろう。
(ゆらゆらと黒い陽炎を纏う犬獣人の真の姿に変わりUCで戦場の他の猟兵の願いも叶え)
なんか、余計なのも混じった気がするが、数は揃えた、後は魔女らしく、討って出るぞ。
深く沈み、声も届かないのなら無理矢理にでも届けるのが魔女の仕事だ
(体内に直接願いを打ち込み秋月さんの願いも)
ん?ピンク?
●
戦況はほぼほぼこちらの優勢。しかし、このまま鴻鈞道人を撃破してもおそらく充嘉の意識は戻らない。
「なら、救いたいって願いをオーバーロードさせるしかないね」
ケミカリンΘ。半分は神の優しさでできていたその薬液を味以外を極振りさせて、さらにはオーバーロードを起こし、闇の陽炎纏う黒妖犬の姿となりほぼ劇薬といって差し支えない薬を精製した五ヶ谷・グレン。
「さて、プレジデントに狼のお兄さんで、まずは二人」
そして、この場にいる猟兵全員。
「さ、数は揃えた。それじゃ、魔女らしく打って出るか」
「救うという願いを拡大解釈したか!その願い、叶わぬとしれ!」
鴻鈞道人は満身創痍といった充嘉の身体を動かし肉体を混沌に異形化させ、術者であるグレンへと迫る。
その混沌はほぼ全身にまで及んでおり、全身を包み切ったと思ったその瞬間には確認されていた鴻鈞道人の姿に変貌していた。
猟兵たちの攻撃が道人へと向かう。
象の少女が矢を放つ。
人狼の姫君の魔扇が風の刃をはなって。
黒豹の悪友が獅子の顎を食い込ませる。
仮初に呼ばれた大統領の拳が顎を狙い打ち。
仮初に呼ばれた狼の青年が大剣で打ち上げる。
道人が大地に落ちる。
泡が弾けるように混沌で覆われていたその姿が、元の充嘉の姿に戻っていく。
「今のお前たちが、踏みにじった全ての過去の、私を殺すのか……」
「ま、言いたいことはわからなくもない」
苦し気に咳き込む道人を、膝を落とし可能な限りかがむグレンはそう言う。
踏みにじられた。そう思う者も少なくない。
猟兵である自分たちも、いつかは過去の存在になる。
だが、全てを今のせいにして踏みにじる理由にはならない。
「それを良しとしないで抗って胸を張り過去となったって人を見たばかりだからな、うんとは言ってやれないな」
死に続けていた仙女を看取った巨人の魔女は、骸の海そのものというモノに対して拒絶した。
「……その判断をした過去を悔やむ時が楽しみだ……」
そんな台詞を残して、鴻鈞道人は目を閉じた。
●
「……さて、後は気付けをっと」
ピクリとも動かない充嘉の口を仮初に呼ばれた狼の青年にあけさせてもらい(物凄い嫌な顔をしていた)、精製していたケミカリンΘを流し込む。
「!?!?!?!?!?」
口を上下でふせがれていた充嘉の眼がかっと見開き、じたばたともがき始めた。
反射的にふせいでいる腕を引き剥がそうとしてるが閉ざしている狼の青年は腕を離そうとしない。
そんな些細な反逆を見てられなかったのか、黒豹が狼の青年の腕を離させる。
「げっほ、げほ……まっ、!……かっ!……に
……!……しっ……!しょっ……!」
「味の品評会か?」
不味い、辛い、苦い、渋い、しょっぱい。そう言ってるのだろうと判断した黒豹が思わずツッコミを入れた。
「なんなんすか、このやさしさを全消ししたような味は!?」
咳を何とか抑えて充嘉は叫んだ。
とりあえず一部始終を説明された充嘉は、空というよりもグレンを見上げていた。
「まじっすかー……どうりで全身が痛いと思ったら、そんなことが」
「まぁ、死なないだけ良かったんじゃないか。……あれ?秋月くん、左目……」
「なんすか、鏡?ってありゃー……」
全身を変貌させられた代償だろうか。言われて鏡を見ると青だったはずの左の瞳の色がなくなっていた。
幸いにも視力そのものは変わっていない。
「これって、あいつのせいっすかねぇ……なーんか、力の破片みたいなのも感じるし」
「そういえば、君の願いって何かな。さっき起こす前に軽く触ったらピンクだったんだけど?」
「ピンク?あぁ、それはっすねぇ……」
まだ全身が痛いだろうに、ひょいひょいとグレンの肩に乗り声を潜める。
「……反省とかしないタイプでしょ、キミ」
内容を聞いたグレンは苦笑いした。
大成功
🔵🔵🔵